以下、本発明を実施するための形態を説明する。
図1は、本発明の断熱パネルAの実施の形態の一例を示すものであり、(a)は斜視図、(b)、(c)はそれぞれ、(a)におけるA−A線断面図、B−B線断面図を示している。
本実施形態の断熱パネルAは、少なくとも二枚の金属外皮1,2と、芯材3と、補強材4とを備えて形成され、例えば、外観が長方形の板状に形成される。このような断熱パネルAは、二枚の金属外皮1,2の間に芯材3が充填されており、いわゆるサンドイッチパネルと称される。
金属外皮1,2は、亜鉛めっき鋼板、塗装鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、ステンレス鋼板、アルミニウム板、チタン板などの金属板をロール成形加工や折り曲げ加工などで所望の形状に成形することにより得ることができる。また、金属外皮1,2の厚みは、例えば、0.25〜2.0mmにすることができる。二枚の金属外皮1,2は、断熱パネルAの表面板又は裏面板として形成されるが、本実施形態では、金属外皮1を表面板、金属外皮2を裏面板としている。従って、本実施形態の断熱パネルAを外壁等の外装材として使用する場合は、表面板(金属外皮1)を建物の屋外側、裏面板(金属外皮2)を屋内側に向けるようにして設けられる。また、図1のように、断熱パネルAが外観長方形に形成されている場合は、長手方向の一端を上端、長手方向の他端を下端として外壁に施工することができる。図1では、断熱パネルAの上端部及び下端部をそれぞれ符号「U」及び「D」を付しており、以下では、「上端部U」及び「下端部D」とする(以降の他の図においても同様である)。
補強材4は、平板状の固着部4aと、この固着部4aの両端から固着部4aに対して略垂直方向に突出する一対の突出片4b、4bとを有しており、断面略U字状(または、コ字状)に形成されている。その断面形状は、補強材4の全長にわたって一定である。
補強材4は、一方向に長く形成される長尺の部材として形成することができ(後述の図2も参照)、その長尺長さを、断熱パネルAの一辺の長さと同じ長さか、あるいは、それよりも短い長さに形成することができる。本実施形態の断熱パネルAでは、図1(c)からもわかるように、長尺に形成された補強材4の長手方向の長さは、断熱パネルAの長手方向の長さ(上端部Uから下端部Dまでの距離)よりもやや短く形成されている。より詳しくいうと、断熱パネルAの両端には後述するように耐火材5が配置されるので、補強材4の長尺長さは、それらの厚み分だけ短く形成されている。
補強材4は、例えば、厚み0.35〜3.2mm程度の金属板を折り曲げ加工することにより形成することができる。固着部4aの幅長さ、すなわち、一対の突出片4b、4b間の距離)は、30〜150mmとすることができる。また、突出片4bの長さ、すなわち、固着部4aの基部から突出片4b先端までの長さは特に限定されないが、例えば、断熱パネルAの厚み(断熱パネルAの表面から裏面までの長さ)の半分の長さよりも短いことが好ましい。
補強材4は、図1に示すように、表面板となる金属外皮1の芯材3が配置されている側の面と、裏面板となる金属外皮2の芯材3が配置されている側の面のそれぞれに複数設けられる。具体的には、補強材4は、その固着部4aが金属外皮1又は金属外皮2の芯材3側の面に接するようにして設けられ、補強材4の長手方向が断熱パネルAの長手方向に沿うように配置される。このように補強材4が配置されると、突出片4bの先端が芯材3側を向く。尚、以下では、金属外皮1の芯材3が配置されている側の面に設けられる補強材4を「補強材4S」、金属外皮2の芯材3が配置されている側の面に設けられる補強材4を「補強材4T」とする。
補強材4Sは、金属外皮1に複数個設けられ、隣り合う補強材4Sの側端部どうしを対向させながら、互いに平行に並ぶように配置される。すなわち、補強材4Sは、一つの補強材4Sの突出片4bの外面と、その隣の補強材4Sの突出片4bの外面どうしを対向させながら、互いに平行に並ぶように配置される。隣り合う補強材4S,4Sとの間には所定の間隔が形成されている。その間隔は、補強材4Sの1個分の幅長さ(一対の突出片4b,4b間の距離)と同じ長さである。
一方、補強材4Tも、金属外皮2に複数個設けられている。補強材4Tの配置の向きや、隣り合う補強材4T,4Tの配置間隔は、上述の金属外皮1に複数個設けられる補強材4Sと同じである。
そして、図1(b)からわかるように、断熱パネルAにおいて、補強材4Sと補強材4Tとは、その固着部4aどうしが断熱パネルAの厚み方向で対向して配置されていない。具体的には、補強材4Sの一方の突出片4bと補強材4Tの一方の突出片4bとは断熱パネルAの厚み方向で対向しているが、各々の固着部4aどうしは、芯材3を介して対向していない。従って、補強材4Sの固着部4aは、芯材3を介して隣り合う補強材4T,4Tの間と対向するように配され、補強材4Tの固着部4aは、芯材3を介して隣り合う補強材4S,4Sの間と対向するように配されることになる。
尚、本実施形態では、補強材4は、断熱パネルAの長手方向に沿って長尺に形成されているが、補強材4は短尺の部材であってもよい。この場合は、複数の補強材4は断熱パネルAの長手方向に沿って設けられ、長手方向で隣り合う補強材4,4どうしが互いに接合されて設けられることになる。
芯材3は、断熱性に優れ、且つ耐火性にも優れる材料で形成されていることが好ましく、例えば、ロックウールやグラスウールなどの繊維状の無機材料で形成させることができる。
図2に示すように、芯材3は、細長いブロック状(角棒状)に固められて形成されており、このような形状の芯材3が、金属外皮1又は金属外皮2に設けられているすべての補強材4(補強材4S及び補強材4T)に嵌め込まれるように配置されている。従って、細長いブロック状に形成されている芯材3の長手側の少なくとも一つの面幅は、補強材4の固着部4aの幅と略同一の長さで形成される。
ここで、図2に示すように、芯材3の厚みをL2、突出片4bの長さをL1とすると、L1は、L2の1/2から1/10の範囲にすることができる。この場合、突出片4bの先端が、他方の金属外皮1に接触することがないので、断熱パネルAのヒートブリッジ効果を起こさないようにすることができ、外壁等の断熱性を高めることができる。
芯材3の寸法等は、断熱パネルAの上下方向の長さや厚み等に応じて適宜設定されるが、例えば、長さ300〜10000mm、幅30〜150mm、厚み20〜120mm、密度80〜200kg/m3に形成される。尚、10000mm程度の長尺の芯材3を形成する場合は、複数本の短尺(例えば、2000mm以下)の芯材3を長手方向に接合して使用することができる。
補強材4Sに嵌め込まれている芯材3の、固着部4aに接している面と逆側の面は、金属外皮2に接しており、補強材4Tに嵌め込まれている芯材3の、固着部4aに接している面と逆側の面は、金属外皮1に接している。
本実施形態の断熱パネルAでは、図1(b)に示されているように、連結部材7によって、金属外皮1に設けられている補強材4Sと、金属外皮2に設けられている補強材4Tとが連結される。具体的には、図1(b)に示すように、補強材4Sの一方の突出片4bと、この突出片4bと断熱パネルAの厚み方向で略対向している補強材4Tの突出片4bとが、連結部材7によって連結されている。以下、連結部材7による補強材4,4どうしの連結について詳述する。
図3(a)〜(c)は、連結部材7によって連結されている補強材4Sと補強材4Tの一部を示す斜視図である。尚、図3(a)〜(c)では、連結部材7による補強材4どうしの連結状態を明確に表すために、各々の補強材4に嵌め込まれている芯材3や、金属外皮1,2などは図示を省略している。
連結部材7としては、線状又は糸状に形成されている部材、シート状に形成されている部材、あるいは、薄板状に形成されている部材を使用することができる。連結部材7を形成する材料としては、金属、炭素繊維、樹脂などが挙げられる。例えば、連結部材7が線状又は糸状に形成されているのであれば、金属製のワイヤー、針金、金属棒、ピアノ線等の材料や、炭素繊維、アラミド繊維、高い強度と耐火性を有するスーパー繊維と称される合成繊維やその他の合成繊維等の繊維材料などが使用できる。
図3(a)は、連結部材7が線状又は糸状に形成されている部材である場合の実施形態を示している。尚、図1の実施形態の断熱パネルAも、連結部材7は線状又は糸状に形成されている。以下、このような線状又は糸状に形成されている部材を「線状部材7a」という。そして、図3(a)に示すように、線状部材7aの一端を補強材4Sの突出片4bに、他端を補強材4Tの突出片4bに固着させることで、補強材4Sと補強材4Tとを線状部材7aで連結させることができる。線状部材7aを突出片4bに固着させるには、例えば、止め部材7fを使用することができる。止め部材7fは粘着テープであってもよいし、金属製の角板であってもよい。金属製の角板である場合は、突出片4bの外面又は内面にあらかじめ角板を設けておき、線状部材7aを突出片4bの外面と角板とで挟み込むようにすればよい。角板の固着は釘やビス等を使用することができる。あるいは、突出片4bの外面にあらかじめ線状部材7aを通すための孔を形成させておき、この孔を通して突出片4bに括り付けるようにしてもよい。これによって、線状部材7aを突出片4bに固着させることができる。
図3(b)は、連結部材7が炭素繊維等の材料によりシート状に形成されている場合の実施形態である。この場合は、シート状の連結部材7の一端を補強材4Sの突出片4bに、他端を補強材4Tの突出片4bに固着させることで、補強材4Sと補強材4Tとを連結部材7で連結させることができる。連結部材7は、接着剤、ビス、釘などを使用して突出片4bに固着させることができる。
図3(c)のように、連結部材7は、補強材4と一体的に形成されていてもよい。図3(c)の形態では、薄板状の連結部材7が、補強材4Sの突出片4bの先端の一部分から突出するように形成されており、突出片4bと連結部材7とが一体となっている。このように、連結部材7が突出片4bと一体化されている場合、連結部材7に相当する部位は、連結部71として形成されているということができる。上記のような連結部材7が一体化されている補強材4は、金属板等の切断加工や屈曲加工により形成することができる。連結部材7(連結部71)の先端は、他の補強材4(図3(c)では、補強材4T)の突出片4bの外面に接着剤等で固着させることが可能であり、これにより補強材4Sと補強材4Tとを連結させることができる。あるいは、連結部71の先端部分を、補強材4の外側方向に略垂直に屈曲加工させて、その屈曲させた部分を他の補強材4の突出片4bに差し込むことによっても、補強材4,4どうしを連結させることができる。この場合、あらかじめ他の補強材4の突出片4bには、前記屈曲させた部分を差し込むことができるような切り込み口を形成させておけばよい。
尚、薄板状の連結部材7を別部材として形成させて、補強材4に設ける構成であっても構わない。この場合、図3(b)のシート状の連結部材7と同様の方法で補強材4に固着させることができる。
図4は、連結部材7の他例を示している。図4(a)、(b)に示されているように、連結部材7は、一対の線状部材7a,7aと、両者を連結するための連結片7bを有して構成されるものであってもよい。この場合、一対の線状部材7a,7aのうちの一方は、金属外皮1側の補強材4の突出片4bに固着され、他方の線状部材7aは、金属外皮2側の補強材4の突出片4bに固着される。そして、一対の線状部材7a,7aは、連結片7bによって連結され、これによって、補強材4,4どうしが連結部材7で連結されるようになる。
図4(b)における連結片7bは、円筒状に形成された部材であって、連結片7bの一端は、徐々に円筒の径が小さくなるように形成されており、また、連結片7bの他端には、線状部材7aの先端部分が差し込まれるための空洞7cが形成されている。連結片7bは、一対の線状部材7a,7aのうちのいずれか一方(図4(b)では、補強材4Tに固着されている線状部材7a)に取り付けられて一体化されている。連結片7bに線状部材7aを固着させるには、例えば、接着剤などで一体化させてもよいし、線状部材7aを連結片7bに結束させて固着するようにしてもよい。連結片7bは、線状部材7aの突出片4bに固着されている端部とは逆側の端部に設けられる。
図4(a)、(b)に示すように、一方の補強材4(補強材4T)の突出片4bには、連結片7bを有する線状部材7aが取り付けられている。そして、他方の補強材4(補強材4S)に取り付けられている線状部材7aの先端が、連結片7bの空洞7c部分に差し込まれた状態となっており、これによって、図4(b)のように、一方の補強材4と他方の補強材4とが連結部材7によって連結される。尚、図4(a)では、線状部材7aの先端が、連結片7bの空洞7c部分に差し込まれるものであることをわかりやすくするために、補強材4どうしを連結させていない状態で示している。実際には、連結片7bを有していない補強材4を図4(a)のブロック矢印の方向側に移動させて、図4(b)のように、連結片7bに線状部材7aの先端が差し込まれることで、補強材4,4どうしが連結される。また、図4(a)、(b)はいずれも芯材3や金属外皮1,2等は省略して示している。
図5(a)は、連結部材7の他例を示している。この形態の連結部材7は、棒状に形成されており、連結部材7の両端部には、複数の係合部75を有している。このような係合部75を有する連結部材7を用いる場合は、図5(b)に示す形態の補強材4を使用する。この補強材4には、突出片4bの一部分が切り起こし加工されて、複数の引っ掛け部45がアーチ状に形成されている。引っ掛け部45は突出片4bの先端側から固着部4a側にかけて複数形成されており、補強材4の内側に突起するように切り起こされた引っ掛け部45と、補強材4の外側に突起するように切り起こされた引っ掛け部45とが交互に形成されている。このようにアーチ状の引っ掛け部45が複数形成されることで、突出片4bの突出方向に沿って、上記係合部75を有する連結部材7を挿入するための開口部45aが形成されることになる。引っ掛け部45は、補強材4をロール成型するときに同時に凹凸加工することで形成させることができる。
連結部材7は上記の引っ掛け部45が形成されている突出片4bに取り付けられるが、この際、上記開口部45aに連結部材7を挿入することで取り付けることができ、複数ある各々の係合部75が各々の引っ掛け部45に引っ掛かるように係止される。そして、図5(c)のように、連結部材7の一端にある係合部75が一つの補強材4の突出片4bに結合し、連結部材7の他端にある係合部75が他の補強材4の突出片4bに結合することで、補強材4どうしが連結部材7で連結される。尚、図5(c)では芯材3や金属外皮1,2等は省略して示している。
上記説明した種々の連結部材7は、一つの突出片4bに複数設けてもよく、この場合、突出片4bの長手方向に沿って所定の間隔をあけながら設けるようにすればよい。このような構成に形成することで、対向する補強材4,4どうしの連結をより強固にすることができる。
断熱パネルAは、耐火材5を有していてもよく、この場合、本実施形態のように、断熱パネルAの四辺の周端部の略全長にわたって設けられる。このような耐火材5の断熱パネルAへの取り付けは、従来から知られている方法で行うことができる。
耐火材5は、芯材3よりも高い耐火性能を有するものであって、例えば、硫酸カルシウム2水和物を主成分とする石膏や珪酸カルシウムなどを用いて矩形板状に形成することができる。耐火材5の長手方向(縦寸法)の寸法は、断熱パネルAの長手方向の寸法と略同じであって、例えば、300〜10000mmにすることができ、また、耐火材5の幅寸法(断熱パネルAに設けた場合の前後方向の寸法)は断熱パネルAの厚み寸法と略同じであって、例えば、幅30〜150mmにすることができる。耐火材5の厚みは、例えば、5〜50mmとすることができる。また、耐火材5は市販の石膏ボードを所定の大きさに切断して形成させてもよい。
断熱パネルAの上端部U、下端部D及び両側端部の形状は特に限定されず、従来から知られている形状に形成され得る。本実施形態では、図1(b)に示すように、断熱パネルAの両側端部、すなわち、長手辺には、前突条部15及び後突条部25の2つの突起が形成されている。本形態では、前突条部15は、金属外皮1が長手辺側に折り曲げられると共に、これがさらに屈曲加工されることで形成されている。後突条部25は、金属外皮2が長手辺側に折り曲げられると共に、これがさらに屈曲加工されることで形成されている。
また、図1(c)に示すように断熱パネルAの上端部Uには上突条部12、下端部Dには下突条部14の突起がそれぞれ形成されている。上突条部12、下突条部14はいずれも、金属外皮1が曲げ加工されて形成されている。
本実施の形態の断熱パネルAは、二枚の金属外皮1,2の間に芯材3、補強材4、耐火材5を設けて、これらの各部材を一体化することにより形成することができる。以下、断熱パネルAの製作方法の一例を説明する。
まず、所定の形状に加工した補強材4S,4Tを準備し、これらの補強材4S,4Tに、芯材3の側端部分を嵌め込む(図2参照)。この場合、芯材3の前面又は後面と、補強材4の固着部4aの裏面とを接着すると共に芯材3の各側面に補強材4の各突出片4bを添わせるようにすれば、芯材3の略全長にわたって補強材4を取り付けることができる。
補強材4が図3(a)の形態の連結部材7で連結されるものである場合は、あらかじめ、一方の補強材4(例えば、補強材4S)の突出片4bに連結部材7を取り付けておく。そして、連結部材7を取り付けた補強材4を水平面上に載置させるが、このとき、補強材4Sが水平面側、芯材3が上側を向くように載置しておく。次いで、この隣側に芯材3を嵌め込んだ補強材4Tを既設の補強材4Sと平行、かつ、逆向きに、すなわち、芯材3が水平面側になるように既設の補強材4Sと平行に配置すると共に、補強材4Sに取り付けられてある連結部材7を補強材4Tの突出片4bに固着させるようにする。連結部材7と突出片4bとの固着は接着剤などを使用すればよい。
上記のような配置のさせ方で、芯材3を嵌め込んだ補強材4S,4Tを交互に順次設けていくようにする。そして、目的とする断熱パネルAの幅長さに相当する分の長さになるまで、上記同様の手順で補強材4S,4Tを次々に並設させた後、両側から圧縮させて複数の補強材4S,4Tをより密着させるようにし、次いで、これを、あらかじめ所定形状に加工しておいた一方の金属外皮1,2いずれかの裏面側に固着させる。金属外皮1に固着させるのであれば、補強材4Sが金属外皮1側を向くようにする。この際、あらかじめ金属外皮1の裏面側には接着剤などを塗布しておけば上記固着が容易に行える。次いで、金属外皮1の裏面側四辺に、石膏等で形成された耐火材5を設けて芯材3の外周を囲むようにした後、他方の金属外皮2を金属外皮1と対向させるように設けて固着させれば、図1のような二枚の金属外皮1,2の間に芯材3が充填された断熱パネルAが得られる。
また、補強材4が図3(b)の形態のようにシート状の連結部材7で連結されるものである場合は、上述のように、芯材3を補強材4に嵌め込んだ後、一方の補強材4(例えば、補強材4S)の突出片4bに連結部材7を接着剤やビス等で等で取り付けておく。そして、水平面上に、補強材4Sが水平面側、芯材3が上側を向くように載置しておく。次いで、この隣側に芯材3を嵌め込んだ補強材4Tを既設の補強材4Sと平行、かつ、逆向きに、すなわち、芯材3が水平面側になるように既設の補強材4Sと平行に配置すると共に、補強材4Sに取り付けられてある連結部材7を補強材4Tの突出片4bに固着させるようにする。この際、補強材4Tの突出片4bにあらかじめ接着剤等を塗布しおけば、連結部材7が突出片4bに容易に固着される。後は上記同様の配置で水平面上に芯材3を嵌め込んだ補強材4を並べて、上述の手順に従えば断熱パネルAが得られる。
また、補強材4が図3(c)の形態のように、連結部材7と一体化されている場合、すなわち、補強材4が連結部71を有して形成されている場合は、連結部71を有する補強材4(ここでは補強材4Sとする)と、連結部71を有さない補強材4(ここでは補強材4Tとする)とを用意し、それぞれに芯材3を嵌め込む。次いで、水平面上に、補強材4Tが水平面側、芯材3が上側を向くように載置しておく。次いで、この隣側に芯材3を嵌め込んであり、かつ、連結部71を有する補強材4Sを既設の補強材4Tと平行、かつ、逆向きに、すなわち、芯材3が水平面側になるように既設の補強材4Tと平行に配置すると共に、補強材4Sに取り付けられてある連結部材7を補強材4Tの突出片4bに固着させるようにする。この際、補強材4Tの突出片4bにあらかじめ接着剤等を塗布しおけば、連結部材7が突出片4bに容易に固着される。上記のような配置のさせ方で、芯材3を嵌め込んだ補強材4S,4Tを交互に順次設けた後、両端から圧縮させる。その後は、上述の手順と同様の手順に従えば、断熱パネルAが得られる。
また、補強材4が図4の形態のように連結されるものである場合は、例えば、芯材3を嵌め込んだ補強材4Sに、連結片7bを有する線状部材7aを取り付けておき、この補強材4Sを金属外皮1の裏面側にあらかじめ固着させておく。次いで、その補強材4Sの隣側に、芯材3が嵌め込まれ、線状部材7aが取り付けられた補強材4Tを配置させるが、この際、補強材4Tの線状部材7aを連結片7bに差し込むように配置させる。すなわち、補強材4Tを図4(a)のブロック矢印の方向へ移動させることで、補強材4Tの線状部材7aが連結片7bに差し込まれるようにする。これによって、補強材4S,4Tが連結される。
上記のような配置のさせ方で、芯材3を嵌め込んだ補強材4S,4Tを交互に順次設けていき、目的とする断熱パネルAの幅長さに相当する分の長さになったところで、金属外皮2を補強材4T側に被せて固着させれば、断熱パネルAを得ることができる。
また、補強材4が図5(c)の形態のように連結されるものである場合は、あらかじめ補強材4(ここでは補強材4Sとする)の突出片4bに連結部材7を取り付ける。連結部材7を突出片4bに取り付けるにあたっては、係合部75で引っ掛け部45をその突出側に押し出すように挿入すればよい。これにより、連結部材7の係合部75が補強材4の引っ掛け部45に引っ掛かるように係止され、連結部材7が補強材4Sに取り付けられる。次いで、この補強材4Sに芯材3を嵌め込む。さらに、連結部材7を取り付けていない補強材4(ここでは補強材4T)を別途準備し、この補強材4Tにも別の芯材3を嵌め込んでおく。
そして、金属外皮2の裏面側に、上記のように芯材3を嵌め込んだ補強材4Tが水平面側、芯材3が上側を向くように載置しておく。次いで、その補強材4Tの隣側に、上記のように作製しておいた芯材3が嵌め込まれて連結部材7が取り付けられた補強材4Sを配置させる。この際、補強材4Sに取り付けられている連結部材7の係合部75が、補強材4Tの引っ掛け部45に係止するようにする。この場合も、係合部75で引っ掛け部45をその突出側に押し出すように挿入すればよい。これによって、補強材4S,4Tが連結部材7で連結される。上記のような手順で、芯材3を嵌め込んだ補強材4S,4Tを交互に連結させながら設けていき、目的とする断熱パネルAの幅長さに相当する分の長さになったところで、必要に応じて耐火材5を設け、その後、金属外皮2を補強材4S側に被せて固着させれば、断熱パネルAを得ることができる。
本実施形態の断熱パネルAでは、二枚の金属外皮1,2に補強材4が複数設けられており、金属外皮1側の補強材4Sと金属外皮2側の補強材4Tとが連結部材7で連結しているものである。そのため、例えば、断熱パネルAが外壁に設けられている場合において、負圧等が生じたとき、建物内側にある金属外皮1を引き剥がす力が作用してしまうが、連結部材7により補強材4S,4Tとが連結していることで、そのような引き剥がす力が作用したとしても、断熱パネルAが破損しにくくなる。さらに、二枚の金属外皮1,2間に充填されている芯材3(例えば、ロックウール)にかかる負荷も低減され、その結果、全体として断熱パネルAの強度が向上する。また、仮に断熱パネルAに大きな負圧が作用すれば、断熱パネルAの変形や歪などによって芯材3が破断したり損傷したりすることはあり得るが、その場合においても、連結部材7で補強材4S,4Tとが連結していることで、断熱パネルA自体の強度低下は少なくなる。従って、上記断熱パネルAによれば、強風などによっても破壊や損傷が起こりにくく、仮に芯材が破損したとしても、その強度低下を小さくすることができるので、耐久性に優れる外壁等を形成することができる。
図6には、他の実施形態の断熱パネルAにおける芯材3及び補強材4部分の概略図を示している。上述の断熱パネルAでは、芯材3は補強材4に嵌め込まれているだけであったが、この形態のように、補強材4に嵌め込まれている芯材3は、線状又は糸状に形成されている緊縛部材9で縛り付けられていてもよい。本形態では、図2と同様に芯材3が補強材4に嵌め込まれているが、さらに、緊縛部材9が芯材3及び補強材4の外周面に沿って、らせん状に巻き回すように設けられており、長尺方向の一端から他端にまで至っている。芯材3及び補強材4の外周面とは、補強材4とこの補強材4に嵌め込まれている芯材3を一体としてみたときに、芯材3の固着部4aに接している面に対向する面と、この面に隣り合う両側面と、補強材4の外面(芯材3が配置されている面と逆側の面)のことをいう。
緊縛部材9は、上述の連結部材7と同様の部材、すなわち、金属製のワイヤー、針金、ピアノ線などの材料や、炭素繊維、アラミド繊維、高い強度と耐火性を有するスーパー繊維と称される合成繊維やその他の合成繊維等の繊維材料によって線状又は糸状に形成された部材が使用される。これらの中でも、引っ張り強度が高く、ヒートブリッジの影響が小さいという観点から、緊縛部材9は上記のような繊維材料で形成されていることが好ましい。
緊縛部材9を設けるにあたっては、まず、あらかじめ図3のように補強材4,4どうしを連結部材7で連結させておき、次いで、芯材3を補強材4に嵌め込み、その後、緊縛部材9をらせん状に巻き回すように縛りつければよい。緊縛部材9の両側端は、補強材4に固着させてもよいし、芯材3が嵌め込まれた補強材4に何重にも巻き回すようにして括り付けてもよい。緊縛部材9は、芯材3及び補強材4の長尺方向全長に至るように設けられていることが好ましい。
緊縛部材9を上記のように取り付けた後は、図1の断熱パネルAを製作する手順と同様の手順で、断熱パネルAを製作することができる。
このような断熱パネルAは、緊縛部材9が設けられていることで芯材3が補強材4により強固に取り付けられる。そのため、このような断熱パネルAを施工させた外壁においては、負圧がかかったとしても、芯材3にかかる荷重負担がより低減されるので、より耐久性に優れる外壁を形成させることが可能になる。
図7は、芯材3が補強材4に緊縛部材9で縛り付けられた構成を有する断熱パネルAの他例を示している。この形態のように、緊縛部材9で芯材3を補強材4に縛り付けるようにする構成を有する断熱パネルAにあっては、補強材4Tと4Sとは連結部材7で連結されていなくてもよい。連結部材7で連結させなくとも、緊縛部材9によって、芯材3が補強材4に強く保持されているので、芯材3にかかる負荷が小さくなっているからである。図7形態の断熱パネルAを製作するにあたっては、次のように行うことができる。まず、補強材4S及び補強材4Tに芯材3を図2に示すように嵌め込み、この後、炭素繊維等の緊縛部材9で、芯材3を補強材4(4S,4T)にらせん状に巻き回すように縛り付ける。次いで、金属外皮1を用意して、この金属外皮1の裏面となる面に、緊縛部材9で芯材3を縛り付けてある補強材4Sの固着部4aを固着させる。そして、その隣側に、緊縛部材9で芯材3を縛り付けてある補強材4Tを、補強材4Sとは逆向きになるように配置させて固着させる。すなわち、補強材4Tに嵌め込まれている芯材3側が金属外皮1を向くように配置させ、その芯材3の先端と金属外皮1とを固着させればよい。このように、芯材3側が嵌め込まれた補強材4S及び補強材4Tを交互に配置させて固着させた後、補強材4T側に金属外皮2を固着させ、側端部等を曲げ加工処理する等によって、断熱パネルAを得ることができる。
このようにして得られた断熱パネルAは、補強材4Sの突出片4bと、これと対向する補強材4Tの突出片4bとが連結部材7で連結されていないこと以外は、図1の断熱パネルAと同様に構成されている。すなわち、図7(a)に示すように、断熱パネルAの外観形状は図1の断熱パネルAと同様であり、断面形状も図7(b)、(c)に示すように、連結部材7を有していない点を除いては、図1の断熱パネルAの断面形状と同じである。尚、図7(b)、(c)はそれぞれ、(a)におけるA−A線断面図、B−B線断面図である。
次に、断熱パネルAの施工例について説明する。断熱パネルAは外壁、屋根等の外装材として適用できるものであるが、ここでは、断熱パネルAを外壁材として使用する場合についての施工を説明する。断熱パネルAには、外壁に取り付け施工させるための各種の部材が取り付けられる。
図8は、上記の各種の部材が取り付けられてある断熱パネルAの裏面側からの斜視図、すなわち、金属外皮2側からの斜視図を示している。この断熱パネルAは、図1の断熱パネルAと同様に構成されている。すなわち、補強材4が金属外皮2に複数設けられており、図1同様、補強材4の長手方向が、断熱パネルAの長手方向、すなわち、上端部Uから下端部Dに向かう方向に沿うように配置されている。
図8に示すように、断熱パネルAの裏面側には、その上部(上端部U側)及び下部(下端部D側)の二箇所のそれぞれに複数の部材で構成される取付具6が設けられる。以下では、上部に設ける取付具6を取付具6A、下部に設ける取付具6を取付具6Bとする。取付具6A及び取付具6Bの構成及び断熱パネルAへの取り付け手順について、図8〜図11によって説明する。
取付具6Aは、補強プレート36と、取付プレート38とを有する。補強プレート36は、図9(a)、(b)に示すように、平坦状に形成されている補強平板部36aと、この補強平板部36aの両端に形成される断面略U字状の溝部36b,36bを有している。尚、図9(a)は補強プレート36の側面図、図9(b)は補強プレート36の平面図を示している。
図9(b)に示すように、補強プレート36は、平面視長方形に形成された部材であり、幅方向に長く形成されている。尚、補強プレート36の幅方向とは、補強平板部36aの面上において一対の溝部36b,36bを結ぶ方向と直交する方向をいう。図9(a)短手側の側面図であるが、この図からわかるように、補強プレート36の断面形状は、幅方向の全長にわたって一定に形成されている。
溝部36bは、平坦状の補強固着片36cと、この補強固着片36cの両端から補強固着片36cに対して略垂直に突出する補強支持片36d,36dを有する。図9(a)からもわかるように、一対の溝部36b,36bの補強固着片36cはいずれも同一平面上に形成されており、また、補強固着片36cは、補強平板部36aと平行に形成されている。
補強平板部36aには、複数の貫通孔36eとねじ孔36fとが形成されている。貫通孔36e、ねじ孔36fはそれぞれ、後述の固定具37、固定具39を打ち込むための孔として形成されている。本形態では、貫通孔36eの個数は4個であり、これらは補強プレート36の幅方向と平行になるように一列に並べて設けられている。一方、ねじ孔36fの個数は3個であり、これらも補強プレート36の幅方向と平行になるように一列に並べて設けられている。もちろん、貫通孔36eとねじ孔36fの個数はこれらに限定されるものではなく、補強プレート36や断熱パネルAの大きさに応じて適宜決められるものである。
図10(a)〜(c)には、取付プレート38を示している。取付プレート38は、平坦状に形成されている取付平板部38aと、この取付平板部38aの両端に形成される断面略U字状の取付溝部38b,38bを有しており、平面視長方形に形成された部材である。取付溝部38bは、平坦状の取付固着片38cと、この取付固着片38cの両端から取付固着片38cに対して略垂直に突出する取付支持片38d,38dを有する。そして、図10(c)からもわかるように、取付プレート38の短手方向に沿った切断面は、補強プレート36の断面と同形状に形成されている。尚、図10(b)は、取付プレート38の長手側の側面図、図10(c)は、取付プレート38の短手側の側面図を示している。取付平板部38aには、貫通孔38eとプレート孔38fがそれぞれ1個ずつ形成されている。
取付具6Bは、補強プレート36と、係止部材40とを有する。取付具6Bにおける補強プレート36は、取付具6Aの補強プレート36と同様の形状のものを使用できる。ただし、取付具6Bにおける補強プレート36は、取付具6Aの補強プレート36のサイズと異なっていてもよく、また、補強平板部36aの幅方向と直交する方向の長さも両者で異なっていても構わない。
図11(a)〜(c)には、係止部材40を示している。係止部材40は、Z字状のクリップであって、断面略ハット状の結合部40aと、断面略ハット状の係止部40bと、結合部40aの下端と係止部40bの上端との間に形成された断面略ハット状の傾斜部40cとを備えて形成されている。図11(a)の平面図からわかるように、係止部材40は平面視略長方形に形成されている。この平面図では、係止部40bの方が結合部40aよりも平面に対して高い位置にある。尚、図11(b)は係止部材40の長手側からの側面図、(c)は、係止部材40を、係止部40bを下端、結合部40aを上端になるように平面上に配置した時の係止部材40の上面図となる。係止部材40の結合部40aには、ボルト等の固定具を設けるための貫通孔40fが形成されている。
上記の補強プレート36、取付プレート38、係止部材40はいずれも金属板等で形成させることができ、例えば、金属板を曲げ加工して所定の形状にすることができる。
図12及び図13にはそれぞれ、取付具6A及び取付具6Bを設けた断熱パネルAを示している。図12(a)は、断熱パネルAの上部付近の正面図、(b)は図12(a)におけるX−X断面図である。また、図13(a)は、断熱パネルAの下部付近の正面図、(b)は図13(a)におけるY−Y断面図である。
断熱パネルAに取付具6Aを取り付けるにあたっては、まず、補強プレート36を、その長手方向を断熱パネルAの幅方向(短手方向)と略平行にして、裏面板である金属外皮2の外面(表面)の上部に配置させる。この際、図12(a)に示すように、補強プレート36の両端の溝部36bの下面、すなわち、補強固着片36cが、金属外皮2の面上に載置されるようにする(図8も参照)。そして、貫通孔36eを通して固定具37を金属外皮2及び断熱パネルA内の補強材4の固着部4aに打ち込むことによって、図12(b)に示すように、断熱パネルAに補強プレート36が取り付けられる。尚、金属外皮2の上部には、あらかじめ固定具37が挿通するための孔が形成されていてもよい。この場合、補強プレート36を配置させるにあたっては、金属外皮2に形成されている孔と、貫通孔36eとを重ね合わせるようにすればよい。
上記固定具37は、種々のボルト等を使用することが可能であるが、特に、ワンサイドボルトと称されるボルトであることが好ましく、この場合、より強固に取付プレート38が断熱パネルAに取り付けられる。
上記のように補強プレート36を金属外皮2に取り付けた後、その補強プレート36上に、図12に示すように、一対の取付プレート38を横方向に並べて取り付ける。具体的には、取付プレート38の長手方向が断熱パネルAの上下方向と略平行になるように、補強プレート36の外面(表面)に取付プレート38を配置させる。このとき、補強プレート36のねじ孔36fと、取付プレート38の貫通孔38eとが重なるようにすれば位置合わせが容易である。そして、ボルト等の固定具39を貫通孔38eから打ち込んでねじ孔36fを貫通させ、固定具39が金属外皮2及び断熱パネルA内の補強材4の固着部4aに打ち込まれるようにすればよい。これによって、図12(a)、(b)に示すように取付プレート38が補強プレート36を介して断熱パネルAに取り付けられる。上記のようにして取付プレート38を設けると、取付プレート38の上部は断熱パネルAの上端部Uよりも上側に突出するようになる。尚、固定具39を打ち込むに際しては、図12(a)に示すように、あらかじめ角座金39aを設けて、固定具39の頭部と補強平板部36aに角座金39aを介在させるようにしてもよい。
一方、断熱パネルAに取付具6Bを取り付けるにあたっては、まず、図13(a)に示すように、補強プレート36を、その長手方向を断熱パネルAの幅方向(短手方向)と略平行にして、裏面板である金属外皮2の外面(表面)の下部に配置させる。そして、貫通孔36eを通してワンサイドボルト等の固定具37を金属外皮2及び断熱パネルB内の補強材4の固着部4aに打ち込むことによって、断熱パネルAに補強プレート36が取り付けられる。尚、金属外皮2上には、あらかじめ固定具37が挿通するための孔が形成されていてもよい。この場合、補強プレート36を配置させるにあたっては、金属外皮2に形成されている孔と、貫通孔36eとを重ね合わせるようにすればよい。
上記のように補強プレート36を金属外皮2に取り付けた後、その補強プレート36上に一対の係止部材40を断熱パネルAの横方向に並べて取り付ける。具体的には、係止部材40の長手方向が断熱パネルAの上下方向と略平行になるように、かつ、係止部40bが、下端部D側に位置するように補強プレート36の外面(表面)に係止部材40を配置させる。このとき、補強プレート36のねじ孔36fと、係止部材40の貫通孔40fとが重なるようにすればよい。そして、ボルト等の固定具39を貫通孔40fから打ち込んでねじ孔36f及び金属外皮2貫通させ、芯材3に固定具39が打ち込まれるようにすればよい。これによって、図13(a)、(b)に示すように、係止部材40が補強プレート36を介して断熱パネルAに取り付けられる。係止部材40に設けられる固定具39は、補強材4Tが設けられていない部分に打ち込まれている。従って、係止部材40は、金属外皮2を介して、金属外皮2の裏面に取り付けられている補強材4(4T)と対向しない位置に配置されている。尚、固定具39を打ち込むに際しては、あらかじめ角座金42を設けておき、図13(a)に示すように、固定具39の頭部と補強平板部36aに角座金42を介在させてもよい。上記のように係止部材40が設けられると、係止部材40の係止部40bは、傾斜部40cの傾斜と補強プレート36の厚みにより、金属外皮2の表面から離れた位置に配設される。
図12(b)や図13(b)に示すように、断熱パネルAの側端部には、パッキン50が設けられてもよい。この場合、断熱パネルAを外壁に施工した時に、幅方向で隣接する断熱パネルAどうしの水密性等を向上させることができる。また、図8に示すように、断熱パネルAの一方又は両方の側端面には、その全長にわたって角棒状に形成された目地部材41があらかじめ取り付けられていてもよい。尚、目地部材41は、後述(図13)の断熱パネルAの施工の際に取り付けるようにしてもよい。このような、目地部材41は、従来から断熱パネルAに適用されているような部材が使用される。尚、図13には、取付具6A及び取付具6B以外に、後述する自重受け部材35や自重受け用角座金43が図示されているが、これらは壁下地に取り付けられている部材であり、詳細については後述する。
上記のように、取付具6A及び取付具6Bが設けられた断熱パネルAは、例えば、建物の基礎31や二階以上の階の床部32などで構成され、スラブコンクリート等で形成され壁下地に取り付けられて施工される。以下、基礎31や二階以上の階の床部32に断熱パネルAを施工させる手順を図14及び図15によって説明する。
図14(a)は、建物の基礎31の一部を示す斜視図である。この形態における基礎31は、その上面に支持凸部31aと凹段部31bとが基礎31の長手方向の略全長にわたって形成されている。支持凸部31aは凹段部31bよりも屋内側に形成されており、支持凸部31aの上面は凹段部31bよりも上側に位置している。
そして、基礎31には下地部材33と定規部材34とが取り付けられる。下地部材33は金物などであって、載置片33aと垂下片33bとで断面略L字状で長尺に形成されている。定規部材34は金物などであって、取付片34aと支持片34bとで断面略L字状で長尺に形成されている。尚、下地部材33と定規部材34は長尺物だけでなく、短尺物(ピース状物)であってもよい。
基礎31の支持凸部31aの屋内側の上側角部に下地部材33が全長にわたって取り付けられる。この場合、支持凸部31aの屋内側面に垂下片33bが取り付けられ、支持凸部31aの上面に載置片33aが取り付けられる。また、支持凸部31aに取り付けられた下地部材33の載置片33aに定規部材34が取り付けられる。この場合、定規部材34の取付片34aと載置片33aとが溶接又はボルト等の固定具で固定される。また、定規部材34の支持片34bが取付片34aよりも屋外側に位置するように定規部材34の向きが決められる。尚、下地部材33は基礎31の全長にわたって取り付ける必要はなく、必要な部分にのみ設けてもよい。また、短尺物の下地部材33を用いる場合は、複数個の下地部材33を所定の間隔で並べて基礎31に取り付けることができる。さらに、短尺物の定規部材34を用いる場合は、複数個の定規部材34を所定の間隔で並べて下地部材33に取り付けることができる。
一方、図14(b)は、建物の床部32の一部を示す斜視図である。この形態の床部32にあっては、その屋外側の上側角部に下地部材33が全長にわたって取り付けられる。この場合、床部32の屋外側面に垂下片33bが取り付けられ、床部32の上面に載置片33aが取り付けられる。また、床部32に取り付けられた下地部材33の載置片33aに定規部材34が取り付けられる。この場合、定規部材34の取付片34aと載置片33aとが溶接又はボルト等の固定具で固定される。また、定規部材34の支持片34bが取付片34aよりも屋外側に位置するように定規部材34の向きが決められる。
図14(a)、(b)に示すように、基礎31及び床部32に取り付けた定規部材34には、自重受け部材35が取り付けられる。
図14(c)〜(e)は、その自重受け部材35を示しており、図14(c)は、自重受け部材35の正面図、図14(d)は、自重受け部材35の側面図、図14(e)は、自重受け部材35の上面図(平面図)を示している。自重受け部材35の自重受け部材35は金物など形成される部材である。
図14(c)〜(e)からわかるように、自重受け部材35は、接合片35aと受け片35bとで断面略L字状で短寸部材(ピース部材)に形成されている。接合片35aは、平板状の接合平板部35cと、この両端に形成される断面略U字状の接合凸部35d,35dとを有している。接合凸部35dは接合平板部35cの両側端において、接合平板部35cの基部から突出するように形成されている。また、接合平板部35cの、受け片35bが形成されている端部と逆側の端部には、その一部が矩形状に欠けて形成されており、この欠けている矩形状の部分が切欠き部35eとして形成されている。一方、受け片35bは、平板状の基板35fと、この基板35fの両端に形成される断面L字状の脚部35g,35gとを有しており、図14(c)〜(e)からわかるように、全体として受け片35bは断面略ハット状に形成されている。
図14(a)、(b)に示すように、自重受け部材35は、定規部材34の支持片34bの屋外側面に、接合片35aの接合平板部35cを溶接等で固着することによって、定規部材34に取り付けられる。この場合、一対の接合凸部35dの下端部(受け片35b側の端部)が支持片34bの屋外側面に固着され、切欠き部35eが支持片34bの上端よりも上側に突出する。また、図14(a)に示すように、基礎31においては、受け片35bが凹段部31bの上面と定規部材34の下面との間に位置されており、図14(b)に示すように、床部32においては、脚部35gの上面が定規部材34の取付片34aの上面とほぼ同じ高さに位置されている。尚、受け片35bと取付片34aの高さの位置関係は、断熱パネルAの高さ方向の割り付けにより変化することがある。
図15は、図14(a)、(b)のような基礎31や床部32に断熱パネルAを施工させたときの、その施工状態の概略斜視図を示しており、例えば、建物の1階部分と2階部分の箇所に相当するものである。また、断熱パネルAの取付具6(6A,6B)が設けられている面、すなわち、断熱パネルAの金属外皮2側が建物の屋内側となる。このような施工構造は、以下のような手順で形成させることができる。
まず、基礎31に対しては、支持片34bが断熱パネルAの裏面板、すなわち、金属外皮2と、係止部材40の係止部40bとの間に差し込まれるように、断熱パネルAを配置する。また、断熱パネルAに設けられている一対の係止部材40,40の間に、上述のように定規部材34にあらかじめ取り付けておいた自重受け部材35の接合片35aを差し込むようにする。また、補強プレート36の屋内側面と接合片35aの屋外側面とを接触させる。
一方、床部32に対しては、まず、断熱パネルAの上端部Uから突出する一対の取付プレート38,38の屋内側面を定規部材34の支持片34bの屋外側面に接触させる。その後、支持片34bの屋内側から支持片34bと取付プレート38に設けたプレート孔38fとを貫通するようにボルト等を断熱パネルAの屋内側から打ち込み、支持片34bと取付プレート38とを結合させる。これによって、断熱パネルAの上端が床部32の定規部材34に取り付けられる。尚、支持片34bと取付プレート38とはボルトによる結合のみならず、例えば、溶接により接合するなどしてもよい。
次に、基礎31に設けた自重受け部材35に自重受け用角座金43を設ける。具体的には、図15(図13(a)、(b)も参照)に示すように、自重受け用角座金43が、一対の接合凸部35d,35dを架け渡しつつ切欠き部35eを跨ぐように、自重受け用角座金43を接合片35aの屋内側面に設ける。そして、この自重受け用角座金43の屋内側面から、固定具39を打ち込んで、自重受け用角座金43、切欠き部35eと、補強プレート36の貫通孔36e及び金属外皮2を貫通させ、断熱パネルA内の芯材3に固定具39が打ち込まれるようにすればよい。これによって、自重受け部材35の接合片35aと断熱パネルAの金属外皮2や補強材4及び補強プレート36とが結合され、断熱パネルAの下端が基礎31の定規部材34に取り付けられる。上記のように断熱パネルAの下端が基礎31の定規部材34に取り付けられた状態における断熱パネルAの下端部については、図13にも図示している。この図かわらもわかるように、自重受け部材35に設けられる固定具39は、補強材4Tが設けられていない部分に打ち込まれている。従って、自重受け部材35は、金属外皮2を介して補強材4(4T)と対向しない位置に配置されている。また、自重受け部材35は、二つの係止部材40,40の間に配置されて補強プレート36に固着されている。
尚、上記のようにして、基礎31や床部32等の壁下地に断熱パネルAが取り付けられると、断熱パネルAの上端面よりも上側に、床部32に設けた自重受け部材35の受け片35bが位置することになる。断熱パネルAの上端面と床部32に設けた自重受け部材35の受け片35bとの高さの位置関係は、断熱パネルAの高さ方向の割り付けにより変化することがある。また、床部32に設けた自重受け部材35は、床部32の定規部材34に取り付けた一対の取付プレート38,38の間に位置することになる。
また、図15に示すように、断熱パネルAの側端や上下端部には、目地部材41を配設させる。このようにして一枚の断熱パネルAを壁下地に取り付けることができる。
次いで、上記と同様にして断熱パネルAを基礎31及び床部32に固定しながら、壁の横方向に複数枚の断熱パネルAを順次並設していくことによって、一階部分の外壁を形成することができる。ここで、断熱パネルAの下方の凹段部31bにはフラッシング(水切り)が全長にわたって設けられてもよい。フラッシングの下面と凹段部31bとの間にはモルタルなどが充填されてもよい。
また、二階以上の階(中間部分)の外壁も上記と同様にして断熱パネルAを床部32に固定しながら、横方向に複数枚の断熱パネルAを順次並設していくことによって、二階以上部分の外壁を形成することができる。この場合、断熱パネルAは上下に隣り合う階に架け渡すようにして配設される。断熱パネルAの下端を下階の床部32に固定するにあたっては、基礎31に対する場合と同様に行うことができる。
次に、床部32に設けた定規部材34の自重受け部材35の受け片35bの屋内側面に角座金42を設け、この角座金42の屋内側面から、角座金42の挿入孔と、補強プレート36の貫通孔36eと、金属外皮2と、断熱パネルA内の補強材4の固着部4aとを貫通するように固定具37を打ち込む。これより、自重受け部材35の接合片35aと断熱パネルAの金属外皮2や補強材4及び補強プレート36とを結合し、断熱パネルAの下端部を床部32に設けた定規部材34に取り付けることができる。尚、断熱パネルAの上端部は、二階以上の階においても図15等に示す場合と同様にして上階の床部32に固定することができる。尚、この外壁において、隣り合う断熱パネルA,Aどうしの継ぎ目部分(目地部分)については、従来から採用されている構成を適用することが可能である。
上記のように外壁に設けられた断熱パネルAにあっては、補強材4及び金属外皮2と補強プレート36とを固定具37で連結するので、金属外皮2のみに補強プレート36を固定する場合に比べて、補強プレート36の取り付け強度を大きくすることができる。従って、芯材3や断熱パネルAを補強するための補強材4を利用して断熱パネルAへの補強プレート36の取り付け強度を高め、さらに、断熱パネルAの壁下地の取り付け強度を向上させることができる。しかも、補強プレート36が複数の補強材4にわたって取り付けられ、複数の補強材4が補強プレート36で連結されるので、補強材4にかかる荷重を分散して負担することができ、荷重集中をなくして断熱パネルAの破損等が発生しにくくなるものである。
特に、断熱パネルAに負圧がかかると、係止部材40付近の芯材3と金属外皮2との剥離が生じやすいものであるが、図1の断熱パネルAのように連結部材7で連結された補強材4が設けられていることで、そのような剥離が起こりにくくなる。
断熱パネルAを施工するにあたって、取付具6を断熱パネルAに設けると、それによって断熱パネルA自体が補強されることになる。そのため、断熱パネルAが取付具6を有している場合は、最も負荷がかかりやすい箇所である係止部材40付近のみに連結部材7が設けられていれば、断熱パネルAの強度としては十分なものとなる。例えば、係止部材40が連結している芯材3に隣接している補強材4と、その芯材3が嵌め込まれている補強材4とが連結部材7で連結されていれば、その他の補強材4には連結部材7が設けられていなくても、断熱パネルAの破損等は起こりにくい。
尚、上記の施工例において使用される取付具6の補強プレート36、取付プレート38、係止部材40(図9〜11)は使用可能な形態の一例を示したものであって、もちろん、これらの形態の部材に限定されるものではい。すなわち、サンドイッチパネルのような断熱パネルAを外壁等に施工させる際に、従来から使用されているような取付金具を、本発明の断熱パネルAに対しても適用できるものである。例えば、補強プレート36、取付プレート38は、図9や図10の形態の部材に限らず、例えば、平板短冊状に形成されたもの(すなわち、図9の補強平板部36aや図10の取付平板部38aのみで構成されるような部材)であっても構わない。また、係止部材40は、「Zファスナー」の名称で知られるような公知の部材を使用しても構わない。
また、上記外壁の施工では、図1の断熱パネルAを例に説明したが、もちろん、図7の形態の断熱パネルAにあっても同様の手順で外壁を施工することができる。