以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態に係る電子デバイス用テープ1を示す平面図および断面図である。この電子デバイス用テープ1は、フリップチップ(FC;Flip Chip)実装パッケージのような電子デバイスパッケージの製造に用いることができるものである。
フリップチップ実装パッケージにおいては、近年、電極の数が増加したり狭ピッチ化したりしているため、発熱量の増加が問題となっている。そこで、従来より、フリップチップ実装パッケージの放熱構造として、電子デバイスの裏面に接着剤層を介して金属層を設けることが提案されている(例えば、特開2007−235022号公報参照)。
また、フリップチップ実装パッケージにおいては、電子デバイスの線膨張率と回路基板の線膨張率とが大きく異なる場合がある。この場合、電子デバイスパッケージの製造過程において、中間製品が加熱及び冷却された際に、電子デバイスと回路基板との間には膨張量及び収縮量に差が生じることになる。この差によって、電子デバイスパッケージには反りが発生することになる。このような反りを抑制する構造としても、電子デバイスの裏面に接着剤層を介して金属層を設けることが提案されている(例えば、特許第5487847号公報参照)。
さらに、フリップチップ実装パッケージにおいて、電子デバイスの裏面に接着剤層を介して金属層を設け、この金属層をレーザーマーキング用の保護層として用いることも提案されている(例えば、特許第5419226号公報参照)。
また、近年、半導体チップ上に、更に同じサイズの他の半導体チップを積層し、三次元実装を行う場合がある。ここで、半導体チップ上に、同じサイズの他の半導体チップを積層できるようにするためには、両者の間にスペーサを積層しておく必要がある。半導体チップにおける電極パッド部分上にも他の半導体チップが積層されてしまうからである。前記のスペーサとして、接着剤層付き金属層を使用することが提案されている(例えば、特許第4954569号公報参照)。特許第4954569号公報には、スペーサは、少なくとも一方の面に接着剤層を備えた金属層を有するスペーサ用接着シートを、接着剤層を貼り合わせ面としてダイシングシートに貼り合わせる工程と、スペーサ用接着シートをダイシングして、接着剤層を備えたチップ状のスペーサを形成する工程と、スペーサをニードルによって突き上げ、突き上げられたスペーサを、ダイシングシートから接着剤層と共に半導体チップを剥離する際に使用するピックアップ装置によって、接着剤層と共にダイシングシートから剥離する工程と、接着剤層を介してスペーサを被着体に固定する工程とにより、設けられることが記載されている。
上述のように、接着剤層付の金属層は、様々な電子デバイスパッケージに有用であるが、特許第4954569号公報に記載のように、既存の装置を用いてピックアップして被着体に固定できれば便利である。
ここで、従来の一般的なピックアップ装置においては、ウエハWあるいはダイボンド層付ウエハを粘着保持したダイシングテープDの粘着面の周縁部に、リング状の保持部材であるリングフレームRを貼合して、このリングフレームRを装置に固定することにより、ウエハWをピックアップ装置にセットするようになっている(図5(C)参照)。したがって、ダイシングテープDは使用時には、リングフレームRに対応する形状に切断されている必要がある。
そこで、基材テープ上に、金属層、接着剤層、粘着テープがこの順で設けられており、該粘着テープがリングフレームに対応する形状に切断されており、金属層および接着剤層もこれに対応して所定形状に切断されている(すなわち、プリカット加工された)電子デバイス用テープ(図1,2参照)を用意しておき、使用時に基材テープを剥離して粘着テープにリングフレームを貼合するようにできれば、非常に利便性がよい。
上述のような構成の電子デバイス用テープは、粘着テープの周縁部にリングフレームを貼合出来るように、金属層および接着剤層が、粘着テープよりも小さな形状に切断されている必要がある。このような構成とするには、例えば、まず、長尺フィルム状の基材テープ上に、長尺の金属箔および接着剤フィルムをこの順に設け、金属箔および接着剤フィルムを切断して所定形状の金属層および接着剤層を形成して、所定形状周辺の不要な部分を除去した後、長尺フィルム状の粘着テープを接着剤層側に貼合し、粘着テープをリングフレームに対応する形状に、金属層および接着剤層と位置を合わせて切断し、不要な部分を除去するとよい(プリカット加工)。この場合、金属層が基材テープに保持されている必要があるため、基材テープの金属層と接する面は、ある程度の粘着力を有している必要がある。
プリカット加工の後、粘着面を有する基材テープを剥離して、離型フィルムを、金属層および接着剤層を覆うようにして金属層および接着剤層の周辺からはみ出している粘着テープに粘着させるようにして貼合してもよい。しかしながら、この場合、電子デバイス用テープをロール状に巻いた状態で輸送したときなどに、巻きズレが生じることが懸念される。そこで、プリカット加工時に使用した粘着面を有する基材テープをそのまま基材テープとして使用することが好ましい。この場合、上述のように、リード部分や欠点があるラベル形状部を剥離した部分は、基材テープの粘着面が広く露出し、粘着面が貼合機の案内ロールなどに粘着し、貼合機への電子デバイス用テープのセットが困難になるという問題が生じる。
そこで、上述のような電子デバイスパッケージに用いる電子デバイス用テープにも、本願発明を好適に適用することができる。本実施形態に係る電子デバイス用テープ1は、本願発明を適用した電子デバイス用テープである。
本実施形態に係る電子デバイス用テープ1は、粘着面を有する基材テープ2を有しており、該基材テープ2の粘着面上には、所定の平面形状を有する金属層3と、金属層3の基材テープ2側とは反対側に金属層3と積層して設けられ、所定の平面形状を有する接着剤層4と、接着剤層4を覆い、且つ、接着剤層4の周囲で基材テープ2に接触するように設けられた所定の平面形状のラベル部5aと該ラベル部5aの外側を囲むような周辺部5bとを有する粘着テープ5と、を有している。
ラベル部5aは、ダイシング用のリングフレームRに対応する形状を有する。ダイシング用のリングフレームRの形状に対応する形状は、リングフレームRの内側と略同じ形状でリングフレームR内側の大きさより大きい相似形であることが好ましい。また、必ずしも円形でなくてもよいが、円形に近い形状が好ましく、円形であることがさらに好ましい。
周辺部5bは、ラベル部5aの外側を完全に囲む形態と、図示のような完全には囲まない形態とを含む。なお、周辺部5bは、本願請求項における周辺テープを構成する。本実施形態においては、周辺テープを粘着テープ5により構成したが、これに限定されるものではなく、粘着テープ5とは別体のテープで構成してもよい。周辺テープは必ずしも設けなくてもよいが、周辺テープがあることにより、基材テープ2の粘着面の露出をより少なくすることができるため、設けることが好ましい。
接着剤層4は、所定の平面形状を有しており、この平面形状は、粘着テープ5のラベル部5aの周縁部にリングフレームRを貼合し、ピックアップ装置の突き上げ部材で突き上げ可能なように(図6(C)参照)ラベル部5aよりも小さい形状となっている。接着剤層4は、ラベル部5aと略同じ形状でラベル部5aの大きさより小さい相似形であることが好ましい。接着剤層4は、必ずしも円形でなくてもよいが、円形に近い形状が好ましく、円形であることがさらに好ましい。
金属層3は接着剤層4とは同様の形状となっており、金属層3に接着剤層4が積層されている。ここでいう積層は、主要部分が積層されていればよく、金属層3と接着剤層4とが必ずしも同じ大きさである必要はないが、製造の利便性から、略同じ形状であることが好ましい。
また、ここでいう積層は、金属層3上に直接的に接着剤層4が設けられている場合と、両者の密着性をよくするためのプライマ層等を介して間接的に設けられている場合とを含む。
粘着テープ5のラベル部5a、金属層3および接着剤層4の積層体により、ラベル形状部12が構成されている。
本発明の電子デバイス用テープ1は、図2に示すように、金属層3、接着剤層4、粘着テープ5のラベル部5aが積層されたラベル形状部12が複数形成された長尺の基材テープ2を、ロール状に巻き取った状態で半導体メーカーに提供される。電子デバイス用テープ1の端部には、ラベル形状部12に代えて、所定の平面形状を有するダミーラベル形状部13aが配設されていることが好ましい。これにより、ラベル形状部12を半導体ウエハWなどに貼合する際に、貼合機のセンサに感知されないリード部分14が形成されている。また、ラベル形状部12の内部に異物、スジ、フィッシュアイなどの欠点が検出された場合に、当該ラベル形状部12を基材テープ2から剥離して、代わりにダミーラベル形状部13bを貼合することも好ましい。
本発明の電子デバイス用テープ1は、図1,2に示すように、基材テープ2の短手方向両端部であってラベル形状部12およびダミーラベル形状部13a,13bの外側に、基材テープ2の長手方向に沿って、支持テープ15が設けられていることが好ましい。
以下に、各構成要素について説明する。
<基材テープ2>
基材テープ2は、粘着面を有するものあれば、特に限定されるものではない。このような基材テープ2として、例えば、樹脂フィルムと樹脂フィルムの片面に設けられた基材テープ用粘着剤層とを有するテープを好適に使用することができる。
基材テープ2を構成する樹脂フィルムの素材には、公知の材料を用いることができるが、例示するのであれば、ポリエステル(PET、PBT、PEN、PBN、PTT)系、ポリオレフィン(PP、PE)系、共重合体(EVA、EEA、EBA)系、またこれらの材料を一部置換して、更に接着性や機械的強度を向上したフィルムが挙げられる。また、これらのフィルムの積層体であってもよい。耐熱性、平滑性、及び、入手し易さの点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、及び高密度ポリエチレンから選択されることが好ましい。
基材テープ2を構成する樹脂フィルムの厚さは、特に限定されるものではなく、適宜に設定してよいが、10〜150μmであることが好ましい。
基材テープ2を構成する基材テープ用粘着剤層に使用される樹脂としては、特に限定されるものではなく、粘着剤に使用される公知の塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を使用することができるが、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。
アクリル系ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステル等のアルキル基の炭素数1〜30、特に炭素数4〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルエステル等)及び(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル等)の1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系ポリマー等が挙げられる。尚、(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルをいい、本発明の(メタ)とは全て同様の意味である。
アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性等の改質を目的として、必要に応じ、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はシクロアルキルエステルと共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。この様なモノマー成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー;アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これら共重合可能なモノマー成分は、1種又は2種以上使用できる。これら共重合可能なモノマーの使用量は、全モノマー成分の40重量%以下が好ましい。
更に、アクリル系ポリマーは、架橋されるため、多官能性モノマー等も必要に応じて共重合用モノマー成分として含むことができる。この様な多官能性モノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能性モノマーも1種又は2種以上用いることができる。多官能性モノマーの使用量は、粘着特性等の点から、全モノマー成分の30重量%以下が好ましい。
アクリル系ポリマーの調製は、例えば1種又は2種以上の成分モノマーの混合物に溶液重合方式や乳化重合方式、塊状重合方式や懸濁重合方式等の適宜な方式を適用して行うことができる。基材テープ用粘着剤層は、低分子量物質の含有を抑制した組成が好ましく、かかる点より重量平均分子量が30万以上、特に40万〜300万のアクリル系ポリマーを主成分とするものが好ましいことから粘着剤は、内部架橋方式や外部架橋方式等による適宜な架橋タイプとすることもできる。
また、基材テープ用粘着剤層の架橋密度を制御して粘着テープ5との剥離性を向上させるため、例えば多官能イソシアネート系化合物、多官能エポキシ系化合物、メラミン系化合物、金属塩系化合物、金属キレート系化合物、アミノ樹脂系化合物、又は過酸化物等の適宜な外部架橋剤を用いて架橋処理する方式や、炭素−炭素二重結合を2個以上有する低分子化合物を混合してエネルギー線の照射等により架橋処理する方式等の適亘な方式を採用することができる。外部架橋剤を使用する場合、その使用量は、架橋すべきベースポリマーとのバランスにより、更には、粘着剤としての使用用途によって適宜決定される。一般的には、前記ベースポリマー100重量部に対して、10重量部程度以下、更には0.1重量部〜10重量部配合するのが好ましい。
上述のアクリル系ポリマーの中でも、特にCH2=CHCOOR(式中、Rは炭素数が4〜18のアルキル基である。)で表されるアクリル酸エステルと、ヒドロキシル基含有モノマーと、イソシアネート化合物とを含んで構成されるアクリル系ポリマーPが好ましい。
アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数が4未満であると、極性が高く剥離力が大きくなり過ぎて、電子デバイス用テープ1の製造過程において、金属層3および接着剤層4あるいは粘着テープ5を所定形状に切断した後、当該所定形状の周辺の不要な部分を基材テープ2から剥離しにくくなる場合がある。一方、アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数が18を超えると、基材テープ用粘着剤層のガラス転移温度が高くなり過ぎて、常温での接着特性が低下し、その結果、電子デバイス用テープ1の製造過程において、金属層3が基材テープ2に十分に保持されなかったり、リングフレーム貼合時に金属層3および接着剤層4にシワが発生する場合がある。
上記アクリル系ポリマーPは、必要に応じ、他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。
アクリル系ポリマーPでは、ラジカル反応性炭素−炭素二重結合を有しないイソシアネート化合物を用いることが好ましいが、ラジカル反応性炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物を用いてもよい。ラジカル反応性炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物を用いた場合、アクリルポリマーは、前記アクリル酸エステルやヒドロキシル基含有モノマー等のモノマー組成物によるポリマーに、二重結合含有イソシアネート化合物が付加反応された構成を有していることになる。これにより、活性エネルギー線(紫外線など)の照射によって硬化する活性エネルギー線硬化型粘着剤層(紫外線硬化型粘着剤層など)とすることができる。ただし、金属層3の表面に凹凸があると、エネルギー線照射による基材テープ用粘着剤層の硬化収縮により、金属層3の表面の凹凸に基材テープ用粘着剤層が噛み込んでしまい、基材テープ2と金属層3との剥離力が上がってしまうことがある。また、粘着テープ5と貼合した後にエネルギー線を照射すると粘着テープ5の粘着力まで低下してしまうため、粘着テープ5の貼合前に照射する必要があり、プロセスが複雑になる。このため、アクリル系ポリマーPでは、ラジカル反応性炭素−炭素二重結合を有しないイソシアネート化合物が用いることが好ましい。
基材テープ2を構成する基材テープ用粘着剤層の厚みは、特に制限されず適宜に決定できるが、一般的には3〜200μm程度である。また、基材テープ用粘着剤層は単層で構成されても複数層で構成されていてもよい。
<粘着テープ5>
粘着テープ5としては、特に制限はなく、従来の粘着テープを使用することができる。粘着テープ5として、例えば、基材フィルムに粘着剤層を設けたものを好適に使用できる。
基材フィルムとしては、従来公知のものであれば特に制限することなく使用することができるが、後述の粘着剤層として放射線硬化性の材料を使用する場合には、放射線透過性を有するものを使用することが好ましい。
例えば、その材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマーなどのα−オレフィンの単独重合体または共重合体あるいはこれらの混合物、ポリウレタン、スチレン−エチレン−ブテンもしくはペンテン系共重合体、ポリアミド−ポリオール共重合体等の熱可塑性エラストマー、及びこれらの混合物を列挙することができる。また、基材フィルムはこれらの群から選ばれる2種以上の材料が混合されたものでもよく、これらが単層又は複層化されたものでもよい。
基材フィルムの厚さは、特に限定されるものではなく、適宜に設定してよいが、50〜200μmであることが好ましい。
基材フィルムと粘着剤層との密着性を向上させるために、基材フィルムの表面に、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的表面処理を施してもよい。
また、本実施の形態においては、基材フィルムの上に直接的に粘着剤層を設けたが、密着性をあげるためのプライマ層や、ダイシング時の切削性向上ためのアンカー層、応力緩和層、静電防止層等を介して間接的に設けてもよい。
粘着テープ5の粘着剤層に使用される樹脂としては、特に限定されるものではなく、粘着剤に使用される公知の塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を使用することができるが、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。
アクリル系ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステル等のアルキル基の炭素数1〜30、特に炭素数4〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルエステル等)及び(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル等)の1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系ポリマー等が挙げられる。尚、(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルをいい、本発明の(メタ)とは全て同様の意味である。
アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性等の改質を目的として、必要に応じ、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はシクロアルキルエステルと共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。この様なモノマー成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー;アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これら共重合可能なモノマー成分は、1種又は2種以上使用できる。これら共重合可能なモノマーの使用量は、全モノマー成分の40重量%以下が好ましい。
更に、アクリル系ポリマーは、架橋されるため、多官能性モノマー等も必要に応じて共重合用モノマー成分として含むことができる。この様な多官能性モノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能性モノマーも1種又は2種以上用いることができる。多官能性モノマーの使用量は、粘着特性等の点から、全モノマー成分の30重量%以下が好ましい。
アクリル系ポリマーの調製は、例えば1種又は2種以上の成分モノマーの混合物に溶液重合方式や乳化重合方式、塊状重合方式や懸濁重合方式等の適宜な方式を適用して行うことができる。粘着剤層は、ウエハの汚染防止等の点より低分子量物質の含有を抑制した組成が好ましく、かかる点より重量平均分子量が30万以上、特に40万〜300万のアクリル系ポリマーを主成分とするものが好ましいことから粘着剤は、内部架橋方式や外部架橋方式等による適宜な架橋タイプとすることもできる。
また、粘着剤層の架橋密度を制御してピックアップ性を向上させるため、例えば多官能イソシアネート系化合物、多官能エポキシ系化合物、メラミン系化合物、金属塩系化合物、金属キレート系化合物、アミノ樹脂系化合物、又は過酸化物等の適宜な外部架橋剤を用いて架橋処理する方式や、炭素−炭素二重結合を2個以上有する低分子化合物を混合してエネルギー線の照射等により架橋処理する方式等の適亘な方式を採用することができる。外部架橋剤を使用する場合、その使用量は、架橋すべきベースポリマーとのバランスにより、更には、粘着剤としての使用用途によって適宜決定される。一般的には、前記ベースポリマー100重量部に対して、10重量部程度以下、更には0.1重量部〜10重量部配合するのが好ましい。尚、粘着剤には、劣化防止等の観点から、必要により、前記成分のほかに、各種の粘着付与剤、老化防止剤等の添加剤を用いてもよい。
粘着剤層を構成する粘着剤としては、放射線硬化型粘着剤が好適である。放射線硬化型粘着剤としては、前述の粘着剤に、放射線硬化性のモノマー成分や放射線硬化性のオリゴマー成分を配合した添加型の放射線硬化型粘着剤を例示できる。
配合する放射線硬化性のモノマー成分としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマー成分は、1種又は2種以上併用できる。
また、放射線硬化性のオリゴマー成分はウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系等種々のオリゴマーがあげられ、その分子量が100〜30000程度の範囲のものが適当である。放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分の配合量は、前記粘着剤層の種類に応じて、粘着剤層の粘着力を低下できる量を、適宜に決定することができる。一般的には、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば5重量部〜500重量部、好ましくは70重量部〜150重量部程度である。
また、放射線硬化型粘着剤としては、前記添加型の放射線硬化型粘着剤の他に、ベースポリマーとして炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖又は主鎖中もしくは主鎖末端に有するものを用いた内在型の放射線硬化型粘着剤も挙げられる。内在型の放射線硬化型粘着剤は、低分子成分であるオリゴマー成分等を含有する必要がなく、又は多くを含まないため、経時的にオリゴマー成分等が粘着剤在中を移動することなく、安定した層構造の粘着剤層を形成することができるため好ましい。
炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーは、炭素−炭素二重結合を有し、かつ粘着性を有するものを特に制限なく使用できる。この様なベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とするものが好ましい。アクリル系ポリマーの基本骨格としては、前記例示したアクリル系ポリマーが挙げられる。
アクリル系ポリマーへの炭素−炭素二重結合の導入法は特に制限されず、様々な方法を採用できるが、炭素−炭素二重結合はポリマー側鎖に導入するのが分子設計の上で容易である。例えば、予め、アクリル系ポリマーに官能基を有するモノマーを共重合した後、この官能基と反応しうる官能基及び炭素−炭素二重結合を有する化合物を、炭素−炭素二重結合の放射線硬化性を維持したまま縮合又は付加反応させる方法が挙げられる。
これら官能基の組合せの例としては、カルボン酸基とエポキシ基、カルボン酸基とアジリジル基、ヒドロキシル基とイソシアネート基等が挙げられる。これら官能基の組合せのなかでも反応追跡の容易さから、ヒドロキシル基とイソシアネート基との組合せが好適である。また、これら官能基の組み合わせにより、前記炭素−炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを生成するような組合せであれば、官能基はアクリル系ポリマーと前記化合物のいずれの側にあってもよいが、前記の好ましい組み合わせでは、アクリル系ポリマーがヒドロキシル基を有し、前記化合物がイソシアネート基を有する場合が好適である。この場合、炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。また、アクリル系ポリマーとしては、前記例示のヒドロキシ基含有モノマーや2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングルコールモノビニルエーテルのエーテル系化合物等を共重合したものが用いられる。
内在型の放射線硬化型粘着剤は、前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマー(特にアクリル系ポリマー)を単独で使用することができるが、特性を悪化させない程度に前記放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分等の光重合性化合物を配合することもできる。当該光重合性化合物の配合量は、通常ベースポリマー100重量部に対して30重量部以下の範囲内であり、好ましくは0〜10重量部の範囲内である。
放射線硬化型粘着剤には、紫外線等により硬化させる場合には光重合開始剤を含有させることが好ましい。
上述のアクリル系ポリマーの中でも、特にCH2=CHCOOR(式中、Rは炭素数が4〜18のアルキル基である。)で表されるアクリル酸エステルと、ヒドロキシル基含有モノマーと、分子内にラジカル反応性炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物とを含んで構成されるアクリル系ポリマーAが好ましい。
アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数が4未満であると、極性が高く剥離力が大きくなり過ぎてピックアップ性が低下する場合がある。一方、アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数が18を超えると、粘着剤層のガラス転移温度が高くなり過ぎて、常温での接着特性が低下し、その結果、ダイシングやエキスパンド際に接着剤層4および金属層3の剥離が発生する場合がある。
上記アクリル系ポリマーAは、必要に応じ、他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。
アクリル系ポリマーAでは、ラジカル反応性炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物が用いられる。すなわち、アクリルポリマーは、前記アクリル酸エステルやヒドロキシル基含有モノマー等のモノマー組成物によるポリマーに、二重結合含有イソシアネート化合物が付加反応された構成を有していることが好ましい。従って、アクリル系ポリマーは、その分子構造内に、ラジカル反応性炭素−炭素二重結合を有していることが好ましい。これにより、活性エネルギー線(紫外線など)の照射によって硬化する活性エネルギー線硬化型粘着剤層(紫外線硬化型粘着剤層など)とすることができ、金属層3と粘着剤層との剥離力を低下させることができる。
二重結合含有イソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、アクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。二重結合含有イソシアネート化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、活性エネルギー線硬化型粘着剤には、活性エネルギー線照射前の粘着力や、活性エネルギー線照射後の粘着力を調整する為、外部架橋剤を適宜に用いることもできる。外部架橋方法の具体的手段としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、メラミン系架橋剤等のいわゆる架橋剤を添加し反応させる方法が挙げられる。外部架橋剤を使用する場合、その使用量は、架橋すべきベースポリマーとのバランスにより、更には、粘着剤としての使用用途によって適宜決定される。外部架橋剤の使用量は、一般的には、前記ベースポリマー100重量部に対して、20重量部以下(好ましくは0.1重量部〜10重量部)である。更に、活性エネルギー線硬化型粘着剤には、必要により、前記成分のほかに、従来公知の各種の粘着付与剤、老化防止剤、発泡剤等の添加剤が配合されていてもよい。
粘着剤層の厚みは、特に制限されず適宜に決定できるが、一般的には5〜200μm程度である。また、粘着剤層は単層で構成されても複数層で構成されていてもよい。
<金属層3>
金属層3を構成する金属としては特に限定されず、例えば、ステンレス、アルミニウム、鉄、チタン、スズ、ニッケル及び銅からなる群より選択される少なくとも1種であることが放熱性、電子デバイスパッケージ8の反り防止の点から好ましい。これらの中でも、熱伝導性が高く放熱の効果が得られる観点から、銅を含むことが特に好ましい。また、電子デバイスパッケージ8の反り防止の観点からは、アルミニウムを含むことが特に好ましい。
金属層3の厚さは、放熱性、電子デバイスパッケージ8の反り防止性、及び加工性等を考慮して適宜決定することができ、通常2〜200μmの範囲である。金属層3は200μm以下であると巻取り加工が容易であり、50μm以下の場合、半導体パッケージの薄型化に寄与できる点で好ましい。一方、放熱性の観点から最低でも2μm以上が必要である。
このような金属層3としては、金属箔を使用することができ、金属箔は、電解箔であっても圧延箔であってもよい。
<接着剤層4>
接着剤層4は、接着剤を予めフィルム化したものである。
接着剤層4は、少なくとも熱硬化性樹脂により形成されており、少なくとも熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とにより形成されていることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、6−ナイロンや6,6−ナイロン等のポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPBT(ポリブチレンテレフタレート)等の飽和ポリエステル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はフッ素樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は単独で又は2種以上を併用して用いることができる。これらの熱可塑性樹脂のうち、イオン性不純物が少なく応力緩和性に優れる点でアクリル樹脂が、可とう性と強度を両立して高靭性である点でフェノキシ樹脂が、それぞれの観点で半導体素子の信頼性を確保しやすくできるため、特に好ましい。
アクリル樹脂としては、特に限定されるものではなく、炭素数30以下(好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数6〜10、特に好ましくは炭素数8又は9)の直鎖若しくは分岐のアルキル基を有するアクリル酸又はメタクリル酸のエステルの1種又は2種以上を成分とする重合体等が挙げられる。すなわち、本発明では、アクリル樹脂とは、メタクリル樹脂も含む広義の意味である。前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基(ラウリル基)、トリデシル基、テトラデシル基、ステアリル基、オクタデシル基等が挙げられる。
また、アクリル樹脂を形成するための他のモノマー(アルキル基の炭素数が30以下のアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル以外のモノマー)としては、特に限定されるものではなく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸若しくはクロトン酸等の様なカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸若しくは無水イタコン酸等の様な酸無水物モノマー、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル若しくは(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等の様なヒドロキシル基含有モノマー、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等の様なスルホン酸基含有モノマー、又は2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等の様な燐酸基含有モノマーなどが挙げられる。尚、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及び/又はメタクリル酸をいい、本発明の(メタ)とは全て同様の意味である。
また、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂の他、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂は、単独で又は2種以上併用して用いることができる。熱硬化性樹脂としては、特に、半導体素子を腐食させるイオン性不純物等含有が少ないエポキシ樹脂が好適である。また、エポキシ樹脂の硬化剤としてはフェノール樹脂を好適に用いることができる。
エポキシ樹脂としては、特に限定は無く、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオンレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂等の二官能エポキシ樹脂や多官能エポキシ樹脂、又はヒダントイン型エポキシ樹脂、トリスグリシジルイソシアヌレート型エポキシ樹脂若しくはグリシジルアミン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を用いることができる。
エポキシ樹脂としては、例示のうちノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂が特に好ましい。これらのエポキシ樹脂は、硬化剤としてのフェノール樹脂との反応性に富み、耐熱性等に優れるからである。
更に、フェノール樹脂は、エポキシ樹脂の硬化剤として作用するものであり、例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン等が挙げられる。フェノール樹脂は単独で又は2種以上を併用して用いることができる。これらのフェノール樹脂のうちフェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂が特に好ましい。半導体装置の接続信頼性を向上させることができるからである。
エポキシ樹脂とフェノール樹脂の配合割合は、例えば、エポキシ樹脂成分中のエポキシ基1当量当たりフェノール樹脂中の水酸基が0.5当量〜2.0当量になるように配合することが好適である。より好適なのは、0.8当量〜1.2当量である。即ち、両者の配合割合が前記範囲を外れると、十分な硬化反応が進まず、エポキシ樹脂硬化物の特性が劣化し易くなるからである。
また、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の熱硬化促進触媒が用いられていても良い。熱硬化促進触媒としては、特に制限されず、公知の熱硬化促進触媒の中から適宜選択して用いることができる。熱硬化促進触媒は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。熱硬化促進触媒としては、例えば、アミン系硬化促進剤、リン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、ホウ素系硬化促進剤、リン−ホウ素系硬化促進剤などを用いることができる。
エポキシ樹脂の硬化剤としては、上述のようにフェノール樹脂を用いることが好ましいが、イミダゾール類、アミン類、酸無水物類等の公知の硬化剤を使用することもできる。
接着剤層4は、電子デバイスなどの被着体9に対して接着性(密着性)を有していることが重要である。そこで、接着剤層4を予めある程度架橋させておくため、重合体の分子鎖末端の官能基等と反応する多官能性化合物を架橋剤として添加させておいてもよい。これにより、高温下での接着特性を向上させ、耐熱性の改善を図ることができる。
架橋剤としては、特に制限されず、公知の架橋剤を用いることができる。具体的には、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤の他、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられる。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤やエポキシ系架橋剤が好適である。また、前記架橋剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、本発明では、架橋剤を用いる代わりに、あるいは、架橋剤を用いるとともに、電子線や紫外線などの照射により架橋処理を施すことも可能である。
接着剤層4には、必要に応じて他の添加剤を適宜に配合することができる。他の添加剤としては、例えば、充填剤(フィラー)、難燃剤、シランカップリング剤、イオントラップ剤の他、増量剤、老化防止剤、酸化防止剤、界面活性剤などが挙げられる。
充填剤としては、無機充填剤、有機充填剤のいずれであってもよいが、無機充填剤が好適である。無機充填剤等の充填剤の配合により、接着剤層4に熱伝導性の向上、弾性率の調節等を図ることができる。無機充填剤としては、例えば、シリカ、クレー、石膏、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、酸化ベリリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム等のセラミック類、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、クロム、鉛、錫、亜鉛、パラジウム、半田などの金属、又は合金類、その他カーボンなどからなる種々の無機粉末などが挙げられる。充填剤は単独で又は2種以上を併用して用いることができる。充填剤としては、なかでも、シリカまたはアルミナが、シリカとしては特に溶融シリカが好適である。なお、無機充填剤の平均粒径は0.001μm〜80μmの範囲内であることが好ましい。無機充填剤の平均粒径は、例えば、レーザー回折型粒度分布測定装置によって測定することができる。
充填剤(特に無機充填剤)の配合量は、有機樹脂成分に対して98重量%以下(0重量%〜98重量%)であることが好ましく、特にシリカの場合は0重量%〜70重量%、熱伝導や導電などの機能性無機充填剤の場合は10重量%〜98重量%であることが好適である。
また、難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、臭素化エポキシ樹脂等が挙げられる。難燃剤は、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。シランカップリング剤としては、例えば、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。シランカップリング剤は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。イオントラップ剤としては、例えばハイドロタルサイト類、水酸化ビスマス等が挙げられる。イオントラップ剤は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
接着剤層4は、接着性と信頼性の観点から、特に(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)アクリル樹脂またはフェノキシ樹脂、および(D)表面処理された無機充填材を含有することが好ましい。
(A)エポキシ樹脂を用いることにより、高い接着性、耐水性、耐熱性を得られる。エポキシ樹脂としては、上述の公知のエポキシ樹脂を用いることができる。(B)硬化剤は上述の公知の硬化剤を用いることができる。
(C)アクリル樹脂は、可とう性と強度を両立して高靭性である。好ましいアクリル樹脂は、Tg(ガラス転移温度)が−50℃〜50℃であり、エポキシ基、グリシジル基、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基またはカルボキシル基を架橋性官能基として有するモノマーを重合して得た架橋性官能基含有(メタ)アクリル共重合体である。さらに、アクリロニトリル等を含有してゴム特性を示すとより高靭性が得られる。
また、(C)フェノキシ樹脂は、フェノキシ樹脂は分子鎖が長くエポキシ樹脂と構造が似ており、高架橋密度の組成物中で可とう性材料として作用し、高靭性を付与するので高強度でありながらタフネスな組成物が得られる。好ましいフェノキシ樹脂は、主骨格がビスフェノールA型のものであるが、その他にビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールA/F混合型フェノキシ樹脂や臭素化フェノキシ樹脂等市販のフェノキシ樹脂が好ましいものとして挙げられる。
(D)表面処理された無機充填材としては、カップリング剤で表面処理された無機充填剤が挙げられる。無機充填材としては、上述の公知の無機充填剤を用いることができ、例えば、シリカ、アルミナである。カップリング剤で表面処理されていることにより、無機充填剤の分散性が良好になる。このため、流動性に優れる接着剤層4を得られるので金属層3との接着力を向上させることができる。また、無機充填剤を高充填させることができるようになるので、吸水率を下げ耐湿性を向上させることができる。
例えばシランカップリング剤による無機充填材の表面処理は、公知の方法により、シランカップリング剤溶液中に無機充填材を分散させることにより、無機充填剤の表面に存在する水酸基とシランカップリング剤のアルコキシ基等の加水分解基が加水分解されたシラノール基とを反応させて無機充填剤の表面にSi−O−Si結合を生成することにより行われる。
接着剤層4の厚さは特に制限されるものではないが、通常取扱い性の観点から、3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、半導体パッケージの薄型化に寄与するために100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。接着剤層4は単層で構成されても複数層で構成されていてもよい。
また、接着剤層4は、Bステージ(未硬化状態または半硬化状態)において金属層3との剥離力(23℃、剥離角度180度、線速300mm/分)が0.3N以上であることが好ましい。剥離力が0.3N未満であると、個片化(ダイシング)の際に、接着剤層4と金属層3との間で剥離が生じてしまうおそれがある。
接着剤層4の吸水率は、1.5vol%以下であることが好ましい。吸水率の測定方法は次の通りである。すなわち、50×50mmの大きさの接着剤層4(フィルム状接着剤)をサンプルとし、サンプルを真空乾燥機中で、120℃、3時間乾燥させ、デシケータ中で放冷後、乾燥質量を測定しM1とする。サンプルを蒸留水に室温で24時間浸してから取出し、サンプル表面をろ紙でふき取り、すばやく秤量してM2とする。吸水率は、次式(1)により算出される。
吸水率(vol%)=[(M2−M1)/(M1/d)]×100 (1)
ここで、dはフィルムの密度である。
吸水率が1.5vol%を超えると、吸水した水分によりはんだリフロー時にパッケージクラックを生じるおそれがある。
接着剤層4の飽和吸湿率は、1.0vol%以下であることが好ましい。飽和吸湿率の測定方法は次の通りである。すなわち、直径100mmの円形の接着剤層4(フィルム状接着剤)をサンプルとし、サンプルを真空乾燥機中で120℃、3時間乾燥させ、デシケータ中で放冷後、乾燥質量を測定しM1とする。サンプルを85℃、85%RHの恒温恒湿槽中で168時間吸湿してから取り出し、すばやく秤量してM2とする。飽和吸湿率は、次式(2)により算出される。
飽和吸湿率(vol%)=[(M2−M1)/(M1/d)]×100 (2)
ここで、dはフィルムの密度である。
飽和吸湿率が1.0vol%を超えると、リフロー時の吸湿により蒸気圧の値が高くなり、良好なリフロー特性が得られないおそれがある。
接着剤層4の残存揮発分は、3.0wt%以下であることが好ましい。残存揮発成分の測定方法は次の通りである。すなわち、50×50mmの大きさの接着剤層4(フィルム状接着剤)をサンプルとし、サンプルの初期の質量を測定しM1とし、サンプルを熱風循環恒温槽中で200℃、2時間加熱後、秤量してM2とする。残存揮発分は、次式(3)により算出される。
残存揮発分(wt%)=[(M2−M1)/M1]×100 (3)
残存揮発分が3.0wt%を超えると、パッケージングの際の加熱により溶媒が揮発し、接着剤層4の内部にボイドが発生して、パッケージクラックが発生するおそれがある。
金属層3の線膨脹係数の接着剤層4の線膨脹係数に対する比(金属層3の線膨脹係数/接着剤層4の線膨脹係数)は、0.2以上であることが好ましい。当該比が0.2未満であると、金属層3と接着剤層4との間で剥離が生じやすくなり、パッケージングの際にパッケージクラックが発生し、信頼性が低下するおそれがある。
<支持テープ15>
支持テープ15の厚さとしては、基材テープ2上における、金属層3と接着剤層4と粘着テープ5のラベル部5aとの積層部分と、粘着テープ5の周辺部5bとの段差に相当する厚さ以上、すなわち金属層3と接着剤層4の厚さ以上であればよい。支持テープ15がこのような厚さを有することで、電子デバイス用テープ1を巻き取ったときに、テープに加わる巻き取り圧を分散する、或いは、支持テープ15に集めることができるので、金属層3と接着剤層4と粘着テープ5のラベル部5aとの積層部分と粘着テープ5の周辺部5bとの段差が重なりあい、柔軟な金属層3や接着剤層52に段差が転写される現象、すなわち転写痕(ラベル痕、シワ、又は、巻き跡ともいう)が発生するのを防止することができる。
支持テープ15は、基材テープ2の接着剤層4及び粘着テープ5が設けられた面とは反対の裏面(粘着面とは反対側の面)に設けることが好ましい。支持テープ15は、基材テープ2の裏面に設ける場合、基材テープ2の短手方向の端から金属層3および接着剤層4の積層体が設けられている位置に対応する位置までの範囲に設けることができる。
支持テープ15は、基材テープ2の短手方向両端部に設ける場合、基材テープ2の長手方向に沿って、断続的又は連続的に設けることができるが、転写痕の発生をより効果的に抑制する観点からは、基材テープ2の長手方向に沿って連続的に設けることが好ましい。
支持テープ15としては、例えば、樹脂フィルム基材に粘接着剤を塗布した粘接着テープを好適に使用することができる。このような粘接着テープを、基材テープ2の裏面の両端部分の所定位置に貼り付けることで、本実施形態の電子デバイス用テープ1を形成することができる。粘接着テープは、一層のみを貼り付けてもよいし、薄いテープを積層させてもよい。
粘接着テープの樹脂フィルム基材としては、特に限定はないが、耐熱性、平滑性、及び、入手し易さの点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、及び高密度ポリエチレンから選択されることが好ましい。粘接着テープの粘接着剤の組成及び物性については、特に限定はなく、電子デバイス用テープ1の巻き取り工程及び保管工程において、基材テープ2から剥離しないものであればよい。
<ダミーラベル形状部13a,13b>
ダミーラベル形状部13a,13bは、所定の平面形状を有している。平面形状は、粘着テープ5のラベル部5aと同様の形状とすることが好ましい。ダミーラベル形状部13a,13bの大きさは、基材テープ2の粘着面の露出をできるだけ小さくする観点から、ラベル部5aと同じかラベル部5aより大きいほうが好ましい。ダミーラベル形状部13a,13bの厚さは、ラベル痕を防止する観点から、ラベル形状部12の厚さ(本実施形態においては、金属層3、接着剤層4およびラベル部5aの積層部分の厚さ)と同じか、それよりも小さいほうが好ましい。
ダミーラベル形状部13a,13bとしては、ラベル形状部12と透過率が異なるものであれば、特に限定はなく、樹脂フィルム、または樹脂フィルム基材に粘接着剤を塗布した粘接着テープ、あるいはこれらを組み合わせたものを好適に使用することができる。樹脂フィルムおよび粘接着テープの樹脂フィルム基材としては、特に限定はないが、耐熱性、平滑性、及び、入手し易さの点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、及び高密度ポリエチレンから選択されることが好ましい。粘接着テープの粘接着剤の組成及び物性については、特に限定はなく、電子デバイス用テープ1の巻き取り工程及び保管工程において、基材テープ2から剥離しないものであればよい。
ラベル形状部12の600〜700nm波長の透過率A(%)とダミーラベル形状部13a,13bの600〜700nm波長の透過率B(%)との透過率差C(=A−B)は0.1%以上であることが好ましく、0.6%以上であることがより好ましい。これは、透過率差Cが0.1%未満であると、十分なセンサ認識性を得られにくいためである。 ここで、透過率は分光光度計(例えば、株式会社島津製作所製:UV−3600)で測定できる。
電子デバイス用テープ1のラベル形状部12を半導体ウエハWなどに貼合する際には、長尺の電子デバイス用テープ1のロールを貼合機にセットし、ロールから電子デバイス用テープ1を順次繰り出し、ラベル形状部12をセンサで認識することにより、位置合わせをして半導体ウエハなどに貼合することが行われている。より具体的には、ラベル形状部12の端部(外縁部)を光学センサ(例えば、透過型センサ、反射型センサ)で認識する。ラベル形状部12とダミーラベル形状部13a,13bの透過率を異ならせることにより、ラベル形状部12とダミーラベル形状部13a,13bとを識別することができるから、ラベル形状部12を認識させることができる。特に、ラベル形状部12の600〜700nm波長の透過率A(%)とダミーラベル形状部13a,13bの600〜700nm波長の透過率B(%)との透過率差C(=A−B)を0.1%以上とすることにより、センサによるラベル形状部12とダミーラベル形状部13a,13bとの識別が得られやすい。
ラベル形状部12とダミーラベル形状部13a,13bの透過率を異ならせるためには、いずれか一方または両者の透過率を調節するとよい。例えば、ダミーラベル形状部13a,13bが透明である場合、ラベル形状部12の透過率を下げるようにするとよい。ラベル形状部12の端部でセンサ認識を行う場合であって、本実施形態のように端部には粘着テープ5のラベル部5aしか存在しない場合は、粘着テープ5の透過率を調節することになる。
透過率を下げる方法としては特に限定はなく、常法にしたがって行うことができ、例えば、粘着テープ5をマッド化あるいは白色化することが挙げられる。粘着テープ5をマッド化あるいは白色化する場合、基材フィルムをマッド化あるいは白色化することが好ましい。マット化、白色化は、粒子練りこみ、粒子塗布、サンドブラスト、ケミカル処理もしくはエンボス加工、またはこれらの組み合わせが好ましい。以下に、基材フィルムをマッド化あるいは白色化する場合の具体例を示す。
粒子練りこみとは、具体的には、平均粒径が1〜10μmの無機フィラーや、光学センサが反応する波長域の範囲内にある光を吸収または反射させる顔料を、基材フィルムを構成する樹脂に練りこむものである。
粒子塗布とは、具体的には、平均粒径が1〜10μmの無機フィラーや、光学センサが反応する波長域の範囲内にある光を吸収または反射させる顔料を溶媒希釈したものを、基材フィルムにグラビアコーターなどにより塗布するものである。
サンドブラストとは、具体的には、ブラスト処理用の細かい砂を基材フィルムに高速でたたきつけることで凹凸化処理するものである。
ケミカル処理とは、具体的には、エッチャント(薬剤)により基材フィルムを浸食することで凹凸化処理するものである。
エンボス加工とは、具体的には、あらかじめ所望の凹凸を有した版を準備し、その版を加熱しながら押し付けることで基材フィルムに凹凸化処理するものである。
本発明では、これらのうち、粒子練りこみや粒子塗布が好ましく、粒子練りこみがより好ましい。
本実施の形態に係る電子デバイス用テープ1は、基材テープ2と金属層3との粘着力P1が0.01〜0.5N/25mmであり、基材テープ2と粘着テープ5との粘着力P2が0.01〜0.5N/25mmであり、基材テープ2と金属層3との粘着力P1と基材テープ2と粘着テープ5との粘着力P2との比P1/P2が、0.1〜10であることが好ましい。
粘着力は、JIS Z0237に準拠し、23℃、50%RHの環境下で、幅25mm×長さ300mmのサイズにカットした基材テープ2を被着体に貼合し、万能型引張試験機を用いて剥離角度180°、剥離速度300mm/minで測定する。被着体は、粘着力P1を測定する際は、金属層3、接着剤層4、および粘着テープ5の積層体の金属層3表面であり、粘着力P2を測定する際は、粘着テープ5の粘着剤層表面である。
基材テープ2と金属層3との粘着力P1が0.01N/25mm以上であれば、電子デバイス用テープ1の製造過程において、金属層3が基材テープ2に十分に保持され、良好にプリカット加工等を行うことができる。粘着力P1が0.5N/25mm以下であれば、電子デバイス用テープ1の製造過程において、金属層3および接着剤層4を所定形状に切断した後、当該所定形状の周辺の不要な部分を基材テープ2から容易に剥離して除去することができる(図3(D)参照)。また、粘着力P1が高すぎると、電子デバイス用テープ1を使用する際に、基材テープ2を剥離しようとすると、剥離方向に強い力がかかりすぎて、金属層3および接着剤層4の積層体にシワが発生してしまう場合がある。粘着力P1が0.5N/25mm以下であれば、電子デバイス用テープ1を使用する際に、金属層3を基材テープ2から良好に剥離することができる。
基材テープ2と粘着テープ5との粘着力P2が0.01N/25mm以上であれば、電子デバイス用テープ1の製造過程において、粘着テープ5が基材テープ2に十分に保持され、良好にプリカット加工等を行うことができる。また、電子デバイス用テープ1を使用する際には、粘着テープ5の一端部から徐々に基材テープ2を剥離し、基材テープ2の剥離により電子デバイス用テープ1にかかるテンションを制御しながら、随時リングフレームRに粘着テープ5を貼合するが、粘着力P2が低すぎると、基材テープ2を剥離する前に、粘着テープ5が基材テープ2から剥がれてエアが入ってしまうことがある。粘着テープ5と基材テープ2の間にエアが入ってしまうと、基材テープ2の剥離により電子デバイス用テープ1にかかるテンションを制御できなくなるため、随時リングフレームRに粘着テープ5を貼合する際に、粘着テープ5やその上に積層されている接着剤層4、金属層3にシワが寄ってしまう。粘着力P2が0.01N/25mm以上であれば、基材テープ2を剥離する前に粘着テープ5が基材テープ2から剥がれてエアが入るのを抑制することができ、良好にリングフレームに粘着テープ5を貼合することができる。なお、基材テープ2を剥離する前に粘着テープ5が基材テープ2から剥がれてエアが入ってしまう要因としては、例えば、次のことが挙げられる。長尺の電子デバイス用テープ1をロール状に巻き取った巻回体から、プリカットされた粘着テープ5、接着剤層4および金属層3の積層体を順次繰り出して、リングフレームRが載置されている貼合台へ搬送する経路に配置されている搬送補助ローラにより、粘着テープ5が基材テープ2越しにしごかれ、このとき、剥離力P2が低すぎると粘着テープ5の端部が基材テープ2から浮いて剥がれエアが入り込む。
粘着力P2が0.5N/25mm以下であれば、電子デバイス用テープ1の製造過程において、粘着テープ5を所定形状に切断した後、当該所定形状の周辺の不要な部分を基材テープ2から容易に剥離して除去することができる(図3(D)参照)。また、粘着力P2が高すぎると、電子デバイス用テープ1を使用する際に、基材テープ2を剥離しようとすると、剥離方向に強い力がかかりすぎて、金属層3および接着剤層4の積層体にシワが発生してしまうことがある。粘着力P2が0.5N/25mm以下であれば、電子デバイス用テープ1を使用する際に、粘着テープ5を基材テープ2から良好に剥離することができる。
基材テープ2と金属層3との粘着力P1と基材テープ2と粘着テープ5との粘着力P2との差が大きくなりすぎると、電子デバイス用テープ1を使用する際に、基材テープ2を剥離して、金属層3、接着剤層4およびラベル部5aの積層体のラベル部5a周縁部をリングフレームRに貼合しようとしたときに、基材テープ2を粘着テープ5のみの部分から剥離するのに要する力と金属層3の面積が大きい部分から剥離するのに要する力との差が大きくなり、剥離に大きな力を要する部分では積層体が基材テープ2側に引っ張られ、小さな力で剥離できる部分では基材テープ2側に引っ張られる力から解放されるため、積層体にシワが発生して、リングフレームRに良好に貼合することができない場合がある。P1/P2が0.1〜10であれば、電子デバイス用テープ1にシワが生じることなく、リングフレームRに良好に貼合することができる。
粘着力P1,P2およびP1/P2を上述の範囲とするには、基材テープ2や粘着テープ5の粘弾性や厚みを調整したり、金属層3の表面粗さを調整したりするとよい。金属層3の表面粗さを調整する場合、金属層3の基材テープ2と接する側の面に対して、シランカップリング剤処理、プラズマ処理、オゾン水処理、紫外線オゾン処理、イオンビーム処理等の表面処理を行うことができる。また、金属層3として電解箔を用いる場合、製箔時に電解液に接しているマット面の表面粗度を調整することもできる。
次に、本実施の形態に係る電子デバイス用テープ1の製造方法について説明する。まず、長尺の金属層3を用意する。金属層3としては、市販の金属箔を用いればよい。次に、図3(A)に示すように、金属層3を、長尺の基材テープ2の粘着面に貼合ローラr等を用いて貼合する。
別途、長尺フィルム状の接着剤層4を形成する。接着剤層4は、樹脂組成物を調製し、フィルム状の層に形成する慣用の方法を利用し形成することができる。具体的には、例えば、適当なセパレーター(剥離紙など)上に前記樹脂組成物を塗布して乾燥し(熱硬化が必要な場合などでは、必要に応じて加熱処理を施し乾燥して)、接着剤層4を形成する方法等が挙げられる。前記樹脂組成物は、溶液であっても分散液であってもよい。
次に、図3(B)に示すように、基材テープ2に貼合された金属層3上に、セパレーターから剥離された接着剤層4を貼合ローラr等を用いて貼合する。
なお、上述では、基材テープ2に金属層3を貼合した後、金属層3上に接着剤層4を貼合するようにしたが、金属層3と接着剤層4とを貼合した後、金属層3側の面を基材テープ2に貼合してもよい。
次いで、図3(C)に示すように、接着剤層4及び金属層3を所定形状(ここでは円形形状)に押切刃等を用いてプリカットし、図3(D)に示すように、周辺の不要部分6を基材テープ2から剥離して除去する。このとき、基材テープ2と金属層3との粘着力P1が0.01N/25mm以上0.5N/25mm以下であるため、金属層3が基材テープ2に十分に粘着固定されるとともに、不要部分6を基材テープ2から容易に剥離できるので、良好にプリカット加工を行うことができる。なお、プリカットは、上記に限らず、外縁が円形形状で格子状の押切歯を用いて、接着剤層4及び金属層3を半導体チップCに対応する大きさ等の所定の大きさに、予め個片化しておいてもよい。
なお、基材テープ2上に所定形状の金属層3および接着剤層4を形成する方法としては、上記に限定されるものではなく、長尺の金属層3を長尺の基材テープ2に貼合して、所定形状に打ち抜き、不要部分6を除去した後、所定形状に形成された接着剤層4を、所定形状の金属層3上に貼合してもよいし、予めそれぞれ所定形状に形成された金属層3と接着剤層4を基材テープ2に貼合してもよいが、製造工程の簡便性から、上述の図3(A)〜(D)に示す工程により製造することが好ましい。
また別途、粘着テープ5を作製する。基材フィルムは、従来公知の製膜方法により製膜することができる。当該製膜方法としては、例えばカレンダー製膜法、有機溶媒中でのキャスティング法、密閉系でのインフレーション押出法、Tダイ押出法、共押出し法、ドライラミネート法等が例示できる。次に、基材フィルム上に粘着剤層組成物を塗布し、乾燥させて(必要に応じて加熱架橋させて)粘着剤層を形成する。塗布方式としては、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工等が挙げられる。なお、粘着剤層組成物を直接基材フィルムに塗布して、基材フィルム上に粘着剤層を形成してもよく、また、粘着剤層組成物を表面に剥離処理を行った剥離紙等に塗布して粘着剤層を形成させた後、該粘着剤層を基材フィルムに転写させてもよい。これにより、基材フィルム上に粘着剤層が形成された粘着テープ5が作製される。
その後、図4(A)に示すように、基材テープ2上に設けられた所定形状の金属層3および接着剤層4の接着剤層4側の面に、粘着テープ5の粘着剤層側の面が接するように、粘着テープ5をラミネートする。
次に、図4(B)に示すように、粘着テープ5を所定形状に押切刃等を用いてプリカットする。そして、図4(C)に示すように、周辺の不要部分7を基材テープ2から剥離して除去した後、基材テープ2の裏面に支持テープ15を貼合することにより、電子デバイス用テープ1が作られる。
その後、必要に応じて、基材テープ2の長手方向の端部であって、ロール状に巻き取った際に先頭部分に該当する部分に存するラベル形状部12を剥離する。そして、ラベル形状部12を剥離した部分に、ダミーラベル形状部13aを貼合し、リード部分15を形成する。
また、ラベル形状部12の内部に異物、スジ、フィッシュアイなどの欠点がないかを検査し、欠点が検出された場合には、当該ラベル形状部12を基材テープ2から剥離する。そして、ラベル形状部12を剥離した部分に、ダミーラベル形状部13bを貼合する。
<使用方法>
次に、本実施形態の電子デバイス用テープ1を使用して電子デバイスパッケージ8を製造する方法について、図5〜図7を参照しながら説明する。なお、本実施形態においては、電子デバイスパッケージ8として、被着体9上にフリップチップ接続された半導体チップCを例にして説明する。
[半導体ウエハWのマウント工程]
先ず、本発明の電子デバイス用テープ1の粘着テープ5と同様の別体のダイシングテープDを用意し、該ダイシングテープD上の中央部に、図5(A)で示されるように、半導体ウエハWを貼着して、これを粘着保持させ固定する(半導体ウエハWのマウント工程)とともに、ダイシングテープDの周縁部にリングフレームRを貼合する。このとき、ダイシングテープDは、半導体ウエハWの裏面に貼着される。半導体ウエハWの裏面とは、回路面とは反対側の面(非回路面、非電極形成面などとも称される)を意味する。貼着方法は特に限定されないが、加熱圧着による方法が好ましい。圧着は、通常、圧着ロール等の押圧手段により押圧しながら行われる。
[半導体ウエハWのダイシング工程」
次に、図5(B)で示されるように、半導体ウエハWのダイシングを行う。これにより、半導体ウエハWを所定のサイズに切断して個片化(小片化)し、半導体チップCを製造する。ダイシングは、例えば、半導体ウエハWの回路面側から常法に従い行われる。また、本工程では、例えば、ダイシングテープDまで切り込みを行うフルカットと呼ばれる切断方式等を採用できる。本工程で用いるダイシング装置としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。なお、ダイシングテープDのエキスパンドを行う場合、該エキスパンドは従来公知のエキスパンド装置を用いて行うことができる。
[半導体チップCのピックアップ工程]
図5(C)で示されるように、半導体チップCのピックアップを行って、半導体チップCをダイシングテープDより剥離させる。ピックアップの方法としては特に限定されず、従来公知の種々の方法を採用できる。例えば、半導体チップCおよびリングフレームRが貼り合わされたダイシングテープDを、基材フィルム側を下にして、ピックアップ装置のステージS上に載置し、リングフレームRを固定した状態で、中空円柱形状の突き上げ部材Tを上昇させ、ダイシングテープDを拡張する。この状態で、個々の半導体チップCをダイシングテープDの基材フィルム側からニードルNによって突き上げ、突き上げられた半導体チップCをピックアップ装置によってピックアップする方法等が挙げられる。
[フリップチップ接続工程]
ピックアップした半導体チップCは、図5(D)で示されるように、基板等の被着体9に、フリップチップボンディング方式(フリップチップ実装方式)により固定させる。具体的には、半導体チップCを、半導体チップCの回路面(表面、回路パターン形成面、電極形成面などとも称される)が被着体9と対向する形態で、被着体9に常法に従い固定させる。例えば、まず半導体チップCの回路面側に形成されている接続部としてのバンプ10にフラックスを付着させる。次いで、半導体チップCのバンプ10を被着体9の接続パッドに被着された接合用の導電材11(半田など)に接触させて押圧しながらバンプ10及び導電材11を溶融させることにより、半導体チップCと被着体9との電気的導通を確保し、半導体チップCを被着体9に固定させることができる(フリップチップボンディング工程)。このとき、半導体チップCと被着体9との間には空隙が形成されており、その空隙間距離は、一般的に30μm〜300μm程度である。半導体チップCと被着体9との対向面や間隙に残存するフラックスは洗浄除去する。
被着体9としては、リードフレームや回路基板(配線回路基板など)等の各種基板を用いることができる。このような基板の材質としては、特に限定されるものではないが、セラミック基板や、プラスチック基板が挙げられる。プラスチック基板としては、例えば、エポキシ基板、ビスマレイミドトリアジン基板、ポリイミド基板等が挙げられる。また、他の半導体チップを被着体9とし、上記半導体チップCをフリップチップ接続することにより、チップオンチップ構造とすることもできる。
次に、図6(A)に示すように、本実施形態に係る電子デバイスパッケージ8用の基材テープ2を剥離して、金属層3および粘着テープ5の粘着剤層を露出させ、粘着剤層の周縁部をリングフレームRに固定する。このとき、電子デバイス用テープ1のロールを貼合機(図示しない)にセットし、ロールから電子デバイス用テープ1を順次繰り出し、ラベル形状部12をセンサで認識することにより、位置合わせをしてリングフレームRに貼合することが行われている。その際、ダミーラベル形状部13a,13bは、ラベル形状部12と透過率が異なるため、センサにラベル形状部12として認識されないので、ダミーラベル形状部13a,13bはリングフレームRに貼合されることがない。また、本来ラベル形状部12が存在しないリード部分14やラベル形状部12に欠点があった部分においても、ダミーラベル形状部13a,13bにより基材テープ2の粘着面が覆われているため、貼合機の案内ロールなどに粘着することがなく、ロール状に巻かれた電子デバイス用テープを良好に繰り出すことができる。
次に、図6(B)に示すように、金属層3および接着剤層4を半導体チップCに対応する大きさに切断して個片化する。切断は、上述の半導体ウエハWのダイシング工程と同様の工程で行うことができる。なお、金属層3および接着剤層4を予め個片化するプリカット加工がされている場合は、本工程は行わない。
次に、図6(C)に示すように、個片化された金属層3および接着剤層4をピックアップして、粘着テープ5より剥離させる。ピックアップは、上述の半導体チップCのピックアップ工程と同様の工程で行うことができる。
次に、ピックアップされた金属層3および接着剤層4の接着剤層4側を、図7に示すように、フリップチップ接続された半導体チップCの裏面に貼合する。その後、金属層3付半導体チップCの周辺および半導体チップCと被着体9との間隙に封止材(封止樹脂など)を充填させて封止する。封止は、常法に従い行われる。このとき、半導体チップCの裏面に金属層3が設けられているため、フリップチップボンディング工程において半導体チップCと被着体9との熱膨張率差により生じた反りが、半導体チップCと金属層3との熱膨張率差により相殺される。また、半導体チップCの裏面に金属層3が設けられているため、電子デバイスとしての使用時の発熱が金属層3により放熱される。
なお、上述では、金属層3を半導体チップCの裏面に接着剤層4を介して直接設け、金属層3も半導体チップCとともに封止するパッケージ構造について説明したが、半導体チップCを封止した後、封止体の上面に金属層3を接着剤層4を介して設けるようにしてもよい。電子デバイスパッケージ8は、封止時にも反りを生じるため、封止体の上面に金属層3を設けることにより、封止時の反りを相殺することができる。
なお、上述では、電子デバイスパッケージ8として、被着体9上にフリップチップ接続された半導体チップCを例にして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、半導体チップ上に同じサイズの他の半導体チップを積層した電子デバイスパッケージ構造において、両チップ間のスペーサとして本発明の電子デバイス用テープ1の金属層3を用いるために、接着剤層4を介して下側の半導体チップ上に金属層3を設けるようにしてもよい。
<第二実施形態>
図8は、本発明の第二実施形態に係る電子デバイス用テープ100を示す平面図および断面図である。この電子デバイス用テープ100は、半導体ウエハを個々のチップに切断分離(ダイシング)する際に半導体ウエハを固定するためのダイシングテープと、切断された半導体チップをリードフレームやパッケージ基板等に接着するため、またはスタックドパッケージにおいては、半導体チップ同士を積層、接着するためのダイボンディングフィルム(ダイアタッチフィルムともいう)との2つの機能を併せ持つダイシング・ダイボンディングテープである。なお、本実施形態において、第一実施形態と同じ符号を付した部材については、第一実施形態と同様の構成を有する。
本実施形態に係る電子デバイス用テープ100は、粘着面を有する基材テープ2を有しており、該基材テープ2の粘着面上には、所定の平面形状を有する接着剤層4と、接着剤層4を覆い、かつ、接着剤層4の周囲で基材テープ2に接触するように設けられた所定の平面形状のラベル部5aと該ラベル部5aの外側を囲むような周辺部5bとを有する粘着テープ5と、を有している。
本実施形態においては、粘着テープ5のラベル部5aおよび接着剤層4の積層体により、ラベル形状部12´が構成されている。
本発明の電子デバイス用テープ100は、図9に示すように、接着剤層4、粘着テープ5のラベル部5aが積層されたラベル形状部12´が複数形成された長尺の基材テープ2を、ロール状に巻き取った状態で半導体メーカーに提供される。電子デバイス用テープ100の端部には、ラベル形状部12´に代えて、所定の平面形状を有するダミーラベル形状部13aが配設されていることが好ましい。これにより、ラベル形状部12を半導体ウエハWなどに貼合する際に、貼合機のセンサに感知されないリード部分14が形成されている。また、ラベル形状部12´の内部に異物、スジ、フィッシュアイなどの欠点が検出された場合に、当該ラベル形状部12´を基材テープ2から剥離して、代わりにダミーラベル形状部13bを貼合することも好ましい。
電子デバイス用テープ100は、図8,9に示すように、基材テープ2の短手方向両端部であってラベル形状部12´およびダミーラベル形状部13a,13bの外側に、基材テープ2の長手方向に沿って、支持テープ15が設けられていることが好ましい。
また、本発明は、半導体ウエハを個々のチップに切断分離(ダイシング)する際に半導体ウエハを固定するためのダイシングテープに適用してもよい。この場合、粘着テープのラベル部のみにより、ラベル形状部が構成される。
<実施例>
次に、本発明の効果をさらに明確にするために、実施例および比較例について詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(1)粘着テープの作製
基材フィルムとして以下のものを作製した。
(基材フィルムa−1)
ラジカル重合法によって合成されたエチレン−メタアクリル酸−メタアクリル酸エチル(質量比8:1:1)3元共重合体の亜鉛アイオノマーa(密度0.96g/cm3、亜鉛イオン含有量4質量%、塩素含有量1質量%未満、ビカット軟化点56℃、融点86℃)の樹脂ビーズを140℃で溶融し、押出機を用いて厚さ100μmの長尺フィルム状に成形することにより、基材フィルムa−1を作製した。
(粘着剤層組成物b−1)
官能基を有するアクリル系共重合体(A1)として、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよびメタクリル酸からなり、2−エチルヘキシルアクリレートの比率が55モル%、質量平均分子量75万の共重合体を調製した。次に、ヨウ素価が25となるように、2−イソシアナトエチルメタクリレートを添加して、ガラス転移温度−50℃、水酸基価10gKOH/g、酸価5mgKOH/gのアクリル系共重合体(a1)を調製した。
アクリル系共重合体(a1)100質量部に対して、ポリイソシアネートとしてコロネートL(東ソー株式会社製、商品名)を3質量部加え、光重合開始剤としてEsacure KIP 150(Lamberti社製、商品名)を3質量部加えた混合物を、酢酸エチルに溶解させ、攪拌して、粘着剤層組成物b−1を得た。
<粘着テープ(1)>
調製した粘着剤層組成物b−1を、離型処理したポリエチレン−テレフタレートフィルムよりなる剥離ライナーに、乾燥後の厚さが10μmになるように塗工し、110℃で3分間乾燥させた後、上記基材フィルムa−1と貼り合わせ、基材フィルム上に粘着剤層が形成された粘着テープ(1)を作製した。
(2)接着剤層の作製
(接着剤層組成物c−1)
エポキシ樹脂「1002」(三菱化学株式会社製、商品名、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量600)50質量部、エポキシ樹脂「806」(三菱化学株式会社製、商品名、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量160、比重1.20)100質量部、硬化剤「Dyhard(登録商標)100SF」(エボニック デグサ社製、商品名、ジシアンジアミド)5質量部、シリカフィラー「SO−C2」(アドマファイン(株)製商品名、平均粒径0.5μm)150質量部、及び、シリカフィラーである「アエロジルR972」(日本アエロジル株式会社製、商品名、一次粒径の平均粒径0.016μm)5質量部からなる組成物にMEKを加え、攪拌混合し、均一な組成物とした。
これに、フェノキシ樹脂「PKHH」(INCHEM製、商品名、質量平均分子量52,000、ガラス転移温度92℃)100質量部、カップリング剤として「KBM−802」(信越シリコーン株式会社製、商品名、メルカプトプロピルトリメトキシシラン)0.4質量部、並びに、硬化促進剤としての「キュアゾール2PHZ−PW」(四国化成工業株式会社製、商品名、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、分解温度230℃)0.5質量部を加え、均一になるまで攪拌混合した。更にこれを100メッシュのフィルターでろ過し、真空脱泡することにより、接着剤層組成物c−1のワニスを得た。
<接着剤層(1)>
離型処理したポリエチレン−テレフタレートフィルムよりなるセパレーターに、接着剤層組成物c−1を、乾燥後の厚さが5μmになるように塗工し、110℃で5分間乾燥させて、セパレーター上に接着剤層(1)が形成された接着フィルムを作製した。
(3)金属層
金属層として以下のものを準備した。
<金属層(1)>
F2−WS(商品名、古河電気工業株式会社製、銅箔、厚さ18μm)
(4)基材テープの作製
樹脂フィルムとして以下のものを作製した。
(樹脂フィルムd−1)
スチレン−水添イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)(株式会社クラレ社製、商品名「セプトンKF−2104」)とホモプロピレン(PP)(宇部興産株式会社製、商品名「J−105G」)を40:60で示す配合比で混合した樹脂ビーズを200℃で溶融し、押出機を用いて厚さ90μmの長尺フィルム状に成形することにより、樹脂フィルムd−1を作製した。
(基材テープ用粘着剤層組成物e−1)
官能基を有するアクリル系共重合体(A3)として、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよびメタクリル酸からなり、2−エチルヘキシルアクリレートの比率が70モル%、質量平均分子量50万、ガラス転移温度−50℃、水酸基価30gKOH/g、酸価5mgKOH/gのアクリル系共重合体(a3)を調製した。
アクリル系共重合体(a3)100質量部に対して、ポリイソシアネート系化合物(商品名「コロネートL」、東ソー株式会社製)を8質量部加え、酢酸エチルに溶解させ、攪拌して、基材テープ用粘着剤層組成物e−1を得た。
<基材テープ(1)>
調製した基材テープ用粘着剤層組成物e−1を、離型処理したポリエチレン−テレフタレートフィルムよりなる剥離ライナーに、乾燥後の厚さが10μmになるように塗工し、110℃で3分間乾燥させた後、上記樹脂フィルムd−1と貼り合わせ、樹脂フィルム上に基材テープ用粘着剤層が形成された基材テープ(1)を作製した。
<基材テープ(2)>
上記樹脂フィルムd−1を基材テープ(2)とした。この基材テープ(2)は粘着面を有していない。
(5)支持テープの作製
支持テープとして、以下のものを作製した。
<支持テープ(1)>
官能基を有するアクリル系共重合体(A3)として、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよびメタクリル酸からなり、2−エチルヘキシルアクリレートの比率が60モル%、質量平均分子量70万の共重合体を調製した。次に、ヨウ素価が20となるように、2−イソシアナトエチルメタクリレートを添加して、ガラス転移温度−50℃、水酸基価10mgKOH/g、酸価5mgKOH/gのアクリル系共重合体(a3)を調製した。
アクリル系共重合体(a3)100質量部に対して、ポリイソシアネートとしてコロネートL(東ソー株式会社製、商品名)を5質量部加え、光重合開始剤としてEsacureKIP150(Lamberti社製、商品名)を3質量部加えた混合物を、酢酸エチルに溶解させ、攪拌して粘着剤組成物b−3を調製した。
離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルムよりなる剥離ライナーに前記粘着剤組成物b−3を、乾燥後の厚さが15μmになるように塗工し、110℃で3分間乾燥させた後、ポリエチレンテレフタレート(離型処理なし)よりなる樹脂フィルム基材(厚さ25μm)と貼り合わせ、幅36mm、厚さ40μmの支持テープを作製した。
(6)ダミーラベル形状部の作成
ダミーラベル形状部として以下のものを作成した。
<ダミーラベル形状部(1)>
離型処理した厚さ133μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、押切歯を用いて、直径355mmの円形形状にカットし、ダミーラベル形状部(1)を作製した。
<ダミーラベル形状部(2)>
離型処理した厚さ103μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、押切歯を用いて、直径370mmの円形形状にカットし、ダミーラベル形状部(2)を作製した。
<ダミーラベル形状部(3)>
離型処理した厚さ133μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、押切歯を用いて、直径370mmの円形形状にカットし、ダミーラベル形状部(3)を作製した。
<ダミーラベル形状部(4)>
離型処理した厚さ163μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、押切歯を用いて、直径370mmの円形形状にカットし、ダミーラベル形状部(4)を作製した。
<ダミーラベル形状部(5)>
離型処理した厚さ133μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、押切歯を用いて、直径385mmの円形形状にカットし、ダミーラベル形状部(5)を作製した。
(6)電子デバイス用テープの作製
<実施例1>
以上のようにして得られた金属層(1)とセパレーター付き接着剤層(1)の接着剤層(1)側とを貼り合わせ角度120°、圧力0.2MPa、速度10mm/sの条件で貼り合わせた後、金属層上に基材テープ(1)を貼り合わせ角度120°、圧力0.2MPa、速度10mm/sの条件で貼り合わせた(貼合工程)。次いで、セパレーターを接着剤層から剥離し、接着剤層及び金属層を接着剤層の表面から基材テープへ達するように押切刃を用いて直径320mmの円形形状にプリカットし、周辺の不要部分を基材テープから剥離して除去した(1次プリカット工程)。
その後、基材テープ上に設けられた金属層および接着剤層の接着剤層側の面に、粘着テープ(1)を粘着剤層側の面が接するようにラミネートした(粘着テープラミネート工程)。次いで、粘着テープ(1)を金属層および接着剤層と同心円状になるように直径370mmの円形形状にプリカットし、周辺の不要部分を基材テープから剥離して除去し(2次プリカット工程)、金属層、接着剤層および粘着テープの積層体(ラベル形状部)を円筒状のコアに100枚巻き取ってロール体とした。その後、ロール体を巻き返して他のコアに巻き取りながら、基材テープ上の金属層、接着剤層および粘着テープが設けられた面とは反対側の面であって、かつ、基材テープの短手方向両端部に支持テープ(1)を貼合した。このとき、50枚目のラベル形状部を欠点部分に見立てて剥離し、代わりにダミーラベル形状部(1)を貼合した。また、ロールの先頭部分2枚分のラベル形状部を剥離して、代わりにダミーラベル形状部(1)を貼合してリード部分を形成した。このようにして、図1,2に示すような実施例1に係る電子デバイス用テープのロール体を作製した。
<実施例2〜5,比較例1,2>
粘着テープ、接着剤層組成物、金属層、基材テープ、支持テープ、ダミーラベル形状部の組合せを表1に記載の組合せにした以外は、実施例1と同様の手法により、実施例2〜5,比較例1,2の電子デバイス用テープのロール体を作製した。なお、比較例1に係る電子デバイス用テープにおいては、二次プリカット工程までは実施例1と同様に作製し、二次プリカット工程後に、基材テープ(1)を剥離して、基材テープ(2)を貼合した。また、比較例1,2に係る電子デバイス用テープにおいては、50枚目のラベル形状部およびロール先頭部分2枚分のラベル形状部は基材テープから剥離したが、その部分にダミーラベル形状部は貼合しなかった。
実施例1〜5及び比較例1,2に係る電子デバイス用テープについて以下の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
(巻きズレ)
実施例1〜5および比較例1、2に係る電子デバイス用テープのロール体を、2週間5℃の冷蔵下で保管した後、常温に戻し、コア内に支持体を挿入しコアを垂直方向に立て、支持体のみで巻回体を支持した状態で1分間放置し巻きズレが発生するかどうかを確認した。コア端部に対しフィルム端部のズレが2mm未満のものを良品として○、2mm以上のものを不良品として×で評価した。それぞれの評価結果を表1に示す。
(転写痕の抑制性)
実施例1〜5、および比較例1,2に係る電子デバイス用テープのロール体を1ヶ月間冷蔵庫内(5℃)で保管した。その後、ウエハ加工用テープを室温に戻してからロールを解き、目視にてラベル形状部における転写痕の有無を観察した。全てのラベル形状部について様々な角度から観察しても転写痕が確認できないものを良品として○、角度によっては若干の転写痕が確認できるものを許容品として△、どの角度から観察しても転写痕が確認できるものを不良品として×で評価した。その結果を表1に示す。
(取扱い性)
実施例1〜5、および比較例1,2に係る電子デバイス用テープのラベル形状部を、貼合機として日東精機株式会社製のDR8500II(商品名)を用いて、リングフレームに貼合した。このときの貼合しやすさを観察した。粘着面を有していない基材テープを用いた場合と同等に貼合できたものを良品として○、基材テープの粘着面が貼合機の案内ローラに若干貼りついている様子が見られるものの、一定速度を保ったまま貼合できたものを許容品として△、基材テープの粘着面が貼合機の案内ローラに貼りついている様子が見られ、基材テープの流れに引きつりが生じるものを不良品として×で評価した。その結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜5に係る電子デバイス用テープは、基材テープが粘着面を有しているため、巻きズレの評価において良好な結果となった。また、ラベル形状部が剥離された部分に、代わりにダミーラベル形状部が設けられているため、取扱い性の評価においても良好な結果となった。実施例1〜3,5に係る電子デバイス用テープは、ダミーラベル形状部の厚さが金属層、接着剤層および粘着テープの積層部分の厚み以下であるため、ラベル痕の評価においても良好な結果となった。なお、実施例4に係る電子デバイス用テープは、ダミーラベル形状部の厚みが大きすぎるため、ラベル痕が発生したが、ラベル痕が発生する場合は、支持テープの厚さを大きくすることにより、ラベル痕を抑制することができるため、実際上は大きな問題とはならない。実施例5に係る電子デバイス用テープは、ダミーラベル形状部の大きさが大きく、粘着テープの周辺部に重なる部分が生じたため、角度によっては若干の転写痕が発生したが、許容範囲であった。
これに対して、比較例1に係る電子デバイス用テープは、基材テープが粘着面を有していないため、巻きズレの評価において劣る結果となった。また、比較例2に係る電子デバイス用テープは、ダミーラベル形状部を有していないため、取扱い性の評価において劣る結果となった。