JP6435564B2 - 拡散機能を有するストロー - Google Patents

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Description

本発明は、人がコップ等の容器からコーヒ、ジュースなどを飲む際に使用するストローに関する。
ジュースなど飲料の飲食には、図10に示される直胴ストロー41や、屈曲可能な蛇腹43を有する屈曲ストロー42が使用される。直胴ストロー41はポリプロピレンなどの押し出し成型で作成される断面円形の直筒ストローで、外形6mm程度のものが最も一般的である。屈曲ストロー42は直胴ストロー41の一部に蛇腹43を設け、使用の際、蛇腹を屈曲させて飲食容易な角度に調整できる。
一般に人は味蕾によって味を知覚すると言われる。図7は人の口腔内を模式的に説明する口腔内味蕾の分布説明図である。口腔内30は上あご35、下あご36、唇37、右ほほ32、左ほほ33、舌31、のど34からなり、味蕾38a〜38eは舌31と、のど34に存在する。また、味蕾の約2/3は舌31に存在し、残る1/3が口の奥に位置するのど34(正確には、のど頭蓋や軟口蓋、のど頭)に存在することが知られている。更に舌上に存在する味蕾は舌先38a、舌右側面38b、舌左側面38c、舌奥38dに分布しており、舌31の中央部には味蕾は存在しない。
人がコーヒやジュースの味覚を口腔内で味わう行為は、これら飲料を舌上に存在する味蕾38a〜38dに接触させる行為と言える。
図14は飲食者がコップ45の中の液体飲料47を屈曲ストロー42の上端部を口腔内に挿入して吸引する様子を示している。吸引する屈曲ストロー42の吸込部44の形状は円筒を切断した単純な円形であるため、ストローで吸引された液体飲料は矢印方向に吸引され、上あご35に若干接触するだけで、舌先38a、舌右側面38b、舌左側面38cに分布する味蕾と接触することなく直接のど34まで誘引される。即ち、飲食者はこれら飲料を十分味わうことなく飲食することになる。他方、特許文献1には、管体に吸い込まれた液体が、口腔内で直接のどに向かって勢いよく噴射されることのないストローの発明が開示されている。図11、図12は特許文献1の発明として開示されたストローの構成である。図11はストロー管体11の端面がシール部19で閉鎖され、側面に開口穴17が設けられたストローで、液体は開口穴17と垂直方向に噴射され直接のどに吸引されることはない。
また図12は側方に設けられた開口部18が単純な穴でなく、ストロー内にもガイドが設けられ、管体内部から外部への流通口をもつ構成になっている。この場合も液体は開口部18と垂直方向に噴射するので、直接のどに吸引されることはない。しかし、これら図11、図12の発明では、吸引される飲料の口腔内での噴射方向は特定の方向でしかなく、舌上に分布する味蕾38a〜38cの全てと均一に接触させることは困難である。
特開2004−24408
ジュースなどの低温飲料が、ガラス、プラスチック、紙などのコップで提供される場合、容器の淵に唇を直接接触させて飲食すことは、必ずしもマナーに叶った行儀作法とは考えられておらずストローを使用することが、はた目にもスマートであり一般的である。しかし、ホットコーヒの飲食ではストローの使用は困難である。理由は高温のホットコーヒをストローで吸引すると、吸引されたコーヒが熱に敏感なのどを直撃してしまう。通常は反射的に起こる人間の拒絶反応動作により吸引動作は中断されるが、吸引動作の中断が間に合わず誤って吸引してしまうとのどを火傷するからである。
従って、コンビニ、ファーストフード店や、車内販売などで提供されるカップ入りのホットコーヒの飲食では、飲食者は容器フタに唇を直接接触させ、唇と舌先で少量ずつ口腔内に流し込み十分冷却させた後に食道まで誘引する動作を自然に行っている。容器フタの吸込み口は、人が口先で吸い込み易くするための形状的な工夫はされているが、ストローを使用して吸引する動作に比べれば飲み難いことは明白である。
特許文献1の発明では、飲料の味を堪能することを目的にストローの端面を封止し、側面に開口部を設け、口腔内への噴射方向をストローの長さ方向以外の方向に誘導している。しかしこの構成のストローでもホットコーヒは口腔内の特定箇所に集中して噴射されるので、熱さは緩和されずホットコーヒの飲食は困難である。また、特許文献1のストローでジュース類を飲食する場合も吸引した飲料は特定方向にしか噴射されないので、口腔内の味蕾との接触は不十分で、ジュースの味覚を十分味わうことは困難である。
請求項1に記載の発明は、ホットコーヒや冷却されたジュースなどの液体飲料を飲食する際使用される筒体のストローである。筒体の一端部は閉じられて平板状の拡散部が設けられる。拡散部は筒体端部をヒートプレスして平板に成型しても、或いは、筒体と同じ熱軟化性樹脂材料を一体に成型して平板としてもよい。
前記拡散部は、筒体との境界を折部として筒体と対向するよう90度以上屈折させて成型される。この時の屈折角度は90度〜180度の範囲で調整される。従って拡散部は筒体の一部を覆い、筒体と対向するように屈折する。また、拡散部に覆われる筒体の表面(拡散部との対向面)には筒体内部に連通する吸引用穴が設けられる。この穴の穴径は、筒体の内径より小さく設定され、また、この穴は筒体の長さ方向に対して直交する方向から見たときに拡散部に覆われる。
本発明により、人が本ストローを口腔内に挿入し、液体飲料を吸引すると、液体飲料は吸引用穴から吸引され、拡散部で一様に飛散されて舌の全領域に噴射される。
請求項2に記載の発明は、拡散部の先端がヒートプレスにより面取りされて成型された形状、或いは、面取りを兼ねてデザインされた形状である。筒体を平面状にヒートプレスするとヒートプレス部は長方形状になって角が形成されるが、面取りした形状のヒートプレス板や様々な形状のヒートプレス板を用いることで、容易に目的形状に成型できる。
本発明により、少なくとも拡散部の角は面取りされて消失するので、口腔内に挿入されて使用される際、拡散部の角で口腔内が傷つけられることはない。また、拡散部は液体の拡散方向を制御するため単純な平面でなく、様々な形状にデザインできる。更に、拡散部は、動物の顔、花、富士山、アニメキャラクターなど様々にデザインでき、子供や大人の興味を引き付けることでストローの商品価値を高めることもできる。
請求項3に記載の発明は、拡散部の筒体との対向面に線状溝又は線状突起が設けられるので、吸引動作に吸引用穴より吸引される飲料は拡散部表面に衝突して飛散する際、線状溝や線状突起に誘導されるので、線状溝や線状突起方向に飛散量を集中させたり、分散させることができる。或いは、拡散部の筒体との対向面に複数の穴や突起が設けられるので、吸引用穴より吸引される飲料の一部を拡散板に反射させることなく直接口腔内に放出させたり、口腔内に広く拡散させることができる。
また、線状溝や線状突起と複数の穴や突起が任意に組み合わされて設けられた場合には、それぞれの効果を合わせ持たせることができる。
請求項4に記載の発明は、熱軟化性の筒体を用いた拡散機能を有するストローを製造する方法の発明であって、請求項1に記載されたストローの製造方法で、次の(1)〜(4)の工程を含んで製造される。
(1)周知の押出成型機を用い、周知の方法で所定の長さ(通常は100〜250mm)に切断された筒体を作成する。
(2)筒体の端部から所定の長さの位置に、筒体の内部と外部を通す穴を形成する。この場合、穴径は筒体の内径より小さく、また、所定の長さを「所定の長さ=拡散部長さ−筒体外径寸法」とすることを標準とするが、必ずしもこれに拘束される必要はなく、必要に応じて自由に設定してよい。
(3)筒体の拡散部とする部分をヒートプレスして筒体を閉じる。平板のヒートプレス板を用いると筒体は平板に成型される。この時、ヒートプレス温度を樹脂の溶融温度付近に設定すれば、筒体内面は溶融接着して一体化されるが、樹脂の溶融温度まで上昇させなくてもヒートプレスによる成型は可能である。また、ヒートプレス板として、面取り可能な形状等、平面以外の様々な形状にデザインされたヒートプレス板を使用してもよい。
(4)筒体と拡散部の境界を折部とし、筒体に作成した穴を内側にして拡散部を90度以上屈折させる。屈折作業には折部を樹脂の軟化温度に加熱できるプレス装置を使用する。なお、本屈折工程は(3)のヒートプレスと同時に実施してもよい。
本発明により、拡散機能を有するストローを容易に製造することができる。
拡散機能を有する本発明のストローを用いて高温のホットコーヒを飲食する場合、飲食者は吸引によりストロー内を上昇するコーヒがストローをくわえた唇部分に到達する時点で、まず唇がストロー壁を介して飲料の温度を体感できる。吸引者はこの時の体感温度に応じて吸引量を反射的に調整できる。吸引動作によりコーヒは吸引用穴から噴射し、吸引用穴を覆って屈折されている拡散部に衝突し口腔内に飛散する。これにより、コーヒは口腔内の舌の全域と、ほほの内壁に一様に広く分散する。また、分散と同時に舌及び口腔内皮膚と接触し、接触する舌や口腔内皮膚に急速に熱を奪われて皮膚温度に近づくので、適量ずつ吸引しながらのどに導くことができる。従って、本発明のストローでは口腔内皮膚の一部が集中して熱刺激を受けることも口腔内が火傷を負うことも無く、違和感なくホットコーヒを飲食できる。
他方、本発明のストローを用いてジュースなどの低温飲料を飲食する場合、吸引用穴で吸引された飲料は、吸引用穴を覆って屈折されている拡散部に衝突して口腔内に広く飛散する。これにより、飲料は舌上に分布する全ての味蕾と一様に接触し、更に飲み込む際、のどに分布する味蕾とも接触するので、飲食者はジュースの味覚を舌とのど越しの2度に渡り十分味わい尽くすことができる。
また、市販されている紙パックのジュースや牛乳などの飲料では、ストローを挿入した状態で誤って紙パック本体部を押すと、ストロー先端から内部の飲料が噴射し、衣服を汚すことがよくある。小さい子供の場合は日常茶飯事である。しかし、本発明のストローが紙パックに挿入して使用された場合、誤って紙パック本体部を押し内部の飲料を噴射させた場合であっても飲料は殆ど押した手の表面に噴射される。従って、誤って紙パック本体を押したり、掴んだりしても衣服を汚損する可能性は通常のストローに比べ格段に小さい。
本発明のストローの概観図 本発明のストローの平面図と側面図 拡散部構造の変形例 拡散部の拡散効果可視化装置 液体の衝突飛散方向 衝突後の飛散エリア 口腔内味蕾の分布説明図 紙コップでの使用 紙パックでの使用 従来ストロー 側面に開口部を有するストロー 管体内部から外部への流通口をもつストロー 先行技術ストローの液体の噴射方向 飲食者の吸引状況説明図 内側折り曲げ穴を有するストロー 線状溝又は線状突起を有する拡散部 複数穴又は複数突起を有する拡散部 吸引圧力測定具 吸引時間測定装置 吸引時間測定結果
<本発明のストローの構成>
まず、本発明のストローの構成について説明を行うが、ここに記述する構成は本発明の構成の一例に過ぎずこれに限定されるものではない。
図1、2は拡散機能を有する本発明のストローの概観で、外径Rは約6mm、長さLは約210mm、肉厚0.16mmであり、折部15より約48mmの位置に長さ約8mmの蛇腹12が設けられるが、蛇腹12は必須要件ではなく、無くてもよい。
また、拡散部13の長さMは約9mmで、吸引穴14の穴直径Dは3〜5mmで、折部15からの穴の中心位置Pは約6mmである。吸引穴14の形状は円、楕円、三角、四角、星形、任意の多角形の何れであってよい。穴14の個数も1つである必要はなく2つ以上の複数個であってよい。また、穴のサイズも3〜5mmに限定されず、5mm以上、3mm以下であってもよく、複数個とする場合は3mm以下の穴が含まれてよい。
<本発明のストローの製造方法>
次に本発明のストローの作成方法について説明するが、ここに記述する方法は本発明のストローの作成方法の一例に過ぎず、使用する原材料も含め、これに限定されるものではない。
ストローの原材料となるポリプロピレンを溶融させ、ダイスの先端から押出成型で円筒状チューブに成型する。次いで円筒チューブをカッターを用い約220mmの長さに切断する。次いでストローの端部より約50mmの位置に周知の蛇腹形成方法で約10mm長さの蛇腹を形成する。蛇腹形成によりストローの長さは約210mmになる。次いでストローの端部より約15mmの位置に直径Dが3〜5mmの吸引穴14をパンチングや、熱で溶融させる等の方法により形成する。なお、穴の形成方法として、吸引穴が筒体の一部に切込み部を設け、切りこみ部を筒体内部に折り曲げて形成される穴であってもよい。図15に内側折り曲げ穴を有するストロー50を示す。内側折曲部51は穴の中心を中心としてカッターで放射状にカット線を形成させた後、穴と略同一サイズの熱した棒を挿入することで容易に形成することができる。
次いでストロー端部より9mmの範囲をヒートプレス金型で数秒間ヒートプレスして拡散部13を形成する。
拡散部13を変形させた変形拡散部は図3に示すような内側に湾曲させた形状13a、外側に曲面させた13b、水平方向に溝を形成させた13c、平板の角を面取りした13d、動物の顔をデザインした13e、花をデザインした13f、富士山をデザインした13gなど、目的に応じた専用のヒートプレス金型を使用して形成できる。
また、拡散部の筒体との対向面には、図16に示すように線状溝又は線状突起54を形成させることができる。線状溝又は線状突起54はヒートプレス金型のヒートプレス面に溝形状や線状突起に対応する凸部または凹部を設けることで、容易に形成できる。また、図17に示すような複数穴又は複数突起56を形成させることができる。この場合ヒートプレス金型には複数穴又は複数突起56を形成させるための複数突起又は複数窪みを設ける必要がある。なお、図示は割愛するが、線状溝、線状突起、複数穴、複数突起は任意の組み合わせ、任意の割合で形成させることができる。
次いで、拡散部13をヒートプレス法でストロー直胴部11の軸方向に対し90度以上屈折成型する。図1、2ではヒートプレス板を用い、約120度に屈折させている。なお、この屈折工程は、直前に実施する拡散部13の形成工程と同時に実施することもできる。屈折工程を終了させて本発明のストロー10の製作は完了する。
<本発明のストローの流れの可視化>
本発明のストローを用いて液体を吸引する場合における拡散部13の機能を確認するため、図4に示す拡散部の拡散効果可視化装置を用い、吸引時におけるストロー内及び、ストロー外に吸引される液体の流動運動状態を観察した。図4に於いて、水46を収容するコップ45に本発明のストロー10を挿入する。この時、本発明のストロー10は吸引シリンダ24に設けられたストロー挿入穴29に機密に挿入されている。吸引シリンダ24は透明プラスチックで作成された容器で、内部が容易に目視観察できる。吸引シリンダ24の上部には吸引口25が設けられ、ストローを吸引する要領で吸引方向26に吸引できる。吸引時の観察は、図1、図11、図12に示す全てのストローで実施した。本発明のストロー10以外のストローは、何れも図13に示すように、開口穴17からのみ噴射し、噴射方向は穴と垂直方向のみであった。
本発明のストロー10は図5に示すように、吸引用穴14穴から、穴面に垂直となる吸引方向26で噴射し、拡散部13に反射点27で衝突し、反射方向28に飛散して拡散する状況が観察された。拡散部13の正面方向から観察すると、飛散方向は図6に示す飛散領域23に示すように、折部15を除くほぼ全域に広がることが確認された。本可視化実験では詳細は割愛するが、拡散部13の屈折角度や、穴14の位置、穴14の個数など、図3に示す様々な拡散部構造を適用することで拡散状態を様々にコントロールできることも確認できた。
<実験1:ホットコーヒの飲食実験>
ホットコーヒを飲食する場合の本発明のストロー10と、通常のストロー(屈曲ストロー42)との違いを3人のモニターを用いて感応試験により評価した。モニターには熱いコーヒをストローで飲むとのどを火傷するとの先入観が働き、この先入観を払拭しないと正しい評価が困難なため、本発明のストロー10の感応試験では、本発明のストロー10の使用をある程度習熟させた後に実施した。
実験は図8に示すようにコンビニで市販されている蓋付紙コップ21に収容された温度78℃〜80℃のホットコーヒ22を本発明のストロー10で飲食する場合と、通常のストローで飲食する場合の違いについて感想を聞く方法で実施した。
3人のモニター間の違いは僅かであり、概ね次に集約できた。
(1)通常のストローは、ごく僅かずつ慎重に飲めば、ストローでも飲めるが、味わいながらの飲食は困難。本発明のストローではコーヒが唇や両ほほ方向に流れるのが実感でき、のどを火傷するとの不安はないので、ストローなしでコップから直接飲む場合と同等以上の量のコーヒを吸引することができる。
(2)本発明のストロー10を用いてホットコーヒを飲む場合、熱さに対する配慮や味を楽しむ点に関しては、コップから直接飲む場合と同等であるが、コップを傾斜させる必要がなく、快適且つ、スマートに飲食できる。
<実験2:オレンジジュースの飲食実験>
氷入りオレンジジュースの飲食について、実験1と同じ3人のモニターにより、実験1に引き続き実施した。3人のモニターの感想はほぼ同一で次の通りであった。
(1)吸引に対する感触は、本発明のストロー10と通常のストローとに差異はないが、強く吸引したとき本発明のストロー10ではオレンジジュースが口腔内一杯に広がるが、通常のストローではのどに直接吸い込まれ、味わう余裕もなく一機に飲み終えてしまう。オレンジジュースの味を味わう点では本発明が優れる。
<実験3:紙パック把持実験>
野菜ジュースの入った紙パックの飲食について、次の実験を行った。
(1)図9に示すように、野菜ジュースの入った紙パック20に本発明のストロー10を挿入し、紙パック20の側面を指で押し、野菜ジュースを飛び出させる実験を行い、次いで、通常のストロー(屈曲ストロー42)に差し替え、紙パック20の側面を指で押す実験を行った。本発明のストロー10では、噴射した野菜ジュースはストローを伝って下方に流下し、手や指を汚した。しかし、通常のストローでは、野菜ジュースは上方に飛び出し、押さえる力が大きいときは周囲を汚した。
(2)紙パックの飲食では、飲み終わった後紙パックをゴミ箱に捨てる際、ストロー内に残留する僅かな液体が、紙パックを掴んだ瞬間に勢いよく噴射することが稀にある。この状況を再現した実験では、通常のストローが野菜ジュースを勢いよく上方に飛散させたのに対し、本発明のストロー10はストローを伝って下方に噴射し手を汚すに留まった。
<実験4:拡散板の拡散効果確認実験>
(1)人の吸引圧力の測定
拡散板の拡散効果確認実験を実施するためにまず、図18に示す吸引圧測定器
を用いて人の吸引圧力を測定する。吸引圧力測定具57は両端が閉鎖された密
閉管59に真空計65と、ストロー42を取付けたもので、吸引力の測定では
はこのストロー42を口にくわえて吸引し、この時の吸引圧力を真空計65で
読み取る。測定結果に個人差が認められるものの概ね次のようであった。
限界吸引力:-0.018 MPa
強い吸引 :-0.012 MPa
通常の吸引:-0.005 MPa
弱い吸引 :-0.003 MPa
(2)吸引時間測定装置
図19は吸引時間測定装置であり、拡散部の拡散状況を可視化できる装置でも
ある。吸引時間測定装置60は減圧装置61と、圧力調整弁62と、バッファ
タンク63と、電磁弁67と、真空計65と、可視化容器66が配管64で一
体に接続され、可視化容器66の下端部に計測対象となる本発明のストロー1
0がセットされる。ストロー10の先端部は、水71が収容されている容器7
0に浸漬される。カメラ72はストローの拡散部で吸引された水が拡散される
状況を撮影するためのものである。本装置の使用に先立ち、まず、可視化容器
66のストロー挿入部をテープなどで封鎖し、減圧装置61と電磁弁67を作
動させて配管64を減圧する。このとき真空計65が示す真空度が希望する真
空度になるよう圧力調整弁62の開閉度を調整する。次の(3)に述べる測定
では、人の通常の吸引圧力に該当する-0.005 MPaに設定している。以上によ
り圧力設定弁による圧力設定を終了させ、次いで、可視化容器66底部のテー
プを剥がし、評価対象となる本発明のストロー10を挿入する。また、所定量
の水71を入れ容器70に本発明のストロー10の先端を浸漬させ吸引時間測
定装置60を作動させる。この時、所定体積の水を吸引するに要する時間を計
測する。また、吸引中の拡散部による水の拡散状況をカメラ72で撮影する。
(3)吸引時間測定実験
図2に示す吸引用穴14の穴径Dと、拡散部長さMの2要因について、表1に示す9種類のサンプルを作成し、吸引時間測定装置60を用い86mlの水を吸引するに要する時間の測定を行った。結果は表1に示す通りであった。この実測データについて分散分析を行ったところ表2に示す通り、D寸法もM寸法も吸引時間に対し有意であることが判明した。M寸法をパラメータにしたD寸法と吸引時間の関係は図20に示す通りであった。
また、D寸法が大きく、M寸法が小さい場合、吸引用穴14から吸引された水の一部は反射部に衝突することなく吸引されることも確認された。
拡散機能を有する本発明のストローは吸引によりのどを詰まらせる危険がなく、幼児や病人でも安心して使用できる。拡散機能を有するストローの構成は通常の飲食で使用されるストローのみでなく、ストローの内径寸法を適正化すれば、幼児用の吸引チューブ付コップや、手の不自由な方がスープや流動食を飲食する場合にも使用できる。
10 本発明のストロー
11 直胴部
12 蛇腹
13 拡散部
13a〜13f 変形拡散部
14 吸引用穴
15 折部
16 先端解放部
20 紙パック
21 紙コップ
22 ホットコーヒ
23 飛散領域
24 吸引シリンダ
25 吸引口
26 吸引方向
27 反射点
28 反射方向
29 ストロー挿入穴
30 口腔内
31 舌
34 のど
38a〜38e 味蕾
42 屈曲ストロー
45 コップ
46 水
50 内側折り曲げ穴を有するストロー
51 内側折曲部
53 線状溝又は線状突起を有する拡散部
54 線状溝又は線状突起
55 複数穴又は複数突起を有する拡散部
56 複数穴又は複数突起
57 吸引圧力測定具
59 密閉管
60 吸引時間測定装置
61 減圧装置
62 圧力調整弁
63 バッファタンク
64 配管
65 真空計
67 電磁弁
71 水
72 カメラ

Claims (4)

  1. 液体飲料を飲食する際に使用する筒体のストローであって、
    前記筒体の一端部が閉じられて平板状の拡散部が設けられ、
    前記拡散部、前記筒体の長さ方向に対し前記筒体に対向するよう屈折された折部が設けられ、
    前記筒体の前記拡散部との対向面に穴が設けられ、
    前記穴の穴径が前記筒体の内径より小さく、
    前記穴が前記筒体の長さ方向に対して直交する方向から見たときに、前記拡散部に覆われていることを特徴とする拡散機能を有するストロー。
  2. 前記拡散部の先端が面取りされてデザインされた形状であることを特徴とする請求項1に記載の拡散機能を有するストロー。
  3. 前記拡散部の前記筒体との対向面に線状溝、線状突起、複数の穴、複数の突起が単独又は組合されて設けられることを特徴とする請求項1又は、請求項2に記載の拡散機能を有するストロー。
  4. 筒体の一方の端部に筒体の内部と外部を通し、前記筒体の内径より小さな穴を形成する工程と、
    前記一方の端部で且つ、前記穴より更に端部をヒートプレスにより筒体を閉じ拡散部を形成する工程と、
    前記拡散部を前記筒体の長さ方向に対し前記穴に対向するよう屈折された折部を設ける工程と、
    を有することを特徴とする請求項1に記載の拡散機能を有するストローの製造方法。
JP2017183755A 2016-10-27 2017-09-25 拡散機能を有するストロー Active JP6435564B2 (ja)

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