JP4426874B2 - 列車位置検出管理用の運行サーバ及び列車位置検出管理用の車載機器 - Google Patents
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また運行管理センタにおける列車運行管理では、模式図的なデフォルメ地図を用いているので、それとは別の国土地理院による精密日本地図上に描かれた踏切やポイント等の施設との位置関係が正確には判らない。
更に保守車両については、軌道回路の短絡機能を持っていない。これは保守車両が軌道回路の短絡を行うと、営業車両の運行管理に影響を与えるからである。保守車両で軌陸車と呼ばれるレール上と一般道路の両方を走れる車両がレールに進入する場合、線路を一本間違えても非常に危険な状態になるが、軌陸車自体の位置の把握ができず、侵入したレールの把握も困難であるという課題もある。
また、GPS衛星を利用した測位演算によって車両位置を求める場合であっても、隣接するレール同士を識別するだけの位置分解能が得られず、車両の走行するレールを正確に特定することが出来なかった。
線路の特定のポイントを位置情報と対応させて記憶する線路データベースと、
線路の側にある特定の施設情報を位置情報と対応させて記憶する施設情報データベースと、
走行中の車両の上記車両位置情報と、電子基準点の誤差と面補正パラメータを含む補正データとを用い、上記線路データベースと施設情報データベースとの情報を参照して、測位航法で擬似距離を計算して、車両位置を演算する演算部と、を備えた。
絶対位置を知るために、GPSシステムが有効であることはよく知られている。更にGLONASS衛星や、GALILEO衛星を利用した全地球衛星航法システムなどや、測位衛星や準天頂衛星の利用、次世代GPS、等の利用により、位置情報の利用のし易さや、精度が向上している。この情報を有効利用して、線路上を走行する車両の位置を正確に得る装置、システムを説明する。
図1は本実施の形態における列車位置検出管理システムの構成を示す図である。また図2は、運用に先だって必要な線路データと、施設情報データを収集する動作を示すフロー図であり、図3は準備された線路データベースの例を示す図である。図4は、列車位置検出管理システムの動作を説明するフロー図であり、図5は改良方式のDGPS(Differential Global Positioning System)の説明図である。図6は列車から伝送されるGPSの信号と、PAS(Positioning Augmentation Services;国土位置情報サービス)センタからの補正データの例を示す図であり、図7は列車位置検出管理システムの出力表示例を示す図である。
運行サーバ10は、以下の要素で構成される。各列車に設けられたGPS受信機22からのGPS位置情報を受信する通信部11と、代表的な線路のポイントと地図の位置情報との対応を記憶する線路データベース13と、また各種の施設と地図の位置情報との対応を記憶する施設情報データベース14とを備えている。また、運行サーバ10は、PASセンタ31からの補正位置情報を用いて、列車からのGPS位置情報を補正演算し、線路データベース13と施設情報データベース14とを参照して正確な列車位置を計算する演算部12と、線路を区別した地図上に演算で得られた列車の位置を表示する列車位置表示装置を構成する出力部15とを備えている。
PASセンタ31からは、複数の基準点における誤差と、その基準点に対応した面補正パラメータ(Flaechen korrectur parameter;FKPパラメータ)の値とが、補正データ31aとして入力される。
列車または列車の各車両と運行サーバ10とは、列車無線等のデータ伝送システムで接続されており、運行サーバとPASセンタ31とはインターネット等の通信回線で接続されている。
また、GPS受信機22は、L1搬送波(1575.42MHz)の搬送波位相データ、衛星測位時間データ、エフェメリスデータ、アルマナックデータ、及び擬似距離データなどの観測データを取得する。取得した観測データに基づいて、GPS受信機22は測位航法演算によって単独測位を行い、列車の位置情報を得る。これら得られた観測情報と位置情報は、GPS位置情報として通信部23から送信される。
最初に線路の代表的なポイントのGPS位置データを、測定用車両を用いて得て、地図と対応つける。図5(a)は本実施の形態における改良方式DGPSの位置誤差補正を説明する図であり、電子基準点(以下、基準点)におけるGPS位置誤差eとその周辺における位置誤差が面上に得られることを示している。これを断面表示したものが図5(b)であり、測定点が基準点1の面内にいる場合に、その位置誤差量はe+δeで得られることを示している。
従来のDGPSにおいては、それぞれの基準点における誤差eしか得られず、測定点が基準点から離れるに従って測定点での誤差量が多くなるのに対し、本改良方式のDGPSでは、概念的には、面補正パラメータとして勾配θが与えられる。基準点からδx、δy離れてもtanθを乗算すればδeが得られるので、測定点がかなり離れていても正確な誤差量が判る。実際には、上記勾配としてはFKP平面の南北成分の傾きと東西成分の傾きが与えられる。また、これら傾きを用いて、列車のGPS受信機22の観測情報に基づいて距離依存誤差を演算し、観測情報で得られた測定点の擬似距離を補正することができる。この面補正パラメータは、PASセンタ31において、複数の基準点でGPS衛星信号を観測した観測情報に基づき、位置に依存する遅延量である電離層遅延量、対流圏遅延量、衛星軌道誤差量を求めて、各基準点周りでそれらの遅延量から、最も適切に当てはまるパラメータが求められる。なお、この改良方式のDGPSは、FKP方式で擬似距離を補正するので、FKP−DGPSと呼んでも良い。
図1に示すように、補正データ31aはPASセンター31から運行サーバ10に一方向性のデータとして供給されており、予めPASセンター31の運用会社との契約内容に基づいて、列車の運行業務エリア(例えば、関東地方、東海地方など)内の、線路周辺の全ての基準点に対応した補正情報が供給される。
この改良方式のDGPSの位置精度に関しては測量分野で実績が得られており、測定用の搬送波位相情報を得るキャリア受信機によって精度の差があるが、L1搬送波、L2搬送波の2周波方式ではセンチメートル単位で、1周波方式のものでも0.5〜1メートル単位である。市販の地図は数メートルの誤差がある、と云われているが、それに比べても十分な精度が得られる。
図5(c)では、車両から最も至近距離に存在する基準点が基準点1であるので、この例の場合は、PASセンタ21から出力される補正データ31aの中から、基準点1を参照することによって、基準点1に対応した面補正パラメータを得ることができる。
上記改良方式のDGPSを使用すれば、1m以内の精度を得ることができるので、十分に線路別の識別が出来る。なお、列車への設置上の制約で、GPSアンテナ21を列車の長手方向の中心線上に設置できなくても、数十cm以下のオフセット量であれば、列車の横方向にずらして配置しても良い。
S103では、例えば国土地理院の地図を運行サーバ10に用意しておき、この地図情報に線路のポイントと施設の位置情報を管理用として追記する。
図1と図4を中心に用いて、車両位置を検出する動作を説明する。
先ず運行サーバ10は、列車(車両)からの信号を識別するために、S111で識別用の列車番号を割当てる。
各列車ではS112において、線路を走行する車両に搭載したGPS受信機22が、上空に位置する複数のGPS衛星からの電波に含まれる位置情報をGPSアンテナ21経由で受信、つまりGPS測位する。この場合のキャリア受信機は1周波のものでよい。GPS受信機22は位相信号も受信し、衛星からの情報に含まれる擬似距離、時刻、等から構成される図6(a)に示すRAWデータを通信部23から、S113において列車無線経由で運行サーバ10に送信する。この内容は、識別用の列車ID番号、測位時刻、GPS衛星の名前であるサイトネーム、その位置データ(擬似距離)を含んでいる。
GPS情報を用いて位置を推定する手法は、測位航法として知られている。その際に測定点で得られた測位情報と、同時刻の補正データを用いて補正をする方式を同期方式と呼ぶ。これに対して非同期方式と呼ばれる方式がある。これは測定点で得られた測位情報をそれまでに得られた補正データで補正するものである。測量分野等、時間制限があまり厳しくない分野においては、非同期方式が採用できるが、本実施の形態においても非同期方式でもよい。即ち、それまでに得られた補正データといっても、1ないし2秒毎に補正データが得られるので、精度はそれほど低下せず、測位間隔が100ミリセカンド程度なので、リアルタイム性がある。
なおGPS測位は、トンネルでは受信が出来ないが、車両の運行状態を監視している運行サーバ10では、列車からGPS情報を受けなくても、本構成によれば、それまでの車両の走行状態(測位された位置の単位時間当たりの位置変化や、位置変化の時間変化率など)と線路ポイント通過情報から、車両の所在する線路を特定することができるので、車両の位置を確定できる。また、車両の走行状態と線路ポイント通過情報から、車両が次に通過する線路ポイントを外挿演算によって予測することも可能となる。これによって、例えば車両が次にどの施設(例えば、踏切、駅など)を通過するのかを、より精度の高い位置分解能で予測することができる。また、現在位置と次の通過ポイントとの位置差を、測位された位置の単位時間当たりの位置変化で除算することによって、次の通過ポイントに至るまでの時間を予測することができる。勿論、次の通過ポイントに至るまでの時間を予測する際に、位置変化の時間変化率を併用しても良いことは言うまでもない。
軌陸車と呼ばれる線路(レール)と道路の両方を走れる車両については、線路上を走行開始する場合に特に、正確に位置を知ることが大切である。こうした場合、大抵は踏切等の施設から線路に入ることになり、運用開始に入力部28からの通知や、別途の連絡があればなお容易に、開始位置を表示できる。また入力部28からの入力は、位置情報の較正にも用いることができる。
また、地図と対比した正確で判りやすい位置管理が得られる効果がある。
更に、保守用の車両に対しても、その位置を把握できる効果がある。
運行サーバ10で車両の位置を知る演算を行うのではなくて、各車両で位置を知る演算を行う構成を説明する。
図8は本実施の形態における列車位置検出管理システムの構成を示す図である。また図9は、本実施の形態における列車位置検出管理システムの動作を示すフロー図である。即ち、実施の形態1における演算部を車両内に演算部24として設け、また線路データベース13と施設情報データベース14の一部をコピーした部分データベース25を車両内に設けた構成とする。部分データベース25は、例えばその車両が走行予定の線路の、走行予定区間における線路と施設情報のみをコピーしたものである。
対応して運行サーバ10bは、演算部がなくなり、線路データベースと施設情報データベースから一部のデータを部分データベース25に向けてコピー転送制御し、PASセンタ31からの補正データを車載機器へ転送制御し、また車両の通信部23からの管理用データを受信して管理する制御部16を備える。
ここで部分データベース25には、既に走行線路の走行部分の線路と施設情報がコピーされているとする。運行サーバ10からS111で列車番号の識別番号が与えられる。車両ではS112で、GPS受信機22がGPS測位を行う。一方S115で、運行サーバ10にPASセンタ31から伝送されてくる補正データ31aをS131で車両に送信する。車両ではS132で線路ポイントの情報を部分データベース25から取得し、これらを用いてS133において実施の形態1と同様な演算をする。更にこのステップで演算部24は、車両の位置情報を運行サーバ10bに向けて出力する。即ちこの出力は通信部23を通じて運行サーバ10bに送信する。運行サーバ10bではS119で、この情報に基づいて線路別に走行車両の位置を把握して、管理する。
S134で、構成図においては図示していない列車内モニタに対して図7相当の画面を出力することも出来るし、もっと簡単な車内サービス用の画面に簡易表示することもできる。
この構成によれば、実施の形態1と比べて車両の乗組員が正確な車両の位置情報を把握できるので、例えば踏切までの正確な距離が判り、非常の場合でも適切な処置を講じることができる効果がある。またホーム等での停止に利用することも可能である。
これらの検出された加速度入力と速度入力とを用いて走行距離を得る手法は、慣性航法またはINS(Inertial Navigation System)航法としてよく知られている。従って車両搭載の演算部として慣性航法システムを演算する補完機能を持たせれば、GPSが得られない状態、例えば高架道路の下やトンネル内においても、あるいはGPS衛星の数が少なく、かつ衛星を見る仰角が低くて十分なGPS測位が得られない場合でも補完した慣性航法により、連続して位置情報を得ることができる。そして仰角高く、十分な数のGPS測位が得られると、元の測位航法により位置を得るよう、切り替える。
あるいは、この切り替えを運行サーバ10からの指令で行うようにしてもよい。例えばトンネルに入るという施設情報により、慣性航法に切り替え、トンネルを出たという施設情報により、GPS測位航法に戻るようにしてもよい。
また、慣性航法による位置演算とGPS航法による位置演算とを併用して複合処理する際に、追跡される各GPS衛星から送信される擬似距離情報と慣性航法の車速度情報を利用して、カルマンフィルタに基づくアルゴリズムで慣性航法とGPS測位航法の両システムの誤差を推定する、密結合(タイトカップリング)と呼ばれるアルゴリズムを用いても良い(詳細な情報については、特願2004−000223号を参照)。密結合のアルゴリズムを用いた場合は、GPS測位航法と慣性航法の切り替えが滑らかに行われるとともに、車両のGPS受信機22の捕捉する衛星の数が4つ以下に下がった場合でも、精度の良い測位が可能となる。
更に、実施の形態1においても適用できるが、測位航法の演算においても、位置情報を得る衛星として、運行サーバから進行方向にある特定の測位衛星を選択するよう指示を行うこともできる。
その他のGPSによる位置演算は、実施の形態1と同様に行う。
Claims (4)
- 線路を区別した地図を記憶する列車位置検出管理用の運行サーバにおいて、
線路の特定のポイントにいる測定用車両と線路を走行中の走行車両とから測位衛星の観測に基づく車両位置情報を受信する通信部と、
線路の特定のポイントと特定のポイントの位置情報とを対応させて線路データとして記憶する線路データベースと、
通信部が受信した車両位置情報と、電子基準点の誤差と面補正パラメータを含む補正データとを用い、測位航法で擬似距離を計算して、車両位置を演算し、
通信部が特定のポイントにいる測定用車両から車両位置情報を受信した場合には、演算した車両位置を特定のポイントの位置情報として線路の特定のポイントと対応させて線路データとして線路データベースに記憶し、記憶している地図に対して、特定のポイントの位置情報が示す位置に特定のポイントを追記し、
通信部が走行中の走行車両から車両位置情報を受信した場合には、特定のポイントが追記された地図に対して、走行車両の車両位置をプロットする演算部と、
演算部が走行車両の車両位置をプロットした地図を表示装置に表示する出力部と
を備えたことを特徴とする列車位置検出管理用の運行サーバ。 - 線路を走行する列車の車両に搭載される列車位置検出管理用の車載機器において、
測位衛星から観測情報を受信する測位情報受信機と、
請求項1記載の列車位置検出管理用の運行サーバの線路データベースに記憶された線路データの一部であって、列車が走行する走行線路の特定のポイントと特定のポイントの位置情報とを対応させた線路データを記憶する部分データベースと、
電子基準点の誤差と面補正パラメータを含む補正データを受信する通信部と、
測位情報受信機が受信した観測情報と通信部が受信した補正データとを用い、測位航法で擬似距離を計算して、車両位置を演算し、線路データが示す走行線路に対して、特定のポイントと車両位置とをプロットする演算部と、
演算部が車両位置をプロットした走行線路を表示する列車内モニタと
を備えたことを特徴とする列車位置検出管理用の車載機器。 - 列車位置検出管理用の運行サーバは、さらに、
線路の特定の施設と特定の施設の位置情報と対応させて記憶する施設情報データベースを備え、
通信部は、特定の施設にいる測定用車両から測位衛星の観測に基づく車両位置情報を受信し、
演算部は、
通信部が特定の施設にいる測定用車両から車両位置情報を受信した場合には、演算した車両位置を特定の施設の位置情報として線路の特定の施設と対応させて施設情報データベースに記憶し、記憶している地図に対して、特定の施設の位置情報が示す位置に特定の施設を追記し、
通信部が走行中の走行車両から車両位置情報を受信した場合には、特定のポイントと特定の施設とが追記された地図に対して、走行車両の車両位置をプロットする
ことを特徴とする請求項1記載の列車位置検出管理用の運行サーバ。 - 線路を走行する列車の車両に搭載される列車位置検出管理用の車載機器において、
測位衛星から観測情報を受信する測位情報受信機と、
請求項3記載の列車位置検出管理用の運行サーバの線路データベースに記憶された線路データの一部であって、列車が走行する走行線路の特定のポイントと特定のポイントの位置情報とを対応させた線路データと、請求項3記載の列車位置検出管理用の運行サーバの施設情報データベースに記憶され施設情報データの一部であって、列車が走行する走行線路の特定の施設と特定の施設の位置情報と対応させた施設情報データとを記憶する部分データベースと、
電子基準点の誤差と面補正パラメータを含む補正データを受信する通信部と、
測位情報受信機が受信した観測情報と通信部が受信した補正データとを用い、測位航法で擬似距離を計算して、車両位置を演算し、線路データが示す走行線路に対して、特定のポイントと特定の施設と車両位置とをプロットする演算部と、
演算部が車両位置をプロットした走行線路を表示する列車内モニタと
を備えたことを特徴とする列車位置検出管理用の車載機器。
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