JP6446266B2 - 染毛用染料組成物および該組成物の製造方法 - Google Patents

染毛用染料組成物および該組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、染毛用染料として優れた性能を有し、かつエームズ試験結果が陰性となるアゾ系染毛用染料組成物および該組成物の製造方法に関するものである。
近年、化学物質の安全性に対する関心が高まっている。特に、癌原性物質の製造、販売に関しては厳しい法規制措置が採られており、新規化学物質の開発に際しては癌原性の無いことの確認が必須条件となっている。物質の癌原性の有無を判定するための試験には長期の期間と莫大な費用を要するが、化学物質の癌原性の有無を短期かつ安価に判定する試験として変異原性試験が実施されており、特に、エームズ試験は非常にシンプルな検出原理で化学物質の発がん性を効率よくスクリーニング可能な方法として広く実施されている。
下記構造式(I)で表されるベーシックブラウン16は染毛用染料として優れた性能を有する有用なアゾ染料であるが、エームズ試験において陽性を示すことが知られており(例えば、非特許文献1参照)、実用化の際には安全性の点で問題が残されている。
Figure 0006446266
一方、下記一般式(II)で表されるアントラキノン系色素に関しては、カラムクロマトグラフィーによる精製操作を行うことによって、エームズ試験で陰性となる色素を得る方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
Figure 0006446266
式中、Rは置換あるいは非置換のアルキル基、アルケニル基あるいはフェニル基を表す。
しかしながら、特許文献1記載の精製方法は、アントラキノン系色素の場合には適用できるが、アゾ系色素等の染料には適用できない(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−124510号公報
「Opinion on Basic Brown 16」Scientific Committee on Consumer Products 2008年9月30日 「理論製造染料化学」 第5版 1968年 細田豊著、技報堂出版 OECDテストガイドライン471「細菌復帰突然変異試験」 1997年7月21日採択
本発明の目的は、アゾ染料を主成分とする染毛用染料組成物について、エームズ試験において陰性となるような精製方法を開発し、該精製方法を適用して製造したエームズ試験において陰性を示す染毛用染料組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、アゾ染料を主成分とする染毛用染料組成物に含有されるアゾ染料中の不純物の中で、エームズ試験において陽性を示す不純物を特定したものであり、該不純物を除去することを指標に精製方法を種々検討し、特定の方法により精製することによって、アゾ染料を主成分とする染毛用染料組成物が、エームズ試験において陰性を示すことを見出し、本発明を完成させたものである。すなわち本発明は、以下を要旨とするものである。
1.トリメチルアンモニオ基を有するアゾ染料を主成分として含有する染毛用染料組成物であって、エームズ試験結果が陰性となることを特徴とする染毛用染料組成物。
2.トリメチルアンモニオ基を有するアゾ染料が、下記一般式(1)で表されることを特徴とする、前記1.に記載の染毛用染料組成物。
Figure 0006446266
式中、R〜Rは同一でも異なってもよく、水素原子、ニトロ基、アミノ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3ないし10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし10の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数3ないし10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。rは0ないし5の整数、rは0ないし2の整数、rは0ないし3の整数を表す。Aは陰イオンを表す。
3.ネズミチフス菌TA98株および/またはネズミチフス菌TA1537株を用いたエームズ試験結果が、陰性であることを特徴とする、前記1.に記載の染毛用染料組成物。
4.大腸菌WP2uvrA株を用いたエームズ試験結果が、陰性であることを特徴とする、前記1.に記載の染毛用染料組成物。
5.染毛用染料組成物に含有される、下記一般式(2)で表される化合物の含有率が0.3重量%以下であることを特徴とする、前記1.に記載の染毛用染料組成物。
Figure 0006446266
式中、R〜Rは同一でも異なってもよく、水素原子、ニトロ基、アミノ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3ないし10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし10の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数3ないし10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。rは0ないし5の整数、rは0ないし2の整数、rは0ないし3の整数を表す。
6.トリメチルアンモニオ基を有するアゾ染料が、下記構造式(I)で表されるベーシックブラウン16であることを特徴とする、前記1.に記載の染毛用染料組成物。
Figure 0006446266
7.トリメチルアンモニオ基を有するアゾ染料を主成分として含有する染毛用染料組成物の精製方法であって、該染毛用染料組成物においてエームズ試験結果を陰性とすることを特徴とする染毛用染料組成物の精製方法。
8.トリメチルアンモニオ基を有するアゾ染料を主成分として含有する染毛用染料組成物の精製方法であって、水および水溶性有機溶媒の混合溶液中、活性炭を用いて精製することを特徴とする、前記7.に記載の精製方法。
9.トリメチルアンモニオ基を有するアゾ染料が、下記一般式(1)で表されることを特徴とする、前記7.に記載の精製方法。
Figure 0006446266
式中、R〜Rは同一でも異なってもよく、水素原子、ニトロ基、アミノ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3ないし10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし10の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数3ないし10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。rは0ないし5の整数、rは0ないし2の整数、rは0ないし3の整数を表す。Aは陰イオンを表す。
10.ネズミチフス菌TA98株および/またはネズミチフス菌TA1537株を用いたエームズ試験結果が、陰性であることを特徴とする、前記7.に記載の精製方法。
11.水溶性有機溶媒が、脂肪族アルコールまたは脂肪族ケトンから選択される1種または2種以上であることを特徴とする、前記8.に記載の精製方法。
12.染毛用染料組成物に含有される、下記一般式(2)で表される化合物の含有率を0.3重量%以下まで除去することを特徴とする、前記7.に記載の精製方法。
Figure 0006446266
式中、R〜Rは同一でも異なってもよく、水素原子、ニトロ基、アミノ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3ないし10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし10の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数3ないし10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。rは0ないし5の整数、rは0ないし2の整数、rは0ないし3の整数を表す。
13.トリメチルアンモニオ基を有するアゾ染料が、下記構造式(I)で表されるベーシックブラウン16であることを特徴とする、前記7.に記載の精製方法。
Figure 0006446266
14.トリメチルアンモニオ基を有するアゾ染料を主成分として含有する染毛用染料組成物の製造方法であって、該染毛用染料組成物においてエームズ試験結果を陰性とすることを特徴とする染毛用染料組成物の製造方法。
一般式(1)、(2)中のR〜Rで表される「置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」または「置換基を有していてもよい炭素原子数3ないし10のシクロアルキル基」における「炭素原子数1ないし10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」または「炭素原子数3ないし10のシクロアルキル基」としては、具体的に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、などをあげることができる。
一般式(1)、(2)中のR〜Rで表される「置換基を有する炭素原子数1ないし10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」または「置換基を有する炭素原子数3ないし10のシクロアルキル基」における「置換基」としては、具体的に、重水素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、などの炭素原子数1ないし10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基;メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基などの炭素原子数1ないし10の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基;アリル基などのアルケニル基;ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などのアラルキル基;フェニルオキシ基、トリルオキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのアリールアルキルオキシ基;フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基などの芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基;ピリジル基、フラニル基、ピラニル基、チエニル基、ピロリル基、ピロリジニル基、イミダゾリル基、イミダゾリニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、チオラニル基、チアニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基などの複素環基;スチリル基、ナフチルビニル基などのアリールビニル基;アセチル基、ベンゾイル基などのアシル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などのジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基などの芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基で置換されたジ置換アミノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基などのジアラルキルアミノ基;ジピリジルアミノ基、ジチエニルアミノ基、ジピペリジニルアミノ基などの複素環基で置換されたジ置換アミノ基;ジアリルアミノ基などのジアルケニルアミノ基;アルキル基、芳香族炭化水素基、縮合多環芳香族基、アラルキル基、複素環基またはアルケニル基から選択される置換基で置換されたジ置換アミノ基のような基をあげることができ、これらの置換基は、さらに他の置換基によって置換されていてもよい。
一般式(1)、(2)中のR〜Rで表される「置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし10の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」または「置換基を有していてもよい炭素原子数3ないし10のシクロアルキルオキシ基」における「炭素原子数1ないし10の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」または「炭素原子数3ないし10のシクロアルキルオキシ基」としては、具体的に、メチルオキシ基、エチルオキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、イソヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、イソデシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、1−アダマンチルオキシ基および2−アダマンチルオキシ基などをあげることができる。
一般式(1)、(2)中のR〜Rで表される「置換基を有する炭素原子数1ないし10の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」または「置換基を有する炭素原子数3ないし10のシクロアルキルオキシ基」における「置換基」としては、具体的に、重水素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、などの炭素原子数1ないし10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基;メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基などの炭素原子数1ないし10の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基;アリル基などのアルケニル基;ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などのアラルキル基;フェニルオキシ基、トリルオキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのアリールアルキルオキシ基;フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基などの芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基;ピリジル基、フラニル基、ピラニル基、チエニル基、ピロリル基、ピロリジニル基、イミダゾリル基、イミダゾリニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、チオラニル基、チアニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基などの複素環基;スチリル基、ナフチルビニル基などのアリールビニル基;アセチル基、ベンゾイル基などのアシル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などのジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基などの芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基で置換されたジ置換アミノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基などのジアラルキルアミノ基;ジピリジルアミノ基、ジチエニルアミノ基、ジピペリジニルアミノ基などの複素環基で置換されたジ置換アミノ基;ジアリルアミノ基などのジアルケニルアミノ基;アルキル基、芳香族炭化水素基、縮合多環芳香族基、アラルキル基、複素環基またはアルケニル基から選択される置換基で置換されたジ置換アミノ基のような基をあげることができ、これらの置換基は、さらに他の置換基によって置換されていてもよい。
一般式(1)、(2)中のR〜Rで表される「置換もしくは無置換の複素環基」における「複素環基」としては、具体的に、ピリジル基、フラニル基、ピラニル基、チエニル基、ピロリジニル基、イミダゾリル基、イミダゾリニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、チオラニル基、チアニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、およびカルボリニル基などをあげることができる。
一般式(1)、(2)中のR〜Rで表される「置換複素環基」における「置換基」としては、具体的に、重水素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、などの炭素原子数1ないし10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基;メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基などの炭素原子数1ないし10の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基;アリル基などのアルケニル基;ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などのアラルキル基;フェニルオキシ基、トリルオキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのアリールアルキルオキシ基;フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基などの芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基;ピリジル基、フラニル基、ピラニル基、チエニル基、ピロリル基、ピロリジニル基、イミダゾリル基、イミダゾリニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、チオラニル基、チアニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基などの複素環基;スチリル基、ナフチルビニル基などのアリールビニル基;アセチル基、ベンゾイル基などのアシル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などのジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基などの芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基で置換されたジ置換アミノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基などのジアラルキルアミノ基;ジピリジルアミノ基、ジチエニルアミノ基、ジピペリジニルアミノ基などの複素環基で置換されたジ置換アミノ基;ジアリルアミノ基などのジアルケニルアミノ基;アルキル基、芳香族炭化水素基、縮合多環芳香族基、アラルキル基、複素環基またはアルケニル基から選択される置換基で置換されたジ置換アミノ基のような基をあげることができ、これらの置換基は、さらに他の置換基によって置換されていてもよい。
一般式(1)中のAで表される「陰イオン」としては、具体的に、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンなどのハロゲン化物イオン、スルホナートイオン、メチルスルファートなどのアルキルスルファートイオン、過塩素酸イオン、などをあげることができる。
本発明によれば、複雑な操作を必要とせず、特定の不純物を指標とした、簡便な精製操作を施すことによって、エームズ試験の結果が陰性となる安全性の高いアゾ染料を主成分として含有する染毛用染料組成物を提供することができる。
本発明に用いられる、トリメチルアンモニオ基を有するアゾ染料は、既知の方法によって製造することができる(例えば、非特許文献2参照)。
本発明に用いられる、トリメチルアンモニオ基を有するアゾ染料としては、以下の化合物があげられるが、本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
Figure 0006446266
Figure 0006446266
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エームズ試験は、特定のアミノ酸(例えば、ヒスチジン)がないと生育できないヒスチジン要求性菌株が、突然変異物質に起因する遺伝子突然変異によりヒスチジン非要求性の菌株に戻る現象を検出する試験系である。遺伝子の突然変異により、菌が本来の性質を取り戻すことから復帰突然変異試験とも呼ばれている。代謝活性化試験の場合は、被験物質、試験菌株、薬物代謝活性化酵素(S−9Mix)を混合し、37℃で20分間プレインキュベーションを行った後、寒天培地を用いてさらに37℃で48時間培養する。誘発された復帰変異コロニーを計測し、陰性対照において出現した復帰変異コロニー数との比(MR値)が2以上の場合に陽性と判断する(例えば、非特許文献3参照)。
代謝活性化試験は、微生物における薬物代謝系を哺乳類のそれに近づけるために、ラットなどの肝臓から得られる薬物代謝活性化酵素(いわゆるS−9Mix)を加えて行う試験である。
現在、これらの菌株の内、ネズミチフス菌(TA1535株、TA1537株、TA100株、TA98株)あるいは大腸菌(WP2uvrA株)が一般的に用いられる。
これらの菌株の内、前記構造式(I)で表されるベーシックブラウン16は、TA1537株および/またはTA98株を用いたエームズ試験において、陽性を示すことが知られている(非特許文献1参照)。
ベーシックブラウン16に含有される不純物の中で、エームズ試験において陽性を示す成分を分離精製したところ、エームズ試験(特にTA1537株および/またはTA98株)において陽性を示す、下記構造式(III)で表される成分を確認した。
Figure 0006446266
本発明において、エームズ試験結果が陽性である染毛用染料組成物を精製する場合、精製後の染毛用染料組成物中に含有される前記構造式(III)で表される成分の含有率が、0.3重量%以下となるように精製を行うのが好ましく、0.25重量%以下となることがより好ましく、0.2重量%以下となることが特に好ましい。
本発明の染毛用染料組成物の精製方法は、前記構造式(III)で表される成分を除去することを指標に検討したものであり、エームズ試験において陽性を示す染毛用染料組成物に対し、該精製方法を施すことによって、エームズ試験において陰性となることを特徴とするものである。
本発明の染毛用染料組成物の精製方法は、該組成物を溶媒に溶解した後に、活性炭を処理することによって行うものである。また、この活性炭による処理(吸着精製)は繰り返し行ってもよい。
本発明の染毛用染料組成物の精製方法において、用いられる溶媒としては、対象とする染毛用染料組成物を溶解できるものであれば限定するものではないが、水と水溶性有機溶媒を混合した混合溶媒が特に好ましい。
染毛用染料組成物の精製方法において、本発明の精製方法と一般的に用いられる精製方法とを併用してもよい。
本発明の染毛用染料組成物の精製方法において、併用できる精製方法としては、再結晶法、塩析、活性炭吸着、カラムクロマトグラフィー、昇華精製法などをあげることができ、これらの精製方法は繰り返し行ってもよく、異なる精製方法を組み合わせて行ってもよい。
本発明の染毛用染料組成物の精製方法において、用いられる水溶性有機溶媒としては特に制限されるものではないが、脂肪族アルコール、脂肪族ケトンが好ましく、脂肪族ケトンが特に好ましい。脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、ターシャリーブタノール、イソアミルアルコールなどの炭素原子数1から5の脂肪族アルコールが好ましく、炭素原子数3から4の脂肪族アルコールが特に好ましい。脂肪族ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、エチルイソプロピルケトン、エチルイソブチルケトン、などの炭素原子数3から炭素原子数8の脂肪族ケトンが好ましく、炭素原子数4から6の脂肪族ケトンがより好ましい。
本発明の染毛用染料組成物の精製方法において、水と水溶性有機溶媒の混合比(体積比)は、25/75〜99.9/0.1が好ましく、40/60〜80/20がより好ましく、50/50〜70/30が特に好ましい。
本発明の染毛用染料組成物の精製方法において、活性炭吸着を行うときの温度は、用いる溶媒の沸点にもよるが、20℃〜100℃が好ましく、40℃〜80℃がより好ましく、50℃〜75℃が特に好ましい。
本発明の染毛用染料組成物の精製方法において、活性炭の添加量は、精製前の染毛用染料組成物に対し10重量%以上であるのが好ましい。ただし、精製前の染毛用染料組成物に含有される前記一般式(2)で表される成分の含有率が0.3重量%よりも低い場合には、活性炭の添加量をさらに減らしてもよい。活性炭吸着は、前記一般式(2)で表される成分の含有率が0.3重量%以下となるまで繰り返し行うのが好ましい。
本発明の染毛用染料組成物の精製方法において、活性炭吸着後の活性炭の除去方法としては、通常用いられる方法であれば、特に限定するものではないが、工業製品製造現場における処理方法の簡便さ、容易さから、ろ過による方法が好ましい。
本発明の染毛用染料組成物の精製方法において、活性炭吸着後の溶液から染毛用染料組成物を取出す方法として、通常行われる方法であれば特に限定するものではないが、工業製品製造現場における処理方法の簡便さ、容易さから、塩析による取出し方法が好ましい。
[実施例1]
以下、本発明の実施の形態について、実施例により具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。純度および構造式(III)で表される成分の含有率については、いずれもHPLC測定によって求めた。なお、実施例中、ベーシックブラウン16との記載は、ベーシックブラウン16を主成分として含有する染毛用染料組成物を意味する。
反応容器に、公知の方法により製造したベーシックブラウン16(HPLC純度88.0%、構造式(III)で表される成分の含有率0.6%)139kg、水869L、メチルエチルケトン521Lを加え65℃まで昇温し溶解した。この溶液中に、活性炭13.9kgを添加し65℃にて2時間攪拌した後、ろ過により活性炭を取り除いた。この操作を2回繰り返した後、得られたろ液を55℃まで昇温し、塩化ナトリウム270kgを加えて塩析を行った。室温まで冷却し、ろ過を行った後、18%食塩水209kgを用いて洗浄し、乾燥することにより、精製品100kg(収率72%)を得た。精製品のHPLC純度は97.8%であり、構造式(III)で表される成分の含有率は0.23%であった。
[実施例2]
精製前精製後におけるベーシックブラウン16について、ネズミチフス菌TA98株およびネズミチフス菌TA1537株を用い、それぞれ薬物代謝活性化酵素(S−9Mix)ありおよびなしのエームズ試験を行った。結果(MR値)を表1にまとめて示した。
Figure 0006446266
[実施例3]
ベーシックブラウン16中に含有される不純物の中で、エームズ試験において陽性を示す前記構造式(III)で表される成分についても、実施例2と同じ条件でエームズ試験を行った。結果を表1にまとめて示した。
[実施例4]
精製後におけるベーシックブラウン16について、ネズミチフス菌TA100株、ネズミチフス菌TA1535株、および、大腸菌WP2uvrA株を用い、それぞれ薬物代謝活性化酵素(S−9Mix)ありおよびなしのエームズ試験を行った。その結果、いずれも陰性であった。
[実施例5]〜[実施例9]
再現性を確認するため、実施例5〜9として、実施例1と同じ方法でベーシックブラウン16の精製を5回行い、HPLC測定によって、構造式(III)で表される成分の含有率を夫々求めた。また、精製後のベーシックブラウン16について、実施例2と同じ条件でエームズ試験を行った。結果を表2にまとめて示した。
[比較例1]
実施例1において、ベーシックブラウン16を溶解する溶媒としてのメチルエチルケトンの代わりにテトラヒドロフランを用いた以外は実施例1と同様の方法でベーシックブラウン16の精製を行い、HPLC測定によって、構造式(III)で表される成分の含有率を求めた。また、精製後のベーシックブラウン16について、実施例2と同じ条件でエームズ試験を行った。結果を表2にまとめて示した。
[比較例2]
実施例1において、ベーシックブラウン16を溶解する溶媒としてのメチルエチルケトンの代わりにジオキサンを用いた以外は実施例1と同様の方法でベーシックブラウン16の精製を行い、HPLC測定によって、構造式(III)で表される成分の含有率を求めた。また、精製後のベーシックブラウン16について、実施例2と同じ条件でエームズ試験を行った。結果を表2にまとめて示した。
Figure 0006446266
表1および表2に示すように、精製前の染毛用染料組成物は、TA98株およびTA1537株のいずれの菌株を用いたエームズ試験においても陽性の結果を示したが、本発明の方法による精製を行った後の染毛用染料組成物においてはいずれも陰性となることがわかった。また、精製前の染毛用染料組成物に不純物として含有される構造式(III)で表される成分は、TA98株およびTA1537株の代謝活性化試験において陽性を示しており、精製により構造式(III)で表される成分の含有率を0.3重量%以下にまで低減させることによって、エームズ試験が陰性となる染毛用染料組成物が得られることがわかった。
本発明によれば、複雑な操作を必要とせず、特に、工業用製造現場において簡便で容易な精製方法を施すことによって、エームズ試験の結果が陰性となる安全性の高いアゾ染料を主成分として含有する染毛用染料組成物を提供することができる。

Claims (8)

  1. トリメチルアンモニオ基を有するアゾ染料を主成分として含有する染毛用染料組成物であって、前記トリメチルアンモニオ基を有するアゾ染料が、下記構造式(I)で表されると共に前記染毛用染料組成物に含有される、下記構造式(III)で表される化合物の含有率が0.3重量%以下であり、エームズ試験結果が陰性となることを特徴とする染毛用染料組成物。
    Figure 0006446266
    Figure 0006446266
  2. ネズミチフス菌TA98株および/またはネズミチフス菌TA1537株を用いたエームズ試験結果が、陰性であることを特徴とする、請求項1に記載の染毛用染料組成物。
  3. 大腸菌WP2uvrA株を用いたエームズ試験結果が、陰性であることを特徴とする、請求項1に記載の染毛用染料組成物。
  4. トリメチルアンモニオ基を有するアゾ染料を主成分として含有する染毛用染料組成物の精製方法であって、前記トリメチルアンモニオ基を有するアゾ染料が、下記構造式(I)で表され、前記染毛用染料組成物に含有される、下記構造式(III)で表される化合物の含有率を0.3重量%以下まで除去し、該染毛用染料組成物においてエームズ試験結果を陰性とすることを特徴とする染毛用染料組成物の精製方法。
    Figure 0006446266
    Figure 0006446266
  5. トリメチルアンモニオ基を有するアゾ染料を主成分として含有する染毛用染料組成物の精製方法であって、水および水溶性有機溶媒の混合溶液中、活性炭を用いて精製することを特徴とする、請求項に記載の精製方法。
  6. ネズミチフス菌TA98株および/またはネズミチフス菌TA1537株を用いたエームズ試験結果が、陰性であることを特徴とする、請求項に記載の精製方法。
  7. 水溶性有機溶媒が、脂肪族アルコールまたは脂肪族ケトンから選択される1種または2種以上であることを特徴とする、請求項に記載の精製方法。
  8. トリメチルアンモニオ基を有するアゾ染料を主成分として含有する染毛用染料組成物の製造方法であって、前記トリメチルアンモニオ基を有するアゾ染料が、下記構造式(I)で表され、前記染毛用染料組成物に含有される、下記構造式(III)で表される化合物の含有率を0.3重量%以下まで除去し、該染毛用染料組成物においてエームズ試験結果を陰性とすることを特徴とする染毛用染料組成物の製造方法。
    Figure 0006446266
    Figure 0006446266
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