以下、本発明を実施するための例示的な実施例を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施例で説明する寸法、材料、形状、構成要素の相対的な位置等は任意であり、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、図面において、同一であるか又は機能的に類似している要素を示すために図面間で同じ参照符号を用いる。なお、本明細書において、上下とは重力方向における上方向と下方向とにそれぞれ対応する。また、本明細書において、車両の前方方向とは車両の進行方向に対応し、車両の外部方向とは車両の内部から外部に向かう方向に対応し、車両の内部方向とは車両の外部から内部に向かう方向に対応する。
図1乃至6を参照して、本発明の一実施例によるドアチェック機構10について説明する。図1は、本発明の一実施例によるドアチェック機構10を備えた車両1の側面図である。車両1には、車体B及びドアDが設けられており、ドアDはヒンジHを介して車体Bに回動可能に接続されている。
ドアDには、ドアDと車体Bとの間に配設されたドアチェック機構10と、インサイドハンドル20と、アウトサイドハンドル30とが設けられている。インサイドハンドル20は、ドアDの車両の内部側に設けられ、ドアDの開閉動作に用いられる。また、アウトサイドハンドル30は、車両の外部側に設けられ、ドアDの開閉動作に用いられる。なお、本実施例によるドアチェック機構10は、ケーブル21、31やワイヤ等を介してインサイドハンドル20及びアウトサイドハンドル30に接続されており、使用者によるインサイドハンドル20及びアウトサイドハンドル30の操作に応じて、後述の所定の動作を行うことができる。
次に図2を参照してドアチェック機構10について説明する。図2は本実施例によるドアチェック機構10を示す。図2において、矢印FRは車両の前方方向を示し、矢印OUTは車両の外部方向を示す。なお、図2では、説明を簡略化するため、車体B及びドアDを省略している。ドアチェック機構10には、チェックリンク11と、ドアチェック12と、ストッパ部13と、ブラケット14と、開度保持装置15とが設けられている。
チェックリンク11は、一方の端部においてボルトなどの任意の固定具(不図示)を用いて車体に結合されたブラケット14を介して車体Bに支持されており、回転軸141を中心として回動することができる。ドアチェック12は、ボルトなどの任意の固定具(不図示)を用いてドアDに結合される。チェックリンク11は、ドアチェック12を通ってドアD内に延在する。また、ドアD内に延在するチェックリンク11の他方の端部には、ストッパ部13が設けられている。
チェックリンク11は、ヒンジHを介したドアDの回動にともなって回転軸141を中心に回動し、ドアチェック12に対して相対的にチェックリンク11の長手方向に移動する。チェックリンク11は、ドアDが開かれる際にはドアチェック12に対してドアDの外部へ引き出されるように移動し、ドアDが閉じられる際にはドアチェック12に対してドアDの内部に挿入されるように移動する。特に、ドアDが開かれる際には、チェックリンク11の移動に従ってストッパ部13が開度保持装置15に当接することにより、チェックリンク11がそれ以上にドアDの外部へ引き出されることを防止する。この際、チェックリンク11の回動、すなわちドアチェック12に対する移動が制限されることにより、チェックリンク11の移動と連動するドアDの回動が制限される。そのため、当該ストッパ部13の当接によってチェックリンク11の移動を制限しドアDの回動を制限する位置に応じて、ドアDの全開開度を設定することができる。
このように、チェックリンク11の移動を制限することによって、ドアDの開度を保持することができる。これに関連して、ドアチェック12は、チェックリンク11を所定の位置で保持することで、チェックリンク11の移動を簡易的に制限し、ドアDの開度を所定の開度に保持することができる。当該ドアチェック12の動作について、図3を参照して説明する。図3は、ドアチェック12がドアDを所定の開度に保持している際のドアチェック12の動作を示す。なお、図3においては、説明の簡略化のため車体B、ドアD及び開度保持装置15を省略している。
図3に示すように、チェックリンク11の上面111及び底面112には、溝部114及び115が設けられている。また、ドアチェック12の内部には、押圧子121及び付勢部材122が設けられている。押圧子121は、ドアチェック12の内部を通るチェックリンク11に向けて付勢部材122によって付勢されるとともに、チェックリンク11の長手方向に対して転動可能なように設けられている。ここで、押圧子121としては、例えば、チェックリンク11の長手方向に対して回動可能なローラやボール等を用いることができる。また、付勢部材122としては、例えば、バネやゴム等を用いることができる。
押圧子121は、付勢部材122による付勢に基づいて、チェックリンク11の上面111及び底面112に接し、チェックリンク11の移動に応じてチェックリンク11の長手方向に対して転動する。押圧子121は、ドアDが開かれる際に、チェックリンク11の溝部114又は115に係合することにより、チェックリンク11を保持し、チェックリンク11の移動を簡易的に制限することができる。なお、当該押圧子121によるチェックリンク11の移動の制限は、押圧子121が溝部114又は115から抜け出る程度の力がドアDに印加された場合に解除されることができる。
ここで、上述のように意図せずにドアDに開方向の力が印加されると、ドアチェック12の押圧子121を用いたドアDの開度の保持が解除されてしまう場合がある。そこで、本実施例によるドアチェック機構10には、図2に示すように、チェックリンク11の移動を制限し、ドアDの開度を保持、すなわち固定するための開度保持装置15が設けられている。開度保持装置15は、図2に示すように、ドアチェック12とストッパ部13との間に配置される。
図4A乃至Cを参照して、本実施例による開度保持装置15について説明する。図4Aは、開度保持装置15を示し、図4Bは第1の駆動部153を示し、図4Cは第1の回動部155を示す。図4Aにおいて、矢印FRは車両の前方方向を示し、矢印OUTは車両の外部方向を示す。なお、図4A乃至Cにおいては、説明を簡略化するため各部材を接続するための棒状部材等の接続部材を省略している。なお、各部材を接続する接続部は棒状部材等の別部材を用いずに、各部材と一体的に形成された突出部及び孔部等により形成されてもよい。
図4Aに示すように、開度保持装置15には、第1の保持部151と、第2の保持部152と、第1の駆動部153と、第2の駆動部154と、第1の回動部155と、支持部材156と、第2の回動部157とが設けられている。
第1の保持部151は第2の回動部157に設けられ、第2の保持部152は支持部材156に設けられている。一対の保持部である第1の保持部151と第2の保持部152は、所定の間隔を空けて離間されており、開度保持装置15は、ドアチェック12とストッパ部13との間に配置される際に、当該離間されている間隔内にチェックリンク11を通すようにして配置される。そのため、開度保持装置15がドアチェック12とストッパ部13との間に配置されると、第1の保持部151と第2の保持部152が、チェックリンク11の両側面113にそれぞれ対向する。第1及び第2の保持部151、152は、開度保持装置15が動作すると、チェックリンク11の両側面113に当接部1511、1521で当接してチェックリンク11を保持し、チェックリンク11の移動を制限する。なお、当接部1511、1521は、例えば樹脂やゴムなどの可撓性を有する任意の材料で形成することができる。
第1の駆動部153は、一方の端部に設けられた接続部1531で第2の駆動部154に回動可能に接続される。また、第1の駆動部153は、ケーブル21等を介してインサイドハンドル20に接続されており、インサイドハンドル20の所定の操作に基づいて、第2の駆動部154に対して回動することができる。さらに、第1の駆動部153の接続部1531を有する端部には、図4Bに示すように、カム面1532が形成されている。
第2の駆動部154は、接続部1531で第1の駆動部153に接続され、接続部1552で第1の回動部155に回動可能に接続され、さらに、接続部1541で第2の回動部157に回動可能に接続される。接続部1541は、第2の駆動部154の一方の端部に設けられる。また、第2の駆動部154は略クランク形状を有し、該クランク形状の各カーブ部分に接続部1552及び接続部1531が設けられている。なお、接続部1552及び1531は、接続部1541が設けられた一方の端部から他方の端部に向かう方向において、各カーブ部分に接続部1552、接続部1531の順に設けられる。また、第2の駆動部154は、ケーブル31等を介してアウトサイドハンドル30に接続されており、アウトサイドハンドル30の所定の操作に基づいて、第2の回動部157に対して回動することができる。
第1の回動部155は、接続部1551で支持部材156に回動可能に接続され、接続部1552で第2の駆動部154に回動可能に接続される。第1の回動部155では、図4Cに示すように、一方の端部に接続部1551が設けられ、他方の端部に接続部1552が設けられる。
支持部材156は、接続部1551で第1の回動部155に接続され、接続部1571で第2の回動部157に接続される。支持部材156の一方の端部1561には、第2の保持部152が設けられ、該端部から他方の端部1562に向かう方向において、接続部1571、接続部1551の順に、接続部1571及び接続部1551が設けられている。
第2の回動部157は接続部1571で支持部材156に回動可能に接続され、接続部1541で第2の駆動部154に接続される。第2の回動部157は略L字形状に形成され、一方の端部には第1の保持部151が設けられており、他方の端部には接続部1571が設けられている。また、第2の回動部157において接続部1541は、該L字形状において接続部1571が設けられている端部から直線状に延在している部分に設けられている。
次に、開度保持装置15の動作について、図4Aを参照して説明する。
まず、インサイドハンドル20の動作に基づいて、第1の駆動部153が接続部1531を中心として矢印A1で示す方向に回動する。第1の駆動部153が矢印A1で示す方向に回動すると、第1の駆動部153のカム面1532が第1の回動部155を押し、第1の回動部155が接続部1551を中心として矢印A2で示す方向に回動する。なお、第1の駆動部153のカム面1532で押される第1の回動部155の部分は、第1の駆動部153の移動が第1の回動部155に伝わりやすいように、図4Cに示すようなカム面1532に対応する形状に形成されることもできる。
第1の回動部155が矢印A2で示す方向に回動すると、第1の回動部155が接続部1552において、第2の駆動部154に対して回動しながら第2の駆動部154を持ち上げるようにして矢印A3に示す方向に移動させる。ここで、第2の駆動部154は接続部1541で第2の回動部157に回動可能に接続される。そのため、第2の駆動部154は、第1の回動部155によって移動させられる際に、第1の回動部155に対して接続部1552を中心として回動しつつ、第2の回動部157に対して接続部1541を中心として回動する。また、第2の駆動部154は、第2の回動部157に接続されているため、第2の回動部157に対して接続部1541を中心として回動する際に、第2の回動部157を押し下げるように移動させる。
第2の回動部157は、接続部1571で支持部材156に回動可能に接続されているため、第2の駆動部154によって移動させられる際に、接続部1571を中心として矢印A4で示す方向に回動する。第2の回動部157の回動に伴って、第2の回動部157に設けられた第1の保持部151が第2の保持部152に対して近づく方向に移動する。なお、第2の回動部157は接続部1571において、或る程度上下に移動することができるように構成されることもできる。この場合、第2の回動部157の回動に基づく第1の保持部151の上下方向の移動を小さくすることができる。
上述のように、開度保持装置15は、一対の保持部151、152の離間している間隔内にチェックリンク11を通すようにして配置される。そのため、一対の保持部151、152が離間している方向において、第1の保持部151が第2の保持部152に近づく方向に移動することで、一対の保持部151、152がチェックリンク11と当接してチェックリンク11を保持する。これにより、チェックリンク11の長さ方向の移動が制限され、ドアDの開度が保持される。
続いて、開度保持装置15によるドアDの開度の保持を解除する際の開度保持装置15の動作について説明する。
開度保持装置15によるドアDの開度の保持、すなわち一対の保持部151、152によるチェックリンク11の保持を解除する際には、アウトサイドハンドル30の動作に基づいて、第2の駆動部154が矢印A3で示す方向と逆の方向に回動する。第2の駆動部154が矢印A3で示す方向と逆の方向に移動すると、接続部1541で第2の駆動部154に接続される第2の回動部157が矢印A4で示す方向と逆方向に移動する。第2回動部157が矢印A4で示す方向の逆方向に移動すると、第2の回動部157に設けられた第1の保持部151が第2の保持部152に対して離れる方向に移動する。これにより、一対の保持部151、152によるチェックリンク11の保持が解除され、ドアDの開度の保持が解除される。
また、第2の駆動部154が矢印A3で示す方向と逆の方向に移動すると、接続部1552で第2の駆動部154に接続される第1の回動部155が第2の駆動部154の移動に従って移動する。第1の回動部155が第2の駆動部154の移動に従って移動すると、第1の回動部155が接続部1551を中心として矢印A2で示す方向と逆の方向に回動する。第1の回動部155が矢印A2で示す方向と逆の方向に回動すると、第1の回動部155が第1の駆動部153のカム面1532に当接し、第1の駆動部153を押し上げるように移動させ、第1の駆動部153を矢印A1で示す方向と逆の方向に移動させる。これにより、開度保持装置15の各部材は、第1の駆動部153を移動させてチェックリンク11を保持する前の位置に戻ることができる。
なお、第2の駆動部154は矢印A3で示す方向と逆の方向に移動する際、支持部材156の端部1562に当接することで、当該方向にそれ以上に移動することが制限されることができる。
次に、開度保持装置15によってチェックリンク11を保持する際の一対の保持部151、152の動作を図5A及びBを参照して説明する。図5A及びBは、図2に示す5−5線に沿ったドアチェック機構10の断面図である。図5Aは開度保持装置15が動作する前のドアチェック機構10を示し、図5Bは開度保持装置15が動作したときのドアチェック機構10を示す。図5A及びBにおいて、矢印FRは車両の前方方向を示し、矢印OUTは車両の外部方向を示す。なお、図5A及びBにおいては、説明の簡略化のため車体B、ドアD及びチェックリンク11の回転軸141を省略している。
図5Aに示すように、チェックリンク11は、チェックリンク11が回転軸141を中心として回動する平面において、車両の内部方向に所定の曲りを有するように形成されている。これは、チェックリンク11がドアDの回動に応じて回動する際に、チェックリンク11がドアチェック12に対して角度を有してドアチェック12の筐体等に当接することを防止するためである。すなわち、当該当接によってチェックリンク11のドアチェック12に対する移動が制限され、ドアDが開かなくなることを防止するためである。そのため、チェックリンク11の回動時においても、チェックリンク11のドアチェック12を通る部分が、当該曲りに応じてドアチェック12に対してあまり角度を有さないようにドアチェック12に対して略平行となる。しかしながら、ドアチェック12から離れた位置においては、チェックリンク11が回動する平面における曲りによって、チェックリンク11はドアチェック12に対して角度を有するようになる場合がある。
ここで、開度保持装置15は、ドアチェック12とストッパ部13との間においてドアチェック12と並べて配置される。そのため、角度保持装置15が配置される位置では、チェックリンク11は開度保持装置15に対して所定の角度の傾きを有すること場合がある。また、チェックリンク11の曲りに応じて、角度保持装置15の位置に対するチェックリンク11の想定位置からの位置ずれが生じる場合がある。
そこで、本実施例による開度保持装置15においては、一対の保持部151、152が間隔を空けて離間している。ここで、一対の保持部151、152間の間隔はチェックリンク11の曲りに応じた位置ずれを許容するような所定の間隔に設定されている。そのため、開度保持装置15がチェックリンク11を保持するように動作していないときに、ドアDが全閉位置から全開位置まで回動する間、図5Aに示すように開度保持装置15がチェックリンク11の移動を制限してしまうことを防止できる。
また、開度保持装置15がチェックリンク11を保持するように動作するときには、第1の保持部151が第2の保持部152に近づく方向に移動する。これにより、一対の保持部151、152がチェックリンク11を挟持して保持する。この時の様子を図5Bに示す。一対の保持部151、152は、チェックリンク11が回動することができる平面(チェックリンク11の移動経路)において、所定の曲りを有するチェックリンク11の部位(側面113)に当接してチェックリンク11を適切に挟持・保持する。そのため、チェックリンク11が曲りを有していてもチェックリンク11の回動、すなわちドアチェック12に対する移動を適切に制限することができる。ここで、所定の曲りを有するチェックリンク11の部位とは、チェックリンク11が所定の曲りを有する方向に応じたチェックリンク11の互いに対向する部位をいう。例えば、当該部位は、チェックリンクがチェックリンクの側方に曲りを有する場合にはチェックリンクの両側部に対応し、チェックリンクの上方又は下方に曲りを有する場合にはチェックリンクの頂部及び底部に対応する。
さらに、第1の保持部151が第2の保持部152に近づく方向に移動する際には、チェックリンク11が回動することができる平面において、第1の保持部151がチェックリンク11に当接しチェックリンク11を第2の保持部152に近づける方向に移動させる。すなわち、第1の保持部151は、第2の保持部152と協働してチェックリンク11を保持することができるように、チェックリンク11が回動可能な平面においてチェックリンク11を移動させる。これにより、一対の保持部151、152は、チェックリンク11が曲りを有していてもチェックリンク11を適切に挟持して保持することができる。なお、本実施例による開度保持装置15では、第1の保持部151が第2の保持部152に近づく方向、すなわち車両の内側方向に移動する。この場合、第1の保持部151はチェックリンク11を車両の内側方向に移動させるため、当該チェックリンク11の移動に伴ってドアDがわずかに回動した場合であってもドアDは閉じる方向に回動することとなる。従って、ドアDの開度を保持する際にドアDが車両1の外側に存在する障害物等にぶつかることを防止することができる。
さらに、一対の保持部151、152がチェックリンク11を保持する際には、図5Bに示すように、可撓性の樹脂等で形成された当接部1511、1521がチェックリンク11に当接する。そのため、当接部1511、1521がチェックリンク11の曲りを有する形状に沿って変形して当接する。従って、一対の保持部151、152は、曲りを有するチェックリンク11を適切に保持することができる。
また、一対の保持部151、152は、ドアチェック12とチェックリンク11による開度保持動作のための溝114、115が設けられていないチェックリンク11の側面113(側部)に当接する。そのため、開度保持装置15を用いてチェックリンク11の移動を制限する際に、チェックリンク11の溝114、115が設けられた上面111及び底面113を削ってしまうことがない。そのため、開度保持装置15を用いてチェックリンク11の移動を制限する際に、チェックリンク11の溝114、115が設けられた面を削りドアチェック12とチェックリンク11によるドアDの開度の保持力を低下させることを防止することができる。なお、本実施例ではチェックリンク11は矩形の断面形状を有するが、チェックリンク11の形状はこれに限られず例えば円形や楕円形の断面形状を有することができ、この場合保持部151、152は当該形状を有するチェックリンクの側部に当接する。
次に、図6を参照して、開度保持装置15を用いてドアDの開度を保持させる際の操作及び当該保持を解除する操作について説明する。図6は、本実施例によるドアチェック機構10を備えたドアDを示す。図6において、矢印FRは車両の前方方向を示し、矢印OUTは車両の外部方向を示す。
図6に示すように、開度保持装置15の第1の駆動部153はケーブル21等を介してインサイドハンドル20に接続されており、第2の駆動部154はケーブル31等を介してアウトサイドハンドル30に接続されている。インサイドハンドル20にはハンドルレバー22が設けられており、使用者はハンドルレバー22を引くことで、ドアDの車体Bに対するラッチ保持を解除しドアDを開閉できる状態にする。また、アウトサイドハンドル30には、ハンドルレバー32が設けられており、使用者はハンドルレバー32を引くことで、ドアDの車体Bに対するラッチ保持を解除しドアDを開閉できる状態にする。なお、以下において、ドアDの車体Bに対するラッチ保持を解除する際のハンドルレバー22、32の位置を開操作位置という。
本実施例によるドアチェック機構10は、使用者がインサイドハンドル20のハンドルレバー22を開操作位置からさらに引いて移動させることで、開度保持装置15の第1の駆動部153が移動し、開度保持装置15によるドアDの開度の保持動作を行うように構成されている。ドアDを開く際の開操作と開度の保持のための操作を一連の動作として行うことができるようにすると、開度の保持のためにハンドルレバー22から手を放す必要がなくなり、開度の保持のための操作をより人間工学に則したものとすることができる。従って、使用者がインサイドハンドル20のハンドルレバー22を開操作位置からさらに引くことにより開度保持装置15によるドアDの開度の保持動作を行うようにドアチェック機構10を構成することで、より人間工学に則した操作でドアDの開度の保持を行うことができる。なお、開度保持装置15によるドアDの開度の保持動作を行うための操作は、これに限られず、例えばインサイドハンドル20に開度保持ボタン23を設けて、開度保持ボタン23を操作する際に、開度保持装置15が開度保持動作を行う構成としてもよい。また、開度保持ボタン23は、スイッチなどの機械的なボタンに限られず、タッチディスプレイ上に表示されたボタン等であってもよい。さらに、使用者がインサイドハンドル20のハンドルレバー22を押して移動させることでドアDの開操作を行うようにインサイドハンドル20を構成しても良い。この場合、使用者が開操作位置からさらにハンドルレバー22を押すことで、開度保持装置15の第1の駆動部153が移動し、開度保持装置15によるドアDの開度の保持動作を行うように構成される。このような構成であっても、ドアDを開く際の開操作と開度の保持のための操作を一連の動作として行うことができ、開度の保持のためにハンドルレバー22から手を放す必要がなくなり、開度の保持のための操作をより人間工学に則したものとすることができる。
また、本実施例によるドアチェック機構10は、使用者がアウトサイドハンドル30に設けられた開度保持解除ボタン33を操作することで、開度保持装置15の第2の駆動部154が移動し、開度保持装置15によるドアDの開度の保持の解除動作を行うように構成されている。なお、開度保持解除ボタン33を設ける位置はアウトサイドハンドル30に限られず、例えばドアDのアウタパネルの車両後方側の端部付近やドアピラー等に設けてもよい。また、開度保持解除ボタン33は、スイッチなどの機械的なボタンに限られず、タッチディスプレイ上に表示されたボタン等であってもよい。なお、開度保持装置15によるドアDの開度保持解除動作を行うための操作は、これに限られず、例えばアウトサイドハンドル30のハンドルレバー32を開操作位置からさらに引くことで開度保持装置15が開度保持解除動作を行う構成としてもよい。また、開度保持のための操作及び開度保持を解除するための操作は、本実施例の態様に限られず、例えばドアDの開度を保持するためにアウトサイドハンドル30を用い、ドアDの開度保持を解除するためにインサイドハンドル20を用いるように構成してもよい。
上記のように、本実施例によるドアチェック機構10は、車体Bに回動可能に支持されるとともに車両用ドアDの内部に延在するチェックリンク11を備える。また、ドアチェック機構10は、所定の間隔を空けて離間した一対の保持部151、152、及び、一対の保持部151、152が離間している方向において少なくとも一方の保持部(第1の保持部)151を移動させる駆動部(第2の駆動部)154を含む、開度保持装置15をさらに備える。ここで、チェックリンク11はチェックリンク11が回動する平面において所定の曲りを有する。また、一対の保持部151、152は、第1の保持部151が第2の駆動部154によって一対の保持部151、152が互いに近づく方向に移動されたときに、所定の曲りを有するチェックリンク11の部位に当接してチェックリンク11を保持し、チェックリンク11の移動を防止する。
ここで、一対の保持部151、152間の間隔はチェックリンク11の曲りに応じた位置ずれを許容するような所定の間隔に設定されている。そのため、開度保持装置15がチェックリンク11を保持するように動作していないときに、ドアDが全閉位置から全開位置まで回動する間、開度保持装置15がチェックリンク11の移動を制限してしまうことを防止できる。また、一対の保持部151、152はチェックリンク11が回動することができる平面においてチェックリンク11を保持するため、チェックリンク11の回動、すなわち移動を適切に制限することができる。従って、本実施例によるドアチェック機構10を用いることによって、チェックリンク11が曲りを有している場合であってもチェックリンク11の移動を適切に制限することができ、ドアDを任意の開度に保持することができる。
また、第1の保持部151が第2の保持部152に近づく方向に移動する際には、第1の保持部151が、第2の保持部152と協働してチェックリンク11を保持することができるように、チェックリンク11が回動可能な平面においてチェックリンク11を移動させる。これにより、一対の保持部151、152は、チェックリンク11が曲りを有していてもチェックリンク11を適切に挟持し保持することができる。さらに、第2の駆動部154によって第1の保持部151を移動させる際に、第1の保持部151を車両の内側方向に移動させることで、第1の保持部151によるチェックリンク11の移動に伴ってドアDがわずかに回動した場合であってもドアDは閉じる方向に回動することとなる。従って、ドアDの開度を保持する際にドアDが車両1の外側に存在する障害物等にぶつかることを防止することができる。
また、本実施例によるドアチェック機構10では、一対の保持部151、152は、ドアチェック12とチェックリンク11による開度保持動作のための溝114、115が設けられていないチェックリンク11の側面113(側部)に当接する。そのため、開度保持装置15を用いてチェックリンク11の移動を制限する際に、チェックリンク11の溝部114、115が設けられた上面111及び底面113を削ってしまうことがない。そのため、本実施例によるドアチェック機構10では、チェックリンク11の溝114、115が設けられた面111、112を削りドアチェック12とチェックリンク11によるドアDの開度の保持力を低下させてしまうことを防止することができる。
さらに、本実施例における車両用ドアDのインサイドハンドル20は、インサイドハンドル20のハンドルレバー22が所定の操作によって開操作位置まで移動させられると、前記車両用ドアの全閉状態の保持を解除するように構成される。また、インサイドハンドル20は、ハンドルレバー22が開操作位置から所定の操作によってさらに移動させられると、第2の駆動部154による第1の保持部151の移動を喚起するように構成される。すなわち、本実施例によるドアチェック機構10は、使用者がインサイドハンドル20のハンドルレバー22を引いて所定の開操作位置まで操作すると、車両用ドアDの車体Bに対するラッチ保持を解除することができる。さらに、本実施例によるドアチェック機構10は、使用者がインサイドハンドル20のハンドルレバー22を開操作位置からさらに引くことで開度保持装置15がドアDの開度の保持動作を行うように構成される。これにより、ドアDの開操作と開度保持のための操作を一連の操作とし、より人間工学に則した操作でドアDの開度の保持を行うことができる。なお、ハンドルレバー22の所定の操作は、ハンドルレバー22を引いて移動させることだけに限られず、ハンドルレバー22を押して移動させることも含む。
さらに、本実施例によるドアチェック機構10では、一対の保持部151、152のチェックリンク11を保持する部分である当接部1511、1521が可撓性を有する樹脂を含む。この場合、一対の保持部151、152がチェックリンク11を保持する際には、可撓性の樹脂で形成された当接部1511、1521がチェックリンク11の曲りを有する形状に沿って変形して当接する。そのため、曲りを有するチェックリンク11をより適切に保持することができる。
また、チェックリンク11は、低い摩擦係数を有する樹脂で覆われることができる。チェックリンク11が低い摩擦係数を有する樹脂で覆われる場合には、チェックリンク11の摩擦係数を低くすることができる。このため、チェックリンク11を低い摩擦係数を有する樹脂で覆うことで、ドアチェック12の押圧子121に対する摩擦抵抗を低減してドアDの開閉動作に必要とされる外力を低減し、ドアの操作性を向上させることができる。低い摩擦係数を有する樹脂としては、例えばフッ素樹脂を用いることができる。また、チェックリンク11をフッ素樹脂で覆うことで、チェックリンク11の耐久性を向上させることもできる。
また、本実施例によるドアチェック機構10では、開度保持装置15は、チェックリンク11の上方に配置したが、開度保持装置を配置する位置はこれに限られない。例えば、チェックリンク11の下方に設けてもよいし、チェックリンク11の側方に設けてもよい。
さらに、本実施例による開度保持装置15は、一対の保持部151、152の第1の保持部151のみが第2の駆動部154によって移動される構成としたが、一対の保持部151、152の双方が駆動部によって互いに対して移動される構成としてもよい。なお、一対の保持部151、152の双方が駆動部によって互いに対して移動される構成では、一対の保持部151、152を離間する間隔を、ストッパ部13が当該間隔を通ることができるような間隔に設定することができる。この場合、ドアDが回動する際に、ストッパ部13がドアチェック12と当接するときのドアDの開度をドアDの全開開度とすることができる。
また、一対の保持部151、152が開度保持装置15によるチェックリンク11の保持動作時以外には、チェックリンク11に当接しないように、ドアチェック機構10を構成することができる。この場合には、チェックリンク11が移動する際に、一対の保持部151、152がチェックリンク11に当接しないため、チェックリンク11に余計な摩擦が生じない。そのため、ドアDを回動させるために必要な外力が増加することを防止することができる。
なお、本実施例によるドアチェック機構10では、ストッパ部13が開度保持装置15に当接する際のドアDの開度がドアDの全開開度として設定される。しかしながら、例えば、ドアDの開度を保持しないときには開度保持装置15を上方等の任意の方向に移動させておき、ドアDの開度を保持する際に一対の保持部151、152がチェックリンク11に当接できる位置に開度保持装置15を移動させるようにドアチェック機構10を構成してもよい。この場合には、ストッパ部13がドアチェック12と当接する際のドアDの開度をドアDの全開開度として設定することができる。
また、図1乃至6においては、本実施例によるドアチェック機構10を備えたドアDの例として、車両1の左側フロントドアを示したが、ドアチェック機構10を設けるドアはこれに限られない。例えば、車両1の右側のフロントドアに設けてもよいし、リアドア等に設けてもよい。
以上、実施例を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではない。本発明の趣旨に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、上述の各実施例及び変形例は、本発明の趣旨に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。