JP6442677B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
本願発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、「球噛み」が発生する可能性を極めて低くすることのできる可変入球装置を備えた遊技機を提供することを目的とする。
以下、第一実施形態について、先ず基本的な構成及び動作について説明した後、本実施形態の要部に係る説明を行うものとする。
[構成の説明]
(1)全体の構成について
先ず、図1を参照して第一実施形態のパチンコ機50の全体構成を説明する。
なお、以下の各図面を参照した説明において、方向、向き、及び位置関係等を示す場合には、遊技機設置島に設置されて且つ遊技者に対向して位置するパチンコ機50(図1に示す状態)を基準として、向かって右方向を、右、右側、右側方、右側方向、右方、右方向等として説明する。
また、向かって左方向を、左、左側、左側方、左側方向、左方、左方向等として説明する。
また、パチンコ機50(図1に示す状態)を基準として、天井方向を、上、上側、上方、上方向等として説明する。
また、パチンコ機50(図1に示す状態)を基準として、床方向を、下、下側、下方、下方向等として説明する。
また、パチンコ機50(図1に示す状態)を基準として、遊技者(手前)側の方向を、前、前側、前方、前方向、手前、手前側、手前側方向、表、表側、表方、表方向等として説明する。
さらに、パチンコ機50(図1に示す状態)を基準として、遊技機設置島の内部側の方向を、後、後側、後方、後方向、奥、奥側、奥方、奥方向、裏、裏側、裏方、裏方向等として説明する。
このように、以下の図面説明では、個々に視点及び視座が変化しても、該規定した方向に関する用語に基づいて説明を行うものとする。なお、部位の説明等において、上記記載の用語に、「部」や「面」等の用語を複合して記載した場合でも、方向に関しては、無論、上記規定に遵うものである。
本実施形態の第1始動口11及び第2始動口12は、所謂左打ち及び右打ちの何れであっても、入球可能となっている。
普通電動役物として構成された第2始動口12は、普通図柄抽選での当選時に、所定の回数にわたり、所定時間の開放が行われる。具体的には、通常モード時であれば、1回の当選により約2.6秒の開放が2回行なわれる。
大入賞口装置ユニット40は、本実施形態の要部であるため、後で詳述するものとする。
また、遊技領域3における向かって左下の領域には、複数の普通入賞口31〜33が配設されている。
さらに、遊技領域3の右側領域の普通図柄作動ゲート17の下方には、普通入賞口34が設けられている。
ワープ入口から取り込まれた遊技球は、ワープ樋を介してステージに送出されて、ステージ上を不定な時間に亘って揺動した後、第1始動口11の直上、或いは、第1始動口11の左右斜め上方から遊技領域3に再度、送り出される。
そして、盤面最下部には、遊技領域3に発射された後、上述した第1始動口11等の何れの入球装置にも入球しなかった遊技球を、遊技領域3から機内に取り込むためのアウト口10が設けられている。
さらに、図示しないが、本実施形態のアウト口10の内部には、該アウト口10に取り込んだ遊技球をアウト球として検出するためのアウト検出スイッチ10aが設けられている。
また、本実施形態では、払出装置は、球貸ボタン57の操作に応じて遊技球(貸球)を払い出すよう構成されている。
次に、パチンコ機50の電気的構成について説明する。このパチンコ機50は、図4のブロック図に示すとおり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するいわゆる中継基板や電源基板等は記載されていない。また、詳細な図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えている。また、発射制御装置84、電源基板にはCPU、ROM、RAMは設けられていないが、これに限るわけではなく、発射制御装置84等にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
これにより、主制御装置80は、当該パチンコ機50全体の制御を司るよう構成されている。
本実施形態の主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bへの通電による吸引変位によって、図示しないリンク機構を介してシャッター部材91を下降変位させることで大入賞口14を開放状態とし、大入賞口ソレノイド14bへの電流遮断による復帰変位によって、また図示しない圧縮コイルばねの付勢力により、シャッター部材91を上昇変位させることで大入賞口14を閉鎖状態となるよう制御するものである。この点については、後で詳述する。
主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信が可能である。
発射制御装置84は、発射モータ30を制御して、遊技領域3に遊技球を発射させる。
具体的には、発射制御装置84に、回動量信号及びタッチ信号が入力され、且つ発射停止信号が入力されていない状態が維持されている場合、発射制御装置84は発射モータ30を駆動制御して、1分間に100個の遊技球を発射するように構成されている。すなわち、0.6秒間(0.6s)毎に1個の遊技球が、遊技領域3に向けて発射されるものである。
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して、演出図柄等の演出画像を表示させる。
このように、サブ統合制御装置83,演出図柄制御装置82,および演出図柄表示装置6は、主制御装置80からのデータ及びコマンド(信号、或いは通知)に基づいて、各種演出を実行するよう構成されている。
次に、第一実施形態におけるパチンコ機50の、基本的な動作について説明する。
なお、本実施形態のパチンコ機50では、上述したように、第1始動口11、第2始動口12、大入賞口14及び普通図柄作動ゲート17が配置されていることにより、通常遊技状態(通常モード)中は第1始動口11への入球を狙って左打ちを行い、大当り遊技中及び時短モード中には右打ちを行う遊技が推奨される。
(1)メインルーチンについて
まず、パチンコ機50の主制御装置80におけるメインルーチンについて、図5に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、このメインルーチンは、2ms周期のタイマ割り込み処理として起動される。
一方、S10で肯定判定が得られた場合には、主制御装置80は、初期値乱数の更新(S20),大当り決定用乱数の更新(S25),大当り図柄決定用乱数の更新(S30),当り決定用乱数の更新(S35),リーチ判定用乱数の更新(S40),変動パターン決定用乱数1,2の更新(S45)を行うことで、各種乱数(数値データ)の更新を実行する。
また、大当り判定用乱数は、0〜3899の範囲であり、乱数の大きさは3900である。なお、通常モードにおいて大当りとなる値の数は13(大当り確率は1/300)で、775〜778,1775〜1778,2775〜2779となる。また、確変モードにおいては、大当りとなる値の数は、13よりも大きい数となる。
また、変動パターン決定用乱数2の値は、0〜600の範囲であり、乱数の大きさは601である。
次に、第1,第2始動口11,12への入賞を検出し、該入賞に応じて保留記憶の生成等を行う始動入賞確認処理について、図6に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、メインルーチンにて実行される入賞確認処理(S50)からコールされるサブルーチンとして構成されている。
すなわち、S110では、第1始動口11または第2始動口12に遊技球が入球したことに起因して、数値データとしての各種乱数を抽出すると共に、該抽出した数値データを保留記憶として記憶する。
そして、消化されていない保留記憶の数を示す保留数コマンドを、サブ統合制御装置83に送信し、S115に処理を移行する。
本実施形態の先読み判定処理(S115)は、後述する当否判定処理の実行前に、記憶された数値データが大当りとなる内容を備えているか否かを確認する処理である。
(3)先読み判定処理について
次に、新たに発生した保留記憶に対応する大当り決定用乱数等の値について判定する先読み判定処理について、図7に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、始動入賞確認処理からコールされる。
次に、保留記憶として記憶された大当り決定用乱数により大当り抽選を行う当否判定処理について、図8〜11のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、メインルーチンから実行される処理である。
このように本実施形態のS230およびS235は、始動入賞確認処理のS110にて記憶された数値データに基づいて、大当り遊技を発生させるか否かの当否判定すなわち大当り判定を実行する処理である。
S255では、主制御装置80は、大当り遊技のラウンド数、大入賞口の開放パターン、大当り遊技に係る演出時間、インターバル時間、及び大当り遊技の演出態様等を設定し、S270に処理を移行する。
なお、本実施形態では、S260にて、ハズレ時の消化した保留記憶に係る変動パターン(変動時間)を決定すると共に、これに先立って、ハズレ図柄を決定する処理を行う。この構成に限定することなく、S260の実行前に、ハズレ図柄を決定する処理を備えるように構成しても良い。
このようにS245及びS260は、大当りとなるか否かの判定結果に基づいて、該判定結果を示す特別図柄すなわち、大当り図柄又はハズレ図柄を、決定する処理である。
このように、S285は、大当りとするか否かの当否判定結果に基づいて決定された特別図柄に係る大当り図柄またはハズレ図柄を表示させる処理である。
S300では、主制御装置80は、確定表示されていた特図が大当り時のものであるか否か、すなわち大当り図柄であるか否かを判定し、肯定判定の場合には(S300:Yes)、S305に処理を移行すると共に、否定判定の場合には(S300:No)、S340に処理を移行する。
(5)大当り遊技処理について
次に、大当り遊技の進行を制御する大当り遊技処理について、図12〜図14のフローチャートを用いて説明する。本処理は、メインルーチンから実行される処理である。
本実施形態の大入賞口開放処理(S425)において、主制御装置80は、遊技盤中継端子板74を介して、大入賞口ソレノイド14bへの通電を開始する処理を実行する。
本実施形態の大入賞口閉鎖処理(S440)において、主制御装置80は、遊技盤中継端子板74を介して、大入賞口ソレノイド14bへの通電を終了(遮断)する処理を実行する。
一方、S465では、主制御装置80は、大入賞口14を開放させる大入賞口開放処理を実行し、本処理を終了する。
S465は、上述したS425と同様の処理である。
S485では、主制御装置80は、大当り遊技後に確変モードに移行するか否かを判定し、肯定判定の場合には(S485:Yes)、確変モード中に実行可能な大当り抽選の回数(確変回数)を設定すると共に(S490)、確変フラグをセットし(S495)、S500に処理を移行する。
(1)球噛みの具体的な説明
先ず、第一実施形態におけるパチンコ機の要部に先立って、本願発明の課題である所謂、「球噛み」状態についての説明を、図15を参照して行う。
図15(a)を参照して、球噛みが発生した状態、及び球噛みが発生するための条件について説明する。なお、図15では、一般的に大入賞口等で採用される板状の開閉扉を備えた所謂アタッカー式の可変入球装置を例示する。しかし、普通電動役物に多用される所謂羽根状の開閉羽根を備えた可変入球装置であっても、球噛みの発生条件等については基本的に同様である。すなわち、何れの場合でも、開口を開放状態と閉鎖状態に変化させる開閉部材は、該開閉部材の下部を開口の下部付近で回動自在に軸支されることで、開閉部材が起立姿勢にあるときに閉鎖状態を、また傾倒姿勢にあるときに開放状態を発生可能となる点において、同様の構成といえる。
図示した状態は、開閉扉641が前方(図視左方向)に傾倒姿勢となる大入賞口614の開放状態から、開閉扉641が後方(図視右方向)に回転して起立姿勢となる大入賞口614の閉鎖状態への、変位の過程において、遊技球Zが開閉扉641と大入賞口614の上縁部との間に丁度、挟持された状態、所謂「球噛み」が生じた状態である。
当該不具合を解消するためには、挟持された遊技球Zを直接除去する他、上記均衡状態を解除可能な程度の振動を与えたり、或いは、開閉扉641を再度傾倒姿勢の方向に傾倒させる等、距離Bを変化させることで除去する必要があった。
詳述するならば、大入賞口614の上縁部の頂点aから、開閉扉641の裏面に対して垂線を設定したとき、該垂線と開閉扉641の裏面との交点bまでの長さ、すなわち開閉扉641の裏面と大入賞口614の上縁部との距離Bが、遊技球の直径Aと等しくなったタイミングで、さらに、丁度遊技球Zが頂点aと交点bに当接する位置に存在した場合に限って、生じ得る現象である。換言するなら、球噛み状態が発生可能な「位置的条件」が成立(例えば、距離B=直径A)したとき、更にそこに遊技球が存在することで、発生する現象といえる。
なお、距離Bが、直径Aと等しくなるタイミングは、開閉扉641が傾倒姿勢から起立姿勢に変位する1回の過程において、1度しか生じない。よって、このタイミングで、遊技球Zが跳弾して直接、つまり開閉扉641の裏面を転動して誘導されることなく、丁度、頂点aと交点bに当接する位置に着地する可能性は、否定できないとはいえ、極めて低い。
因みに、「集球機能」とは、多様な軌道を落下する複数種類の遊技球を広範囲で受け止めて集積し、これらの遊技球を一括して大入賞口614に誘導する機能である。つまり、図15(b)に示すように、開閉扉641が、傾倒姿勢或いは、傾倒姿勢から図15(a)の球噛み状態に対応した姿勢に至るまでの過程にあるとき、開閉扉641は、遊技球Zが流下する遊技領域前方に向かって進出することによって、異なる流下軌道を落下する複数種類の遊技球を個々に受け止めて、開閉扉641の下り傾斜した裏面上を転動させることで、大入賞口614に向けて誘導する機能(集球機能)であって、当該機能は、上述した、大入賞口614を開閉する機能とは別の機能である。
このとき、開閉扉641が起立状態に向けて回転変位するに伴って、点c上にあった遊技球Zが大入賞口614に向けて転動して、図15(a)の交点bに到達したタイミングで、遊技球Zの交点bに当接する点と対極に位置する点が、上縁部の頂点aに当接した場合、球噛み状態が生じることとなる。
そして、集球機能によって他の軌道を流下してきた他の遊技球であっても、受け止められた点cから交点bに到達するまでの時間に、開閉扉641が球噛み状態の姿勢まで丁度変位が完了する場合には、同様に球噛み状態となる。
したがって、集球機能を備えた開閉扉641の場合、図15(a)のタイミングで頂点aと交点bの間隙に遊技球Zが飛び込んだ場合以外にも、開閉扉641に様々なタイミングで、また様々な位置にて受け止められた遊技球が、球噛みを生じさせる場合がある。つまり、多くの遊技球を集めて大入賞口614へ誘導する効果を奏する集球機能が、逆に、球噛みの発生する危険性を高めるという弊害を招いている、といえる。
球噛み類似の状態とは、上述した集球状態で遊技球Zが受け止められた後、開閉扉641が起立状態に向けて回転変位するに伴って、上縁部の頂点aと開閉扉641の距離Eが遊技球Zの直径Aより小さくなった時点で、未だ遊技球Zが大入賞口614に入球しておらず、上縁部の頂点aと、開閉扉641の点dに当接した姿勢を維持する状態である。
この時、遊技球Zの重量、また開閉扉641が起立姿勢に復帰しようとする回転力等が均衡することで、遊技球Zが開閉扉641を傾倒方向に押し広げて大入賞口614に入球することも、開閉扉641が起立方向に変位して遊技球Zを遊技領域側に排除することも無く、図示した状態が維持される。
以上、説明したように、球噛み或いは球噛み類似の状態は、上述した条件の成立時に発生し得る現象である。そして、従来の遊技機における可変入球装置に多用されてきた開閉部材は、開口の開閉機能に加えて集球機能を有するが故に、球噛み状態や球噛み類似の状態が生じる可能性を高めることこそあれ、低下させることはできなかった。
次に、球噛みや球噛み類似の状態が発生する可能性を、低下させる第一実施形態における可変入球装置の構成について、図16〜図18(a)、および図19を参照して説明する。
図16は、閉鎖状態における大入賞口装置ユニット40の構成および作用を説明するための正面図および概略断面図であり、図17は、開放状態における大入賞口装置ユニット40の構成および作用を説明するための正面図および概略断面図であり、図18(a)は、大入賞口装置ユニット40を構成するシャッター部材91の構成および作用を説明するための正面図および概略断面図であり、図19は、大入賞口装置ユニット40を構成する左側縁傾斜部47aの構成および作用を説明するための正面図および概略断面図である。
図16に示す本実施形態の大入賞口装置ユニット40は、前方視略三角形状の外形にて形成され、後方から前方に向かって、大入賞口装置基体41、シャッター部材91、および前方にスロープ部材95、で構成される。
シャッター部材91は、大入賞口装置基体41とスロープ部材95が組み付けられたときに、上方に向かって開口して形成される摺動用の凹部内を、上下方向に摺動可能に構成され、該摺動によってシャッター部材91は、大入賞口装置基体41に前方に向かって開設された開口である大入賞口14を、開閉する。
以下、大入賞口装置ユニット40を構成する各部材の構成について、個別具体的に説明する。
先ず、シャッター部材91の構成について説明する。
図16、図17および図18(a)に示すように、シャッター部材91は、前方視略横長矩形状に形成され、薄板状のシャッター基体92と、該シャッター基体92よりも後方にせり出して形成されたシャッター当接部92bを備える。
シャッター基体92すなわちシャッター部材91の上端(辺)部には、後方から前方に向けて下り傾斜してなるシャッター上端傾斜部92aが、左右方向の全域に亘って設けられている。
また、シャッター基体92の上端(辺)部は、前方視略中央付近から左方向に向けて、緩やかな下り曲線状に形成されたシャッター上端湾曲部92cが設けられている。本実施形態のシャッター上端湾曲部92cは、中央付近から形成されているが、右端部から左端部まで全域に亘って設けられても良い。また、曲線状でなく下り直線によって構成されても良い。
なお、図16および図17には、便宜上、シャッター上端傾斜部92aを図示していない。
なお、シャッター部材91は、後述する「閉鎖姿勢」(図16参照)にあるときに、遊技球Zが大入賞口14へ入球不能な閉鎖状態となるべく、シャッター部材91の上端(辺)部と、大入賞口14の上縁との間隙が、遊技球Zの直径よりも小さくなるように構成されている。
以上が、本実施形態のシャッター部材91の構成である。なお、後述する作用で詳細に説明するが、シャッター部材91は、大入賞口14に係る開閉機能のみを備えるものであって、上述した従来の遊技機の開閉部材のように、集球機能を併せ持つものではない。
次に、大入賞口装置基体41の構成について説明する。
大入賞口装置基体41は、前方視したときの外形が、大入賞口装置ユニット40の外形と略等しく形成されている。大入賞口装置基体41の前方視略中央には、遊技盤1に開設された穴部に嵌入される前方視略矩形状の突出部が、後方に突出して形成(A−A矢視図参照)される。
次いで、スロープ部材95の構成について説明する。
スロープ部材95は、大入賞口装置基体41と同様、前方視したときの外形が、大入賞口装置ユニット40の外形と略等しい略平板で形成されており、前方視したときに右側から左側に向けて、右側遊技領域を流下してきた遊技球を受け止めて大入賞口14の方向に誘導する第1スロープ部96、該第1スロープ部96から誘導された遊技球を大入賞口14の方向且つ左下方に向けて誘導する誘導スロープ部97、及び、該誘導スロープ部97から誘導された遊技球を左下方の遊技領域すなわち第2始動口(普通電動役物)12の方向に誘導する第2スロープ部98、を備えている。第1スロープ部96、誘導スロープ部97、および第2スロープ部98の上面部は、何れも、左下方に向けて緩やかな下り傾斜で形成されている。
上述した大入賞口装置ユニット40を構成する大入賞口装置基体41、シャッター部材91、およびスロープ部材95の組み付け方法について説明する。
先ず、大入賞口装置基体41のシャッター摺動用第1溝部42aおよびシャッター摺動用第2溝部42bに、シャッター部材91を挿入すると共に、圧縮コイルばねの付勢力をシャッター部材91に伝達するための伝達機構の取り付け設定、および、大入賞口ソレノイド14bの吸引力をシャッター部材91に伝達するためのリンク機構の取り付け設定等を行う。
次いで、大入賞口装置基体41にシャッター部材91をセットした状態にて、前方からスロープ部材95の皿孔に取付螺子を挿通し、該取付螺子を大入賞口装置基体41の螺子孔に螺着することで、大入賞口装置ユニット40の組み付けを完了する。
こうして組み付けが完了した大入賞口装置ユニット40は、遊技盤1の穴部に大入賞口装置基体41の突出部を嵌め込み、基体取付用皿孔49に取付螺子を挿通し、該取付螺子を遊技盤1に螺着することで、大入賞口装置ユニット40の遊技盤1への組み付けが完了する。
上述したように構成された大入賞口装置ユニット40の作用について、以下説明する。
図16は、パチンコ機50が大当り遊技状態に制御されていない状態、すなわち大入賞口14が閉鎖状態にあるときの大入賞口装置ユニット40の状態を示している。
大当り遊技状態ではないため、すなわち、主制御装置80による大入賞口開放処理(S425)が未実行であることで、大入賞口ソレノイド14bは吸引変位を行っておらず、シャッター部材91には伝達機構を介して圧縮コイルばねの付勢力がはたらくため、シャッター当接部92bの上端部が、シャッター摺動用第2溝部42bの天井部に当接する位置すなわち「閉鎖位置」で静止している。このとき、A−A矢視図に示すように、シャッター部材91の上部は、大入賞口14と誘導スロープ部97の間隙に割り込んで上方に進出する。このときに、シャッター部材91の上端部と、大入賞口上縁部45との間隙は、遊技球Zの直径より小さい大きさとなる。よって、シャッター部材91は、大入賞口14の前方を、大入賞口14への遊技球Zの入球不能に遮蔽する。
誘導スロープ部97に誘導された遊技球Zは、誘導スロープ部97の上面部の、後方(大入賞口14側)への下り傾斜、および左下方(第2スロープ部98側)への下り傾斜にしたがって、第2スロープ部98に誘導される。すなわち、遊技球Zは、誘導スロープ部97の上面部の後方への下り傾斜にしたがって大入賞口14側へ一旦流下するが、「閉鎖位置」を維持しているシャッター部材91の前面部に流下を阻止されることで、大入賞口14への入球が不能となる。また、シャッター部材91の前面部によって大入賞口14への流下を制止された遊技球Zは、誘導スロープ部97の上面部の左下方への下り傾斜にしたがって、大入賞口14への入球が不能な状態を維持しつつ、左下方に向けて転動し、第2スロープ部98へ誘導される。
なお、第1スロープ部96から誘導スロープ部97に誘導された遊技球Z以外にも、すなわち直接、誘導スロープ部97に落下して受け止められた遊技球Zも、同様に大入賞口14への入球が不能な状態を維持して第2スロープ部98へ誘導される。
誘導スロープ部97は、該誘導スロープ部97上面部の多様な位置にて受け止めた遊技球を集球して、大入賞口14側へ誘導する集球機能を備えている。但し、該集球機能によって大入賞口14へ入球可能か否かは、他の構成であるシャッター部材91が「開放位置」にあるか「閉鎖位置」にあるか、すなわち開閉機能との関係によって決定されるものであり、この点、従来の集球機能および開閉機能を併せ持った開閉部材とは、相違するものである。
第2スロープ部98に誘導された遊技球Zは、第2スロープ部98の上面部の左下方の下り傾斜にしたがって転動し、第2始動口12(図2参照)の上方に向けて誘導される。
以上が、大当り遊技状態に制御されていない場合における、本実施形態の大入賞口装置ユニット40の作用である。続いて、大当り遊技状態の大入賞口14が開放状態にある場合における、大入賞口装置ユニット40の作用について、図17を参照して説明する。
大当り遊技状態となり、主制御装置80による大入賞口開放処理(S425)が実行されることで、大入賞口ソレノイド14bは吸引変位を行い、シャッター部材91には、リンク機構を介して大入賞口ソレノイド14bの吸引力がはたらく。該吸引力がはたらくことで、シャッター部材91は、シャッター摺動用第1溝部42a、及びシャッター摺動用第2溝部42bに誘導されて、下方に摺動することで、下降変位する。このとき、通電が維持されている間は、A−A矢視図に示すように、シャッター部材91の上端部が、大入賞口下縁部48より下方位置すなわち「開放位置」で静止する。
上述したように、本実施形態のパチンコ機50では、右打ちが推奨される大当り遊技中において、図16で説明した場合と同様に、発射された遊技球Zが第1スロープ部96に受け止められた場合、減速用凸部96aによって充分に流下速度を低下した後、第1スロープ部96から誘導スロープ部97に誘導される。
このときに、シャッター部材91は、大入賞口14の前方を遮蔽することなく、誘導スロープ部97上にある遊技球Zは、誘導スロープ部97の後方への下り傾斜にしたがって、大入賞口14へ入球し、入賞室43内を流下して入賞球排出口44に落下して、カウントSW14aに検出された後、大入賞口装置ユニット40の外部に送出される。
なお、第1スロープ部96から誘導された遊技球Zは、減速用凸部96aによって充分に流下速度が低下させられていることで、誘導スロープ部97に誘導された後は、速やかに後方への下り傾斜にしたがって大入賞口14へ入球可能となっている。
また、入賞室43内の床面の上述した傾斜、及び、入賞球排出口44を入賞室43内の後方且つ左側隅部に設けていることにより、左方向への減速が不十分な遊技球Zが入球した場合でも、円滑にカウントSW14aへ誘導可能となっている。
以上が、大当り遊技状態において大入賞口14が開放状態に制御されている場合における、本実施形態の大入賞口装置ユニット40の作用である。
先ず、大入賞口14が開放状態(図17参照)すなわち、シャッター部材91が閉鎖姿勢にあるとき、大入賞口の閉鎖契機が成立して、主制御装置80が大入賞口閉鎖処理(S440またはS465)を実行すると、大入賞口ソレノイド14bへの通電を遮断される。該通電の遮断によって、それまでシャッター部材91にはたらいていた吸引力に基づく下方への押し下げ力は消滅し、これに代わって、伝達機構を介した圧縮コイルばねの付勢力のみが残る。該付勢力のはたらきで、シャッター部材91は、上昇を開始する。
さらにシャッター部材91の上昇が進むと、図18(a)の断面図に示すように、シャッター部材91の上端部と大入賞口上縁部45の下面との間隙が遊技球Zの直径と等しくなる位置、すなわち球噛みが発生可能な状態となる。
そして、球噛みが生じなければ、シャッター部材91は、さらに上昇が進展して、図16にて説明した閉鎖姿勢となり、大入賞口14は閉鎖状態となる。
誘導スロープ部97に集球されて大入賞口14に向けて誘導された遊技球Zは、大入賞口装置ユニット40のシャッター部材91が、その上昇変位の過程にて、上述した概ね遊技球Zの半径を超える程度に上昇した段階までの間に、シャッター部材91を乗り越える際に接触し、一時的でもシャッター部材91の直上に位置する。このように、シャッター部材91は、球噛みが生じる高さまで上昇するまでに、誘導スロープ部97に集球され誘導されてきた遊技球Zと接触する可能性を有する。
しかし、シャッター部材91は、シャッター摺動用第1溝部42a、及びシャッター摺動用第2溝部42bに誘導されて、上方に摺動する。また、シャッター部材91の上端部には、前方に向かって下り傾斜してなるシャッター上端傾斜部92aが設けられることで、上端部に遊技球Zが安定して載置不能に構成されている。
これにより、シャッター部材91が上昇過程において、上端部に遊技球Zが仮に載置したとしても、球噛みが生じる位置的条件が成立するタイミングまでに、上昇の勢いや振動等によって、遊技球Zはシャッター部材91の前後何れかに落下させることができ、球噛みが生じる可能性を低下させることができる。
上述したように、本実施形態では球噛みが生じる可能性を非常に低下させているが、極めて稀に球噛みが生じたとしても、シャッター上端傾斜部92aを備えていることによって、遊技球Zが非常に不安定となり、球噛み状態を維持している力の均衡が、容易に崩壊するので、球噛み状態を解消し易くなっている。
大入賞口左側縁部47には、該大入賞口左側縁部47の右側すなわち入賞室43側且つ、前面側の角部は、右側面の奥から左側面の最前辺に向かって傾斜する左側縁傾斜部47aが形成されることで、球噛みが生じた際に、遊技球Zを前方且つ左方向に向かって円滑に変位させ易くしている。すなわち、遊技球Zが大入賞口左側縁部47に突き当たって、球噛みの解消を阻害されることのないよう、傾斜した左側縁傾斜部47aによって遊技球Zを誘導することで、速やかに球噛み状態を解消することができるようになっている。
以上のように、本実施形態の大入賞口装置ユニット40は、球噛み状態の発生の可能性を極めて低く抑え、球噛み類似の状態を発生させず、さらに、球噛みが生じた場合でも速やかに解消可能になっている。
図18(b)を参照して、第一実施形態の変形例1の構成および作用を説明する。本変形例は、第一実施形態とシャッター部材の構成において相違するので、この点についてのみ説明する。
図18(b)に示すように、本変形例のシャッター部材191は、上方(俯瞰)視したときに、シャッター基体192の左側上端部に、シャッター上端湾曲部192dを備える。詳述するに、該シャッター上端湾曲部192dは、シャッター基体192の左側上端部において、シャッター基体192の後面側から前面側に向けて、緩やかな曲線状の湾曲部として形成される。つまり、球噛みが生じた場合に遊技球Zの当接する可能性のある部位(線)が、横方向に非直線状に形成される。
これによって、仮に遊技球Zが球噛みした場合、シャッター上端湾曲部192dによって、球噛み状態を維持している力が遊技球Zの中心からズレ易くなる。そのため、遊技球Zには前方向への分力がはたらくことで、遊技球Zは前方向且つ下流方向へ移動する。該移動によって、球噛みが成立する位置的条件が満たされなくなり、球噛みが解消されて、遊技球Zは下流へ誘導される。このように、たとえ球噛みが生じた場合でも、シャッター上端湾曲部192dを備えることで、速やかに球噛み状態を解消することができる。
図20を参照して、第一実施形態の変形例2の構成および作用を説明する。本変形例は、第一実施形態とシャッター部材および大入賞口下縁部の構成において相違するので、この点についてのみ説明する。
図20(a)および(b)に示すように、本変形例のシャッター部材291は、シャッター基体292の後面側に、後方に向けて凸設された振動発生用凸部292dを備える。また、振動発生用凸部292dに対応して、本変形例の大入賞口下縁部48の下部には、前方すなわち振動発生用凸部292d方向に向かって緩やかな傾斜の下縁第1傾斜部48aと、該下縁第1傾斜部48aの頂部から連続して形成され、且つ急な傾斜の下縁第2傾斜部48bと、が設けられている。
なお、振動発生用凸部292dと、下縁第1傾斜部48aおよび下縁第2傾斜部48bは、シャッター部材291の上昇変位に伴い、振動発生用凸部292dが下縁第1傾斜部48aの下部に当接し、さらに上昇変位することでシャッター基体292は前方に向かって僅かに撓み、振動発生用凸部292dが下縁第1傾斜部48aから下縁第2傾斜部48bに移動した時点で、シャッター基体292の上端部と大入賞口上縁部45の下面との間隙Fが遊技球Zの直径Aと等しくなる、すなわち球噛みの発生する位置的条件が成立する位置(図20(c)参照)となり、この時にシャッター基体292の蓄積された撓みが一時に解消されるよう構成されている。
図20(a)の状態から、シャッター部材291が更に、上記した球噛みの発生する位置的条件が成立する位置まで上昇変位したとき、丁度、遊技球Zが間隙Fに嵌まり込むと、このタイミングでシャッター基体292は、蓄積された撓みが瞬間的に解消されることで、前後方向に振動する。該振動によって、球噛みを成立させている位置的条件が変化して、球噛みが解消される。
また、球噛みが発生した場合に振動によって解消されるだけでなく、球噛みが発生する直前で位置的条件が細かに変化することで、球噛みが生じる前に遊技球Zを落下させることもできる。
このように、本変形例は、球噛みが生じるタイミングで、シャッター部材291に振動を与えることで、球噛みの解消および防止を可能とする。
図21を参照して、第一実施形態の変形例3の構成および作用を説明する。本変形例は、第一実施形態とシャッター部材、大入賞口装置基体、およびスロープ部材の構成において相違するので、この点についてのみ説明する。
図21に示すように、本変形例のシャッター部材391は、第一実施形態と異なり、下方且つ前方から、上方且つ後方に向けて、すなわち側方視したときに、斜めに摺動するよう構成されている。また、シャッター部材391の上端部には、前方から後方に向けて下り傾斜してなるシャッター上端傾斜部392aが、左右方向の全域に亘って設けられている。
また、シャッター部材391を斜めに摺動するために、大入賞口装置基体141には、シャッター摺動用第1溝部142aおよびシャッター摺動用第2溝部142bが図示したように傾斜して形成され、スロープ部材195には、シャッター摺動用第3溝部142cが図示したように傾斜して形成される。これらの各種溝部に誘導されることで、シャッター部材391は、斜め方向への上下摺動を可能としている。
図21(b)は、本変形例における球噛み状態を示している。本変形例の球噛み状態の発生可能な位置的条件は、中心点eを備えた遊技球Zが、シャッター部材391の上端部の点fで当接するとき、該点fから上方に延びて且つ中心点eを通る垂線を仮定した際に、該垂線と大入賞口上縁部45の下面との交点を点gとしたとき、遊技球Zは、該点gと点fに当接する状態で、球噛みを生じるものである。
このような条件で球噛みが生じたとき、本変形例のシャッター部材391には、斜め上方(後方且つ上方 拡大図参照)に摺動させようとする付勢力がはたらく。該付勢力は、点fから図示矢印方向に作用する、すなわち中心点eに対して、該中心点eを通らずにずれた方向に作用するため、該付勢力によって遊技球Zは前方に変位する。該前方への変位によって、遊技球Zの球噛み状態が解消され、遊技球Zは前方且つ下方に向かって落下する。
このように本変形例では、シャッター部材391が、下方且つ前方から、上方且つ後方に向けて、付勢力によって斜めに摺動するため、シャッター部材391の上端部と大入賞口上縁部45との位置関係が球噛み発生の条件を満たして球噛みが生じたとしても、付勢力の作用が遊技球Zの中心点eにはたらかないため、たとえ球噛みが発生したとしても即時球噛み状態を解消できる。
すなわち、本変形例はシャッター上端傾斜部392aをシャッター部材391の裏面側に設けることで、シャッター部材391の上端部に当接つまり載置された遊技球Zを不安定にすることで球噛みを防止する効果を維持しつつ、球噛みから解消されて前方かつ下方に変位しようとする遊技球Zを円滑に前方且つ下方に落下させることができる。
図22および図23を参照して、第一実施形態の変形例4の構成および作用を説明する。本変形例は基本的に、第一実施形態のシャッター部材に、誘導スロープ部の構成を付加した点において相違する。よって、図1〜図15は第一実施形態と同様であるため、ここでの説明は割愛して第一実施形態の説明を援用し、図16の代わりに図22を、図17の代わりに図23を用いて説明する。
変形例4における可変入球装置の構成について、図22〜図23を参照して説明する。
図22は、閉鎖状態における大入賞口装置ユニット440の構成および作用を説明するための正面図および概略断面図であり、図23は、開放状態における大入賞口装置ユニット440の構成および作用を説明するための正面図および概略断面図である。
図22に示す本実施形態の大入賞口装置ユニット440は、第一実施形態と同様に前方視略三角形状の外形にて形成され、後方から前方に向かって、大入賞口装置基体441、可動スロープ部材497、固定スロープ部材495、および前方に蓋部材499、で構成される。
可動スロープ部材497は、大入賞口装置基体441、固定スロープ部材495および蓋部材499が組み付けられたときに、上方に向かって開口して形成される摺動用の凹部内を、上下方向に摺動可能に構成され、該摺動によって可動スロープ部材497は、大入賞口装置基体441に前方に向かって開設された開口である大入賞口14を、開閉する。
以下、大入賞口装置ユニット440を構成する各部材の構成について、個別具体的に説明する。
先ず、可動スロープ部材497の構成について説明する。上述したように、本変形例の可動スロープ部材497は、第一実施形態のシャッター部材91にスロープ部材の構成が組み合わせられたものである。すなわち、可動スロープ部材497遊技球を大入賞口14方向且つ下流側方向に誘導する機能と、大入賞口14を開閉する機能と、を併せて発揮する構成となっている。
図22および図23に示すように、可動スロープ部材497は、前方視略横長矩形状に形成され、可動スロープ基体497aと、該可動スロープ基体497aよりも後方にせり出して形成された可動スロープ当接部497cと、可動スロープ基体497aの上面部として後方且つ左側方に下り傾斜してなる誘導スロープ部497bを備える。誘導スロープ部497bは、第一実施形態の誘導スロープ部97と略同様の構成である。
すなわち、前方視したとき、大入賞口上縁部445との距離が、左右方向にて不均一となるように、可動スロープ部材497の誘導スロープ部497bの上面が形成されていれば良い。仮に、大入賞口上縁部445が水平に構成されるのであれば、誘導スロープ部497bの上面は、これと平行ではない直線(平面)状や、非水平な形状つまり曲線(曲面)状等で構成されれば良い。本変形例は、その一例として誘導スロープ上面湾曲部497dを備えた。誘導スロープ上面湾曲部497dと大入賞口上縁部445との距離(間隙)は、前方視したとき、左方向すなわち下流方向に向かうにしたがって、拡大するよう構成されている。上述したように、図22および図23には、便宜上、誘導スロープ上面湾曲部497dの符号等を図示していないが、誘導スロープ上面湾曲部497dは、第一実施形態のシャッター上端湾曲部92c(図18(a)を参考)と前方視同様の構成である。
以上が、本変形例の可動スロープ部材497の構成である。なお、本変形例の可動スロープ部材497は、大入賞口14に係る開閉機能に加え、上述した従来の遊技機の開閉部材のように、集球機能を併せ持つものである。
次に、大入賞口装置基体441の構成について説明する。
大入賞口装置基体441は、前方視したときの外形が、大入賞口装置ユニット440の外形と略等しく形成されている。大入賞口装置基体441の前方視略中央には、遊技盤1に開設された穴部に嵌入される前方視略矩形状の突出部が、後方に突出して形成(A−A矢視図参照)される。
次いで、固定スロープ部材495の構成について説明する。
固定スロープ部材495は、大入賞口装置基体441と同様、前方視したときの外形が、大入賞口装置ユニット440の外形と略等しい略平板で形成されており、前方視したときに右側から左側に向けて、右側遊技領域を流下してきた遊技球を受け止めて大入賞口14の方向に誘導する第1スロープ部496、上述した可動スロープ部材497が上下摺動可能な凹部(符号付与せず)、及び、可動スロープ部材497から誘導された遊技球を左下方の遊技領域すなわち第2始動口(普通電動役物)12の方向に誘導する第2スロープ部498、を備えている。第1スロープ部496、および第2スロープ部498の上面部は、何れも、左下方に向けて緩やかな下り傾斜で形成されている。第一実施形態とは、中央上部に、可動スロープ部材497に対応した凹部が設けられている点で相違し、略上向きのコの字状に形成される。
また、固定スロープ部材495の前面には、図示しないが、蓋部材499を取り付けるための螺子孔が設けられている。
次いで、蓋部材499の構成について説明する。
蓋部材499は、大入賞口装置ユニット440の外形と略等しい略平板で形成されて、摺動する可動スロープ部材497が前方に飛び出すことを防止するために設けられている。
蓋部材499の前面には、固定スロープ部材495に設けられた螺子孔に対応する位置に、皿孔が設けられている。
上述した大入賞口装置ユニット440を構成する大入賞口装置基体441、可動スロープ部材497、固定スロープ部材495、および前方に蓋部材499の組み付け方法について説明する。
先ず、大入賞口装置基体441の可動スロープ摺動用第1溝部442aおよび可動スロープ摺動用第2溝部442bに、可動スロープ部材497を挿入すると共に、圧縮コイルばねの付勢力を固定スロープ部材495に伝達するための伝達機構の取り付け設定、および、大入賞口ソレノイド14bの吸引力を可動スロープ部材497に伝達するためのリンク機構の取り付け設定等を行う。
次いで、大入賞口装置基体441に可動スロープ部材497をセットした状態にて、前方から固定スロープ部材495の凹部を可動スロープ部材497に嵌め込み、固定スロープ部材495の皿孔に取付螺子を挿通し、該取付螺子を大入賞口装置基体441の螺子孔に螺着する。次いで、蓋部材499の皿孔に取付螺子を挿通し、該取付螺子を固定スロープ部材495の螺子孔に螺着することで、大入賞口装置ユニット440の組み付けを完了する。
こうして組み付けが完了した大入賞口装置ユニット440は、遊技盤1の穴部に大入賞口装置基体441の突出部を嵌め込み、基体取付用皿孔449に取付螺子を挿通し、該取付螺子を遊技盤1に螺着することで、大入賞口装置ユニット440の遊技盤1への組み付けが完了する。
上述したように構成された大入賞口装置ユニット440の作用について、以下説明する。
図22は、パチンコ機50が大当り遊技状態に制御されていない状態、すなわち大入賞口14が閉鎖状態にあるときの大入賞口装置ユニット440の状態を示している。
大当り遊技状態ではないため、すなわち、主制御装置80による大入賞口開放処理(S425)が未実行であることで、大入賞口ソレノイド14bは吸引変位を行っておらず、可動スロープ部材497には伝達機構を介して圧縮コイルばねの付勢力がはたらくため、可動スロープ当接部497cの上端部が、可動スロープ摺動用第2溝部442bの天井部に当接する位置すなわち「閉鎖位置」で静止している。このとき、A−A矢視図に示すように、可動スロープ部材497の上部は、大入賞口14と蓋部材499の間隙に割り込んで上方に進出する。このときに、可動スロープ部材497の上端部と、大入賞口上縁部445との間隙は、遊技球Zの直径より小さい大きさとなる。よって、可動スロープ部材497は、大入賞口14の前方を、大入賞口14への遊技球Zの入球不能に遮蔽する。
誘導スロープ部497bに誘導された遊技球Zは、誘導スロープ部497bの上面部の、後方(大入賞口14側)への下り傾斜、および左下方(第2スロープ部498側)への下り傾斜にしたがって、第2スロープ部498に誘導される。すなわち、遊技球Zは、誘導スロープ部497bの上面部の後方への下り傾斜にしたがって大入賞口14側へ一旦流下するが、可動スロープ部材497自身が「閉鎖位置」を維持して大入賞口14の前方を遮蔽していることで、大入賞口14への入球が不能となる。また、大入賞口上縁部445の前面部によって大入賞口14への流下を制止された遊技球Zは、誘導スロープ部497bの上面部の左下方への下り傾斜にしたがって、大入賞口14への入球が不能な状態を維持しつつ、左下方に向けて転動し、第2スロープ部498へ誘導される。
なお、第1スロープ部496から誘導スロープ部497bに誘導された遊技球Z以外にも、すなわち直接、誘導スロープ部497bに落下して受け止められた遊技球Zも、同様に大入賞口14への入球が不能な状態を維持して第2スロープ部498へ誘導される。
誘導スロープ部497bは、該誘導スロープ部497b上面部の多様な位置にて受け止めた遊技球を集球して、大入賞口14側へ誘導する集球機能を備えている。但し、該集球機能によって大入賞口14へ入球可能か否かは、誘導スロープ部497bを備える可動スロープ部材497
が「開放位置」にあるか「閉鎖位置」にあるか、すなわち開閉機能との関係によって決定されるものである。
第2スロープ部498に誘導された遊技球Zは、第2スロープ部498の上面部の左下方の下り傾斜にしたがって転動し、第2始動口12(図2参照)の上方に向けて誘導される。
以上が、大当り遊技状態に制御されていない場合における、本実施形態の大入賞口装置ユニット440の作用である。続いて、大当り遊技状態の大入賞口14が開放状態にある場合における、大入賞口装置ユニット440の作用について、図23を参照して説明する。
大当り遊技状態となり、主制御装置80による大入賞口開放処理(S425)が実行されることで、大入賞口ソレノイド14bは吸引変位を行い、可動スロープ部材497には、リンク機構を介して大入賞口ソレノイド14bの吸引力がはたらく。該吸引力がはたらくことで、可動スロープ部材497は、可動スロープ摺動用第1溝部442a、及び可動スロープ摺動用第2溝部442bに誘導されて、下方に摺動することで、下降変位する。このとき、通電が維持されている間は、A−A矢視図に示すように、可動スロープ部材497の上端部が、大入賞口下縁部448より下方位置すなわち「開放位置」で静止する。
上述したように、本実施形態のパチンコ機50では、右打ちが推奨される大当り遊技中において、図22で説明した場合と同様に、発射された遊技球Zが第1スロープ部496に受け止められた場合、減速用凸部496aによって充分に流下速度を低下した後、第1スロープ部496から誘導スロープ部497aに誘導される。
このときに、可動スロープ部材497は、大入賞口14の前方を遮蔽することなく、誘導スロープ部497a上にある遊技球Zは、誘導スロープ部497aの後方への下り傾斜にしたがって、大入賞口14へ入球し、入賞室443内を流下して入賞球排出口444に落下して、カウントSW14aに検出された後、大入賞口装置ユニット440の外部に送出される。
なお、第1スロープ部496から誘導された遊技球Zは、減速用凸部496aによって充分に流下速度が低下させられていることで、誘導スロープ部497aに誘導された後は、速やかに後方への下り傾斜にしたがって大入賞口14へ入球可能となっている。
また、入賞室443内の床面の上述した傾斜、及び、入賞球排出口444を入賞室443内の後方且つ左側隅部に設けていることにより、左方向への減速が不十分な遊技球Zが入球した場合でも、円滑にカウントSW14aへ誘導可能となっている。
以上が、大当り遊技状態において大入賞口14が開放状態に制御されている場合における、本実施形態の大入賞口装置ユニット440の作用である。
先ず、大入賞口14が開放状態(図23参照)すなわち、可動スロープ部材497が閉鎖姿勢にあるとき、大入賞口の閉鎖契機が成立して、主制御装置80が大入賞口閉鎖処理(S440またはS465)を実行すると、大入賞口ソレノイド14bへの通電を遮断される。該通電の遮断によって、それまで可動スロープ部材497にはたらいていた吸引力に基づく下方への押し下げ力は消滅し、これに代わって、伝達機構を介した圧縮コイルばねの付勢力のみが残る。該付勢力のはたらきで、可動スロープ部材497は、上昇を開始する。
そして、球噛みが生じなければ、可動スロープ部材497は、さらに上昇が進展して、図22にて説明した閉鎖姿勢となり、大入賞口14は閉鎖状態となる。
これにより、本変形例でも球噛みした場合、当該誘導スロープ上面湾曲部497dによって、球噛み状態を維持している力が遊技球Zの中心からズレ易くなり、これにより、遊技球Zには左側縁傾斜部447aの方向への分力がはたらくことで、遊技球Zは下流方向へ移動する。該移動によって、球噛みが成立する位置的条件が満たされなくなり、球噛みが解消されて、遊技球Zは下流へ誘導される。このように、たとえ球噛みが生じた場合でも、誘導スロープ部497bに前記誘導スロープ上面湾曲部497dを備えることで、速やかに球噛み状態を解消することができる。
以上のように、本変形例の大入賞口装置ユニット440は、球噛みが生じた場合、速やかに解消可能になっている。
図24を参照して、第一実施形態の変形例5の構成および作用を説明する。本変形例は、第一実施形態と大入賞口上縁部の構成において相違するので、この点についてのみ説明する。なお、図24(a)は、本変形例において球噛みが発生した状態を示す説明図であり、図24(b)は、球噛み状態が維持されたままシャッター部材が閉鎖位置まで上昇変位した状態を示す説明図である。
次に第二実施形態について説明する。第二実施形態は、主に、大入賞口の構成において、第一実施形態と相違する。
よって、図1〜図17は第一実施形態と略同様であるため、ここでの説明は割愛して第一実施形態の説明を援用し、相違点について図25を用いて説明する。
図25には、本実施形態の大入賞口装置ユニット40のシャッター部材591が閉鎖姿勢にあることで大入賞口514が閉鎖状態にある場合を示している。
大入賞口514は、その開口の高さが、閉鎖姿勢にあるシャッター部材591の上端部から大入賞口514の大入賞口上縁部545まで、間隙Gとなる大きさに形成されてなる。間隙Gは、遊技球Zの直径Aよりも大きく設定される。例えば、遊技球Zの直径Aが、11mmであるとき、間隙Gを11.5mm〜12mmに設定されている。
また、閉鎖姿勢にあるシャッター部材591の上端部は、スロープ部材595の上面部から、概ね遊技球Zの直径Aより高い位置となるよう構成されている。少なくとも、遊技球Zの半径より高い位置となるよう構成することが好ましい。
なお、本実施形態では、大入賞口514を開閉する構成として、シャッター部材591(摺動部材)を採用した例を示したが、これに限らない。すなわち、シャッター部材591に替えて、図22及び図23に示した可動スロープ部材497(摺動通路部材)を採用した構成であっても良い。
図26を参照して、第二実施形態の変形例について説明する。
本変形例の可変入球装置は、所謂アタッカー式の構成である。すなわち、遊技球を取り込む入口を形成する開口としての大入賞口714と、大入賞口714から取り込まれた遊技球を検出する検出手段としてのカウントスイッチ14a(図示しない)を備える。
また、大入賞口714の前方に配置され、大入賞口714の下部にて枢軸791aによって回動可能な開閉部材としての開閉扉791と、を備える。
また、開閉扉791は、駆動源としての大入賞口ソレノイド14b(図示しない)が非作動であるときは付勢手段としての圧縮コイルばねによって第1の位置すなわち遊技球が入球困難な起立姿勢(図26(b)参照)に、また、大入賞口ソレノイド14bが作動すると前方且つ下方に回動することで起立姿勢から第2の位置すなわち遊技球が入球可能な傾倒姿勢(図26(a)参照)へと変位可能に構成される。
さらに、起立姿勢にある開閉扉791の上端部と、大入賞口714の大入賞口上縁部745との間隙Jは遊技球Zの直径Aよりも大きく、且つ、直径Aと近似値に設定される。例えば、遊技球Zの直径Aが、11mmであるとき、間隙Jを11.5mm〜12mmに設定されている。
図26(b)に示すように、開閉扉791が起立姿勢にあるとき、大入賞口714の大入賞口上縁部745と、開閉扉791の上端部との間隙Jは遊技球Zの直径Aよりも大きいことにより、本変形例では、大入賞口上縁部745と開閉扉791との間で、球噛みが発生することはない。
しかし、間隙Jは直径Aに対して近似値に設定されることにより、球噛みの発生を防止しつつ、間隙Jから遊技球Zが入球してしまうことを防止する。詳述するなら、間隙Jが直径Aと近似の値とすることで、遊技球Zが間隙Jの前方から後方に向かって略水平に跳弾する、極めて稀な場合以外は、入球を困難としている。
例えば、可変入球装置は、大入賞口の入賞装置に限らず、普通電動役物でなる始動口等、他の入球装置であっても良い。遊技球の入球可能な状態と不能な状態に変化可能な、可変入球装置であれば良い。
これにより、本発明を多様な可変入球装置に採用することができる。
これにより、開放状態にあるとき、通路部としての誘導スロープ部を転動する遊技球が、充分に減速されて、誘導スロープ部の後方への下り傾斜に従い易くなり、開口への入球が確実に実現できる。
このようにしても、球噛みが生じた際に遊技球を球噛み状態から解放し易くなる。
これにより、上方(俯瞰)視したときに、球噛みを生じ難くすると共に、球噛み状態にある遊技球を、開口から前方に向けて変位させ易くなり、球噛み解消を促進することができる。
このようにしても、球噛みが生じた際に遊技球を球噛み状態から解放し易くなる。
これにより、上方(俯瞰)視したときに、球噛みを生じ難くすると共に、球噛み状態にある遊技球を、開口から前方に向けて変位させ易くなり、球噛み解消を促進することができる。
これにより、球噛みが生じたとき、付勢手段の付勢力によって、摺動部材の表面側、或いは裏面側の何れかに偏って力がはたらくことで、摺動部材が撓んで不具合を起こすことを防止できる。
また、摺動部材の上端部に載って落下する遊技球が、開口側、或いは通路部側に落下する場合、何れかの場合だけ傾斜部が作用するという状態を回避でき、同様の条件に設定することができる。
これにより、遊技機の設計上、好適な構成を自由に選択できる。また、双方を備えることにより、遊技領域の中央に配置される可変入球装置にも対応可能となる。
これにより、摺動部材、摺動通路部材、または開閉部材の端部付近で球噛みが発生する可能性のあるとき、開口の側部と摺動部材、摺動通路部材、または開閉部材の側部との間隙によって、球噛みが発生し難くなる。
これにより、球噛みが生じることとなる遊技球の当接の可能性のある領域を少なくすることができ、球噛みの発生を抑制することができる。
このようにすることで、摺動部材の直上に遊技球が載置されて球噛みが生じる可能性のあるとき、摺動部材が載置した遊技球の重量によって下降することで、球噛みが発生する位置的条件が成立せず、球噛みを防止することができる。
上記実施形態の説明で用いた用語と、特許請求の範囲の記載に用いた用語との対応を示す。
カウントSW(スイッチ)14aが、検出手段の一例に相当する。
大入賞口ソレノイド14bが、駆動源の一例に、また、圧縮コイルばねが付勢手段の一例に相当する。
開放姿勢となる位置が第1の位置の一例に、また、閉鎖姿勢となる位置が第2の位置の一例に相当する。
シャッター部材91、シャッター部材191、シャッター部材291、シャッター部材391、シャッター部材591が、摺動部材の一例に相当する。
誘導スロープ部97が、通路部の一例に相当する。
大入賞口装置ユニット40が、可変入球装置の一例に相当する。
パチンコ機50が、遊技機の一例に相当する。
Claims (1)
- 遊技球を取り込む入口を形成する開口と、
前記開口から取り込まれた遊技球を検出する検出手段と、
前記開口の前方に配置され、駆動源が非作動であるときは付勢手段によって第1の位置に、前記駆動源が作動すると下方に摺動して前記第1の位置から第2の位置へと変位する摺動部材と、
前記摺動部材の前方に配置され、横方向且つ後方向へと下り傾斜する通路部と、
を具備してなる可変入球装置を備えた遊技機において、
前記可変入球装置は、
前記摺動部材が前記第2の位置にあるとき、前記通路部を転動する遊技球を前記開口から取り込み可能とし、
前記摺動部材の後面側には、後方に向けて凸設してなる凸部を備え、
前記開口の下縁部の前面側には、前方に向けて突出すると共に前記凸部に当接する突出部を備え、
前記摺動部材が前記第2の位置から前記第1の位置へと上昇変位する過程において、前記凸部が前記突出部に当接することで、前記摺動部材の上端部が少なくとも球噛みの発生する位置的条件を満たす位置に到達する前に前記摺動部材を撓ませ、前記位置的条件を満たす位置に到達するときに前記摺動部材の撓みを解消させて、前記摺動部材の上端部を前後方向に変位する、
ことを特徴とする遊技機。
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