JP6431764B2 - カチオン化グリセロール化セルロースの製造方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、水溶性の優れたヒドロキシアルキルセルロースを得ることを目的として、塩基化合物の添加量とアルキレンオキシドの添加量が特定量であり、塩基化合物の総添加量の50〜95%を添加した後、アルキレンオキシドの総添加量の30〜80%を添加し、反応させて、反応混合物を得る工程、該工程で得られた反応混合物に塩基化合物の残余量を添加した後、アルキレンオキシドの残余量を添加して反応させる工程を有する、ヒドロキシアルキルセルロースの製造方法が開示されている。
特許文献3には、水溶液の粘度と発泡性の増大と表面張力を高くすることを目的として、疎水基を含有するハイドロフォーブ(疎水)置換した水溶性カチオン多糖類が開示されている。
本発明は、水に不溶な粒子が少なく、水溶性に優れ、さらに毛髪洗浄剤等の毛髪化粧料に配合すると、毛髪すすぎ時におけるコート感を付与することができるカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法、及び毛髪化粧料組成物を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、次の[1]〜[2]を提供する。
[1]原料セルロースと、少なくとも疎水性基導入剤、グリシドール及びカチオン化剤とを反応させて得られるカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法であって、下記工程1〜工程3を有する、カチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
工程1:原料セルロースと下記式(1)〜(3)からなる群から選ばれる少なくとも1種である疎水性基導入剤とを、塩基化合物の存在下、該原料セルロースのセルロース部分に対して10質量%以上200質量%以下の親水性溶媒中で反応させて、疎水化セルロースを含む反応混合物1を得る工程
工程2:工程1で得られた反応混合物1と親水性溶媒とを混合して、親水性溶媒量が前記原料セルロースのセルロース部分に対して500質量%以上3000質量%以下である反応混合物2を得る工程
工程3:工程2で得られた反応混合物2にグリシドール及びカチオン化剤を添加して反応させ、カチオン化グリセロール化セルロースを得る工程
[2]前記[1]に記載の製造方法で得られたカチオン化グリセロール化セルロース、界面活性剤、及び水を含有する毛髪化粧料組成物。
本発明のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう)は、原料セルロースと、少なくとも疎水性基導入剤、グリシドール及びカチオン化剤とを反応させて得られるカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法であって、下記工程1〜工程3を有することを特徴とする。
工程1:原料セルロースと下記式(1)〜(3)からなる群から選ばれる少なくとも1種である疎水性基導入剤とを、塩基化合物の存在下、該原料セルロースのセルロース部分に対して10質量%以上200質量%以下の親水性溶媒中で反応させて、疎水化セルロースを含む反応混合物1を得る工程
工程2:工程1で得られた反応混合物1と親水性溶媒とを混合して、親水性溶媒量が前記原料セルロースのセルロース部分に対して500質量%以上3000質量%以下である反応混合物2を得る工程
工程3:工程2で得られた反応混合物2にグリシドール及びカチオン化剤を添加して反応させ、カチオン化グリセロール化セルロースを得る工程
次に、本発明の製造方法の好適な実施形態についてより詳しく説明する。
なお、「原料セルロースのセルロース部分に対して」とは、原料セルロースとしてセルロース(誘導体としていないセルロース)を用いる場合は、「原料セルロースに対して」、原料セルロースとしてセルロース誘導体を用いる場合には、「誘導体とする前のセルロースに対して」を意味する。
本発明で用いる原料セルロースは、セルロース(未変性のセルロース)及びセルロース誘導体から選ばれるものであり、セルロースが好ましい。以下に、原料セルロースとして用いられるセルロースについて説明する。
原料セルロースとして用いられる上記セルロースの種類に特に制限はないが、セルロース純度、重合度、及び入手の容易さの観点から、各種木材チップ;木材から製造されるウッドパルプ、綿の種子の周囲の繊維から得られるコットンリンターパルプ等のパルプ類が好ましい。
セルロースの形状は、製造装置内への導入に支障がない限り特に限定されないが、操作上の観点から、シート状、ペレット状又はチップ状や、粉末状であることが好ましく、チップ状又は粉末状がより好ましく、粉末状が更に好ましい。
粉砕機の具体例としては、高圧圧縮ロールミルや、ロール回転ミル等のロールミル、リングローラーミル、ローラーレースミル又はボールレースミル等の竪型ローラーミル、転動ボールミル、振動ボールミル、振動ロッドミル、振動チューブミル、遊星ボールミル又は遠心流動化ミル等の容器駆動媒体ミル、塔式粉砕機、攪拌槽式ミル、流通槽式ミル又はアニュラー式ミル等の媒体攪拌式ミル、高速遠心ローラーミルやオングミル等の圧密せん断ミル、乳鉢、石臼、マスコロイダー、フレットミル、エッジランナーミル、ナイフミル、ピンミル、カッターミル等が挙げられる。
これらの中では、セルロースの粉砕効率、及び生産性の観点から、容器駆動式媒体ミル又は媒体攪拌式ミルが好ましく、容器駆動式媒体ミルがより好ましく、振動ボールミル、振動ロッドミル又は振動チューブミル等の振動ミルが更に好ましく、振動ロッドミルがより更に好ましい。粉砕方法としては、バッチ式、連続式のどちらでもよい。
セルロースの粉砕効率の観点から、用いる装置が振動ミルであって、媒体がロッドの場合には、ロッドの外径としては、粉砕効率の観点から好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上であり、好ましくは100mm以下、より好ましくは50mm以下である。同様の観点から、ロッドの長さは、粉砕効率の観点から好ましくは200mm以上、より好ましくは400mm以上であり、好ましくは1000mm以下、より好ましくは800mm以下である。
ロッドの充填率は、振動ミルの機種により好適な範囲が異なるが、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上であり、好ましくは97%以下、より好ましくは95%以下である。充填率がこの範囲内であれば、セルロースとロッドとの接触頻度が向上するとともに、媒体の動きを妨げずに、粉砕効率を向上させることができる。ここで充填率とは、振動ミルの攪拌部の容積に対するロッドの見かけの体積をいう。
また、セルロースの反応活性の向上の観点から、セルロースの粉砕は塩基化合物の存在下で行うこともできる。
粉砕の時間は、セルロースが粉末化されるよう、適宜調整すればよい。粉砕の時間は、用いる粉砕機や使用するエネルギー量等によって変わるが、通常1分以上、12時間以下であり、十分な粉砕を行う観点から、3分間以上が好ましく、4分間以上がより好ましく、5分間以上が更に好ましく、生産性の観点から、3時間以下が好ましく、1時間以下がより好ましく、20分間以下が更に好ましい。
(工程1)
工程1は、原料セルロースと下記式(1)〜(3)からなる群から選ばれる少なくとも1種である疎水性基導入剤とを、塩基化合物の存在下、該原料セルロースのセルロース部分に対して10質量%以上200質量%以下の親水性溶媒中で反応させて、疎水化セルロースを含む反応混合物1を得る工程である。
前記一般式(1)で表される化合物の具体例としては、1,2−ブチレンオキシド、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシへキサン、1,2−エポキシへプタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2-エポキシウンデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシトリデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシペンタデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシヘプタデカン、1,2−エポキシオクタデカン等が挙げられる。
前記一般式(3)で表される化合物の具体例としては、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、ヘプチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル等の炭素数2以上16以下のアルキル基を有するグリシジルエーテル;炭素数2以上16以下のアルケニル基を有するグリシジルエーテル等が挙げられる。
炭化水素基含有基の導入剤の添加方法は一括、間欠、連続のいずれでもよい。
本発明において、CGCの疎水性基の置換度(MS(HC))とは、CGCの分子中に存在する疎水性基の数の、主鎖を構成するアンヒドログルコース単位1つあたりに対する平均値をいう。MS(HC)は、後述の実施例に記載の方法により測定され、算出される。
疎水性基の導入反応は、塩基化合物の存在下で行う。
該反応で用いられる塩基化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン類等が挙げられる。これらの中では、疎水性基導入反応の反応速度の観点から、アルカリ金属水酸化物、又はアルカリ土類金属水酸化物が好ましく、アルカリ金属水酸化物がより好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが更に好ましく、水酸化ナトリウムがより更に好ましい。これらの塩基化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
塩基化合物の添加方法に特に限定はなく、一括添加でも、分割添加でもよい。当該塩基化合物は固体状態で添加してもよく、水溶液としてから添加してもよい。CGCの水溶性及びすすぎ時のコート感の観点から、塩基化合物は水溶液としてから添加することが好ましい。
同様の観点から、工程1における塩基化合物の量は、塩基化合物と水の合計量に対して、好ましくは15質量%以上、より好ましくは18質量%以上、更に好ましくは25質量%以上、より更に好ましくは30質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは49質量%以下、更に好ましくは48質量%以下、より更に好ましくは46質量%以下である。
疎水性基の導入反応は、該原料セルロースのセルロース部分に対して10質量%以上200質量%以下の親水性溶媒中で行う。10質量%以上であると、疎水性基導入剤をセルロース表面に均一に吸着させ易くなり、その結果、均一にかつ高い反応率で疎水性基を導入することができると考えられる。また、200質量%以下であると、原料セルロース粉末の流動性を保ちつつ、疎水性基導入剤の濃度を高く維持できるため、セルロースと疎水性基導入剤の接触確率を向上させることができ、その結果、均一にかつ高い反応率で疎水性基を導入することができると考えられる。
当該観点から、親水性溶媒の使用量は、原料セルロースのセルロース部分に対し、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。
ここで、親水性溶媒とは、25℃において水100gに対する溶解度が10g以上である有機溶媒及び水を意味する。
工程1では、本発明の効果を阻害しない範囲で他の成分を用いてもよいが、用いない方が好ましい。工程1で用いる成分中における、他の成分の使用量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
工程1で用いる成分100質量%中における、原料セルロース、疎水性基導入剤、塩基化合物及び親水性溶媒の合計量は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは99質量%以上である。
疎水性基の導入反応に用いる装置としては、撹拌が可能なレーディゲミキサー等のミキサーや、粉体、高粘度物質、樹脂等の混錬に用いられる、いわゆるニーダー等の混合機を挙げることができる。
反応時の温度は、反応速度の観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは20℃以上、更に好ましくは30℃以上であり、炭化水素基含有基の導入剤の分解抑制の観点から、好ましくは200℃以下、より好ましくは100℃以下、更に好ましくは80℃以下である。
反応時間は、疎水性基の導入剤の反応速度等により適宜調整すればよい。反応時間は通常0.1時間以上72時間以下であり、反応収率及び生産性の観点から、好ましくは0.2時間以上、より好ましくは0.5時間以上、更に好ましくは1時間以上であり、好ましくは36時間以下、より好ましくは12時間以下、更に好ましくは8時間以下、より更に好ましくは6時間以下である。
なお、疎水性基の導入反応は、着色、及びアンヒドログルコース由来の主鎖の分子量低下を抑制する観点から、必要に応じて窒素等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
工程1で得られた反応混合物1は、疎水性基が導入されたセルロース(疎水化セルロース)の他に、前述の親水性溶媒及び前述の塩基化合物を含む。
なお、反応混合物1は、本発明の効果を阻害しない範囲で他の成分を含んでもよいが、他の成分の含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、より更に好ましくは0質量%である。
工程1により得られる疎水化セルロースにおける疎水性基の置換度(MS(HC))は、CGCの水溶性及びすすぎ時のコート感の観点から、原料セルロース中のアンヒドログルコース単位(以下「AGU」ともいう)1モルに対し、好ましくは0.0001モル以上、より好ましくは0.0005モル以上、更に好ましくは0.001モル以上であり、上記観点及び製造コストの観点から、好ましくは0.1モル以下、より好ましくは0.08モル以下、更に好ましくは0.05モル以下である。
工程2は、工程1で得られた反応混合物1と親水性溶媒とを混合して、親水性溶媒量が前記原料セルロースのセルロース部分に対して500質量%以上3000質量%以下である反応混合物2を得る工程である。
このように反応混合物1に親水性溶媒を混合することにより、セルロースを親水性溶媒中に均質に分散させることができ、その後の工程3において、セルロースをグリシドール及びカチオン化剤とが均質に混ざり合い、より均質にエーテル化反応を行うことができるものと考えられる。これにより、水に不溶な粒子が少なく、水溶性に優れるカチオン化グリセロール化セルロースを得ることが出来、得られたカチオン化グリセロール化セルロースはカチオン性基により、毛髪に吸着しやすく、毛髪すすぎ時においてコート感を付与することができるものと考えられる。
親水性溶媒としては、工程1で説明したものを用いることができる。
また工程2における親水性溶媒は、均一にかつ高い反応率で疎水性基をCGCに導入することにより、得られるCGCのすすぎ感を向上させる観点から、水に対する有機溶剤(水以外の親水性溶媒)の質量比(有機溶剤/水)は、好ましくは0以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは1以上、より更に好ましくは2以上、より更に好ましくは3以上、より更に好ましくは5以上であり、好ましくは30以下であり、より好ましくは20以下、更に好ましくは15以下、より更に好ましくは12以下、より更に好ましくは10以下、より更に好ましくは8以下である。
工程2では、更に塩基化合物を添加するのが好ましい。
工程2で用いる塩基化合物としては、工程1と同様のものが好適に用いられる。塩基化合物の添加方法に特に限定はなく、一括添加でも、分割添加でもよい。また当該塩基化合物は固体状態で添加してもよく、水溶液としてから添加してもよい。
上記観点から、工程2で得られる反応混合物2中における塩基化合物量は、原料セルロース中のAGU1モルあたり、好ましくは0.9モル当量以上、より好ましくは0.95モル当量以上、より好ましくは1.0モル当量以上、更に好ましくは1.1モル当量以上であり、好ましくは2.0モル当量以下、より好ましくは1.8モル当量以下、更に好ましくは1.7モル当量以下である。
工程2で得られた反応混合物2は、疎水性基が導入されたセルロース(疎水化セルロース)の他に、前述の親水性溶媒及び前述の塩基化合物を含む。
なお、反応混合物2は、本発明の効果を阻害しない範囲で他の成分を含んでもよいが、他の成分の含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、より更に好ましくは0質量%である。
工程3は、工程2で得られた反応混合物2にグリシドール及びカチオン化剤を添加して反応させ、カチオン化グリセロール化セルロースを得る工程である。
以下、工程3で用いられる各成分について説明する。
前述したとおり、工程2で得られた反応混合物2は、疎水化セルロース、親水性溶媒、及び塩基化合物を含有する。
工程3では、グリセロール化剤として、グリシドールを用いて、疎水化セルロースをグリセロール化する。グリセロール化剤としてグリシドールを用いることにより、塩が副生せず、また、反応性が優れる。
工程3におけるグリシドールの使用量は、得られるCGCのグリセロール基の置換度が所望の範囲となる量であれば特に制限はないが、すすぎ感に優れるCGCを得る観点から、原料セルロース中のAGU1モルあたり、0.5モル当量以上が好ましく、1モル当量以上がより好ましく、2モル当量以上が更に好ましく、3モル当量以上がより更に好ましく、4モル当量以上がより更に好ましく、30モル当量以下が好ましく、15モル当量以下がより好ましく、10モル当量以下が更に好ましく、8モル当量以下がより更に好ましく、6モル当量以下がより更に好ましく、5モル当量以下がより更に好ましい。
グリシドールは、少なくとも2回以上の添加工程に分割して前記グリシドールを添加するのが好ましい。
複数回のグリシドール添加工程における系内の塩基化合物の存在量は、同一でも異なっていてもよいが、前半の添加工程における系内の塩基化合物の存在量が、後半の添加工程における系内の塩基化合物の存在量よりも多い方が好ましい。この場合の詳細については、後述する3−1において説明するとおりである。
工程3では、カチオン化剤を用いて、疎水化セルロースをカチオン化する。
工程3で用いられるカチオン化剤としては、下記一般式(4)又は(5)で表される化合物等が挙げられる。
前記一般式(4)及び(5)において、Q−及びW−は、4級アンモニウムイオンの対イオンであるアニオンを示す。Q−及びW−はアニオンであれば特に限定されず、具体例としては炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、炭素数1以上3以下の脂肪酸イオン、及びハロゲン化物イオン等が挙げられる。
これらの中では、製造の容易さの観点から、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオン、硫酸イオン及びハロゲン化物イオンから選ばれる1種以上が好ましく、ハロゲン化物イオンがより好ましい。ハロゲン化物イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオンが挙げられるが、CGCの水溶性及び化学的安定性の観点から、塩化物イオン、臭化物イオンが好ましく、塩化物イオンがより好ましい。
t及びuは0以上3以下の整数を示す。原料の入手の容易さの観点から、t及びuは1であることが好ましい。
Zはハロゲン原子を示す。R4〜R9は互いに同一であっても異なっていてもよい。
これらのカチオン化剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、水溶性とコート感を向上させる観点から、グリシジルトリメチルアンモニウム塩化物及び3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物を併用することが更に好ましい。
カチオン化剤の添加方法は、一括、間欠、連続のいずれでもよいが、反応収率を高める観点から、連続添加が好ましい。
カチオン化剤は、反応収率を高める観点から、水で希釈して水溶液とし、当該水溶液を添加するのが好ましい。水溶液中におけるカチオン化剤の濃度は、反応効率を高める観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上であり、水に不溶な粒子が少なく、水溶性が高く、毛髪化粧料に配合した際に毛髪すすぎ時に良好なコート感を示すCGCを得る観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
前述のとおり、グリシドールは、少なくとも2回以上の添加工程に分割して前記グリシドールを添加するのが好ましい。また、複数回のグリシドール添加工程における系内の塩基化合物の存在量は、同一でも異なっていてもよいが、前半の添加工程における系内の塩基化合物の存在量が、後半の添加工程における系内の塩基化合物の存在量よりも多い方が好ましい。この場合、前半の添加工程の後かつ後半の添加工程の前に、当該塩基化合物の一部を中和するために、酸を添加してもよい。例えば、工程2で得られた反応混合物2にグリシドールを添加してグリセロール化反応させる際に、酸を添加せずにグリセロール化反応させる前半工程と、次いで酸を添加して塩基化合物の一部を中和させてグリセロール化反応させる後半工程とを実施してもよい。この場合の詳細については、後述の工程3−1において説明するとおりである。
当該有機酸としては、酢酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、及びアジピン酸から選ばれる1種以上が好ましく、酢酸及び乳酸から選ばれる1種以上がより好ましく、酢酸が更に好ましい。
工程3は、塩基化合物の存在下で実施される。塩基化合物の種類については前述したとおりである。
上記塩基化合物の量は、水に不溶な粒子が少なく、水溶性に優れ、毛髪すすぎ時におけるコート感を付与する観点から、原料セルロース中のアンヒドログルコース単位1モルあたり、好ましくは0.1モル当量以上、より好ましくは0.3モル当量以上、更に好ましくは0.5モル当量以上であり、好ましくは2.5モル当量以下、より好ましくは2.2モル当量以下、更に好ましくは2モル当量以下である。
前述したように、工程3の途中において、当該塩基化合物の一部を中和するために、酸を添加してもよい。例えば、工程2で得られた反応混合物2にグリシドールを添加してグリセロール化反応させる際に、酸を添加せずにグリセロール化反応させる前半工程と、次いで酸を添加して塩基化合物の一部を中和させてグリセロール化反応させる後半工程とを実施してもよい。なお、この場合の詳細については、後述する工程3−1において説明する。
前述のとおり、工程3においては、溶媒として、工程2で添加した親水性溶媒を含有するが、その他の成分を含有してもよい。
水に不溶な粒子が少なく、水溶性に優れ、毛髪すすぎ時におけるコート感を付与する観点から、工程3において親水性溶媒が存在し、該親水性溶媒中の水の量が、該親水性溶媒の総量に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは32質量%以下である。
また工程3における溶媒が有機溶剤を含む場合には、該溶媒中、有機溶剤が原料セルロースのセルロース部分に対して0質量%超2000質量%以下であることが好ましい。工程3における溶媒中の有機溶剤の量が上記範囲であることにより、適度な溶媒量でかつグリセロール化セルロースの分散の効率も良好となり、カチオン化剤が均一に反応し、得られるCGCのすすぎ感が向上する。上記観点から、工程3における溶媒中の有機溶剤の量は、原料セルロースのセルロース部分に対して、より好ましくは100質量%以上、更に好ましくは500質量%以上、より更に好ましくは800質量%以上であり、より好ましくは1800質量%以下、更に好ましくは1500質量%以下、より更に好ましくは1200質量%以下である。
工程3では、本発明の効果を阻害しない範囲で他の成分を用いてもよいが、用いない方が好ましい。工程3で用いる成分中における、他の成分の使用量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
工程3は、加熱条件下で行うことが好ましい。また、攪拌しながら行ってもよい。
上記加熱温度は、原料セルロースを活性化させる観点から、0℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、30℃以上が更に好ましく、生産性の観点から、100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。
工程3で用いる装置としては、撹拌が可能なレディゲミキサー等のミキサーや、粉体、高粘度物質、樹脂等の混錬に用いられる、いわゆるニーダー等の混合機を挙げることができる。
工程3により、カチオン化グリセロール化セルロースが得られる。
工程3により得られたカチオン化グリセロール化セルロース中おけるグリセロール基の置換度(以下、「MS(Gly)」ともいう)は、すすぎ感に優れるCGCを得る観点から、原料セルロース中のAGU1モルあたり、好ましくは0.5モル当量以上、より好ましくは1モル当量以上、更に好ましくは1.5モル当量以上であり、好ましくは5モル当量以下、より好ましくは3モル当量以下、更に好ましくは2.5モル当量以下である。
本発明において、CGCのグリセロール基の置換度(MS(Gly))とは、CGCの分子中に存在するグリセロール基の数の、主鎖を構成するアンヒドログルコース単位1つあたりに対する平均値をいう。MS(Gly)は、後述の実施例に記載の方法により測定され、算出される。
工程3により得られたカチオン化グリセロール化セルロース中おけるカチオン性基の置換度(以下、「MS(N+)」ともいう)は、特に毛髪化粧料に配合した際のすすぎ感に優れるCGCを得る観点から、原料セルロース中のAGU1モルに対し、0.01モル当量以上が好ましく、0.03モル当量以上がより好ましく、0.05モル当量以上が更に好ましく、0.1モル当量以上がより更に好ましく、1モル当量以下が好ましく、0.8モル当量以下がより好ましく、0.5モル当量以下が更に好ましく、0.3モル当量以下がより更に好ましい。
本発明において、CGCのカチオン性基の置換度(MS(N+))とは、CGCの分子中に存在するカチオン性基の数の、主鎖を構成するアンヒドログルコース単位1つあたりに対する平均値をいう。MS(N+)は、後述の実施例に記載の方法により測定され、算出される。
〔疎水性基の置換度〕
工程3により得られたカチオン化グリセロール化セルロース中における疎水性基の置換度は、前述の疎水化セルロースに関する説明において記載したとおりである。
すなわち、工程3においては、工程2で得られた反応混合物2にグリシドールを添加して反応させてグリセロール化セルロースを含む反応混合物3−1を得る工程(工程3−1)の後に、工程3−1で得られた反応混合物3−1にカチオン化剤を添加して反応させてカチオン化グリセロール化セルロース含む反応混合物3−2を得る工程(工程3−2)を行うことが好ましい。
以下、工程3の一態様として、工程3−1の実施後に工程3−2を実施する場合について説明する。
工程3−1は、工程2で得られた反応混合物2にグリシドールを添加して反応させて反応混合物3−1を得る工程である。
なお、工程2で得られた反応混合物2は、グリシドールとの反応が好適に行われるように成分が調製されている。したがって、工程3−1の開始時には、工程2で得られた反応混合物2に対して、グリシドール以外の成分を添加しないことが好ましい。ただし、グリシドールの一部を添加したところで、前述の酸等を添加してもよい。
添加と加熱とのタイミングには特に制限はなく、反応混合物2を当該加熱温度まで加熱した後にグリシドールを添加して反応させてもよく、反応混合物2にグリシドールを添加した後に当該加熱温度まで加熱して反応させてもよいが、反応混合物2中の疎水化セルロースを活性化させた後に効率よくグリセロール化反応を行う観点から、初めに反応混合物2を加熱し、その後に、グリシドールを添加することが好ましい。
反応時間は、原料セルロースを活性化させる観点から、グリシドールの添加を開始してから、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上であり、生産性の観点から、好ましくは10時間以下、より好ましくは8時間以下である。
この工程3−1においては、反応混合物2に、グリシドールの一部を添加して反応させた後、酸を添加して塩基化合物の一部を中和し、次いでグリシドールの一部を添加して反応させるのが好ましい。
例えば、工程3−1では、工程2で得られた反応混合物2に、工程3−1で用いるグリシドールの総量に対して10質量%以上30質量%以下のグリシドールを添加して反応させた後に(工程3−1a)、酸を添加して塩基化合物の一部を中和し、その後残部のグリシドールを添加して、反応させる(工程3−1b)のが好ましい。
このようにして得られたCGCは、カチオン性基が偏ることなく均一に分布しているため、毛髪洗浄剤等の毛髪化粧料に配合すると、毛髪を洗浄した後にもアニオン性を有する毛髪表面に分子単位で残留すると考えられ、毛髪すすぎ時のすべり性やその持続感、コート感を付与することができるものと考えられる。
当該観点から、工程3−1で用いるグリシドールの総量に対する工程3−1bで用いるグリシドールの量は、好ましくは72質量%以上、より好ましくは75質量%以上であり、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
次に、工程3−1a及び3−1bについて詳しく説明する。
工程3−1aは、工程2で得られた反応混合物2に、工程3−1で用いるグリシドールの総量に対して10質量%以上30質量%以下のグリシドールを添加して反応させる工程である。
工程3−1aでは、工程2で調整された所定量の塩基化合物及び溶媒を用いることで、原料セルロースとグリシドールとの反応が速やかに進行するため、グリセロール化セルロースを含む反応混合物3−1aを効率よく得ることができる。
したがって、工程3−1aでは、工程2で得られた反応混合物2に対して、グリシドール以外の成分を添加しないことが好ましい。ただし、本発明の効果を阻害しない範囲内で、任意成分を添加してもよい。
工程3−1aにおけるグリシドールの使用量は、得られるCGCのグリセロール基の置換度が所望の範囲となる量であれば特に制限はないが、原料セルロース中のAGU1モルあたり、0.2モル当量以上が好ましく、0.4モル当量以上がより好ましく、0.6モル当量以上が更に好ましく、0.8モル当量以上がより更に好ましく、1.0モル当量以上がより更に好ましく、30モル当量以下が好ましく、15モル当量以下がより好ましく、10モル当量以下が更に好ましく、5モル当量以下がより更に好ましく、2モル当量以下がより更に好ましく、1.5モル当量以下がより更に好ましい。
グリシドールの添加方法は、一括、間欠、連続のいずれでもよいが、反応収率を高める観点から、連続添加が好ましい。
工程2で得られた反応混合物2は、塩基化合物を含むため、工程3−1aにおいても、当該反応混合物2に由来する塩基化合物を含む。
工程3−1aで用いられる塩基化合物の種類及び量は、工程2と同様であることが好ましい。
工程3−1aで用いられる反応混合物中の塩基化合物(すなわち、工程2における反応混合物2中の塩基化合物)の量から、工程1で得られた反応混合物1中における塩基化合物の量を差し引いた値は、原料セルロースとグリシドールとの反応を速やかに進行させてグリセロール化セルロースを含む反応混合物を効率よく得る観点から、原料セルロース中のAGU1モルあたり、好ましくは0.25モル当量以上、より好ましくは0.3モル当量以上、更に好ましくは0.4モル当量以上であり、また、好ましくは2.0モル当量以下、より好ましくは1.0モル当量以下、更に好ましくは0.8モル当量以下である。
疎水化セルロースとグリシドールとのグリセロール化反応における加熱、添加方法、手順は前述のとおりである。
反応時間は、所望のグリセロール基の導入量等により適宜調整すればよい。反応時間は、グリシドールの添加を開始してから、通常0.1時間以上、12時間以下であり、反応収率の観点から、0.2時間以上が好ましく、0.5時間以上がより好ましく、1時間以上が更に好ましく、生産性の観点から、8時間以下が好ましく、5時間以下がより好ましく、3時間以下が更に好ましい。
以上の工程3−1aを行うことにより、グリセロール化セルロースを含む反応混合物3−1aを得る。なお、工程3−1aの反応は、着色、及びアンヒドログルコース由来の主鎖の分子量低下を抑制する観点から、必要に応じて窒素等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
工程3−1bは、工程3−1aで得られた反応混合物3−1aに酸を添加して塩基化合物の一部を中和し、その後に残部のグリシドールを添加して、反応させる工程である。
工程3−1bを行うことにより、工程3−1aで得られた反応混合物3−1a中の塩基化合物の一部が中和されてセルロース表面の塩基化合物が減少し、塩基化合物によりアルコラート化された部位の一部が水酸基となる。このため、親水性のグリシドールがセルロース内部に浸透しやすくなり、グリセロール化が均一に進行するものと考えられる。更に、その後の工程3のカチオン化反応も均一に進行するものと考えられる。
なお、工程2で得られた反応混合物2は、グリシドールとの反応が好適に行われるように成分が調製されている。したがって、工程3−1bにおいて、グリシドール及び酸以外の成分を添加しないことが好ましい。ただし、本発明の効果を阻害しない範囲内で、任意成分を添加してもよい。
本発明の効果を得る観点、すなわち、水に不溶な粒子が少なく、水溶性に優れ、毛髪すすぎ時におけるコート感を付与する観点から、工程3−1bにおける、反応混合物3−1aと酸とを混合した後の塩基化合物の量(以下、「有効塩基化合物量」ともいう)は、原料セルロース中のアンヒドログルコース単位1モルあたり、好ましくは0.1モル当量以上、より好ましくは0.2モル当量以上、更に好ましくは0.3モル当量以上、より更に好ましくは0.5モル当量以上であり、好ましくは1.0モル当量以下、より好ましくは0.9モル当量以下、更に好ましくは0.8モル当量以下、より更に好ましくは0.7モル当量以下である。
工程3−1bにおける有効塩基化合物量が原料セルロース中のAGU1モルあたり0.1モル当量以上であると、原料セルロースのグリセロール化及びその後のカチオン化が均一に行われるため、毛髪化粧料に配合した際のすすぎ感に優れるCGCを得ることができる。また有効塩基化合物量が原料セルロース中のAGU1モルあたり0.9モル当量以下であると、グリセロール化反応及び続くカチオン化反応が速く進行しすぎることが防止されるため、反応が局所的に進行することが防止され、得られるCGCのすすぎ感が向上する。
なお本発明において、有効塩基化合物量とは、工程3−1aで得られた反応混合物3−1a中の塩基化合物の量から、工程3−1bで使用した酸の量を差し引いた量(モル当量)をいう。
工程3−1bで用いる酸の種類及び使用量は、前述したとおりである。
親水性溶媒及び水の種類及び量については、工程2で説明したとおりである。なお、前述のとおり、工程2で得られた反応混合物2は、工程3において反応が好適に行われるように調整されているため、工程3−1bにおいては、新たに親水性溶媒及び水を添加しないことが好ましい。
疎水化セルロースとグリシドールとのグリセロール化反応における加熱、添加方法、手順は前述のとおりである。
工程3−1bの反応時間は、反応混合物3−1aと酸との混合が完了してから、通常0.1時間以上72時間以下であり、反応収率及び生産性の観点から、好ましくは0.2時間以上、より好ましくは0.5時間以上、更に好ましくは1時間以上、より更に好ましくは3時間以上であり、好ましくは36時間以下、より好ましくは18時間以下、更に好ましくは12時間以下、より更に好ましくは8時間以下である。
なお、工程3−1bは、着色、及びアンヒドログルコース由来の主鎖の分子量低下を抑制する観点から、必要に応じて窒素等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
グリセロール基の置換度は、前述したとおりである。
工程3−2は、工程3−1の後に、カチオン化剤を添加して反応させる工程である。
カチオン化剤は、前述したとおり、カチオン化剤の水溶液として添加してもよい。
工程3−2においては、カチオン化剤又はカチオン化剤水溶液の他に、本発明の効果を阻害しない範囲において、他の成分を更に添加してもよいが、他の成分は添加しない方が好ましい。他の成分としては、塩基化合物や親水性溶媒等が挙げられる。
カチオン化剤の種類及び使用量については、前述したとおりである。
カチオン化剤は、反応収率を高める観点から、水で希釈して水溶液とし、当該水溶液を添加するのが好ましい。水溶液中におけるカチオン化剤の濃度は、前述したとおりである。
<塩基化合物>
工程3−1で得られた反応混合物3−1中における塩基化合物の量が上記範囲内ではない場合には、新たに塩基化合物を添加したり、後述する親水性溶媒を添加したりして、上記範囲内に調整することが好ましい。一方、工程3−1で得られた反応混合物3−1中における塩基化合物の量が上記範囲内である場合には、工程3−2において新たに塩基化合物を添加しなくてもよい。
工程3−2で用いられる親水性溶媒としては、有機溶剤及び水から選ばれる1種以上が挙げられ、水が好ましい。有機溶剤としては、前述した工程1で用いられるものと同様のものが挙げられる。
また工程3−2における溶媒は、カチオン化反応を均一に進行させ、得られるCGCのすすぎ感を向上させる観点から、親水性溶媒中の水の量が、該親水性溶媒の総量に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは25質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下、更に好ましくは38質量%以下、より更に好ましくは35質量%以下である。
また工程3における溶媒が有機溶剤を含む場合には、該溶媒中、有機溶剤が原料セルロースのセルロース部分に対して0質量%超2000質量%以下であることが好ましい。工程3における溶媒中の有機溶剤の量が上記範囲であることにより、適度な溶媒量でかつグリセロール化セルロースの分散の効率も良好となり、カチオン化剤が均一に反応し、得られるCGCのすすぎ感が向上する。上記観点から、工程3における溶媒中の有機溶剤の量は、原料セルロースのセルロース部分に対して、より好ましくは100質量%以上、更に好ましくは500質量%以上、より更に好ましくは800質量%以上であり、より好ましくは1800質量%以下、更に好ましくは1500質量%以下、より更に好ましくは1200質量%以下である。
カチオン化剤を添加する際の添加方法に特に制限はなく、一括、分割、連続的添加でも、又はこれらの組み合わせでもよい。カチオン化剤を効率的に分散させるという観点からは、カチオン化剤を連続添加又は分割添加することが好ましい。
反応時間は、カチオン化剤の反応速度、所望のカチオン性基の導入量等により適宜調整すればよい。反応時間は通常0.1時間以上、72時間以下であり、反応収率の観点から、0.2時間以上が好ましく、0.5時間以上がより好ましく、1時間以上が更に好ましく、生産性の観点から、36時間以下が好ましく、18時間以下がより好ましく、12時間以下が更に好ましく、8時間以下がより更に好ましい。
なお、カチオン化反応は、着色、及びアンヒドログルコース由来の主鎖の分子量低下を抑制する観点から、必要に応じて窒素等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
カチオン性基の置換度は、前述のとおりである。
水に不溶な粒子が少なく、水溶性に優れ、毛髪すすぎ時におけるコート感を付与する観点から、工程1〜3で用いる塩基化合物の総量は、原料セルロース中のAGU1モルあたり、好ましくは0.95モル当量以上、より好ましくは1.0モル当量以上、更に好ましくは1.1モル当量以上であり、好ましくは2.0モル当量以下、より好ましくは1.8モル当量以下、更に好ましくは1.7モル当量以下である。
水に不溶な粒子が少なく、水溶性に優れ、毛髪すすぎ時におけるコート感を付与する観点から、工程1〜3で用いる親水性溶媒中における水の総量は、前記原料セルロース中のセルロース部分に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは100質量%以上、更に好ましくは300質量%以上、より更に好ましくは400質量%以上であり、好ましくは500質量%以下、より好ましくは490質量%以下、更に好ましくは480質量%以下、より更に好ましくは475質量%以下である。
水に不溶な粒子が少なく、水溶性に優れ、毛髪すすぎ時におけるコート感を付与する観点から、工程1〜3で用いる親水性溶媒は、前述のとおり、水及び炭素数1〜6のアルコールから選ばれる1種以上であることが好ましい。
本発明の製造方法で得られるCGCの平均重合度は、使用する原料セルロースの平均重合度や、原料セルロースの粉砕等の前処理方法によって異なるが、好ましくは100以上12,000以下である。平均重合度がこの範囲であれば、特に毛髪化粧料に配合した際に優れたすすぎ感が得られる。
前記平均重合度は、特に毛髪化粧料に配合した際に優れたすすぎ感を得る観点から、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、更に好ましくは1,000以上であり、ハンドリング性の観点から、平均重合度は好ましくは10,000以下、より好ましくは5,000以下、更に好ましくは2,500以下である。
得られたCGCは、必要に応じて、濾過等により分別したり、熱水、含水イソプロピルアルコール、含水アセトン溶媒等で洗浄して未反応のカチオン化剤やグリシドール、カチオン化剤やグリシドール由来の副生物、中和等により副生した塩類を除去したりしてから使用することもできる。その他、精製方法としては、再沈殿精製、遠心分離、透析等一般的な精製方法を用いることができる。
本発明の毛髪化粧料組成物は、本発明の製造方法で得られたCGC、界面活性剤、及び水を含有する。
本発明の毛髪化粧料組成物におけるCGCの含有量は、優れたすすぎ感を得る観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、毛髪化粧料組成物のハンドリング性の観点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。
本発明の毛髪化粧料組成物は、1種以上の界面活性剤を含有する。
界面活性剤としては、通常、医薬品、医薬部外品、化粧料、トイレタリー、雑貨等で用いられる界面活性剤であればいずれも用いることができる。具体的には、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン界面活性剤、及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上が挙げられる。
本発明の毛髪化粧料組成物がシャンプー等の毛髪洗浄剤組成物である場合は、特に優れたすすぎ感を得る観点から、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上が好ましい。
陰イオン性界面活性剤としては、疎水性部位を有する硫酸エステル塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩、リン酸エステル塩及びアミノ酸塩が好ましい。
具体的には、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の疎水性部位を有する硫酸エステル塩;スルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩、アルカンスルホン酸塩、アシルイセチオネート、アシルメチルタウレート等の疎水性部位を有するスルホン酸塩;炭素数8以上16以下の高級脂肪酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩等の疎水性部位を有するカルボン酸塩;アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩等の疎水性部位を有するリン酸エステル塩;アシルグルタミン酸塩、アラニン誘導体、グリシン誘導体、アルギニン誘導体等の疎水性部位を有するアミノ酸塩等が挙げられる。
陰イオン性界面活性剤は、毛髪化粧料組成物の洗浄性、起泡性及び泡質の観点、特に優れたすすぎ感を得る観点から、疎水性部位として炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を有することが好ましく、炭素数10以上のアルキル基又はアルケニル基を有することがより好ましく、炭素数20以下のアルキル基又はアルケニル基を有することが好ましく、炭素数16以下のアルキル基又はアルケニル基を有することがより好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油等のポリエチレングリコール型非イオン性界面活性剤、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド等の多価アルコール型非イオン性界面活性剤及び脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤は、毛髪化粧料組成物の洗浄性及び洗浄時の泡量、泡質の観点、特に優れたすすぎ感を得る観点から、疎水性部位として炭素数8以上20以下のアルキル基又はアルケニル基を有することが好ましい。
これらの中では、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミド、及びアルキルグリコシドから選ばれる1種以上が好ましく、デシルグルコシド等の炭素数8以上、18以下、好ましくは12以下のアルキルグルコシド、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセトステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、及び、ヤシ油脂肪酸N−メチルモノエタノールアミド等の脂肪酸モノアルカノールアミドから選ばれる1種以上がより好ましい。
両性界面活性剤としては、イミダゾリン系ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、スルホベタイン等のベタイン系界面活性剤、及びアルキルジメチルアミンオキサイド等のアミンオキサイド型界面活性剤等が挙げられる。
これらの中では、毛髪化粧料組成物の洗浄性及び洗浄時の泡量、泡質の観点、特に優れたすすぎ感を得る観点から、イミダゾリン系ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、及びアルキルヒドロキシスルホベタインから選ばれる1種以上が好ましく、具体的には、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルカルボメトキシメチルヒドロキシイミダゾリウムベタイン、及びラウリルヒドロキシスルホベタインから選ばれる1種以上が好ましい。
陽イオン性界面活性剤としては、アミド基、エステル基又はエーテル基で分断されていてもよい炭素数12以上、28以下の炭化水素基を有する第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、又は3級アミンの鉱酸又は有機酸の塩が挙げられる。具体的には、セチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ベヘニルトリメチルアンモニウム塩、オクダデシロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩等のモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩や、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジイソテトラデシルジメチルアンモニウム塩等のジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩や、ステアリルジメチルアミン、ベヘニルジメチルアミン、オクタデシロキシプロピルジメチルアミンの塩酸、クエン酸又は乳酸塩等のモノ長鎖アルキルジメチルアミン塩が挙げられる。
これらの中では、毛髪化粧料組成物に優れたすすぎ感を付与する観点から、モノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩が好ましい。
本発明の毛髪化粧料組成物の中の界面活性剤の含有量は、毛髪化粧料組成物の洗浄性、起泡性及び泡質の観点、特に優れたすすぎ感を得る観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは36質量%以下である。
本発明の毛髪化粧料組成物を毛髪洗浄剤組成物として用いる場合、界面活性剤の含有量は、本発明の毛髪化粧料組成物に優れたすすぎ感を付与する観点から、8質量%以上であることが更に好ましく、20質量%以下であることがより更に好ましい。
本発明の毛髪化粧料組成物中、CGCと界面活性剤の含有量比は、特に優れたすすぎ感を得る観点から、界面活性剤に対するCGCの質量比〔CGC/界面活性剤〕で、好ましくは0.0002以上、より好ましくは0.005以上、更に好ましくは0.01以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは1以下、更に好ましくは0.1以下である。
本発明の毛髪化粧料組成物中には、更に、通常、毛髪化粧料組成物に配合されるグリセリン、保湿剤、多糖類、ポリペプタイド、パール化剤、溶剤、色素、香料、噴射剤、エデト酢酸塩や、クエン酸塩等のキレート剤、pH調整剤、防腐剤、ジンクピリチオン、ピロクトンオラミン等の抗フケ剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
本発明の毛髪化粧料組成物の製造方法に特に制限はなく、常法により製造することができる。具体的には、例えば、液状毛髪用シャンプーの場合は、水及び界面活性剤を加温し、均一混合する。均一溶解確認後、CGCを添加し混合する。CGCは、必要に応じて、予め水に分散又は溶解させた後に添加できる。CGCを界面活性剤水溶液に添加後、均一溶解又は分散、冷却し、必要に応じて、パール化剤、pH調製剤、香料、色素等を加え調製することができる。
また、本発明の毛髪化粧料組成物の剤型も特に制限されず、液体状、泡状、ペースト状、クリーム状、固形状、粉末状等、任意の剤型とすることができるが、液体状、ペースト状又はクリーム状とすることが好ましく、液体状とすることが特に好ましい。液体状とする場合には、液体媒体として水の他、ポリエチレングリコール、エタノール等を用いるのが好ましく、水の配合量は、全組成物中に10質量%以上、90質量%以下であることが好ましい。
本発明に係る疎水化グリセロール化セルロースの製造方法は、原料セルロースと、少なくとも疎水性基導入剤及びグリシドールとを反応させて得られる疎水化グリセロール化セルロースの製造方法であって、下記工程1〜工程3’を有する、疎水化グリセロール化セルロースの製造方法である。
工程1:原料セルロースと下記式(1)〜(3)からなる群から選ばれる少なくとも1種である疎水性基導入剤とを、塩基化合物の存在下、該原料セルロースのセルロース部分に対して10質量%以上200質量%以下の親水性溶媒中で反応させて、疎水化セルロースを含む反応混合物1を得る工程
工程2:工程1で得られた反応混合物1と親水性溶媒とを混合して、親水性溶媒量が前記原料セルロースのセルロース部分に対して500質量%以上3000質量%以下である反応混合物2を得る工程
工程3’:工程2で得られた反応混合物2にグリシドールを添加して反応させ、疎水化グリセロール化セルロースを得る工程
また、当該疎水化グリセロール化セルロースの製造方法において、工程3’は、前述したカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法における工程3−1と同様である。
<1>原料セルロースと、少なくとも疎水性基導入剤、グリシドール及びカチオン化剤とを反応させて得られるカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法であって、下記工程1〜工程3を有する、カチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
工程1:原料セルロースと下記式(1)〜(3)からなる群から選ばれる少なくとも1種である疎水性基導入剤とを、塩基化合物の存在下、該原料セルロースのセルロース部分に対して10質量%以上200質量%以下の親水性溶媒中で反応させて、疎水化セルロースを含む反応混合物1を得る工程
工程2:工程1で得られた反応混合物1と親水性溶媒とを混合して、親水性溶媒量が前記原料セルロースのセルロース部分に対して500質量%以上3000質量%以下である反応混合物2を得る工程
工程3:工程2で得られた反応混合物2にグリシドール及びカチオン化剤を添加して反応させ、カチオン化グリセロール化セルロースを得る工程
<2>工程1において塩基化合物が存在し、該塩基化合物の量が、前記原料セルロース中のアンヒドログルコース単位1モルあたり0.5モル当量以上1.5モル当量以下である、前記<1>に記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<3>工程3において塩基化合物が存在し、該塩基化合物の量が、原料セルロース中のアンヒドログルコース単位1モルあたり0.5モル当量以上2.5モル当量以下である、前記<1>又は<2>に記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<4>工程3において塩基化合物が存在し、少なくとも2回以上に分割して前記グリシドールを添加し、1回目の前記グリシドールの添加開始時における塩基化合物の量が、前記原料セルロース中のアンヒドログルコース単位1モルあたり0.75モル当量以上2.5モル当量以下である、前記<1>〜<3>のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<5>工程3において塩基化合物が存在し、少なくとも2回以上に分割して前記グリシドールを添加し、1回目の前記グリシドールの添加開始時における塩基化合物の量が、工程1における塩基化合物の量よりも前記原料セルロース中のアンヒドログルコース単位1モルあたり0.25モル当量以上1.0モル当量以下多くなるように、工程2において調整する、前記<1>〜<4>のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<7>工程1〜3で用いる親水性溶媒が水を含有し、該水の総量が、記原料セルロース中のセルロース部分に対して、50質量%以上500質量%以下である、前記<1>〜<6>のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<8>工程1〜3で用いる親水性溶媒が水を含有し、工程3において少なくとも2回以上に分割して前記グリシドールを添加し、1回目の前記グリシドールの添加開始時における水の総量が、前記原料セルロース中のセルロース部分に対して、50質量%以上250質量%以下である、前記<1>〜<7>のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<9>工程1〜3で用いる親水性溶媒が、水及び炭素数1〜6のアルコールから選ばれる1種以上である、前記<1>〜<8>のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<10>前記原料セルロースが未変性セルロースである、前記<1>〜<9>のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<12>工程1における親水性溶媒中の水の量が、該親水性溶媒の総量に対して、90質量%以上である、前記<1>〜<11>のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<13>工程3において親水性溶媒が存在し、該親水性溶媒中の水の量が、該親水性溶媒の総量に対して、5質量%以上40質量%以下である、前記<1>〜<12>のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<14>工程3において、工程2で得られた反応混合物2にグリシドールを添加して反応させて反応混合物3−1を得る工程(工程3−1)の後に、工程3−1で得られた反応混合物3−1にカチオン化剤を添加して反応させる工程(工程3−2)を行う、前記<1>〜<13>のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<15>工程3−1において、工程2で得られた反応混合物2に、工程3−1で用いるグリシドールの総量に対して10質量%以上30質量%以下のグリシドールを添加して反応させた後に、酸を添加して塩基化合物の一部を中和し、その後残部のグリシドールを添加して、反応させる、前記<14>に記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<17>工程3−1の後、かつカチオン化剤を反応させる前に、工程3−1で得られた反応混合物3−1中における水の量を、前記原料セルロースのセルロース部分に対して50質量%以上1000質量%未満に調整する、前記<14>〜<16>のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<18>工程1〜3−1で用いる水の総量が、前記原料セルロースのセルロース部分に対して50質量%以上250質量%以下である、前記<14>〜<17>のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<19>前記<1>〜<18>に記載の製造方法で得られたカチオン化グリセロール化セルロース、界面活性剤、及び水を含有する毛髪化粧料組成物。
<20>原料セルロースと、少なくとも疎水性基導入剤及びグリシドールとを反応させて得られる疎水化グリセロール化セルロースの製造方法であって、下記工程1〜工程3’を有する、疎水化グリセロール化セルロースの製造方法。
工程1:原料セルロースと下記式(1)〜(3)からなる群から選ばれる少なくとも1種である疎水性基導入剤とを、塩基化合物の存在下、該原料セルロースのセルロース部分に対して10質量%以上200質量%以下の親水性溶媒中で反応させて、疎水化セルロースを含む反応混合物1を得る工程
工程2:工程1で得られた反応混合物1と親水性溶媒とを混合して、親水性溶媒量が前記原料セルロースのセルロース部分に対して500質量%以上3000質量%以下である反応混合物2を得る工程
工程3’:工程2で得られた反応混合物2にグリシドールを添加して反応させ、疎水化グリセロール化セルロースを得る工程
セルロース粉末の水分含量及び反応時の水分量は、電子式水分計(株式会社島津製作所製「MOC−120H」)を用いて、測定温度120℃で測定した。1gのサンプルを用い、30秒間の重量変化率が0.1%以下となる点を測定の終点とした。
(i)測定用溶液の調製
メスフラスコ(100mL)に塩化第一銅0.5g、25%アンモニア水20〜30mLを加え、完全に溶解した後に、水酸化第二銅1.0g、及び25%アンモニア水を加えてメスアップし、3時間攪拌し、完全に溶解させた。
(ii)サンプルの調製
メスフラスコ(25mL)に測定サンプルを25mg添加後、フラスコの標線にメニスカスが一致するまで上記で調製した溶液を追加した。これを、6時間攪拌し完全に溶解させた。
(iii)粘度平均重合度の測定
得られた銅アンモニア水溶液をウベローデ粘度計に入れ、恒温槽(20±0.1℃)中で1分間静置した後、液の流下速度を測定した。種々の試料濃度(g/L)の銅アンモニア溶液の流下時間(t(秒))と試料無添加の銅アンモニア水溶液の流下時間(t0(秒))から、下記式に示した相対粘度ηrを求めた。
ηr=t/t0
次に、それぞれの濃度における還元粘度(ηsp/c)を以下の式より求めた。
ηsp/c=(ηr−1)/c (c:試料濃度(g/dL))
更に、還元粘度をc=0に外挿して固有粘度〔η〕を求め、以下の式より粘度平均重合度(n)を求めた。
n=2000×〔η〕
なお、実施例において、CGCの平均重合度は、製造に用いた原料セルロースの平均重合度と同一であると見なした。
CGCのグリセロール基の置換度(MS(Gly))、カチオン性基の置換度(MS(N+))、炭化水素基含有基の置換度(MS(HC))は、以下の計算式(1)〜(3)の連立方程式により算出した。
−a×(グリセロール基の含有量(%))×MS(HC)+(74.1−74.1×(グリセロール基の含有量(%)))×MS(Gly)−b×(グリセロール基の含有量(%))×MS(N+)=162.1×(グリセロール基の含有量(%))・・・(1)
−a×(窒素含有量(%))×MS(HC)−74.1×(窒素含有量(%))×MS(Gly)+(b−b×窒素含有量(%))×MS(N+)=162.1×(窒素含有量(%))・・・(2)
(a−a×(炭化水素基含有基の含有量(%)))×MS(HC)−74.1×(炭化水素基含有基の含有量(%))×MS(Gly)−b×(炭化水素基含有基の含有量(%))×MS(N+)=162.1×(炭化水素基含有基の含有量(%))・・・(3)
(式中、aは炭化水素基含有基の分子量を、bはカチオン性基の分子量を示す。
〔グリセロール基及び炭化水素基含有基の含有量(質量%)の測定〕
CGC中に含有される、グリセロール基の含有量(質量%)は、Analytical Chemistry, Vol.51, No.13, 2172(1979)、「第十五改正日本薬局方(ヒドロキシプロピルセルロースの分析方法の項)」等に記載の、セルロースエーテルのアルコキシ基の平均付加モル数を分析する手法として知られるZeisel法に準じて算出した。以下に手順を示す。
(i)25mLメスフラスコにn−テトラデカン1mLを加え、o−キシレンを液のメニスカス下面がメスフラスコの標線上縁と一致するまで添加、撹拌して、内標準溶液を調製した。
(ii)精製、乾燥を行ったCGC65mg、アジピン酸65mgを10mLバイアル瓶に精秤し、(i)で調製した内標準溶液2mL、ヨウ化水素酸2mLを加えて密栓した。
(iii)上記バイアル瓶中の混合物を、スターラーチップにより攪拌しながら、150℃のブロックヒーターにて1時間加熱した。
(iv)バイアル瓶中の2相に分離した混合物の上層(o-キシレン層)をガスクロマトグラフ法にて測定し、グリセロール基由来のヨウ化イソプロピル、及び炭化水素基含有基由来の炭化水素基のヨウ化物(例えば、炭化水素基含有基がオキシブチレン基の場合は、2−ヨウ化ブチル)を定量して、得られた結果からそれぞれCGC中のグリセロール基の含有量(質量%)、及び炭化水素基含有基の含有量(質量%)を算出した。
分析条件は以下の通りであった。
カラム:Agilent社製 HP−1(長さ:30m、内径:0.32mm、膜厚:0.25mm、固定相:100%メチルシロキサン)
カラム温度:40℃(5min)→10℃/min→230℃(5min)
インジェクター温度:210℃
検出器:水素炎イオン検出器(FID)
検出器温度:230℃
打ち込み量:1μL
キャリヤーガス(ヘリウム)流量:3.0mL/min
〔窒素含有量(質量%)の測定〕(ケルダール法)
精製、乾燥したCGC100mgを精秤し、ここへ硫酸10mL、分解促進剤(株式会社なかやま理化製作所製「ケルタブ錠」)1錠を加え、ケルダール分解装置(BUCHI社製「K−432」)を用いて250℃で30分、300℃で30分、420℃で80分と順に昇温させながら完全分解を行った。分解反応終了後、サンプルにイオン交換水30mLを加え、自動ケルダール蒸留・滴定装置(BUCHI社製「K−370」)を用いて、30%水酸化ナトリウム水溶液40mLを加えアルカリ性とした後、蒸留操作により遊離したアンモニアを1%ホウ酸水溶液中に収集し、0.01N硫酸(和光純薬工業株式会社製、定量分析用)を用いて滴定することにより、CGC中の窒素含有量(質量%)を求めた。
精製、乾燥を行ったCGC0.3gにイオン交換水99.7gを入れ、6時間かけて50℃にて攪拌して0.3%水溶液又は0.3%分散液を調製した。
得られたCGCの0.3%水溶液又は0.3%分散液を、予め質量を精秤した50mL遠心管に50g程度精秤し、10000rpm,30minの条件で遠心分離し、上澄みを除去した後、凍結乾燥を行った。次に、沈殿物量を下記式から算出した。測定は、3本の試験管を用いて同時に行い、3つの測定値の平均値をCGCの沈殿物量とした。
沈殿物量(%)=0.01×[{(凍結乾燥後の遠心管質量)-(凍結乾燥前の遠心管質量(g))}/(0.3%水溶液の質量(g)×0.3×0.01)}
このCGCの沈殿物量が少ないと、CGCを水溶液とした際に、またCGCをシャンプーなどの香粧品へ配合した際に、長期間にわたりCGCが分離せず、安定性が優れるため好ましい。
精製・乾燥を行ったCGC10.0gにイオン交換水990.0gを入れ、6時間かけて50℃にて攪拌して1%水溶液又は1%分散液を調製した。得られた1%水溶液又は1%分散液を用い、下記の評価を行った。
CGCの1%水溶液又は1%分散液500gを、予め質量を精秤した200メッシュ(目開き75μm)のステンレス製の金網で濾過し、金網をイオン交換水1Lで2回洗浄した後、金網と金網上に残ったゲルを、金網ごと凍結乾燥し、下記式に従って不溶性粒子量を算出した。
不溶性粒子量(%)=[{(凍結乾燥後の金網質量)-(測定前の金網質量)}/5.0]×100
このCGCの不溶性粒子量が少ないと、CGCを水溶液としたときの外観及びCGCをシャンプーなどの香粧品へ配合したときの外観に優れるため、好ましい。
(1)セルロースの粉末化工程
シート状木材パルプ(テンベック社製「BioflocXV18」、平均重合度1882)をシュレッダー(株式会社明光商会製「MSX2000−IVP440F」)にかけてチップ状にした。その後、105℃減圧下で12時間乾燥処理を行い、チップ状の乾燥パルプを得た。次に、得られた乾燥チップ状パルプ920gをバッチ式振動ミル(中央化工機株式会社製「FV−10」:容器全容積35L、ロッドとして、φ30mm、長さ510mm、断面形状が円形のSUS304製ロッド63本、充填率70%)に投入し、10分間粉砕処理(振動数20Hz、振幅8mm、温度10〜20℃)を行って粉末状のセルロースを得た。得られた粉末状セルロースを、高速回転式微粉砕機(株式会社ダルトン製「サンプルミル、KIIW−1型」)を用いて、目開き0.7mmのスクリーンを装着し、ローター周速度を81m/sで駆動すると共に、原料供給部から粉末状セルロースを18kg/hの速度で供給した。次いで、円形振動篩機(株式会社興和工業所製「KGC−500」)に、篩面積0.196m2、目開き150μmのSUS製スクリーンを装着し、振動数30Hz(振動回転数1800r/min)、縦方向の片振幅3mm、横方向の片振幅3mm、ウエイト位相角60°で駆動すると共に、原料供給部から原料を14kg/hの供給速度で供給して、150μmのスクリーン上に残る粗粉を除去し、セルロース粉末として回収した。
上記(1)で得られたセルロース粉末201.0g(水含有量0.48%、セルロース含量200g)をレーディゲミキサー(中央機工株式会社製、VT−5、容量5L)に入れ、窒素置換を行った後(−80kPa減圧から窒素で常圧戻しを3回)、主翼回転数250rpm、チョッパー回転数2500rpmにて撹拌を行いながら、45.8%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液107.8gを0.2L/分の速度で噴霧し、室温にて30分混合を続ける事で、アルカリセルロース(アルカリ及びセルロースを含む混合物、NaOH1.00モル当量/AGU、水29.2%/セルロース)を得た。ここへブチレンオキシド5.3g(0.06モル当量/AGU)を加え、ジャケットに温水を流して品温を50℃まで15分かけて上昇させ、50℃にて1時間反応し、ブチレンオキシド変性セルロースを含む反応混合物1を得た。
上記(2)で得られた反応混合物1を室温付近まで冷却した後、主翼回転数を50rpmに低下し、チョッパーを停止した後に、2−プロパノールを2120g(1060質量%/セルロース)を加え、窒素置換を行った。ここへ9.4%水酸化ナトリウム水溶液262.8gを0.2L/分の速度で噴霧して加え、室温にて30分間混合を続け、反応混合物2(NaOHの存在量1.50モル当量/AGU、水の存在量148.0質量%/セルロース)を得た。
ジャケットに温水を流して、上記(3)で得られた反応混合物2の品温を50℃まで昇温した後、グリシドール100.6g(1.10モル当量/AGU)を79分かけて滴下した。滴下完了後、50℃にて1時間混合を行う事で反応を完了させて、反応混合物3−1aを得た(工程3−1a)。
ここへ酢酸66.7g(0.90モル当量/AGU)を5分かけて滴下し、50℃にて15分間混合を行い、系中の水酸化ナトリウムを一部中和した。ここへ、グリシドール311.4g(3.4モル当量/AGU)を245分かけて滴下した。滴下完了後、50℃にて1時間混合を行う事で反応を完了させ、ブチレンオキシド変性ポリグリセリルセルロースを含む反応混合物3−1bを得た(工程3−1b)。
上記(4)で得られた反応混合物3−1bに対して、65%の3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液(四日市合成株式会社製)123.8g(0.35モル当量/AGU)、72%グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液(阪本薬品工業株式会社製)47.1g(0.18モル当量/AGU)、イオン交換水595.0gの混合物を5分間かけて滴下し、50℃にて3時間混合を行い、カチオン化反応を行い(カチオン化時のNaOH0.25モル当量/AGU、水469%/セルロース)、ブチレンオキシド変性カチオン化ポリグリセリルセルロースを含む反応混合物を得た。
上記(5)の後、ジャケットに冷水を流し、品温を室温まで下げた後、90%乳酸(株式会社武蔵野化学研究所製)37.5gとイオン交換水25.4gの混合物を1分間かけて滴下し中和した。滴下排出弁からスラリーとしてブチレンオキシド変性カチオン化ポリグリセリルセルロースを含む反応混合物を回収した。回収した反応混合物をメンブランフィルター(ミリポア製OMNIPORE、φ0.45μm)にて濾過し、ケークを得た。得られたケークを70質量%2−プロパノール水溶液3704gで2回洗浄を行い、80℃にて12時間減圧乾燥する事によって淡黄色固体としてCGC(1)を得た。
各工程での原料及び溶媒の種類及び配合量を表1及び表2に示す。また、得られたCGC(1)の分析結果を表3に示す。
(2)疎水化反応(工程1)における、セルロース粉末の水分率が、2.36%であり、質量が204.8gである事(セルロース含量200g)、および、45.8%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を、41.1%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液93.7gとし、(3)溶剤量調整(工程2)における、9.4%水酸化ナトリウム水溶液を、13.0%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液273.1gとし、(5)カチオン化反応(工程3−2)におけるイオン交換水を594.2gとした以外は、実施例1と同様にして淡黄色固体としてCGC(2)を得た。
各工程での原料及び溶媒の種類及び配合量を表1及び表2に示す。また、得られたCGC(2)の分析結果を表3に示す。
(2)疎水化反応(工程1)における、セルロース粉末の水分率が、3.70%であり、質量が207.7gである事(セルロース含量200g)、および、45.8%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を、31.5%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液145.8gとし、(3)溶剤量調整(工程2)における、9.4%水酸化ナトリウム水溶液を、12.9%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液218.1gとし、(5)カチオン化反応(工程3−2)におけるイオン交換水を546.0gとした以外は、実施例1と同様にして淡黄色固体としてCGC(3)を得た。
各工程での原料及び溶媒の種類及び配合量を表1及び表2に示す。また、得られたCGC(3)の分析結果を表3に示す。
(2)疎水化反応(工程1)における、セルロース粉末の水分率が、2.00%であり、質量が204.0gである事(セルロース含量200g)、および、45.8%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を、41.1%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液120.3gとし、(3)溶剤量調整(工程2)における、9.4%水酸化ナトリウム水溶液を、10.0%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液247.2gとし、(5)カチオン化反応(工程3−2)におけるイオン交換水を579.4gとした以外は、実施例1と同様にして淡黄色固体として、CGC(4)を得た。
各工程での原料及び溶媒の種類及び配合量を表1及び表2に示す。また、得られたCGC(4)の分析結果を表3に示す。
(2)疎水化反応(工程1)における、セルロース粉末の水分率が、2.22%であり、質量が204.5gである事(セルロース含量200g)、および、45.8%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を、36.4%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液135.9gとし、(3)溶剤量調整(工程2)における、9.4%水酸化ナトリウム水溶液を、10.7%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液231.2gとし、(5)カチオン化反応(工程3−2)におけるイオン交換水を563.4gとした以外は、実施例1と同様にして淡黄色固体としてCGC(5)を得た。
各工程での原料及び溶媒の種類及び配合量を表1及び表2に示す。また、得られたCGC(5)の分析結果を表3に示す。
(2)疎水化反応(工程1)における、セルロース粉末の水分率が、4.44%であり、質量が209.3gである事(セルロース含量200g)、および、45.8%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を、20.7%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液238.7gとし、(3)溶剤量調整(工程2)における、9.4%水酸化ナトリウム水溶液を、20.0%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液123.6gとし、(5)カチオン化反応(工程3−2)におけるイオン交換水を455.8gとした以外は、実施例1と同様にしてCGC(6)を得た。
各工程での原料及び溶媒の種類及び配合量を表1及び表2に示す。また、得られたCGC(6)の分析結果を表3に示す。
(2)疎水化反応(工程1)における、セルロース粉末の水分率が、4.44%であり、質量が209.3gである事(セルロース含量200g)、および、45.8%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を、20.7%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液238.7gとし、(3)溶剤量調整(工程2)における、9.4%水酸化ナトリウム水溶液を、20.0%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液123.6gとし、(5)カチオン化反応(工程3−2)におけるイオン交換水を595.0gとした以外は、実施例1と同様にして淡黄色固体としてCGC(7)を得た。
各工程での原料及び溶媒の種類及び配合量を表1及び表2に示す。また、得られたCGC(7)の分析結果を表3に示す。
(2)疎水化反応(工程1)において、ブチレンオキシドのかわりに2−エチルヘキシルグリシジルエーテルを13.8g(0.033モル当量/AGU)用いた以外は、実施例2と同様にして淡黄色固体としてCGC(8)を得た。
各工程での原料及び溶媒の種類及び配合量を表1及び表2に示す。また、得られたCGC(8)の分析結果を表3に示す。
(2)疎水化工程(工程1)
実施例1の(1)セルロースの粉末化工程と同様にして得られたセルロース粉末293.1g(水含有量1.33%、セルロース含量200g)をレーディゲミキサー(中央機工株式会社製、VT−5、容量5L)に入れ、窒素置換を行った後(−80kPa減圧から窒素で常圧戻しを3回)、主翼回転数250rpm、チョッパー回転数2500rpmにて撹拌を行いながら、35.8%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液239.7gを0.2L/分の速度で噴霧し、室温にて30分混合を続ける事で、アルカリセルロース(NaOH1.20モル当量/AGU、水54%/セルロース)を得た。ここへブチレンオキシド9.4g(0.07モル当量/AGU)を加え、ジャケットに温水を流して品温を50℃まで15分かけて上昇させ、50℃にて1時間反応し、ブチレンオキシド変性セルロースを含む反応混合物を得た。
工程2は実施しなかった。
反応混合物の品温を50℃に保ち、グリシドール105.7g(0.8モル当量/AGU)を58分かけて滴下した。滴下完了後、50℃にて1時間混合を行う事で反応を完了させて、反応混合物を得た(工程3−1a)。
ここへ酢酸64.3g(0.60モル当量/AGU)を5分かけて滴下し、50℃にて15分間混合を行い、系中の水酸化ナトリウムを一部中和した。ここへ、グリシドール423.1g(3.2モル当量/AGU)を230分かけて滴下した。滴下完了後、50℃にて1時間混合を行う事で反応を完了させ、ブチレンオキシド変性ポリグリセリルセルロースを含む反応混合物を得た(工程3−1b)。
上記(4)で得られた反応混合物に対して、65%の3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液(四日市合成株式会社製)179.0g(0.35モル当量/AGU)、72%グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液(阪本薬品工業株式会社製)27.6g(0.07モル当量/AGU)、イオン交換水941.3.0g、2−プロパノール27.6gの混合物を5分間かけて滴下し、50℃にて3時間混合を行い、カチオン化反応を行い(カチオン化時のNaOH0.25モル当量/AGU、水400%/セルロース)、ブチレンオキシド変性カチオン化ポリグリセリルセルロースを含む反応混合物を得た。
上記(5)の後、ジャケットに冷水を流し、品温を室温まで下げた後、90%乳酸(株式会社武蔵野化学研究所製)54.2gとイオン交換水25.4gの混合物を1分間かけて滴下し中和した。滴下排出弁からスラリーとしてブチレンオキシド変性カチオン化ポリグリセリルセルロースを含む反応混合物を回収した。回収した反応混合物をメンブランフィルター(ミリポア製OMNIPORE、φ0.45μm)にて濾過し、ケークを得た。得られたケークを70質量%2−プロパノール水溶液5355gで2回洗浄を行い、80℃にて12時間減圧乾燥する事によって淡黄色固体としてCGC(9)を得た。
各工程での原料及び溶媒の種類及び配合量を表1及び表2に示す。また、得られたCGC(9)の分析結果を表3に示す。
(2)疎水化反応(工程1)において、ブチレンオキシドを用いなかった以外は、比較例1と同様にして淡黄色固体としてCGC(10)を得た。
各工程での原料及び溶媒の種類及び配合量を表1及び表2に示す。また、得られたCGC(10)の分析結果を表3に示す。
実施例9〜16、比較例4〜5(ヘアシャンプーの製造、評価)
(製造)
実施例1〜8及び比較例1〜2の方法で得られたCGC、及び界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(花王株式会社製「エマール170J」(70%水溶液)、オキシエチレン基の平均付加モル数;1、アルキル鎖長;C10〜16)、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(花王株式会社製「アンヒトール55AB」(30%水溶液))、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(川研ファインケミカル株式会社製「アミゾール CME」)を用いて、各成分の有効分が表4に示す組成となるヘアシャンプーを調製した。具体的には、CGCを水に溶解させ2質量%ポリマー溶液を調製した。別途、ポリマー以外の各成分をビーカーに取り、80℃に加温後攪拌し、均一溶解した後に、ポリマー液を加え、均一混合後冷却し、最後に、加温により蒸発した水分を補充してヘアシャンプーとした。
(評価)
下記組成の各成分をビーカーに取り、80℃に加温後、混合し、均一に溶解したことを確認した後、冷却して、プレーンシャンプーを得た。得られたプレーンシャンプーで毛束(20g)を洗浄し、35〜40℃の温水で十分に湿らせて、評価用トレスを得た。次に表4に示す組成のヘアシャンプー(0.5g)で評価用トレスを洗浄し、温水(35〜40℃)ですすいだ。このように処理した毛束を用い、5人のパネラーが、以下の評価基準、評価方法により、毛髪のすすぎ時における、コート感を評価した。また、ヘアシャンプーをガラス容器に入れた際の外観も評価した。評価結果を表4に示す。
(成分) (%)
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸Na(エマールE−27C) 11.3
(エマールE−27C(花王株式会社製、有効分27%)として42.0%)
ヤシ油脂肪酸N−メチルエタノールアミド 3.0
(アミノーン C−11S(花王株式会社製))
クエン酸 0.2
メチルパラベン 0.3
精製水 バランス
計 100.0
・コート感:
7:コート感が非常に優れる
6:コート感に優れる
5:コート感を感じる
4:コート感をやや感じる
3:普通(基準:比較例3の結果を3とする)
2:コート感が少ない
1:コート感が全く感じられない
3:透明である
2:部分的に白濁している(基準:実施例13の結果を2とする)
1:白濁している
5人のパネラーの評価結果を平均して評点を求めた。
Claims (9)
- 原料セルロースと、少なくとも疎水性基導入剤、グリシドール及びカチオン化剤とを反応させて得られるカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法であって、下記工程1〜工程3を有する、カチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
工程1:原料セルロースと下記式(1)〜(3)からなる群から選ばれる少なくとも1種である疎水性基導入剤とを、塩基化合物の存在下、該原料セルロースのセルロース部分に対して10質量%以上200質量%以下の親水性溶媒中で反応させて、疎水化セルロースを含む反応混合物1を得る工程
(式中、R1、R2、R3は、それぞれ独立に炭素数2以上16以下の直鎖又は分岐の、アルキル基又はアルケニル基を示し、Aはハロゲン原子を示す。)
工程2:工程1で得られた反応混合物1と親水性溶媒とを混合して、親水性溶媒量が前記原料セルロースのセルロース部分に対して500質量%以上3000質量%以下である反応混合物2を得る工程
工程3:工程2で得られた反応混合物2にグリシドール及びカチオン化剤を添加して反応させ、カチオン化グリセロール化セルロースを得る工程 - 工程1において塩基化合物が存在し、該塩基化合物の量が、前記原料セルロース中のアンヒドログルコース単位1モルあたり0.5モル当量以上1.5モル当量以下である、請求項1に記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
- 工程3において塩基化合物が存在し、少なくとも2回以上に分割して前記グリシドールを添加し、1回目の前記グリシドールの添加開始時における塩基化合物の量が、工程1における塩基化合物の量よりも前記原料セルロース中のアンヒドログルコース単位1モルあたり0.25モル当量以上1.0モル当量以下多くなるように、工程2において調整する、請求項1又は2に記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
- 工程1〜3で用いる親水性溶媒が水を含有し、工程3において少なくとも2回以上に分割して前記グリシドールを添加し、1回目の前記グリシドールの添加開始時における水の総量が、前記原料セルロース中のセルロース部分に対して、50質量%以上250質量%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
- 工程1〜3で用いる親水性溶媒が、水及び炭素数1〜6のアルコールから選ばれる1種以上である、請求項1〜4のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
- 工程3において親水性溶媒が存在し、該親水性溶媒中の水の量が、該親水性溶媒の総量に対して、5質量%以上40質量%以下である、請求項1〜5のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
- 工程3において、工程2で得られた反応混合物2にグリシドールを添加して反応させて反応混合物3−1を得る工程(工程3−1)の後に、工程3−1で得られた反応混合物3−1にカチオン化剤を添加して反応させる工程(工程3−2)を行う、請求項1〜6のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
- 工程3−1において、工程2で得られた反応混合物2に、工程3−1で用いるグリシドールの総量に対して10質量%以上30質量%以下のグリシドールを添加して反応させた後に、酸を添加して塩基化合物の一部を中和し、その後残部のグリシドールを添加して、反応させる、請求項7に記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
- 工程3−1の後、かつカチオン化剤を反応させる前に、工程3−1で得られた反応混合物3−1中における水の量を、前記原料セルロースのセルロース部分に対して50質量%以上1000質量%未満に調整する、請求項7又は8に記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
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