以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明に係る走行シーン評価装置を、車両に搭載された走行支援システムに適用した場合を例にして説明する。
図1は、走行支援システム1のブロック構成を示す図である。本実施形態の走行支援システム1は、走行支援装置100と車載装置200を備える。本発明の走行支援装置100の実施の形態は限定されず、車両に搭載してもよいし、車載装置200と情報の授受が可能な可搬の端末装置に適用してもよい。端末装置は、スマートフォン、PDAなどの機器を含む。走行支援システム1、走行支援装置100、車載装置200、及びこれらが備える各装置は、CPUなどの演算処理装置を備え、演算処理を実行するコンピュータである。
まず、車載装置200について説明する。
本実施形態の車載装置200は、車両コントローラ210、ナビゲーション装置220、対象物検出装置230、車線逸脱防止装置240、及び出力装置250を備える。車載装置200を構成する各装置は、相互に情報の授受を行うためにCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続されている。車載装置200は、車載LANを介して走行支援装置100と情報の授受を行うことができる。本実施形態の車両コントローラ210は、検出装置260、駆動装置270、操舵装置280と連携して動作する。
本実施形態の車両コントローラ210は、検出装置260を備える。検出装置260は、舵角センサ261、車速センサ262、姿勢センサ263を有する。舵角センサ261は、舵転舵、操舵量、操舵速度、操舵加速度などの情報を検出し、車両コントローラ210へ出力する。車速センサ262は、車両の速度及び/又は加速度を検出し、車両コントローラ210へ出力する。姿勢センサ263は、車両の位置、車両のピッチ角、車両のヨー角車両のロール角を検出し、車両コントローラ210へ出力する。本実施形態の姿勢センサ263は、ジャイロセンサを含む。
本実施形態の車両コントローラ210は、エンジンコントロールユニット(Engine Control Unit, ECU)などの車載コンピュータであり、車両の運転状態を電子的に制御する。本実施形態の車両としては、電動モータを走行駆動源として備える電気自動車、内燃機関を走行駆動源として備えるエンジン自動車、電動モータ及び内燃機関の両方を走行駆動源として備えるハイブリッド自動車を例示できる。なお、電動モータを走行駆動源とする電気自動車やハイブリッド自動車には、二次電池を電動モータの電源とするタイプや燃料電池を電動モータの電源とするタイプのものも含まれる。
本実施形態の駆動装置270は、自車両V1の駆動機構を備える。駆動機構には、上述した走行駆動源である電動モータ及び/又は内燃機関、これら走行駆動源からの出力を駆動輪に伝達するドライブシャフトや自動変速機を含む動力伝達装置、及び車輪を制動する制動装置271などが含まれる。駆動装置270は、アクセル操作及びブレーキ操作による入力信号、車両コントローラ210又は走行支援装置100から取得した制御信号に基づいてこれら駆動機構の各制御信号を生成し、車両の加減速を含む走行制御を実行する。駆動装置270に制御情報を送出することにより、車両の加減速を含む走行制御を自動的に行うことができる。なお、ハイブリッド自動車の場合には、車両の走行状態に応じた電動モータと内燃機関とのそれぞれに出力するトルク配分も駆動装置270に送出される。
本実施形態の操舵装置280は、ステアリングアクチュエータを備える。ステアリングアクチュエータは、ステアリングのコラムシャフトに取り付けられるモータ等を含む。操舵装置280は、車両コントローラ210から取得した制御信号、又はステアリング操作により入力信号に基づいて車両の進行方向の変更制御を実行する。車両コントローラ210は、操舵量を含む制御情報を操舵装置280に送出することにより、進行方向の変更制御を実行する。また、走行支援装置100は、車両の各輪の制動量をコントロールすることにより車両の進行方向の変更制御を実行してもよい。この場合、車両コントローラ210は、各輪の制動量を含む制御情報を制動装置271へ送出することにより、車両の進行方向の変更制御を実行する。なお、駆動装置270の制御、操舵装置280の制御は、完全に自動で行われてもよいし、ドライバの駆動操作(進行操作)を支援する態様で行われてもよい。駆動装置270の制御及び操舵装置280の制御は、ドライバの介入操作により中断/中止させることができる。車両コントローラ210は、運転計画装置20の運転計画に従って自車両の運転を制御する。
本実施形態の車載装置200は、ナビゲーション装置220を備える。本実施形態のナビゲーション装置220は、自車両の現在位置から目的地までの経路を算出する。経路の算出手法は、ダイキストラ法やA*などのグラフ探索理論に基づく出願時に知られた手法を用いることができる。算出した経路は、自車両の走行支援に用いるために、車両コントローラ210へ送出される。算出した経路は、経路案内情報として後述する出力装置250を介して出力される。
ナビゲーション装置220は、位置検出装置221を備える。本実施形態の位置検出装置221は、グローバル・ポジショニング・システム(Global Positioning System, GPS)を備え、走行中の車両の走行位置(緯度・経度)を検出する。
ナビゲーション装置220は、アクセス可能な地図情報222と、道路情報223と、交通規則情報224を備える。地図情報222、道路情報223、交通規則情報224は、ナビゲーション装置220が読み込むことができればよく、ナビゲーション装置220とは物理的に別体として構成してもよいし、通信手段を介して読み込みが可能なサーバに格納してもよい。
本実施形態の地図情報222は、いわゆる電子地図であり、緯度経度と地図情報が対応づけられた情報である。地図情報222は、各地点に対応づけられた道路情報223を有する。
本実施形態の道路情報223は、ノードと、ノード間を接続するリンクにより定義される。道路情報223は、道路の位置/領域により道路を特定する情報と、道路ごとの道路種別、道路ごとの道路幅、道路の形状情報とを含む。本実施形態の道路情報223は、各道路リンクの識別情報ごとに、交差点の位置、交差点の進入方向、交差点の種別その他の交差点に関する情報を対応づけて記憶する。また、本実施形態の道路情報223は、各道路リンクの識別情報ごとに、道路種別、道路幅、道路形状、直進の可否、進行の優先関係、追い越しの可否(隣接レーンへの進入の可否)その他の道路に関する情報を対応づけて記憶する。
ナビゲーション装置220は、位置検出装置221により検出された自車両の現在位置に基づいて、自車両が走行する第1経路を特定する。自車両が走行する第1経路は、道路ごとに特定してもよいし、上り/下りの方向が特定された車線ごとに特定してもよいし、自車両が実際に走行する単一の車線ごとに特定してもよいし、有限の区間ごとに特定してもよい。本実施形態のナビゲーション装置220は、後述する道路情報223を参照して、自車両が走行する第1経路として道路リンクを特定する。本実施形態の第1経路は、自車両V1が、将来通過する一つ又は複数の地点の特定情報(座標情報)を含む。第1経路は、自車両が走行する、次の走行位置を示唆する一つの点を少なくとも含む。目標経路は、連続した線により構成されてもよいし、離散的な点により構成されてもよい。
本実施形態の交通規則情報224は、経路上における一時停止、駐車/停車禁止、徐行、制限速度などの車両が走行時に遵守すべき交通上の規則である。各規則は、地点(緯度、経度)ごと、リンクごとに定義される。交通規則情報224には、道路側に設けられた装置から取得する交通信号の情報を含めてもよい。
本実施形態の車載装置200は、対象物検出装置230を備える。本実施形態の対象物検出装置230は、自車両の周囲の状況を検出する。自車両の対象物検出装置230は、自車両の周囲に存在する障害物を含む対象物の存在及びその存在位置を検出する。特に限定されないが、本実施形態の対象物検出装置230はカメラ231を含む。本実施形態のカメラ231は、例えばCCD等の撮像素子を備える撮像装置である。カメラ231は、赤外線カメラ、ステレオカメラでもよい。カメラ231は自車両の所定の位置に設置され、自車両の周囲の対象物を撮像する。自車両の周囲は、自車両の前方、後方、前方側方、後方側方を含む。カメラ231により撮像される対象物は、標識などの静止物体を含む。対象物は、歩行者、二輪車、四輪車などの他車両などの移動物体を含む。対象物は、ガードレール、中央分離帯、縁石などの道路構造物を含む。
対象物検出装置230は、画像データを解析し、その解析結果に基づいて対象物の種別を識別してもよい。対象物検出装置230は、パターンマッチング技術などを用いて、画像データに含まれる対象物が、車両であるか、歩行者であるか、標識であるか否かを識別する。対象物検出装置230は、取得した画像データを処理し、自車両の周囲に存在する対象物の位置に基づいて、自車両から対象物までの距離を取得する。特に、対象物検出装置230は、対象物と自車両との位置関係を取得する。
なお、本実施形態の対象物検出装置230は、レーダー装置232を用いてもよい。レーダー装置232としては、ミリ波レーダー、レーザーレーダー、超音波レーダーなどの出願時に知られた方式のものを用いることができる。対象物検出装置230は、レーダー装置232の受信信号に基づいて対象物の存否、対象物の位置、対象物までの距離を検出する。対象物検出装置230は、レーザーレーダーで取得した点群情報のクラスタリング結果に基づいて、対象物の存否、対象物の位置、対象物までの距離を検出する。
他車両と自車両とが車車間通信をすることが可能であれば、対象物検出装置230は、他車両の車速センサが検出した他車両の車速、加速度を、他車両が存在する旨を対象物情報として取得してもよい。もちろん、対象物検出装置230は、高度道路交通システムの外部装置から他車両の位置、速度、加速度を含む対象物情報を取得することもできる。
本実施形態の車載装置200は、車線逸脱防止装置240を備える。車線逸脱防止装置240は、カメラ241、道路情報242を備える。カメラ241は、対象物検出装置のカメラ231を共用してもよい。道路情報242は、ナビゲーション装置の道路情報223を共用してもよい。車線逸脱防止装置240は、カメラ241の撮像画像から自車両が走行する第1経路のレーンを検出する。車線逸脱防止装置240は、自車両が走行している第1車線を認識し、車線のレーンマーカの位置と自車両の位置とが所定の関係を維持するように、自車両の動きを制御する車線逸脱防止機能(レーンキープサポート機能)を備える。本実施形態の走行支援装置100は車線の中央を自車両が走行するように、自車両の動きを制御する。走行支援装置100は、車線のレーンマーカから自車両までの路幅方向に沿う距離が所定値域となるように、自車両の動きを制御してもよい。なお、本実施形態におけるレーンマーカは、レーンを規定する機能を有するものであれば限定されず、路面に描かれた線図であってもよいし、レーンの間に存在する植栽であってもよいし、レーンの路肩側に存在するガードレール、縁石、歩道、二輪車専用道路などの道路構造物であってもよい。また、レーンマーカは、レーンの路肩側に存在する看板、標識、店舗、街路樹などの不動の物体であってもよい。
後述する評価プロセッサ11は、対象物検出装置230により検出された対象物を、経路に対応づけて記憶する。つまり、評価プロセッサ11は、どの経路上に対象物が存在するかという情報を有する。
本実施形態の車載装置200は、出力装置250を備える。出力装置250は、ディスプレイ251、スピーカ252を備える。本実施形態の出力装置250は、走行支援に関する各種の情報をユーザ又は周囲の車両の乗員に向けて出力する。本実施形態において、出力装置250は、立案された運転行動計画、その運転行動計画に基づく走行制御に関する情報を出力する。第1経路(目標経路)上を自車両に走行させる制御情報に応じた情報として、操舵操作や加減速が実行されることをディスプレイ251、スピーカ252を介して、自車両の乗員に予め知らせる。また、これらの走行支援に関する情報を車室外ランプ、車室内ランプを介して、自車両の乗員又は他車両の乗員に予め知らせてもよい。また、本実施形態の出力装置250は、通信装置を介して、高度道路交通システム(Intelligent Transport Systems:ITS)などの外部装置に走行支援に関する各種の情報を出力してもよい。
次に、走行支援装置100について説明する。
本実施形態の走行支援装置100は、シーン評価装置10と、運転計画装置20と、出力装置30とを備える。出力装置30は、先述した車載装置200の出力装置250と同様の機能を有する。ディスプレイ251、スピーカ252を、出力装置30の構成として用いる。シーン評価装置10と、運転計画装置20と、出力装置30とを有する。各装置は、有線又は無線の通信回線を介して互いに情報の授受が可能である。
まず、シーン評価装置10について説明する。
シーン評価装置10は、シーン評価装置10の制御装置として機能する評価プロセッサ11を備える。評価プロセッサ11は、自車両の運転行動を決定する際に、経路を走行する自車両が遭遇するシーンを評価するために用いられる演算装置である。具体的に、評価プロセッサ11は、自車両が遭遇するシーンを評価する処理を実行させるプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行することで、シーン評価装置10として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)と、を備えるコンピュータである。評価プロセッサ11は、自車両が遭遇するシーンを評価する処理を実行させるプログラムが記憶された記憶媒体を備える。
本実施形態に係るシーン評価装置10の評価プロセッサ11は、以下の処理を実行する。
(1)自車両が走行する第1経路と交点を有する第2経路を抽出する処理(経路抽出処理),
(2)第1経路と各第2経路との関係に基づいて、第1経路を走行する自車両が遭遇する複数の事象を抽出する処理(事象抽出処理),
(3)抽出された各事象と自車両との関係を用いて、シーンを評価する処理(評価処理).
本実施形態の評価プロセッサ11は、経路抽出機能を実現する第1ブロックと、事象抽出機能を実現する第2ブロックと、シーン評価機能を実現する第3ブロックとを有する。第1ブロックは経路抽出処理を実行し、第2ブロックは事象抽出処理を実行し、第3ブロックは評価処理を実行する。本実施形態の評価プロセッサ11は、上記各機能を実現するため、又は各処理を実行するためのソフトウェアと、上述したハードウェアとの協働により各機能を実行する。
以下、図2A〜図2Gに基づいて本実施形態に係る評価プロセッサ11が実行する各処理について説明する。
まず、評価プロセッサ11の経路抽出処理について説明する。
本実施形態の評価プロセッサ11は、自車両の走行中又は走行が予定されている第1経路を算出する。評価プロセッサ11は、第1経路を算出するために、自車情報を取得する。評価プロセッサ11は、位置検出装置221から自車両の現在位置を取得する。評価プロセッサ11は、地図情報222を参照し、取得した現在位置、進行方向を用いて第1経路を算出する。評価プロセッサ11は、ナビゲーション装置220が求めた自車両の走行予定経路を第1経路として取得してもよい。評価プロセッサ11は、ナビゲーション装置220が求めた、現在位置から目的地に至るまでの案内経路を第1経路として取得してもよい。
本実施形態の評価プロセッサ11は、自車両の走行中又は走行が予定されている第1経路と交点を有する第2経路を抽出する。本実施形態における第2経路は、第1経路と交点を有する経路である。第1経路と交点を有する経路とは、第1経路と交わる経路、第1経路に流入する経路、第1経路から分岐する経路、第1経路と交差する経路を含む。
評価プロセッサ11は、自車両V1が評価の対象となるシーンに遭遇したかを判断する。
具体的に、評価プロセッサ11は、自車両V1が走行する第1経路が、他の第2経路と交わるシーンに遭遇したかを判断する。
図2Aに示す場面を例に説明する。この場面では、自車両V1は、現時点において、第1経路M1L上を走行する。評価プロセッサ11は、地図情報222のリンク情報又は道路情報223を参照し、位置検出装置221から取得した現在位置が属するリンクを含む第1経路M1Lを抽出する。第1経路M1Lは、自車両V1の現在位置が属する経路である。第1経路M1Lは、地図情報222又は道路情報223において定義されたリンクIDにより識別される。自車両V1が走行する第1経路として、自車両V1の現在位置が含まれる第1経路M1Lを特定する。
評価プロセッサ11は、自車両V1が走行する予定の第1経路を算出する。
図2Bは、自車両V1が走行する予定の第1経路BV1Lを判断する。評価プロセッサ11は、ナビゲーション装置220が演算した目的地に至る経路情報から第1経路BV1Lを判断してもよいし、自車両V1の左折意思を示すウィンカー信号から判断してもよい。なお、ウィンカー信号は車両コントローラ210を介して取得する。
図2Cは、第1経路BV1Lが交流する交差点を例に示す図である。図2Cには、各車線を走行する車両が走行する可能性のある全経路を重畳して示す。図2Cに示すように、他車両V2は、直進又は右左折の3つの走行可能経路を有し、他車両V3は直進、右折、左折の3つの走行可能経路を有し、他車両V4は直進、右折、左折の3つの走行可能経路を有する。自車両V1が第1経路BV1Lに沿って走行する際には、図2Cに示す全ての経路に関する情報について判断することが求められる。
本実施形態の評価プロセッサ11は、第1経路BV1Lと交点を有する第2経路を抽出する。本実施形態における第2経路は、第1経路と交差、第1経路に突き当たる(T字)、第1経路に合流する、第1経路に連なる領域内を通過する経路である。
本実施形態の評価プロセッサ11は、第2経路の抽出手法を実行する。
まず、本実施形態の評価プロセッサ11は、自車両の運転行動を決定する際に評価する対象となる「自車両が遭遇するシーン」の領域を特定する。評価プロセッサ11は、第1経路M1Lと交点を有するリンクが属する第2経路が存在する場合には、評価対象となるシーンに自車両V1が遭遇することを予測する。一例はあるが、評価プロセッサ11は、第1経路M1Lと第2経路の交点(例えば、図2Aの交差点中心R0)から所定距離以内の領域R1に、自車両V1の現在位置が属した場面を、評価対象となるシーンとして特定する。
評価プロセッサ11は、自車両V1が評価シーンに遭遇したときに、第2経路の抽出を実行する。評価プロセッサ11は、自車両V1が遭遇する評価対象のシーンに対応する領域(図2AのR1)内に存在する第2経路の抽出を行う。このように評価対象シーンごとに、第2経路を抽出し、シーンを評価することにより、処理負荷を増大させることなく、自車両が遭遇した場面(シーン)がどのような状態であるかを評価できる。
以下、図2D〜2Gに基づいて、図2Bに示すシーンにおける第2経路の抽出手法を説明する。まず、図2Dに示すように、本実施形態の評価プロセッサ11は、他車両V2が走行する可能性のある経路を判断する。評価プロセッサ11は、地図情報222、道路情報223、交通規則情報、カメラ231の撮像画像を用いて、他車両V2(V3,V4についても同じ)が走行する可能性のある経路を算出する。
図2Dに示すように、他車両V2は、直進する第2経路BV2Sと、左折する第2経路BV2Lと、右折する第2経路BV2Rに進行する可能性がある。図2Eに示すように、他車両V3は、直進する第2経路BV3Sと、左折する第2経路BV3Lと、右折する第2経路BV3Rに進行する可能性がある。図2Fに示すように、他車両V4は、直進する第2経路BV4Sと、左折する第2経路BV4Lと、右折する第2経路BV4Rに進行する可能性がある。つまり、各他車両が進行する経路は各3つずつ存在する。
本実施形態の評価プロセッサ11は、上記全経路(他車両が走行可能な全経路)の中から、自車両V1の第1経路BV1Lと交差する可能性がある経路を絞り込む。評価プロセッサ11は、図2Gに示すように、自車両V1が走行する予定の第1経路BV1Lと他の経路との交点QV12,QV13を抽出する。そして、第1経路BV1Lと交点QV12を共有する第2経路BV2Sと、第1経路BV1Lと交点QV12を共有する第2経路BV3Rとを抽出する。この処理により、評価プロセッサ11は、自車両V1が遭遇するシーン(交差点通過の場面)において存在する9本の経路のうち、第1経路BV1Lと交点を有する2本の第2経路BV2S,BV3Rを抽出する。抽出された第2経路BV2S,BV3Rは、第1経路BV1Lと交点を有し、自車両V1が遭遇するシーンを構成する可能性が高い。このように、自車両V1が走行する第1経路と関係のある多くの経路を分解し、その中から、自車両V1の運転計画に考慮すべき第2経路のみを抽出できる。
本実施形態の評価プロセッサ11は、第1経路BV1Lと第2経路BV2S、BV3Rとの関係に基づいて、第1経路BV1Lを走行する自車両V1が遭遇する複数の事象を抽出する。自車両V1が遭遇する事象とは、自車両V1が第1経路と第2経路との交点を通過する、自車両V1が第1経路から第2経路へ進入する、自車両V1が他車両V2,V3,V4と接近する、自車両V1が他車両V2,V3,V4とすれ違う、などの自車両V1に起こる事柄、出来事、場面である。事象は、その事柄に自車両が遭遇する場所として表現できる。このため、本明細書では、「事象」を、地点、交差点、交点などの位置情報により特定して説明することもある。
本実施形態の評価プロセッサ11は、自車両V1が走行する予定の第1経路BV1Lと第2経路BV2S,BV3Rとの交点QV12,QV13に応じた地点を、第1経路BV1Lを走行する自車両V1が事象に遭遇する地点として判断する。評価プロセッサ11は、第1経路BV1Lと第2経路BV2S,BV3Rとの交点QV12,QV13を、自車両V1が遭遇する事象として位置づける。交点QV12,QV13において、自車両V1は、第2経路BV2S,BV3Rに進入(合流)するという事象に遭遇する。自車両V1は、他車両V2,V3,V4と接近するという事象に遭遇する。このように、第1経路と第2経路との関係から事象と遭遇する場所を抽出するので、自車両V1の運転計画に影響を与える事象のみを考慮できる。
本実施形態の評価プロセッサ11は、交通規則情報224を参照し、第1経路の交通規則と各第2経路の交通規則から導かれる関係を用いて、第1経路を走行する自車両V1が遭遇する事象を抽出する。交通規則情報224は、一時停止位置、進入禁止、一方通行などの情報がリンク(経路)や位置情報に対応づけられた情報である。本処理において、地図情報222、道路情報223を参照してもよい。
評価プロセッサ11は、停止の交通規則を事象として認識する。評価プロセッサ11は、停止が定義されている位置を、自車両V1が事象と遭遇する位置として抽出する。抽出された事象の位置は、経路(リンクを含む)に対応づけられる。同様に、評価プロセッサ11は、進入禁止の交通規則を事象として認識する。評価プロセッサ11は、進入禁止が定義されている位置よりも上流側の位置(走行方向の上流側)を、自車両V1が事象と遭遇する位置として抽出する。抽出された事象の位置は、経路(リンクを含む)に対応づけられる。評価プロセッサ11は、交差点の中央部(図2Aの領域R2)などの停止や禁止が定義されている領域よりも上流側の位置(走行方向の上流側)を、自車両V1が事象と遭遇する位置として抽出する。抽出された事象の位置は、経路(リンクを含む)に対応づけられる。
本実施形態の評価プロセッサ11は、第1経路と第2経路の交通規則情報224から、第1経路の第2経路に対する優先度を算出し、この優先度を用いて第1経路を走行する自車両V1の事象を抽出する。
本実施形態の評価プロセッサ11は、図3に示すシーン(場面)において、交通規則情報224を参照し、第1経路BV1Lの停止線ST1を抽出する。同様に、評価プロセッサ11は第2経路BV2Sの停止線ST2、第2経路BV3Rの停止線ST3を抽出する。評価プロセッサ11は、交点QV12にて交わることが予測される、第2経路BV2Sの停止線ST2の停止規則と、第1経路BV1Lの停止線ST1の停止規則とを比較し、その関係を判断する。いずれか一方の走行が優先的に許可され、他方の走行が禁止されるという場合には、走行が優先的に許可される停止線については、事象の候補から除く。第2経路の走行が禁止され、第1経路の走行が優先的に許可される交通の下では、第2経路を走行する他車両V2は、第1経路を走行する自車両V1の走行に影響を与えないからである。図3に示す例では、第1経路BV1Lの停止線ST1の停止規則、及び第2経路BV2Sの停止線ST2の停止規則は、いずれも必ず停止することが求められている。評価プロセッサ11は、第1経路BV1Lと第2経路BV2Sの優先度を判断できない。このため、交点QV12は事象の候補から除かない。
本実施形態の評価プロセッサ11は、第1経路と第2経路の交通規則情報224に含まれる信号情報から第1経路の第2経路に対する優先度を算出し、この優先度を用いて第1経路を走行する自車両V1の事象を抽出する。信号情報は、逐次変更される情報であるので、カメラ231,241の撮像画像により認識してもよいし、ITSシステムを介して取得してもよい。本実施例ではナビゲーション装置220の記憶装置を介して信号情報を取得する態様を説明するが、評価プロセッサ11は信号情報を直接取得してもよい。
本実施形態の評価プロセッサ11は、図3に示すシーン(場面)において、交通規則情報224を参照し、第1経路BV1Lに設置された信号機SG1が示す信号を抽出する。同様に、評価プロセッサ11は第2経路BV2Sに設置された信号機SG2が示す信号を抽出する。
本実施形態の評価プロセッサ11は、通行が許可されている(青信号)経路の優先度を、停止が指示されている(通行が禁止されている:赤信号)経路の優先度よりも相対的に高く設定する。交点を有する二つの経路のいずれもが通行が許可されている場合には、優先度を求めることができないので、優先度の設定は行わない。ちなみに、青信号は、進行の許可を意味し、他の色で表示してもよい。
第1経路BV1Lの交点QV12に設置された信号機SG1が青信号を示し、第2経路BV2Sに設置された信号機SG2が赤信号を示すとき、評価プロセッサ11は、第1経路BV1Lの走行は第2経路BV2Sよりも優先されると判断する。走行が禁止される第2経路BV2Sとの交点QV12は、事象の候補から除く。
第1経路BV1Lの交点QV12に設置された信号機SG1が青信号を示し、第2経路BV3Rに設置された信号機SG3が青信号を示すとき、第1経路BV1Lの走行及び第2経路BV2Sの走行はいずれも許可されている。評価プロセッサ11は、第1経路BV1Lと第2経路BV2Sの優先度を判断できない。このため、交点QV12は事象の候補から除かない。
本実施形態の評価プロセッサ11は、第1経路と第2経路の道路情報223から、第1経路の第2経路に対する優先度を算出し、この優先度を用いて第1経路を走行する自車両V1の事象を抽出する。道路情報223は、T字路における優先経路(車線)と非優先経路(車線)の識別、車線幅に応じた優先経路と非優先経路の識別、道路形状に応じた優先経路と非優先経路の識別を記憶する。道路情報223は、T字路を構成する経路について、一方を優先経路と定義し、他方を非優先経路と定義する。道路情報223は、交点を持つ経路について、車線幅が広い経路を優先経路と定義し、車線幅が狭い車線を非優先経路と定義する。もちろん、実際の交通状態に応じて、車線幅が狭い経路を優先経路とすることもある。道路情報223は、合流する経路について、主経路を優先経路と定義し、合流する経路を非優先経路と定義する。道路情報223は、曲率が相対的に大きい経路を優先経路と定義し、曲率が相対的に小さい経路を非優先経路と定義する。もちろん、実際の交通状態に応じて、曲率が相対的に小さい経路を優先経路とすることもある。
本実施形態の評価プロセッサ11は、自車両V1の周囲に存在する物体の検出情報を用いて、第1経路を走行する自車両V1が遭遇する事象を抽出する。評価プロセッサ11は、対象物検出装置230により検出された対象物(歩行者、他車両、道路構造物などを含む物体)が存在することを、自車両V1が遭遇する事象として認識する。評価プロセッサ11は、自車両V1と検出された対象物との距離が所定値未満であるときに、その対象物の存在を事象として抽出するようにしてもよい。評価プロセッサ11は、自車両V1と検出された対象物とが接触するまでの予測時間が所定値未満であるときに、その対象物の存在を事象として抽出するようにしてもよい。
本実施形態の評価プロセッサ11は、対象物の位置情報を用いて、第1経路を走行する自車両V1が遭遇する事象を抽出する。対象物とは、工事現場、故障車、回避領域などの一時的な交通規制に関する対象を含む。物体が存在する位置の情報は、道路情報223に含めてもよい。物体が存在する位置の情報は、ITSなどの路側の情報提供装置から受信できる。
評価プロセッサ11は、対象物検出装置230により検出された対象物を、経路に対応づけて、アクセス可能な状態で記憶する。評価プロセッサ11は、どの経路上に対象物が存在するかという情報を有する。さらに、評価プロセッサ11は、抽出された第2経路に対象物が存在するか否か、第2経路上の対象物と自車両との位置関係、第2経路上の対象物と自車両との接触の可能性を判断することができる。
本実施形態の評価プロセッサ11は、抽出された複数の事象の位置を、各経路に対応づける。評価プロセッサ11は、抽出された複数の事象を自車両V1が遭遇する順序に沿って並べ替える。本実施形態の評価プロセッサ11は、第1経路を走行する自車両V1の位置の遷移と事象の位置とから、遭遇する事象の順序を求め、事象を自車両V1が遭遇する順序に沿って並べ替える。
本実施形態の評価プロセッサ11は、遭遇する対象物を抽出し、その遭遇位置を各経路に対応づける。評価プロセッサ11は、対象物検出装置230により検出された対象物を自車両V1が遭遇する順序に沿って並べ替える。本実施形態の評価プロセッサ11は、第1経路を走行する自車両V1の位置の遷移と対象物の位置とから、対象物との遭遇順序を求め、対象物を自車両V1が遭遇する順序に沿って並べ替える。
続いて、出力装置30について説明する。
出力装置30は、出力制御プロセッサ31を備える。出力制御プロセッサ31は、出力装置30としてのディスプレイ251を用いて、情報を表示する。出力制御プロセッサ31は、評価プロセッサにより抽出された事象を示す情報を、自車両が遭遇する順序に沿って並べて表示する。
出力制御プロセッサ31は、事象を示す情報を表示する処理を実行させるプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行することで、出力装置30として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)と、を備えるコンピュータである。出力制御プロセッサ31は、事象を示す情報を表示する処理を実行させるプログラムが記憶された記憶媒体を備える。
図4は、事象を経時的に示す表示情報VWの例である。図4に示す表示例では、自車両V1の第1経路を矢印Tで表示する。矢印の方向が、自車両V1の時間軸である。その矢印T上に事象として抽出された交点QV12,QV13を90度に曲げた矢印を重畳して表示する。併せて、自車両V1が遭遇する事象として、信号機SG1又は停止線ST1、第2経路との交点QV12,QV13を表記してもよい。事象(遭遇位置・遭遇タイミング)を示す情報は、記号であってもよいし、抽象的なマークであってもよい。彩色、大きさ等は任意に決定できる。
出力制御プロセッサ31は、自車両V1から各事象までの実際の距離の比に応じた位置に、抽出された事象を示す記号、マーク等の情報を表示する。図4に示すように、出力制御プロセッサ31は、第1経路を示す矢印Tの長さを所定距離とし、自車両V1と交点QV12との実際の距離と、自車両V1と交点QV13との実際の距離との比が表示情報VWにおいて表現されるように、矢印Tに対するQV12,QV13の矢印の位置を決定する。出力制御プロセッサ31は、自車両V1の速度を考慮し、第1経路を示す矢印Tの長さを所定距離とし、自車両V1が交点QV12に到達する時間と、自車両V1が交点QV13に到達する時間との比が表示情報VWにおいて表現されるように、矢印Tに対するQV12,QV13の矢印の位置を決定してもよい。
なお、出力制御プロセッサ31は、遭遇する事象が対象物(物体)である場合には、対象物の位置、対象物の相対速度を考慮して自車両V1との位置関係を求める。本例の事象は、自車両V1の後方に存在する対象物も含む、自車両V1に、その後方から接近する車両は、自車両V1が遭遇する事象として認識できる。後方から接近する他車両についても、その位置及び相対速度を考慮して自車両V1との位置関係を求める。
出力制御プロセッサ31は、事象が、経路の交点、交通規則において定義された停止位置、道路構造物などの静止物、歩行者、他車両などの移動体を含む場合であっても、抽出された複数の事象に含まれる静止物と移動体を、自車両が遭遇する順序という共通の時間軸に沿って並べ替える。他車両には、後方から接近する他車両も含まれる。
このように、第1経路を走行する自車両V1が遭遇する事象を、自車両が遭遇する順序に沿って並べて表示することにより、自車両V1のドライバは、どのような事象に、どのような順序で遭遇するかを、視覚的に認識できる。
本実施形態の出力制御プロセッサ31は、後述する運転計画装置20の出力した情報を表示する。具体的な表示例については後述する。
ここで、交通規則情報224を用いたシーンの評価処理について説明する。本例の場面を図5Aに示す。図5Aに示すように、第1経路BV1を走行する自車両V1は信号機SG1が設けられた交差点を左折通過する。評価プロセッサ11は、第1経路BV1と交点を有する経路を抽出する。先述した例と同様に、本例では、図5Bに示す第2経路BV2S及び第2経路BV3Rが抽出される。評価プロセッサ11は、位置情報に対応づけられた交通規則情報224を参照し、第1経路BV1L上に定義された交通規則を参照する。評価プロセッサ11は、第1経路BV1L上に停止線ST1を抽出する。停止線ST1の位置を第1経路BV1Lに対応づけて記憶する。評価プロセッサ11は、第2経路BV2S及び第2経路BV3Rについても同様に、交通規則情報224を参照し、他車両の運転に関係する交通規則を抽出し、各第2経路に対応づけて記憶する。評価プロセッサ11は、交通規則情報224に記憶されている交通規則が適用される位置(停止線の位置)に応じて、自車両V1の事象の位置を決定する。本例において、評価プロセッサ11は、交通規則情報224に記憶されている停止線ST1と第1経路BV1Lとの交点QV1Sの位置を、事象の位置として決定する。
評価プロセッサ11は、経路同士の優先度を検討する。図5Bに示す例では、第1経路BV1Lが青信号(進行指示)であり、第2経路BV3Rが青信号である。他方、第2経路BV2Sは赤信号(停止指示)である。この場合、評価プロセッサ11は、第1経路BV1Lの優先度は、第2経路BV2Sの優先度よりも高いと判断する。評価プロセッサ11は、第1経路BV1Lの優先度が第2経路BV2Sの優先度よりも高いので、両者の交点QV12を事象の候補から外してもよい。もちろん、事象として記憶しておき、後述する運転計画処理において進行と判断してもよい。評価プロセッサ11は、いずれも青信号である第1経路BV1Lと第2経路BV3Rの優先度は判断しない。
評価プロセッサ11は、各事象を自車両V1が遭遇する時系列に並べ替える。並べた事象の順序情報は、運転計画プロセッサ21に送られる。また、出力装置30を介して抽出された事象を時系列に並べてユーザに提示する。ユーザは、これから自車両V1がどのような事象に遭遇するのかを視覚的に確認できる。
図6は、事象を経時的に示す表示情報VWの例である。図6に示す表示例では、自車両V1の第1経路の進行方向を太い矢印Tで表示する。矢印の方向が、自車両V1の時間軸である。その矢印T上に事象として抽出された、信号機手前に存在する停止線との交点QV1Sを信号機のアイコンで表示し、交点QV12,QV13を90度に曲げた矢印を重畳して表示する。併せて、自車両V1が遭遇する事象(本例では対象物)として、信号機SG1又は停止線ST1、第2経路との交点QV12,QV13を表記してもよい。事象(遭遇位置・遭遇タイミング)を示す情報は、記号であってもよいし、抽象的なマークであってもよい。彩色、大きさ等は任意に決定できる。
次に、運転計画装置20について説明する。運転計画装置20は、運転計画プロセッサ21を備える。運転計画プロセッサ21は、経路を走行する自車両の運転行動を計画する。運転計画プロセッサ21は、自車両が第1経路を走行する際に経時的に遭遇する複数の事象と自車両との関係についての評価結果を、評価プロセッサ11から取得する。運転計画プロセッサ21は、評価プロセッサ11により評価された事象と自車両V1との関係(評価結果)を用いて、自車両V1が第1経路を走行する際の運転計画を立案する。運転計画プロセッサ21は、運転計画を立案する際に、対象物検出装置230により検出された対象物の存在を考慮して運転計画を立案する。運転計画プロセッサ21は、自車両V1の周囲に存在する対象物との接触を回避した運転計画を立案する。
運転計画プロセッサ21は、自車両の走行/停止を含む運転行動を計画する処理を実行させるプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行することで、運転計画装置20として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)と、を備えるコンピュータである。運転計画プロセッサ21は、自車両の走行/停止を含む運転行動を計画する処理を実行させるプログラムが記憶された記憶媒体を備える。
本実施形態の運転計画プロセッサ21は、評価プロセッサ11により抽出された複数の事象に対してそれぞれ一つの行動を決定する。決定される行動は、運転に関する行動であって、進行行動と停止行動とを含む。運転計画プロセッサ21は、各事象に対して、進行行動又は停止行動の何れか一方を決定する。運転計画プロセッサ21は、これら複数の事象に対して決定された各行動の内容を総合的に考慮して、自車両V1が遭遇するシーンに対して一連の運転計画を立案する。これにより、一つのシーンの通過開始から通過終了までの間に、どこに停車すればよいのかが明確にされた運転計画を立案できる。このため、最終的な運転計画を立案するまでのプロセスを簡素化し、演算負荷の低減を図ることができる。
以下、図7A、図7Bに基づいて、運転計画プロセッサ21の運転行動の決定手法を説明する。ここでは、図2Gに示す二つの事象(交点QV12)、事象(交点QV13)における運転行動の決定手法を説明する。
図7Aは、図2Gに示す事象(交点QV12)における運転行動の決定処理の手法を説明するための図である。運転計画プロセッサ21は、第1経路BV1Lと第2経路BV2Sが交差する地点を自車両V1が通過するという事象に対してとるべき運転行動を判断する。運転計画プロセッサ21は、第2経路BV2Sに対応づけられた他車両V2と自車両との位置関係及び位置関係の変化(接近度合)を算出する。運転計画プロセッサ21は、自車両V1と他車両V2が接するまでの時間に基づいて、自車両V1が第1経路と第2経路の交点である事象(交点QV12)を他車両V2と接することなく通過できるか否かを判断する。
自車両V1が事象に遭遇する可能性の高い交点QV12について検討する。
図7Aに示すように、運転計画プロセッサ21は、自車両V1と他車両V2が交点QV12に到達するまでの予想時間を計算し、自車両V1が余裕をもってその事象(交点QV12)を通過できるか否か判断する。例えば、自車両V1の速度をVV1、自車両V1から交点QV12までの距離をL1、他車両V2の速度をVV2、他車両V2から交点QV12までの距離をL2とする。
そして、下記式(1)を満たす場合には、交点QV12にて自車両V1が他車両V2と接する可能性が高いと判断し、この交点QV12で遭遇する事象における運転行動は「停止」と判断する。
|L2 /VV2 − L1 / VV1 | < Tthreshold (1)
他方、下記式(2)を満たす場合には、交点QV12において、自車両V1が他車両V2と接するという事象に遭遇する可能性が低いと判断し、この事象における運転行動は「進行」と判断する。
|L2 / VV2 − L1 / VV1 | ≧ Tthreshold (2)
なお、Tthreshold は車両の相互通過に関する安全を考慮した余裕時間である。
図7Bは、図2Gに示す事象(交点QV13)における運転行動の決定処理の手法を説明するための図である。運転計画プロセッサ21は、第1経路BV1Lと第2経路BV3Rが交差する地点を自車両V1が通過するという事象に対してとるべき運転行動を判断する。運転計画プロセッサ21は、第2経路BV3Rに対応づけられた他車両V3と自車両との位置関係及び位置関係の変化(接近度合)を算出する。運転計画プロセッサ21は、自車両V1と他車両V3が接するまでの時間に基づいて、自車両V1が第1経路と第2経路の交点QV13で、他車両V2と接することなく通過できるか否かを判断する。言い換えると、運転計画プロセッサ21は、他車両V3と接触するという事象に遭遇することなく交点QV13を通過できるか否かを判断する。
図7Bに示すように、運転計画プロセッサ21は、自車両V1と他車両V2が交点QV13に到達するまでの予想時間を計算し、自車両V1が余裕をもってその交点QV13を通過できるか否か判断する。言い換えると、運転計画プロセッサ21は、自車両V1が、交点QV13において他車両V3と接触するという事象に遭遇する可能性が低いか否かを判断する。例えば、自車両V1の速度をVV1、自車両V1から交点までの距離をL1、他車両V3の速度をVV3、他車両V3から交点QV13までの距離をL3とする。L3は、道路情報223が記憶する曲率などを参考にして算出してもよいし、道路情報223が記憶するノード間の距離を参考に算出してもよい。
そして、下記式(3)を満たす場合には、交点QV13にて、自車両V1が他車両V3と接するという事象に遭遇する可能性が高いと判断し、この事象における運転行動は「停止」と判断する。
|L3 /VV3 − L1 / VV1 | < Tthreshold (3)
他方、下記式(4)を満たす場合には、交点QV13にて、自車両V1が他車両V3と接するという事象に遭遇する可能性が低いと判断し、この事象における運転行動は「進行」と判断する。
|L3 / VV3 − L1 / VV1 | ≧ Tthreshold (4)
Tthreshold は車両の相互通過に関する安全を考慮した余裕時間である。
先述した、出力制御プロセッサ31は、この事象ごとの運転行動の判断結果をディスプレイ251に表示してもよい。図8は、運転行動の判断結果の表示例である。図8に示すように、出力制御プロセッサ31は、複数の事象を自車両V1が遭遇する順序に沿って並べるとともに、各事象における運転行動の判断をテキスト情報又は記号にて表示する。
本実施形態の運転計画プロセッサ21は、評価された自車両V1と経時的に遭遇する複数の事象との関係を用いて、自車両が遭遇するシーンに対して一連の運転計画を立案する。 特に限定されないが、運転計画プロセッサ21は、遭遇するシーンに対して自車両V1が執るべき運転操作について、ひとまとまりの運転計画を立案する。運転計画は、シーン(の領域R1)に進入してから、シーン(の領域R1)を退出するまでの間の第1経路において抽出された各事象について、停止と進行の指令が対応づけられた命令である。
本実施形態の運転計画プロセッサ21は、評価プロセッサ11によって抽出された事象の少なくとも一つ以上の事象に対して停止行動の決定又は判断不能の決定がされた場合には、自車両V1が遭遇するシーンにおいて、自車両を停止させる運転計画を立案する。
本実施形態の運転計画プロセッサ21は、評価プロセッサ11によって抽出された事象の少なくとも一つ以上の事象に対して停止行動の決定又は判断不能の決定がされた場合には、自車両V1の現在位置に最も近い事象において自車両V1を停止させる運転計画を立案する。シーンに対応する領域R1内に停止すべき地点が存在する場合には、直ちに、自車両V1を停止させるので、リスクを回避できる。
ちなみに、運転計画プロセッサ21が判断不能の決定をする場合とは、カメラ231の画像に含まれる死角領域の割合が所定値以上である場合、対象物検出装置230による対象物の検出確度が所定値未満である場合、車線逸脱防止装置240による処理が中止された場合、又はドライバからの介入操作があった場合などである。判定不能である場合には、速やかに自車両を停止させることにより、不正確な情報に基づく運転計画の実行を抑制できる。
本実施形態の運転計画プロセッサ21は、評価プロセッサ11によって抽出された事象について、進行行動が決定された事象の次に遭遇する事象について停止行動又は判断不能の決定がされた場合には、進行行動が決定された事象との遭遇ポイントにおいて自車両V1を停止させる運転計画を立案する。いったん進行行動が決定された場合であっても、自車両V1が次に遭遇する事象が停止行動又は判断不能である場合には、進行行動が決定された位置に自車両V1を停止させることができる。進行行動が決定された場所は、自車両V1の存在が許可された場所であるので、安全に自車両V1を停止させることができる。
本実施形態の運転計画プロセッサ21は、評価プロセッサ11によって抽出された事象のうち、停止行動又は判断不能の決定がされた事象が第2経路内に属する場合には、その事象よりも上流側であって停止可能な位置にて自車両V1を停止させる。ある事象について停止行動又は判断不能の決定がされた場合であっても、その事象に応じた停止位置が第2経路に属するときには、第2経路を走行する他車両の走行を妨害する可能性があるので、停止位置として適切ではない。本実施形態によれば、第2経路内ではなく、上流側の停止可能な位置に停止位置を設定できる。
本実施形態の運転計画プロセッサ21は、評価プロセッサ11によって抽出された事象のうち、停止行動又は判断不能の決定がされた事象が、他の事象接近乃至重複し、両事象が所定距離以内となる場合には、その事象よりも上流側であって停止可能な位置にて自車両V1を停止させる。ある事象について停止行動又は判断不能の決定がされた場合であっても、その事象に応じた停止位置が他の事象に応じた停止位置と接近乃至重なる場合には、他の事象に関する判断との整合を考慮する必要があるので、停止位置として適切ではない。本実施形態によれば、第2経路内ではなく、上流側の停止可能な位置に停止位置を設定できる。これにより、判断不能とされるケースを低減できる。また、判断処理の負荷を低減させるとともに、ストップ アンド ゴーを繰り返すことなく、シーンの領域R1内をスムーズに走行できる。
本実施形態の運転計画プロセッサ21は、評価プロセッサ11によって抽出された事象のうち、一の事象について進行行動が決定され、その事象の次に遭遇する他の事象について停止行動又は判断不能が決定された場合において、一の事象と他の事象との離隔度合が所定値以上である場合には、一の事象について自車両V1を進行させる運転計画を立案する。ある一の事象について進行が許可されたが、その後に遭遇する他の事象において停止行動又は判断不能の決定がされた場合において、上流側の一の事象にて自車両V1を停車させると、再度他の事象の進行可否を判断しなければならず、また、他の第2経路上の他車両の交通の流れの妨げになる可能性もある。このように、離隔した事象において上流側では「進行」下流側では「停止」という異なる判断が示された場合には、上流側の事象では自車両V1を進行させることにより、複雑な処理にならないようにすることができる。
本実施形態の運転計画プロセッサ21は、自車両V1の停止位置は、シーンに対応する境界R1内であって、自車両V1の現在位置に最も近い事象の位置であってもよい。自車両V1の停止位置は、シーンに対応する境界R1の手前側に設定してもよい。自車両V1の停止位置は、シーンに対応する境界R1内の事象のうち、自車両Vの接近方向に沿って最も上流側の事象の位置であってもよい。
上記の停止地点の設定処理は、交差点の交通量、道路種別、道路幅に応じて選択できる。
本実施形態の運転計画プロセッサ21は、速度についての制御を行なう。
本実施形態の運転計画プロセッサ21は、評価プロセッサ11によって抽出された事象のうち、一の事象について進行行動が決定され、その事象の次に遭遇する他の事象について停止行動又は判断不能が決定された場合において、一の事象における進行行動の速度を低下させる運転計画を立案する。
ここで、具体的なシーンを例にして、シーンの評価処理と運転計画の立案処理を通して説明する。本例の場面を図9Aに示す。図9Aに示すように、第1経路BV1を走行する自車両V1は信号機SG1が設けられ、かつ横断歩道CR1が設けられた交差点を左折通過する。評価プロセッサ11は、第1経路BV1Lと交点を有する経路を抽出する。ここで横断歩道は、歩行者が通行する経路の一つである。
本例では、図9Bに示すように、第2経路として、横断歩道CR1、第2経路BV2S、第2経路BV3R、及び横断歩道CR4が抽出される。評価プロセッサ11は、位置情報に対応づけられた交通規則情報224を参照し、第1経路BV1L上に定義された交通規則を参照する。評価プロセッサ11は、第1経路BV1L上であって、横断歩道CR1の上流側に停止線ST1を抽出する。停止線ST1の位置を第1経路BV1Lに対応づけて記憶する。評価プロセッサ11は、第2経路BV2S及び第2経路BV3Rについても同様に、交通規則情報224を参照し、他車両の運転に関係する交通規則を抽出し、各第2経路に対応づけて記憶する。評価プロセッサ11は、交通規則情報224に記憶されている交通規則が適用される位置(停止線の位置)に応じて、自車両V1の事象の位置を決定する。
本例において、評価プロセッサ11は、交通規則情報224に記憶されている停止線ST1と第1経路BV1Lとの交点QVC1の位置を、事象の位置として決定する。各事象の位置に応じた停止位置を経路ごとに記憶する。本例では、事象である交点QV1Sを停止位置として横断歩道CR1に対応づける。事象である交点QV12を停止位置として第2経路BV2Sに対応づける。事象である交点QV13を停止位置として第2経路BV3Rに対応づける。事象である交点QVC4を停止位置として横断歩道CR4に対応づける。
評価プロセッサ11は、第1経路と第2経路の優先度を検討する。図9Bに示す例では、第1経路BV1Lが青信号(進行指示)であり、第2経路BV3Rが青信号である。他方、第2経路BV2Sは赤信号(停止指示)である。この場合、評価プロセッサ11は、第1経路BV1Lの優先度は、第2経路BV2Sの優先度よりも高いと判断する。評価プロセッサ11は、第1経路BV1Lの優先度が第2経路BV2Sの優先度よりも高いので、両者の交点QV12を事象の候補から外してもよい。もちろん、事象として記憶しておき、後述する運転計画処理において進行と判断してもよい。評価プロセッサ11は、いずれも青信号である第1経路BV1Lと第2経路BV3Rの優先度は判断しない。
また、評価プロセッサ11は、第2経路としての横断歩道と第1経路の優先度を検討する。
図9Bに示す例では、横断歩道CR1の信号が赤(横断禁止指示)であり、第1経路BV1Lが青信号(進行指示)であるので、第1経路BV1Lの優先度は、横断歩道CR1の優先度よりも高いと判断する。評価プロセッサ11は、第1経路BV1Lの優先度が横断歩道CR1の優先度よりも高いので、両者の交点QVC1を事象の候補から外してもよい。もちろん、事象として記憶しておき、後述する運転計画処理において進行と判断してもよい。
図9Bに示す例では、第1経路BV1Lが交差する横断歩道CR4の信号が青(横断指示)である。第1経路BV1Lも青信号(進行指示)であるが、横断歩道の歩行者を優先する旨の交通規則に従い、第1経路BV1Lの優先度は、横断歩道CR4の優先度よりも低いと判断する。評価プロセッサ11は、第1経路BV1Lの優先度が横断歩道CR4の優先度よりも低いので、両者の交点QVC4を事象として記憶する。
評価プロセッサ11は、第1経路BV1Lと停止線ST1との交点QV1S、第1経路BV1Lと第2経路BV2Sとの交点QV12、第1経路BV1Lと第2経路BV3Rとの交点QV13、第1経路BV1Lと横断歩道CR4との交点QVC4を事象として判断する。
評価プロセッサ11は、第1経路BV1L、第2経路BV2S、第2経路BV3R、第2経路としての横断歩道CR1、横断歩道CR4に存在する歩行者、二輪車などの対象物を事象として抽出する。図9Bに示す例では、評価プロセッサ11は、第2経路BV2Sを走行する他車両V2、第2経路BV3Rを走行する他車両V3、横断歩道CR1を横断する歩行者H1、横断歩道CR4を横断する歩行者H4を事象として抽出する。各対象物は、各経路・位置に対応づけて記憶される。
評価プロセッサ11は、各事象を自車両V1が遭遇する時系列に並べ替える。並べた事象の順序情報は、運転計画プロセッサ21に送られる。また、出力装置30を介して抽出された事象を時系列に並べてユーザに提示する。ユーザは、これから自車両V1がどのような事象に遭遇するのかを視覚的に確認できる。
図10は、事象を経時的に示す表示情報VWの例である。図10に示す表示例では、自車両V1の第1経路の進行方向を太い矢印Tで表示する。矢印の方向が、自車両V1の時間軸である。その矢印T上に事象として抽出された、信号機手前に存在する停止線との交点QV1Sを横断歩道のアイコンで表示し、交点QV12、QV13を90度に曲げた矢印、横断歩道CR4との交点QVC4を横断歩道のアイコンを重畳して表示する。併せて、自車両V1が遭遇する対象物として、横断歩道CR1、第2経路との交点QV12、QV13、横断歩道CR4を表記してもよい。さらに、各第2経路上に存在する対象物を表記してもよい。本表示例では、横断歩道CR1上に存在する歩行者H1と横断歩道CR4上に存在する歩行者H4を表示する。事象(遭遇位置・遭遇タイミング・遭遇物)を示す地点や対象物を示す情報は、記号であってもよいし、抽象的なマークであってもよい。彩色、大きさ等は任意に決定できる。
本実施形態の運転計画プロセッサ21は、各事象又は各事象と対応づけられた第2経路について、以下のように運転行動をそれぞれ決定する。
(1)第1経路BV1L上の信号機SG1は青信号(進行)を示し、横断歩道CR1の歩行者用信号機SGH1は赤信号(停止)を示す。運転計画プロセッサ21は、第1経路BV1Lの優先度は、横断歩道CR1の優先度よりも高いため、交点QV1Sにおける事象についての運転行動は「進行」であると判断する。
(2)第2経路BV2S上の信号機SG2は赤信号(停止)を示す。運転計画プロセッサ21は、第1経路BV1Lの優先度は、第2経路BV2Sの優先度よりも高いため、交点QV12における事象についての運転行動は「進行」であると判断する。
(3)第1経路BV1L上の信号機SG1は青信号(進行)を示し、第2経路BV3Rの信号機SG3は青信号(進行)を示す。運転計画プロセッサ21は、第2経路BV3Rに対する第1経路BV1Lの優先度を判断しない。運転計画プロセッサ21は、自車両V1と第2経路BV3Rを走行する他車両V3とが接触するまでの時間に基づいて、交点QV13における運転行動を判断する。
(4)第1経路BV1L上の信号機SG1は青信号(進行)を示し、横断歩道CR4の歩行者用信号機SGH4も青信号(横断可)を示す。交通規則情報224において横断歩道の優先度は、車両用道路に比べて高いと定義されている。運転計画プロセッサ21は、同じ青信号であるが、交通規則情報224に従い、交点QVC4(図9B参照)における事象についての運転行動は「停止」であると判断する。
本実施形態の運転計画プロセッサ21は、続いて、シーンごとの運転計画を立案する。運転計画プロセッサ21は、シーンが設定された領域R1内において抽出された複数の事象のうち「停止」と判断された事象が有るか否かを判断する。運転計画プロセッサ21は、
抽出された事象に「停止」と判断された事象が一つ以上含まれている場合には、シーン全体の運転行動を「停止」と判断する。さらに、運転計画プロセッサ21は、具体的な停止位置を決定する。
本例において、例えば、第2経路BV3R上の交点QV13の事象について「停止」が決定された場合には、「停止」の判断がされた経路が、第2経路BV3Rと、横断歩道である第2経路CR4との複数存在することになる。
このような場合には、第1経路を走行する自車両V1から最も近い事象について「停止」を決定する。運転計画プロセッサ21は、この事象の位置に基づいて停止位置を設定する。停止位置は、第1経路における自車両V1の走行方向を基準に事象よりも上流側であって、事象と所定距離以内とする。本例においては、横断歩道CR4との交点QVC4ではなく、第2経路BV3R上の交点QV13に係る事象について「停止」が決定される。
上記の場合において、第2経路BV3Rには交点QV13(事象)に係る停止位置が対応づけられているが、交点QV13は第2経路BV2S上に存在する。このため、運転計画プロセッサ21は、交点QV13及びその近傍を停止位置とせずに、代わりに第2経路BV2Sに対応づけられた交点QV12及びその近傍に停止位置を設定する。
第2経路BV3R上の交点QV13に係る事象について「進行」が決定された場合には、横断歩道CR4との交点QVC4を停止位置とする。交点QVC4は、横断歩道CR4上に位置するとともに、第2経路BV3R上に位置する。このため、自車両V1の進行方向の上流側の第2経路BV3R上の交点QV13を停止位置とする。さらに、交点QV13は、第2経路BV3R上に位置するとともに、第2経路BV2S上に位置する。このため、自車両V1の進行方向の上流側の第2経路BV2S上の交点QV12を停止位置とする。
第1経路に沿って目的地までの全ての事象について処理を行ったと判定されるまで、上記処理を繰り返す。
以下に、上記処理の変更例を説明する。本例の場面を図11Aに示す。
本例は、第1経路BV1が片側一車線の道路を走行する場面についての例である。
評価プロセッサ11は、第1経路BV1と交点を有する第2経路としての横断歩道CRを抽出する。さらに、評価プロセッサ11は、他車両V5を事象として検出し、第1経路BV1と対応づけて記憶する。先述した例では第1経路と第2経路とが角度を持って交わっていたが、本例では、第1経路と第2経路とが共通の経路となる。
抽出した事象を遭遇する順序に沿って並べる。自車両V1の第1経路BV1を基準に、自車両V1から他車両V5までの相対距離と、自車両V1から横断歩道CRまでの相対距離を考える。出力制御プロセッサ31は、求めた相対距離に基づいて、ディスプレイ251に並べた事象を表示する。表示例を図12に示す。図12に示すように、自車両V1、他車両V5、横断歩道CRの順番で表現される。
図11Aの状態のまま自車両V1が直進すると、他車両V5と接触してしまうため自車両V1は他車両V5に係る事象を通過することはできない。なお、運転計画プロセッサ21は、横断歩道CR上に歩行者が存在する場合には「停止」と判断する。本例のように、横断歩道CR上の歩行者が他車両V5に隠れてしまう場合には、死角の発生を理由に判断不能を決定する。
運転計画プロセッサ21は、自車両V1と他車両V5とが接触する可能性を判断する。評価プロセッサ11は、他車両V5を回避する経路を探索し、回避経路が求められた場合には、他車両V5に係る事象は「進行」と判断できる。回避経路は、対向車線を走行する他車両が存在しないこと、自車両V1の車幅を超える他車両V5を回避する経路が求められたことを条件とすることができる。
運転計画プロセッサ21は、シーン全体を通した行動を決定する。本例において、他車両V5を回避できるので、この事象については「進行」と判断する。横断歩道CR上の歩行者の存在が確認できなかった(判断不能)。このため、その手前で一時停止の必要があるので「停止」を判断する。「停止」の事象の前に「進行」の事象が存在する。この場合に、運転計画プロセッサ21は、「進行」と判断された他車両V5を回避する経路を走行する際の速度をその前の設定速度よりも低く設定する。つまり、減速させる。自車両V1は、減速して、回避可能な他車両V5を回避し、駐車中の他車両V5による死角のために判断不能となっている横断歩道CR(事象)に対して、停止可能な速度で接近し、通過する。
また、横断歩道CR上に歩行者が存在することが確認でき、かつ、横断歩道CRに関して「停止」と判断された場合には、横断歩道CRの手前で停止する。さらに、片側2車線の場合は、隣接する車線を走行する他車両との衝突可能性を考慮しつつ、車線変更の可否判断を併せて行ってもよい。死角の発生などの事前に判断が難しい事象に対しても対応できる。
以下、運転計画における停止位置を決めるにあたり、停止位置候補を設定する手法を説明する。
本実施形態の運転計画プロセッサ21は、自車両V1が第1経路を走行する際に経時的に遭遇する複数の事象と自車両V1との関係についての評価結果を用いて、自車両V1を停止させる一又は複数の停止位置候補を事象ごとに設定する。運転計画プロセッサ21は、設定した停止位置候補において遭遇する複数の事象と自車両V1との関係についての評価結果を用いて、自車両V1が遭遇するシーンについて運転計画を立案する。
このように、第1経路と第2経路とが交点を有する交通において、停止位置候補において遭遇する複数の事象と自車両V1との関係を考慮して運転計画を立案するので、他車両や歩行者などに影響を及ぼさない運転を実現できる。
本実施形態の運転計画プロセッサ21は、自車両V1が遭遇するシーンにおいて、複数の停止位置候補のうち最も自車両V1に近い停止位置候補を、自車両V1を停止させる停止位置として決定する。このように、停止位置候補のうち、自車両V1の現在位置に最も近い位置で自車両V1を停止させるので、交通流に対して与える影響を抑制できる。
本実施形態の運転計画プロセッサ21は、自車両V1の停止が要求される停止位置よりも所定距離だけ上流側の位置に、停止位置候補を設定する。実際の交通規則情報224において定義された停止位置よりも自車両の現在位置に近い位置で自車両V1を停止させるので、交通流に対して与える影響を抑制できる。
本実施形態の運転計画プロセッサ21は、自車両V1の駐停車が禁止された領域の外延よりも所定距離だけ上流側の位置、駐停車禁止領域の外側に、停止位置候補を設定する。実際の交通規則情報224において定義された停止位置よりも自車両の現在位置に近い位置で自車両V1を停止させるので、交通流に対して与える影響を抑制できる。
本実施形態の運転計画プロセッサ21は、第1経路と交差する他の第2経路の走行可能領域の外側に停止位置候補を設定する。第2経路の車線内又はその走行可能領域の外延よりも自車両V1の現在位置に近い位置で自車両V1を停止させるので、交通流に対して与える影響を抑制できる。
本実施形態の運転計画プロセッサ21は、自車両V1が一の事象を通過するときに自車両V1の車体が、第1経路をはみだす場合には、一の事象の一つ上流側の停止位置候補に自車両V1を停止させる運転計画を立案する。自車両V1が第1経路以外にはみ出す場合、つまり、自車両V1の車体が他の経路の車線内又はその走行可能領域内に進入する可能性がある場合には、自車両V1の現在位置により近い事象の位置で自車両V1を停止させるので、交通流に対して与える影響を抑制できる。特に限定されないが、自車両V1が一の事象を通過するときに自車両V1の車体の少なくとも一部が、第2経路内に進入する場合に、一の事象の一つ上流側の停止位置候補に自車両V1を停止させてもよい。同様に、交通流に対して与える影響を抑制できる。
本実施形態の運転計画プロセッサ21は、第1経路の交通信号又は第1経路の交通規則に応じて、自車両V1が遭遇する事象が生じない領域に停止位置候補を設定しないようにできる。青信号により第1経路における自車両V1の通行が確保されている場合や、交通規則により第1経路が優先経路として定義され、自車両V1の優先的な通行が確保されている場合には、停止位置候補を設定しないようにできる。停止が必要とされない場面で停止することを避けて、スムーズな走行を実行できる。
本実施形態の運転計画プロセッサ21は、第1経路と交点を有する第2経路から、第1経路の停止位置候補の位置に流入する他車両の速度が規定の速度以下である場合には、停止位置候補の一つ上流側の他の停止位置候補について停止を決定する。第1経路の停止位置候補の位置に流入する他車両の速度が規定の速度以下である場合には、渋滞などの交通状況が発生している可能性がある。このような場合には、適切な位置に停車できずに、他車両や歩行者に影響を与えることが起こり得る。このため、第1経路の停止位置候補の位置に流入する他車両の速度が規定の速度以下である場合には、自車両の現在位置に近い停止位置候補で停車することにより、他車両や歩行者の流れに影響を与えない運転行動をとることができる。
以下、運転計画における停止位置の第1の設定手法について説明する。
図13Aに示す場面を例に説明する。図13Aに示す場面は、自車両V1が交差点を右折する場面である。評価プロセッサ11は、第1経路BV1、横断歩道CR1、及び横断歩道CR2が抽出される。
ここで、第1経路と交点を有する第2経路を抽出する。第2経路の抽出には地図情報222に含まれるリンク情報、ノード情報を用いることにより、効率的に処理できる。
図13Bに示すように、交差点を表現する地図データベースには、ノードNDやリンクLKが複数存在する。ノードNDは丸印で示し、リンクLKは経路上に矢印で示す。リンクLKはその始点/終点となるノードNDにおいて全ての行先(連続先)を表現する。ノードは、1つのノードから複数のノードにリンクが分岐されているもの、複数のノードから1つのノードにリンク集約されているものを含む。ここでは、複数のノードから1つのノードにリンクが集約されたノードに着目することで、自車両の第1経路に流入、交錯する可能性のあるリンクを抽出できる。この結果として、自車両の第1経路に流入、交錯する可能性のある車線を抽出できる。
運転計画プロセッサ21は、停止位置候補を設定する。停止位置候補は、評価ユニット11により抽出された事象の中から選択された事象について設定される。運転計画プロセッサ21は、評価プロセッサ11により抽出された事象について、停止位置候補であるか否かを判断する。
自車両V1の第1経路の信号機の状態によっては、自車両V1の第1経路に対して流入、交錯する第2経路を考慮しなくてもよい場合がある。図13Cに示す例では、交差点の信号機SG1が青信号を示す。この場合には、自車両V1の第1経路BV1Rに直交する第2経路BV2Sの信号機SG2は赤信号(停止)を示す。このため、第2経路の他車両V2は、自車両V1に対して影響を及ぼすことがない。評価プロセッサ11は、第1経路BV1Rが第2経路BV2Sよりも優先度が高いと判断する。そして、評価プロセッサ11は、第2経路BV2Sの信号機SG2が赤信号を示していることを考慮して、この第2経路BV2Sとの交点を事象ではないものとする。
自車両V1と横断歩道CR1との関係について検討する。横断歩道CR1の歩行者用の信号機SGH1が赤信号であれば、横断歩道CR1の歩行者は自車両V1に対して影響を及ぼすことがない。このため、評価プロセッサ11は、横断歩道CR1を自車両V1が遭遇する事象ではないと判断する。横断歩道CR1の歩行者用の信号機SGH1が青信号であれば、横断歩道CR1の歩行者が自車両V1に対して影響を及ぼす可能性がある。このため、評価プロセッサ11は、横断歩道CR1を自車両V1が遭遇する事象と判断する。横断歩道CR1に信号機が存在しない、又は信号の内容が検出できない場合もある。そのような場合には、車両用の信号機SG1からこれと交差する歩行者用の信号機SGH1の信号を推測し、上記手法を用いて事象であるか否かを判断できる。
次に、自車両V1と第2経路BV3Sとの関係を検討する。他車両V3は第2経路BV3Sを直進する。他車両V3の走行を制御する、第2経路BV3Sの信号機SG3が青信号であるケースで検討する。交通規則において、第2経路BV3Sは、自車両V1が右折する第1経路BV1Rよりも走行が優先される車線である。このため、評価プロセッサ11は、第2経路BV3Sと第1経路BV1Rとの交点QV13が事象であると判断する。
本例において、評価プロセッサ11は、第1経路BV1R上の停止線ST1と、第2経路BV3Sとの交点QV13と、横断歩道CR2の手前の停止位置QVJCの3ヵ所を事象とする。
評価プロセッサ11は、図13Dに示すように、第1経路BV1R上において、自車両V1から各遭遇事象までの相対距離に基づいて、自車両V1が遭遇する順序に従って、その順序で各事象(停止線ST1、第2経路BV3Sとの交点QVJC、横断歩道CR2の手前の停止位置QCJC、横断歩道CR2)を並べる。
運転計画プロセッサ21は、各事象に対して、「進行(Go)」、「停止(Stop)」の判断を行う。例えば、停止線ST1については信号機SG1の状態、横断歩道CR2については横断中の歩行者の有無に基づき、進行/停止の判断を行う。つまり、停止線ST1については、信号機SG1が青信号であれば進行判断を行い、信号機SG1が赤信号であれば停止判断を行う。横断歩道CR1については、横断中もしくは横断を開始しようとしている歩行者がいれば停止判断を行い、横断中もしくは横断を開始しようとしている歩行者がいなければ通過判断を行う。また、自車両V1の第1経路に流入、交錯する第2経路については、その第2経路を走行している他車両の有無と、自車両の第1経路との交点において流入、交錯する他車両との接近度合から、進行/停止の判断を行う。接近度合の判断手法は先述のとおりである。
運転計画プロセッサ21は、各遭遇事象の位置に応じて停止位置候補を設定する。運転計画プロセッサ21は、図13Dに示す例では、停止線ST1の近傍に停止位置候補SP1を設定し、交差点の中央R0の近傍に停止位置候補SP2を設定し、横断歩道CR2の手前に停止位置候補SP3を設定する。停止位置候補SP1停止線ST1から所定距離だけ上流側(自車両V1側)の位置に設定する。停止位置候補SP2は、第2経路BV3Sと第1経路BV1Rとの交点QV13から所定距離だけ上流側の位置に設定する。停止位置候補SP3は、横断歩道の規定距離手前の位置に設定する。これら3つの停止位置候補は、第1経路BV1Rの信号機SG1が青信号を示していれば、他の経路の交通流を妨げるものではないため、どの停止位置候補でも停止が可能である。
運転計画プロセッサ21は、複数の停止位置候補の中から最適な停止位置候補を決定する。特に限定されないが、自車両V1から最も近い「停止」と判断された停止位置候補である交差点中心を停止位置として決定する。このように、複数の停止位置候補から適当な事象を選択して自車両V1を停止させるので、遭遇するシーンにふさわしい停止位置を決定できる。
続いて、運転計画における停止位置の第2の設定手法について説明する。
図14Aに示す場面を例に説明する。図14Aに示す場面は、T字路において、自車両V1が交差点を右折する場面である。評価プロセッサ11は、第1経路BV1、横断歩道CR1、及び横断歩道CR2が抽出される。第1経路BV1は、第2経路BV2Sと交点を有する。第2経路BV2Sは、T字路において、第1経路BV1よりも優先して走行が認められている。
評価プロセッサ11は、交通規則情報224を参照し、自車両V1が走行する第1経路BV1R上において、停止地点を抽出する。交通規則における停止地点は、停止が強制される状況に自車両V1が遭遇する地点である。さらに、評価プロセッサ11は、自車両V1が事象と遭遇する可能性の高い地点を抽出する。具体的に、評価プロセッサ11は、第1経路BV1Rと交点を有する第2経路CR1(横断歩道)、第2経路BV2S、第2経路BV4S、及び第2経路CR2(横断歩道)を抽出する。次に、評価プロセッサ11は、第1経路BV1Rと、第2経路BV4Sとの交点を抽出する。本例において抽出された交点は、図14Aに示すように「停止線ST1手前の地点Q1」、「横断歩道CR1手前の地点Q2」、「第2経路BV2S手前の地点Q3」、「第2経路BV4S手前の地点Q4」、「横断歩道CR2手前の地点Q5」の5つである。
運転計画プロセッサ21は、自車両V1の第1経路において、自車両V1から各事象までの相対距離に基づいて、自車両V1が遭遇する順序に従って、Q1→Q2→Q3→Q4→Q5の順に事象を並べる。必要に応じてディスプレイ251に提示する。
評価プロセッサ11は、地図情報222、道路情報223、交通規則情報224を参照して、停止位置候補の対象となる事象であるか否かを判断する。評価プロセッサ11は、自車両V1に影響を及ぼす可能性がある事柄を遭遇事象として設定し、自車両V1に影響を及ぼさない事柄を遭遇事象としては設定しない。本例のシーンは、信号機が存在しないT字路であり、自車両V1は非優先車線を走行している。このため、抽出された5つの事象の全ては、自車両が遭遇する事象として抽出する。
運転計画プロセッサ21は、図14Bに示すように、各事象の位置に応じて停止位置候補を設定する。運転計画プロセッサ21は、交点Q1〜Q5から所定距離だけの上流側にシフトさせた位置に、各停止位置候補を設定する。本例において、運転計画プロセッサ21は、「停止線ST1に対応する停止位置候補SP1」、「横断歩道CR1に対応する停止位置候補SP2」、「第2経路BV2Sとの交点に対応する停止位置候補SP3」、「第2経路BV4Sとの交点に対応する停止位置候補SP4」、及び「横断歩道CR2に対応する停止位置候補SP5」を、停止位置候補として設定する。
運転計画プロセッサ21は、一のシーンに含まれる複数の停止位置候補SP1〜SP5から適切な停止位置を決定する。特に限定されないが、運転計画プロセッサ21は、自車両V1から最も近い停止位置候補である停止位置候補SP1を停止位置として決定する。
運転計画プロセッサ21は、停止位置候補SP1において自車両V1を一旦停止させた後、横断歩道CR1に歩行者を見つけた場合には、次に、横断歩道CR1に対応する停止位置候補SP2で自車両V1を停止させる。
運転計画プロセッサ21は、複数の停止位置候補が接近している場合(所定距離以内である場合)には、これらを統合する。これにより、処理負荷を軽減できる。
運転計画プロセッサ21は、横断歩道CR1に歩行者が存在しない場合には、自車V1を停止位置候補SP3まで進ませ、ここで停止させる。また、横断歩道CR2にのみ、歩行者を見つけた場合には、横断歩道CR2に対応する停止位置候補SP5を停止位置として決定する。
第2経路BV4S上を他車両V4が走行しており、自車両V1の走行に影響を与える可能性が有る場合には、運転計画プロセッサ21は、以下の処理を行う。運転計画プロセッサ21は、設定した複数の停止位置候補に、自車両V1の進行方向とは異なる方向の経路内に停止位置候補が存在するか否かを判断する。図14Bに示す例では、第1経路BV1Rとは異なる方向の第2経路BV2Sの車線領域内に停止位置候補SP4が存在する。このため、運転計画プロセッサ21は、自車両V1の停止位置が他車両V2に影響を及ぼすと予測する。運転計画プロセッサ21は、停止位置候補SP4の一つ手前の(上流側の)停止位置候補SP3を停止位置として決定する。この停止位置候補SP3が、第2経路の走行可能領域内でなければ、停止位置として決定される。本例によれば、自車両V1がT字路の非優先側の道路から優先側の道路に右折して進入する際に、T字路の優先側の第2経路BV2Sを右から左に走行する他車両V2と、第2経路BV4Sを左から右に走行する他車両4を想定した停止位置を決定できる。これら他車両V4に影響を与えない自然な停止位置で停止を行うことができる。
以下、運転計画における停止位置の第3の設定手法について説明する。
図15に示す場面を例に説明する。図15に示す場面は、自車両V1が交差点を右折する際に、右折後の道路が渋滞している場面である。運転計画プロセッサ21は、第1経路のいずれかの停止位置候補の位置に流入する他車両の速度が規定の速度以下である場合には、自車両V1の第1経路が渋滞していると判断する。本例では、このような渋滞の場面においても、他車両の停車位置を考慮した適切な停止位置を決定する。評価プロセッサ11は、第1経路BV1、横断歩道CR1、及び横断歩道CR2が抽出される。
本例では、信号機が青信号であることから、停止線ST1については通過と判断される。また、対向直進する他車両V3との交点は、本実施例においては、自車両V1との接近可能性が低いとして「進行」の判断が行われるものとする。しかしながら、横断歩道CR2の手前に他車両V43が存在するため、自車両V1が横断歩道CR2の手前で自車両V1を停止するための領域がない。
運転計画プロセッサ21は、事象と遭遇する交点Q5の1つ手前の事象である「第2経路BV3Sとの交点Q4」に対して、停止の可否判断を行う。なお、本例では、横断歩道CR1は赤信号であり、横断歩道CR1,CR2には歩行者がいないと仮定し、横断歩道CR1,CR2については進行の判断を行う。
運転計画プロセッサ21は、交点Q1〜Q5の位置に基づいて、停止位置候補SP1〜SP5を設定する。運転計画プロセッサ21は、交点Q5の一つ手前の交点Q4に対応する停止位置候補SP4を停止位置として仮定する。運転計画プロセッサ21は、停止位置候補SP4が、第1経路BV1Rとは走行方向が異なる第2経路BV2Sの車線内に含まれるか否かを判断する。停止位置候補SP4は、第2経路BV2Sの車線内に含まれるので、その停車位置は、第2経路BV2Sを走行する他車両V2の走行を妨げる可能性がある。特に、仮に渋滞が継続し、信号が青信号から赤信号に変化した場合には、自車両V1の停止位置が他車両V2の走行に影響を及ぼすことになる。
このため、停止位置候補SP4よりも、1つ手前の停止位置候補SP3を停止位置と仮定する。運転計画プロセッサ21は停止位置候補SP3についても同じ判断を行う。停止位置候補SP3も第2経路BV2Sと干渉するため、さらに手前の停止位置候補SP2を候補とする。この停止位置候補SP2も第2経路である横断歩道CR1と干渉するので、最終的に、停止線ST1を停止位置として決定する。
このように、自車両V1が青信号で交差点を直進する際に、交差点の前方が渋滞している場面では、他車両V4の停車位置を考慮して停止位置候補の中から適切な停止位置を決定するので、他車両に影響を与えない停止位置に自車両V1を停止させることができる。
運転計画プロセッサ21は、運転計画を立案するにあたり、車線変更が可能であるか否かを判断できる。自車両V1の前方に対象物が検出された場合には、自車両V1から対象物までの距離を算出する。速度も考慮し、自車両V1から対象物までの到達時間を算出してもよい。運転計画プロセッサ21は、自車両V1の車線変更が可能か否かを判断する車線変更の可否は、自車両と前方他車両との相対距離Xが十分に確保されているかで判定する。一例ではあるが、運転計画プロセッサ21は、車線変更が可能であると判断する閾値を距離XMINにより定義し、自車両から追い抜く車両までの距離Xについて、X > XMIN であるか否かを判断する。運転計画プロセッサ21は、X > XMIN である場合には、自車両V1の車線変更は可能であると判断し、そうでない場合には、車線変更は不可能であると判断する。閾値XMINは,自車両V1が先行他車両を追い越すために必要な距離であり,自車両V1がこの走行シーンを走行する上で考慮しなければならない余裕距離である。
もちろん、車速を考慮して、距離を到達時間として算出してもよい。一例ではあるが、運転計画プロセッサ21は、車線変更が可能であると判断する閾値を到達時間TQにより定義し、自車両から追い抜く車両までの時間Tについて、TQ> TMINであるか否かを判断する。運転計画プロセッサ21は、TQ> TMINである場合には、自車両V1の車線変更は可能であると判断し、そうでない場合には、車線変更は不可能であると判断する。閾値TMINは、自車両V1が先行他車両を追い越すために必要な到達時間であり、自車両V1がこの走行シーンを走行する上で考慮しなければならない余裕時間である。
本実施形態では、各事象と自車両V1との相対距離に基づいて、自車両V1が遭遇する順番に各事象を並べた後に車線変更の可否判断を行う。これにより、自車両の第1経路に隣接する車両や前方を走行する車両をも考慮して他車両の追い越しにも対応することができる。
続いて、本実施形態の走行支援システム1の処理手順を、図16のフローチャートに基づいて説明する。なお、各ステップでの処理の概要は、上述したとおりである。ここでは処理の流れを中心に説明し、さらに、具体的な処理例については後述する。
まず、ステップS1において、評価プロセッサ11は、自車両V1の自車情報を取得する。自車情報は、自車両V1の位置、自車両V1の速度・加速度、自車両V1の進行方向を含む。
ステップS2において、評価プロセッサ11は、対象物情報を取得する。対象物情報は、自車両V1の周囲の物体の存在の有無、物体の属性(静止物又は移動物)、物体の位置、物体の速度・加速度、物体の進行方向を含む。対象物情報は、対象物検出装置230、ナビゲーション装置220から取得できる。
ステップS3において、評価プロセッサ11は、自車両V1がこれから遭遇する直近の遭遇シーンに変更があるか判断する。遭遇シーンはこれから通過する交差点などの場面である。評価プロセッサ11は、走行経路に変更がないこと、直前に評価対象となっていた遭遇シーンを通過したか否かを判断する。新たな遭遇シーンの設定の要否を判断するためである。評価プロセッサ11は、既に計算された経路上に自車両V1の現在位置が属している場合には、走行経路に変更がないと判断する。評価プロセッサ11は、既に計算された経路上に自車両V1の現在位置が属していない場合には、走行経路に変更があったと判断する。
評価プロセッサ11は、直前に遭遇シーンとして設定された領域に自車両V1の現在位置が属していない場合には、遭遇シーンを通過したと判断する。評価プロセッサ11は、直前に遭遇シーンとして設定された領域に自車両V1の現在位置が属している場合には、遭遇シーンを通過していないと判断する。
評価プロセッサ11は、走行経路が変更された場合、又は遭遇シーンを通過した場合には、遭遇シーンに変更があると判断し、S4〜S9の処理を実行する。評価プロセッサ11は、走行経路が変更された場合又は遭遇シーンを通過した場合には、遭遇シーンに変更があると判断し、S4〜S9の処理を実行する。走行経路が変更されておらず、かつ遭遇シーンを通過していない場合には、遭遇シーンに変更が無いと判断し、S10に進む。
ステップS4において、評価プロセッサ11は、自車両V1が走行する第1経路を算出する。第1経路は、ナビゲーション装置220が算出したものを利用してもよい。第1経路は、道路識別子、車線識別子、レーン識別子、リンク識別子により特定される。これらの車線識別子、レーン識別子、リンク識別子は、地図情報222、道路情報223において定義される。
ステップS5において、評価プロセッサ11は、第1経路を走行する自車両V1が遭遇するシーンを設定する。遭遇シーンは、第1経路と他の経路との交点が存在する地点を含む領域である。第1経路との交点の態様は限定されることなく、合流、分岐、交差、T字交差、隣接のいずれでもよい。遭遇シーンは、交通規則情報224に従い第1経路上において停止が求められる地点を含む領域である。評価プロセッサ11は、地図情報222、道路情報223、交通規則情報224を参照して、図2Bに示すように、自車両V1が事象に遭遇する可能性の高いシーンを領域R1として設定する。自車両V1が遭遇するシーンとしては、例えば、交差点の近傍領域、車線の合流地点の近傍領域、横断歩道の近傍領域、停止線の近傍領域、踏切の近傍領域、工事現場の近傍領域などである。
ステップS6において、評価プロセッサ11は、第1経路と交点を有する第2経路を抽出する。評価プロセッサ11は、地図情報222、道路情報223、を参照して、第1経路と交点を有する第2経路を抽出する。評価プロセッサ11は、地図情報222において定義されたリンク情報(ノード情報)を参照する。複数の経路が交わる場所では、リンク情報(ノード情報)が他の複数のリンクに接続される。評価プロセッサ11は、リンク情報(ノード情報)の接続状況から第1経路と交わる第2経路を抽出する。
ステップS7において、評価プロセッサ11は、設定された遭遇シーンにおいて、自車両V1が遭遇する事象を抽出する。評価プロセッサ11は、第1経路と第2経路との交点を事象として抽出する。ちなみに、経路の合流地点においては、複数のリンクが一つのリンクに接続される。交差点においては、交差点への入口付近が車線の分岐地点に対応し、交差点の出口付近が車線の合流地点に対応する。このように、一つのリンクが複数のリンクに接続されている地点は、交差点の出口側において第1経路と第2経路とが交わる事象として抽出できる。つまり、一つのリンクが複数のリンクに接続されている地点の存在を検出することによって交差点の出口における第2経路を検出できる。また、横断歩道にもリンク情報が定義されており、第1経路のリンクと横断歩道のリンクの交差判定を行うことにより、第1経路と交わる横断歩道を第2経路として検出できる。評価プロセッサ11は、交通規則情報224に従い第1経路上において停止が求められる地点を事象として抽出する。
抽出した事象の位置は、経路と対応づけて記憶する。抽出した事象の位置を地図情報222、道路情報223に対応づけて記憶してもよい。後に行われる運転計画の立案においては、抽出した事象の位置ごとに運転行動が決定される。
ステップS8において、評価プロセッサ11は、抽出した複数の事象を、自車両V1が遭遇する順序に従い並び替える。
ステップS9において、出力制御プロセッサ31は、並び替えられた複数の事象をディスプレイ251に表示する。出力制御プロセッサ31は、並び替えられた複数の事象を、スピーカ252を用いて音声出力してもよい。
ステップS11において、運転計画プロセッサ21は、第1経路を走行する自車両が遭遇する対象物を抽出する。運転計画プロセッサ21は、ステップS2で得た対象物情報のうち、第2経路に存在する対象物の情報を抽出する。図2Gに示す例では、第2経路BV2Lを走行する他車両V2と、第2経路BV3Rを走行する他車両V3とが抽出される。
ステップ12において、運転計画プロセッサ21は、対象物と事象又は経路を対応づける。経路が特定できれば、第1経路との交点は絞り込めるので、対象物情報は経路識別子と対応づけてもよい。他車両V2の対象物情報は、第2経路BV2Lの識別子又は交点QV12の識別子(位置情報)と対応づけられる。他車両V3の対象物情報は、第2経路BV3R又は交点QV12の識別子と対応づけられる。
ステップS13において、運転計画プロセッサ21は、事象ごとに運転行動を決定する。運転行動は、上述したとおり、自車両V1と対象物との接触の可能性に基づいて決定する。接触の可能性は、自車両V1と対象物との距離又は両者が接触するまでの時間に基づいて判断される。
ステップS14において、運転計画プロセッサ21は、シーンとして設定された領域R1に属する複数の事象に、「停止」と判断された事象が存在するか否かを判断する。シーンとして設定された領域R1内において、「停止」と判断された事象が一つでも存在するか否かを判断する。
ステップS14において、「停止」と判断された事象が存在しないと判断された場合には、ステップS16に進み、シーンとして設定された領域R1を「通過する」旨の運転計画を立案する。他方、ステップS14において、「停止」と判断された事象が一つ以上存在する場合には、ステップS15に進み、シーンとして設定された領域R1における運転計画を立案する。具体的には、抽出された事象ごとに進行又は停止の運転内容を判断し、事象の位置に応じた停止位置を設定する。
続くステップS17において、立案された運転計画に基づいて、運転制御を実行する。車両コントローラ210を介して、停止が判断された事象の位置において自車両V1を停止させ、進行が判断された事象の位置において自車両V1を進行させる。
図17は、図16に示す運転計画の立案処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
図17に示すように、ステップS21において、運転計画プロセッサ21は、各事象の位置に応じて停止位置候補を設定する。ステップS22において、運転計画プロセッサ21は、複数の停止位置候補が近接し、所定距離以内である場合には、これらを統合する。ステップS23において、運転計画プロセッサ21は、停止位置候補の適否を判断する。具体的に、運転計画プロセッサ21は、停止位置候補の位置が、第2経路の領域内に存在するか、駐停車禁止領域に存在しないかを判断する。
ステップS24において、運転計画プロセッサ21は、絞り込み後の停止位置候補が複数ある場合には、ステップS25に進み、自車両V1が最初に遭遇する停止位置候補を選択する。ステップS26において、運転計画プロセッサ21は、停止位置を決定する。
図18は、図17に示す停止位置候補の絞り込み処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
ステップS31において、運転計画プロセッサ21は、停止位置候補が停止可能領域内であるか否かを判断する。停止位置候補が停止可能領域内でない場合には、停止することが好ましくないので、ステップS34に進み、停止位置候補を削除する。停止位置候補が駐停車禁止領域内にある場合にも、その停止位置候補を削除する。他方、停止位置候補が停止可能領域内である場合にはステップS32に進む。
ステップS32において、運転計画プロセッサ21は、自車両が第1経路の領域内であるか否かを判断する。停止位置候補が第1経路の領域内でない場合には、他の経路を走行する他車両や他の経路である横断歩道を歩行する歩行者に好ましくない影響を与える可能性がある。このため、ステップS35に進み、停止位置候補の位置を上流側(自車両側)にシフトする。他方、停止位置候補が第1経路の領域内である場合にはステップS33に進む。
ステップS33において、運転計画プロセッサ21は、第1経路に合流する他車両の車速が所定値未満であるか否かを判断する。所定値は、渋滞発生を判断するための速度の閾値である。他車両の速度が遅い場合には、合流後に渋滞が生じている可能性がある。
他車両の車速が所定値未満である場合には、ステップS36に進む。
ステップS33において、運転計画プロセッサ21は、合流後の経路で生じている渋滞の影響により、自車両V1が適切な位置に停車できない可能性を考慮し、予め停止位置後方を上流側(自車両V1側)にシフトする。第1経路に合流する他車両の車速が所定値未満ではない場合には、ステップS24へ進む。ステップS24〜S26は、図17において説明した処理と共通する。
以下、事象の抽出処理に関する他の態様を説明する。
本実施形態のシーン評価装置10は、評価プロセッサ11を備える。車載装置200などの他の構成については、先述したとおりである。
本実施形態の評価プロセッサ11は、自車両が走行する第1経路と、これと交点を有する第2経路を抽出する。
本実施形態の評価プロセッサ11は、第1経路を走行する自車両V1の経時的な移動予測線を算出する。移動予測線は、時間軸の要素を含む。この移動予測線とは、移動する自車両V1の位置に関する情報であって、時間の経過に伴い変化する位置情報の集合である。自車両V1の位置変化は、現在地と、ナビゲーション装置220に入力された目的地情報に基づいて予測する。評価プロセッサ11は、移動予測線の算出をナビゲーション装置220に実行させ、結果を取得してもよい。移動予測線は連続的な線分であってもよいし離散的な線分であってもよい。
また、評価プロセッサ11は、第1経路を走行する自車両V1の経時的な移動予測帯を算出する。移動予測帯は、時間軸の要素を含む。この移動予測帯とは、移動する自車両V1の位置に関する情報であって、時間の経過に伴い変化する位置情報の集合である。移動予測帯は、自車両V1の位置を面により示すものである点で、移動予測線と異なるが、情報の内容は移動予測線と共通する。移動予測帯は、移動予測線の幅を所定の面に沿って拡大して得てもよい。評価プロセッサ11は、移動予測帯の算出をナビゲーション装置220に実行させ、結果を取得してもよい。
本実施形態の評価プロセッサ11は、第1経路を走行する自車両V1の経時的な移動予測線を算出し、第1経路と交点を有する第2経路と移動予測線との交点の位置に基づいて、自車両が遭遇する事象を抽出する。時間を考慮した移動予測線との交点位置から事象を抽出することにより、適切な事象を抽出できる。
本実施形態の評価プロセッサ11は、移動予測線と第2経路との交点のうち、第2経路を走行する他車両の進行方向に沿って最も上流側に位置する交点の位置に基づいて事象を抽出する。移動予測線と第2経路とが、最も早いタイミングで交わる交点の位置に基づいて事象を抽出する。第2経路を走行する他車両の移動方向を考慮することにより、時間を考慮した適切な事象を抽出できる。
本実施形態の評価プロセッサ11は、第1経路を走行する自車両の経時的な移動予測帯を算出し、第2経路と移動予測帯との交点のうち、最も早いタイミングで得られる交点であって、第2経路の進行方向に沿って最も上流側に位置する交点の位置に基づいて自車両が遭遇する事象を抽出する。第2経路と移動予測帯との交点は線分となり、このうち、第2経路の進行方向に沿って最も上流側の交点とすることで、時間を考慮した一点の事象を抽出できる。
本実施形態の評価プロセッサ11は、第1経路のうち車線が定義されていない領域を走行する場合に、移動予測線又は移動予測帯を、地図情報222を参照して生成する。これにより、交差点などの車線が定義されていない領域についても事象を抽出できる。
本実施形態の評価プロセッサ11は、ノードとリンクが定義された地図情報222を参照し、自車両が走行する第1経路に対応づけられたノードであって、他の複数のノードと接続関係が定義された第1ノードを抽出し、第1ノードと接続関係が定義された他のノードが属する経路を第2経路として選択する。ノードの接続態様を用いて第2経路を検索できるので、低い処理負荷で第2経路を検索できる。
本実施形態の評価プロセッサ11は、抽出された自車両V1が遭遇する複数の事象の距離が所定値未満である場合には、複数の事象を一の事象に統合する。近接する事象を整理することにより、進行/停止が繰り返されることを防止して、スムーズな運転を実行できる。
本実施形態の運転計画プロセッサ21は、評価プロセッサ11によって抽出された複数の事象に対して進行行動又は停止行動の何れか一方を決定する。これにより、時間的に違和感の無い事象を抽出できる。
図19に示すシーンにおける具体的な処理例に説明する。図19では、第1経路BV1Lに沿って、自車両V1が、T字路の非優道路から優先経路に左折して進入するシーンを示す。
図20は、本処理の制御手順を示すフローチャートである。制御手順を説明しながら、事象の抽出処理を説明する。
ステップS101において、評価プロセッサ11は、自車両の現在位置を位置検出装置221から取得する。ステップS102において、評価プロセッサ11は、現在位置と目的地から求めた自車両V1の第1経路を取得する。第1経路は、道路の特定のみならず、方向情報も含む車線において特定される。第2経路も同様である。評価プロセッサ11は、ナビゲーション装置220に経路の演算をさせる。ステップS103において、評価プロセッサ11は、自車両が走行する第1経路の境界(レーンマーク、縁石、ガードレールなど)の位置情報を取得する。評価プロセッサ11は、第1経路の境界の情報を地図情報222又は道路情報223から取得してもよい。
交差点や合流地点などの領域においては、道路に車線の境界情報が存在しない。このため、評価プロセッサ11は、境界の情報が無い領域については、仮想的な境界情報を作成する。評価プロセッサ11は、交差点前後の車線の境界情報(レーンマーク、縁石、ガードレールなど)と車線の行先情報から、仮想的な車線の境界を生成する。一例ではあるが、図21に示すように、交差点前後の車線の境界情報LN1,LN2と、縁石の境界情報SL1,SL2と、第1経路BV1Lの左折情報と、を用いて、レーンマークが無い部分における仮想的な車線の境界LN0を生成する。評価プロセッサ11は、図21に示すように、「左折前の第1経路の車線LN1」と「左折後の第1経路の車線LN2」の車線情報を接続して、仮想的な車線を生成できる。
なる。
ステップS104において、評価プロセッサ11は、第1経路を走行する自車両V1が将来の時間において、所在する位置の情報である移動予測線/移動予測帯を算出する。自車両の移動が予測される地点を時間軸に対応づけたものである。ここで算出する移動予測線又は移動予測帯は、連続関数で定義された経路である必然性はなく、不連続関数で定義された経路であってもよい。評価プロセッサ11は、図21に示した仮想的な車線の境界線を用いて移動予測線又は移動予測帯BV1Lを算出してもよい。図22に示すように、仮想的な車線の境界線の幅方向の中点を用いて移動予測線BV1Lを算出してもよいし、仮想的な車線の中央から所定幅の領域を指定して移動予測帯を算出してもよい。
ステップS105において、評価プロセッサ11は、第1経路と交点を有する第2経路を算出する。評価プロセッサ11は、地図情報222において第1経路に対応づけられたノード、リンク情報を用いて第2経路を算出する。例えば、図23に示すように、T字路を表現する複数のノード/リンクを読み込む。地図情報222においては、各ノードの接続先が交差点での接続先を表現する。交差点のノードは、1つのノードから複数のノードにリンクが分岐されているもの、複数のノードから1つのノードにリンクが集約されているものがある。本処理においては、複数のノードから1つのノードにリンクが集約されたノードに着目する。複数のリンクの行先が集まるノードでは、第1経路に接続する可能性のあるリンクを抽出できる。このため、自車両V1の第1経路に干渉する可能性のある第2経路を抽出できる。
ステップS106において、評価プロセッサ11は、移動予測線と第2経路との交差線分を求める。図24Aに示すように、移動予測線Zは有限の長さを持った線分である。走行支援装置100においては、遭遇する事象に対応しながら自車両V1を走行させるために、数百メートル先の情報を考慮する。その場合には、移動予測線Zの長さは、数百メートルとなる。他方第2経路は車線が続く限り継続する領域である。ここで求める交差線分は、「移動予測線Z」と「第2経路BV」の交点である。図24Aに示す例では、地点Aから地点Bまでが交差線分である。また、「移動予測線Z」の長さを、リンクの長さに基づいて決定する場合には、「移動予測線Z」の長さは、1つのリンクの一方端から他方端までの有限長となる。図23に示すリンクの長さを基準とすると、「移動予測線Z」の長さは、図24Bに示すように地点Aから地点B´の長さとなる。
ステップS107において、評価プロセッサ11は、第2経路BV2Sの進行方向を判断する。地図情報222のリンクの方向から進行方向を判断してもよい。第2経路は、自車両V1から見て、図中右方向から左方向に矢印の方向に移動する。
ステップS108において、評価プロセッサ11は、求めた第2経路と移動予測線との交差線分の中で、第2経路BV2Sを走行する他車両が自車両に接近してくる方向に沿って、その上流側(図中右側)に最も近い地点の事象を選択する。
図24Bに示す線分ABのうち、第2経路BV2Sの走行方向の上流側(図中右側)に最も近い地点は地点Aである。この地点は、線分ABを構成する点のうち、最も右側に位置する。本例は、自車両V1が左折する場合であるので、右折時においては反対となる。
事象として選択された地点Aは、横断歩道CR4よりも上流側に位置付けることができる。ところで、時間を考慮しないときには、図24Bに示すA又はB´のいずれもが事象となりうる。地点B´を事象として抽出すると、横断歩道を通過した後に事象が生じるという判断となる。これでは、実際に自車両が遭遇する順番と逆になってしまい、自車両が遭遇する事象の順序に基づく行動決定を行うことができなくなるといった問題が生じる。これに対し、本実施形態では、自車両V1が遭遇する事象の順番を考慮しているため、横断歩道CR4の手前の地点Aを事象として抽出できる。
本処理によれば、自車両がT字路の非優先側の道路から優先側の道路に左折して進入する際に、T字路の優先経路である第2経路を右から左に走行する車両の進行方向を考慮して、事象を適切な位置に設定できる。自車両が実際に遭遇する事象の順序に矛盾せずに、自車両が遭遇する事象を求めることができる。
続いて、移動予測帯を算出し、これを用いて事象を抽出する処理を説明する。
先に図21を用いて説明した態様と同様に、自車両がT字路の非優先経路から優先経路に左折して進入し、T字路の優先経路を右から左に他車両が走行する場面を例に説明する。
図25は、本処理の制御手順を示すフローチャートである。ステップS101、ステップS102,ステップS105は図20に基づいて説明した先述の処理と同じである。
続くステップS201において、評価プロセッサ11は、図26Aに示すように、移動予測帯BV1Lと第2経路とが重なる領域を判断する。移動予測帯は、有限の長さ(又は幅)を持った領域である。予測する範囲に応じて移動予測帯BV1Lの長さは数百メートルに至る。図26Bに示すように移動予測帯BV1Lをリンクで定義する場合には、リンクの有限の長さの領域となる。
続くステップS201において、評価プロセッサ11は、第2経路を走行する他車両の接近方向を判断する。他車両の接近方向は第2経路の走行方向から判断できる。
S202において、評価プロセッサ11は、第2経路BV2Sの他車両の接近方向に最も近い地点を事象として抽出する。具体的には、図26Cに示すように、「第2経路」と移動予測帯との境界線aのうち、自車両V1から近い側で、かつ、最も第2経路BV2Sの進行方向上流側の地点Cが本例の事象となる。地点Cは、自車両の移動予測帯の停止線と横断歩道よりも後方で、かつ、交差点を通過後の横断歩道よりも前方に位置付けられることが分かる。
評価プロセッサ11は、事象の統合処理を実行する。本処理は、図20に示す処理の後に実行される。
図27Aに示す例を用いて、事象の統合処理について説明する。図27Aは、自車両V1が第1経路BV1Lに沿って、交差点で左折する際に、対向車線から右折する他車両V3、および、第1経路BV1Lに交差する第2経路BV2Sを直進する他車両V2を考慮して事象を抽出する。
図27Bに示すように、交差点を左折した直後にノードND1が設定されており、そのノードND1に対して、自車両V1が走行するリンクLK1、対向車線から右折する他車両V3が走行するリンクLK3、右から左に直進する他車両V2が走行するリンクLK2の3種類のリンクが流入している。このように、複数のノードから1つのノードにリンクが集約されたノードに着目すると、自車両の走行する第1経路と交点を有するリンクを抽出できる。結果として、第2経路を容易に抽出できる。
図27Cに示すように移動予測線(移動予測帯)と第2経路との交差線分を求める。本実施例においては、「移動予測線(移動予測帯)」と「第2経路BV3R」との交差線分である線分DE、「移動予測線(移動予測帯)」と「第2経路BV2S」との交差線分である線分FGが存在する。
「第2経路BV3R」「第2経路BV2S」を走行する他車両の接近方向を判断し、自車両V1のどの方向から接近するかを判断する。本例においては、自車両V1から見て、他車両V3は図中上から下へ移動しと、他車両V2は右方向から左方向に移動する。
評価プロセッサ11は、交差線分の中で、他車両が接近する方向の最も上流側の地点を事象とする。本実施例においては、地点Dと地点Fが抽出される。
評価プロセッサ11は、図27Dに示すように、所定領域内に事象が複数存在する場合には、統合する。例えば、複数の事象が同じ車線内に存在する場合には、1つの事象として統合する。これにより、停止位置を共通にできる。
図28に示すように、T字路を右折する場合には、干渉地点A,Bが2点存在する。1点目が「第1経路BV1R」と「第2経路BV2S」との交点、2点目が「第1経路BV1R」と「第2経路BV4S」との交点である。1点目と2点目における停止については、同じ車線上に干渉地点がないものの、ドライバの行動としては、手前側の車線に進入する手前で停止する。このように、事象が所定の範囲内に複数存在する場合、もしくは、複数の干渉地点に対して停止位置が同一になる場合には、1つの干渉地点として統合することで、停止位置をシンプルに考えることができる。
図29には、交差点において遭遇するシーンの一例を示す。自車両V1の走行に影響を与える事象は、以下の5つの対象物との遭遇である。(1)合流する第2経路の他車両V2Aの存在、(2)他車両V2Bの存在、(3)他車両V2Cの存在、(4)隣接車線を走行する他車両V2Dの存在、(5)横断歩道を渡る歩行者。
一般的な処理においては、上記5つの対象物についての有無を取得し、各対象物との位置関係を算出したうえで、進行/停止を判断する。各対象物の有無の判断を考えても、25個の判断処理を実行する必要がある。
これに対し、本実施形態では、第1経路と第2経路との交点における事象のみに絞り込んで進行/停止を判断する。図29に示す例において、走行支援装置100は、(1)停止線における進行/停止、(2)横断歩道における進行/停止、(3)第2経路との交点における進行/停止、(4)横断歩道における進行/停止、4通りの判断処理のみを実行すればよい。
このように、事象を絞り込み、時系列に並べた情報にすることにより、シンプルな判断となり、処理負荷を低減させることができる。
さらに、この図29の判断結果の表示例を図30に示す。図30に示すように、各事象における判断をシンプルに表現できる。自車両の進行に伴う時間軸に遭遇する事象が対応づけられているので、ユーザにとって把握しやすい。ユーザは、自車両の判断内容、つまり運転計画の内容を装置と共有できる。特に、走行支援処理が、一部又は全部の運転の制御を実行する場合には、車両側の運転計画をユーザに迅速に伝えることにより、自動運転(一部自動運転)の制御への信頼を高めることができる。
本発明の実施形態の走行支援装置100は、以上のように構成され動作するので、以下の効果を奏する。
[1−1]本実施形態のシーン評価装置10は、自車両が走行する第1経路と、その第1経路と交点を有する第2経路との関係に基づいて、第1経路を走行する自車両が遭遇する複数の事象を抽出し、抽出された各事象と自車両との関係を用いて、シーンを評価する。本実施形態のシーン評価装置10を用いれば、自車両が行動決定をする観点から重要と判断された事象についてのみ考慮して、自車両が遭遇するシーンを評価できる。判断すべき事象を絞り込むことができるので、処理負担を軽減できる。自動運転を含む走行支援において、処理の遅れは好ましくない。処理負荷を軽減することにより、処理に係る時間を短縮できるので、処理の遅延の発生を防止できる。
[1−2]本実施形態のシーン評価装置10は、第1経路の交通規則と各第2経路の交通規則とから導かれる関係を用いて、第1経路を走行する自車両が遭遇する事象を抽出する。本実施形態のシーン評価装置10を用いれば、交通規則の観点から検討が必要な事象を抽出できる。
[1−3]本実施形態のシーン評価装置10は、自車両の周囲に存在する物体の検出情報を用いて、第1経路を走行する自車両が遭遇する事象を抽出する。本実施形態のシーン評価装置10を用いれば、自車両の運転に影響を与える物体を事象として抽出できる。
[1−4]本実施形態のシーン評価装置10は、対象物が存在する位置情報を用いて、第1経路を走行する自車両が遭遇する事象を抽出する。本実施形態のシーン評価装置10を用いれば、対象物の位置を考慮した事象を抽出できる。
[1−5]本実施形態のシーン評価装置10は、第1経路の交通規則と第2経路の交通規則とを用いて、第1経路と第2経路との通行に関する優先度を求め、優先度を用いて自車両が遭遇する事象を抽出する。本実施形態のシーン評価装置10を用いれば、優先経路や信号規則などの観点から検討が必要な事象を抽出できる。
[1−6]本実施形態のシーン評価装置10は、第1経路の信号情報と第2経路の信号情報とを用いて、第1経路と第2経路との通行に関する優先度を求め、優先度を用いて第1経路を走行する自車両が遭遇する事象を抽出する。本実施形態のシーン評価装置10を用いれば、実際の交通信号の指示の観点から検討が必要な事象を抽出できる。
[1−7]本実施形態のシーン評価装置10は、第1経路の道路情報と第2経路の道路情報とを用いて、第1経路と第2経路との通行に関する優先度を求め、優先度を用いて第1経路を走行する自車両が遭遇する事象を抽出する。本実施形態のシーン評価装置10を用いれば、道路幅、道路の交通量、道路形状などの観点から検討が必要な事象を抽出できる。
[1−8]本実施形態の走行支援装置100は、評価プロセッサにより評価された事象と自車両との関係を用いて、第1経路走行時の運転計画を立案する。本実施形態の走行支援装置100を用いれば、必要な事象についての評価に基づいて運転計画を立案できる。検討すべき事象が絞り込まれているので、適切な運転計画を立案しつつ、処理時間を短縮できる。これにより遅延時間の短い走行支援を実行できる。
[1−9]本実施形態の走行支援装置100は、対象物が存在する位置情報を用いて、第1経路を走行する自車両が遭遇する事象に対する運転を計画する。本実施形態の走行支援装置100を用いれば、自車両の運転に影響を与える物体についてのみ検討した運転計画を立案できる。
[1−10]本実施形態の走行支援装置100は、第1経路の交通規則と各第2経路の交通規則とを用いて、第1経路と第2経路との通行に関する優先度を求め、優先度を用いて第1経路を走行する自車両が遭遇する事象に対する運転を計画する。本実施形態の走行支援装置100を用いれば、優先経路や信号規則などを考慮した運転計画を立案できる。
[1−11]本実施形態の走行支援装置100は、第1経路の信号情報と各第2経路の信号情報とを用いて、第1経路と第2経路との通行に関する優先度を求め、優先度を用いて第1経路を走行する自車両が遭遇する事象に対する運転を計画する。本実施形態の走行支援装置100を用いれば、実際の交通信号の指示を考慮した運転計画を立案できる。
[1−12]本実施形態の走行支援装置100は、第1経路の道路情報と各第2経路の道路情報とを用いて、第1経路と第2経路との通行に関する優先度を求め、優先度を用いて第1経路を走行する自車両が遭遇する事象に対する運転を計画する。本実施形態の走行支援装置100を用いれば、道路幅、道路の交通量、道路形状などを考慮した運転計画を立案できる。
[1−13]本実施形態のシーン評価方法は、自車両が走行する第1経路と交点を有する第2経路を抽出し、第1経路と第2経路との関係に基づいて、第1経路を走行する自車両が遭遇する複数の事象を抽出する。本実施形態のシーン評価方法を用いれば、1−1で述べた作用効果を得ることができる。
[2−1]本実施形態のシーン評価装置10は、第1経路を走行する際に遭遇する複数の事象を抽出し、抽出された複数の事象を自車両が遭遇する順序に沿って並べ替える。本実施形態のシーン評価装置10を用いれば、絞り込まれた事象を自車両の遭遇順序に並び替えることにより、さらなる演算負荷を生じさせることなく、遭遇順序を考慮して事象を評価できる。
[2−2]本実施形態のシーン評価装置10は、静止物と移動体を含む事象を抽出し、抽出された複数の事象に含まれる静止物と移動体とを、自車両が遭遇する順序に沿って並べ替える。本実施形態のシーン評価装置10を用いれば、さらなる演算負荷を生じさせることなく、同じ時間軸で静止物と移動体とを含む対象物の遭遇順序を評価できる。
[2−3]本実施形態のシーン評価装置10は、自車両が走行する第1経路と、第1経路と交点を有する第2経路との関係に基づいて、第1経路を走行する自車両が遭遇する複数の事象を抽出し、抽出された各事象と自車両との関係を用いて、シーンを評価する。本実施形態のシーン評価装置10を用いれば、自車両が行動決定をする観点から重要と判断された事象についてのみ考慮して、自車両が遭遇するシーンを評価できる。判断すべき事象を絞り込むことができるので、処理負担を軽減できる。
[2−4]本実施形態の走行支援装置100は、抽出された事象を示す情報を、自車両が遭遇する順序に沿って並べて表示する。本実施形態の走行支援装置100を用いれば、自車両V1のドライバは、どのような事象に、どのような順序で遭遇するかということを視覚的に認識できる。
[2−5]本実施形態の走行支援装置100は、自車両から各事象までの実際の距離の比に応じた位置に、抽出された事象を示す情報を表示する。本実施形態の走行支援装置100を用いれば、自車両V1のドライバは、どのような事象と、どのような順序で、いつ遭遇するかということを視覚的に認識できる。
[2−6]本実施形態の走行支援装置100は、評価プロセッサにより評価された事象と自車両との関係を用いて、自車両が第1経路を走行する際の運転計画を立案する。本実施形態の走行支援装置100を用いれば、必要な事象についての評価に基づいて運転計画を立案できる。検討すべき事象が絞り込まれているので、適切な運転計画を立案しつつ、処理時間を短縮できる。これにより遅延時間の短い走行支援を実行できる。
[2−7]本実施形態の走行支援装置100は、自車両が第1経路を走行する際に遭遇する複数の事象のうち、事象に対して自車両が停止すべき関係であり、かつ自車両が最初に遭遇する一つの事象を抽出し、抽出された一の事象が生じるポイントを自車両の停止地点とする運転計画を立案する。本実施形態の走行支援装置100を用いれば、自車両の現在位置に最も近い事象で自車両V1を停止させるので、交通流に対して与える影響を抑制できる。
[2−8]本実施形態のシーン評価方法は、経路を走行する自車両が遭遇するシーンを評価する評価プロセッサを用いて、自車両が第1経路を走行する際に遭遇する複数の事象を抽出し、抽出された複数の事象を自車両が遭遇する順序に沿って並べ替えて出力する。本実施形態のシーン評価方法を用いれば、2−1で述べた作用効果を得ることができる。
[3−1]本実施形態のシーン評価装置10は、第1経路を走行する自車両の経時的な移動予測線を算出し、第1経路と交点を有する第2経路と、移動予測線との交点の位置に基づいて抽出された事象と自車両との関係を用いてシーンを評価する。カメラの撮像画像など、自車両の現在位置から同時に取得される複数の事象は分離することが難しく、さらに、撮像画像に含まれる複数の事象の遭遇順序を正確に判断することは難しい。遭遇順序が正確に導けないと、時系列で立案すべき運転計画の信頼性を損ねることになる。本実施形態のシーン評価装置10を用いることにより、事象の遭遇順序を考慮した精度の高い運転計画を立案しつつ、演算負荷の低減を図ることができる。
[3−2]本実施形態のシーン評価装置10は、移動予測線と第2経路との交点のうち、第2経路の進行方向に沿って最も上流側に位置する交点の位置に基づいて事象を抽出する。本実施形態のシーン評価装置10を用いれば、シーンにおいて最初に注意すべき事象(地点)を適切に抽出できる。
[3−3]本実施形態のシーン評価装置10は、第1経路のうち車線が定義されていない領域を走行する場合には、地図情報を参照して、移動予測線を生成する。本実施形態のシーン評価装置10を用いれば、交差点や合流地点などの車線が定義されていない場所でも適切な事象(地点)を抽出できる。
[3−4]本実施形態のシーン評価装置10は、第1経路を走行する自車両の経時的な移動予測帯を算出し、第1経路と交点を有する第2経路と、移動予測帯との交点のうち、最も早いタイミングで得られる交点であって、第2経路の進行方向に沿って最も上流側に位置する交点の位置に基づいて、自車両が遭遇する事象を抽出し、抽出された事象と自車両との関係を用いて、シーンを評価する。本実施形態のシーン評価装置10を用いることにより、最終的な運転計画を立案するまでのプロセスを簡素化できる。必要な事象を考慮した精度の高い運転計画を立案しつつ、演算負荷の低減を図ることができる。
[3−5]本実施形態のシーン評価装置10は、第1経路のうち車線が定義されていない領域を走行する場合には、地図情報を参照して移動予測帯を生成する。本実施形態のシーン評価装置10を用いれば、交差点や合流地点などの車線が定義されていない場所でも適切な事象(地点)を抽出できる。
[3−6]本実施形態のシーン評価装置10は、ノードとリンクが定義された地図情報を参照し、自車両が走行する第1経路に対応づけられたノードであって、他の複数のノードと接続関係が定義された第1ノードを抽出し、第1ノードと接続関係が定義された他のノードが属する経路を第2経路として選択する。本実施形態のシーン評価装置10を用いれば、ノードとリンクの情報を利用することにより、低い演算負荷で第2経路を求めることができる。
[3−7]本実施形態のシーン評価装置10は、抽出された自車両が遭遇する複数の事象の距離が所定値未満である場合には、複数の事象を一の事象に統合する。本実施形態のシーン評価装置10を用いれば、近接した複数の事象をまとめることができるので、ストップアンドゴーを繰り返すことなく、シーンの領域R1内をスムーズに走行できる。
[3−8]本実施形態の走行支援装置100は、抽出された複数の事象に対して進行行動又は停止行動の何れか一方を決定する。本実施形態の走行支援装置100を用いれば、判断の必要性が高い各事象について、ストップ又はゴーのいずれかを決定することにより、正確で簡潔な運転計画を立案できる。
[3−9]本実施形態のシーン評価方法は、第1経路を走行する自車両の経時的な移動予測線を算出し、第1経路と交点を有する第2経路と、移動予測線との交点の位置に基づいて、自車両が遭遇する事象を抽出し、抽出された事象と自車両との関係を用いてシーンを評価する。本実施形態のシーン評価方法を用いれば、3−1に記載した作用効果を得ることができる。
[4−1]本実施形態の運転計画装置20は、自車両が遭遇する複数の事象に対してそれぞれ一つの行動を決定し、各事象に対して決定された各行動の内容を用いて、自車両が遭遇するシーンに対して一連の運転計画を立案する。本実施形態の運転計画装置20を用いれば、最終的な運転計画を立案するまでのプロセスを簡素化できる。必要な事象を考慮した精度の高い運転計画を立案しつつ、演算負荷の低減を図ることができる。また、一つのシーンの通過開始から通過終了までの間に、どこに停車すればよいのかが明確にされた運転計画を立案できる。
[4−2]本実施形態の運転計画装置20は、自車両が遭遇する複数の事象に対して進行行動又は停止行動の何れか一方を決定する。本実施形態の走行支援装置100を用いれば、判断の必要性が高い各事象について、ストップ又はゴーのいずれかを決定することにより、正確で簡潔な運転計画を立案できる。
[4−3]本実施形態の運転計画装置20は、自車両が遭遇する複数の事象に対して停止行動の決定又は判断不能の決定がされた場合には、自車両に最も近い事象において自車両を停止させる。本実施形態の運転計画装置20を用いることにより、シーンに対応する領域R1内に停止すべき地点が存在する場合には、直ちに、自車両V1を停止させるので、リスクを回避できる。
[4−4]本実施形態の運転計画装置20は、自車両が遭遇する複数の事象について、進行行動が決定された事象の次に遭遇する事象について停止行動又は判断不能の決定がされた場合には、進行行動が決定された事象との遭遇ポイントにおいて自車両を停止させる。本実施形態の運転計画装置20を用いることにより、いったん進行行動が決定された場合であっても、自車両V1が次に遭遇する事象が停止行動又は判断不能である場合には、進行行動が決定された位置に自車両V1を停止させることができる。進行行動が決定された場所は、自車両V1の存在が許可された場所であるので、安全に自車両V1を停止させることができる。
[4−5]本実施形態の運転計画装置20は、自車両が遭遇する複数の事象のうち、停止行動又は判断不能の決定がされた事象が第2経路内に属する場合には、当該事象よりも上流側であって停止可能な位置にて自車両を停止させる。ある事象について停止行動又は判断不能の決定がされた場合であっても、その事象に応じた停止位置が第2経路に属するときには、第2経路を走行する他車両の走行を妨害する可能性があるので、停止位置として適切ではない。本実施形態の運転計画装置20を用いれば、第2経路内ではなく、上流側の停止可能な位置に停止位置を設定できる。
[4−6]本実施形態の運転計画装置20は、自車両が遭遇する複数の事象のうち、停止行動又は判断不能の決定がされた事象が、他の事象と所定距離以内となる場合には、事象よりも上流側であって停止可能な位置にて自車両を停止させる。ある事象について停止行動又は判断不能の決定がされた場合であっても、その事象に応じた停止位置が他の事象に応じた停止位置と接近乃至重なる場合には、他の事象に関する判断との整合を考慮する必要があるので、停止位置として適切ではない。本実施形態の運転計画装置20を用いることにより、第2経路内ではなく、上流側の停止可能な位置に停止位置を設定できる。これにより、判断不能とされるケースを低減できる。また、判断処理の負荷を低減させるとともに、ストップ アンド ゴーを繰り返すことなく、シーンの領域R1内をスムーズに走行できる。
[4−7]本実施形態の運転計画装置20は、自車両が遭遇する複数の事象のうち、一の事象について進行行動が決定され、その事象の次に遭遇する他の事象について停止行動又は判断不能が決定された場合において、一の事象と他の事象との離隔度合が所定値以上である場合には、一の事象について自車両を進行させる運転計画を立案する。離隔した事象において上流側では「進行」下流側では「停止」という異なる判断が示された場合には、上流側の事象では自車両V1を進行させることにより、複雑な処理にならないようにすることができる。
[4−8]本実施形態の運転計画装置20は、自車両が遭遇する複数の事象のうち、一の事象について進行行動が決定され、当該事象の次に遭遇する他の事象について停止行動又は判断不能が決定された場合において、一の事象における進行行動の速度を低下させる運転計画を立案する。駐車車両などが存在し、その駐車車両を回避することは可能であるが、その駐車車両が死角を生じさせて対象物を十分に検出できないような場合には、進行を許可しつつ、駐車車両を回避する時の速度を低くする。これにより、安全に配慮しつつ交通流を妨げないようできる。
[4−9]本実施形態の走行支援装置100は、自車両が走行する第1経路と、第1経路と交点を有する第2経路との関係に基づいて、第1経路を走行する自車両が遭遇する複数の事象を抽出し、抽出された複数の事象を自車両が遭遇する順序に沿って並べ替え、評価された自車両と経時的に遭遇する複数の事象との関係を用いて、自車両が遭遇するシーンに対して一連の運転計画を立案する。本実施形態の走行支援装置100を用いることにより、必要な事象についての評価に基づいて運転計画を立案できる。検討すべき事象が絞り込まれているので、適切な運転計画を立案しつつ、処理時間を短縮できる。これにより遅延時間の短い走行支援を実行できる。
[4−10]本実施形態の運転計画方法は、自車両が第1経路を走行する際に経時的に遭遇する複数の事象と自車両との関係についての評価結果を用いて、自車両が遭遇するシーンについて運転計画を立案する。本実施形態の運転計画方法を用いれば、4−1に記載した作用効果を得ることができる。
[5−1]本実施形態の運転計画装置20は、自車両が第1経路を走行する際に経時的に遭遇する複数の事象と自車両との関係についての評価結果を用いて、自車両を停止させる一又は複数の停止位置候補を事象ごとに設定し、停止位置候補において遭遇する複数の事象と自車両との関係についての評価結果を用いて、自車両が遭遇するシーンについて運転計画を立案する。本実施形態の運転計画装置20を用いることにより、第1経路と第2経路とが交点を有する交通において、停止位置候補において遭遇する複数の事象と自車両V1との関係を考慮して運転計画を立案するので、他車両や歩行者などに影響を及ぼさない運転を実現できる。
[5−2]本実施形態の運転計画装置20は、自車両が遭遇するシーンにおいて、複数の停止位置候補のうち最も自車両に近い停止位置候補を、自車両を停止させる停止位置として決定する。本実施形態の運転計画装置20によれば、停止位置候補のうち、自車両V1の現在位置に最も近い位置で自車両V1を停止させるので、交通流に対して与える影響を抑制できる。
[5−3]本実施形態の運転計画装置20は、自車両の停止が要求される停止位置よりも所定距離だけ上流側の位置に、停止位置候補を設定する。本実施形態の運転計画装置20を用いれば、交通規則情報224において定義された停止位置よりも自車両の現在位置に近い位置で自車両V1を停止させるので、交通流に対して与える影響を抑制できる。
[5−4]本実施形態の運転計画装置20は、自車両の駐停車が禁止された領域の外延よりも所定距離だけ上流側の位置に、停止位置候補を設定する。実際の交通規則情報224において定義された停止位置よりも自車両の現在位置に近い位置で自車両V1を停止させるので、交通流に対して与える影響を抑制できる。
[5−5]本実施形態の運転計画装置20は、第1経路と交差する他の第2経路の走行可能領域外に停止位置候補を設定する。第2経路の車線内又はその走行可能領域の外延よりも自車両V1の現在位置に近い位置で自車両V1を停止させるので、交通流に対して与える影響を抑制できる。
[5−6]本実施形態の運転計画装置20は、自車両が一の事象を通過するときに自車両の車体が、第1経路をはみだす場合には、一の事象の一つ上流側の停止位置候補に自車両を停止させる運転計画を立案する。自車両V1が第1経路以外にはみ出す場合、つまり、自車両V1の車体が他の経路の車線内又はその走行可能領域内に進入する可能性がある場合には、自車両V1の現在位置により近い事象の位置で自車両V1を停止させるので、交通流に対して与える影響を抑制できる。
[5−7]本実施形態の運転計画装置20は、第1経路の交通信号又は第1経路の交通規則に応じて、自車両が遭遇する事象が生じない領域には停止位置候補を設定しない。本実施形態の運転計画装置20によれば、停止が必要とされない場面で停止することを避けて、スムーズな走行を実行できる。
[5−8]本実施形態の運転計画装置20は、第1経路と交点を有する第2経路から、第1経路の停止位置候補の位置に流入する他車両の速度が規定の速度以下である場合には、停止位置候補の一つ上流側の他の停止位置候補について停止を決定する。第1経路の停止位置候補の位置に流入する他車両の速度が規定の速度以下である場合には、自車両の現在位置に近い停止位置候補で停車することにより、他車両や歩行者の流れに影響を与えない運転行動をとることができる。
[5−9]本実施形態の走行支援装置100は、自車両が走行する第1経路と、第1経路と交点を有する第2経路との関係に基づいて、第1経路を走行する自車両が遭遇する複数の事象を抽出し、抽出された自車両と事象との関係に基づいて、自車両を停止させる一又は複数の停止位置候補を事象ごとに設定し、停止位置候補において遭遇する複数の事象と自車両との関係についての評価結果に応じて、自車両を停止させる停止位置を決定するとともに、停止位置において自車両を停止させる。本実施形態の走行支援装置100を用いることにより、必要な事象についての評価に基づいて運転計画を立案できる。検討すべき事象が絞り込まれているので、適切な運転計画を立案しつつ、処理時間を短縮できる。これにより遅延時間の短い走行支援を実行できる。
[5−10]本実施形態の運転計画方法は、自車両が第1経路を走行する際に経時的に遭遇する複数の事象と自車両との関係についての評価結果を用いて、自車両を停止させる一又は複数の停止位置候補を事象ごとに設定し、停止位置候補において遭遇する複数の事象と自車両との関係についての評価結果を用いて、自車両が遭遇するシーンについて運転計画を立案する。本実施形態の運転計画方法を用いれば、5−1に記載した作用効果を得ることができる。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
すなわち、本明細書では、本発明に係る走行支援装置の一態様として、シーン評価装置10と、運転計画装置20と出力装置30とを有する走行支援装置100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本明細書では、本発明に係るシーン評価装置の一態様として、評価プロセッサ11を有するシーン評価装置10を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本明細書では、本発明に係る運転計画装置の一態様として、運転計画プロセッサ21を有する運転計画装置20を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本明細書では、本発明に係る出力装置の一態様として、出力制御プロセッサ31を有する出力装置30を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、評価プロセッサ11、運転計画プロセッサ21、出力制御プロセッサ31は、一つのプロセッサとして構成してもよいし、複数に分割して構成してもよい。
本明細書では、車載装置の例として、車両コントローラ210と、ナビゲーション装置220と、対象物検出装置230と、車線逸脱防止装置240と、出力装置250と、検出装置260と、駆動装置270と、操舵装置280とを備える車載装置200を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係るシーン評価装置、運転計画装置、出力装置、又は走行支援装置のいずれかが、出願時において車両に適用可能な各種装置とともに配置されることは制限されない。