JP2014131991A - 毛髪用コンディショニング剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】毛髪に塗布した時の存在感、すすぎ時の柔らかさ、すすぎ時のすべり性とその持続感、乾燥後のコート感を付与することができる毛髪用コンディショニング剤組成物を提供する。
【解決手段】カチオン性基含有セルロースエーテル(A)、非イオン性界面活性剤及び陽イオン性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤(B)、及び油剤(C)を含有する毛髪用コンディショニング剤組成物であって、該カチオン性基含有セルロースエーテル(A)が、一般式(1)で表されるアンヒドログルコース由来の主鎖を有し、該アンヒドログルコース単位あたりのカチオン化オキシアルキレン基の置換度が0.01以上1.0以下であり、グリセロール基の置換度が0.5以上5.0以下であり、かつ一般式(6)〜(8)で表される、炭素数3以上18以下の炭化水素基を含有する基の置換度が0.0001以上0.3以下である毛髪用コンディショニング剤組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、毛髪用コンディショニング剤組成物に関する。
毛髪は、生活環境(太陽光による紫外線や熱、乾燥)、日常のヘアケア行動(洗髪やブラッシングによる摩擦、ドライヤーによる熱)、化学的処理(カラーリング、パーマ等)によりダメージを受けており、毛髪が濡れた状態で擦れ合うと表面に大きな摩擦力を生じ、洗髪中にきしみやもつれを感じる。毛髪化粧料では、頭髪の汚れを落とすという基本機能に加え、洗浄時の指通り性、すすぎ時のすべり性、柔らかさを向上させるために、コンディショニング剤として、一般にカチオン化ヒドロキシエチルセルロースに代表される、カチオン性ポリマーが配合される。
例えば特許文献1には、ハイドロフォーブ置換した水溶性カチオン多糖類が開示され、実施例には、セルロース系出発物質にグリシドールを反応させた後、第四級化/アルキル化を行うこと等により製造された水溶性カチオン多糖類が例示されている。また、該カチオン多糖類の水溶液は強い粘性化、フォーミング等を可能とし、シャンプー、リンス等の毛髪用組成物としても有用であることが挙げられている。
特許文献2には、アンヒドログルコース単位1モルあたり0.0003〜0.08モルの、炭素数8〜24のアルキル又はアリールアルキル基を含む置換基、及び第四級窒素含有置換基で置換されているセルロースエーテル、及びこれを含むシャンプー等のヘアケア組成物が開示され、湿潤時及び乾燥時の櫛とき性を向上させることが開示されている。
また、特許文献3には、カチオン性基の平均付加モル数が0.2〜0.5であり、グリセロール基の平均付加モル数が1〜2.5である、カチオン化グリセロール化セルロースを含む毛髪化粧料組成物が開示され、洗浄時の毛髪のくし通り性に優れることが挙げられている。
特開昭61−181801号公報 特表2006−527785号公報 ドイツ特許第3301667号明細書
しかしながら、特許文献1〜3の技術は、塗布した時の存在感、すすぎ時の柔らかさ、すすぎ時のすべり性、乾燥後のコート感において、十分に満足できるレベルではなかった。
本発明は、塗布した時の存在感、すすぎ時の柔らかさ、すすぎ時のすべり性、乾燥後のコート感を付与することができる毛髪用コンディショニング剤組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、特定のカチオン性基含有セルロースエーテル、非イオン性界面活性剤及び陽イオン性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤、及び油剤を含有する毛髪用コンディショニング剤組成物により、前記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]及び[2]を提供する。
[1]カチオン性基含有セルロースエーテル(A)、非イオン性界面活性剤及び陽イオン性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤(B)、及び油剤(C)を含有する毛髪用コンディショニング剤組成物であって、該カチオン性基含有セルロースエーテル(A)が、下記一般式(1)で表されるアンヒドログルコース由来の主鎖を有し、該アンヒドログルコース単位あたりのカチオン化オキシアルキレン基の置換度が0.01以上1.0以下であり、グリセロール基の置換度が0.5以上5.0以下であり、かつ下記一般式(6)〜(8)で表される、炭素数3以上18以下の炭化水素基を含有する基の置換度が0.0001以上0.3以下である毛髪用コンディショニング剤組成物(以下、本発明のコンディショニング剤組成物ともいう。)。
Figure 2014131991
(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、下記一般式(2)〜(8)から選ばれる1種以上の構造単位からなる置換基、又は水素原子を示す。nはアンヒドログルコース由来の主鎖の平均重合度を示し、100以上12000以下の数である。)
Figure 2014131991
(式中、式(2)又は(3)で表される構造単位はカチオン化オキシアルキレン基を示し、式(4)又は(5)で表される構造単位はグリセロール基を示し、式(6)〜(8)で表される構造単位は炭素数3以上18以下の炭化水素基を含有する基を示す。R4〜R9は、それぞれ独立に炭素数1以上3以下の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、X-及びY-はアニオンを示し、r及びsは0以上3以下の整数である。R10、R11は、それぞれ独立に炭素数1以上16以下の直鎖又は分岐のアルキル基、又は炭素数2以上16以下の直鎖又は分岐のアルケニル基を示す。R12は炭素数3以上18以下の、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、又はアリール基を示し、pは0又は1の整数を示す。式(2)〜(7)で表される構造単位において、酸素原子は、水素原子又は前記構造単位の炭素原子と結合している。)
[2]洗浄剤組成物を用いて毛髪を洗浄した後、前記[1]のコンディショニング剤組成物を毛髪に適用する、毛髪のコンディショニング方法(以下、本発明のコンディショニング方法ともいう。)。
本発明のコンディショニング剤組成物によれば、塗布した時の存在感、すすぎ時の柔らかさ、すすぎ時のすべり性、乾燥後のコート感を付与することができる(以下、これらの効果を本発明の効果ともいう。)。なお、乾燥後のコート感とは、コンディショニング基剤でコートされた感触をいい、コート感が強いほど、ダメージを受けた毛髪の感触を改善することができる。
[コンディショニング剤組成物]
本発明のコンディショニング剤組成物は、カチオン性基含有セルロースエーテル(A)、非イオン性界面活性剤及び陽イオン性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤(B)、及び油剤(C)を含有し、該カチオン性基含有セルロースエーテル(A)が、前記一般式(1)で表されるアンヒドログルコース由来の主鎖を有し、該アンヒドログルコース単位あたりのカチオン化オキシアルキレン基の置換度が0.01以上1.0以下であり、グリセロール基の置換度が0.5以上5.0以下であり、かつ前記一般式(6)〜(8)で表される、炭素数3以上18以下の炭化水素基を含有する基の置換度が0.0001以上0.3以下である。
(カチオン性基含有セルロースエーテル(A))
本発明のコンディショニング剤組成物に用いられるカチオン性基含有セルロースエーテル(A)(以下、「CCE(A)」ともいう)は、下記一般式(1)で表されるアンヒドログルコース由来の主鎖を有し、該アンヒドログルコース単位あたりのカチオン化オキシアルキレン基の置換度が0.01以上1.0以下であり、グリセロール基の置換度が0.5以上5.0以下であり、かつ下記一般式(6)〜(8)で表される、炭素数3以上18以下の炭化水素基を含有する基の置換度が0.0001以上0.3以下である。
Figure 2014131991
一般式(1)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、下記一般式(2)〜(8)から選ばれる1種以上の構造単位からなる置換基、又は水素原子を示す。nはアンヒドログルコース由来の主鎖の平均重合度を示し、100以上12000以下の数である。
Figure 2014131991
式中、式(2)又は(3)で表される構造単位はカチオン化オキシアルキレン基を示し、式(4)又は(5)で表される構造単位はグリセロール基を示し、式(6)〜(8)で表される構造単位は炭素数3以上18以下の炭化水素基を含有する基を示す。R4〜R9は、それぞれ独立に炭素数1以上3以下の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、X-及びY-はアニオンを示し、r及びsは0以上3以下の整数である。R10、R11は、それぞれ独立に炭素数1以上16以下の直鎖又は分岐のアルキル基、又は炭素数2以上16以下の直鎖又は分岐のアルケニル基を示す。R12は炭素数3以上18以下の、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、又はアリール基を示し、pは0又は1の整数を示す。式(2)〜(7)で表される構造単位において、酸素原子は、水素原子又は前記構造単位の炭素原子と結合している。
<置換基R1、R2及びR3
前記一般式(1)において、置換基R1が、式(2)〜(8)から選ばれる1種以上の構造単位からなる置換基である場合、置換基R1は、式(2)〜(8)から選ばれる複数の構造単位からなる置換基であってもよいし、式(2)〜(8)から選ばれるただ1つの構造単位の酸素原子に、水素原子が結合した置換基であってもよい。
また、置換基R1が、式(2)〜(7)から選ばれる複数の構造単位からなる置換基である場合、構造単位同士は、一方の構造単位の酸素原子と他方の構造単位の炭素原子とで結合しており、他の構造単位の炭素原子と結合していない酸素原子、例えば置換基の末端に位置する酸素原子は、水素原子と結合している。
また、構造単位の組み合わせに特に限定はなく、式(2)〜(8)から選ばれる1種の構造単位が複数結合していてもよいし、式(2)〜(8)から選ばれる2〜7種の構造単位が結合していてもよい。一般式(1)中、R1が前記カチオン化オキシアルキレン基、前記グリセロール基、及び前記炭素数3以上18以下の炭化水素基を含有する基から選ばれる2種以上の基を有する置換基である場合、結合様式は、ブロック結合、ランダム結合、又は交互結合のいずれであってもよいが、製造の容易さの観点から、ブロック結合であることが好ましい。
置換基R1が式(2)〜(8)から選ばれる1種以上の構造単位からなる置換基である場合、その末端の炭素原子は、アンヒドログルコース由来の主鎖の水酸基の酸素原子に結合している。
なお、置換基R1が式(2)〜(8)から選ばれる1種以上の構造単位からなる置換基である場合、該置換基は本発明の効果を損なわない範囲であれば、式(2)〜(8)の構造単位以外の構造単位を含んでいてもよい。
置換基R2が式(2)〜(8)から選ばれる1種以上の構造単位からなる置換基である場合の該置換基の態様は、前述の置換基R1が式(2)〜(8)から選ばれる1種以上の構造単位からなる置換基である場合の態様と同様である。
置換基R3が式(2)〜(8)から選ばれる1種以上の構造単位からなる置換基である場合の該置換基の態様は、前述の置換基R1が式(2)〜(8)から選ばれる1種以上の構造単位からなる置換基である場合の態様と同様である。
置換基R1、R2、及びR3はそれぞれ独立であり、互いに同一でもよく異なってもいてもよい。
<式(2)又は(3)で表されるカチオン化オキシアルキレン基>
前記式(2)及び(3)において、R4〜R9は、それぞれ独立に炭素数1以上3以下の直鎖又は分岐のアルキル基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。これらの中では、反応剤の入手性の観点から、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
前記式(2)及び(3)において、X-及びY-は、4級アンモニウムイオンの対イオンであるアニオンを示す。X-及びY-はアニオンであれば特に限定されず、具体例としては炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、炭素数1以上3以下の脂肪酸イオン、及びハロゲン化物イオン等から選ばれる1種以上等が挙げられる。
これらの中では、製造の容易さの観点から、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオン、硫酸イオン及びハロゲン化物イオンから選ばれる1種以上が好ましく、ハロゲン化物イオンがより好ましい。ハロゲン化物イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオンから選ばれる1種以上が挙げられるが、CCE(A)の水溶性及び化学的安定性の観点から、塩化物イオン及び臭化物イオンから選ばれる1種以上が好ましく、塩化物イオンがより好ましい。
r及びsは0以上3以下の整数を示す。原料の入手の容易さの観点から、r及びsは1であることが好ましい。
<炭素数3以上18以下の炭化水素基を含有する基>
本発明において、炭素数3以上18以下の炭化水素基を含有する基とは、前記一般式(6)〜(8)で表される構造単位をいう。本発明に用いられるCCE(A)が該構造単位を有することで、塗布した時の存在感、すすぎ時の柔らかさ、すすぎ時のすべり性、乾燥後のコート感を付与することができる。
上記の観点から、炭素数3以上18以下の炭化水素基の炭素数は、好ましくは3以上7以下であり、より好ましくは3以上6以下であり、更に好ましくは3以上4以下である。
前記式(6)及び(7)において、R10、R11は、それぞれ独立に炭素数1以上16以下の直鎖又は分岐のアルキル基、又は炭素数2以上16以下の直鎖又は分岐のアルケニル基であり、よって、前記式(6)及び(7)は、炭素数3以上18以下の炭化水素基を含有している。R10、R11の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−へキセニル基、2−へキセニル基、1−ヘプテニル基、2−ヘプテニル基、オクテニル基等が挙げられる。これらの中では、CCE(A)の水溶性、及び毛髪用コンディショニング剤に用いた際の、塗布した時の存在感、すすぎ時の柔らかさ、すすぎ時のすべり性、乾燥後のコート感を付与する観点から、R10、R11は、炭素数1以上14以下のアルキル基又は炭素数2以上14以下のアルケニル基が好ましく、炭素数1以上10以下のアルキル基又は炭素数2以上10以下のアルケニル基がより好ましく、炭素数1以上7以下のアルキル基又は炭素数2以上7以下のアルケニル基が更に好ましく、炭素数1以上5以下のアルキル基又は炭素数2以上5以下のアルケニル基が更に好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基又は炭素数2以上4以下のアルケニル基がより更に好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基がより更に好ましく、メチル基又はエチル基がより更に好ましく、エチル基がより更に好ましい。
また、前記式(8)において、R12は炭素数3以上18以下の、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、又はアリール基であり、その具体例としては、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、ステアリル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−へキセニル基、2−へキセニル基、1−ヘプテニル基、2−ヘプテニル基、オクテニル基、フェニル基、メチルフェニル基、及びベンジル基等が挙げられる。これらの中では、CCE(A)の水溶性、及び毛髪用コンディショニング剤に用いた際の、塗布した時の存在感、すすぎ時の柔らかさ、すすぎ時のすべり性、乾燥後のコート感を付与する観点から、好ましくは炭素数3以上14以下、より好ましくは炭素数3以上12以下、更に好ましくは炭素数3以上10以下、更に好ましくは炭素数3以上8以下、更に好ましくは炭素数3以上7以下、更により好ましくは炭素数3以上6以下の、アルキル基、アルケニル基、及びフェニル基から選ばれる1種以上が好ましく、炭素数3以上6以下の、アルキル基及びアルケニル基から選ばれる1種以上がより好ましく、炭素数3以上6以下のアルキル基が更に好ましい。
<カチオン化オキシアルキレン基の置換度>
本発明において、カチオン化オキシアルキレン基の置換度(以下、「MS(N+)」ともいう)とは、CCE(A)の分子中に存在するカチオン化オキシアルキレン基の数の、主鎖を構成するアンヒドログルコース単位1つあたりに対する平均値をいう。MS(N+)は、後述の実施例に記載の方法により測定され、算出される。
本発明に用いられるCCE(A)におけるMS(N+)は0.01以上1.0以下である。MS(N+)がこの範囲であれば、毛髪用コンディショニング剤に用いた際の、塗布した時の存在感、すすぎ時の柔らかさ、すすぎ時のすべり性、乾燥後のコート感を十分に得ることができる。この観点から、MS(N+)は好ましくは0.04以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.10以上、更に好ましくは0.17以上、更に好ましくは0.18以上である。また、上記観点及び本発明のCCE(A)の製造コストの観点から、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.6以下、更に好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.22以下である。
また、これらの観点から、MS(N+)は好ましくは0.05〜0.9の範囲、より好ましくは0.04〜0.6の範囲、更に好ましくは0.1〜0.5の範囲、更に好ましくは0.10〜0.3の範囲、更に好ましくは0.17〜0.3の範囲、更に好ましくは0.18〜0.22の範囲である。
<グリセロール基の置換度>
本発明においてグリセロール基の置換度(以下、「MS(Gly)」ともいう)とは、CCE(A)分子中に存在するグリセロール基の数の、主鎖を構成するアンヒドログルコース単位1つあたりに対する平均値をいう。MS(Gly)は、後述の実施例に記載の方法により測定され、算出される。
本発明に用いられるCCE(A)のMS(Gly)は0.5以上5.0以下である。MS(Gly)がこの範囲であれば、塗布した時の存在感、すすぎ時の柔らかさ、すすぎ時のすべり性、乾燥後のコート感を十分に得ることができる。また、MS(Gly)がこの範囲であれば、CCE(A)のコンディショニング剤組成物への溶解性が高いため、配合が容易である。これらの観点から、MS(Gly)は好ましくは0.8以上、より好ましくは1.0以上、更に好ましくは1.8以上、更に好ましくは2.0以上、更に好ましくは2.1以上である。上記観点及びCCE(A)の製造コストの観点から、MS(Gly)は好ましくは4.0以下、より好ましくは3.8以下、更に好ましくは3.5以下、更に好ましくは3.0以下、更に好ましくは2.5以下、更に好ましくは2.3以下である。
また、これらの観点からMS(Gly)は好ましくは0.5〜4.0の範囲、より好ましくは0.8〜3.8の範囲、更に好ましくは2.0〜3.8の範囲、より更に好ましくは2.1〜2.3の範囲である。
<炭素数3以上18以下の炭化水素を含有する基の置換度>
本発明において、炭素数3以上18以下の炭化水素を含有する基の置換度(以下、「MS(HC)」ともいう)とは、CCE(A)分子中に存在する、前記式(6)〜(8)で表される炭素数3以上18以下の炭化水素を含有する基の数の、主鎖を構成するアンヒドログルコース単位1つあたりに対する平均値をいう。MS(HC)は、後述の実施例に記載の方法により測定され、算出される。
本発明に用いられるCCE(A)のMS(HC)は0.0001以上0.3以下である。MS(HC)がこの範囲であれば、塗布した時の存在感、すすぎ時の柔らかさ、すすぎ時のすべり性、乾燥後のコート感を十分に得ることができる。これらの観点から、MS(HC)は好ましくは0.0005以上、より好ましくは0.001以上であり、更に好ましくは0.005以上、更に好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.02以上、更に好ましくは0.03以上である。上記観点及びCCE(A)の製造コストの観点から、MS(HC)は好ましくは0.25以下、より好ましくは0.20以下、更に好ましくは0.15以下、更に好ましくは0.10以下、更に好ましくは0.08以下、更に好ましくは0.06以下、更に好ましくは0.04以下である。
また、これらの観点、及びCCE(A)の製造コストの観点から、MS(HC)は好ましくは0.0005〜0.25の範囲、より好ましくは0.0005〜0.20の範囲、更に好ましくは0.001〜0.15の範囲、より好ましくは0.005〜0.15の範囲、更に好ましくは0.01〜0.10の範囲、更に好ましくは0.01〜0.08の範囲、より好ましくは0.02〜0.06の範囲、更に好ましくは0.02〜0.04の範囲である。
<カチオン電荷密度>
本発明に用いられるCCE(A)は、塗布した時の存在感、すすぎ時の柔らかさ、すすぎ時のすべり性、乾燥後のコート感を得る観点から、カチオン電荷密度が好ましくは0.05mmol/g以上、より好ましくは0.15mmol/g以上、更に好ましくは0.2mmol/g以上、0.3mmol/g以上がより更に好ましい。上記観点から、カチオン電荷密度は好ましくは2.0mmol/g以下、より好ましくは1.5mmol/g以下、更に好ましくは1.2mmol/g以下、より更に好ましくは0.9mmol/g以下である。また、上記観点から、CCE(A)のカチオン電荷密度は好ましくは0.05〜2.0mmol/g、より好ましくは0.15〜1.5mmol/g、更に好ましくは0.2〜1.2mmol/gであり、より更に好ましくは0.3〜0.9mmol/gである。
本発明において、カチオン電荷密度とは、CCE(A)1gあたりに含まれる、カチオン性基のモル数をいい、下記計算式より算出される。
カチオン電荷密度(mmol/g)=MS(N+)/(74.1×MS(Gly)+a×MS(HC)+b×MS(N+)+162.1)×1000
(式中、aは炭化水素基を含有する基の分子量を示し、bはカチオン化オキシアルキレン基の分子量を示す。)
なお、前記CCE(A)のカチオン電荷密度は、コロイド滴定法によっても測定することができる。
CCE(A)は、塗布した時の存在感、すすぎ時の柔らかさ、すすぎ時のすべり性、乾燥後のコート感を得る観点から、好ましくはMS(N+)が0.04以上0.6以下であり、MS(Gly)が0.5以上4.0以下であり、かつMS(HC)が0.01以上0.10以下のCCE、より好ましくはMS(N+)が0.17以上0.6以下であり、MS(Gly)が0.8以上3.8以下であり、かつMS(HC)が0.02以上0.06以下のCCE、更に好ましくはMS(N+)が0.17以上0.3以下であり、MS(Gly)が2.0以上3.8以下であり、かつMS(HC)が0.02以上0.06以下のCCE、より更に好ましくはMS(N+)が0.18以上0.22以下であり、MS(Gly)が2.1以上2.3以下であり、かつMS(HC)が0.02以上0.04以下のCCE、である。
<CCE(A)の平均重合度>
本発明に用いられるCCE(A)において、アンヒドログルコース由来の主鎖の平均重合度nとは、実施例に記載の銅−アンモニア法により測定される粘度平均重合度をいう。なお、窒素等の不活性ガス中でエーテル化反応を行うとセルロースの解重合は進行せず、原料セルロースとCCE(A)の平均重合度を同等とみなすことができる。本発明においては、CCEの原料であるセルロースの平均重合度をCCEの平均重合度nであるとみなす。また本発明においては、セルロースの平均重合度とは、セルロースの粘度平均重合度のことをいい、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。 平均重合度nはCCE(A)の原料となるセルロースの平均重合度や、CCE(A)の製造方法によって異なるが、100以上12000以下であれば、本発明の効果が得られる。
前記平均重合度nは、本発明の効果を付与する観点から、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、更に好ましくは1000以上である。また、上記観点、並びにCCE(A)及びコンディショニング剤組成物のハンドリング性向上の観点から、前記平均重合度nは好ましくは10000以下、より好ましくは5000以下、更に好ましくは2500以下である。
また、これらの観点から、前記平均重合度nは、好ましくは200〜10000の範囲、より好ましくは500〜5000の範囲、更に好ましくは1000〜2500の範囲である。
<CCE(A)の1質量%水溶液粘度>
本発明に用いられるCCE(A)は、本発明の効果及び安定性向上の観点から、CCE(A)の1質量%水溶液粘度は、25℃において、好ましくは10mPa・s以上、より好ましくは30mPa・s以上、更に好ましくは50mPa・s以上、より更に好ましくは100mPa・s以上である。また、上記観点、並びにCCE(A)及びコンディショニング剤組成物のハンドリング性向上の観点から、好ましくは10000mPa・s以下、より好ましくは5000mPa・s以下、更に好ましくは3000mPa・s以下、より更に好ましくは2500mPa・s以下である。
また、これらの観点から、CCE(A)の1質量%水溶液粘度は、25℃において、好ましくは10〜10000mPa・sの範囲、より好ましくは30〜5000mPa・sの範囲、更に好ましくは50〜3000mPa・sの範囲、より更に好ましくは100〜2500mPa・sの範囲である。なお、CCE(A)の水溶液粘度は実施例に記載の方法で測定される。
(CCE(A)の製造)
本発明に用いられるCCE(A)は、セルロースを、当該CCE(A)のカチオン化オキシアルキレン基に対応するカチオン化剤(以下、単に「カチオン化剤」ともいう)、グリセロール化剤、及び炭素数3以上18以下の炭化水素基を含有する基(以下、単に「炭化水素基含有基」ともいう)の導入剤と反応させることにより製造できる。ここで、カチオン化反応、グリセロール化反応、及び炭化水素基含有基の導入反応の順序は特に限定されず、いずれを先に行ってもよく、同時に行ってもよく、任意の順序で繰り返し行ってもよい。カチオン化オキシアルキレン基、または、炭化水素基含有基のセルロースへの導入を先に行った場合、グリセロール化剤基準のグリセロール化反応の収率は低下しやすいため、最初にグリセロール化反応を行い、その後にカチオン化反応及び炭化水素基含有基の導入反応を行うことが好ましい。
一般にセルロースは高い結晶性を持つため、反応性に乏しい。よって、反応前にその結晶性を低下させ、反応性を改善させる処理を行うことが好ましい。そのようなCCE(A)の製造方法としては、例えば、以下の方法(i)〜(iii)を挙げることができる。
方法(i):一般にアルセル化又はマーセル化と呼ばれる活性化方法、すなわち、原料セルロースと大量の水、及び大過剰のアルカリ金属水酸化物を混合して、アルカリセルロースを得た後、グリセロール化剤、カチオン化剤、及び炭化水素基含有基の導入剤と反応させる方法。
方法(ii):セルロースを、例えば、テトラブチルアンモニウムフルオリドを含むジメチルスルホキシド、パラホルムアルデヒドを含むジメチルスルホキシド、塩化リチウムを含むジメチルアセトアミド等の溶媒、「セルロースの事典、編者:セルロース学会、発行所:株式会社朝倉書店」、Macromol.Chem.Phys.201,627−631(2000)等に記載されるセルロースの溶解が可能な溶媒を用い、原料セルロースを溶解させ、その後原料セルロースとグリセロール化剤、カチオン化剤、及び炭化水素基含有基の導入剤を反応させる方法。
方法(iii):前記(i)や(ii)の方法のように、過剰のアルカリやセルロースを溶解可能な特殊な溶媒を用いず、粉末状、又は綿状の原料セルロースとグリセロール化剤、カチオン化剤、及び炭化水素基含有基の導入剤をアルカリ共存下に反応させる方法。
以下、CCE(A)の製造原料に用いられるセルロース、グリセロール化剤、カチオン化剤、及び炭化水素基含有基の導入剤について詳細を述べる。
<原料セルロース>
CCE(A)の原料に用いられるセルロース(以下、「原料セルロース」ともいう)の種類に特に制限はないが、セルロース純度、重合度、及び入手の容易さの観点から、各種木材チップ;木材から製造されるウッドパルプ、綿の種子の周囲の繊維から得られるコットンリンターパルプ等のパルプ類が好ましい。
原料セルロースの平均重合度は、塗布した時の存在感、すすぎ時の柔らかさ、すすぎ時のすべり性、乾燥後のコート感を得る観点から、好ましくは100以上、より好ましくは200以上、更に好ましくは500以上、より更に好ましくは1000以上である。また、上記観点、並びにCCE(A)及び界面活性剤のハンドリング性向上の観点から、好ましくは12000以下、より好ましくは10000以下、更に好ましくは5000以下、より更に好ましくは2500以下である。
また、これらの観点から、原料セルロースの平均重合度は、好ましくは100〜12000の範囲、より好ましくは200〜10000の範囲、更に好ましくは500〜5000の範囲、より更に好ましくは1000〜2500の範囲である。
原料セルロースの平均重合度とは、実施例に記載の銅−アンモニア法等により測定される粘度平均重合度をいう。
原料セルロースの形状は、製造装置内への導入に支障がない限り特に限定されないが、操作上の観点から、シート状、ペレット状又はチップ状や、綿状、粉末状であることが好ましく、チップ状、綿状又は粉末状がより好ましく、綿状又は粉末状が更に好ましい。チップ状セルロースは、例えば原料セルロースを、裁断処理することで得ることができる。綿状又は粉末状セルロースは、例えば原料セルロース又は裁断処理を行った原料セルロースを、必要に応じて乾燥処理を行った後、粉砕処理することで得ることができる。
〔裁断処理〕
原料セルロースの種類や形状によっては、粉砕処理の前処理として裁断処理を行うことが好ましい。原料セルロースを裁断する方法は、原料セルロースの種類や形状により適宜の方法を選択することができるが、例えば、シュレッダー、スリッターカッター及びロータリーカッターから選ばれる1種以上の裁断機を使用する方法が挙げられる。
シート状の原料セルロースを用いる場合、裁断機としてシュレッダー又はスリッターカッターを使用することが好ましく、生産性の観点から、スリッターカッターを使用することがより好ましい。
スリッターカッターは、シートの長手方向に沿った縦方向にロールカッターで縦切りして、細長い短冊状とし、次に、固定刃と回転刃でシートの幅方向に沿って短く横切りする裁断機であって、スリッターカッターを用いることにより、原料セルロースの形状をさいの目形状にすることができる。スリッターカッターとしては、株式会社ホーライ社製のシートペレタイザを好ましく使用でき、この装置を使用すると、シート状の原料セルロースを約1〜20mm角に裁断することができる。
間伐材、剪定枝材、建築廃材等の木材類、あるいはシート状以外の原料セルロースを裁断する場合には、ロータリーカッターを使用することが好ましい。ロータリーカッターは、回転刃とスクリーンから構成され、ロータリーカッターを用いることにより、回転刃によりスクリーンの目開き以下の大きさに裁断された原料セルロースを容易に得ることができる。なお、必要に応じて固定刃を設け、回転刃と固定刃により裁断することもできる。
ロータリーカッターを使用する場合、得られる粗粉砕物の大きさは、スクリーンの目開きを変えることにより、制御することができる。スクリーンの目開きは、1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましく、3mm以上が更に好ましく、また、70mm以下が好ましく、50mm以下がより好ましく、40mm以下が更に好ましい。スクリーンの目開きが1mm以上であれば、適度な嵩高さを有する粗粉砕物が得られ取り扱い性が向上する。スクリーンの目開きが70mm以下であれば、後の粉砕処理において、粉砕原料として適度な大きさを有するために、負荷を低減することができる。
裁断処理後に得られる原料セルロースの大きさとしては、好ましくは1mm角以上、より好ましくは2mm角以上であり、好ましくは70mm角以下、より好ましくは50mm角以下である。1mm角以上70mm角以下に裁断することにより、後の粉砕処理における粉砕に要する負荷を軽減することができ、また後述する乾燥処理を効率良く容易に行うことができる。
〔乾燥処理〕
原料セルロースを粉砕処理する際の水分含量は、少ない方が好ましい。粉砕処理時の水分含量の下限は、原料セルロースに対して0質量%であるが、生産性の観点から、該水分含量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上である。また、原料セルロースの粉砕効率の観点から、該水分含量は好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。また、上記観点から、粉砕処理時の水分含量は好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜7質量%、更に好ましくは0.1〜6質量%である。
一般に、市販のパルプ類、バイオマス資源として利用される紙類、木材類、植物茎・葉類、植物殻類等の原料セルロースは、5質量%を超える水分を含有しており、通常5〜30質量%程度の水分を含有している。したがって、原料セルロース、好ましくは裁断処理後に得られる原料セルロースの乾燥処理を行うことによって、原料セルロースの水分含量を調整することが好ましい。
乾燥方法としては、公知の乾燥手段を適宜選択すればよく、例えば、熱風受熱乾燥法、伝導受熱乾燥法、除湿空気乾燥法、冷風乾燥法、マイクロ波乾燥法、赤外線乾燥法、天日乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法等が挙げられる。
上記の乾燥方法において、公知の乾燥機を適宜選択して使用することができ、例えば、「粉体工学概論」(社団法人日本粉体工業技術会編集 粉体工学情報センター1995年発行) 176頁に記載の乾燥機等が挙げられる。
これらの乾燥方法及び乾燥機は1種でも又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。乾燥処理はバッチ処理、連続処理のいずれでも可能であるが、生産性の観点から連続処理が望ましい。
連続乾燥機としては、伝熱効率の観点から伝導受熱型の横型攪拌乾燥機が好ましい。さらに、微粉が発生しにくく、連続排出の安定性の観点から2軸の横型攪拌乾燥機が好ましい。2軸の横型攪拌乾燥機としては、株式会社奈良機械製作所製の2軸パドルドライヤーを好ましく使用できる。
乾燥処理における温度は、乾燥手段、乾燥時間等により一概には決定できないが、好ましくは10℃以上、より好ましくは25℃以上、更に好ましくは50℃以上であり、また、好ましくは250℃以下、より好ましくは180℃以下、更に好ましくは150℃以下である。処理時間としては好ましくは0.01時間以上、より好ましくは0.02時間以上であり、また、好ましくは48時間以下、より好ましくは24時間以下である。必要に応じて減圧下で乾燥処理を行ってもよく、圧力としては、好ましくは1kPa以上、より好ましくは50kPa以上であり、また、好ましくは120kPa以下、より好ましくは105kPa以下である。
〔粉砕処理〕
粉砕処理で用いられる粉砕機に特に制限はなく、原料セルロースを粉末化又は綿状化できる装置であればよい。
粉砕機の具体例としては、高圧圧縮ロールミルや、ロール回転ミル等のロールミル、リングローラーミル、ローラーレースミル又はボールレースミル等の竪型ローラーミル、転動ボールミル、振動ボールミル、振動ロッドミル、振動チューブミル、遊星ボールミル又は遠心流動化ミル等の容器駆動媒体ミル、塔式粉砕機、攪拌槽式ミル、流通槽式ミル又はアニュラー式ミル等の媒体攪拌式ミル、高速遠心ローラーミルやオングミル等の圧密せん断ミル、乳鉢、石臼、マスコロイダー、フレットミル、エッジランナーミル、ナイフミル、ピンミル、カッターミル等が挙げられる。
これらの中では、セルロースの粉砕効率、生産性、及び後のグリセロール化等の導入剤の効率の観点から、容器駆動式媒体ミル又は媒体攪拌式ミルが好ましく、容器駆動式媒体ミルがより好ましく、振動ボールミル、振動ロッドミル又は振動チューブミル等の振動ミルが更に好ましく、振動ロッドミルがより更に好ましい。粉砕方法としては、バッチ式、連続式のどちらでもよい。
粉砕処理に用いる装置の材質、媒体の材質に特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレス、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、チッ化珪素、ガラス等が挙げられるが、原料セルロースの粉砕効率の観点から、鉄、ステンレス、ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素が好ましく、更に工業的な利用の観点から、特に鉄又はステンレスが好ましい。
原料セルロースの粉砕効率の観点から、用いる装置が振動ミルであって、媒体がロッドの場合には、ロッドの外径は、粉砕効率の観点から好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上、更に好ましくは10mm以上、更に好ましくは20mm以上であり、上記観点から、好ましくは100mm以下、より好ましくは50mm以下である。
ロッドの充填率は、振動ミルの機種により好適な範囲が異なるが、セルロースの粉砕効率、及び生産性の観点から、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、更に好ましくは50%以上であり、また、好ましくは97%以下、より好ましくは95%以下である。また、上記観点から、ロッドの充填率は、好ましくは10〜97%、より好ましくは15〜97%、更に好ましくは50〜95%である。
充填率がこの範囲内であれば、セルロースとロッドとの接触頻度が向上するとともに、媒体の動きを妨げずに、粉砕効率を向上させることができる。ここで充填率とは、振動ミルの攪拌部の容積に対するロッドの見かけの体積をいう。
粉砕処理時の温度に特に限定はないが、セルロースの分解抑制の観点、及び操作コストの観点から、好ましくは−100℃以上、より好ましくは0℃以上、更に好ましくは10℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは100℃以下、更に好ましくは70℃以下である。また、上記観点から、粉砕処理時の温度は、好ましくはー100〜200℃、より好ましくは0〜100℃、更に好ましくは10〜70℃である。
粉砕処理の時間は、原料セルロースが粉末化又は綿状化されるよう、適宜調整すればよい。粉砕処理の時間は、用いる粉砕機や使用するエネルギー量等によって変わるが、通常10秒間以上12時間以下である。原料セルロースを十分に粉末化又は綿状化させる観点から、粉砕処理時間は好ましくは15秒間以上、より好ましくは20秒間以上であり、生産性の観点から、好ましくは3時間以下、より好ましくは1時間以下、更に好ましくは20分間以下である。また、上記観点から、粉砕処理時間は好ましくは15秒間〜3時間、より好ましくは15秒間〜1時間、更に好ましくは20秒間〜20分間である。
<グリセロール化剤>
CCE(A)の製造に用いられるグリセロール化剤としては、グリシドール;3−クロロ−1,2−プロパンジオール、3−ブロモ−1,2−プロパンジオール等の3−ハロ−1,2−プロパンジオール;グリセリン;グリセリンカーボネートから選ばれる1種以上等が挙げられる。これらの中では、塩が副生しないこと、及び反応性の観点から、グリシドールが好ましい。
これらのグリセロール化剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
使用するグリセロール化剤の量は、所望するMS(Gly)を考慮して適宜選択すればよいが、CCE(A)の水溶性の観点及び本発明の効果の観点から、原料セルロースのアンヒドログルコース単位(以下、「AGU」ともいう)1モルに対し、好ましくは0.2モル以上、より好ましくは1モル以上、更に好ましくは3モル以上、より更に好ましくは5モル以上であり、上記観点及びCCE(A)の製造コストの観点から、好ましくは60モル以下、より好ましくは50モル以下、更に好ましくは45モル以下、より更に好ましくは40モル以下である。また、これらの観点から、使用するグリセロール化剤の量は、原料セルロースのAGU1モルに対し、好ましくは0.2〜60モル、より好ましくは1〜50モル、更に好ましくは3〜45モル、より更に好ましくは5〜40モルである。
グリセロール化剤の添加方法は、一括、間欠、連続のいずれでもよいが、原料セルロースへのグリセロール化剤の反応収率を高める観点から、連続添加が好ましい。
<カチオン化剤>
CCEの製造に用いられるカチオン化剤としては、下記一般式(9)又は(10)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2014131991
一般式(9)及び(10)中、R13〜R18及びその好ましい態様は、前記一般式(2)及び(3)のR4〜R9と同様である。t、u及びその好ましい態様は、前記一般式(2)のr、及び前記一般式(3)のsと同様である。Q-、W-及びその好ましい態様は、前記一般式(2)のX-、及び前記一般式(3)のY-と同様である。Zはハロゲン原子を示す。R13〜R18は互いに同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(9)又は(10)で表される化合物の具体例としては、グリシジルトリメチルアンモニウム、グリシジルトリエチルアンモニウム、グリシジルトリプロピルアンモニウムのそれぞれ塩化物、臭化物又はヨウ化物や、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリエチルアンモニウム、又は3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリプロピルアンモニウムのそれぞれ塩化物、3−ブロモ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム、3−ブロモ−2−ヒドロキシプロピルトリエチルアンモニウム、又は3−ブロモ−2−ヒドロキシプロピルトリプロピルアンモニウムのそれぞれ臭化物や、3−ヨード−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム、3−ヨード−2−ヒドロキシプロピルトリエチルアンモニウム、又は3−ヨード−2−ヒドロキシプロピルトリプロピルアンモニウムのそれぞれヨウ化物が挙げられる。
これらの中では、原料の入手の容易性及び化学的安定性の観点から、グリシジルトリメチルアンモニウム又はグリシジルトリエチルアンモニウムの塩化物又は臭化物;3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム又は3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリエチルアンモニウムの塩化物;3−ブロモ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム又は3−ブロモ−2−ヒドロキシプロピルトリエチルアンモニウムの臭化物から選ばれる1種以上が好ましく、グリシジルトリメチルアンモニウムクロライド及び3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドから選ばれる1種以上がより好ましく、グリシジルトリメチルアンモニウムクロライドが更に好ましい。
これらのカチオン化剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
使用するカチオン化剤の量は、所望するMS(N+)と反応収率とを考慮して適宜選択すればよいが、CCE(A)の水溶性の観点及び本発明の効果の観点から、原料セルロースのAGU1モルに対し、好ましくは0.01モル以上、より好ましくは0.03モル以上、更に好ましくは0.05モル以上であり、上記観点及びCCE(A)の製造コストの観点から、好ましくは25モル以下、より好ましくは10モル以下、更に好ましくは8モル以下、より更に好ましくは5モル以下である。また、使用するカチオン化剤の量は、これらの観点から、好ましくは0.01〜25モルであり、より好ましくは0.01〜10モル、更に好ましくは0.03〜8モル、より更に好ましくは0.05〜5モルである。カチオン化剤の添加方法は一括、間欠、連続のいずれでもよい。
<炭化水素基含有基の導入剤>
CCE(A)の製造に用いられる炭化水素基含有基の導入剤としては、前記一般式(6)〜(8)で表される構造単位を導入できるものであればよい。
前記一般式(6)又は(7)で表される構造単位を導入しうる導入剤としては、下記一般式(11)又は(12)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2014131991
一般式(11)及び(12)中、R19、R20及びその好ましい態様は、前記一般式(6)のR10及び前記一般式(7)のR11と同様である。Aはハロゲン原子を示す。
前記一般式(11)で表される化合物の具体例としては、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシへキサン、1,2−エポキシへプタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2-エポキシウンデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシトリデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシペンタデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシヘプタデカン、又は1,2−エポキシオクタデカン等が挙げられる。
前記一般式(12)で表される化合物の具体例としては、1−クロロ−2−プロパノール、1−クロロ−2−ブタノール、1−ブロモ−2−ブタノール、1−クロロ−2−ペンタノール、1−クロロ−2−ヘキサノール、1−クロロ−2−ヘプタノール、1−クロロ−2−オクタノール、1−クロロ−2−ノナノール、1−クロロ−2−デカノール、1−クロロ−2−ウンデカノール、1−クロロ−2−ドデカノール、1−クロロ−2−トリデカノール、1−クロロ−2−テトラデカノール、1−クロロ−2−ペンタデカノール、1−クロロ−2−ヘキサデカノール、1−クロロ−2−ヘプタデカノール、1−クロロ−2−オクタデカノール等の炭素数3以上18以下の1−ハロ−2−アルカノールが挙げられる。
これらの中では、反応時に塩の副生がない点、原料の入手の容易性及び化学的安定性の観点から、前記一般式(11)で表される化合物が好ましく、CCE(A)の水溶性、塗布した時の存在感、すすぎ時の柔らかさ、すすぎ時のすべり性、乾燥後のコート感を得る観点から、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,2−エポキシペンタン及び1,2−エポキシへキサンから選ばれる1種以上が好ましく、プロピレンオキサイド及び1,2−ブチレンオキサイドから選ばれる1種以上がより好ましく、1,2−ブチレンオキサイドが更に好ましい。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記一般式(8)で表される構造単位を導入しうる導入剤としては、下記一般式(13)〜(15)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2014131991
一般式(13)〜(15)中、R21、R22、R23、R24及びその好ましい態様は、前記一般式(8)のR12と同様である。q及びその好ましい様態は、前記一般式(8)のpと同様である。Bはハロゲン原子を示す。一般式(15)において、R23及びR24は異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
なお、一般式(14)で表される化合物を用いると、前記一般式(4)又は(5)で表されるグリセロール基と、前記一般式(8)で表される構造単位(ただし、pは0である)とを同時に導入しうる。
前記一般式(13)で表される化合物の具体例としては、1−塩化プロパン、1−臭化プロパン、1−塩化ブタン、1−臭化ブタン、1−塩化ペンタン、1−臭化ペンタン、1−塩化ヘキサン、1−臭化ヘキサン、1−塩化ヘプタン、1−臭化ヘプタン、1−塩化オクタン、1−塩化デカン、1−塩化ドデカン、1−塩化テトラデカン、1−塩化ヘキサデカン、1−塩化オクタデカン、1−クロロ−3−ブテン、ベンジルクロリド等の炭素数3以上18以下のアルカン、アルケン又はアリールアルカンのハロゲン化物;ブタン酸塩化物、ヘキサン酸塩化物等の炭素数4以上19以下のカルボン酸ハロゲン化物等が挙げられる。これらの中では、炭素数3以上7以下のアルカンのハロゲン化物を用いることが好ましい。
また、前記一般式(14)で表される化合物の具体例としては、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、ヘプチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、及びステアリルグリシジルエーテル等の炭素数3以上18以下のアルキル基を有するグリシジルエーテル;炭素数3以上18以下のアルケニル基を有するグリシジルエーテル;フェニルグリシジルエーテル、トリルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル等が挙げられる。
また、前記一般式(15)で表される化合物の具体例としては、ブタン酸無水物、ヘキサン酸無水物、オクタン酸無水物、デカン酸無水物、ラウリン酸無水物、テトラデカン酸無水物、ステアリン酸無水物等の、炭素数3以上18以下のアルキル基を有するカルボン酸無水物等が挙げられる。
これらの中では、原料の入手の容易性及び化学的安定性の観点から、前記一般式(13)又は(14)で表される化合物が好ましく、CCE(A)の水溶性、及び本発明の効果の観点から、炭素数3以上18以下のアルカンのハロゲン化物及び炭素数3以上18以下のアルキル基を有するグリシジルエーテルから選ばれる1種以上が好ましく、炭素数3以上7以下のアルカンのハロゲン化物及び炭素数3以上7以下のアルキル基を有するグリシジルエーテルから選ばれる1種以上がより好ましく、炭素数3以上7以下のアルキル基を有するグリシジルエーテルが更に好ましい。具体的には、1−臭化へキサン、1−塩化オクタン、1−塩化ドデカン、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、及びステアリルグリシジルエーテルから選ばれる1種以上が好ましく、プロピルグリシジルエーテル及びブチルグリシジルエーテルから選ばれる1種以上がより好ましく、ブチルグリシジルエーテルが更に好ましい。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
使用する炭化水素基含有基の導入剤の量は、所望するMS(HC)と反応収率とを考慮して適宜選択すればよいが、CCE(A)の水溶性及び本発明の効果の観点から、原料セルロースのAGU1モルに対し、好ましくは0.01モル以上、より好ましくは0.03モル以上、更に好ましくは0.1モル以上であり、上記観点及びCCE(A)の製造コストの観点から、好ましくは5モル以下、より好ましくは3モル以下、更に好ましくは2モル以下である。また、これらの観点から、使用する炭化水素基含有基の導入剤の量は、原料セルロースのAGU1モルに対し、好ましくは0.01〜5モル、より好ましくは0.03〜3モル、更に好ましくは0.1〜2モルである。炭化水素基含有基の導入剤の添加方法は一括、間欠、連続のいずれでもよい。
<アルカリ化合物>
CCE(A)は、好ましくは上記粉砕処理を行って得られた粉末セルロース又は綿状セルロースと、前記のグリセロール化剤、カチオン化剤及び炭化水素基含有基の導入剤とを反応させて、グリセロール化反応、カチオン化反応及び炭化水素基含有基の導入反応を行うことにより得ることができる。
これらの反応は、いずれもアルカリ化合物共存下で行う。該反応で用いられるアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン類等が挙げられる。これらの中では、グリセロール化反応、カチオン化反応及び炭化水素基含有基の導入反応の反応速度の観点から、アルカリ金属水酸化物、又はアルカリ土類金属水酸化物が好ましく、アルカリ金属水酸化物がより好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが更に好ましい。これらのアルカリ化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルカリ化合物の添加方法に特に限定はなく、一括添加でも、分割添加でもよい。また、アルカリ化合物は固体状態で添加してもよく、水溶液としてから添加してもよい。
前記方法(i)の場合を除き、グリセロール化反応において用いられるアルカリ化合物の量は、アルカリ化合物がアルカリ金属水酸化物や分子中に1つの3級アミンを有する化合物などの1価の塩基化合物の場合は、セルロースの反応活性の向上、及びグリセロール化反応剤の反応選択性の観点から、原料セルロースのAGU1モルに対して、好ましくは0.2モル以上、より好ましくは0.7モル以上、更に好ましくは0.8モル以上であり、上記観点から、好ましくは2.0モル以下、より好ましくは1.3モル以下、更に好ましくは1.2モル以下である。
上記観点から、グリセロール化反応において用いられるアルカリ化合物の量は、原料セルロースのAGU1モルに対して、好ましくは0.2〜2.0モル、より好ましくは0.7〜1.3モル、更に好ましくは0.8〜1.2モルである。
前記方法(i)の場合を除き、カチオン化反応及び炭化水素含有基の導入反応を個別に行う場合に、それぞれの反応に用いられるアルカリ化合物の量は、アルカリ化合物が1価の塩基化合物の場合は、反応剤の反応選択性の観点から、原料セルロースのAGU1モルに対して、好ましくは0.01モル以上、より好ましくは0.05モル以上、更に好ましくは0.1モル以上であり、上記観点から、好ましくは1.0モル以下、より好ましくは0.8モル以下、更に好ましくは0.5モル以下である。また、上記観点から、カチオン化反応及び炭化水素含有基の導入反応においてそれぞれに用いられるアルカリ化合物の量は、アルカリ化合物が1価の塩基化合物の場合、原料セルロースのAGU1モルに対して、好ましくは0.01〜1.0モル、より好ましくは0.05〜0.8モル、更に好ましくは0.1〜0.5モルである。
なお、カチオン化反応及び炭化水素含有基の導入反応を同時に行う場合に用いられるアルカリ化合物の好ましい量も、上記カチオン化反応及び炭化水素含有基の導入反応においてそれぞれに用いられるアルカリ化合物の量と同じである。
グリセロール化反応、カチオン化反応、又は炭化水素基含有基の導入反応において用いられるアルカリ化合物がアルカリ土類金属水酸化物などの多価塩基である場合、用いられるアルカリ化合物の量の好ましい範囲は、上記それぞれの反応におけるアルカリ化合物の好ましい量の範囲を、該多価塩基価数で除した範囲である。例えば用いられるアルカリ化合物が水酸化カルシウム(2価の塩基)である場合、グリセロール化反応において用いられる水酸化カルシウムの量は、前記方法(i)の場合を除き、セルロースの反応活性の向上、及びグリセロール化反応剤の反応選択性の観点から、原料セルロースのAGU1モルに対して、好ましくは0.1モル以上、より好ましくは0.35モル以上、更に好ましくは0.4モル以上であり、上記観点から、好ましくは1.0モル以下、より好ましくは0.65モル以下、更に好ましくは0.6モル以下である。また、上記観点から、アルカリ化合物が多価塩基である場合、グリセロール化反応において用いられるアルカリ化合物の量は、原料セルロースのAGU1モルに対して、好ましくは0.1〜1.0モル、より好ましくは0.35〜0.65モル、更に好ましくは0.4〜0.6モルである。
CCE(A)は、好ましくは上記粉砕処理を行って得られた粉末セルロース又は綿状セルロースと、前記のグリセロール化剤、カチオン化剤及び炭化水素基含有基の導入剤とを反応させて、グリセロール化反応、カチオン化反応及び炭化水素基含有基の導入反応を行うことにより得ることができる。以下、グリセロール化反応、カチオン化反応及び炭化水素基含有基の導入反応を総称して、「CCE(A)製造時の反応」ともいう。
CCE(A)製造時の各反応において、グリセロール化剤、カチオン化剤及び炭化水素基含有基の導入剤の添加時の形態にも特に制限はない。グリセロール化剤、カチオン化剤及び炭化水素基含有基の導入剤が液体状態である場合はそのまま用いてもよいし、水や非水溶剤等のグリセロール化剤やカチオン化剤の良溶剤で希釈した形で用いてもよい。
希釈に用いる非水溶剤としては、一般的に使用されるイソプロパノール、tert−ブタノール等の2級又は3級の炭素数3以上4以下の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の炭素数3以上6以下のケトン;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル;ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤等が挙げられる。
CCE(A)製造時の各反応は、前記方法(ii)においては、反応時にセルロースの溶解が可能な溶媒を用い、原料セルロースを溶解させて反応を行うが、方法(i)及び(iii)においても、グリセロール化剤、カチオン化剤及び炭化水素基含有基の導入剤の反応収率の観点から、非水溶剤の存在下に行うこともできる。その非水溶剤としては、上記と同じ非水溶剤を用いることができる。
これらの非水溶剤の使用量は、非水溶剤の添加効果の観点から、原料セルロースに対し、好ましくは100質量%以上、より好ましくは1000質量%以上、更に好ましくは5000質量%以上であり、生産性及び反応収率の観点から、好ましくは100000質量%以下、より好ましくは50000質量%以下、更に好ましくは20000質量%以下である。また、上記観点から、非水溶剤の使用量は、原料セルロースに対し、好ましくは100〜100000質量%、より好ましくは1000〜50000質量%、更に好ましくは5000〜20000質量%である。
上記CCE(A)製造時の各反応に用いる装置としては、撹拌が可能なレディゲミキサー等のミキサーや、粉体、高粘度物質、樹脂等の混錬に用いられる、いわゆるニーダー等の混合機を挙げることができる。
CCE(A)製造時の各反応の反応時の温度は、反応速度の観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは20℃以上、更に好ましくは30℃以上である。また、グリセロール化剤、カチオン化剤、又は炭化水素基含有基の導入剤の分解抑制から、好ましくは200℃以下、より好ましくは100℃以下、更に好ましくは80℃以下である。また、上記観点から、反応時の温度は、好ましくは0〜200℃、より好ましくは20〜100℃、更に好ましくは30〜80℃である。
CCE(A)製造時の各反応の反応時間は、グリセロール化剤、カチオン化剤及び炭化水素基含有基の導入剤の反応速度等により適宜調整すればよい。反応時間は通常0.1時間以上72時間以下であり、反応収率及び生産性の観点から、好ましくは0.2時間以上、より好ましくは0.5時間以上、更に好ましくは1時間以上、より更に好ましくは3時間以上である。また、好ましくは36時間以下、より好ましくは18時間以下、更に好ましくは12時間以下、より更に好ましくは8時間以下である。また、上記観点から、反応時間は、好ましくは0.2〜36時間、より好ましくは0.5〜18時間、更に好ましくは1〜12時間、より更に好ましくは3〜8時間である。
なお、CCE(A)製造時の各反応は、着色、及びアンヒドログルコース由来の主鎖の分子量低下を抑制する観点から、必要に応じて窒素等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
反応終了後は、酸を用いてアルカリを中和することができる。グリセロール化反応、カチオン化反応及び炭化水素基含有基の導入反応を個別に行う際には、各反応間で中和を行うこともできるが、中和塩の生成を抑制する観点から、全ての反応の終了後に行うことが好ましい。酸としては、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、酢酸、乳酸等の有機酸を用いることができる。
CCE(A)製造時のすべての反応終了後に得られたCCE(A)は、必要に応じて、濾過等により分別したり、熱水、含水イソプロピルアルコール、含水アセトン溶媒等で洗浄して未反応のカチオン化剤、グリセロール化剤、炭化水素基含有基の導入剤、並びにこれらの反応剤由来の副生物、中和等により副生した塩類を除去したりしてから使用することもできる。その他、精製方法としては、再沈殿精製、遠心分離、透析等一般的な精製方法を用いることができる。
<CCE(A)の含有量>
本発明のコンディショニング剤組成物中におけるCCE(A)の含有量は、塗布した時の存在感、すすぎ時の柔らかさ、すすぎ時のすべり性、乾燥後のコート感を得る観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、より更に好ましくは0.2質量%以上、より更に好ましくは0.3質量%以上である。また、上記の観点及びコンディショニング剤組成物のハンドリング性の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以下である。また、これらの観点からは、コンディショニング剤組成物中のCCE(A)の含有量は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜5質量%、更に好ましくは0.1〜2質量%、より更に好ましくは0.2〜1質量%、より更に好ましくは0.3〜0.5質量%である。
(界面活性剤(B))
本発明のコンディショニング剤組成物は、塗布した時の存在感、すすぎ時の柔らかさ、すすぎ時のすべり性、乾燥後のコート感を得る観点から、非イオン性界面活性剤及び陽イオン性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤(B)を含有する。前記界面活性剤(B)としては、通常、医薬品、医薬部外品、化粧料、トイレタリー、雑貨等で用いられるものであればいずれも用いることができる。本発明の効果を得る観点から、前記(B)は、陽イオン性界面活性剤が好ましい。
<非イオン性界面活性剤>
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油等のポリエチレングリコール型非イオン性界面活性剤と、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド等の多価アルコール型非イオン性界面活性剤及び脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤は、本発明の効果を得る観点から、疎水性部位として炭素数8以上20以下のアルキル基又はアルケニル基を有することが好ましい。
これらの中では、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミド、及びアルキルグリコシドから選ばれる1種以上が好ましく、ラウリルグルコシド、デシルグルコシド等の炭素数8以上18以下、好ましくは炭素数8以上12以下のアルキルグルコシド、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(ラウレス−3)、ポリオキシエチレンセトステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、及びヤシ油脂肪酸N−メチルモノエタノールアミド等の脂肪酸モノアルカノールアミドから選ばれる1種以上がより好ましい。
<陽イオン性界面活性剤>
陽イオン性界面活性剤としては、アミド基、エステル基又はエーテル基で分断されていてもよい炭素数12以上28以下の炭化水素基を有する第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、又は3級アミンの鉱酸又は有機酸の塩が挙げられる。具体的には、セチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ベヘニルトリメチルアンモニウム塩、オクダデシロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩等のモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩や、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジイソテトラデシルジメチルアンモニウム塩等のジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩や、ステアリルジメチルアミン、ベヘニルジメチルアミン、オクタデシロキシプロピルジメチルアミン、ジメチルアミノプロピルステアリン酸アミドの塩酸、クエン酸、又は乳酸塩等のモノ長鎖アルキルジメチルアミン塩が挙げられる。
これらの中では、本発明の効果を得る観点から、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム等のモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩が好ましい。
また、本発明の効果を得る観点から、べヘニルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミンから選ばれる1種以上が好ましく、べヘニルトリメチルアンモニウム塩がより好ましい。
<界面活性剤(B)の含有量>
本発明のコンディショニング剤組成物中の界面活性剤(B)の含有量は、塗布した時の存在感、すすぎ時の柔らかさ、すすぎ時のすべり性、乾燥後のコート感を得る観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%以上、より更に好ましくは1質量%以上、より更に好ましくは1.5質量%以上であり、上記観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下である。また、上記観点から、界面活性剤(B)の含有量は、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、更に好ましくは0.2〜5質量%、より更に好ましくは0.5〜5質量%、より更に好ましくは1〜3質量%、より更に好ましくは1.5〜3質量%の範囲である。
(その他の界面活性剤)
本発明のコンディショニング剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記(B)以外の界面活性剤を含有することができる。前記(B)以外の界面活性剤としては、公知の両性界面活性剤や陰イオン性界面活性剤が挙げられる。本発明のコンディショニング剤組成物に前記(B)以外の界面活性剤として陰イオン性界面活性剤を用いる場合、本発明の効果を得る観点から、その含有量は0質量%以上5質量%以下が好ましく、0質量%以上3質量%以下がより好ましく、0質量%以上1質量%以下が更に好ましく、0質量%が更に好ましい。
(油剤(C))
本発明のコンディショニング剤組成物は、本発明の効果、特に乾燥後のコート感を得る観点から、油剤(C)を含有する。
油剤(C)としては、通常、医薬品、医薬部外品、化粧料、トイレタリー、雑貨等で用いられる油性成分であって、20℃における水100gに対する溶解量が0g以上1g以下である難水溶性又は非水溶性の油剤であれば、いずれも用いることができる。油剤(C)は、上記観点から、20℃の水100gに対する溶解量が0g以上0.5g以下が好ましく、0g以上0.1g以下がより好ましい。
油剤(C)としては、本発明の効果、特に乾燥後のコート感を得る観点から、(i)エステル油、(ii)シリコーン油、(iii)エーテル油、(iv)炭化水素油、(v)高級アルコール、及び(vi)水酸基が置換していてもよい炭素数17以上23以下の炭化水素基を有するカルボン酸から選ばれる1種以上であることが好ましい。
<(i)エステル油>
エステル油としては、本発明の効果を付与する観点から、下記一般式(16)、(17)又は(19)で表されるエステル油、及びジペンタエリスリトールの疎水性カルボン酸エステル、並びに下記一般式(20)で表されるジアルキルカーボネート化合物が好ましい。
〔一般式(16)、(17)で表されるエステル油〕
25−COO−R26 (16)
(式中、R25は炭素数7以上22以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、R26は炭素数1以上22以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
一般式(16)のR25の炭素数は、上記観点から、10以上が好ましく、12以上がより好ましい。また、20以下が好ましく、18以下がより好ましい。また、R25の炭素数は、上記観点から、10〜20が好ましく、12〜18がより好ましい。
26の炭素数は、上記観点から、1以上が好ましく、また、20以下が好ましく、18以下がより好ましい。また、R26の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜18がより好ましい。R26は、プロピレンオキシ基、又はフェニル基で分断されていてもよい炭素数1以上18以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基がより好ましい。
一般式(16)で表されるエステル油の具体例としては、ミツロウ、ラノリン、還元ラノリン、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、エイコセン酸カプリリル、2−エチルヘキサン酸ミリスチル、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸ステアリル、オクタン酸オクチル、オクタン酸ラウリル、オクタン酸ミリスチル、オクタン酸イソセチル、プロピルへプタン酸オクチル、イソノナン酸セトステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸オクチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸セチル、オレイン酸メチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、オレイン酸イソブチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル、エルカ酸オレイル等が挙げられる。
一般式(16)で表されるエステル油の中では、本発明の界面活性剤組成物を用いた際の、乾燥後の優れたしっとり感、均一性及び保湿感の観点から、ラウリン酸オクチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソトリデシル、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシルから選ばれる1種以上が好ましく、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリルから選ばれる1種以上がより好ましい。
Figure 2014131991
(式中、R27、R28及びR29は、それぞれ独立に水素原子、又は下記一般式(18)で示される基であって、全てが水素原子であることはない。)
−CO−R30 (18)
(式中、R30は、カルボン酸エステル基で分断されていてもよく、水酸基が置換していてもよい炭素数8以上22以下の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
一般式(18)において、R30の炭素数は、上記観点から、8以上20以下が好ましく、8以上18以下がより好ましい。
一般式(17)で表されるエステル油の具体例としては、ヒマシ油、カカオ油、ミンク油、アボカド油、オリーブ油、ヒマワリ油、ツバキ油、キョウニン油、アーモンド油、コムギ胚芽油、テオブロマグンジフロルム種子油、ブドウ種子油、ババス油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ユチャ油、シア脂油、トウツバキ種子油、メドウフォーム油、トリベヘン酸グリセリル、トリイソステアリン等が挙げられる。
一般式(17)で表されるエステル油の中では、本発明の界面活性剤組成物を用いた際の、乾燥後の優れたしっとり感、均一性及び保湿感の観点から、ヒマワリ油、アボカド油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、シア脂油から選ばれる1種以上がより好ましく、ヒマワリ油、アボカド油、マカデミアナッツ油から選ばれる1種以上が更に好ましい。
〔一般式(19)で表されるエステル油〕
31O−(AO)m−COR32 (19)
(式中、R31は置換又は無置換である少なくとも1つの芳香環を含有する炭素数6以上20以下の炭化水素基を示し、R32は炭素数1以上25以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。AOは、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基を示し、mは1以上50以下の数である。mが2以上の場合、m個のAO基は、同一でも異なっていてもよい。)
一般式(19)のR31は、上記観点から、炭素数6以上12以下の芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素基がより好ましく、ベンジル基が更に好ましい。
32は、上記観点から、好ましくは炭素数7以上のアルキル基、より好ましくは炭素数11以上のアルキル基であり、また、好ましくは炭素数21以下のアルキル基、より好ましくは炭素数15以下のアルキル基である。また、R32は、炭素数7〜21のアルキル基が好ましく、炭素数11〜15のアルキル基がより好ましい。
AO基は、上記観点から、プロピレンオキシ基が好ましく、mは1以上10以下が好ましく、1以上5以下がより好ましい。
一般式(19)で表されるエステル油の好適例としては、ベンジルアルコールのプロピレンオキシド3モル付加体とミリスチン酸のエステル(クローダ社製:クロダモルSTS)、ベンジルアルコールのプロピレンオキシド3モル付加体と2−エチルヘキシル酸のエステル(クローダ社製:クロダモルSFX)等が挙げられる。
〔ジペンタエリスリトールの疎水性カルボン酸エステル〕
ジペンタエリスリトールの疎水性カルボン酸エステルとは、ジペンタエリスリトールと1つ以上の疎水性カルボン酸の脱水縮合により得られる化合物をいい、ここで疎水性カルボン酸とは、水酸基を有していても良い炭素数16以上24以下の炭化水素基を有するカルボン酸をいう。疎水性カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ロジン酸等が挙げられる。
入手性の観点から、ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸及びロジン酸の混合酸とジペンタエリスリトールからなるエステルが好ましい。
〔一般式(20)で表されるジアルキルカーボネート化合物〕
33O(CH2CH2O)vCO(OCH2CH2)w−OR34 (20)
(式中、R33及びR34は、それぞれ炭素数6以上22以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基及び/又はアルケニル基を示し、v及びwはそれぞれ0又は1以上50以下の数である。)
上記観点から、一般式(20)のR33及びR34は、炭素数8以上のアルキル基が好ましく、また、炭素数18以下のアルキル基が好ましく、炭素数12以下のアルキル基がより好ましい。また、R33及びR34は、上記観点から、炭素数6〜18のアルキル基が好ましく、炭素数8〜12のアルキル基がより好ましい。
v及びwは、上記観点から、0又は1以上5以下の数が好ましく、0がより好ましい。
一般式(20)で表されるジアルキルカーボネート化合物の好適例としては、ジオクチルカーボネート(コグニス社製:セチオールCC)等が挙げられる。
上記以外のエステル油としては、例えば、多価カルボン酸とアルコールとのエステルや、グリセリン、ジペンタエリスリトール及び糖類を除く多価アルコールと脂肪酸とのエステル、糖類と脂肪酸とのエステル等が挙げられる。これらの具体例としては、ダイマー酸ジイソプロピル、プロパンジオールジカプリン酸エステル、アジピン酸ジイソプロピル、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、ポリダイズ脂肪酸スクロース、ポリベヘン酸スクロース、テトライソステアリン酸スクロース、ヒドロキシアルキル(C16−18)ヒドロキシダイマージリノレイルエーテル、テトラステアリン酸ペンタエリスチル、ジステアリン酸グリコール等が挙げられ、テトライソステアリン酸スクロースが好ましい。
<(ii)シリコーン油>
シリコーン油としては、本発明の効果を付与する観点から、ジメチルポリシロキサン、ジメチコノール(末端にヒドロキシル基を有するジメチルポリシロキサン)、及びアミノ変性シリコーン(分子内にアミノ基を有するジメチルポリシロキサン)、ポリエーテル変性シリコーン、グリセリル変性シリコーン、アミノ誘導体シリコーン、シリコーンワックス、シリコーンエラストマーから選ばれる1種以上が好ましい。
シリコーン油の25℃における粘度は、上記観点、及びコンディショニング剤組成物調製時の分散性の観点から、10mm2/s以上1500万mm2/s以下が好ましい。
<(iii)エーテル油>
エーテル油としては、本発明の効果を付与する観点から、下記一般式(21)で表されるジアルキルエーテル化合物、もしくは下記一般式(22)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物が好ましい。
〔一般式(21)で表されるジアルキルエーテル化合物〕
35−O−R36 (21)
(式中、R35及びR36は、それぞれ炭素数6以上22以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基及び/又はアルケニル基を示す。)
一般式(21)のR35及びR36は、上記観点から、炭素数8以上のアルキル基が好ましく、また、炭素数18以下のアルキル基が好ましく、炭素数12以下のアルキル基がより好ましい。また、R35及びR36は、上記観点から、炭素数6〜18のアルキル基が好ましく、炭素数8〜12のアルキル基がより好ましい。
一般式(21)で表されるジアルキルエーテル化合物の好適例としては、ジオクチルエーテル(コグニス社製:セチオールOE)等が挙げられる。
〔一般式(22)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物〕
37−O−(PO)r(EO)s−H (22)
(式中、R37は炭素数6以上22以下の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を示す。POはプロピレンオキシ基を示し、EOはエチレンオキシ基を示す。また、POの平均付加モル数rは0.1以上15以下の数を示し、EOの平均付加モル数sは0以上10以下の数を示す。sが0でない場合、PO及びEOの付加形式は、ランダムであってもブロックであってもよく、POとEOの付加順序も問わない。)
一般式(22)において、上記観点から、R37の炭素数は8以上が好ましい。また、R37の炭素数は20以下が好ましく、18以下がより好ましく、炭素数12以下が更に好ましい。また、上記観点から、R37の炭素数は6〜20が好ましく、炭素数6〜18がより好ましく、炭素数8〜12が更に好ましい。
平均付加モル数rは、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上が更に好ましい。また、平均付加モル数rは、13以下が好ましく、10以下がより好ましい。また、上記観点から、平均付加モル数rは1〜15が好ましく、2〜13がより好ましく、3〜10が更に好ましい。
平均付加モル数sは、10以下が好ましく、5以下がより好ましく、1以下が更に好ましく、0がより更に好ましい。
一般式(22)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物の具体例としては、プロピレンオキシ基の平均付加モル数rが、1以上15以下であるポリオキシプロピレンヘキシルエーテル、ポリオキシプロピレンオクチルエーテル、ポリオキシプロピレン2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシプロピレンデシルエーテル、ポリオキシプロピレンイソデシルエーテル、ポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンミリスチルエーテル、ポリオキシプロピレンパルミチルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシプロピレンイソステアリルエーテル、ポリオキシプロピレンオクチルデシルエーテル、ポリオキシプロピレンイコシルエーテル、ポリオキシプロピレンベヘニルエーテルが挙げられる。
これらの中では、上記観点から、プロピレンオキシ基の平均付加モル数rが、3以上10以下であるポリオキシプロピレンオクチルエーテル、ポリオキシプロピレンデシルエーテル、ポリオキシプロピレンラウリルエーテルから選ばれる1種以上がより好ましい。
<(iv)炭化水素油>
炭化水素油としては、本発明の効果を付与する観点から、炭素数20以上の飽和又は不飽和の炭化水素が好ましい。
炭化水素油の具体例としては、スクワレン、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、シクロパラフィン、ポリブテン、ワセリン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、セレシンが挙げられ、毛髪のまとまり感の観点から、スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックスが好ましく、スクワラン、流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックスから選ばれる1種以上がより好ましい。
<(v)高級アルコール>
高級アルコールとしては、本発明の効果を付与する観点から、炭素数6以上22以下の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を有するアルコールが好ましい。該アルキル基又は該アルケニル基の炭素数は8以上がより好ましく、12以上が更に好ましく、また、20以下がより好ましく、18以下が更に好ましい。上記観点から、該アルキル基又は該アルケニル基の炭素数は8〜20がより好ましく、12〜18が更に好ましい。
高級アルコールの具体例としては、ヘキシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、イソデシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、イコシルアルコール、ベヘニルアルコールが挙げられる。
これらの中では、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及び2−オクチルドデカノールから選ばれる1種以上が好ましい。
<(vi)水酸基が置換していてもよい炭素数17以上23以下の炭化水素基を有するカルボン酸>
水酸基が置換していてもよい炭素数17以上23以下の炭化水素基を有するカルボン酸の炭化水素基としては、本発明の効果を付与する観点から、炭素数17以上23以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。
水酸基が置換していてもよい炭素数17以上23以下の炭化水素基を有するカルボン酸の具体例としては、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ベヘニン酸、ロジン酸等が挙げられる。これらの中では、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、及びベヘニン酸から選ばれる1種以上が好ましく、オレイン酸及びイソステアリン酸から選ばれる1種以上がより好ましい。
上記油剤(C)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のコンディショニング剤組成物は、本発明の効果を得る観点から、上記のうち、油剤(C)として、炭素数6以上22以下の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を有する高級アルコールを含有することが好ましく、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及び2−オクチルドデカノールから選ばれる1種以上を含有することがより好ましく、セチルアルコール及びステアリルアルコールから選ばれる1種以上を含有することが更に好ましい。
また、本発明のコンディショニング剤組成物は、本発明の効果を得る観点から、油剤(C)として、エステル油、シリコーン油、エーテル油、炭化水素油から選ばれる1種以上と高級アルコールを併用することが好ましく、エステル油、シリコーン油、エーテル油、炭化水素油から選ばれる1種以上とセチルアルコール及びステアリルアルコールを併用することがより好ましい。
<油剤(C)の含有量>
コンディショニング剤組成物中の油剤(C)の含有量は、本発明の効果を得る観点から、コンディショニング剤組成物中、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、2質量%以上がより更に好ましく、4質量%以上がより更に好ましく、5質量%以上がより更に好ましい。また、乾燥後の毛髪のべたつき感を抑制する観点及び経済性の観点から、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましく、12質量%以下がより更に好ましい。また、これらの観点から、油剤(C)の含有量は、0.01〜30質量%が好ましく、0.05〜20質量%がより好ましく、0.1〜15質量%が更に好ましく、2〜15質量%がより更に好ましく、4〜15質量%がより更に好ましく、5〜12質量%がより更に好ましい。
本発明のコンディショニング剤組成物において、CCE(A)、界面活性剤(B)、及び油剤(C)の質量比は、塗布した時の存在感、すすぎ時の柔らかさ、すすぎ時のすべり性、乾燥後のコート感を得る観点から、以下の範囲であることが好ましい。
本発明のコンディショニング剤組成物において、界面活性剤(B)に対するCCE(A)の質量比[CCE(A)/界面活性剤(B)]は、上記観点から、0.0002以上が好ましく、0.005以上がより好ましく、0.03以上が更に好ましく、0.05以上が更に好ましく、0.10以上が更に好ましく、0.15以上がより更に好ましく、また、10以下が好ましく、5以下がより好ましく、3以下が更に好ましく、2以下が更に好ましく、1.5以下がより更に好ましく、1.0以下がより更に好ましく、0.5以下がより更に好ましく、0.35以下がより更に好ましい。また、上記観点から、[CCE(A)/界面活性剤(B)]は0.0002〜10が好ましく、0.0002〜5がより好ましく、0.005〜3が更に好ましく、0.03〜3が更に好ましく、0.05〜3が更に好ましく、0.1〜2が更に好ましく、0.1〜1.5がより更に好ましく、0.1〜1.0がより更に好ましく、0.1〜0.5がより更に好ましく、0.15〜0.35がより更に好ましい。
本発明のコンディショニング剤組成物において、油剤(C)に対するCCE(A)の質量比[CCE(A)/油剤(C)]は、塗布した時の存在感、すすぎ時の柔らかさ、すすぎ時のすべり性、乾燥後のコート感を得る観点から、0.001以上が好ましく、0.01以上がより好ましく、0.02以上が更に好ましく、0.025以上がより更に好ましく、また、5以下が好ましく、1以下がより好ましく、0.5以下が更に好ましく、0.3以下がより更に好ましく、0.10以下がより更に好ましく、0.06以下がより更に好ましい。また、上記観点から、[CCE(A)/油剤(C)]は0.001〜5が好ましく、0.01〜1がより好ましく、0.01〜0.5が更に好ましく、0.01〜0.3が更に好ましく、0.02〜0.10がより更に好ましく、0.025〜0.06がより更に好ましい。
<その他の成分>
本発明のコンディショニング剤組成物中には、更に、通常、毛髪用洗浄剤や皮膚用洗浄剤に配合されるグリセリン、保湿剤、多糖類、ポリペプタイド、パール化剤、溶剤、色素、香料、噴射剤、エデト酢酸塩や、クエン酸塩等のキレート剤、pH調整剤、防腐剤、ジンクピリチオン、ピロクトンオラミン等の抗フケ剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
(コンディショニング剤組成物の製造方法)
本発明のコンディショニング剤組成物の製造方法に特に制限はなく、常法により製造することができる。具体的には、例えば、水及び界面活性剤(B)を加温し、均一混合する。均一溶解確認後、CCE(A)を添加し混合する。なお、CCE(A)及び界面活性剤(B)の添加順序は逆でもよい。
CCE(A)は、必要に応じて、予め水に分散又は溶解させた後に添加できる。CCE(A)を界面活性剤水溶液に添加し、均一溶解又は分散させた後、油剤(C)を添加し、冷却する。必要に応じて、パール化剤、pH調製剤、香料、色素等を加え調製することができる。
また、本発明のコンディショニング剤組成物の剤型も特に制限されず、液体状、泡状、ペースト状、クリーム状、固形状、粉末状等、任意の剤型とすることができるが、液体状、ペースト状又はクリーム状とすることが好ましく、液体状とすることが特に好ましい。液体状とする場合には、液体媒体として水の他、ポリエチレングリコール、エタノール等を用いるのが好ましく、水の配合量は、全組成物中において10質量%以上、99.5質量%以下が好ましい。
また、本発明のコンディショニング剤組成物のpHは、塗布した時の存在感、すすぎ時の柔らかさ、すすぎ時のすべり性、乾燥後のコート感を付与する観点、及びコンディショナーの安定性の観点から、pH1以上が好ましく、pH2以上がより好ましく、pH3以上が更に好ましく、またpH10以下が好ましく、pH8以下がより好ましく、pH6以下が更に好ましい。また、上記観点から、本発明のコンディショニング剤組成物のpHは1〜10が好ましく、2〜8が好ましく、3〜6がより好ましい。
本発明のコンディショニング剤組成物は、塗布した時の存在感、すすぎ時の柔らかさ、すすぎ時のすべり性、乾燥後のコート感を与えることから、ヘアリンス、トリートメント、ヘアコンディショナー、洗い流さないタイプのヘアコンディショナー、ヘアクリーム、コンディショニングジェル、コンディショニングフォーム等に好適に用いることができる。
[コンディショニング方法]
本発明はまた、洗浄剤組成物を用いて毛髪を洗浄した後、本発明のコンディショニング剤組成物を毛髪に適用する、毛髪のコンディショニング方法を提供する。本発明のコンディショニング方法に用いられる洗浄剤組成物については特に制限はなく、公知の毛髪用洗浄剤組成物を用いることができる。また、毛髪の洗浄方法、及びコンディショニング方法としては特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
上述した実施の形態に関し、本発明は以下の毛髪用コンディショニング剤組成物及びコンディショニング方法を開示する。
<1>カチオン性基含有セルロースエーテル(A)、非イオン性界面活性剤及び陽イオン性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤(B)、及び油剤(C)を含有する毛髪用コンディショニング剤組成物であって、該カチオン性基含有セルロースエーテル(A)が、下記一般式(1)で表されるアンヒドログルコース由来の主鎖を有し、該アンヒドログルコース単位あたりのカチオン化オキシアルキレン基の置換度が0.01以上1.0以下であり、グリセロール基の置換度が0.5以上5.0以下であり、かつ下記一般式(6)〜(8)で表される、炭素数3以上18以下、好ましくは炭素数3以上7以下、より好ましくは炭素数3以上6以下、更に好ましくは炭素数3以上4以下の炭化水素基を含有する基の置換度が0.0001以上0.3以下である毛髪用コンディショニング剤組成物。
Figure 2014131991
(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、下記一般式(2)〜(8)から選ばれる1種以上の構造単位からなる置換基、又は水素原子を示す。nはアンヒドログルコース由来の主鎖の平均重合度を示し、100以上12000以下の数である。)
Figure 2014131991
(式中、式(2)又は(3)で表される構造単位はカチオン化オキシアルキレン基を示し、式(4)又は(5)で表される構造単位はグリセロール基を示し、式(6)〜(8)で表される構造単位は炭素数3以上18以下、好ましくは炭素数3以上7以下、より好ましくは炭素数3以上6以下、更に好ましくは炭素数3以上4以下の炭化水素基を含有する基を示す。R4〜R9は、それぞれ独立に炭素数1以上3以下の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、X-及びY-はアニオンを示し、r及びsは0以上3以下の整数である。R10、R11は、それぞれ独立に炭素数1以上16以下の直鎖又は分岐のアルキル基、又は炭素数2以上16以下の直鎖又は分岐のアルケニル基を示す。R12は炭素数3以上18以下の、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、又はアリール基を示し、pは0又は1の整数を示す。式(2)〜(7)で表される構造単位において、酸素原子は、水素原子又は前記構造単位の炭素原子と結合している。)
<2>カチオン性基含有セルロースエーテル(A)のカチオン電荷密度が0.05mmol/g以上、好ましくは0.15mmol/g以上、より好ましくは0.2mmol/g以上、更に好ましくは0.3mmol/g以上であり、2.0mmol/g以下、好ましくは1.5mmol/g以下、より好ましくは1.2mmol/g以下、更に好ましくは0.9mmol/g以下であり、また、0.05〜2.0mmol/g、好ましくは0.15〜1.5mmol/g、より好ましくは0.2〜1.2mmol/g、更に好ましくは0.3〜0.9mmol/gである、上記<1>に記載の毛髪用コンディショニング剤組成物。
<3>カチオン性基含有セルロースエーテル(A)の含有量が0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、より更に好ましくは0.3質量%以上であり、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以下であり、また、0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%、より好ましくは0.1〜2質量%、更に好ましくは0.2〜1質量%、より更に好ましくは0.3〜0.5質量%である、上記<1>又は<2>に記載の毛髪用コンディショニング剤組成物。
<4>界面活性剤(B)に対するカチオン性基含有セルロースエーテル(A)の質量比が0.0002以上、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.03以上、更に好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.10以上、より更に好ましくは0.15以上であり、また、10以下、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下、より更に好ましくは1.5以下、より更に好ましくは1.0以下、より更に好ましくは0.5以下、より更に好ましくは0.35以下であり、また、0.0002〜10、好ましくは0.0002〜5、より好ましくは0.005〜3、更に好ましくは0.03〜3、更に好ましくは0.05〜3、より更に好ましくは0.1〜2、より更に好ましくは0.1〜1.5、より更に好ましくは0.1〜1.0、より更に好ましくは0.1〜0.5、より更に好ましくは0.15〜0.35である、上記<1>〜<3>のいずれかに記載の毛髪用コンディショニング剤組成物。
<5>界面活性剤(B)の含有量が0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、より更に好ましくは1質量%以上、より更に好ましくは1.5質量%以上であり、20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下であり、また、0.01〜20質量%、好ましくは0.01〜10質量%、更に好ましくは0.1〜10質量%、より更に好ましくは0.2〜5質量%、より更に好ましくは0.5〜5質量%、更に好ましくは1〜3質量%、より更に好ましくは1.5〜3質量%の範囲である、上記<1>〜<4>のいずれかに記載の毛髪用コンディショニング剤組成物。
<6>油剤(C)の含有量が0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、より更に好ましくは4質量%以上、より更に好ましくは5質量%以上であり、30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは12質量%以下であり、また、0.01〜30質量%、好ましくは0.05〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%、更に好ましくは2〜15質量%、より更に好ましくは4〜15質量%、より更に好ましくは5〜12質量%である、上記<1>〜<5>のいずれかに記載の毛髪用コンディショニング剤組成物。
<7>油剤(C)の20℃における水100gに対する溶解量が0g以上1g以下、好ましくは0g以上0.5g以下、より好ましくは0g以上0.1g以下である、上記<1>〜<6>のいずれかに記載の毛髪用コンディショニング剤組成物。
<8>油剤(C)がエステル油、シリコーン油、エーテル油、炭化水素油、高級アルコール、及び水酸基が置換していてもよい炭素数17以上23以下の炭化水素基を有するカルボン酸から選ばれる1種以上である、上記<1>〜<7>のいずれかに記載の毛髪用コンディショニング剤組成物。
<9>油剤(C)に対するCCE(A)の質量比が、0.001以上、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上、更に好ましくは0.025以上であり、5以下、好ましくは1以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.3以下、より更に好ましくは0.10以下、より更に好ましくは0.06以下であり、また、0.001〜5、好ましくは0.01〜1、より好ましくは0.01〜0.5、更に好ましくは0.01〜0.3、より更に好ましくは0.02〜0.10、より更に好ましくは0.025〜0.06である、上記<1>〜<8>のいずれかに記載の毛髪用コンディショニング剤組成物。
<10>カチオン性基含有セルロースエーテル(A)のアンヒドログルコース単位あたりのカチオン化オキシアルキレン基の置換度(MS(N+))が0.04以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.10以上、更に好ましくは0.17以上、より好ましくは0.18以上であり、0.9以下、より好ましくは0.6以下、更に好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.3以下、より好ましくは0.22以下であり、0.05〜0.9の範囲、より好ましくは0.04〜0.6の範囲、更に好ましくは0.10〜0.5の範囲、更に好ましくは0.10〜0.3の範囲、更に好ましくは0.17〜0.30の範囲、より好ましくは0.18〜0.22の範囲である、上記<1>〜<9>のいずれかに記載の毛髪用コンディショニング剤組成物。
<11>カチオン性基含有セルロースエーテル(A)のアンヒドログルコース単位あたりのグリセロール基の置換度(MS(Gly))が0.8以上、より好ましくは1.0以上、更に好ましくは1.8以上、更に好ましくは2.0以上、より好ましくは2.1以上であり、4.0以下、好ましくは3.8以下、より好ましくは3.5以下、更に好ましくは3.0以下、更に好ましくは2.5以下、更に好ましくは2.3以下であり、0.5〜4.0の範囲、好ましくは0.8〜3.8の範囲、より好ましくは2.0〜3.8の範囲、更に好ましくは2.1〜2.3の範囲である、上記<1>〜<10>のいずれかに記載の毛髪用コンディショニング剤組成物。
<12>カチオン性基含有セルロースエーテル(A)のアンヒドログルコース単位あたりの炭素数3以上18以下の炭化水素を含有する基の置換度(MS(HC))が0.0005以上、より好ましくは0.001以上であり、更に好ましくは0.005以上、更に好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.02以上、更に好ましくは0.03以上であり、0.25以下、好ましくは0.20以下、より好ましくは0.15以下、更に好ましくは0.10以下、更に好ましくは0.08以下、更に好ましくは0.06以下、更に好ましくは0.04以下であり、0.0005〜0.25の範囲、好ましくは0.0005〜0.20の範囲、より好ましくは0.001〜0.15の範囲、更に好ましくは0.005〜0.15の範囲、更に好ましくは0.01〜0.10の範囲、更に好ましくは0.02〜0.08の範囲、更に好ましくは0.02〜0.06の範囲、更に好ましくは0.02〜0.04の範囲である、上記<1>〜<11>のいずれかに記載の毛髪用コンディショニング剤組成物。
<13>カチオン性基含有セルロースエーテル(A)が、MS(N+)が0.04以上0.6以下であり、MS(Gly)が0.5以上4.0以下であり、かつMS(HC)が0.01以上0.10以下のカチオン性基含有セルロースエーテル、好ましくはMS(N+)が0.17以上0.6以下であり、MS(Gly)が0.8以上3.8以下であり、かつMS(HC)が0.02以上0.06以下のカチオン性基含有セルロースエーテル、より好ましくはMS(N+)が0.17以上0.3以下であり、MS(Gly)が2.0以上3.8以下であり、かつMS(HC)が0.02以上0.06以下のカチオン性基含有セルロースエーテル、更に好ましくはMS(N+)が0.18以上0.22以下であり、MS(Gly)が2.1以上2.3以下であり、かつMS(HC)が0.02以上0.04以下のカチオン性基含有セルロースエーテルである、上記<1>〜<12>のいずれかに記載の毛髪用コンディショニング剤組成物。
<14>カチオン性基含有セルロースエーテル(A)のアンヒドログルコース由来の主鎖の平均重合度nが、200以上、好ましくは500以上、より好ましくは1000以上であり、10000以下、好ましくは5000以下、より好ましくは2500以下であり、200〜10000の範囲、好ましくは500〜5000の範囲、より好ましくは1000〜2500の範囲である、上記<1>〜<13>のいずれかに記載の毛髪用コンディショニング剤組成物。
<15>界面活性剤(B)が、陽イオン性界面活性剤である、上記<1>〜<14>のいずれかに記載の毛髪用コンディショニング剤組成物。
<16>陽イオン性界面活性剤が、モノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩、及びモノ長鎖アルキルジメチルアミン塩から選ばれる1種以上、好ましくはモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩、より好ましくはべヘニルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミンから選ばれる1種以上、更に好ましくはベヘニルトリメチルアンモニウム塩である、上記<15>に記載の毛髪用コンディショニング剤組成物。
<17>非イオン性界面活性剤が、疎水性部位として炭素数8以上20以下のアルキル基又はアルケニル基を有し、好ましくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシドから選ばれる1種以上、より好ましくは炭素数8以上18以下のアルキルグルコシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、及び脂肪酸モノアルカノールアミドから選ばれる1種以上、更に好ましくは炭素数8以上12以下のアルキルグルコシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、及び脂肪酸モノアルカノールアミドから選ばれる1種以上である、上記<1>〜<14>のいずれかに記載の毛髪用コンディショニング剤組成物。
<18>油剤(C)として、炭素数6以上、好ましくは8以上、より好ましくは12以上であり、炭素数22以下、好ましくは20以下、より好ましくは18以下の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を有する高級アルコールを含有する、上記<1>〜<17>のいずれかに記載の毛髪用コンディショニング剤組成物。
<19>高級アルコールが、ヘキシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、イソデシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、イコシルアルコール、及びベヘニルアルコールから選ばれる1種以上、好ましくはラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及び2−オクチルドデカノールから選ばれる1種以上である、上記<18>に記載の毛髪用コンディショニング剤組成物。
<20>洗浄剤組成物を用いて毛髪を洗浄した後、上記<1>〜<19>のいずれかに記載の毛髪用コンディショニング剤組成物を毛髪に適用する、毛髪のコンディショニング方法。
<21>上記<1>〜<19>のいずれかに記載の毛髪用コンディショニング剤組成物を適用した後、すすぎ、乾燥する、上記<20>に記載の毛髪のコンディショニング方法。
以下の製造例、実施例及び比較例において、「%」は「質量%」を意味する。各種物性等の測定は、以下の方法により行った。
(1)セルロースの粘度平均重合度の測定(銅アンモニア法)
(i)測定用溶液の調製
メスフラスコ(100mL)に塩化第一銅0.5g、25%アンモニア水20〜30mLを加え、完全に溶解した後に、水酸化第二銅1.0g、及び25%アンモニア水を加えてメスアップし、3時間攪拌し、完全に溶解させた。
(ii)サンプルの調製
メスフラスコ(25mL)に測定サンプルを25mg添加後、フラスコの標線にメニスカスが一致するまで上記で調製した溶液を追加した。これを、6時間攪拌し完全に溶解させた。
(iii)粘度平均重合度の測定
得られた銅アンモニア水溶液をウベローデ粘度計に入れ、恒温槽(20±0.1℃)中で1分間静置した後、液の流下速度を測定した。種々の試料濃度(g/l)の銅アンモニア溶液の流下時間(t(秒))と試料無添加の銅アンモニア水溶液の流下時間(t0(秒))から、下記式に示した相対粘度ηrを求めた。
ηr=t/t0
次に、それぞれの濃度における還元粘度(ηsp/c)を以下の式より求めた。
ηsp/c=(ηr−1)/c (c:試料濃度(g/dl))
更に、還元粘度をc=0に外挿して固有粘度〔η〕を求め、以下の式より粘度平均重合度(n)を求めた。
n=2000×〔η〕
なお、実施例において、CCEの平均重合度は、製造に用いた原料セルロースの平均重合度と同一であると見なした。
(2)CCEにおける置換基の置換度:MSの算出
CCEのグリセロール基の置換度(MS(Gly))、カチオン化オキシアルキレン基の置換度(MS(N+))、炭化水素基含有基の置換度(MS(HC))は、炭化水素基含有基がオキシプロピレン基である場合を除き、以下の計算式(1)〜(3)の連立方程式により算出した。
−a×(グリセロール基の含有量(%))×MS(HC)+(74.1−74.1×(グリセロール基の含有量(%)))×MS(Gly)−b×(グリセロール基の含有量(%))×MS(N+)=162.1×(グリセロール基の含有量(%))・・・(1)
−a×(窒素含有量(%))×MS(HC)−74.1×(窒素含有量(%))×MS(Gly)+(b−b×窒素含有量(質量%))×MS(N+)=162.1×(窒素含有量(%))・・・(2)
(a−a×(炭化水素基含有基の含有量(%)))×MS(HC)−74.1×(炭化水素基含有基の含有量(%))×MS(Gly)−b×(炭化水素基含有基の含有量(%))×MS(N+)=162.1×(炭化水素基含有基の含有量(%))・・・(3)
(式中、aは炭化水素基含有基の分子量を、bはカチオン化オキシアルキレン基の分子量を示す。
上記、連立方程式中のグリセロール基の含有量、窒素含有量、炭化水素基含有基の含有量は、それぞれCCE中に含有される、グリセロール基、カチオン化オキシアルキレン基を構成する窒素、炭化水素基含有基の質量%を示し、下記の方法にて算出した。
〔グリセロール基及び炭化水素基含有基の含有量の含有量(質量%)の測定〕
CCE中に含有される、グリセロール基の含有量%(質量%)は、Analytical Chemistry,Vol.51, No.13, 2172(1979)、「第十五改正日本薬局方(ヒドロキシプロピルセルロースの分析方法の項)」等に記載の、セルロースエーテルのアルコキシ基の平均付加モル数を分析する手法として知られるZeisel法に準じて算出した。以下に手順を示す。
(i)25mLメスフラスコにn−テトラデカン1mLを加え、o−キシレンを液のメニスカス下面がメスフラスコの標線上縁と一致するまで添加、撹拌して、内標準溶液を調製した。
(ii)精製、乾燥を行ったCCE65mg、アジピン酸65mgを10mLバイアル瓶に精秤し、(i)で調製した内標準溶液2mL、ヨウ化水素酸2mLを加えて密栓した。
(iii)上記バイアル瓶中の混合物を、スターラーチップにより攪拌しながら、150℃のブロックヒーターにて1時間加熱した。
(iv)バイアル瓶中の2相に分離した混合物の上層(o−キシレン層)をガスクロマトグラフ法にて測定し、グリセロール基由来のヨウ化イソプロピル、及び炭化水素基含有基由来の炭化水素基のヨウ化物(炭化水素基含有基がオキシブチレン基の場合は、2−ヨウ化ブチル)を定量して、得られた結果からそれぞれCCE中のグリセロール基の含有量(質量%)、及び炭化水素基含有基の含有量(質量%)を算出した。
分析条件は以下の通りであった。
カラム:Agilent社製 HP−1(長さ:30m、 内径:0.32mm、膜厚:0.25mm、固定相:100%メチルシロキサン)
カラム温度:40℃(5min)→10℃/min→230℃(5min)
インジェクター温度:210℃、検出器:水素炎イオン検出器(FID)、検出器温度:230℃、打ち込み量:1μL、キャリヤーガス流量:ヘリウム3.0mL/min
〔窒素含有量(質量%)の測定〕(ケルダール法)
精製、乾燥したCCE100mgを精秤し、ここへ硫酸10mL、分解促進剤「ケルタブ錠」(株式会社なかやま理化製作所製)1錠を加え、ケルダール分解装置「K−432」(BUCHI社製)を用いて250℃で30分、300℃で30分、420℃で80分と順に昇温させながら完全分解を行った。分解反応終了後、サンプルにイオン交換水30mLを加え、自動ケルダール蒸留・滴定装置「K−370」(BUCHI社製)を用いて、30%水酸化ナトリウム水溶液40mLを加えアルカリ性とした後、蒸留操作により遊離したアンモニアを1%ホウ酸水溶液中に収集し、0.01N硫酸(和光純薬工業株式会社製、定量分析用)を用いて滴定することにより、CCE中の窒素含有量(質量%)を求めた。
なお、炭化水素基含有基がオキシプロピレン基の場合は、前記Zeisel法に準じた前処理を行うと、グリセロール基だけでなく、オキシプロピレン基もヨウ化イソプロピルに転化するため、グリセロール基及びオキシプロピレン基の含有量を独立して求めることができない。そこで、炭化水素基含有基がオキシプロピレン基の場合には下記に記載するNMR法によってまずオキシプロピレン基の含有量を求め、次に上記〔グリセロール基及び炭化水素基含有基の含有量の含有量(質量%)の測定〕に記載の方法で、オキシプロピレン基とグリセロール基の合計含有量を求めた。該合計含有量から、前記NMR法により求めたオキシプロピレン基の含有量を差し引いてグリセロール基の含有量を求めた。窒素含有量(質量%)の測定は、上記に記載の方法を用い、得られた各置換基の含有量を上記計算式(1)〜(3)に代入し、この連立方程式を解くことで、MS(PO)、MS(Gly)、MS(N+)を算出した。
[NMR法によるオキシプロピレン基の含有量(質量%)の算出]
得られたCCEのオキシプロピレン基の置換度(MS(PO))は、1H−NMRによって算出した。測定方法は以下の通りである。
装置:Mercury400(Varian製)
観測範囲:6410.3Hz
データポイント:65536
パルス幅:45°
パルス遅延時間:5s
積算:128回
スピン:No spin
内部標準:3−(トリメチルシリル)プロピオン酸−d4ナトリウム塩(TSP)
検量線作成用試料:ヒドロキシプロピルセルロース(商品名:KLUCEL Hercules社製、オキシプロピレン基の含有量が既知:76.15質量%)
精製、乾燥したCCE10mgを上記内部標準入りのD2O 1gに溶かして上記測定条件で1H−NMR測定を行った。オキシプロピレン基におけるメチル基のシグナル(1.23ppm)からCCE中のオキシプロピレン基の含有量を算出した。
(3)CCEの水溶液粘度の測定
直径32mmの円柱状の50mLバイアルに、精製、乾燥を行ったCCE0.5g、イオン交換水49.5gを入れ、6時間かけて攪拌して、CCEの1質量%水溶液又は1質量%分散液を調製した。
得られた1質量%水溶液又は1質量%分散液を恒温水槽中で25℃に調節した後、B型粘度計(東機産業株式会社製、TVB−10M)を用いて、測定温度:25℃、回転数:30rpm、ローター:1、2、3、又は4号の条件で粘度を測定した。
使用ローターの選定にあたっては、測定結果が使用ローターに対する粘度の測定範囲内における上限値の20〜90%の範囲になるローターを選択して測定を行った。
(4)水分含量の測定
パルプ、綿状セルロース、粉末セルロースの水分含量は、電子式水分計「MOC−120H」(株式会社島津製作所製)を用いて、測定温度120℃で測定した。約1gのサンプルを用い、30秒間の重量変化率が0.1%以下となる点を測定の終点とした。
製造例1(CCE(1)の製造)
(1)セルロースの裁断処理、乾燥処理及び粉砕処理工程
シート状木材パルプ(テンベック社製、BioflocXV18、平均重合度1977)をシートペレタイザー「SGG−220」(株式会社ホーライ製)で処理してチップ状にした。その後、80℃で12時間乾燥処理を行い、水分含量0.18質量%のチップ状の乾燥パルプを得た。得られたチップ状セルロースをエキストリームミル「MX−1200XTM型」(ワーリング社製、全容量150mL)に投入し、回転数24000rpmにて20℃で30秒間粉砕処理を行い、綿状セルロース(平均重合度1977)を得た。
(2)グリセロール化反応
3つ口丸底フラスコに、ジメチルスルホキシド(和光純薬工業株式会社製)584g、テトラ(n−ブチル)アンモニウムフロリド三水和物(TBAF、関東化学株式会社製)116.2gを投入し、均一に溶解させた。これに、上記で得られた綿状セルロース7.0gを加えて室温で1時間撹拌し、溶解させた。更に、微粉末化した水酸化カリウム2.4g(1.0モル/AGU1モル)を加えてよく分散させた。70℃に昇温した後、窒素気流下で反応液を撹拌しながら、グリシドール128g(40モル/AGU1モル)とジメチルスルホキシド128gを混合した溶液を5時間かけて添加した。滴下終了後、更に70℃のまま1時間撹拌を続け、反応を終了させた。
続いて、反応溶液を室温まで冷却した後に、遠心分離を行い、得られた上澄み液をイオン交換水/アセトン/メタノール=2/4/4(体積比)の混合溶媒(10L,25℃)中へ投入し、析出したポリマーをろ過し、上記イオン交換水/アセトン/メタノール混合溶媒1Lで洗浄後、減圧乾燥(80℃,0.03kPa,12時間)することで白色の固形物としてグリセロール化されたセルロース13gを得た。
(3)カチオン化反応、及び炭化水素基含有基の付加反応
3つ口丸底フラスコに、70%ジメチルスルホキシド水溶液1089gを投入し、上記で得られたグリセロール化されたセルロース11gを加えて、室温で撹拌し、均一に溶解させた。その後、20%水酸化ナトリウム水溶液1.8g(0.25モル/AGU1モル)を加えて室温で撹拌した。その後、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライド(阪本薬品工業株式会社製、含水量20質量%、水を差し引いた残余の成分中における純度90%以上)11.1g(2.00モル/AGU1モル)及び炭化水素基含有基の導入剤として1,2−エポキシペンタン(和光純薬工業株式会社製)61g(1.50モル/AGU1モル)を、グリセロール化されたセルロース溶液を撹拌しながら、この溶液に添加し、50℃に昇温して5時間反応を行った。その後、反応液を酢酸で中和し、10Lのエタノール/イソプロパノール(7/3体積比)混合溶媒中に投入して、析出したポリマーをろ過し、上記エタノール/イソプロパノール混合溶媒1Lで洗浄後、減圧乾燥(80℃,0.03kPa,12時間)することで白色の固形物としてCCE(1)17gを得た。
グリセロール化剤、カチオン化剤、及び炭化水素基含有基の導入剤の添加量を表1に、グリセロール基の置換度[MS(Gly)]、カチオン化オキシアルキレン基の置換度[MS(N+)]及び炭化水素基含有基の置換度[MS(HC)]を表2に示す。
製造例2〜4、18、19(CCE(2)〜(4)、(18)、(19)の製造)
グリセロール化剤、カチオン化剤、炭化水素基含有基の導入剤の種類と添加量をそれぞれ表1に示した量に変更したことを除いては、製造例1と同様に行い、CCE(2)〜(4)、(18)及び(19)を得た。
グリセロール化剤、カチオン化剤、及び炭化水素基含有基の導入剤の添加量を表1に、グリセロール基の置換度[MS(Gly)]、カチオン化オキシアルキレン基の置換度[MS(N+)]及び炭化水素基含有基の置換度[MS(HC)]を表2に示す。
製造例5〜16、22(CCE(5)〜(16)及びCGC(1)の製造)
製造例1において、原料セルロースであるシート木材パルプをテンベック社製BioflocHV+、平均重合度1550に変更し、更に工程(1)のセルロースのチップ化・綿状化工程を、下記のセルロースの粉末化工程に変更した。
(1)セルロースの裁断処理、乾燥処理及び粉砕処理工程
シート状木材パルプ(テンベック社製、Biofloc HV+、平均重合度1550)をシュレッダー「MSX2000−IVP440F」(株式会社明光商会製)で処理してチップ状にした。その後、80℃で12時間乾燥処理を行い、水分含量0.18%のチップ状の乾燥パルプを得た。
次に、得られたチップ状の乾燥パルプ920gを、バッチ式振動ミル「FV−10」(中央化工機株式会社製:容器全容積33L、ロッドとして、φ30mm、長さ510mm、断面形状が円形のSUS304製ロッド63本、充填率70体積%)に投入した。振動数20Hz,全振幅8mm,温度10〜40℃の範囲で10分間粉砕処理を行い、セルロース粉末890g(平均重合度1233)を得た。
得られたセルロース粉末を用いて、グリセロール化剤、カチオン化剤、炭化水素基含有基の導入剤の添加量をそれぞれ表1に示した量に変更したことを除いては、製造例1と同様に行い、CCE(5)〜(16)及びCGC(1)を得た。
グリセロール化剤、カチオン化剤、及び炭化水素基含有基の導入剤の添加量を表1に、グリセロール基の置換度[MS(Cly)]、カチオン化オキシアルキレン基の置換度[MS(N+)]及び炭化水素基含有基の置換度[MS(HC)]を表2に示す。
製造例17、20、21(CCE(17)、(20)、(21)の製造)
原料セルロースであるシート木材パルプをテンベック社製BioflocXV、平均重合度1694に変更したこと、及びグリセロール化剤、カチオン化剤、炭化水素基含有基の導入剤の種類と添加量をそれぞれ表1に示した量に変更したことを除いては、製造例1と同様に行い、CCE(17)、(20)、(21)を得た。
グリセロール化剤、カチオン化剤、及び炭化水素基含有基の導入剤の添加量を表1に、グリセロール基の置換度[MS(Gly)]、カチオン化オキシアルキレン基の置換度[MS(N+)]及び炭化水素基含有基の置換度[MS(HC)]を表2に示す。
Figure 2014131991
Figure 2014131991
[コンディショニング剤組成物の配合と評価]
実施例1〜70(コンディショナーの製造、評価)
成分(A)としてCCE(1)〜(21)を用いて、表3〜11に示す組成となるコンディショナーを常法により調製した。
具体的には、成分(A)、適量の水、及び適量のpH調整剤をビーカーに取り、80℃に加温し溶解させた。そこへ、80℃で溶解した成分(B)を加え、1時間乳化攪拌した。50℃まで冷却して成分(C)を加え、均一混合した。最後に、加温により蒸発した水分を補充し、pHを測定した。必要に応じてpH調整剤(50%クエン酸水溶液及び48%水酸化ナトリウム水溶液)でpHを5に調整した。
実施例44〜61に関しては、成分(A)、適量の水、及び適量のpH調整剤をビーカーに取り、80℃に加温し溶解させた。80℃で溶解した成分(B)及び成分(C)の混合物を加え、1時間乳化攪拌した。最後に、加温により蒸発した水分を補充し、pHを測定した。必要に応じてpH調整剤(50%クエン酸水溶液及び48%水酸化ナトリウム水溶液)でpHを5に調整した。
プレーンシャンプーで洗浄した毛束を35〜40℃の温水で十分に湿らせた後、実施例1〜70のコンディショナー1gを1分間塗布し、温水で30秒間すすぎ、タオルで水分を取り、櫛で毛束を整えた。その後、ドライヤーの温風で乾燥させ、仕上げに櫛で毛束を整え、評価用トレスを得た。5人のパネラーが、コンディショナーを毛髪に塗布した時の存在感、すすぎ時の柔らかさ、すすぎ時のすべり性、乾燥後のコート感を評価した。結果を表3〜11に示す。
比較例1を基準スコア3とし、5人のパネラーの平均評点が3.4点以上であれば、その評価において明らかに優れた性能を有するといえる。
(プレーンシャンプーの組成)
(成分) (%)
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸Na 11.3
(花王株式会社製:エマールE−27C(有効分27%)として42.0%)
ヤシ油脂肪酸N−メチルエタノールアミド 3.0
(花王株式会社製:アミノーン C−11S)
クエン酸 0.2
メチルパラベン 0.3
精製水 バランス
計 100.0
(プレーンシャンプーの製造)
各成分をビーカーに取り、80℃に加温後、混合し、均一に溶解したことを確認した後、冷却して、プレーンシャンプーを得た。
(評価基準・評価方法)
・塗布時の存在感
5:強く存在感を感じる
4:存在感を感じる
3:普通(比較例1の存在感を基準)
2:存在感が弱い
1:存在感を感じない
・すすぎ時の柔らかさ
5:非常に柔らかい
4:柔らかい
3:普通(比較例1の柔らかさを基準)
2:硬い
1:非常に硬い
・すすぎ時のすべり性
5:すべり性が非常に良い
4:すべり性が良い
3:普通(比較例1のすべり性を基準)
2:すべり性が悪い
1:すべり性が非常に悪い
・乾燥後のコート感
5:強くコート感を感じる
4:コート感を感じる
3:普通(比較例1のコート感を基準)
2:コート感が弱い
1:コート感を感じない
比較例1〜2(コンディショナーの製造、評価)
実施例1の成分(A)に代えて表3に示す種々のポリマーを用いたコンディショナーを実施例1と同様にして調製し、評価を行った。結果を表3に示す。
なお、比較例1及び2のコンディショナーもpHは5に調整した。
Figure 2014131991
Figure 2014131991
Figure 2014131991
Figure 2014131991
Figure 2014131991
Figure 2014131991
Figure 2014131991
Figure 2014131991
Figure 2014131991
表3〜11から、実施例1〜70のコンディショナーは、塗布した時の存在感、すすぎ時の柔らかさ、すすぎ時のすべり性、乾燥後のコート感を付与することができる優れたコンディショナーであることが分かる。
実施例71
実施例1と同様にして下記組成の洗い流さないタイプのヘアコンディショナーを調製した。
(成分) (%)
CCE(20) 0.05
ステアリルアルコール 0.4
高重合ジメチルシロキサン *1 0.1
塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 0.2
pH調製剤 適 量
精製水 バランス
計 100.0
*1:東レ・ダウコーニング株式会社製;BY22−060(有効分60%)
実施例1で用いたプレーンシャンプーで洗浄した毛束を35〜40℃の温水で十分に湿らせた後、毛束の水を切り、ドライヤーの温風で乾燥させ、櫛で毛束を整えた。この毛束に実施例71のヘアコンディショナー1gを塗布し、なじませた。室温で乾燥後、毛束の官能評価を行った。
このヘアコンディショナーにより、乾燥後の毛髪に良好なコートを付与できた。
実施例72
実施例1と同様にして下記組成の洗い流さないタイプのヘアコンディショナーを調製した。
(成分) (%)
CCE(20) 0.5
ステアリルアルコール 4.0
高重合ジメチルシロキサン *1 4.0
塩化セチルトリメチルアンモニウム 5.0
pH調製剤 適量
精製水 バランス
計 100.0
*1:東レ・ダウコーニング株式会社製;BY22−060(有効分60%)を6.7%添加
実施例1で用いたプレーンシャンプーで洗浄した毛束を35〜40℃の温水で十分に湿らせた後、毛束の水を切り、ドライヤーの温風で乾燥させ、櫛で毛束を整えた。この毛束の毛先に実施例72のヘアコンディショナー0.1gを塗布し、なじませた。室温で乾燥後、毛束の官能評価を行った。
このヘアコンディショナーにより、乾燥後の毛髪に良好なコートを付与できた。
本発明のコンディショニング剤組成物は、毛髪に塗布した時の存在感、すすぎ時の柔らかさ、すすぎ時のすべり性とその持続感、乾燥後のコート感を付与することができる。

Claims (8)

  1. カチオン性基含有セルロースエーテル(A)、非イオン性界面活性剤及び陽イオン性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤(B)、及び油剤(C)を含有する毛髪用コンディショニング剤組成物であって、該カチオン性基含有セルロースエーテル(A)が、下記一般式(1)で表されるアンヒドログルコース由来の主鎖を有し、該アンヒドログルコース単位あたりのカチオン化オキシアルキレン基の置換度が0.01以上1.0以下であり、グリセロール基の置換度が0.5以上5.0以下であり、かつ下記一般式(6)〜(8)で表される、炭素数3以上18以下の炭化水素基を含有する基の置換度が0.0001以上0.3以下である毛髪用コンディショニング剤組成物。
    Figure 2014131991
    (式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、下記一般式(2)〜(8)から選ばれる1種以上の構造単位からなる置換基、又は水素原子を示す。nはアンヒドログルコース由来の主鎖の平均重合度を示し、100以上12000以下の数である。)
    Figure 2014131991
    (式中、式(2)又は(3)で表される構造単位はカチオン化オキシアルキレン基を示し、式(4)又は(5)で表される構造単位はグリセロール基を示し、式(6)〜(8)で表される構造単位は炭素数3以上18以下の炭化水素基を含有する基を示す。R4〜R9は、それぞれ独立に炭素数1以上3以下の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、X-及びY-はアニオンを示し、r及びsは0以上3以下の整数である。R10、R11は、それぞれ独立に炭素数1以上16以下の直鎖又は分岐のアルキル基、又は炭素数2以上16以下の直鎖又は分岐のアルケニル基を示す。R12は炭素数3以上18以下の、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、又はアリール基を示し、pは0又は1の整数を示す。式(2)〜(7)で表される構造単位において、酸素原子は、水素原子又は前記構造単位の炭素原子と結合している。)
  2. カチオン性基含有セルロースエーテル(A)のカチオン電荷密度が0.05mmol/g以上2.0mmol/g以下である、請求項1に記載の毛髪用コンディショニング剤組成物。
  3. カチオン性基含有セルロースエーテル(A)の含有量が0.01質量%以上10質量%以下である、請求項1又は2に記載の毛髪用コンディショニング剤組成物。
  4. 界面活性剤(B)に対するカチオン性基含有セルロースエーテル(A)の質量比が0.0002以上10以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の毛髪用コンディショニング剤組成物。
  5. 界面活性剤(B)の含有量が0.01質量%以上10質量%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の毛髪用コンディショニング剤組成物。
  6. 油剤(C)の含有量が0.01質量%以上30質量%以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の毛髪用コンディショニング剤組成物。
  7. 油剤(C)がエステル油、シリコーン油、エーテル油、炭化水素油、高級アルコール、及び水酸基が置換していてもよい炭素数17以上23以下の炭化水素基を有するカルボン酸から選ばれる1種以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の毛髪用コンディショニング剤組成物。
  8. 洗浄剤組成物を用いて毛髪を洗浄した後、請求項1〜7のいずれかに記載の毛髪用コンディショニング剤組成物を毛髪に適用する、毛髪のコンディショニング方法。
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