以下、図面を参照しながら発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。
(第1実施形態)
図1に示すように、携帯端末10が車室内に持ち込まれた車両1には、電子制御装置(ECU20)、スピーカ30、マイク31、表示器32、着座センサ33、および他の電子制御装置(他のECU34)が搭載されている。携帯端末10は、車両1の外部に設置されている基地局2を通じて、通信端末3と通信可能である。基地局2は、インターネット回線または電話回線により通信可能に接続するものである。換言すれば、携帯端末10および通信端末3は、インターネット回線または電話回線により無線通信する機能を有している。
スピーカ30は、音声や楽曲、報知音等の音を車両乗員に対して出力する。マイク31は、車両の運転者が発した音声を検出して電気信号に変換する。表示器32は、インストルメントパネルに取り付けられ、車両乗員に対して各種情報を表示する。着座センサ33は、車両の座席に乗員が着座しているか否かを検出するセンサである。他のECU34は、車両1に搭載された内燃機関または走行モータ等の作動を制御するものであり、車両の運転状態を表した車両情報をECU20へ送信する。車両情報の具体例としては、車両の走行速度、走行加速度、操舵角度、方向指示機の作動情報、走行している道路の情報、等が挙げられる。
ECU20は、通信処理回路21、マイクロコンピュータ(マイコン22)、音声出力処理回路23、音声入力処理回路24、表示出力処理回路25および外部メモリ26等を有する。通信処理回路21は、車室内に持ち込まれた携帯端末10と無線通信するインターフェイス回路である。音声出力処理回路23は、マイコン22から出力された音声信号に基づきスピーカ30へ駆動信号を出力する。音声入力処理回路24は、マイク31で検出したアナログの音声信号をデジタル信号に変換してマイコン22へ出力する。表示出力処理回路25は、マイコン22から出力された画像信号に基づき表示器32へ駆動信号を出力する。外部メモリ26は、複数種類の音声信号および画像信号を記憶している。
携帯端末10が通信端末3から文章データを含むメールを受信すると、その文章データ(着信メッセージ)をECU20へ送信する。ECU20は、着信メッセージを音声信号に変換してスピーカ30へ出力する。つまり、スピーカ30は、着信メッセージを読上げる音声を出力する読上げ装置を提供し、ECU20は、読上げ装置の作動状態を制御する読上げ制御装置を提供することとなる。そして、運転者はハンズフリーで着信メッセージの内容を把握できる。なお、読上げ装置により音声出力される内容の文章は、表示器32にも表示される。
ECU20は、着座センサ33の検出結果に基づき、車両乗員が運転者だけなのか、運転者以外の同乗者が存在するのか否かを判定する。ECU20は、このような同乗者有無の判定結果、携帯端末10から取得した着信メッセージ、他のECU34から取得した車両情報、マイク31で検出した音声等の情報に基づき、読上げ装置としてのスピーカ30の作動を制御する。以下、この制御の内容について詳述する。
マイコン22は、内部メモリ22mに予め記憶されているプログラムにしたがって各種処理を実行することで、以下に説明する許可手段22a、継続中断手段22b、強制中断手段22c、自動返信手段22d、および読上げ順決定手段22eを提供する。
許可手段22aは、以下に説明する条件(1)〜(4)の全てを満たしていることを条件に、読上げ装置による音声出力の開始を許可する。条件(1)は、運転者にとっての運転負荷が所定未満である低負荷状態であることである。運転負荷とは、運転者が車両1を運転操作する時に運転者が担う負荷である。例えば、ETCゲート通過時や、カーブ走行時、分岐路運転時、車線変更時、交差点進入時、交差点走行時には、運転者にとっての運転負荷が高い状態であると言える。そして、運転負荷が高い時には、運転に対する高い集中力が運転者に要求される。
条件(2)は、携帯端末10が受信したメールの内容に、場所、時間または緊急性に関する内容が含まれていることである。条件(3)は、携帯端末10が受信したメールの送信元(例えば通信端末3)が許可された送信元であることである。上記「許可された送信元」の具体例としては、携帯端末10のアドレス帳に登録されている通信端末3や、該アドレス帳に登録されている通信端末3のうち、ユーザ等により許可登録された通信端末3が挙げられる。条件(4)は、運転者以外の同乗者が車両1の室内に存在していないことである。同乗者の有無は、着座センサ33の検出結果に基づき判定される。
マイコン22は、取得した車両情報に基づき運転負荷を数値化する演算を実行する。例えば、車両1の現在位置とETCゲートまでの距離が短いほど運転負荷数値は大きい値に演算される。また、カーブ走行時や分岐路運転時の車速が大きいほど運転負荷数値は大きい値に演算される。マイコン22は、演算された運転負荷数値が第1閾値未満(所定未満)であれば低負荷状態であると判定し、第2閾値以上(所定度合い以上)であれば高負荷状態であると判定し、第1閾値以上かつ第2閾値未満であれば中負荷状態であると判定する。第2閾値は第1閾値よりも大きい。高負荷状態および中負荷状態を総称して非低負荷状態とも呼ぶ。
継続中断手段22bは、読上げ装置による音声出力の最中に低負荷状態から中負荷状態に変化した場合に、中負荷状態に変化した時点で直ぐに音声出力を停止させずに、着信メッセージの最適箇所まで音声出力を継続させる。そして、最適箇所まで音声出力を実施した後に音声出力を停止させて、着信メッセージの読上げを中断(以下、継続中断と記載)する。上記最適箇所とは、着信メッセージの文章に含まれている句読点、絵文字および記号の箇所である。マイコン22は、着信メッセージに係るテキストデータを解析して、上記最適箇所を判別する。
強制中断手段22cは、読上げ装置による音声出力の最中に低負荷状態から高負荷状態に変化した場合に、高負荷状態に変化した時点で直ぐに音声出力を停止させて、着信メッセージの読上げを強制的に中断(以下、強制中断と記載)する。なお、継続中断または強制中断により読上げを中断している期間中は、読上げ内容を表示器32へ表示させることも禁止する。つまり読上げとともに表示も中断させる。
自動返信手段22dは、継続中断または強制中断が所定時間以上継続したことを条件として、着信メッセージの送信元、つまり図1の例では通信端末3へ、所定のメッセージを自動返信する。例えば「只今、車の運転中です」といったメッセージを自動返信する。このメッセージは、外部メモリ26等の記憶手段に予め記憶された定形文章、またはユーザが予め記憶設定させておいた文章である。また、自動返信手段22dは、着信メッセージの送信元が許可された送信元であることを条件として自動返信を行う。例えば、先述した条件(3)と同様にして、アドレス帳に登録されている通信端末3や、該アドレス帳に登録されている通信端末3のうち、ユーザ等により許可登録された通信端末3を「許可された送信元」とすればよい。つまり、家族や友人のメールアドレスを許可登録するように予め設定しておけばよい。
読上げ順決定手段22eは、未読の着信メッセージが複数存在する場合に、読上げ装置により読上げる順番を決定する。具体的には、着信メッセージの本文の内容やタイトルの内容、これらの内容の文章の長さ、つまりテキストデータの大きさ、送信元、等に基づき読上げ順を決定する。例えば、着信メッセージの内容に基づき読上げ順を決定する場合には、場所、時間または緊急性に関する内容が着信メッセージに含まれているか否かを、テキストデータの解析により判定する。含まれていると判定された場合には、読上げる順番を先の方へ繰り上げる。例えば、着信メッセージの文章が長いほど、読上げる順番を先の方へ繰り上げる。例えば、着信メッセージの送信元が予め設定しておいたアドレスであれば、読上げる順番を先の方へ繰り上げる。
次に、読上げ装置による読上げの途中で非低負荷状態になったことに起因して、その読上げを一時中断する場合の例について説明する。
図2は、継続中断手段22bによる継続中断の一態様を表したタイムチャートである。先ず、運転負荷が低負荷である時に携帯端末10に新規メールが着信すると、新規メールの着信があった旨の音声信号をマイコン22は出力する。これにより、例えば図2(b)に示すように「メールを着信しました」といった案内の音声がスピーカ30から出力される。その後、その新規メールを読上げるか否かの判断を仰ぐ音声信号をマイコン22は出力する。これにより、例えば図2(c)に示すように「読上げますか?」といった問合せの音声がスピーカ30から出力される。
その後、ユーザ(車両乗員)による「はい」といった応答の如く(図2(d)参照)、読み上げを希望する旨の応答の音声がマイク31により検出されると、新規メールの内容を読上げる音声信号をマイコン22は出力する。これにより、新規メールの内容の音声がスピーカ30から出力される。つまり、新規メールの読上げが開始する。
図2(a)に示す例では、読上げ開始のt1時点の後、読上げ途中であるt2時点で、運転負荷が低負荷から中負荷に変化している。そのため、上記読上げが継続中断手段22bにより中断される。但し、t2時点で強制的に中断することはせず、最適箇所まで音声出力を継続させる。そして、最適箇所まで読上げたt3時点で読上げを中断(継続中断)させる。図2(e)に示す例では、新規メールが4つの文(1)(2)(3)(4)からなる文章である場合において、最初の文(1)の読上げ途中のt2時点で中負荷に変化している。そして、文(1)を最後まで読上げるように文章の読上げを継続し、文(1)の読上げが完了したt3時点で文章全体の読上げを中断している。つまり、文章全体のうち、文(1)と文(2)の境目が最適箇所である。
その後、t4時点で運転負荷が中負荷から低負荷に変化しており、このt4時点で文章の読上げを再開している。つまり、読上げが完了している文(1)の次の文(2)から読上げを開始する。その後、残りの文(3)(4)の読上げが完了して文章全体の読上げが完了したt5時点で、読上げ装置の作動を停止させる。
図3は、強制中断手段22cによる強制中断の一態様を表したタイムチャートである。先ず、図2と同様にして、低負荷状態時に新規メールが着信すると案内および問合せの音声を出力する(図3(b)(c)参照)。その後、読み上げ希望の音声がマイク31により検出されると、新規メールの読上げが開始する(図3(d)(e)参照)。
図3(a)に示す例では、読上げ開始のt1時点の後、読上げ途中であるt2時点で、運転負荷が低負荷から高負荷に変化している。そのため、上記読上げが強制中断手段22cにより中断される。この中断では、文(1)の読上げ完了を待たずして、文(1)の読上げ途中で強制的に中断(強制中断)させる。
その後、運転負荷が高負荷から低負荷に変化したt4時点で、文章の読上げを再開している。この再開では、読上げ途中であった文(1)の中断箇所から読上げを開始するのではなく、その中断箇所よりも戻った箇所から開始する。図3の例では、文(1)の最初に戻って再開する。その後、残りの文(2)(3)(4)の読上げが完了して文章全体の読上げが完了したt6時点で、読上げ装置の作動を停止させる。
次に、マイコン22による、読上げ装置の作動を制御する処理の手順について、図4および図5を用いて説明する。図4および図5のフローチャートは、ECU20が携帯端末10と通信している期間中、マイコン22により所定周期で繰返し実行される。
先ず、図4のステップS10において、携帯端末10が受信したメールのうち、未読メールが有るか否かを判定する。未読メールが有ると判定された場合には、次のステップS11において、運転負荷が低負荷状態であるか否かを判定する。つまり、先述した運転負荷数値が第1閾値未満であれば低負荷状態であると判定する。低負荷状態であることは、先述した許可手段22a(図1参照)による読上げ許可の条件(1)に該当する。
低負荷状態であると判定された場合にはステップS12に進み、許可手段22aによる読上げ許可の他の条件(2)(3)(4)を満たしているか否かを判定する。これらの条件(2)〜(4)は先述した通りであり、メールの内容、送信元、同乗者の有無に基づき判定される。
これら他の条件(2)〜(4)も全て満たしていると判定された場合には、ステップS13に進み、図2(b)および図3(b)にて例示した如く、未読メールが有る旨を案内する音声信号を出力する。続くステップS14では、図2(c)および図3(c)にて例示した如く、未読メールを読み上げるか否かをユーザに問い合わせる音声信号を出力する。
続くステップS15では、ステップS14による問合せに対して、読上げを許可するユーザの許可音声がマイク31に入力されたか否かを判定する。図2(d)および図3(d)にて例示した如く、許可音声が入力されたと判定された場合には、続くステップS16において、読上げフラグをオンに設定する。
次に、図5のステップS20では、読上げフラグがオンに設定されているか否かを判定する。読上げフラグがオンに設定されていると判定された場合、次のステップS21において、読上げ対象である未読メールの読上げを開始するよう、読上げ装置の作動を制御する。つまり、未読メールの内容を表したテキストデータを音声信号に変換し、その音声信号の出力を開始する。
続くステップS22では、ステップS21で開始した読上げが完了したか否かを判定する。例えば、図2(e)および図3(e)に例示する文章の場合、最後の文(5)の読上げが完了したか否かを判定する。文章全体の読上げが完了したと判定された場合、次のステップS23において、読上げフラグをオフに設定する。文章全体の読上げが完了していないと判定された場合、続くステップS24において、運転負荷が低負荷状態から高負荷状態に変化したか否かを判定する。つまり、先述した運転負荷数値が第1閾値未満の状態から第2閾値以上の状態に変化したか否かを判定する。高負荷状態に変化したと判定された場合、続くステップS25において、図3(e)にて例示した如く、強制中断手段22cによる読上げの強制中断を実行する。
一方、ステップS24にて高負荷状態への変化が生じていないと判定された場合、続くステップS26にて運転負荷が低負荷状態から中負荷状態に変化したか否かを判定する。つまり、先述した運転負荷数値が第1閾値以上かつ第2閾値未満の状態に変化したか否かを判定する。中負荷状態に変化したと判定された場合、続くステップS27、S28において、継続中断手段22bによる読上げの継続中断を実行する。すなわち、先ずはステップS27により最適箇所まで読上げが継続され、その後、ステップS28において読上げを中断する。
なお、ステップS24、S26のいずれにおいても否定判定された場合、つまり低負荷状態が維持されている場合には、ステップS22に戻って処理を繰り返す。したがって、読上げ開始から読上げ完了まで低負荷状態が継続された場合には、ステップS25、S28による読上げの中断が実行されることなく読上げが完了して、読上げフラグがオンからオフに切り替わる。
ステップS25、S28により読上げが中断された場合、続くステップS29にて読上げを待機し、続くステップS30にて運転負荷が低負荷状態に復帰したか否かを判定する。つまり、高負荷状態または中負荷状態から低負荷状態に変化したか否かを判定する。低負荷状態に復帰していないと判定された場合には、ステップS29に戻って読上げ待機を継続させる。一方、低負荷状態に復帰したと判定された場合には、次のステップS31に進み、中断している未読メールの読み上げを再開するか否かについて、ユーザに問い合わせる音声信号を出力する。続くステップS32では、ステップS31による問合せに対して、読上げ再開を許可するユーザの許可音声がマイク31に入力されたか否かを判定する。
ステップS31による問合せから所定時間以内に許可音声が入力されない場合には、ステップS23に進み、読上げフラグをオフに設定する。その結果、読上げは再開されずに、該当する未読メールの読上げを中断したまま終了させることとなる。一方、ステップS32にて許可音声の入力があると判定された場合には、再開させようとしている読上げが、強制中断からの再開であるか否かを判定する。換言すれば、現在の中断が強制中断および継続中断のいずれであるかを判定する。
強制中断からの再開であると判定された場合には、ステップS34に進み、中断箇所より戻った箇所から読上げを再開する。この再開箇所は、句読点や絵文字、記号等の箇所に設定されている。一方、強制中断からの再開ではないと判定された場合、つまり継続中断からの再開であると判定された場合には、中断箇所(つまり最適箇所)から読上げを再開する。
そして、ステップS34、S35にて読上げを再開した後、ステップS22に戻って処理を繰り返す。したがって、読上げ再開から読上げ完了まで低負荷状態が継続された場合には、読上げフラグがオンからオフに切り替わる。また、再開後に再び非低負荷状態に変化した場合には、読上げの中断が再度実行されることとなる。
以上により、本実施形態によれば、低負荷状態であることを条件に未読メールの読上げ開始を許可する許可手段22aを備える。そのため、非低負荷状態時に読上げることが回避されるので、運転に対する高い集中力が要求される時に、読上げにより集中力を低下させてしまうおそれを低減できる。或いは、運転に集中していることに起因して読上げられた内容を把握できなくなるおそれを低減できる。
さらに本実施形態では、読上げの最中に低負荷状態から非低負荷状態に変化した場合に、未読メールの最適箇所まで読上げを継続させ、その後に読上げを中断する継続中断手段22bを備える。そのため、句読点や絵文字、記号等の最適箇所まで読上げてから中断させるようにできるので、複数の文(1)(2)(3)(4)からメール文章が構成されている場合において、読上げ途中の文(1)については最後まで読上げるようにできる。よって、読上げ途中の文(1)については十分に内容を把握できた後に中断されるので、文の途中で強制的に中断させることによる利便性低下を抑制できる。
さらに本実施形態では、継続中断手段22bに加えて強制中断手段22cを備える。そのため、低負荷状態から中負荷状態に変化した場合には継続中断手段22bによる継続と中断を実行する一方で、高負荷状態に変化した場合には、上記継続を実施することなく直ぐに強制中断する。
そのため、読上げ途中で高負荷状態に変化した場合には、最適箇所まで読上げを継続させることよりも直ぐに中断させることが優先されるので、運転に対する集中力が読上げにより低下するおそれを一刻も早く低減できる。それでいて、読上げ途中で中負荷状態に変化した場合には、直ぐに中断させることよりも最適箇所まで読上げを継続させることが優先されるので、ハンズフリー読上げによる利便性が損なわれることを抑制できる。
さらに本実施形態では、強制中断手段22cにより強制中断を実施した後、非低負荷状態から低負荷状態に変化して中断していた読上げを再開する場合には、着信メッセージのうち中断箇所よりも戻った箇所から再開する。
さて、強制中断により中断された文(1)は、最適箇所まで読上げられていないので、ユーザはその文の内容を十分に理解できていない蓋然性が高い。そして、本実施形態に反して読上げ再開を中断箇所から実施しても、その文(1)の中断箇所の前後の内容を繋げて理解することは困難である。よって、文(1)の内容を十分に理解できない。これに対し本実施形態では、強制中断により中断された文(1)については、中断箇所よりも戻った箇所から再開して読み上げるので、文(1)の内容を十分に理解できないままになることを抑制できる。
さらに本実施形態では、継続中断または強制中断の状態が所定時間以上継続したことを条件として、着信メッセージに対して所定のメッセージを自動返信する自動返信手段22dを備える。そのため、メールの送信元である通信端末3のユーザに対して、返信が無いことによる不安感を与えてしまうことを回避できる。
さらに本実施形態では、自動返信手段22dは、着信メッセージの送信元が許可された送信元であることを条件として自動返信を行う。そのため、迷惑メール等の許可していない送信元にまで自動返信してしまうことを回避できる。
さらに本実施形態では、許可手段22aによる読上げ許可の条件には、着信メッセージが場所、時間または緊急性に関する内容である、といった条件(2)や、着信メッセージの送信元が許可された送信元である、といった条件(3)も含まれている。そのため、迷惑メール等の重要度の低いメールまで読上げられてしまうことの煩わしさを回避できる。
さらに本実施形態では、許可手段22aによる読上げ許可の条件には、運転者以外の同乗者が車両1に存在していない、といった条件(4)も含まれている。これによれば、プライバシー性の高い内容のメール等、秘密にしたい内容のメールが同乗者に聞かれてしまうことを回避できる。
さらに本実施形態では、未読の着信メッセージが複数存在する場合に、着信メッセージの内容または送信元に基づき読上げ装置による読上げの順番を決定する読上げ順決定手段22eを備える。これによれば、優先度の高い内容または送信元の着信メッセージから順番に読上げられるので、ハンズフリーでのメール読上げによる利便性を向上できる。
(第2実施形態)
図6に示すように、携帯端末10が車室内に持ち込まれた車両1には、電子制御装置(ECU200)、スピーカ30、マイク31、表示器32、着座センサ33、および他の電子制御装置(他のECU34)が搭載されている。
ECU200は、通信処理回路21、マイクロコンピュータ(マイコン220)、音声出力処理回路23、音声入力処理回路24、表示出力処理回路25および外部メモリ260等を有する。通信処理回路21は、車室内に持ち込まれた携帯端末10と無線通信するインターフェイス回路である。音声出力処理回路23は、マイコン220から出力された音声信号に基づきスピーカ30へ駆動信号を出力する。音声入力処理回路24は、マイク31で検出したアナログの音声信号をデジタル信号に変換してマイコン220へ出力する。表示出力処理回路25は、マイコン220から出力された画像信号に基づき表示器32へ駆動信号を出力する。外部メモリ260は、複数種類の音声信号および画像信号を記憶している。
携帯端末10は、インターネット回線または電話回線を通じて通信端末3と通話する機能を有する。ECU200は、スピーカ30およびマイク31を用いて上記通話を可能にする機能を有する。つまり、スピーカ30およびマイク31は、車両の運転者によるハンズフリー通話を可能にしたハンズフリー通話装置を提供し、ECU200は、ハンズフリー通話装置の作動状態を制御する通話制御装置を提供することとなる。なお、表示器32には、通話相手の名前や静止画像、リアルタイム動画等の通話情報が表示される。
ECU200は、着座センサ33の検出結果に基づき、車両乗員が運転者だけなのか、運転者以外の同乗者が存在するのか否かを判定する。ECU200は、このような同乗者有無の判定結果、携帯端末10による通話の音声信号、通話情報、他のECU34から取得した車両情報、マイク31で検出した音声等の情報に基づき、ハンズフリー通話装置の作動状態を制御する。以下、この制御の内容について詳述する。
マイコン22は、内部メモリ220mに予め記憶されているプログラムにしたがって各種処理を実行することで、以下に説明する許可手段220a、通話保留手段220b、注意喚起手段220c、および保留時自動返信手段220dを提供する。
許可手段220aは、以下に説明する条件(1)〜(3)の全てを満たしていることを条件に、ハンズフリー通話装置による音声出力の開始を許可する。条件(1)は、運転者にとっての運転負荷が所定未満である低負荷状態であることである。運転負荷とは、運転者が車両1を運転操作する時に運転者が担う負荷である。例えば、ETCゲート通過時や、カーブ走行時、分岐路運転時には、運転者にとっての運転負荷が高い状態であると言える。そして、運転負荷が高い時には、運転に対する高い集中力が運転者に要求される。
条件(2)は、携帯端末10による通話相手(例えば通信端末3)が許可された端末であることである。条件(3)は、運転者以外の同乗者が車両1の室内に存在していないことである。同乗者の有無は、着座センサ33の検出結果に基づき判定される。
マイコン220は、取得した車両情報に基づき運転負荷を数値化する演算を実行する。例えば、車両1の現在位置とETCゲートまでの距離が短いほど運転負荷数値は大きい値に演算される。また、カーブ走行時や分岐路運転時の車速が大きいほど運転負荷数値は大きい値に演算される。マイコン22は、演算された運転負荷数値が第1閾値未満(所定未満)であれば低負荷状態であると判定し、第2閾値以上(所定度合い以上)であれば高負荷状態であると判定し、第1閾値以上かつ第2閾値未満であれば中負荷状態であると判定する。第2閾値は第1閾値よりも大きい。高負荷状態および中負荷状態を総称して非低負荷状態とも呼ぶ。
通話保留手段220bは、ハンズフリー通話装置による通話の最中に低負荷状態から高負荷状態に変化した場合に、通話を保留状態にする。保留状態とは、携帯端末10および通信端末3が通信を継続した状態ではあるが、通話はできない状態である。具体的には、保留状態では、通信端末3から携帯端末10へ送信された音声信号をスピーカ30へ出力することを禁止して、通話相手の音声を聞くことができなくする。また、マイク31で検出された音声の信号を携帯端末10から通信端末3へ送信することを禁止する。
但し、通話の最中に中負荷状態に変化した場合には、通話保留手段220bによる通話保留を実施することなく通話を継続可能とするように、ECU200はハンズフリー通話装置を制御する。また、通話保留手段220bにより保留状態にする場合には、保留状態であることを通話相手に自動で通知する。
注意喚起手段220cは、通話の最中に低負荷状態から中負荷状態に変化した場合に、中負荷状態で通話を継続していることに対して、車両運転者に注意喚起する。注意喚起手段の具体例としては、注意喚起内容の音声をスピーカ30から出力させたり、警告音を鳴らしたり、ステアリングホイールや座席を振動させたりすることが挙げられる。
保留時自動返信手段220dは、通話保留手段220bによる保留状態が所定時間以上継続したことを条件として、所定音の信号を通信端末3へ自動返信する。例えば保留状態を想起させるメロディを所定音として自動返信したり、「只今、車の運転中です」といったメッセージを所定音として自動返信したりする。該所定音は、外部メモリ260等の記憶手段に予め記憶された定形音、またはユーザが予め記憶設定させておいた音である。また、保留時自動返信手段220dは、通話の相手端末(通信端末3)が許可された端末であることを条件として自動返信を行う。例えば、家族や友人の端末を許可するように予め設定しておけばよい。
次に、ハンズフリー通話装置による通話の途中で非低負荷状態になった場合の、通話制御装置による制御の例について説明する。
図7は、注意喚起手段220cによる注意喚起の一態様を表したタイムチャートである。先ず、運転負荷が低負荷状態であるt1時点で通話を開始している。この通話開始は、通信端末3からの通話要求への応答によるものであっても良いし、携帯端末10からの通話要求によるものであっても良い。
また、通信端末3からの通話要求があった場合には、その旨を運転者へ報知する音声を自動で出力する。例えば、「通話の着信があります」等の音声をスピーカ30から出力する。そして、この報知音声に対して運転者による「はい」等の許可音声をマイク31が検出した場合に通話を開始させる。
図7(a)に示す例では、通話開始のt1時点の後、通話途中であるt2時点で、運転負荷が低負荷から中負荷に変化している。そのため、通話保留手段220bにより通話を保留状態にすることはないものの、注意喚起手段220cによる運転者への注意喚起がt2時点で実行される。
その後、t3時点で運転負荷が中負荷から低負荷に変化しており、その後のt4時点で、通信端末3または携帯端末10のユーザによる操作により通話が終了し、ハンズフリー通話装置を停止させている。
図8は、通話保留手段220bによる通話保留の一態様を表したタイムチャートである。先ず、図7と同様にして、低負荷状態であるt1時点で通話を開始している。この通話開始は、通信端末3からの通話要求への応答によるものであっても良いし、携帯端末10からの通話要求によるものであっても良い。また、通信端末3からの通話要求があった場合には、図7と同様にして、その旨を運転者へ報知する音声を自動で出力し、許可音声をマイク31が検出した場合に通話を開始させる。
図8(a)に示す例では、通話開始のt1時点の後、通話途中であるt2時点で、運転負荷が低負荷から高負荷に変化している。そのため、通話保留手段220bにより通話を保留状態にする。この時、運転負荷が高負荷状態であることを理由に保留状態に切り替えた旨を、自動音声で運転者へ報知してもよい。
その後、t3時点で運転負荷が高負荷から低負荷に変化しており、そのt3時点で保留状態を解除して通話可能な状態に切り替える。その後のt4時点で、通信端末3または携帯端末10のユーザによる操作により通話が終了し、ハンズフリー通話装置を停止させている。
次に、マイコン220による、ハンズフリー通話装置の作動を制御する処理の手順について、図9および図10を用いて説明する。図9および図10のフローチャートは、ECU200が携帯端末10と通信している期間中、マイコン220により所定周期で繰返し実行される。
先ず、図9のステップS40において、通信端末3または携帯端末10からの通話要求が有るか否かを判定する。通話要求が有ると判定された場合には、次のステップS41において、運転負荷が低負荷状態であるか否かを判定する。つまり、先述した運転負荷数値が第1閾値未満であれば低負荷状態であると判定する。低負荷状態であることは、先述した許可手段220a(図6参照)によるハンズフリー通話の許可の条件(1)に該当する。
低負荷状態であると判定された場合にはステップS42に進み、許可手段220aによるハンズフリー通話許可の他の条件(2)(3)を満たしているか否かを判定する。これらの条件(2)(3)は先述した通りであり、通話相手が許可端末であるか否か、および同乗者の有無に基づき判定される。これら他の条件(2)(3)も全て満たしていると判定された場合には、続くステップS43において、通話フラグをオンに設定する。
次に、図10のステップS50では、通話フラグがオンに設定されているか否かを判定する。通話フラグがオンに設定されていると判定された場合、次のステップS51において、ハンズフリー通話を可能にするよう、ハンズフリー通話装置の作動を制御する。
続くステップS52では、ハンズフリー通話が終了したか否かを判定する。例えば、携帯端末10と通信端末3との通信がユーザ操作等により遮断された場合に、ハンズフリー通話が終了したと判定する。通話が終了したと判定された場合、次のステップS53において、通話フラグをオフに設定する。通話が終了していないと判定された場合、続くステップS54において、運転負荷が低負荷状態から高負荷状態に変化したか否かを判定する。つまり、先述した運転負荷数値が第1閾値未満の状態から第2閾値以上の状態に変化したか否かを判定する。高負荷状態に変化したと判定された場合、続くステップS55において、図8(b)にて例示した如く、通話保留手段220bによる通話状態から通話保留状態への強制的な切り替えを実行する。
続くステップS56では、運転負荷が高負荷状態から低負荷状態に復帰したか否かを判定する。低負荷状態に復帰していないと判定された場合には、ステップS55に戻って保留状態を継続させる。低負荷状態に復帰したと判定された場合には、次のステップS57に進み、保留状態を解除して、ハンズフリー通話が可能な状態に復帰させる。
一方、ステップS54にて高負荷状態への変化が生じていないと判定された場合、続くステップS58にて運転負荷が低負荷状態から中負荷状態に変化したか否かを判定する。つまり、先述した運転負荷数値が第1閾値以上かつ第2閾値未満の状態に変化したか否かを判定する。中負荷状態に変化したと判定された場合、続くステップS59において、注意喚起手段220cによる注意喚起を実行する。
なお、ステップS54、S58のいずれにおいても否定判定された場合、つまり低負荷状態が維持されている場合には、ステップS52に戻って処理を繰り返す。したがって、ハンズフリー通話の開始から終了まで低負荷状態が継続された場合には、ステップS55による通話保留や、ステップS59による注意喚起が実行されることなく通話が終了して、通話フラグがオンからオフに切り替わる。そして、ステップS57による保留解除またはステップS59による注意喚起を実行した後では、ステップS52に戻って処理を繰り返す。
以上により、本実施形態によれば、低負荷状態であることを条件にハンズフリー通話の開始を許可する許可手段220aを備える。そのため、非低負荷状態時にハンズフリー通話を開始することが回避されるので、運転に対する高い集中力が要求される時に、ハンズフリー通話により集中力を低下させてしまうおそれを低減できる。
さらに本実施形態では、ハンズフリー通話の最中に低負荷状態から中負荷状態に変化した場合に、運転負荷が低くない状態での通話を実施していることに対する注意喚起をする注意喚起手段220cを備える。そのため、高負荷状態でのハンズフリー通話が禁止されるので、高負荷状態での運転集中力低下を抑制できる。
さらに本実施形態では、ハンズフリー通話の最中に中負荷状態に変化した場合に、通話を保留にすることなく継続可能にしつつ注意喚起する注意喚起手段220cを備える。そのため、中負荷状態に変化した場合には、通話を継続可能にしつつ注意喚起するので、切りの良いタイミングで通話を中断したり、直ぐに通話を中断したり、そのまま通話を継続したりする等、通話状態を運転者の判断に委ねることができる。よって、中負荷状態では、通話途中で強制的に保留することによる利便性低下を抑制できる。
さらに本実施形態では、許可手段220aによる通話許可の条件には、通話の相手端末が許可された端末であるといった条件(2)も含まれている。そのため、迷惑電話等の重要度の低い通話にまで、ハンズフリー通話装置により通話可能な状態になることの煩わしさを回避できる。
さらに本実施形態では、許可手段220aによる許可の条件には、運転者以外の同乗者が車両1に存在していないといった条件(3)も含まれている。これによれば、プライバシー性の高い通話内容等、秘密にしたい内容の通話が同乗者に聞かれてしまうことを回避できる。
さらに本実施形態では、通話保留手段220bによる保留状態が所定時間以上継続したことを条件として、所定音を自動返信する保留時自動返信手段220dを備える。そのため、通話相手である通信端末3のユーザに対して、自動で保留状態に切り替わったことによる不安感を与えてしまうことを回避できる。
さらに本実施形態では、保留時自動返信手段220dは、通話の相手端末が許可された端末であることを条件として自動返信を行う。そのため、迷惑電話等の許可していない相手端末にまで自動返信してしまうことを回避できる。
(他の実施形態)
以上、発明の好ましい実施形態について説明したが、発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、以下に例示するように種々変形して実施することが可能である。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
ECU20による読上げ制御装置の機能と、ECU200による通話制御装置の機能の両方を併せ持つ制御装置、つまり上記第1および第2実施形態を組み合わせた制御装置を提供することも可能である。
上記第1実施形態に係る読上げ制御装置では、受信したメールに対するハンズフリー読上げを制御しているが、この制御に加えて、ハンズフリーでメールを送信するように携帯端末10を制御してもよい。この場合、低負荷状態であることを条件としてメール送信を許可することが望ましい。
上記第1実施形態では、非低負荷状態から低負荷状態に戻って読上げ中断を解除するにあたり、中断箇所よりも戻った箇所から読上げを再開している。この場合において、読上げ対象となっている着信メッセージが長文であるほど、上記再開の際に戻る量を多くしてもよい。
上記第1実施形態では、車両の同乗者が居る場合には、読上げを禁止するとともに表示器32への読上げ内容の表示も禁止しているが、表示器32への読上げ内容の表示は許可するようにしてもよい。
図1および図6に示す実施形態では、読上げ制御装置または通話制御装置を、ECU20、200が提供しているが、本発明は制御装置をECUのみから提供することに限定されるものではなく、携帯端末10およびECUが協同して制御装置を提供してもよい。例えば、上記第1実施形態では、携帯端末10が通信端末3から受信した着信メッセージを、ECU20が音声信号に変換しているが、携帯端末10が音声信号に変換してもよい。
上記第1実施形態に係る強制中断手段22cを廃止してもよい。つまり、音声出力の最中に低負荷状態から高負荷状態に変化した場合にも、中負荷状態に変化した場合と同様に継続中断手段22bによる継続と中断を実施してもよい。
上記第1実施形態に係る許可手段22aでは、条件(1)〜(4)の全てを満たしていることを条件に、読上げ開始を許可しているが、少なくとも条件(1)を満たす場合に読上げ開始を許可してもよい。同様に、上記第2実施形態に係る許可手段220aでは、条件(1)〜(3)の全てを満たしていることを条件に、ハンズフリー通話開始を許可しているが、少なくとも条件(1)を満たす場合に通話開始を許可してもよい。
上記第1実施形態では、強制中断の後に読上げを再開する場合には、着信メッセージのうち中断箇所よりも戻った箇所から再開させる一方で、継続中断の後に再開する場合には、中断箇所から再開させている。これに対し、継続中断の後に再開する場合にも、中断箇所(つまり最適箇所)よりも戻った箇所から再開させてもよい。
本発明に係る着信メッセージは、メールの文章データに限定されるものではなく、チャット等のメール以外の文章データ、例えば、ソーシャルネットワーキングサービスによるメールの文章データであってもよい。また、インターネット回線により送受信される文章データに限定されるものではなく、電話回線により送受信される文章データであってもよい。
上記第2実施形態では、通信端末3からの通話要求があった場合には、その旨を運転者へ報知する音声を自動で出力し、この報知音声に対して運転者による許可音声をマイク31が検出した場合に通話を開始させる。この場合において、上記通話要求が非低負荷状態時に為されたものであれば、上記報知音声の出力を禁止して、「運転中で通話できません」等の応答音声を相手端末(通信端末3)に自動返信してもよい。或いは、上記報知音声の出力した上で通話を禁止させてもよい。また、上記報知音声の出力を、中負荷状態時には許可して高負荷状態時には禁止してもよい。
上記第1実施形態では、読上げた着信メッセージを表示器32にも表示させているが、この表示は常時表示させることに限らず、所定の条件を満たした場合に表示してもよい。例えば、表示器32の表示可能領域サイズが所定サイズ以上である場合や、停車中である場合に表示する。
上記各実施形態では、運転負荷を低負荷、中負荷、高負荷の3段階に分けて、読上げ装置およびハンズフリー通話装置の作動を制御しているが、さらに多くの段階に分けて、各段階毎に異なる制御を実施してもよい。