JP5848488B1 - シールリング - Google Patents
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Abstract
Description
従って、従来のものは、機械加工等の加工工数が掛り、材料ロスも多く発生し、製造コストも割高となる欠点があった。一方、射出成形による製造もありえるが、その場合、開口部が合口として生じ、合口を合わせたときにリングが真円とならずシール性が不十分となりえる。
また、相手部材への摺接面の表面の算術平均粗さRaを、 0.1以上、2以下としたものである。
図3〜図6に示すように、本発明に係るシールリングSは、円周1箇所に切れ目5を有する円環状の全体形状を有している。そして、このシールリングSは、 360°よりも僅かに小さい中心角度を占めるリング本体1と、リング本体1の第1端部11と第2端部12から周方向に延伸状に第1凸部21・第2凸部22が付設されている。
図1と図2に於て使用状態を示し、エアコンディショナー用の圧縮機2のスクロール圧縮機構3に適用されている場合を例示する。
シールリングSは、可動スクロール7の背面7A、及び、ハウジング4の平面部4Aの間を密封(シール)して、背圧空間を形成する。(なお、図2は図1のY部の拡大図である。)
S樹脂組成物を挙げ得る。射出成形品に、いわゆるバリが発生しにくい利点があり、さらに、熱膨張率が低く金型から取出した後の収縮性が低くシールリングSの寸法も高精度に維持され、前述の機械加工を省略可能となる利点がある。
なお、前記曲率半径R13,R1 ,R2 ,R11,R12は、図3に示したように、中心点O1 から、リング本体1の外周面までの寸法とする。
使用状態―――図2に示すようにシール溝4Bに装着された状態―――では、第1凸部21と第2凸部22とが相互に重なり合って切れ目閉状態となるが、切れ目開状態下で上述した非真円形であることによって、弾性変形に伴って、中心点O1 から同一半径R0 の真円形になり、図2に示したシール溝4Bのラジアル方向外側の内壁面14に対して密に接触する。切れ目開状態(図3)から切れ目閉状態(図7)へ変形する際、最大寸法の部位13が最も大きく曲率半径が減少するように変形し、第1端部11・第2端部12側はほとんど変形しない。従って、図7に示した前記曲率半径R0 は、図3に示した端部11,12の曲率半径R11,R12に相等しくなる。
図2に示す使用状態で、可動スクロール7の背面7A等の(可動側)被密封平面P1 に摺接する第1摺接面26と、シール溝4Bの内壁面14等の(固定側)被密封内周面P2 に摺接する第2摺接面27とを、有している。直交状の被密封平面P1 ,被密封内周面P2 によって形成される隅部8に、受圧時に押付けられる。
また、図11に示すように、リング本体1の横断面形状は、基本矩形Gから1角部15を傾斜状直線L15によってC面取りした5角形である場合、図13(B),図14(B)に示す実施例では、第2凸部22には面取り部16を有する台形状とする。そして、その底面を対応面24として、第1凸部21の傾斜状の対応面23に対向させる。なお、図14(B)に於て、実線をもって示すように、対応面23,24を面取り部16と平行としても良いが、同図中に2点鎖線をもって示す如く非平行としても好ましい。(このときは、第2凸部22は台形でなくなる。)
また、図14(D)に示す実施例に於ては、図14(C)で説明した小アール部35が、弧状凹部34に変更しても良いことを示している。それ以外は、図14(D)と同様である。言い換えれば、図14(B)では直線の面取り部16を有するのに対し、図14(C)(D)では、曲線状の面取りを施している。
また、図16(E)に示す実施例では、第1凸部21の横断面形状が、長方形乃至正方形の切欠部16Aを1角部に切欠形成し、第2凸部22は、この切欠部16Aに嵌合する長方形乃至正方形の横断面形状とし、対応面23,24が横断面L字状である。
また、図16(F)に示す実施例では、第1凸部21の横断面形状が、4半円状等の曲線凹状切欠部16Bを1角部に切欠形成し、第2凸部22は、この切欠部16Bに嵌合する横断面4半円状等の扇型であり、対応面23,24が横断面円弧状曲線である。
なお、図16(E)と(F)に示した両実施例の中間の切欠部の形状とするも自由である(図示省略)。さらに、図14(C)又は(D)に示したような小アール部35・弧状凹部34を、図16の各実施例における第2凸部22の直角頂部に形成するも、好ましい場合がある。
(図12(A)に示した)分離線L21に沿った傾斜状の対応面23のラジアル方向寸法H23・アキシャル方向寸法T23(図12(B)参照)に対して、図12(A)に示した分離線L21に沿った傾斜状の対応面24のラジアル方向寸法H24・アキシャル方向寸法T24を、同一乃至僅かに小さく、設定する。
即ち、第1凸部21と第2凸部22とが相互に重なり合った切れ目閉状態で、重なり合った第1凸部21・第2凸部22の摺接面26,27を基本矩形Gに一致させた場合、対応面23,24相互間に間隙が形成されるように、第1凸部21と第2凸部22の断面形状と寸法を設定している(図14,図15,図16参照)。
図17又は図18は、H24>H23,T24>T23に仮に設定した場合に、不具合を生ずることを示した説明図である。即ち、使用状態において、被密封平面P1 と被密封内周面P2 によって形成された隅部8にシールリングSが押圧されるが、このとき第2凸部22は両面P1 ,P2 に密接するが、第1凸部21がいずれか一面にのみ当接し、外部漏洩間隙K1 ,K2 を発生し、矢印M10,M20方向に流体漏洩を生ずる。
さらに、図15に示したように、第1凸部21と第2凸部22とを、図11の基本矩形Gの4辺に重なり合う(一致する)ようにした場合、分離線L21に沿った対応2面―――対応面23と対応面24―――の間隙寸法εが最大となり、その最大間隙寸法ε0 を、10μm以上かつ 100μm以下に設定するのが望ましい。即ち、10μm≦ε0 ≦ 100μmとするのが望ましい。上限値を越せば、流体漏れが急激に増加する。
本発明では、この摺接面26,27も(既述した通り)機械加工の省略された射出成形面そのままであり、しかも、JIS B 0601に準じて測定されるその表面の算術平均粗さ(Ra)を、 0.1〜2に設定して、優れた密封性能と耐摩耗性を発揮させる。
また、本発明において射出成形すべき熱可塑性樹脂組成物としては、曲げ弾性率が1500MPa 以上、6000MPa 以下のものであればよく、例えば、ポリサルフォン系樹脂組成物、具体的には、PES(ポリエーテルサルフォン)樹脂組成物、PSU(ポリサルフォン)樹脂組成物、PPSU(ポリフェニルサルフォン)樹脂組成物が好ましい。特に、曲げ弾性率は2000MPa 以上、4000MPa 以下が望ましい。
なお、他の熱可塑性樹脂組成物として、ポリアリ−レンサルファイド系樹脂組成物、具体的には、PPS(ポリフェニルサルファイド)樹脂に上記したグラファイト粉末等の層状結晶構造を有する化合物、フッ素樹脂粉末、及び/または、ガラス繊維、カーボンファイバ等の繊維状充填材を添加したPPS樹脂組成物も適用できる。
また、相手部材への摺接面26,27の表面の算術平均粗さRaを、 0.1以上、2以下としたので、一層、優れた密封性能(シール性)を確保する。
5 切れ目
10 注入ゲート跡部
11 第1端部
12 第2端部
13 曲率半径が最大寸法の部位
15 1角部
21 第1凸部
22 第2凸部
23,24 対応面
26,27 摺接面
ε 間隙寸法
ε0 最大間隙寸法
G 基本矩形
L15 傾斜状直線
L21 分離線
M1 ,M2 周方向
P5 中央点
R1 ,R2 ,R13 曲率半径
S シールリング
Claims (3)
- 円周1箇所に切れ目(5)を有する円環状の全体形状を備え、リング本体(1)と、該リング本体(1)の第1端部(11)・第2端部(12)から周方向に突設された第1凸部(21)・第2凸部(22)とを有するシールリングに於て、
上記切れ目(5)が開状態の円環状全体形状に、熱可塑性樹脂組成物にて一体に形成され、かつ、上記開状態における上記リング本体(1)は、上記切れ目(5)の中央点(P5 )に対して 180°±30°の範囲内に曲率半径(R13)が最大寸法の部位(13)が存在し、該最大寸法の部位(13)から上記第1端部(11)・第2端部(12)の各々に向かって周方向(M1 )(M2 )に近づくに従って曲率半径(R1 )(R2 )が減少するように、設定されて、上記第1凸部(21)と第2凸部(22)とが相互に重なりあった切れ目閉状態で全体形状が真円形となるように構成し、さらに、上記リング本体(1)の横断面形状は、矩形状であり、上記第1凸部(21)と第2凸部(22)は、上記リング本体(1)の矩形状の横断面を分離線(L21)にて2分割した横断面形状であって、
上記第1凸部(21)と第2凸部(22)とが相互に重なり合った切れ目閉状態で、上記第1凸部(21)と第2凸部(22)の対応面(23)(24)相互間に間隙を有することを特徴とするシールリング。 - 前記熱可塑性樹脂組成物の曲げ弾性率が1500MPa 以上、6000MPa 以下であることを特徴とする請求項1記載のシールリング。
- 相手部材への摺接面(26)(27)の表面の算術平均粗さ(Ra)を、 0.1以上、2以下とした請求項1又は2記載のシールリング。
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