JP6455854B2 - スクロール圧縮機のシール構造 - Google Patents

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Description

本発明は、渦巻状のラップを有する固定スクロールと、固定スクロールのラップに噛み合う渦巻状のラップを有する旋回スクロールと、少なくとも一方のラップの歯先面に形成された凹溝に収納されるチップシールと、を備えるスクロール圧縮機のシール構造に関する。特に、チップシールを安定して浮上させることができ、チップシールによるシール性を高めて圧縮効率を向上させることが可能なスクロール圧縮機のシール構造に関する。
空調装置(エア・コンディショナ)に、スクロール圧縮機が利用されている。スクロール圧縮機は、端板と渦巻状のラップとを有する一対の固定スクロールと旋回スクロールとを備え、両スクロールの互いのラップが噛み合うように組み合わされ、固定スクロールに対して旋回スクロールが自転せずに偏心しながら公転(旋回)するように構成されている。スクロール圧縮機は、固定スクロールと旋回スクロールとが互いに噛み合うことで圧縮室(両スクロールの各端板と各ラップとで囲まれる密閉空間)が形成され、圧縮室が旋回スクロールの旋回により、吸入口に通じる外周側から吐出口に通じる中央部に向かって移動しながら、圧縮室の容積が減少する。これにより、吸入口を通じて圧縮室に吸入された流体(例、冷媒)が圧縮され、吐出口から吐出される。また、スクロール圧縮機では通常、圧縮室へ潤滑用のオイルも供給される。
圧縮室が外周側から中央部に移動しつつ容積が減少することで流体(例、冷媒)の圧縮を行うスクロール圧縮機において、良好な圧縮効率を確保することを目的として、一方のスクロールのラップの歯先面と、この歯先面に対向する他方のスクロールの端板との間のシール性を高めるためのシール構造が設けられている。シール構造としては、チップシールが多用されており、具体的には、ラップの歯先面に凹溝が形成され、この凹溝にチップシールが収納されている。一般に、凹溝及びチップシールは、その断面形状が矩形状であり、チップシールの幅は凹溝の幅より小さく形成されている。チップシールは、スクロール圧縮機の始動時や始動初期では、凹溝内に収納されている。一方、旋回スクロールの回転速度が一定以上になる定常運転時には、高圧側の圧縮室からオイルが凹溝とチップシールとの隙間から流入してチップシールの下面に入り込み、チップシールを押し上げて凹溝から浮上させる。これにより、チップシールが対向する他方のスクロールの端板に接触して、チップシールによりラップと端板との間がシールされることになり、高圧側から低圧側への高圧流体の漏れが抑制される。
例えば特許文献1には、スクロール圧縮機におけるチップシールを格納するチップシール格納溝(凹溝)及びチップシールの断面形状を工夫することで、チップシールの浮上性及び安定性を向上させることが提案されている。この特許文献1では、図8の(a)に示すように、チップシール格納溝(凹溝)251の長手方向の一部の区間において、凹溝251の断面形状を底面に傾斜面293を有する形状とする。また、チップシール244は、凹溝251よりも長手方向の長さが短く形成されており、チップシール244の断面形状を、凹溝251の傾斜面293に対向する部分の反シール面(下面)が傾斜面293にならうような傾斜面295と面取り状(具体的にはC面取り状)の逃げ部286cとを有する形状とする。このような断面形状を有する凹溝251及びチップシール244にすることによって、図8の(b)に示すように、チップシール244に隣接する圧縮室の圧力差によりオイルが図中矢印の方向に流れ、凹溝251とチップシール244との隙間から流入した際、面取り状の逃げ部286cにより導入圧力を受け易くする。更に、凹溝251及びチップシール244に設けた傾斜面(293及び295)のガイド作用によって、チップシール244を傾斜面に沿って移動させ浮上させることができ、その結果、チップシールの浮上が安定することが記載されている。
特開2006−77577号公報
チップシールを利用したスクロール圧縮機のシール構造において、圧縮効率の更なる向上を図る観点から、チップシールによるシール性を高めるため、チップシールを安定して浮上させることが重要である。しかしながら、従来の断面形状の凹溝及びチップシールでは、オイルの流動により、チップシールを安定して浮上させることができない可能性がある。
従来の凹溝及びチップシールの断面形状としては、例えば、矩形状や特許文献1に記載するような傾斜面を有する形状が挙げられるが、従来の断面形状では、スクロール圧縮機の停止時において、凹溝に対するチップシールの幅方向の位置が一義的に定まらないという問題がある。そのため、凹溝にチップシールが接して、凹溝とチップシールとの間に十分な隙間が形成されない可能性があり、スクロール圧縮機の始動時から定常運転時において、オイルが凹溝とチップシールとの隙間から流入せず、チップシールの浮上が不安定になる場合がある。例えば、図8に示すような特許文献1に記載の断面形状を例にとると、停止時において、図8の(a)に示すように、凹溝251に対してチップシール244が幅方向の中央に位置する場合もあれば、図9の(a)に示すように、凹溝251に対してチップシール244が幅方向の一方側に寄り、チップシール244が凹溝251に接する場合も考えられる。チップシール244が幅方向の中央に位置する場合(図8(a)を参照)であれば、凹溝251の一方の側面とこの側面に対向するチップシール244の側面とが接さず、凹溝251とチップシール244との間に隙間が形成される。しかし、チップシール244が幅方向の一方側に寄って位置する場合(図9(a)を参照)は、凹溝251の一方の側面とこの側面に対向するチップシール244の側面とが近接して、凹溝251とチップシール244との間に十分な隙間が形成されないことが起こり得る。そのため、定常運転時において、図9の(b)に示すように、オイル(図中矢印で示す)が凹溝251とチップシール244との隙間から流入せず、チップシール244を安定して浮上させることができない可能性がある。また、特許文献1に記載の断面形状は、オイルの流入により、チップシール244が傾斜面に沿って移動するとはいうものの、チップシール244の移動により、チップシール244の下面(傾斜面295)と凹溝251の底面(傾斜面293)との間に隙間が確実に形成されるというものではない。そのため、この隙間が形成されなければ、チップシール244の下面にオイルが入り込まないこともあり、チップシール244が確実に浮上するとは限らない。
そこで、本発明の目的の一つは、チップシールを安定して浮上させることができ、チップシールによるシール性を高めて圧縮効率を向上させることが可能なスクロール圧縮機のシール構造を提供することにある。
(1)本発明の一形態に係るスクロール圧縮機のシール構造は、渦巻状のラップを有する固定スクロールと、前記固定スクロールの前記ラップに噛み合う渦巻状のラップを有する旋回スクロールと、前記固定スクロール及び前記旋回スクロールのうち少なくとも一方の前記ラップの歯先面に形成された凹溝に収納されるチップシールと、を備える。前記凹溝は、底面、及び前記底面と前記歯先面とを繋ぐ一対の側面とを有すると共に、前記底面と前記側面とが交差する底角部、及び前記歯先面と前記側面とが交差する上端角部を有する断面形状である。前記チップシールは、前記凹溝内に収納される挿入部を有し、前記凹溝の前記底角部に対向する下角部及び前記上端角部に対向する上角部の少なくとも一方を有する断面形状である。そして、前記凹溝の前記底角部の曲率半径をR1、この底角部に対向する前記チップシールの前記下角部の曲率半径をr1、前記凹溝の前記上端角部の曲率半径をR2、この上端角部に対向する前記チップシールの前記上角部の曲率半径をr2とするとき、R1>r1及びr2>R2の少なくとも一方を満たす。
上記スクロール圧縮機のシール構造によれば、凹溝の断面形状が底角部及び上端角部を有すると共に、チップシールの断面形状が下角部及び上角部の少なくとも一方を有しており、凹溝の底角部の曲率半径(R1)とチップシールの下角部の曲率半径(r1)との関係及び上端角部の曲率半径(R2)と上角部の曲率半径(r2)との関係がR1>r1及びR2<r2の少なくとも一方を満たす。凹溝の底角部のR1がチップシールの下角部のr1よりも大きい(R1>r1)、又はチップシールの上角部のr2が凹溝の上端角部のR2よりも大きい(r2>R1)ことで、スクロール圧縮機の停止時において、凹溝に対してチップシールが幅方向の中央側に寄るようになり、凹溝に対するチップシールの幅方向の位置が一義的に定まり易い。したがって、スクロール圧縮機の停止時において、凹溝とチップシール(挿入部)との間に隙間が形成された状態となり易く、定常運転時において、オイルが凹溝とチップシールとの隙間から流入して、チップシールを安定して浮上させることができる。また、凹溝の底角部のR1がチップシールの下角部のr1よりも大きい場合、凹溝とチップシールとの隙間からオイルが流入して、チップシールが凹溝の底面に沿って幅方向に移動する際、チップシールの下角部が凹溝の底角部に接し、底角部に沿ってチップシールが上方にガイドされる。或いは、チップシールの上角部のr2が凹溝の上端角部のR2よりも大きい場合、オイルの流動によって、チップシールが幅方向に移動する際、チップシールの上角部が凹溝の上端角部に接し、上端角部に沿ってチップシールが上方にガイドされる。これらにより、チップシールが持ち上がり、チップシール(挿入部)の下面と凹溝の底面との間に隙間が形成され、チップシールの下面にオイルが入り込むことで、チップシールを押し上げることができる。したがって、スクロール圧縮機の定常運転時において、オイルの流動によりチップシールを効果的に浮上させることができ、チップシールの浮上性を向上させることができる。よって、上記スクロール圧縮機のシール構造は、チップシールを安定して浮上させることができ、チップシールによるシール性を高めて圧縮効率を向上させることが可能である。
実施形態1に係るスクロール圧縮機の旋回スクロールの一例を示す概略斜視図である。 実施形態1に係るスクロール圧縮機の固定スクロールと旋回スクロールとを組み合わせた状態を示す模式図である。 実施形態1に係るスクロール圧縮機の旋回スクロールの一例を示す概略平面図である。 実施形態1に係るスクロール圧縮機の旋回スクロールの一例を示す概略縦断面図である。 実施形態1に係るスクロール圧縮機の固定スクロールと旋回スクロールとを組み合わせた状態でのチップシール部分を拡大して示す概略縦断面図である。 実施形態1に係るスクロール圧縮機のシール構造における凹溝及びチップシールの断面形状の一例を説明する図である。 実施形態1に係るスクロール圧縮機のシール構造における凹溝及びチップシールの動作を説明する図である。 従来の凹溝及びチップシールの断面形状を説明する図である。 従来の凹溝及びチップシールの断面形状を説明する別の図である。
以下、本発明の実施形態に係るスクロール圧縮機のシール構造の具体例を、図面を参照しつつ説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。
[実施形態1]
図1〜図7を参照して、実施形態1に係るスクロール圧縮機のシール構造を説明する。実施形態1に係るスクロール圧縮機のシール構造は、チップシールを収納する凹溝及びチップシールの断面形状に特徴を有する。以下では、まず、スクロール圧縮機の構成について説明し、次いで、特徴点であるシール構造について説明する。
〈スクロール圧縮機の構成〉
スクロール圧縮機は、端板と渦巻状のラップとを有する一対の固定スクロールと旋回スクロールとを備える。固定スクロールと旋回スクロールとは、端板と渦巻状のラップとを有する点で基本的な構成が同じであり、ここでは、代表して、図1に旋回スクロールを示し、固定スクロールについては旋回スクロールと同様の構成であるので説明を省略する。
図1に示す旋回スクロール1は、端板10と端板10の表面から突出して設けられる渦巻状のラップ20とを有する。図2に示すように、スクロール圧縮機Sは、旋回スクロール1と同様の構成の固定スクロール100とが、互いのラップ20,20が噛み合うように軸方向に組み合わされて構成される(図2では、分かり易くするため、各ラップにハッチングを付している)。固定スクロール100と旋回スクロール1とが互いに噛み合うことで圧縮室12が形成される。そして、スクロール圧縮機Sは、固定スクロール100に対して旋回スクロール1が旋回することで、圧縮室12が外周側から中央部に向かって移動しながら容積が減少することにより、圧縮を行う。
〈シール構造〉
図1、図3及び図4に示すように、旋回スクロール1のラップ20の歯先面21には、凹溝30が形成されており、凹溝30に渦巻状のチップシール50が収納されている。チップシール50は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの樹脂やフッ素ゴムなどのゴム、又はそれらの複合材料によって形成されている。図5に示すように、固定スクロール100においても、同様に、ラップ20の歯先面21に形成された凹溝30にチップシール50が収納されている。ここでは、チップシール50において、凹溝30の底面に対向する側を下面(下側)と呼び、その反対側を上面(上側)と呼ぶこととし、チップシール50の上面は他方のスクロールの端板10の表面(歯底面)に対向することになる。この例では、チップシール50の長さは凹溝30の長さと略同じである。以下、シール構造を構成する凹溝30及びチップシール50の断面形状について、図6を参照しながら詳しく説明する(図6では、分かり易くするため、ハッチングを省略している)。
(凹溝)
凹溝30の断面形状は四角形状である。この例では、凹溝30は、図6に示すように、断面形状が略矩形状であり、底面31と、底面31と歯先面21とを繋ぐ一対の側面32,32とを有すると共に、底面31と両側面32,32とが交差する底角部35,35、及び歯先面21と両側面32,32とが交差する上端角部36,36を有する。各底角部35,35、各上端角部36,36にはそれぞれ、R面が形成されている。凹溝30は、長手方向に深さ及び幅が一定である。ここでいう、凹溝の断面形状とは、凹溝の長手方向と直交する断面における形状のことである。また、各底角部35,35の曲率半径は略等しく、各上端角部36,36の曲率半径は略等しい。凹溝30は、幅方向に亘って深さが同じであり、底面31は平坦面に形成されている。両側面32,32は、互いに平行であり、歯先面21に対して略垂直に形成されている。凹溝30は、例えば切削加工により形成することが可能である。
(チップシール)
図6に示すチップシール50は、凹溝30内に収納される挿入部50Aと、凹溝30の開口から突出して幅方向の両側に張り出した幅広部50Bとを有し、断面形状が略T字状である。T字状のチップシール50は、例えば射出成形により形成することが可能であり、挿入部50Aと幅広部50Bとが一体に形成されている。
チップシール50における挿入部50Aの断面形状は四角形状である。この例では、挿入部50Aは、断面形状が略矩形状であり、凹溝30の底面31に対向する下面51と、凹溝30の両側面32,32に対向する一対の側面52,52とを有すると共に、下面51と両側面52,52とが交差する下角部55,55を有する。各下角部55,55はそれぞれ、凹溝30の各底角部35,35に対向する。また、挿入部50Aの幅は凹溝30の幅よりも小さい。挿入部50Aの下面51及び両側面52,52は、凹溝30の底面31及び両側面32,32に沿うように、底面31及び両側面32,32に対して略平行に形成されている。各下角部55,55には、R面が形成されている。
幅広部50Bは挿入部50Aの上端側に設けられ、幅広部50Bの幅は凹溝30の幅よりも大きい。幅広部50Bの断面形状は略矩形状であり、チップシール50において、幅広部50Bの歯先面21と対向する面と挿入部50Aの両側面52,52とが交差する上角部56,56を有する。各上角部56,56はそれぞれ、凹溝30の各上端角部36,36に対向する。この例では、各上角部56,56にR面が形成されている。各下角部55,55の曲率半径は略等しく、各上角部56,56の曲率半径は略等しい。
次に、図6に示す凹溝30及びチップシール50の断面形状の関係を説明する。
(1)凹溝30の底角部35の曲率半径をR1とし、底角部35に対応するチップシール50(挿入部50A)の下角部55の曲率半径をr1とするとき、R1>r1を満たす。
(2)凹溝30の上端角部36の曲率半径をR2とし、上端角部36に対応するチップシール50の上角部56の曲率半径をr2とするとき、r2>R2を満たす。
(3)凹溝30の幅(対向する側面32,32間の距離)をWとし、挿入部50Aの幅をw、幅広部50Bの幅をwとするとき、w<W、w>Wを満たす。この例では、挿入部50Aの下面51が凹溝30の底面31に接しており、挿入部50Aの幅wは、凹溝30の幅Wから両側の各底角部35の曲率半径R1を差し引いた値と略等しい(即ち、w≒W−2R1)。挿入部50Aの幅wは、凹溝30の幅Wよりも小さければよく、例えば、幅Wの半分以上(w≧W/2)とすることが挙げられる。一方、幅広部50Bの幅wは、凹溝30の幅Wよりも大きく、ラップ20(歯先面21)の幅よりも小さければよく、幅広部50Bは、例えば歯先面21の少なくとも一部を覆うように形成されていればよい。
(4)凹溝30の深さ(歯先面21から底面31までの距離)をDとし、挿入部50Aの高さをhとするとき、h≧Dを満たす。この例では、挿入部50Aの下面51が凹溝30の底面31に接しており、挿入部50Aの高さhは、凹溝30の深さDと等しい又は略等しい(即ち、h=D又はh≒D)。また、チップシール50の全体の高さ(挿入部50Aと幅広部50Bとを合わせた高さ)は、チップシール50(幅広部50B)の上面が他方のスクロールの端板10に接しない高さとする。つまり、この例でいえば、幅広部50Bの高さをhとするとき、挿入部50Aの高さhと幅広部50Bの高さhとを合計したチップシール50の高さhは、凹溝30の深さDと、歯先面21から他方のスクロールの端板10の表面(歯底面)までの距離Lとを足し合わせた値より小さい(即ち、h<D+L)。
図7を参照して、図6に示す凹溝30及びチップシール50を備えるシール構造の動作を説明する。スクロール圧縮機が停止時は、図7(a)に示すように、チップシール50の挿入部50Aが凹溝30内に収納され、チップシール50(挿入部50A)の下面が凹溝30の底面31に接している。このとき、凹溝30の底面31の両側に底角部35,35があり、底角部35のR1がチップシール50の下角部55のr1よりも大きいことから、下角部55が底角部35に沿って、チップシール50が凹溝30の幅方向の中央側に自然と寄るようになる。そのため、スクロール圧縮機の停止時において、凹溝30の側面32,32と挿入部50Aの側面52,52のとの間に隙間が形成された状態で、凹溝30に対するチップシール50の幅方向の位置が一義的に定まり易い。次に、スクロール圧縮機が始動して、隣接する圧縮室の圧力差によりオイルの流れ(図中矢印で示す)が生じると、オイルの流動によりチップシール50(幅広部50)が押されることになる。そして、スクロール圧縮機の始動時から定常運転時に至る過程で、図7(b)に示すように、チップシール50が押されることで凹溝30底面に沿って幅方向に移動し、下角部55が底角部35に接して、下角部55が底角部35に沿ってガイドされることで、チップシール50が上方に持ち上げられる。また、チップシール50が断面T字状であり、上角部56のr2が凹溝30の上端角部36のR2よりも大きいことから、上角部56が上端角部36に接して、上角部56が上端角部36に沿ってガイドされることによっても、チップシール50が上方に持ち上げられる。チップシール50が持ち上げられることで、幅広部50Bと歯先面21との間の隙間が大きくなり、この隙間からオイルが流入し易くなると共に、挿入部50Aの下面51と凹溝30の底面31との間にも隙間が形成される。したがって、スクロール圧縮機の定常運転時において、図7(c)に示すように、凹溝30の側面32とチップシール50の側面52との隙間に流入したオイルが、チップシール50の下面51に入り込み、チップシール50を押し上げることができる。その結果、チップシール50が浮上して、チップシール50の上面が他方のスクロールの端板10の表面に接触して密着し、チップシール50によりラップ20と端板10との間がシールされる。
〈効果〉
上述した実施形態1のスクロール圧縮機のシール構造は、次の効果を奏する。
凹溝30の底角部35のR1がチップシール50の下角部55のr1よりも大きいことで、スクロール圧縮機の停止時において、凹溝30に対してチップシール50が幅方向の中央側に寄るようになり、凹溝30に対するチップシール50の幅方向の位置が一義的に定まり易い。そのため、停止時において、凹溝30の側面32とチップシール50の側面52との間に隙間が形成された状態となり易く、定常運転時において、オイルが凹溝30とチップシール50との隙間から流入して、チップシール50を安定して浮上させることができる。また、凹溝30の底角部35のR1がチップシール50の下角部55のr1よりも大きいことから、オイルによりチップシール50が凹溝30の底面31に沿って幅方向に移動する際、下角部55が底角部35に接し、底角部35に沿って上方にガイドされることで、チップシール50が持ち上がる。これにより、チップシール50の下面と凹溝30の底面31との間に隙間が形成され、チップシール50の下面にオイルが入り込むことで、チップシール50を押し上げることができる。したがって、スクロール圧縮機の定常運転時において、オイルの流動によりチップシール50を効果的に浮上させることができ、チップシール50の浮上性を向上させることができる。
チップシール50の断面形状がT字状であることで、次の効果が得られる。凹溝30から突出する幅広部50Bを有することで、幅広部50Bでオイルの流動圧を受け易く、オイルによりチップシール50を移動させ易い。そのため、オイルの流動により凹溝30とチップシール50との間に隙間が形成され、この隙間にオイルが流入して、チップシール50を安定して浮上させることができる。また、チップシール50の上角部56のr2が凹溝30の上端角部36のR2よりも大きいことで、チップシール50が幅方向に移動する際、上角部56が上端角部36に接し、上端角部36に沿って上方にガイドされることで、チップシール50が持ち上がる。したがって、上述した下角部55と底角部35との曲率半径の関係だけでなく、上角部56と上端角部36との曲率半径の関係によっても、チップシール50を上方にガイドでき、チップシール50を効果的に浮上させることができる。更には、定常運転時において、チップシール50の浮上により、幅広の幅広部50Bが他方のスクロールの端板10に接触し、接触面積が大きいので、チップシール50によるシール性の向上が期待できる。
従来では、凹溝をラップの中央側に向かって延長し、凹溝の長さをチップシールの長さよりも長くすることにより、チップシールの端部側からもオイルを流入し易くして、チップシールを安定して浮上させるようにしていた。上述したように、実施形態1のシール構造では、凹溝30の底角部35とチップシール50の下角部55との曲率半径の関係、又は上端角部36と上角部56との曲率半径の関係により、隣接する圧縮室の圧力差によるオイルの流れのみによって、チップシール50を安定して浮上させることができる。そのため、凹溝を延長しなくてもよく、チップシールの長さと凹溝の長さを同じにすることができる。凹溝の長さを短くできるため、溝の加工コストを低減できたり、また、チップシールを凹溝に収納する際、チップシールの端面を凹溝の端面に当てて収納できるので、位置合わせが不要となり組み付け作業が容易になる。
加えて、凹溝30の角部(底角部35、上端角部36)及びチップシール50の角部(下角部55、上角部56)にR面が設けられていることで、角部に割れや欠けなどが生じ難い。
スクロール圧縮機の始動時や始動初期において、チップシール50は浮上せず、他方のスクロールの端板10に密着していないため、チップシール50による摩擦抵抗が小さくなる。したがって、始動時や始動初期の負荷を低減したり、チップシール50の摩耗を抑制できる。
その他、スクロール圧縮機では、旋回スクロールが旋回運動時に面振れが生じることがあり、面振れにより、図5に示す旋回スクロール1が固定スクロール100に対して傾くことがある。そのため、一方のスクロールのラップ20(歯先面21)が他方のスクロールの端板10に接触して損傷する場合がある。断面形状がT字状のチップシール50であれば、幅方向に張り出した幅広部50Bによって、ラップ20(歯先面21)が他方のスクロールの端板10に接触して損傷することを抑制できる。
[変形例1]
実施形態1では、図6に示したように、断面T字状のチップシール50を例に挙げて説明したが、チップシールは、幅広部50Bを有しない挿入部50Aのみを有する断面形状、即ち、凹溝30内に収納される断面矩形状のチップシールであってもよい。チップシールの断面形状が矩形状であっても、凹溝の底角部のR1とチップシールの下角部のr1との関係がR1>r1を満たすことで、凹溝に対してチップシールが幅方向の中央側に寄るようになる。つまり、凹溝とチップシール(挿入部)との間に隙間が形成された状態で、凹溝に対するチップシールの幅方向の位置が一義的に定まり易い。したがって、停止時において、凹溝とチップシールとの隙間が確保されることから、定常運転時において、オイルが凹溝とチップシールとの隙間から流入して、チップシールを安定して浮上させることができる。更に、R1>r1を満たすことで、オイルの流動によるチップシールの移動により、チップシールの下角部が凹溝の底角部に沿って上方にガイドされ、チップシールが持ち上げられることから、チップシールの下面と凹溝の底面との間に隙間が形成され易い。そのため、チップシールの下面にオイルが入り込むことで、チップシールを確実に浮上させることができる。
[変形例2]
実施形態1では、断面T字状のチップシール50において、凹溝30の底角部35のR1とチップシール50の下角部のr1との関係及び上端角部36のR2と上角部のr2との関係が、R1>r1及びr2>R2の両方を満たす場合を説明したが、R1>r1及びr2>R2の少なくとも一方を満たせばよい。R1>r1又はr2>R2のいずれか一方を満たすことで、オイルの流動によるチップシールの移動により、チップシールの下角部が凹溝の底角部に沿って上方にガイドされる、或いは、チップシールの上角部が凹溝の上端角部に沿って上方にガイドされるため、チップシールを効果的に浮上させることができる。つまり、R1>r1及びr2>R2のうち少なくとも一方を満たせば、チップシールの浮上性を向上させることができる。したがって、凹溝の底角部のR1とチップシールの下角部のr1の関係がR1>r1を満たす場合は、凹溝の上端角部のR2とチップシールの上角部のr2とは同じであっても異なってもよく、上端角部や上角部にR面が形成されていなくてもよい。他方、凹溝の上端角部のR2とチップシールの上角部のr2の関係がr2>R2を満たす場合は、凹溝の底角部のR1とチップシールの下角部のr1とは、同じであっても異なってもよく、底角部や下角部にR面が形成されていなくてもよい。
[変形例3]
実施形態1では、図6に示したように、チップシール50の下面51が凹溝30の底面31と接するように、チップシール50の幅(挿入部50Aの幅w)を設定した場合を説明したが、チップシールの幅は、下角部55が凹溝30の底角部35に接するように設定してもよい。この場合、下角部が底角部のR面の途中に接して位置することになり、チップシールの下面が凹溝の底面から常に浮いた状態になる。これにより、凹溝とチップシールとの隙間から流入したオイルが、チップシールの下面に入り込み易くなる。また、この場合、上角部56が凹溝30の上端角部36に接し、上端角部が上角部のR面の途中に接して位置することになり、幅広部と歯先面との間に常に隙間が形成された状態になる。そのため、オイルが流入する隙間を確保でき、凹溝とチップシールとの隙間にオイルが流入し易くなる。
[変形例4]
実施形態1では、図6に示したように、凹溝30の深さが幅方向に一定であり、底面31が平坦面である場合を説明したが、凹溝30の底面31は傾斜面であってもよい。この場合、チップシール50(挿入部50A)の下面も凹溝30の底面31に沿うように傾斜面とすることが挙げられる。
本発明は、これらの例示に限定されず、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明のスクロール圧縮機のシール構造は、例えば自動車などの車両用空調装置に用いられるスクロール圧縮機に好適に利用できる。
S スクロール圧縮機
1 旋回スクロール 100 固定スクロール
10 端板 20 ラップ
12 圧縮室 21 歯先面
30 凹溝
31 底面 32 側面
35 底角部 36 上端角部
50 チップシール
50A 挿入部 50B 幅広部
51 下面 52 側面
55 下角部 56 上角部
251 チップシール格納溝(凹溝)
293 溝の底面の傾斜面
244 チップシール
295 チップシールの反シール面(下面)の傾斜面
286c チップシールの面取り状の逃げ部
R1 底角部の曲率半径
r1 下角部の曲率半径
R2 上端角部の曲率半径
r2 上角部の曲率半径
W 凹溝の幅
挿入部の幅 w 幅広部の幅
D 凹溝の深さ
h チップシールの高さ
挿入部の高さ h 幅広部の高さ
L 歯先面と対向する端板表面までの距離

Claims (1)

  1. 渦巻状のラップを有する固定スクロールと、
    前記固定スクロールの前記ラップに噛み合う渦巻状のラップを有する旋回スクロールと、
    前記固定スクロール及び前記旋回スクロールのうち少なくとも一方の前記ラップの歯先面に形成された凹溝に収納されるチップシールと、を備えるスクロール圧縮機のシール構造であって、
    前記凹溝は、底面、及び前記底面と前記歯先面とを繋ぐ一対の側面とを有すると共に、前記底面と前記側面とが交差する底角部、及び前記歯先面と前記側面とが交差する上端角部を有する断面形状であり、
    前記チップシールは、前記凹溝内に収納される挿入部を有し、前記凹溝の前記底角部に対向する下角部及び前記上端角部に対向する上角部の少なくとも一方を有する断面形状であり、
    前記凹溝の前記底角部の曲率半径をR1、この底角部に対向する前記チップシールの前記下角部の曲率半径をr1、前記凹溝の前記上端角部の曲率半径をR2、この上端角部に対向する前記チップシールの前記上角部の曲率半径をr2とするとき、R1>r1及びr2>R2の少なくとも一方を満たすスクロール圧縮機のシール構造。
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