JP6445664B1 - 生物脱臭装置 - Google Patents
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Abstract
Description
また、家畜産業に関しては、家畜排泄物の約9割が堆肥化されているが、生産性に結びつかない臭気対策にはコストをかけにくいのが実情である。よって、その臭気対策には設備費や運転費が安価な脱臭技術が望まれている。
土壌脱臭法は、土壌層の下から送り込まれた臭気ガスの臭気成分が、土壌層を通過中に土壌粒子表面の水分に溶解したり、土壌粒子の表面に吸着したりし、更に土壌微生物により分解されることにより脱臭される仕組みであるが、土壌層の通気抵抗が高いために広い敷地面積を要する。そこで、その欠点を補うために開発されたのがロックウール脱臭法であり、ロックウールを用いることで通気抵抗を改善できる。そして、ロックウール脱臭法では土壌脱臭法と比較して設置面積の縮小を可能とする。しかし、ロックウールは無機物であるから、臭気成分の吸着能力及び微生物の活動に欠ける。このため、有機物と混合して脱臭に寄与する微生物の活性を高める工夫が必要である。
また、従来のロックウールを微生物担体として使用した生物脱臭装置では、固定された臭気ガスには有効であるも、臭気濃度の変動や臭質の変動への対応に乏しく、安定した脱臭効果の持続性が低かった。特に、従来、固定された臭気ガスに対しての脱臭効率の重視から、特定の臭気成分に対して有効な微生物を摂種、植種したり、微生物活性物質を添加したりすることがあり、臭気源に適した微生物を採択する技術開発にコストがかかるうえ、特定の微生物を摂種、植種したり微生物活性物質を添加したりすると、臭気濃度の変動や臭質の変動に弱く、微生物活性を超えた負荷がかかることがあった。このような場合には、導入する臭気の制御を行う対策も考えられるが、運転管理費がコスト高となる。
特許文献2は、微生物を担持した担体が充填された向流充填層に、処理水と臭気ガス導入口から導入された臭気ガスとを相互に向流方向で通過させ、前記向流充填層を通過して脱臭された処理ガスを処理ガス排出口から排出し、一方、前記向流充填層を通過した前記処理水は、前記処理水流の下流方向に設けられ、微生物を担持した担体が充填された単流充填層を通過させることにより前記臭気ガスを処理する脱臭方法において、前記向流充填層を通過した前記処理水は、前記単流充填層を通過させ、続いて前記処理水流の下流方向に設けられた貯水部に溜められた後、前記貯水部から前記向流充填層及び前記単流充填層を経由して再び前記貯水部までを循環的に通過させ、前記単流充填層の通過後から前記向流充填層への到達前までの間で前記処理水にアルカリを添加することにより、前記単流充填層を通過した直後の処理水のpH値を6.5以上に維持する技術を開示している。
そこで、特許文献2乃至特許文献4では、循環水のpH調節を行ったり、イオン吸着剤等の臭気物質低減部材によって臭気物質や分解物を吸着したり、循環水路中に脱窒工程を設けたりする技術を用いている。
しかし、その反面、装置や制御が複雑化し、材料コスト、設備コスト、ランニングコスト等の新たにコストがかかる問題がある。
ここで、上記生物的処理によって消化とは、微生物の酵素作用等によって臭気ガス中の臭気成分を分解して脱臭することを意味する。
また、上記木材チップは、原木(幹、全木、灌木、末木、枝条、剪定枝、根株等)、製材(背板、端材、剥き芯等)、建築解体材、建築資材、梱包資材、合板、集成材、パーティクルボード、廃パレット等をチッパー、シュレッダー、ミル、クラッシャー、ハンマー、パンチング等により切削または破砕して木片とし、それを篩分けして、所定サイズを選抜したものである。
特に、木材チップを堆積してなるバイオフィルタは、所定の含水率の制御によって、臭気濃度や臭気質の変動を伴う複合臭の臭気ガスに対しての追従性が高く、安定して長期間高い脱臭効果を維持されることをつきとめ、本発明者らの実験により、散水によって含水率を150%以上、300%以下に維持すると特定したものである。即ち、散水によって木材チップの含水率を150%以上、300%以下に維持することで、木材チップの高い保水特性によって高い処理能力が得られ、臭気濃度や臭気質の変動を伴う複合臭の臭気ガスに対しても木材チップの高い保水特性により安定して長期間の高い脱臭効果を発揮できる。
木材チップの含水率は、水分を含まない木材チップの重量(全乾重量、ドライベース)に対する水分重量の割合を表すものであり、以下の式(A)により算出したものである。
含水率(%)=(乾燥前の重量−全乾重量)/全乾重量×100・・・(A)
なお、全乾重量は、105℃で、重量の変化が無くなるまで乾燥させた状態の値を用いている。
なお、散水の水を循環させるから、バイオフィルタ及び床材を通過しハウジングの底部に到達した水を回収して散水手段に循環させるために、通常、ハウジングの下方には、散水の余剰水が排水される排水口も設けられる。
また、散水用の水には、バイオフィルタを通過した余剰水に加え、外部から水が補充されるように構成してもよい。
例えば、前記ハウジング自体の内側壁を前記バイオフィルタの側面に向かって突状に形成することによって、或いは前記ハウジングと前記バイオフィルタの間に板状等の別部材を設置することによって、前記床材の位置から上では前記ハウジング側の側壁が前記バイオフィルタの側面に向かって突出さえる。また、前記床材の位置から下で前記ハウジング自体の内側壁の突出構造または板状等の別部材の設置によってハウジング側の内側壁をハウジングの内方に向かって突出させる。
本発明者らは、木材チップを堆積してなるバイオフィルタについては、厚さ堆積が高くなると圧密化するために、目詰まり、使用による圧力損失の増大を招き高い脱臭効果を維持できなくなる一方で、厚みが少ないと、バイオフィルタを上昇する臭気ガスの木材チップとの接触量が少なく目詰まりが生じるとすぐに消化できなくなるから、木材チップを堆積してなるバイオフィルタの厚み(充填高さ)の特定により、脱臭効果の持続性を確保できることを見出した。そこで、バイオフィルタの最適な厚みについて究明したところ、バイオフィルタの厚さ堆積が1.5m以上、3m以下であるのが好ましく、より好ましくは、2m以上、2.5m以下の範囲内であることが判明した。なお、このバイオフィルタの厚さ堆積は、初期設定の値である。
ここで、上記目開き、開口率とは前記床材の通気孔の大きさ、密度を表すものである。上記目開きも、例えば、メッシュ状等の縦線と横線が交差して形成された1つの目当たりの開口(空間)における天地幅または左右幅を示し、円形目であれば円孔の直径に相当し、正方目であれば正方形の一辺に相当する。通気孔は円形目または正方目にその形状を特定するものではないが、空気抵抗の小さい形状で、かつ、表面積が広いものであることからすると、断面が円形の円孔、断面が正方形の角孔が好適である。
上記床材の目開き、開口率は、ふるい金網の規格に準拠して測定したものであり、床材の平面積をS、床材の目数をM、縦線・横線の線径をdとしたとき、以下の式(B)により目開きを算出し、以下の式(C)により開口率を算出したものである。
目開きA(mm)=S/M−d・・・(B)
開口率ε(%)=(A/A+d)2×100・・・(C)
よって、バイオフィルタの通気路の狭窄、閉塞、目詰まりが生じ難く、経時的な圧力損失の増大を抑制できる。
よって、多種の臭気でもその分解に対応できる微生物種が活動し易く、その活性も持続させることができる。特に、循環手段によりバイオフィルタを通過した水を散水として再利用していても、微生物の活動の低下、微生物活性の低下が生じ難い。また、含水率が150%以上、300%以下に維持された木材チップからなるバイオフィルタでは、木材チップの保水特性及び高表面積によって、臭気ガスの気体が木材チップ周囲の液相に溶解されやすく、また、木材チップと臭気ガスとの接触量が大きいことから、処理能力が高い。更に、バイオフィルタの下部には配置した床材の多数の通気孔による整流効果によっても圧力損失を緩和でき、処理効率を高めることが可能である。
したがって、導入される臭気濃度や臭気質が変動しても、長期間安定した脱臭性能を維持できる。
また、木材チップは安価に入手できる。そのうえ、含水率が150%以上、300%以下に維持された木材チップからなるバイオフィルタは処理能力も高く、更に圧力損失を抑えることができるから、バイオフィルタは少ない容積量でも所定の高い処理量を確保できる。そして、環手段によりバイオフィルタを通過した水を散水として再利用していても、バイオフィルタの高い保水性によりpH変動の緩衝効果が高いから、循環水のpHや臭気の分解で生じた分解物を制御したり臭気ガスの導入量を制御したりする手段を設ける必要もない。
よって、材料コスト、設備コスト、ランニングコストが抑えることができ低コストで済む。
木材チップを充填してなるバイオフィルタの厚さ堆積(高さ)が低すぎると、臭気成分のバイオフィルタへの滞留時間、木材チップとの接触時間が短くなり、高い脱臭効果を得ることができない。一方、バイオフィルタの厚さ堆積(高さ)が高すぎると、圧力損失が高く運転コストが高くなったり、通気路の狭窄、閉塞、目詰まりが生じ易くなり脱臭効果の持続性が低下したりする。また、材料コストもかかる。
バイオフィルタの厚さ堆積(高さ)が1.5m以上、3m以下の範囲内であれば、低コストで高い脱臭効果が得られ、その高い脱臭効果をより持続させることができる。より好ましくは、バイオフィルタの厚さ堆積(高さ)が2m以上、2.5m以下の範囲内である。
前記床材の開口面積、開口率が大き過ぎると、開口の総和面積が大きいことで機械的強度が弱く、強靭な素材を必要とすることからコスト高となる。また、開口面積、開口率が低く過ぎても、圧力損失が高く、強力な送風を必要とするからランニングコストが高くなる。
前記床材は、目開きが20mm〜100mmの範囲内であり、開口率が5〜95%の範囲内であれば、請求項1に記載の効果に加えて、低コストで臭気ガスの整流機能を果たすことができ、処理効率を高めることができる。
なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
本実施の形態に係る生物脱臭装置10が対象とする臭気ガスGは、例えば、生野菜、果実、肉類等の生ごみや食品加工残渣を堆肥化(コンポスト化)する廃棄物処理施設や、家畜を飼育したり家畜の排泄物を堆肥化したりする養鶏・畜産施設や、有機スラッジ等が生じる下水・汚水処理施設、農業集落排水処理施設、食品工場排水処理施設等から生じる臭気であり、主に、有機物の好気的発酵・分解処理の際に生じる臭気を想定している。このような有機物の好気的発酵・分解処理の際に生じる臭気ガスGは、例えば、アンモニア、トリメチルアミン、ジメチルスルフィド(DMS)、硫化水素、硫化メチル、二硫化メチル、メチルメルカプタン、揮発性脂肪酸(VFA)、アセトアルデヒド等のアルデヒド類、テルペン類等の臭気成分を含んでおり、複数の臭気成分、様々な臭質を含む複合臭である。なお、有機物を好気的に発酵、分解処理する施設からの臭気は、家畜のし尿処理施設や嫌気的処理発酵施設の臭気に比べ低濃度で大風量であり、臭気質、臭気濃度、風量等が大きく変動する。
そして、この堆肥化装置2における好気性発酵・分解処理過程で生じた臭気ガスGが、適宜、ブロワー、ファン等を用いて捕集され、本実施の形態に係る生物脱臭装置10へ圧力風として送り込まれることになる。
更に、必要に応じて、スクラバー装置4で堆肥化装置2から排出された臭気ガスGに含まれる有害物質や粉塵の除去を行う。スクラバー装置4は、例えば、洗浄集塵装置(粉塵除去装置、ガス洗浄装置)を使用し、臭気ガスG中の粒子を洗浄液や液膜で捕集して分離する。
なお、生物脱臭装置10に臭気ガスGを導入する前段階で、水の噴霧により粉塵を捕捉して除去する湿式のスクラバー装置4があると、臭気ガスGが加湿されるから、湿度の高い臭気ガスGをバイオフィルタ21に導入できる。バイオフィルタ21に導入する臭気ガスGの湿気を高くできると、後述するようにバイオフィルタ21の温度変動の抑制にも有効である。
床材22は、例えば、図3に示すように、肉厚を貫通する所定形状の貫通孔22aが複数設けられ、また、側面に肉厚を貫通する複数の溝22bが設けられた所定厚みのコンクリート製のパーツを複数個組み合わせてコンクリートH内に敷設される。
即ち、床材22に設ける通気孔22Aの開口面積、開口率が大き過ぎると、機械的強度が弱く、強靭な素材を必要とすることからコスト高となる。一方で、開口面積、開口率が低く過ぎても、圧力損失が高く、強力な送風を必要とするからランニングコストが高くなる。
そこで、床材22は通気孔22Aの目開きが20mm〜100mmの範囲内であり、開口率が5%以上、95%以下の範囲内とするのが好ましい。
なお、床材22の目開き、開口率は、ふるい金網の規格に準拠して測定し、床材の平面積をS、床材の目数をM、縦線・横線の線径をdとしたとき、以下の式(B)により目開きを算出し、以下の式(C)により開口率を算出したものである。
目開きA(mm)=S/M−d・・・(B)
開口率ε(%)=(A/A+d)2×100・・・(C)
また、ハウジングH、支持脚23及び床材22の構成は、コンクリート製である説明をしたが、本発明を実施する場合には、腐食しにくい材質で所定の強度を確保できれば、他の材質を使用してもよい。
このとき、図4に示すように、床材22の上にハウジングHの側壁に沿って囲むように板状の突壁28を設置し、この板状の突壁28によって囲まれた空間に木材チップ21Aを充填するようにしてもよい。これより、床材22の敷設面積に対し、突壁28の突出分だけ、木材チップ21Aを充填してなるバイオフィルタ21の設置面積(底面積)は小さくなる。即ち、バイオフィルタ21が載置される床材22の上面積よりも床材22の上に配置するバイオフィルタ21の底面積を狭くしている。つまり、バイオフィルタ21の側面と床材22の側面が一致することなく床材22の出力側の平面積に対し、バイオフィルタ21下端部の入力側の床面積(平面積)が小さくなっている。
また、突壁28は、図4(a)に示すように、バイオフィルタ21の充填高さhの位置まで設けなくともよく、図7(a)に示すように、床材22の上面から、例えば、10cm〜20cmの高さ位置までとしてもよい。何れにせよ、ハウジングHの壁面に沿って上昇する臭気ガスGの漏れを防止できればよい。
しかし、床材22下部の空間Sでは、バイオフィルタ21及び床材22を通過した水がハウジングHの底部に収集されることにより、湿度が高く、ハウジングH下方の導入口24から導入された臭気ガスGの湿度を高めることも可能である。バイオフィルタ21に導入する臭気ガスGの湿気を高くできると、後述するようにバイオフィルタ21の温度変動の抑制にも有効である。
なお、本発明を実施する場合には、ハウジングHの底部に到達した水の流出はハウジングHnの下部の底面に傾斜を付与して水が停留することなく排水口42から受水部41と収集されるようにしてもよい。排水口42を複数設けてもよい
この受水部41からは、管路等からなる散水供給路43がハウジングHの上方まで配設され、また、ハウジングHの上方では、散水供給路43に接続する散水手段30を構成する散水管31が配設されている。なお、散水供給路43の途中には、ポンプやバルブが設けられる。
散水管31は、水を散水する必要数の散水ノズル32を有し、ハウジングH内のバイオフィルタ21の上面に略均一に水を散水できる構造となっている。通常、散水は水滴として噴霧される。なお、図1及び図2において、散水ノズル32の向きをバイオフィルタ21側の下方に向けているが、散水ノズル32の向きはそれに限定されることなく、散水ノズル31を上方に向けて噴水させるようにしてもよい。何れにせよ、ハウジングHの上方からバイオフィルタ21に向けて散水することで、散水した水は重力でバイオフィルタ21に落下し、バイオフィルタ21を構成する木材チップ21Aに水分が供給される構造とする。
したがって、受水部41にて散水に使用した余剰水W1及び必要に応じて外部から供給された補充水2がまとめられてポンプで汲み上げられ、散水供給路43を介して散水管31に供給される。そして、散水管31に供給された水は、バイオフィルタ21の上面に向けた散水ノズル31からの散水によって、バイオフィルタ21に供給されることになる。このとき、散水は、間欠的であってもよいし、連続的に行ってもよい。
なお、必要に応じ、工業用水等の水を導入する導水部44には、ごみ、砂、微粒子を濾過するためのフィルタやスクラバ−装置4が設置される。これによって、散水にごみ、砂、微粒子が含まれることなくバイオフィルタ21の詰まりを防止できる。
本実施の形態のバイオフィルタ21は、例えば、原木(幹、全木、灌木、末木、枝条、剪定枝、根株等)、製材(背板、端材、剥き芯等)、建築解体材、建築資材、梱包資材、合板、集成材、パーティクルボード、廃パレット等をチッパー、シュレッダー、ミル、クラッシャー、ハンマー、パンチング等により切削または破砕して木片とした木材チップ21Aを堆積してなるものである。原木(伐採木、間伐材、小径木を含む)を切削、破砕した原木チップに限定されず、工場残材チップ、林地残材チップ、解体材・廃材チップ等を利用してもよい。即ち、木材チップ21Aは、無垢材チップに限定されず、集成材チップ、MDFチップ、パーティクルボードチップを含んでいてもよい。但し、集成材チップ、MDFチップ、パーティクルボードチップ等は、接着剤や塗料等の不純物が付着するから、微生物環境への影響を考慮すると、それらの含有量は好ましくは、全体の40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下とする。また、木材チップ21は、主に、木材の木部、髄のみで構成されるが、樹皮チップ、樹皮付きチップが混在(好ましくは全体の20重量%以下、より好ましくは、全体の5重量%以下)していてもよい。
そして、この木材チップ21Aは、木材チッパー(ディスク型チッパー等)を利用して、原木、製材、廃材等を刃物で切削した切削チップであってもよいし、シュレッダー、ミル、ハンマー、クラッシャー等を利用して、原木、製材、廃材等を破砕した破砕チップ(ピンチップ、クラッシャーチップ等)であってもよい。
脱臭効果の評価には、一般の人から募った12名(以下、モニターと呼ぶ)に源臭気の臭気ガスGとバイオフィルタ21を通過した後の処理空気をそれぞれ1時間間隔で5回嗅いでもらい、臭いの強さを表1下段に示した6段階(0:無臭、1:におうが何のにおいか分からない、2:気にならないにおい、3:気になるにおい、4:強いにおい、5:非常に臭い、強烈なにおい)で官能評価してもらった。なお、モニター12名は6名ずつの2グループに分け、片方のグループでは源臭気の臭気ガスG、処理空気の順に臭いを嗅いでもらい、他方のグループでは処理空気、臭気ガスGの順で臭いを嗅いでもらって官能評価を行っている。上記の表1に示した数値は、モニター12名による臭気評価の平均値である。但し、平均値を算出する際には、最高値と最低値を除いて10名の平均値の整数としている。また、ここでの臭気評価は、生物脱臭装置10に臭気ガスGの導入を開始してから、1カ月後、3カ月後、1年後の3回行っている。
そして、本実施の形態の木材チップ21Aでは、木材の切削または破砕後に、例えば、振動式篩、ロール式分級機等で所定のサイズ(粒度)に分級(選別)された木材チップが使用される。
このような木材チップ21Aは、酸性やアルカリ性に対して耐性があり、劣化や型崩れし難く、形状保持性が高い。このため、使用による経時的な圧力損失の増大、脱臭効率の低下を抑えることができる。
また、木材チップの木材の接線方向の幅が5mm〜30mmの範囲内とは、木材の年輪円に接する接線方向を木材チップの幅としたとき、木材チップの幅が5mm以上、30mm以下の範囲内であることを示す。
更に、木材チップの木材の半径方向の厚みが4mm〜10mmの範囲とは、木材の年輪の放射方向を木材チップの厚みとしたとき、木材チップの厚みが4mm以上、10mm以下の範囲内であることを示す。
但し、例えば、MDFチップ、PBチップ等、その木材の方向の判別が困難である場合は、木材チップの長辺方向を木材チップの長さとし、その長辺方向に直角な方向を木材チップの幅とし、その長さ及び幅に対して垂直な方向を木材チップの厚みとする。
そこで、例えば、木材の繊維方向の長さが10mm〜300mmの範囲内であり木材の接線方向の幅が5mm〜30mmの範囲内であり、木材の半径方向の厚みが4mm〜10mmの範囲内である木材チップ21Aの群集であれば、目詰まり生じ難く、バイオフィルタ21全体にむらなく臭気ガスGを通過させることができ、また、高表面積により保水性及び微生物の保持性も良く、脱臭効果の持続性が向上する。即ち、木材の原料の相違を問わず、狭窄、閉塞、目詰まり生じ難く圧力損失の増大が少ない最適な流路サイズを形成し高い脱臭効果の持続性を確保できる。
そして、上記所定サイズの木材チップ21A群については、例えば、目開き60mmの篩を通過(パス)し、目開き10mmの篩を通過(パス)しない木材チップ群のサイズとして入手可能である。例えば、篩の目開きが60mmを通過したアンダーサイズの木材チップを得て、次にこの目開きが60mmの篩を通過したアンダーサイズの木材チップを、更に、目開きが10mmの篩にかけ、目開き10mmを通過しないオーバーサイズの木材チップを得る。こうして、目開きが60mmの篩を通過したアンダーサイズであって、目開き5mmの篩を通過しないオーバーサイズの木材チップを得て、所定寸法の木材チップ21を得ることが可能である。なお、篩分けは、篩が積み重ね構造に設計されているふるい振とう機で分級してもよい。また、目開きとは、縦線と横線が交差して形成された1つの目当たりの開口(空間)における天地幅または左右幅を示すが、ここでは、円形目(円孔)または正方目(角孔)の篩を使用した。目開きが60mmの篩は、円形目の場合には、円孔の直径が60mm、正方目の場合には、正方形の一辺が60mmである。目開きが10mmの篩は、円形目の場合には、円孔の直径が10mm、正方目の場合には、正方形の一辺が10mmである。しかし、木材の原料や樹種、破砕または切削の処理手段・機構の相違により、木材チップの形状は一定の形状でなくバラつきがありしかも複雑な形状を有することから、上記篩分けによって、必ずしも一定の寸法形状のサイズの木材チップ21A群を得ることができるとは限らない。より好ましくは、篩分けにより目開き40mmの篩を通過(パス)し、目開き20mmの篩を通過(パス)しない木材チップである。
例えば、粗いサイズの木材チップ21bとしては、木材の繊維方向の長さが350mm〜700mmの範囲内であり、木材の接線方向の幅が10mm〜40mmの範囲内であり、木材の半径方向の厚みが5mm〜20mmの範囲、より好ましくは、木材の繊維方向の長さが400mm〜500mmの範囲内であり、木材の接線方向の幅が10mm〜80mmの範囲内であり、木材の半径方向の厚みが5mm〜50mmの範囲内である木材チップ21bが使用できる。
なお、このような粗い木材チップ21bは細かい木材チップ21aの容積の5%以下で充填される。
表3に示した数値も、上述した12名のモニターによる臭気の官能評価(平均値)の結果である。臭気評価は、生物脱臭装置10に臭気ガスGの導入を開始してから、1カ月後、3カ月後、1年後、3年後の4回行った。
測定に際しては、所定量の木材チップ21aをバイオフィルタ21から採取し、乾燥の前後で重量を測定して含水率を求めている。
このときの木材チップ21aの含水率は、水分を含んでいない状態の木材チップ21Aの重量(全乾重量、ドライベース)に対する水分重量の割合を表すものであり、以下の式(A)により含水率を求めている。
含水率(%)=(乾燥前の重量−全乾重量)/全乾重量×100・・・(A)
なお、全乾重量は、105℃で、重量の変化が無くなるまで乾燥させた状態の値を用いた。
また、木材チップ21aの含水率が80%以下であると、臭気ガスGの導入を開始してから1カ月後であっても評価は強いにおい(4)、または、非常に臭い、強烈なにおい(5)であり、3カ月後、1年後、3年後の評価においても気にならなるにおい(3)、強い匂い(4)、または、非常に強い匂い、強烈な臭い(5)と脱臭効果が得られなかった。
そして、本発明者らの実験研究では、木材の特性から木材チップ21aの含水率には上限があり、その上限値は木材チップの樹種の特性等によって決定されるが、最大でも300%程度である。
なお、散水量については、木材チップ21aの含水率を150%以上、300%以下に維持する散水量とされるが、バイオフィルタ21の上層、下層を問わずバイオフィルタ21全体で木材チップ21a,木材チップ21bの含水率が150%以上、300%以下に維持されるものとする。
即ち、散水手段30で散水させる水について、表4に示すように、ハウジングHから余剰水W1として排水されて受水部41で回収され、再び散水として利用される水を循環水W1とし、導水部44から補充される水を補充水W2としたときに、単位時間当たりの一定の散水量について散水として使用する水の循環水W1と補充水W2の割合によって脱臭性能に相違がみられた。散水に使用する水の条件と脱臭効果の関係について評価試験を行ったときの結果を表4に示す。
表4に示した数値も、上述した12名のモニターによる臭気の官能評価(平均値)の結果である。臭気評価は、脱臭装置10に臭気ガスGの導入を開始してから、1カ月後、3カ月後、1年後、3年後の4回行っている。
これは、バイオフィルタ21を通過した水には臭気分解に有効な微生物が存在し、かかる微生物を含んだ循環水W1が外部へ排出(廃水)されることなく、散水として再利用されることで、バイオフィルタ21に散水される水には、有効な微生物が含まれることより、バイオフィルタ21の微生物量が維持され、また、微生物叢の偏りが防止されてバイオフィルタ21全体に微生物叢が均一に分布し、バイオフィルタ21全体が効果的に利用されるためと考えられる。また、それによって、臭気濃度や臭気質の変動を伴う複合臭の臭気ガスGに対する追従性、応答性も高くなるものと考えられる。特に、循環水W1に対して、補充水W2による希釈を少なくすることで、つまり、散水に使用する水に循環水W1の割合が高いと、高濃度で有効な微生物がバイオフィルタ21に散水されるから、バイオフィルタ21の高い微生物量、微生物活性が維持され、臭気濃度や臭気質の変動を伴う複合臭の臭気ガスGに対しても持続して高い脱臭効果を上げることができる。また、このような散水の循環によって、pHの上昇を招く臭気成分(アンモニアイオン等)と、pHの低下を招く臭気成分の分解物(硝酸イオン等)とがバランスされてpHの中性域が維持され、高い脱臭効果を持続できたものと推測される。
このような生物脱臭装置10の設置は室内でも屋外でもよく、屋外に設置する際には、必要に応じて、ハウジングH内のバイオフィルタ21に対して雨の浸入や直射日光の照射を防止するために、散水管31の上方にハウジングHを覆うためのテント地等の屋根を設けてもよい。また、ハウジングHは地中への埋設型としてもよい。
主な情報管理のみを取り上げると、例えば、ブロワー5の送付量、送付圧の情報を検出し、それをコンピュータCOMPに入力する。また、コンピュータCOMPには、バイオフィルタ21の上の空気放出側の圧力及びバイオフィルタ21の内部温度の情報がセンサで検出され、それが入力される。更に、コンピュータCOMPには、人為的に測定した木材チップ21の含水率の情報が入力されて管理され、それをもとに、散水手段30で噴霧する水量が決定される。更に受水部41の水量についても、それが検出され、散水手段30で噴霧する水量をもとに、導水部44からの水量を決定し、それをコンピュータCOMPの入力としている。そして、受水部41に貯留した水を散水手段30まで揚水するポンプ、バルブ、流量計や、外部からの水を取り入れる導水部44に配設するバルブ等についても、その駆動がコンピュータCOMPによって制御され、散水手段30からの散水量の調節を可能とする。通常、散水用のポンプはタイマー制御される。また、バイオフィルタ21上方で臭気濃度がセンサで検出され、それがコンピュータCOMPに入力される。生物脱臭装置10に臭気ガスGが導入されるその入り口で臭気ガスGの圧力、温度、臭気濃度等を検出し、コンピュータCOMPに入力してもよい。
また、木材チップ21Aの充填高さhについて目視の監視によって、所定量を下回った際には、新しい所定の木材チップ21Aが補充される。
更に、ブロワー5の送付圧及びバイオフィルタ21の上の噴出圧力から算出される圧力損失が管理され、圧力損失が所定量を超えた際には、ブロワー5の送付量、送付圧を制御する。更に、木材チップ21Aのサイズ径の目視の監視により、細粒物が増え、圧力損失が大となっている場合には、篩分けを行って細粒物を排除し、新しい木材チップ21Aを補充する。
本実施例においては、家庭ごみ、都市ごみ等の堆肥化施設で発生する臭気ガスGを対象とし、コンクリート製のハウジングH内の底部に、図3に示すように、支持脚23を立設し、その上に、目開きが20mm〜100mmの範囲内であり、開口率が5〜95%の範囲内である床材22を設置し、そして、床材22の上に、例えば、木材の繊維方向の長さが350mm〜700mmの範囲内であり、木材の接線方向の幅が10mm〜80mmの範囲内であり、木材の半径方向の厚みが5mm〜50mmの範囲内である木材チップ21bを敷設してから、例えば、木材の繊維方向の長さが10mm〜300mmの範囲内であり、木材の接線方向の幅が5mm〜30mmの範囲内であり、木材の半径方向の厚みが4mm〜10mmの範囲内である木材チップ21aを充填することによりバイオフィルタ21を形成し、脱臭処理部20を構成した。
このとき、ハウジングH底部と床材22底面との離間距離は、例えば、10cm〜50cm、好ましくは20cm〜40cmに設定され、粗い木材チップ21bは、細かい木材チップ21aの容積の10%以下で充填される。
なお、家庭ごみ、都市ごみ等の堆肥化施設では、そこで処理される廃棄物は常に一定の性状でなく、毎回異なる種々雑多な原料が発酵・分解されるから、そこで発生する臭気ガスGは複合臭であり、更に、その臭気濃度や臭気質が変動するものである。また、堆肥の切り返しを行う堆肥化施設では、堆肥の切り返しによる濃度変動も大きくなる。
受水部41には、ハウジングHの上方に配設した散水ノズル32を有する散水管31に接続する管路からなる散水供給路43が接続し、また、必要に応じて産業用水(工業用水等)の水を導入するための導水部44が接続されている。散水供給路43には、バルブ及びポンプが設けられ、導水部44にもバルブが設けられている。
本実施例に係る生物脱臭装置10の仕様、設計は表5に示す通りである。なお、本実施例では、散水手段30は間欠的な運転であり、タイマー制御された散水用ポンプにより間欠的に散水を行った。
ここで、本発明者らは、低コストで長期間安定した脱臭性能を確保するために、更に、木材チップ21A(木材チップ21a,木材チップ21b)を充填してなるバイオフィルタ21の層の厚み、即ち、木材チップ21Aの充填高さ(積付高さ)hについて、究明した。バイオフィルタ21の充填高さhについて、初期設定を1.0m〜3.5mとして実験を行い、脱臭効果の評価試験を行った。そのときの結果を表6に示す。
特に、木材チップ21Aの充填高さが2.0m以上、2.5m以下であると高い脱臭効果の持続性が高かった。
これは、臭気ガスGの臭気成分と木材チップ21Aとの接触量が十分に得られなかったためである。
これは、木材チップ21Aの充填高さhが高すぎることで、バイオフィルタ21の下部で圧密が高く、臭気ガスGの偏流が生じやすいために、臭気ガスGの臭気成分の分解に必要な木材チップ21Aとの接触量が減少し、バイオフィルタ21全体が均一に効果的に利用されなくなるためであると考えられる。
なお、本発明者らの実験研究では、経時的に、微生物による木材チップ21Aの消費、代謝、木材チップ21Aの劣化により木材チップ21Aが細片化、縮小し、バイオフィルタ21の体積が低下する。初期設定の充填高さhが2mに対し、使用により1.7mを下回った際には、新たに、例えば、木材の繊維方向の長さが10mm〜300mmの範囲内であり、木材の接線方向の幅が5mm〜30mmの範囲内であり、木材の半径方向の厚みが4mm〜10mmの範囲内である木材チップ21aの補充をし、充填高さhを2mに回復させることで、脱臭効果を低減させることなく3年以上もの長期間の高い脱臭効果を維持できることを確認している。
なお、木材チップ21aの含水率については、周囲(雰囲気環境)の湿度条件の変化や、木材チップ21aの細片化、縮小によってもその保水量が変化することから、定期的に木材チップ21aの含水率の測定を行い、木材チップ21aの含水率が150%以上、300%以下に維持されるように散水量を調節している。
特に、自然界の資源である木材チップ21Aは、有機物であり水分保持機能にも優れることで、適度な水分と温度環境下での放置により、特定の菌を接種、植種したり、微生物活性物質を添加したりしなくとも、臭気ガスGを通過させていると、直ぐにその臭気成分の分解に関与する微生物が繁殖し、バイオフィルタ21として脱臭機能を発揮させることができる。そして、このような木材チップ21Aでは、初期から多種の微生物を多く保有し、或いは、複数種の臭気成分の分解に直接的または間接的に関与する有効な多種の微生物が生息し易い環境にあるものと推測され、木材チップ21Aから構成されるバイオフィルタ21では好気的環境、嫌気的環境の両方が存在し、脱臭に直接的または間接的に関与する微生物も好気性微生物に限られず、嫌気性微生物も寄与するものと推測される。なお、このようなバイオフィルタ21では、微生物が木材チップ21Aの成分(多糖類等)、臭気成分を栄養源、エネルギ源として利用(資化)し、微生物が繁殖してバイオフィルムを形成している。例えば、亜硝酸菌、硝化菌、脱窒菌、硫黄酸化細菌、その他の好気性微生物、嫌気性微生物等が木材チップ21Aに生息する。
例えば、臭気ガスG中の臭気成分として代表的なアンモニアに着目すると、アンモニア(NH3)は、亜硝酸菌、硝化菌等の好気性の微生物の硝化作用によりNO2(亜硝酸態)、NO3(硝酸態)等の窒素酸化物(NOx)に分解され、脱臭される。更に、脱窒菌やアナモックス反応によりN2(窒素)等にまで分解されている可能性もある。
また、硫化水素(H2S)やメチルメルカプタン等の硫黄化合物(硫化物)、有機酸系化合物の臭気成分は、例えば、硫黄酸化細菌、その他の好気性菌等の好気性微生物の作用により酸化分解されてSO2や硫酸等の酸化物となり、脱臭される。
まず、本実施例の生物脱臭装置10では、臭気ガスGの導入及び散水を開始した稼働初期で圧力損失が30〜120Paであり、経時的には圧力の上昇がみられるも、3年経過後であっても、圧力損失が200Pa以下に抑えられた。
念のため、図5に圧力損失を経時的に測定した結果を示す。なお、この圧力損失は、ブロワー5の送圧(全圧)とバイオフィルタ21の上で空気が放出されている出口の全圧との差圧を計測したものである。
バイオフィルタ効率(BFE)(%)
=100×(IOC−EOC)/IOC・・(B)
IOC:導入側空気の臭気濃度(オダーユニット;OUE)
EOC:排出側空気の臭気濃度(オダーユニット;OUE)
但し、無臭の空気を導入したときでも、バイオフィルタ21の木材チップ21A自身のにおいにより、放出側の空気は、150オーダーユニットの臭気濃度より低くなることはない。また、放出側の空気では、平均200〜450オーダーユニットの臭気濃度であっても、バイオフィルタ21の作用により、導入側の臭気ガスGの源臭と比較して臭質が大きく改善されている。
因みに、動的オルファクトメータ法による臭気濃度(単位;オーダーユニット(OUE))と日本で採用されている臭気指数とは下記の式(C)の関係で表すことができる。日本で採用されている三点比較式臭袋法と、動的オルファクトメータ法による測定結果は概ね一致するとされている。
臭気指数=10×log(臭気濃度)・・(C)
例えば、上述した2500〜6000オーダーユニットの臭気濃度を臭気指数に換算すると34〜38であり、200〜450オーダーユニットの臭気濃度を臭気指数に換算すると23〜27である。150オーダーユニット臭気濃度を臭気指数に換算すると22である。
特に、表5の仕様で構成されている生物脱臭装置10では、その前段階で化学脱臭装置3の処理やスクラバー装置4による酸スクラバー処理等を施さなくても、3年以上持続する高い脱臭効果が得られている。
ここで、バイオフィルタ21の温度に着目すると、図6において、バイオフィルタ21の中間層の温度を経時的に測定(熱電対による測定)した結果を示したように、バイオフィルタ21の温度は周囲環境温度が0℃となるような冬季でも臭気ガスGを導入している操業時は12℃以上あり、周囲環境温度が40℃となるような夏季でも、散水によって45℃以下に抑えることが可能であった。
そして、バイオフィルタ21が木材チップ21Aからなるから、木材の調湿特性によって、ハウジングH内の湿度変動が抑制されている可能性もある。なお、冬季では周囲温度の低温の影響によって、堆肥化装置2から発生する臭気濃度も比較的少なくなりバイオフィルタ21にかかる負荷も比較的少なくなるから、バイオフィルタ21の温度が多少低下しても、脱臭効果を維持できる。
なお、設置場所等によってバイオフィルタ21の温度が45℃を超えるときには、散水量を増大させることで、温度を45℃以下に抑え、脱臭性能の維持が可能である。
そして、微生物の活性を維持し、安定した脱臭性能を発揮させるために、好ましくは、バイオフィルタ21の温度、臭気ガスGの温度は10〜55℃範囲内に維持される。
また、源臭の質によってpHが4.5未満となった場合には、一時的に補充水W2の割合を高め、散水量を増大させることにより、pHを6.5以上に回復させることが可能であり、脱臭性能を維持できる。
なお、本実施の形態の循環手段40とは、所定容積の空間Sを有するハウジングHの底部及びハウジングHの下部に設けた排水口42aから排水路42を介して受水部41に入力する排出路及び受水部41及び受水部41の出力から散水供給路43を介して散水手段30の入力までの供給路の構成である。
即ち、散水を循環させるから、微生物や分解物を上から下に移動させることになり、バイオフィルタ21内で微生物や分解物が変位するため、負荷が局所的に集中することなく、バイオフィルタ21全体で効率よく処理できる。
即ち、微生物量が多くても、また、臭気成分の分解物が増えてきても、散水の循環によって、それら微生物や分解物が一定の場所に留まり難いから、使用を続けても通気路の目詰まり(狭窄、閉塞)が生じ難い。
そして、圧力損失が小さいから大風量の臭気ガスGに適し、低コスト及び高い処理効率で臭気ガスGを消化できる。
特に、木材の特性によって多種の臭気の分解に対応できる微生物種が増殖、活動しやすい環境であり、多種の臭気の分解に対応できる微生物種の働く環境を作り出すことができる。臭気質や臭気濃度の変動にも追随する微生物環境を構築できる。
更に、散水を循環させていることで、有効な微生物群、微生物活性が維持されやすい。
加えて、木材チップ21Aが有機物であるから、連続的に臭気ガスGを送りこまなくても、また、極めて低濃度の臭気が連続するとできも、微生物が死滅することなく微生物活性が良好に維持される。
したがって、導入される臭気濃度や臭気質が変動しても、長期間安定した脱臭性能を維持できる。
そして、木材チップ21Aの含水率を150%以上、300%以下に維持するバイオフィルタ21の高い保水性、つまり、木材チップ21周囲の分厚い水膜と、散水の循環による木材チップ21A周囲の水分の変移によって、pHや分解物が緩衝されるから、循環水のpHや分解物を制御したり臭気ガスの導入量を制御したりする手段を設ける必要もなく、簡易な装置設計で済み、維持管理も容易である。
散水を循環させていることで、散水用の水のコストも少なくて済む。また、バイオフィルタ21の切りかえしや木材チップ21Aの交換といったメンテナンス頻度も少なくて済む。
よって、材料コスト、設備コスト、ランニングコストが抑えられるから、低コストで済む。
20 脱臭処理部
21 バイオフィルタ
21A 木材チップ
24 導入口
30 散水手段
40 循環手段
H ハウジング
Claims (2)
- 木材チップを充填してなり、臭気ガスを生物的処理によって消化するバイオフィルタと、
前記バイオフィルタを収容し、臭気ガスが導入される導入口を下方に有するハウジングと、
通気孔を有し、前記ハウジングの底部との間に前記ハウジングの導入口と連通する所定容積の空間を画成して前記ハウジング内に配設され、上側の床面上に前記バイオフィルタが配設される床材と、
前記ハウジング内の前記床材の上に配置する前記バイオフィルタに対してその上方から散水する散水手段と、
前記バイオフィルタを通過した前記散水の水を回収し前記散水手段へ循環させる循環手段と
を具備し、
前記床材の位置から上または前記床材の位置から下で前記ハウジングの内方に向かって前記ハウジング側の内側壁が突出しており、
前記散水により水分を含んだ前記木材チップの重量(乾燥前重量)を測定し、更に、それを乾燥させて前記水分を含まない状態の前記木材チップの重量(全乾重量)を測定したときに
含水率(%)=(乾燥前重量−全乾重量)/全乾重量×100
として算出した前記散水により水分を含んだ前記木材チップの含水率が150%以上、300%以下に維持し、
前記臭気ガスが下方から上方に通過する方向の前記バイオフィルタの厚さ堆積が1.5m以上、3m以下の範囲内であることを特徴とする生物脱臭装置。 - 前記床材は、前記通気孔の目開きが20mm〜100mmの範囲内であり、開口率が5〜95%の範囲内である請求項1に記載の生物脱臭装置。
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