JP6448932B2 - 保守用車及び衝突防止方法 - Google Patents
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Description
保守用車を使用して線路の保守作業を行う場合、保守用車に搭載されている軌道短絡器を動作させて走行する、所謂、短絡走行を行って軌道回路を短絡して、軌道リレーに信号電流が流れなくすることで保守用車の在線状況を検知させて、信号機を停止現示(赤信号)にすることにより、閉塞区間への他の列車の進行を禁止して、保守用車と列車との衝突を防止している。
鉄道設備の保守作業に用いる保守用車において、
前記保守用車に設置され、軌道回路を短絡或いは絶縁する軌道短絡器と、
前記保守用車の位置を測位する測位手段と、
前記保守作業を行うための区間であって少なくとも絶縁走行区間と短絡走行区間とが混在している区間の走行区間種別情報をサーバから取得する通信手段と、
前記測位手段の測位結果に基づき前記保守用車の在線位置を取得し、前記保守用車の前記在線位置における前記走行区間種別情報に基づき指令手段により前記軌道短絡器の動作状態を切り換えて短絡走行、或いは、絶縁走行させる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記保守用車の前記在線位置における前記走行区間種別情報が絶縁走行区間から短絡走行区間に変更になる場合、前記短絡走行区間の走行距離が所定距離に達するまで絶縁走行するように、前記軌道短絡器の動作状態を変更しない処理を実行し、
また、前記制御手段は、前記保守用車の前記在線位置における前記走行区間種別情報が短絡走行区間から絶縁走行区間に変更になる場合、前記絶縁走行区間までの残りの距離が所定距離よりも小さくなった時点で絶縁走行するように、前記軌道短絡器の動作状態を変更する処理を実行するようにしたものである。
特に、車載装置の制御手段が保守用車の在線位置が短絡走行区間の場合であっても当該走行距離が所定距離に達するまで軌道短絡器を動作させて軌道回路を短絡させないことにより、測位手段による保守用車の在線位置の取得誤差に起因した絶縁走行区間での短絡走行をすることを防止できるので、所定距離の値を適宜設定することで、踏切の警報等による一般道路の交通障害を防止することができ、適宜変更される絶縁走行区間と短絡走行区間とが混在している区間で保守作業する場合であっても保守用車の軌道短絡器を確実に切り替えることができて短絡走行区間における保守用車と列車との衝突を防止することができる。
また、車載装置の制御手段が保守用車の在線位置が短絡走行区間から絶縁走行区間に変更になる場合に絶縁走行区間までの残りの距離が所定距離よりも小さくなった時点で軌道短絡器の動作状態を変更することにより、測位手段による保守用車の在線位置の取得誤差に起因した絶縁走行区間での短絡走行をすることを防止できるので、所定距離の値を適宜設定することで、踏切の警報等による一般道路の交通障害を防止することができ、適宜変更される絶縁走行区間と短絡走行区間とが混在している区間で保守作業する場合であっても保守用車の軌道短絡器を確実に切り替えることができて短絡走行区間における保守用車と列車との衝突を防止することができる。
GPSにより保守用車の位置(緯度経度)を測位し、キロ程と緯度経度との関係を示す情報に基づき保守用車の在線位置を取得することにより、軌道内に別途在線位置を把握する認識プレートを設ける必要がなく、車載装置単独で保守用車の在線位置を取得することができる。
車載装置の制御手段が、少なくとも線名、線路名、開始キロ程、終了キロ程、走行区間種別から成る前記走行区間種別情報に基づき前記軌道短絡器の動作状態を切り換えることにより、サーバ上に記憶された最新の少なくとも線名、線路名、開始キロ程、終了キロ程、走行区間種別から成る走行区間種別情報に基づき保守用車の軌道短絡器を自動に切り替えることができるので、適宜変更される絶縁走行区間と短絡走行区間とが混在している区間で保守作業する場合であっても保守用車の軌道短絡器を自動に切り替えることができ、短絡走行区間における保守用車と列車との衝突を防止することができる。
車載装置の制御手段が踏切制御子を短絡することなく軌道回路だけを短絡することで走行可能な区間においてフィルタ機能を有効にすることにより、踏切の警報等を作動させることなく軌道回路を短絡して信号機を停止現示にすることができるので、短絡走行区間における保守用車と列車との衝突を防止することができる。
鉄道設備の保守作業に用いる保守用車の衝突防止方法であって、
前記保守用車に設置された車載装置の測位手段の測位結果に基づき前記保守車両の在線位置を取得するステップと、
前記保守作業を行うための区間であって少なくとも絶縁走行区間と短絡走行区間とが混在している区間の走行区間種別情報をサーバから取得するステップと、
前記保守用車の前記在線位置における前記走行区間種別情報に基づき前記保守用車に設置された軌道短絡器の動作状態を切り換えて短絡走行、或いは、絶縁走行させる制御ステップと、
を含み、
前記制御ステップにおいては、前記保守用車の前記在線位置における前記走行区間種別情報が絶縁走行区間から短絡走行区間に変更になる場合、前記短絡走行区間の走行距離が所定距離に達するまで絶縁走行するように、前記軌道短絡器の動作状態を変更しない処理を実行し、また、前記保守用車の前記在線位置における前記走行区間種別情報が短絡走行区間から絶縁走行区間に変更になる場合、前記絶縁走行区間までの残りの距離が所定距離よりも小さくなった時点で絶縁走行するように、前記軌道短絡器の動作状態を変更する処理を実行するようにしたものである。
[1.構成の説明]
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態である保守車両の衝突防止システム及び衝突防止方法を詳細に説明する。但し、発明の範囲は、図示例に限定されない。
図1に示す保守車両の衝突防止システム100は、保守作業情報が蓄積された保守作業情報データベースDB11及び走行区間種別情報が蓄積された走行区間種別情報データベースDB12を有するサーバ1と、線路RL上を走行する軌陸車や保守用車等の保守車両CAに設置されネットワークNTによりサーバ1と接続される車載装置2により構成される。
また、保守車両CAに、軌道短絡器TSが装備されている場合には、車載装置2は、当該警報出力と共に軌道短絡器TSが短絡状態になるように指令する。
また、測位手段23としては、予め緯度経度が分かっている基地局でGPSによる測位を行って実際の緯度経度との誤差を求めておき、当該誤差を用いて被測位地点におけるGPSによる測位のデータを補正することより測位精度を向上させたD−GPS(Differential GPS)を用いても良い。
ここで、本発明の実施形態における衝突防止システム100の具体的な動作の説明を図3、図4、図5、図6及び図7を用いて詳細に行う。
図3は、車載装置2の制御手段21の誤載線や逸走時の動作を説明するフローチャートである。
例えば、図4は、記憶手段24に記憶されている鉄道GIS情報の一例を示すものであり、鉄道GIS情報とは、線名、線路名及びキロ程等に、緯度経度情報が対応付けられた情報である。
このため、車載装置2の制御手段21は、測位手段23で得られた緯度経度情報に基づき鉄道GIS情報を参照することにより、保守車両CAが在線する線名、線路名及びキロ程等の在線位置を取得することができる。
また、例えば、図5に示すように保守車両CAの在線位置に基づき表示手段25に表示させた配線略図上であって、保守車両CAの在線位置に保守車両アイコンCA51を表示させることにより、保守作業者に現状の在線状況を把握させることができる。また、ただ単に、在線位置である保守車両CAが在線する線名、線路名及びキロ程等の情報を表示させるものであっても良い。
このように、在線位置を車載装置2の表示手段25に表示させることにより、保守車両CAの現在の在線位置を把握できて保守車両CAの支障区間外への逸走の可能性を把握できるので、保守車両CAを停車させる等の措置を講じることができ、保守車両CAの支障区間外への逸走を防止することができる。
例えば、図6は、サーバ1から取得した保守作業情報の一例を示すものであり、支障区間に対する作業番号、支障、線名、駅名・駅間、線路名、開始キロ程及び終了キロ程等の情報である。また、保守作業情報としては、支障区間の着手情報或いは解除情報も含まれる。
このため、車載装置2の制御手段21は、保守作業情報の線名、線路名、開始キロ程及び終了キロ程とを突合せることにより、設定された支障区間毎の隣接関係や保守車両の移動可能範囲を求めることができる。
例えば、図7に示すように、図6の保守作業情報における「支障01」及び「支障02」は分岐線の中間の地点(「2k250」及び「1k250」)で互いに隣接しており、「支障01」はX線上り本線上のキロ程「2k100」〜「2k900」までの範囲SE81、「支障02」はY線下り本線上のキロ程「1k000」〜「1k800」までの範囲SE82がそれぞれの移動可能範囲として求められる。
例えば、ブザー(警報音)を鳴らすと共に表示手段25に警報画面を表示させる、或いは、音声により逸走、或いは、誤載線である警報を発報する等して保守作業者に、保守車両CAが移動可能範囲外に逸走した、或いは、移動可能範囲以外に載線されたことを認識させ、保守車両CAに対して必要な衝突回避措置(例えば、誤載線した軌陸車の撤去、移動可能範囲内への待避、別途携帯している軌道短絡器により軌道回路を短絡等)を講じさせる。
このため、ステップS38やS34において、ステップS31に戻ることにより、ステップS31〜S33の動作が一定周期で繰り返されることになるので、最新の保守作業情報等に基づき移動可能範囲外への逸走や誤載線を判断することができる。
ここで、本発明の実施形態における衝突防止システム100の軌道短絡器の自動切替の動作の説明を図8及び図9を用いて詳細に行う。但し、[2.誤載線や逸走時の動作の説明]と同じ説明に関しては適宜省略する。
図8は、車載装置2の制御手段21の軌道短絡器TSの動作状態の自動切替の動作を説明するフローチャートである。図8においては、保守車両CAとして、軌道回路に用いられる信号電流の周波数成分のみを通過させるフィルタ機能を有する軌道短絡器TSを装備した保守用車を想定して説明する。
例えば、図9は、サーバ1から取得した走行区間種別情報の一例を示すものであり、線名、駅名・駅間、線路名、開始キロ程、終了キロ程、走行区間種別(絶縁走行、短絡走行、短絡走行(フィルタ機能使用))等の情報である。
このため、車載装置2の制御手段21は、在線位置に基づきサーバ1から取得した走行区間種別情報を参照することにより、保守車両(保守用車)CAが在線している区間の走行区間種別情報(絶縁走行、短絡走行、短絡走行(フィルタ機能使用))を取得することができる。
一方、車載装置2の制御手段21が、車載装置2が設置された保守車両(保守用車)CAの在線位置が絶縁走行区間ではないと判断した場合(ステップS84:No)、当該車載装置2が設置された保守車両(保守用車)CAの在線位置ではフィルタ機能を使用するか否かを判断する(ステップ86)。
このため、ステップS89において、ステップS81に戻ることにより、ステップS81〜S83の動作が一定周期で繰り返されることになるので、最新の走行区間種別情報に基づき軌道短絡器TSを自動的に切り替えることができる。
この場合には、保守車両CAの支障区間外への逸走の可能性を把握できるので、保守車両CAを停車させる等の措置を講じることができ、保守車両CAの支障区間外への逸走を防止することができる。
この場合には、測位手段による保守車両CAの在線位置の取得誤差に起因して逸走前に警報が出力されることが防止できるので、所定距離の値を適宜設定することにより誤警報による保守作業の中断や、他の列車の運行の障害になることを抑制することができる。
この場合には、最新の情報(着手或いは解除)を把握することができるので、移動可能範囲を最新の情報に更新することができ、保守車両が設定された支障区間以外への載線や、保守車両の支障区間外への逸走を認識できる。
もちろん、構造的に軌道回路を短絡ができない保守車両である軌陸車を使用する場合には、図9等に関する軌道短絡器の自動切替の動作は適用されない。
この場合には、測位手段による保守車両(保守用車)CAの在線位置の取得誤差に起因した絶縁走行区間での短絡走行をすることを防止できるので、所定距離の値を適宜設定することにより、踏切の警報等による一般道路の交通障害を防止することができ、適宜変更される絶縁走行区間と短絡走行区間と混在している区間で保守作業する場合であっても保守車両(保守用車)CAの軌道短絡器を確実に切り替えることができて短絡走行区間における保守車両(保守用車)CAと列車との衝突を防止することができる。
この場合には、測位手段による保守車両(保守用車)CAの在線位置の取得誤差に起因した絶縁走行区間での短絡走行をすることを防止できるので、所定距離の値を適宜設定することにより、踏切の警報等による一般道路の交通障害を防止することができ、適宜変更される絶縁走行区間と短絡走行区間と混在している区間で保守作業する場合であっても保守車両(保守用車)CAの軌道短絡器を確実に切り替えることができて短絡走行区間における保守車両(保守用車)CAと列車との衝突を防止することができる。
2 車載装置
21 制御手段
22 通信手段
23 測位手段
24 記憶手段
25 表示手段
26 指令手段
100 衝突防止システム
CA 保守車両(保守用車)
TS 軌道短絡器
NT ネットワーク
DB11 保守作業情報データベース
DB12 走行区間種別情報データベース
Claims (5)
- 鉄道設備の保守作業に用いる保守用車において、
前記保守用車に設置され、軌道回路を短絡或いは絶縁する軌道短絡器と、
前記保守用車の位置を測位する測位手段と、
前記保守作業を行うための区間であって少なくとも絶縁走行区間と短絡走行区間とが混在している区間の走行区間種別情報をサーバから取得する通信手段と、
前記測位手段の測位結果に基づき前記保守用車の在線位置を取得し、前記保守用車の前記在線位置における前記走行区間種別情報に基づき指令手段により前記軌道短絡器の動作状態を切り換えて短絡走行、或いは、絶縁走行させる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記保守用車の前記在線位置における前記走行区間種別情報が絶縁走行区間から短絡走行区間に変更になる場合、前記短絡走行区間の走行距離が所定距離に達するまで絶縁走行するように、前記軌道短絡器の動作状態を変更しない処理を実行し、
また、前記制御手段は、前記保守用車の前記在線位置における前記走行区間種別情報が短絡走行区間から絶縁走行区間に変更になる場合、前記絶縁走行区間までの残りの距離が所定距離よりも小さくなった時点で絶縁走行するように、前記軌道短絡器の動作状態を変更する処理を実行することを特徴とする保守用車。 - 前記制御手段は、GPSにより測位した緯度経度情報及びキロ程と緯度経度との関係を示す情報に基づき前記保守用車の在線位置を取得することを特徴とする請求項1に記載の保守用車。
- 前記制御手段は、少なくとも線名、線路名、開始キロ程、終了キロ程、走行区間種別から成る前記走行区間種別情報に基づき前記軌道短絡器の動作状態を切り換えることを特徴とする請求項1又は2に記載の保守用車。
- 前記制御手段は、前記走行区間種別情報に基づき前記軌道短絡器の軌道回路に用いられる電流信号の周波数成分のみを通過させるフィルタ機能を有効にすることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の保守用車。
- 鉄道設備の保守作業に用いる保守用車の衝突防止方法であって、
前記保守用車に設置された車載装置の測位手段の測位結果に基づき前記保守車両の在線位置を取得するステップと、
前記保守作業を行うための区間であって少なくとも絶縁走行区間と短絡走行区間とが混在している区間の走行区間種別情報をサーバから取得するステップと、
前記保守用車の前記在線位置における前記走行区間種別情報に基づき前記保守用車に設置された軌道短絡器の動作状態を切り換えて短絡走行、或いは、絶縁走行させる制御ステップと、
を含み、
前記制御ステップにおいては、前記保守用車の前記在線位置における前記走行区間種別情報が絶縁走行区間から短絡走行区間に変更になる場合、前記短絡走行区間の走行距離が所定距離に達するまで絶縁走行するように、前記軌道短絡器の動作状態を変更しない処理を実行し、また、前記保守用車の前記在線位置における前記走行区間種別情報が短絡走行区間から絶縁走行区間に変更になる場合、前記絶縁走行区間までの残りの距離が所定距離よりも小さくなった時点で絶縁走行するように、前記軌道短絡器の動作状態を変更する処理を実行することを特徴とする衝突防止方法。
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