JP6454772B1 - 義歯の製造方法 - Google Patents
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Description
治療用義歯形成工程では、上顎義歯床(31)、上顎人工歯部(32)、下顎義歯床(41)および下顎人工歯部(42)を有し、最終義歯(75)の製造前の治療に用いられる治療用義歯(30)を形成する。
上顎義歯床は、人体(60)の口腔(63)内の上顎(64)に吸着可能である。
上顎人工歯部は、上顎義歯床に設けられ、人工歯を含む。
下顎義歯床は、人体の口腔内の下顎(65)に吸着可能である。
下顎人工歯部は、下顎義歯床に設けられ、人工歯を含む。
上顎内側弁は、治療用義歯を口腔に入れたとき、上顎義歯床が上顎に接触する上顎義歯床の部位である。
下顎内側弁は、治療用義歯を口腔に入れたとき、下顎義歯床が下顎に接触する下顎義歯床の部位である。
上顎外側弁は、治療用義歯を口腔に入れたとき、上顎義歯床が人体の頬に接触する上顎義歯床の部位である。
下顎外側弁は、治療用義歯を口腔に入れたとき、下顎義歯床が人体の頬および舌に接触する下顎義歯床の部位である。
最終義歯形成工程では、内側弁維持工程および外側弁維持工程を経由した治療用義歯に基づいて、最終義歯を形成する。
第1態様では、治療用義歯形成工程において、下顎奥歯(44)が平坦面(48)を有するように、下顎人工歯部を形成する。
第2態様では、内側弁維持工程において、上顎内側弁または下顎内側弁に溝を形成する。
以下、本発明の一実施例の義歯の製造方法10を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、人体60が日常に使用していく義歯としての最終義歯75は、人体60が喪失した歯を補うために用いられる。
口腔前庭66は、上唇61または下唇62の内面と、頬の内面と、歯との間に区画形成される空間である。
義歯床辺縁67は、口腔前庭66に位置する口腔63内の内面である。
そこで、図3のフローチャートに示すように、印象採得工程11は、緊張緩和工程111、組織状態把握工程112、印象材選択工程113、型取工程114および印象材変形緩和工程115を有する。
図5のフローチャートに示すように、咬合採得工程13は、咬合床形成工程131、咬合床試適工程132、咬合平面確認工程133および上下顎確認工程134を有する。また、咬合採得工程13は、咬合高径設定工程135、固定工程136、口唇記録工程137、人工歯選択工程138および取出工程139を有する。
咬合床試適工程132では、上顎咬合床81および下顎咬合床82の噛み合わせ等を確認し、試適する。また、咬合床試適工程132では、神経痛等の疼痛がないか、安定しているか、または、すぐに外れないかを確認する。
上下顎確認工程134では、上唇61を裏側から支える上顎リップサポートを確認する。また、上顎咬合床81と下顎咬合床82とを人体60に装着して、人体60の上唇61および下唇62を閉じたときの鼻下点からオトガイまでの距離を確認する。人体60が男性である場合、この距離は、約70mmとなるように、調整する。また、人体60が女性である場合、この距離は、約68mmとなるように、調整する。
咬合高径設定工程135では、第1ウィリス距離Lw1および第2ウィリス距離Lw2に基づき、人体60が咬合したときの上顎64から下顎65までの距離である咬合高径を設定する。本実施例の咬合高径設定工程135では、ウィリス法を用いて、第1ウィリス距離Lw1および第2ウィリス距離Lw2が一致するように、咬合高径を設定する。なお、マックギー法、ブルーノ法またはブヤノフ法を用いて、咬合高径を決定してもよい。
口唇記録工程137では、上唇61、下唇62、頬粘膜および唇閉鎖線を記録する。
人工歯選択工程138では、上顎中切歯を基準に人工歯を選択する。
取出工程139では、上顎咬合床81および下顎咬合床82を一塊にして外部へ取り出す。
図8に示すように、練習用義歯30は、上顎義歯床31、上顎人工歯部32、下顎義歯床41および下顎人工歯部42を備える。図において、説明をわかりやすくするため、後述の練習用義歯完成工程16を経由した練習用義歯30を記載している。
上顎義歯床31は、上顎64に取付可能であり、上顎64に吸着可能である。上顎義歯床31は、人工歯が植立されており、咬合したときの力を口腔63内の粘膜へ付与可能である。
上顎義歯床粘膜面35は、口腔63内で上顎64に接触したとき、口腔63内の粘膜が付着する面である。
上顎内側弁36は、練習用義歯30を口腔63内に入れたとき、人体60の上顎64に接触する上顎義歯床31の部位である。
上顎外側弁37は、練習用義歯30を口腔63内に入れたとき、人体60の頬の内面に接触する上顎義歯床31の部位である。上顎内側弁36および上顎外側弁37により、上顎義歯床31と上顎64とが支持される。
上顎前歯33は、口腔63内に対して、上顎義歯床31の前側の人工歯であり、上顎奥歯34は、口腔63内に対して、上顎義歯床31の奥側の人工歯である。
上顎前歯33は、比較的硬い樹脂である硬質レジンで形成されており、人体60の歯の形状に対応して形成されている。
上顎奥歯34は、陶歯で形成されており、人体60の歯の形状に対応して形成されている。陶歯は、陶材で形成された人工歯であり、硬度および耐久力が比較的優れる。
下顎義歯床粘膜面45は、上顎義歯床粘膜面35と同様に、口腔63の内面に接触したとき、口腔63内の粘膜が付着する面である。
下顎内側弁46は、練習用義歯30を口腔63内に入れたとき、人体60の下顎65に接触する下顎義歯床41の部位である。
下顎外側弁47は、練習用義歯30を口腔63内に入れたとき、人体60の頬の内面および舌に接触する下顎義歯床41の部位である。
下顎前歯43は、口腔63内に対して、下顎義歯床41の前側の人工歯であり、下顎奥歯44は、口腔63内に対して、下顎義歯床41の奥側の人工歯である。
下顎前歯43は、上顎前歯33と同様に、比較的硬い樹脂で形成されている。
下顎奥歯44は、後述で記載するように、タルクおよび合成樹脂で形成されている。
正中確認工程152では、上顎人工歯部32の中心である上顎人工歯部中心O_upp、下顎人工歯部42の中心である下顎人工歯部中心O_lowおよび人体60の顔の中心が一致するか否かを確認する。本明細書中、「一致」は、常識的な誤差範囲を含むものとする。
マウスボリューム確認工程154では、練習用義歯30が口腔63内に入るか否かを確認する。
透明樹脂変更工程162では、審美的に影響がない箇所の義歯床、すなわち、人体60が口を開けたときに、外部から見えない箇所の義歯床を透明な樹脂に変更する。
臼歯部形成工程164では、下顎奥歯44が平坦面48を有するように、下顎人工歯部42を形成する。また、下顎奥歯44は、タルクの粉末に対する合成樹脂粉末の重量比が40%から50%となるように、タルクの粉末および合成樹脂粉末を含んでいる。
図16に示すように、下顎内側弁46の周辺をナイフ等の刃物できり、内側弁溝49を形成する。図において、内側弁溝49の所在を明確にするため、内側弁溝49をドット柄で記載しており、下顎奥歯44を省略して記載している。
上顎内側弁36における内側弁維持工程172では、必要であれば、上顎内側弁36に、樹脂硬化液を最初に付与する。なお、内側弁維持工程172において、樹脂硬化液を付与しすぎた場合、樹脂硬化液を削ってもよい。
また、外側弁維持工程173では、下顎外側弁47と人体60の頬の内面および舌との接触面積が大きくなるように、下顎外側弁47を加工する。または、下顎外側弁47と人体60の頬の内面および舌との接触圧力の標準偏差が小さくなるように、下顎外側弁47を加工する。外側弁維持工程173では、上顎内側弁36および下顎内側弁46と同様に、工程を行う。
人体60が不満を感じているとき、工程は、機能取込工程17に戻る。
人体60が不満を感じていないとき、工程は、コピーデンチャー形成工程19に移行する。
図17に示すように、最終義歯完成工程23では、最終義歯75の中心に対して、最終義歯75がほぼ左右対称となるように、最終義歯75を仕上げる。最終義歯75が完成する。
[5]樹脂硬化液付与工程165において、下顎義歯床粘膜面45に樹脂硬化液を敷く。下顎義歯床41は、加工する必要が多いため、予め樹脂硬化液を敷いておくことによって、内側弁維持工程172および外側弁維持工程173がしやすくなる。
オーバージェットJoが0.8mm未満、または、オーバーバイトBoが0.1mm未満であるとき、人体60の見栄えが悪くなる。オーバージェットJoが1.2mmを超える、または、オーバーバイトBoが1.0mmを超えるとき、上顎人工歯部32および下顎人工歯部42が干渉しやすくなり、人体60に不快症状が生じやすくなる。
[8]下顎奥歯44は、タルクの粉末に対する合成樹脂粉末の重量比が40%から50%となるように、タルクの粉末および合成樹脂粉末を含んでいる。これにより、下顎奥歯44が適度な硬度になり、人体60が使用しやすくなり、上顎64に対する下顎65の三次元的な位置である顎位の安定が早い段階で確立する。
[9]前歯変更工程163において、上顎前歯33および下顎前歯43を比較的な硬質な樹脂を含んだ人工歯に変更する。これにより、上顎前歯33および下顎前歯43の形態修正が容易になる。また、上顎前歯33および下顎前歯43への着色がされにくくなる。
172 ・・・内側弁維持工程、 173 ・・・外側弁維持工程、
20 ・・・最終義歯形成工程、
30 ・・・練習用義歯(治療用義歯)、
31 ・・・上顎義歯床、 32 ・・・上顎人工歯部、 36 ・・・上顎内側弁、
41 ・・・下顎義歯床、 42 ・・・下顎人工歯部、 46 ・・・下顎内側弁、
60 ・・・人体、 63 ・・・口腔、
64 ・・・上顎、 65 ・・・下顎、
75 ・・・最終義歯。
Claims (7)
- 人体(60)の口腔(63)内の上顎(64)に吸着可能な上顎義歯床(31)、前記上顎義歯床に設けられ、人工歯を含む上顎人工歯部(32)、前記口腔内の下顎(65)に吸着可能な下顎義歯床(41)および前記下顎義歯床に設けられ、人工歯を含む下顎人工歯部(42)を有し最終義歯(75)の製造の前の治療に用いられる治療用義歯(30)を形成する治療用義歯形成工程(14)と、
前記治療用義歯を前記口腔に入れたとき、前記上顎義歯床が前記上顎に接触する前記上顎義歯床の部位である上顎内側弁(36)と前記上顎との接触面積が大きくなるように、もしくは、前記上顎内側弁と前記上顎との接触圧力の標準偏差が小さくなるように、前記上顎内側弁を加工する、または、前記治療用義歯を前記口腔に入れたとき、前記下顎義歯床が前記下顎に接触する前記下顎義歯床の部位である下顎内側弁(46)と前記下顎との接触面積が大きくなるように、もしくは、前記下顎内側弁と前記下顎との接触圧力の標準偏差が小さくなるように、前記下顎内側弁を加工する内側弁維持工程(172)と、
前記治療用義歯を前記口腔に入れたとき、前記上顎義歯床が前記人体の頬に接触する前記上顎義歯床の部位である上顎外側弁(37)と前記人体の頬との接触面積が大きくなるように、もしくは、前記上顎外側弁と前記人体の頬との接触圧力の標準偏差が小さくなるように、前記上顎外側弁を加工する、または、前記治療用義歯を前記口腔に入れたとき、前記下顎義歯床が前記人体の頬および舌に接触する前記下顎義歯床の部位である下顎外側弁(47)と前記人体の頬および舌との接触面積が大きくなるように、もしくは、前記下顎外側弁と前記人体の頬および舌との接触圧力の標準偏差が小さくなるように、前記下顎外側弁を加工する外側弁維持工程(173)と、
前記内側弁維持工程および前記外側弁維持工程を経由した前記治療用義歯に基づいて、前記最終義歯を形成する最終義歯形成工程(20)と、
を含み、
前記治療用義歯形成工程において、下顎奥歯(44)が平坦面(48)を有するように、前記下顎人工歯部を形成する義歯の製造方法。 - 人体(60)の口腔(63)内の上顎(64)に吸着可能な上顎義歯床(31)、前記上顎義歯床に設けられ、人工歯を含む上顎人工歯部(32)、前記口腔内の下顎(65)に吸着可能な下顎義歯床(41)および前記下顎義歯床に設けられ、人工歯を含む下顎人工歯部(42)を有し最終義歯(75)の製造の前の治療に用いられる治療用義歯(30)を形成する治療用義歯形成工程(14)と、
前記治療用義歯を前記口腔に入れたとき、前記上顎義歯床が前記上顎に接触する前記上顎義歯床の部位である上顎内側弁(36)と前記上顎との接触面積が大きくなるように、もしくは、前記上顎内側弁と前記上顎との接触圧力の標準偏差が小さくなるように、前記上顎内側弁を加工する、または、前記治療用義歯を前記口腔に入れたとき、前記下顎義歯床が前記下顎に接触する前記下顎義歯床の部位である下顎内側弁(46)と前記下顎との接触面積が大きくなるように、もしくは、前記下顎内側弁と前記下顎との接触圧力の標準偏差が小さくなるように、前記下顎内側弁を加工する内側弁維持工程(172)と、
前記治療用義歯を前記口腔に入れたとき、前記上顎義歯床が前記人体の頬に接触する前記上顎義歯床の部位である上顎外側弁(37)と前記人体の頬との接触面積が大きくなるように、もしくは、前記上顎外側弁と前記人体の頬との接触圧力の標準偏差が小さくなるように、前記上顎外側弁を加工する、または、前記治療用義歯を前記口腔に入れたとき、前記下顎義歯床が前記人体の頬および舌に接触する前記下顎義歯床の部位である下顎外側弁(47)と前記人体の頬および舌との接触面積が大きくなるように、もしくは、前記下顎外側弁と前記人体の頬および舌との接触圧力の標準偏差が小さくなるように、前記下顎外側弁を加工する外側弁維持工程(173)と、
前記内側弁維持工程および前記外側弁維持工程を経由した前記治療用義歯に基づいて、前記最終義歯を形成する最終義歯形成工程(20)と、
を含み、
前記内側弁維持工程において、前記上顎内側弁または前記下顎内側弁に溝を形成する義歯の製造方法。 - 前記人体の小帯(68)が移動する方向に基づいて、前記小帯の形状に沿って形成されている小帯部(50)を前記上顎義歯床または前記下顎義歯床に形成する小帯部形成工程(174)をさらに含み、
前記最終義歯形成工程において、前記最終義歯は、前記内側弁維持工程、前記外側弁維持工程および前記小帯部形成工程を経由した前記治療用義歯に基づいて、形成される請求項1または2に記載の義歯の製造方法。 - 前記治療用義歯形成工程の前に、前記人体の目(69)の中心から前記人体の上唇(61)と下唇(62)との接続部(70)までの距離(Lw1)および前記人体の鼻下(71)から前記下顎の端部(72)までの距離(Lw2)に基づいて、前記人体が咬合したときの前記上顎から前記下顎までの距離である咬合高径を設定する咬合高径設定工程(135)をさらに含む請求項1から3のいずれか一項に記載の義歯の製造方法。
- 前記治療用義歯形成工程の後、前記内側弁維持工程および前記外側弁維持工程の前において、前記下顎義歯床が前記人体の粘膜に接触する面である下顎義歯床粘膜面(45)に、圧力により硬化可能な樹脂硬化液を敷く樹脂硬化液付与工程(165)をさらに含む請求項1から4のいずれか一項に記載の義歯の製造方法。
- 前記治療用義歯形成工程において、前記人体の前後方向における前記上顎人工歯部の上顎前歯(33)の先端部(331)から前記下顎人工歯部の下顎前歯(43)の先端部(431)までの距離であるオーバージェット(Jo)が0.8mm以上、1.2mm以下となるように、前記治療用義歯を形成する請求項1から5のいずれか一項に記載の義歯の製造方法。
- 前記人体の上下方向における前記上顎前歯の先端部から前記下顎前歯の先端部までの距離であるオーバーバイト(Bo)が0.1mm以上、1.0mm以下となるように、前記治療用義歯を形成する請求項6に記載の義歯の製造方法。
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