JP6454468B2 - 延伸積層体の製造方法、該製造方法により得られる延伸積層体、該延伸積層体を用いた偏光膜の製造方法、および延伸装置 - Google Patents

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Description

本発明は、延伸積層体の製造方法、該製造方法により得られる延伸積層体、該延伸積層体を用いた偏光膜の製造方法、および延伸装置に関する。
代表的な画像表示装置である液晶表示装置は、その画像形成方式に起因して、液晶セルの両側に偏光膜が配置されている。近年、偏光膜の薄膜化が望まれていることから、例えば、特定の熱可塑性樹脂基材とポリビニルアルコール系樹脂層との積層体を、空中延伸し、さらにホウ酸水溶液中で延伸することにより偏光膜を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1)。このような方法によれば、積層体を高倍率に延伸することができ、優れた光学特性を有する偏光膜が得られる。
ところで、上記空中延伸においては、熱ロール延伸を用いる場合がある。この場合、熱ロール延伸において、例えば偏光膜の中間体である延伸積層体の製造開始時または製品切り替え時にポリビニルアルコール系樹脂層が形成されていない部分が熱ロールを通過すると、熱可塑性樹脂基材が熱ロールに貼り付いてしまい、製造ラインを停止しなければならない場合があり、製造効率が低下するという問題がある。
特開2012−73580号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、得られる偏光膜の光学特性を確保しながら、高い製造効率で延伸積層体を製造し得る方法を提供することにある。
本発明の延伸積層体の製造方法は、長尺状のポリエステル系樹脂基材上にポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層体を作製する工程と、該積層体を長手方向に搬送しながら空中延伸する工程と、を含む。空中延伸工程は、複数の熱ロールを用いる熱ロール延伸工程を含み、該熱ロール延伸工程において、該積層体の該ポリビニルアルコール系樹脂層が形成されていない部分が通過する際に、熱ロールを1つおきに相対的に上方または下方に移動させ、該長尺状のポリエステル系樹脂基材に該熱ロールが接触しないようにする。
1つの実施形態においては、上記積層体の作製工程は、上記ポリエステル系樹脂基材上に上記ポリビニルアルコール系樹脂層を形成する前に、該ポリエステル系樹脂基材のポリビニルアルコール系樹脂層が形成される側と反対側に機能層を形成することをさらに含む。
1つの実施形態においては、上記熱ロール延伸工程における熱ロール温度は50℃〜150℃であり、周囲温度は40℃〜60℃である。
1つの実施形態においては、上記延伸積層体の製造方法は、上記熱ロール延伸工程の前または後にゾーン延伸工程をさらに含む。
1つの実施形態においては、上記延伸積層体の製造方法は、上記積層体を1.5倍〜3.0倍に延伸する。
本発明の別の局面によれば、延伸積層体が提供される。この延伸積層体は、上記の製造方法により製造される。
本発明のさらに別の局面によれば、偏光膜の製造方法が提供される。この偏光膜の製造方法は、上記の延伸積層体を用いる。1つの実施形態においては、上記偏光膜の製造方法は、上記延伸積層体をホウ酸水溶液中で延伸する。
本発明のさらに別の局面によれば、延伸装置が提供される。この延伸装置は、熱ロール延伸手段を備える。熱ロール延伸手段は、該延伸対象物の搬送方向に沿って直列に配置された、それぞれが温度制御可能な複数の熱ロールを有し、該複数の熱ロールの回転により該熱ロールに接した該延伸対象物を搬送させながら、該複数の熱ロールの周速差により該延伸対象物を延伸する。該熱ロール延伸手段の該複数の熱ロールは、該長尺状のポリエステル系樹脂基材に該熱ロールが接触しないように、1つおきに相対的に上方または下方に移動可能に構成されている。
本発明によれば、複数の熱ロールを用いる熱ロール延伸を含む空中延伸を用いる延伸積層体の製造方法において、積層体のポリビニルアルコール系樹脂層が形成されていない部分が熱ロールを通過する際に熱ロールを1つおきに相対的に上下に移動させることにより、ポリエステル系樹脂基材の熱ロールへの貼り付きを防止することができる。その結果、高い製造効率で延伸積層体を製造することができる。さらに、この延伸積層体を用いることにより、優れた光学特性を有する偏光膜を製造することができる。
本発明の1つの実施形態による製造方法に用いられる積層体の部分断面図である。 本発明の1つの実施形態による製造方法における熱ロール延伸工程の1つの状態を示す概略図である。 本発明の1つの実施形態による製造方法における熱ロール延伸工程の別の状態を示す概略図である。 本発明の製造方法に用いられるエアシリンダーの一例におけるロッド上昇状態を説明するための概略空気回路図である。 図4のエアシリンダーのロッド下降状態を説明するための概略空気回路図である。 本発明の1つの実施形態による製造方法におけるゾーン延伸工程の一例を示す概略図である。 本発明の偏光膜の製造方法の一例を示す概略図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
A.製造方法
本発明の延伸積層体の製造方法は、長尺状のポリエステル系樹脂基材上にポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層体を作製する工程と、この積層体を長手方向に搬送しながら空中延伸する工程と、を含む。以下、各々の工程について説明する。
A−1.積層体の作製工程
図1は、本発明の好ましい実施形態による積層体の部分断面図である。積層体10は、ポリエステル系樹脂基材11とポリビニルアルコール系樹脂層12とを有する。積層体10は、長尺状のポリエステル系樹脂基材にポリビニルアルコール系樹脂層12を形成することにより作製される。ポリビニルアルコール系樹脂層12の形成方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。好ましくは、ポリエステル系樹脂基材11上に、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、「PVA系樹脂」という)を含む塗布液を塗布し、乾燥することにより、PVA系樹脂層12を形成する。図1に示すように、積層体10は、必要に応じて、ポリエステル系樹脂基材11のPVA系樹脂層12が形成されていない側に、任意の適切な機能層13をさらに有していてもよい。機能層13が形成される場合には、機能層13は、好ましくは、ポリエステル系樹脂基材11にPVA系樹脂層12を形成する前に形成され得る。機能層13の形成方法もまた、任意の適切な方法が採用され得る。好ましくは、ポリエステル系樹脂基材11のPVA系樹脂層が形成される面と反対側の面に、機能層形成材料を含む組成物(代表的には塗布液)を塗布し、乾燥することにより、機能層13を形成する。
上記ポリエステル系樹脂基材の延伸前の厚みは、好ましくは20μm〜300μm、より好ましくは50μm〜200μmである。20μm未満であると、PVA系樹脂層の形成が困難になるおそれがある。300μmを超えると、延伸に過大な負荷を要するおそれがある。
ポリエステル系樹脂基材の形成材料としては、非晶質の(結晶化していない)ポリエチレンテレフタレート系樹脂が好ましく用いられる。中でも、非晶性の(結晶化しにくい)ポリエチレンテレフタレート系樹脂が特に好ましく用いられる。非晶性のポリエチレンテレフタレート系樹脂の具体例としては、ジカルボン酸としてイソフタル酸をさらに含む共重合体や、グリコールとしてシクロヘキサンジメタノールをさらに含む共重合体が挙げられる。
ポリエステル系樹脂基材のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは170℃以下、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。一方、ポリエステル系樹脂基材のガラス転移温度は、好ましくは60℃以上である。なお、ガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121に準じて求められる値である。
ポリエステル系樹脂基材は、予め(PVA系樹脂層を形成する前)、延伸されていてもよい。1つの実施形態においては、長尺状のポリエステル系樹脂基材の横方向に延伸されている。横方向は、好ましくは、後述の積層体の延伸方向に直交する方向である。なお、本明細書において、「直交」とは、実質的に直交する場合も包含する。ここで、「実質的に直交」とは、90°±5.0°である場合を包含し、好ましくは90°±3.0°、さらに好ましくは90°±1.0°である。
ポリエステル系樹脂基材の延伸温度は、ガラス転移温度(Tg)に対し、好ましくはTg−10℃〜Tg+50℃である。ポリエステル系樹脂基材の延伸倍率は、好ましくは1.5倍〜3.0倍である。
ポリエステル系樹脂基材の延伸方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体的には、固定端延伸でもよいし、自由端延伸でもよい。延伸方式は、乾式でもよいし、湿式でもよい。ポリエステル系樹脂基材の延伸は、一段階で行ってもよいし、多段階で行ってもよい。多段階で行う場合、上述の延伸倍率は、各段階の延伸倍率の積である。
上記PVA系樹脂層を形成するPVA系樹脂としては、任意の適切な樹脂が採用され得る。例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルをケン化することにより得られる。エチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化することにより得られる。PVA系樹脂のケン化度は、通常85モル%〜100モル%であり、好ましくは95.0モル%〜99.95モル%、さらに好ましくは99.0モル%〜99.93モル%である。ケン化度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。このようなケン化度のPVA系樹脂を用いることによって、耐久性に優れた偏光膜が得られ得る。ケン化度が高すぎる場合には、ゲル化してしまうおそれがある。
PVA系樹脂の平均重合度は、目的に応じて適切に選択し得る。平均重合度は、通常1000〜10000であり、好ましくは1200〜4500、さらに好ましくは1500〜4300である。なお、平均重合度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。
上記塗布液は、代表的には、上記PVA系樹脂を溶媒に溶解させた溶液である。溶媒としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、各種グリコール類、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン類が挙げられる。これらは単独で、または、二種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、好ましくは、水である。溶液のPVA系樹脂濃度は、溶媒100重量部に対して、好ましくは3重量部〜20重量部である。このような樹脂濃度であれば、ポリエステル系樹脂基材に密着した均一な塗布膜を形成することができる。
塗布液に、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、界面活性剤等が挙げられる。可塑剤としては、例えば、エチレングリコールやグリセリン等の多価アルコールが挙げられる。界面活性剤としては、例えば、非イオン界面活性剤が挙げられる。これらは、得られるPVA系樹脂層の均一性や染色性、延伸性をより一層向上させる目的で使用され得る。
塗布液の塗布方法としては、任意の適切な方法を採用することができる。例えば、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ナイフコート法(コンマコート法等)等が挙げられる。
上記塗布液の乾燥温度は、好ましくは50℃以上である。
PVA系樹脂層の延伸前の厚みは、好ましくは3μm〜20μmである。
PVA系樹脂層を形成する前に、ポリエステル系樹脂基材に表面処理(例えば、コロナ処理等)を施してもよいし、ポリエステル系樹脂基材上に易接着層を形成してもよい。このような処理を行うことにより、ポリエステル系樹脂基材とPVA系樹脂層との密着性を向上させることができる。
機能層13は、耐熱性を有する。耐熱性を有することにより、例えば、ポリエステル系樹脂基材のガラス転移温度以上の温度が積層体にかけられた場合であっても、製造に用いられるロールに積層体(樹脂基材)が貼り付くのを防止して、優れた耐ブロッキング性を実現することができる。
機能層13は、例えば、導電性材料およびバインダー樹脂を含む帯電防止層である。このような構成によれば、優れた耐ブロッキング性を実現し、製造効率を向上させることができる。また、帯電防止性に優れ得る。
上記導電性材料としては、任意の適切な導電性材料が用いられ得る。好ましくは、導電性ポリマーが用いられる。導電性ポリマーとしては、例えば、ポリチオフェン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリジアセチレン系重合体、ポリイン系重合体、ポリフェニレン系重合体、ポリナフタレン系重合体、ポリフルオレン系重合体、ポリアントラセン系重合体、ポリピレン系重合体、ポリアズレン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリフラン系重合体、ポリセレノフェン系重合体、ポリイソチアナフテン系重合体、ポリオキサジアゾール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリチアジル系重合体、ポリフェニレンビニレン系重合体、ポリチエニレンビニレン系重合体、ポリアセン系重合体、ポリフェナントレン系重合体、ポリぺリナフタレン系重合体等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。好ましくは、ポリチオフェン系重合体が用いられる。中でも、水性溶媒に溶解または分散可能な、ポリチオフェン系重合体が用いられる。
上記ポリチオフェン系重合体を構成するチオフェンとしては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン等が挙げられる。
帯電防止層における導電性材料の含有量は、好ましくは1重量%〜10重量%、より好ましくは3重量%〜8重量%である。また、導電性材料の含有量は、後述のバインダー樹脂100重量部に対して、好ましくは1重量部〜50重量部、さらに好ましくは2重量部〜20重量部である。
上記バインダー樹脂としては、任意の適切な樹脂が用いられる。好ましくは、上記樹脂基材との密着性と柔軟性とを兼ね備え、水性溶媒に溶解または分散可能な樹脂が用いられる。バインダー樹脂の具体例としては、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリ乳酸系樹脂)、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、シアノアクリル樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、ナイロン)等が挙げられる。好ましくは、ポリウレタン系樹脂が用いられる。バインダー樹脂はカルボキシル基を有することが好ましい。カルボキシル基を有することにより、樹脂基材との密着性に優れた帯電防止層を得ることができる。
帯電防止層におけるバインダー樹脂の含有量は、好ましくは50重量%〜99重量%、より好ましくは70重量%〜95重量%である。
帯電防止層は、代表的には、上記樹脂基材に、上記導電性材料およびバインダー樹脂を含む樹脂組成物を塗布し、乾燥することにより設けられる。樹脂組成物は、好ましくは、水性である。
上記樹脂組成物は、好ましくは、架橋剤を含む。架橋させることにより、得られる帯電防止層に耐水性を付与することができる。その結果、例えば、後述の水中延伸を良好に行うことができる。当該架橋剤は、任意の適切な架橋剤が採用され得る。例えば、架橋剤としては、カルボキシル基と反応し得る基を有するポリマーが好ましく用いられる。カルボキシル基と反応し得る基としては、例えば、有機アミノ基、オキサゾリン基、エポキシ基、カルボジイミド基等が挙げられる。好ましくは、架橋剤は、オキサゾリン基を有する。
上記ポリマーとしては、例えば、アクリル系ポリマー、スチレン・アクリル系ポリマー等が挙げられる。好ましくは、アクリル系ポリマーである。アクリル系ポリマーを用いることにより、水性の樹脂組成物に安定的に相溶し得る。
上述したように、樹脂組成物は、好ましくは水性である。樹脂組成物におけるバインダー樹脂の濃度は、好ましくは1.5重量%〜15重量%、さらに好ましくは2重量%〜10重量%である。樹脂組成物の架橋剤(固形分)の含有量は、バインダー樹脂(固形分)100重量部に対して、好ましくは1重量部〜30重量部、さらに好ましくは3重量部〜20重量部である。
樹脂組成物の塗布方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、上記塗布液の塗布方法と同様の方法が採用される。乾燥温度としては、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは60℃以上である。一方、乾燥温度は、樹脂基材のガラス転移温度(Tg)+30℃以下であることが好ましく、さらに好ましくはTg以下である。
帯電防止層の厚みは、好ましくは0.1μm〜10μm、さらに好ましくは0.2μm〜2μmである。
帯電防止層の表面抵抗値は、好ましくは10×1013Ω/□未満、より好ましくは10×1011Ω/□未満、さらに好ましくは10×1010Ω/□未満である。
帯電防止層は、好ましくは、延伸処理が施されている。延伸処理により、帯電防止層にひび割れによる凹凸形状を形成することができる。その結果、滑り性が付与され、より優れた耐ブロッキング性を実現することができる。当該延伸処理は、好ましくは、樹脂基材にPVA系樹脂層を形成する前に行う(上記ポリエステル系樹脂基材の延伸と兼ねる)。
帯電防止層の表面の算術平均粗さRaは、好ましくは10nm以上である。一方、帯電防止層の算術平均粗さRaは、好ましくは100nm以下である。なお、算術平均粗さRaは、JIS B0601に準じて求めることができる。
A−2.空中延伸工程
空中延伸工程では、上記積層体をその長手方向に搬送しながら延伸する。上記のとおり、空中延伸工程は、複数の熱ロールを用いる熱ロール延伸工程を含む。
A−2−1.熱ロール延伸工程
熱ロール延伸工程では、積層体10の搬送方向に沿って直列に配置された、それぞれが温度制御可能な複数(代表的には少なくとも3つ)の熱ロールを用いる。複数の熱ロールの回転により熱ロールに接した積層体10を搬送させながら、複数の熱ロールの周速差により積層体10を延伸する。図2は、熱ロール延伸工程の一例を示す概略図である。図示例では、それぞれが温度制御可能な第1のロールR1から第7のロールR7が搬送方向に沿って所定の間隔をあけて設けられている。図示例では、積層体10は、その一方の面(例えば、PVA系樹脂層側)が奇数番号のロール(第1のロールR1、第3のロールR3、第5のロールR5および第7のロールR7)と接触し、もう一方の面(例えば、ポリエステル系樹脂基材側または形成されている場合には機能層側)が偶数番号のロール(第2のロールR2、第4のロールR4および第6のロールR6)と接触して搬送されている。第1のロールR1から第5のロールR5は、それぞれ、所定の温度に加熱されて熱ロールとされており、積層体10は上側からも下側からも加熱される。熱ロールの温度は、好ましくは50℃〜150℃である。それぞれの熱ロールの温度は、同一であってもよく異なっていてもよい。1つの実施形態においては、熱ロールの温度はすべて同一である。別の実施形態においては、熱ロールの温度は、上流側から中間領域に向かって高温となり、中間領域から下流側に向かって低温となるよう設定され得る。図示例では第6および第7のロールR6およびR7は、任意の適切な温度に設定され得、例えば、積層体のガラス転移温度(Tg)以下に設定されて、積層体を冷却する。このように冷却することで、積層体にシワが発生する(例えば、トタン状に波打った状態となる)のを抑制することができる。冷却ロールの温度は、例えば30℃〜50℃である。熱ロール延伸工程における周囲温度(熱ロール延伸区間の雰囲気温度)は、例えば40℃〜60℃である。なお、図示例では、7本のロールを用いているが、用いるロールの総数、熱ロールおよび/または冷却ロールの数、熱ロールおよび/または冷却ロールの配置順序等の各種条件は、適宜変更可能であることは言うまでもない。
熱ロール延伸工程においては、上記のロール群R1〜R7における隣接するロール間の周速差により積層体10に張力を付与し、積層体10を長手方向に一軸延伸する。より具体的には、下流側のロールほど周速度を高くすることにより延伸が行われる。熱ロール延伸のみで空中延伸を行う場合には、延伸倍率は、積層体の元長に対して、好ましくは1.5倍〜3.0倍であり、より好ましくは1.8倍〜2.4倍である。熱ロール延伸に後述するゾーン延伸を組み合わせて空中延伸を行う場合には、空中延伸(熱ロール延伸およびゾーン延伸)による延伸倍率は、積層体の元長に対して、好ましくは1.5倍〜3.0倍であり、より好ましくは1.8倍〜2.4倍である。この場合、空中延伸による延伸倍率は、ゾーン延伸による延伸倍率と熱ロール延伸による延伸倍率との積である。したがって、例えばゾーン延伸を熱ロール延伸の前に行う場合には、熱ロール延伸工程においては、例えば1.2倍〜1.8倍にゾーン延伸された積層体を好ましくは1.2倍〜1.5倍、より好ましくは1.3倍〜1.4倍さらに延伸する。
本発明においては、熱ロール延伸工程において、積層体10のPVA系樹脂層が形成されていない部分が通過する際に、熱ロールを積層体から退避させる。当該熱ロールの退避により、積層体10のPVA系樹脂層が形成されていない部分(実質的には、ポリエステル系樹脂基材11表面)が熱ロールと接触するのを回避することができ、ポリエステル系樹脂基材の熱ロールへの貼り付きを防止することができる。結果として、製造ラインの停止を回避することができ、高い製造効率で延伸積層体を製造することができる。1つの実施形態においては、熱ロールの退避距離(移動距離)は、熱ロールの直径以上であってもよい。退避距離をこのように設定することにより、積層体10のPVA系樹脂層が形成されていない部分(実質的には、ポリエステル系樹脂基材11表面)と熱ロールとの接触をさらに良好に回避することができる。加えて、積層体10を良好に直線的に搬送することができる。
熱ロールを退避させる様式としては、任意の適切な様式を採用することができる。例えば、図3に示すように熱ロールを1つおきに上方または下方に移動させることにより、退避させることができる。図示例においては、奇数番号のロール(第1のロールR1、第3のロールR3、第5のロールR5および第7のロールR7)を下方に移動させ、偶数番号のロール(第2のロールR2、第4のロールR4および第6のロールR6)を上方に移動させる。積層体10は、熱ロール延伸区間より上流および下流に設けられたロール(いずれも図示せず)により搬送される。なお、図示例では、熱ロールを1つおきに上方または下方に移動させる形態について説明したが、熱ロールが1つおきに相対的な上方および下方の位置関係をとり積層体に接触しなくなる限り、別の退避様式が採用され得ることは言うまでもない。例えば、偶数番号のロールの上方への移動距離>図示しない搬送ロールの上方への移動距離>奇数番号のロールの上方への移動距離となるように各ロールを移動させてもよく、奇数番号のロールの下方への移動距離>図示しない搬送ロールの下方への移動距離>偶数番号のロールの下方への移動距離となるように各ロールを移動させてもよい。
ロールの上方または下方への移動手段としては、任意の適切な上下移動機構が採用され得る。上下移動機構の具体例としては、エアシリンダー、油圧シリンダー、電動シリンダー、ラック・ピニオン機構が挙げられる。一例として、エアシリンダーによる上下移動について簡単に説明する。
図4は、エアシリンダーのロッド上昇状態を説明するための概略空気回路図であり、図5は、エアシリンダーのロッド下降状態を説明するための概略空気回路図である。図4および図5に示すように、エアシリンダー50は、両端が開口する筒状に形成されて、内部に軸方向に延びるシリンダー室52を備えたシリンダーボディ53と、シリンダー室52に対する圧縮エアの給排により、シリンダー室52内を軸方向に往復動するピストン54と、ピストン54に下端部を固定されてシリンダー室52内を軸方向に延びるロッド55と、を備える。エアシリンダー50は、代表的には、上記のロールR1〜R7のそれぞれの回転軸方向(積層体の搬送方向に直交する方向)の両端部に設けられ、ロッド55の上端部は、ロールを回転可能に支持するよう構成されている(図示せず)。具体的には、開口部を有するハウジングがロッド55の上端部に設けられ、ロールの支軸が当該ハウジングの開口部に嵌挿され、例えばベアリングを介して回転可能に支持されている(図示せず)。なお、図示例ではエアシリンダーによりロールを下方から支持する形態について説明しているが、ロールを上方から支持してもよいことは言うまでもない。
シリンダー室52は断面略円形に形成されており、ピストン54により上側の第1室52aと下側の第2室52bとに2分割されている。第1室52aには、当該室52aに圧縮エアを給排するための第1の給排気ポート60が設けられ、第2室52bには、当該室52bに圧縮エアを給排するための第2の給排気ポート61が設けられている。ピストン54は、任意の適切な手段(例えば、ピストン54の外周に取り付けられた環状の弾性シール部材:図示せず)により、シリンダー室52に対し気密かつ往復摺動自在に嵌合されている。
第1室52aに設けられた第1の給排気ポート60には、第1室52aに対して供給される圧縮エアおよび第1室52aから排出される排出エアを共に流通させるための第1の給排気流路62の一端が接続されている。第1の給排気流路62の他端は、切換弁Vに接続されており、切換弁Vの切換操作によって第1の給排気流路62を、空気圧源Paまたは大気に対し連通させることができるよう構成されている。同様に、第2室52bに設けられた第2の給排気ポート61には、第2室52bに対して供給される圧縮エアおよび第2室52bから排出される排出エアを共に流通させるための第2の給排気流路63の一端が接続されている。第2の給排気流路63の他端もまた、切換弁Vに接続されており、切換弁Vの切換操作によって第2の給排気流路63を、空気圧源Paまたは大気に対し連通させることができるよう構成されている。切換弁Vは、図示例では5ポート切換弁である。
次に、エアシリンダーの動作について説明する。まず、図4に示すように、切換弁Vを介して、空気圧源Paが第2の給排気流路63に連通されると共に、第1の給排気流路62が大気に連通された状態においては、空気圧源Paからの圧縮エアがシリンダー室52の第2室52bに供給され、ピストン54およびロッド55が第1室52a方向(図中上方向)へ上昇駆動されると共に、第1室52aからの排気エアが切換弁Vを介し大気に放出される。一方、切換弁Vを切り換えることにより、図5に示すように、切換弁Vを介して空気圧源Paが第1の給排気流路62に連通されると共に、第2の給排気流路63が大気に連通された状態となる。その結果、空気圧源Paからの圧縮エアがシリンダー室52の第1室52aに供給され、ピストン54およびロッド55が第2室52b方向(図中下方向)へ下降駆動されると共に、第2室52bからの排気エアが切換弁Vを介し大気に放出される。このようにして、エアシリンダー50によりロッド55を上下動させることができ、結果として、ロッドの上端部に指示されたロールを上下動させることができる。なお、エアシリンダーについて本明細書に記載されていない部分は、業界における任意の適切な構成が採用され得る。
上記のように、エアシリンダーの上下動により所定のロールを所定の方向に移動・退避させることによって、図3に示すように延伸対象物(ここでは積層体)の両面がいずれもロールに接触せず搬送される状態が実現される。したがって、積層体のPVA系樹脂層が形成されていない部分が熱ロール延伸区間を通過する際にロールを退避させて図3のような状態を実現することにより、積層体のポリエステル系樹脂基材が熱ロールに接触することが回避される。結果として、積層体の熱ロールへの貼り付きが防止され、製造効率を顕著に向上させることができる。ロールの移動・退避(図示例では実質的には切換弁Vの切り換え)は手動で行ってもよく、任意の適切な手段で自動化してもよい。例えば、積層体の長さ、積層体におけるPVA系樹脂層が形成されていない部分の位置、搬送速度等をエアシリンダーの制御装置に入力設定することにより、積層体のPVA系樹脂層が形成されていない部分が熱ロール延伸区間を通過するタイミングに合わせてロールを自動的に移動・退避させることができる。
A−2−2.ゾーン延伸工程
空中延伸工程は、熱ロール延伸工程の前または後にゾーン延伸工程をさらに含んでいてもよい。ゾーン延伸工程では、離間して2つのロールを配置し、該2つのロールの間に加熱ゾーンを設けて、当該加熱ゾーン内で積層体を延伸する。図6は、ゾーン延伸工程の一例を示す概略図である。図示例では、積層体10の搬送方向(MD)に所定の間隔をあけて、ロール対1,1とロール対2,2とが設けられており、それぞれのロール対により積層体10は挟持されている。ロール1とロール2とは異なる周速で回転しており、下流側のロール2は上流側のロール1よりも周速が大きく設定されている。
上記2つのロール間に設けられる加熱ゾーン(加熱手段)としては、任意の適切な手段が採用され得る。図示例では、ロール1とロール2との間にオーブン9が設けられている。延伸温度は、好ましくは100℃〜130℃であり、より好ましくは110℃〜120℃である。なお、ゾーン延伸工程における延伸温度(積層体の温度)は、例えば、温度測定用ステッカーや熱電対を用いて確認することができる。
以上のように、空中延伸工程を経て延伸積層体10’が得られる。なお、図2および図3は、熱ロール延伸工程のみを行う場合またはゾーン延伸工程の後に熱ロール延伸工程を行う場合を示している。
A−3.延伸積層体
本発明の延伸積層体は、上記のとおり、積層体の元長に対して、好ましくは1.5倍〜3.0倍、より好ましくは1.8倍〜2.4倍の延伸倍率で延伸されている。本発明により得られる延伸積層体を用いることにより、例えば、上記積層体を後述の水中延伸のみで延伸するよりも、最終的により高い延伸倍率を達成することができる。具体的には、延伸積層体のポリエステル系樹脂基材は、配向を抑制しながら延伸されている。配向性が高いほど延伸張力が大きくなり、安定的な延伸が困難となったり、樹脂基材が破断したりするが、配向が抑制されていることで、最終的により高い延伸倍率を達成することができる。その結果、優れた光学特性(例えば、偏光度)を有する偏光膜を作製することができる。
B.使用方法
本発明の延伸積層体は、代表的には、偏光膜の製造に供される。具体的には、本発明の延伸積層体は、そのPVA系樹脂層を偏光膜とするための処理が、適宜施される。偏光膜とするための処理としては、例えば、延伸処理、染色処理、不溶化処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等が挙げられる。なお、これらの処理の回数、順序等は、特に限定されない。
B−1.水中延伸
好ましい実施形態においては、上記延伸積層体を水中延伸(ホウ酸水中延伸)する。具体的には、上記積層体の延伸方向と平行な方向に水中延伸する。水中延伸によれば、上記樹脂基材やPVA系樹脂層のガラス転移温度(代表的には、80℃程度)よりも低い温度で延伸し得、PVA系樹脂層を、その結晶化を抑えながら、高倍率に延伸することができる。その結果、優れた光学特性(例えば、偏光度)を有する偏光膜を作製することができる。なお、本明細書において「平行な方向」とは、0°±5.0°である場合を包含し、好ましくは0°±3.0°、さらに好ましくは0°±1.0°である。
延伸積層体の延伸方法は、任意の適切な方法を採用することができる。具体的には、固定端延伸でもよいし、自由端延伸でもよい。延伸積層体の延伸方向は、実質的には、上記空中延伸の延伸方向(長手方向)である。延伸積層体の延伸は、一段階で行ってもよいし、多段階で行ってもよい。
水中延伸は、好ましくは、ホウ酸水溶液中に延伸積層体を浸漬して行う(ホウ酸水中延伸)。延伸浴としてホウ酸水溶液を用いることで、PVA系樹脂層に、延伸時にかかる張力に耐える剛性と、水に溶解しない耐水性とを付与することができる。具体的には、ホウ酸は、水溶液中でテトラヒドロキシホウ酸アニオンを生成してPVA系樹脂と水素結合により架橋し得る。その結果、PVA系樹脂層に剛性と耐水性とを付与して、良好に延伸することができ、優れた光学特性(例えば、偏光度)を有する偏光膜を作製することができる。
上記ホウ酸水溶液は、好ましくは、溶媒である水にホウ酸および/またはホウ酸塩を溶解させることにより得られる。ホウ酸濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜10重量部である。ホウ酸濃度を1重量部以上とすることにより、PVA系樹脂層の溶解を効果的に抑制することができ、より高特性の偏光膜を作製することができる。なお、ホウ酸またはホウ酸塩以外に、ホウ砂等のホウ素化合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等を溶媒に溶解して得られた水溶液も用いることができる。
後述の染色処理により、予め、PVA系樹脂層に二色性物質(代表的には、ヨウ素)が吸着されている場合、好ましくは、上記延伸浴(ホウ酸水溶液)にヨウ化物を配合する。ヨウ化物を配合することにより、PVA系樹脂層に吸着させたヨウ素の溶出を抑制することができる。ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ヨウ化カリウムである。ヨウ化物の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは0.05重量部〜15重量部、より好ましくは0.5重量部〜8重量部である。
水中延伸の延伸温度(延伸浴の液温)は、好ましくは40℃〜85℃、より好ましくは50℃〜85℃である。このような温度であれば、PVA系樹脂層の溶解を抑制しながら高倍率に延伸することができる。具体的には、上述のように、ポリエステル系樹脂基材のガラス転移温度(Tg)は、PVA系樹脂層の形成との関係で、好ましくは60℃以上である。この場合、延伸温度が40℃を下回ると、水によるポリエステル系樹脂基材の可塑化を考慮しても、良好に延伸できないおそれがある。一方、延伸浴の温度が高温になるほど、PVA系樹脂層の溶解性が高くなって、優れた光学特性が得られないおそれがある。延伸積層体の延伸浴への浸漬時間は、好ましくは15秒〜5分である。
上記ポリエステル系樹脂基材と水中延伸(ホウ酸水中延伸)とを組み合わせることにより、高倍率に延伸することができ、優れた光学特性(例えば、偏光度)を有する偏光膜を作製することができる。具体的には、最大延伸倍率は、上記積層体の元長に対して(延伸積層体の延伸倍率を含めて)、好ましくは5.0倍以上、より好ましくは5.5倍以上、さらに好ましくは6.0倍以上である。本明細書において「最大延伸倍率」とは、延伸積層体が破断する直前の延伸倍率をいい、別途、延伸積層体が破断する延伸倍率を確認し、その値よりも0.2低い値をいう。なお、上記ポリエステル系樹脂基材を用いた積層体の最大延伸倍率は、水中延伸を経た方が空中延伸のみで延伸するよりも高くなり得る。
B−2.その他
上記染色処理は、代表的には、PVA系樹脂層を二色性物質で染色する処理である。好ましくは、PVA系樹脂層に二色性物質を吸着させることにより行う。当該吸着方法としては、例えば、二色性物質を含む染色液にPVA系樹脂層(延伸積層体)を浸漬する方法、PVA系樹脂層に当該染色液を塗工する方法、当該染色液をPVA系樹脂層に噴霧する方法等が挙げられる。好ましくは、二色性物質を含む染色液に延伸積層体を浸漬する方法である。二色性物質が良好に吸着し得るからである。
上記二色性物質としては、例えば、ヨウ素、二色性染料が挙げられる。好ましくは、ヨウ素である。二色性物質としてヨウ素を用いる場合、上記染色液は、ヨウ素水溶液である。ヨウ素の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは0.1重量部〜0.5重量部である。ヨウ素の水に対する溶解度を高めるため、ヨウ素水溶液にヨウ化物を配合することが好ましい。ヨウ化物の具体例は、上述のとおりである。ヨウ化物の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは0.02重量部〜20重量部、より好ましくは0.1重量部〜10重量部、さらに好ましくは0.7重量部〜3.5重量部である。染色液の染色時の液温は、PVA系樹脂の溶解を抑制するため、好ましくは20℃〜50℃である。染色液にPVA系樹脂層を浸漬する場合、浸漬時間は、PVA系樹脂層の透過率を確保するため、好ましくは5秒〜5分である。また、染色条件(濃度、液温、浸漬時間)は、最終的に得られる偏光膜の偏光度もしくは単体透過率が所定の範囲となるように、設定することができる。1つの実施形態においては、得られる偏光膜の偏光度が99.98%以上となるように、浸漬時間を設定する。別の実施形態においては、得られる偏光膜の単体透過率が40%〜44%となるように、浸漬時間を設定する。
好ましくは、染色処理は上記水中延伸の前に行う。
上記不溶化処理は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂層を浸漬することにより行う。不溶化処理を施すことにより、PVA系樹脂層に耐水性を付与することができる。当該ホウ酸水溶液の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜4重量部である。不溶化浴(ホウ酸水溶液)の液温は、好ましくは20℃〜50℃である。好ましくは、不溶化処理は、上記水中延伸や上記染色処理の前に行う。
上記架橋処理は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂層を浸漬することにより行う。架橋処理を施すことにより、PVA系樹脂層に耐水性を付与することができる。当該ホウ酸水溶液の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜4重量部である。また、上記染色処理後に架橋処理を行う場合、さらに、ヨウ化物を配合することが好ましい。ヨウ化物を配合することにより、PVA系樹脂層に吸着させたヨウ素の溶出を抑制することができる。ヨウ化物の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜5重量部である。ヨウ化物の具体例は、上述のとおりである。架橋浴(ホウ酸水溶液)の液温は、好ましくは20℃〜50℃である。好ましくは、架橋処理は上記水中延伸の前に行う。好ましい実施形態においては、染色処理、架橋処理および水中延伸をこの順で行う。
上記洗浄処理は、代表的には、ヨウ化カリウム水溶液にPVA系樹脂層を浸漬することにより行う。上記乾燥処理における乾燥温度は、好ましくは30℃〜100℃である。
図7は、偏光膜の製造方法の一例を示す概略図である。延伸積層体10’を、繰り出し部101から繰り出し、ロール111および112によってホウ酸水溶液の浴110中に浸漬した後(不溶化処理)、ロール121および122によって二色性物質(ヨウ素)およびヨウ化カリウムの水溶液の浴120中に浸漬する(染色処理)。次いで、ロール131および132によってホウ酸およびヨウ化カリウムの水溶液の浴130中に浸漬する(架橋処理)。その後、延伸積層体10’を、ホウ酸水溶液の浴140中に浸漬しながら、速比の異なるロール141および142で縦方向(長手方向)に張力を付与して延伸する(水中延伸)。水中延伸した延伸積層体10’を、ロール151および152によってヨウ化カリウム水溶液の浴150中に浸漬し(洗浄処理)、乾燥処理に供する(図示せず)。その後、延伸積層体10’を巻き取り部160にて巻き取る。
C.偏光膜
上述のとおり、本発明の延伸積層体に上記各処理を施すことにより上記ポリエステル系樹脂基材上に偏光膜が形成される。この偏光膜は、実質的には、二色性物質が吸着配向されたPVA系樹脂膜である。偏光膜の厚みは、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは7μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。一方、偏光膜の厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.5μm以上である。偏光膜は、好ましくは、波長380nm〜780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。偏光膜の単体透過率は、好ましくは40.0%以上、より好ましくは41.0%以上、さらに好ましくは42.0%以上である。偏光膜の偏光度は、好ましくは99.8%以上、より好ましくは99.9%以上、さらに好ましくは99.95%以上である。
上記偏光膜の使用方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体的には、上記ポリエステル系樹脂基材と一体となった状態で使用してもよいし、上記ポリエステル系樹脂基材から他の部材に転写して使用してもよい。代表的には、偏光膜は、その片側または両側に保護フィルムが積層された状態で(すなわち、偏光板として)使用される。保護フィルムの積層には、任意の適切な接着剤または粘着剤が用いられる。上記ポリエステル系樹脂基材を剥離せずにそのまま保護フィルムとして用いてもよい。
本発明の製造方法により得られる延伸積層体は、偏光膜の製造に好適に用いられる。得られる偏光膜は、高い光学特性を有し、例えば、液晶パネルや有機ELパネルに好適に用いられ得る。
1 ロール
2 ロール
R1 熱ロール延伸の第1のロール
R2 熱ロール延伸の第2のロール
R3 熱ロール延伸の第3のロール
R4 熱ロール延伸の第4のロール
R5 熱ロール延伸の第5のロール
R6 熱ロール延伸の第6のロール
R7 熱ロール延伸の第7のロール
9 オーブン
10 積層体
10’ 延伸積層体
11 ポリエステル系樹脂基材
12 PVA系樹脂層
13 機能層

Claims (8)

  1. 長尺状のポリエステル系樹脂基材上にポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層体を作製する工程と、
    該積層体を長手方向に搬送しながら空中延伸する工程と、を含み、
    該空中延伸工程が、複数の熱ロールを用いる熱ロール延伸工程を含み、
    該熱ロール延伸工程において、該積層体の該ポリビニルアルコール系樹脂層が形成されていない部分が通過する際に、熱ロールを1つおきに相対的に上方または下方に移動させ、該長尺状のポリエステル系樹脂基材に該熱ロールが接触しないようにする
    延伸積層体の製造方法。
  2. 前記積層体の作製工程が、前記ポリエステル系樹脂基材上に前記ポリビニルアルコール系樹脂層を形成する前に、該ポリエステル系樹脂基材のポリビニルアルコール系樹脂層が形成される側と反対側に機能層を形成することをさらに含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記熱ロール延伸工程における熱ロール温度が50℃〜150℃であり、周囲温度が40℃〜60℃である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記熱ロール延伸工程の前または後にゾーン延伸工程をさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記空中延伸工程において前記積層体を元長に対して1.5倍〜3.0倍に延伸する、請求項1から4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の製造方法により製造された延伸積層体を用いる、偏光膜の製造方法。
  7. 前記延伸積層体をホウ酸水溶液中で延伸する、請求項6に記載の製造方法。
  8. 延伸対象物の搬送方向に沿って直列に配置された、それぞれが温度制御可能な複数の熱ロールを有し、該複数の熱ロールの回転により該熱ロールに接した該延伸対象物を搬送させながら、該複数の熱ロールの周速差により該延伸対象物を延伸する、熱ロール延伸手段、を備え、
    該熱ロール延伸手段の該複数の熱ロールが、該延伸対象物に該熱ロールが接触しないように、1つおきに相対的に上方または下方に移動可能に構成されている、
    延伸装置。


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