別段定義されない限り、本明細書で使用するすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、参照を明確及び容易にする目的で、特定の要素を以下に定義する。
用語「金属イオン親和性組成物」は、配位子/金属イオン錯体に結合したポリマーマトリックスを有する物質の組成物を指す。本開示の金属イオン親和性組成物は変わる可能性があり、ある場合には、配位子/金属イオン錯体を形成するために金属イオンを固定化するキレート剤、例えば、配位子を使用する。本開示のキレート剤は変わる可能性があり、多座配位子、例えば、多座キレート配位子、二座キレート配位子、三座キレート配位子、四座キレート配位子、五座キレート配位子、六座キレート配位子などとして働く薬剤が含まれる。
用語「キレート配位子」は、用語「配位子」と互換的に本明細書で使用される。場合によっては、配位子という用語は、個々の相互作用、すなわち、多座配位子とそれが結合する中心原子の間の個々の結合を指すために使用される。例えば、三座キレート配位子は、3つの配位子を有する、または中心原子、例えば金属イオンとともに3つの配位子を有する構造を形成するとみなされ得る。そのような配位子結合は可逆的であるので、例えば、キレート配位子及び中心原子が存在する環境条件を変えることによって、そのような配位子/中心原子錯体は、会合及び解離され得る。そのような錯体の中心原子は金属イオンであり得(以下により詳細に記載されている)、したがって、配位子/金属イオン錯体を形成することができる。ある場合では、そのような配位子/金属イオン錯体は、特定のタンパク質または特定のタンパク質モチーフ、例えば、金属イオン親和性ペプチドに親和性を有する。
組成物はチャージされていても、チャージされていなくてもよい。組成物は、配位子が金属イオンと錯体を形成する場合に、チャージされている。逆に、錯体は、その配位子が錯体を形成していないか、または金属イオンを含んでいないが金属イオンと錯体を形成することができる場合に、チャージされていない。
フレーズ「金属イオン源」は、金属イオンを含む物質の組成物、例えば流体組成物を指す。本明細書で使用する場合、用語「金属イオン」は、親和性ペプチドが親和性を有し、融合タンパク質の精製または固定化に使用することができる、任意の金属イオンを指す。そのような金属イオンとしては、Ni2+、Co2+、Fe3+、Al3+、Zn2+及びCu2+が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用する場合、用語「硬い金属イオン」は、酸素に対する結合優先性を示す金属イオンを指す。硬い金属イオンとしては、Fe3+、Ca2+及びAl3+が挙げられる。本明細書で使用する場合、用語「軟らかい金属イオン」は、硫黄に関する結合優先性を示す金属イオンを指す。軟らかい金属イオンとしては、Cu+ 、Hg2+及びAg+ が挙げられる。本明細書で使用する場合、用語「中間型金属イオン」は、窒素、酸素及び硫黄を配位させる金属イオンを指す。中間型金属イオンとしては、Cu2+、Ni2+、Zn2+及びCo2+が挙げられる。
本明細書で使用する場合、用語「接触させること」は、結び付ける、または一緒にすることを意味する。したがって、2つのアイテムが、例えば互いにそれぞれに接することによって、結び付けられる、または一緒にされる場合、第1のアイテムは第2のアイテムと接触している。
本明細書で使用する場合、用語「試料」は、流体組成物を指し、ある種の実施形態では、流体組成物は水性組成物である。本明細書で使用する場合、試料は、研究実験試料、例えば、研究所で生成された試料でもよい。
本明細書で使用する場合、用語「の存在下で」は、あるアイテムが存在する場合にある事象が起こることを意味する。例えば、第3の成分の存在下で2つの成分が混合される場合、3つの成分のすべてが一緒に混合される。
用語「酸化状態」は、その従来の意味で使用される。例えば、Pauling,General Chemistry(Dover Publications,NY.)(1988)を参照されたい。
用語「親和性ペプチド」、「高親和性ペプチド」及び「金属イオン親和性ペプチド」は本明細書で互換的に使用されて、金属イオンに結合するペプチド、例えば、ヒスチジンリッチペプチドまたはHATペプチドを指す。用語「アフィニティータグポリペプチド」は、例えば精製または固定化の目的で親和性ペプチドが融合した、タンパク質を含めた任意のポリペプチドを指す。
用語「ヘテロポリマー」及び「コポリマー」は本明細書で互換的に使用されて、少なくとも2つの化学種の構成単位、すなわちモノマーに由来するポリマーを指し、異なる種の構成単位が配置される方法に関して定義され得る。例えば、コポリマーは交互コポリマーでもよく、ここでは、コポリマーの各単位が1種または複数の異なる単位と交互になる(例えば、−X−Y−(X−Y−)n ...、−X−Y−Z−(X−Y−Z−)n ...など)。あるいは、コポリマーは周期コポリマーでもよく、ここでは、コポリマーの単位が反復配列で配置される(例えば、−X−X−Y−(X−X−Y−)n ...、−X−Y−Z−Z−Y−(X−Y−Z−Z−Y−)n ...、−(X−Y−X−Y−Y−X−X−X−X−Y−Y−Y−)n ...など)。周期コポリマーはブロックコポリマーでもよく、ここでは、化学種内の構成単位が同じ化学種の別のメンバーに結合している傾向がある(例えば、−(X−X−X−X−X−X−)n −(Y−Y−Y−Y−Y−Y−Y−)n ...)。コポリマーは構成単位の配列が統計的規則に従う統計コポリマーでもよく、例えば、ランダムコポリマー(例えば、コポリマー鎖に沿った任意の位置が、ポリマー全体におけるモノマーX及びYの相対量に比例して、モノマーXまたはモノマーYで占められる確率が等しい、コポリマー)、グラジエントコポリマー(例えば、コポリマーの逆末端に向かってコポリマーの特定の位置を占めるモノマーXの確率が増加または低下する、コポリマー)などである。ヘテロポリマーを構成する構成単位の化学種の数は変動し、いかなる数でもよく、例えば、ある場合には、化学種の数は、2〜20、例えば、2〜10、2〜5、2〜4、4〜10または3〜7の範囲にわたり得る。
ヘテロポリマーまたはコポリマーは「直鎖」、すなわち、単一の主鎖から成るヘテロポリマーまたはコポリマーでもよく、「分枝」、すなわち、少なくとも2つの鎖、例えば、単一の主鎖及び少なくとも1つの側鎖から成るヘテロポリマーまたはコポリマーでもよい。分枝コポリマーを構成する側鎖の数は変動し、いかなる数でもよく、例えば、ある場合には、1〜20、例えば、1〜10、1〜5、1〜3、2〜4、4〜10または3〜7の範囲にわたり得る。
本明細書で使用する場合、用語「分枝コポリマー」は、2つの異なるホモポリマー、例えば、モノマーXの主鎖ホモポリマー及びモノマーYの少なくとも1つの側鎖ホモポリマーを含むコポリマーを指すことができる。この用語は、主鎖ホモポリマー及び少なくとも1つの側鎖ヘテロポリマー、例えば、モノマーXの主鎖ホモポリマー並びにモノマーY及びZの少なくとも1つの側鎖ヘテロポリマーを含むコポリマーを指すこともできる。この用語は、主鎖ヘテロポリマー及び少なくとも1つの側鎖ホモポリマー、例えば、モノマーY及びZの主鎖ヘテロポリマー並びにモノマーXの少なくとも1つの側鎖ホモポリマーを含むコポリマーを指すこともできる。場合によっては、モノマーの化学種は、主鎖ポリマーと側鎖ポリマーとの両方に存在可能であり、例えば、モノマーXの主鎖ホモポリマー並びにモノマーX及びYの少なくとも1つの側鎖ヘテロポリマーまたはモノマーX及びYの主鎖ヘテロポリマー並びにモノマーXの少なくとも1つの側鎖ホモポリマーである。したがって、本開示の分枝したヘテロポリマーまたはコポリマーは、グラフトコポリマー、すなわち、側鎖が主鎖と構造的に異なる分枝コポリマーでもよい。
本明細書で使用する場合、用語「分枝コポリマー」は、特殊分枝コポリマーまたは特殊分枝コポリマーの組み合わせまたは非特殊分枝コポリマーと特殊な分枝コポリマーとの組み合わせも指すことができる。特殊な分枝コポリマーの非限定例としては、星型コポリマー、ブラシ状コポリマー、くし形コポリマー、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、ジャンクションブロックコポリマー、ターポリマーなどが挙げられる。
本明細書で使用する場合、用語「コポリマー」は、「ステレオブロックコポリマー」またはブロックが各ブロックのタクチシチーによって規定されるような特殊な構造が反復性モノマーから形成されるコポリマーを指すこともできる。ステレオブロックコポリマーは、ダイアド(例えば、メソダイアド及びラセモダイアド)、トリアド(例えば、イソタクチックトリアド、シンジオタクチックトリアド及びヘテロタクチックトリアド)、テトラド、ペンタドなどのブロックを含むコポリマーを含む。例えば、ある種の実施形態では、ステレオブロックコポリマーは、「ユータクチックポリマー」、すなわち、ユータクチック高分子(この場合、ユータクチック高分子の置換基はポリマー骨格に沿って連続でまたはパターンで配置される)から成るポリマーであってもよいし、「ユータクチックポリマー」を含んでもよい。ユータクチックポリマーの例としては、イソタクチックポリマー、シンジオタクチックポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、ある種の実施形態では、ステレオブロックコポリマーは、「イソタクチックポリマー」、すなわちメソダイアドから成り、イソタクチック高分子(この場合、該高分子の置換基がすべて高分子の骨格の同じ側に位置する)を含むポリマーであってもよいし、「イソタクチックポリマー」を含んでもよい。ある種の実施形態では、本開示のステレオブロックコポリマーは、「シンジオタクチック」または「シンタクチックポリマー」、すなわち、ラセモダイアドから成り、シンジオタクチック高分子(この場合、該高分子の置換基が骨格鎖に沿って位置を交互にする)を含むポリマーであってもよいし、「シンジオタクチック」または「シンタクチックポリマー」を含んでもよい。
本明細書で使用する場合、用語「ステレオブロックコポリマー」は、すなわち、1から99数パーセント(number percent)の間のメソダイアドから成り、アタクチック高分子(この場合、アタクチック高分子の置換基は骨格鎖に沿ってランダムに分布する)を含むポリマーを指してもよく、または「アタクチックポリマー」を含んでもよい。
本開示のポリマーまたはポリマーの会合と関係する定義は、当業者に一般に知られている定義であると解釈される。そのような定義は、例えば、Whelan T.(1994)Polymer technology dictionary.London:Chapman&Hallに見出すことができ、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
ポリ(酸)膜分離マトリックスを含むスピンカラムが提供される。本発明のデバイスを含むキット、及び例えば試料調製(例えばタンパク質精製)プロトコルにおけるデバイスの使用方法も提供される。
本開示の方法及びキットをより詳細に記載する前に、方法及びキットは記載される特定の実施形態に限定されず、したがって、当然ながら変わり得ることを理解されたい。本明細書で使用される術語は特定の実施形態のみを説明することを目的とし、方法及びキットの範囲が添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、制限を意図したものではないことも理解されたい。
値の範囲が提供される場合、文脈において別段明記しない限り、下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限と下限との間の各介在値、及びその定められた範囲中の任意の他の定められた値または介在値が、方法及びキット内に包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限及び下限は、そのより小さな範囲に独立に含まれ得、また、方法及びキット内に包含されるが、定められた範囲内の特に除外された任意の限界値を条件とする。定められた範囲が限界値の一方または両方を含む場合、そうした含まれる限界値のいずれかまたは両方を除く範囲も方法及びキットに含まれる。
本明細書では、ある種の範囲は、用語「約」が先行する数値を用いて示される。本明細書では、用語「約」は、それが先行する正確な数、及びその用語が先行する数に近いか、または大体その数である数に対して文字通りの支持を提供するために使用される。数が具体的に記載された数に近いか、または大体その数であるかの判定において、記載されていない近いかまたは大体の数は、それが示される文脈において、具体的に記載される数の実質的な均等物を提供する数であり得る。
別段定義されない限り、本明細書で使用するすべての技術用語及び科学用語は、本方法が属する分野の当業者が通常理解するものと同じ意味を有する。本方法及びキットの実施または試験において、本明細書に記載のものと同様または均等の任意の方法及びキットも使用することができるが、代表的な例示の方法及び材料を次に記載する。
本明細書中で引用されるすべての刊行物及び特許は、個々の刊行物または特許のそれぞれが、参照により組み込まれることが具体的に及び個々に示されるかのように、参照により本明細書に組み込まれ、刊行物が引用されるものに関連して、方法、キット及び/または材料を開示及び説明するために、参照により本明細書に組み込まれる。いかなる刊行物の引用も出願日より前のその開示に関するものであり、先行発明を理由として、本方法及びキットがそのような刊行物に先行する権利が与えられないことを認めるものとして解釈されるべきでない。さらに、提供される刊行日は実際の刊行日と異なる可能性があり、個別に確認する必要があり得る。
本明細書で使用する場合、及び添付の特許請求の範囲において、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」及び「その(the)」は、文脈において別段明記しない限り、複数の指示物を含むことに留意されたい。さらに、特許請求の範囲を、任意の随意的要素を除外するように起草され得ることに留意されたい。したがって、この記述は、請求要素の記述または「否定的な」限定の使用に関連する「単に(solely)」、「のみ(only)」などの排他的な術語の使用に対する、先行詞として働くことが意図される。
明確にするために別々の実施形態の文脈に記載されている方法及びキットのある種の特色を単一の実施形態中に組み合わせて提供することもできることが理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈に記載されている方法及びキットの様々な特色を別々にまたは任意の適切な部分的組み合わせで提供することもできる。実施形態のすべての組み合わせが本発明に具体的に包含され、そのような組み合わせが、実施可能なプロセス及び/またはデバイス/システム/キットを包含する限り、あたかもありとあらゆる組み合わせが個々に及び明確に開示されるかのように本明細書に開示される。さらに、そのような可変性を記載する実施形態に挙げられるすべての部分的組み合わせも本方法及びキットに具体的に包含され、あたかも、ありとあらゆるそのような部分的組み合わせが個々に及び明確に本明細書に開示されるように、本明細書に開示される。
本開示を読む際に当業者に明らかなように、本明細書に記載され、例示される個々の実施形態のそれぞれは、本方法及びキットの範囲または趣旨を逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特色から容易に分離することができ、またはその特色と組み合わせることができる、別々の成分及び特色を有する。任意の記載される方法は、記載される事象の順序で、または論理的に可能な任意の他の順序で行うことができる。
スピンカラム
上記で概要を述べたように、本発明の態様は、複合試料の成分を分離するように構成されたスピンカラムを含む。スピンカラムの態様は、第1端部に試料入口部を、第2端部に試料出口部を有する細長い中空構造体、及び流体が必ずポリ(酸)膜を通って流動して第1端部から第2端部に構造体を横切ることになるように細長い中空構造体中に位置するポリ(酸)膜マトリックスを含む。
ポリ(酸)膜マトリックスは変わる可能性がある。場合によっては、ポリ(酸)膜マトリックスは、多孔性膜支持体の表面に吸着しているポリ(酸)成分を含む。ポリ(酸)成分は、多孔性膜成分の表面に様々な形状を有し得る。例えば、ポリ(酸)成分は、フィルム、例えばコーティングまたは層(多層を含める)形状として、多孔性膜の表面に配置され得る。あるいは、ポリ(酸)成分は、複数のポリマーブラシとして、多孔性膜の表面に構成され得る。多孔性膜の表面は、上面、膜の細孔の表面などを含めた任意の表面でよく、場合によっては、膜のすべての表面がポリ(酸)成分と安定して結合、例えば吸着していてもよい。
フィルムとして構成されるポリ(酸)成分の形状は変わる可能性がある。例えば、場合によっては、コーティング形状に構成されるポリ(酸)フィルムは、ホモポリマーコーティングに構成され得る。ホモポリマーコーティング形状は、ホモポリマー、すなわち、単一化学種の構成単位に由来するポリマーから成り得るポリ(酸)フィルムである。ホモポリマーコーティングは、単一化学種のヘテロポリマーまたはコポリマーから成り得るポリ(酸)フィルム、すなわち、ホモ−ヘテロポリマーコーティングも含む。
ある種の実施形態では、積層形状に構成されるポリ(酸)フィルムは、ヘテロポリマーコーティングまたはヘテロポリマー積層形状に構成され得る。ヘテロポリマー積層形状は、2つ以上の異なるヘテロポリマーから成り得るポリ(酸)フィルムである。ヘテロポリマー積層形状は、少なくとも2つの異なる化学種のホモポリマー、すなわち、ヘテロ−ホモポリマーから成り得るポリ(酸)フィルムも含む。
複数のポリマーブラシ、すなわちポリ(酸)ポリマーブラシとして構成されるポリ(酸)成分の形状は、変わる可能性がある。例えば、ポリ(酸)ポリマーブラシは、ホモポリマーブラシ構造またはヘテロポリマーもしくはコポリマーブラシ構造に構成され得る。ホモポリマーブラシ構造は、ホモポリマーから成り得るポリ(酸)ポリマーブラシである。ホモポリマーブラシ構造は、単一化学種のヘテロポリマーまたはコポリマーから成り得るポリ(酸)ポリマーブラシ、すなわち、ホモ−ヘテロポリマーブラシ構造も含む。ヘテロポリマーブラシ構造は、少なくとも2つの異なる化学種のホモポリマーから成り得るポリ(酸)ポリマーブラシ、すなわち、ヘテロ−ホモポリマーブラシ構造も含む。
目的のポリ(酸)成分は、任意の好都合なホモポリマーまたはコポリマーから成るポリ(酸)フィルム及び/またはポリ(酸)ブラシを含むことができる。ホモポリマー及びコポリマー形状は変わる可能性がある。ポリ(酸)成分で使用するための特定のホモポリマーまたはコポリマーを生成するために、ホモポリマー及びコポリマーの合成を、ポリマーブロックの任意の所望の配列またはパターンをもたらすように制御することができる。
単位ブロック(例えばコポリマー中のもの)であろうと構造ブロック(例えばステレオブロックポリマー)であろうと、ポリマーブロックの所望の配列またはパターンは、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、Braun et al.(2013)Polymer Synthesis:Theory and Practice.5th ed.Springer,Ciferri A.(2005)Supramolecular Polymers,2nd ed.CRC Press:Boca Raton,FLに記載されているような、ポリマーの合成または会合の任意の好都合な方法によって達成され得る。例えば、ある種の実施形態では、ポリマーブロックの所望の配列またはパターンは、頭−尾配置で単位ブロックまたは構造ブロックを結合させることによって達成され得る。ある種の実施形態では、ポリマーブロックの所望の配列またはパターンは、頭−頭配置で単位ブロックまたは構造ブロックを結合させることによって達成され得る。ある種の実施形態では、ポリマーブロックの所望の配列またはパターンは、尾−尾配置で単位ブロックまたは構造ブロックを結合させることによって達成され得る。
ポリ(酸)フィルムは、任意の好都合な方法で合成されるポリ(酸)フィルムを含むことができる。ポリ(酸)フィルムの合成に有用な方法は様々であるが、例えば、高分子電解質と基材との間の電荷の違いによる、基材への高分子電解質の付着を介して、1種または複数の高分子電解質(すなわち、荷電基を有するホモポリマーまたはコポリマー)を固体基材上に吸着させる方法を含むことができる。ポリ(酸)フィルムの合成に有用な方法は、その後に、第1と第2の高分子電解質の間の電荷の違いによって、第2の高分子電解質を第1の高分子電解質に付着させることを含むこともできる。ある場合では、第1の高分子電解質への第2の高分子電解質の付着は、第1の高分子電解質が基材に付着した後に生じる。いくつかの実施形態では、ポリ(酸)フィルムは、単一の高分子電解質から成り得る。ある種の実施形態では、ポリ(酸)フィルムは、例えば、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上または10種以上を含めた2種以上の異なる高分子電解質から成り得る。
ポリ(酸)フィルムに使用される高分子電解質は、幅広く変わる可能性がある。例えば、場合によっては、そのような高分子電解質は、アニオン性高分子電解質またはポリアニオン、すなわち、それが付着している基材または隣接する高分子電解質と比較してより負の電荷を有する高分子電解質に相当し得る。場合によっては、そのような高分子電解質は、カチオン性高分子電解質またはポリカチオン、すなわち、それが付着している基材または隣接する高分子電解質と比較してより負の電荷を有する高分子電解質に相当し得る。特定の高分子電解質の電荷は、高分子電解質が溶解している溶液の特性、例えばpHに依存し得るので、特定の高分子電解質は、異なる溶液中で、例えば異なるpHの溶液中で、ポリアニオンまたはポリカチオンとして存在し得る。したがって、ある場合では、高分子電解質は、例えば2〜10の範囲内のpKaまたはpKbを有する弱高分子電解質、または例えば2〜10の範囲外のpKaまたはpKbを有する強高分子電解質と定義することもできる。
ポリ(酸)フィルムに使用されるアニオン性高分子電解質としては、商業的供給業者から入手可能なものが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、ある種の実施形態では、アニオン性高分子電解質は、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能なものであり、例えば、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸−co−アクリロニトリル)、ポリ(アクリル酸)、ポリアネトールスルホン酸、ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリ(4−スチレンスルホン酸)、ポリ(4−スチレンスルホン酸−co−マレイン酸)、ポリ(ビニルスルフェート)、ポリ(ビニルスルホン酸)、4−スチレンスルホン酸、ポリ−L−グルタミン酸、それらの塩などである。
ポリ(酸)フィルムに使用されるカチオン性高分子電解質としては、商業的供給業者から入手可能なものが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、ある種の実施形態では、カチオン性高分子電解質はSigma−Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能なものであり、例えば、ポリ(アリルアミンヒドロクロリド)、ポリ(ジアリルジメチル塩化アンモニウム)、ジアリルジメチルアンモニウム、ポリ(アクリルアミド−co−ジアリルジメチル塩化アンモニウム)、ポリ(2−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート)、ポリエチレンイミン、ポリ−L−グルタミン酸、8−アニリノ−1−ナフタレンスルホン酸、それらの塩などである。
ある種の実施形態では、アニオン性高分子電解質、例えばポリ(アクリル酸)(PAA)に由来するポリ(酸)フィルムは、基材、例えば多孔性支持体に、低pH、例えば2〜5の間のpH、例えばpH3〜5、例えば、pH3、pH4またはpH4.7で吸着する。ある種の実施形態では、アニオン性高分子電解質は直接的に基材に吸着し、例えば、PAAは、多孔性膜支持体に直接的に吸着し得る。いくつかの実施形態では、アニオン性高分子電解質は、例えば接着層によって間接的に基材に吸着し、例えば、PAAは、多孔性膜支持体に吸着している接着層に吸着し得る。ポリアニオンまたはポリカチオンのその後の付着を容易にするための、基材に付着させる任意の好都合な薬剤は、接着層として使用され得る。場合によっては、接着層に使用される薬剤は、多孔性膜支持体との複数の多重疎水性相互作用を形成する薬剤でもよい。接着層用薬剤は幅広く変わる可能性があるが、ある場合には、ポリ(スチレンスルホネート)(PSS)を含むことができる。
ある種の実施形態では、ポリ(酸)フィルムの積層形状は、1種または複数種の接着層用薬剤、例えばPSSを含む接着層が多孔性支持体上に最初に層にされるポリ(酸)フィルムを含むことができる。ある種の実施形態では、ポリ(酸)フィルムの積層形状は、1種または複数種のアニオン性高分子電解質、例えばPAAが、例えば接着層を使用せずに、多孔性支持体上に最初に層にされるポリ(酸)フィルムを含むことができる。ある種の実施形態では、1種または複数種のアニオン性高分子電解質を層にした後、1種または複数種のカチオン性高分子電解質、例えば、プロトン化されたポリ(アリルアミン)(PAH)、ポリエチレンイミン(PEI)などをアニオン性高分子電解質上に層にする。ある種の実施形態では、2種以上の高分子電解質の組み合わせ、例えば、PAHとPAAとの組み合わせまたはPEIとPAAとの組み合わせを、接着層を使用して、または使用せずに、多孔性支持体上に層にする。したがって、ポリ(酸)フィルムは単純なものでもよいし、複雑なものでもよい。単純なポリ(酸)フィルムは様々であるが、少数のポリ電解質層(例えば1層、2層または3層)を含むポリ(酸)フィルムを含むことができる。複雑なポリ(酸)フィルムは様々であるが、少数を超える高分子電解質層(例えば3層以上、例えば4層以上、5層以上、6層以上、7層以上、10層以上、15層以上または20層以上)を含むポリ(酸)フィルムを含むことができる。任意の所望の数または組み合わせの層を、得られるポリ(酸)フィルム中に構築することができる。
ポリ(酸)ポリマーブラシは、任意の好都合な方法で合成されたポリ(酸)ポリマーブラシを含むことができる。例えば、ポリ(酸)ポリマーブラシの合成に有用な方法としては、プラズマ重合、熱補助またはUV補助グラフト重合、ニトロオキシド媒介性重合、可逆的付加−開裂連鎖移動重合、原子移動ラジカル重合(ATRP)、表面開始ATRPなどが挙げられるが、これらに限定されない。所望の反応特性を達成するために任意の特定の方法を利用することができ、または方法の一部を組み合わせる、もしくは交換することができる。そのような所望の反応特性は変わる可能性がある。例えば、いくつかの実施形態では、所望の反応特性としては、水溶液中での重合(例えば、有機溶媒ではない溶液中での重合)、溶液重合の最小化(すなわち、非基材結合ポリマーを超える、基材結合ポリマーの重合に対する高い優先性)、ポリマー成長速度の制御、効率的なポリマー成長及び低多分散性(すなわち、小範囲のポリマーサイズ)が挙げられるが、これらに限定されない。
ある種の実施形態では、ポリ(酸)ポリマーブラシは、ATRPが基材への開始剤の付着によって開始される表面開始ATRPによって合成されるものでもよい。ある種の実施形態では、開始剤が付着する基材は多孔性膜支持体でもよい。他の実施形態では、開始剤が付着する基材は、中間基材が多孔性膜支持体に付着する前、付着している間または付着した後に、ATRPが開始される中間基材でもよい。例えば、ある種の実施形態では、開始剤は、中間基材が多孔性支持体に付着した後に、中間基材、例えばポリマープライマーに付着する。
多孔性支持体へのATRP開始剤の付着を媒介するために有用な中間基材は、幅広く変わる可能性がある。そのような中間基材は、一次基材、例えば多孔性支持体と、ポリマーの成分、例えば、開始剤またはモノマーとに同時に付着する基材である。場合によっては、中間基材はポリマーでもよい。ある場合では、接着層用薬剤を中間基材として使用することができ、例えば、PSSを中間基材として使用することができる。
開始剤は変わる可能性があり、重合、例えばラジカル重合、例えばATRPを開始することができる、いかなる好都合な開始剤でもよい。目的の重合開始剤は、商業的供給業者、例えば、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能なものが挙げられるが、これらに限定されない。ラジカル重合開始剤としては、その開示が参照により本明細書に組み込まれるDenisov et al.(2005)Free Radical Initiators.John Wiley & Sons:New Jerseyに開示されているラジカル重合開始剤が挙げられるが、これらに限定されない。ある種の実施形態では、ラジカル重合開始剤は、シラン開始剤、例えばトリクロロシランを含むこともできる。
ポリ(酸)成分を構築するために使用されるATRP開始剤の例としては、ビス[2−(2′−ブロモイソブチリルオキシ)エチル]ジスルフィド、ビス[2−(2−ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシル]ジスルフィド、2−ブロモイソ酪酸無水物、α−ブロモイソブチリルブロミド、2−(2−ブロモイソブチリルオキシ)エチルアクリレート、2−(2−ブロモイソブチリルオキシ)エチルメタクリレート、tert−ブチルα−ブロモイソブチレート、3−ブチニル2−ブロモイソブチレート、ジペンタエリトリトールヘキサキス(2−ブロモイソブチレート)、ドデシル2−ブロモイソブチレート、エチルα−ブロモイソブチレート、エチレンビス(2−ブロモイソブチレート)、2−ヒドロキシエチル2−ブロモイソブチレート、1−(DL−1,2−イソプロピリデングリセリル)2−ブロモイソブチレート、メチルα−ブロモイソブチレート、オクタデシル2−ブロモイソブチレート、ペンタエリスリトールテトラキス(2−ブロモイソブチレート)、1−(フタルイミドメチル)2−ブロモイソブチレート、ポリ(エチレングリコール)ビス(2−ブロモイソブチレート)、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル2−ブロモイソブチレート、プロパルギル2−ブロモイソブチレート、1,1,1−トリス(2−ブロモイソブチリルオキシメチル)エタン10−ウンデセニル2−ブロモイソブチレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
ある種の実施形態では、マクロ開始剤を形成するために、開始剤を、ポリマーの1つまたは複数の単位、例えば、単位ブロック、モノマーまたはマクロモノマーにさらに結合する。マクロ開始剤を構築する方法は様々であり、ある場合には、ポリマーは開始剤、例えばATRP開始剤で変性される後重合でもよく、または他の場合では、ポリマーは開始剤、例えばATRP開始剤で共重合されてもよい。マクロ開始剤を形成するために、ポリマーの任意の好都合な単位を開始剤の組み込み部位として使用することができる。適切な開始剤を、形成されるポリマーの任意の所望の数パーセンテージでマクロ開始剤に組み込むことができ、この場合、開始剤の組み込みのパーセンテージが高いほど、その後の重合速度が高くなり、例えばポリマー密度が高くなり、開始剤の組み込みのパーセンテージが低いほど、その後の重合速度が低くなり、例えば、ポリマー密度が低くなる。例えば、場合によっては、開始剤、例えばATRP開始剤は、マクロ開始剤において1〜50%の範囲で、例えば、1〜30%、10〜40%、10〜30%、1〜20%、15〜25%または10〜20%で存在し得る。
ある場合では、マクロ開始剤は、カチオン性及びアニオン性のポリマー、例えばカチオン性高分子電解質またはアニオン性高分子電解質に結合した開始剤を含むことができる。例えば、マクロ開始剤は、開始剤、例えば、2−(2−ブロモイソブチリルオキシ)エチルアクリレート(BIEA)(カチオン性ポリマー、例えば、2−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAEMA)に結合している)を含むことができる。場合によっては、反応性を改善するためにマクロ開始剤をさらに修飾することができ、修飾されたマクロ開始剤を形成するために、例えば、マクロ開始剤をさらに修飾することができ、例えばアルキル化剤でアルキル化することができ、例えばメチル化剤でメチル化することができ、例えば、ポリ(DMAEMA−co−BIEA)をヨウ化メチルでアルキル化して、修飾されたマクロ開始剤、ポリ(2−トリメチルアンモニウムヨージド)エチルメタクリレート−co−BIEA)(TMAEMA−co−BIEA)を生成することができる。場合によっては、ポリ(酸)成分のマクロ開始剤または修飾されたマクロ開始剤を、多孔性支持体に直接的に付着させる。他の場合では、マクロ開始剤または修飾されたマクロ開始剤を、介在性の層または基材、例えば接着層または中間基材を使用して多孔性スポーツに付着させる。
本発明の実施形態で使用されるポリ(酸)の層及びブラシとしては、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、Jain et al.,“Protein Purification with Polymeric Affinity Membranes Containing Functionalized Poly(acid)Brushes”,Biomacromolecules(April 12,2010):11:1019−1026;Anuraj et al.,“An All Aqueous Route to Polymer Brush−Modified Membranes with Remarkable Permeabilities and Protein Capture Rates”、J.Memb.Sci.(February 1,2012)389:117−125;Bhattacharjee et al.,“Formation of High−Capacity Protein−Adsorbing Membranes Through Simple Adsorption of Poly(acrylic acid)−Containing Films at Low pH”,Langmuir(May 1,2012):28:6885−6892;Jain et al.,“Completely Aqueous Procedure for the Growth of Polymer Brushes on Polymeric Substrates”,Langmuir(2007)23:11360−11365に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。その開示が参照により本明細書に組み込まれるUS20130244338に公開されたポリ(酸)膜も対象となる。
ポリ(酸)成分に加えて、マトリックスは多孔性膜支持体をさらに含む。膜の多孔性は、所望により変えることができる。例えば、膜を通る高い流量が所望される実施形態では、高多孔性の膜を使用することができ、または膜の剛性が所望される実施形態では、低多孔性の膜を使用することができる。膜の細孔の平均細孔サイズも所望により変えることができ、例えば、0.2〜20μmの直径の範囲にわたってもよく、例えば、0.2〜0.4μm、0.2〜0.5μm、0.3〜0.5μm、0.3〜0.6μm、0.2〜1μm、0.5〜1μm、0.7〜1.5μm、0.9〜1.3μm、1〜10μm、1〜5μm、1〜3μm、1〜2μm、2〜5μm、2〜4μm、3〜5μmまたは4〜5μmが含まれる。場合によっては、膜の平均細孔サイズは、膜に接着したポリ(酸)成分のサイズに基づいて選択することができる。例えば、より小さなポリ(酸)成分、例えば小さなポリ(酸)フィルムが、より小さな平均細孔サイズ、例えば1.2μmを含めた例えば1〜2μmの直径を有する膜に接着する場合が使用され得る。他の場合では、より大きなポリ(酸)成分、例えば大きなポリ(酸)ブラシが、大きな平均細孔サイズ、例えば5μmを含めた例えば3〜6μmの直径を有する膜に接着する場合が使用され得る。大きなポリ(酸)成分の使用は、大きな平均細孔サイズを有する膜の使用を必要とする場合もあるし、必要としない場合もある。例えば、場合によっては、大きなポリ(酸)成分を、小さな平均細孔サイズの膜とともに使用することができる。同様に、場合によっては、小さなポリ(酸)成分を、大きな平均細孔サイズの膜とともに使用することができる。
平均細孔サイズは、膜の細孔のサイズの算術平均を指す。細孔サイズ、例えば、細孔径または細孔容積の任意の好都合な標準的測定値を、平均細孔サイズを計算するために使用することができる。場合によっては、平均細孔サイズは、代表的な試料または代表的な数の細孔のサイズを直接的に測定することによっても決定することができ、膜の平均細孔サイズを決定するために、必ずしも膜のすべての細孔を測定する必要はない。場合によっては、平均細孔サイズは、対象の膜の機能的特性を測定し、既知の平均細孔サイズの参照用の膜で測定される同じ機能的特性の測定値に基づいて細孔サイズを推定することによって、間接的に決定することができる。こうした間接的な方法はまた、平均細孔サイズを正確に決定するために、細孔分布または細孔密度を考慮する必要があり、ある場合には、これらを測定する必要がある。細孔サイズ及び細孔分布は、限定されないが、バブルポイント法、水銀ポロシメトリー、サーモポロメトリー、パームポロメトリー、吸収法、液体または気体輸送に基づく方法、顕微鏡法(例えば、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡など)を含めた任意の好都合な方法によって測定することができる。そのような方法としては、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、Khulbe et al.(2008)Synthetic polymeric membranes:characterization by atomic force microscopy.Berlin:Springerに記載及び概説されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
多孔性膜支持体は、限定されないが、ポリマー材料、例えば、ナイロン、プラスチックなどを含めた様々な材料から構成され得る。ある種の実施形態では、多孔性膜支持体としてポリアミドを使用することができる。本開示の膜として有用なポリアミドは変わる可能性があり、天然起源でもよいし、合成品でもよい。ある種の実施形態では、ポリアミド膜はナイロン膜である。ナイロン膜は、ヒドロキシル化されていてもよいし、ヒドロキシル化されていなくてもよい。ある場合では、ヒドロキシル官能化膜を形成するために、ヒドロキシル化されていない膜、例えばヒドロキシル化されていないナイロン膜の表面基、例えば表面アミド基を、活性な表面基への変換によって活性化することができ、例えば、N−メチロールポリアミド(ナイロン−OH)表面基へのヒドロキシル化されていないナイロン膜の表面アミド基の変換である。任意の好都合な材料を多孔性膜支持体中で使用することができ、これには、スルホン含有ポリマー、例えばポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど、フルオロポリマー、例えばフッ化ポリビニリデンなど、セルロースポリマーなどのような非限定例が含まれる。本明細書に記載のように、多孔性膜支持体の材料は、有機溶媒中で安定な材料に限定されず、例えば、通常は有機溶媒中で溶解または解離する材料も、水性会合を使用して、多孔性膜支持体中で使用することができる。
所望の場合、ポリ(酸)マトリックスは、親和性要素をさらに含むことができる。親和性要素は、あるカテゴリーの分子または特異的な分子に結合親和性を示す要素または成分である。ある場合には、親和性要素は、非特異的親和性要素、例えば、あるカテゴリーの分子に結合するそうした親和性要素と定義され得、または場合によっては、特異的な親和性要素、例えば、特異的な分子に結合するそうした親和性要素と定義され得る。
場合によっては、親和性要素は、非特異的親和性要素、例えば金属イオンと錯体形成した金属イオンキレート配位子(これは、例えば、所与の試料において任意の適切なタグ付きタンパク質に結合する)である。金属イオンと錯体形成した金属イオンキレート配位子は、配位子及び金属イオンに関して変わる可能性がある。目的の配位子の例としては、イミノ二酢酸(IDA)、ニトリロ酢酸(NTA)、カルボキシメチル化アスパラギン酸(CM−Asp)、トリス(2−アミノエチル)アミン(TREN)及びトリス−カルボキシメチルエチレンジアミン(TED)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの配位子は、それぞれの金属イオンと、最大で三座(IDA)、四座(NTA、CM−Asp)及び五座(TED)までの錯体をもたらす。様々な異なる種類の金属イオンが、対象化合物の配位子と錯体形成することができる。目的の金属イオンは、求核部分に対するそれらの優先的な反応性に基づいて、異なるカテゴリー(例えば、硬い、中間型及び軟らかい)に分けることができる。目的の硬い金属イオンとしては、Fe3+、Ca2+及びAl3+などが挙げられるが、これらに限定されない。目的の軟らかい金属イオンとしては、Cu+ 、Hg2+及びAg+ などが挙げられるが、これらに限定されない。目的の中間型金属イオンとしては、Cu2+、Ni2+、Zn2+及びCo2+などが挙げられるが、これらに限定されない。ある種の実施形態では、配位子によってキレート化される金属イオンはCo2+である。ある種の実施形態では、配位子によってキレート化される目的の金属イオンはFe3+である。さらなる目的の金属イオンとしては、ランタニド、例えばEu3+、La3+、Tb3+、Yb3+などが挙げられるが、これらに限定されない。
ある種の実施形態では、親和性要素はアスパラギン酸基を含み、アスパラギン酸ベースの金属イオン親和性要素と称され、この場合、そのような組成物は、アスパラギン酸、例えば、L−アスパラギン酸から合成される構造を含む。アスパラギン酸ベースの金属イオン親和性要素は、アスパラギン酸ベースの配位子/金属イオン錯体、例えば四座アスパラギン酸ベースの配位子/金属イオン錯体を含み、この場合、金属イオン錯体は、タンパク質、例えば、金属イオン親和性ペプチドでタグ付けされたタンパク質に対して親和性を有する。場合によっては、本開示のアスパラギン酸ベースの組成物は、金属イオンと相互作用することができる、すなわち金属イオンをキレート化することができる4つの配位子を有する構造を含み、その結果、金属イオンは安定するが、配位子の環境条件に応じて、可逆的に配位子と結合する。
ある種の実施形態では、非特異的親和性要素は、タンパク質タグ、例えばエピトープタグ、または基質タグ、例えば化学的タグに直接結合するタグ結合親和性要素を含む。タグ結合親和性要素はタグに関して変わる可能性がある。
例えば、場合によっては、タグは、ポリペプチドエピトープタグ、例えばFLAGエピトープでもよく、タグ結合親和性要素は、ポリペプチド、例えば、ポリペプチドエピトープタグに直接結合する抗体、例えば抗FLAG抗体でもよい。ポリペプチドエピトープタグに結合する抗体としては、抗FLAG抗体、抗Hisエピトープタグ抗体、抗HAタグ抗体、抗Mycエピトープタグ抗体、抗GSTタグ抗体、抗GFPタグ抗体、抗V5エピトープタグ抗体、抗6×Hisタグ抗体、抗6×HNタグ抗体などが挙げられるが、これらに限定されない。そのような抗体は商業的供給業者から、例えば、Clontech(Mountain View,CA)、Thermo Scientific(Rockford,IL)などから入手可能である。
他の場合では、タグは、結合パートナーと直接結合する化学的基質でもよい。化学的基質は、1種または複数種の結合パートナーを有する任意の好都合な化学的基質でもよい。例えば、化学的基質はビオチンでもよく、それにより、タグ結合親和性要素は、ビオチンの任意の結合パートナー、例えば、アビジン、ストレプトアビジン、抗ビオチン抗体などでもよい。化学的基質に結合するタグ結合親和性要素のさらなる例としては、抗西洋ワサビペルオキシダーゼ抗体、抗ジゴキシゲニン抗体、抗アルカリホスファターゼ抗体、抗フルオレセインイソチオシアネート抗体、抗テトラメチルローダミン抗体などが挙げられるが、これらに限定されない。そのようなタグ結合親和性要素は、商業的供給業者から、例えば、Thermo Scientific(Rockford,IL)、Life Technologies(Carlsbad,CA)、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)などから入手可能である。
場合によっては、親和性要素は特異的な親和性要素である。特異的な親和性要素は、目的の分析物に対して特異的な親和性を有する要素である。特異的な親和性要素は変わる可能性があり、この場合、そのような要素の例としては、抗体、例えば、モノクローナルもしくはポリクローナル抗体、またはその結合断片が挙げられるが、これらに限定されない。特異的な親和性要素は、一般に使用されるタグ、例えばタンパク質エピトープタグに結合する親和性要素を特に除外し、したがって、本明細書に記載の非特異的親和性要素と異なる。特異的な親和性要素の開発方法及び使用方法は、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、Harlow & Lane(1999)Using Antibodies:A laboratory manual.Cold Spring Harbor Press:Cold Spring Harbor, NY and Shepherd & Dean(2000)Monoclonal antibodies-practical approach.Oxford University Press:Oxford,UKに記載されている。
スピンカラムのポリ(酸)マトリックスは、所望により、単一の膜または例えば互いに積層された2つ以上の別々の膜、例えば、3つ以上、4つ以上、5つ以上の膜から構成され得る。ある種の実施形態では、積層された膜をスペーサーで分離することができる。膜スペーサーの形状は幅広く変わる可能性があり、中空スペーサー、固体スペーサー、多孔性スペーサー、液体スペーサー、ゲルスペーサー、線維スペーサー、ポリマースペーサーなどが挙げられるが、これらに限定されない。ポリ(酸)マトリックスの寸法は変わる可能性があり、マトリックスは、スピンカラムの容積の一部を占めるように構成されてもよく、そうした部分は、0.1%〜100%(例えば、0.1%〜0.5%、0.1%〜0.3%、0.2%〜0.3%、0.1%〜1%、0.1%〜10%、1%〜10%、1%〜50%、5%〜100%、10%〜100%、25%〜100%、50%〜100%、75%〜100%が含まれ、及びスピンカラムの全容積が含まれる)の範囲にわたって変わる可能性がある。ポリ(酸)マトリックスがスピンカラムの容積の一部のみを占める場合は、ポリ(酸)マトリックスは、任意の所望の位置、例えば、中央、または端部の一方、例えば試料出口部が位置する第2端部の近位に位置し得る。
ポリ(酸)マトリックスに加えて、スピンカラムは、第1端部に試料入口部を、第2端部に試料出口部を有する、細長い中空構造体を含む。この構造体は、任意の所望の形状を有してもよく、場合によっては、構造体はチューブとして構成される。構造体の容積は変わる可能性があり、場合によっては、細長い構造体は、1μL以上、例えば5μL以上(10、25、50または75μL以上がまれる)の容積を有し、場合によっては、容積は1mL以上、例えば5mL以上(10、25、50、100、250、500、750mLまたはそれ以上、1Lまで、またはそれ以上が含まれる)であり、場合によっては、容積は1μL〜1Lの範囲にわたる。
前述のように、細長い構造体は、第1端部に試料入口部を、第2端部に試料出口部を含む。試料入口部及び試料出口部のそれぞれの寸法は、同じでもよいし、異なっていてもよく、場合によっては、試料入口部の最も長い寸法、例えば直径は試料出口部のものよりも、例えば、5、10、15、20、25、50、75または100%またはそれ以上長い。
細長い構造体は、限定されないが、ポリマー材料、例えばプラスチックを含めた、任意の好都合な材料から加工することができ、この場合、所望により、材料は不透明でもよいし、透明でもよい。細長い構造体の製作に有用な材料としては、限定されないが、研究及び産業環境で一般に使用されるポリマー材料、例えば、プラスチック、樹脂などが挙げられ、これらに限定されないが、アセタール、環状オレフィンコポリマー、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(Halar(登録商標))、エチレン−テトラフルオロエチレン(Tefzel)、フッ化エチレンプロピレン(Teflon(登録商標))、フッ化ポリエチレン、耐衝撃性ポリスチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、修飾ポリフェニレンエーテル、Permanox、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートコポリマー、ポリフルオロアルコキシ(Teflon(登録商標))、ポリメチルメタクリレート(アクリル性)、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリプロピレンコポリマー、ポリスチレン、ポリスルホン、フッ化ポリビニリデン、ResMer(登録商標)、スチレンアクリロニトリル、テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン(Teflon(登録商標))、Thermanox、熱可逆性エラストマー、熱可逆性ポリエステルウレタン、Tritan(登録商標)などが含まれる。
細長い構造体の寸法は幅広く変わる可能性があり、様々な因子に基づいてこの寸法を選択することができる。例えば、ある種の実施形態では、その後に細長い構造体内に取り付けられるポリ(酸)マトリックスの最大結合能に基づいて、細長い構造体の寸法を選択することができる。場合によっては、細長い構造体の寸法は、試料中の予想される量の標的タンパク質が、ポリ(酸)マトリックスの最大結合能にほぼ等しい、例えば、その結合能の98%以内、95%以内、90%以内であるような、ある容積の試料の装填をもたらす。ある場合では、細長い構造体の寸法は、試料中の予想される量の標的タンパク質が、ポリ(酸)マトリックスの最大結合能を超える、例えば、その最大結合能よりも1.5倍多い、2倍多い、3倍多い、5倍多い、10倍多いような、ある容積の試料の装填をもたらす。さらに他の実施形態では、細長い構造体の寸法は、試料中の予想される量の標的タンパク質が、ポリ(酸)マトリックスの最大結合能よりも少ない、例えば、その最大結合能よりも1.5倍少ない、2倍少ない、3倍少ない、5倍少ない、10倍少ないような、ある容積の試料の装填をもたらす。
細長い構造体の寸法スケールを、タンパク質生成の所望の適用スケールに従って、変更することができる。例えば、細長い構造体の寸法スケールを、これが、研究スケールのタンパク質量を含む試料を加えるために十分な量のスペースと、研究スケールのタンパク質量、例えばナノグラム量、例えば0.5ng〜500ngを分離するために十分な量のポリ(酸)マトリックスとの両方を封入するために十分であるように変更することができる。
ある種の実施形態では、細長い構造体の寸法スケールを、これが、スクリーニングスケールのタンパク質量を含む試料を加えるために十分な量のスペースと、スクリーニングスケールのタンパク質量、例えばマイクログラム量、例えば0.5μg〜500μgを分離するために十分な量のポリ(酸)マトリックスとの両方を封入するために十分であるように変更することができる。
ある種の実施形態では、細長い構造体の寸法スケールを、これが、バッチスケールのタンパク質量を含む試料を加えるために十分な量のスペースと、バッチスケールのタンパク質量、例えばミリグラム量、例えば0.5mg〜100mg(例えば1mg〜50mgが含まれる)を分離するために十分な量のポリ(酸)マトリックスとの両方を封入するために十分であるように変更することができる。
ある種の実施形態では、細長い構造体の寸法スケールを、これが、パイロットスケールのタンパク質量を含む試料を加えるために十分な量のスペースと、パイロットスケールのタンパク質量、例えば、ミリグラムからグラム量、例えば、100mg〜10g(例えば500mg〜5g及び1g〜10gが含まれる)を分離するために十分な量のポリ(酸)マトリックスとの両方を封入するために十分であるように変更することができる。
ある種の実施形態では、細長い構造体の寸法スケールを、これが、プロセススケールのタンパク質量を含む試料を加えるために十分な量のスペースと、プロセススケールのタンパク質量、例えば、グラムからキログラム量、例えば、10g〜1kg(例えば50g〜500g、100g〜500g及び500g〜1kgが含まれる)を分離するために十分な量のポリ(酸)マトリックスとの両方を封入するために十分であるように変更することができる。
本開示のスピンカラムによって分離され得る幅広いタンパク質量を考慮すれば、試料の添加に十分な量のスペースと試料からタンパク質を分離するために十分な量のポリ(酸)マトリックスとの両方を封入するために十分である、細長い構造体の実際の長さ及び直径寸法は、例えば、ミリメートルからメートルまで、大きく変わる可能性がある。例えば、研究スケール、スクリーニングスケール、バッチスケール、パイロットスケール及びプロセススケール用途での使用に適する細長い構造体の長さは、それぞれ、5mm〜500mm、例えば、5mm〜40mm、40mm〜80mm、80mm〜110mm、90mm〜200mm及び200mm〜1mの範囲にわたる可能性があり、並びに、ある場合には、そうした範囲にわたり、直径は、3mm〜15mm、10mm〜20mm、15mm〜30mm、30mm〜100mm及び90mm〜500mmの範囲にわたる可能性がある。
本明細書の他の個所で開示されるように、ある場合では、タンパク質が分離または精製される試料を予め濃縮することができ、例えば、水、培地、バッファまたは他の試料構成物を試料から除去し、したがって、本開示のデバイスに試料を装填するより前に標的タンパク質の相対濃度を増大させることができる。ある場合では、そのような濃縮によって、大量のタンパク質、例えば、バッチスケール量、パイロットスケール量、プロセススケール量などを記載される寸法の細長い構造体に装填することが可能になる。さらに他の実施形態では、多量のタンパク質、例えば、バッチスケール量、パイロットスケール量、プロセススケール量などの、そのような大量を結合することができるポリ(酸)マトリックスへの結合を介して大量のタンパク質を分離または精製するために、記載される寸法の細長い構造体への試料の複数添加が使用され得る。
本開示の細長い構造体の実際の形状及び寸法は幅広く変わる可能性があり、場合によっては、産業用遠心機に適合するように構成された、例えば、従来の実験用または産業用遠心機の従来のローターに適合するように構成された、実質的に円筒形のチューブを含むことができる。そのようなローターは、例えば、商業的供給業者、例えばBeckman Coulter(Indianapolis,IN)、Eppendorf(Hamburg,Germany)、Thermo Scientific(Rockford,IL)などから入手可能なものでもよい。例えば、そのようなローターは、その開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Thermo Fisher Scientific(Rockford,IL)から入手可能なThermo Scientific Rotor Guide(2011)、Beckman Coulter(Indianapolis,IN)から入手可能なHigh−Performance and High−Capacity Centrifuges(2008)catalog及びEppendorf(Hamburg,Germany)から入手可能な2014/15Eppendorf Products Catalog:Liquid Handling,Sample Handling,and Cell Handlingに記載されているもの、またはこれらに記載されているものと類似しているものでもよい。
ある種の実施形態では、細長い構造体は、微量遠心機として当技術分野で知られている遠心機において、小容積、例えば2mL以下を遠心分離するために使用される従来のローターに適合するように構成され得る。例えば、場合によっては、細長い構造体は、例えば40mm以下の長さ及び11mm以下の直径の、1.5mLまたは2.0mLのチューブ用に構成される従来のローターに適合するように構成され得る。他の実施形態では、細長い構造体は、例えば30mm以下の長さ及び8mm以下の直径の、0.5mLのチューブ用に構成される、従来のローターまたは従来のローターアダプタに適合するように構成され得る。
ある種の実施形態では、細長い構造体は、汎用または多目的遠心機として当技術分野で知られている遠心機において、例えば2mL〜50mLの媒質量を遠心分離するために使用される、従来のローターに適合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、細長い構造体は、例えば75mm以下の長さ及び12mm以下の直径の5mLのチューブ用に構成される、従来のローターまたは従来のローターアダプタに適合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、細長い構造体は、例えば、100mm以下の長さ及び18mm以下の直径の13mLまたは14mLのチューブ用に構成される、従来のローターまたは従来のローターアダプタに適合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、細長い構造体は、例えば120mm以下の長さ及び17mm以下の直径の15mLのチューブ用に構成される、従来のローターまたは従来のローターアダプタに適合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、細長い構造体は、例えば115mm以下の長さ及び30mm以下の直径の50mLのチューブ用に構成される、従来のローターまたは従来のローターアダプタに適合するように構成され得る。
ある種の実施形態では、細長い構造体は、大容量遠心機として当技術分野で知られている遠心機において、例えば50mLを越える大容積を遠心分離するために使用される、従来のローターに適合するように構成され得る。汎用または多目的遠心機は大容積を遠心分離するようにも構成され得る。いくつかの実施形態では、細長い構造体は、例えば121mm以下の長さ及び38mm以下の直径の85mLまたは100mLのボトル用に構成される、従来のローターまたは従来のローターアダプタに適合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、細長い構造体は、例えば137mm以下の長さ及び62mm以下の直径の225mLまたは250mLのボトル用に構成される、従来のローターまたは従来のローターアダプタに適合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、細長い構造体は、例えば136mm以下の長さ及び98mm以下の直径の400mLまたは500mLのボトル用に構成される、従来のローターまたは従来のローターアダプタに適合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、細長い構造体は、例えば150mm以下の長さ及び104mm以下の直径の750mLボトル用に構成される、従来のローターまたは従来のローターアダプタに適合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、細長い構造体は、例えば189mm以下の長さ及び98mm以下の直径の1Lボトル用に構成される、従来のローターまたは従来のローターアダプタに適合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、細長い構造体は、2Lボトル用に構成される、従来のローターまたは従来のローターアダプタに適合するように構成され得る。
ある種の実施形態では、細長い構造体は、収集チューブの内側に設置されるように構成された、実質的に円筒形のチューブとして構成される。収集チューブは変わる可能性があり、細長い構造体に適合するように特別に設計されてもよいし、細長い構造体に適合する任意の従来の実験用チューブでもよい。例えば、従来の実験用または産業用遠心機に適合するように構成された従来の実験用チューブ、例えば実験用チューブとしては、0.5mL微量遠心チューブ、1.5mL微量遠心チューブ、2.0mL微量遠心チューブ、5mL遠心チューブ、13mL遠心チューブ、15mL遠心チューブ、50mL遠心チューブが挙げられるが、これらに限定されない。そのような従来の実験用または産業用遠心チューブとしては、例えばEppendorf(Hamburg,Germany)、BD Biosciences(San Jose,CA)、Thermo Fisher Scientific(Rockford,IL)などから市販されているものが挙げられる。例えば、場合によっては、細長い構造体は、例えば9.8mm以下の直径、39mm以下の長さ(例えば、5mm〜33mmの長さ)で、9.9mm以上の直径の上部リップを有する、または有さない2.0mL収集チューブに適合するように構成され得る。場合によっては、細長い構造体は、例えば9.8mm以下の直径、38mm以下の長さ(例えば、5mm〜20mmの長さ)で、9.9mm以上の直径の上部リップを有する、または有さない1.5mL収集チューブに適合するように構成され得る。場合によっては、細長い構造体は、例えば6.7mm以下の直径、29mm以下の長さ(例えば、5mm〜17mmの長さ)で、6.7mm以上の直径の上部リップを有する、または有さない0.5mL収集チューブに適合するように構成され得る。場合によっては、細長い構造体は、例えば17mm以下の直径、65mm以下の長さで、17mm以上の直径の上部リップを有する、または有さない5mL収集チューブに適合するように構成され得る。場合によっては、細長い構造体は、例えば17mm以下の直径、125mm以下の長さで、17mm以上の直径の上部リップを有する、または有さない15mL収集チューブに適合するように構成され得る。場合によっては、細長い構造体は、例えば31mm以下の直径、121mm以下の長さで、31mm以上の直径の上部リップを有する、または有さない50mL収集チューブに適合するように構成され得る。
ある種の実施形態では、細長い構造体は、収集ボトルの内側に設置されるように構成された、実質的に円筒形のチューブとして構成される。収集ボトルは変わる可能性があり、細長い構造体に適合するように特別に設計されてもよいし、細長い構造体に適合する任意の従来の実験用ボトルでもよい。例えば、従来の実験用または産業用遠心機に適合するように構成された従来の実験用ボトル、例えば実験用ボトルとしては、100mLボトル、175mL〜225mLの円錐形ボトル、250mL平底ボトル、400mLボトル、500mLボトル、750mLボトル、1Lボトル、1.5Lボトル、2Lボトルなどが挙げられるが、これらに限定されない。そのような従来の実験用または産業用遠心ボトルとしては、例えばEppendorf(Hamburg,Germany)、BD Biosciences(San Jose,CA)、Thermo Fisher Scientific(Rockford,IL)などから市販されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
ある種の実施形態では、細長い構造体は、マルチウェルプレートのウェルの内側に設置されるように構成された、実質的に円筒形のチューブとして構成される。いくつかの実施形態では、マルチウェルプレートは、上記のチューブのうちの1つ、例えば0.5mL収集チューブ、1.5mL収集チューブまたは2mL収集チューブ中に設置されるように構成された細長い構造体を受け入れるように構成され得る。他の実施形態では、細長い構造体は、特定のマルチウェルプレートのウェルの内側に設置されるように特に構成される。マルチウェルプレートは変わる可能性があり、細長い構造体に適合するように特別に設計されてもよいし、細長い構造体に適合する任意の従来の実験用マルチウェルプレートでもよい。例えば、従来の実験用または産業用遠心機または遠心機用ローターまたは遠心機用ローターインサートに適合するように構成された従来の実験用マルチウェルプレート、例えば実験用マルチウェルプレートとしては、96ウェルプレート、384ウェルプレート、1536ウェルプレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。そのような従来の実験用または産業用マルチウェルプレートとしては、例えばSigma−Aldrich(St.Louis,MO)、Eppendorf(Hamburg,Germany)、BD Biosciences(San Jose,CA)、Thermo Fisher Scientific(Rockford,IL)などから市販されているものが挙げられる。いくつかの実施形態では、特定のマルチウェルプレートとの細長い構造体の十分な結合を維持するために、補足的な付属品、例えば保持器、ジグ、連結器などが提供され得る。
ある種の実施形態では、細長い構造体は、例えば、市販のチューブまたはスピンカラムでもよく、市販のチューブまたはスピンカラムとして構成されてもよい。そのような市販のチューブ及びスピンカラムとしては、Thermo Scientific(Rockford,IL)、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)、G−Biosciences(St.Louis,MO)、Pall Life Sciences(Ann Arbor,MI)、GE Healthcare Life Sciences(Pittsburgh,PA)などから入手可能なものが挙げられる。
例えば、市販のチューブ及びスピンカラムとしては、Thermo Scientific(Rockford,IL)から入手可能もの、例えば、スナップキャップを有するもの(例えば、9mmを越える直径のリップを有し、9mmの直径及び20mmの高さ、9mmを越える直径のリップを有し、9mmの直径及び24mmの高さ、9mmを越える直径のリップを有し、9mmの直径及び30mmの高さなどの寸法を有する)、スクリューキャップを有するもの(例えば、8mmの直径及び32mmの高さ、4mmの直径及び37mmの高さなどの寸法を有する)、スクリューキャップ及びツイストオフ底部を有するもの(例えば9mmの直径及び39mmの高さ、9mmの直径及び100mmの高さ、12mmの直径及び105mmの高さ、17mmの直径及び112mmの高さなどの寸法を有する)が挙げられるが、これらに限定されない。
ある種の実施形態では、細長い構造体はエクステンダーの付着用に構成されてもよく、そのようなエクステンダーによって、さもないと細長い構造体の最大容積を超えると思われるデバイスへのさらなる試料容積の添加が可能になる。そのようなエクステンダーは、任意の好都合な手段によって、例えば摩擦力、張力または接着剤などによって、細長い構造体の第1の試料入口部に所定の位置で保持され得る。細長い構造体とエクステンダーとの間の結合は、気密性であっても、気密性でなくてもよい。例えば、エクステンダーが細長い構造体への試料の重力流動を可能にするように構成される場合では、非気密性結合を使用することができる。エクステンダーが細長い構造体への試料の圧力流動、例えば、真空圧力流動または陽圧流動を可能にするように構成される場合では、気密性結合が所望され得る。場合によっては、エクステンダーは、プレフィルターとしても機能する。例えば、エクステンダーは、ある成分が細長い構造体に入ることを防ぐために、試料のその成分を保持することができる、任意の好都合なフィルター材料のフィルター、例えば、紙フィルター、ガラス繊維フィルター、プラスチックフィルター、ゲルフィルターなどを含むことができる。ある種の実施形態では、受動的または能動的のいずれかの流動を、エクステンダーと細長い構造体との間に位置する流動制御デバイス、例えば、弁または止め栓によって制御することができる。
場合によっては、ポリ(酸)マトリックスを細長い構造体中で支持部材によって支持することができる。支持部材は構造が大きく変わる可能性があり、例えばピン、クロスバーなどであり、場合によっては、支持部材はフリットとして構築される。支持部材は、細長い構造体から容易に取外しできてもよいし、できなくてもよい。任意の適切な支持材料を、支持部材として使用することができる。適切な支持部材の例としては、プラスチック、ポリエチレン、ポリプロピレン、濾紙、ガラス繊維紙、石英繊維紙、ミネラルペーパー、ガラス繊維、布、セルロース濾紙などが挙げられるが、これらに限定されない。支持部材は、任意の好都合な方法によって、ポリ(酸)マトリックスを所定の位置に固定することができる。例えば、支持部材は、摩擦力また張力によって、ポリ(酸)マトリックスを所定の位置に取り付けることができる。そのような支持部材及びそのような支持部材の使用方法としては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるDE4321904B4に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
細長い構造体は、第1端部及び/または第2端部に位置するキャップまたは他の密閉要素を有することができる。キャップは、スナップキャップ、スクリューキャップまたは任意の他の好都合な形状として構成され得る。そのようなキャップ及び密閉要素を有する細長い構造体の例としては、細長い構造体の形状及び寸法の説明で提供されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
場合によっては、細長い構造体、例えばスピンカラムは、例えば入れ子関係で、収集容器中に存在する。収集容器は、異なる構造体、例えば、収集チューブまたはマルチウェルプレートのウェルもしくは類似の構造体であり得る。細長い構造体を受け入れるように構成された収集チューブの例としては、細長い構造体の形状及び寸法の説明で提供されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
図1及び図2は、収集チューブ及びマルチウェルプレートとともに、様々なスピンカラム形状の図を示す。図1は、比較のために並ばせて撮影した、様々なサイズの例示的スピンカラム形状の画像を示す。図1のスピンカラムは、2mL〜50mLの容積の範囲にわたる対応する収集チューブとともに、スナップキャップ及びねじぶたの両形状で、撮影した。さらに、フリットとして構成される支持部材の例を、図1のスナップキャップスピンカラムともに撮影した。図2Aは、例えばマルチウェルプレート(202)に適合するように多重化構成で配列された、ポリ(酸)膜(201)を含む例示的スピンカラム(200)の図を示す。図2Bは、ポリ(酸)膜(201)を含む、キャップがかぶせられていない(左)及びキャップがかぶせられた(右)個々のスピンカラムの両方の図を示す。例えば図2Bに示すようなスピンカラムは、スクリューキャップ(203)に適合するように、ねじ山(204)とともに構成され得る。
使用方法
本発明の態様は、例えば本明細書に記載のように、本発明のスピンカラムを使用して液体試料を処理する方法をさらに含む。該方法の態様は、スピンカラムの試料入口部を通して、例えば上記のようなポリ(酸)マトリックスを有するスピンカラムに試料を導入し、試料をポリ(酸)膜を通して移動させて、試料を処理することを含む。任意の好都合なプロトコルを使用して、例えばピペットによって、試料をスピンラムに導入することができる。試料入口部から試料出口部へのスピンカラムを通しての試料の移動は、任意の好都合なプロトコルを使用して、例えば、スピンカラムを遠心機などの中で回転させることによって、または、例えば試料出口部に吸引をかけることにより、スピンカラムの試料出口部に陰圧をかけることによって、または、例えば加圧された空気、気体または液体を試料入口部にかけることにより、試料入口部に陽圧をかけることによって、達成され得る。
方法は、1または複数の種類の分子、例えば、タンパク質、核酸などを試料から分離する方法でもよいし、1種または複数の特定の分析物を試料から分離する方法でもよい。したがって、場合によっては、ポリ(酸)膜は、試料中のタンパク質に結合するように構成され、方法は、試料からタンパク質を分離する方法である。場合によっては、ポリ(酸)膜は、試料中の核酸に結合するように構成され、方法は、試料から核酸を分離する方法である。場合によっては、ポリ(酸)膜は、試料中の目的の分析物に特異的に結合するように構成され、方法は、試料から分析物を分離する方法である。目的の分析物は変わる可能性があり、例えば、タンパク質、核酸及び小分子などである。
ある場合では、方法は、使用前にポリ(酸)膜をチャージまたは再チャージすることをさらに含むことができる。本明細書に記載のように、ポリ(酸)膜のチャージは、キレート配位子と錯体形成して金属イオン親和性錯体を形成することができる金属イオンとポリ(酸)膜とを接触させることを説明する。ポリ(酸)膜がチャージされることになる所望の金属イオンを含む任意の好都合な媒体を、ポリ(酸)膜のチャージまたは再チャージにおいて利用することができる。例えば、ある場合では、所望の金属イオンの塩、例えば塩化物塩または硫酸塩、例えばCuCl2 、NiCl2 、CuSO4 またはNiSO4 を水またはバッファに溶解して、ポリ(酸)膜をチャージするために適切な媒体を生成する。ポリ(酸)膜をチャージ媒体と接触させる方法は変わる可能性があり、場合によっては、チャージ媒体とともにポリ(酸)膜をインキュベートすること及び/または例えば重力、真空圧力、陽圧もしくは例えば遠心機中でカラムを回転させることによって、ポリ(酸)膜を通してチャージ媒体を流動させることを含むことができる。ある場合では、スピンカラム中に存在するポリ(酸)膜は、特定の金属イオンで予めチャージされており、すなわち、事前チャージされており、その後、すぐに使える型式で使用前に保管される。
場合によっては、方法は、使用前にポリ(酸)膜を平衡化することをさらに含むことができる。例えば、チャージされたスピンカラムを1種または複数種の平衡化バッファと接触させることができる。本開示の平衡化バッファは変わる可能性があり、試料の添加及び親和性要素への標的の至適な結合のためのポリ(酸)膜を調製する平衡化バッファである。例えば、場合によっては、目的の平衡化バッファとしては、塩、例えばナトリウム塩、例えばリン酸ナトリウム及び/または塩化ナトリウムを含む溶液、例えばリン酸緩衝食塩水(PBS)が挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、一般に使用されるバッファを用いることができ、例えば、限定されないが、トリス−HCl、トリス−酢酸、HEPES、MOPS、酢酸ナトリウムなどが含まれる。場合によっては、親和性要素への標的の結合を増大させるために、キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール四酢酸(EGTA)、クエン酸などは平衡化バッファから排除され、または存在する場合は低量で存在する。ある場合では、ポリ(酸)膜のストリンジェンシーを増大させるため、及び親和性薬剤への望まれない分子、例えば混入物の結合を低下させるために、溶出剤、例えばイミダゾール、及び/またはキレート剤が低濃度で、すなわち、競合的結合剤としてその薬剤が標的を溶出するために使用される濃度より低い濃度で、平衡化バッファ中に含まれる。
ある場合では、本開示のバッファは、本明細書に記載のスピンカラム及び方法を使用する、標的の精製を容易にするために、特定の標的または標的群の特性を変化させるために使用されるある種のさらなる薬剤を含むことができる。そのようなさらなる薬剤は変わる可能性があるが、本明細書に記載のスピンカラム及びポリ(酸)膜に適合するものであるか、本明細書に記載のスピンカラム及びポリ(酸)膜に適合する量で存在する(すなわち、成分を、さらなる薬剤が存在する量でその意図された機能について使用不能にしない)ものである。そのようなさらなる薬剤としては、還元剤(例えば、ジチオスレイトール、ジチオエリスリトール、β−メルカプトエタノール、トリス[2−カルボキシエチル]ホスフィン、グルタチオンなど)、変性剤(例えば、尿素、グアニジン−HClなど)、界面活性剤(例えば、Triton、Tween、NP−40、コール酸、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネートなど)、アルコール(例えば、エタノール、グリセロールなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。
場合によっては、方法は、試料を本開示のスピンカラムに加えるより前に、結合バッファ中に試料を溶解または希釈することをさらに含むことができる。場合によっては、結合バッファは、平衡化バッファと同じ成分を有し得、場合によっては、平衡化バッファと同じ組成を有し得る。場合によっては、結合バッファは、1種または複数種の成分の有無によって平衡化バッファとは異なり得る。場合によっては、結合バッファは、1種または複数種の成分の量が平衡化バッファとは異なり得る。例えば、場合によっては、所望のように結合ストリンジェンシーを調節するために、結合バッファは、平衡化バッファより多いまたは少ない溶出剤を含むことができる。場合によっては、結合バッファは、所望のように結合ストリンジェンシーを調節する目的で、標的の特定の特性を増大または低下させるために、溶出バッファ中に存在する、より多くのまたはより少ない特定のさらなる薬剤を含むことができる。
場合によっては、方法は、標的を親和性薬剤に結合させるために、結合バッファを用いてまたは用いずに、ポリ(酸)膜と接触させながら試料をインキュベートすることをさらに含むことができる。そのようなインキュベートすることは、任意の好都合な手段によって、例えば試料をポリ(酸)膜上にピペットで移すことによって試料をポリ(酸)膜に加えた後に、行うことができ、例えば、試料への重力作用を介して、または例えば遠心機中で試料を回転させることによって、試料がポリ(酸)膜と完全に接触するようになることを可能にする。そのようなインキュベーションは、標的の結合を増大させるために、または非特異的結合を低下させるために好都合な温度で、例えば、室温(RT)、4℃、0℃から4℃の間、4℃から10℃の間、10℃からRTの間、RTから37℃の間、37℃から55℃の間、55℃から95℃の間または95℃超で行うことができる。
ある場合では、方法は、1種または複数種の適切な洗浄バッファを用いた、1回または複数回の洗浄をさらに含むことができる。場合によっては、洗浄バッファは、結合バッファ及び/または平衡化バッファと同じでもよい。ある場合では、洗浄バッファは、特定の成分の有無または特定の成分の量のいずれかが原因で、結合バッファまたは平衡化バッファと異なる。場合によっては、洗浄バッファは、結合バッファまたは平衡化バッファとpHのみが異なり得る。複数の洗浄バッファが用いられる場合は、複数の洗浄バッファは、1種または複数種の成分の有無、例えば、上記の1種または複数種のさらなる薬剤、例えば界面活性剤の有無の点で異なる可能性があり、または1種または複数種の成分、例えば洗浄バッファの量は、異なる量の溶出剤を含む可能性がある。ある場合では、複数の洗浄バッファはpHのみが異なる可能性がある。
場合によっては、方法は、例えば溶出などによって、結合した分子をポリ(酸)膜から遊離させることをさらに含む。例えば溶出剤を含む溶出バッファを使用して、結合した分子をポリ(酸)膜から遊離させるために、任意の好都合な方法を利用することができる。本開示の溶出バッファは変わる可能性があり、ある場合には、たった1種の成分、例えば溶出剤成分の有無または量の点で、洗浄バッファ、結合バッファ及び/または平衡化バッファとは異なる可能性がある。例えば、場合によっては、溶出バッファは、より高い濃度の溶出剤、例えば1.5〜100倍以上の溶出剤(例えば1.5〜2倍以上、2〜5倍以上、2〜10倍以上、5〜10倍以上、10〜20倍以上、20〜50倍以上、50〜100倍以上)を有することを別にすれば、前述のバッファと実質的に同じでもよい。他の場合では、溶出バッファは、1種を超える成分が前述のバッファと異なる可能性があり、さらにより高い濃度の溶出剤、例えば1.5〜100倍以上の溶出剤(例えば、1.5〜2倍以上、2〜5倍以上、2〜10倍以上、5〜10倍以上、10〜20倍以上、20〜50倍以上、50〜100倍以上)を含み得る。本開示の溶出剤は変わる可能性があるが、一般に、標的と親和性要素との間の結合を破壊することができる任意の分子を含み、これには、親和性要素に競合的に結合する分子、すなわち競合剤(例えば、イミダゾール、イミダゾール誘導体、ヒスチジン、グリシンなど)、キレーター(例えば、EDTA、EGTA、クエン酸など)などが含まれるが、これらに限定されない。場合によっては、溶出剤、例えば競合剤は、結合した分子、例えばタンパク質をポリ(酸)膜から遊離させるために有効な濃度で、溶出バッファ中に存在し得る。そのような有効な濃度は様々であり、ある場合には、1mM〜10M、例えば、1mM〜10mM、1mM〜100mM、10mM〜100mM、10mM〜0.5M、100mM〜0.5M、200mM〜0.5M、300mM〜0.5M、400mM〜0.5M、200mM〜0.7M、0.5M〜1M、1M〜2M、2M〜3M、1M〜5M及び5M〜10Mの範囲にわたる濃度を含む。
場合によっては、結合した分子の遊離は、金属イオンとキレート配位子との間の結合の破壊、すなわち金属イオンストリッピングによって達成され得る。例えばポリ(酸)膜の周囲の溶液のpHを変化させることを含めた、金属イオンストリッピングの任意の好都合な方法を使用することができる。pHを低下させることは、ポリ(酸)膜の周囲の溶液の酸性度を増大させることを意味し、新しい溶液、例えば低pHの溶出溶液をポリ(酸)膜に流動させること、または例えば、酸、例えば濃酸を加えることにより、ポリ(酸)膜を現在取り囲んでいる溶液のpHを直接的に低下させることによって達成され得る。場合によっては、金属イオンストリッピングは、ポリ(酸)膜の周囲の溶液のpHを、例えばpH2.5〜pH7.5、pH2〜pH6、pH3〜pH8、pH2〜pH4またはpH3〜pH5を含めたpH2〜pH8内に低下させることによって達成される。場合によっては、金属イオンストリッピングに続いて、例えば金属イオンを除去するために、任意の好都合な方法によって、例えば、(例えば、脱塩カラムを通すことによって)脱塩、バッファ交換、沈殿などによって、溶出した分子をさらに精製することができる。
場合によっては、方法は、分離した分子をさらに精製するために、同じポリ(酸)膜を通すことをさらに含む。例えば、ある場合では、分離した分子、例えばタンパク質を、ポリ(酸)膜に再度加え、膜に再結合させ、膜から再溶出することができる。ある場合では、分離した分子をポリ(酸)膜を再度通す際に、異なるバッファ、例えば、より高いストリンジェンシーのバッファが使用される。ある場合では、1つまたは複数の別のスピンカラム、例えば新しいスピンカラムを使用して、分離した分子をさらに精製し、この場合、別のスピンカラムは、分離した分子を最初に精製するために使用されるスピンカラムの同じ種類でもよいし、異なる種類でもよい。
ある場合では、方法は、遊離した分子または分析物の解析をさらに含む。遊離した分子を解析するために有用な解析及び/または検出方法は変わる可能性があり、酵素的アッセイ(例えば、ELISA、抗タグELISA、抗His ELISAなど)、ゲルアッセイ(例えば、ウェスタンブロット、ドットブロットアッセイ、抗体(例えば抗His抗体)ベースのアッセイなど)、シグナル増幅をともなったアッセイ、蛍光検出及び/または定量化をともなったアッセイなどが挙げられるが、これらに限定されない。ある場合では、ゲルアッセイ、例えばSDS−PAGEゲルを、限定されないが、クーマシー染色、銀染色、deep purple染色、蛍光染色などを含めた任意の好都合な方法でゲルを染色することによって遊離した分子を解析するために使用することができる。場合によっては、遊離した分子の解析は、その存在を検出する、その量を測定するまたはその純度を評価するために、機能的アッセイ、すなわち、分離した分子のある種の機能的特性を試験するアッセイによって行うことができる。本開示に従って分離した分子、例えばタンパク質を解析するために有用な機能的アッセイは変わる可能性があり、分離タンパク質の機能をアッセイするアッセイ、例えば酵素的アッセイが挙げられるが、これらに限定されない。
場合によっては、方法は、修飾剤、例えばタンパク質またはペプチド修飾剤を含むポリ(酸)マトリックスにタンパク質またはペプチドを加えることによって、制御された様式で、試料、例えばタンパク質またはペプチドの成分を修飾することをさらに含む。タンパク質修飾剤としては、限定されないが、タンパク質及びペプチド修飾(グリコシル化、アセチル化、アルキル化、メチル化、ビオチン化、グルタミル化、グリシル化、イソプレニル化、リポイル化、ホスホパンテテイニル化、リン酸化、硫酸化、セレン化、C末端アミド化)に作用するタンパク質及びペプチド修飾酵素及び酵素が挙げられ、並びに、オキシドレダクターゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、リガーゼ、ポリメラーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、アセチラーゼ、デアセチラーゼ、メチラーゼ、デメチラーゼ、ユビキチナーゼ、デユビキチナーゼ、アミラーゼ及びプロテアーゼ(例えば、セリンプロテアーゼ、スレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ及びメタロプロテアーゼなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。ある種の実施形態によれば、本開示の修飾剤は、ポリ(酸)マトリックスに直接結合することができ、または親和性要素を介して結合することができる。ある場合では、制御されたタンパク質及びペプチド修飾、例えば、制御されたタンパク質またはペプチド消化は、タンパク質またはペプチドが特定の修飾剤に曝露される速度または時間量を制御すること、したがって、修飾、例えば、タンパク質またはペプチド消化の速度及び/または時間を制御することによって達成される。場合によっては、そのような制御は、タンパク質修飾剤、例えばプロテアーゼへのタンパク質またはペプチドの曝露の速度または曝露の時間を、スピンカラムを通る試料の流動を制御することによって調節することにより達成され得る。場合によっては、スピンカラムは、例えば力を加えることによって、例えば遠心機中でスピンカラムを回転させることによって、試料がマトリックスに加えられた後且つ試料が膜から取り除かれるまで、タンパク質またはペプチドがタンパク質修飾剤に曝露されるような周囲条件下で、流動を完全に制限することができる。場合によっては、スピンカラムは、試料が、例えば、重力、陽圧、真空圧力によって加えられる力または遠心力(例えば、遠心機を使用して加えられる)によってマトリックスを通って移動するときに、タンパク質またはペプチドがタンパク質修飾剤に曝露されるような周囲条件または力が加えられた条件下で、流動を部分的に制限することができ、曝露の速度は、マトリックスを通して試料を移動させるために加える力を調節することによって制御することができる。修飾剤への暴露の速度を制御するためにマトリックスを通して試料を移動させる場合は、例えば、遠心機中でスピンカラムを回転させることまたは遠心機のスピードを上げることを介して、さらなる力を加えることまたは既に加えた力を増大させることによって、マトリックスから試料を完全に除去することができる。場合によっては、修飾されるタンパク質を、本明細書の他の個所で記載したようにスピンカラムのポリ(酸)膜に結合させることができ、修飾剤を、例えば制御された時間量について制御された様式で、ポリ(酸)膜と接触させることができ、または制御された速度で、膜を通って流動させることができる。場合によっては、ポリ(酸)膜のある成分を、例えば、ポリ(酸)膜の厚さ、ポリ(酸)膜の多孔性、ポリ(酸)膜のポリマー密度などを改変することによって、修飾剤への暴露の時間または速度を制御することができる。場合によっては、修飾されるタンパク質のある物理的特性の改変、例えば、タンパク質を変性条件にかけることによる、例えばタンパク質の三次元構造の改変を、タンパク質修飾の速度を制御するさらなる手段として使用することができる。場合によっては、本明細書に記載のように制御された手段によって修飾された修飾タンパク質またはペプチドを、本明細書で前述した洗浄及び溶出方法に従って、さらにマトリックスから洗浄または溶出することができる。
場合によっては、方法は、ポリ(酸)膜を再利用及び/または再チャージすることをさらに含む。他の場合では、例えば同じ標的または分析物が結合することになる場合、ストリッピング/再チャージなしで膜を直接再利用することができる。場合によっては、細長い構造体を再利用することができ、ポリ(酸)膜を交換することができる。場合によっては、新しいまたは再生したスピンカラムを用いて、本明細書に記載の収集チューブを再利用することができる。
有用性
本明細書に記載のスピンカラム及び方法は、限定されないが、タンパク質精製用途、抗体精製用途、分析物検出用途、選択的分析物濃縮用途、制御されたタンパク質及びペプチド消化用途、制御されたタンパク質またはペプチド修飾用途、環境浄化用途などを含めた様々な異なる用途に使用される。
ある場合では、本開示のスピンカラム及び方法は、研究目的または非診断分析物検出用途のための個々の分析物の精製に関する研究環境で使用することができる。そのような研究分析物の分離は、研究試料、すなわち、実験室由来の研究試料または実験室で生成された研究試料から行うことができ、そのような試料は研究所で生成される。そのような研究試料は、所望の非診断分析物、すなわち、診断を下す目的で、生きている多細胞生物、例えば哺乳動物から得られないか、またはそれに由来しない分析物の供給源として使用することができる。換言すれば、試料は、疾患または状態を診断する目的で、1種または複数種の疾患分析物の存在を決定するために得られていない。目的の非診断試料としては、インビトロ供給源、例えば、細胞培養、組織培養、非診断動物の組織試料または体液(すなわち、診断のために使用されない場合のそのような試料)から得られるものが挙げられる。ある場合では、分析物の効率的な検出を可能にするために、特定の非診断試料が複雑であると、非診断分析物を試料から分離または精製することが必要になる。
ある場合では、本開示のスピンカラム及び方法は、疾患分析物の分離に関する臨床環境で使用することができる。疾患分析物は、診断分析物の存在を診断し、その後に疾患または状態の診断を可能にするために、診断試料、すなわち、生物、例えば、植物、動物、哺乳動物などに由来する試料から分離することができる。ある場合では、分析物の効率的な検出を可能にするために、特定の診断試料が複雑であると、診断分析物を試料から分離または精製することが必要になる。診断分析物が分離され得る診断試料としては、組織試料、血液、尿、精液、糞便、唾液、粘液、痰、流涙、脳脊髄液、リンパ液、胆汁、胃酸などが挙げられるが、これらに限定されない。ある場合では、本開示のスピンカラムに加える前に、診断試料を最初に処理する必要があり、例えば、ホモジナイズ、粉砕、溶解、希釈または濃縮する必要がある。他の場合では、前処理なしでスピンカラムに診断試料を直接加えることができる。
ある種の実施形態では、スピンカラムへの診断分析物の結合の後で、診断分析物はポリ(酸)膜から溶出されず、分析物の検出がポリ(酸)膜上で直接行われる。ポリ(酸)膜上での診断分析物の検出は、任意の好都合な手段によって行うことができ、例えば、検出剤、例えば結合ペアの第2メンバーのメンバー、例えば抗体、抗原、リガンド、受容体などと、または閾値量の診断分析物がポリ(酸)膜に結合している場合に検出可能なシグナルを生成するまたはそのシグナルの生成を可能にする、反応ペアの第2メンバー、例えば基質、酵素などと、膜を接触させることから成り得る。本開示のスピンカラムのポリ(酸)膜上で濃縮された診断分析物のそのような検出によって、分析物の増幅または検出シグナルの増幅のいずれかをともなわずに、従来の手段によって診断試料中で検出されるために十分なほど高い濃度で通常は存在しない分析物の検出が可能になる。
ある場合では、ある種の標的分析物の選択的濃縮を必要とする用途において、本開示のスピンカラム及び方法を使用することができる。例えば、ある種の標的分析物、例えば非診断分析物、診断分析物または環境分析物を、試料中の多くの異なる標的分析物に共通の、ある種の一般特性、例えば、物理的特性または化学的特性(例えば、pKa 、pKb 、疎水性、サイズ、電荷、リン酸化状態、ユビキチン化状態など)に基づいて、本明細書に記載のスピンカラムまたは方法を使用して濃縮することができ、その結果、濃縮生成物を下流の用途、例えば、さらなる解析またはさらなる濃縮もしくは精製で利用することができる。場合によっては、前もって選択的濃縮をしないと、そのようなさらなる下流の用途は非効率的または非機能的であり、例えば、個々の分析物または個々の分析物の個々の態様を検出することができない。例えば、場合によっては、本開示のスピンカラム及び方法は、限定されないが、プロテオミクス用途、ペプチドシークエンシング用途、質量分析用途、電子移動解離用途、タンデム質量分析用途、高速液体クロマトグラフィー用途、マトリクス支援レーザー脱離イオン化用途などを含めた下流の用途より前に、ある種の標的分析物の選択的濃縮に使用される。
ある場合では、本開示のスピンカラム及び方法は、環境試料、すなわち、環境に由来する試料からの分析物の分離で使用することができる。本明細書で使用する場合、環境試料は、研究目的用に実験環境で得られた研究試料または他の試料を特に除外する。本明細書に記載のスピンカラム及び方法を使用して環境分析物が分離され得る環境試料としては、空気試料、微粒子試料、水試料(すなわち、雨水試料、淡水試料、海水試料)及び土壌サンプルが挙げられるが、これらに限定されない。ある場合では、試料の前処理なしで、本明細書に記載の環境分析物の分離のために、環境試料をスピンカラムに直接加えることができる。場合によっては、環境試料は、スピンカラムに加える前の最初の処理(例えば、粉砕、希釈、濃縮、溶解、吸着されるなど)である。
ある種の実施形態では、スピンカラムへの環境分析物の結合の後で、環境分析物はポリ(酸)膜から溶出されず、分析物の検出がポリ(酸)膜上で直接行われる。ポリ(酸)膜上での環境分析物の検出は、任意の好都合な手段によって行うことができ、例えば、検出剤と、または閾値量の環境分析物がポリ(酸)膜に結合している場合に検出可能なシグナルを生成するまたはそのシグナルの生成を可能にする、反応ペアの第2メンバーと、膜を接触させることから成り得る。本開示のスピンカラムのポリ(酸)膜上で濃縮された環境分析物のそのような検出によって、分析物の増幅または検出シグナルの増幅のいずれかをともなわずに、従来の手段によって環境試料中で検出されるために十分なほど高い濃度で通常は存在しない分析物の検出が可能になる。
ある場合では、本開示のスピンカラム及び方法は、環境浄化用途で使用することができる。例えば、1種または複数種の環境分析物、例えば上述したものに結合することができるスピンカラムを、特定の環境分析物(複数可)の除去が所望される環境試料の精製に使用することができる。環境試料から除去することができる、そのような特定の環境分析物は、特異的または非特異的親和性要素が分析物に結合することを知られている環境分析物であり、環境毒素、汚染物質(例えば、重金属、残留性有機汚染物質、環境残留性医薬品汚染物質、多環芳香族炭化水素、塩素化炭化水素、揮発性有機化合物、環境生体異物、肥料、殺虫剤、除草剤、汚水、汚物など)、及び生物(例えば、侵襲性生物、病原生物など)が挙げられるが、これらに限定されない。ある種の実施形態では、本開示のスピンカラム及び方法は、精製された、すなわち分析物を含まないまたは実質的に分析物を含まない環境試料を生成する目的で、1種または複数種の環境試料、例えば水を、そのようなスピンカラムを通して流動させることに利用することができる。
ある場合では、本開示のスピンカラム及び方法は、タンパク質精製用途、例えば、組換えタンパク質の分離または天然タンパク質の分離で使用することができる。本開示のスピンカラム及び方法によって分離され得る組換えタンパク質は大きく変わり、実験室で生成または増殖される、そうした組換えタンパク質が含まれる。場合によっては、組換えタンパク質が分離される組換えタンパク質試料は、生物工学の結果である、すなわち、野生型生物で通常は見つけられない、すなわち事実上宿主生物で見つけられない組換えまたは変異タンパク質を発現する、実験生物、例えば植物もしくは動物、または実験生物の培養物、例えば、細菌培養物、酵母培養物、細胞培養物、藻類培養物、海生生物培養物などから得られる試料でもよい。
本開示のスピンカラム及び方法は、スクリーニング用途、例えばハイスループットスクリーニング用途のために、タンパク質の急速分離で使用される。ある種の実施形態によれば、複数の目的タンパク質、例えば、変異または組換えタンパク質のライブラリーを、特定のタンパク質機能または特性、例えば、特定の基質への結合、蛍光、酵素活性、処理能力などについて、複数のタンパク質のハイスループットスクリーニングを可能にするような多重化構成で分離することができる。目的の多重化構成としては、96単位、384単位または1536単位の配列のスピンカラムが挙げられるが、これらに限定されない。複数の目的のタンパク質は変わる可能性があり、限定されないが、生物または生物のゲノムまたは生物の遺伝子または人工遺伝子のランダムまたは定方向突然変異誘発を含めた、任意の好都合な方法に従って生成することができる。ある場合では、本開示のスピンカラム及び方法を使用して分離した複数のタンパク質を、プロテオミクス用途で直接使用することができる。
本開示のスピンカラム及び方法は、産業環境で生成される分子、例えばタンパク質の急速分離に使用される。例えば、本開示のスピンカラム及び方法は、例えば、バッチスケール量、パイロットスケール量またはプロセススケール量を含めて、大量に生成される、例えば増殖される分子を分離するために使用することができる。産業環境で生成される分子は、合成分子でも、操作された分子(例えば組換えタンパク質)でも、天然に存在する分子でもよい。例えば、ある場合では、不純物を除去するまたは不適切な合成生成物、例えば、切断ペプチド、欠失ペプチド、望まれない異性体、望まれない副産物などを除去するために、ペプチド合成法、例えば液相ペプチド合成法または固相合成法によって生成される合成タンパク質または合成ペプチドを、本明細書に記載のスピンカラム及び方法を使用して精製することができる。
場合によっては、例えば、研究所で生成されるような、本明細書に記載の組換えタンパク質またはペプチドを、産業環境において、大量に、例えば、バッチスケール量、パイロットスケール量またはプロセススケール量で生成することができる。細胞性または無細胞性のタンパク質またはペプチド合成の任意の好都合な方法を、本明細書に記載のスピンカラム及び方法を使用して分離することができるタンパク質(限定されないが、インビトロ合成、例えば無細胞性インビトロタンパク質合成、例えばタンパク質生合成を介するビボ合成、またはバイオリアクターでの増殖によって生成されるタンパク質が含まれる)の生成に使用することができる。他の場合では、天然分子、例えば、天然に存在するタンパク質またはペプチドを、本明細書に記載のスピンカラム及び方法を使用して、産業環境において分離することができる。例えば、分離することができる天然のタンパク質またはペプチドとしては、天然に存在する生物、例えば、細菌、古細菌または真核生物(例えば、動物、カビ、真菌、植物または原生動物)中で増殖されるタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、分離することができる目的のタンパク質としては、酵素(例えば、オキシドレダクターゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、リガーゼ、エンドヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ、ポリメラーゼ、DNA修飾酵素、発光酵素、キナーゼ、ホスファターゼ、アセチラーゼ、デアセチラーゼ、メチラーゼ、デメチラーゼ、ユビキチナーゼ、デユビキチナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼなど)、蛍光タンパク質、色素タンパク質、細胞シグナルタンパク質、シグナル伝達タンパク質、リガンド結合タンパク質、タンパク質ホルモン、抗体、タンパク質抗原及びペプチド抗原、構造タンパク質などが挙げられるが、これらに限定されない。本開示のスピンカラム及び方法を使用して分離されるタンパク質が使用される産業としては、バイオテクノロジー産業、医薬品産業、化学産業、食品生産及び食品加工産業(例えば、発酵関連食品加工(例えば、パン製造、醸造、チーズ製造、ヨーグルト製造など)及び食用エキス及びジュース生産)、ビタミン及び栄養補助食品産業、バイオ燃料産業、紙産業、農産業などが挙げられるが、これらに限定されない。
本開示のスピンカラム及び方法は、例えば制御されたタンパク質及びペプチド消化、制御されたタンパク質及びペプチド修飾などを含めた、制御されたタンパク質及びペプチド処理用途に使用される。例えば、本開示のスピンカラム及び方法は、複数のタンパク質、複数の特定のタンパク質または1つの特定のタンパク質を含む特定の試料を本明細書に記載のタンパク質修飾剤へ曝露を制御するために利用することができる。ある場合では、制御されたタンパク質及びペプチド修飾用途に適用されるスピンカラム及び本開示の方法は、限定されないが、プロテオミクス用途、ペプチドシークエンシング用途、質量分析用途、電子移動解離用途、タンデム質量分析用途、高速液体クロマトグラフィー用途、マトリクス支援レーザー脱離イオン化用途などを含めた用途において、さらに解析または処理するために、タンパク質またはペプチドを修飾または消化することに使用することができる。
キット
本発明の態様はまた、本発明の方法を実施するために使用するためのキットを含む。キットは、例えば上記のようなスピンカラムを少なくとも含む。キット及びシステムは、本発明の方法に使用されるいくつかの随意の成分を含むこともできる。目的の随意の成分としては、(例えば、上記のような)抽出/装填/洗浄バッファ(複数可)を含めたバッファ、容器、例えば、収集チューブ及び/またはマルチウェルプレートなどが挙げられる。さらに、キット及びシステムは、親和性ペプチドタグ付きポリペプチドを生成するための試薬、例えば、金属イオン親和性ペプチドをコードするベクター、例えばUS7,176,298に開示されているもの(そのベクターの開示は参照により本明細書に組み込まれる)を含むことができる。本発明のキットでは、都合または所望に応じて、1種または複数種の成分が同じまたは異なる容器中に存在する。
上記の成分に加えて、本発明のキットは、(ある種の実施形態では)本発明の方法を実施するための指示をさらに含むことができる。こうした指示は、様々な形態で本発明のキット中に存在し得、それらの1つまたは複数がキット中に存在し得る。これらの指示が存在し得る1形態は、キットの包装中、添付文書中などの、適切な媒体または基材に印刷された情報、例えば情報が印刷された一枚または複数枚の紙としてである。こうした指示のさらに別の形態は、情報が記録されているコンピュータ可読媒体、例えば、フロッピーディスク(登録商標)、コンパクトディスク(CD)、フラッシュドライブなどである。こうした指示の存在し得るさらに別の形態は、離れた場所で情報にアクセスするためにインターネットを介して使用することができるウェブサイトアドレスである。
以下の実施例は、例示のために提供され、限定のために提供されるわけではない。
実験
材料:
被評価膜
直径25mmのいくつかの膜を評価した。親水性の高ヒドロキシル化ナイロン膜(LoProdyne(登録商標)LP(ナイロン6,6膜、Pall Corporation,Port Washington,NY)、細孔サイズ1.2μm、厚さ110μm)。膜細孔を3つの異なる化学作用で改変した。1型膜を、ポリ(アクリル酸)/ポリエチレンイミン/ポリ(アクリル酸)(PAA/PEI/PAA)ポリマーを用いて積層(LBL)形状に改変し、非常に高い結合能での、hisタグ付きタンパク質の迅速な精製を目的に、ニッケル−ニトリロ三酢酸(Ni−NTA)を用いて機能化した。2型膜を、ポリ(2−メタクリロイルスクシネート)ポリマーを用いて膜ブッシュ形状に改変し、非常に高い結合能での、hisタグ付きタンパク質の迅速な精製を目的に、Ni−NTAを用いて機能化した。制御されたタンパク質消化を目的に、3型膜をトリプシンで機能化した。
スピンカラムの製造
膜を約7mmの直径の円盤状に切り、様々なバリエーション、すなわち、単層、2層、3層、上部を上、上部を下などでスピンカラムに組み立てた。スピンカラムの組立て後、有効な濾過/結合領域は直径約5mmであった。
タンパク質試料
様々な出発材料を、製造したスピンカラムの評価で使用した。タンパク質試料出発材料は、前もって精製されたタンパク質試料か、組換えタンパク質を発現する細胞の全細胞可溶化物のいずれかであった。使用した前もって精製されたタンパク質試料には、アフィニティータグなしで発現するオワンクラゲGFP(AcGFP)タンパク質(タグなし旧GFP)、新しく精製された6×ヒスチジン−アスパラギンタグ付きAcGFP(6HN−AcGFP)及び精製されたヒスチジンタグ付きユビキチン(Hisタグ付きユビキチン(HisU)(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)が含まれる。使用した全細胞可溶化物タンパク質試料には、6HN−AcGFP及び6His−GFPuvを発現する細胞の可溶化物が含まれる。
実験/結果:
全細胞可溶化物からのタンパク質精製
6HN−AcGFPを発現する細胞を増殖させ、遠心分離によってペレット化した。0.25gの細胞ペレットを4mLのxTractorバッファ(細胞溶解バッファ、Clontech Laboratories,Mountain View,CA)に溶解した。すべての遠心分離ステップは、9000×gで4分間行った。2型(ブラシ)単層(上側が上)膜スピンカラムを、500μLのリン酸緩衝食塩水(PBS)での3回の洗浄によって平衡化した。600μL及び900μLの細胞可溶化物を、別々の平衡化したスピンカラムに装填した。その後に、スピンカラムを300μLの洗浄バッファII(20mM NaPO4、0.15M NaCl、pH7.6)で2回洗浄した。洗浄に続いて、300μLの溶出バッファ(20mM NaPO4 、0.5Mイミダゾール、0.5M NaCl、pH7.6)を2回加えることによって、タンパク質をスピンカラムから溶出した。個々の解析のために、連続的な溶出を別々にした。溶出に続いて、タンパク質の収量を、600μL及び900μL可溶化物試料について、それぞれ142μg及び231μgであると決定した。
タンパク質ゲルを泳動して、600μL(図3)及び900μL(図4)の細胞可溶化物試料の両方について収量及び純度を評価した。カラムフロースルー(フロースルー)とカラム洗浄(洗浄)との両方をゲルで泳動することによって、スピンカラムの性能をさらに評価した。対照として、前もって精製されたタグ付けされていないAcGFP(タグなし旧GFP)を泳動した。
様々なスピンカラム形状及び標的タンパク質の比較
様々な配向の膜を用いて製造されたスピンカラムについて、スピンカラムの性能を評価した。
上側が上(上)及び上側が下(下)の膜配向を有する1型(LBL)膜スピンカラムのタンパク質精製特性を一対一で評価し、上側が上(上側上)及び上側が下(上側−下)の膜配向を有する2型(ブラシ)膜スピンカラムを一対一で評価した。すべての遠心分離ステップは、11,000×gで1分間行った。400μL PBSの2回の洗浄で、各スピンカラムを平衡化した。上記の実験用に前もって調製した200μLの細胞可溶化物をスピンカラムに装填した。スピンカラムを300μLの洗浄バッファI(20mM NaPO4 、0.1%Tween、pH7.6)で1回洗浄し、300μLの洗浄バッファII(20mM NaPO4 、0.15M NaCl、pH7.6)で1回洗浄した。各スピンカラムを、300μLの溶出バッファ(20mM NaPO4 、0.5Mイミダゾール、0.5M NaCl、pH7.6)で1回溶出した。溶出に続いて、タンパク質の収量を、上側が上及び上側が下の配向を有する1型(LBL)膜スピンカラム並びに上側が上及び上側が下の配向を有する2型(ブラシ)膜スピンカラムについて、それぞれ34μg、47μg、115μg及び84μgであると決定した。
タンパク質ゲルを泳動して、1型(LBL)(図5)及び2型(ブラシ)(図6)膜スピンカラムの両方のタンパク質溶出液について、収量及び純度を評価した。上側が上及び上側が下の配向を一対一で泳動して、異なる膜配向の相対的なタンパク質精製特性を評価した。カラムフロースルー(フロースルー)とカラム洗浄(洗浄)との両方をゲルで泳動することによって、スピンカラムの性能をさらに評価した。対照として、最初の試料を泳動した。
異なる標的タンパク質を精製するために使用されるスピンカラムについて、スピンカラムの性能を評価した。
1型(LBL)膜スピンカラムのタンパク質精製特性を、Hisタグ付きユビキチンの予め精製されたものの結合及び溶出について評価した。すべての遠心分離ステップは、11,000×gで1分間行った。400μLのタンパク質溶解バッファ(PDB)(20mM NaPO4、pH7.6)中での2回の洗浄で、各スピンカラムを平衡化した。500μLの0.3mg/mLのHisUを入れたPDBを各スピンカラムに2回装填した。各装填の透過液を3回再装填した。スピンカラムを300μLの洗浄バッファB(20mM NaPO4 、0.1%Tween、0.15M NaCl、pH7.6)で2回洗浄した。タンパク質を300μLの溶出バッファで2回溶出した。
タンパク質ゲルを泳動して、上側が上(上)と上側が下(下)に配向された膜スピンカラムの両方について、タンパク質溶出液の収量及び純度を評価した(図7)。カラムフロースルー(FT)とカラム洗浄画分(洗浄)との両方をゲルで泳動することによって、スピンカラムの性能をさらに評価した。対照として、最初の試料(OS)を泳動した。
予め精製されたHisタグ付きユビキチンの結合及び溶出について、LBL及びブラシ型スピンカラムの性能の付き合わせた比較を評価した。
LBL及びブラシ型スピンカラムを、400μLの1mg/mLの予め精製されたHisタグ付きユビキチンを入れたバッファ(20mMリン酸、pH7.4)で平衡化し、このスピンカラムにこのバッファを装填した。400μLのリン酸バッファでスピンカラムを2回洗浄した。2回目の洗浄において、タンパク質は観察されなかった。400μLの0.1M EDTAを用いて、タンパク質をスピンカラムから溶出した。
タンパク質ゲルを泳動して、LBLとブラシ型スピンカラムの両方のタンパク質溶出液について、収量及び純度を評価した(図8)。溶出液中のタンパク質濃度の較正及び推定を可能にするために、既知濃度のタンパク質を泳動した(図8、レーン1〜5)。カラムフロースルーをゲルで泳動することによって、スピンカラムの性能をさらに評価した。
スピンカラム性能の評価
異なる膜配向を有するスピンカラムについて、スピンカラムの性能を評価した。
上側が上と上側が下の両方の膜配向の以前に使用した2型(ブラシ)膜スピンカラムをストリッピング、再生及び再チャージした。900μLの細胞可溶化物をスピンカラムに装填し、タンパク質精製手順は以前の記載に従った。溶出に続いて、タンパク質の収量を、上側が上及び上側が下の配向について、それぞれ188μg及び196μgであると決定した。したがって、再利用した膜スピンカラムの収量は、以前に使用されていない膜スピンカラムについて見られたものと類似していた。
タンパク質ゲルを泳動して、スピンカラムのタンパク質溶出液について、収量及び純度を評価した(図9)。カラムフロースルー及び洗浄画分をゲルで泳動することによって、スピンカラムの性能をさらに評価した。対照として、出発細胞可溶化物をゲルで泳動した。
スピンカラムの性能は、層の数が異なる膜を用いて、10mMイミダゾールの細胞溶解バッファを加えて評価された。
上側が下(試料1−d)に配向された単層膜を有する1型スピンカラム及び上側が上に方向付けられた2層膜を有する2型スピンカラム(試料2−2)をストリッピング、再生及び再チャージした。それぞれ3.6mL及び4.2mLの細胞可溶化物を、10mMイミダゾールの溶解バッファとともに、1型及び2型スピンカラムに装填した。さらなるステップ、例えば、洗浄及び溶出は、以前の記載のように行った。溶出に続いて、タンパク質の収量を、1型及び2型スピンカラムについて、それぞれ49μg及び300μgであると決定した。88μgのタンパク質が最終的に測定され、それは、2型スピンカラムのタンパク質溶出の前であった。
タンパク質ゲルを泳動して、スピンカラムのタンパク質溶出液について、収量及び純度を評価した(図10)。カラムフロースルー及び洗浄画分をゲルで泳動することによって、スピンカラムの性能をさらに評価した。対照として、最初の試料(可溶化物)をゲルで泳動した。
異なる膜の評価
試薬を引くペリスタルティックポンプをともなうマニホールド上の3ヘッドフィルタリングデバイス(3−headed filtering device)を使用して製造されたLBL膜について、スピンカラムの性能を評価した。小規模の47mm LoProdyne(登録商標)(ナイロン6,6膜、Pall Corporation,Port Washington,NY)膜を、Ni−NTA(NTA−リジン)、ニッケル−イミノ二酢酸(Ni−IDA、リンカーなし)及びNi−IDA−ポリエチレングリコール(PEG)(PEGリンカーを有するIDA)を使用して調製した。スピンカラムはまた、200μLのTALON(登録商標)(コバルトアフィニティー樹脂、Clontech Laboratories,Mountain View,CA)樹脂を使用して調製した。2枚の紙の間に膜をはさんで、標準的な穴あけ器を使用して膜を切った。膜の容積は2.16μLであり、TALONの容積は200μLであった。スピンカラムを屋内にて手作業で組み立てた。
500μLの6His−GFPuv発現細胞の可溶化物から、前述のように、タンパク質精製を行った。表1で以下に示すように、タンパク質の収量を決定した。
タンパク質ゲルを泳動して、様々なスピンカラムのタンパク質溶出液について、収量及び純度を評価した(図11)。カラムフロースルー及び洗浄画分をゲルで泳動することによって、スピンカラムの性能をさらに評価した。対照として、最初の試料可溶化物をゲルで泳動した。
膜結合能の決定
試薬を引くペリスタルティックポンプをともなうマニホールド上の3ヘッドフィルタリングデバイスを使用して製造されたLBL膜について、タンパク質結合能を評価した。小規模の47mm LoProdyne(登録商標)(ナイロン6,6膜、Pall Corporation,Port Washington,NY)膜を調製した。
結合能アッセイを以下のように行った。1.6mg/mLの精製された6His−GFPuvを入れたPBSバッファをPDBに交換し、PDBを用いてタンパク質濃度を1mg/mLに調整した。300μLのタンパク質を膜スピンカラムに2回装填した。遠心分離を4000×gで1分間行った。第2のフロースルーを膜に再装填した。スピンカラムを洗浄バッファI(0.1%Tween−20を追加した20mMリン酸バッファ)で1回洗浄し、バッファII(0.15M NaClを追加した20mMリン酸バッファ)で1回洗浄した。タンパク質を300μLの溶出バッファ(0.5Mイミダゾール及び0.5M NaClを含む20mMリン酸バッファ)で2回溶出した。ブラッドフォード法でタンパク質の収量を推定した。スピンカラムに結合した精製された6His−GFPuvの収量は79.3μgであると決定し、溶出液は36.6mg/mLであった。6His−GFPuv可溶化物の溶出及び最終的な洗浄から得られたタンパク質量は84μg及び13μgであり、精製された6His−GFPuvの溶出及び最終的な洗浄から得られた量はそれぞれ79μg及び15μgであった。
膜性能の再現性の評価
試薬を引くペリスタルティックポンプをともなうマニホールド上の3ヘッドフィルタリングデバイスを使用して製造されたLBL膜について、スピンカラムの再現性を評価した。小規模の47mm LoProdyne(登録商標)(ナイロン6,6膜、Pall Corporation,Port Washington,NY)膜を未改変で、及びPAA/PEI/PAポリマーを単独で、及びNi−NTAまたはNi−IDAともに使用して調製した。Ni−NTA膜の3つの別々のバッチを使用した。Ni−NTA膜の2つのバッチを別の日に調製し(Ni−NTA1及びNi−NTA2)、2つのバッチを同じ日に調製し、異なった条件、標準的な条件及び−20℃で保管した(それぞれNi−NTA1及びNi−NTA−20)。膜及びスピンカラムを前述のように調製した。
以下の軽微な変更を用いて、前述のように、490μLの6His−GFPuv発現細胞の可溶化物からタンパク質精製を行った。すべての反応及び洗浄について濾過した水を使用し、デシケーター中で塩化カルシウムで一晩膜を乾燥させ、膜を新しい穴あけ器で切った。表2で以下に示すように、タンパク質の収量を決定した。
タンパク質ゲルを泳動して、様々なスピンカラムのタンパク質溶出液について、収量及び純度を評価した(図12A〜B)。カラムフロースルー及び洗浄画分をゲルで泳動することによって、スピンカラムの性能をさらに評価した。対照として、最初の試料可溶化物をゲルで泳動した。
積層された膜の性能の評価
試薬を引くペリスタルティックポンプをともなうマニホールド上の3ヘッドフィルタリングデバイスを使用して製造された多層LBL膜について、スピンカラムの性能を評価した。小規模の47mm LoProdyne(登録商標)(ナイロン6,6膜、Pall Corporation,Port Washington,NY)及びSterliTech(Kent,WA)膜を前述のように調製し、若干の変更を加えてNi−NTAで機能化した。以前の試行にあるような使用8〜10分前と比べて、使用4分前に、1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩(EDC)をN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)に加えた。
3層及び5層の積層された膜を含むスピンカラムを屋内にて手作業で組み立てた。SterliTech膜の単層のみを使用した。
470μLの6His−GFPuv発現細胞の可溶化物から、前述のようにタンパク質精製を行った。流量が多層膜中で減らされ、これによって、10%の接触時間増大がもたらされた。以下に表3で示すように、タンパク質の収量を決定した。
タンパク質ゲルを泳動して、様々なスピンカラムのタンパク質溶出液について、収量及び純度を評価した(図13A〜B)。上記の表3にあるように、積層された膜のタンパク質結合能を個々に評価した。個々の膜を、5層膜スピンカラムの第1層(1−5)、5層膜スピンカラムの第3層(3−5)、5層膜スピンカラムの第5層(5−5)、3層膜スピンカラムの第1層(1−3)及び3層膜スピンカラムの第2層(2−3)のように表示した。カラムフロースルー及び洗浄画分をゲルで泳動することによって、スピンカラムの性能をさらに評価した。対照として、最初の試料可溶化物をゲルで泳動した。
結論:
1型膜及び2型膜の両方が、予め精製された及び粗製の細胞可溶化物から標的タンパク質を効果的に分離した。2型膜はより高い容量を有し、最初の試行において、タグ付きのAcGFPに対して約106mg/cm3の結合能まで達する。2型膜はより長い試料接触時間を有し、1型膜はより急速な試料通過を有する。上側が上形状と比べて上側が下形状は膜についての性能に有意に影響を及ぼさず、これは、いずれの配向でも膜は効果的かつ急速なタンパク質精製ができたからである。膜性能は、再使用及び続く貯蔵の際に有意に保持された。多層膜はタンパク質精製能力を維持し、これは、多層スタック内の個々の膜の位置にかかわらず、タンパク質結合能の変動がほとんどないことを示す。
添付の請求項にもかかわらず、本明細書に記載される開示は、以下の付記によっても定義される。
1.第1端部に試料入口部を、第2端部に試料出口部を有する細長い中空構造体と、流体がポリ(酸)膜を通って流動して第1端部から第2端部に中空構造体を横切ることになるように中空構造体中に位置するポリ(酸)膜マトリックスとを備えるスピンカラム。
2.ポリ(酸)膜マトリックスは、多孔性膜支持体の表面に吸着しているポリ(酸)成分を含む付記1に記載のスピンカラム。
3.ポリ(酸)成分はポリ(酸)フィルムを含む付記2に記載のスピンカラム。
4.ポリ(酸)成分がポリ(酸)ブラシを含む付記2に記載のスピンカラム。
5.ポリ(酸)成分は、金属イオンと錯体形成した金属イオンキレート配位子をさらに含む付記3または4に記載のスピンカラム。
6.金属イオンキレート配位子はアスパラギン酸ベースの金属イオンキレート配位子を含む付記5に記載のスピンカラム。
7.金属イオンはCo2+を含む付記5または6に記載のスピンカラム。
8.中空構造体はチューブである付記1〜7のいずれか一つに記載のスピンカラム。
9.ポリ(酸)膜は第2端部の近位に位置する付記1〜8のいずれか一つに記載のスピンカラム。
10.ポリ(酸)マトリックスは、それぞれ多孔性膜支持体の表面に吸着しているポリ(酸)成分を有する2つ以上の積層された膜を含む付記1〜9のいずれか一つに記載のスピンカラム。
11.ポリ(酸)マトリックスは、それぞれ多孔性膜支持体の表面に吸着しているポリ(酸)成分を有する3つ以上の積層された膜を含む付記1〜10のいずれか一つに記載のスピンカラム。
12.試料入口部は第1の直径を有し、試料出口部は第2の直径を有する付記1〜11のいずれか一つに記載のスピンカラム。
13.第1の直径は第2の直径より長い付記12に記載のスピンカラム。
14.1μL〜1Lの範囲にわたる容積を有する付記1〜13のいずれか一つに記載のスピンカラム。
15.ポリ(酸)膜と支持関係でフリットを含む付記1〜14のいずれか一つに記載のスピンカラム。
16.フリットは中空構造体から分離可能である付記15に記載のスピンカラム。
17.収集チューブ中で入れ子になっている付記1〜16のいずれか一つに記載のスピンカラム。
18.収集チューブはキャップを含む付記17に記載のスピンカラム。
19.第1端部にキャップを含む付記1〜18のいずれか一つに記載のスピンカラム。
20.キャップはスナップキャップである付記18または19に記載のスピンカラム。
21.キャップはスクリューキャップである付記18または19に記載のスピンカラム。
22.付記1〜21のいずれか一つに記載のスピンカラムに試料入口部を介して液体の試料を導入することと、試料を処理するために、ポリ(酸)膜を通って試料を移動させることとを有する液体試料の処理方法。
23.スピンカラムを回転させることによって、ポリ(酸)膜を通って試料を移動させる付記21に記載の方法。
24.中空構造体の第2端部に吸引をかけることによって、ポリ(酸)膜を通って試料を移動させる付記22に記載の方法。
25.ポリ(酸)膜は試料中のタンパク質に結合するように構成されており、試料からタンパク質を分離する方法である付記22〜24のいずれか一つに記載の方法。
26.ポリ(酸)膜は試料中の核酸に結合するように構成されており、試料から核酸を分離する方法である付記22〜24のいずれか一つに記載の方法。
27.ポリ(酸)膜は試料中の目的の分析物に特異的に結合するように構成されており、試料から分析物を分離する方法である付記22〜24のいずれか一つに記載の方法。
28.分析物は、タンパク質、核酸及び小分子から成る群から選択される付記27に記載の方法。
29.結合した分子をポリ(酸)膜から遊離させることをさらに有する付記25〜28のいずれか一つに記載の方法。
30.付記1〜14のいずれか一つに記載のスピンカラムと、スピンカラムを入れ子関係で受け入れるように構成された収集チューブとを備えるキット。
理解を明瞭にする目的で、例示及び実施例として前述の発明をある程度詳細に記載したが、本発明の教示を考慮すれば、添付の特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなくある種の変更及び修正を本発明に対して行うことができることを当業者なら容易に分かる。
したがって、上記は、本発明の原理を単に例示するにすぎない。本明細書に明確に記載または示されていないが、本発明の原理を具体化し、その趣旨及び範囲内に含まれる様々な構成を当業者が考案することができることが理解されよう。さらに、本明細書に記載されるすべての例及び条件付き用語は、本発明の原理及び本発明者らによって本技術の促進に寄与された概念を読者が理解することを援助することが主として意図され、そのような具体的に記載された例及び条件に限定されないと解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、態様及び実施形態並びにそれらの具体例を記述する本明細書におけるすべての記載は、それらの構造的均等物と機能的均等物の両方を包含することが意図される。さらに、そのような均等物は、現在知られている均等物と将来的に開発される均等物の両方、すなわち、構造に関わらず同じ機能を果たす、開発される任意の要素を含むことが意図される。したがって、本発明の範囲は、本明細書に示され、記載される例示的実施形態に限定されることを意図するものではない。むしろ、本発明の範囲及び趣旨は添付の特許請求の範囲によって具体化される。
関連出願の相互参照
35U.S.C.§119(e)に従って、本出願は、2014年2月21日に出願された米国特許仮出願第61/943,174号及び2014年6月4日に出願された米国特許仮出願第62/007,798号の出願日に対して優先権を主張し、これらの出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。