上述したように、一般に、遊技機の一種として、所定の遊技領域を有する遊技盤を備えたパチンコ機が知られている。遊技盤には、可変入賞装置、作動口、可変表示装置等が配設されている。そして、作動口への遊技球の入賞に起因して各種遊技状態が導出される。例えば、表示装置において図柄が変動表示される変動状態や、遊技者に対して多くの遊技球が払い出される大当たり状態等が導出される。このようなパチンコ機では、作動口等への遊技球の入賞に基づき、所定数又は所定量の遊技価値が付与される。例えば遊技者に対して所定個数の賞球が払い出される。また、遊技盤には、作動口等の周辺において当該作動口等へ遊技球を案内するための案内部材(例えば釘等)が配設されている(例えば、特許文献1参照)。
ところが、遊技球が作動口へ入賞しやすくなるように作動口の周辺の釘等を強制的に曲げることによって、作動口への入賞率を高め、より多くの賞球を払い出させようとする不正行為(例えば、遊技中等においてパチンコ機の扉を開け、作動口周辺の釘を曲げるような行為)が行われるおそれがあった。
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、不正な遊技価値の付与を低減すること等のできる遊技機を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために有効な手段を以下に示す。なお、必要に応じてその作用等についても説明する。
手段1.遊技球を発射する発射手段と、
発射された遊技球が案内される遊技領域と、
前記遊技領域内において、遊技球の入賞可能な特定入賞手段とを備え、
前記特定入賞手段への遊技球の入賞に基づき、所定数の遊技価値を付与可能とするとともに、所定の遊技状態を導出可能とする遊技機であって、
前記特定入賞手段は、少なくとも1つの第1入賞部と、少なくとも1つの第2入賞部とを備え、
前記第1入賞部への遊技球の入賞に基づいて付与され得る遊技価値の数が、前記第1入賞部へ入賞した遊技球の球数以下となるように構成されるとともに、
前記第2入賞部への遊技球の入賞に基づいて付与され得る遊技価値の数が、前記第2入賞部へ入賞した遊技球の球数より多くなるように構成され、
前記第1入賞部は、遊技球が常時入賞可能であって、
前記第2入賞部は、所定入球条件の成立に基づき、遊技球が入賞不能又は入賞困難な閉塞状態から、遊技球が入賞可能又は入賞容易な開放状態となる可変入賞部であることを特徴とする遊技機。
上記手段1によれば、常時入賞可能な状態にある第1入賞部とは別に、上記所定入球条件の非成立時において遊技球が入賞不能又は入賞困難な閉塞状態となっている第2入賞部が設けられるとともに、第1入賞部への遊技球の入賞に基づいて付与され得る遊技価値の数が第1入賞部へ入賞した遊技球の球数以下となり、第2入賞部への遊技球の入賞に基づいて付与され得る遊技価値の数が第2入賞部へ入賞した遊技球の球数より多くなるように構成されている。このため、例えばパチンコ機等のように、特定入賞手段等への遊技球の入賞に基づいて所定の遊技価値が付与されるよう構成されるとともに、遊技球を前記特定入賞手段へ案内可能な複数の釘等の案内部材を備えた遊技機において、仮に釘等の案内部材を強制的に変形させることによって、特定入賞手段への入賞率を高め、より多くの遊技価値を付与させようとする不正行為が行われた場合でも、常時入賞可能となっているのが上述したように付与され得る遊技価値の数が入賞した遊技球の球数以下となる第1入賞部だけであるため、付与され得る遊技価値の数が増加しにくい。結果として、不正な遊技価値の付与を低減することができる。なお、前記遊技価値の付与には、現実の遊技価値としての賞球(遊技球)の払出しが含まれる。この場合、賞球(遊技球)が前記遊技価値に相当する。また、前記遊技価値の付与には、仮想的な遊技価値としての、記憶された賞球(遊技球)の数を所定の表示手段において表示させることが含まれる。この場合、記憶されたものが前記遊技価値に相当する。また、「前記第1入賞部への遊技球の入賞に基づいて付与され得る遊技価値の数が、前記第1入賞部へ入賞した遊技球の球数以下となる」ことには、「前記第1入賞部へ第1特定数の遊技球が入賞することに基づいて、前記第1特定数以下の第2特定数の遊技価値が付与される」ことが含まれる。例えば、前記第1入賞部へ5個の遊技球が入賞すると、3個の賞球が払い出される。ここで、第1特定数と第2特定数とが同数であってもよい。例えば、前記第1入賞部へ遊技球が1つ入賞すると、1個の賞球が払い出される。また「前記第2入賞部への遊技球の入賞に基づいて付与され得る遊技価値の数が、前記第2入賞部へ入賞した遊技球の球数より多くなる」ことには、「前記第2入賞部への遊技球の一入賞に基づいて、複数の遊技価値が付与される」ことが含まれる。例えば、前記第2入賞部へ遊技球が1つ入賞すると、5個の賞球が払い出される。また、第2入賞部が可変入賞部であることから、所定入球条件を変化させることにより、第2入賞部への遊技球の入賞個数や遊技価値の付与数(賞球の払出個数)等の調整を比較的容易に行うことができる。さらに、第2入賞部が開放状態となる頻度を増やすことにより、付与され得る遊技価値の数を増やすことができ、遊技者にとってのさらなる興趣の向上を図ることができる。
手段2.手段1において、前記第1入賞部へ入賞した遊技球の数を記憶する入賞数記憶手段を備え、
前記第1入賞部へ第1特定数の遊技球が入賞することに基づいて、前記第1特定数以下の第2特定数の遊技価値が付与されるようにしたことを特徴とする遊技機。
上記手段2によれば、第1特定数及び第2特定数を予め設定しておくとともに、遊技球の入賞数を記憶していきその数が第1特定数に達したら第2特定数の遊技価値を付与するといった比較的簡単な処理で、付与され得る遊技価値の数が入賞した遊技球の球数以下となる場合における遊技価値の付与処理を行うことができる。なお、第1特定数と第2特定数とが同数であってもよい。例えば、前記第1入賞部へ3個の遊技球が入賞すると、3個の賞球が払い出される。又、上記「前記第1特定数以下の第2特定数の遊技価値が付与される」とあるのを、「前記第1特定数未満の第2特定数の遊技価値が付与される」としてもよい。このようにすれば、常時入賞可能となっているのが上述したように付与され得る遊技価値の数が入賞した遊技球の球数未満となる第1入賞部だけであるため、上述したような不正行為が行われた場合でも、付与され得る遊技価値の数が極めて増加しにくく、結果として不正な遊技価値の付与をさらに抑制することができる。
手段3.手段1又は手段2において、前記第1入賞部と第2入賞部とが一体的に構成されていることを特徴とする遊技機。
上記手段3によれば、第1入賞部と第2入賞部とを一体化することにより部材点数の増加を防ぐとともに、特定入賞手段の配設作業を簡素化することができる。
手段4.手段1又は手段2において、前記特定入賞手段は、前記遊技領域面に配設される基部を備え、当該基部において前記第1入賞部及び第2入賞部が配設されていることを特徴とする遊技機。
上記手段4によれば、第1入賞部と第2入賞部とを基部に配設し一体化することにより部材点数の増加を防ぐとともに、特定入賞手段の配設作業を簡素化することができる。前記「遊技領域面」に代えて「遊技領域を構成する遊技盤面」としてもよい(以下の手段において同様とする)。
手段5.手段1乃至手段4のいずれかにおいて、前記第1入賞部と第2入賞部とが上下に並設され、前記第1入賞部が上位に位置し、前記第2入賞部が下位に位置していることを特徴とする遊技機。
上記手段5によれば、第1入賞部が上位に位置し、第2入賞部が下位に位置している。つまり、常時入賞可能な状態にあり、かつ、付与され得る遊技価値の数が入賞した遊技球の球数以下となる第1入賞部を、遊技球が比較的入球しやすい上位に設けることにより、上述したような不正行為が行われた場合でも、付与され得る遊技価値の数をさらに増加しにくくすることができる。加えて、下位置の第2入賞部が可変入賞部であることから、上記所定入球条件の成立時には、比較的入賞困難となりがちな下位置の入賞部からも入賞しやすくなる。
手段6.手段5において、前記第2入賞部は、前記所定入球条件の成立に基づき、遊技球が入賞不能又は入賞困難な閉塞位置から、遊技球が入賞可能又は入賞容易な開放位置へと変位可能な少なくとも1つの開閉部材を備え、
前記開閉部材が前記閉塞位置にある場合において、前記開閉部材の先端部と、上位に位置する前記第1入賞部との間を遊技球が通過不能又は通過困難となるように、前記先端部が前記第1入賞部に当接若しくは略当接又は隣接するように構成したことを特徴とする遊技機。
上記手段6によれば、開閉部材が所定の閉塞位置にある場合には、遊技球が下位に位置する入賞部へ入賞不能又は入賞困難となるように構成されているため、例えば釘等の案内部材により、遊技球が入賞不能又は入賞困難となるように構成しなくともよく、部品点数の削減や構成の簡素化等を図ることができる。さらに、上記構成とすることにより、第2入賞部に対しては、釘等の案内部材を強制的に変形させるような不正行為が行われなくなるため、結果として、不正な遊技価値の付与をより確実に低減することができる。
手段7.手段1乃至手段5のいずれかにおいて、前記第2入賞部は、前記所定入球条件の成立に基づき、遊技球が入賞不能又は入賞困難な閉塞位置から、遊技球が入賞可能又は入賞容易な開放位置へと変位可能な少なくとも1つの開閉部材を備えていることを特徴とする遊技機。
手段8.手段1又は手段2において、前記特定入賞手段は、前記遊技領域に配設される基部を備え、
前記第1入賞部が上位に位置しかつ前記第2入賞部が下位に位置するように前記第1入賞部及び第2入賞部が前記基部において上下に並設され、
前記基部には、前記第1入賞部と第2入賞部との間に挟まれた部分において、前記遊技領域面に向け貫通した少なくとも1つの貫通孔が形成され、
前記第2入賞部は、前記所定入球条件の成立に基づき、遊技球が入賞不能又は入賞困難な閉塞位置から、遊技球が入賞可能又は入賞容易な開放位置へと変位可能な少なくとも1つの開閉部材を備え、
前記開閉部材が前記閉塞位置にある場合において前記第2入賞部へ遊技球が入賞不能又は入賞困難となるように、前記貫通孔に対応する前記遊技領域面において所定の規制部材が配設されていることを特徴とする遊技機。
上記手段8によれば、上記手段6と同様な効果を奏し、不正な遊技価値の付与をより確実に低減することができる。
手段9.手段6乃至手段8のいずれかにおいて、前記所定入球条件が成立していない場合において前記開閉部材の前記開放位置への変位を規制する変位規制手段を備えていることを特徴とする遊技機。
上記手段9によれば、所定入球条件が成立していない場合において、開閉部材の上記変位を規制する変位規制手段を備えている。このため、所定入球条件が成立していない場合において、開閉部材に対して所定の駆動手段からの応力以外の操作力が加わった場合には、開閉部材の前記変位が規制される。従って、遊技機内へ針金等を侵入させ、開閉部材を強制的に開放させることによって多くの遊技球を特定入賞手段等へ入賞させようとする不正行為等を極力防止できる。
手段10.手段6乃至手段8のいずれかにおいて、前記第2入賞部は、前記開閉部材を変位させるための特定駆動手段を備え、
前記閉塞位置にある開閉部材に対し、前記開放位置へ変位させる前記特定駆動手段からの応力以外の操作力が加えられた場合には、
前記開閉部材が前記閉塞位置にある状態において変位不能又は変位困難となっている特定部位に、前記開閉部材の一部が係止され、
前記開閉部材の前記開放位置への変位が規制されるようにしたことを特徴とする遊技機。
上記手段10によれば、上記手段9と同様の効果を奏する。また、仮に開閉部材が閉塞位置にある状態においても、開閉部材の一部が係止される特定部位が所定方向に変位可能に構成されている場合には、開閉部材から受ける特定方向への応力に対しては当該応力を受けとめることが可能となるが、開閉部材と特定部位との係り具合によっては当該特定部位に対して前記所定方向への力が加わってしまい、特定部位が変位するとともに、開閉部材が変位可能となってしまうおそれがあった。しかし、上記手段10では、開閉部材が前記閉塞位置にある状態において、開閉部材が係止される特定部位が変位不能又は変位困難となっているため、そのような不具合の発生を抑えることができる。
手段11.手段6乃至手段8のいずれかにおいて、前記第2入賞部は、所定の第1位置と第2位置との間で特定の第1軸線に沿って直線駆動可能な駆動部材を有する特定駆動手段と、
前記第1位置から第2位置へと向かう特定駆動方向への前記駆動部材の直線駆動に連動して、前記第1軸線と略直交する第2軸線を軸心として回動する駆動伝達部材とを備え、
前記駆動伝達部材の回動に連動して、前記開閉部材が前記閉塞位置から前記開放位置へと前記第1軸線と略平行な第3軸線を軸心として回動するように構成され、
前記駆動部材が前記第1位置にある場合には、当該駆動部材によって前記駆動伝達部材の回動が規制され、前記開閉部材が回動不能又は回動困難となるようにしたことを特徴とする遊技機。
上記手段11によれば、上記手段9等と同様の効果を奏する。
手段12.手段11において、前記駆動伝達部材は、前記第2軸線と略平行に並設された第1受部と第2受部とを有し、
前記駆動部材は、その変位状態に応じて前記第1受部と第2受部とに当接可能となる掛かり部を有し、
前記駆動部材が前記第1位置にある場合には、前記掛かり部が前記駆動伝達部材の特定回動方向への駆動を規制するように前記第1受部に当接し、
前記駆動部材が前記特定駆動方向へと駆動する際には、前記掛かり部が前記第2受部に掛かることによって、当該第2受部に前記特定回動方向への力が加わり、前記駆動伝達部材が回動するようにしたことを特徴とする遊技機。
上記手段12によれば、上記駆動部材の駆動方向と交差する方向である駆動伝達部材の特定回動方向への動きが、当該駆動部材によって直接的に規制される。このため、比較的少ない部品点数で、より確実に上記開閉部材の回動を規制でき、上記不正行為等を防止できる。また、特定の構成部材を新たに設けたりして、上記特定入賞手段(第2入賞部)の構成を比較的複雑にすることなく、上記駆動伝達部材を回動させたり規制したりすることができ、特定入賞手段の構成の簡素化を図ることができる。
手段13.手段11又は手段12において、前記開閉部材は、前記第3軸線上から外れた位置において、かつ、当該第3軸線と略平行に突出する操作子を有し、
前記駆動伝達部材は、前記操作子を操作可能な少なくとも1つの特定操作部を有し、
前記特定操作部は、前記特定回動方向に沿って並設された第1操作部と第2操作部とにより構成され、
前記駆動部材が第1位置にある場合には、前記第1操作部が前記操作子の回動を規制し、
前記駆動伝達部材が前記特定回動方向へ回動する際には、前記第2操作部によって前記操作子に対して、少なくとも前記第3軸線に略直交する特定方向への力が加えられ、前記開閉部材が回動するようにしたことを特徴とする遊技機。
上記手段13によれば、上記特定操作部と操作子との連結構成により、駆動伝達部材の回動が開閉部材の回動へと変換される。また、開閉部材の回動軸と駆動伝達部材の回動軸とが交差した構成の下、特定操作部が操作子をその回動方向に対して押さえ付けるため、より確実に外力による開閉部材の回動駆動が規制される。
手段14.手段11乃至手段13のいずれかにおいて、前記駆動部材を前記第1位置に付勢する付勢手段を備えたことを特徴とする遊技機。
上記手段14によれば、付勢手段を備えることにより、駆動部材を第1位置に維持させ、上記駆動伝達部材をより確実に規制することができる。
手段15.手段1乃至手段14のいずれかにおいて、複数の識別情報を変動表示可能な特別表示手段を備え、
前記特定入賞手段への遊技球の入賞に基づき、前記識別情報の変動が開始される遊技状態が導出されるようにしたことを特徴とする遊技機。
手段16.手段1乃至手段15のいずれかにおいて、前記特定入賞手段への遊技球の入賞に起因する特定発生条件の成立に基づき、特定遊技状態が発生するように構成されていることを特徴とする遊技機。
手段17.手段1乃至手段16のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機であること。中でも、パチンコ機の基本構成としては、操作手段としてのハンドルを備えており、そのハンドル操作に応じて遊技球を所定の遊技領域に発射させ、遊技領域内に設けられた特定入賞手段に遊技球が入賞することに起因して、各種遊技状態が導出される。
以下に、遊技機としてパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を具体化した一実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、パチンコ機1は、外枠2と、その前部に設けられた前面枠3とを備えている。前面枠3は外枠2の一側部にて開閉可能に装着されている。前面枠3の前面側には、一側部にて開閉可能に装着されたガラス扉枠4が設けられている。ガラス扉枠4の下部には遊技球B(図2参照)を貯留するための上皿5が設けられている。また、ガラス扉枠4の下方には下皿6が設けられ、その側方にはハンドル7が設けられている。ハンドル7は遊技球発射装置94(図7参照)に連結されている。
前面枠3の後側(ガラス扉枠4の奥、外枠2の内側)には、遊技盤8(図2参照)が着脱可能に装着されている。前記遊技球発射装置94は、本実施の形態おける発射手段を構成し、遊技者がハンドル7を回転させることにより、遊技盤8の上部に向けて遊技球Bを発射可能とするものである。
前面枠3内部(上皿5の側方)には、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり、遊技者に遊技状態等を音声にて報知するためのスピーカ9(図7参照)が埋設されている。また、前面枠3の後側(遊技盤8の後側)には後述する集合盤80(図4等参照)が取着されている。
図2に示すように、遊技盤8の一側部には、遊技球発射装置によって発射された遊技球Bを遊技盤8の上部に案内する内レール10a及び外レール10bが設けられている。
遊技盤8には、ルータ加工が施されることによって複数の開口部が形成されており、各開口部には以下に記述するように各種部材が取着されている。
遊技盤8の下部には、始動入賞ユニット11及び大入賞口12が設けられている。始動入賞ユニット11は、本実施の形態における特定入賞手段を構成し、後述するように第2入賞部としての下入賞部49、及び、第1入賞部としての上入賞部50を備えている。なお、本実施の形態では、遊技盤8のうち内レール10a及び外レール10bによって囲まれ、始動入賞ユニット11等が配設された部分が、遊技球Bが流下可能な遊技領域となっている。
大入賞口12の奥にはシーソー14が設けられているとともに、シーソー14の側部においてVゾーン15及び入賞通路16が設けられている。
大入賞口12の前部には、大入賞口12を開閉するシャッタ17が設けられている。シャッタ17は大入賞口12の側部に設けられた大入賞口用ソレノイド18により作動する。詳しくは、後述する特定発生条件の成立に基づいた特定開放条件が成立し大入賞口ソレノイド18が励磁状態となると、シャッタ17が略水平状態となり大入賞口12が開かれる。大入賞口ソレノイド18が非励磁状態となると、シャッタ17が略垂直状態となり大入賞口12が閉鎖される。
大入賞口12の一側部には、シーソー用ソレノイド19が設けられている。通常、シーソー用ソレノイド19は非励磁状態となっている。このとき、シーソー14はVゾーン15の方へ傾いた状態となっている。また、シーソー用ソレノイド19が励磁状態となると、シーソー14は入賞通路16の方へ傾いた状態となる。つまり、遊技球Bが大入賞口12に入賞した場合、遊技球Bはシーソー14の傾きにより、Vゾーン15又は入賞通路16のどちらか一方へ導かれるようになっている。なお、本実施の形態では、大入賞口12(シャッタ17)の開状態において、遊技球Bが1つでもVゾーン15を通過すると、シーソー用ソレノイド19が励磁状態となる。そして、シャッタ17が閉じられると再び非励磁状態にもどるように構成されている。
遊技盤8の中央部には、特別表示手段としての特別図柄表示装置20が組込まれている。特別図柄表示装置20は、液晶ディスプレイ(LCD)よりなる表示部20aを備えており、識別情報としての識別図柄や、各種キャラクタ等を表示可能とする。本実施の形態では、例えば表示部20aの変動領域としての左図柄表示領域21、中図柄表示領域22及び右図柄表示領域23において、複数種の識別図柄が変動表示される。ここでは、各図柄表示領域21〜23に確定停止表示される識別図柄の停止態様(組合せ)によって、各種遊技状態が導出される。各種遊技状態としては、識別図柄の変動、特定遊技状態としての大当たり状態、リーチ状態、外れ状態等が例として挙げられる。
ここで、大当たり状態とは、遊技者に比較的不利な状態である通常遊技状態(遊技球Bが徐減する状態)から特定発生条件が成立することに基づいて発生する遊技者に有利な状態をいう。大当たり状態が発生する際には、識別図柄が特定の停止態様で停止表示される。例えば、「7」・「7」・「7」というような特定の組合せで停止表示される。なお、大当たり状態が導出される際に確定停止表示される識別図柄を大当たり図柄という。
リーチ状態とは、大当たり状態に至る過程にある一状態をいい、表示部20aにおいて、複数の識別図柄の停止態様に基づいて特定表示態様としてのリーチ態様が成立した状態を指す。なお、リーチ態様を成立させる識別図柄をリーチ図柄という。また、識別図柄の変動表示とともに、種々のリーチ演出に代表される様々な表示演出も行われるようになっている。
外れ状態とは、各図柄表示領域21〜23に異なる種類の図柄(これを「外れ図柄」という)が停止して、リーチ状態を経ず、かつ、大当たり状態ともならない状態のことである。
なお、識別図柄の変動表示は、遊技球Bが始動入賞ユニット11(下入賞部49又は上入賞部50)へ入賞することに基づいて行われるようになっている。但し、変動表示中に遊技球Bが新たに入賞した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われるようになっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。
表示部20aの上方には、前述したような識別図柄の変動表示の保留回数を示す保留ランプ24a,24b,24c,24dが組み込まれている。保留ランプ24a〜24dは、変動表示の保留毎に点灯し、その保留に対応した変動表示の実行に伴い消灯するようになっている。
特別図柄表示装置20上部には、普通図柄表示装置31が併設されている。普通図柄表示装置31は、保留ランプ32と、7セグ表示部33とを有している。また、特別図柄表示装置20の左右両側方には、一対の通過ゲート34が配設されている。なお、上記通過ゲート34のように遊技球Bが検出後に遊技盤8面上より排出されないものは、本実施の形態における特定入賞手段には該当しないものとする。
遊技球Bが通過ゲート34を通過すると普通図柄表示装置31が作動するようになっている。普通図柄表示装置31は、7セグ表示部33において「0」から「9」までの数字を可変表示する。その数字が所定値で停止した場合には、後述するように下入賞部49の羽根70が所定秒数開放する。普通図柄表示装置31は、遊技球Bの通過ゲート34の通過回数を記憶することができ、保留ランプ32でその保留数を表示する。従って、すべての保留ランプ32が点灯している状態では、遊技球Bが通過ゲート34を通過してもカウントされない。また、保留ランプ32が点灯している限り、遊技球Bが通過ゲート34を通過しなくとも保留数に応じた回数だけ普通図柄表示装置31は作動する。
また、遊技盤8には、遊技者の操作に応じて変化するパチンコ機1の遊技状態を検出するための各種スイッチが設けられている。例えば、本実施の形態においては、スルースイッチ40、Vゾーン用スイッチ42、カウントスイッチ43、下入賞部用スイッチ44及び上入賞部用スイッチ45が設けられている。ここで、スルースイッチ40は、遊技球Bが通過ゲート34を通過したことを検出するものである。Vゾーン用スイッチ42は、遊技球Bが大入賞口12内のVゾーン15へ入賞したこと検出するものである。カウントスイッチ43は、遊技球Bが大入賞口12へ入賞したことを検出するものである。下入賞部用スイッチ44は、遊技球Bが下入賞部49へ入賞したことを検出するものであり、上入賞部用スイッチ45は、遊技球Bが上入賞部50へ入賞したことを検出するものである。
また、パチンコ機1各部には、遊技効果を高めるための各種演出用ランプや電飾部材等が取付けられている。これらの演出用ランプや電飾部材等(以下単にランプ91(図7参照)と称する)は、遊技の進行に応じて点灯状態(消灯、点灯、点滅等)が変えられる。また、遊技盤8には、遊技球Bの流下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘や風車等の各種部材(役物)が配設されている(但し、便宜上、符号を省略する)。釘等は本実施の形態における規制部材や案内部材を構成する。
ここで、上述した始動入賞ユニット11について図3乃至図6を参照しつつ詳しく説明する。始動入賞ユニット11は、遊技盤8面上に配設される基部としての台板48を備えている。台板48の下部には下入賞部49が設けられ、上部には上入賞部50が設けられている。なお、本実施の形態において、入賞部とは遊技球Bが遊技盤8面上より入球可能な部位を指す。
まず、下入賞部49を構成する部分及びその関連する部分について説明する。台板48の下部には遊技球Bが前後方向へ通過可能な通過孔51が形成されている。台板48の背面側には、通過孔51の下辺部から突出する底壁部52と、当該底壁部52に連接し通過孔51の両側辺部から突出する一対の側壁部53とが設けられている。
底壁部52の後部は集合盤80にまで達し、その後端部は集合盤80に形成された下排出流路81に連接されている。第1排出流路81は図示しない球排出部へとつながっている。下排出流路81の途中に上記下入賞部用スイッチ44が取着されている。下入賞部用スイッチ44は本実施の形態における第2検出手段又は特定検出手段を構成する。なお、通過孔51、底壁部52、下排出流路81、後述する前カバー69や羽根70等により、本実施の形態における第2案内流路が構成される。従って、下入賞部用スイッチ44の取着位置は上記位置に限らず、前記第2案内流路を構成する部分であればどこでもよい。例えば、前カバー69や通過孔51等に取着された構成としてもよい。
また、側壁部53の後端上部には、特定駆動手段としてのソレノイド54が取着されている。ソレノイド54は、その台板48側において、前後方向へ駆動可能な駆動部材としてのプランジャ55を備えている。なお、プランジャ55の軸心が本実施の形態における第1軸線を構成する。
プランジャ55は、その軸部より径の大きな円盤状の掛かり部としての先端部56を有する。また、前記軸部の周囲には付勢手段としてのコイルばね57が圧縮された状態で取着されている。これにより、ソレノイド54が非励磁状態にある場合には、コイルばね57の付勢力によりプランジャ55が突出位置に維持される。また、ソレノイド54が励磁されると、プランジャ55がソレノイド54内に没入し、励磁状態ではプランジャ55がその没入位置で維持される。前記突出位置が本実施の形態における第1位置又は特定位置に相当し、前記没入位置が第2位置に相当する。従って、プランジャ55の没入方向が本実施の形態における特定駆動方向に相当する。
前記両側壁部53間には、ソレノイド54の前方において、駆動伝達部材としてのソレノイドアーム60が回動可能に支持されている。ソレノイドアーム60は、両側壁部53に沿った一対のアーム部61と、両アーム部61を連結する2本の連結バー(前連結バー62と後連結バー63)とにより構成されている。ここで、前連結バー62が本実施の形態における第1受部を構成し、後連結バー63が第2受部を構成する。
ソレノイドアーム60には、その左右両側部(アーム部61の外側壁部)の後端部近傍において、左右一対の軸突部61a(図6参照)が形成されている。各軸突部61aはそれぞれ前記両側壁部53の相対向する面に設けられた図示しない孔部に回動可能にはめ込まれている。これにより、前記両軸突部61aを結んだ左右方向の線を軸として、ソレノイドアーム60が両側壁部53に対して回動するようになっている。なお、前記左右方向の軸線が本実施の形態における第2軸線に相当する。
両アーム部61の前端部には、それぞれ上下一対の操作部(上操作部65、下操作部66)が略前方へ向けて突出形成されている。なお、上記一対の操作部65,66が本実施の形態における特定操作部を構成する。また、上操作部65が第1操作部を構成し、下操作部66が第2操作部を構成する。上下操作部65,66は、それぞれその先端部が略対向する側に向くように湾曲しており、両操作部65,66間には略C字状に切り欠かれた隙間が形成されている。
前連結バー62及び後連結バー63は、アーム部61の長手方向と略直交するように設けられており、それらの長手方向の両端部は下方に向けて屈曲し各アーム部61の上面部に連接されている。
通常時(ソレノイド54が非励磁状態にある場合)、ソレノイドアーム60は前傾状態となっており、少なくとも下操作部66の高さ位置が軸突部61aの位置より低位置となっている。前連結バー62には、通常時に上方を向く略平面状の受け面62aが形成され、通常時には、後連結バー63の上端部が前連結バー62の上端部より若干高くなる。また、通常時、プランジャ55の先端部56はコイルばね57の付勢力によって、台板48の背面側の受け部48aに当接するとともに、先端部56の外周下端部が受け面62aにほぼ当接する。
台板48の前面側には、上部の開口した前カバー69が通過孔51を覆うように取着されている。前カバー69と台板48との間には、通過孔51の両側辺部に対応して左右一対の開閉部材としての羽根70が回動可能に支持されている。
詳しくは、前カバー69と台板48の相対向する面にはそれぞれ両羽根70に対応するように図示しない軸突部が設けられている。両羽根70の下部には、それぞれその前後両面において前記軸突部がはめ込まれる前後一対の軸受け凹部70aが設けられている(図6参照)。従って、各羽根70は、その両軸受け凹部70aを結ぶ前後方向の線を軸として回動するようになっている。両羽根70の先端部は前カバー69から外方へ突出している。なお、前記前後方向の軸線は本実施の形態における第3軸線に相当する。本実施の形態において、下入賞部49は、開閉部材としての各羽根70を有する可変入賞部である。
両羽根70の背面側には、それぞれ軸受け凹部70aの近傍であって、かつ、始動入賞ユニット11の左右方向の中央部よりの部分において、略棒状の操作子71が後方へ向けて突出形成されている。各操作子71は、通常時、少なくとも軸受け部70aの中心より下方に位置する。各操作子71は、通過孔51を介して台板48の背面側へ突出し、その後端部が前記各アーム部61の一対の操作部65,66間に配されている。
また、両羽根70の前面側の下端部近傍には係止突部70bが設けられ、これに対応するように前カバー69の背面側には係止突部70bを係止可能な図示しないストッパが設けられている。これにより、両羽根70の回動変位量が規制され、後述するように両羽根70が遊技球Bの入賞容易となる所定の開放位置に維持可能となっている。
次に、上入賞部50を構成する部分及びその関連する部分について説明する。台板48の上端部には遊技球Bが前後方向へ通過可能な凹部75が形成されている。台板48の前面側には、上部の開口した導入部76が凹部75の前面側を覆うように形成されている。台板48の背面側には、凹部75の下辺部及び導入部76の底部と面一となった底壁部77と、当該底壁部77に連接し凹部75の両側辺部から突出する一対の側壁部78とが設けられている。底壁部77の後部は集合盤80にまで達し、その後部において当該底壁部77に連接する傾斜部82が設けられている。傾斜部82は集合盤80に形成された上排出流路83に連接されている。上排出流路83は図示しない球排出部へとつながっている。上排出流路83の途中に上記上入賞部用スイッチ45が取着されている。上入賞部用スイッチ45は本実施の形態における第1検出手段を構成する。なお、凹部75、導入部76、底壁部77、側壁部78、傾斜部82や上排出流路83等により、本実施の形態における第1案内流路が構成される。従って、上入賞部用スイッチ45の取着位置は上記位置に限らず、前記第1案内流路を構成する部分であればどこでもよい。例えば、凹部75、導入部76の開口部等に取着された構成としてもよい。
なお、通常時(両羽根70が閉塞位置にある場合)には、各羽根70の先端部が導入部76のほぼ直下方に隣接した位置にあり、下入賞部49へ遊技球Bが入球不能となっている。一方、上入賞部50へは、常時、導入部76の上側より入球可能となっている。
各入賞部49,50から入賞した遊技球Bが上記各排出路81,83によって排出されず、再び遊技盤8面上に戻るように構成されている場合(例えば通過ゲート34のような構成の場合)には、一旦各入賞部49,50から入賞した遊技球Bが再び他の入賞手段例えば普通入賞口等へ入賞してしまうおそれがあるため賞球の払出しに関する調整等を行うことがより複雑化してしまうおそれがあったが、上記構成とすることによりそのような不具合が低減される。
さて、次にパチンコ機1の裏側に装着された各種制御装置(制御基板)について図7を参照しつつ説明する。図7は、各制御装置の電気的構成を示すブロック図である。パチンコ機1の裏側には、遊技制御手段としての主制御装置(主基板)90、上記ランプ91を制御するランプ制御基板92、上記スピーカ9を制御する音声制御基板93、上記発射装置94を制御する発射制御基板95、特別図柄表示装置20を制御する表示制御基板96、遊技球払出機構97を駆動制御する払出制御基板98等の各種制御基板が設けられている。なお、主基板90及び払出制御基板98により、本実施の形態における付与制御手段(払出制御手段)が構成される。
主基板90は、スルースイッチ40等の各種スイッチの検出結果に基づいて、ソレノイド18,19、ソレノイド54、特別図柄表示装置20、各保留ランプ24a〜24d、普通図柄表示装置31等を駆動制御するものである。主基板90は、読み出し専用メモリ(ROM)、中央処理装置(CPU)及びランダムアクセスメモリ(RAM)等を備えている。ROMには所定の制御プログラムや初期データが予め記憶されており、CPUはROMの制御プログラム等に従って各種演算処理を実行する。CPUによる演算結果はRAMに一時的に記憶される。
また、主基板90には各種カウンタが設定されている。具体的には、大当たり状態を決定する内部乱数カウンタ、大当たり図柄を決定する大当たり図柄乱数カウンタ、後述する確変モードを付与するか否かを決定する確変乱数カウンタ、及び、各図柄表示領域21〜23における停止図柄等を決定するための各図柄乱数カウンタ等の各種乱数カウンタが設定されている。また、後述するような大当たり中のラウンド回数をカウントするラウンドカウンタ、大入賞口12への遊技球Bの入賞個数をカウントする入賞カウンタ、変動表示等の保留回数をカウントする各種保留カウンタ等の各種計数カウンタが設定されている。
上記各乱数カウンタは、それぞれ所定時間(例えば「2ms」)毎に値を所定範囲内で更新される。各カウンタの各値は所定の条件に従って乱数として読み出され、各カウンタに対応した乱数バッファに格納されるようになっている。例えば、始動入賞ユニット11(下入賞部49又は上入賞部50)に入賞した遊技球Bが下入賞部用スイッチ44又は上入賞部用スイッチ45によって検出されたとき、読み出された内部乱数カウンタの値が特定値であれば、特定発生条件が成立し、大当たり状態の発生が決定される。また、各カウンタにおいて、カウンタの値がそれぞれ特定の値になった場合には初期値に戻るようになっている。
次に、上記のように構成されてなるパチンコ機1の基本的な作用について説明する。主基板90は、下入賞部用スイッチ44又は上入賞部用スイッチ45からの検出信号に基づき遊技球Bが下入賞部49又は上入賞部50へ入賞した旨を検出すると、その検出結果に基づいて対応する保留ランプ24a〜24dを点灯させる。例えば、それまで2つの保留ランプ24a及び24bが点灯されていた場合には3つ目の保留ランプ24cを点灯させる。但し、保留ランプ24a〜24dが全て点灯している場合は除かれる。そして、主基板90は保留カウンタの値を「1」だけ加算する。
そして、主基板90は各乱数バッファに格納された各カウンタの各値に基づいた各種コマンドを表示制御基板96等の各種制御基板へ出力する。そして、コマンドを受け取った表示制御基板96等では、各コマンドに対応した制御が行われる。
そして、表示部20aでは、各図柄表示領域21〜23において識別図柄が変動表示され、その後識別図柄の変動が順次停止させられる。このとき、表示制御基板96は、現在リーチ状態が発生しているか否かを確認する。具体的には、左右両図柄表示領域21,23において停止表示された識別図柄が所定の大当たりライン上において同種であるか否かを確認する。そして、リーチ状態とならない場合には、中図柄表示領域22において停止図柄を確定停止表示するべく、識別図柄の変動を停止する。一方、リーチ状態となる場合には、表示制御基板96は各種リーチ動作処理を行う。
その後、主基板90は、自身が有するタイマに基づき、所定時間に応じたタイミングで表示制御基板96に対し確定コマンドを出力する。表示制御基板96は、その確定コマンドを受け取ると、変動コマンドの時間情報に基づく変動を完了した時点で図柄情報に応じた図柄を確定表示させる。例えば、大当たり状態が発生する場合には、内部図柄カウンタによって決定された大当たり図柄の図柄情報を含んだコマンドが、リーチ演出の最終段階で送信され、大当たり図柄が表示部20aに確定表示される。
主基板90は、表示制御基板96に確定コマンドを送信した後、表示部20aに確定表示された識別図柄の停止態様(組合せ)が大当たりのものであるか否かを確認する。そして、識別図柄の停止態様(組合せ)が大当たりのものでない場合には、主基板90は、図柄変動が保留されていること確認すると、上述した図柄変動処理を繰り返し行う。ここで、図柄変動が保留されていないことが確認されると、主基板90は、下入賞部用スイッチ44又は上入賞部用スイッチ45から新たな検出信号が入力されるまで待機する。
また、識別図柄の停止態様(組合せ)が大当たりのものである場合には、主基板90は、ラウンドカウンタを「0」にクリヤするとともに、大当たり状態を報知する旨のコマンドを表示制御基板96等に出力する。これにより、表示部20aでは大当たり報知表示が行われる。
次に、主基板90は、入賞カウンタを「0」にクリヤするとともに、入賞判定用の所定フラグを「0」に設定する。ラウンドカウンタを「1」だけ加算する。続いて、主基板90は、大入賞口用ソレノイド18を励磁させることで、シャッタ17を倒して略水平状態とし大入賞口12を開放する。これにより、遊技球BがVゾーン15及び入賞通路16へ入賞するようになり、遊技者が多数個のパチンコ球を取得できるような大当たり状態となる。
この大当たり状態中に、主基板90は、入賞カウンタの値が予め定められた所定値よりも小さいか否かを適宜判定する。この判定条件が満たされている場合には、主基板90は、未だ大入賞口12の閉鎖予定時期が到来していないか否かを判定する。そして、閉鎖予定時期が到来していない場合には、主基板90は、継続してこの判定処理を繰り返す。従って、大入賞口12の開放開始後に所定値よりも多くの遊技球Bが入賞するか、閉鎖予定時期が到来するかしない限りは、大入賞口12が開放され続ける。所定値よりも多くの遊技球Bが入賞するか、閉鎖予定時期が到来すれば、主基板90は、大入賞口用ソレノイド18を消磁する。これにより、シャッタ17が起こされて略垂直状態となり、大入賞口12が閉鎖される。
その後、主基板90は、ラウンドカウンタの値が予め定められた所定値よりも小さいか否かを判定する。そして、ラウンドカウンタの値が所定値よりも小さい場合には、主基板90は、入賞があるか否かを判定する。ここで、入賞がある場合には、主基板90は、この処理を繰り返し行う。従って、一旦大当たり遊技状態が発生すると、遊技球BがVゾーン15に入賞することによる継続条件が、所定回数満たされるまでは、大入賞口12が開閉のサイクルを繰り返すこととなる。例えば、ここで入賞カウンタの所定値を「10」、大入賞口4の開放時間を「約29.5秒」、ラウンドカウンタの所定値を「16」に設定したとする。このような場合には、大入賞口12の開放後、(1)遊技球Bが大入賞口12へ10個入賞すること、(2)約29.5秒が経過すること、のいずれか一方の条件が満たされた時点で大入賞口12が閉鎖される。この大入賞口12の開閉のサイクルが遊技球BのVゾーン15への入賞を条件に最大で16回繰り返されることとなる。
ラウンドカウンタの値が所定値以上となるか、入賞がない場合には、主基板50は、大当たり状態が終了したものとして、その旨を報知するコマンドを表示制御基板96に出力する。そして、表示部20aには大当たり状態が終了した旨の表示がなされる。
また、本実施の形態においては、遊技モードが特定付加条件の成立に基づいて切換えられるようになっている。この遊技モードとして、本実施の形態においては2つのモードが用意されている。例えば300分の1程度の低確率で大当たり遊技状態を発生させる通常モードと、その約5倍である60分の1程度の高確率で大当たり遊技状態を発生させる高確率モード(以降、便宜上「確変モード」と称する)とがある。次回の遊技モードは、主基板90によって、大当たり状態の付与決定時に、上記確変乱数カウンタの値に基づき決定されるように構成されている。ここで、確変モードは、本実施の形態における特定付加状態に相当する。なお、パチンコ機1の電源投入時においては、通常モードに設定されるようになっている。
一般的に、確変モードの概念としては、(1)7セグ表示部33に所定値が表示される確率を通常時に比べて高め、下入賞部49の羽根70を開放させる機会を増やすこと、(2)7セグ表示部33における所定値の表示一回につき羽根70が1回又は複数回開放するように構成し、その開放回数を増やすこと、(3)7セグ表示部33における数字の変動時間を短くすること、(4)羽根70の開放時間を長くすること(及び/又は入賞個数を多くすること)、(5)特別図柄表示装置20の表示部20aの識別図柄の変動時間を短くすること、(6)大当たり確率が通常モードに比べて高くなること等が挙げられるが、本実施の形態における確変モードにおいては、(6)に加えて、(1)〜(5)の全ての事項が実行される。
さて、ここで始動入賞ユニット11の作用及び賞球(遊技球B)の払出処理について詳しく説明する。主基板90はスルースイッチ40からの検出信号に基づき遊技球Bが通過ゲート34を通過した旨を検出すると、その検出結果に基づいて対応する保留ランプ32を点灯させる。そして、主基板90は普通図柄表示装置31用の保留カウンタの値を「1」だけ加算する。その後、保留カウンタの値を「1」減算するとともに、7セグ表示部33において「0」から「9」までの数字を可変表示する。
続いて、主基板90は所定の乱数バッファに格納されたカウンタ値に基づき、所定の数字を7セグ表示部33に停止表示する。その数字が所定値で停止した場合には、主基板90は、所定入球条件が成立したとみなし、ソレノイド54を駆動制御する。
ソレノイド54が励磁されると、プランジャ55が後方向へスライド変位しソレノイド54内へ没入される。プランジャ55が後方向へスライドする際には、先端部56の下部が後連結バー63に掛かり、後連結バー63に後方向への力が加わる。このため、プランジャ55のスライド変位に伴いソレノイドアーム60が回動変位し、上下操作部65,66の位置が上がっていく。
これに伴い、各下操作部66によって各操作子71に上方向への力が加えられる。これにより、両羽根70は、各先端部が離間していくように回動変位する。つまり、始動入賞ユニット11の正面から見て、左側の羽根70は反時計回りに、右側の羽根70は時計回りに回動する。この回動は、係止突部70bが前記ストッパに係止されることにより、各羽根70の先端部が略水平方向に向いた位置で停止するようになっている(図6(b)参照)。この各羽根70の位置が本実施の形態における開放位置に相当する。この状態、つまり下入賞部49が開放状態となると、上入賞部50からのみならず下入賞部49からも遊技球Bが入賞可能となる。
一方、ソレノイド54の励磁が解除されると、コイルばね57の付勢力によってプランジャ55は前方へスライドする。プランジャ55が前方へスライドする際には、先端部56の下部が前連結バー62に掛かり、前連結バー62に前方への力が加わる。これにより、ソレノイドアーム60は回動し、各アーム部61の先端部が通常時の位置へと戻される。これに伴い、各上操作部65によって各操作子71に下方向への力が加えられ、各羽根70の先端部がそれぞれ内方向へ向かうように各羽根70が回動する。各羽根70の先端部が略上方を向いた状態となり停止する(図6(a)参照)。このような閉塞状態となると、上述したように各羽根70の先端部が導入部76のほぼ直下方に位置し、下入賞部49へ遊技球Bが入球不能となる。この各羽根70の位置が本実施の形態における閉塞位置に相当する。この際、上述したように、プランジャ55の先端部56の下端部が受け面62aに当接される。つまり、通常時では、プランジャ55の駆動方向及び各羽根70の回動軸と、ソレノイドアーム60の回動軸とが略直交した構成の下、プランジャ55がソレノイドアーム60を押さえ付けるとともに、各上操作部65が各操作子71をその回動方向に対して押さえ付けた状態となっている。従って、プランジャ55、ソレノイドアーム60や操作子71等により、本実施の形態における変位規制手段が構成される。
下入賞部49へ遊技球Bが入賞すると、当該遊技球Bは通過孔51を通過し、底壁部52に沿って後方に向けて転動するとともに、下排出流路81へと導かれる。そして、下排出流路81によって上記球排出部へと導かれるとともに、下入賞部用スイッチ44によってその入賞が検出される。
一方、上入賞部50へ入賞した遊技球Bは、導入部76,凹部75を経て、底壁部77に沿って後方に向けて転動するとともに、傾斜部82より上排出流路83へと導かれる。そして、上排出流路83によって上記球排出部へと導かれるとともに、上入賞部用スイッチ45によってその入賞が検出される。
さて、上記各種スイッチにより遊技球Bの入賞が検出された場合、各種スイッチの検出信号は主基板90へ出力され、主基板90から払出制御基板98に対して賞球(遊技球B)の払出しに関するコマンドが出力される。払出制御基板98は、主基板90からのコマンドを入力すると、随時、遊技球払出機構97を駆動制御し、各入賞部49,50に対応する所定個数の賞球(遊技球B)の払出し処理を実行する。そして、遊技球払出機構97によって上皿5(場合によっては下皿6)に対し所定個数の賞球(遊技球B)が払出される。例えば、本実施の形態では、上入賞部50への遊技球Bの一入賞に基づいて払い出される賞球数が1個と設定され、上入賞部50へ入賞した遊技球Bの球数と払出個数とが同じになるように構成されている。また、下入賞部49への遊技球Bの一入賞に基づいて払い出される賞球数が5個と設定され、下入賞部49へ入賞した遊技球Bの球数より払出個数が多くなるように構成されている。
以上詳述したように、常時入賞可能な状態にある上入賞部50とは別に、可変入賞部である下入賞部49を設けるとともに、上入賞部50に対応する賞球数を1個とし、下入賞部49に対応する賞球数を5個とすることにより、仮に遊技中等においてガラス扉枠4を開け、各入賞部49,50の周辺の釘等を強制的に曲げて、各入賞部49,50への入賞率を高め、より多くの賞球を得ようとする不正行為が行われた場合でも、常時入賞可能となっているのが上入賞部50だけであるため、払い出される賞球数が増加しにくい。結果として、不正な賞球の払出しを極力低減することができる。また、上入賞部50に対応する賞球数を比較的少ない1個としても、上入賞部50の下位には、対応する賞球数が比較的多い下入賞部49が設けられているため、正しく遊技を行う遊技者が極端に不利になってしまうような不具合が発生しにくい。
また、上入賞部50へ遊技球Bを入賞しやすくしたり、下入賞部49へ遊技球Bを入賞し難くすることにより、始動入賞ユニット11(上入賞部50及び下入賞部49)へ入賞する一遊技球Bあたりの払出個数を上げることなく遊技球Bの入賞個数を増やすことができる。又、上入賞部50へ遊技球Bを入賞し難くしたり、下入賞部49へ遊技球Bを入賞しやすくすることにより、始動入賞ユニット11へ入賞する一遊技球Bあたりの払出個数を上げることができる。従って、入賞部が1つだけ設けられている場合に比べて、入賞個数及び払出個数を調整する際の調整作業が比較的容易なものとなる。結果として、遊技者にとっての興趣の向上と遊技店側の利益とを考慮した調整を容易に行うことができる。
さらに、上入賞部50が上位に位置し、下入賞部49が下位に位置している。つまり、常時入賞可能な状態にあり、かつ、対応する払出個数が1個である上入賞部50を、遊技球Bが比較的入球しやすい上位に設けることにより、上述したような不正行為が行われた場合でも、払い出される賞球数をさらに増加しにくくすることができる。
各羽根70の位置が上記閉塞位置にある場合において、各羽根70に対してプランジャ55からの応力以外の外力が加えられたとしても、各操作子71を介してソレノイドアーム60へ伝達される応力がプランジャ55によって受け止められ、各羽根70が回動困難となる。これにより、パチンコ機1内へ針金等を侵入させ、各羽根70を強制的に開かせることによって、多くの遊技球Bを下入賞部49へ入賞させようとする不正行為等を極力防止できる。
また、羽根70が所定の閉塞位置にある場合には、遊技球Bが下入賞部49へ入賞困難となるように構成されているため、釘等の規制部材(案内部材)により、遊技球Bが入賞不能又は入賞困難となるように構成しなくともよく、部品点数の削減や構成の簡素化等を図ることができる。下入賞部49に対しては、釘等を強制的に変形させるような不正行為が行われなくなるため、結果として、不正な賞球の払出しをより確実に低減することができる。さらに、羽根70に針金等を引っかけにくくなるため、下入賞部49に対する針金等を使用した不正行為がより実行困難となる。
また、下入賞部49と上入賞部50とが台板48上において上下に並設された状態で、始動入賞ユニット11として一体的になっている。これにより、部材点数の増加を防ぐとともに、始動入賞ユニット11の遊技盤8への配設作業を比較的容易に行うことができる。
加えて、払出個数のより少ない上入賞部50が上位に、払出個数のより多い下入賞部が下位に設けられ、上入賞部50に遊技球Bが入賞せず、遊技球Bの入賞する機会の少なくなった始動入賞ユニット11の下位部分において、より多くの賞球(遊技球B)の払出しを得る機会が残るように構成されているため、遊技者に対して当該遊技への興味をより長く持ち続けさせることができる。
下入賞部49が可変入賞部となっており、確変モード中においては羽根70が開放位置となる割合が増えるように構成されている。このため、下入賞部49から入賞する遊技球Bの数が増えやすくなるため、賞球の払出個数が増えやすくなる。従って、遊技者が有する遊技球Bの減少が比較的少なくなり、遊技者は、遊技球の減少に関して比較的頻繁に気遣いをせずともよく、遊技に集中することができる。さらに所定入球条件を変化させることにより、下入賞部49への遊技球Bの入賞個数や賞球の払出個数等の調整を比較的容易に行うことができる。例えばが羽根70が開放位置となる頻度を増やすことにより、遊技者が獲得し得る賞球数を増やすことができ、遊技者にとってのさらなる興趣の向上を図ることができる。
一般的に、始動入賞手段(作動口等)への遊技球Bの入球が特別図柄表示装置における変動表示を開始させる契機となるため、遊技盤面上における釘等の配置構成は上記始動入賞手段へ遊技球Bが集まりやすくなるような構成となっている。そのため、仮に上述したような不正行為が上記始動入賞手段に対して行われた場合には、他の入賞手段に対して不正行為が行われた場合に比べて、遊技店側が受ける被害が大きくなるおそれがある。従って、上記始動入賞手段に相当する始動入賞ユニット11を上記構成とすることにより、仮に他の入賞手段を上記構成とした場合に比べて不正防止の効果がより発揮される。
尚、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)上記実施の形態においては、通常時(両羽根70が閉塞位置にある場合)には、各羽根70の先端部が導入部76のほぼ直下方に隣接した位置にあり、下入賞部49へ遊技球Bが入球不能となっている。これに限らず、下入賞部49と上入賞部50との間隔を拡げて、通常時において遊技球Bが下入賞部49へ入賞可能となるような構成としてもよい。但し、下入賞部49と上入賞部50との間隔を比較的狭くして、遊技球Bが下入賞部49へ入賞困難となっていることが好ましい。この場合、図8に示すように、台板100における下入賞部101と上入賞部102との間に挟まれた部分に、釘103を遊技盤8に配設するための貫通孔としての配設孔105を設けてもよい。又は、図9に示すように、配設孔105が設けられた部分において、釘103を列状に配設して、通常時において遊技球Bが下入賞部101へ入球不能となるような構成としてもよい。
(b)上記実施の形態においては、下入賞部49のみが可変入賞部として構成されている。これに限らず、上下両入賞部が可変入賞部となった構成としてもよい。また、可変入賞部の構成も上記実施の形態に限られるものではなく、例えば、図10,11に示すように、略板状の開閉部材110が遊技盤8と略平行な軸線を軸心として回動し、略垂直方向に沿って配置されることにより閉塞位置となり、前方に傾倒することにより開放位置となる可変入賞部111を採用し、開閉部材110が閉塞位置に位置している場合には所定の変位規制手段により、開閉部材の前記開放位置への変位が規制されるような構成としてもよい。加えて、開閉部材110が閉塞位置にある場合において、遊技球Bを下位に位置する下入賞部112へ誘導可能な一対の誘導部113を当該開閉部材110に設けた構成としてもよい。また、下入賞部49の開閉部材を上記羽根70に代えて、上記開閉部材110と同様の略板状のものとしてもよい。
(c)上記実施の形態に限らず、下入賞部49と上入賞部50とを別体とした構成としてもよい。また、下入賞部49及び上入賞部50の少なくとも一方を複数設けた構成としてもよい。
(d)上記実施の形態では、上入賞部50への遊技球Bの一入賞に基づいて払い出される賞球数が1個と設定され、上入賞部50へ入賞した遊技球Bの球数と払出個数とが同じになるように構成されている。これに限らず、上入賞部50への遊技球Bの入賞に基づいて払い出される賞球数が、上入賞部50へ入賞した遊技球Bの球数より少なくなるような構成としてもよい。例えば、上入賞部50へ入賞した遊技球Bの数を記憶する入賞数記憶手段を備え、上入賞部50へ第1特定数(例えば5個)の遊技球Bが入賞することに基づいて、第2特定数(例えば3個)の賞球の払出しが行われるような構成としてもよい。
(e)上記実施の形態では、いわゆる第1種のパチンコ機1が実施例として挙げられているが、これに限らず、上記実施の形態とは異なるタイプのパチンコ機や他の遊技機等として実施することも可能である。例えば、遊技盤において、遊技球Bが入賞不能又は入賞困難となる閉塞状態と、遊技球Bが入賞可能又は入賞容易となる開放状態とに切換可能な特別可変入賞装置を備え、遊技球Bが特定入賞手段としての始動入賞ユニットへ入賞することに基づいて、前記特別可変入賞装置が前記開放状態となるように構成されたいわゆる第2種のパチンコ機として実施してもよい。第2種のパチンコ機では、遊技盤面上における釘等の配置構成は前記始動入賞ユニットへ遊技球Bが比較的集まりやすくなるような構成となっている。従って、上記実施の形態において述べた効果と同様の効果を奏する。もちろん、いわゆる第3種のパチンコ機として実施してもよい。また、確変モードに代えて、特定付加状態としての時短モード等が発生する第1種のパチンコ機として実施してもよい。また、確変モード等の特定付加状態の発生しないパチンコ機として実施してもよい。また、賞球の払出しに、代えて又は加えて、仮想的な遊技価値としての、記憶された賞球(遊技球B)の数を所定の表示手段において表示させるパチンコ機として実施してもよい。