JP6442098B1 - 吸収性物品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製品外面や下着が湿った感触となりにくくなる吸収性物品を提供する。
【解決手段】吸収性物品は吸収体56と前記吸収体56の外面を覆う液不透過性樹脂フィルム11と前記液不透過性樹脂フィルム11の外面を覆う外装不織布12とを有し、前記液不透過性樹脂フィルム11は厚み方向の透湿性を有するものである、吸収性物品において、前記液不透過性樹脂フィルム11と前記外装不織布12との間における、間隔を空けた複数個所に、セルロースナノファイバー層15が介在し、前記液不透過性樹脂フィルム11及び前記外装不織布12は、前記セルロースナノファイバー層15を有しない部位で、ホットメルト接着剤81により接着されていることを特徴とする。また、この吸収性物品の製造方法である。
【選択図】図9

Description

本発明は、パンツ型おむつ、テープ型おむつ等の使い捨ておむつや、生理用ナプキン等の吸収性物品及びその製造方法に関するものである。
一般的な使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品では、尿等の排泄液を吸収する吸収体と、吸収体の裏側を覆う液不透過性樹脂フィルムとを有しており、装着時の蒸れを防止するために液不透過性樹脂フィルムとして厚み方向の透湿性を有するものが用いられてきた(例えば特許文献1,2参照)。また、多くの吸収性物品では、製品外面を布のような肌触り及び外観とするために、液不透過性樹脂フィルムの裏側を、外装不織布により覆うことも行われてきた(例えば特許文献2参照)。
しかしながら、従来の吸収性物品では、蒸れ防止のために液不透過性樹脂フィルムの透湿性が高いことが災いし、吸収体が排泄液を吸収した後等に、製品外面や下着が湿気を保持し、手で触ると漏れたように勘違いすることがあった。
この問題は、液不透過性樹脂フィルムの透湿性を低下させれば解決するものであるが、その場合、蒸れ防止性の低下は避けることができない。
特開2017−080028号公報 特開2017−144174号公報 特許5502742号公報
そこで、本発明の主たる課題は、製品外面や下着が湿った感触となりにくい吸収性物品及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決した吸収性物品の各種態様は次のとおりである。
<請求項1に記載の発明>
吸収体と、
前記吸収体の外面を覆う液不透過性樹脂フィルムと、
前記液不透過性樹脂フィルムの外面を覆う外装不織布とを有し、
前記液不透過性樹脂フィルムは厚み方向の透湿性を有するものである、
吸収性物品において、
前記液不透過性樹脂フィルムと前記外装不織布との間における、間隔を空けた複数個所に、セルロースナノファイバー層が介在し、
前記液不透過性樹脂フィルム及び前記外装不織布は、前記セルロースナノファイバー層を有しない部位で、ホットメルト接着剤により接着されている、
ことを特徴とする吸収性物品。
(作用効果)
セルロースナノファイバー層は、セルロースナノファイバー分散液を対象面に塗布した後、乾燥させることにより得られる層であり、透湿性を有するものである。また、セルロースナノファイバーは表面に多数の―OH基を有し、高い吸湿性を有する。
よって、液不透過性樹脂フィルムと外装不織布との間にこのようなセルロースナノファイバー層を有すると、液不透過性樹脂フィルムを透過した湿気がセルロースナノファイバー層で遮断されることがないため、装着時の蒸れ防止性は低下しにくい。それでいて、セルロースナノファイバーの高い吸湿性により、製品外面を構成する外装不織布や下着よりもセルロースナノファイバー層に湿気が保持されるようになるため、製品外面や下着が湿った感触となりにくい。
他方、吸湿量の観点からは、セルロースナノファイバー層はより広く、連続的に設けられていることが好ましい。しかし、この場合、液不透過性樹脂フィルムと外装不織布とをしっかりと接着することが困難となりやすい。すなわち、セルロースナノファイバー層は液不透過性樹脂フィルムに対して十分に接着するとともに、不織布に対しても液不透過性樹脂フィルムほどではないがある程度接着する。よって、セルロースナノファイバー層により液不透過性樹脂フィルムと外装不織布とを接着することも考えられた。しかし、セルロースナノファイバー層の接着力は、液不透過性樹脂フィルム及び外装不織布が重なる部分の全体を接着するほど強くは無いため、使用時などに外装不織布が液不透過性樹脂フィルムから剥離するおそれがある。
さらに、液不透過性樹脂フィルム及び外装不織布のいずれか一方側にセルロースナノファイバー分散液を塗布した後、液不透過性樹脂フィルム及び外装不織布のほぼ全体をホットメルト接着剤により接着することも試したが、セルロースナノファイバー分散液の乾燥が不十分であると、ホットメルト接着剤の接着が阻害され、液不透過性樹脂フィルムと外装不織布との接着が不十分になりやすい。
これに対して、上記のように、セルロースナノファイバー層を間隔を空けて複数配置し、セルロースナノファイバー層を有しない部位で、ホットメルト接着剤により液不透過性樹脂フィルム及び外装不織布を接着すると、しっかりと接着することが可能となる。
なお、特許文献1にはセルロースナノファイバーを吸収性物品に利用する発明について記載されているが、これは耐水性高通気性複合シートに関するものであり、ホットメルト接着剤を使用したシートの接着構造に関するものではない。
<請求項2に記載の発明>
前記セルロースナノファイバー層は、前後方向に連続する線状部分が幅方向に間隔を空けて並ぶ縞状の部分を有しており、
前記ホットメルト接着剤は、前後方向に連続する線状接着部分が幅方向に間隔を空けて並ぶ縞状の部分を有しており、
一部又は全部の前記セルロースナノファイバー層の線状部分が、前記ホットメルト接着剤における隣り合う前記線状接着部分の間に配されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
(作用効果)
このようなセルロースナノファイバー層の縞状部分及びホットメルト接着剤の縞状部分を有すると、高い吸湿性を確保しつつ、液不透過性樹脂フィルム及び外装不織布をよりしっかりと接着できるため好ましい。
<請求項3に記載の発明>
前記セルロースナノファイバー層の線状部分の幅は1〜20mmであり、前記セルロースナノファイバー層の線状部分の幅方向の間隔は1〜20mmであり、前記セルロースナノファイバー層の線状部分は0.3〜15.0g/m2のセルロースナノファイバーからなり、
前記ホットメルト接着剤の線状接着部分の幅は1〜20mmであり、前記ホットメルト接着剤の線状接着部分の幅方向の間隔は1〜20mmであり、前記ホットメルト接着剤の線状接着部分は1〜20g/m2のホットメルト接着剤からなるものである、
ことを特徴とする請求項2に記載の吸収性物品。
(作用効果)
各部の寸法等は特に限定されるものではないが、通常の場合、本項記載の範囲内であることが好ましい。
<請求項4に記載の発明>
前記セルロースナノファイバー層は、前記吸収体と重なる範囲のみに設けられている、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
セルロースナノファイバー層を有する部分は不可避的に硬くなる。装着者の肌側では、セルロースナノファイバー層の硬さは吸収体と重なる領域では吸収体のクッション性により隠蔽される。しかし、吸収体を有しない部分では、吸収体による硬さの隠蔽を期待できない。よって、セルロースナノファイバー層は吸収体と重なる範囲のみに設けることが望ましい。
<請求項5に記載の発明>
前記セルロースナノファイバー層の一部又は全体がホットメルト接着剤により覆われていない、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
セルロースナノファイバー層をホットメルト接着剤で覆うことは、セルロースナノファイバー層と水分との接触効率を向上させる上では望ましくない。よって、セルロースナノファイバー層の一部又は全体がホットメルト接着剤により覆われていない構造とし、セルロースナノファイバー層と臭気との接触効率の低下を抑制することが好ましい。
<請求項6に記載の発明>
請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品の製造方法であって、
前記液不透過性樹脂フィルムと前記外装不織布との接着にあたり、
前記液不透過性樹脂フィルムの前記外装不織布と対向する部分における、間隔を空けた複数個所に、セルロースナノファイバー分散液を塗布し、
前記液不透過性樹脂フィルム及び前記外装不織布の少なくとも一方における、前記液不透過性樹脂フィルム及び前記外装不織布が重なることとなる部分の、少なくとも前記セルロースナノファイバー分散液の塗布位置以外に、ホットメルト接着剤を塗布し、
しかる後、前記液不透過性樹脂フィルムのセルロースナノファイバー分散液の塗布面と、前記外装不織布とを重ね合わせて、前記ホットメルト接着剤により前記液不透過性樹脂フィルム及び前記外装不織布を接着する、
ことを特徴とする吸収性物品の製造方法。
(作用効果)
請求項1記載の発明と同様の作用効果を奏する。
本発明によれば、製品外面や下着が湿った感触となりにくくなる。
テープタイプ使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 テープタイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 図1の6−6線断面図である。 図1の7−7線断面図である。 図1の8−8線断面図である。 図1の9−9線断面図である。 図1の5−5線断面図である。 要部を示す断面図である。 接着剤とセルロースナノファイバーの塗布例を示す説明図である。 接着剤とセルロースナノファイバーの配置を示す説明図である。 接着剤とセルロースナノファイバーの配置を示す説明図である。 接着工程を示す説明図である。 接着剤とセルロースナノファイバーの配置を示す説明図である。 接着剤とセルロースナノファイバーの配置を示す説明図である。 接着剤とセルロースナノファイバーの配置を示す説明図である。 接着剤とセルロースナノファイバーの配置を示す説明図である。 接着剤とセルロースナノファイバーの配置を示す説明図である。
一般的に使い捨ておむつは通気性を備えた方がよい。通気性がよくないと排泄液の湿気が同おむつ内に停滞し、装着者の肌のかぶれの原因となるからである。そこで、湿気を外に拡散し、同おむつの湿気を低減する工夫が施されてきた。
しかしながら、湿気の外への拡散は同おむつを覆う衣類を湿らすことがある。この湿りを同おむつからの排泄液の漏れと勘違いされる場合がある。これに対しては、吸湿性を有するセルロースナノファイバー層15をおむつに設けるとよい。湿気がセルロースナノファイバー層15に吸着され湿気の外への拡散を防止できるからである。
また、おむつの各構成部材を接着する接着剤81は疎水性であるが、セルロースナノファイバーは親水性である。接着剤81を塗布した構成部材の領域にセルロースナノファイバーをさらに上から塗布すると、構成部材同士の接着性が弱まる。これには、セルロースナノファイバー層15を間隔を空けて同領域に設けることで比較的接着性を弱めずに、各構成部材同士の接着が可能となる。
以下、発明を実施するための形態としてテープタイプ使い捨ておむつを一例に示して説明する。図1〜図7はテープタイプ使い捨ておむつの一例を示しており、図中の符号Xは連結テープを除いたおむつの全幅を示しており、符号Lはおむつの全長を示しており、断面図における各構成部材は、接合する接合手段としての接着剤により接合されている。接着剤はホットメルト接着剤のベタ、ビード、カーテン、サミット若しくはスパイラル塗布、又はパターンコート(凸版方式でのホットメルト接着剤の転写)などにより、あるいは弾性部材の固定部分はこれに代えて又はこれとともにコームガンやシュアラップ塗布などの弾性部材の外周面への塗布により形成されるものである。ホットメルト接着剤としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、オレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在するが、特に限定無く使用できる(ただし、同接着剤には、セルロースナノファイバーは含まないものとする)。各構成部材を接合する接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段を用いることもできる。具体的には、図3、図4において液不透過性樹脂フィルム11と外装不織布12とで接合される領域は、ホットメルト接着剤81とセルロースナノファイバー層15で接着してもよい。この場合、ホットメルト接着剤81の線状接着部分に塗布するホットメルト接着剤81の目付けは1〜20g/m2とすることができる。この範囲にすることで、液不透過性樹脂フィルム11と外装不織布12は、後述する接着領域82の線状接着部分でしっかりと接着される。
また、断面図における点模様部分はその表側及び裏側に位置する各構成部材を接合する接合手段としての粘着剤を示しており、以下に詳述するセルロースナノファイバーによる各構成部材への塗布により形成されるものである。
このテープタイプ使い捨ておむつは、吸収体56と、吸収体56の表側を覆う液透過性のトップシート30と、吸収体56の外側を覆う液不透過性樹脂フィルム11と、液不透過性樹脂フィルムの外側を覆い、製品外面を構成する外装不織布12とを有するものである。符号Fは前後方向中央より前側に位置する腹側部分を示し、符号Bは前後方向中央より後側に位置する背側部分を示している。
以下、各部の素材及び特徴部分について順に説明する。
(吸収体)
吸収体56は、排泄液や血液等の体液を吸収し、保持する部分であり、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、2.54cm当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いることができる。
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子54としては、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用できる。高吸収性ポリマー粒子の粒径は特に限定されないが、例えば500μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)、及びこのふるい分けでふるい下に落下する粒子について180μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)を行ったときに、500μmの標準ふるい上に残る粒子の割合が30重量%以下で、180μmの標準ふるい上に残る粒子の割合が60重量%以上のものが望ましい。
高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が30g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が70秒以下、特に40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が遅すぎると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和するばかりでなく、高吸収性ポリマー粒子の過剰によりジャリジャリした違和感を与えるようになる。
(包装シート)
高吸収性ポリマー粒子の抜け出しを防止するため、あるいは吸収体56の形状維持性を高めるために、吸収体56は包装シート58で包んでなる吸収要素50として内蔵させることができる。包装シート58としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。繊維目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
この包装シート58は、図3に示すように、一枚で吸収体56の全体を包む形態とするほか、上下2枚等の複数枚のシートで吸収体56の全体を包むようにしてもよい包装シート58は省略することもできる。
(トップシート)
トップシート30は液透過性を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを用いることができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
トップシート30は、前後方向では製品前端から後端まで延び、幅方向WDでは吸収体56よりも側方に延びているが、例えば後述する起き上がりギャザー60の起点が吸収体56の側縁よりも幅方向中央側に位置する場合等、必要に応じて、トップシート30の幅を吸収体56の全幅より短くする等、適宜の変形が可能である。
(中間シート)
トップシート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、トップシート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高め、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止するためのものである。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、SMS不織布、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド不織布又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは17〜80g/m2が好ましく、25〜60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.0〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
図示例の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。また、中間シート40は、おむつの全長にわたり設けてもよいが、図示例のように排泄位置を含む中間部分にのみ設けてもよい。
(液不透過性樹脂フィルム)
液不透過性樹脂フィルム11は、透湿性を有する限り特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを好適に用いることができる。特に液不透過性樹脂フィルム11は厚み方向の透湿性を有するものを用いることができる、いうまでもないが、液不透過性樹脂フィルム11には、不織布を基材として防水性を高めたものは含まない。
液不透過性樹脂フィルム11は、前後方向LD及び幅方向WDにおいて吸収体56と同じか又はより広範囲にわたり延びていることが望ましいが、他の遮水手段が存在する場合等、必要に応じて、前後方向LD及び幅方向WDにおいて吸収体56の端部を覆わない形態とすることもできる。液不透過性樹脂フィルム11の内面の幅方向中央側には、排泄物の液分により呈色又は消色するインジケータを前後方向に全長Lの1/3〜3/4の長さとなるように設けることができる。インジケータとしては、公知のものを特に限定なく用いることができる。例えば、インジケータは、排泄物中の水分との接触により呈色反応を示すような着色剤及び/又は水分中のpHを検知して呈色反応を示すような着色剤、あるいは排泄物の液分との反応により着色が消失する反応、着色剤が排泄液により溶解(分散)して滲んだり消失したりする反応、その他の視覚的変化を示す薬剤が含有されたインク又は接着剤、あるいは水分又は排泄物中の液分との接触により視覚的変化を示す薬剤(インジケータ反応手段)を含有するシート状部材により構成することができる。排泄物中の水分との接触により呈色反応を示すような着色剤として、水溶性、水分解性染料又はロイコ染料と該ロイコ染料を発色させるフェノール性化合物、酸性物質、電子受容性物質等の顕色剤とからなる着色剤を使用することが可能である。
(外装不織布)
外装不織布12は液不透過性樹脂フィルム11の裏側全体を覆い、製品外面を布のような外観とするものである。外装不織布12としては特に限定されず、素材繊維としては、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができ、加工法としてはスパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等を用いることができる。ただし、肌触り及び強度を両立できる点でスパンボンド不織布やSMS不織布、SMMS不織布等の長繊維不織布が好適である。不織布は一枚で使用する他、複数枚重ねて使用することもできる。後者の場合、不織布相互をホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。不織布を用いる場合、その繊維目付けは10〜50g/m2、特に15〜30g/m2のものが望ましい。
(起き上がりギャザー)
トップシート30上を伝わって横方向に移動する排泄物を阻止し、いわゆる横漏れを防止するために、表面の幅方向WDの両側には、装着者の肌側に立ち上がる起き上がりギャザー60が設けられていると好ましい。もちろん、起き上がりギャザー60は省略することもできる。
起き上がりギャザー60を採用する場合、その構造は特に限定されず、公知のあらゆる構造を採用できる。図示例の起き上がりギャザー60は、実質的に幅方向WDに連続するギャザーシート62と、このギャザーシート62に前後方向LDに沿って伸長状態で固定された細長状のギャザー弾性部材63とにより構成されている。このギャザーシート62としては撥水性不織布を用いることができ、またギャザー弾性部材63としては糸ゴム等を用いることができる。弾性部材は、図1及び図2に示すように各複数本設ける他、各1本設けることができる。
ギャザーシート62の内面は、トップシート30の側部上に幅方向WDの接合始端を有し、この接合始端から幅方向外側の部分は各サイドフラップ部SFの内面、つまり図示例では液不透過性樹脂フィルム11の側部及びその幅方向外側に位置する外装不織布12の側部にホットメルト接着剤などにより接合されている。
脚周りにおいては、起き上がりギャザー60の接合始端より幅方向内側は、製品前後方向両端部ではトップシート30上に固定されているものの、その間の部分は非固定の自由部分であり、この自由部分が弾性部材63の収縮力により立ち上がり、身体表面に密着するようになる。
(エンドフラップ部、サイドフラップ部)
図示例のテープタイプ使い捨ておむつは、吸収体56の前側及び後側にそれぞれ延出する、吸収体56を有しない一対のエンドフラップ部EFと、吸収体56の両側縁よりも側方にそれぞれ延出する、吸収体56を有しない一対のサイドフラップ部SFとを有している。
(平面ギャザー)
各サイドフラップ部SFには、糸ゴム等の細長状弾性部材からなるサイド弾性部材64が前後方向LDに沿って伸長された状態で固定されており、これにより各サイドフラップ部SFの脚周り部分が平面ギャザーとして構成されている。脚周り弾性部材64は、図示例のように、ギャザーシート62の接合部分のうち接合始端近傍の幅方向外側において、ギャザーシート62と液不透過性樹脂フィルム11との間に設けるほか、サイドフラップ部SFにおける液不透過性樹脂フィルム11と外装不織布12との間に設けることもできる。脚周り弾性部材64は、図示例のように各側で複数本設ける他、各側に1本のみ設けることもできる。
(連結テープ)
背側部分Bにおけるサイドフラップ部SFには、腹側部分Fの外面に対して着脱可能に連結される連結テープ13がそれぞれ設けられている。おむつ10の装着に際しては、連結テープ13を腰の両側から腹側部分Fの外面に回して、連結テープ13の連結部13Aを腹側部分F外面の適所に連結する。
連結テープ13の構造は特に限定されないが、図示例では、サイドフラップ部SFに固定されたテープ取付部13C、及びこのテープ取付部13Cから突出するテープ本体部13Bをなすシート基材と、このシート基材におけるテープ本体部13Bの幅方向中間部に設けられた、腹側に対する連結部13Aとを有し、この連結部13Aより先端側が摘み部となっている。
連結部13Aとしては、メカニカルファスナー(面ファスナー)のフック材(雄材)を設ける他、粘着剤層を設けてもよい。フック材は、その連結面に多数の係合突起を有するものであり、係合突起の形状としては、(A)レ字状、(B)J字状、(C)マッシュルーム状、(D)T字状、(E)ダブルJ字状(J字状のものを背合わせに結合した形状のもの)等が存在するが、いずれの形状であっても良い。
また、テープ取付部13Cからテープ本体部13Bまでを形成するシート基材としては、不織布、プラスチックフィルム、ポリラミ不織布、紙やこれらの複合素材を用いることができるが、繊度1.0〜3.5dtex、目付け20〜100g/m2、厚み1mm以下のスパンボンド不織布、エアスルー不織布、又はスパンレース不織布が好ましい。
(ターゲットシート)
腹側部分Fにおける連結テープ13の連結箇所には、連結を容易にするためのターゲットを有するターゲットシート20を設けるのが好ましい。ターゲットシート20は、連結部13Aがフック材の場合、フック材の係合突起が絡まるようなループ糸がプラスチックフィルムや不織布からなるシート基材の表面に多数設けられたものを用いることができ、また粘着材層の場合には粘着性に富むような表面が平滑なプラスチックフィルムからなるシート基材の表面に剥離処理を施したものを用いることができる。また、腹側部分Fにおける連結テープ13の連結箇所が不織布からなる場合、例えば図示形態のように外装不織布12を有する場合には、ターゲットシート20を省略し、フック材を外装不織布12の繊維に絡ませて連結することもできる。この場合、目印としてのターゲットシート20を外装不織布12と液不透過性樹脂フィルム11との間に設けてもよい。
(セルロースナノファイバー)
セルロースナノファイバーとは、パルプ繊維を解繊して得られる微細なセルロース繊維をいい、一般的に平均繊維幅がナノサイズ(1nm以上、1000nm以下)のセルロース微細繊維を含むセルロース繊維をいうが、平均繊維幅(メジアン径)が100nm以下ものもが好ましく、特に10〜60nmのものが好ましい。また、セルロース繊維はβ−グルコースが無数に主にβ―1,4グリコシド結合で鎖状に結合したものである。β−グルコースは、―H基、―OH基等を有する。
(セルロースナノファイバーの粘性)
でんぷんは、α−グルコースが主にα―1,4グリコシド結合で鎖状に無数に結合したものである。でんぷんは所定濃度で水に分散させると粘性を帯びる。セルロース繊維はα−グルコースに似たβ−グルコースが主にβ―1,4グリコシド結合で鎖状に無数に結合したものである。セルロースナノファイバーも、所定濃度で水に分散させることでセルロースナノファイバー分散液は粘性を帯びる。
セルロースナノファイバー層15は、特に限定されないが、図3に示すように液不透過性樹脂フィルム11と外装不織布12の間に、全面に亘り介在させることもできるし、また、間隔を空けた数個所に介在させることもできる。液不透過性樹脂フィルム11と外装不織布12は、吸収体56に吸収された排泄液の湿気が外部へ向かって通過する道である。セルロースナノファイバー層15は透湿性を有するので、セルロースナノファイバー層15を液不透過性樹脂フィルム11と外装不織布12の間に介在させることで、製品は透湿性に優れたものとなり好ましい。また、セルロースナノファイバーは表面に多数の―OH基を有し、高い吸湿性を有する。セルロースナノファイバーの高い吸湿性により、製品外面を構成する外装不織布や下着よりもセルロースナノファイバー層に湿気が保持されるようになるため、製品外面や下着が湿った感触となりにくい。
他方、吸湿量の観点からは、セルロースナノファイバー層15はより広く、連続的に設けられていることが好ましい。しかし、この場合、液不透過性樹脂フィルム11と外装不織布12とをしっかりと接着することが困難となりやすい。すなわち、セルロースナノファイバー層15は液不透過性樹脂フィルム11に対して十分に接着するとともに、不織布12に対しても液不透過性樹脂フィルム12ほどではないがある程度接着する。しかし、セルロースナノファイバー層15の接着力は、液不透過性樹脂フィルム11及び外装不織布12が重なる部分の全体を接着するほど強くは無い。そこで、セルロースナノファイバー層15を間隔を空けて複数配置し、セルロースナノファイバー層15を有しない部位で、ホットメルト接着剤81により液不透過性樹脂フィルム11及び外装不織布12を接着すると、しっかりと接着することが可能となる。
(吸湿効果)
セルロースナノファイバー層15は湿気(水分子等)を吸湿する効果がある。セルロースナノファイバーは一般的に繊維幅が4nm以上、1000nm以下であり、繊維長さが5μm以上であり、高アスペクト比(低いもので5以上、高いもので1250以上)で、比表面積が大きく物理吸着に優れる。湿気はファンデルワールス力によりセルロースナノファイバー層15の表面に物理吸着する。そして、一旦物理吸着した湿気はセルロースナノファイバー層15の表面に吸着したままとなり、湿気は拡散しないので、吸湿される。
特徴的には、液不透過性樹脂フィルム11と外装不織布12との間に、セルロースナノファイバー層15が設けられている。液不透過性樹脂フィルム11と外装不織布12とは素材の溶着等により接合してもよいことは前述のとおりである。液不透過性樹脂フィルム11と外装不織布12との間にこのようなセルロースナノファイバー層15を有すると、液不透過性樹脂フィルム11を透過した湿気が、セルロースナノファイバー層により吸湿される。製品外面を構成する外装不織布12や衣類よりもセルロースナノファイバー層15に湿気が保持されるようになるため、製品外面や衣類を湿らすおそれがない。
この場合、外装不織布12が撥水性不織布であると、セルロースナノファイバー層15による吸湿性がより高くなるため好ましい。撥水性不織布は、公知の方法により不織布に撥水剤を添加(内添又は外添のどちらでもよい)することにより製造することができる。撥水剤としては、シリコーン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤等を用いることができる。
セルロースナノファイバー層15は、外装不織布12の内面上に形成したり、セルロースナノファイバー層15を形成した不織布や紙等のシートを液不透過性樹脂フィルム11と外装不織布12との間に配置したりすることもできるが、図9に示すように液不透過性樹脂フィルム11の外面上に形成するのが好ましい。特に、液不透過性樹脂フィルム11が吸湿性を有しない分、外装不織布12が湿った感触となりやすいが、液不透過性樹脂フィルム11の外面上にセルロースナノファイバー層15を設けると、外装不織布12が湿った感触となりにくい。また、セルロースナノファイバー層15を透湿性樹脂フィルムからなる液不透過性樹脂フィルム11上に形成すると、セルロースナノファイバー層15が膜状になるため、液不透過性樹脂フィルム11の遮水性及び強度が向上し、伸度が低下するという利点もある。特に、透湿性樹脂フィルムからなる液不透過性樹脂フィルム11には、前後方向LD及び幅方向WDに規則的に繰り返す文字(サイズ、ブランド名、メーカー名、絵柄の名前等)や、絵柄等の多数の構成単位からなる連続装飾印刷のほか、製品ロゴや、キャラクターの絵、写真等のように製品の前後いずれか一方又は両方にのみ配置される間欠装飾印刷が施されることがあるが、このような装飾印刷を行う場合、液不透過性樹脂フィルム11の伸度が小さい方が望ましい。
吸湿性を向上させるためには、セルロースナノファイバー量が多いに越したことはないが、多すぎると製品が不必要に硬くなる。よって、セルロースナノファイバーの含有量は、0.1〜15.0g/m2程度であることが好ましい。特に0.3〜15.0g/m2程度であることがより好ましい。この範囲であれば、テープタイプ使い捨ておむつとして十分に吸湿性が確保され得る。また、後述する接着領域82におけるセルロースナノファイバー層の線状部分の目付けについてもこの範囲とするとよい。しかしながら、この範囲より大きくしても吸湿性はもちろん確保され得る。
セルロースナノファイバーは、溶媒に分散させセルロースナノファイバー分散液15mの状態とし、このセルロースナノファイバー分散液15mを液不透過性樹脂フィルム11等の対象シート上に塗布し、乾燥させることにより対象シート上に付着形成する等、公知の方法により製造することができる。なお、このようにセルロースナノファイバー分散液15mを塗布する製造方法により、紙や不織布のような繊維シートに塗布すると、シート内に一部浸透するものの、セルロースナノファイバーは表面に集中するため、シート上にセルロースナノファイバーを付着形成することができる。セルロースナノファイバーを分散させる溶媒は特に限定されないが、水、エタノール等の低級アルコールのほか、アセトン等の揮発性有機溶剤を用いることができる。
セルロースナノファイバー分散液15mは、セルロースナノファイバーが水に分散されてなるものである。セルロースナノファイバー分散液15mの濃度(質量/容量)は、0.1〜10%であることが好ましく、1.0〜5.0%であるとより好ましく、1.5〜3.0%であると特に好ましい。
セルロースナノファイバー分散液15mのB型粘度(60rpm、20℃)は、例えば、700cps以下、好ましくは200cps以下、より好ましくは50cps以下である。このようにセルロースナノファイバー分散液15mのB型粘度を低く抑えることで、シート表面に対してセルロースナノファイバーが均一に付与されるようになり、シートの表面性が均一に向上するようになる。
セルロースナノファイバーの付与は、対象面に対する噴霧のほか、凸版方式等による転写方式を用いることもできる。
ここで、セルロースナノファイバーの平均繊維幅の測定方法について説明する。
まず、固形分濃度0.01〜0.1質量%のセルロースナノファイバーの水分散液100mlをテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t−ブタノール20mlで3回溶媒置換する。
次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて5000倍、10000倍又は30000倍のいずれかの倍率(本実施例では、30000倍の倍率)で電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。具体的には、観察画像に二本の対角線を引き、対角線の交点を通過する直線を任意に三本引く。さらに、この三本の直線と交錯する合計100本の繊維の棒を目視で計測する。そして、計測値の中位径(メジアン径)を平均繊維幅とする。なお、計測値の中位径に限らず、例え
ば、数平均径や、モード径(最頻径)を平均繊維径としてもよい。
セルロースナノファイバーの製造に使用可能なパルプ繊維としては、広葉樹パルプ(LBKP)、針葉樹パルプ(NBKP)等の化学パルプ、晒サーモメカニカルパルプ(BTMP)、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)等の機械パルプ、茶古紙、クラフト封筒盲紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙、更紙古紙等から製造される古紙パルプ、古紙パルプを脱墨処理した脱墨パルプ(DIP)などが挙げられる。これらは、本発明の効果を損なわない限り、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。さらに、上記パルプ繊維に対してカルボキシメチル化等の化学的処理を施したものを用いても良い。
セルロースナノファイバーの製造方法としては、高圧ホモジナイザー法、マイクロフリュイダイザー法、グラインダー磨砕法、ビーズミル凍結粉砕法、超音波解繊法等の機械的手法が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。また、ナノファイバー化は、TEMPO酸化処理、リン酸エステル化処理、酸処理等の併用により促進される。
<第1実施形態>
従来の接着剤による各種構成部材の接着は、下記で定義する接着領域82にホットメルト接着剤81を塗布して2枚の構成部材を接着するものであった。例えば、液不透過性樹脂フィルム11と外装不織布12を接着させる場合、接着領域82にホットメルト接着剤81を塗布して、同液不透過性樹脂フィルム11と外装不織布12を接着させる。
これに対して第1実施形態は接着領域82にホットメルト接着剤81を塗布したものの上にセルロースナノファイバー層15を間隔を空けて複数個所に設けた形態である。例えば、図2、図9(a)、図10、図11に示すように、セルロースナノファイバー層15で線状の縞を形成した形態である。セルロースナノファイバー層15各々の線状部分の幅15Aは特に限定されない。線状部分の幅15Aは比較的細く配してもよく、また比較的太く配してもよい。そして、セルロースナノファイバー層15の線状部分の幅方向の間隔15Bは、特に限定されず、密にセルロースナノファイバー層15を配してもよく、また粗く配してもよい。例えば、セルロースナノファイバー層15各々の線状部分の幅15Aは1〜20mm、線状部分の幅方向の間隔15Bは1〜20mmとすることができる。しかしながら、これらの数値範囲に限定されるものではない。ここで、接着領域82とは、ホットメルト接着剤81及びセルロースナノファイバー分散液15mを塗布する領域のことをいう。液不透過性樹脂フィルム11の外面11eと外装不織布12の内面12iを接着する場合は、接着領域82は液不透過性樹脂フィルム11と外装不織布12の重なる領域となる。
なお、ホットメルト接着剤81とセルロースナノファイバーを塗布する順序を逆にしてもよい。接着領域82にセルロースナノファイバー層15を間隔を空けて複数個所に設けたものの上にホットメルト接着剤81を塗布した形態としてもよい。
図11では液不透過性樹脂フィルム11の外面11eの接着領域82にホットメルト接着剤81を塗布し、その上にセルロースナノファイバー分散液15mを塗布して、その塗布した液不透過性樹脂フィルム11の外面11eと外装不織布12の内面12iを接着させてシートを形成したものを提示している。また、図9(a)に示すように外装不織布12の内面12iの接着領域82にホットメルト接着剤81を塗布し、その上にセルロースナノファイバー層15を塗布して、外装不織布12の内面12iと液不透過性樹脂フィルム11の外面11eを接着させてシートを形成することもできる。本実施形態ではセルロースナノファイバー層15は縞状に設けられている。接着領域82の幅方向の外側両端縁21にはセルロースナノファイバー層15を配してもよいが、配さなくてもよい。本実施形態にするとセルロースナノファイバー層15が配されていない領域、換言すると、セルロースナノファイバー層15の線状部分の幅方向の間隔15B、の一部又は全部は、ホットメルト接着剤81が塗布されている。そのため、液不透過性樹脂フィルム11と外装不織布12はホットメルト接着剤81でしっかり接着されることになる。そして、セルロースナノファイバー層15を設けた箇所は透湿性、吸湿性を有することになる。
装着者が排泄した排泄液は吸収性物品の内面から浸透して吸収体56に吸収される。吸収体56から排泄液由来の湿気が同おむつの外面に拡散する。液不透過性樹脂フィルム11及び外装不織布12は吸収体56の外面側に同吸収体56を覆うように配されているので、液不透過性樹脂フィルム11と外装不織布12の重なる接着領域82にセルロースナノファイバー層15を設けることで効果的に湿気を吸湿することができる。また、セルロースナノファイバー層15を吸収体56と重なる範囲のみに設けることもできる。セルロースナノファイバー層15を有する部分は不可避的に硬くなる。装着者の肌側では、セルロースナノファイバー層15の硬さは吸収体56と重なる領域では吸収体のクッション性により隠蔽される。しかし、吸収体56を有しない部分では、吸収体56による硬さの隠蔽を期待できない。よって、セルロースナノファイバー層15は吸収体56と重なる範囲のみに設けることが望ましい。
図10には縞状に配したセルロースナノファイバー層15を例示したが本実施形態には縞は、縦縞、横縞、斜め方向の縞、波状の縞でももちろんよい。またセルロースナノファイバー層15を格子状、斜方格子状等に配した形態(図示しない)であってもよい。
なお、ホットメルト接着剤81を接着領域82に塗布する場合、万遍なく塗布してもよいが、間隔を空けて塗布してもよい。間隔を空けてホットメルト接着剤81を塗布することで、セルロースナノファイバー層15の一部又は全体がホットメルト接着剤81により覆われないものとすることができる。
セルロースナノファイバー層15をホットメルト接着剤81で覆うことは、セルロースナノファイバー層15と水分との接触効率を向上させる上では望ましくない。よって、セルロースナノファイバー層15の一部又は全体がホットメルト接着剤81により覆われていない構造とし、セルロースナノファイバー層15と臭気との接触効率の低下を抑制することが好ましい。
また、各々の線状のセルロースナノファイバーの塗布については、一本の線状部分の領域(例えば、図10に示す前後方向LDに多数配されたセルロースナノファイバー層15のうちの一本の線状部分の領域)を万遍なく均一に塗布してもよい。しかしながら、散点状にセルロースナノファイバー層15を設けてもよい。図8にその散点状の配置例を示す。例えば、図8(a)は斜方格子状にセルロースナノファイバー層15を設けた例である。図8(b)は六角格子状(いわゆる、千鳥状)、図8(c)は正方格子状、図8(d)は矩形格子状、図8(e)は平行体格子状である。なお、これら以外に、不規則な配列であってもよい。
<第2実施形態>
第2実施形態は、図9(c)に示すように液不透過性樹脂フィルム11及び外装不織布12のいずれか一方の接着領域82にセルロースナノファイバーを縞状に間隔を空けて塗布した形態である。例えば、セルロースナノファイバー層15で線状部分の縞を多数本形成した形態である。そして、形成された多数のセルロースナノファイバー層15の線状部分の幅方向の間隔15Bには、ホットメルト接着剤81が塗布されている。そうすると、セルロースナノファイバー層15とホットメルト接着剤81が交互に配された形態となる。セルロースナノファイバー層15各々の線状部分の幅15Aは全て同じであってもよく、またそれぞれ異なっていてもよい。縞は、縦縞、横縞、斜め方向の縞、波状の縞でももちろんよい。例えば、ホットメルト接着剤81の線状接着部分の幅81Aは、特に限定されないが1〜20mmとするとよく、ホットメルト接着剤81の線状接着部分の間隔81Bは1〜20mmとするとよい。また、セルロースナノファイバー層15の線状部分の幅15Aは1〜20mmとするとよく、セルロースナノファイバー層15の線状部分の間隔15Bは1〜20mmとするとよい。各部の寸法は通常の場合、この範囲内において形成しやすい。第1実施形態の一例では塗布されたホットメルト接着剤81の上にセルロースナノファイバー分散液15mを塗布したが、第2実施形態では、セルロースナノファイバーを縞状に塗布して形成された各々の線状部分の幅方向の間隔15Bにホットメルト接着剤81を塗布している。また、セルロースナノファイバー層15を、縞状に間隔を空けて設ける以外にも、市松模様状に間隔を空けて設けてもよい(図14参照)。しかしながら、セルロースナノファイバー層15の間隔の形成は上記実施例に限らず公知の模様を用いて形成することができる。
なお、液不透過性樹脂フィルム11及び外装不織布12のいずれか一方の接着領域82にホットメルト接着剤81を縞状に間隔を空けて塗布する。そして、形成された多数のホットメルト接着剤81の線状部分の幅方向の間隔には、セルロースナノファイバー層15が設けられている形態としてもよい。
装着者が排泄した排泄液は吸収体56に吸収される。排泄液の吸収により吸収体56で発生した湿気は、吸収体56の外面に配される液不透過性樹脂フィルム11を通過し、接着領域82に達する。接着領域82に塗布された、吸湿性を有するセルロースナノファイバー層15は、同湿気を吸収する。湿気はセルロースナノファイバー層15に吸収されるので、外装不織布12から外へ拡散することはない。よって、おむつを覆って装着する衣類を湿らすおそれがない。
<第3実施形態>
第3実施形態は、図9(b)、図9(d)、図15、図16に示すように接着領域82の両側端縁部21に、ホットメルト接着剤81を線状に配した形態である。そして、幅方向WDにおいて両側端縁部21に配される2つのホットメルト接着剤81の線状接着部分で挟まれた間隔には、セルロースナノファイバー層15が塗布されている。このような形態にすると、セルロースナノファイバーが比較的大きな面積に亘って塗布されているので、吸収体56から発生する湿気を多量に吸湿できる。
セルロースナノファイバー層15を設ける領域は図9(d)に示すように、2つのホットメルト接着剤81の線状接着部分で挟まれた領域の全面に亘ってもよいが、これに限るものではない。例えば、セルロースナノファイバー層15を縞状に配してもよい(図9(b))。セルロースナノファイバー層15各々の線状部分の幅15Aは1〜20mm、線状部分の幅方向の間隔15Bは1〜20mmとすることができる。しかしながら、これらの数値範囲に限定されるものではない。また、セルロースナノファイバー層15各々の線状部分の幅15Aや、線状部分の幅方向の間隔15Bは一定にすることもでき、また各々異なる幅、間隔とすることもできる。縞は、縦縞、横縞、斜め方向の縞、波状の縞でももちろんよい。このよう縞状に間隔を空けて塗布すると、セルロースナノファイバーの塗布量を同全面に塗布する場合よりも低減することができ、経済的である。
また、図13に示すように、接着領域82の両側端縁部21に設けられた2つのホットメルト接着剤81の線状接着部分で挟まれた領域に、セルロースナノファイバー層15を格子状に設け、格子で囲まれた範囲にホットメルト接着剤81を設ける形態であってもよい。さらに、この形態に限らず、ホットメルト接着剤81を格子状に設け、格子の内部にセルロースナノファイバー層15を設ける形態としてもよい。そして、格子状は矩形格子状、斜方格子状等など採用し得るが、特にこれらに限定されるものではない。
図9(b)、図9(d)に示すように液不透過性樹脂フィルム11と外装不織布12は、幅方向WDの外側両端縁部21をホットメルト接着剤81で接着されている。そして、同両端縁部21よりも中央側はセルロースナノファイバー層15が設けられている。第3実施形態では第1実施形態とは異なり、ホットメルト接着剤81を線状に塗布した部分81Aの上には、セルロースナノファイバー分散液15mを塗布していない。そのため、同部分81Aは確実に液不透過性樹脂フィルム11と外装不織布12を接着する。また、同両端縁部21に配される2つのホットメルト接着剤81の線状接着部分で挟まれた領域(間隔)には、セルロースナノファイバー分散液15mが全面又は部分的に塗布されているので、吸湿性に優れたものとなる。なお、ホットメルト接着剤81の線状接着部分の幅81Aは、特に限定されないが1〜20mmとするとよく、ホットメルト接着剤81の線状接着部分の間隔81Bは1〜20mmとするとよい。また、セルロースナノファイバー層15の線状接着部分の幅15Aは1〜20mmとするとよく、セルロースナノファイバー層15の線状接着部分の間隔15Bは1〜20mmとするとよい。各部の寸法は通常の場合、この範囲内において形成しやすい。
なお、上記のようにホットメルト接着剤81を先に塗布するのではなく、先ず、セルロースナノファイバー層15を設けて、その後、セルロースナノファイバー層15の間隔にホットメルト接着剤81を塗布する形態としてももちろん構わない。
(接着工程)
第1実施形態の作製の一例を図12を参照しつつ説明する。液不透過性樹脂フィルム11の外装不織布12と対向する部分の接着領域82に、先ず幅方向WDに間隔を空けた数個所にセルロースナノファイバー分散液15mを、前後方向LDに塗布する(図12(a))。セルロースナノファイバー分散液15mを塗布した接着領域82の上に、ホットメルト接着剤81を塗布する。ホットメルト接着剤81を塗布する箇所は接着領域82の少なくともセルロースナノファイバー分散液15mの塗布位置以外とするとよい。換言すると、セルロースナノファイバー分散液15mの塗布位置以外にホットメルト接着剤81を塗布してもよい。また、セルロースナノファイバー分散液15mの塗布位置に重なるようにホットメルト接着剤81を塗布してもよい。次に、ホットメルト接着剤81とセルロースナノファイバー分散液15mが塗布された液不透過性樹脂フィルム11に、外装不織布12をローラー83等で接着させ(図12(c))、乾燥させる。これにより第1実施形態が作製される。
また、上記作製例では、液不透過性樹脂フィルム11の接着領域82に、先ずセルロースナノファイバー分散液15mを塗布する工程としたが、液不透過性樹脂フィルム11と外装不織布12を入れ替えて作製してもよい。外装不織布12の液不透過性樹脂フィルム11と対向する部分の接着領域82に、先ず幅方向WDに間隔を空けた数個所にセルロースナノファイバー分散液15mを、前後方向LDに塗布する(図12(a))。セルロースナノファイバー分散液15mを塗布した接着領域82の上に、ホットメルト接着剤81を塗布する。そして、この外装不織布12に液不透過性樹脂フィルム11をローラー83等で接着させ、乾燥させる。
ホットメルト接着剤81を塗布する箇所は接着領域82の少なくともセルロースナノファイバー分散液15mの塗布位置以外とするとよい。換言すると、セルロースナノファイバー分散液15mの塗布位置以外にホットメルト接着剤81を塗布してもよい。また、セルロースナノファイバー分散液15mの塗布位置に重なるようにホットメルト接着剤81を塗布してもよい。次に、ホットメルト接着剤81とセルロースナノファイバー分散液15mが塗布された外装不織布12に、液不透過性樹脂フィルム11をローラー83等で接着させ(図12(c))、乾燥させる。
上記形態では先にセルロースナノファイバー分散液15mを塗布した後、ホットメルト接着剤81を塗布している。しかしながら、先にホットメルト接着剤81を塗布した後、セルロースナノファイバー分散液15mを塗布する形態でももちろん構わない。
なお、以上の工程では、外装不織布12と液不透過性樹脂フィルム11をローラー83等で接着させた後、乾燥させている。しかしながら、接着領域82にセルロースナノファイバー層15とホットメルト接着剤81を設けた後、乾燥させてから、ローラー83等で接着してもよい。
第2実施形態及び第3実施形態の作製の一例を説明する(図示しない)。液不透過性樹脂フィルム11の外装不織布12と対向する部分の接着領域82に、先ず幅方向WDに間隔を空けた数個所にセルロースナノファイバー分散液15mを、前後方向LDに塗布する。次いで、接着領域82に塗布したセルロースナノファイバー分散液15mの線状部分の間隔15Bの各々に、ホットメルト接着剤81を前後方向LDに塗布する。さらに、ホットメルト接着剤81とセルロースナノファイバー分散液15mが塗布された液不透過性樹脂フィルム11に、外装不織布12をローラー83等で接着させ(図12(c))、乾燥させる。これにより第2実施形態が作製される。
なお、上記第2実施形態では先ずセルロースナノファイバー分散液15mを間隔を空けて塗布した後、ホットメルト接着剤81を同間隔を埋めるように塗布している。しかしながら、先ずホットメルト接着剤81を間隔を空けて塗布した後、セルロースナノファイバー分散液15mを同間隔を埋めるように塗布する形態でももちろん構わない。
また、上記形態では液不透過性樹脂フィルム11の外装不織布12と対向する部分の接着領域82に先ずセルロースナノファイバー分散液15mを塗布している。しかしながら、外装不織布12の液不透過性樹脂フィルム11と対向する部分の接着領域82に先ずセルロースナノファイバー分散液15mを塗布する工程としてももちろん構わない。この場合、セルロースナノファイバー分散液15mを塗布した後、ホットメルト接着剤81を塗布することとなる。そして、外装不織布12をローラー83等で接着させ、作製することになる。
<接着強さ試験>
ホットメルト接着剤81と、セルロースナノファイバー分散液15mとが重なると、ホットメルト接着剤81による接着が阻害されることがある。本接着強さ試験は、セルロースナノファイバーを縞状に塗布したときにホットメルト接着剤81による接着がどの程度阻害されるか、について確認するために行ったものである。
(試験サンプル)
試験サンプル(検体S1〜検体S12)に使用した液不透過性樹脂フィルム11、外装不織布12、及びセルロースナノファイバーは以下のとおりである。
液不透過性樹脂フィルム11は、目付け18g/m2、透湿度:9000g/m2・24h(JIS Z 0208の温湿度条件Bの方法(温度40℃ 湿度90%条件下))(ただし、検体11及び検体12では10000g/m2・24h)の透湿性ポリエチレンフィルムを用いた。
また、外装不織布12は、ポリエチレン(鞘)とポリエチレンテレフタラート(芯)の芯鞘構造の複合繊維(繊度2.0dtex)を用いた、目付け20g/m2のエアスルー不織布を使用した。
また、本試験で使用したセルロースナノファイバーは、NBKP100%のセルロースナノファイバーである。またセルロースナノファイバーの平均繊維幅(メジアン径)が49nmのセルロースナノファイバーを使用した。このセルロースナノファイバーは、NBKPをリファイナー処理して粗解繊した後、高圧ホモジナイザーを用いて、4回処理して解繊することにより得られたものである。また、この平均繊維幅は、上述の、セルロースナノファイバーの平均繊維幅の測定方法により測定したものである。
(試験操作)
液不透過性樹脂フィルム11の一方の面に、NBKP100%、平均繊維幅(メジアン径)が49nmのセルロースナノファイバー分散液15m(濃度1.5%)を、前後方向に沿って連続する幅5mmの塗布部分が幅方向に5mmの間隔を空けて5本並ぶ縞状の塗布パターンで塗布した。次に、セルロースナノファイバー分散液15mの乾燥前に、セルロースナノファイバー分散液15mの塗布領域(5本の塗布部分)、及びそれよりも幅方向の両側までホットメルト接着剤81を塗布した後、その上から外装不織布12を貼り合せ、乾燥させた。この方法で、ホットメルト接着剤81の塗布量及びセルロースナノファイバー分散液15mの塗布量をそれぞれ変化させ、乾燥後のセルロースナノファイバーの目付けが0.3〜4.5g/m2、かつホットメルト接着剤81の塗布量が1.8〜17.1g/m2の5種類のシートを作製した。そして、各シートから、セルロースナノファイバー分散液15mの塗布領域全体を含むように、幅50mm×前後長さ110mmのセルロースナノファイバー使用検体(検体S2、検体S4、検体S6、検体S8、検体S10、検体S12)を切り出した。
また、セルロースナノファイバー分散液15mを塗布しなかったこと以外は、上記検体と同様にしてブランク検体(検体S1、検体S3、検体S5、検体S7、検体S9、検体S11)を用意した。
これらの検体について、SHIMADZU社製引張試験機AG−Xを用いてチャック(掴み具)間隔50mm、引張速度300mm/min、測定長さ50mmの条件で接着強さ試験を行い、接着強さを測定した。具体的には各検体について、長手方向の一端から長手方向の中央側に50mmまでの部分を、コールドスプレーを用いてホットメルト接着剤81の接着力を弱めた後に、液不透過性樹脂フィルム11と外装不織布12とを剥がした。引張試験機の一方のチャックに、液不透過性樹脂フィルム11の剥離部分の半分(25mm)を挟み、他方のチャックに、外装不織布12の剥離部分の半分(25mm)を挟み、チャックを上記速度で離間させてシートを剥離(いわゆるT型剥離)し、その際の荷重及びひずみを測定した。この測定結果に基づく荷重ひずみ曲線から、剥離開始から剥離終了までの間における剥離に要した力の平均値を求め、接着強さとした。試験環境は、室温23±1℃、湿度50±2%RHとした。
(結果)
試験結果を表1に示す。
Figure 0006442098
表1の項目について、「CNF目付け」はセルロースナノファイバー層15の目付け、「接着剤目付け」はホットメルト接着剤81の目付け、をそれぞれ示す。また、接着強さの数値は、3回測定したそれぞれの数値の平均値(N:ニュートン)である。
検体S3と検体S4を比較すると、接着強さはそれぞれ1.89N、2.18Nであった。この結果からセルロースナノファイバーはホットメルト接着剤81の接着を阻害していないと言える。検体S5と検体S6、検体S7と検体S8、検体S9と検体S10、及び検体S11と検体S12を比較しても同様に、セルロースナノファイバーはホットメルト接着剤81の接着を阻害していないと言える。このことから次のことがわかる。セルロースナノファイバー層15を前後方向に連続する線状部分が幅方向に間隔を空けて並ぶ縞状に設けると、線状部分と線状部分との間隔15Bにはセルロースナノファイバー層15は塗布されていない。そのセルロースナノファイバー層15が塗布されていない部分は、ホットメルト接着剤81が塗布され、液不透過性樹脂フィルム11と外装不織布12が接着することになる。このホットメルト接着剤81による接着により液不透過性樹脂フィルム11と外装不織布12の接着強さが維持させる。
以上、発明者によりなされた発明について一実施形態として説明した。しかしながら、本実施形態を示す記述や図面によって本発明は限定されるべきではない。当業者が本実施形態に基づいて行う他の実施例等は本発明に含まれるものである。
<明細書中の用語の説明>
明細書中で以下の用語が使用される場合、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「前後(縦)方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味する。
・「内側」とは装着者の肌に近い方を意味し、「外側」とは装着者の肌から遠い方を意味する。「内面」とは部材の、装着者の肌に近い方の面を意味し、「外面」とは装着者の肌から遠い方の面を意味する。
・「LD方向」及び「WD方向」とは、製造設備における流れ方向(LD方向)及びこれと直交する横方向(WD方向)を意味し、いずれか一方が製品の前後方向となるものであり、他方が製品の幅方向となるものである。不織布のLD方向は、不織布の繊維配向の方向である。繊維配向とは、不織布の繊維が沿う方向であり、例えば、TAPPI標準法T481の零距離引張強さによる繊維配向性試験法に準じた測定方法や、前後方向及び幅方向の引張強度比から繊維配向方向を決定する簡易的測定方法により判別することができる。
・「展開状態」とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。
・「ゲル強度」は次のようにして測定されるものである。人工尿(尿素:2wt%、塩化ナトリウム:0.8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.03wt%、硫酸マグネシウム七水和物:0.08wt%、及びイオン交換水:97.09wt%)49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置したあと常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter−MAX ME−500)でゲル強度を測定する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を温度100℃の環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から、試料採取用の型板(100mm×100mm)を使用し、100mm×100mmの寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、100倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES−G5 ハンディー圧縮試験機)を用い、荷重:0.098N/cm2、及び加圧面積:2cm2の条件下で自動測定する。
・「吸水量」は、JIS K7223−1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
・「吸水速度」は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内で行うものとする。
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
本発明は、上記例のようなテープタイプ使い捨ておむつの他、パンツタイプ使い捨ておむつやパッドタイプ使い捨ておむつ等、使い捨ておむつ全般に適用できるものであり、また、生理用ナプキン等の他の吸収性物品にも適用できることはいうまでもない。
11…液不透過性樹脂フィルム、11i…液不透過性樹脂フィルムの内面、11e…液不透過性樹脂フィルムの外面、12…外装不織布、12i…外装不織布の内面、12e…外装不織布の外面、13…連結テープ、13A…連結部、13B…テープ本体部、13C…テープ取付部、15…セルロースナノファイバー層、15m…セルロースナノファイバー分散液、15A…幅、20…ターゲットシート、21…端縁部、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、56W…吸収体幅、58…包装シート、60…起き上がりギャザー、62…ギャザーシート、81…ホットメルト接着剤、B…背側部分、F…腹側部分、WD…幅方向、LD…前後方向。

Claims (6)

  1. 吸収体と、
    前記吸収体の外面を覆う液不透過性樹脂フィルムと、
    前記液不透過性樹脂フィルムの外面を覆う外装不織布とを有し、
    前記液不透過性樹脂フィルムは厚み方向の透湿性を有するものである、
    吸収性物品において、
    前記液不透過性樹脂フィルムと前記外装不織布との間における、間隔を空けた複数個所に、セルロースナノファイバー層が介在し、
    前記液不透過性樹脂フィルム及び前記外装不織布は、前記セルロースナノファイバー層を有しない部位で、ホットメルト接着剤により接着されている、
    ことを特徴とする吸収性物品。
  2. 前記セルロースナノファイバー層は、前後方向に連続する線状部分が幅方向に間隔を空けて並ぶ縞状の部分を有しており、
    前記ホットメルト接着剤は、前後方向に連続する線状接着部分が幅方向に間隔を空けて並ぶ縞状の部分を有しており、
    一部又は全部の前記セルロースナノファイバー層の線状部分が、前記ホットメルト接着剤における隣り合う前記線状接着部分の間に配されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記セルロースナノファイバー層の線状部分の幅は1〜20mmであり、前記セルロースナノファイバー層の線状部分の幅方向の間隔は1〜20mmであり、前記セルロースナノファイバー層の線状部分は0.3〜15.0g/m2のセルロースナノファイバーからなり、
    前記ホットメルト接着剤の線状接着部分の幅は1〜20mmであり、前記ホットメルト接着剤の線状接着部分の幅方向の間隔は1〜20mmであり、前記ホットメルト接着剤の線状接着部分は1〜20g/m2のホットメルト接着剤からなるものである、
    ことを特徴とする請求項2に記載の吸収性物品。
  4. 前記セルロースナノファイバー層は、前記吸収体と重なる範囲のみに設けられている、
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記セルロースナノファイバー層の一部又は全体がホットメルト接着剤により覆われていない、
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品の製造方法であって、
    前記液不透過性樹脂フィルムと前記外装不織布との接着にあたり、
    前記液不透過性樹脂フィルムの前記外装不織布と対向する部分における、間隔を空けた複数個所に、セルロースナノファイバー分散液を塗布し、
    前記液不透過性樹脂フィルム及び前記外装不織布の少なくとも一方における、前記液不透過性樹脂フィルム及び前記外装不織布が重なることとなる部分の、少なくとも前記セルロースナノファイバー分散液の塗布位置以外に、ホットメルト接着剤を塗布し、
    しかる後、前記液不透過性樹脂フィルムのセルロースナノファイバー分散液の塗布面と、前記外装不織布とを重ね合わせて、前記ホットメルト接着剤により前記液不透過性樹脂フィルム及び前記外装不織布を接着する、
    ことを特徴とする吸収性物品の製造方法。
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