JP6440128B2 - エネルギー弁別電子検出器及びそれを用いた走査電子顕微鏡 - Google Patents

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Description

本発明は電子線またはイオンビームの照射によりその照射対象から生じた二次電子、反射電子、オージェ電子等の各種電子(以下、二次電子で代表させる)のエネルギーを弁別し、検出するエネルギー弁別電子検出器に関するものである。本発明はまた、このエネルギー弁別電子検出器を走査電子顕微鏡(scanning electron microscope:SEM)にアウトレンズ検出器として設置して、電子顕微鏡像観察において、試料より生じた二次電子を検出することに関する。
また、本発明は一次電子ビームの照射により発生した二次電子をより効率的に検出器で収集し、より高精度の観察を可能とする走査電子顕微鏡に関するものである。
最近のSEMでは、電子ビームの照射により、試料から放出された電子を、効率よく対物レンズ内に導き、さらにその電子のエネルギーを弁別して、特定のエネルギー範囲の電子を取り込むことが行われている。この電子検出方法は、レンズ内に検出器がある構造のために、インレンズ検出器と呼ばれる。この検出器によって、二次電子、あるいは反射電子などに含まれる情報を選択して画像にすることができ、これまで見えなかった組成情報や表面ポテンシャルの変化の情報などを可視化することが可能になった。これによりSEMの応用範囲が格段に広がった(非特許文献1)。
一方、別のタイプの電子検出器として、試料室内の側面であって対物レンズと試料との間に設置される電子検出器(アウトレンズ検出器:Everhart-Thornley型とも言う)がある。このアウトレンズ検出器は、SEMの開発当初から用いられており、多くの汎用形SEMで採用されているもので、検出器の前面にある電極に電界をかけて、試料から放出された電子を集めて二次電子像を作るものである。
一般にアウトレンズ検出器は、高エネルギー電子を有効に取り込むと考えられているが、試料から出射した高エネルギー電子は直進し、試料室の壁面に衝突し、そこで散乱されるか、あるいは別の電子(この電子をSE3電子という)を放出して、これらの電子がアウトレンズ検出器に到達することが多い。このため、アウトレンズ検出器は、像に寄与する二次電子の素性がわからず、形状観察に利用されることが殆どであった。
また、SE3電子は試料から出射した時のエネルギーを失っているために、元の情報は失われ、取り込まれたSE3電子は雑音となっていた。なお、実際の電子顕微鏡の試料室内には各種の機器が設置されているが、本願では試料室内に設けられている本発明とは直接関係しない機器等であってアウトレンズ検出器及び試料以外のものは、二次電子の衝突及びSE3の放出に関する限り、全て試料室の壁の一部であるとして取り扱う。
上記のように、インレンズ検出器には、エネルギー弁別機能を付加したものが開発され、応用範囲が格段に広がったが、通常のアウトレンズ検出器には、エネルギー弁別機能を持つものがない。このため、アウトレンズ検出器の重要性が低くなっている。なお、先行技術におけるインレンズ検出器の例を特許文献1及び2として示す。
さらに、絶縁体の試料を10kV程度の加速電圧で観察する場合、試料は負に帯電することが多いが、このように負帯電した試料を観察する場合、試料から放出された電子は帯電の影響を受けて加速されるため、二次電子の軌道が大きく検出器への方向から外れ、直接アウトレンズ検出器に取り込まれる電子の割合が減り、アウトレンズ検出器に捕集される電子は、SE3電子がほとんどになっている。この様子を図1に示す。図1の(a)は導体内部に設けられた基本的には矩形断面の領域内の中央やや左下に試料が帯電している場合(−50V)の試料から出射したエネルギーが10eVの二次電子が描く軌道を示す図であり、図1の(b)は試料が帯電していない場合の試料から出射した二次電子が描く軌道を示す図である。
ここで、右側の壁面上端近くから左方向に75mm突出したアウトレンズ検出器(突出距離は右壁面位置から検出器の傾斜した先端の中央までの距離)の電位は+150Vとした。また、軌道を表す線の濃淡は試料からの二次電子の出射方向(角度)を表す。なお、試料上の同一の点から同一の方向へ放出された二次電子であっても、それが持っているエネルギーにより電界から受ける影響が異なり、それに応じて異なった軌道をとる。なお、図1中の検出器及び試料の周囲にはこれらの電位によりその周囲に形成される等電位面を表す線も淡色(検出器周囲)及び破線(試料周囲)で描いてある。ここで、図1(b)の試料は帯電しないためにその周囲の壁面と同じ電位になる。従って、試料近傍の電位の勾配は小さいため、図1(b)中の試料周囲には等電位面を表す破線は描かれていない。
図1(a)、(b)から明らかなように、帯電試料から出射した二次電子の軌道は検出器に向かう方向から大きく外れてしまう。このため、絶縁体の試料を観察する場合、その信号強度が大幅に低下してしまうという問題があった。
特開平11−144656号公報 特開2003−157790号公報
「走査電子顕微鏡の原理と応用(観察,分析)」精密工学会誌Vol. 77, No. 11, 2011, p. 1021-1026 「新・走査電子顕微鏡」共立出版, 2011, p. 1-26
本発明は、上述の従来技術の問題点を解消し、アウトレンズ検出器等の電子線またはイオンビームの対物レンズの外側に設置される検出器にエネルギー弁別機能を持たせ、対象物から生じる電子のうちの低エネルギー側のものだけを選択的に検出することで、対象物からの電子が有する情報をより多く取り出すことができるようにすることを課題とする。
また、本発明は、電子ビームを照射した試料から出射した二次電子をより効率的に収集し、SE3電子の取り込みを抑止し、より鮮明な像コントラストでより精度の高い電子顕微鏡像を得ることができる走査電子顕微鏡を提供することを課題とする。
さらに、本発明は、電子ビームにより帯電した絶縁体試料を容易に観察可能とする走査電子顕微鏡を提供することをも課題とする。
本発明の一側面によれば、対物レンズを介して電子線またはイオンビームを照射するエネルギー線照射装置と前記対物レンズからの前記電子線またはイオンビームが照射されることにより電子を放射する対象物との間に設けられ、負電圧が印加される主電極と、前記主電極の前記試料側に離間して設けられ、前記対象物から放射された電子のうちで前記主電極で反射された電子を検出する電子検出器とを設けた、エネルギー弁別電子検出器が与えられる。
ここで、前記主電極の少なくとも前記対象物との間に設けられて前記主電極に印加された前記負電圧による電界をシールドするシールド電極を有するとともに、前記シールド電極のうちの前記対象物側のものはグリッド電極としてよい。
また、前記シールド電極は前記主電極の両側に設けてよい。
また、前記主電極は平面形状であってよい。
また、前記主電極は曲面形状であってよい。
また、前記主電極は前記対物レンズ側に凸である球面の一部であってよい。
また、前記主電極は放物面であり、前記対象物は前記放物面の焦点に位置してよい。
また、前記主電極は回転楕円面の一部であり、前記対象物は前記回転楕円面の一方の焦点に位置し、前記電子検出器は前記回転楕円面の他方の焦点に位置してよい。
また、前記主電極と前記電子検出器との間であって、かつ前記シールド電極が設けられている場合には前記対象物側のシールド電極と前記電子検出器との間に設置され、負電圧が印加されるグリッド状の他の主電極を設けてよい。
また、前記主電極の前記対物レンズ側に他の電子検出器を設けるとともに、前記主電極がグリッド状であり、前記主電極の前記対物レンズ側に前記シールド電極が設けられる場合にはグリッド状の電極としてよい。
また、前記電子検出器は複数の検出単位からなってよい。
また、前記検出単位は前記電子線の入射方向に対して同心円状に配置されてよい。
また、前記検出単位は前記電子線の入射方向に対して放射状に配置されてよい。
また、前記検出単位の一部は互いに離間して配置されてよい。
また、前記電子検出器の前面に正電圧を印加したまたは接地したグリッド状の電極を設けてよい。
また、前記主電極に印加される負電圧は直流電圧であってよい。
また、前記主電極に印加される負電圧は直流電圧に交流電圧を重畳した電圧であり、前記電子検出器の出力を微分増幅してよい。
また、前記主電極はエネルギーが50eV以下の電子を反射してよい。
また、前記主電極はエネルギーが5eV以下の電子を反射してよい。
また、前記主電極中の前記対象物へ向かう電子線またはイオンビームが通過する領域の周辺の所定領域で前記主電極を切り欠いてよい。
本発明の他の側面によれば、上記何れかのエネルギー弁別電子検出器をアウトレンズ検出器として使用し、前記対象物が測定対象の試料である走査電子顕微鏡が与えられる。
ここで、前記反射電極及び前記検出器が試料室内で移動可能に構成してよい。
また、前記反射電極及び前記検出器が前記試料を載置する試料台に着脱可能に取り付けてよい。
また、前記電子線を前記試料上に二次元走査させる光学系と、前記試料を収容する試料室とを設けるとともに、さらに前記電子線の照射により前記試料から放出された二次電子が前記試料室の壁面と衝突してSE3電子が発生することを抑制するとともに二次電子をアウトレンズ検出器に導くように二次電子の軌道を修正する電子軌道制御機構を設けてよい
また、前記機構は前記試料室の壁面に設けられた電極より構成され、該電極の電位を制御することによりSE3電子の発生の抑制及び二次電子の軌道を修正してよい。
また、前記機構は前記試料室の壁部自体を構成する電極より構成され、該電極の電位を制御することによりSE3電子の発生の抑制及び二次電子の軌道を修正してよい。
また、前記機構は前記試料室内に配置された電極より構成され、該電極の電位を制御することによりSE3電子の発生の抑制及び二次電子の軌道を修正してよい。
また、前記電極は複数区画に分割配置され、各電極の電位が個別に制御可能であってよい。
また、前記電子軌道制御機構は前記試料から放出された二次電子中の所望の出射角を有するものを選択的に前記アウトレンズ検出器に導いてよい。
本発明では電子線またはイオンビームの照射対象から生じた二次電子等のうちの低エネルギー側だけを弁別して検出することにより、低エネルギー側のこれら電子が持っている情報だけを取り出して検出することが容易になる。特に本発明をSEMに適用することにより、試料の表面の像を明瞭に観察することができるようになるなどの効果が得られる。
また、本発明によれば、電子ビームの照射により試料から放出された二次電子が試料室の壁面と衝突してSE3電子が発生することを抑制するとともに二次電子をアウトレンズ検出器に導くように二次電子の軌道を修正する電子軌道制御機構を設けたので、SE3電子の取り込みが阻止され、二次電子をより効率的にアウトレンズ検出器に捕集することができ、ノイズが少ない、より鮮明な像コントラストでより精度の高い電子顕微鏡像を得ることができる。
さらに、本発明によれば、従来困難であった電子ビームにより帯電した絶縁体試料を容易に観察可能とすることができる。
(a)は試料が−50Vに帯電している場合の試料から出射したエネルギー10eVの二次電子が描く軌道を示す図、(b)は試料が帯電していない場合の試料から出射した同じ二次電子が描く軌道を示す図である。図の外側の縦横の目盛の単位はmmである。 反射電極として平面電極を使用した本発明の第1の実施形態の概念図である。 電子検出器の分割例の概念図である。 球面電極及び同心円状分割検出器を利用した角度・エネルギー同時分解二次電子取得構造を有する本発明の一実施形態の概念図である。 反射電極として平面電極を使用した本発明の実施形態と球面電極を使用した本発明の実施形態とを対比して示す概念図である。 反射電極の上下にそれぞれ電子検出器を設置した本発明の一実施形態を示す本発明の一実施形態の概念図である。 第1の実施形態の装置の試料室内での取り付けの態様の例を示す概念図である。 ヒト染色体のSEM像を示す写真であり、(a)は通常の二次電子に基づくSEM像、(b)はローパス二次電子に基づくSEM像を示す。 図5に構造を概念的に示す本発明の第1の実施形態の装置により得られた、石英ナノロッドに埋め込まれたSnOナノ粒子のSEM像であり、(a)はローパス二次電子に基づくSEM像、(b)はハイパス二次電子に基づくSEM像を示す。 石英ナノロッドに埋め込まれたSnOナノ粒子からの微分増幅した二次電子に基づくSEM像を示す写真である。 別の試料の二次電子像を示し、(a)は従来のET型検出器を用いた場合、(b)は、第2の実施形態の装置でE1=−10V、E2=0Vとした場合、(c)は第2の実施形態の装置でE1=−60V、E2=0Vとした場合の二次電子像をそれぞれ示す。 別の試料の二次電子像のデータからE1=0、E2=0の二次電子像のデータを減算した像を示し、(a)は電子検出器として従来のET型検出器を用いた場合、(b)、(c)は図2の装置構成において、それぞれE1=−10V、E2=0V、E1=−60V、E2=0Vとした場合の二次電子像を示す。 本発明を適用することができるアウトレンズ方式の走査電子顕微鏡の構造を概念的に示す図である。 本発明の一実施形態に係るSEMにおける電子軌道制御機構による制御を説明するための概念図である。 図13に示す構造において、電子軌道制御機構の電極を試料室の壁面から離間させて、試料室の内側に設けた場合の概念的な構造図である。
以下では本発明をSEMの二次電子検出系に適用する場合を例に挙げて説明するが、これによって一般性を失うものではないことに注意されたい。また、イオンビーム用の光学系を通してその対物レンズから対象物にこのビームを照射することによって各種の電子を生じさせることもできるが、本発明はこのようなイオンビーム照射を利用する構成に対しても当然適用することができる。
本発明をSEMの二次電子検出系に適用した第1の実施形態では、アウトレンズ検出器に捕集される電子のエネルギーを弁別し、アウトレンズ検出器の出力信号中の情報量を増やす。本実施形態ではとりわけ二次電子検出系においてエネルギーが低い方を選択するという意味でローパスフィルタを形成する点が重要である。これによって、従来、形状観察に使われていたアウトレンズ検出器の顕微鏡像を、組成像やポテンシャル像として、定性的に解釈することが可能となり、顕微鏡観察の応用範囲が広がる。なお、この種の二次電子における低エネルギーの電子とは通常50eV程度以下のエネルギーの電子を言う。本発明はこのような低エネルギーの電子だけを弁別して検出することで以下に説明するような大きな効果を発揮するが、更に5eV以下の更に低いエネルギーの電子を弁別することで、このエネルギー帯域の電子が有する情報を取得することもできる。
本実施形態では、試料と試料へ電子線を照射する電子顕微鏡対物レンズとの間に負電圧を印加した電極(反射電極)を設置する。試料から生じた二次電子は主に試料から対物レンズ側に向かうが、このような二次電子のうちで、エネルギーの小さなものは反射電極の負電圧による電界によりそこから反射されて試料側に戻される。試料側に戻された低エネルギーの二次電子を試料側に設置された電子検出器で検出することによって、試料から生じた広いエネルギー帯域の二次電子のうちで、低いエネルギーの二次電子だけを弁別して検出することができるようになる。この意味で、本実施形態は試料から発生する二次電子に対してローパスフィルタをかけて検出すると言うことができる。
本実施形態をSEMに適用した場合の最も簡単な例では、SEMの試料室内であって対物レンズと試料の間に、平板の電子分光用の反射電極と、それに対向する平板の電子検出器とを配置する。この組み合わせと、反射電極に印加する電圧によって、電子検出器で検出される電子のエネルギーを弁別するものである。
図2に、この実施の形態による反射電極21と電子検出器22の配置を概念的に示す。この構成では、電子顕微鏡対物レンズ23からの電子線(図示せず)の照射によって、試料24から発生した二次電子25が上方に運動するが、反射電極21にかかる負電圧(−E1)によって、絶対値がE1以下のエネルギーの電子は下方に押し戻され、ゼロ電位あるいは正電圧(+E2)がかかる電子検出器22で捕集される。これは、二次電子25のローパスフィルタとして働く。電子検出器22で捕集されるのは、絶対値がE1(V)以下の電子であるため、低エネルギー二次電子像を得ることができる。反射電極21にかける負電圧の絶対値E1を大きくすることにより、高エネルギー二次電子や反射電子成分も検出が可能である。なお、反射電極21の中央には、対物レンズ23からの電子線が通過するための通路が設けられている。また、電子検出器に上述の正電圧(+E2)を印加する場合、そのための構成として、図2では電子検出器22の直前に正電圧が印加されたグリッド26を設けている。これは電子検出器22に接近した低エネルギーの電子25を電子検出器22に向かって加速することで、検出感度を向上させるための構成である。
電子検出器22としては例えばMCP(micro-channel plate)検出器を用いることができるが、もちろんET型検出器や半導体検出器等の他の電子検出器でも検出可能である。
電子検出器の検出面を円環状、あるいは扇形など、複数の検出単位に分割することで、二次電子の出射方向や、エネルギーの識別も可能である。図3に、電子検出器の分割例を示す。図3(a)は同心円状の分割の例を、また図3(b)は電子検出器の中心を通る複数の直線による扇形分割の例を示す。これらの分割の区画(検出単位)毎に電子を検出する。なお、図3は電子検出器の複数の区画が互いに連結して、外見上は一体となった構成のみを示しているが、複数の区画の少なくとも一部が相互に離間して配置され、二次電子が到達する可能性がある面内にこれら区画が分散している構成としてもよい。また、複数個に分割された電子検出器を用いる代わりに位置敏感電子検出器を採用し、電子検出器に入射する電子をその検出表面上の位置毎に検出させることで、同じ機能を実現できる。
また、二次電子の軌道に合わせて、電子検出器を分割することで、角度・エネルギー同時分解した二次電子信号が取得できる。例えば、図3(a)に示す、同心円状に分解した電子検出器を用いると、同じエネルギーでは、外側になるほど低角度に出射した二次電子が検出される。これを用いて、角度・エネルギー同時分解した二次電子像やスペクトルが取得できる。図4に、球面電極及び同心円状分割検出器を利用した角度・エネルギー同時分解二次電子取得構造の概念図を示す。
なお、対物レンズ23から試料24へ電子線を照射するために反射電極21中に設けられている電子線の通路の径を大きくして反射電極21をドーナツ状とすることで、試料24からの二次電子25のうちで入射した電子線の方向と正反対の方向に近い角度で反射電極21へ向かったものはこの径の大きな通路を通って対物レンズ23側へ向かうため、反射されない。このように、ある特定の角度範囲(上の例では電子線方向との角度が0度〜通路径及び反射電極21までの距離で決まる角度の範囲)の二次電子は、反射電極21を切り欠いておくなどによってそこで反射されないようにすることで、特定の角度範囲の二次電子を抽出することもできる。
更には、電子検出器22としてMCP検出器を用いる場合、MCPの前面にグリッド状の電極を設置して負電圧(−E3)を印加し、電子検出器22をE3(V)からE1(V)のバンドパスフィルターとして使用することも可能である。なお、反射電極21と同様に、当該グリッド状の電極の片側あるいは両側にシールド電極27、28に相当する静電シールド用のシールド電極を設けてもよい。この際には、電子検出器22へ向かう電子がシールド電極を通過できるように、シールド電極27に相当するシールド電極もグリッド状とする必要がある。
なお、図2では反射電極21を3本の互いに平行な破線として表現しているが、これは中央の主電極29に印加した負電圧−E1による低エネルギー電子を反射するための電界を両側の接地されているシールド電極27、28の間に局在させるための静電シールドを行うための構成である。この静電シールドにより、主電極29に印加されている電圧による電界が、試料の位置、形状、サイズ、帯電状態、また試料室内の他の機器により異なる態様で主電極29と電子検出器22との間の低エネルギー電子の軌道に影響しないようにすることができる。従って、この構成を取ることによって、本実施形態の装置の設計及び動作制御が容易になる。2つのシールド電極27、28のうち、反射電極21により反射された電子が電子検出器22へ向かって遠方まで移動したときの電子の運動に主電極29からの電界が影響しないようにするためには、試料側のシールド電極27による静電シールドの方の効果が大きい。しかし、後述するように、主電極29に交流を印加する場合などでは、測定結果の電気信号への交流の誘導を防止するために反対側、つまり対物レンズ23側のシールド電極28も重要となる。
ここで、試料側のシールド電極27は、試料24から戻ってきた二次電子25を通過させて主電極29近傍まで到達できるようにするために、電子通過用の物理的な孔を有するグリッド状とする必要がある。これに対して、主電極29及び対物レンズ23側のシールド電極28は、特に電子を通過させる必要がない限り、グリッド状であってもよいし、また孔のない板状の電極であってもよい。なお、下で説明するように、反射電極21の対物レンズ23側にも電子検出器を設置して、高エネルギー側の電子を検出するハイパスフィルタ動作を行わせる場合には、主電極29及び対物レンズ23側のシールド電極28もグリッド状とする必要がある。また、以下で説明するように、反射電極21の形状を各種の曲面とする場合でも、個別には説明しないが、それぞれの電極をグリッド状とする必要があるか、それとも電子を通過させる孔を設けなくてもよいかは、上述の平面形状の場合と同じである。なお、図2では、これらの電極は全てグリッドとして図示しているが、これは具体例を示すための図示であり、本発明をグリッドの場合のみに限定する意図はないことに注意されたい。
反射電極21の形状は平面だけでなく、電子軌道を考慮し、曲面とすることもできる。また、図2の平面電極について説明したように、反射電極を複数枚構成とすることで、エネルギー弁別能を向上させ、外への電場の漏れを抑える(静電シールド)こともできる。これにより、エネルギー弁別機能が向上する。図5(a)に平面電極構成の概念図を、また図5(b)に曲面電極構成の例として対物レンズ側に凸になっている球面電極構成の概念図を示す。
平面電極を使用した場合、試料24から生じる二次電子25が反射電極21に入射する角度は、試料24の真上近傍では小さく、そこから周辺方向に離れるほど大きくなる。反射電極21の電位が位置によらず一定であっても、電子の入射角が異なると、そこで反射する電子のエネルギーの上限値が変化する。しかし、図5(b)に示すように、反射電極21を対物レンズ23側に凸、すなわち中心を試料24側に向けた球面とすることで、試料24からの電子の反射電極21への入射角が、中心と周辺とで大きく変化することがなくなり、従って二次電子25に対するローパスフィルタ作用のカットオフ値が反射電極上21の位置によらず一定となる。
ここで、図2(及びこれ以降の図面)における試料と電子検出器との相対的な位置について説明する。図2では電子検出器22は試料24よりもやや下側(つまり、対物レンズ23から見て、試料24よりもやや遠方)に位置しているように図示されている。この位置関係としている理由は、試料24から射出される二次電子、特に入射する電子線に対して大きな角度で射出される二次電子が反射電極21に至るまでの経路上に障害物が存在しないようにするためである。電子検出器22の位置を試料24と同じ上下位置まで上げても上記二次電子経路の障害とはならないが、試料24よりも上側、つまり電子検出器22から対物レンズ23までの距離が試料24から対物レンズ23までの距離よりも小さくなる位置まで上げた場合には、電子検出器22のうちの試料24に近い端部付近が試料24から大きな角度で射出された二次電子の経路上に入りこむことで、光学系で言う口径喰(vignetting)と相似な現象が起こり、二次電子が持つ情報の一部が失われる恐れがある。もちろん、このような口径喰があまり問題とならないのであれば、電子検出器22を試料24よりもある程度上側に位置するようにしてもよい。
図6に反射電極の上下に一つずつの電子検出器を設置した複数検出器構成の例を示す。電子検出器22、30を、反射電極21を挟んで上下に設置することで、下側(試料側)の電子検出器22をローパスフィルタとして、また上側(対物レンズ23側)の電子検出器30をハイパスフィルタとして用いることもできる。得られた信号は、像として出力して比較したり、差分を取るなどの演算が可能である。
なお、反射電極21の形状は、半球及び平板には限定されない。例えば反射電極21の形状を回転楕円体面の一部としてもよい。この場合には、回転楕円面の片方の焦点に設置した試料から出射した二次電子がもう一方の焦点に設置した電子検出器22に入る構造とするのが良い。また、反射電極21を放物面とすれば、同じエネルギーの二次電子はこの反射電極21で反射された後平行に進むので、電子検出器22をそれに合わせて設置することも可能である。

二次電子像を得るのに、ローパスフィルタやハイパスフィルタ像以外にも、反射電極21に印加する電圧を(−E1−E4sinωt)のように、交流を重畳させ(ここでωtは交流の角周波数)、それに同期した信号をロックインアンプを使った同期検波などによって取出し増幅する、いわゆる微分増幅とすることもできる。これにより、E1のエネルギーを持った二次電子の電圧微分が得られ、数学的演算より二次電子スペクトルを再現することができる。特に、二次電子エネルギースペクトルの急峻に変化している領域を強調した像を得ることができる。
上記の信号は、反射電極21に印加する負電圧をΔE5だけ増加あるいは減少させて2枚の二次電子像を取得し、像の信号の差分を取ることによっても実現できる。この場合、増加/減少させる電圧ΔE5の具体的な値は系の分解能にもよるが、例えば2〜3V程度の小さな値とすることができる。
試料24から上方に出射した二次電子25をすべて取り込むことで、本実施形態の電子検出器22を二次電子の積分球として用いることが可能である。
本実施形態の装置は、図7(a)に示すように反射電極及び電子検出器をSEMの試料室に固定して設置することもできるが、図7(b)に示すように、移動ステージに取り付けておき、試料室に設けたフランジ等から測定時だけ試料上方まで移動させて使用することもできる。さらに、図7(c)に示すように、取り外し可能な構造にして、必要に応じて試料ステージに試料とともに取り付けて使うこともできる。
次に、本実施形態の装置を使用して撮影したSEM像について説明する。もちろん、本発明の用途はこれらに限定されるものではないことに注意されたい。
図8に、ヒト染色体の二次電子像を示す。図8(a)は通常の二次電子検出器(ET検出器)で得られたSEM像、図8(b)は本実施形態の装置を用いて得られた低エネルギー二次電子検出結果から得られたSEM像である。電子顕微鏡像の撮像は、室温で、5kV、1nAの一次電子ビームを用いて行った。E1=−30V,E2=0Vとした。両者を比較することにより、図8(b)では、染色体から出射した低エネルギー二次電子により、染色体の構造が明瞭に観察されることがわかる。これは、試料から生じた二次電子のうちの低エネルギー側のものには高エネルギー側に比べて試料の表面状態がより強く反映されるため、図8(b)のSEM像は染色体の表面構造を明確に示すものとなる。
図9に、複数検出器によるエネルギーフィルター二次電子像の例を示す。試料は、石英ナノロッドに埋め込まれたSnOナノ粒子である。図9(a)がローパス(低エネルギー側)二次電子によるSEM像、図9(b)がハイパス(高エネルギー側)二次電子によるSEM像である。図9(a)ではSnOナノ粒子が明瞭に観察されるが、図9(b)では、ナノ粒子は透明に見える。
図10に、交流電位をかけて取得した微分増幅による二次電子像の例を示す。試料は、石英ナノロッドに埋め込まれたSnOナノ粒子である。微分増幅により、像中のエッジが強調されることにより、ナノ粒子やロッドの表面の構造が強調されていることがわかる。
また、本実施形態の装置により別の試料により観察を行った。その結果を図11、図12に従来のET型検出器を用いた場合の結果と比較して示す。
試料は、Si基板上にスパッタ法により厚み50nmのMnS層を形成したものの上に、スパッタ法により厚み500nmのGaNを形成し、さらに有機金属成長気相(MOCVD)法により厚み1μmのGaNを成長させたものである。この試料は、スパッタされたGaN層とMnS層がエッチングされ、小さいGaNリッジが形成されたものであった。
測定は、フィールド・エミッション走査電子顕微鏡(SEM;Hitachi S4300SE/N)を用いて行った。電子顕微鏡像の撮像は、室温で、5kV、1nAの一次電子ビームを用いて行った。
図11(a)は、電子検出器として従来のET型検出器を用いた場合の試料の二次電子像を示し、図11(b)はその概要図である。Si上の不定形の穴(dent)、大小2種類の横にした三角柱(GaSiN,GaN)が観察される。図11(c)、(d)は図2の装置構成において、それぞれ{E1=−10V、E2=0V}、{E1=−60V、E2=0V}とした場合の二次電子像を示す。
図12は、上記試料の二次電子像(図11(c)、(d))からE1=0、E2=0の二次電子像のデータを減算した像を示し、図12(a)は電子検出器として従来のET型検出器を用いた場合の試料の二次電子像、図12(b)は0Vから10Vまでの二次電子像(低エネルギー二次電子像)、(c)は0Vから60Vまでの二次電子像である。
以上から、本実施形態の装置によれば、従来装置より試料の表面の像を明瞭に観察することができるようになることがわかる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、上述のように試料から出射した二次電子のうちで低エネルギーのものを選択するという、エネルギーの大小の意味でのローパスフィルタ動作が行なわれる。ところが、既に説明したように、二次電子が全て検出器に到達するわけではなく、各種の条件でその割合は変化するが、二次電子の一部は試料室の壁面に衝突して、元の情報を失った雑音成分であるSE3電子を発生する。このSE3電子のエネルギーの分布を調べると、壁面に衝突した二次電子のエネルギー分部に比べて低いエネルギー側に大きく偏ったものとなる。従って、第1の実施形態のローパスフィルタ動作により低エネルギー側の電子を選択すると、その中の雑音成分の割合がローパスフィルタ動作を適用する前よりも高くなる。すなわちローパスフィルタ動作により検出信号のS/N比が悪化する。このようなS/N比の悪化を回避するには、上述のSE3電子の発生を抑止すればよい。本発明の第2の実施形態は、SE3電子の発生を抑止する構成をさらに追加したものである。
なお、以下の説明ではアウトレンズ検出器は第1の実施形態と同じであるため、説明を簡単にするため、アウトレンズ検出器の具体的な構成については説明・図示を省略した。また、第2の実施形態で追加されたSE3電子抑制のための構成それ自体はアウトレンズ検出器の構成として第1の実施形態のものを前提としていないので、以下で説明する当該SE電子抑制のための構成を他の任意の形態のアウトレンズ検出器とともに使用することも可能なことに注意されたい。
先ず、図13に従来のアウトレンズ方式の走査電子顕微鏡(SEM)の構成を模式的に示す。図13に示すように、SEM10は、電子銃11、集束レンズ12、走査コイル13、対物レンズ14を備えている。対物レンズ14は対物レンズ外壁14aを有しており、試料室15側からは、対物レンズ外壁14aが円錐台状に試料室15内に突出しているように見え、また対物レンズ外壁14aが電子銃11から対物レンズ14までの電子光学系と試料室15との隔壁を形成している。図13では電子光学系を強調して描いているので、試料室15の上側のほとんどを対物レンズ14(対物レンズ外壁14a)が占めているように図示しているが、実際には試料室15自体の上壁もかなりの面積を有する。また、以下で議論する試料室15の壁の電位については、対物レンズ外壁14aも試料室の壁の一部として取り扱うことができる。試料室15には試料16が図示しないステージ上に載置され、試料室15の側面には、二次電子検出器(アウトレンズ検出器とも言う)17が設けられ、二次電子検出器17で得られたデータは図示しないデータ処理装置によりデータ処理され、観察結果が画像装置18に表示されるようになっている。
図14は、本実施形態に係るSEM10における電子軌道制御機構を説明するための概念図である。図14では、電子銃11から発生した電子ビームを試料上に二次元走査させる光学系は図示を省略してあるが、電子銃11からの電子ビームは試料16に照射される構成となっている。この実施形態では、試料室15の壁部を複数個の電極15a〜15fで置き換え、図示しない電位制御手段により各電極15a〜15fへの電位の付与のオンオフと付与する電位の大きさ(プラスマイナスを含めて)が制御可能となっている。なお、ここでは、説明の便宜上、電極が6つの場合につき説明したが、その数は軌道修正の態様に応じて適宜の数とすることができる。
図14(a)は電極制御前、すなわち各電極15a〜15fに電位Vを付与していない状態(V=0V)における二次電子の電子軌道を示す図である。この図から、電子源からの電子ビームが照射された試料16から出射した二次電子はアウトレンズ検出器17に向かわないで、試料室15の壁面に多くの二次電子が衝突している様子がわかる。試料室15の壁面に衝突して二次電子は散乱されたり、SE3電子を発生させたりし、発生したSE3電子の多くはアウトレンズ検出器17に取り込まれ、ノイズとなる。
一方、図14(b)は電極制御後、すなわち各電極15a〜15fに選択的に電位Vを付与した状態における二次電子の電子軌道を示す図である。この例では、電極15b、15d、15eに−100Vの電位Vを付与し、電極15a、15c、15fはV=0Vとしてある。この図から、電子源からの電子ビームが照射された試料16から出射した二次電子が試料室15の壁面に衝突してSE3電子を発生することが抑制され、多くの二次電子の軌道がアウトレンズ検出器17に向かうように軌道修正されていることがわかる。
なお、図14では試料室15の壁面のうちの底面には電極を設置していない。これは、通常では試料16への電子ビームの照射により発生する二次電子の多くは上〜斜め上方向に向かって放出されるので、大部分の二次電子については試料室15の底面に電極を設置しなくても上述したSE3電子発生の抑制及びアウトレンズ検出器17へ向けての二次電子偏向のための電子軌道の制御が可能になるからである。もちろん、試料室15の底面へ向かう二次電子についての制御も求められたり、あるいは試料室15全体の電界分布の制御のために底面側にも電極を設けることが有益である等の場合には、底面側に電極を設置することができる。また、上の説明では試料室内の電極にそれぞれ特定の電圧を印加することにより電子軌道の制御を行なう旨の説明を与えたが、試料室の形状や大きさ、試料の帯電の状況その他の各種のパラメータにより電極に与えるべき適切な電圧は変化することに注意されたい。
上記のような電子軌道制御を行うと、アウトレンズ検出器17により多くの二次電子が効果的に取り込まれるようになり、より鮮明な像コントラストでより精度の高い電子顕微鏡像を得ることができる。また、これにより、従来、曖昧にしか理解できていなかったアウトレンズ検出器をつかった顕微鏡像をより明瞭に観測することが可能となり、アウトレンズ検出器の可能性が広がる。
また、壁面に電圧を印加しない従来型SEMの場合には、帯電がない場合には検出器へ向かう二次電子のかなりの部分が帯電した試料周囲の電界により加速されて壁面に衝突してSE3電子となる。本実施形態によれば、この試料の帯電により曲げられた二次電子の軌道を壁面の電極に印加した電圧によって再度曲げることで、帯電がない場合とほぼ同じように検出器へ向かわせることができる。つまり、本件発明では試料が帯電していても、帯電による二次電子軌道の曲がりや二次電子の加速を補償することが可能になる。その結果、試料の帯電による顕微鏡像への影響を軽減させて、高感度・低雑音のSEM像を得ることが可能となる。
更には、試料から放出される二次電子は、その量だけではなく、出射角にも情報を含むため、特定の方向へ放出された電子だけについて壁面到達を防止してアウトレンズ検出器側で検出することにより、本発明では、インレンズ検出器では得ることができない出射角情報まで検出できるようにすることもできる。なお、特定の方向に放出された電子だけについて壁面到達を防止するための壁面等への具体的な印加電圧の分布は、試料室の形状、これら電極が設けられている位置や個数、試料の帯電状況、検出すべき電子の出射角、電子のエネルギー等により異なるが、これらの具体的なパラメータが決まれば、その計算には特に大きな困難性はない。
上記実施形態では、試料室の壁部を複数個の電極で置き換え、図示しない電位制御手段により各電極への電位の付与を制御し、形成される電界の状態を制御して電子軌道制御を行ったが、本発明によれば、試料室の壁面に壁部材とは別に電極を設け、その電位を制御することによりSE3電子の発生の抑制二次電子の軌道を修正するようにしてもよい。
また、試料室の内壁そのものを電極としたり或いは試料室の内壁に直接電極を取り付ける代わりに、図15に概念的に示すように、電子軌道制御機構の電極15”を試料室15’の内壁から離間させて試料室の壁面と試料との間に配置し、その電位を制御することによりSE3電子の発生の抑制二次電子の軌道を修正するようにしてもよい。この電極15”は、例えば、篭状あるいは筒状のものであってもよいし、仕切り状のものであってもよい。これらはアウトレンズ検出器に向かう二次電子の軌道を妨げない構造とする。
また、電子軌道制御機構の電極は試料室の内壁であろうとそこから離間した位置に設けようと、電気的に単一の電極である必要はなく、電位を互いに独立に制御できる複数の個別電極に区画することで、きめ細かい電子軌道制御を行うようにすることもできる。
本実施形態によれば、絶縁体セラミックスや鉱物、有機物、生体など、電子ビームによって帯電した試料のSEM観察が容易になり、これまでSEMが苦手としてきた物質・材料の評価が可能となる。また、SE3電子の発生を抑制、あるいは定量的に制御することで、これまで形態観察以外には積極的に用いられてこなかったアウトレンズ検出器の信号を、有効に活用することが可能である。これによって、材料内の微小な帯電の違いがもたらす像コントラストを捉えて、新しい観察技法を提供することができる。また、試料から放出される二次電子中の特定の出射角を有するものだけをアウトレンズ検出器に導入するように電子軌道を制御することで、試料から更に多くの情報を得ることができる。
10 走査電子顕微鏡(SEM)
11 電子銃
12 集束レンズ
13 走査コイル
14 対物レンズ
14a 対物レンズ外壁
15 試料室
15a〜15f 電極(試料室の壁部)
15’ 内壁に電極を有していない試料室
15” 試料室の内壁から離間して設けられた電極
16 試料
17 二次電子検出器(アウトレンズ検出器)
18 画像表示装置
21 反射電極
22 電子検出器
23 対物レンズ
24 試料
25 二次電子
26 グリッド
27、28 シールド電極
29 主電極
30 電子検出器

Claims (24)

  1. 対物レンズを介して電子線またはイオンビームを照射するエネルギー線照射装置と前記対物レンズからの前記電子線またはイオンビームが照射されることにより電子を放射する対象物との間に設けられ、負電圧が印加される平面形状の主電極と、
    前記主電極の前記対象物側に離間して設けられ、前記対象物から放射された電子のうちで前記主電極で反射された電子を検出する電子検出器と
    を設けた、エネルギー弁別電子検出器。
  2. 前記主電極の少なくとも前記対象物との間に設けられて前記主電極に印加された前記負電圧による電界をシールドするシールド電極を有するとともに、前記シールド電極のうちの前記対象物側のものはグリッド電極である、請求項に記載のエネルギー弁別電子検出器。
  3. 前記シールド電極は前記主電極の両側に設けられる、請求項に記載のエネルギー弁別電子検出器。
  4. 前記主電極と前記電子検出器との間、または前記対象物側のシールド電極と前記電子検出器との間に設置され、負電圧が印加されるグリッド状の他の主電極を設けた、請求項またはに記載のエネルギー弁別電子検出器。
  5. 前記主電極の前記対物レンズ側に他の電子検出器を設けるとともに、
    前記主電極がグリッド状であり、
    前記主電極の前記対物レンズ側に前記シールド電極が設けられる場合にはグリッド状の電極とした、
    請求項からの何れかに記載のエネルギー弁別電子検出器。
  6. 前記電子検出器は複数の検出単位からなる、請求項1からの何れかに記載のエネルギー弁別電子検出器。
  7. 前記検出単位は前記電子線の入射方向に対して同心円状に配置された、請求項に記載のエネルギー弁別電子検出器。
  8. 前記検出単位は前記電子線の入射方向に対して放射状に配置された、請求項に記載のエネルギー弁別電子検出器。
  9. 前記検出単位の一部は互いに離間して配置された請求項からの何れかに記載のエネルギー弁別電子検出器。
  10. 前記電子検出器の前面に正電圧を印加したまたは接地したグリッド状の電極を設けた、請求項1からの何れかに記載のエネルギー弁別電子検出器。
  11. 前記主電極に印加される負電圧は直流電圧である、請求項1から10の何れかに記載のエネルギー弁別電子検出器。
  12. 前記主電極に印加される負電圧は直流電圧に交流電圧を重畳した電圧であり、
    前記電子検出器の出力を微分増幅する、請求項1から10の何れかに記載のエネルギー弁別電子検出器。
  13. 前記主電極はエネルギーが50eV以下の電子を反射する、請求項1から12の何れかに記載のエネルギー弁別電子検出器。
  14. 前記主電極はエネルギーが5eV以下の電子を反射する、請求項1から12の何れかに記載のエネルギー弁別電子検出器。
  15. 前記主電極中の前記対象物へ向かう電子線またはイオンビームが通過する領域の周辺の所定領域で前記主電極を切り欠いた、請求項1から12の何れかに記載のエネルギー弁別電子検出器。
  16. 請求項1から15の何れかに記載のエネルギー弁別電子検出器をアウトレンズ検出器として使用し、
    前記対象物が測定対象の試料である
    走査電子顕微鏡。
  17. 前記主電極及び前記検出器が試料室内で移動可能に構成された、請求項16に記載の走査電子顕微鏡。
  18. 前記主電極及び前記検出器が前記試料を載置する試料台に着脱可能に取り付けられた、請求項17に記載の走査電子顕微鏡。
  19. 前記電子線を前記試料上に二次元走査させる光学系と、前記試料を収容する試料室とを備えた走査電子顕微鏡において、
    前記電子線の照射により前記試料から放出された二次電子が前記試料室の壁面と衝突してSE3電子が発生することを抑制するとともに二次電子をアウトレンズ検出器に導くように二次電子の軌道を修正する電子軌道制御機構を設けた、
    請求項16から18の何れかに記載の走査電子顕微鏡。
  20. 前記機構が、前記試料室の壁面に設けられた電極より構成され、該電極の電位を制御することによりSE3電子の発生の抑制及び二次電子の軌道を修正する、請求項19に記載の走査電子顕微鏡。
  21. 前記機構が、前記試料室の壁部自体を構成する電極より構成され、該電極の電位を制御することによりSE3電子の発生の抑制及び二次電子の軌道を修正する、請求項19に記載の走査電子顕微鏡。
  22. 前記機構が、前記試料室内に配置された電極より構成され、該電極の電位を制御することによりSE3電子の発生の抑制及び二次電子の軌道を修正する、請求項19に記載の走査電子顕微鏡。
  23. 前記電極が複数区画に分割配置され、前記区画の電位が個別に制御可能である、請求項20から22の何れかに記載の走査電子顕微鏡。
  24. 前記電子軌道制御機構は前記試料から放出された二次電子中の所望の出射角を有するものを選択的に前記アウトレンズ検出器に導く、請求項19から23の何れかに記載の走査電子顕微鏡。
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