JP6455306B2 - クロスヘッド型エンジン - Google Patents

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Description

本発明は、ピストンロッドにクロスヘッドが固定されたクロスヘッド型エンジンに関する。
例えば、特許文献1に記載されているように、舶用エンジンに多く採用されているクロスヘッド型エンジンでは、ピストンが固定されるピストンロッドの端部にクロスヘッドピンが固定される。また、クロスヘッドピンは、クロスヘッド本体と連接棒(コネクティングロッド)の双方に挿通されており、ピストンロッドと連接棒がクロスヘッドを介して連結され、クロスヘッドの往復運動が連接棒を介してクランクシャフトの回転運動に変換される機構となっている。
連接棒の内部には、クロスヘッドピンを軸支するクロスヘッド軸受が設けられており、クロスヘッド軸受に供給された潤滑油の油膜圧力によって、クロスヘッドピンが軸支されている。
特開2013−7320号公報
ところで、エンジン回転数が低回転のときは、高回転のときに比べて、燃焼室での燃焼直後の油膜厚さが薄くなる。そのため、低回転のときの油膜厚さでもクロスヘッドピンを軸支できるようにクロスヘッドピンの外径を大きくして面圧を下げたり、油圧ポンプを高出力にして潤滑油の供給圧力を増加させたりする必要があった。
本発明は、このような課題に鑑み、低回転時の油膜厚さを大きくすることで、クロスヘッドピンの外径の大型化を抑え、潤滑油の供給圧力の増加を抑制することが可能なクロスヘッド型エンジンを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明のクロスヘッド型エンジンは、ピストンが固定されるピストンロッドと、クランクシャフトに連結される連接棒と、ピストンロッド、および、連接棒を連結するクロスヘッドピンと、クロスヘッドピンを軸支するクロスヘッド軸受と、クロスヘッド軸受の軸受面に潤滑油を導く潤滑油供給路と、潤滑油供給路を介して軸受面に潤滑油を送出する潤滑油送出部と、を備え、ピストンが上死点位置にあるときのクランク角を0度とした場合に、クランク角が270度以上、かつ、360度未満の範囲内に特定クランク角が設定されており、潤滑油送出部は、クランクシャフトの単位時間当たりの回転数が予め設定された回転数以下である場合において、クランク角が特定クランク角になると、特定クランク角になる前に比べて、軸受面に送出する潤滑油を増加させることを特徴とする。
潤滑油供給路は、軸受面の第1の部位に向けて潤滑油を導く第1供給路と、軸受面のうち、第1の部位と異なる第2の部位に向けて潤滑油を導く第2供給路と、を含み、潤滑油送出部は、クランク角に拘わらず第1供給路から軸受面に潤滑油を送出させ、クランク角が特定クランク角になると、第1供給路に加えて、第2供給路からも軸受面に潤滑油を送出させてもよい。
第2供給路はクロスヘッドピンに設けられていてもよい。
第2の部位は、軸受面のうち、クランク角が0°のときにクロスヘッドピンの中心を通る垂線と交わる部位よりも、クランク角が0°から90°になるときのクロスヘッドピンに対する軸受面の回転方向前方側に位置していてもよい。
本発明のクロスヘッド型エンジンによれば、低回転時の油膜厚さを大きくすることで、クロスヘッドピンの外径の大型化を抑え、潤滑油の供給圧力の増加を抑制することが可能となる。
ユニフロー掃気式2サイクルエンジンの全体構成を示す説明図である。 クロスヘッド軸受の潤滑構造を説明するための説明図である。 クロスヘッドピンの軸受構造の概略断面図である。 クロスヘッド軸受の軸受面における潤滑油について説明するための説明図である。 クロスヘッドピンの軸心軌跡を示す説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
以下の実施形態では、上昇行程と下降行程でサイクルが完結する2サイクル(ストローク)であって、シリンダ内部をガスが一方向に流れるユニフロー掃気式であるエンジンについて説明する。しかし、エンジンの種類は、2サイクル型、ユニフロー掃気式に限られず、クロスヘッド型のエンジンであればよい。
図1は、ユニフロー掃気式2サイクルエンジン100(クロスヘッド型エンジン)の全体構成を示す説明図である。本実施形態のユニフロー掃気式2サイクルエンジン100は、例えば、船舶等に用いられる。具体的に、ユニフロー掃気式2サイクルエンジン100は、シリンダ110と、ピストン112と、クロスヘッド114と、連接棒116と、クランクシャフト118と、排気ポート120と、排気弁122と、掃気ポート124と、掃気溜126と、冷却器128と、掃気室130と、パイロット噴射弁132と、燃焼室134とを含んで構成される。
ユニフロー掃気式2サイクルエンジン100では、ピストン112の上昇行程および下降行程の2行程の間に、排気、吸気、圧縮、燃焼、膨張が行われて、ピストン112がシリンダ110内を往復移動する。ピストン112には、ピストンロッド112aの上端が固定されている。また、ピストンロッド112aの下端(一端)には、クロスヘッド114におけるクロスヘッドピン114aが連結されており、クロスヘッド114は、ピストン112とともに往復移動する。クロスヘッド114はクロスヘッドシュー114bによって、ピストン112のストローク方向に垂直な方向(図1中、左右方向)の移動が規制されている。
クロスヘッドピン114aは、連接棒116の一端に設けられたクロスヘッド軸受116aに挿通されて、クロスヘッド軸受116aに軸支されるとともに、連接棒116の一端側に挿通され、連接棒116を支持している。このように、ピストン112が固定されるピストンロッド112a、および、クランクシャフト118に連結される連接棒116が、クロスヘッド114を介して連結されている。
また、連接棒116の他端側は、クランクシャフト118に連結され、連接棒116に対してクランクシャフト118が回転する構造となっている。その結果、ピストン112の往復移動に伴いクロスヘッド114が往復移動すると、その往復移動に連動して、クランクシャフト118が回転することとなる。
排気ポート120は、ピストン112の上死点より上方のシリンダヘッド110aに設けられた開口部であり、シリンダ110内で生じた燃焼後の排気ガスを排気するために開閉される。排気弁122は、不図示の排気弁駆動装置によって所定のタイミングで上下に摺動され、排気ポート120を開閉する。このようにして排気ポート120を介して排気された排気ガスは、排気管120aを介して過給機Cのタービン側に供給された後、外部に排気される。
掃気ポート124は、シリンダ110の下端側の内周面(シリンダライナ110bの内周面)から外周面まで貫通する孔であり、シリンダ110の全周囲に亘って、複数設けられている。そして、掃気ポート124は、ピストン112の摺動動作に応じてシリンダ110内に活性ガスを吸入する。かかる活性ガスは、酸素、オゾン等の酸化剤、または、その混合気(例えば空気)を含む。
掃気溜126には、過給機Cのコンプレッサによって加圧された活性ガス(例えば空気)が封入されており、冷却器128によって活性ガスが冷却されている。冷却された活性ガスはシリンダジャケット110c内に形成された掃気室130に圧入される。そして、掃気室130とシリンダ110内の差圧をもって掃気ポート124からシリンダ110内に活性ガスが吸入される。
また、図1に示すように、シリンダヘッド110aには、パイロット噴射弁132が設けられる。そして、エンジンサイクルにおける所望の時点で適量の燃料油がパイロット噴射弁132から噴射される。かかる燃料油は、シリンダヘッド110aと、シリンダライナ110bと、ピストン112とに囲繞されてシリンダ110の内部に形成された燃焼室134の熱で気化する。そして、燃料油が気化して自然着火し僅かな時間で燃焼して、燃焼室134の温度を極めて高くする。また、掃気ポート124近傍、または、シリンダ110のうち、掃気ポート124から燃焼室134までの部位に不図示の燃料噴射弁が設けられており、燃料噴射弁から噴射されてシリンダ110内に流入した燃料ガスは、燃料油の燃焼熱によって昇温されることで所望のタイミングで確実に燃焼させることができる。ピストン112は、主に燃料ガスの燃焼による膨張圧によって往復移動する。
ここで、燃料ガスは、例えば、LNG(液化天然ガス)をガス化して生成されるものとする。また、燃料ガスは、LNGに限らず、例えば、LPG(液化石油ガス)、軽油、重油等をガス化したものを適用することもできる。
図2は、クロスヘッド軸受116aの潤滑構造を説明するための説明図であり、クロスヘッドピン114a、クロスヘッド軸受116a、連接棒116の分解斜視図を示す。連接棒116は、クロスヘッドピン114aを収容する連結孔136を形成する部位が、クロスヘッドピン114aの大凡上半分側と大凡下半分側とに分離可能となっている。図2では、この連接棒116の上半分側の部位136a(図3参照)は図示を省略する。
図2に示すように、連結孔136の下半分側の部位136bには、連結孔136の下半分を形成する円弧状の窪みの内周面に、周方向に延在する2本の油溝136c、136dが形成されている。油溝136c、136dには、それぞれ、連接棒116の側方に開口する油路138a、138bが連通しており、連接棒116の動きに追従する不図示のスウィングレバーを介して、油路138a、138bに潤滑油が供給される。
油路138a、138bに供給された潤滑油は、それぞれ、油溝136c、136dに流出する。油溝136cは、クランクピン軸受まで延在するクランク油路140と連通しており、油溝136cからクランク油路140を介してクランクピン軸受まで潤滑油が供給される。
また、クロスヘッド軸受116aは、大凡円弧状に屈曲した板部材であって、連接棒116の下半分側の部位136bのうち、連結孔136の下半分を形成する円弧状の窪みに組み付けられる。このとき、油溝136dは、クロスヘッド軸受116aに形成された貫通孔142と対向する。貫通孔142は、クロスヘッド軸受116aの内周面の周方向の一端側に3つ設けられるとともに、他端側にも3つ設けられている(不図示)。
クロスヘッドピン114aがクロスヘッド軸受116aに組み付けられたとき、貫通孔142に対向する位置には、ピストン冷却油路144が開口している。ピストン冷却油路144は、一端側の貫通孔142と他端側の貫通孔142それぞれに対応して2つ設けられている。また、クロスヘッドピン114aには、ピストンロッド112aの一端が固定される固定面146が形成されており、ピストン冷却油路144は、貫通孔142を介して油溝136dから供給された潤滑油を固定面146まで導く。
固定面146に導かれた潤滑油は、ピストンロッド112aの内部に形成された油路を介して、ピストン112内部まで流れ、ピストン112を冷却した後、再び、ピストンロッド112aの内部を通って固定面146まで戻り、固定面146に開口する還流路148に流入する。クロスヘッドピン114aの中心には、クロスヘッドピン114aの中心軸方向にクロスヘッドピン114aの端面152まで延在する中心油路150が設けられており、還流路148と中心油路150が連通している。そのため、還流路148に流入した潤滑油は、中心油路150を通って端面152から排出される。
また、クロスヘッドピン114aの外周面154のうち、中心軸方向の両端側にはそれぞれ、周方向に延在する環状の油溝154aが形成されている。クロスヘッドピン114aの内部には、ピストン冷却油路144と油溝154aを連通させる連通路156が設けられており、ピストン冷却油路144から油溝154aに潤滑油が供給される。油溝154aに供給された潤滑油は、クロスヘッドシュー114b(図1参照)を潤滑する。
また、クロスヘッド軸受116aは、連接棒116に組み付けられたとき、連接棒116の油溝136cに対向する位置に、2つの対向孔158(潤滑油供給路、第1供給路)が形成されている。対向孔158は、クロスヘッド軸受116aの内周面から外周面まで貫通し、油溝136cに供給された潤滑油を、クロスヘッド軸受116aの内周面まで導く。
対向孔158のうち、内周面側の開口部位には、外周面側に窪んだ油ポケット160(第1の部位)が形成されており、潤滑油が油ポケット160に一時的に蓄えられるとともに、クロスヘッドピン114aとクロスヘッド軸受116aの相対的な摺動に応じて、油ポケット160の潤滑油がクロスヘッド軸受116aの軸受面116b側に流出する。こうして、油路138a、油溝136c、対向孔158、および、油ポケット160を介して、クロスヘッド軸受116aの軸受面116bに潤滑油が供給されることとなる。
このように、クロスヘッドピン114aとクロスヘッド軸受116aの軸受面116bの潤滑が、ユニフロー掃気式2サイクルエンジン100の稼働中、常時遂行される。しかし、低回転時において、クロスヘッド軸受116aの軸受面116bの油膜厚さが薄くなる場合があることから、本実施形態では、上述した対向孔158を介した潤滑油の供給経路の他に、もう一つ、潤滑油の供給経路が設けられている。
図3は、クロスヘッドピン114aの軸受構造の概略断面図である。図3に示すように、連接棒116には、上述した油路138a、138bと反対側の側方に開口する油路170が形成されている。油路170は、スウィングレバー172を介して油圧ポンプ174a(潤滑油送出部)と連通している。ここでは、上述した油路138a、138bに潤滑油を供給する油圧ポンプ174b(潤滑油送出部)と、油路170に潤滑油を供給する油圧ポンプ174aを別に設けているが、1つの油圧ポンプを共用してバルブの開閉制御を行ってもよい。
また、油路170は、連結孔136の内周面に形成された油ポケット176に開口している。油ポケット176は、連結孔136の内周面のうち、油溝136c、136dからずれた位置に形成されており、油圧ポンプ174aから油路170を介して油ポケット176まで供給された潤滑油は、油溝136c、136dには流出しない。一方で、クロスヘッド軸受116aには、油ポケット176に対向する位置に、クロスヘッド軸受116aの内周面から外周面まで貫通するポケット孔116cが設けられており、潤滑油は、ポケット孔116cを介してクロスヘッドピン114aの外周面154まで到達する。
クロスヘッドピン114aの内部には、クロスヘッドピン114aおよびクロスヘッド軸受116aを連接棒116の連結孔136に組み付けたとき、ポケット孔116cおよび油ポケット176に対向する位置に一端が開口する内部油路178(潤滑油供給路、第2供給路)が形成されている。内部油路178は、クロスヘッドピン114aの内部で屈曲しており、軸受面116bのうち、油ポケット176よりも下方の部位116d(第2の部位)に他端178aが開口する。
油圧ポンプ174aから吐出され内部油路178内に導かれた潤滑油は、内部油路178の他端178aから排出されて、クロスヘッドピン114aとクロスヘッド軸受116aの間に供給されることとなる。すなわち、油圧ポンプ174aは、クロスヘッド軸受116aの軸受面116bに潤滑油を送出する。
このとき、内部油路178の他端178aは、ピストンロッド112aの中心軸方向(クロスヘッドピン114aの中心を通る垂線H)に対して、クランクシャフト118の回転方向と逆方向(ここでは、反時計回り)に、角度θx分ずれた位置に設けられている。また、内部油路178の他端178aから内部の屈曲部分までは、クロスヘッドピン114aの中心から他端178aまで結ぶ結線方向に延在している。
図4は、クロスヘッド軸受116aの軸受面116bにおける潤滑油について説明するための説明図である。図4(a)には、高回転時におけるクランク角と流入油量および流出油量の関係を示し、図4(b)には、低回転時におけるクランク角と流入油量および流出油量の関係を示し、図4(c)には、クランク角と最小油膜厚さの関係を示す。
ここで、最小油膜厚さは、任意のクランク角において、クロスヘッド軸受116aの周方向の全位置において最も油膜が薄くなった部位の油膜厚さとする。また、ピストン112が上死点位置にあるときのクランク角を0度、下死点位置にあるときのクランク角を180度とする。
図4(a)、図4(b)において、破線の凡例は、クロスヘッド軸受116aの軸受面116bからの潤滑油の流出油量を示し、実線の凡例は、クロスヘッド軸受116aの軸受面116bへの潤滑油の流入油量を示す。図4(c)においては、実線の凡例は、高回転数の最小油膜厚さを示し、破線の凡例は、低回転数の最小油膜厚さを示す。
図4(a)に示すように、高回転時、クランク角が270度から360度の期間において、流入油量と流出油量が共に大きくなっている。高回転時においては、ピストン112のストローク方向におけるピストン112やクロスヘッド114の慣性力が大きくなり、シリンダ110の内部の圧力によってピストン112が押圧される力と、慣性力との差が小さくなる。その結果、クロスヘッドピン114aがピストン112側に引き上げられ軸受クリアランスが大きくなるため、流入油量と流出油量が共に大きくなる。このとき、クロスヘッド軸受116aに保持される潤滑油量は大きくなり、図4(c)に示すように、最小油膜厚さHcも極大となる。
一方、低回転時は、ピストン112やクロスヘッド114の慣性力が小さくなり、図4(b)に示すように、クランク角270度から360度の間の流入油量および流出油量は、高回転時よりも少なくなる。詳細には、低回転時は高回転時よりも、特に、流入油量の減少幅が流出油量よりも大きい。
図4(c)に示すように、クランクシャフト118が1回転する間に、最小油膜厚さが最も薄くなるクランク角θAは、上死点の直後(クランク角20度〜25度)となっている。低回転時の最小油膜厚さHAは、高回転時の最小油膜厚さHBよりも小さい。これは、上死点の直前のクランク角270度から360度の期間において、低回転時の流入油量の減少幅が大きいことに起因する。
そこで、本実施形態では、低回転時、油圧ポンプ174bは、クランク角に拘わらず対向孔158から軸受面116bに潤滑油を送出させ、クランク角が特定クランク角になると、油圧ポンプ174b(対向孔158)に加えて、油圧ポンプ174aも、内部油路178から軸受面116bに潤滑油を送出させて、潤滑油を強制注油する。
ここでは、特定クランク角は、クランク角270度から360度の間に設定される角度範囲(クランク角θa〜θb)であって、例えば、クランク角θa=300度、クランク角θb=320度とする。
このように、油圧ポンプ174aは、エンジン回転数が低回転のとき、すなわち、クランクシャフト118の単位時間当たりの回転数が予め設定された回転数以下である場合において、クランク角が特定クランク角になると、特定クランク角になる前に比べて、軸受面116bに送出する潤滑油を増加させる。
その結果、図4(b)にハッチングで示すように、クランク角θa〜θbの間の流入油量の最大値が油量Qadに増加する。そして、上死点直後に表れる低回転時の最小油膜厚さHAがより厚くなり、最小油膜厚さHDに改善される。そのため、低回転時の油膜厚さを大きくでき、面圧を下げる必要がなくなりクロスヘッドピン114aの外径の大型化が抑えられるうえ、潤滑油の供給圧力を増加させなくとも十分な潤滑油の供給が可能となる。
図5は、クロスヘッドピン114aの軸心軌跡を示す説明図であり、図5(a)において、軸受面116bの曲率中心を原点としたとき、クロスヘッドピン114aの軸心の相対的な移動軌跡を示す。図5(b)は、図5(a)の破線部分を拡大して示す。また、図5中、左右方向は、ピストン112のストローク方向およびクロスヘッドピン114aの中心軸方向の双方に垂直な方向であって、上下方向は、ピストン112のストローク方向に平行な方向となっている。
また、図5に示すように、クロスヘッドピン114aは、クロスヘッド軸受116aの曲率中心に対し、クロスヘッドピン114aの軸心軌跡が描かれる側に偏っており、クロスヘッドピン114aが偏った方向の軸受クリアランスが最小となっている。
クランクシャフト118の回転方向は、図5中、時計回りとなっており、燃焼室134の燃焼圧によってピストン112が押圧されるとき、クランクピンは、クロスヘッドピン114aの中心軸に対して右側に偏っている。
そして、上記のクランク角θaからθbの期間は、クロスヘッドピン114aの軸心軌跡状において、クロスヘッド114の中心軸に対して右側に移動してから左に折り返した直後の期間となっている。そして、折り返し位置Rは、ピストンロッド112aの中心軸方向(図5(b)中、基準線Y)に対して、反時計回りに角度θad分ずれた位置となっている。すなわち、角度θadは、軸受面116bの曲率中心(図5(a)の原点)周りに、曲率中心に対してクロスヘッドピン114aの軸心がずれる最大ずれ角となっている。
ここで、上述した内部油路178の他端178aを、この角度θadの位置に合わせて設ける。すなわち、上記の角度θxを、角度θadと等しい値となるように、内部油路178の他端178aを配置する。
このとき、図3に示すように、軸受面116bの部位116dは、軸受面116bのうち、クランク角が0°のときにクロスヘッドピン114aの中心を通る垂線Hと交わる部位よりも、図3中、反時計回り方向の前方側に位置している。ここで、図3中、反時計回り方向は、クランク角が0°から90°になるときのクロスヘッドピン114aに対する軸受面116bの回転方向となる。
図5(b)に示すように、クロスヘッドピン114aは、クランク角θb以降、クランク角θAまで、クロスヘッド軸受116aに対して相対的に左側にずれ動く。そのため、クランク角θa〜θbの間に内部油路178から軸受面116bに供給された潤滑油は、このクロスヘッドピン114aの動きにつられて左側にずれ動く。そして、潤滑油は、クランク角θAのタイミングで、丁度、クランク角θAのときのクロスヘッドピン114aの軸心軌跡が示す位置(大凡、下側)まで流動する。
このクランク角θAにおいて、軸受クリアランスが最小となるのは、図5(b)に示すクロスヘッドピン114aの大凡下側の位置である。すなわち、最小油膜厚さHAとなるのは、図5(b)に示す大凡下側の位置で、クランク角θAのときとなる。
その結果、最小油膜厚さHAとなる位置およびタイミングに合わせて潤滑油が供給されることとなり、強制注油した潤滑油を効率的に軸受面116bの潤滑に供することが可能となる。内部油路178の他端178aは、最小油膜厚さHAとなる位置からずれていることから、内部油路178の他端178aによって、潤滑油の油圧が立ち難くなるといった事態を回避することが可能となる。
上述した実施形態では、第2供給路(内部油路178)はクロスヘッドピン114aに設けられている場合について説明したが、第2供給路は、クロスヘッド軸受116aに設けられていてもよい。ただし、第2供給路をクロスヘッドピン114aに設ける場合、クロスヘッドピン114aのうち、軸受面116bと対向する面は溝が形成されておらず、強制注油した潤滑油の局所的な潤滑効果を発揮することが可能となる。
また、上述した実施形態では、潤滑油供給路として、第1供給路(対向孔158)および第2供給路(内部油路178)を設け、第2供給路からは特定クランク角において潤滑油を供給する場合について説明した。しかし、1つの潤滑油供給路のみを設け、特定クランク角において、その1つの潤滑油供給路から供給する潤滑油の油量を特定クランク角前よりも増やす構成であってもよい。ただし、第1供給路と第2供給路を設けることで、第1供給路には、軸受面116b全体の潤滑や冷却を担わせ、第2供給路には、局所的な潤滑を担わせるといったように、役割分担が可能となり、潤滑油の効率的な分配が可能となる。
また、上述した実施形態では、軸受面116bの部位116dは、軸受面116bのうち、クランク角が0°のときにクロスヘッドピン114aの中心を通る垂線Hと交わる部位よりも、図3中、反時計回り方向の前方側に位置する場合について説明した。しかし、軸受面116bの部位116dは、任意の位置に設けてもよい。ただし、軸受面116bの部位116dを、クランク角が0°のときにクロスヘッドピン114aの中心を通る垂線Hと交わる部位よりも、図3中、反時計回り方向の前方側に位置させることで、クロスヘッドピン114aのクロスヘッド軸受116aに対する相対的な移動の影響を加味し、最小油膜厚さが最も薄くなる位置およびタイミングで、効率的に潤滑油を供給することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、ピストンロッドにクロスヘッドが固定されたクロスヘッド型エンジンに利用することができる。
100 ユニフロー掃気式2サイクルエンジン(クロスヘッド型エンジン)
110 シリンダ
112 ピストン
112a ピストンロッド
114 クロスヘッド
114a クロスヘッドピン
116 連接棒
116a クロスヘッド軸受
116b 軸受面
116d 部位(第2の部位)
118 クランクシャフト
158 対向孔(潤滑油供給路、第1供給路)
160 油ポケット(第1の部位)
174a 油圧ポンプ(潤滑油送出部)
174b 油圧ポンプ(潤滑油送出部)
178 内部油路(潤滑油供給路、第2供給路)

Claims (4)

  1. ピストンが固定されるピストンロッドと、
    クランクシャフトに連結される連接棒と、
    前記ピストンロッド、および、前記連接棒を連結するクロスヘッドピンと、
    前記クロスヘッドピンを軸支するクロスヘッド軸受と、
    前記クロスヘッド軸受の軸受面に潤滑油を導く潤滑油供給路と、
    前記潤滑油供給路を介して前記軸受面に潤滑油を送出する潤滑油送出部と、
    を備え、
    前記ピストンが上死点位置にあるときのクランク角を0度とした場合に、該クランク角が270度以上、かつ、360度未満の範囲内に特定クランク角が設定されており、
    前記潤滑油送出部は、
    前記クランクシャフトの単位時間当たりの回転数が予め設定された回転数以下である場合において、クランク角が前記特定クランク角になると、該特定クランク角になる前に比べて、前記軸受面に送出する潤滑油を増加させることを特徴とするクロスヘッド型エンジン。
  2. 前記潤滑油供給路は、
    前記軸受面の第1の部位に向けて潤滑油を導く第1供給路と、
    前記軸受面のうち、前記第1の部位と異なる第2の部位に向けて潤滑油を導く第2供給路と、
    を含み、
    前記潤滑油送出部は、
    クランク角に拘わらず前記第1供給路から前記軸受面に潤滑油を送出させ、クランク角が前記特定クランク角になると、該第1供給路に加えて、前記第2供給路からも前記軸受面に潤滑油を送出させることを特徴とする請求項1に記載のクロスヘッド型エンジン。
  3. 前記第2供給路は前記クロスヘッドピンに設けられていることを特徴とする請求項2に記載のクロスヘッド型エンジン。
  4. 前記第2の部位は、前記軸受面のうち、クランク角が0°のときに前記クロスヘッドピンの中心を通る垂線と交わる部位よりも、クランク角が0°から90°になるときの該クロスヘッドピンに対する該軸受面の回転方向前方側に位置していることを特徴とする請求項2または3に記載のクロスヘッド型エンジン。
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