JP6446880B2 - バッテリ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、バッテリの開放電圧の推定演算を実施するバッテリ制御装置に関する。
従来、電気自動車やハイブリッド自動車などの電動車両では、車両駆動用のバッテリの充電率(SOC,State of Charge)を精度よく算出するための様々な手法が開発されている。例えば、バッテリの開放電圧(OCV,Open Circuit Voltage,開回路電圧)と充電率との関係を関数やマップ,テーブルの形で予め定義しておき、開放電圧の実測値や推定値から充電率を算出する手法がある。また、バッテリの充放電電流を積算して電池容量の増減変化を追跡することで、充電率を算出する手法も存在する。前者の手法は電圧推定方式や電圧参照方式と呼ばれ、後者の手法は電流積算方式や電流積分方式と呼ばれる。これらの手法は、車両の走行状態やバッテリの状態に応じて使い分けられ、あるいは併用されている(特許文献1参照)。
前者の電圧推定方式に関して、バッテリの開放電圧は、バッテリが充放電回路(給電,充電回路)から切り離されている状態で端子間電圧を測定することで、実測することが可能である。一方、バッテリが充放電回路に接続された状態では、バッテリのインピーダンス(内部抵抗)による電圧降下の影響を受けて端子間電圧と開放電圧とが一致せず、開放電圧を精度よく実測することができない。そこで、インピーダンスによる電圧降下量を考慮して開放電圧を推定する手法が提案されている。
例えば、バッテリのインピーダンスモデルとして、直流抵抗成分及び静電容量成分を含む等価回路を仮定し、バッテリが充放電回路に接続されたときに等価回路内に残留する残存電圧を算出することが考えられる。残存電圧は、通電状態での電流値に基づいて算出することができる。また、この残存電圧には、充放電回路が切断されてバッテリが非通電状態になると、徐々に低下する特性を与える。このような手法を採用することで、端子間電圧と残存電圧との加算値を、バッテリの非通電状態における開放電圧として推定することができる(特許文献2参照)。
特許第5287844号公報 国際公開第2013/141100号
しかしながら、上記の手法はバッテリの非通電状態での開放電圧を推定する手法であって、開放電圧が変化しない状態を前提とした手法であるため、バッテリが充放電回路に接続されている通電状態では開放電圧を推定することができない。すなわち、通電状態では残存電圧が必ずしも徐々に低下する特性を持たないため、端子間電圧と残存電圧との加算値が開放電圧に一致せず、開放電圧を正しく実測することができない場合がある。
また、上記の手法は、非通電状態となる前の通電状態で電流値を測定し、この電流値に基づいて残存電圧を算出する演算構成となっている。そのため、非通電状態での開放電圧の推定精度が、通電状態での電流値の測定精度に左右されることとなる。つまり、電流値の測定精度が低ければ、開放電圧の推定精度を向上させることが難しい。このような開放電圧の推定精度の低下は、充電率の算出精度を低下させる大きな要因となる。
本件の目的の一つは、上記のような課題に鑑み創案されたものであり、開放電圧の推定精度を向上させることができるようにした、バッテリ制御装置を提供することである。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用効果であって、従来の技術では得られない作用効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
(1)ここで開示するバッテリ制御装置は、バッテリの閉回路電圧を検出する検出部と、前記検出部で検出された前記閉回路電圧に基づき前記バッテリの開放電圧を推定する推定部とを備える。また、前記推定部は、前記検出部で検出された前記閉回路電圧と推定した前記バッテリの開放電圧の前回値とを、前記閉回路電圧が前記開放電圧に対し時間遅れで変動する特性を模擬した漸化式または前記特性を模擬したフィルタ回路に用いることにより、前記開放電圧の今回値を再帰的に推定する。
なお、前記開放電圧の今回値は、前記閉回路電圧と前記前回値とを用いた時間遅れ処理(例えば、一次遅れ処理,二次遅れ処理等の遅延処理)によって推定されることが好ましい。また、ここでいう「再帰的に推定する」とは、前記開放電圧の過去の推定結果(例えば、前記開放電圧の前回値)を現在の推定内容(例えば、前記開放電圧の今回値)に反映させることを意味する。なお、このような再帰的な推定演算は、例えば漸化式や一次遅れフィルタ等を用いることで実現可能である。
(2)前記推定部は、前記開放電圧の前回値及び前記閉回路電圧の差分を前記漸化式または前記フィルタ回路に用いることにより、前記開放電圧の今回値を推定することが好ましい。例えば、前記差分を所定の割合で前記開放電圧の今回値に反映させることが考えられる。
(3)また、前記推定部は、前記差分の単位時間当たりの変化量に相当する値を前記漸化式または前記フィルタ回路に用いることにより、前記開放電圧の今回値を推定することが好ましい。
ここでいう「前記差分の単位時間当たりの変化量に相当する値」の具体例としては、「前記差分に演算周期を乗じた項を分子に含み、前記演算周期と時定数とを加算したものを分母とした値」を挙げることができる。
(4)前記推定部は、前記閉回路電圧が前記開放電圧に対し一次遅れ変動する特性を模擬した漸化式を用いて、前記開放電圧の今回値を推定することが好ましい
(5)前記推定部は、前記バッテリのセル温度に基づき、前記一次遅れの時定数を設定することが好ましい。
(6)前記推定部は、前記バッテリの充電率に基づき、前記一次遅れの時定数を設定することが好ましい。
(7)前記推定部は、前記開放電圧の前回値に基づき前記バッテリの充電率を算出することが好ましい。
(8)前記推定部は、以下の式を用いて前記一次遅れの変動特性を模擬することが好ましい。
Figure 0006446880
(OCV(n):開放電圧の今回値,OCV(n-1):開放電圧の前回値,
CCV:閉回路電圧,ΔT:演算周期,K:時定数)
(9)前記推定部により推定された前記開放電圧の今回値に基づき、前記バッテリの第一充電率を算出する第一充電率算出部を備えることが好ましい。また、電流積算値に基づき、前記バッテリの第二充電率を算出する第二充電率算出部を備えることが好ましい。さらに、前記第一充電率と前記第二充電率とに基づき、充電率の最終的な推定結果である制御充電率を算出する制御充電率算出部を備えることが好ましい。
この場合、前記制御充電率算出部は、前記第一充電率を前記制御充電率に反映させる度合いである重み係数を、前記バッテリの第一充電率もしくは前記開放電圧の今回値に基づき定めることが好ましい。
ここで開示するバッテリ制御装置によれば、閉回路電圧とバッテリの開放電圧の前回値とが漸化式(閉回路電圧が開放電圧に対し時間遅れで変動する特性を模擬した式)またはフィルタ回路(その特性を模擬した回路)に用いられ、開放電圧の今回値が再帰的に推定される。これにより、開放電圧が変化しうる通電状態(充放電状態)であっても、開放電圧の推定精度を向上させることができる。また、開放電圧の推定に電流値の情報が使用されないため、電流値の測定精度が開放電圧の推定精度に与える影響を取り除くことができる。これにより、電流の測定精度に関わらず、開放電圧の推定精度を向上させることができる。
実施例に係るバッテリ制御装置が適用された車両の構成を示す模式図である。 本バッテリ制御装置のブロック図である。 本バッテリ制御装置における時定数決定部のブロック図である。 (A)は推定充電率の算出に用いられるマップ例であり、(B)は時定数の算出に用いられるマップ例である。 (A)は本バッテリ制御装置で算出される第一充電率,第二充電率,制御充電率の変化を示すグラフ、(B)は重み係数Wの変化を示すグラフである。 変形例に係るバッテリ制御装置での重み係数Wの設定手法を説明するためのグラフである。
以下、図面を参照して、実施形態としてのバッテリ制御装置について説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることが可能である。
[1.装置構成]
本実施形態のバッテリ制御装置10が適用された車両1を図1に例示する。この車両1は、バッテリ2,インバータ3,走行用のモータ4を搭載した電気自動車又はハイブリッド自動車である。バッテリ2は、車両1の駆動源であるモータ4の主電源であり、例えば複数のセルを内蔵するユニット型のリチウムイオン二次電池である。また、モータ4は、電動機としての機能と発電機としての機能とを兼ね備えた交流電動発電機(モータジェネレータ)である。バッテリ2に蓄えられた電力は、インバータ3を介してモータ4へと供給される。
インバータ3は、バッテリ2側の直流電力とモータ4側の交流電力とを相互に変換する変換器(DC-ACインバータ)である。例えば、モータ4の力行時には、バッテリ2側からモータ4側へと交流の駆動電力が供給される。一方、モータ4の回生時には、モータ4側からバッテリ2側へと直流の回生電力が供給される。インバータ3とモータ4との間は三相交流電力線(充放電回路)で接続され、インバータ3とバッテリ2との間は直流電力線で接続される。直流電力線上には図示しないコンタクタ(回路断接スイッチ)が介装され、コンタクタの断接状態に応じてバッテリ2が充放電回路から切断,接続される。
バッテリ2とインバータ3との間の回路上には、バッテリ2の電圧を検出する電圧センサ5と、バッテリ2の入出力電流を検出する電流センサ6とが設けられる。電圧センサ5は、バッテリ2の正極に接続された導線と負極に接続された導線との間の電圧に対応する検出信号を出力し、電流センサ6は、バッテリ2から放電される電流、又は、バッテリ2に充電される電流に対応する検出信号を出力する。電圧センサ5及び電流センサ6から出力される検出信号は、後述するバッテリ制御装置10に伝達される。なお、電圧センサ5は、コンタクタが切断された状態でも電圧を検出できるように、コンタクタとバッテリ2との間の回路上に設けられることが好ましい。
バッテリ2が非作動状態(充放電回路から切断された状態)であって、少なくとも作動状態でなくなった時点(充放電回路から切断された時点)からある程度の時間(例えば、数十分〜数時間程度)が経過した後では、電圧センサ5で検出される電圧の値が、バッテリ2の開放電圧OCV(Open Circuit Voltage,Off-load Voltage,開回路電圧,無負荷電圧)に相当するものとなる。一方、バッテリ2が作動状態(充放電回路に接続された状態)であるとき、電圧センサ5で検出される電圧の値は、バッテリ2の閉回路電圧CCV(Closed Circuit Voltage,On-load Voltage,加負荷電圧)に相当するものとなる。また、バッテリ2が作動状態でなくなった時点から十分な時間が経過していない場合には、バッテリ2のインピーダンス(直流抵抗,拡散抵抗)による電圧降下の影響を受けて、バッテリ2の開放電圧OCVと閉回路電圧CCVとの間の過渡的な電圧値が電圧センサ5で検出されることになる。
このような電圧特性を踏まえて、バッテリ制御装置10では、バッテリ2の閉回路電圧CCVが開放電圧OCVに対して一次遅れで変動する特性を模擬して、開放電圧OCVを推定する。ただし、バッテリ2が作動状態であるときには、バッテリ2の開放電圧OCV自体が変動しうる。そこで、バッテリ2の開放電圧OCVの推定値は、漸化式を用いて再帰的に算出する。つまり、開放電圧OCVの過去の推定結果(例えば、開放電圧OCVの前回値や前々回値,過去の所定期間内に得られた複数の値についての平均値等)を現在の推定内容に反映させることとする。このような手法を用いることで、バッテリ2の作動状態に関わらず(例えば、バッテリ2が作動状態であっても)開放電圧OCVの推定精度が向上する。
また、バッテリ2の内部又は周囲には、バッテリ2のセル温度を検出する温度センサ7が設けられる。ここでは、バッテリ2に内蔵される複数のセルについて、少なくとも一つ以上のセルの温度が検出される。本実施形態では、複数のセル温度が検出され、各々の温度情報がバッテリ制御装置10に伝達される。セル温度は、閉回路電圧CCVの一次遅れの特性において、遅れ時間の指標となる時定数に影響を与える。そこで、バッテリ制御装置10は、セル温度に基づいて一次遅れの時定数を設定し、これを用いて開放電圧OCVを推定する。
バッテリ制御装置10は、車両1に搭載される電子コントロールユニットの一つであり、CPU(Central Processing Unit),MPU(Micro Processing Unit)等のマイクロプロセッサや、ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory),補助記憶装置,インターフェイス装置等を内蔵,集積したもの(LSIデバイス,組み込み電子デバイス等)である。ここでは、バッテリ2の充放電に関する各種情報処理が行われる。また、バッテリ制御装置10は、図示しない車載ネットワークの通信ラインに接続され、他の電子制御装置(例えば、モータECU,車両ECU等)との間で互いに通信可能とされる。バッテリ制御装置10での処理結果は、車載ネットワークを介して他の電子制御装置に伝達され、インバータ3やモータ4の制御に利用される。
バッテリ制御装置10は、二通りの手法を用いてバッテリ2の充電率を算出し、これらの二つの充電率に基づいて最終的な制御充電率SOCFIXを算出する制御を実施する。第一の充電率算出手法は、上記の推定制御で推定されたバッテリ2の開放電圧OCVに基づいて、充電率を算出する手法である。また、第二の充電率算出手法は、バッテリ2の充放電電流の積算値に基づいて、充電率を算出する手法である。前者の手法は前述の電圧推定方式であり、後者の手法は前述の電流積算方式である。以下、前者の手法で得られる充電率のことを第一充電率SOC1と呼び、後者の手法で得られる充電率のことを第二充電率SOC2と呼ぶ。
[2.制御構成]
図2は、上記の制御を実施するための機能構成を示すブロック図である。バッテリ制御装置10には、データ取得部11,電圧推定部12,電流積算部16,制御充電率算出部20が設けられる。これらの要素は、電子回路(ハードウェア)によって実現してもよく、あるいはソフトウェアとしてプログラミングされたものとしてもよいし、あるいはこれらの機能のうちの一部をハードウェアとして設け、他部をソフトウェアとしたものであってもよい。
[2−1.データ取得部]
データ取得部11は、上記の制御に用いられる各種情報を取得,算出するものである。ここでは、電圧センサ5,電流センサ6から伝達される検出信号に基づき、その時点におけるバッテリ2の閉回路電圧CCV,充放電電流Aが取得される。ここで取得された閉回路電圧CCV,充放電電流Aの情報は、電圧推定部12,電流積算部16のそれぞれに伝達される。データ取得部11は、バッテリ2の閉回路電圧CCVや充放電電流Aを検出する検出部として機能する。
また、データ取得部11は、温度センサ7から伝達される複数のセル温度に基づき、バッテリ2の全体を代表するセル温度Tを取得する。セル温度Tは、例えば複数のセル温度の平均値としてもよいし、最高セル温度や最低セル温度としてもよく、あるいは最高セル温度及び最低セル温度の中間温度としてもよい。ここで取得されたセル温度Tの情報は、電圧推定部12,電流積算部16のそれぞれに伝達される。
なお、電圧センサ5が閉回路電圧CCVそのものに対応する検出信号を出力するものである場合には、電圧センサ5がバッテリ2の閉回路電圧CCVを検出する検出部として機能することになる。同様に、電流センサ6が充放電電流Aそのものに対応する検出信号を出力するものである場合には、電流センサ6がバッテリ2の充放電電流Aを検出する検出部として機能することになる。温度センサ7についても同様である。これらの場合、上記のデータ取得部11の機能を省略することができる。
[2−2.電圧推定部]
電圧推定部12は、電圧推定方式を用いて第一充電率SOC1を算出するものである。第一充電率SOC1は、バッテリ2の通電状態を問わず、常に推定することが可能である。本実施形態では、バッテリ2が充放電回路に接続されているときも、バッテリ2が充放電回路から切断されているときも、電圧推定部12が第一充電率SOC1を算出しているものとする。
電圧推定部12には、時定数決定部13,開放電圧推定部14,第一充電率算出部15が設けられる。
時定数決定部13は、開放電圧OCVに対して一次遅れで変動する閉回路電圧CCVの時定数Kを決定するものである。時定数Kは、推定充電率SOCESTとセル温度Tとに基づいて算出される。また、推定充電率SOCESTは、開放電圧OCVの前回値OCV(n-1)とバッテリ2の劣化状態SOH(State of Health)とに基づいて算出される。
開放電圧OCVの前回値OCV(n-1)には、例えば後述する開放電圧推定部14で過去に予測された値が使用される。開放電圧推定部14で開放電圧OCVが予測されていない場合(例えば、車両1の電源を入れた直後)には、データ取得部11で取得された閉回路電圧CCVで代用してもよい。また、バッテリ2の劣化状態SOHとは、新品状態のバッテリ2の満充電容量に対する現在の満充電容量の割合であり、公知の手法を用いて算出することができる。ここで算出された時定数Kの情報は、開放電圧推定部14に伝達される。
時定数決定部13の機能ブロックを図3に例示する。時定数決定部13には、推定充電率算出部21と時定数算出部22とが設けられる。推定充電率算出部21は、開放電圧OCVの前回値OCV(n-1),劣化状態SOH,推定充電率SOCESTの三者の関係が規定されたマップ,数式等を記憶している。また、時定数算出部22は、セル温度T,推定充電率SOCEST,時定数Kの三者の関係が規定されたマップ,数式等を記憶している。時定数決定部13は、これらのマップ,数式等を用いて時定数Kを算出する。
図4(A)は、推定充電率算出部21が記憶しているマップの例である。ここでは、バッテリ2の劣化が進行する(劣化状態SOHが低下する)に連れて、開放電圧OCVの前回値OCV(n-1)がおおむね低下する傾向を有する場合についてのマップ例を示している。本実施形態の推定充電率算出部21は、このような特性に基づいて推定充電率SOCESTを算出する。推定充電率SOCESTは、開放電圧OCVの前回値OCV(n-1)が大きいほど高く推定される。
ただし、開放電圧OCVの前回値OCV(n-1)は、常にバッテリ2の劣化が進行するに連れて低下する傾向となるわけではない。すなわち、図4(A)に示すようなマップ上で、劣化状態SOHの低い場合のグラフが、劣化状態SOHの高い場合のグラフよりも常に左側に位置するとは限らない。開放電圧OCVの前回値OCV(n-1),劣化状態SOH,推定充電率SOCESTの三者の関係は、バッテリ2の種類によって様々であり、バッテリ2の特性に依拠する。したがって、推定充電率算出部21に記憶させておくマップは、対象となるバッテリ2の特性に応じて定めることが好ましい。
また、図4(B)は、時定数算出部22が記憶しているマップの例である。推定充電率SOCESTに応じた時定数Kの値は、バッテリ2の特性に基づいて設定される。ここでは、推定充電率SOCESTが高いほど時定数Kが大きく設定され、閉回路電圧CCVの収束速度が緩慢となるような特性が与えられる。一方、セル温度Tが高いほど時定数Kが小さく設定され、閉回路電圧CCVの収束速度が迅速となるような特性が与えられる。時定数算出部22は、このような特性に基づいて時定数Kを算出する。
なお、セル温度T,推定充電率SOCEST,時定数Kの三者の関係も、バッテリ2の種類によって様々であり、バッテリ2の特性に依存して変化する。例えば、時定数Kは、常に推定充電率SOCESTが高いほど大きく設定されるというわけではない。したがって、時定数算出部22に記憶させておくマップは、対象となるバッテリ2の特性に応じて定めることが好ましい。
開放電圧推定部14は、バッテリ2の開放電圧OCVを予測して算出するものである。ここでは、閉回路電圧CCVがバッテリ2の開放電圧OCVに対して一次遅れで変動するものとされ、一次遅れの特性を模擬した漸化式を用いて開放電圧OCVが再帰的に推定される。この漸化式では、開放電圧OCVの今回値OCV(n)が閉回路電圧CCVと開放電圧OCVの前回値OCV(n-1)とに基づいて定義される。以下にその漸化式を例示する。
Figure 0006446880
(OCV(n):開放電圧の今回値,OCV(n-1):開放電圧の前回値,
CCV:閉回路電圧,ΔT:演算周期,K:時定数,ΔV:補正項)
上記の漸化式は何れも、開放電圧OCVの前回値OCV(n-1)及び閉回路電圧CCVの差分〔CCV-OCV(n-1)〕を含む漸化式である。また、演算周期ΔTと時定数Kとを含む定数項〔ΔT/(ΔT+K)〕は、その差分を単位時間当たりの一次遅れの変化量に変換する役割を果たす。したがって、上記の漸化式は何れも、差分〔CCV-OCV(n-1)〕の単位時間当たりの変化量に相当する値を含む漸化式である。
式1では、差分〔CCV-OCV(n-1)〕の単位時間当たりの変化量に相当する値と開放電圧OCVの前回値OCV(n-1)との和が、開放電圧OCVの今回値OCV(n)として算出される。本実施形態では、式1に基づいて開放電圧OCVの今回値OCV(n)が推定される。ここで推定された開放電圧OCVの今回値OCV(n)の情報は、第一充電率算出部15に伝達される。
なお、式2中の補正項ΔVは、バッテリ2の直流内部抵抗に基づいて設定される。ここでいう直流内部抵抗とは、バッテリ2のインピーダンスを直流抵抗と拡散抵抗とに分類したときの直流抵抗を意味する。一次遅れで変動する閉回路電圧CCVの特性は、インピーダンスの拡散抵抗に由来し、直流抵抗が大きいほど遅れ時間が短縮される。したがって、直流抵抗が大きいほど補正項ΔVを大きくすることで、開放電圧OCVの推定精度が向上する。バッテリ2の直流内部抵抗は、公知の手法を用いて推定,算出することができる。
第一充電率算出部15は、開放電圧推定部14で推定された開放電圧OCVの今回値OCV(n)に基づき、バッテリ2の第一充電率SOC1を算出するものである。第一充電率算出部15は、開放電圧OCVと第一充電率SOC1との関係が規定されたマップ,数式等を用いて、開放電圧OCVの今回値OCV(n)に対応する第一充電率SOC1を算出する。あるいは、推定充電率算出部21が記憶しているマップ〔図4(A)に示すマップ〕,数式等に基づき、開放電圧OCVの今回値OCV(n)及び劣化状態SOHから得られる推定充電率SOCESTを第一充電率SOC1としてもよい。ここで算出された第一充電率SOC1の情報は、制御充電率算出部20に伝達される。
[2−3.電流積算部]
電流積算部16は、電流積算方式を用いて第二充電率SOC2を算出するものである。第二充電率SOC2は、少なくともバッテリ2の通電中に算出される。これは、バッテリ2が充放電回路から切断された状態では、電流積算値が変化しないからである。電流積算部16には、電流値積算部17,電池容量推定部18,第二充電率算出部19が設けられる。
電流値積算部17は、バッテリ2の充放電電流Aの積算値を算出するものである。ここでは、例えばひとつの演算周期の間での充放電電流Aが積算されるとともに、その値を集計した積算値ΣAが算出される。
電池容量推定部18は、積算値ΣAを電池容量Qの変化量に相当するものとみなして、現在の電池容量Qを算出するものである。バッテリ2の放電時における電池容量Qの今回値Q(n)は、電池容量Qの前回値Q(n-1)から積算値ΣAを減算したものとされる。一方、バッテリ2の回生充電時には、電池容量Qの前回値Q(n-1)に積算値ΣAが加算される。また、第二充電率算出部19は、バッテリ2の満充電容量QMAXに対する電池容量Qの今回値Q(n)の割合(百分率)を、第二充電率SOC2として算出する。ここで算出された第二充電率SOC2の情報は、制御充電率算出部20に伝達される。なお、具体的な算出手法はこれに限定されず、公知の電流積算方式の手法を用いて第二充電率SOC2を算出してもよい。
[2−4.制御充電率算出部]
制御充電率算出部20は、電圧推定部12で算出された第一充電率SOC1と電流積算部16で算出された第二充電率SOC2とに基づき、バッテリ2の充電率の最終的な推定結果である制御充電率SOCFIX(制御SOC)を算出するものである。ここでは、二種類の充電率SOC1,SOC2の加重平均値が制御充電率SOCFIXとして算出される。加重平均値の算出式を以下に例示する。
Figure 0006446880
式3中に含まれるWは、「第一充電率SOC1を重視する度合い(第一充電率SOC1を制御充電率SOCFIXに反映させる度合い)」を示す重み係数W(0≦W≦1)である。重み係数Wの値は固定値であってもよく、あるいはバッテリ2の電池容量Q,充電率,劣化状態SOH等に応じて設定される可変値であってもよい。本実施形態では、第一充電率SOC1に基づいて重み係数Wが設定される。
具体的には、第一充電率SOC1の変動範囲(0〜100[%])に四つの閾値X1,X2,X3,X4(X1<X2<X3<X4)を定めて、充電率の領域に応じた重みを与える。例えば、第一充電率SOC1が閾値X1未満であるときや、閾値X4以上であるときには、重み係数Wの値を大きく(例えばW=1に)設定する。一方、第一充電率SOC1が閾値X2以上で閾値X3未満であるときには、重み係数Wの値を小さく(例えばW=0に)設定する。また、第一充電率SOC1が閾値X1以上で閾値X2未満であるときには、第一充電率SOC1が大きいほど重み係数Wの値を減少させ、第一充電率SOC1が閾値X3以上で閾値X4未満であるときには、第一充電率SOC1が大きいほど重み係数Wの値を増大させる。
満充電状態のバッテリ2を用いて車両1を走行させたときのSOC変化イメージを図5(A)に示す。図5(B)は、第一充電率SOC1に応じて設定された重み係数Wの経時変化を例示するグラフである。
電流積算方式で求められる第二充電率SOC2は、バッテリ2の満充電容量QMAXに対する電池容量Qの割合として算出される。そのため、バッテリ劣化により新品状態のバッテリ2よりも満充電容量QMAXが低下していれば、図5(A)中に破線で示す充電率の真値と初期の第二充電率SOC2との間にずれが生じる。このような誤差は、第二充電率SOC2が高いほど大きくなる。一方、第一充電率SOC1が閾値X4以上である時刻t1までの期間では重み係数WがW=1に設定され、第一充電率SOC1が重視されて制御充電率SOCFIXが算出される。これにより、大きな誤差を含む第二充電率SOC2が制御充電率SOCFIXに反映されなくなり、制御充電率SOCFIXの推定精度が向上する。
時刻t1に第一充電率SOC1が閾値X4未満になると、図5(B)に示すように、第一充電率SOC1の低下に伴い、重み係数Wの値が1から徐々に減少する。これにより、第二充電率SOC2が制御充電率SOCFIXに徐々に反映される。また、時刻t2に第一充電率SOC1が閾値X3未満になると、重み係数Wの値が0に設定され、第二充電率SOC2のみが制御充電率SOCFIXに反映される。これにより、バッテリ2の電池容量Qの変化に応じた制御充電率SOCFIXの値が得られる。第二充電率SOC2の値は、充放電電流Aの積算値に応じて更新されることから、第一充電率SOC1と比較して急激に変動しにくく、連続的な値が得られやすいという利点がある。
時刻t3に第一充電率SOC1が閾値X2未満になると、第一充電率SOC1の低下に伴い、重み係数Wの値が0から徐々に増加する。これにより、第一充電率SOC1が制御充電率SOCFIXに徐々に反映されることとなる。また、時刻t4に第一充電率SOC1が閾値X1未満になると、重み係数Wの値が1に設定され、第一充電率SOC1のみが制御充電率SOCFIXに反映される。これにより、電流積算方式における電流値の測定誤差や積分誤差,電池容量の測定誤差等に由来する充電率のずれが小さくなり、制御充電率SOCFIXの値が充電率の真値に収束し、すなわち制御充電率SOCFIXの推定精度が向上する。
[3.作用,効果]
(1)上記のバッテリ制御装置10では、バッテリ2の閉回路電圧CCVが電圧センサ5又はデータ取得部11で取得され、この閉回路電圧CCVと開放電圧OCVの前回値OCV(n-1)とに基づいて、開放電圧OCVの今回値OCV(n)が推定される。このとき推定される今回値OCV(n)には、開放電圧OCVに対して時間遅れ(例えば一次遅れ)で変動する閉回路電圧CCVの特性が反映される。これにより、開放電圧OCVが変化しうる通電中(充放電状態)であっても、その変動する開放電圧OCVに対して追従する閉回路電圧CCVに基づいて、開放電圧OCVを推定することができる。
したがって、開放電圧OCVの推定精度を向上させることができる。また、開放電圧OCVに基づく第一充電率SOC1の推定精度を向上させることができ、延いては制御充電率SOCFIXの推定精度を高めることができる。
また、開放電圧OCVの推定にバッテリ2の充放電電流Aの情報が使用されないため、充放電電流Aの測定精度が開放電圧OCVの推定精度に与える影響を除去することができる。これにより、電流の測定精度に関わらず、開放電圧OCVの推定精度を向上させることができる。
さらに、上記のバッテリ制御装置10では、第一充電率SOC1を算出する過程で電流の情報が不要である。このことから、仮に電流センサ6が故障したような場合であっても、第一充電率SOC1を精度よく算出することができ、これを制御充電率SOCFIXとして使用することができる。したがって、センサ故障に対するフェイルセーフ機能を向上させることができる。
(2)上記のバッテリ制御装置10では、閉回路電圧CCVの変動特性が漸化式で与えられ、開放電圧OCVが再帰的に推定される。その漸化式は、例えば式1や式2に示すように、閉回路電圧CCVの一次遅れの変化量に相当する項と、開放電圧OCVの前回値OCV(n-1)に相当する項との和で表現される。このような漸化式を用いることで、周期的な演算処理に沿った簡素な制御構成とすることができ、開放電圧OCVの推定精度を向上させることができる。
(3)上記のバッテリ制御装置10では、開放電圧OCVの前回値OCV(n-1)及び閉回路電圧CCVの差分〔CCV-OCV(n-1)〕に基づいて、開放電圧OCVの今回値OCV(n)が推定される。このように、差分〔CCV-OCV(n-1)〕を用いることで、開放電圧OCVに対して追従する閉回路電圧CCVの変動特性を精度よく模擬することができる。つまり、実測された閉回路電圧CCVの開放電圧OCVに対する応答遅れを精度よく推定することができ、延いては開放電圧OCVの推定精度を向上させることができる。
(4)上記のバッテリ制御装置10では、上記の差分〔CCV-OCV(n-1)〕を単位時間当たりの変化量に変換した値ΔT/(ΔT+K)〔CCV-OCV(n-1)〕に基づいて、開放電圧OCVの今回値OCV(n)が推定される。このような演算手法を採用することで、閉回路電圧CCVの一次遅れの特性を精度よく模擬することができる。したがって、開放電圧OCVの推定精度を向上させることができる。
(5)上記のバッテリ制御装置10の時定数算出部22では、バッテリ2のセル温度Tに基づいて、一次遅れの時定数Kが設定される。例えば、図4(B)に示すように、セル温度Tが高温であるほど、時定数Kの値が小さく設定される。これにより、セル温度Tによる電圧特性の変化を加味して開放電圧OCVを推定することができる。つまり、閉回路電圧CCVの一次遅れの特性を精度よく模擬することができ、開放電圧OCVの推定精度を向上させることができる。
(6)また、時定数算出部22では、バッテリ2の推定充電率SOCESTに基づいて、一次遅れの時定数Kが設定される。例えば、図4(B)に示すように、推定充電率SOCESTが高いほど、時定数Kの値が大きく設定される。これにより、推定充電率SOCESTによる電圧特性の変化を加味して開放電圧OCVを推定することができる。つまり、閉回路電圧CCVの一次遅れの特性を精度よく模擬することができ、開放電圧OCVの推定精度を向上させることができる。
(7)上記の推定充電率SOCESTは、開放電圧OCVの前回値OCV(n-1)に基づいて推定される。例えば、図4(A)に示すように、開放電圧OCVの前回値OCV(n-1)が大きいほど、推定充電率SOCESTが高く推定される。また、この推定充電率SOCESTの推定では、バッテリ2の劣化状態SOHについても加味され、劣化状態SOHが低い(劣化が進行している)ほど、同一の開放電圧OCVに対する推定充電率SOCESTが高く推定される。これにより、直近のバッテリ2の状態を一次遅れ処理に反映させることができ、バッテリ2の推定充電率SOCESTの推定精度を高めることができ、開放電圧OCVの推定精度を向上させることができる。
(8)上記のバッテリ制御装置10では、開放電圧OCVに対する閉回路電圧CCVの変動特性が、式1に示すような漸化式で模擬される。このような数式を用いることで、一次遅れの特性を高精度に模擬することができ、開放電圧OCVの推定精度を向上させることができる。
なお、式2に示すような漸化式を用いた場合には、バッテリ2の直流内部抵抗の影響が考慮された開放電圧OCVを算出することができ、開放電圧OCVの推定精度を向上させることができる。
(9)上記のバッテリ制御装置10には、電圧推定方式を用いて、開放電圧OCVの今回値OCV(n)に基づく第一充電率SOC1を算出する第一充電率算出部15と、電流積算方式を用いて第二充電率SOC2を算出する第二充電率算出部19とが設けられる。また、バッテリ2の制御充電率SOCFIX(制御SOC)は、第一充電率SOC1と第二充電率SOC2とに基づき、重み係数Wを用いて算出される。そしてこの重み係数Wの値は、電圧推定方式に由来する第一充電率SOC1に基づいて定められる。
つまり、重み係数Wの値は、開放電圧OCVの今回値OCV(n)に基づいて設定されることになり、電流積算方式に由来する第二充電率SOC2の影響を受けない。したがって、例えば第二充電率SOC2の推定精度が低い状態(例えば、バッテリ2が満充電に近い状態)であっても、適切な重み係数Wを設定することができ、正しい制御充電率SOCFIXを算出することができる。また、上述の実施形態における重み係数Wは、推定された開放電圧OCVの今回値OCV(n)に応じた値とされる。つまり、推定精度の高い開放電圧OCVの情報が、重み係数Wの値に反映されることとなる。これにより、制御充電率SOCFIXの推定精度をさらに向上させることができる。
[4.変形例]
上記の実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
上述の実施形態では、一次遅れの変動特性を模擬するバッテリ制御装置10を例示したが、変動特性を模擬するための手法はこれに限定されない。例えば、二次遅れや三次遅れの変動特性を模擬して、検出部(電圧センサ5,データ取得部11)で検出された閉回路電圧CCVと推定したバッテリ2の開放電圧OCVの前回値OCV(n-1)とに基づき、開放電圧OCVの今回値OCV(n)を推定することも可能である。
具体的には、式1,式2に示される漸化式の代わりに、二次遅れの変動特性を模擬する漸化式を用いることで、上述の実施形態と同様の効果を奏するものとなる。少なくとも、閉回路電圧CCVと開放電圧OCVの前回値OCV(n-1)とに基づき、開放電圧OCVの今回値OCV(n)を推定する制御構成であればよい。
なお、上述の実施形態では、周期的な演算処理における直前の演算周期で得られた値が「前回値」として定義されているが、このような定義の代わりに、二つ前の演算周期で得られた値のことを「前回値」として定義することも可能である。あるいは、直前の演算周期で得られた値と二つ前の演算周期で得られた値との平均値を「前回値」として定義することも可能である。このように、「前回値」とは、必ずしも「直前の」演算周期で得られた値でなくてもよく、少なくとも過去の演算周期で得られた既得値、又は、その既得値に対応する値、又は、その既得値に基づいて算出される値であればよい。
また、上述の実施形態では、式1,式2に示される漸化式を用いて一次遅れの変動特性を模擬するものを例示したが、漸化式の代わりに一次遅れフィルタ(フィルタ回路)を用いて開放電圧OCVを再帰的に推定することも可能である。つまり、フィルタ特性が式1,式2の漸化式で表現されるような一次遅れフィルタを用いることで、上述の実施形態と同様の効果を奏するものとなる。少なくとも、閉回路電圧CCVと開放電圧OCVの前回値OCV(n-1)とに基づき、閉回路電圧CCVの一次遅れの変動特性を模擬して、開放電圧OCVの今回値OCV(n)を推定する制御構成であればよい。
また、上述の実施形態では、二つの漸化式(式1,式2)を例示したが、具体的な漸化式の形式はこれに限定されない。少なくとも閉回路電圧CCVの一次遅れの変動特性を模擬することができる漸化式であれば、開放電圧OCVの今回値OCV(n)の推定に用いることができ、上述の実施形態と同様の効果を奏するものとなる。具体的には、式1,式2における右辺の第一項,第二項のそれぞれに所定の係数(定数又は変数)を乗じた形式としてもよい。あるいは、式1,式2の右辺に第三項(定数項,変数項)を追加した形式としてもよい。
また、上述の実施形態では、推定充電率SOCESTが高いほど時定数Kが大きく設定される例を示したが、具体的な推定充電率SOCESTに対する時定数Kの設定の仕方はこれに限定されない。つまり、バッテリ特性に応じて、閉回路電圧CCVの収束速度が緩慢となるような特性が与えられるように、推定充電率SOCESTに対する時定数Kを設定すれば、上述の実施形態と同様の効果を奏するものとなる。
また、上述の実施形態では、加重平均値の算出式(式3)の重み係数Wが第一充電率SOC1に基づいて設定される例を示したが、第一充電率SOC1の代わりに開放電圧OCVの今回値OCV(n)に基づいて重み係数Wを設定することも可能である。ここで、開放電圧OCVの今回値OCV(n)と重み係数Wの関係が設定されたマップを図6に例示する。
具体的には、図6に示すように、開放電圧OCVの今回値OCV(n)の変動範囲(下限電圧OCVlowから上限電圧OCVhighまでを含んだ範囲)に四つの閾値Y1,Y2,Y3,Y4(Y1<Y2<Y3<Y4)を定めて、開放電圧OCVの今回値OCV(n)の領域に応じた重みを与える。なお、ここでは、閾値Y1は下限電圧OCVlowよりも大きい値であり、閾値Y4は上限電圧OCVhighと等しい値であるものとする。
例えば、開放電圧OCVの今回値OCV(n)が閾値Y1未満であるときや、閾値Y4以上であるときには、重み係数Wの値を大きく(例えばW=1に)設定する。一方、今回値OCV(n)が閾値Y2以上で閾値Y3未満であるときには、重み係数Wの値を小さく(例えばW=0に)設定する。また、今回値OCV(n)が閾値Y1以上で閾値Y2未満であるときには、今回値OCV(n)が大きいほど重み係数Wの値を減少させ、今回値OCV(n)が閾値Y3以上で閾値Y4未満であるときには、今回値OCV(n)が大きいほど重み係数Wの値を増大させる。
第一充電率SOC1は開放電圧OCVの今回値OCV(n)に基づいて算出されるため、これらの値は互いに比例関係にある。そして、四つの閾値Y1,Y2,Y3,Y4は、上述の実施形態における第一充電率SOC1の変動範囲(0〜100[%])に定められた四つの閾値X1,X2,X3,X4とそれぞれ対応関係にある。したがって、このような手法を採用した場合であっても、上述の実施形態と同様の効果を奏するものとなる。
なお、上述の実施形態では、車両1に搭載されたリチウムイオン二次電池の開放電圧OCVを推定するバッテリ制御装置10について説明したが、バッテリ制御装置10の推定対象はこれに限定されない。例えば、車両1に搭載される鉛蓄電池(いわゆる12Vバッテリー)を対象としてもよいし、あるいはリチウムイオン二次電池の代わりにリチウムイオンキャパシターやニッケル水素蓄電池,アルカリイオン蓄電池等が使用された二次電池を対象としてもよい。さらに、開放電圧OCVの推定対象は車載の二次電池に限定されることはなく、例えば非常用電源設備や電子機器に内蔵される二次電池の開放電圧OCVを推定することも可能である。
2 バッテリ
5 電圧センサ(検出部)
10 バッテリ制御装置
11 データ取得部(検出部)
12 電圧推定部(推定部)
15 第一充電率算出部
19 第二充電率算出部
20 制御充電率算出部
CCV 閉回路電圧
OCV 開放電圧
OCV(n) 開放電圧の今回値
OCV(n-1) 開放電圧の前回値
T セル温度
K 時定数
SOC1 第一充電率
SOC2 第二充電率
SOCFIX 制御充電率
W 重み係数

Claims (9)

  1. バッテリの閉回路電圧を検出する検出部と、
    前記検出部で検出された前記閉回路電圧に基づき前記バッテリの開放電圧を推定する推定部と、を備え、
    前記推定部は、前記検出部で検出された前記閉回路電圧と推定した前記バッテリの開放電圧の前回値とを、前記閉回路電圧が前記開放電圧に対し時間遅れで変動する特性を模擬した漸化式または前記特性を模擬したフィルタ回路に用いることにより、前記開放電圧の今回値を再帰的に推定する
    ことを特徴とする、バッテリ制御装置。
  2. 前記推定部が、前記開放電圧の前回値及び前記閉回路電圧の差分を前記漸化式または前記フィルタ回路に用いることにより、前記開放電圧の今回値を推定する
    ことを特徴とする、請求項1記載のバッテリ制御装置。
  3. 前記推定部が、前記差分の単位時間当たりの変化量に相当する値を前記漸化式または前記フィルタ回路に用いることにより、前記開放電圧の今回値を推定する
    ことを特徴とする、請求項2記載のバッテリ制御装置。
  4. 前記推定部が、前記閉回路電圧が前記開放電圧に対し一次遅れ変動する特性を模擬した漸化式を用いて、前記開放電圧の今回値を推定する
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のバッテリ制御装置。
  5. 前記推定部が、前記バッテリのセル温度に基づき、前記一次遅れの時定数を設定する
    ことを特徴とする、請求項4記載のバッテリ制御装置。
  6. 前記推定部が、前記バッテリの充電率に基づき、前記一次遅れの時定数を設定する
    ことを特徴とする、請求項4又は5記載のバッテリ制御装置。
  7. 前記推定部が、前記開放電圧の前回値に基づき前記バッテリの充電率を算出する
    ことを特徴とする、請求項6記載のバッテリ制御装置。
  8. 前記推定部が、以下の式を用いて前記一次遅れの変動特性を模擬する
    ことを特徴とする、請求項4〜7の何れか1項に記載のバッテリ制御装置。
    Figure 0006446880
  9. 前記推定部により推定された前記開放電圧の今回値に基づき、前記バッテリの第一充電率を算出する第一充電率算出部と、
    電流積算値に基づき、前記バッテリの第二充電率を算出する第二充電率算出部と、
    前記第一充電率と前記第二充電率とに基づき、充電率の最終的な推定結果である制御充電率を算出する制御充電率算出部と、をさらに備え、
    前記制御充電率算出部は、前記第一充電率を前記制御充電率に反映させる度合いである重み係数を、前記バッテリの第一充電率もしくは前記開放電圧の今回値に基づき定める
    ことを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載のバッテリ制御装置。
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