この発明は、回転駆動装置技術に関連するものであり、特に、回転駆動源からの回転入力を受け、外部への回転出力を安定に維持すると共に、回転駆動源のエネルギー消費量を大幅に削減可能とする回転駆動力補助装置を製造、提供する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
(着目点)
我が国は、石油や天然ガスなどのエネルギー資源に乏しく、こうしたエネルギー資源の殆どを海外からの輸入に頼らざるを得ないという事情がある上、近年は、地球温暖化を抑制するため、温室効果ガスの削減が求められるなど、エネルギー利用のさらなる効率化や使用量の削減の努力が必要となり、このように様々な機械や機器に省エネ化の改善が求められる現状にあって、エンジンやモーターなどの回転駆動源を改良し、より効率的に回転エネルギーを取り出せるようにする新技術の開発が多方面で進められており、エンジンやモーターのような回転駆動源が組み込まれた回転駆動装置のエネルギー効率の改善策は、例えば、回転駆動源から出力部までの回転力伝達機構や変速機構などの運動エネルギーの伝達機構の摩擦を軽減する軸受機構や潤滑油などの改良が行われ、また、モーターを使用する回転駆動装置の場合には、電力回生ブレーキのように、出力軸の減速に伴い、駆動モーターが発電し、電気エネルギーの一部を回収する技術が開発されているが、化石燃料を用いたエンジンや、電力によって駆動するモーターなどの回転駆動源の種類に拘わらず、何れの回転駆動源を利用した場合にも、回転駆動源から出力される回転エネルギーの一部を機械的に蓄積し、回転駆動源の停止、起動の繰り返しや、クラッチ機構による断・続の繰り返しなどによるエネルギー消費量の削減を可能とし、しかもこのような回転入力の断続的な停止を、回転駆動中に蓄積された回転エネルギーの放出によって補填可能とし、回転駆動源からの入力が断続的に絶たれても、回転出力の安定化を達成するという技術は、未だ開発および提供されていないというのが実情である。
(従来の技術)
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案も、これまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、微風時の風車の回転エネルギーを、渦巻きバネに徐々に付勢させて渦巻きバネが付勢された後、渦巻きバネが消勢するエネルギーで、増速ギアを回転させ、増速ギアに設置された補助発電機を回転させて微風時の発電効率低下を改善する風力発電装置や、同特許文献1(2)に見られるような、固定された軸部材と同心する部位に、出力側となるドラムが回転自在に位置づけられ、前記ドラム内には、渦巻きバネが内接し得るように収納され、前記渦巻きバネの内端部は、前記固定軸部材に慣性回転できるように嵌装された回転子に結着され、渦巻きバネの外端部は、渦巻きバネを渦巻き方向に回動するための回転体に結着され、その回転体にモーターが減速機構を介して連係されており、従来の噛み合いクラッチの如く原動側を逆転する必要がなく、減速方式を自由に選択でき、かつ、設計の自由度を増大させることができ、従来の乗り上げクラッチで必要とされる駆動、従動系の同期回路や構造を省略することを可能とした電動アクチエータのクラッチ装置などが散見される。
しかし、前者特許文献1(1)に示されているような風力発電装置は、風車の軸に対して設置され、風車の回転力を受けて発電する主発電機と、風車の回転力を受けて付勢される渦巻きバネが、微風状態の場合に消勢し、該渦巻きバネの消勢による回転力を受けて発電する補助発電機とを有しており、該主発電機および補助発電機、さらに、風車の軸にウォームギアを介して接続された渦巻きバネから、補助発電機までの間に、増速ギア、ストッパーとギア、および、ストッパー駆動用のモーターなどが設けられていて、部品点数が多いいだけではなく、構造が複雑化、大型化してしまうという欠点があり、また、特許文献1(2)の電動アクチエータのクラッチ装置に示されるものなどでは、固定軸部材に同心上に設けられたウォームホイールの筒室内にドラムが緩く嵌め込まれ、ドラム内に、互いに渦巻き方向を逆向きとされた2個の渦巻きバネが、夫々の内端部を、該固定軸部材に慣性回転できるようにして嵌装させた回転子の一端寄りと他端寄りとの夫々に結着されるようにし、該固定軸部材に回転自在に配され、該ドラムに内接し得るよう収納され、各渦巻きバネの外端部が、ウォームホイールの端板に植立された偏心腕部材に夫々結着されるようにしたもので、自動車のドアロックなどに使用される電動アクチエータのクラッチ装置となるだけのものであり、それら2個の渦巻きバネに蓄積されたエネルギーが、ウォームホイールの回転の加速に利用されるようにしたものとはならず、したがって、ウォームホイールの回転を効率化し得る効果などが期待できるものとはなっていない。
(1)特開2011−174457号公報 (2)実開昭60−87973号公報
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある風力発電装置などは、風車の軸に直結された主発電機に加え、渦巻きバネの消勢による発電を行う補助発電機が必要となり、それらに付随する伝動機構類やセンサ類、渦巻きバネ用の制御機構など、構造の複雑化と部品点数の増加、装置の大型化、および製造コストの増大が避けられないという難点がある上、互いに渦巻き方向を逆向きとされた2個の渦巻きバネが設けられている電動アクチエータのクラッチ装置などは、構造を簡素化したクラッチ機構を実現化しただけのものであって、電動モーターの回転駆動を効率化するものとはならないものであるなどといった現状の技術に鑑み、回転作動中に回転力を機械的に蓄積し、回転入力の断続的な停止があっても、蓄積された回転エネルギーの放出によって減少する回転力を補填可能とし、回転出力の安定化を達成する新技術の開発および提供の必要性を痛感するに至ったものである。
(発明の目的)
そこで、この発明は、回転駆動源から出力される回転エネルギーの一部を機械的に蓄積可能とし、十分な運動エネルギーが蓄積された場合に、蓄積された運動エネルギーを放出し、主軸に回転力を加えるよう作動し、このタイミングで回転駆動源の回転出力を一時的にカット可能とし、省エネ可能とする新たな回転駆動力補助技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の回転駆動力補助装置を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の回転駆動力補助装置は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、主軸がフレームに固定され、該主軸には、固定筒爪冠部を有する固定筒軸、回転駆動源、回転伝達機構、逆転防止機構が設けられると共に、回転出力部および中央爪冠部が一体化された筒軸部、内端巻き渦巻きバネ、中央環状カバーを有する中央回転体が設けられ、さらに進退筒、回帰規制機構、基端爪冠部、先端爪冠部、外端巻き渦巻きバネが結合された回転力蓄積体が、先の固定筒軸と中央回転体との間に設けられ、該中央回転体の中央環状カバーと先端環状カバーとの間には、外巻き力伝達機構および自動進退機構が設けられると共に、当該回転力蓄積体の少なくとも正転方向の回転を規制する回転規制部が設けられており、中央環状カバーの仮想軸心方向の先端がわと、先端環状カバーの仮想軸心方向の基端がわとの間に、内端巻き渦巻きバネおよび外端巻き渦巻きバネの双方が完全に巻き解かれた場合に、回転力蓄積体を仮想軸心方向の先端方向に後退作動し、内端巻き渦巻きバネおよび外端巻き渦巻きバネの双方が完全に巻き締められた場合に、回転力蓄積体を仮想軸心方向の基端方向に前進作動するものとされた自動進退機構、および、自動進退機構の進退作動状態に拘わらず、中央環状カバーの仮想軸心周りの正転方向の回転力を、回転力蓄積体の先端環状カバーに伝達する外巻き力伝達機構が設けられ、中央回転体の筒軸部の仮想軸心方向の先端の中央爪冠部に対し、回転力蓄積体の進退筒の基端の基端爪冠部が噛合された場合に、回転力蓄積体の先端環状カバーの仮想軸心周りの少なくとも逆転方向の回転を規制する回転規制部が、回転力蓄積体の先端環状カバーの外周囲壁とフレームとの間に設けられてなるものとした構成を要旨とする回転駆動力補助装置である。
この基本的な構成からなる回転駆動力補助装置を、より具体的なものとして示せば、主軸が、仮想軸心上に配されるようフレームに固定され、固定筒爪冠部を有する固定筒軸が主軸の基端とは反対がわとなる先端に設けられ、主軸の近傍に回転駆動源が設けられ、主軸の基端に、回転駆動源から仮想軸心周りの正転方向の回転力を受ける回転伝達機構が装着され、主軸の両端間中央寄りに回転自在に装着された回転出力部と、回転出力部の仮想軸心方向の先端がわに設けられ、仮想軸心方向の先端に中央爪冠部が一体化された筒軸部と、筒軸部の外壁に内端が結合され、仮想軸心周りに巻かれた内端巻き渦巻きバネと、内端巻き渦巻きバネの外端に結合された中央環状カバーとを有する中央回転体が設けられ、回転駆動源から回転伝達機構および回転出力部に至る何れかの回転力伝達箇所に逆転防止機構が介在され、主軸の固定筒軸と中央回転体との間となる中途位置の周囲に対し、進退筒が回帰規制機構を介して回転自在に装着され、進退筒の仮想軸心方向の基端に基端爪冠部が一体化され、筒状体の仮想軸心方向の先端に先端爪冠部が一体化され、進退筒の外壁に、内端巻き渦巻きバネとは逆向きに巻かれると共に、内端巻き渦巻きバネよりも強い弾発力を有する外端巻き渦巻きバネの内端が結合され、外端巻き渦巻きバネの外端に先端環状カバーが結合された回転力蓄積体が設けられ、中央環状カバーの仮想軸心方向の先端がわと、先端環状カバーの仮想軸心方向の基端がわとの間に、内端巻き渦巻きバネおよび外端巻き渦巻きバネの双方が完全に巻き解かれた場合に、回転力蓄積体を仮想軸心方向の先端方向に後退作動し、内端巻き渦巻きバネおよび外端巻き渦巻きバネの双方が完全に巻き締められた場合に、回転力蓄積体を仮想軸心方向の基端方向に前進作動するものとされた自動進退機構、および、自動進退機構の進退作動状態に拘わらず、中央環状カバーの仮想軸心周りの正転方向の回転力を、回転力蓄積体の先端環状カバーに伝達する外巻き力伝達機構が設けられ、中央回転体の筒軸部の仮想軸心方向の先端の中央爪冠部に対し、回転力蓄積体の進退筒の基端の基端爪冠部が噛合された場合に、回転力蓄積体の先端環状カバーの仮想軸心周りの少なくとも逆転方向の回転を規制する回転規制部が、回転力蓄積体の先端環状カバーの外周囲壁とフレームとの間に設けられてなるものとした構成を要旨とする回転駆動力補助装置と言うことができる。
さらに、より一層具体的には、主軸が、仮想軸心上に配されるようフレームに固定され、固定筒爪冠部を有する固定筒軸が主軸の基端とは反対がわとなる先端に設けられ、主軸の近傍に回転駆動源が設けられ、主軸の基端に、回転駆動源から仮想軸心周りの正転方向の回転力を受ける回転伝達機構が装着され、主軸の両端間中央寄りに回転自在に装着された回転出力部と、回転出力部の仮想軸心方向の先端がわに設けられ、仮想軸心方向の先端に中央爪冠部が一体化された筒軸部と、筒軸部の外壁に内端が結合され、仮想軸心周りに巻かれた内端巻き渦巻きバネと、内端巻き渦巻きバネの外端に結合された中央環状カバーとを有する中央回転体が設けられ、回転駆動源から回転伝達機構および回転出力部に至る何れかの回転力伝達箇所に逆転防止機構が介在され、主軸の固定筒軸と中央回転体との間となる中途位置の周囲に対し、進退筒が回帰規制機構を介して回転自在に装着され、進退筒の仮想軸心方向の基端に基端爪冠部が一体化され、筒状体の仮想軸心方向の先端に先端爪冠部が一体化され、進退筒の外壁に、内端巻き渦巻きバネとは逆向きに巻かれると共に、内端巻き渦巻きバネよりも強い弾発力を有する外端巻き渦巻きバネの内端が結合され、外端巻き渦巻きバネの外端に先端環状カバーが結合された回転力蓄積体が設けられ、中央環状カバーの仮想軸心方向の先端がわと、先端環状カバーの仮想軸心方向の基端がわとの間に、内端巻き渦巻きバネおよび外端巻き渦巻きバネの双方が完全に巻き解かれた場合に、回転力蓄積体を仮想軸心方向の先端方向に後退作動し、内端巻き渦巻きバネおよび外端巻き渦巻きバネの双方が完全に巻き締められた場合に、回転力蓄積体を仮想軸心方向の基端方向に前進作動するものとされた自動進退機構、および、自動進退機構の進退作動状態に拘わらず、中央環状カバーの仮想軸心周りの正転方向の回転力を、回転力蓄積体の先端環状カバーに伝達する外巻き力伝達機構が設けられ、中央回転体の筒軸部の仮想軸心方向の先端の中央爪冠部に対し、回転力蓄積体の進退筒の基端の基端爪冠部が噛合された場合に、回転力蓄積体の先端環状カバーの仮想軸心周りの少なくとも逆転方向の回転を規制する回転規制部が、回転力蓄積体の先端環状カバーの外周囲壁とフレームとの間に設けられ、内端巻き渦巻きバネおよび外端巻き渦巻きバネの双方が完全に巻き解かれた場合に、中央回転体の筒軸部の仮想軸心方向の先端の中央爪冠部から、仮想軸心方向の基端の基端爪冠部が離脱されると共に、仮想軸心方向の先端の先端爪冠部が、固定筒軸の仮想軸心方向の端の固定筒爪冠部に噛合し、内端巻き渦巻きバネと外端巻き渦巻きバネとに回転力が機械的に蓄積され、また、内端巻き渦巻きバネおよび外端巻き渦巻きバネの双方が完全に巻き締められた場合に、固定筒軸の仮想軸心方向の端の固定筒爪冠部から、仮想軸心方向の先端の先端爪冠部が離脱されると共に、仮想軸心方向の基端の基端爪冠部が、中央回転体の筒軸部の仮想軸心方向の先端の中央爪冠部に噛合するよう係合され、中央回転体の外巻き力伝達機構が、自動進退機構の進退作動状態に関わらず、中央環状カバーと先端環状カバーとを仮想軸心周り方向の少なくとも正転方向に係合し、自動進退機構に加わる遠心力が強い場合に、仮想軸心方向の基端がわに移動された先端環状カバーの仮想軸心周りの少なくとも逆転方向の回転を回転規制部が規制し、内端巻き渦巻きバネと外端巻き渦巻きバネとの夫々に機械的に蓄積された回転力が、互いの中央爪冠部と基端爪冠部とが噛合された筒軸部および進退筒を通じて回転出力部に対し、仮想軸心周りの正転方向の回転力として伝達するものとされた構成からなる回転駆動力補助装置となる。
これを、さらに具体的なものとして示せば、主軸が、仮想軸心上に配されるよう、主軸の基端または先端の中、少なくとも基端がフレームに固定され、主軸の基端とは反対がわの先端の周囲に、仮想軸心上の配置となる固定筒軸が設けられ、固定筒軸の主軸の基端がわに向けられた端に、固定筒爪冠部が一体化され、主軸の近傍に回転駆動源が設けられ、主軸の基端に、回転駆動源から仮想軸心周りの正転方向の回転力を受け、仮想軸心周りの正転方向に回転する回転伝達機構が装着され、主軸の両端間中央寄りに回転自在に装着された回転出力部と、回転出力部の仮想軸心方向の先端がわに設けられ、仮想軸心方向の先端に、仮想軸心周りの正転方向に噛合する垂辺、および、仮想軸心周りの正転方向とは逆向きの逆転方向に滑ると共に、仮想軸心周りの逆転方向の回転力を受けると仮想軸心方向の先端に向けたベクトルを生ずる傾斜辺が回転方向に交互に配された中央爪冠部が一体化された筒軸部と、筒軸部の外壁に内端が結合され、外端から内端に向けて仮想軸心周りの正転方向に巻かれた内端巻き渦巻きバネと、内端巻き渦巻きバネの外端に結合され、内端巻き渦巻きバネの外周囲を包囲する中央環状カバーとを有する中央回転体が設けられ、回転駆動源から回転伝達機構および回転出力部に至る何れかの回転力伝達箇所に、仮想軸心周りの正転方向のみの回転力を伝達し、逆転方向に空転する逆転防止機構が介在され、主軸の固定筒軸と中央回転体との間となる中途位置の周囲に対し、仮想軸心の仮想軸心方向の進退範囲を、節度感をもって規制可能な回帰規制機構を介在して回転自在に装着された進退筒と、進退筒の仮想軸心方向の基端に一体化され、中央回転体の中央爪冠部に噛合する形状とされ、仮想軸心周りの正転方向に噛合する垂辺、および、仮想軸心周りの正転方向とは逆向きの逆転方向には滑ると共に、仮想軸心周りの正転方向とは逆向きの逆転方向の回転力を受けると仮想軸心方向の先端に向けたベクトルを生ずる傾斜辺が回転方向に交互に配された基端爪冠部と、進退筒の仮想軸心方向の先端に一体化され、仮想軸心周りの正転方向に噛合する垂辺、および、仮想軸心周りの正転方向とは逆向きの逆転方向には滑ると共に、仮想軸心周りの逆転方向の回転力を受けると仮想軸心方向の基端に向けたベクトルを生ずる傾斜辺が回転方向に交互に配され、固定筒軸の固定筒爪冠部に噛合可能とされた先端爪冠部と、進退筒の外壁に内端が結合され、外端から内端に向けて内端巻き渦巻きバネとは逆向きとなるよう、仮想軸心周りの逆転方向に巻かれると共に、内端巻き渦巻きバネよりも強い弾発力を有するものとされた外端巻き渦巻きバネと、外端巻き渦巻きバネの外端に結合され、外端巻き渦巻きバネの外周囲を包囲する先端環状カバーとを有する回転力蓄積体が設けられ、中央環状カバーの仮想軸心方向の先端がわと、先端環状カバーの仮想軸心方向の基端がわとの間に、内端巻き渦巻きバネおよび外端巻き渦巻きバネの双方が完全に巻き解かれた場合に、回転力蓄積体を仮想軸心方向の先端方向に後退作動し、内端巻き渦巻きバネおよび外端巻き渦巻きバネの双方が完全に巻き締められた場合に、回転力蓄積体を仮想軸心方向の基端方向に前進作動するものとされた自動進退機構、および、自動進退機構の進退作動状態に拘わらず、中央環状カバーの仮想軸心周りの正転方向の回転力を、回転力蓄積体の先端環状カバーに伝達する外巻き力伝達機構が設けられ、中央回転体の筒軸部の仮想軸心方向の先端の中央爪冠部に対し、回転力蓄積体の進退筒の基端の基端爪冠部が噛合された場合に、回転力蓄積体の先端環状カバーの仮想軸心周りの少なくとも逆転方向の回転を規制する回転規制部が、回転力蓄積体の先端環状カバーの外周囲壁とフレームとの間に設けられ、内端巻き渦巻きバネおよび外端巻き渦巻きバネの双方が完全に巻き解かれた場合に、中央回転体の筒軸部の仮想軸心方向の先端の中央爪冠部から、仮想軸心方向の基端の基端爪冠部が離脱されると共に、仮想軸心方向の先端の先端爪冠部が、固定筒軸の仮想軸心方向の端の固定筒爪冠部に噛合し、内端巻き渦巻きバネと外端巻き渦巻きバネとに回転力が機械的に蓄積され、また、内端巻き渦巻きバネおよび外端巻き渦巻きバネの双方が完全に巻き締められた場合に、固定筒軸の仮想軸心方向の端の固定筒爪冠部から、仮想軸心方向の先端の先端爪冠部が離脱されると共に、仮想軸心方向の基端の基端爪冠部が、中央回転体の筒軸部の仮想軸心方向の先端の中央爪冠部に噛合するよう係合され、中央回転体の外巻き力伝達機構が、自動進退機構の進退作動状態に関わらず、中央環状カバーと先端環状カバーとを仮想軸心周り方向の少なくとも正転方向に係合し、自動進退機構に加わる遠心力が強い場合に、仮想軸心方向の基端がわに移動された先端環状カバーの仮想軸心周りの少なくとも逆転方向の回転を回転規制部が規制し、内端巻き渦巻きバネと外端巻き渦巻きバネとの夫々に機械的に蓄積された回転力が、互いの中央爪冠部と基端爪冠部とが噛合された筒軸部および進退筒を通じて回転出力部に対し、仮想軸心周りの正転方向の回転力として伝達するものとされた構成からなる回転駆動力補助装置となる。
以上のとおり、この発明の回転駆動力補助装置によれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、回転駆動源から逆転防止機構を介して入力された回転エネルギーの一部を、回転出力部より外部に出力すると共に、回転駆動源から逆転防止機構を介して入力された回転エネルギーの他の一部を、内端巻き渦巻きバネおよび外端巻き渦巻きバネの双方巻き締め力として機械的に蓄積し、それら内端巻き渦巻きバネおよび外端巻き渦巻きバネの双方の巻き締めが完了すると、回転駆動源からの入力が停止され、それら内端巻き渦巻きバネおよび外端巻き渦巻きバネの双方に蓄えられた巻き締めエネルギーを回転出力部に向けて解放し、回転駆動源からの入力が停止されている間も、回転出力部が安定した回転エネルギーを外部へ出力するものとされ、それら内端巻き渦巻きバネおよび外端巻き渦巻きバネの双方が巻き解かれると、再び、回転駆動源からの入力が再開され、回転駆動源から入力された回転エネルギーの一部を、回転出力部より外部に出力し、回転駆動源から入力された回転エネルギーの他の一部を、内端巻き渦巻きバネおよび外端巻き渦巻きバネの双方巻き締め力として機械的に蓄積するという作動が自動的に得られ、回転駆動源からの回転エネルギーの入力および入力停止が断続的に繰り返されることとなり、回転駆動源のエネルギー消費量を大幅に節減することができるから、回転駆動源を駆動するのに要する電力や化石燃料などの使用量と、二酸化炭素の排出量とを削減し、より自然環境に優しい回転駆動装置を提供可能なものとすることができるという秀でた特徴が得られるものである。
加えて、中央回転体の中央環状カバーが、内端巻き渦巻きバネの外周がわに、仮想軸心に同心上配置となる環状の回転慣性ウェイトが一体化されてなる、この発明の回転駆動力補助装置は、中央回転体の仮想軸心周りの正回転方向に回転する慣性力を増大できるから、回転駆動源からの仮想軸心周りの正回転方向の入力が停止された後にも、より強い回転トルクが維持される上、内端巻き渦巻きバネおよび外端巻き渦巻きバネの双方を巻き締める力を強めて、より安定した巻き締めが可能となるという効果を奏するものとなる。
また、自動進退機構が、中央環状カバーの仮想軸心方向の先端がわであって、仮想軸心周りに等角度間隔を隔てた複数箇所に設けられ、求心方向の弾発力を有し、遠心力を受けて圧縮される求心バネと、求心バネの求心方向の弾発力を受けた場合に先端環状カバーを、仮想軸心の先端に向けて移動するよう押圧し、求心バネが遠心力を受けて圧縮された場合に、先端環状カバーを、仮想軸心の先端に向けて移動するよう押圧力を消失するものとされたレバーとの組み合わせからなるものとされた、この発明の回転駆動力補助装置は、求心バネとレバーとの組み合わせという簡素な構造により、回転駆動源から入力される回転力によって発生する遠心力を利用し、回転力蓄積体を自動的に仮想軸心の軸心方向に進退移動するよう自動的に制御するものとなるから、部品点数の増加や装置構造の複雑化および装置の大型化を防ぎ、より小型、軽量化することができるものとなる。
回転駆動源が、回転駆動源の回転数を制御する自動制御部と、回転出力部の出力回転数を検出し、検出した出力回転数を自動制御部に送信する回転数センサと、自動制御部に搭載され、回転数センサからの出力回転数の検出値に基づき、回転駆動源の回転数を自動制御可能とするソフトウェア、または、回転数センサからの出力回転数の検出値に基づき、回転駆動源の回転数を自動制御可能とする制御回路の少なくとも何れか一方とが設けられた、この発明の回転駆動力補助装置によれば、回転出力部の出力回転数の変化に基づき、回転駆動源をより効率的に制御することが可能となり、電力や化石燃料などの使用量をより一段と削減できるという大きな特徴も有している。
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
主軸は、回転駆動源からの回転力を受けて回転する各回転部品、および、外部に向けて回転エネルギーを出力する回転部品などを仮想軸心周りに回転自在に軸支する機能を担い、仮想軸心上に配されるようフレームに固定されたものとしなければならず、仮想軸心は、鉛直姿勢、水平姿勢、または何れかの方向に傾斜された姿勢の何れか一つに設定されたものとすることができる外、この発明の回転駆動力補助装置の作動や停止などの状態に拘わらず、仮想軸心の姿勢が変化されるものとすることが可能であり、主軸は、後述する実施例にも示すように、仮想軸心上に配されるよう、主軸の基端または先端の中、少なくとも基端がフレームに固定されたものとすべきであるが、主軸の先端のみ、または、主軸の両端ともがフレームに固定されたものとすることが可能である。
フレームは、この発明の回転駆動力補助装置の主軸、および、その外の部品類を支持可能とする機能を分担し、主軸、および、その外の部品類を収容可能な容器状のものとすることが可能であり、容器状のものとされた場合には、一部に出力用の開口部が設けられたものとすべきであり、骨格枠からなるものや、一部に開閉可能または常時開放状態の何れか一とされたメンテナンス用の開口部、または、一部に開閉可能または開閉不能の何れか一とされた透明板材製の観察窓を有する筐体状のものなどとすることが可能である外、後述する実施例にも示しているように、対峙壁を有する箱形枠状のものとされ、内部に収容された部品類を支持するのに留まらず、外力から保護するものとすることができる外、後述する実施例には示していないが、フレームが、筐体状のものとされ、出力用のプーリや歯車などを軸端に有する回転軸が壁面に貫通され、外部出力可能なものとされ、該出力用回転軸の貫通部分、およびその他の開口部などに、充填材やパッキング材などの防水部材が設けられ、外部からの水や粉塵類などの浸入を防止可能なものとすることができる。
固定筒軸は、主軸の仮想軸心の軸心方向の先端付近に、仮想軸心の軸心方向の基端に向けられた固定筒爪冠部を支持する機能を担い、主軸の先端に、仮想軸心の周囲に、主軸の外周壁との間に間隙を隔てて配された筒状をなし、固定筒爪冠部が、回転力蓄積体の進退筒の先端爪冠部に噛合する直径に設定され、固定筒爪冠部は、進退筒の仮想軸心の軸心方向の先端の先端爪冠部に噛合する形状のものとされ、固定筒爪冠部に、先端爪冠部が噛合された場合には、外端巻き渦巻きバネが、完全に巻き締められるまでの間、進退筒の仮想軸心周りの正転方向およびそれとは逆転方向の双方の回転を規制するものとなり、外端巻き渦巻きバネが、完全に巻き締められた直後に、先端爪冠部に対して、仮想軸心の基端に向けたベクトルを生ずるものとすべきであり、後述する実施例にも示すように、固定筒爪冠部は、仮想軸心周りの正転方向に対し、仮想軸心の軸心方向の基端がわへ傾斜し、外端巻き渦巻きバネが、完全に巻き締められるまで先端爪冠部との噛合が維持されるよう摩擦力を確保され、外端巻き渦巻きバネが、完全に巻き締められ、外端巻き渦巻きバネが、完全に巻き締める回転力を超えた仮想軸心周りの正転方向の回転力を受けると仮想軸心方向の基端に向けたベクトルを生ずる傾斜角度(仮想軸心周りの正転方向に向かうに従い、仮想軸心の軸心方向の基端がわに近づく傾斜角度)に設定された傾斜辺と、仮想軸心周りの逆転方向に対し、垂直であって傾斜辺の仮想軸心の軸心方向の長さに一致された垂辺とが、仮想軸心周りの等角度間隔毎に順次交互に配されたものとするのが良く、より具体的には、傾斜辺と垂辺とを有する爪が、仮想軸心周りの360°に1個か、または、傾斜辺と垂辺とを有する爪が、仮想軸心周りの180°、120°、90°、60°、45°、40°、36°、30°、24°22.5°、20°、18°、15°、14.4°、12°、11.25°、10°、9°、8°、7.5°、7.2°、6°、5°、4.5°、3.75°、3.6°、3°、2.88°などの何れかの等角度間隔毎に1個、合計複数個が連続的に配されたものかの何れか一方のものとすることができる。
回転駆動源は、回転伝達機構に仮想軸心周りの正転方向の回転を入力し、さらに、中央回転体の回転出力部の回転数の増減に応じて、仮想軸心周りの正転方向の回転の入力と、入力の停止とを交互に繰り返す機能を分担し、回転伝達機構に仮想軸心周りの正転方向の回転力を入力するものとしなければならず、エンジンやモーター、蒸気機関などの外、風車や水車などの回転力を発生可能なものであって、フレームの内がわまたは外がわの何れか一方に設けられたものとすることができ、後述する実施例にも示しているように、中央回転体の回転出力部の回転数の増減に応じて、仮想軸心周りの正転方向の回転の入力と、入力の停止とを断続的に繰り返すよう、回転駆動源を自動的に制御可能な自動制御部が設けられたものとすることができる。
回転駆動源の自動制御部は、回転出力部の出力回転数の変化に応じて、回転駆動源の回転数を制御する機能を分担し、回転出力部の出力回転数を検出し、検出した出力回転数を自動制御部に送信する回転数センサと、自動制御部に搭載され、回転数センサからの出力回転数の検出値に基づき、回転駆動源の回転数を自動制御可能とする制御回路とすることができ、また、制御回路は、リレー回路とすることができる外、制御回路は、回転出力部の出力回転数を検出することなく、回転駆動源の起動と、停止との制御のタイミングを、中央回転体の回転数の増減の一定のリズム(一定のタイミング)に合致するよう、一定の時間毎に回転駆動源の起動と停止とを繰り返し、効率良く回転出力部を仮想軸心周りの正転方向に加速するよう制御するものとされたものとすることが可能であり、後述する実施例にも示しているが、自動制御部は、回転出力部の出力回転数を検出し、検出した出力回転数を自動制御部に送信する回転数センサと、自動制御部に搭載され、回転数センサからの出力回転数の検出値に基づき、回転駆動源の回転数を自動制御可能とするソフトウェアとを有するものとすることができる。
回転伝達機構は、回転駆動源が出力する回転力を、中央回転体(回転出力部)に対して仮想軸心周りの正転方向の回転力として伝達する機能を担うものであり、例えば、歯車、スプロケットとチェーン、ベルト車と無端ベルト、プーリと無端ベルトなどの何れかとすることができ、中央回転体の回転出力部との間に逆転防止機構が介在されたものとするのが望ましく、後述する実施例にも示している通り、回転駆動源の駆動軸に設けられた駆動プーリと、主軸の仮想軸心の基端寄りとなる位置に、仮想軸心周りに回転自在に装着された従動プーリと、駆動プーリと従動プーリとに巻き掛けられた無端ベルトとからなるものとするのが良い。
逆転防止機構は、回転駆動源、回転伝達機構および中央回転体の回転出力部の回転方向を仮想軸心周りの正転方向に規制し、逆転を防止可能とする機能を担っており、回転駆動源それ自体か、回転駆動源と回転伝達機構との間か、回転伝達機構それ自体か、または、回転伝達機構と中央回転体の回転出力部との間かの少なくとも何れか一カ所に設けられたものとしなければならず、後述する実施例にも示すように、回転伝達機構と中央回転体の回転出力部との間に配され、爪車部と1個または複数個の何れか一方の係合爪との組み合わせからなる外歯爪車とすることができる外、例えば、内歯爪車、摩擦爪車、フリーホイール、ラチェット、ワンウェイクラッチ、カム式・ワンウェイクラッチ(カムクラッチ)、スプラグ式・ワンウェイクラッチ、バックトルクリミッター、スリッパークラッチ、スライダークラッチなどの何れかの機構からなるものとすることが可能である。
中央回転体は、回転伝達機構から入力される仮想軸心周りの正転方向の回転力を受けて、仮想軸心周りの正転方向に回転されると共に、回転伝達機構から入力された回転力の一部を、外部出力する回転出力部に伝達し、回転伝達機構から入力された回転力のその他の一部を蓄えると共に、回転伝達機構から入力された回転力のその他の一部を回転力蓄積体の先端環状カバーに伝達する機能を分担し、主軸の両端間中央寄りに回転自在に装着された回転出力部と、回転出力部の仮想軸心方向の先端がわに設けられ、中央爪冠部が一体化された筒軸部と、筒軸部の外壁に内端が結合され、仮想軸心周りに巻かれた内端巻き渦巻きバネと、内端巻き渦巻きバネの外端に結合された中央環状カバーとを有するものとすべきである。
回転出力部は、回転伝達機構、回転力蓄積体および中央回転体それ自体から伝達された仮想軸心周りの正転方向の回転力を、この発明の回転駆動力補助装置の外部に出力する機能を担うものであり、外部に回転力を出力可能なものとしなければならず、例えば、歯車、スプロケットとチェーン、ベルト車と無端ベルト、プーリと無端ベルトなどの何れかとすることができ、従動がわとなる歯車、スプロケット、ベルト車またはプーリなどの何れかの軸が、フレームの外がわに延伸されたものとすることができる外、該回転出力部の出力がわ(従動がわ)となる歯車、スプロケット、ベルト車またはプーリなどの何れかがフレームの出力用の開口部の外がわに配されたものとすることが可能であり、後述する実施例にも示しているように、回転出力部と回転伝達機構との間に逆転防止機構が介在され、回転出力部としての出力プーリに対し、フレームの出力用の開口部を通じて外部から挿通された無端ベルトが、オープンベルト状、または、クロスベルト状の何れか一方の状態に巻き掛けられたものとすることができる。
回転出力部の装着筒部は、中央回転体の全体を主軸の仮想軸心に沿う長さ方向に充分な筒長を確保し、仮想軸心に対して倒れを生じることなく、仮想軸心周りに安定した回転を維持可能とする機能を担っており、装着筒部の仮想軸心方向に長い軸受け部分を確保するか、または、装着筒部の仮想軸心方向の両端付近の夫々に少なくとも対をなす軸受け部分を有するものとするのが望ましく、回転出力部の装着筒部のみに留まらず、この発明の回転駆動力補助装置の各所に配された軸受は、鋳鉄製、黄銅製、青銅製などのオイルリング固定軸受、青銅軸受メタル、ホワイトメタルを裏張りした軸受メタル、円筒形焼結含油軸受、また、ラジアル玉軸受、ラジアルころ軸受、スラスト玉軸受、スラストころ軸受などの転がり軸受、より具体的に示すと、単列ラジアル玉軸受、マグネト形玉軸受、複列アンギュラコンタクト玉軸受、複列自動調心玉軸受、単列円筒ころ軸受、単列円錐ころ軸受、複列自動調心軸受、単列針状ころ軸受、単式スラスト玉軸受、複列調心座形スラスト玉軸受、単式スラスト自動調心ころ軸受などとすることが可能である。
中央回転体の筒軸部は、回転伝達機構から回転出力部に入力された仮想軸心周りの正転方向の回転力を受けて回転し、その回転力の一部を内端巻き渦巻きバネの内端を仮想軸心周りの正転方向の巻き締め力として内端巻き渦巻きバネに伝達し、また、内端巻き渦巻きバネの内端の解放復帰力による仮想軸心周りの正転方向の回転力を受け、さらに、回転力蓄積体の進退筒の外端巻き渦巻きバネの解放復帰力による仮想軸心周りの正回転方向の回転力を受け、回転出力部の仮想軸心周りの正転方向の回転を加速可能とする機能を担うものであり、回転出力部の仮想軸心の軸心方向の先端がわに設けられ、仮想軸心の軸心方向の先端に中央爪冠部が一体化され、外壁に、仮想軸心周りに巻かれた内端巻き渦巻きバネの内端が結合されたものとすべきである。
筒軸部の中央爪冠部は、回転力蓄積体の基端爪冠部に噛合および離脱可能となり、回転力蓄積体の基端爪冠部と噛合した場合に、回転力蓄積体の基端爪冠部からの仮想軸心周りの正転方向の回転入力を受け、また、回転慣性ウェイトが設けられたものの場合には、回転慣性ウェイトの仮想軸心周りの正転方向の慣性エネルギーを受け、それらの正転方向の回転力を直接的に回転出力部に伝達する機能を担うものとされ、中央爪冠部と基端爪冠部との組み合わせ構造は、筒軸部の仮想軸心の軸心方向の先端と、回転力蓄積体の進退筒の仮想軸心の軸心方向の基端との間に設けられた、接合および離脱可能な摩擦板を有するクラッチ機構と、それら摩擦板の少なくとも何れか一方に設けられ、前述の逆転防止機構と同様の構造であって、仮想軸心周りの正転方向の回転のみを伝達する逆転防止機構との組み合わせからなるものとすることが可能である外、後述する実施例にも示しているように、回転力蓄積体の基端爪冠部に噛合した場合に、基端爪冠部の垂辺に対し、仮想軸心周りの正転方向に噛合する垂辺、および、仮想軸心周りの正転方向とは逆向きの逆転方向に滑ると共に、仮想軸心周りの逆転方向の回転力を受けると仮想軸心方向の先端に向けたベクトルを生ずる傾斜角度(仮想軸心周りの正転方向に向かうに従い、仮想軸心の軸心方向の基端がわに近づく傾斜角度)に設定された傾斜辺が回転方向に交互に配され、垂辺の仮想軸心の軸心方向の長さが、傾斜辺の仮想軸心の軸心方向の長さに一致され、仮想軸心周りの等角度間隔毎に順次交互に配されたものとすることができ、より具体的には、傾斜辺と垂辺とを有する爪が、仮想軸心周りの360°に1個か、または、傾斜辺と垂辺とを有する爪が、仮想軸心周りの180°、120°、90°、60°、45°、40°、36°、30°、24°22.5°、20°、18°、15°、14.4°、12°、11.25°、10°、9°、8°、7.5°、7.2°、6°、5°、4.5°、3.75°、3.6°、3°、2.88°などの何れかの等角度間隔毎に1個、合計複数個が連続的に配されたものかの何れか一方のものとすることができる。
中央回転体の内端巻き渦巻きバネは、筒軸部と中央環状カバーとを連結し、筒軸部の仮想軸心周りの正転方向の回転力を内端巻き渦巻きバネの内端に受け、回転駆動源から入力された仮想軸心周りの正転方向の回転力の一部を巻き締めによって蓄積し、内端巻き渦巻きバネが完全に巻き締められた場合に、筒軸部の仮想軸心周りの正転方向の回転力を中央環状カバーに直接的に伝達するものとなり、さらに、回転駆動源からの入力が停止され、しかも外端巻き渦巻きバネに蓄積された仮想軸心周りの正転方向の回転エネルギーが回転出力部に供給され、外端巻き渦巻きバネが巻き解かれた場合に、内端巻き渦巻きバネの蓄積エネルギーを回転出力部に供給する機能を分担し、筒軸部の外周壁の周囲に対し、内端巻き渦巻きバネの内端が結合され、外端から内端に掛けて、筒軸部の外周壁の周囲に対し、仮想軸心周りの正転方向に巻き付き、しかも回転力蓄積体の外端巻き渦巻きバネとは逆巻きとなるよう巻き掛けられ、外端巻き渦巻きバネよりもバネ定数が小さく設定されたものとすべきである。
また、内端巻き渦巻きバネは、仮想軸心C周りの巻き付き長さが、外端巻き渦巻きバネの仮想軸心C周りの巻き付き長さよりも長く設定されたものとされ、外端巻き渦巻きバネの仮想軸心C周りの巻き付き長さよりも短く設定された場合や、外端巻き渦巻きバネの仮想軸心C周りの巻き付き長さと同じ長さに設定された場合に比較して、より多くの回転エネルギーを蓄積可能とされたものとするのが良い。
中央回転体の中央環状カバーは、内端巻き渦巻きバネの外周囲を包囲し、外巻き力伝達機構および自動進退機構が組み込まれたものとし、内端巻き渦巻きバネの外端に対して、より大きな遠心力(慣性力)を保持可能とする機能を分担し、筒軸部とは内端巻き渦巻きバネを介して間接的に一体化されたものとされ、より具体的には、内端巻き渦巻きバネの外端の外がわに配する、仮想軸心周りに同心円状(ドーナッツ状)の回転慣性ウェイトが設けられたものするのが望ましく、筒軸部の外周壁に対して、仮想軸心の軸心方向の先端がわまたは基端がわの少なくとも何れか一方端がわに軸受け機構を介在し、仮想軸心周りに回動自在に支持されたものとすることが可能であり、後述する実施例にも示しているが、回転慣性ウェイトの仮想軸心の軸心方向の両端の夫々に、外径が回転慣性ウェイトの外径に一致し、内径が筒軸部の外径よりも僅かに大きく設定された環状の格納壁が、内端巻き渦巻きバネの外端から先端近傍までを包囲する如く設けられたものとするのが良い。
回転力蓄積体は、中央回転体から伝達される仮想軸心周りの正転方向の回転力を外端巻き渦巻きバネに蓄積し、内端巻き渦巻きバネおよび外端巻き渦巻きバネが完全に巻き締められ、回転出力部(筒軸部)の回転が高速となり、回転駆動源からの仮想軸心周りの正転方向の回転力の入力が絶たれた場合に、蓄積された仮想軸心周りの正転方向の回転力を中央回転体の筒軸部を通じて伝達し、回転出力部の仮想軸心周りの正転方向の回転を加速する機能を担うものであり、後述する実施例にも示しているように、主軸の固定筒軸と中央回転体との間となる中途位置の周囲に対し、進退筒が回帰規制機構を介して、主軸に沿って仮想軸心の軸心方向に進退自在且つ仮想軸心周りの正転方向に回転自在に装着され、進退筒の仮想軸心方向の基端に基端爪冠部が一体化され、筒状体の仮想軸心方向の先端に先端爪冠部が一体化され、進退筒の外壁に、内端巻き渦巻きバネとは逆向きに巻かれると共に、内端巻き渦巻きバネよりも強い弾発力を有する外端巻き渦巻きバネの内端が結合され、外端巻き渦巻きバネの外端に先端環状カバーが結合されたものとすべきである。
回転力蓄積体の進退筒は、主軸に対して回転力蓄積体を、主軸の仮想軸心の軸心方向の先端に配された固定筒軸と、主軸の仮想軸心の軸心方向の両端間中央寄りに回転自在に装着された中央回転体の筒軸部との間で、仮想軸心の軸心方向に進退移動自在、且つ、仮想軸心周りに回転自在に支持すると共に、仮想軸心の軸心方向の固定筒軸がわ寄りに設定された進限位置に移動すると、固定筒軸の仮想軸心の軸心方向の基端(固定筒爪冠部)に係合し、また、仮想軸心の軸心方向の中央回転体がわ寄りに設定された退限位置に移動すると、筒軸部の仮想軸心の軸心方向の先端(中央爪冠部)に係合し、進退筒の外周がわに、外端巻き渦巻きバネの内端を一体的に支持する機能を分担するものであり、主軸の外周囲に対し、回帰規制機構を介して仮想軸心上に回転自在、かつ仮想軸心の軸心方向の回帰規制機構が規制する進限位置と退限位置との間で節度感をもって進退自在となるよう装着され、仮想軸心の軸心方向の先端には、回帰規制機構の進限位置で、固定筒軸の固定筒爪冠部に噛合可能な先端爪冠部が設けられ、仮想軸心の軸心方向の基端には、回帰規制機構の退限位置で、筒軸部の中央爪冠部に噛合可能な基端爪冠部が設けられたものとされ、進退筒の仮想軸心の軸心方向の長さは、回帰規制機構の進限位置で、固定筒軸の固定筒爪冠部に噛合し、回帰規制機構の退限位置で、筒軸部の中央爪冠部に噛合する寸法に設定され、互いに噛合する固定筒爪冠部および先端爪冠部は、互いに同一直径に設定されたものとし、また、互いに噛合する中央爪冠部および基端爪冠部は、互いに同一直径に設定されたものとすべきである。
回帰規制機構は、主軸の固定筒軸と中央回転体との間となる中途位置の周囲に対し、進退筒が、仮想軸心周りに回転自在、且つ、仮想軸心の軸心方向の回帰規制機構の進限位置で、固定筒軸(固定筒爪冠部)に係合し、仮想軸心の軸心方向の回帰規制機構の退限位置で、筒軸部(中央爪冠部)に係合する位置に節度感を持って支持可能とする機能を担い、後述する実施例にも示すように、主軸の外周壁の進限位置に刻設された環状の進限規制溝と、主軸の外周壁の退限位置に刻設された環状の退限規制溝と、進退筒内周壁の仮想軸心周りの90°置きとなる4カ所から、求心方向に突出された案内筒部と、各案内筒部内に装着されたコイルスプリングと、進限規制溝と退限規制溝との間を、節度感をもって移動され、進限規制溝または退限規制溝の何れか一方に選択的に嵌合し、進限規制溝または退限規制溝の何れか一方と各コイルスプリングとの間に転動自在、および摺動自在に介在された球駒とからなるものとすることができる外、同様の機能を有する軸受やベアリングと置き換えることが可能である。
進退筒の先端爪冠部は、固定筒軸の固定筒爪冠部に噛合および離脱可能となり、固定筒軸の固定筒爪冠部に噛合した場合に、進退筒の仮想軸心周りの逆回転方向の回転を阻止し、仮想軸心周りの正回転方向の回転入力に対し、外端巻き渦巻きバネが巻き解かれた状態から、巻き上げられる間に渡って充分な摩擦を確保し、外端巻き渦巻きバネが完全に巻き締められた場合に、仮想軸心の軸心方向の基端に向けたベクトルを生じ、回転力蓄積体を、進退筒の先端爪冠部が、固定筒爪冠部から離脱されると共に、進退筒の基端爪冠部が、中央回転体の筒軸部の中央爪冠部に噛合する位置まで移動する機能を担い、後述する実施例にも示しているが、先端爪冠部は、仮想軸心周りの正転方向に対し、仮想軸心の軸心方向の基端がわへ傾斜し、外端巻き渦巻きバネが、完全に巻き締められるまで固定筒爪冠部との噛合が維持されるよう摩擦力を確保された傾斜辺と、仮想軸心周りの逆転方向に対し、垂直であって傾斜辺の仮想軸心の軸心方向の長さに一致された垂辺とが、仮想軸心周りの等角度間隔毎に順次交互に配されたものとすることができ、より具体的には、傾斜辺と垂辺とを有する爪が、仮想軸心周りの360°に1個か、または、傾斜辺と垂辺とを有する爪が、仮想軸心周りの180°、120°、90°、60°、45°、40°、36°、30°、24°22.5°、20°、18°、15°、14.4°、12°、11.25°、10°、9°、8°、7.5°、7.2°、6°、5°、4.5°、3.75°、3.6°、3°、2.88°などの何れかの等角度間隔毎に1個、合計複数個が連続的に配されたものかの何れか一方のものとすることができる。
進退筒の基端爪冠部は、中央回転体の筒軸部の中央爪冠部に噛合および離脱可能となり、中央回転体の筒軸部の中央爪冠部に噛合した場合に、進退筒の仮想軸心周りの逆回転方向の回転を阻止し、外端巻き渦巻きバネが巻き締められた状態から、巻き解かれるまでの間に渡り、正回転方向の回転力を筒軸部の中央爪冠部に伝達可能とするよう充分な摩擦を確保する機能を分担するものであり、後述する実施例にも示している通り、基端爪冠部は、仮想軸心の軸心方向に一致するよう垂直であって、中央爪冠部の垂辺に噛合し、進退筒の仮想軸心周りの正転方向の回転力を中央爪冠部に効率良く伝達可能とする形状とされた垂辺と、中央爪冠部の傾斜辺と噛合するよう仮想軸心周りの正転方向に向かうに従い、仮想軸心の軸心方向の基端がわへ傾斜された傾斜辺とを有する爪が、仮想軸心周りの360°に1個か、または、傾斜辺と垂辺とを有する爪が、仮想軸心周りの180°、120°、90°、60°、45°、40°、36°、30°、24°22.5°、20°、18°、15°、14.4°、12°、11.25°、10°、9°、8°、7.5°、7.2°、6°、5°、4.5°、3.75°、3.6°、3°、2.88°などの何れかの等角度間隔毎に1個、合計複数個が連続的に配されたものかの何れか一方のものとすることができる。
外端巻き渦巻きバネは、外端巻き渦巻きバネの外端から入力された仮想軸心周りの正回転方向の回転力を蓄積し、蓄積した回転エネルギーを、外端巻き渦巻きバネの内端から進退筒に対し、仮想軸心周りの正回転方向の回転力として供給する機能を担い、外端巻き渦巻きバネは、内端巻き渦巻きバネよりもバネ定数が大きく設定され、しかも、内端巻き渦巻きバネとは仮想軸心周りの逆回転方向の渦巻き形状のものとされたものとしなければならず、後述する実施例にも示す通り、より具体的には、回転力蓄積体の進退筒の先端爪冠部が、固定筒軸の固定筒爪冠部に噛合された場合に、中央回転体の仮想軸心周りの正回転方向の回転力が、外端巻き渦巻きバネの外端がわに伝達、入力され、外端巻き渦巻きバネの外端から巻き締められるものとなり、回転力蓄積体の先端爪冠部が、固定筒軸の固定筒爪冠部から離脱され、進退筒の基端爪冠部が、中央回転体の筒軸部の中央爪冠部に噛合された場合に、外端巻き渦巻きバネの巻き解きによる仮想軸心周りの正転方向の回転力が、外端巻き渦巻きバネの先端から進退筒を介して筒軸部に伝達、入力するものとすべきである。
回転力蓄積体の先端環状カバーは、外端巻き渦巻きバネの外周囲を包囲し、中央回転体の中央環状カバーとの間に外巻き力伝達機構および自動進退機構の介在を可能とし、さらに、回転規制部の一部が一体化される機能を担っており、進退筒に対して外端巻き渦巻きバネを介して一体化され、進退筒に対し、外端巻き渦巻きバネの巻き締め方向と、巻き解き方向とに回動自在なものとされていなければならず、後述する実施例にも示すように、進退筒の外周に対し、先端環状カバーの、仮想軸心方向の先端がわと基端がわとが、夫々軸受け機構を介して仮想軸心周りに回転自在に支持されたものとすることができる。
回転規制部は、中央回転体の筒軸部の仮想軸心方向の先端の中央爪冠部に対し、回転力蓄積体の進退筒の基端の基端爪冠部が噛合された場合に、回転力蓄積体の先端環状カバーの仮想軸心周りの少なくとも正転方向の回転を規制する機能を担い、回転力蓄積体の先端環状カバーの外周囲壁とフレームとの間に設けられたものとすべきであり、後述する実施例にも示している通り、回転規制部は、回転力蓄積体の先端環状カバーに設けられた制動凸部と、フレームに設けられた制動バーとからなり、固定筒爪冠部に先端爪冠部が噛合された場合に、制動バーが制動凸部から外れ、先端環状カバーが、仮想軸心周りの少なくとも正転方向に回転自在となり、また、中央爪冠部に基端爪冠部が噛合された場合に、制動バーが制動凸部に係合され、先端環状カバーが、仮想軸心周りの少なくとも正転方向に回転不能となるよう規制されるよう設定されたものとするのが良い。
自動進退機構は、中央回転体の中央環状カバーに加わる仮想軸心周りの正転方向の回転力によって生じる遠心力が大きくなると、回転力蓄積体を、進退筒の基端爪冠部が、中央回転体の筒軸部の中央爪冠部に噛合するよう、回帰規制機構の仮想軸心の軸心方向の退限位置まで自動的に移動し、遠心力が小さくなると、回転力蓄積体を進退筒の先端爪冠部が、固定筒軸の固定筒爪冠部に噛合するよう、回帰規制機構の仮想軸心の軸心方向の進限位置まで自動的に移動する機能を担うものであり、また、外巻き力伝達機構は、自動進退機構による回転力蓄積体の仮想軸心の軸心方向の進退動に拘わらず、中央回転体の中央環状カバーの、仮想軸心周りの正転方向の回転力を、回転力蓄積体の先端環状カバーに伝達し、外端巻き渦巻きバネを、外端巻き渦巻きバネの外端より巻き締め可能とする機能を分担するものであり、後述する実施例にも示しているように、スライド棒および案内穴を有する案内レール部からなる外巻き力伝達機構と、案内溝、求心バネ、球駒、支柱およびレバーからなる自動進退機構とが、一体化された継ぎ手状の部品(自動進退・外巻き力伝達機構)からなるものとすることが可能である外、後述する実施例には示していないが、中央環状カバーと先端環状カバーとの間に、自動進退機構および外巻き力伝達機構が設けられ、自動進退機構はたは外巻き力伝達機構の少なくとも何れか一方と、中央環状カバーまたは先端環状カバーの少なくとも何れか一方との間に、仮想軸心周りの正転方向のみの回転力を伝達し、仮想軸心周りの逆転方向の回転力を伝達せず空転する逆転防止機構が組み込まれたものとすることが可能である。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
図面は、この発明の回転駆動力補助装置の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
低回転または停止中の回転駆動力補助装置を一部断面化して示す正面図である。
高速回転中の回転駆動力補助装置を一部断面化して示す正面図である。
回転伝達機構を示す平面図である。
回転伝達機構を一部断面化して示す正面図である。
回転伝達機構を示す底面図である。
中央回転体を一部断面化して示す正面図である。
図6中のA−A断面を示す断面図である。
中央回転体を示す平面図である。
中央回転体を示す底面図である。
回転力蓄積体を一部断面化して示す正面図である。
図10中のB−B断面を示す断面図である。
回転力蓄積体を示す平面図である。
回転力蓄積体を示す底面図である。
低回転または停止中の回転駆動力補助装置の変形例を示す正面図である。
高速回転中の回転駆動力補助装置の変形例を示す正面図である。
図1ないし図13に示す事例は、主軸2の基端C1が仮想軸心C上に配するようフレーム3に固定され、固定筒爪冠部40を有する固定筒軸4が、主軸2の先端C0に設けられ、主軸2の基端C1に、回転駆動源Mから回転力を受ける回転伝達機構Pが装着され、回転伝達機構Pとの間に逆転防止機構Rが介在された回転出力部P3が、主軸2に回転自在に装着され、中央爪冠部51が一体化された筒軸部50、内端巻き渦巻きバネS1、中央環状カバー6を有する中央回転体5が、回転出力部P3の仮想軸心C方向の先端C0がわに設けられ、進退筒90、回帰規制機構91、基端爪冠部97、先端爪冠部98、外端巻き渦巻きバネS2および先端環状カバー99が結合された回転力蓄積体9が、主軸2の固定筒軸4と中央回転体5との間に設けられ、中央環状カバー6の仮想軸心C方向の先端C0がわと、回転力蓄積体9の仮想軸心C方向の基端C1がわとの間に、自動進退機構7および外巻き力伝達機構8が設けられ、中央回転体5の中央爪冠部51に対し、回転力蓄積体9の基端爪冠部97が噛合された場合に、回転力蓄積体9の少なくとも正転方向C2の回転を規制する回転規制部Eが設けられた、この発明の回転駆動力補助装置における代表的な一実施例を示すものである。
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の回転駆動力補助装置1は、主軸2が、仮想軸心C上に配されるよう、主軸2の基端C1と先端C0とが、少なくとも対峙する2枚の壁を有する筐体か、または、箱型枠かの何れか一方に形成されたフレーム3の対峙する二つの内壁の中央間に掛け渡されるよう固定され、主軸2の先端C0の周囲に、仮想軸心C上の配置となる固定筒軸4が設けられ、固定筒軸4の主軸2の仮想軸心Cの軸心方向の基端C1がわに向けられた端に、仮想軸心C周りの正転方向C2に対して、仮想軸心Cの軸心方向の基端C1がわへ向けて傾斜し、外端巻き渦巻きバネS2が、完全に巻き締められるまで先端爪冠部98との噛合が維持されるよう摩擦力を確保された傾斜辺Dと、仮想軸心C周りの逆転方向に対し、垂直であって傾斜辺Dの仮想軸心Cの軸心方向の長さに一致された垂辺Vとが、仮想軸心C周りの90°毎に順次交互に配され、合計4枚の爪を有する固定筒爪冠部40が一体化され、回転駆動源MとしてのモーターMが、モーターMの駆動軸M0を、仮想軸心Cに平行する姿勢とするよう、主軸2の近傍となるフレーム3に固定され、主軸2の仮想軸心Cの軸心方向の基端C1と、モーターMの駆動軸M0との間に回転伝達機構Pが装着され、回転伝達機構Pは、モーターMの駆動軸M0に設けられた駆動プーリP1、主軸2の仮想軸心Cの軸心方向の基端C1に軸受け機構BRを介して設けられた従動プーリP2、および、それら駆動プーリP1と従動プーリP2とにオープンベルト状に巻き掛けられた無端ベルトBとを有するものとされ、モーターMの駆動プーリP1から従動プーリP2に、仮想軸心C周りの正転方向C2の回転力が伝達されるものとされている。
主軸2の仮想軸心Cの軸心方向の両端C0,C1間の中央寄りとなる中途位置には、中央回転体5が回転自在に装着されており、中央回転体5と回転伝達機構Pの従動プーリP2との間には、図3、図4および図9に示されるように、中央回転体5か、回転伝達機構Pの従動プーリP2かの何れか一方に複数の鈎爪が、仮想軸心C周りに一周するよう配列された爪車部R0が設けられ、中央回転体5か、回転伝達機構Pの従動プーリP2かの何れか他方の、仮想軸心C周りの1カ所か、または、複数箇所かの何れか一方に板バネなどの弾性部材によって爪車部R0に噛合する方向に弾性付勢された係合爪R1が軸着され、それら爪車部R0と、仮想軸心C周りに1個、または、仮想軸心C周りに等角度間隔を隔てて配された複数個(例えば、図3に示すように、仮想軸心C周りの90°毎に合計4カ所設けられた)の係合爪R1との組み合わせからなり、従動プーリP2の仮想軸心C周りの正転方向C2のみが、中央回転体5に伝達され、従動プーリP2の仮想軸心C周りの正転方向C2とは逆向きの回転が、中央回転体5に伝達されず、空転するものとされた逆転防止機構Rが介在されている。
中央回転体5は、仮想軸心C周りの正転方向C2のみの回転力を外部出力する回転出力部P3としての出力プーリP3を有し、出力プーリP3に対峙するフレーム3の側壁に、出力用の開口部30が開口され、出力プーリP3には、フレーム3の外部から開口部30を通じて挿通された図示しない無端ベルトが巻き掛けられ、外部に回転力を出力可能なものとされ、出力プーリP3の従動プーリP2がわとなる端部には、装着筒部P4が結合され、出力プーリP3および装着筒部P4の従動プーリP2がわとなる端部付近には、上下夫々軸受け機構BRが組み込まれ、さらに、出力プーリP3の仮想軸心Cの軸心方向の先端C0がわには、仮想軸心C上に配され、進退筒90と同じ直径および肉厚寸法とされた筒軸部50の基端が一体化され、筒軸部50の仮想軸心Cの軸心方向の先端C0がわの端部には、回転力蓄積体9の進退筒90の基端爪冠部97に噛合する合計4枚の爪を有する中央爪冠部51が一体化されている。
中央爪冠部51は、回転力蓄積体9の進退筒90の外端巻き渦巻きバネS2が巻き解かれ、復帰による回転力を、回転力蓄積体9の進退筒90の基端爪冠部97の垂辺Vの仮想軸心C周りの正転方向の回転力を損失なく受ける垂辺Vと、仮想軸心C周りの逆転方向の回転力を逃がす傾斜辺Dとを有する合計4枚の爪が、仮想軸心C周りの90°毎に垂辺Vと傾斜辺Dとが順次、交互に配されていて、各垂辺Vの仮想軸心Cの軸心方向の長さと、各傾斜辺Dの仮想軸心Cの軸心方向の長さとが一致するよう寸法設定されたものとなっている。
筒軸部50の外壁には、内端巻き渦巻きバネS1の内端が結合され、内端巻き渦巻きバネS1は、筒軸部50が、仮想軸心C周りの正転方向C2に回転された場合に、内端が巻き締められ、回転エネルギーを蓄積可能となる渦巻き形状に巻きかけられたものとされ、内端巻き渦巻きバネS1の外端には、内端巻き渦巻きバネS1の外周囲を包囲する環状の回転慣性ウェイト60の内壁が結合され、環状の回転慣性ウェイト60の仮想軸心Cの軸心方向の両端に夫々環板状の格納壁61,61が結合され、各格納壁61,61の内周縁は、筒軸部50の外壁との間に僅かな環状の隙間を隔てて対峙するよう配され、それら回転慣性ウェイト60および各格納壁61,61の組み合わせによって中央環状カバー6が設けられたものとされている。
図1、図2、図6、図8および図10に示すように、中央環状カバー6の仮想軸心Cの軸心方向の先端C0がわに設けられた自動進退機構7および外巻き力伝達機構8は、互いが一体化された部品として、中央環状カバー6の仮想軸心C周りの等角度間隔置きとなる複数箇所、例えば、図8に示されるように、仮想軸心C周りの90°置き毎の合計4カ所に配され、その中の1個について示し、その他の同一部品の説明を省略して示すと、仮想軸心Cの求心方向に向け、仮想軸心C方向の基端C1がわに傾斜された案内溝70の遠心がわに、先端が仮想軸心Cの求心方向に向けられ、仮想軸心C方向の基端C1がわに傾斜する姿勢とされたコイルバネ製の求心バネ71が、その先端に球駒72を有するものとして設けられ、求心バネ71は、中央環状カバー6の高速回転に伴って発生する遠心力を受けると、球駒72の遠心力によって圧縮され、中央環状カバー6が低速回転になると、球駒72に加わる遠心力が弱まり、求心バネ71が元の状態に復帰し、球駒72が求心がわに押圧、移動されるものとなっており、案内溝70の、仮想軸心Cの求心がわに向けて近接されたがわの端部には、支柱73が立設され、支柱73の上端には、遊端が遠心方向に向けられたレバー74の基端が、レバー74の遊端を仮想軸心の両端C0,C1方向に揺動自在とするよう軸着され、レバー74の下辺が、球駒72に支持され、レバー74の中途部が、支柱73に突設された制限凸部75,75に係合され、レバー74の遊端の仮想軸心の両端C0,C1方向の揺動範囲が夫々規制されたものとなっており、レバー74の遊端に設けられたスライド棒80が、図10に示すように、後述する回転力蓄積体9の先端環状カバー99の中央回転体5に対峙するがわの壁面の遠心がわに一体化され、回転力蓄積体9の直径方向に長いスリット状の案内穴82,82を有する案内レール対81の間に、案内穴82,82の間に差し渡された状態に、回転力蓄積体9の直径方向にスライド自在に連結され、これらスライド棒80、案内レール部81、案内穴82、案内溝70、求心バネ71、球駒72、支柱73およびレバー74の組み合わせによって外巻き力伝達機構8および自動進退機構7を兼ね備えた自動進退・外巻き力伝達機構7(8)とされたものとされている。
図1、図2および図10ないし図13に示すように、回転力蓄積体9は、主軸2の固定筒軸4と中央回転体5との間となる中途位置の周囲に対し、仮想軸心C上に配され、固定筒軸4および筒軸部50と同じ直径および肉厚寸法とされた進退筒90が、仮想軸心Cの軸心方向の進退範囲を、節度感をもって規制可能な回帰規制機構91を介在して回転自在に装着され、回帰規制機構91は、進退筒90の内側に対峙する主軸2の外周壁の仮想軸心Cの軸心方向の両端がわに十分な間隔を隔てた2カ所に刻設された進限規制溝92,92、および、それら進限規制溝92,92から進退筒90の仮想軸心Cの軸心方向の基端がわに進退移動距離を隔てて刻設された退限規制溝93,93を有し、進退筒90の内壁の仮想軸心Cの軸心方向の先端C0寄りとなる進退移動の進限位置で、進限規制溝92,92に対峙し、仮想軸心Cの軸心方向の基端C1寄りとなる進退移動の退限位置で、退限規制溝93,93に対峙する位置であって、仮想軸心C周りに等角度間隔を隔てた3カ所以上の複数箇所、例えば90°毎の合計4カ所に、案内筒部94,94,……が求心方向に突出され、案内筒部94,94,……内には、夫々コイルスプリング95,95,……が伸縮自在に装着され、進限規制溝92,92または退限規制溝93,93の何れか選択された一方と、各コイルスプリング95,95,……の求心がわ端との間に球駒96,96,……が、転動自在、および摺動自在に介在されたものとなり、進退筒90が、仮想軸心Cの軸心方向の進退範囲の進限位置にある場合に、進限規制溝92,92に、球駒96,96,……が転動および摺動自在に嵌合され、また、進退筒90が、仮想軸心Cの軸心方向の進退範囲の退限位置にある場合に、退限規制溝93,93に、球駒96,96,……が転動および摺動自在に嵌合されるものとなっている。
進退筒90の内周壁には、仮想軸心Cの軸心方向の回帰規制機構91よりも先端C0がわと、基端C1がわとの双方の端部よりの箇所に、主軸2の外周壁に対して、仮想軸心C周りに回転自在、且つ、仮想軸心Cの軸心方向に進退自在に支持する、両端がわで一対をなす滑り軸受SB,SBが、進退筒90の内周壁に対して締まり嵌め、またはネジ結合などの何れかの構造によって、一体化されたものとなっている。
また、進退筒90の仮想軸心Cの軸心方向の基端C1がわの端には、中央回転体5の中央爪冠部51に噛合する形状であって、進退筒90が、仮想軸心C周りの正転方向C2に回転された場合に、中央爪冠部51と噛合する形状とされ、進退筒90が、仮想軸心C周りの正転方向C2とは逆向きに逆転した場合に、中央爪冠部51との間で滑り、空転するものとなる基端爪冠部97が一体化され、基端爪冠部97は、仮想軸心Cの軸心方向に平行とされ、中央爪冠部51の垂辺V,V,……に噛合し、仮想軸心C周りの正転方向C2の回転力を損失なく伝達可能な垂辺V,V,……と、仮想軸心C周りの正転方向C2に向けて仮想軸心Cの軸心方向の基端C1に向けて下る勾配を有し、仮想軸心C周りの逆転方向の回転力を逃がす傾斜辺D,D,……とが、仮想軸心C周りの90°毎に順次交互に配された合計4枚の爪を有し、各垂辺V,V,……と各傾斜辺D,D,……とは、互いの仮想軸心C方向の長さが一致された寸法設定とされたものとなっている。
進退筒90の仮想軸心Cの軸心方向の先端C0がわとなる端には、固定筒軸4の固定筒爪冠部40の傾斜辺Dに噛合し、内端巻き渦巻きバネS1および外端巻き渦巻きバネS2が完全に巻き締められるまで、固定筒軸4の固定筒爪冠部40との噛合を維持する摩擦力を確保する形状であって、内端巻き渦巻きバネS1および外端巻き渦巻きバネS2が完全に巻き締められた上、さらに、進退筒90の仮想軸心C周りの正転方向の回転数が高まると、固定筒爪冠部40との間で進退筒90を、仮想軸心Cの軸心方向の基端C0に向けて移動する(自動進退・外巻き力伝達機構7(8)の、求心バネ71,71,……を強制的に圧縮し、レバー74,74,……の各遊端が、図2に示されるよう、仮想軸心Cの軸心方向の基端C1がわに倒されるよう)ベクトルを生じる傾斜辺D,D,……と、傾斜辺D,D,……の間に設けられた垂辺V,V,……とからなり、各垂辺V,V,……と各傾斜辺D,D,……とは、互いの仮想軸心C方向の長さが一致された寸法設定とされた先端爪冠部98が設けられている。
この進退筒90は、図1に示すように、進退筒90が、仮想軸心C方向の先端C0がわに移動され、回帰規制機構91が進限位置にある場合に、先端爪冠部98が、固定筒軸4の固定筒爪冠部40に噛合され、また、図2に示すように、進退筒90が、仮想軸心C方向の基端C1がわに移動され、回帰規制機構91が退限位置にある場合に、基端爪冠部97が、中央回転体5の中央爪冠部51に噛合するものとなっている。
進退筒90の外壁に、内端巻き渦巻きバネS1とは逆向きとなる仮想軸心C周りに巻かれると共に、内端巻き渦巻きバネS1よりも強い弾発力(大きなバネ定数)を有するものとされた外端巻き渦巻きバネS2の内端が結合され、外端巻き渦巻きバネS2の外端に対し、外端巻き渦巻きバネS2の外周囲を包囲し、仮想軸心C方向の両端C0,C1がわが、夫々軸受け機構BR,BRを介し、進退筒90の外壁に対し、仮想軸心C周りに回転自在となるよう装着された先端環状カバー99の内壁が結合され、外端巻き渦巻きバネS2は、先端環状カバー99が、仮想軸心C周りの正転方向C2に回転された場合に、外端巻き渦巻きバネS2の外端が巻き締められ、回転エネルギーを蓄積可能となる渦巻き形状に巻きかけられたものとされ、先端環状カバー99に対し、中央回転体5の自動進退機構7が、中央回転体5の自動進退機構7に加わる遠心力が弱い場合に、中央回転体5の筒軸部50の仮想軸心Cの軸心方向の先端C0がわの中央爪冠部51から、仮想軸心Cの軸心方向の基端C1がわの基端爪冠部97が離脱されると共に、仮想軸心Cの軸心方向の先端C0がわの先端爪冠部97が、固定筒軸4の仮想軸心C方向の端の固定筒爪冠部40に噛合し、中央回転体5の自動進退機構7に加わる遠心力が強い場合に、固定筒軸4の仮想軸心Cの軸心方向の端の固定筒爪冠部40から、仮想軸心Cの軸心方向の先端C0がわの、先端爪冠部98が離脱されると共に、仮想軸心Cの軸心方向の基端C1がわの基端爪冠部97が、中央回転体5の筒軸部50の仮想軸心Cの軸心方向の先端C0がわの中央爪冠部51に噛合するものとされた上、外巻き力伝達機構8が、自動進退機構7の進退作動状態に関わらず、中央回転体5の中央環状カバー6の仮想軸心C周りの正転方向C2の回転力を回転力蓄積体9の先端環状カバー99に伝達するものとされている。
中央回転体5の筒軸部50の仮想軸心Cの軸心方向の先端C0がわの中央爪冠部51に対し、回転力蓄積体9の進退筒90の仮想軸心Cの軸心方向の基端C1がわの基端爪冠部97が噛合された場合に、回転力蓄積体9の先端環状カバー99の仮想軸心C周りの少なくとも正転方向C2の回転を規制する回転規制部Eが設けられており、回転規制部Eは、回転力蓄積体9の先端環状カバー99の外周囲壁に突設された制動凸部E0と、回転力蓄積体9が、仮想軸心Cの軸心方向の先端C0寄りとなる進限位置に配された場合に、制動凸部E0に対峙するフレーム3の内側壁に突設された制動バーE1とからなり、制動バーE1は、回転力蓄積体9が、仮想軸心Cの軸心方向の先端C0寄りとなる進限位置に配された場合にのみ制動凸部E0に係合し、主軸2に対する先端環状カバー99の、仮想軸心C周りの少なくとも正転方向C2の回転動を制動し、外端巻き渦巻きバネS2に蓄積された巻き締めエネルギーが、進退筒90を介して中央回転体5の筒軸部50に仮想軸心C周りの正転方向C2の回転エネルギーとして伝達された後か、または、回転力蓄積体9が、仮想軸心Cの軸心方向の基端C1寄りとなる退限位置に配された場合には、制動凸部E0が、制動バーE1から外れ、外巻き力伝達機構8による先端環状カバー99の回転、および、外端巻き渦巻きバネS2への回転力の蓄積を可能なものとするようになっている。
そして、図1および図2に示してあるように、回転駆動源Mには、回転駆動源MとしてのモーターMの回転数を制御する自動制御部M1と、回転出力部P3としての出力プーリP3の出力回転数を検出し、検出した出力回転数を自動制御部M1に送信する回転数センサM2と、自動制御部M1に搭載され、回転数センサM2からの出力回転数の検出値に基づき、モーターMの回転数を自動制御可能とするソフトウェアM3とを有するものとなっている。
図14および図15に示すように、この発明の回転駆動力補助装置1は、自動進退機構7および外巻き力伝達機構8の一部構造が変更されたものとすることが可能であり、中央環状カバー6の仮想軸心C周りの等角度間隔置きとなる複数箇所、例えば、仮想軸心C周りの90°置き毎の合計4カ所に配され、その中の1個についてのみ示すと、仮想軸心Cの求心方向に向け、仮想軸心C方向の基端C1がわに傾斜された案内溝70の遠心がわに、先端が仮想軸心Cの求心方向に向けられ、仮想軸心Cの軸心方向の基端C1がわに傾斜する姿勢とされたコイルバネ製の求心バネ71が、その先端に球駒72を有して設けられ、求心バネ71は、中央環状カバー6の高速回転に伴って発生する遠心力を受けると、球駒72の遠心力によって圧縮され、中央環状カバー6が低速回転になると、球駒72に加わる遠心力が弱まり、求心バネ71が元の状態に復帰し、球駒72が仮想軸心Cの求心がわに押圧、移動されるものとなっており、案内溝70の、仮想軸心Cの求心がわに向けて近接されたがわの端部には、支柱73が立設され、支柱73の上端には、仮想軸心Cの遠心方向に遊端が向けられたレバー74の、仮想軸心Cの求心方向がわに向けられた基端が、レバー74の遊端を仮想軸心の両端C0,C1方向に揺動自在となるよう軸着され、レバー74の下辺が、球駒72に支持され、レバー74の中途部が、支柱73に突設された制限凸部75,75に係合され、レバー74の遊端の揺動範囲が規制されたものとなっており、レバー74の遊端が、先端環状カバー99の中央回転体5に対峙するがわの壁面の遠心がわに一体化され、回転力蓄積体9の直径方向に平行する2本が一対となる凸条の案内レール対からなる溝状レール部81に対し、求心バネ71および球駒72の弾性押圧力によって押し当てられるよう、回転力蓄積体9の直径方向にスライド自在に係合され、これら案内溝70、求心バネ71、球駒72、支柱73、レバー74および溝状レール部81の組み合わせによって自動進退機構7および外巻き力伝達機構8を兼ね備えた自動進退・外巻き力伝達機構7(8)とされたものとすることが可能である。
(実施例1の作用・効果)
以上のとおり、図1ないし図13に示す構成からなるこの発明の回転駆動力補助装置1は、図1に示すように、回転駆動源M、回転伝達機構P、中央回転体5および回転力蓄積体9の回転が全て停止した状態にあっては、自動進退機構7および外巻き力伝達機構8の機能を兼ね備えた自動進退・外巻き力伝達機構7(8)が、中央回転体5に対し、回転力蓄積体9を仮想軸心Cの軸心方向の先端C0がわに配置されるよう、回帰規制機構91の球駒96,96が、進限規制溝92,92に嵌合する進限位置に移動された状態に支持し、回帰規制機構91が進限位置にある場合、回転力蓄積体9の進退筒90の先端爪冠部98が、固定筒軸4の固定筒爪冠部40に噛合され、しかも回転規制部Eの制動凸部E0は、制動バーE1から外れて係合せず、回転力蓄積体9の先端環状カバー99は、仮想軸心C周りの少なくとも正転方向C2に回動自在となっている。
図1に示す停止状態から、回転駆動力補助装置1の電源を投入すると、自動制御部M1が、ソフトウェアM3に従い、回転駆動源MであるモーターMを起動し、モーターMの駆動軸M0および回転伝達機構Pの駆動プーリP1が回転駆動し、その回転駆動力が、回転伝達機構Pの無端ベルトBおよび従動プーリP2を通じ、しかも図3、図4図6および図9に示す、逆転防止機構Rの爪車部R0,R0,……および係合爪R1,R1,……を介し、中央回転体5の装着筒部P4および回転出力部P3としての出力プーリP3に対し、仮想軸心C周りの正転方向C2のみの回転力が伝達されることとなり、モーターMおよび回転伝達機構Pが停止した場合も、逆転防止機構Rの働きによって、中央回転体5の装着筒部P4および回転出力部P3は、仮想軸心C周りの正転方向C2の回転を円滑に継続できるものとなっており、モーターMからの回転入力によって、中央回転体5の装着筒部P4、回転出力部P3および筒軸部50が、仮想軸心C周りの正転方向C2に回転されると、筒軸部50の外周壁に内端が結合された内端巻き渦巻きバネS1の内端が、仮想軸心C周りの正転方向C2に巻き締められ、次第に内端巻き渦巻きバネS1が完全に巻き締められることとなる。
回転力蓄積体9の進退筒90の先端爪冠部98が、固定筒軸4の固定筒爪冠部40に対して仮想軸心C周りに回転しないよう、噛合されている状態にあって、内端巻き渦巻きバネS1が完全に巻き締められると、中央環状カバー6から自動進退・外巻き力伝達機構7(8)を介して仮想軸心C周りの正転方向C2の回動力を受けた先端環状カバー99が、進退筒90に対して仮想軸心C周りの正転方向C2に回動され、内端が進退筒90の外周壁に固定状された外端巻き渦巻きバネS2の外端が巻き締められることとなり、内端巻き渦巻きバネS1および外端巻き渦巻きバネS2は、互いのバネ定数の違いによって内端巻き渦巻きバネS1が先に巻き締められ、その後に外端巻き渦巻きバネS2が巻き締められ、さらに、仮想軸心C周りの巻き方向の違いによって内端巻き渦巻きバネS1は、内端がわから巻き締められ、外端巻き渦巻きバネS2が外端がわから巻き締められることとなる。
内端巻き渦巻きバネS1および外端巻き渦巻きバネS2が、夫々完全に巻き締められると、回転慣性ウェイト60の大きな慣性力が安定的に増大するよう、中央回転体5、および、中央回転体5に対し、自動進退・外巻き力伝達機構7(8)を介して接続された回転力蓄積体9が、さらに仮想軸心C周りの正転方向C2に加速されることとなり、中央回転体5に一体となっている回転出力部P3としての出力プーリP3も高速回転状態となり、回転数センサM2を通じて出力プーリP3が高回転状態に達したことを感知した自動制御部M1は、モーターMへの電力供給を停止するよう自動制御する。
モーターMが停止された状態にあっても、回転慣性ウェイト60の慣性力によって回転し続ける中央環状カバー6は、自動進退・外巻き力伝達機構7(8)を介して先端環状カバー99に対し、仮想軸心C周りの正転方向C2の回転力を供給し続けることとなり、完全に巻き締められた外端巻き渦巻きバネS2は、先端環状カバー99の仮想軸心C周りの正転方向C2の回転力を、固定筒軸4の固定筒爪冠部40に噛合されている進退筒90の先端爪冠部98に伝達し、先端爪冠部98の各傾斜辺D,D,……と、固定筒爪冠部40の各傾斜辺D,D,……との間に、互いの傾斜辺D,D,……同士の摩擦力を超える回転力が働き、固定筒爪冠部40の各傾斜辺D,D,……に対して先端爪冠部98の各傾斜辺D,D,……が滑り出し、固定筒爪冠部40の仮想軸心Cの軸心方向の基端C1に向かうベクトルを発生し、仮想軸心C軸心方向の基端C1に向かうベクトルを受けた進退筒90が、固定筒爪冠部40の仮想軸心Cの軸心方向の基端C1に向けて移動され、先端爪冠部98が固定筒爪冠部40から離脱され、図2に示すように、各自動進退・外巻き力伝達機構7(8)のレバー74は、球駒72を遠心方向に押圧し、求心バネ71を圧縮しながら、各レバー74の遊端がわが、仮想軸心Cの遠心がわに倒されることとなり、回転力蓄積体9の進退筒90は、回帰規制機構91の各球駒96,96,……が、進限位置の進限規制溝92,92から、退限位置の退限規制溝93,93,……に節度感を持って移動され、仮固定状且つ回転自在に支持され、基端爪冠部97が中央回転体5の中央爪冠部51に噛合される。
図2に示すように、基端爪冠部97が中央回転体5の中央爪冠部51に噛合されと、回転規制部Eの制動凸部E0が、制動バーE1に係合し、回転力蓄積体9の先端環状カバー99の少なくとも仮想軸心C周りの正転方向C2の回転が阻止され、このように先端環状カバー99の回転が停止されると、自動進退・外巻き力伝達機構7(8)を介して接続された中央環状カバー6も同様に、仮想軸心C周りの正転方向C2の回転が阻止され、先端環状カバー99の内周壁に外端が結合された外端巻き渦巻きバネS2は、内端巻き渦巻きバネS1よりもバネ定数が大きいから、内端巻き渦巻きバネS1よりも強く巻き締め力を解放することとなり、外端巻き渦巻きバネS2の巻き締め解放による仮想軸心C周りの正転方向C2の復帰力を、外端巻き渦巻きバネS2の内端から、進退筒90に伝達することなり、進退筒90の仮想軸心C周りの正転方向C2の回転力は、進退筒90の基端爪冠部97から中央回転体5の中央爪冠部51に伝達され、回転出力部P3としての出力プーリP3を仮想軸心C周りの正転方向C2に加速するものとなる。
こうして外端巻き渦巻きバネS2の巻き締め力の解放が始まると、進退筒90の仮想軸心C周りの正転方向C2の回転力を受けた筒軸部50の外周壁に内端が結合されている内端巻き渦巻きバネS1もまた、その巻き締めが解放されることとなり、内端巻き渦巻きバネS1の巻き締め力の解放による、仮想軸心C周りの正転方向C2の復帰力を、内端巻き渦巻きバネS1の内端から、筒軸部50に伝達し、回転出力部P3としての出力プーリP3を仮想軸心C周りの正転方向C2に加速するものとなる。
したがって、モーターMが停止された状態であっても、回転慣性ウェイト60に蓄えられた仮想軸心C周りの正転方向C2の慣性力に加えて、外端巻き渦巻きバネS2の内端から供給される仮想軸心C周りの正転方向C2の復帰力、および、内端巻き渦巻きバネS1の内端から供給される仮想軸心C周りの正転方向C2の復帰力によって、回転出力部P3としての出力プーリP3を、モーターMの停止中にあってもモーターMが起動しているのと略同様の回転数に安定するよう維持するものとなる。
外端巻き渦巻きバネS2の内端、および、内端巻き渦巻きバネS1の内端から供給される仮想軸心C周りの正転方向C2の復帰力が弱まり、回転出力部P3としての出力プーリP3の回転数が僅かに低下してくると、各自動進退・外巻き力伝達機構7(8)に働く遠心力が弱まり、図1に示されるように、各求心バネ71,71,……が伸張復帰し、各球駒72,72,……が求心方向に移動され、各レバー74,74……の遊端が、仮想軸心Cの軸心方向の先端C0がわに動き、各求心バネ71,71,……の伸張復帰力が、各球駒72,72,……、各レバー74,74……、スライド棒80,80,……、案内穴82,82,……、案内レール部81,81,……を介し、回転力蓄積体9を、進退筒90の先端爪冠部98が、固定筒軸4の固定筒爪冠部40に噛合する位置まで移動し、回帰規制機構91の球駒96,96,……は、退限位置の退限規制溝93,93から、進限位置の進限規制溝92,92へ、コイルスプリング95,95,……の弾発力により、円滑に乗り越え移動され、進限位置の進限規制溝92,92に対して回転力蓄積体9の進退筒90を回転自在に支持し、進退筒90が、回帰規制機構91の進限位置にある場合に、先端爪冠部98は、固定筒軸4の固定筒爪冠部40に噛合された状態を維持するものとなる。
このようにして、回転出力部P3としての出力プーリP3の回転数が僅かに低下すると、回転数センサM2を通じて出力プーリP3の回転数の低下を感知した自動制御部M1は、再びモーターMへの電力供給を開始し、中央環状カバー6の回転慣性ウェイト60に仮想軸心C周りの正転方向C2の慣性力を与え、前述のように内端巻き渦巻きバネS1および外端巻き渦巻きバネS2を再び巻き締め、それら内端巻き渦巻きバネS1および外端巻き渦巻きバネS2に、モーターMから供給される仮想軸心C周りの正転方向C2の回転エネルギーを蓄積するものとなり、内端巻き渦巻きバネS1および外端巻き渦巻きバネS2が完全に巻き締められ、さらに高回転に達しようとすると、回転数センサM2を通じて回転出力部P3としての出力プーリP3の高速回転状態を感知した自動制御部M1は、モーターMへの電力供給を停止し、前述したのと同様に、回転慣性ウェイト60の慣性力、外端巻き渦巻きバネS2および内端巻き渦巻きバネS1に蓄積された回転エネルギーを、回転出力部P3としての出力プーリP3に向けて供給するという工程を自動的に繰り返すものとなっている。
図14および図15に示される、この発明の回転駆動力補助装置1の変形例は、先端環状カバー99の中央回転体5に対峙するが壁面の遠心がわの、仮想軸心C周りの90°置き毎の位置に一体化され、回転力蓄積体9の直径方向に平行する2本が一対となる凸条の案内レール対からなる溝状レール部81に対し、レバー74の遊端が、求心バネ71および球駒72の弾性押圧力によって押し当てられ、回転力蓄積体9の直径方向にスライド自在に係合され、これら案内溝70、求心バネ71、球駒72、支柱73、レバー74および溝状レール部81の組み合わせによって自動進退機構7および外巻き力伝達機構8を兼ね備えた自動進退・外巻き力伝達機構7(8)とされたものとなっているから、図1および図2に示した、案内穴82を有する案内レール部81にレバー74の遊端のスライド棒80をスライド自在に組み合わせられたものに比較して、構造を簡素化し、より駆動抵抗を低減し、一段と効率的に作動可能なものとすることが可能となる。
(結 び)
叙述の如く、この発明の回転駆動力補助装置は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの渦巻バネを利用して出力を安定させる技術に比較して大幅に耐久強度を高め、軽量且つ低廉化して遥かに経済的なものとすることができる上、回転駆動源のエネルギー消費量を大幅削減し、化石燃料の使用量を抑制し、自然環境により優しく、しかも維持、経費を大幅に改善し得るものとなることから、長時間にわたって安定した出力を得ながら、省エネを達成したいと希望する機械業界、発電業界、および、製造業界など、様々な業界において高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
1 回転駆動力補助装置
2 主軸
C 仮想軸心
C0 同 先端
C1 同 基端
C2 同 正転方向
3 フレーム
30 同 出力用の開口部
4 固定筒軸
40 同 固定筒爪冠部
V 同 垂辺
D 同 傾斜辺
M モーター(回転駆動源)
M0 同 駆動軸
M1 同 自動制御部
M2 同 回転数センサ
M3 同 ソフトウェア
P 回転伝達機構
P1 同 駆動プーリ
P2 同 従動プーリ
B 同 無端ベルト
R 逆転防止機構
R0 同 爪車部
R1 同 係合爪
5 中央回転体
P3 同 出力プーリ(回転出力部)
P4 同 装着筒部
50 同 筒軸部
51 同 中央爪冠部
V 同 垂辺
D 同 傾斜辺
S1 同 内端巻き渦巻きバネ
6 中央環状カバー
60 同 回転慣性ウェイト
61 同 格納壁
7 自動進退機構
70 同 案内溝
71 同 求心バネ
72 同 球駒
73 同 支柱
74 同 レバー
75 同 制限凸部
8 外巻き力伝達機構
80 同 スライド棒
81 同 案内レール部
82 同 案内穴
9 回転力蓄積体
90 同 進退筒
91 同 回帰規制機構
92 同 進限規制溝(進限位置)
93 同 退限規制溝(退限位置)
94 同 案内筒部
95 同 コイルスプリング
96 同 球駒
SB 同 滑り軸受
97 同 基端爪冠部
V 同 垂辺
D 同 傾斜辺
98 同 先端爪冠部
V 同 垂辺
D 同 傾斜辺
S2 同 外端巻き渦巻きバネ
99 同 先端環状カバー
BR 軸受け機構
E 回転規制部
E0 同 制動凸部
E1 同 制動バー