JP6435564B2 - 拡散機能を有するストロー - Google Patents
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Description
人がコーヒやジュースの味覚を口腔内で味わう行為は、これら飲料を舌上に存在する味蕾38a〜38dに接触させる行為と言える。
前記拡散部は、筒体との境界を折部として筒体と対向するよう90度以上屈折させて成型される。この時の屈折角度は90度〜180度の範囲で調整される。従って拡散部は筒体の一部を覆い、筒体と対向するように屈折する。また、拡散部に覆われる筒体の表面(拡散部との対向面)には筒体内部に連通する吸引用穴が設けられる。この穴の穴径は、筒体の内径より小さく設定され、また、この穴は筒体の長さ方向に対して直交する方向から見たときに拡散部に覆われる。
本発明により、人が本ストローを口腔内に挿入し、液体飲料を吸引すると、液体飲料は吸引用穴から吸引され、拡散部で一様に飛散されて舌の全領域に噴射される。
また、線状溝や線状突起と複数の穴や突起が任意に組み合わされて設けられた場合には、それぞれの効果を合わせ持たせることができる。
(1)周知の押出成型機を用い、周知の方法で所定の長さ(通常は100〜250mm)に切断された筒体を作成する。
(2)筒体の端部から所定の長さの位置に、筒体の内部と外部を通す穴を形成する。この場合、穴径は筒体の内径より小さく、また、所定の長さを「所定の長さ=拡散部長さ−筒体外径寸法」とすることを標準とするが、必ずしもこれに拘束される必要はなく、必要に応じて自由に設定してよい。
本発明により、拡散機能を有するストローを容易に製造することができる。
まず、本発明のストローの構成について説明を行うが、ここに記述する構成は本発明の構成の一例に過ぎずこれに限定されるものではない。
図1、2は拡散機能を有する本発明のストローの概観で、外径Rは約6mm、長さLは約210mm、肉厚0.16mmであり、折部15より約48mmの位置に長さ約8mmの蛇腹12が設けられるが、蛇腹12は必須要件ではなく、無くてもよい。
次に本発明のストローの作成方法について説明するが、ここに記述する方法は本発明のストローの作成方法の一例に過ぎず、使用する原材料も含め、これに限定されるものではない。
ストローの原材料となるポリプロピレンを溶融させ、ダイスの先端から押出成型で円筒状チューブに成型する。次いで円筒チューブをカッターを用い約220mmの長さに切断する。次いでストローの端部より約50mmの位置に周知の蛇腹形成方法で約10mm長さの蛇腹を形成する。蛇腹形成によりストローの長さは約210mmになる。次いでストローの端部より約15mmの位置に直径Dが3〜5mmの吸引穴14をパンチングや、熱で溶融させる等の方法により形成する。なお、穴の形成方法として、吸引穴が筒体の一部に切込み部を設け、切りこみ部を筒体内部に折り曲げて形成される穴であってもよい。図15に内側折り曲げ穴を有するストロー50を示す。内側折曲部51は穴の中心を中心としてカッターで放射状にカット線を形成させた後、穴と略同一サイズの熱した棒を挿入することで容易に形成することができる。
次いでストロー端部より9mmの範囲をヒートプレス金型で数秒間ヒートプレスして拡散部13を形成する。
また、拡散部の筒体との対向面には、図16に示すように線状溝又は線状突起54を形成させることができる。線状溝又は線状突起54はヒートプレス金型のヒートプレス面に溝形状や線状突起に対応する凸部または凹部を設けることで、容易に形成できる。また、図17に示すような複数穴又は複数突起56を形成させることができる。この場合ヒートプレス金型には複数穴又は複数突起56を形成させるための複数突起又は複数窪みを設ける必要がある。なお、図示は割愛するが、線状溝、線状突起、複数穴、複数突起は任意の組み合わせ、任意の割合で形成させることができる。
次いで、拡散部13をヒートプレス法でストロー直胴部11の軸方向に対し90度以上屈折成型する。図1、2ではヒートプレス板を用い、約120度に屈折させている。なお、この屈折工程は、直前に実施する拡散部13の形成工程と同時に実施することもできる。屈折工程を終了させて本発明のストロー10の製作は完了する。
本発明のストローを用いて液体を吸引する場合における拡散部13の機能を確認するため、図4に示す拡散部の拡散効果可視化装置を用い、吸引時におけるストロー内及び、ストロー外に吸引される液体の流動運動状態を観察した。図4に於いて、水46を収容するコップ45に本発明のストロー10を挿入する。この時、本発明のストロー10は吸引シリンダ24に設けられたストロー挿入穴29に機密に挿入されている。吸引シリンダ24は透明プラスチックで作成された容器で、内部が容易に目視観察できる。吸引シリンダ24の上部には吸引口25が設けられ、ストローを吸引する要領で吸引方向26に吸引できる。吸引時の観察は、図1、図11、図12に示す全てのストローで実施した。本発明のストロー10以外のストローは、何れも図13に示すように、開口穴17からのみ噴射し、噴射方向は穴と垂直方向のみであった。
ホットコーヒを飲食する場合の本発明のストロー10と、通常のストロー(屈曲ストロー42)との違いを3人のモニターを用いて感応試験により評価した。モニターには熱いコーヒをストローで飲むとのどを火傷するとの先入観が働き、この先入観を払拭しないと正しい評価が困難なため、本発明のストロー10の感応試験では、本発明のストロー10の使用をある程度習熟させた後に実施した。
実験は図8に示すようにコンビニで市販されている蓋付紙コップ21に収容された温度78℃〜80℃のホットコーヒ22を本発明のストロー10で飲食する場合と、通常のストローで飲食する場合の違いについて感想を聞く方法で実施した。
3人のモニター間の違いは僅かであり、概ね次に集約できた。
(2)本発明のストロー10を用いてホットコーヒを飲む場合、熱さに対する配慮や味を楽しむ点に関しては、コップから直接飲む場合と同等であるが、コップを傾斜させる必要がなく、快適且つ、スマートに飲食できる。
氷入りオレンジジュースの飲食について、実験1と同じ3人のモニターにより、実験1に引き続き実施した。3人のモニターの感想はほぼ同一で次の通りであった。
(1)吸引に対する感触は、本発明のストロー10と通常のストローとに差異はないが、強く吸引したとき本発明のストロー10ではオレンジジュースが口腔内一杯に広がるが、通常のストローではのどに直接吸い込まれ、味わう余裕もなく一機に飲み終えてしまう。オレンジジュースの味を味わう点では本発明が優れる。
野菜ジュースの入った紙パックの飲食について、次の実験を行った。
(1)図9に示すように、野菜ジュースの入った紙パック20に本発明のストロー10を挿入し、紙パック20の側面を指で押し、野菜ジュースを飛び出させる実験を行い、次いで、通常のストロー(屈曲ストロー42)に差し替え、紙パック20の側面を指で押す実験を行った。本発明のストロー10では、噴射した野菜ジュースはストローを伝って下方に流下し、手や指を汚した。しかし、通常のストローでは、野菜ジュースは上方に飛び出し、押さえる力が大きいときは周囲を汚した。
(1)人の吸引圧力の測定
拡散板の拡散効果確認実験を実施するためにまず、図18に示す吸引圧測定器
を用いて人の吸引圧力を測定する。吸引圧力測定具57は両端が閉鎖された密
閉管59に真空計65と、ストロー42を取付けたもので、吸引力の測定では
はこのストロー42を口にくわえて吸引し、この時の吸引圧力を真空計65で
読み取る。測定結果に個人差が認められるものの概ね次のようであった。
限界吸引力:-0.018 MPa
強い吸引 :-0.012 MPa
通常の吸引:-0.005 MPa
弱い吸引 :-0.003 MPa
図19は吸引時間測定装置であり、拡散部の拡散状況を可視化できる装置でも
ある。吸引時間測定装置60は減圧装置61と、圧力調整弁62と、バッファ
タンク63と、電磁弁67と、真空計65と、可視化容器66が配管64で一
体に接続され、可視化容器66の下端部に計測対象となる本発明のストロー1
0がセットされる。ストロー10の先端部は、水71が収容されている容器7
0に浸漬される。カメラ72はストローの拡散部で吸引された水が拡散される
状況を撮影するためのものである。本装置の使用に先立ち、まず、可視化容器
66のストロー挿入部をテープなどで封鎖し、減圧装置61と電磁弁67を作
動させて配管64を減圧する。このとき真空計65が示す真空度が希望する真
空度になるよう圧力調整弁62の開閉度を調整する。次の(3)に述べる測定
では、人の通常の吸引圧力に該当する-0.005 MPaに設定している。以上によ
り圧力設定弁による圧力設定を終了させ、次いで、可視化容器66底部のテー
プを剥がし、評価対象となる本発明のストロー10を挿入する。また、所定量
の水71を入れ容器70に本発明のストロー10の先端を浸漬させ吸引時間測
定装置60を作動させる。この時、所定体積の水を吸引するに要する時間を計
測する。また、吸引中の拡散部による水の拡散状況をカメラ72で撮影する。
図2に示す吸引用穴14の穴径Dと、拡散部長さMの2要因について、表1に示す9種類のサンプルを作成し、吸引時間測定装置60を用い86mlの水を吸引するに要する時間の測定を行った。結果は表1に示す通りであった。この実測データについて分散分析を行ったところ表2に示す通り、D寸法もM寸法も吸引時間に対し有意であることが判明した。M寸法をパラメータにしたD寸法と吸引時間の関係は図20に示す通りであった。
また、D寸法が大きく、M寸法が小さい場合、吸引用穴14から吸引された水の一部は反射部に衝突することなく吸引されることも確認された。
11 直胴部
12 蛇腹
13 拡散部
13a〜13f 変形拡散部
14 吸引用穴
15 折部
16 先端解放部
20 紙パック
21 紙コップ
22 ホットコーヒ
23 飛散領域
24 吸引シリンダ
25 吸引口
26 吸引方向
27 反射点
28 反射方向
29 ストロー挿入穴
30 口腔内
31 舌
34 のど
38a〜38e 味蕾
42 屈曲ストロー
45 コップ
46 水
50 内側折り曲げ穴を有するストロー
51 内側折曲部
53 線状溝又は線状突起を有する拡散部
54 線状溝又は線状突起
55 複数穴又は複数突起を有する拡散部
56 複数穴又は複数突起
57 吸引圧力測定具
59 密閉管
60 吸引時間測定装置
61 減圧装置
62 圧力調整弁
63 バッファタンク
64 配管
65 真空計
67 電磁弁
71 水
72 カメラ
Claims (4)
- 液体飲料を飲食する際に使用する筒体のストローであって、
前記筒体の一端部が閉じられて平板状の拡散部が設けられ、
前記拡散部に、前記筒体の長さ方向に対し前記筒体に対向するよう屈折された折部が設けられ、
前記筒体の前記拡散部との対向面に穴が設けられ、
前記穴の穴径が前記筒体の内径より小さく、
前記穴が前記筒体の長さ方向に対して直交する方向から見たときに、前記拡散部に覆われていることを特徴とする拡散機能を有するストロー。 - 前記拡散部の先端が面取りされてデザインされた形状であることを特徴とする請求項1に記載の拡散機能を有するストロー。
- 前記拡散部の前記筒体との対向面に線状溝、線状突起、複数の穴、複数の突起が単独又は組合されて設けられることを特徴とする請求項1又は、請求項2に記載の拡散機能を有するストロー。
- 筒体の一方の端部に筒体の内部と外部を通し、前記筒体の内径より小さな穴を形成する工程と、
前記一方の端部で且つ、前記穴より更に端部をヒートプレスにより筒体を閉じ拡散部を形成する工程と、
前記拡散部を前記筒体の長さ方向に対し前記穴に対向するよう屈折された折部を設ける工程と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の拡散機能を有するストローの製造方法。
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