JP6450858B2 - 設備管理装置および方法 - Google Patents

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Description

本発明は、設備管理装置および方法に関する。
本技術分野の背景技術として、特開2010−257010号公報(特許文献1)がある。この公報には、「回転工具の異常摩耗や欠けを防止して加工を全うすることにより、加工不良の発生を防ぐことができる工作機械制御装置を提供する。」と記載されている(要約参照)。
また、特開2004−070424号公報(特許文献2)がある。この公報には、「工作機械の稼働状態を全運転・作業工程において自動的に取得し、稼働データの実績収集を容易、正確に行い、保守のタイミングを得、工程での省エネルギー対策に有効で、しかも、生産管理での原価計算、生産効率の向上のための基礎データの蓄積を行う、稼動情報収集システムを提供する。」と記載されている(要約参照)。
また、特開2004−151843号公報(特許文献3)がある。この公報には、「稼働状況の把握を考慮して設計されていないタイプの工作機を用いる場合においても稼働状況を自動的に把握することができる工作機稼働状況管理システムを提供する。」と記載されている(要約参照)。
特開2010−257010号公報 特開2004−070424号公報 特開2004−151843号公報
設備(装置)の稼働状態を見える化する方法として、電流センサや振動センサなど複数のセンサを設置して、取得データを上位システムに転送する方式がある。しかし、この方法では、取得データをそのまま上位システムに転送しているので、工場内全装置に適用した場合には、センサ数・データ量が増大し、ネットワーク負荷・システム構築コストおよびメンテナンスコストが増大する。
これに対して、データから意味のある情報のみを抽出する処理を施した後で上位システムに転送することで、ネットワーク負荷を低減する方法が考えられる。前記特許文献1には、センサデータから周波数成分のピーク値や波高値などの特徴量を抽出し、手動で設定した閾値により状態識別を行う方法が記載されている。しかし、前記特許文献1の方法では、状態識別の判別に固定閾値方式を用いているため、設備の種類や工具・ワーク交換や加工条件の変更によって特徴量が変化し、精度よく装置の状態識別を行うことは難しい。また、そのため、加工条件の変更のたびにその都度閾値を再設定する必要があり、装置の状態識別の自動化が困難である。
一方、前記特許文献2には、予め工具や加工条件ごとに特徴量のデータベースを作成する方法や、NCプログラムから切削シミュレーションなどで特徴量を予測する方法が記載されている。しかし、工具は現場技術者が自作する場合があり、また加工条件も作業者の判断で変更される場合がある。従って、全ての設備に対して予め特徴量を把握することは困難である。
また、前記特許文献3には、NC機の制御信号を監視することで稼動状態を判定する方法が記載されている。しかし、この方法は非NC機には適用できない。また、工具空転状態と実切削状態が区別できず、有効切削時間などが正確に分からない。
そこで、本発明は、ネットワーク負荷を抑えつつ装置の稼働状態の判別を自動的に行うことができる設備管理装置および方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、装置の稼働状態に関するデータを取得するデータ取得部と、データ取得部で取得したデータに基づいて特徴量を抽出する特徴量抽出部と、特徴量抽出部で抽出した特徴量を分類してクラスタを作成するクラスタリング部と、クラスタリング部で分類した特徴量に、当該分類した特徴量が属するクラスタに付された前記装置の稼働状態のラベルを付したデータを作成するラベル付データ作成部と、ラベル付データ作成部で作成されたデータを格納する記憶部と、特徴量抽出部で抽出した特徴量と前記記憶部に格納されたデータとに基づいて前記装置の稼働状態を判定して判定結果を出力する状態判定部と、を備える。
本発明によれば、ネットワーク負荷を抑えつつ装置の稼働状態の判別を自動的に行うことができる設備管理装置および方法を提供することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
実施例1における設備管理装置の一例の構成図 実施例1における主成分ベクトル取得方法の一例のフローチャート 実施例1における特徴量の分布の一例 実施例1における設備管理方法の一例のフローチャート 実施例2における設備管理装置の一例の構成図 実施例2における設備管理方法の一例のフローチャート 実施例3における設備管理装置の一例の構成図 実施例3における設備管理方法の一例のフローチャート 実施例4における設備管理装置の一例の構成図 実施例4における設備管理方法の一例のフローチャート 実施例5における設備管理装置の一例の構成図 実施例5における設備管理方法の一例のフローチャート
以下、実施例を、図面を用いて説明する。
本実施例では、図1〜3を用い、工作機械などの設備や装置のモータ動力線に設置した電流センサで取得したデータから特徴量のパターンを学習し、工作機械の種類や工具・ワーク・加工条件などが異なる場合でも汎用的に設備(装置という場合もある。)稼働状態を推定可能とする設備管理方法および装置の例を説明する。
図1は、本実施例の設備管理装置の一例である。 設備管理装置99は、工作機械1(装置という場合もある。)、センサ部2、設備状態識別部3、を有する。
センサ部2(データ取得部)は工作機械1のモータ動力線に設置される電流センサを有し、時系列の電流データを取得し、設備状態識別部3に電流データを転送する。なお、センサは電流センサに限定されるものではなく、振動センサや回転センサなど装置の稼働状態に関するデータを取得し、当該データを出力できるセンサであればよい。また、センサを設置する場所は、モータ動力線に限られるものではなく、装置の稼働状態に関するデータを取得できる場所であればよい。
設備状態識別部3は、特徴量抽出部5、統計的学習部4、ラベル付き特徴量メモリ9(記憶部)、状態判定部10を有し、センサ部2が取得したデータから特徴量の学習と稼動状態の判定を行い、ネットワーク12を介して判定結果を生産管理システム11に転送する。
特徴量抽出部5は、センサ部2が取得したデータから特徴量を抽出し、統計的学習部4と状態判定部10に特徴量を転送する。例えば、本実施例では、特徴量として、電流データを一定区間ごとに高速フーリエ変換し、各周波数成分の振幅値と主成分ベクトルとの内積計算により3次元程度に次元削減した値を用いる。
なお、特徴量抽出方法としては、他にウェーブレット変換を用いる方法や、因子分析を用いる方法などがある。
図2は主成分ベクトルを取得する一例のフローチャートを示す。
工作機械1が稼動を開始すると(200)、センサ部2は取得したデータを特徴量抽出部5に転送する(201)。特徴量抽出部5は転送されたデータを高速フーリエ変換し、ネットワーク12を介して結果を生産管理システム11に送信する(202)。生産管理システム11は受信したデータを主成分分析し、生成した主成分ベクトルを設備状態識別部3に転送する(203)。
設備状態識別部3が主成分ベクトルを受信し、処理を終了する(204)。本実施例では、例えば生産管理システム11は、生成した主成分ベクトルを特徴量抽出部5に転送し、特徴量抽出部5は当該主成分ベクトルを受信する。なお、主成分ベクトルは、統計的学習部が受信するようにしてもよい。
図1に戻り、統計的学習部4の構成について説明する。統計的学習部4は、クラスタリング部6、ラベル付データ作成部13を有する。
クラスタリング部6は特徴量を分類してクラスタを作成するクラスタリング処理をし、分類した特徴量の集合体であるクラスタを作成する。また、クラスタリング部6は、各クラスタの中心の位置ベクトルをラベル付け部8に転送する。クラスタリングのアルゴリズムには、例えば混合ガウスモデルやk-means法などを用いるとよい。
ラベル付データ作成部13は、クラスタリング部6で分類した特徴量に、当該特徴量が属するクラスタに付された装置の稼働状態のラベルを付したデータを作成する。具体的には、ラベル付データ作成部13は、ラベル付け部8、事前知識部7を有する。
ラベル付け部8は、クラスタリング部6で生成された各クラスタの中心における位置ベクトルのノルムを計算し、各クラスタに一意のラベル番号を付与する。例えばクラスタ0、クラスタ1、クラスタ2などとする一意の数字とする。なお、ラベルは、数字に限定されるものではなく、アルファベットなどの記号等、各クラスタを個別に識別できるものであればよい。
ラベル付け部8は、各クラスタ中心における位置ベクトルのノルムと各クラスタに紐付けられた一意のラベル番号を事前知識部7に送付する。
事前知識部7は、ラベル付け部8から受け取ったラベル番号を、工作機械の稼働状態を意味するラベルに変換し、ラベル付け部8に変換したラベルを転送する。ラベルは、例えば工作機械の停止状態を0、アイドリング状態を1、切削状態を2などとし、一意の数字に装置の稼働状態の意味を付加してラベルを変換する。ラベルを変換する方法は、例えば工作機械では各クラスタの中心における位置の相対的な位置関係に基づき、装置の稼働状態のラベルに変換する。例えば、クラスタ中心における位置ベクトルのノルムは、停止<アイドリング≦切削の順に増大するため、ラベル付け部8から受け取った各クラスタ中心のノルムを昇順にソートし、その配列番号をラベルとするとよい。
なお、装置の稼働状態のラベルとしては、停止状態、アイドリング状態、切削状態に限るものではなく、各装置特有の作業に応じて適宜適切なラベルを作成すればよい。これは、以降の説明においても同様である。
図3は特徴量の分布の一例を示す。
図3の各点は、センサ部2が取得したある期間の時系列データから特徴量抽出部5が抽出した特徴量を表す。同一の設備の稼働状態から抽出された特徴量は類似した値を持つ傾向があるため、同一のクラスタに属する点は同一の設備状態から生成されたと考えることができる。クラスタリング部6で生成されるクラスタ中心は、各クラスタを代表する点の座標であり、その値は主成分ベクトルの取り方や、設備の種類、工具、加工条件などによって異なる。
しかし工作機械の特徴量は消費エネルギーを反映するため、各クラスタ中心のノルムは停止<アイドリング≦切削の順に増大し、相対的な位置関係は設備の種類などに依存しない。従って、各クラスタ中心のノルムを昇順にソートすることで、自動的に各クラスタを設備状態に対応させることができる。例えば、図3では左下から右上にかけて順に停止、アイドリング、切削のクラスタが並ぶ。
次に、図1に戻り、ラベル付け部8は、事前知識部7から転送された工作機械1の稼働状態のラベルと対応するクラスタに属する特徴量に当該ラベルを付し、ラベル付き特徴量メモリ9に格納する。クラスタの特徴量とは、例えばクラスタの分布を表すパラメータ(平均・分散など)でもよく、そのクラスタに属する特徴量の一部または全てであってもよい。
ラベル付き特徴量メモリ9は、特徴量と特徴量が属するクラスタの装置の稼働状態のラベルを紐づけたデータとして保存し、データベースを作成する。
状態判定部10は、特徴量抽出部5から転送されたラベルなし特徴量とラベル付き特徴量メモリ9に格納されたデータベースにある装置の稼働状態のラベル付き特徴量のデータとを比較して、ラベルなし特徴量に付すべきラベルを判定し、ネットワーク12を介して判定結果とタイムスタンプを生産管理システム11に転送する。
ここで、タイムスタンプとは、状態判定部10が判定した時間の情報または判定結果を出力した時間の情報等のことである。ラベルの判定方法は、例えばクラスタリング部に混合ガウスモデルを用いた場合、モデルのパラメータである平均、分散、混合比から、ラベルなし特徴量があるクラスタに属する確率を直接計算し、確率が最大となるクラスタに属すると判定する。k-means法を用いた場合は、ユークリッド距離が最も近いラベル付き特徴量と同一のクラスタに属するとして判定する。
学習初期にはデータ数が少ないため、状態判定を誤る場合がある。そこで、タイムスタンプを付与した判定結果を図示しないサーバ(記憶装置)上に保持し、後に判定結果を図示しない入力部などから訂正可能とすることで、生産シミュレーション精度を向上できる。
生産管理システム11は、ネットワーク12を介して状態識別部3から工作機械1の稼動状態を示すラベルを取得し、生産シミュレーションを実行する。生産シミュレーションは、例えば複数設備の稼動状態から生産工程の時間推移を模擬し、製造物間の処理優先度を決めるための計算を行う。また、生産シミュレーションの実行結果から生産計画を生成し、ネットワーク12を介して作業者や設備に指示を送信する。
図4は本実施例における装置の稼働状態判定のフローチャートの一例である。工作機械1が稼動を開始すると(400)、センサ部2は取得したデータを特徴量抽出部5に転送する(401)。
特徴量抽出部5は、センサ部2から受け取ったデータを高速フーリエ変換し、振幅の絶対値と主成分ベクトルとの内積を計算して結果を統計的学習部4と状態判定部10に転送する(402)。なお、転送する結果は、上述したように特徴量である。
状態判定部10では、まずクラスタリング部6で特徴量をクラスタリング処理し、各クラスタ中心の位置ベクトルをラベル付け部に転送する(403)。
ラベル付け部8は、クラスタ中心における位置ベクトルのノルムを計算し、事前知識部8を参照してノルムの小さい順に停止・アイドリング・切削と装置の稼働状態のラベル付けをし、ラベル付き特徴量メモリ9にクラスタ中心とラベルを格納する(404)。
状態判定部10は、特徴量抽出部5からラベルなし特徴量を受け取ると、ラベル付き特徴量メモリ9を参照し、ラベルなし特徴量の属するクラスタの装置の稼働状態のラベルを判定し、タイムスタンプを付与して生産管理システム11に送信する(405)。
生産管理システム11は生産シミュレーションを実行して生産計画を生成し(406)、作業者へ指示を送信する(407)。
作業者が生産管理システムの指示を受信し、処理を終了する(408)。
一度設定して固定した閾値を用いて設備状態を判定する方法では、工作機械の種類や工具・ワーク・加工条件の変化によって特徴量が変化する場合は、その都度閾値を再設定する必要があり、装置の稼働状態識別の自動化が困難であり、その判別結果の精度も高くない。対して、本実施例では、装置の稼働状態識別において、特徴量の分布(クラスタ)を自動的に作成し、各クラスタ間の相対的な位置関係でラベル付けを行うため、特徴量変化に自動的に対応可能である。従って、本実施例では、自動的に装置の稼働状態を精度よく判定することができる。
また、センサ部2で取得したデータをエッジで処理したものや状態判定部10で判定した結果など意味のある情報に絞って生産管理システム11に転送するため、ネットワーク負荷を低減しつつ、工場内全設備の稼動状態見える化を実現し、生産シミュレーションを高精度化できる。
本実施例では、図5、6を用いて、設備管理装置において、特徴量分布であるクラスタに関する事前知識が無い場合や、切削異常などが原因で事前知識ではラベル付け不可能な未知のクラスタが発見された場合に、ユーザにアラートを送信し、ラベル付けを作業者に委ねることで半教師あり学習を行う仕組みを設け、未知の状態に対応可能とする一例を説明する。
図5は、本実施例の設備管理装置の一例の構成図である。
設備管理装置499は、図1の設備管理装置99の事前知識部7に加えて、事後知識部401、ユーザ入力部402を有する。
本実施例においては、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成とその構成が持つ同一の機能については説明を省略する。
本実施例では、ラベル付データ作成部13は、クラスタリング部6で特徴量を分類してラベル付けされていない新たなクラスタを作成した場合、当該新たなクラスタに属する特徴量にアラートのラベルを付したデータを作成する。このとき、ラベル付け部8は、新たなクラスタに既知のクラスタに使用していない識別番号を付与する。事前知識部7は、ラベル付け部8が付与した識別番号にアラートの意味を付加した識別番号に変換し、ラベル付け部8に出力する。ラベル付け部8は、アラートの識別番号が付与されたクラスタに属する特徴量にアラートのラベルを付与したデータを作成し、出力する。
ユーザ入力部402は、ユーザからの入力により、ネットワーク12を介してアラートのラベルが付されたデータに装置の稼働状態のラベルを付し直す。事後知識部401は、ユーザ入力部402で装置の稼働状態のラベルを付し直したデータを格納する。ラベル付け部8は、ユーザによりラベルを付し直され、事後知識部401に格納されたデータに基づき、未知のクラスタが装置の稼働状態のラベルに対応することを学習する。これにより、以降、ラベル付け部は、未知だったクラスタに属していた特徴量に装置の稼働状態のラベルを付したデータを作成することができる。
図6は、本実施例において、未知クラスタが発見された場合の処理方法を示すフローチャートの一例である。
クラスタリング部6が未知クラスタを作成すると(600)、ラベル付け部8は未知クラスタにアラートラベルを付与し、ラベル付き特徴量メモリ9に格納する(601)。
状態識別部10はネットワーク12を介してアラートラベルを生産管理システム11に転送する(602)。
生産管理システム11はアラートラベルを受信すると、ネットワーク12を介してユーザーにアラートを送信する(603)。
アラートを受け取ったユーザーはアラートラベルが付与された未知ラベルにラベル付けを行う(604)。
以上で処理を終了する(605)が、ユーザーの行ったラベル付けは事後知識部401が記憶しており、以降ラベル付け部8は事後知識部401を参照して半教師あり学習によるラベル付けを行う。
本実施例では、クラスタリング部6が未知のクラスタを作成した場合に、ユーザに正しい装置の稼働状態を表すラベルを付与するように促すことで、精度良く装置の稼働状態を判定することができる。特に、管理装置で装置の稼働状態を監視し始めた段階において、適切なラベルを付与することができるので、学習後の装置の稼働状態の判定精度が高くなる。
本実施例では、図7、8を用いて、設備管理装置において、工作機械などの設備・装置から事前に工具や加工条件に関する情報が入手可能である場合に、特徴量データベースを参照して適合するラベル付き特徴量をインストールし、装置の稼働状態の判定を高精度化する一例について説明する。
図7は、本実施例の設備管理装置の一例の構成図である。本実施例においては、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成とその構成が持つ同一の機能については、説明を省略する。
設備管理装置699は、図1の管理装置99がネットワーク12を介して特徴量データベース601と接続された構成を有する。
特徴量データベース601には、例えば工作機械の種類、工具、ワーク、加工条件などの工程情報と、過去にその工程で得られた停止状態、アイドリング状態、切削状態等のラベル付き特徴量が入力され、保存されている。特徴量データベース601は、工作機械の種類、工具、ワーク、加工条件などの工程情報に基づき、装置の稼働状態を表すラベルが付されたラベル付き特徴量を検索し、設備状態識別部3のラベル付き特徴量メモリ9に転送する。これにより、設備管理装置699を稼働した初期段階でラベル付き特徴量メモリ9に十分なデータがなくても、入力されたラベル付き特徴量のデータに基づき、精度良く装置の稼働状態を判定することができる。
図8は、本実施例の処理を説明するフローチャートである。
工作機械1が稼動を開始すると(800)、工作機械1はネットワーク12を介して工具・加工条件などの工程情報を特徴量データベース601へ転送する(801)。
特徴量データベース601は工程情報を受け取ると、特徴量データベースの中で適合する工程情報のラベル付き特徴量を検索し、ラベル付き特徴量メモリ9に装置の稼働状態を表すラベル付き特徴量を転送し(802)、処理を終了する(803)。
その他の処理は実施例1と同様であるため、説明は省略する。
本実施例では、クラスタリング部6が特徴量分布(クラスタ)を自動的に作成し、ラベル付データ作成部13がクラスタに応じたラベルを特徴量に付して学習するため、事前のデータベースは不要であるが、学習初期はデータ数が少く、ラベル付けを誤る場合がある。そこで、事前に装置の稼働状態を表すラベル付き特徴量を入手可能である場合はこれを利用することで学習初期の装置の稼働状態の判定を高精度化できる。
本実施例では、図9、10を用いて、設備管理装置において、工具の折れなどの切削異常を検知した場合に、工作機械の動作を停止する一例を説明する。本実施例においては、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成とその構成が持つ同一の機能については、説明を省略する。
図9は、本実施例の設備管理装置の一例の構成図である。
設備管理装置899は、図1の管理装置99に異常検知部801を加えた構成を有する。
異常検知部801は、特徴量抽出部5からラベルなしの特徴量を受け取り、装置の稼働状態を表すラベル付きの特徴量のデータを格納したラベル付き特徴量メモリ9を参照し、ラベルなし特徴量の異常度を計算する。異常検知部801は、異常度が閾値以上の場合には異常と判定して異常を検知し、ネットワーク12を介して生産管理システム11にアラートを送信(出力)する。
異常度の定義としては、例えばクラスタリング部6が混合ガウスモデルのアルゴリズムを用いている場合には、負の対数尤度を用いることが考えられる。また、その他の異常度の定義として、ラベルなしの特徴量とラベル付きの特徴量のそれぞれの位置を表す位置ベクトルのノルム同士の差をとってもよい。
生産管理システム11はアラートを受信すると、ネットワーク12を介して工作機械1に停止命令を送信して工作機械1を停止させる。作業者には、ネットワーク12を介して図示しない表示器などに表示して停止命令を知らせてもよいし、音声やアラームなどにより知らせてもよい。
図10は、本実施例の処理を説明するフローチャートの一例である。
工作機械1が動作を開始すると(1000)、実施例1と同様の処理が行われ、特徴量抽出部5は抽出したラベルなし特徴量を状態判定部10と異常検知部801に転送する。
異常検知部801は、特徴量抽出部5からラベルなし特徴量を受け取ると、装置の稼働状態のラベルを付した特徴量のデータを格納しているラベル付き特徴量メモリ9を参照し、ラベルなし特徴量の異常度を計算する(1001)。
異常度が閾値以上の場合は異常と判定し、異常検知部801はネットワーク12を介して生産管理システム11にアラートを送信(出力)する(1002)。
生産管理システム11は、異常検知部801からアラートを受信すると、ネットワーク12を介して作業者と工作機械1に停止命令を送信する(1003)。
工作機械1が動作を停止して処理を終了する(1004)。
その他の処理は、実施例1と同様なので説明は省略する。
本実施例によれば、装置が異常な運転となった場合に、装置を停止することができるので安全な設備管理装置を提供することができる。また、異常と判断された特徴量をクラスタリング部でクラスタリング処理し、ラベル付データ作成部で異常運転のラベルを付した特徴量のデータを作成することで、異常運転となる特徴量のクラスタのデータを取得することができ、装置の管理をより精度よくすることができる。
本実施例では、図11、12を用いて、設備管理装置において、装置の稼働状態の判定結果の誤りを後から訂正する例を説明する。本実施例においては、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成とその構成が持つ同一の機能については、説明を省略する。
図11は、本実施例の設備管理装置の一例の構成図である。
設備管理装置1099は、図1の設備管理装置99に、判定結果保持サーバ1001(記憶装置)を加えた構成を有する。
判定結果保持サーバ1001は、状態判定部10が送信したタイムスタンプと判定結果を保持する。判定結果保持サーバ1001は、状態判定部10が判定結果に付されている誤ったラベルを正しいラベルへ変換する変換規則をネットワーク12を介して出力してきた場合に、保持している判定結果のラベルを当該変換規則に応じて書き換える。すなわち、状態判定部10は、ラベル付きメモリ9に格納されているデータが、学習を通じて正しい装置の稼働状態のラベルを付した特徴量のデータに置き換わった場合に、判定結果保持サーバ1001が保持する判定結果を修正する。これにより、より精度よく設備の管理をすることができる。
なお、学習を通じて正しい装置の稼働状態のラベルを付した特徴量のデータに置き換わった場合については、下記の処理で説明する。
図12は、本実施例において、過去の状態判定部10の判定結果に誤りが発見された場合の処理を説明するフローチャートである。
過去の状態判定部10の判定結果に誤りが発見されると処理を開始し(1200)、状態判定部10はネットワーク12を介して誤ったラベルを正しいラベルへ変換する変換規則を判定結果保持サーバ1001に転送する(1201)。変換規則としては、例えば過去の状態判定部10での判定に用いたラベル付き特徴量メモリのラベルにおいて、「切削」を意味するラベルが「2」で「アイドリング」を意味するラベルが「1」であり、「アイドリング」と判定された結果を「切削」に変換したい場合、例えば[1 2]のような数値配列を転送する。
判定結果保持サーバ1001は状態判定部10からラベルの変換規則を受け取ると、変換規則に従って保持したラベルを変換し、生産管理システム11にラベルが変換された旨を通知する(1202)。
生産管理システム11は判定結果保持サーバ1001からラベルが変換された旨の通知を受け取ると、判定結果保持サーバ1001内のタイムスタンプと訂正された判定結果を用いて生産シミュレーションを再度実行し(1203)、処理を終了する(1204)。
その他の処理は実施例1と同様であるため、説明を省略する。
過去の判定結果の誤りを発見する方法としては、例えば以下のような方法がある。ラベル付き特徴量メモリ9には各クラスタの特徴量と対応するクラスタのラベルが格納されているため、ラベル付け部8がラベル付き特徴量メモリ9を更新する際に、更新前のラベル付き特徴量と更新後のラベル付き特徴量を比較し、特徴量が同一であるにも関わらずラベルが異なる場合には過去の判定結果に誤りがあると判断できる。
この場合、ラベル付き特徴量メモリ9は、過去の判定結果に誤りがあること、および、正しいラベルの情報を状態判定部10に転送する。状態判定部10は、転送された情報に基づいて、判定結果保持サーバ1001の判定結果に正しいラベルを付し直す。これにより、自動的に装置の管理情報の修正をすることができる。
本実施例によれば、設備管理装置1099が自動的に過去の判定結果を修正することができるので、判定結果の精度を高めることができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
99…設備管理装置
1…工作機械、2…センサ部、3…設備状態識別部、4…統計的学習部、5…特徴量抽出部、6…クラスタリング部、7…事前知識部、8…ラベル付け部、9…ラベル付き特徴量メモリ、10…状態判定部、11…生産管理システム、12…ネットワーク、13…ラベル付データ作成部、499、699、899、1099…設備管理装置、401…事後知識部、601…特徴様データベース、801…異常検知部、1001…判定結果保持サーバ

Claims (11)

  1. 装置の稼働状態に関するデータを取得するデータ取得部と、
    前記データ取得部で取得したデータに基づいて特徴量を抽出する特徴量抽出部と、
    前記特徴量抽出部で抽出した特徴量を分類してクラスタを作成するクラスタリング部と、
    前記クラスタリング部で前記分類した特徴量に、前記分類した特徴量が属するクラスタに付された前記装置の稼働状態のラベルを付したデータを作成するラベル付データ作成部と、
    前記ラベル付データ作成部で作成されたデータを格納する記憶部と、
    前記特徴量抽出部で抽出した特徴量と前記記憶部に格納されたデータとに基づいて前記装置の稼働状態を判定して判定結果を出力する状態判定部とを備え
    前記ラベル付データ作成部は、
    前記クラスタリング部で作成されたクラスタにラベルを付すラベル付け部を備え、
    前記クラスタリング部で作成されたクラスタ間の相対的な位置に基づいて、前記ラベル付け部でラベル付けされたクラスタの前記ラベルを前記装置の稼働状態の前記ラベルに変換する事前知識部を有し、
    前記ラベル付け部は、前記クラスタリング部で前記分類した特徴量に、前記事前知識部で変換された、当該特徴量が属するクラスタの前記装置の稼働状態の前記ラベルを付すことを特徴とする設備管理装置。
  2. 請求項に記載の設備管理装置であって、
    前記状態判定部は、判定した前記装置の稼働状態の判定結果に、判定した時間の情報を付して出力し、
    当該設備管理装置は、さらに、前記状態判定部から出力された前記時間の情報が付された前記判定結果を格納する記憶装置を備え、
    前記記憶装置に格納された前記判定結果は、変更可能であることを特徴とする設備管理装置。
  3. 請求項1に記載の設備管理装置であって、
    前記ラベル付データ作成部は、前記クラスタリング部で前記特徴量を前記分類して新たなクラスタを作成した場合、当該新たなクラスタに属する前記特徴量にアラートの前記ラベルを付したデータを作成することを特徴とする設備管理装置。
  4. 請求項に記載の設備管理装置であって、
    前記ラベル付データ作成部でアラートの前記ラベルが付されたデータに前記装置の稼働状態の前記ラベルを付すユーザ入力部と、
    前記ユーザ入力部で前記装置の稼働状態の前記ラベルを付したデータを格納する事後知識部とを備え、
    前記ラベル付データ作成部は、前記事後知識部に格納したデータに基づいて、前記装置の稼働状態の前記ラベルを付したデータを作成することを特徴とする設備管理装置。
  5. 請求項1に記載の設備管理装置であって、
    前記装置の稼働状態の前記ラベルを付した前記特徴量のデータを入力できる特徴量データベースを備え、
    前記特徴量データベースは、入力されたデータを前記記憶部に出力することを特徴とする設備管理装置。
  6. 請求項1に記載の設備管理装置であって、
    前記特徴量抽出部で抽出された前記特徴量と前記記憶部に格納されたデータに基づいて異常を検知する異常検知部を備え、
    前記異常検知部は、異常を検知した場合にアラートを出力することを特徴とする設備管理装置。
  7. 請求項に記載の設備管理装置であって、
    前記異常検知部がアラートを出力した場合に、前記装置を停止させる生産管理システムを備えることを特徴とする設備管理装置。
  8. 装置の稼働状態に関するデータを取得するデータ取得部と、
    前記データ取得部で取得したデータに基づいて特徴量を抽出する特徴量抽出部と、
    前記特徴量抽出部で抽出した特徴量を分類してクラスタを作成するクラスタリング部と、
    前記クラスタリング部で分類した特徴量に、当該分類した特徴量が属するクラスタに付された前記装置の稼働状態のラベルを付したデータを作成するラベル付データ作成部と、
    前記ラベル付データ作成部で作成されたデータを格納する記憶部と、
    前記特徴量抽出部で抽出した特徴量と前記記憶部に格納されたデータとに基づいて前記装置の稼働状態を判定して判定結果を出力する状態判定部と、
    前記状態判定部から出力された判定結果を格納する記憶装置を備え、
    前記状態判定部は、前記ラベル付データ作成部で作成されたデータのラベルの情報が書きかえられた場合に、前記記憶装置に格納された前記判定結果を修正することを特徴とする設備管理装置。
  9. 装置の稼働状態に関するデータを取得するデータ取得工程と、
    前記データ取得工程で取得したデータに基づいて特徴量を抽出する特徴量抽出工程と、
    前記特徴量抽出工程で抽出した前記特徴量を分類してクラスタを作成するクラスタリング工程と、
    前記クラスタリング工程で前記分類した前記特徴量に、前記特徴量が属するクラスタに付された前記装置の稼働状態のラベルを付したデータを作成するラベル付データ作成工程と、
    前記ラベル付データ作成工程で作成されたデータを格納する記憶工程と、
    前記特徴量抽出工程で抽出した前記特徴量と前記記憶工程で格納されたデータとに基づいて前記装置の稼働状態を判定して判定結果を出力する状態判定工程とを備え
    前記ラベル付データ作成工程は、
    前記クラスタリング工程で作成されたクラスタにラベルを付すラベル付け工程を備え、
    前記クラスタリング工程で作成されたクラスタ間の相対的な位置に基づいて、前記ラベル付け工程でラベル付けされたクラスタの前記ラベルを前記装置の稼働状態の前記ラベルに変換する事前知識工程を有し、
    前記ラベル付け工程では、前記クラスタリング工程で前記分類した前記特徴量に、前記事前知識工程で変換された、前記特徴量が属するクラスタの前記装置の稼働状態の前記ラベルを付すことを特徴とする設備管理方法。
  10. 請求項に記載の設備管理方法であって、
    前記状態判定工程では、判定した前記装置の稼働状態の判定結果に、判定した時間の情報を付して出力し、
    当該設備管理方法は、さらに、前記状態判定工程から出力された前記時間の情報が付された前記判定結果を格納する判定結果記憶工程を備え、
    前記判定結果記憶工程で格納された前記判定結果は、修正可能であることを特徴とする設備管理方法。
  11. 請求項に記載の設備管理方法であって、
    前記ラベル付データ作成工程では、前記クラスタリング工程前記特徴量を前記分類して新たなクラスタを作成した場合、当該新たなクラスタに属する前記特徴量にアラートの前記ラベルを付したデータを作成することを特徴とする設備管理方法。
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