JP6434268B2 - クロロフィルおよびカロテノイド高含有クロレラ - Google Patents
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また、本発明は、前記培養条件で培養したとき、培養開始48時間後の乾燥藻体におけるクロロフィル含量が培養開始18時間後の乾燥藻体におけるクロロフィル含量の1.5倍以上、かつ培養開始48時間後の乾燥藻体における総カロテノイド含量が培養開始18時間後の乾燥藻体における総カロテノイド含量の1.5倍以上のクロレラである。
また、前記培養条件で培養したときに、培養開始48時間後の乾燥藻体におけるクロロフィル含量が47mg/g以上、かつ総カロテノイド含量が7mg/g以上であり、さらに、培養開始48時間後の乾燥藻体におけるクロロフィル含量が培養開始18時間後の乾燥藻体におけるクロロフィル含量の1.5倍以上、かつ培養開始48時間後の乾燥藻体における総カロテノイド含量が培養開始18時間後の乾燥藻体における総カロテノイド含量の1.5倍以上であることが好ましい。
さらに、前記培養条件で培養したときに、培養開始48時間後の乾燥藻体におけるクロロフィル含量が培養開始18時間後の乾燥藻体におけるクロロフィル含量の1.7倍以上であることがより好ましく、2倍以上であることがさらに好ましい。また、前記培養条件で培養したときに、培養開始48時間後の乾燥藻体における総カロテノイド含量が培養開始18時間後の乾燥藻体における総カロテノイド含量の1.7倍以上であることがより好ましく、1.9倍以上であることがさらに好ましい。
ここで、培養開始48時間後の乾燥藻体におけるクロロフィル含量の上限は特に限定されるものではないが、培養開始18時間後の乾燥藻体におけるクロロフィル含量の3.5倍以下、または3倍以下を例示することができる。
そして、培養開始48時間後の乾燥藻体における総カロテノイド含量の上限は特に限定されるものではないが、培養開始18時間後の乾燥藻体における総カロテノイド含量の3.5倍以下、または3倍以下を例示することができる。
さらに、前記方法で培養を行ったときの、培養開始48時間後の培養液あたりのクロロフィル含量は特に限定されないが、培養開始18時間後の培養液あたりのクロロフィル含量の1.3倍以上であることが好ましく、1.5倍以上がより好ましく、1.7倍以上がさらに好ましい。また、その上限は特に限定されないが、3倍以下、または2.5倍以下を例示することができる。
そして、前記方法で培養を行ったときの、培養開始48時間後の培養液あたりの総カロテノイド含量は特に限定されないが、培養開始18時間後の培養液あたりの総カロテノイド含量の1.3倍以上であることが好ましく、1.5倍以上がより好ましく、1.7倍以上がさらに好ましい。また、その上限は特に限定されないが、3倍以下、または2.5倍以下を例示することができる。
また、基礎培地、添加培地は表1に示す組成のものを用いることができる。なお、培養液のPCVは、ヘマトクリット遠沈管(藤本理化製)に培養液を加え、1,610×gで30分間遠心分離した後、藻体の容積値を遠沈管の目盛りから読み取ることにより測定できる。そして、添加培地を流加しながら行う流加培養は、通気撹拌培養(1.0vvm(volume per volume per minute)、550rpm)で、36℃、10時間行う。
そして、本発明のクロレラは前記培養条件における、培養開始18時間後から培養開始48時間後での比増殖速度が0.02〜0.1/時間であることが好ましい。
本発明のクロレラは、例えば、湖沼等から採取された水等から分離される野生株や、公知のクロレラに公知の変異処理を施した変異株の中から、前記培養条件で培養した際の培養開始から48時間後のクロロフィル含量および総カロテノイド含量を指標として選抜され得る。
また、本発明のクロレラは、特に限定されるものではないが、例えばクロレラ・レギュラリス、クロレラ・ピレノイドサ、クロレラ・ブルガリス、クロレラ・エリプソイデア、クロレラ・ソロキニアナ等が挙げられ、中でも工業的に生産されており、安全性が確認されているクロレラ・レギュラリスが好ましい。また、本発明のクロレラの好適な一例として、クロレラ・レギュラリスZ−192株を挙げることができ、前記株は独立行政法人製品評価技術基盤機構に、寄託番号FERM P−22239として寄託されている。
(比増殖速度の算出方法)
次式(式1)で示すように、細胞の増加率が細胞数(X)に比例する場合、比例定数μ(h-1)を比増殖速度と定義し、細胞増殖の指標とすることが出来る。
dX/dt = μX (式1)
式1を積分すると、式2となる。
lnX2 −lnX1 = μ(t2 - t1) (式2)
ここで、X1、X2はそれぞれ培養時間t1、t2における細胞数、あるいは細胞濃度やPCVなどの細胞数と比例関係にある測定値を示す。
本発明のクロレラの本培養の条件は特に限定されるものではないが、例えば、グルコース濃度が1〜10%(w/v)である基礎培地に、細胞濃度がPCVで20〜50mL/Lのクロレラ細胞液(クロレラの前培養で得られた細胞液)を、基礎培地の量に対して12〜20%(v/v)接種し、32〜38℃で培養し、培養開始18時間後から、グルコース濃度が30〜60%(w/v)である添加培地を0.01〜0.05L/時間で、6〜30時間流加する培養方法を挙げることができる。
上記で用いる基礎培地としては、クロレラの培養において、従来用いられてきた液体培地であれば特に制限されないが、例えば、炭素源としてグルコースや酢酸、窒素源として尿素、硫酸アンモニウムを含有し、その他にKH2PO4、MgSO4、FeSO4、微量無機成分(ホウ酸塩、マンガン塩、硫酸亜鉛、硫酸銅、モリブデン)等を含有する培地を挙げることができ、表1に記載の基礎培地を好適に用いることができる。
また、上記で用いる添加培地としては、クロレラの培養において従来用いられている液体培地であれば特に制限されないが、例えば、炭素源としてグルコースや酢酸、窒素源として尿素、硫酸アンモニウムを含有し、その他にKH2PO4等を含有する培地を挙げることができ、表1に記載の添加培地を好適に用いることができる。
本発明のクロレラの培養方法は特に限定されないが、通気撹拌培養が好ましく、その通気量は特に限定されないが、0.5〜1.5vvmを例示することができる。また、撹拌の回転数も特に限定されるものではないが、300〜700rpmを例示することができる。
培養時のpHは6.7以下にならないように、適宜、アルカリ性溶液、例えば水酸化ナトリウム水溶液等を添加して調整することが好ましい。
(クロロフィルおよび総カロテノイド定量法)
クロレラのクロロフィル含量および総カロテノイド含量の測定は、定量法(植物色素:林 考三、養賢堂)に従い行った。すなわち、培養装置で培養したクロレラ培養液をグラスファイバーフィルターで吸引濾過し、得られた藻体をフィルターごと摩砕した。これにアセトンを加え遠心分離(1,610×g、10分)により藻体とフィルターの破砕物を沈殿させた後、上清の吸光度(480nm、630nm、645nm、663nm、750nm)を測定し、下記の計算式より抽出溶媒中のクロロフィル濃度(クロロフィルaおよびクロロフィルbの合計量)および総カロテノイド濃度を算出した。また、クロレラの乾燥重量を測定するために、培養装置から、クロロフィル濃度と総カロテノイド濃度を測定した時と同量のクロレラ培養液を分取し、遠心分離(10,000×g、10分)後、精製水で洗浄して、再度遠心分離(10,000×g、10分)した後、ペレットを105℃で8時間乾燥させ、クロレラの乾燥重量を求めた。乾燥藻体あたりのクロロフィル含量、総カロテノイド含量は、抽出溶媒中のクロロフィルおよび総カロテノイドの濃度とクロレラの乾燥重量を用いて算出した。
クロロフィルa(μg/ml)=11.64(A663-A750)-2.16(A645-A750)+0.1(A630-A750)
クロロフィルb(μg/ml)=3.94(A663-A750)-20.97(A645-A750)+3.66(A630-A750)
カロテノイド (μg/ml)=4.0(A480-3.0A750)
クロレラ・レギュラリスY−21株およびZ−192株について、下記培養条件に従って培養し、培養期間中の乾燥藻体あたりのクロロフィル含量および総カロテノイド含量を上記定量法により測定した。結果を表2、3に示す。また、18時間培養時におけるクロロフィル含量または総カロテノイド含量に対する48時間培養時におけるそれぞれの含量の比を表4、5に示す。
前々培養では、表1に記載の前培養培地を100mL入れた300mL容三角フラスコにスラントで継代したクロレラを一白金耳接種し、培養温度30℃、回転数160rpmで4日間振とう培養した。また、前培養では、表1に記載の前培養培地を100mL入れた300mL容三角フラスコに、前々培養で得られたクロレラ細胞液を1mL加え、前培養と同様の条件で培養した。次いで、3Lジャーファーメンターに表1記載の基礎培地を1.2L加え、121℃、20分間オートクレーブ滅菌した後、前培養で得られたクロレラ細胞液(PCV:32mL/L)を、200mL接種し、5N NaOH溶液でpH6.8に調整し、48時間通気撹拌培養(36℃、1.0vvm、550rpm)した。また、培養開始18時間後から、表1に記載の添加培地0.3Lを10時間かけて流加した(流加速度:0.03L/時)。なお、培養中は、pHが6.7以下にならないように5N NaOH溶液を加え、pHを調整した。基礎培地、添加培地および前培養培地の組成を表1に示す。
(培養液あたりのクロロフィル含量および総カロテノイド含量)
実施例1と同様の方法で、培養液あたりのクロロフィル含量および総カロテノイド含量を測定した。結果を表6に示す。
以上
Claims (3)
- グルコースを5.0%(w/v)含む培地1.2Lに、細胞濃度がPCV(Packed Cell Volume)で32mL/Lのクロレラ細胞液を200mL接種して36℃で培養し、培養開始18時間後からグルコースを50%(w/v)含む培地を0.03L/時間で10時間流加したとき、培養開始48時間後の乾燥藻体におけるクロロフィル含量が47mg/g以上、かつ総カロテノイド含量が7mg/g以上であることを特徴とするクロレラ・レギュラリス Z−192株(FERM P−22239)。
- 請求項1に記載の培養条件で培養したとき、培養開始48時間後の乾燥藻体におけるクロロフィル含量が培養開始18時間後の乾燥藻体におけるクロロフィル含量の1.5倍以上、かつ培養開始48時間後の乾燥藻体における総カロテノイド含量が培養開始18時間後の乾燥藻体における総カロテノイド含量の1.5倍以上である請求項1記載のクロレラ・レギュラリス Z−192株(FERM P−22239)。
- クロレラ・レギュラリス Z−192株(FERM P−22239)。
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