本発明における薄膜ガラス(A)とはガラスフイルムとも称され、厚さを薄くすることで樹脂シートのような柔軟性を付与したものである。特に本発明においては厚さ200マイクロメートル以下であり、20〜120マイクロメートル、特には30〜80マイクロメートルが好ましい。これよりも厚い場合は、柔軟性が課題となり、この範囲よりも薄い場合は、折損等により取り扱いが難しい。
これらガラスの種別、及び製法は、求められる強靭性やコスト等により適宜選択されるものであり、特に限定は無く一般のものが使用できる。
本発明で使用されるプリプレグシートとは、硬化性樹脂(a)をガラスクロス(b)に含浸させ、シート状にしたものを指す。一般的には、硬化性樹脂(a)は、液状の硬化性樹脂であればそのまま、高粘度、または固形の硬化性樹脂の場合は溶剤等に希釈し溶液としたものを用意し、その中にガラスクロス(b)を浸漬し、溶剤を揮発乾燥させることで得ることができる。
少なくとも、硬化反応が完結していない状態、即ち完全未硬化、もしくは半硬化の状態として使用する。
この際、好ましい反応率(即ち、プリプレグシートの反応量/硬化反応が完了した場合の反応量)で示される値が、0〜0.95、好ましくは0.1〜0.8であることが好ましい。これよりも反応率が低い場合には、プリプレグの取り扱いが難しく、高い場合には、積層させる行程における密着性に課題が生じる。
本発明におけるプリプレグシート(B)の製造は公知一般の方法が適用でき、特に限定は無い。例えば、溶剤に溶解させた硬化性樹脂(a)をガラスクロスに含浸させ、その後溶剤を揮発させる方法や、熱溶融させた硬化性樹脂(a)をガラスクロスに含浸させ、その後冷却する方法、平面状に成型した未硬化の樹脂組成物に、ガラスクロスを重ねロール等により圧力等をかける方法、型中にガラスクロスを置き、そこに加熱した樹脂を、トランスファー成型機等を用いて流し込む方法等が挙げられる。
なお、本発明において、硬化性樹脂(a)は、樹脂単独、または樹脂とその硬化剤もしくはこれと他の任意成分を含む組成物を含むが、以下において説明の便宜上、硬化性樹脂(a)と記載する。
本発明において使用される硬化性樹脂(a)とは、熱、光等のトリガーをもとに反応を起こし、硬化することを特徴とする樹脂の総称である。これらは、トリガーによる化学反応を起こさせることで所謂三次元的な架橋構造をおこさせる。さらに本発明においては、ガラスとの組み合わせによるシートであることを鑑みると、硬化後に無色透明であることが好ましい。
熱をトリガーとして硬化する、所謂熱硬化性樹脂としては、熱により単独で架橋反応を生じるものもあれば、互いに反応しあう複数の化合物を混ぜ合わせ、熱により反応させることで硬化物を得ることもできる。さらに、これらには、熱により活性となり、硬化反応を進行させる熱硬化触媒を使用することが一般的である。
例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、(イソ)シアネート樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ビニル樹脂、アミド樹脂等として総称されるものが一般的に該当し、これらはいずれも使用することができる。
これらのうち、本発明の積層ガラスシート硬化性、耐熱性、耐光性等、求められる特性を考慮すると、エポキシ樹脂(a−1)単独、もしくはこれを主剤とし、さらに必要に応じて硬化剤と称される、エポキシ樹脂と反応可能な化合物を組み合わせることが好ましい。
本発明において示されるエポキシ樹脂(a−1)とは、エポキシ基を分子中に含有する化合物の総称である。さらにこれらは、エポキシ基の他に分子内にどのような化学構造を含有するかにより分類される。
例えば、芳香族型エポキシ樹脂としては、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル-フェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、グリオキサール型エポキシ樹脂、(4(4(1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−エチル)α,α−ジメチルベンジル)フェノール)型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのうち、耐熱性、耐光性を考慮すると、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(4(4(1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−エチル)α,α−ジメチルベンジル)フェノール)型エポキシ樹脂が好ましい。
また、例えば、脂肪族型エポキシ樹脂としては、大きく分類して脂肪族環状構造を有するエポキシ樹脂と脂肪族環状構造をもたないエポキシ樹脂とに分類される。脂肪側環状構造を有するエポキシ樹脂は一分子中に少なくとも一つ以上の環状脂肪族構造を有することを特徴とする。例えばテルペンジフェノールや、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と脂肪族環構造ジエン(ジシクロペンタジエンやノルボルナジエン、ヘキサヒドロキシインデン等)との重縮合物及びこれらの変性物から誘導されるグリシジルエーテル化物、水添ビスフェノール(ビスフェノールA、ビスフェノールF)型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等、分子内にシクロヘキシル構造、ジシクロペンタジエン構造をもつ化合物や、トリグリジジルイソシアヌレート構造をもつエポキシ樹脂等が挙げられる。
具体的には例えば、シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物等が挙げられる。
脂肪族環状構造を持たないエポキシ樹脂等としては、ヘキサンジグリシジルエーテル等の直鎖または分岐アルコールから誘導されるグリシジルエーテル類が挙げられる。
これらのうち、脂肪族環状構造を有するエポキシ樹脂は、比較的耐熱性も高く好適に用いることが出来る。
芳香族型エポキシ樹脂と脂肪族型エポキシ樹脂を併用することも好適である。これらの好適な配合比は、ガラスクロス(b)と光学的屈折率の整合性を取る必要上、ガラスクロスに用いるガラス種により大きく依存する。
後述するが、中庸の特性を有するE−ガラスからなるガラスクロス(b)は比較的光学的屈折率が高い。したがって、これを用いた場合には、重量比において、芳香族型エポキシ樹脂/脂肪族型エポキシ樹脂で示される重量比率は20/80〜80/20が好適である。この範囲においては、芳香族型エポキシが有する耐熱性や強靭性と脂肪族型エポキシ樹脂が有する耐光性等の特性をバランスよく発揮させることが出来る。
さらに、エポキシ樹脂(a−1)と反応する化合物、所謂硬化剤として用いることができるものは、公知一般のものが使用できる。例えば、カルボキシル基、もしくはカルボン酸無水物基を有するカルボン酸系硬化剤、アミノ基、アミド基、ケトイミン基、イミダゾール基、ジシアンジアミド基等を有するアミン系硬化剤、フェノールノボラック等のフェノール基を有するフェノール系硬化剤等が挙げられる。
エポキシ樹脂(a−1)は、高い耐熱性を有している一方、硬化剤を用いることなく硬化させたものは脆弱であり柔軟性に欠ける。したがって、本発明の積層ガラスシートの特徴を鑑みれば、硬化剤を併用することが好ましい。
これらのうちカルボン酸系硬化剤(a−2)は、高い耐熱性と変色性、柔軟性に優れた硬化物を得ることから好適に用いることが出来る。
カルボン酸系硬化剤(a−2)は、分子内にカルボキシル基を一つ以上、好ましくは2つ以上、もしくはカルボン酸無水物基を一つ以上有するものであれば、特に限定は無く、公知一般のものが使用できる。
例えば、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸−1,2,4,5−二無水物等の(a−1)で示される酸無水物類、
ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物等のその他飽和酸無水物類、
アジピン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸等の脂肪族カルボン酸類、
ブタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、シクロヘキサンジオール等の炭化水素ジオール類、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の炭化水素多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリアルキレングリコール類、ポリカプロラクトンジオール等のポリエステルジオール類、更にはシリコーンジオール等の無機ジオール類等、その他ジオール類とこれらに例示される酸無水物を反応させたカルボン酸類、
無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸等の不飽和環構造を有する酸無水物系化合物類が挙げられる。
これらのうち、本発明の硬化物が無色透明であることを特徴とするものであることを鑑みれば、高い透明性を有する飽和カルボン酸類およびその酸無水物類を用いることが好ましい。
特に好ましいものとして、下記一般式(1)で示されるカルボン酸系硬化剤が挙げられる。
(式中、複数存在するR
1、R
2はそれぞれ独立して、R
1は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、もしくはカルボキシル基を表し、R
2は水素原子、もしくはメチル基を表す。官能基Pは*でメチレン基と結合している。)
式(1)で示されるカルボン酸系硬化剤は、飽和カルボン酸無水物として1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物と、
架橋多環ジオールとして、下記式(2)で示されるトリシクロデカン構造、ペンタシクロペンタデカン構造を主骨格とするジオール類を反応させて得られるものである。
(式中、複数存在するR
2はそれぞれ独立して、水素原子、もしくはメチル基を表す。)
具体的に使用できる架橋多環ジオール類を列挙すれば、トリシクロデカンジメタノール、メチルトリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノールなどが挙げられる。これらのうち、特に好ましくは入手の簡便さ、また製造後の官能基量とのバランスから、本発明においては特にトリシクロデカンジメタノールの使用が好ましい。
エポキシ系樹脂(a−1)とカルボン酸系硬化剤(a−2)の好適な配合比は、エポキシ系樹脂(a−1)に含有されるエポキシ基の当量とカルボン酸系硬化剤(a−2)のカルボキシル基の当量により決まる。好ましくは、エポキシ基1当量に対しカルボキシル基が0.2〜5当量、より好ましくは0.5〜2当量であることが好ましい。この範囲を超える場合は、硬化反応が充分に進行せず、また過剰のエポキシ基、カルボキシル基の残留が生じるために、硬化物の強靭性や、耐熱性が充分に発揮できない。
この他に、熱による反応を促進させるために、熱に感応して反応を促進させる、または硬化温度を調整することを目的に、硬化触媒を添加することも一般的に行われる。これらは、上記硬化反応を促進させる効能を有するものであれば、公知一般のものが使用できる。
例えば、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−エチル,4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾールの各種イミダゾール類、
及び、それらイミダゾール類とフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、マレイン酸、蓚酸等の多価カルボン酸との塩類、
ジシアンジアミド等のアミド類、
1,8−ジアザ−ビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7等のジアザ化合物及びそれらのテトラフェニルボレート、フェノールノボラック等の塩類、前記多価カルボン酸類、又はホスフィン酸類との塩類、
テトラブチルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムブロマイド等のアンモニウム塩類、
トリフェニルホスフィン、トリ(トルイル)ホスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のホスフィン類やホスホニウム化合物類、
2,4,6−トリスアミノメチルフェノール等のフェノール類、
オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸ジルコニウム、オクチル酸ニッケル、ナフテン酸コバルト等の有機金属化合物等が挙げられる。
さらに、硬化促進剤をマイクロカプセルにしたマイクロカプセル型硬化促進剤等が挙げられる。
これら硬化触媒のいずれを用いるかは、例えば透明性、硬化速度、作業条件といった得られる透明樹脂組成物に要求される特性によって適宜選択されるべきものである。硬化触媒は、本発明のエポキシ樹脂組成物中の、全エポキシ樹脂100質量部に対し通常0.001〜15質量部の範囲で使用される。
一方、紫外線、電子線等の光を照射することをトリガーとして硬化する、所謂光硬化性樹脂としては、公知一般の(メタ)アクリレート化合物類、ビニル化合物類、エポキシ化合物類を用いることが出来る。
これらは、反応機構により概ね光により発生したラジカルにより反応するラジカル反応型とカチオン反応型に分類される。ラジカル反応型は、(メタ)アクリレート類、ビニルエーテル類、その他ビニル化合物類が該当する。カチオン反応型としては、エポキシ化合物類、ビニルエーテル類が該当する。エポキシ化合物類は、前記の熱硬化性樹脂だけではなく、光硬化性樹脂としても作用する。
(メタ)アクリレート化合物とは、(メタ)アクリレート基を分子内に一つ以上有する化合物を指す。具体的には、使用しうるアクリレート類としては、単官能(メタ)アクリレート類、多官能(メタ)アクリレート、その他エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリレート類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートモノメチルエーテル、フェニルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレート類としては、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、アジピン酸エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールエチレンオキサイドジ(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールエチレンオキサイド(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペングリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールとε−カプロラクトンの反応物のポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリエチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びそのエチレンオキサイド付加物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びそのエチレンオキサイド付加物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、およびそのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
使用しうるビニル化合物類としてはビニルエーテル類、スチレン類、その他ビニル化合物が挙げられる。ビニルエーテル類としては、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。スチレン類としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられる。その他ビニル化合物としてはトリアリルイソイシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
さらに、いわゆる反応性オリゴマー類としては、(メタ)アクリレート基とウレタン結合を同一分子内に併せ持つウレタンアクリレート、同様に(メタ)アクリレート基とエステル結合を同一分子内に併せ持つポリエステルアクリレート、その他エポキシ樹脂から誘導され、(メタ)アクリレート基を同一分子内に併せ持つエポキシアクリレート、これらの結合が複合的に用いられている反応性オリゴマー等が挙げられる。
また、カチオン反応型として使用できるエポキシ樹脂は、前記熱硬化性樹脂として使用できるものと同一である。
また光等により感応し、硬化反応を開始させる化合物、所謂光反応開始剤を使用することも必要に応じて行われる。これらは、硬化性樹脂の硬化反応に適応した開始剤を選択する。例えば、(メタ)アクリレート化合物の場合は、ラジカルにより反応が進行するため、光によりラジカルを発生させる開始剤を選択し、一方エポキシ化合物の場合は光により生じるカチオンを触媒として反応が進行するため、カチオン硬化系の開始剤を使用する。
これらは、いずれも公知一般の開始剤を使用することが出来る。
ラジカル型光重合開始剤としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシンクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン等のアセトフェノン類;2−エチルアントラキノン、2—t−ブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフエノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、4,4’−ビスメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類等の公知一般のラジカル型光反応開始剤が挙げられる。
また、カチオン系開始剤としては、ルイス酸のジアゾニウム塩、ルイス酸のヨードニウム塩、ルイス酸のスルホニウム塩、ルイス酸のホスホニウム塩、その他のハロゲン化物、トリアジン系開始剤、ボーレート系開始剤、及びその他の光酸発生剤等が挙げられる。
ルイス酸のジアゾニウム塩としては、p−メトキシフェニルジアゾニウムフロロホスホネート、N,N−ジエチルアミノフェニルジアゾニウムヘキサフロロホスホネート(三新化学工業社製サンエイドSI−60L/SI−80L/SI−100Lなど)等が挙げられ、ルイス酸のヨードニウム塩としては、ジフェニルヨードニウムヘキサフロロホスホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフロロアンチモネート等が挙げられ、ルイス酸のスルホニウム塩としては、トリフェニルスルホニウムヘキサフロロホスホネート(Union Carbide社製 Cyracure UVI−6990など)、トリフェニルスルホニウムヘキサフロロアンチモネート(Union Carbide社製 Cyracure UVI−6974など)等が挙げられ、ルイス酸のホスホニウム塩としては、トリフェニルホスホニウムヘキサフロロアンチモネート等が挙げられる。
その他のハロゲン化物としては、2,2,2−トリクロロ−[1−4’−(ジメチルエチル)フェニル]エタノン(AKZO 社製 Trigonal PIなど)、2.2−ジクロロ−1−4−(フェノキシフェニル)エタノン(Sandoz 社製 Sandray 1000など)、α,α,α−トリブロモメチルフェニルスルホン(製鉄化学社製 BMPSなど)等が挙げられる。トリアジン系開始剤としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシフェニル)−6−トリアジン(Panchim社製 Triazine Aなど)、2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン(Panchim社製 Triazine PMSなど)、2,4−トリクロロメチル−(ピプロニル)−6−トリアジン(Panchim社製 Triazine PPなど)、2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシナフチル)−6−トリアジン(Panchim社製 Triazine Bなど)、2[2’(5”−メチルフリル)エチリデン]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン(三和ケミカル社製など)、2(2’−フリルエチリデン)−4,6−ビス( トリクロロメチル)−s−トリアジン(三和ケミカル社製)等が挙げられる。
ボーレート系開始剤としては、日本感光色素製NK−3876及びNK−3881等が挙げられ、その他の光酸発生剤等としては、9−フェニルアクリジン、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2−ビイミダゾール( 黒金化成社製ビイミダゾールなど)、2,2−アゾビス(2−アミノ−プロパン)ジヒドロクロリド(和光純薬社製 V50など)、2,2−アゾビス[2−(イミダソリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(和光純薬社製 VA044など)、[イータ−5−2−4−(シクロペンタデシル)(1,2,3,4,5,6,イータ)−(メチルエチル)−ベンゼン]鉄(II)ヘキサフロロホスホネート(Ciba Geigy 社製 Irgacure 261など)、ビス(y5−シクロペンタジエニル)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピリ−1−イル)フェニル]チタニウム(Ciba Geigy 社製 CGI−784など)等が挙げられる。
硬化反応を起こさせるトリガーは、求められる積層ガラスシートの特性や製造工程によって、適宜選択、もしくは双方を複合化して用いることも出来る。
しかし、得られる樹脂の耐熱性や寸法安定性、強靭性等、本発明の積層ガラスシートの特徴を考慮すると熱を用いることが好ましい。
さらに本発明における硬化性樹脂(a)には、必要に応じて公知一般の酸化防止剤を添加してもよい。使用できる酸化防止剤としては、フェノール系、イオウ系、リン系酸化防止剤等が挙げられる。しかし、本発明の特徴を鑑みれば、無色であり、かつ、硬化時の熱や、プリント配線基板として長期間使用した場合でも着色しにくい材料を選択することが好ましい。
フェノール系酸化防止剤の具体例として、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、等のモノフェノール類
2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルスルホン酸エチル)カルシウム等のビスフェノール類
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェノール等の高分子型フェノール類が挙げられる。
イオウ系酸化防止剤の具体例として、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。
リン系酸化防止剤の具体例として、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイト等のホスファイト類
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のオキサホスファフェナントレンオキサイド類などが挙げられる。
これらの酸化防止剤はそれぞれ単独で使用できるが、2種以上を組み合わせて併用しても構わない。酸化防止剤の使用量は、本発明のエポキシ樹脂組成物100質量部に対して、通常0.008〜1質量部、好ましくは0.01〜0.5質量部である。また、本発明においてはリン系の酸化防止剤が好ましい。
さらに本発明における硬化性樹脂(a)には、必要に応じて光安定剤を添加してもよい。光安定剤は公知一般のものが使用でき、特に限定は無い。しかし、本発明の特徴を鑑みれば、無色であり、かつ、硬化時の熱や、積層ガラスシートとして長期間使用した場合でも着色しにくい材料を選択することが好ましい。
これらの代表的な例として、ヒンダードアミン類、リン系類が挙げられる。
例えば、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、
コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物(例えばチヌビン111FDL、チバジャパン製の成分)、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕(例えばチヌビン111FDL、チバジャパン製の成分)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート(例えばチヌビン144、チバジャパン製)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(例えばチヌビン292、チバジャパン製の成分)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(例えばチヌビン292、チバジャパン製の成分)、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(例えばチヌビン123、チバジャパン製の成分)、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等が挙げられる。
さらに本発明における硬化性樹脂(a)には、必要に応じて紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤としては特に限定はないが、ベンゾトリアゾール系、ヒドロキシフェニルトリアジン系等が挙げられ、先に記載した光安定剤と併用することも可能である。
ベンゾトリアゾール系(所謂BTZ系)紫外線吸収剤は、下記一般式で示される構造を有している化合物として指し示される。
(式中、複数存在するR
4は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜12の脂肪族又は芳香族の炭化水素基、炭素数1〜4の(ポリ)アルキレンオキシ基、−O−R
5を示す。なお、R
5基は、水素原子、炭素数1〜12の炭化水素基、水素原子とその他グリシジルエーテル基、カルボキシル基、アクリレート基含有化合物との反応残基を示す。)
例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(例えばチヌビンPS、チバジャパン製)、ベンゼンプロパン酸−3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシアルキルエステル(例えばチヌビン99−2、チバジャパン製)、ベンゼンプロパン酸−3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシアルキルエステル(例えばチヌビン384−2、チバジャパン製)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4、6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(例えばチヌビン900、チバジャパン製)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(例えばチヌビン928、チバジャパン製)、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコールの反応生成物(例えばチヌビン1130、チバジャパン製)等のベンゾトリアゾール類が挙げられる。
ヒドロキシフェニルトリアジン系(所謂HPT系)紫外線吸収剤は、下記一般式で示される構造を有している化合物として指し示される。
(式中、複数存在するR
6は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜12の脂肪族又は芳香族の炭化水素基、炭素数1〜4の(ポリ)アルキレンオキシ基、−O−R
7を示す。なお、R
7基は、水素原子、炭素数1〜12の炭化水素基、水素原子とその他グリシジルエーテル基、カルボキシル基、アクリレート基含有化合物との反応残基を示す。)
例えば、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニル, とオキシラン[(アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物(例えばチヌビン400、チバジャパン製)、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−2,3,5−トリアジンと(2−エチルヘキシル)−グリシド酸エステルの反応生成物(例えばチヌビン405、チバジャパン製)、2,4−ビス「2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(例えばチヌビン460、チバジャパン製)、プロパン酸−2−[4−[4,6−ビス([1,1‘−ビフェニル]−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−3−ヒドロキシフェニル]−,イソオクチルエステル(例えばチヌビン479、チバジャパン製)等のヒドロキシフェニルトリアジン類が挙げられる。これらのうち、経時的な着色性に優れるヒドロキシフェニルトリアジン類が好適に用いることが出来る。
特には、プロパン酸−2−[4−[4,6−ビス([1,1‘−ビフェニル]−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−3−ヒドロキシフェニル]−,イソオクチルエステル(例えばチヌビン479、チバジャパン製)等、R5のうち少なくとも一つが、芳香族炭化水素であるものが特に優れた効能を示す。
これらのうち、ヒドロキシフェニルトリアジン系(所謂HPT系)紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤を合わせて含有すると、さらに耐光性が向上するため好ましい。
さらに本発明における硬化性樹脂(a)には、求められる諸特性に合わせるため、透明性や硬度などの特性を損なわない範囲でブチラール系樹脂、アセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ−ナイロン系樹脂、NBR−フェノール系樹脂、エポキシ−NBR系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂などの樹脂成分を必要に応じて添加することもできる。
さらに本発明における硬化性樹脂(a)には、一次粒径が1〜200ナノメートルの微粒子を添加してもよい。微粒子としては例えばガラス、シリカ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウムスズ、酸化アンチモン、酸化セレン、酸化イットリウムなどが挙げられ,分散溶媒を含有しない微粉末や溶媒に分散させたコロイド溶液として市場から入手して用いることができる。また、これらを1種または2種以上を混合して用いることが出来る。分散溶媒はメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルジメチルアセトアミドなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの非極性溶媒など、本発明における硬化性樹脂(a)の各成分が溶解するものを選定して用いればよい。
その他にもシランカップリング剤、離型剤、レベリング剤、界面活性剤、染料、顔料、無機あるいは有機の光拡散フィラー等も添加することができる。
本発明においては、耐熱性、耐光特性を改良する目的で公知一般の金属塩の添加をすることもできる。具体的にはカルボン酸金属塩(2−エチルヘキサン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ミリスチン酸などの亜鉛塩、スズ塩、ジルコニウム塩)やリン酸エステル金属(オクチルリン酸、ステアリルリン酸等の亜鉛塩)、アルコキシ金属塩(トリブチルアルミニウム、テトラプロピルジルコニウム等)、アセチルアセトン塩(アセチルアセトンジルコニウムキレート、アセチルアセトンチタンキレート等)等の金属化合物等が挙げられる。これらは単独或いは2種以上を用いてもよい。
本発明におけるガラスクロス(b)とは、ガラスを融解、牽引し繊維状にしたものからなるものを、紡糸しさらにそれを布状にしたものを指す。これを硬化性樹脂と組み合わせることで、得られるガラス積層シートに高い強靭性や寸法安定性を付与することができる。
布状にするためには、織る、編む、または不織布化等公知一般の方法が使用できるが、紡糸したガラス繊維を製織し布状としたものが、強靭性、寸法安定性の観点から最も好適に使用できる。
本発明おいて好適に用いられるガラスクロスを構成するガラスの種類としては、特に限定はなく、公知一般のガラスを用いることが出来る。例えば、所謂E−ガラス、S−ガラス、T−ガラス、D−ガラス、UN−ガラス、NE−ガラス、Q−ガラス等が挙げられる。これらのうち、コスト、生産性の課題はあるものの、寸法安定性の観点からは、S−ガラス、T−ガラスも優れた特性を有している。最もバランスの取れたものとして、E−ガラスは、入手の容易性、寸法安定性も適度に有し、アルカリ金属酸化物が少なく、無アルカリガラスであり、光学特性の安定性が高い積層ガラスシートが得られるため、本発明の用途には最も適している。
また、また樹脂との密着性や表面張力を制御するためのガラス繊維はシランカップリング剤により処理してあるものも好適に用いることが出来る。
本発明に好適なガラス繊維の径は、透明性などを考慮すると小さいほうが良く10μm以下が好ましい。
硬化性樹脂(a)とガラスクロス(b)の光学的屈折率は、硬化後の段階においてほぼ同一であることがこのましく、差異は0.005以下、より好ましくは0.003以下であることが好ましい。これは、光学的屈折率をほぼ同じ値にすることで、得られる積層ガラスシートを透明にすることができるためである。この範囲を超える場合には、積層ガラスシートの透明性が失われる。
したがって、ガラスクロス(b)を構成するガラスの種類、硬化性樹脂(a)の構成には密接な関係を有し、例えば好適に使用が出来るなE−ガラス(1.55〜1.57程度)からなるガラスクロス(b)は、屈折率が高い。このため、硬化性樹脂(a)には、脂肪族環状構造を有する硬化性樹脂と芳香族型の硬化性樹脂を、目的とする屈折率に合せて構成する。一方、寸法安定性に優れるS−ガラス、T−ガラスを使用する場合は、光学的屈折率が低い(1.51〜1.53程度)ため、脂肪族環状構造からなる硬化性樹脂を中心に構成する。
この点においても、E−ガラスと組み合わせて使用する硬化性樹脂(a)は、適度に芳香族型の材料を使用することが出来るため、脂肪族系材料だけではなし得ない耐熱性と強靭性に優れた特性を発揮させることになる。
薄膜ガラス(A)とプリプレグシート(B)を複合化させるにあたり、その層構成は目的とされる用途に応じて適宜選択されるべきものである。例えば薄膜ガラス(A)とプリプレグシート(B)を各一枚ずつ積層しても良いし、薄膜ガラス(A)をコア材としその両面をプリプレグシート(B)ではさみ硬化させる、または、その逆にプリプレグシート(B)をコア材として、その両面を薄膜ガラス(A)ではさんで構成することも出来る。これらにはそれぞれ用途に応じた特徴を有している。
薄膜ガラス(A)とプリプレグシート(B)を各一枚ずつ積層した場合、最も軽量であり、かつ安価に構成することが出来る。本発明におけるプリプレグシート(B)には、ガラスクロスを用いているために、通常一般の樹脂層(例えばその他フイルムや塗工物等)を用いる場合と比較し、基材の反り等の寸法安定性に優れた積層ガラスシートとなる。
薄膜ガラス(A)をコア材としその両面をプリプレグシート(B)ではさんで構成する場合は、ガラスの低いガス透過性等の特性を生かしつつ、樹脂特有の柔軟性を生かす用途に好適である。特に、薄膜ガラス(A)がコア材となっていることから、ガラスが最も苦手とする伸縮が少なく、結果的に最も柔軟で強靭な積層ガラスシートとなる。この場合はガラスクロスを複合化させた樹脂層が表面となるために、万一薄膜ガラスが折損した場合においても、通常一般の樹脂層(例えばその他フイルムや塗工物等)を用いる場合と比較し鋭利な折損部が表面に出てきにくく安全性が高い。
一方、プリプレグシート(B)をコア材として、その両面を薄膜ガラス(A)ではさんで構成する場合、得られる積層シートは、シート表面にはガラス特有の高い質感や平滑性、耐傷性を有しており、本発明の積層ガラスシートをディスプレイ等の用途に使用する場合は、最も好適な構成となる。
さらに、薄膜ガラス(A)とプリプレグシート(B)を各一枚ずつ積層し、さらにその他基材(例えば金属や回路基板等)を積層することもできる。
積層ガラスシートを構成する好ましい製法は、上記目的に応じた構成順に応じて積層させた後、減圧下等の脱泡行程を行いつつ、熱プレス、もしくは熱ロール、または光照射にて硬化させる。樹脂が積層ガラスシートの表面に露出する場合には、硬化時のブロッキングや機器への樹脂付着を抑えるために、剥離加工されたフイルムや金属箔を使用することがこのましい。
また、ガラスが表面となる構成の場合においても、ガラスへの傷つき防止を目的に、保護シートを用いることも好適である。
本発明の積層ガラスシートは、透明であり、かつ柔軟でありながら、強靭、高い寸法安定性や低いガス透過性等の特徴を生かし、これら特性を高い次元で兼ね備えた優れたシートとなる。そのため、特に液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ等の表示素子、太陽電池等の光電変換素子、各種センサーなどに用いる基板材料に適している。
さらには液晶パネル等の表示体上で動作するタッチパネル等にも好適に用いることが出来る。
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
合成例1 カルボン酸系硬化剤(a−2)の合成
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらトリシクロデカンジメタノール36部、H1 195部、H−TMAn 69部を加え、40℃で3時間反応後、70℃で1時間加熱撹拌を行い、無色の液状樹脂である多価カルボン酸(A)とH1の混合物を300部得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)により反応終了を確認した。さらに溶剤として2−ブタノンを固形分として70重量%となるように(128部)添加し溶液とした。
実施例1:プリプレグシート(B)の調製
合成例1で得たカルボン酸系硬化剤(a−2)とH1の混合物39.9部、成分(B)としてEHPE−3150(ダイセル製、エポキシ当量181g/eq)を10.3部、成分(C)としてエポキシ樹脂NC−600016.4部、NC−3000(日本化薬製:ビフェニル構造多官能エポキシ樹脂、エポキシ当量275g/eq)12.3部、成分(D)としてJER−828(三菱化学製:液状ビスフェノールAエポキシ樹脂、エポキシ当量185)を5.2部、YD−012(東都化成製:固形ビスフェノールAエポキシ樹脂、エポキシ当量670)を15.9部、その他の成分としてオクタン酸亜鉛0.3部、添加剤であるアデカスタブ260(ADEKA製:リン系酸化防止剤)0.2部、ビス(1−ウンデカンオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カーボネート0.2部、希釈溶剤であるMEK43.2部を、70℃に加温、混合し、本発明のエポキシ樹脂組成物の固形分が70質量%であるMEK希釈液を得た。
さらに得られたエポキシ樹脂組成物を、E−ガラスからなるガラスクロス(IPCスペック106相当)に含浸しその後溶剤を50℃のオーブンで10分間乾燥し厚さ55マイクロメートルのプリプレグシート(B)を得た。
DSC(示差熱走査熱量計)による、反応熱量からプリプレグシートの反応率を求めたところ、0.24であった。
実施例2:積層ガラスシートの調製
実施例2−1
150℃に予熱した真空熱板プレス上に、保護クッションシートとしてTPXシート、積層ガラスシートを構成する厚さ50マイクロメートルの薄膜ガラス(A)、実施例1にて調製したプリプレグシート、さらに上記と同じ薄膜ガラス(A)、そして同様の保護クッションシートとしてTPXシートを乗せ、減圧、熱安定化させた後、加圧し60分間保持した。ゆっくり(3時間程度)冷却した後、シートを取り出し、積層ガラスシートを得た。
得られた積層ガラスシートは無色透明であり、反りも無かった。
実施例2−2
150℃に予熱した真空熱板プレス上に、保護クッションシートとして剥離加工を施したポリエステルシート、積層ガラスシートを構成する実施例1にて調製したプリプレグシート(B)、厚さ50マイクロメートルの薄膜ガラス(A)、さらに上記と同じプリプレグシート(B)、そして同様の保護クッションシートとしてポリエステルシートシートを乗せ、減圧、熱安定化させた後、加圧し60分間保持した。ゆっくり(3時間程度)冷却した後、シートを取り出し、積層ガラスシートを得た。
得られた積層ガラスシートは無色透明であり、反りも無かった。
比較例1:ポリエステルフイルムで積層させた積層ガラスシート
厚さ100マイクロメートルの薄膜ガラス(A)に、ラミネーターを用いて光学用粘着層(日東電工製 Luciacs CS9621T、粘着層厚25マイクロメートル)、つづいて、ポリエチレンテレフタレートフイルム(日東紡製 コスモシャインA4300 厚さ50マイクロメートル)を貼り合せ、さらにポリエチレンテレフタレートフイルム上に、同様の光学用粘着層、さらに薄膜ガラスを貼り合せ、その他積層ガラスシートを作成した。
比較例2:薄膜ガラスを積層しないプリプレグシート硬化物の調製
プリプレグシート(B)を、薄膜ガラスの代わりに剥離処理をしたポリエステルシートではさみ、実施例2と同条件で減圧、熱安定化、加圧、冷却した。硬化終了後、剥離処理をしたPETシートを剥がしてプリプレグシート単独の硬化物を得た。
実施例3、及び比較例3:ガラス積層シートの特性評価
寸法安定性の測定
実施例2、または比較例1〜2において得られたシートを150℃のホットプレート上にて30分間加熱し、その後冷却した。
冷却後、シートの反りを目視で確認した。
表面粗さの測定
触針式表面粗さ測定装置(東京精密 サーフコム)により表面粗さの測定を行った。
柔軟性の測定
得られたシートを指で曲げて、柔軟性の有無を確認した。
○:柔軟性を有する。△:シートを曲げることが出来る。×:曲げることが出来ず折れる。
表1
実施例 ガラス積層シート 反りの有無 表面粗さ(Ra) 柔軟性
実施例3−1 実施例2−1 反り無し 1nm以下 △
実施例3−2 実施例2−2 反り無し 15nm ○
比較例3−1 比較例1 反り有り 1nm以下 ×
比較例3−2 比較例2 反り無し 220nm ○
以上の結果から、本発明のプリプレグシートを使用した積層ガラスシートは、良好な寸法安定性を有していることが示された。また、優れた平滑性を有し、また比較的良好な柔軟性を有していることも示された。
試験例:光学的屈折率の検討
比較例2で調製したプリプレグシート単独での硬化シートの光学的屈折率を、プリズムカップラー型屈折率測定装置を用いて測定した結果、1.561(633nm)であった。
これは、実施例2で作成した積層ガラスシートに用いたプリプレグシートの硬化後の光学的屈折率と同値であると考えられる。実施例1、及び2で使用したE−ガラスの屈折率が1.561であることから、光学的屈折率の差異は0.000である。