JP6456262B2 - シールリング - Google Patents

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Description

本発明は、シールリングに関する。
従来、円周1箇所に切れ目を有する略円環状の全体形状を有し、リング本体と、このリング本体の両端部から周方向へ突出した第1凸部と第2凸部を有し、圧縮機の可動スクロールとハウジングの間のシールを行うシールリングは、公知であり、その材質はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)が主として使用されている(例えば、特許文献1,特許文献2参照)。
特開2007−247526号公報 特開平8−276508号公報
従来のこの種のシールリングは、円筒状のPTFE素材を、まず、機械的に輪切りし、次いで、切削・研削・切断加工等の機械加工によって、製造していた。
従って、従来のものは、機械加工等の加工工数が掛かり、材料ロスも多く発生し、製造コストも割高となる欠点があった。
一方、射出成形による製造もありえるが、その場合、第1凸部と第2凸部の合せ目部位における密封性が低下し、この合せ目部位からの流体(オイル)の漏れ量が過大となるという欠点があった。揺動試験においては、PTFE製シールリングと比較して流体(オイル)漏洩量が顕著に過大となることが確認された。シール部位からの流体漏洩が極端に増大することは圧縮機の機能上好ましくない。また、可動スクロールやハウジングの被密封平面に摺接する摺接面の摩擦抵抗の増大に伴って、揺動時の摺動が不安定となり、第1凸部と第2凸部の合せ目部位のシール間隙を大小変動させ、流体の漏れ量を増大させる要因となっていた。
そこで、本発明は、熱可塑性樹脂組成物の射出成形により安価に製造でき、かつ、合せ目部位からの流体の漏れ量を低減できるシールリングを提供することを目的とする。特に、スクロール運動を行う圧縮機に好適なシールリングを提供する。
本発明に係るシールリングは、円周1箇所に切れ目を有する円環状の全体形状に形成され、リング本体と、該リング本体の第1端部・第2端部から周方向に突設された第1凸部・第2凸部とを有するシールリングに於て、全体が熱可塑性樹脂組成物にて一体に形成され、上記リング本体の横断面形状は、矩形状であり、上記第1凸部と第2凸部は、上記リング本体の矩形状の横断面を分離線にて2分割して第1対応面・第2対応面をもって相互に対面させ、さらに、上記第1凸部は上記第1対応面の反対面側に削り取り部が形成された横断面形状であり、しかも、上記削り取り部の側に第1凸部破損防止用第3凸部が、上記第1端部から周方向に突設され、上記第1凸部と上記第2凸部とが相互に重なり合った切れ目閉状態で、上記第1凸部と上記第2凸部が上記リング本体の横断面の輪郭線から食み出さない。
また、円周1箇所に切れ目を有する円環状の全体形状に形成され、リング本体と、該リング本体の第1端部・第2端部から周方向に突設された第1凸部・第2凸部とを有するシールリングに於て、全体が熱可塑性樹脂組成物にて一体に形成され、上記リング本体の横断面形状は、円形であり、上記第1凸部と第2凸部は、上記リング本体の円形の横断面を分離線にて2分割して第1対応面・第2対応面をもって相互に対面させ、さらに、上記第1凸部は上記第1対応面の反対面側に削り取り部が形成された横断面形状であり、しかも、上記削り取り部の側に第1凸部破損防止用第3凸部が、上記第1端部から周方向に突設され、上記第1凸部と上記第2凸部とが相互に重なり合った切れ目閉状態で、上記第1凸部と上記第2凸部が上記リング本体の横断面の輪郭線から食み出さない。
本発明のシールリングによれば、第1凸部と第2凸部の合せ目部位における密封性が改善でき、流体漏洩を低減できる。熱可塑性樹脂組成物の射出成形にて、寸法を容易に設定でき、高品質・高性能のシールリングを容易・安価に得ることができる。切削・研削・切断等の機械加工が省略可能となって、材料ロスの発生も少なくなって、安価に製造できる。リング本体全体に比べて第1凸部は極めて小さく、他の物体に衝突したり、床へ落下させた際に、亀裂や折損等の破損を受ける可能性が、その材質の故に、高いといえるが、本発明では、第3凸部によって保護されて、上記破損を防止できる。
本発明に係るシールリングの用途を具体的に例示した圧縮機断面図である。 本発明の実施の一形態を示し、使用箇所を示した拡大断面図である。 切れ目開状態の平面図である。 (後方部位を一部省略して図示した)切れ目開状態の正面図である。 切れ目閉状態の平面図である。 切れ目閉状態の正面図である。 リング本体1の変形例を示す拡大断面図である。 要部を示す説明図であって、(A)は図4のB−B拡大断面説明図、(B)は要部拡大斜視説明図である。 図4のC−C拡大断面図、及び、変形例を示す拡大断面図である。 図6のD−D拡大断面図、及び、変形例を示す拡大断面図である。 図6のD−D拡大断面図に代わる他の実施例の拡大断面図である。 受圧状態を示す要部拡大断面図である。 本発明の他の実施形態を示した断面図である。 本発明の別の実施形態を示し、使用箇所を例示した拡大断面図である。 種々の実施例を示す拡大断面図である。 図15(A)に対応した要部拡大斜視図である。
以下、実施の形態を示す図面に基づき本発明を詳説する。
図3と図4に示すように、本発明のシールリングSは、自由状態では、円周1箇所に切れ目5を有する円環状の全体形状を有している。そして、このシールリングSは、 360°よりも僅かに小さい中心角度を占めるリング本体1と、リング本体1の第1端部11と第2端部12から周方向に第1凸部21・第2凸部22が突設されている。つまり、第1凸部21・第2凸部22は、第1端部11と第2端部12から周方向に延伸状に設けられている。
図1と図2に於て使用状態を示し、エアコンディショナー用の圧縮機2のスクロール圧縮機構3に適用されている場合を例示する。
スクロール圧縮機構3は、主に、ハウジング4とハウジング4の上方に密着して配置される固定スクロール6と、固定スクロール6に噛合する可動スクロール7等から構成される。ハウジング4には、可動スクロール7の下面(背面)7Aと対向する平面部4Aにシール溝4Bが凹設され、このシール溝4Bに本発明のシールリングSが装入されている。
シールリングSは、可動スクロール7の背面7A、及び、ハウジング4の平面部4Aの間を密封(シール)して、背圧空間を形成する。(なお、図2は図1のY部の拡大図である。
そして、図3と図4に示すように、切れ目5が開状態である全体形状に、熱可塑性樹脂組成物にて、一体形成する。図3に於て、矢印Fは射出成形時の溶融樹脂の注入方向を示し、10は注入ゲート(跡)部であり、(図示省略した)切断刃にて可能な限り美しく切断したとしても、微小突部が残留形成される虞もあって、仕上げのために研削等の機械加工を行うこともあり得る。しかしながら、このような注入ゲート跡部10以外は、機械加工を省略して、射出成形面とすることが可能である。
本発明のシールリングSを射出成形するのに好適な熱可塑性樹脂組成物としては、PES樹脂組成物を挙げ得る。射出成形品に、いわゆるバリが発生しにくい利点があり、さらに、熱膨張率が低く金型から取出した後の収縮性が低くシールリングSの寸法も高精度に維持され、前述の機械加工を省略可能となる利点がある。
そして、図3に示した如く、切れ目5が開状態の全体形状に、PES樹脂組成物等の熱可塑性樹脂組成物にて一体に形成されるのであるが、射出金型から取出した、切れ目5が開状態であるシールリングSのリング本体1は、切れ目5と反対側に曲率半径R13が最大寸法である(最大寸法の)部位13を有し、この最大寸法の部位13から第1端部11・第2端部12の各々に向かって、周方向M,Mに近づくに従って、曲率半径R,Rがしだいに減少して、第1端部11・第2端部12の曲率半径R11,R12が最小寸法となるように設定され、さらに、(小さな突出寸法である)第1凸部21・第2凸部22の外周面の曲率半径は前記R11,R12と同一とする。
なお、前記曲率半径R13,R,R,R11,R12は、図3に示したように、中心点Oから、リング本体1の外周面までの寸法とする。
さらに、追加説明すると、図3の平面図に於て、開状態のリング本体1は、切れ目5の中央の点(中心点)Pに対して 180°±30°の範囲内に、最大寸法の部位13が存在する。つまり、図3に示したθは30°であり、2θ=60°の範囲内に最大寸法の部位13を配設している。(なお、図3に於て、Lは中央点Pを含んだ直径を示す線である。)
このように、金型のキャビティの形状・寸法、及び、それから取出されたシールリングS(図3参照)は、その外周縁形状が、切れ目5に対して 180°反対側における±θ(=±30°)の範囲内に、曲率半径R13が最大寸法の部位13を配設し、この部位13から切れ目5に向かってしだいに減少する非真円形に設定する。
使用状態―――図2に示すようにシール溝4Bに装着された状態―――では、第1凸部21と第2凸部22とが相互に重なり合って切れ目閉状態となるが、切れ目開状態下で上述した非真円形であることによって、弾性変形に伴って、中心点Oから同一の曲率半径Rの真円形になり、図2に示したシール溝4Bのラジアル方向外側の内壁面14に対して密に接触する。切れ目開状態(図3)から切れ目閉状態(図5)へ変形する際、最大寸法の部位13が最も大きく曲率半径が減少するように変形し、第1端部11・第2端部12側はほとんど変形しない。従って、図5に示した前記曲率半径Rは、図3に示した端部11,12の曲率半径R11,R12に相等しくなる。
リング本体1の横断面形状は、一例として、矩形状である。本発明に於て、「矩形状」とは、図2,図9(A),図10(A),図11(A),図13等に示した正方形,長方形は勿論包含し、さらに、図7,図9(B),図10(B),図11(B)に示したように基本矩形Gから1角部15を傾斜状直線L15によって面取りした形状を含み、かつ、図示省略するが上記1角部15以外の残りの角部の一部乃至全部を小さく面取りした多角形状を含み、また、図9(C),図10(B),図11(B)に示した小アール部35を4つの角部の内の少なくとも一つに有する形状をも包含すると、定義する。
図2に示す使用状態で、可動スクロール7の背面7A等の(可動側)被密封面(平面)に摺接する第1摺接面26と、シール溝4Bの内壁面14等の(固定側)被密封面(曲面)に摺接する第2摺接面27とを、有している。直交状の被密封面,Pによって形成される隅部8に、受圧時に押付けられる。
ところで、本発明は、PES樹脂組成物等の熱可塑性樹脂組成物を採用したことにより、図2等に示した横断面を正方形,長方形としても(面取りを省略しても)、スクロール運動中にシールリングSの1角部15が、背面7Aと平面部4Aとの間隙9に、噛み込む等の不具合が生じない利点がある。但し、圧力,温度,運動速度・作動方向等,流体の特性等の使用条件が過酷な場合を考慮して、図7等に示す面取り部16を形成するも好ましいときがある。この面取りした横断面形状について追加説明すれば、図7に示すように、2点鎖線にて示した基本矩形Gから1角部15を傾斜状直線L15によって面取りする。(図7ではC面取りを例示している。)
図8(A)(B)に示すように、第1凸部21は、(図7に示した)1角部15に隣接する基本矩形Gの一方の角部19を有する第1当接片部31と、他方の角部17を有する第2当接片部32と、第1当接片部31と第2当接片部32を連結する(薄肉状)傾斜片部30とを、有している。
第1凸部21は、2箇所で折曲げられた〔形(亀甲括弧形)の横断面形状に形成されている。傾斜片部30は、亀甲括弧(〔)の外側に傾斜対応面23を有し、かつ、内側に底面部25を有する削り取り部(凹部)33が形成されている。傾斜片部30の厚さ寸法Tは、強度と剛性が確保できると同時に、適当な柔軟性を付与して、受圧状態で、十分な変形量を確保可能な寸法とする。
図9(A)(C)に示すように、第2凸部22は、横断面形状が三角形に形成され、図9(A)では直角の鋭利な頂部を有し、図9(C)では小アール部35を頂部に有する三角形である。また、図9(B)では、第2凸部22の横断面形状が台形に形成され、図9(A)に示す三角形の頂部を面取りしたような面取り部16を有している。
図9(A)(B)(C)のいずれの実施例に於ても、底辺(下底)に傾斜面24を有している。そして、図10(A)(B)、又は、図11(A)(B)に示すように、第1凸部21と第2凸部22とが相互に重なり合った切れ目閉状態で、三角形乃至台形の傾斜面24が、傾斜片部30の傾斜対応面23に(平行状に)対面する。なお、台形横断面形状とは、図例のように面取り部16と傾斜面24が平行状であるものに限らず、面取り部16と傾斜面24が真に平行でないものも包含する。なお、図10(A),図11(A)と図9(A)が対応し、図10(B),図11(B)と図9(B)とが対応すると共に、図10(B),図11(B)の2点鎖線で示した三角形は図9(C)が対応している。
以上、図8,図9,図10,図11に基づいて説明したことを、別の表現をもって説明する。上記リング本体1の横断面形状は矩形状であって、第1凸部21と第2凸部22は、リング本体1の矩形状横断面を、図10に示すように、分離線Lcにて2分割して、第1対応面41(前記傾斜対応面23)と第2対応面42(前記傾斜面24)をもって、相互に対応する。さらに、第1凸部21は第1対応面41の反対面側に削り取り部(凹部)33が形成されている。
そして、63は第3凸部であり、この第3凸部63は、リング本体1の第1端部11から周方向に突設される。さらに、この第3凸部63は、図8等に示すように、第1凸部21を削り取り部33の側から(他の物体が衝突・干渉する等に対して)保護するためのものである。
即ち、リング本体1全体に比べて、第1凸部21は極めて小さな部分であって、他の物体に不意に衝突したり、床や机の上に落下させた際に、第1凸部21は、簡単に亀裂や折損等の破損を受ける可能性がある。特に、熱可塑性樹脂組成物であるが故に、上記破損を生じ易く、このような破損を、第1凸部21の削り取り部33の側から、保護して第1凸部破損防止の機能(作用)を発揮する。
図8,図10(A),図12に示す図例では、第3凸部63は正方形の場合を示し、図10(B)では、面取り64を有する正方形を示している。しかも、図7にて示した、角部18と、その角部18を形成する直角2辺に、一致するように、第3凸部63を角部18寄りに配置する。
そして、図5と図6に示すように、第1凸部21と第2凸部22とが相互に重なり合った切れ目閉状態に於て、第1凸部21と第2凸部22が、リング本体1の横断面の輪郭線(図7に示した基本矩形G)から食み出さない寸法(寸法公差)に、第1凸部21と第2凸部22と第3凸部63の横断面各部寸法を設定する。
図8に示す第1凸部21の傾斜対応面23(第1対応面41)のラジアル方向寸法H23・アキシャル方向寸法T23に対して、図9(A)(B)(C)に示す第2凸部22の傾斜面24(第2対応面42)のラジアル方向寸法H24・アキシャル方向寸法T24を、僅かに小さく、設定する。このようにして、切れ目閉状態で、第1凸部21と第2凸部22が、リング本体1の横断面の輪郭線から食み出さない寸法(寸法公差)に設定する。
即ち、図10に示すように、第1凸部21と第2凸部22と第3凸部63とを、図7の基本矩形Gの4辺に重なり合う(一致する)ようにした場合、(第1凸部21の)傾斜対応面23と(第2凸部22の)傾斜面24の間に微小なシール間隙gが形成される。このシール間隙gの最大寸法は、10μm以上、かつ、100μm以下に設定するのが望ましい。即ち、10μm≦g≦100μmとするのが望ましい。シール間隙gが、100μmを越せば、流体漏れが急激に増加する。
このように、切れ目閉状態であって、かつ第1凸部21と第2凸部22と第3凸部63とを、基本矩形Gの4辺に重なり合うように、対応2面23,24(第1・第2対応面41,42)のシール間隙gを最大とした状態で、最大間隙寸法を、10μm以上かつ100μm以下に設定したので、対応2面23,24(第1・第2対応面41,42)からの漏洩は抑制でき、かつ、第1凸部21と第2凸部22と第3凸部63が基本矩形Gから食み出さず、一層密封性能も向上できる。そして、図8(B)からも判るように、第1凸部21と第3凸部63は、リング本体1の第1端部11の端面11Zから平行状に突設されている。
次に、図11(A)(B)に示す実施例では、角部18と角部19とを結ぶ辺65に沿って、薄肉片状の第3凸部63が配設されている。この図11の場合も、切れ目閉状態であって、第1凸部21と第2凸部22とを、基本矩形Gの4辺に重なり合うように、対応2面23,24のシール間隙gを最大とした状態で、最大間隙寸法を、10μm以上かつ100μm以下に設定され、第1凸部21と第2凸部22が、リング本体1の輪郭線(基本矩形G)から食み出さない。なお、図11(A)(B)に示すように、第1凸部21と第2凸部22及び第3凸部63を、リング本体1の輪郭線(基本矩形G)から食み出さないように構成するのが望ましい。
ところで、図11(A)に示した実施例では、間隔部66が第3凸部63の上端と、第1凸部21の第1当接片部31との間に、形成されている。図11(B)に示した実施例では、薄肉片状第3凸部63の上端が、第1凸部21に連続している。そして、一辺65の全体を、第3凸部63、及び、第1凸部21の一部をもって、形成する。このようにすれば、第3凸部63が補強の作用をなし、かつ、金型構造がシンプルとなる利点がある。
図12に示すように、受圧状態で、被密封面と被密封面によって形成された隅部8にシールリングSが押圧され、流体Lの圧力Pによって第1凸部21が弾性変形して第2凸部22に押し付けられる。
可動スクロール7がスクロール運動することで、相手部材───被密封面,被密封面───に第1摺接面26及び第2摺接面27が接触(圧接)し、流体Lの圧力Pによって、第1凸部21が第2凸部22に押し付けられる。第1凸部21が第2凸部22を押圧することで、第1凸部21と第2凸部22の両部材間の密封性が向上して、シール間隙gからの流体Lの漏れが減少する。図10と図11からも明らかなように、第1凸部21と第2凸部22には、連続面をもって第1摺接面26及び第2摺接面27が形成されている。本発明では、この第1摺接面26及び第2摺接面27が(既述した通り)機械加工の省略された射出成形面そのままとすることも可能であり、しかも、JIS B 0601に準じて測定されるその表面の算術平均粗さ(Ra)を、0.1以上2.0以下に設定して、優れた密封性能と耐摩耗性を発揮させる。
また、本発明において射出成形すべき熱可塑性樹脂組成物としては、曲げ弾性率が1500MPa 以上、6000MPa 以下のものであればよく、例えば、ポリサルフォン系樹脂組成物、具体的には、PES(ポリエーテルサルフォン)樹脂組成物、PSU(ポリサルフォン)樹脂組成物、PPSU(ポリフェニルサルフォン)樹脂組成物が好ましい。特に、曲げ弾性率は2000MPa 以上、4000MPa 以下が望ましい。
また、本発明に係るシールリングに好適なPES樹脂組成物としては、PES樹脂にグラファイト粉末等の層状結晶構造を有する化合物、及び/または、フッ素樹脂粉末等を添加したPES樹脂組成物である。このような添加によって、上述の曲げ弾性の範囲に特性を調整し易くなり、シールリングとしての耐摩耗性に優れ、耐熱・耐薬品性も良好で、十分な伸張性を有し、装着性及びシール性も良好であり、図1に例示したエアコンディショナー用圧縮機等に好適である。
なお、他の熱可塑性樹脂組成物として、ポリアリ−レンサルファイド系樹脂組成物、具体的には、PPS(ポリフェニルサルファイド)樹脂に上記したグラファイト粉末等の層状結晶構造を有する化合物、フッ素樹脂粉末、及び/または、ガラス繊維、カーボンファイバ等の繊維状充填材を添加したPPS樹脂組成物も適用できる。
本発明では、熱可塑性樹脂組成物の射出成形によって製造可能であるため、H24≦H23,T24≦T23のように寸法公差を(金型のキャビティの段階にて)容易に設定できる。
図示省略するが、仮に、H24>H23,T24>T23に設定した場合には、使用状態において、被密封面と被密封面によって形成された隅部8にシールリングSが押圧されるが、このとき第2凸部22は両面P,Pに密接するが、第1凸部21がいずれか一面にのみ当接し、外部漏洩間隙を発生し、流体漏洩を生ずる。本発明では、このような不具合を、(前述のように、)H24≦H23,T24≦T23に設定して、第1凸部21と第2凸部22とが、相互に重なり合った切れ目閉状態で、基本矩形Gから食み出さないように構成して、防止している。
図12にもどって、第3凸部63と、第1・第2凸部21,22との関係を説明する。図12、及び、図8,図10,図11(A)に例示したように、第3凸部63は第1凸部21と分離して、第1端部11から突設されている。図12に示したように、圧力Pを受けて、第1凸部21が弾性的に変形しつつ密封(シール)機能を発揮するのであるが、第3凸部63はこの密封(シール)機能とは無関係であり、いわば「ダミー」として存在しており、第1凸部21を保護する破損防止用凸部である。第1凸部21が他の物体に干渉して、亀裂や折損等の破損することを、削り取り部33側から守り、場合によっては、この第3凸部63自身が破損して衝撃を吸収し、第1凸部21を守る。
なお、図11(B)では、第1凸部21の一部を補強する機能をも、第3凸部63が発揮している。
図13(A)(B)は、各々、本発明の別の実施形態を示した断面図である。
リング本体1は、基本矩形Gが長方形であり、第1摺接面26を成す辺(短辺)が、第2摺接面27を成す辺(長辺)より短い。つまり、(使用状態に於て可動側被密封面に摺接する)第1摺接面26の摩擦抵抗が低減され、滑り性が向上している。
図13(A)(B)に示すように、第2凸部22は、横断面形状が三角形に形成され、かつ、第1凸部21は、第2凸部22の四角形の1辺の傾斜面24と平行状の傾斜対応面23を有する傾斜片部30を有している。傾斜片部30は、外側に傾斜対応面23を有し、内側に削り取り部33が形成される。
図13(A)は、図11(A)の実施例の略正方形を長方形としたものであり、第3凸部63が角部18,19を結ぶ長い辺65に沿って薄肉片状に形成されている等の構成は、図11(A)で述べたと同様であり、重複説明を省略する。また、図13(B)は、図13(A)の角張った削り取り部33を、弧状曲線の削り取り部33に変更した場合を示す。第3凸部63は、図13(A)と(B)とは同様であり、実線は、第1凸部21と分離して、図11(A)にて説明した作用をなす。また、図13(A)(B)の各々に於て、2点鎖線67にて示すように、一辺65に沿って第3凸部63を(上方へ延伸して)第1凸部21の第1当接片部31に連結しても、好ましい。その作用(効果)は、図11(B)にて述べた場合と同様である。
次に、図14〜図16は、さらに別の実施の形態を示す。図14は、既述の図2に対応した使用状態を示す図であって、リング本体1の横断面形状が円形である点以外は、図2と同様の構成であって、同一符号は同じ構成を示す。
図15と図16に示すように、第1凸部21と第2凸部22は、リング本体1の円形横断面の輪郭を、分離線Lcにて2分割して、第1対応面41・第2対応面42をもって相互に対面させる。第1凸部21の第1対応面41の反対面側に削り取り部33が形成され、かつ、削り取り部33側には第1凸部破損防止用第3凸部63が、第1端部11から周方向に突設されている。
しかも、図15(A)(B)(C)に示すように、第1凸部21と第2凸部22とが相互に重なり合った切れ目閉状態で、第1凸部21と第2凸部22が、リング本体1の円形の輪郭線から食み出さない。なお、図15(A)(B)(C)に示すように、第1・第2・第3凸部21,22,63の全てを、リング本体1の円形の輪郭線から食み出さないように構成するのが望ましい。
図15(A)と図16に於ては、削り取り部33が大き目の弓形であって、第1凸部21は、第1対応面41と、これに平行な傾斜直線状の底面部25を有する傾斜片部30をもって、構成されている。また、2個の第3凸部63,63が、リング本体1の第1端部11の端面11Zから突設される。具体的には、各第3凸部63は、略4半円形であり、第1凸部21の両端部21A,21Aを、保護する位置に、分離状に配設される。
次に、図15(B)に示す実施例では、削り取り部33の断面形状が、屋根型であり、第1凸部21は、両端に釘部43,43を有するカスガイ形である。そして、この削り取り部33側には、丸山型の2個の第3凸部63,63が配設され、上記釘部43,43を保護している。
次に、図15(C)では、削り取り部33の断面形状はラグビー球形であり、第1凸部21は、外側に、直線傾斜状の第1対応面41を有すると共に、内側(裏面側)に、弧状曲線凹部を有する。そして、略円形の第3凸部63が削り取り部33の位置に配設されている。
なお、削り取り部33の形状は、これ以外にも設計変更自由であり、かつ、第3凸部63の形状も変更自由であり、第1凸部21の破損を有効に防止するように保護の機能を発揮すれば十分である。
以上、詳述したように、本発明に係るシールリングは、円周1箇所に切れ目5を有する円環状の全体形状に形成され、リング本体1と、該リング本体1の第1端部11・第2端部12から周方向に突設された第1凸部21・第2凸部22とを有するシールリングに於て、全体が熱可塑性樹脂組成物にて一体に形成され、上記リング本体1の横断面形状は、矩形状であり、上記第1凸部21と第2凸部22は、上記リング本体1の矩形状の横断面を分離線Lcにて2分割して第1対応面41・第2対応面42をもって相互に対面させ、さらに、上記第1凸部21は上記第1対応面41の反対面側に削り取り部33が形成された横断面形状であり、しかも、上記削り取り部33の側に第1凸部破損防止用第3凸部63が、上記第1端部11から周方向に突設され、上記第1凸部21と上記第2凸部22とが相互に重なり合った切れ目閉状態で、上記第1凸部21と上記第2凸部22が上記リング本体1の横断面の輪郭線から食み出さない構成であるので、第1凸部21と第2凸部22の合せ目部位における密封性が改善され、その合せ目部位からの流体漏洩を低減でき、特に、リング本体1に比べて極めて小さい第1凸部21に他の物体との干渉して破損することを、第3凸部63によって、確実に防止でき、上記合せ目部位における密封性が維持される。熱可塑性樹脂組成物の射出成形にて、寸法を容易に設定でき、高品質・高性能のシールリングを容易・安価に得ることができ、切削・研削・切断等の機械加工が省略可能となって、材料ロスの発生も少ない。
第3凸部63も、第1・第2凸部21,22と同時に上記材質の射出成形にて容易に形成できる。
また、本発明に係るシールリングは、円周1箇所に切れ目5を有する円環状の全体形状に形成され、リング本体1と、該リング本体1の第1端部11・第2端部12から周方向に突設された第1凸部21・第2凸部22とを有するシールリングに於て、全体が熱可塑性樹脂組成物にて一体に形成され、上記リング本体1の横断面形状は、円形であり、上記第1凸部21と第2凸部22は、上記リング本体1の円形の横断面を分離線Lcにて2分割して第1対応面41・第2対応面42をもって相互に対面させ、さらに、上記第1凸部21は上記第1対応面41の反対面側に削り取り部33が形成された横断面形状であり、しかも、上記削り取り部33の側に第1凸部破損防止用第3凸部63が、上記第1端部11から周方向に突設され、上記第1凸部21と上記第2凸部22とが相互に重なり合った切れ目閉状態で、上記第1凸部21と上記第2凸部22が上記リング本体1の横断面の輪郭線から食み出さない構成であるので、第1凸部21と第2凸部22の合せ目部位における密封性が改善され、その合せ目部位からの流体漏洩を低減でき、特に、リング本体1に比べて極めて小さい第1凸部21に他の物体との干渉して破損することを、第3凸部63によって、確実に防止でき、上記合せ目部位における密封性が維持される。熱可塑性樹脂組成物の射出成形にて、寸法を容易に設定でき、高品質・高性能のシールリングを容易・安価に得ることができ、切削・研削・切断等の機械加工が省略可能となって、材料ロスの発生も少ない。
第3凸部63も、第1・第2凸部21,22と同時に上記材質の射出成形にて容易に形成できる。また、リング本体1の横断面形状が円形であることによって、被密封面,Pに対して馴染み易く、かつ、接触面圧分布がピークを有する山型を示し、シール性も一層高いシールリングとなる。
1 リング本体
5 切れ目
11 第1端部
12 第2端部
21 第1凸部
22 第2凸部
33 削り取り部(凹部)
41 第1対応面
42 第2対応面
63 第3凸部
Lc 分離線

Claims (2)

  1. 円周1箇所に切れ目(5)を有する円環状の全体形状に形成され、リング本体(1)と、該リング本体(1)の第1端部(11)・第2端部(12)から周方向に突設された第1凸部(21)・第2凸部(22)とを有するシールリングに於て、
    全体が熱可塑性樹脂組成物にて一体に形成され、
    上記リング本体(1)の横断面形状は、矩形状であり、上記第1凸部(21)と第2凸部(22)は、上記リング本体(1)の矩形状の横断面を分離線(Lc)にて2分割して第1対応面(41)・第2対応面(42)をもって相互に対面させ、さらに、上記第1凸部(21)は上記第1対応面(41)の反対面側に削り取り部(33)が形成された横断面形状であり、
    しかも、上記削り取り部(33)の側に第1凸部破損防止用第3凸部(63)が、上記第1端部(11)から周方向に突設され、
    上記第1凸部(21)と上記第2凸部(22)とが相互に重なり合った切れ目閉状態で、上記第1凸部(21)と上記第2凸部(22)が上記リング本体(1)の横断面の輪郭線から食み出さないことを特徴とするシールリング。
  2. 円周1箇所に切れ目(5)を有する円環状の全体形状に形成され、リング本体(1)と、該リング本体(1)の第1端部(11)・第2端部(12)から周方向に突設された第1凸部(21)・第2凸部(22)とを有するシールリングに於て、
    全体が熱可塑性樹脂組成物にて一体に形成され、
    上記リング本体(1)の横断面形状は、円形であり、上記第1凸部(21)と第2凸部(22)は、上記リング本体(1)の円形の横断面を分離線(Lc)にて2分割して第1対応面(41)・第2対応面(42)をもって相互に対面させ、さらに、上記第1凸部(21)は上記第1対応面(41)の反対面側に削り取り部(33)が形成された横断面形状であり、
    しかも、上記削り取り部(33)の側に第1凸部破損防止用第3凸部(63)が、上記第1端部(11)から周方向に突設され、
    上記第1凸部(21)と上記第2凸部(22)とが相互に重なり合った切れ目閉状態で、上記第1凸部(21)と上記第2凸部(22)が上記リング本体(1)の横断面の輪郭線から食み出さないことを特徴とするシールリング。
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