JP6433021B2 - 冠循環模擬装置 - Google Patents

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Description

本発明は、人体の冠循環を模擬した冠循環模擬装置に係り、更に詳しくは、冠動脈に用いられるステント等の医療機器や医療用材料の試験を人体と同一の冠動脈血流環境下で行うための冠循環模擬装置に関する。
人体の心臓から拍出された血液は、大動脈を通り、当該大動脈から全身に分岐する各種動脈に行き渡り、対応する各種静脈から大静脈に合流して心臓に戻る体循環が行われている。ここで、大動脈から分岐する動脈としては、心筋に張り巡らされた冠動脈があり、この冠動脈は、大動脈の基部から大静脈の基部に戻るように血液を循環させ、心臓にエネルギーや酸素を供給している。このような冠動脈による血液の循環は、冠循環と呼ばれている。
ところで、動脈硬化等によって冠動脈が狭窄、閉塞すると、心筋梗塞と呼ばれる心筋壊死が発生する。このような冠動脈の狭窄、閉塞に対する治療法としては、薬物療法の他、カテーテル療法、及び冠動脈バイパス手術療法が知られている。カテーテル療法は、狭窄した冠動脈内でバルーンを膨らませることで狭くなった血流路を拡張し、その拡張部位にステントと呼ばれる血管拡張具を留置することで、血流路の拡張状態を維持するものである。
冠動脈に使用される冠動脈ステントは、患部への留置後、その内部に血栓が生じ、再度血管が狭窄するステント血栓症の発生が課題となるが、ステントの性能評価の一つとしてステント血栓症評価が行われる。当該ステント血栓症評価としては、臨床上において、血管内超音波エコーや光干渉断層計を用いた観察が行われているが、患者の病変、病態の違いやステント留置後の経時的な観察の困難さから、定量的かつ系統的な評価が行われていないのが現状である。
また、冠動脈ステントの開発段階では、動物実験による性能評価がなされるのが一般的であるが、動物の個体差により比較評価を正確に行う上で課題がある他、コスト面や特定の施設の必要性等の課題もある。更に、動物血液とヒト血液の違いが血液適合性の差異に及ぼす影響は明確になっていない。従って、ヒト血液を用い、人体の冠循環に相当する流れの環境下で、冠動脈ステントの性能評価試験を行うための人工的な循環回路が要請されている。
ところで、特許文献1には、冠動脈ステントを動的環境下で性能評価するための性能評価シミュレータが開示されている。
特許第4166905号公報
実際の人体の大動脈圧の経時的な変化は、図4に示されるように、1周期中、圧力のピークが、心臓の収縮期に1箇所存在する山1つの圧力波形となる。ところが、冠動脈流は、1周期中、前記収縮期に流量がゼロになる時があり、しかも、血流量のピークが2箇所存在する山2つの流量波形となり、これら各ピーク時が大動脈圧のピーク時と一致せずに僅かにずれる現象が見られる。これは、左右の冠動脈うち大きな血流量が生じる左冠動脈に顕著に現れる。この現象は、大動脈弁の近傍で冠動脈が大動脈から分岐する体内構造に起因して生じると考えられる。すなわち、大動脈弁が解放する心臓の収縮期には、当該大動脈弁により、冠動脈の入口部分が塞がれて冠動脈に血液が流入し難くなり、冠動脈の血流量が減少する。その一方、大動脈弁が閉塞する心臓の拡張期には、冠動脈の入口部分が大動脈弁で塞がれなくなって冠動脈に血液が流入し易くなり、冠動脈の血流量が増加する。
前記特許文献1の性能評価シミュレータにあっては、大気非接触の状況下で冠動脈ステントの性能評価を行えるものではなく、その構造上、回路全体で必要となる試験用流体の容量が多くなる。これにより、心臓の収縮期に相当する状態のときでも、冠動脈の血流量がゼロとなる時が存在しない。しかも、特許文献1の性能評価シミュレータでは、その構造上、大動脈圧のピーク時と冠動脈の血流量のピーク時がほぼ一致してしまい、前述した人体の冠動脈流の特性が得られない。
本発明は、このような課題を解決するために案出されたものであり、その目的は、大動脈と異なる挙動を示す冠動脈の血流状態を正確に模擬することができ、医療機器や医療用材料の非臨床環境下での評価試験に有用となる冠循環模擬装置を提供することにある。
本発明は、主として、人体の冠動脈の血流状態を模擬した大気非接触の閉鎖回路により構成され、当該閉鎖回路の途中に前記冠動脈に用いる試験対象物を設置し、試験用血液を前記閉鎖回路内で循環させて前記試験対象物の試験を行うための冠循環模擬装置であって、前記試験用血液が所定の一方向のみに流れるように構成された流路と、当該流路の途中に設けられるとともに、前記流路を流れる前記試験用血液の流量や圧力を調整する流体調整機構とを備え、前記流路は、人体の体循環の動脈に相当する主循環路と、前記冠動脈に相当し、前記主循環路の途中の分岐部から分岐して当該主循環路の途中の合流部で合流するとともに、前記試験対象物を留置する留置部が途中に設けられた冠循環路とを備え、前記流体調整機構は、前記主循環路に設けられて当該主循環路における前記試験用血液の圧力を人体の体循環の動脈圧に模擬するための主循環流れ調整部と、前記冠循環路に設けられて当該冠循環路における前記試験用血液の流れ状態を人体の冠動脈流に模擬するための冠循環流れ調整部とを備え、前記冠循環流れ調整部は、前記留置部を流れる前記試験用血液について、流量の最低値がほぼゼロで、流量ピークが2箇所現れる拍動流を生成し、且つ、当該各流量ピーク時が、前記主循環路の前記試験用血液の圧力ピーク時に対してシフトするように、流れ調整可能に設けられる、という構成を採っている。
本発明によれば、人体の冠動脈の血流及び血圧環境が模擬された状態で、試験用血液が循環する回路構成になっており、冠循環路を循環する試験用血液の流れの中に試験対象物を置くことにより、実際の冠動脈への使用時と同様の冠動脈環境下で、試験対象物の評価試験を行うことができ、開発段階の試験対象物における非臨床環境下での評価試験を行う上で有用となる。
また、コンプライアンス手段、リザーバ手段等を大掛かりなタンクを用いずに構成することで、装置全体で必要となる試験用血液の容量を大幅に少なくすることができ、冠動脈環境の模擬をより正確に行える他、同一個体から同一時点での採血を試験用血液として、複数の試験対象物の比較試験が可能となり、動物実験や臨床では行えない有用な試験を行うことが可能になる。
本実施形態に係る冠循環模擬装置の回路構成を表す概念図。 主循環ポンプの要部を断面で表した概略図。 前記冠循環模擬装置による主循環部での時間に対する圧力の関係を示す波形と、冠循環部での時間に対する流量の関係を示す波形とを併記したグラフ。 時間に対する人体の大動脈圧の関係を示す波形と、時間に対する人体の冠動脈血流量の関係を示す波形とを併記したグラフ。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1には、本実施形態に係る冠循環模擬装置の回路構成を表す概念図が示されている。この図において、前記冠循環模擬装置10は、人体の冠動脈の血流状態を模擬した大気非接触の閉鎖回路により構成され、当該閉鎖回路に試験用血液としてのヒト血液(以下、単に「血液」と称する。)を循環させて、冠動脈ステント(試験対象物)の試験を行うための装置である。なお、特に限定されるものではないが、本実施形態では、冠循環模擬装置10の内部容量すなわち当該装置全体で必要な血液の量が、約60mlとなるように設計されている。
この冠循環模擬装置10は、血液が循環する流路11と、流路11の途中に設けられ、流路11を流れる血液の流量や圧力を調整する流体調整機構12とを備えている。
前記流路11は、人体の体循環の動脈に相当する主循環路14と、人体の冠動脈に相当し、主循環路14の途中の分岐部15から分岐して主循環路14の途中の合流部16で合流する冠循環路18とにより構成される。これら主循環路14及び冠循環路18は、それぞれチューブによって形成され、図1中の矢印で示す一方向のみに血液が流れるように回路構成されている。すなわち、主循環路14では、血液が図1中時計回りに循環し、冠循環路18では、血液が分岐部15からから合流部16に向かう同図中半時計回りに循環する。従って、主循環路14を循環する血液は、その一部が分岐部15から冠循環路18に流れ込み、冠循環路18を通って合流部16で、主循環路14の血液に合流する。なお、分岐部15及び合流部16は、3本のチューブを接続可能なY字コネクタにより構成される。
前記冠循環路18には、その一部分に冠動脈ステントSが留置されるステント留置部20(留置部)と、図示しないカテーテルを回路外から挿入するための挿入ポート22とが設けられている。ここで、冠動脈ステントSは、挿入ポート22から挿入された前記カテーテルを使ってステント留置部20に留置され、冠動脈ステントSの留置後、前記カテーテルが挿入ポート22から回路外に引き抜かれる。なお、冠循環路18を構成するチューブは、主循環路14を構成するチューブと同一の材質によって形成されているが、主循環路14を構成するチューブよりも小さい内径のものが用いられている。
前記流体調整機構12は、主循環路14に設けられて、当該主循環路14の血流状態を人体における体循環の動脈流の状態に模擬するための主循環流れ調整部24と、冠循環路14に設けられて、ステント留置部20の上流側における冠循環路14の血流状態を人体の冠動脈流の状態に模擬するための冠循環流れ調整部25とからなる。
前記主循環流れ調整部24は、分岐部15と合流部16の間に配置され、主循環路14の血液に所定の拍動流を付与する主循環ポンプ27と、主循環ポンプ27と合流部16との間に配置され、主循環ポンプ27に流入する方向の血流のみを許容する流入弁28と、主循環ポンプ27と分岐部15との間に設けられ、主循環ポンプ27から流出する方向の血流のみを許容する流出弁29と、分岐部15の下流側に設けられ、人体の体循環の動脈環境を模擬した動脈模擬機構30と、分岐部15と動脈模擬機構30との間の血液の流量及び圧力を計測する流量計32及び圧力計33とを備えて構成されている。
前記主循環ポンプ27は、図2に示されるように、主循環路14に接続されて内部を血液が通過する直管状の弾性チューブ35と、弾性チューブ35を内部の中心付近に収容する円筒状の中空ケース36と、中空ケース36の内部における弾性チューブ35の周囲の空間38に対し、空気の供給及び排出を行う空気圧駆動装置39とを備えている。
前記弾性チューブ35は、内部を通過する血液の流れ状態に応じて内径が変化するように弾性変形可能な素材により形成されており、主循環路14を構成するチューブよりも内径が大きく設定されている。なお、特に限定されるものではないが、本実施形態の弾性チューブ35は、セグメント化ポリウレタン製のものが用いられている。
前記中空ケース36内における弾性チューブ35の周囲の空間38は、空気圧駆動装置39の空気の供給及び排出を除き、外部から空気の出入りができないように密閉された状態となっている。
前記空気圧駆動装置39は、周囲の空間38に対して陽圧及び陰圧を交互に作用させることで、所定の周期で空気の供給及び排出を繰り返して行うことのできる既存のエアポンプからなる。
以上の構成の主循環ポンプ27では、空気圧駆動装置39により、前記周囲の空間38内の空気の給排状態が周期的に変化することで、周囲の空間38内の空気の圧力が周期的に変化し、これに伴い、弾性チューブ35が、その内径を拡張、収縮する方向に繰り返し弾性変形する。この弾性変形により、弾性チューブ35を通過した血液は、拍動流が付与されて主循環路14に拍出されることになる。
前記動脈模擬機構30は、主循環路14の血液の圧力を吸収する主循環路用のコンプライアンス手段41と、コンプライアンス手段41の下流側に設けられ、主循環路14の血液の流れに抵抗を付与するための主循環路用の抵抗付与手段42と、抵抗付与手段42の下流側に設けられ、主循環路14を流れる血液を一時的に溜め込むリザーバ手段43とにより構成される。
前記主循環路用のコンプライアンス手段41は、主循環路14に接続されて内部を血液が通過する弾性チューブにより構成されている。当該弾性チューブは、内部を通過する血液の流れ状態に応じて内径が変化するように弾性変形可能となっており、主循環路14を構成するチューブよりも内径が大きく設定されている。なお、特に限定されるものではないが、本実施形態では、セグメント化ポリウレタン製の弾性チューブが用いられている。
前記主循環路用の抵抗付与手段42は、主循環路14に絞り抵抗を付与するクランプ等によって構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、同様の作用を奏する限りにおいて、弁等の種々の機器を代替的に採用することができる。
前記リザーバ手段43は、コンプライアンス手段41と同様の弾性チューブにより構成されているが、抵抗付与手段42の下流側に配置されており、同上流側のコンプライアンス手段41に対して前述の機能差を生じさせるようになっている。
前記冠循環流れ調整部25は、ステント留置部20の下流側に設けられ、主循環ポンプ27の拍動に同期して駆動する冠循環ポンプ45と、冠循環ポンプ45の上流側でステント留置部20を挟んだ2箇所に設けられ、冠循環路18を流れる血液の流量調整と圧力振動を軽減するための冠循環路用のコンプライアンス手段47,48と、冠循環路18の入口側及び出口側にそれぞれ設けられ、主循環路14から冠循環路18に流入する血液の流量を調整する冠循環路用の抵抗付与手段49,50と、ステント留置部20とその上流側に位置する冠循環路用のコンプライアンス手段47との間の冠循環路18の部位の血液の流量及び圧力を計測する流量計52及び圧力計53とを備えている。
前記冠循環ポンプ45は、前記主循環ポンプ27と同一構成のものが採用されており、主循環ポンプ27と同一の周期で拍動するようになっている。なお、冠循環ポンプ45について、主循環ポンプ27と同一の構成部分については同一符号を用い、当該各構成部分の説明は省略する。
前記冠循環路用のコンプライアンス手段47,48は、それぞれ前記主循環路用のコンプライアンス手段41と同一の弾性チューブにより構成されている。
前記冠循環路用の抵抗付与手段49,50は、冠循環路18に絞り抵抗を付与するクランプ等によって構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、同様の作用を奏する限りにおいて、弁等の種々の機器を代替的に採用することができる。ここで、冠循環路18の入口側に配置された抵抗付与手段49は、分岐部15と上流側のコンプライアンス手段47との間に設けられており、分岐部15から冠循環路18に流入する血液の流量を調整可能になっている。また、冠循環路18の出口側に配置されている抵抗付与手段50は、冠循環ポンプ45と合流部16との間に設けられており、冠循環路18を流れる血液の流量を調整する機能の他に、主循環路14を流れる血液が合流部16から冠循環路18に逆流しないように調整する機能も有する。
以上の構成の冠循環模擬装置10では、主循環路14に設けられた流量計32及び圧力計33で計測される値が、人体の体循環の動脈に相当する値になるように、主循環流れ調整部24による調整が行われるとともに、冠循環路18に設けられた流量計52及び圧力計53で計測される値が、人体の冠動脈に相当する値になるように、冠循環流れ調整部25による調整が行われる。
次に、前記冠循環模擬装置10について、冠循環路18の血液の流れ状態を検証するための実験を行った。
主循環路14について、分岐部15から動脈模擬機構30を経由して合流部16に至るチューブの内径を約6mmとし、同チューブの長さを約265mmとした。また、合流部16から主循環ポンプ27を経由して分岐部15に至るチューブの内径を約8mmとし、同チューブの長さを約70mmとした。
冠循環路18について、冠循環ポンプ45の入口側及び出口側の一部を除く部位のチューブの内径を約3mmとし、同チューブの長さ約390mmとした。また、冠循環路18のうち、冠循環ポンプ45の入口側及び出口側に繋がる部分のチューブの内径を入口側、出口側それぞれ約8mmとし、同チューブの長さを同それぞれ約35mmとした。
主循環ポンプ27の弾性チューブ35としては、内径約12mmで長さ約35mmのものを採用し、冠循環ポンプ45の弾性チューブ35としては、内径約12mmで長さ約10mmのものを採用した。
主循環路用及び冠循環路用のコンプライアンス手段41,47,48と、リザーバ手段43とをそれぞれ構成する弾性チューブとしては、相互に同一となる内径約12mmで長さ約25mmのものをそれぞれ採用した。
主循環流れ調整部24において、主循環ポンプ27の拍動状態や抵抗付与手段42の調整により、主循環路14の圧力計32で計測される圧力を人体の動脈圧に相当する値、すなわち、最高圧力を120mmHg程度で、且つ、最低圧力を80mmHg程度で、平均圧力を100mmHg程度に設定することができた。
また、冠循環流れ調整部25において、主循環ポンプ27の拍動のタイミングに同期して冠循環ポンプ45を70bpmで拍動させ、且つ、抵抗付与手段49,50を調整することにより、冠循環路47の流量計52で計測される血液の平均流量を人体の冠動脈部の平均流量の臨床値に相当する値、すなわち、60mL/min程度に設定することができた。
また、冠循環路47の流量計52で計測された経時的な流量の変化は、図3に示される波形として現れ、人体の冠動脈流と極めて近い状況を作り出すことができた。すなわち、図3によれば、冠循環流れ調整部25での調整により、ステント留置部20を流れる血液について、流量の最低値がほぼゼロで、1周期中で流量ピークが2箇所(同図中1点鎖線部分)生じる拍動流が生成され、且つ、当該各流量ピーク時が、主循環路14の血液の圧力のピーク時に対してシフトする流れの状況が得られた。また、主循環路14の血液の圧力がピークから降下し始めた時に、ステント留置部20を流れる血液の流量が最高値となった。
従って、本実施形態によれば、人体における冠動脈内の血流環境を模擬することができ、人体の体循環の動脈圧に対する冠動脈流における経時的関係を人工的に生成可能になるという効果を得る。また、コンプライアンス手段41,47,48やリザーバ手段43が弾性チューブによって構成され、コンプライアンスタンクやリザーバタンクが不要であるため、回路内を空気非接触の状態に維持でき、しかも、当該タンクが不要で、且つ、主循環ポンプ27及び冠循環ポンプ45が比較的簡単な構造であるため、装置全体の内部容量を60ml程度の少量にすることができる。これにより、本実施形態の冠循環模擬装置10を使って、冠動脈ステントSの試験を行う際に、ボランティア等の人間から採血できる程度の血液量にて試験を行うことができ、動物実験や臨床環境では不可能な試験、すなわち、同一個体から同一時に採取した血液を用いた複数の冠動脈ステントSにおける比較評価試験が可能になる。
なお、本実施形態において、主循環ポンプ27及び冠循環ポンプ45は、直管型の拍動ポンプにより構成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、それらポンプ27,45の拍動タイミングを同期させて、それぞれを通過した血液に拍動流を付与するように駆動可能な限りにおいて、種々の構造のポンプを採用することができる。
また、冠循環模擬装置10内を循環させる試験用血液としては、ヒト血液に限定されるものではなく、ヒト血液に類する血液成分を有する人工血液等の血液疑似液体や、動物の血液等の他の流体を用いることもできる。
更に、本発明の冠循環模擬装置10は、冠動脈ステントSの性能評価試験のみならず、冠動脈に用いられる他の医療機器や医療用材料等の試験対象物の性能評価試験等にも適用可能である。
その他、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
10 冠循環模擬装置
11 流路
12 流体調整機構
14 主循環路
15 分岐部
16 合流部
18 冠循環路
20 ステント留置部(留置部)
24 主循環流れ調整部
25 冠循環流れ調整部
27 主循環ポンプ
30 動脈模擬機構
41 コンプライアンス手段
42 抵抗付与手段
43 リザーバ手段
45 冠動脈ポンプ
47,48 コンプライアンス手段
49,50 抵抗付与手段
S ステント

Claims (4)

  1. 人体の冠動脈の血流状態を模擬した閉鎖回路により構成され、当該閉鎖回路の途中に前記冠動脈に用いる試験対象物を設置し、試験用血液を空気非接触の状態に維持された前記閉鎖回路内で循環させて前記試験対象物の試験を行うための冠循環模擬装置であって、
    前記閉鎖回路は、前記試験用血液が循環する流路と、当該流路の途中に設けられるとともに、前記流路を流れる前記試験用血液の流量や圧力を調整する流体調整機構とを備え、
    前記流路は、人体の体循環の動脈に相当し、前記試験用血液が所定の一方向のみに流れる主循環路と、前記冠動脈に相当し、前記試験用血液が所定の一方向のみに流れるように前記主循環路の途中の分岐部から分岐し当該主循環路の途中の合流部で合流するとともに、前記試験対象物を留置する留置部が途中に設けられた冠循環路とを備え、
    前記流体調整機構は、前記主循環路に設けられて当該主循環路における前記試験用血液の圧力を人体の体循環の動脈圧に模擬するための主循環流れ調整部と、前記冠循環路に設けられて当該冠循環路における前記試験用血液の流れ状態を人体の冠動脈流に模擬するための冠循環流れ調整部とを備え、
    前記主循環流れ調整部は、前記主循環路の前記試験用血液に所定の拍動流を付与する主循環ポンプを含み、
    前記冠循環流れ調整部は、前記留置部の下流側に設けられ、前記主循環ポンプの拍動に同期して拍動する冠循環ポンプと、当該冠循環ポンプの上流側で前記留置部を挟んだ2箇所に設けられ、前記冠循環路を流れる前記試験用血液の流量調整と圧力振動の抑制をする冠循環路用のコンプライアンス手段と、前記冠循環路の入口側及び出口側にそれぞれ設けられ、前記主循環路から前記冠循環路に流入する前記試験用血液の流量を調整する冠循環路用の抵抗付与手段とを備え、前記留置部を流れる前記試験用血液について、流量の最低値がほぼゼロで、流量ピークが2箇所現れる拍動流を生成し、且つ、当該各流量ピーク時が、前記主循環路の前記試験用血液の圧力ピーク時に対してシフトするように、流れ調整可能に設けられていることを特徴とする冠循環模擬装置。
  2. 前記冠循環流れ調整部は、前記主循環路の前記試験用血液の圧力がピークから降下し始めた時に、前記留置部を流れる前記試験用血液の流量が最高になるように調整可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の冠循環模擬装置。
  3. 前記コンプライアンス手段は、内部を通過する前記試験用血液の流れ状態に応じて内径が変化するように弾性変形可能な弾性チューブによって構成されることを特徴とする請求項記載の冠循環模擬装置。
  4. 前記主循環流れ調整部は、前記分岐部の下流側に設けられ、人体の体循環の動脈環境を模擬するための動脈模擬機構を更に含み、
    前記動脈模擬機構は、前記主循環路の前記試験用血液の圧力を吸収する主循環路用のコンプライアンス手段と、当該コンプライアンス手段の下流側に設けられ、前記主循環路の前記試験用血液の流れに抵抗を付与するための主循環路用の抵抗付与手段と、当該抵抗付与手段の下流側に設けられ、前記主循環路を流れる前記試験用血液を一時的に溜め込むリザーバ手段とにより構成され、
    前記各コンプライアンス手段及び前記リザーバ手段は、内部を流れる前記試験用血液の流れ状態に応じて内径が変化するように弾性変形可能な弾性チューブによってそれぞれ構成されることを特徴とする請求項記載の冠循環模擬装置。
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