以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電子デバイスパッケージ用テープ1を示す断面図である。電子デバイスパッケージ用テープ1は、基材フィルム51と基材フィルム51上に設けられた粘着剤層52とからなる粘着テープ5を有しており、粘着剤層52上には、接着剤層4と金属層3とが設けられている。金属層3は、電子デバイスに対応する形状に個片化されており、接着剤層に埋め込まれるようにして、所定間隔で複数保持されている。本発明において接着剤層4が金属層3を保持する態様は、両者の密着性をよくするためのプライマ層等を介して間接的に保持している態様を含む。なお、本実施の形態においては、電子デバイスとして、半導体チップを例に説明する。
本発明の電子デバイスパッケージ用テープ1は、図2および図3に示すように、粘着テープ5が半導体ウエハW(図6参照)をダイシングする際に用いられるリングフレーム(図示せず)に対応する形状に切断(プリカット加工)されていることが好ましい。また、接着剤層4も半導体ウエハWに対応して所定形状に切断(プリカット加工)されていることが好ましく、本実施の形態においてはプリカット加工がなされている。
本発明の電子デバイスパッケージ用テープ1は、図2および図3に示すように、金属層3、接着剤層4、リングフレーム(図示せず)に対応する形状に切断された粘着テープ5(ラベル部5a)が積層された積層体が複数形成された長尺の微粘着テープ2を、ロール状に巻き取った形態であることが好ましく、本実施の形態においてはロール状に巻き取られているが、微粘着テープ2に設けられた積層体が1つずつ切断された形態であってもよい。
プリカット加工されロール状に巻き取られている場合、図2および図3に示すように、電子デバイスパッケージ用テープ1は、長尺の微粘着テープ2を有しており、微粘着テープ2上には、所定の平面形状を有する接着剤層4と、接着剤層4に埋め込まれるようにして複数保持されている金属層3と、金属層3の微粘着テープ2側とは反対側に金属層3および接着剤層4と積層して設けられ、金属層3および接着剤層4を覆い、且つ、接着剤層4の周囲で微粘着テープ2に接触するように設けられた所定の平面形状のラベル部5aと該ラベル部5aの外側を囲むような周辺部5bとを有する粘着テープ5と、が設けられている。
ラベル部5aは、ダイシング用のリングフレームに対応する形状を有する。ダイシング用のリングフレームの形状に対応する形状は、リングフレームの内側と略同じ形状でリングフレーム内側の大きさより大きい相似形であることが好ましい。また、必ずしも円形でなくてもよいが、円形に近い形状が好ましく、円形であることがさらに好ましい。周辺部5bは、ラベル部5aの外側を完全に囲む形態と、図示のような完全には囲まない形態とを含む。なお、周辺部5bは、設けられていなくてもよい。
さらに、金属層3は、金属層3の平面の大きさ≦金属層3および接着剤層4の貼合が予定されている電子デバイスの第2面(裏面)の平面の大きさとなるように、予め切断され個片化されている。本実施形態においては、金属層3の平面の大きさ=電子デバイスの第2面(裏面)の平面の大きさとしたが、金属層3の平面の大きさ<電子デバイスの第2面(裏面)の平面の大きさとしてもよい。
接着剤層4は、所定のラベル形状を有しており、このラベル形状は、半導体ウエハWに対応した形状であって、粘着テープ5のラベル部5aの周縁部にリングフレームを貼合し、ピックアップ装置の突き上げ部材で突き上げ可能なようにラベル部5aよりも小さい形状となっている。接着剤層4のラベル形状は、必ずしも円形でなくてもよいが、円形に近い形状が好ましく、円形であることがさらに好ましい。
金属層3は、個片が集合した全体形状が接着剤層4とは同様の形状、すなわち半導体ウエハWに対応する形状となっている。以下に、各構成要素について説明する。
<基材フィルム51>
基材フィルム51としては、従来公知のものであれば特に制限することなく使用することができるが、後述の粘着剤層52として放射線硬化性の材料を使用する場合には、放射線透過性を有するものを使用することが好ましい。
例えば、その材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマーなどのα−オレフィンの単独重合体または共重合体あるいはこれらの混合物、ポリウレタン、スチレン−エチレン−ブテンもしくはペンテン系共重合体、ポリアミド−ポリオール共重合体等の熱可塑性エラストマー、及びこれらの混合物を列挙することができる。また、基材フィルム51はこれらの群から選ばれる2種以上の材料が混合されたものでもよく、これらが単層又は複層化されたものでもよい。
基材フィルム51の厚さは、特に限定されるものではなく、適宜に設定してよいが、50〜200μmであることが好ましい。
基材フィルム51と粘着剤層52との密着性を向上させるために、基材フィルム51の表面に、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的表面処理を施してもよい。
また、本実施の形態においては、基材フィルム51の上に直接的に粘着剤層52を設けたが、密着性をあげるためのプライマ層や、ダイシング時の切削性向上ためのアンカー層、応力緩和層、静電防止層等を介して間接的に設けてもよい。
<粘着剤層52>
粘着剤層52に使用される樹脂としては、特に限定されるものではなく、粘着剤に使用される公知の塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を使用することができるが、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。
アクリル系ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステル等のアルキル基の炭素数1〜30、特に炭素数4〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルエステル等)及び(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル等)の1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系ポリマー等が挙げられる。尚、(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルをいい、本発明の(メタ)とは全て同様の意味である。
アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性等の改質を目的として、必要に応じ、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はシクロアルキルエステルと共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。この様なモノマー成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー;アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これら共重合可能なモノマー成分は、1種又は2種以上使用できる。これら共重合可能なモノマーの使用量は、全モノマー成分の40重量%以下が好ましい。
更に、アクリル系ポリマーは、架橋されるため、多官能性モノマー等も必要に応じて共重合用モノマー成分として含むことができる。この様な多官能性モノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能性モノマーも1種又は2種以上用いることができる。多官能性モノマーの使用量は、粘着特性等の点から、全モノマー成分の30重量%以下が好ましい。
アクリル系ポリマーの調製は、例えば1種又は2種以上の成分モノマーの混合物に溶液重合方式や乳化重合方式、塊状重合方式や懸濁重合方式等の適宜な方式を適用して行うことができる。粘着剤層52は、ウエハの汚染防止等の点より低分子量物質の含有を抑制した組成が好ましく、かかる点より重量平均分子量が30万以上、特に40万〜300万のアクリル系ポリマーを主成分とするものが好ましいことから粘着剤は、内部架橋方式や外部架橋方式等による適宜な架橋タイプとすることもできる。
また、粘着剤層52の架橋密度を制御してピックアップ性を向上させるため、例えば多官能イソシアネート系化合物、多官能エポキシ系化合物、メラミン系化合物、金属塩系化合物、金属キレート系化合物、アミノ樹脂系化合物、又は過酸化物等の適宜な外部架橋剤を用いて架橋処理する方式や、炭素−炭素二重結合を2個以上有する低分子化合物を混合してエネルギー線の照射等により架橋処理する方式等の適亘な方式を採用することができる。外部架橋剤を使用する場合、その使用量は、架橋すべきベースポリマーとのバランスにより、更には、粘着剤としての使用用途によって適宜決定される。一般的には、前記ベースポリマー100重量部に対して、10重量部程度以下、更には0.1重量部〜10重量部配合するのが好ましい。尚、粘着剤には、劣化防止等の観点から、必要により、前記成分のほかに、各種の粘着付与剤、老化防止剤等の添加剤を用いてもよい。
粘着剤層52を構成する粘着剤としては、放射線硬化型粘着剤が好適である。放射線硬化型粘着剤としては、前述の粘着剤に、放射線硬化性のモノマー成分や放射線硬化性のオリゴマー成分を配合した添加型の放射線硬化型粘着剤を例示できる。
配合する放射線硬化性のモノマー成分としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマー成分は、1種又は2種以上併用できる。
また、放射線硬化性のオリゴマー成分はウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系等種々のオリゴマーがあげられ、その分子量が100〜30000程度の範囲のものが適当である。放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分の配合量は、前記粘着剤層の種類に応じて、粘着剤層の粘着力を低下できる量を、適宜に決定することができる。一般的には、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば5重量部〜500重量部、好ましくは70重量部〜150重量部程度である。
また、放射線硬化型粘着剤としては、前記添加型の放射線硬化型粘着剤の他に、ベースポリマーとして炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖又は主鎖中もしくは主鎖末端に有するものを用いた内在型の放射線硬化型粘着剤も挙げられる。内在型の放射線硬化型粘着剤は、低分子成分であるオリゴマー成分等を含有する必要がなく、又は多くを含まないため、経時的にオリゴマー成分等が粘着剤在中を移動することなく、安定した層構造の粘着剤層を形成することができるため好ましい。
炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーは、炭素−炭素二重結合を有し、かつ粘着性を有するものを特に制限なく使用できる。この様なベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とするものが好ましい。アクリル系ポリマーの基本骨格としては、前記例示したアクリル系ポリマーが挙げられる。
アクリル系ポリマーへの炭素−炭素二重結合の導入法は特に制限されず、様々な方法を採用できるが、炭素−炭素二重結合はポリマー側鎖に導入するのが分子設計の上で容易である。例えば、予め、アクリル系ポリマーに官能基を有するモノマーを共重合した後、この官能基と反応しうる官能基及び炭素−炭素二重結合を有する化合物を、炭素−炭素二重結合の放射線硬化性を維持したまま縮合又は付加反応させる方法が挙げられる。
これら官能基の組合せの例としては、カルボン酸基とエポキシ基、カルボン酸基とアジリジル基、ヒドロキシル基とイソシアネート基等が挙げられる。これら官能基の組合せのなかでも反応追跡の容易さから、ヒドロキシル基とイソシアネート基との組合せが好適である。また、これら官能基の組み合わせにより、前記炭素−炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを生成するような組合せであれば、官能基はアクリル系ポリマーと前記化合物のいずれの側にあってもよいが、前記の好ましい組み合わせでは、アクリル系ポリマーがヒドロキシル基を有し、前記化合物がイソシアネート基を有する場合が好適である。この場合、炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。また、アクリル系ポリマーとしては、前記例示のヒドロキシ基含有モノマーや2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングルコールモノビニルエーテルのエーテル系化合物等を共重合したものが用いられる。
内在型の放射線硬化型粘着剤は、前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマー(特にアクリル系ポリマー)を単独で使用することができるが、特性を悪化させない程度に前記放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分等の光重合性化合物を配合することもできる。当該光重合性化合物の配合量は、通常ベースポリマー100重量部に対して30重量部以下の範囲内であり、好ましくは0〜10重量部の範囲内である。
放射線硬化型粘着剤には、紫外線等により硬化させる場合には光重合開始剤を含有させることが好ましい。
上述のアクリル系ポリマーの中でも、特にCH2=CHCOOR(式中、Rは炭素数が4〜18のアルキル基である。)で表されるアクリル酸エステルと、ヒドロキシル基含有モノマーと、分子内にラジカル反応性炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物とを含んで構成されるアクリル系ポリマーAが好ましい。
アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数が4未満であると、極性が高く剥離力が大きくなり過ぎてピックアップ性が低下する場合がある。一方、アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数が18を超えると、粘着剤層52のガラス転移温度が高くなり過ぎて、常温での接着特性が低下し、その結果、ダイシングの際に金属層3の剥離が発生する場合がある。
上記アクリル系ポリマーAは、必要に応じ、他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。
アクリル系ポリマーAでは、ラジカル反応性炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物が用いられる。すなわち、アクリルポリマーは、前記アクリル酸エステルやヒドロキシル基含有モノマー等のモノマー組成物によるポリマーに、二重結合含有イソシアネート化合物が付加反応された構成を有していることが好ましい。従って、アクリル系ポリマーは、その分子構造内に、ラジカル反応性炭素−炭素二重結合を有していることが好ましい。これにより、活性エネルギー線(紫外線など)の照射によって硬化する活性エネルギー線硬化型粘着剤層(紫外線硬化型粘着剤層など)とすることができ、金属層3と粘着剤層52との剥離力を低下させることができる。
二重結合含有イソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、アクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。二重結合含有イソシアネート化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、活性エネルギー線硬化型粘着剤には、活性エネルギー線照射前の粘着力や、活性エネルギー線照射後の粘着力を調整する為、外部架橋剤を適宜に用いることもできる。外部架橋方法の具体的手段としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、メラミン系架橋剤等のいわゆる架橋剤を添加し反応させる方法が挙げられる。外部架橋剤を使用する場合、その使用量は、架橋すべきベースポリマーとのバランスにより、更には、粘着剤としての使用用途によって適宜決定される。外部架橋剤の使用量は、一般的には、前記ベースポリマー100重量部に対して、20重量部以下(好ましくは0.1重量部〜10重量部)である。更に、活性エネルギー線硬化型粘着剤には、必要により、前記成分のほかに、従来公知の各種の粘着付与剤、老化防止剤、発泡剤等の添加剤が配合されていてもよい。
粘着剤層52の厚みは、特に制限されず適宜に決定できるが、一般的には5〜200μm程度である。また、粘着剤層52は単層で構成されても複数層で構成されていてもよい。
<金属層3>
金属層3を構成する金属としては特に限定されず、例えば、ステンレス、アルミニウム、鉄、チタン、スズ、ニッケル及び銅からなる群より選択される少なくとも1種であることが放熱性、電子デバイスパッケージの反り防止の点から好ましい。これらの中でも、熱伝導性が高く放熱の効果が得られる観点から、銅を含むことが特に好ましい。また、電子デバイスパッケージ11(図6(D)参照)の反り防止の観点からは、アルミニウムを含むことが特に好ましい
金属層3の厚さは、放熱性、電子デバイスパッケージの反り防止性、及び加工性等を考慮して適宜決定することができ、通常2〜200μmの範囲である。金属層3は200μm以下であると巻取り加工が容易であり、50μm以下の場合、電子デバイスパッケージ11の薄型化に寄与できる点で好ましい。一方、放熱性の観点から最低でも2μm以上が必要である。
このような金属層3としては、金属箔を使用することができ、金属箔は、電解箔であっても圧延箔であってもよい。
<接着剤層4>
接着剤層4は、接着剤を予めフィルム化したものである。
接着剤層4は、少なくとも熱硬化性樹脂により形成されており、少なくとも熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とにより形成されていることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、6−ナイロンや6,6−ナイロン等のポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPBT(ポリブチレンテレフタレート)等の飽和ポリエステル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はフッ素樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は単独で又は2種以上を併用して用いることができる。これらの熱可塑性樹脂のうち、イオン性不純物が少なく応力緩和性に優れる点でアクリル樹脂が、可とう性と強度を両立して高靭性である点でフェノキシ樹脂が、それぞれの観点で半導体素子の信頼性を確保しやすくできるため、特に好ましい。
アクリル樹脂としては、特に限定されるものではなく、炭素数30以下(好ましくは炭素数1〜18、更に好ましくは炭素数6〜10、特に好ましくは炭素数8又は9)の直鎖若しくは分岐のアルキル基を有するアクリル酸又はメタクリル酸のエステルの1種又は2種以上を成分とする重合体等が挙げられる。すなわち、本発明では、アクリル樹脂とは、メタクリル樹脂も含む広義の意味である。前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基(ラウリル基)、トリデシル基、テトラデシル基、ステアリル基、オクタデシル基等が挙げられる。
また、アクリル樹脂を形成するための他のモノマー(アルキル基の炭素数が30以下のアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル以外のモノマー)としては、特に限定されるものではなく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸若しくはクロトン酸等の様なカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸若しくは無水イタコン酸等の様な酸無水物モノマー、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル若しくは(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等の様なヒドロキシル基含有モノマー、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等の様なスルホン酸基含有モノマー、又は2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等の様な燐酸基含有モノマーなどが挙げられる。尚、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及び/又はメタクリル酸をいい、本発明の(メタ)とは全て同様の意味である。
また、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂の他、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂は、単独で又は2種以上併用して用いることができる。熱硬化性樹脂としては、特に、半導体素子を腐食させるイオン性不純物等含有が少ないエポキシ樹脂が好適である。また、エポキシ樹脂の硬化剤としてはフェノール樹脂を好適に用いることができる。
エポキシ樹脂としては、特に限定は無く、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオンレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂等の二官能エポキシ樹脂や多官能エポキシ樹脂、又はヒダントイン型エポキシ樹脂、トリスグリシジルイソシアヌレート型エポキシ樹脂若しくはグリシジルアミン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を用いることができる。
エポキシ樹脂としては、例示のうちノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂が特に好ましい。これらのエポキシ樹脂は、硬化剤としてのフェノール樹脂との反応性に富み、耐熱性等に優れるからである。
更に、フェノール樹脂は、エポキシ樹脂の硬化剤として作用するものであり、例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン等が挙げられる。フェノール樹脂は単独で又は2種以上を併用して用いることができる。これらのフェノール樹脂のうちフェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂が特に好ましい。半導体装置の接続信頼性を向上させることができるからである。
エポキシ樹脂とフェノール樹脂の配合割合は、例えば、エポキシ樹脂成分中のエポキシ基1当量当たりフェノール樹脂中の水酸基が0.5当量〜2.0当量になるように配合することが好適である。より好適なのは、0.8当量〜1.2当量である。即ち、両者の配合割合が前記範囲を外れると、十分な硬化反応が進まず、エポキシ樹脂硬化物の特性が劣化し易くなるからである。
また、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の熱硬化促進触媒が用いられていても良い。熱硬化促進触媒としては、特に制限されず、公知の熱硬化促進触媒の中から適宜選択して用いることができる。熱硬化促進触媒は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。熱硬化促進触媒としては、例えば、アミン系硬化促進剤、リン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、ホウ素系硬化促進剤、リン−ホウ素系硬化促進剤などを用いることができる。
エポキシ樹脂の硬化剤としては、上述のようにフェノール樹脂を用いることが好ましいが、イミダゾール類、アミン類、酸無水物類等の公知の硬化剤を使用することもできる。
接着剤層4は、半導体ウエハの裏面(回路非形成面)に対して接着性(密着性)を有していることが重要である。そこで、接着剤層4を予めある程度架橋させておくため、重合体の分子鎖末端の官能基等と反応する多官能性化合物を架橋剤として添加させておいてもよい。これにより、高温下での接着特性を向上させ、耐熱性の改善を図ることができる。
架橋剤としては、特に制限されず、公知の架橋剤を用いることができる。具体的には、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤の他、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられる。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤やエポキシ系架橋剤が好適である。また、前記架橋剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、本発明では、架橋剤を用いる代わりに、あるいは、架橋剤を用いるとともに、電子線や紫外線などの照射により架橋処理を施すことも可能である。
接着剤層4には、必要に応じて他の添加剤を適宜に配合することができる。他の添加剤としては、例えば、充填剤(フィラー)、難燃剤、シランカップリング剤、イオントラップ剤の他、増量剤、老化防止剤、酸化防止剤、界面活性剤などが挙げられる。
充填剤としては、無機充填剤、有機充填剤のいずれであってもよいが、無機充填剤が好適である。無機充填剤等の充填剤の配合により、接着剤層4に熱伝導性の向上、弾性率の調節等を図ることができる。無機充填剤としては、例えば、シリカ、クレー、石膏、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、酸化ベリリウム、炭化珪素、窒化アルミニウム、窒化珪素等のセラミック類、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、クロム、鉛、錫、亜鉛、パラジウム、半田などの金属、又は合金類、その他カーボンなどからなる種々の無機粉末などが挙げられる。充填剤は単独で又は2種以上を併用して用いることができる。充填剤としては、なかでも、シリカまたはアルミナが、シリカとしては特に溶融シリカが好適である。なお、無機充填剤の平均粒径は0.001μm〜80μmの範囲内であることが好ましい。無機充填剤の平均粒径は、例えば、レーザー回折型粒度分布測定装置によって測定することができる。
充填剤(特に無機充填剤)の配合量は、有機樹脂成分に対して98重量%以下(0重量%〜98重量%)であることが好ましく、特にシリカの場合は0重量%〜70重量%、熱伝導や導電などの機能性無機充填剤の場合は10重量%〜98重量%であることが好適である。
また、難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、臭素化エポキシ樹脂等が挙げられる。難燃剤は、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。シランカップリング剤としては、例えば、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。シランカップリング剤は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。イオントラップ剤としては、例えばハイドロタルサイト類、水酸化ビスマス等が挙げられる。イオントラップ剤は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
接着剤層4は、接着性と信頼性の観点から、特に(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)アクリル樹脂またはフェノキシ樹脂、および(D)表面処理された無機充填材を含有することが好ましい。
(A)エポキシ樹脂を用いることにより、高い接着性、耐水性、耐熱性を得られる。エポキシ樹脂としては、上述の公知のエポキシ樹脂を用いることができる。(B)硬化剤は上述の公知の硬化剤を用いることができる。
(C)アクリル樹脂は、可とう性と強度を両立して高靭性である。好ましいアクリル樹脂は、Tg(ガラス転移温度)が−50℃〜50℃であり、エポキシ基、グリシジル基、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基またはカルボキシル基を架橋性官能基として有するモノマーを重合して得た架橋性官能基含有(メタ)アクリル共重合体である。さらに、アクリロニトリル等を含有してゴム特性を示すとより高靭性が得られる。
また、(C)フェノキシ樹脂は、フェノキシ樹脂は分子鎖が長くエポキシ樹脂と構造が似ており、高架橋密度の組成物中で可とう性材料として作用し、高靭性を付与するので高強度でありながらタフネスな組成物が得られる。好ましいフェノキシ樹脂は、主骨格がビスフェノールA型のものであるが、その他にビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールA/F混合型フェノキシ樹脂や臭素化フェノキシ樹脂等市販のフェノキシ樹脂が好ましいものとして挙げられる。
(D)表面処理された無機充填材としては、カップリング剤で表面処理された無機充填剤が挙げられる。無機充填材としては、上述の公知の無機充填剤を用いることができるが、好ましくはシリカ、アルミナである。カップリング剤で表面処理されていることにより、無機充填剤の分散性が良好になる。このため、流動性に優れるので金属層との接着力を向上させることができる。また、無機充填剤を高充填させることができるようになるので、吸水率を下げ耐湿性を向上させることができる。
例えばシランカップリング剤による無機充填材の表面処理は、公知の方法により、シランカップリング剤溶液中に無機充填材を分散させることにより、無機充填剤の表面に存在する水酸基とシランカップリング剤のアルコキシ基等の加水分解基が加水分解されたシラノール基とを反応させて無機充填剤の表面にSi−O−Si結合を生成することにより行われる。
接着剤層4の厚さは特に制限されるものではないが、通常取扱い性の観点から、3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、半導体パッケージの薄型化に寄与するために100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。また、接着剤層4は単層で構成されても複数層で構成されていてもよい。
接着剤層4の吸水率は、1.5vol%以下であることが好ましい。吸水率の測定方法は次の通りである。すなわち、50×50mmの大きさの接着剤層4(フィルム状接着剤)をサンプルとし、サンプルを真空乾燥機中で、120℃、3時間乾燥させ、デシケータ中で放冷後、乾燥質量を測定しM1とする。サンプルを蒸留水に室温で24時間浸してから取出し、サンプル表面をろ紙でふき取り、すばやく秤量してM2とする。吸水率は、次式(1)により算出される。
吸水率(vol%)=[(M2−M1)/(M1/d)]×100 (1)
ここで、dはフィルムの密度である。
吸水率が1.5vol%を超えると、吸水した水分によりはんだリフロー時にパッケージクラックを生じるおそれがある。
接着剤層4の飽和吸湿率は、1.0vol%以下であることが好ましい。飽和吸湿率の測定方法は次の通りである。すなわち、直径100mmの円形の接着剤層4(フィルム状接着剤)をサンプルとし、サンプルを真空乾燥機中で120℃、3時間乾燥させ、デシケータ中で放冷後、乾燥質量を測定しM1とする。サンプルを85℃、85%RHの恒温恒湿槽中で168時間吸湿してから取り出し、すばやく秤量してM2とする。飽和吸湿率は、次式(2)により算出される。
飽和吸湿率(vol%)=[(M2−M1)/(M1/d)]×100 (2)
ここで、dはフィルムの密度である。
飽和吸湿率が1.0vol%を超えると、リフロー時の吸湿により蒸気圧の値が高くなり、良好なリフロー特性が得られないおそれがある。
接着剤層4の残存揮発分は、3.0wt%以下であることが好ましい。残存揮発成分の測定方法は次の通りである。すなわち、50×50mmの大きさの接着剤層4(フィルム状接着剤)をサンプルとし、サンプルの初期の質量を測定しM1とし、サンプルを熱風循環恒温槽中で200℃、2時間加熱後、秤量してM2とする。残存揮発分は、次式(3)により算出される。
残存揮発分(wt%)=[(M2−M1)/M1]×100 (3)
残存揮発分が3.0wt%を超えると、パッケージングの際の加熱により溶媒が揮発し、接着剤層4の内部にボイドが発生して、パッケージクラックが発生するおそれがある。
金属層3の線膨脹係数の接着剤層4の線膨脹係数に対する比(金属層3の線膨脹係数/接着剤層4の線膨脹係数)は、0.2以上であることが好ましい。当該比が0.2未満であると、金属層3と接着剤層4との間で剥離が生じやすくなり、パッケージングの際にパッケージクラックが発生し、信頼性が低下するおそれがある。
本実施形態における金属層3は、半導体チップC(図6参照)に対応する形状に個片化されて、接着剤層4に埋め込まれており、金属層3の粘着剤層52側の面と、金属層3間における接着剤層4の粘着剤層5側の頂部(本実施形態にあっては、隣り合う金属層3同士の間における接着剤層4の粘着剤層52側の面)との段差z(図7参照)が実質的にない状態となっている。すなわち、金属層3の粘着剤層52側の面と、隣り合う金属層3同士の間における接着剤層4の粘着剤層52側の面とが面一の状態となっている。
金属層3は、半導体チップC(図6参照)に対応する形状に個片化されているため、半導体ウエハWを半導体チップCにダイシングする際に、金属層3を切断する必要がなく、金属層3の切削屑が発生することがない。
なお、本実施形態においては、金属層3が接着剤層4に埋め込まれており、金属層3の粘着剤層52側の面と、隣り合う金属層3同士の間における接着剤層4の粘着剤層52側の面との段差zが実質的にない状態となっているが、図7に示すように、金属層3の粘着剤層52側の面と、隣り合う金属層3同士の間における接着剤層4の粘着剤層52側の面との段差zがあってもよい。さらに、図8に示すように、金属層3が接着剤層4に埋め込まれていなくてもよい。
しかしながら、金属層3の粘着剤層52側の面と、隣り合う金属層3同士の間における接着剤層4の粘着剤層52側の面との段差zは、3μm未満であることが好ましく、さらには、段差zが実質的にない状態が好ましい。
金属層3の粘着剤層52側の面が、隣り合う金属層3間の接着剤層4の粘着剤層5側の頂部よりも、粘着剤層52側に突出しており、その段差zが3μm以上であると、接着剤層4に半導体ウエハWを貼合する際に、金属層3同士間における接着剤層4の半導体ウエハWへの押圧が不十分となり、当該部分に空気が巻き込まれ、ボイドが発生するおそれがある。このボイドは、金属層3同士間における接着剤層4と半導体ウエハWとの間に発生するが、当該部分は、ダイシング工程において、切断除去される部分であるため、通常は問題とはならない。ただし、このボイドは、半導体ウエハWを貼合した状態で次の工程へ搬送される際の振動や、ダイシング工程での振動などにより、半導体ウエハWの半導体チップCとなる部分と接着剤層4との間に移行するおそれがあるため、ない方が好ましい。
隣り合う金属層3間の粘着剤層5側の頂部が、金属層3の粘着剤層52側の面よりも粘着剤層52側に突出しており、その段差zが3μm以上であると、接着剤層4に半導体ウエハWを貼合する際の熱と圧力で、接着剤層4が軟化して金属層3の表面に付着し、放熱性が低下するおそれがある。
なお、上述の場合、段差zは、金属層3付き接着剤層4において、金属層3が保持されている部分の厚みyと金属層3が保持されていない部分すなわち接着剤層4のみの部分の厚みxとの差に相当する。
また、本実施形態の電子デバイスパッケージ用テープ1は、金属層3が接着剤層4に埋め込まれて保持されるようにしたが、必ずしも接着剤層4に埋め込まれている必要はなく、図8に示すように、金属層3が接着剤層4の表面に粘着保持されていてもよい。この場合、接着剤層4は、金属層3間であって粘着剤層側の面に、金属層3の粘着剤層52側の面と、隣り合う金属層3同士の間における接着剤層4の粘着剤層52側の頂部との段差を軽減する段差軽減部7を有していてもよい。
段差軽減部7を設けることにより、金属層3の粘着剤層5側の面と、段差軽減部7の粘着剤層5側の頂部との段差z´が3μm未満となるようにすることが好ましい。金属層3の粘着剤層52側の面が、段差軽減部7の粘着剤層5側の頂部よりも、粘着剤層52側に突出しており、その段差z´が3μm以上であると、接着剤層4に半導体ウエハWを貼合する際に、金属層3同士間における接着剤層4の半導体ウエハWへの押圧が不十分となり、当該部分に空気が巻き込まれ、ボイドが発生するおそれがある。段差軽減部7の粘着剤層5側の頂部が、金属層3の粘着剤層52側の面よりも粘着剤層52側に突出しており、その段差z´が3μm以上であると、接着剤層4に半導体ウエハWを貼合する際の熱と圧力で、段差軽減部7が軟化して金属層3の表面に付着し、放熱性が低下するおそれがある。
なお、上述の場合、段差z´は、金属層3付き接着剤層4において、金属層3が保持されている部分の厚みy´と段差軽減部7が設けられている部分の最大厚みx´との差に該当する。
<微粘着テープ2>
微粘着テープ2としては、例えば、樹脂フィルムと樹脂フィルムの片面に設けられた微粘着テープ用粘着剤層とを有するテープを好適に使用することができる。微粘着テープ2を構成する樹脂フィルムの素材には、公知の材料を用いることができるが、例示するのであれば、ポリエステル(PET、PBT、PEN、PBN、PTT)系、ポリオレフィン(PP、PE)系、共重合体(EVA、EEA、EBA)系、またこれらの材料を一部置換して、更に接着性や機械的強度を向上したフィルムが挙げられる。また、これらのフィルムの積層体であってもよい。耐熱性、平滑性、及び、入手し易さの点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、及びポリエチレンから選択されることが好ましい。
微粘着テープ2を構成する樹脂フィルムの厚さは、特に限定されるものではなく、適宜に設定してよいが、10〜150μmであることが好ましい。
微粘着テープ用粘着剤層に使用される樹脂としては、粘着剤に使用される公知の塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を使用することができるが、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。
アクリル系ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステル等のアルキル基の炭素数1〜30、特に炭素数4〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルエステル等)及び(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル等)の1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系ポリマー等が挙げられる。尚、(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルをいい、本発明の(メタ)とは全て同様の意味である。
アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性等の改質を目的として、必要に応じ、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はシクロアルキルエステルと共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。この様なモノマー成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー;アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これら共重合可能なモノマー成分は、1種又は2種以上使用できる。これら共重合可能なモノマーの使用量は、全モノマー成分の40重量%以下が好ましい。
更に、アクリル系ポリマーは、架橋されるため、多官能性モノマー等も必要に応じて共重合用モノマー成分として含むことができる。この様な多官能性モノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能性モノマーも1種又は2種以上用いることができる。多官能性モノマーの使用量は、粘着特性等の点から、全モノマー成分の30重量%以下が好ましい。
アクリル系ポリマーの調製は、例えば1種又は2種以上の成分モノマーの混合物に溶液重合方式や乳化重合方式、塊状重合方式や懸濁重合方式等の適宜な方式を適用して行うことができる。微粘着テープ用粘着剤層は、ウエハの汚染防止等の点より低分子量物質の含有を抑制した組成が好ましく、かかる点より重量平均分子量が30万以上、特に40万〜300万のアクリル系ポリマーを主成分とするものが好ましいことから粘着剤は、内部架橋方式や外部架橋方式等による適宜な架橋タイプとすることもできる。
また、微粘着テープ用粘着剤層の粘着力は粘着剤層5や接着剤層4の保持や剥離性等を考慮して調整される。微粘着テープ用粘着剤層の粘着力は、微粘着テープ用粘着剤層の架橋密度を制御して調整することができ、例えば多官能イソシアネート系化合物、多官能エポキシ系化合物、メラミン系化合物、金属塩系化合物、金属キレート系化合物、アミノ樹脂系化合物、又は過酸化物等の適宜な外部架橋剤を用いて架橋処理する方式や、炭素−炭素二重結合を2個以上有する低分子化合物を混合してエネルギー線の照射等により架橋処理する方式等の適亘な方式を採用することができる。外部架橋剤を使用する場合、その使用量は、架橋すべきベースポリマーとのバランスにより、更には、粘着剤としての使用用途によって適宜決定される。一般的には、前記ベースポリマー100重量部に対して、20重量部程度以下、更には0.1重量部〜20重量部配合するのが好ましい。
微粘着テープ用粘着剤層の厚みは、特に制限されず適宜に決定できるが、一般的には3〜200μm程度である。また、微粘着テープ用粘着剤層は単層で構成されても複数層で構成されていてもよい。
<電子デバイスパッケージ用テープ1の製造方法>
<工程1(接着剤層4の加工)>
次に、本実施の形態に係る電子デバイスパッケージ用テープ1の製造方法について説明する。まず、接着剤層4は、樹脂組成物を調製し、フィルム状の層に形成する慣用の方法を利用し形成する(ステップ1)。具体的には、例えば、セパレータS(図4(D)参照)上に前記樹脂組成物を塗布して乾燥し(熱硬化が必要な場合などでは、必要に応じて加熱処理を施し乾燥して)、接着剤層4を形成する方法等が挙げられる。セパレータSとしては、ポリエステル(PET、PBT、PEN、PBN、PTT)系、ポリオレフィン(PP、PE)系、共重合体(EVA、EEA、EBA)系、またこれらの材料を一部置換して、更に接着性や機械的強度を向上したフィルム使用することができる。また、これらのフィルムの積層体であってもよい。前記樹脂組成物は、溶液であっても分散液であってもよい。
<工程2(金属層3の加工)>
また、図4(A)に示すように、金属層3を微粘着性を有する仮保持用微粘着テープBNとローラーrを用いて貼合する(ステップ2)。金属層3としては、市販の金属箔を用いればよい。仮保持用微粘着テープBNとしては、上述の微粘着テープ2と同様のものを使用することができる。
図4(B)に示すように、金属層3を半導体チップC(図6参照)に対応する形状に切断するように、押切刃などを用いて、切り込みKを形成する。その後、図4(C)に示すように、半導体チップCに対応する形状の周辺の不要部分6を仮保持用微粘着テープBNから剥離して除去する(ステップ3)。
次に、図4(D)に示すように、半導体チップCに対応する形状に切断された金属層3を、仮保持用微粘着テープBNに保持されたままの状態で、セパレータS上に形成された接着剤層4上に載置し、熱プレス機を用いて加熱加圧することにより、金属層3を接着剤層4に埋め込み保持させる(ステップ4)。その後、セパレータSを剥離する(ステップ5)。
<工程1、2の変形例>
あるいは、個片化され、仮保持用微粘着テープBNに保持された金属層3間の仮保持用微粘着テープBN上および金属層3上に、接着剤層4の樹脂組成物の溶液を塗工して乾燥させ、セパレータSと加熱貼合するようにしてもよい。
<工程3(接着剤層4の切断)>
金属層3を接着剤層4に保持させた後、図5(A)に示すように、押切刃O1を用いて、接着剤層4を、ウエハWに対応する形状に切断する(ステップ6)。その後、接着剤層4のウエハWに対応する形状の周辺の不要部分12を仮保持用微粘着テープBNから剥離して除去する(ステップ7)。
<工程4(微粘着テープ2の貼合、仮保持用微粘着テープBNの剥離)>
次に、図5(B)に示すように、接着剤層4上に、微粘着テープ2を貼合する(ステップ8)。その後、仮保持用微粘着テープBNを剥離する(ステップ9)。仮保持用微粘着テープBNの粘着力は微粘着テープ2より小さくなっており、仮保持用微粘着テープBNを剥離した時、接着剤層4および金属層3は微粘着テープ2側に残る。
<工程5(粘着テープ(DCテープ)5の加工)>
次に、粘着テープ5を作製する。基材フィルム51は、従来公知の製膜方法により製膜することができる。当該製膜方法としては、例えばカレンダー製膜法、有機溶媒中でのキャスティング法、密閉系でのインフレーション押出法、Tダイ押出法、共押出し法、ドライラミネート法等が例示できる。次に、基材フィルム51上に粘着剤層組成物を塗布し、乾燥させて(必要に応じて加熱架橋させて)粘着剤層52を形成する。塗布方式としては、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工等が挙げられる。なお、粘着剤層組成物を直接基材フィルム51に塗布して、基材フィルム51上に粘着剤層52を形成してもよく、また、粘着剤層組成物を表面に剥離処理を行った剥離紙等に塗布して粘着剤層52を形成させた後、該粘着剤層52を基材フィルム51に転写させてもよい。これにより、基材フィルム51上に粘着剤層52が形成された粘着テープ5が作製される。
<工程6(粘着テープ(DCテープ)5の貼合、切断)>
その後、図5(C)に示すように、金属層3と粘着剤層52とが接するように、金属層3及び接着剤層4が設けられた微粘着テープ2に粘着テープ(DCテープ)5をラミネートし(ステップ10)、場合によっては、図5(D)に示すように、粘着テープ5も押切刃O2を用いて、所定の大きさの円形ラベル形状等に切断し(ステップ11)、不要部分13を微粘着テープ2から剥離して除去することにより(ステップ12)、電子デバイスパッケージ用テープ1が作られる。
<電子デバイスパッケージ用テープ1の製造方法の変形例>
なお、上述では、接着剤層4で金属層3間を埋めたり、接着剤層4で段差軽減部7を設ける場合について説明したが、接着剤層4以外の樹脂を用いて、金属層3間を埋めたり段差軽減部7を形成してもよい。この場合、仮保持用微粘着テープBNに保持された金属層3間の仮保持用微粘着テープBN上に、接着剤層4とは別の樹脂組成物の溶液を塗工して乾燥させ、上記のセパレータS上に形成した接着剤層4と加熱貼合するようにするとよい。または、半導体チップCに対応する形状に切断された金属層3を、仮保持用微粘着テープBNに保持されたままの状態で、接着剤層4上に貼合し、仮保持用微粘着テープBNを剥離した後、金属層3間に接着剤層4とは別の樹脂組成物の溶液をスクリーン印刷してよいし、金属層3間に接着剤層4とは別の樹脂組成物の溶液を滴下してもよい。
<使用方法>
次に、本実施形態の電子デバイスパッケージ用テープ1を使用して半導体装置を製造する方法について、図6を参照しながら説明する。
半導体装置の製造方法は、電子デバイスパッケージ用テープ1上に半導体ウエハWを貼着する工程(マウント工程)と、半導体ウエハWをダイシングして半導体チップCを形成する工程(ダイシング工程)と、金属層3、接着剤層4および半導体チップCの積層体を、粘着テープ5の粘着剤層52から剥離する工程(ピックアップ工程)と、得られた積層体を予備硬化する工程(予備硬化工程)と、半導体チップCを被着体8上にフリップチップ接続する工程(フリップチップ接続工程)とを具備する。予備硬化工程は必須の工程ではなく、必要に応じて行うようにするとよい。また、必要に応じて他の工程を適宜実施してもよい。
[マウント工程]
先ず、電子デバイスパッケージ用テープ1上に任意に設けられた微粘着テープ2を適宜に剥離し、図6(A)で示されるように、接着剤層4に半導体ウエハWを貼着して、これを接着保持させ固定する(マウント工程)。このとき接着剤層4は未硬化状態(半硬化状態を含む)にある。また、電子デバイスパッケージ用テープ1は、半導体ウエハWの裏面に貼着される。半導体ウエハWの裏面とは、回路面とは反対側の面(非回路面、非電極形成面などとも称される)を意味する。貼着方法は特に限定されないが、圧着による方法が好ましい。圧着は、通常、粘着テープ5側から圧着ロール等の押圧手段により押圧しながら行われる。そのため、金属層3の粘着剤層52側の面が、隣り合う金属層3間の接着剤層4の粘着剤層5側の頂部よりも、粘着剤層52側に突出していると、金属層3間の接着剤層4に十分に押圧をかけることができない。
[ダイシング工程]
次に、図6(B)で示されるように、半導体ウエハWのダイシングを行う。これにより、半導体ウエハWを所定のサイズに切断して個片化(小片化)し、半導体チップCを製造する。ダイシングは、例えば、半導体ウエハWの回路面側から常法に従い行われる。また、本工程では、例えば、電子デバイスパッケージ用テープ1まで切り込みを行うフルカットと呼ばれる切断方式等を採用できる。本工程で用いるダイシング装置としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。このとき、金属層3は予め半導体チップCに対応する形状に切断され個片化されているので、ダイシング工程においては、金属層3は切断されない。このため、金属層3の切削屑が発生することがない。また、半導体ウエハWは、電子デバイスパッケージ用テープ1により優れた密着性で接着固定されているので、チップ欠けやチップ飛びを抑制できると共に、半導体ウエハWの破損も抑制できる。なお、電子デバイスパッケージ用テープ1のエキスパンドを行う場合、該エキスパンドは従来公知のエキスパンド装置を用いて行うことができる。
[ピックアップ工程]
図6(C)で示されるように、半導体チップCのピックアップを行って、半導体チップCを接着剤層4及び金属層3とともに粘着テープ5より剥離させる。ピックアップの方法としては特に限定されず、従来公知の種々の方法を採用できる。例えば、個々の半導体チップCを電子デバイスパッケージ用テープ1の基材フィルム51側からニードルによって突き上げ、突き上げられた半導体チップCをピックアップ装置によってピックアップする方法等が挙げられる。
[予備硬化工程]
後のフリップチップ接続工程で接着剤層4に突沸が生じないように、金属層3、接着剤層4および半導体チップCの積層体における接着剤層4を予め硬化させる予備硬化を行う。予備硬化の条件は、接着剤層4が突沸しない範囲で適宜設定してよいが、100〜150℃で4時間〜15分程度加熱することが好ましい。
[フリップチップ接続工程]
ピックアップした半導体チップCは、図6(D)で示されるように、基板等の被着体8に、フリップチップボンディング方式(フリップチップ実装方式)により固定させる。具体的には、半導体チップCを、半導体チップCの回路面(表面、回路パターン形成面、電極形成面などとも称される)が被着体8と対向する形態で、被着体8に常法に従い固定させる。例えば、まず半導体チップCの回路面側に形成されている接続部としてのバンプ9にフラックスを付着させる。次いで、半導体チップCのバンプ9を被着体8の接続パッドに被着された接合用の導電材10(半田など)に接触させて押圧しながらバンプ9及び導電材10を溶融させることにより、半導体チップCと被着体8との電気的導通を確保し、半導体チップCを被着体8に固定させることができる(フリップチップボンディング工程)。このとき、半導体チップCと被着体8との間には空隙が形成されており、その空隙間距離は、一般的に30μm〜300μm程度である。尚、半導体チップCを被着体8上にフリップチップボンディング(フリップチップ接続)した後は、半導体チップCと被着体8との対向面や間隙に残存するフラックスを洗浄除去し、該間隙に封止材(封止樹脂など)を充填させて封止する。
被着体8としては、リードフレームや回路基板(配線回路基板など)等の各種基板を用いることができる。このような基板の材質としては、特に限定されるものではないが、セラミック基板や、プラスチック基板が挙げられる。プラスチック基板としては、例えば、エポキシ基板、ビスマレイミドトリアジン基板、ポリイミド基板等が挙げられる。また、他の半導体チップを被着体8とし、上記半導体チップCをフリップチップ接続することにより、チップオンチップ構造とすることもできる。
<実施例>
次に、本発明の効果をさらに明確にするために、実施例および比較例について詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<粘着剤層組成物>
官能基を有するアクリル系共重合体(A1)として、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよびメタクリル酸からなり、2−エチルヘキシルアクリレートの比率が60モル%、質量平均分子量70万の共重合体を調製した。次に、ヨウ素価が20となるように、2−イソシアナトエチルメタクリレートを添加して、ガラス転移温度−50℃、水酸基価10mgKOH/g、酸価5mgKOH/gのアクリル系共重合体(a1)を調製した。
上記アクリル系共重合体(a1)100質量部に対して、ポリイソシアネートとしてコロネートL(商品名、東ソー株式会社製)を5質量部加え、光重合開始剤としてEsacure KIP 150(商品名、Lamberti社製)を3質量部加えた混合物を、酢酸エチルに溶解させ、攪拌して粘着剤層組成物(1)を調製した。
基材フィルムとして以下のものを作製した。
<基材フィルム>
エチレン−メタクリル酸共重合体の樹脂ビーズを200℃で溶融し、押出機を用いて厚さ100μm、ループスティフネス7mNの長尺フィルム状に成形して基材フィルムを作製した。エチレン−メタクリル酸共重合体は、三井デュポンポリケミカル株式会社製のニュクレルNO35C(商品名)を使用した。
<粘着テープ>
離型処理したポリエチレン−テレフタレートフィルムよりなる剥離ライナーに、上記粘着剤層組成物を、乾燥後の厚さが10μmになるように塗工し、110℃で3分間乾燥させて粘着剤層とした後、上記基材フィルムと貼り合わせ、粘着テープを作製した。
(2)接着剤層の作製
<接着剤層>
アクリル樹脂(ナガセケムテックス株式会社製、商品名「テイサンレジンSG−P3」、Mw85万、Tg12℃)80質量部と、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、商品名「HP−4700」)10質量部、硬化剤としてのフェノール樹脂(明和化成株式会社製、商品名「MEH7851」)10質量部とをメチルエチルケトンに溶解させ、接着剤層組成物溶液を調製した。この接着剤層組成物溶液を、シリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム(剥離ライナー)上に塗布した後、130℃で5分間乾燥させた。これにより、厚さ5μmの接着剤層を作製した。
(3)金属層の準備
<金属層>
F2−WS(商品名、古河電気工業株式会社製、銅箔、厚さ18μm)
(4)微粘着テープの作製
微粘着テープとして以下のものを作製した。
(樹脂フィルム)
スチレン−水添イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)(株式会社クラレ社製、商品名「セプトンKF−2104」)とホモプロピレン(PP)(宇部興産株式会社製、商品名「J−105G」)を40:60で示す配合比で混合した樹脂ビーズを200℃で溶融し、押出機を用いて厚さ90μmの長尺フィルム状に成形することにより、樹脂フィルムを作製した。
(微粘着テープ用粘着剤層組成物)
官能基を有するアクリル系共重合体(A2)として、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよびメタクリル酸からなり、2−エチルヘキシルアクリレートの比率が70モル%、質量平均分子量50万、ガラス転移温度−50℃、水酸基価30gKOH/g、酸価5mgKOH/gのアクリル系共重合体(a2)を調製した。
アクリル系共重合体(a2)100質量部に対して、ポリイソシアネート系化合物(商品名「コロネートL」、東ソー株式会社製)を8質量部加え、酢酸エチルに溶解させ、攪拌して、基材テープ用粘着剤層組成物e−1を得た。
<微粘着テープ>
調製した微粘着テープ用粘着剤層組成物を、離型処理したポリエチレン−テレフタレートフィルムよりなる剥離ライナーに、乾燥後の厚さが10μmになるように塗工し、110℃で3分間乾燥させた後、上記樹脂フィルムと貼り合わせ、樹脂フィルム上に微粘着テープ用粘着剤層が形成された微粘着テープを作製した。
(5)電子デバイスパッケージ用テープの作製
<実施例1>
以上のようにして得られた微粘着テープと金属層とを貼り合わせ角度120°、圧力0.2MPa、速度10mm/sの条件で貼り合わせた。その後、金属層を10×10mmの大きさの個片で、隣合う個片間の間隔が0.5mmとなるように、切断して不要部分を除去した。その後、金属層を、微粘着テープに保持されたままの状態で、接着剤層と貼り合わせ角度120°、圧力0.2MPa、速度10mm/sの条件で貼り合わせた。そして、微粘着テープを剥離した後、図8に示すように、金属層間に上記接着剤層組成物溶液を、金属層間の接着剤層のみの部分の乾燥後の厚みxが23μmとなるように滴下し、130℃で5分間乾燥させた。
その後、接着剤層をウエハに対応する円形形状にプリカットし、前記粘着テープの粘着剤層と接着剤層に保持された金属層の金属層側とを貼り合わせ、粘着テープをリングフレームに貼合できる形状にプリカットし、実施例1の電子デバイスパッケージ用テープを作製した。
<実施例2〜19、比較例1>
金属層間の接着剤層の厚みx、金属層間の間隔を表1,2に記載の組合せにした以外は、実施例1と同様の手法により、実施例2〜19の電子デバイスパッケージ用テープを作製した。実施例6〜9,15〜19は、金属層間に接着剤層組成物溶液を滴下する工程に替えて、金属層にマスキングをした状態で接着剤層組成物溶液をスクリーン印刷する工程を用いた。また、金属層を10×10mm角に切断することなく接着剤層と貼合し、接着剤層とともに円形形状にプリカットした以外は、実施例1と同様にして比較例1の電子デバイスパッケージ用テープを作製した。
実施例1〜19及び比較例1に係る電子デバイスパッケージ用テープについて以下の評価を行った。その結果を表1,2に示す。
厚み200μmのバンプ付きシリコンウエハ(バンプ:銅ピラー及びはんだ、バンプ高さ:約40μm)の裏面に各実施例および比較例に係る電子デバイスパッケージ用テープの接着剤層を70℃で10秒間加熱貼合した後、ダイシングを行い、10×10mmの評価用チップに分割した。
(ボイド評価)
シリコンウエハに接着剤層を貼合した後、電子デバイスパッケージ用テープを粘着テープ側から目視にて観察し、ボイドが確認されなかったものを良品として○、ボイドが確認されたものを許容品として△で評価した。なお、ボイドが確認できたものであっても許容品としたのは、このボイドは、金属層同士間における接着剤層と半導体ウエハとの間に発生するが、当該部分は、ダイシング工程において、切断除去される部分であるため、通常は問題とはならないためである。
(金属層表面への接着剤の付着評価)
シリコンウエハに接着剤層を貼合した後、金属層の表面への接着剤の付着の有無を目視にて確認し、接着剤の付着が確認されなかったものを良品として○、接着剤の付着が確認されたものを許容品として△で評価した。
(金属層の切削屑の発生評価)
ダイシングを行った後に、目視にて金属層の切削屑の有無を観察した。切削屑が確認されなかったものを良品として○、切削屑が確認されたものを不良品として×で評価した。
表1,2に示すように、実施例1〜19に係る電子デバイスパッケージ用テープは、金属層が予め半導体チップに対応する形状に切断されているため、金属層の切削屑の発生評価において、良好な結果となった。
また、実施例1〜9に係る電子デバイスパッケージ用テープは、金属層が接着剤層に埋め込まれており、金属層の粘着剤層側の面と、金属層間における接着剤層の粘着剤層側の頂部との段差が3μm未満であるため、ボイド評価および金属層表面への接着剤の付着評価において特に優良な結果となった。
これに対して、比較例1に係る電子デバイスパッケージ用テープは、金属層が予め半導体チップに対応する形状に切断されていないため、金属層の切削屑の発生評価において、劣る結果となった。