JP6437063B2 - プリプレグシート - Google Patents
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Description
一般的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルシート、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィン等のポリオレフィンシート、脂肪族系ポリイミド等のポリイミドシートといったものが透明樹脂シートとして検討が進められている。しかしながら、これらはいずれも有機物に特有の柔軟性には優れた特性を有するものの、耐熱性、寸法安定性、ガス透過性等の問題から、実質的にその用途は制限されている。
さらに、硬化後の硬化性樹脂(a)とガラスクロス(b)の光学的屈折率の差が、0.005以下であることを特徴とする上記積層ガラスシートに関する。
さらに、硬化性樹脂(a)がエポキシ系樹脂(a−1)を含んでなることを特徴とする上記積層ガラスシートに関する。
さらに、エポキシ系樹脂(a−1)が、分子中に脂肪族環状構造を有することを特徴とする上記積層ガラスシートに関する。
さらに、硬化性樹脂(a)がエポキシ系樹脂(a−1)とカルボン酸系硬化剤(a−2)からなることを特徴とする上記積層ガラスシートに関する。
さらに、カルボン酸系硬化剤(a−2)が下記一般式で示されるカルボン酸であることを特徴とする上記積層ガラスシートに関する。
さらに、積層ガラスシートの構成が、薄膜ガラス(A)をコア材とし、その両面をプリプレグ(B)で構成する上記積層ガラスシートに関する。
さらに、積層ガラスシートの構成が、プリプレグシート(B)をコア材とし、その両面を薄膜ガラス(A)で構成する上記積層ガラスシートに関する。
さらに、プリプレグシート(B)と薄膜ガラス(A)を所望の構成方法に脱泡、加圧下、加熱にて硬化させることを特徴とする、上記積層ガラスシートの製造方法に関する。
そのため、特に液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ等の表示素子、太陽電池等の光電変換素子、各種センサーなどに用いる基板材料に適している。
さらには液晶パネル等の表示体上で動作するタッチパネル等にも好適に用いることが出来る。
これらガラスの種別、及び製法は、求められる強靭性やコスト等により適宜選択されるものであり、特に限定は無く一般のものが使用できる。
少なくとも、硬化反応が完結していない状態、即ち完全未硬化、もしくは半硬化の状態として使用する。
なお、本発明において、硬化性樹脂(a)は、樹脂単独、または樹脂とその硬化剤もしくはこれと他の任意成分を含む組成物を含むが、以下において説明の便宜上、硬化性樹脂(a)と記載する。
例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、(イソ)シアネート樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ビニル樹脂、アミド樹脂等として総称されるものが一般的に該当し、これらはいずれも使用することができる。
具体的には例えば、シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物等が挙げられる。
脂肪族環状構造を持たないエポキシ樹脂等としては、ヘキサンジグリシジルエーテル等の直鎖または分岐アルコールから誘導されるグリシジルエーテル類が挙げられる。
これらのうち、脂肪族環状構造を有するエポキシ樹脂は、比較的耐熱性も高く好適に用いることが出来る。
後述するが、中庸の特性を有するE−ガラスからなるガラスクロス(b)は比較的光学的屈折率が高い。したがって、これを用いた場合には、重量比において、芳香族型エポキシ樹脂/脂肪族型エポキシ樹脂で示される重量比率は20/80〜80/20が好適である。この範囲においては、芳香族型エポキシが有する耐熱性や強靭性と脂肪族型エポキシ樹脂が有する耐光性等の特性をバランスよく発揮させることが出来る。
エポキシ樹脂(a−1)は、高い耐熱性を有している一方、硬化剤を用いることなく硬化させたものは脆弱であり柔軟性に欠ける。したがって、本発明の積層ガラスシートの特徴を鑑みれば、硬化剤を併用することが好ましい。
ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物等のその他飽和酸無水物類、
アジピン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸等の脂肪族カルボン酸類、
及び、それらイミダゾール類とフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、マレイン酸、蓚酸等の多価カルボン酸との塩類、
ジシアンジアミド等のアミド類、
1,8−ジアザ−ビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7等のジアザ化合物及びそれらのテトラフェニルボレート、フェノールノボラック等の塩類、前記多価カルボン酸類、又はホスフィン酸類との塩類、
テトラブチルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムブロマイド等のアンモニウム塩類、
トリフェニルホスフィン、トリ(トルイル)ホスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のホスフィン類やホスホニウム化合物類、
2,4,6−トリスアミノメチルフェノール等のフェノール類、
オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸ジルコニウム、オクチル酸ニッケル、ナフテン酸コバルト等の有機金属化合物等が挙げられる。
さらに、硬化促進剤をマイクロカプセルにしたマイクロカプセル型硬化促進剤等が挙げられる。
これらは、いずれも公知一般の開始剤を使用することが出来る。
しかし、得られる樹脂の耐熱性や寸法安定性、強靭性等、本発明の積層ガラスシートの特徴を考慮すると熱を用いることが好ましい。
これらの代表的な例として、ヒンダードアミン類、リン系類が挙げられる。
コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物(例えばチヌビン111FDL、チバジャパン製の成分)、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕(例えばチヌビン111FDL、チバジャパン製の成分)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート(例えばチヌビン144、チバジャパン製)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(例えばチヌビン292、チバジャパン製の成分)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(例えばチヌビン292、チバジャパン製の成分)、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(例えばチヌビン123、チバジャパン製の成分)、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等が挙げられる。
また、また樹脂との密着性や表面張力を制御するためのガラス繊維はシランカップリング剤により処理してあるものも好適に用いることが出来る。
また、ガラスが表面となる構成の場合においても、ガラスへの傷つき防止を目的に、保護シートを用いることも好適である。
さらには液晶パネル等の表示体上で動作するタッチパネル等にも好適に用いることが出来る。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらトリシクロデカンジメタノール36部、H1 195部、H−TMAn 69部を加え、40℃で3時間反応後、70℃で1時間加熱撹拌を行い、無色の液状樹脂である多価カルボン酸(A)とH1の混合物を300部得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)により反応終了を確認した。さらに溶剤として2−ブタノンを固形分として70重量%となるように(128部)添加し溶液とした。
合成例1で得たカルボン酸系硬化剤(a−2)とH1の混合物39.9部、成分(B)としてEHPE−3150(ダイセル製、エポキシ当量181g/eq)を10.3部、成分(C)としてエポキシ樹脂NC−600016.4部、NC−3000(日本化薬製:ビフェニル構造多官能エポキシ樹脂、エポキシ当量275g/eq)12.3部、成分(D)としてJER−828(三菱化学製:液状ビスフェノールAエポキシ樹脂、エポキシ当量185)を5.2部、YD−012(東都化成製:固形ビスフェノールAエポキシ樹脂、エポキシ当量670)を15.9部、その他の成分としてオクタン酸亜鉛0.3部、添加剤であるアデカスタブ260(ADEKA製:リン系酸化防止剤)0.2部、ビス(1−ウンデカンオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カーボネート0.2部、希釈溶剤であるMEK43.2部を、70℃に加温、混合し、本発明のエポキシ樹脂組成物の固形分が70質量%であるMEK希釈液を得た。
さらに得られたエポキシ樹脂組成物を、E−ガラスからなるガラスクロス(IPCスペック106相当)に含浸しその後溶剤を50℃のオーブンで10分間乾燥し厚さ55マイクロメートルのプリプレグシート(B)を得た。
DSC(示差熱走査熱量計)による、反応熱量からプリプレグシートの反応率を求めたところ、0.24であった。
150℃に予熱した真空熱板プレス上に、保護クッションシートとしてTPXシート、積層ガラスシートを構成する厚さ50マイクロメートルの薄膜ガラス(A)、実施例1にて調製したプリプレグシート、さらに上記と同じ薄膜ガラス(A)、そして同様の保護クッションシートとしてTPXシートを乗せ、減圧、熱安定化させた後、加圧し60分間保持した。ゆっくり(3時間程度)冷却した後、シートを取り出し、積層ガラスシートを得た。
得られた積層ガラスシートは無色透明であり、反りも無かった。
150℃に予熱した真空熱板プレス上に、保護クッションシートとして剥離加工を施したポリエステルシート、積層ガラスシートを構成する実施例1にて調製したプリプレグシート(B)、厚さ50マイクロメートルの薄膜ガラス(A)、さらに上記と同じプリプレグシート(B)、そして同様の保護クッションシートとしてポリエステルシートシートを乗せ、減圧、熱安定化させた後、加圧し60分間保持した。ゆっくり(3時間程度)冷却した後、シートを取り出し、積層ガラスシートを得た。
得られた積層ガラスシートは無色透明であり、反りも無かった。
厚さ100マイクロメートルの薄膜ガラス(A)に、ラミネーターを用いて光学用粘着層(日東電工製 Luciacs CS9621T、粘着層厚25マイクロメートル)、つづいて、ポリエチレンテレフタレートフイルム(日東紡製 コスモシャインA4300 厚さ50マイクロメートル)を貼り合せ、さらにポリエチレンテレフタレートフイルム上に、同様の光学用粘着層、さらに薄膜ガラスを貼り合せ、その他積層ガラスシートを作成した。
プリプレグシート(B)を、薄膜ガラスの代わりに剥離処理をしたポリエステルシートではさみ、実施例2と同条件で減圧、熱安定化、加圧、冷却した。硬化終了後、剥離処理をしたPETシートを剥がしてプリプレグシート単独の硬化物を得た。
実施例2、または比較例1〜2において得られたシートを150℃のホットプレート上にて30分間加熱し、その後冷却した。
冷却後、シートの反りを目視で確認した。
触針式表面粗さ測定装置(東京精密 サーフコム)により表面粗さの測定を行った。
得られたシートを指で曲げて、柔軟性の有無を確認した。
○:柔軟性を有する。△:シートを曲げることが出来る。×:曲げることが出来ず折れる。
実施例 ガラス積層シート 反りの有無 表面粗さ(Ra) 柔軟性
実施例3−1 実施例2−1 反り無し 1nm以下 △
実施例3−2 実施例2−2 反り無し 15nm ○
比較例3−1 比較例1 反り有り 1nm以下 ×
比較例3−2 比較例2 反り無し 220nm ○
比較例2で調製したプリプレグシート単独での硬化シートの光学的屈折率を、プリズムカップラー型屈折率測定装置を用いて測定した結果、1.561(633nm)であった。
これは、実施例2で作成した積層ガラスシートに用いたプリプレグシートの硬化後の光学的屈折率と同値であると考えられる。実施例1、及び2で使用したE−ガラスの屈折率が1.561であることから、光学的屈折率の差異は0.000である。
この積層ガラスシートは、これらの特性を生かしてディスプレイ等の表示素子や照明用途、太陽電池等の光電変換素子に好適に使用できる。この他にも、軽量で割れにくいガラスとして、この他の用途、例えば運輸機器、建材等の窓材としても有効に利用できる可能性を有している。
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