JP6259716B2 - カチオン化グリセロール化セルロースの製造方法 - Google Patents

カチオン化グリセロール化セルロースの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、カチオン化グリセロール化セルロースの製造方法に関する。
毛髪化粧料には、特にコンディショニング効果を付与するためにセルロース誘導体を配合することが知られている。セルロース誘導体の1種であるセルロースエーテルは、エポキシ化合物とアルカリ触媒等を用いて原料セルロースのエーテル化反応を行うことにより製造することができる。
特許文献1には、毛髪化粧料等に配合して、すべり性、しっとり感、柔らかさ、保湿感を付与することを目的として、アンヒドログルコース由来の主鎖を有し、かつ該アンヒドログルコース単位あたりのカチオン化アルキレンオキシ基の置換度が0.01〜0.18であり、グリセロール基の置換度が0.5〜5.0である、特定構造のカチオン化グリセロール化セルロース及びその製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、レオロジー改質剤として用いた際のレオロジー特性の改善等を目的とした、セルロース主鎖上に均一に分布しているヒドロキシエチル基を有するヒドロキシエチルセルロース(HEC)を含み、非置換の三量体の比率が約0.21未満であり、水への溶解度が約90%より大きく、該ヒドロキシエチルのモル置換度が約0.7より大きく、約1.3未満である組成物が開示されている。
特許文献3には、アルコール類および水に対して優れた溶解性を有するヒドロキシプロピルセルロースを製造することを目的として、セルロースをアルカリ水溶液で処理して得られるアルカリセルロースを酸化プロピレンでエーテル化させる際に、セルロース100重量部に対して100〜700重量部の親水性有機溶媒の存在下に、酸化プロピレンの全添加量の20〜80%を添加してエーテル化反応させた後、アルカリセルロース中のアルカリ量の20〜90%を中和し、引き続き、全添加量の80〜20%の酸化プロピレンを添加してエーテル化反応させることを特徴とするヒドロキシプロピルセルロースの製造法が開示されている。
国際公開第2013/137474号 特表2008−536959号公報 特開2000−186101号公報
近年においては、カラーリング等によるダメージの強い毛髪に対して、毛髪すすぎ時のすべり性やその持続感、コート感等が非常に高い毛髪化粧料が求められている。そして、毛髪化粧料にコンディショニング効果を付与できるセルロース誘導体においても、このような高いすべり性やその持続感、コート感を発現しうるものを効率よく得ることが望まれる。
本発明は、毛髪洗浄剤等の毛髪化粧料に配合すると、毛髪すすぎ時に優れたすべり性とその持続感、並びにコート感を付与できるカチオン化グリセロール化セルロースを効率的に製造することができる方法、及び、該方法で得られたカチオン化グリセロール化セルロースを含有する毛髪化粧料組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、カチオン化グリセロール化セルロースを特定の方法によって製造することにより、毛髪洗浄剤等の毛髪化粧料に配合すると、毛髪すすぎ時に優れたすべり性とその持続感、並びにコート感を付与できるカチオン化グリセロール化セルロースを得ることができ、及び当該カチオン化グリセロール化セルロースを含有する毛髪化粧料組成物により、上記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]及び[2]を提供する。
[1]セルロース及びセルロース誘導体から選ばれる原料セルロースと、少なくともグリシドール及びカチオン化剤とを反応させて得られるカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法であって、下記工程1〜工程3を有する、カチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
工程1:原料セルロースとグリシドールとを、該原料セルロース中のアンヒドログルコース単位1モルあたり0.9モル当量超1.6モル当量以下の塩基化合物の存在下、該原料セルロースのセルロース部分に対して10質量%以上200質量%以下の溶媒中で反応させて、グリセロール化セルロースを含む反応混合物1を得る工程
工程2:工程1で得られた反応混合物1と酸とを混合して、塩基化合物の量を原料セルロース中のアンヒドログルコース単位1モルあたり0.1モル当量以上0.9モル当量以下に調整し、原料セルロースとグリシドールとを更に反応させる工程
工程3:工程2の後にカチオン化剤を添加して反応させ、カチオン化グリセロール化セルロースを得る工程
[2]上記[1]に記載の製造方法で得られたカチオン化グリセロール化セルロース、界面活性剤、及び水を含有する毛髪化粧料組成物。
本発明によれば、毛髪洗浄剤等の毛髪化粧料に配合すると、毛髪すすぎ時における優れたすべり性とその持続感、並びにコート感を付与することができるカチオン化グリセロール化セルロースを効率よく製造することができる。そのため、当該カチオン化グリセロール化セルロースを配合した組成物は、毛髪化粧料として好適に使用することができる。
[カチオン化グリセロール化セルロースの製造方法]
本発明のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう)は、セルロース及びセルロース誘導体から選ばれる原料セルロース(以下、単に「原料セルロース」ともいう)と、少なくともグリシドール及びカチオン化剤とを反応させて得られるカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法であって、下記工程1〜工程3を有することを特徴とする。
工程1:原料セルロースとグリシドールとを、該原料セルロース中のアンヒドログルコース単位1モルあたり0.9モル当量超1.6モル当量以下の塩基化合物の存在下、該原料セルロースのセルロース部分に対して10質量%以上200質量%以下の溶媒中で反応させて、グリセロール化セルロースを含む反応混合物1を得る工程
工程2:工程1で得られた反応混合物1と酸とを混合して、塩基化合物の量を原料セルロース中のアンヒドログルコース単位1モルあたり0.1モル当量以上0.9モル当量以下に調整し、原料セルロースとグリシドールとを更に反応させる工程
工程3:工程2の後にカチオン化剤を添加して反応させ、カチオン化グリセロール化セルロースを得る工程
なお本発明において「カチオン化グリセロール化セルロース」とは、カチオン性基とグリセロール基とを少なくとも有するセルロースをいう。後述するように、当該カチオン化グリセロール化セルロースは疎水変性されたものでもよい。
本発明の製造方法により、毛髪洗浄剤等の毛髪化粧料に配合した際に、毛髪すすぎ時におけるすべり性とその持続感、並びにコート感(以下、これらを「すすぎ感」ともいう)に優れるカチオン化グリセロール化セルロース(以下「CGC」ともいう)が得られる理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明の製造方法では、まず、原料セルロースとグリシドールとを、特定量の塩基化合物及び少量の溶媒存在下で、固相状態で反応させる(工程1)。その反応中に酸を混合して塩基化合物の有効量を減少させ(工程2)、更にカチオン化剤を反応させてCGCを得る(工程3)、という各工程を有するものである。
上記製造方法では、工程1において最初に比較的多い量の塩基化合物が存在するため、原料セルロースのグリセロール化が促進され、原料セルロース表面を短時間でグリセロール化することができる。次に工程2で酸を混合して、工程1で得られた反応混合物中の塩基化合物の一部を中和することにより、セルロース表面の塩基化合物が減少し、塩基化合物によりアルコラート化された部位の一部が水酸基となる。グリシドールは水酸基を有し、親水的であるため、このように水酸基化された部位からセルロース内部に浸透しやすい。このため、工程2を行うことでグリセロール化が均一に進行するものと考えられる。更に、この状態で工程3のカチオン化反応を行うと、グリセロール化された部位からセルロース内部へカチオン化剤が浸透し、均一にカチオン化されたCGCが得られるものと考えられる。
このようにして得られたCGCは、カチオン性基が偏ることなく均一に分布しているため、毛髪洗浄剤等の毛髪化粧料に配合すると、毛髪を洗浄した後にもアニオン性を有する毛髪表面に分子単位で残留すると考えられ、毛髪すすぎ時のすべり性やその持続感、コート感を付与することができるものと考えられる。
本発明の製造方法は、毛髪化粧料に配合した際のすすぎ感に優れるCGCを得る観点から、更に、工程4として、疎水性基導入剤を添加して反応させる工程を有することが好ましい。工程4は本発明の製造方法のいずれの段階で行ってもよいが、工程1の前、又は工程2と工程3との間に工程4を有することが好ましく、工程2と工程3との間に工程4を有することがより好ましい。
当該疎水性基導入剤としては、上記効果を得る観点から、炭素数3以上のヒドロキシアルキル部位及び炭素数3以上のオキシアルキレン部位から選ばれる1種以上の疎水性部位を有する導入剤が好ましく、後述する炭素数3以上18以下の炭化水素基を含有する基の導入剤がより好ましい。
<原料セルロース>
本発明で用いる原料セルロースは、セルロース及びセルロース誘導体から選ばれるものであり、セルロースが好ましい。まず、原料セルロースとして用いられるセルロースについて説明する。
〔セルロース〕
原料セルロースとして用いられる上記セルロースの種類に特に制限はないが、セルロース純度、重合度、及び入手の容易さの観点から、各種木材チップ;木材から製造されるウッドパルプ、綿の種子の周囲の繊維から得られるコットンリンターパルプ等のパルプ類が好ましい。
上記セルロースの平均重合度は、毛髪化粧料に配合した際のすすぎ感に優れるCGCを得る観点から、好ましくは100以上、より好ましくは200以上、更に好ましくは500以上、より更に好ましくは1,000以上であり、同様の観点から、好ましくは12,000以下、より好ましくは10,000以下、更に好ましくは5,000以下、より更に好ましくは2,500以下である。なお、本発明において平均重合度とは、実施例に記載の銅−アンモニア法等により測定される粘度平均重合度をいう。
セルロースの形状は、製造装置内への導入に支障がない限り特に限定されないが、操作上の観点から、シート状、ペレット状又はチップ状や、粉末状であることが好ましく、チップ状又は粉末状がより好ましく、粉末状が更に好ましい。
粉末状のセルロースは、上記パルプ類などのセルロースを粉砕して得ることができる。セルロースの粉砕に用いられる粉砕機に特に制限はなく、セルロースを粉末化できる装置であればよい。
粉砕機の具体例としては、高圧圧縮ロールミルや、ロール回転ミル等のロールミル、リングローラーミル、ローラーレースミル又はボールレースミル等の竪型ローラーミル、転動ボールミル、振動ボールミル、振動ロッドミル、振動チューブミル、遊星ボールミル又は遠心流動化ミル等の容器駆動媒体ミル、塔式粉砕機、攪拌槽式ミル、流通槽式ミル又はアニュラー式ミル等の媒体攪拌式ミル、高速遠心ローラーミルやオングミル等の圧密せん断ミル、乳鉢、石臼、マスコロイダー、フレットミル、エッジランナーミル、ナイフミル、ピンミル、カッターミル等が挙げられる。
これらの中では、セルロースの粉砕効率、及び生産性の観点から、容器駆動式媒体ミル又は媒体攪拌式ミルが好ましく、容器駆動式媒体ミルがより好ましく、振動ボールミル、振動ロッドミル又は振動チューブミル等の振動ミルが更に好ましく、振動ロッドミルがより更に好ましい。粉砕方法としては、バッチ式、連続式のどちらでもよい。
粉砕に用いる装置又は媒体の材質に特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレス、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素、ガラス等が挙げられるが、セルロースの粉砕効率の観点から、鉄、ステンレス、ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素が好ましく、更に工業的な利用の観点から、特に鉄又はステンレスが好ましい。
セルロースの粉砕効率の観点から、用いる装置が振動ミルであって、媒体がロッドの場合には、ロッドの外径としては、粉砕効率の観点から好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上であり、好ましくは100mm以下、より好ましくは50mm以下である。
ロッドの充填率は、振動ミルの機種により好適な範囲が異なるが、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上であり、好ましくは97%以下、より好ましくは95%以下である。充填率がこの範囲内であれば、セルロースとロッドとの接触頻度が向上するとともに、媒体の動きを妨げずに、粉砕効率を向上させることができる。ここで充填率とは、振動ミルの攪拌部の容積に対するロッドの見かけの体積をいう。
セルロース粉砕時の水分量は、少ない方が好ましく、粉砕時の水分量の下限はセルロースに対して0質量%であるが、水分を0質量%にすることは困難である。よって該水分量はセルロースに対して0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。また、粉砕時の水分量は、セルロースに対して10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることが更に好ましい。
また、セルロースの反応活性の向上の観点から、セルロースの粉砕は塩基化合物の存在下で行うこともできる。塩基化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン類等が挙げられる。これらの中ではアルカリ金属水酸化物、又はアルカリ土類金属水酸化物が好ましく、アルカリ金属水酸化物がより好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが更に好ましい。これらの塩基化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
粉砕時に塩基化合物を用いる場合には、該塩基化合物の量は、セルロースの反応活性の向上の観点から、セルロース中のアンヒドログルコース単位(以下「AGU」ともいう)1モルに対して、0.6モル当量以上が好ましく、0.7モル当量以上がより好ましく、0.8モル当量以上が更に好ましい。同様の観点から、粉砕時の塩基化合物の量は、1.5モル当量以下が好ましく、1.3モル当量以下がより好ましく、1.2モル当量以下が更に好ましい。
塩基化合物の添加方法に特に限定はなく、一括添加でも、分割添加でもよい。
塩基化合物を添加する際の形態に特に制限はないが、粉砕効率の観点から、固体であることが好ましい。塩基化合物を固体の状態で添加する場合、製造時の取り扱い性の観点、及び塩基化合物をセルロース中に均一に分散させる観点から、塩基化合物はペレット状、粒状又は粉末状であることが好ましく、ペレット状又は粒状であることがより好ましい。
セルロース粉砕時の温度に特に限定はないが、セルロースの分解抑制の観点、及び操作コストの観点から、−100℃以上が好ましく、0℃以上がより好ましく、30℃以上が更に好ましく、200℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましく、70℃以下が更に好ましい。
粉砕の時間は、セルロースが粉末化されるよう、適宜調整すればよい。粉砕の時間は、用いる粉砕機や使用するエネルギー量等によって変わるが、通常1分以上、12時間以下であり、十分な粉砕を行う観点から、3分間以上が好ましく、4分間以上がより好ましく、5分間以上が更に好ましく、また生産性の観点から、3時間以下が好ましく、1時間以下がより好ましく、20分間以下が更に好ましい。
〔セルロース誘導体〕
原料セルロースとして用いられるセルロース誘導体としては、毛髪化粧料に配合した際のすすぎ感に優れるCGCを得る観点から、上記セルロースに疎水性基を導入した疎水変性セルロースが好ましいものとして挙げられる。疎水変性セルロースは、上記効果を得る観点から、炭素数3以上のヒドロキシアルキル部位及び炭素数3以上のオキシアルキレン部位から選ばれる1種以上の疎水性部位を有するセルロースが好ましい。上記観点から、当該疎水性部位の炭素数は、好ましくは4以上であり、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは12以下、より更に好ましくは8以下、より更に好ましくは7以下、より更に好ましくは6以下である。
毛髪化粧料に配合した際のすすぎ感に優れるCGCを得る観点から、本発明に用いる疎水変性セルロースは、下記一般式(1)で表され、かつ下記一般式(2)〜(4)で表される、炭素数3以上18以下の炭化水素基を含有する基(以下、「炭化水素基含有基」ともいう)の置換度が0.0001以上0.2以下のセルロースであることがより好ましい。炭化水素基含有基の好ましい炭素数は、上記疎水性部位の好ましい炭素数と同じである。
当該疎水変性セルロースは、工程1の前に工程4を行うことで得られる。すなわち、工程1の前に、工程4として、前述したセルロースと、疎水性基導入剤として炭化水素基含有基の導入剤とを反応させる工程を行うことにより得ることができる。工程4については後述する。
Figure 0006259716
(一般式(1)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、下記一般式(2)〜(4)から選ばれる1種以上の構造単位からなる置換基、又は水素原子を示す。nはアンヒドログルコース由来の主鎖の平均重合度を示し、100以上12,000以下の数である。)
Figure 0006259716
(一般式(1)中、一般式(2)〜(4)で表される構造単位は炭素数3以上18以下の炭化水素基を含有する基を示す。R4、R5は、それぞれ独立に炭素数1以上16以下の直鎖又は分岐のアルキル基、又は炭素数2以上16以下の直鎖又は分岐のアルケニル基を示す。R6は炭素数3以上18以下の、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、又はアリール基を示し、pは0又は1の整数を示す。一般式(2)及び(3)で表される構造単位において、酸素原子は、水素原子又は前記一般式(2)〜(4)のいずれかで表される構造単位の炭素原子と結合している。)
≪置換基R1、R2及びR3
前記一般式(1)において、置換基R1が、式(2)〜(4)から選ばれる1種以上の構造単位からなる置換基である場合、置換基R1は、式(2)〜(4)から選ばれる複数の構造単位からなる置換基であってもよいし、式(2)及び(3)から選ばれるただ1つの構造単位の酸素原子に、水素原子が結合した置換基、あるいは式(4)の構造単位のみからなる置換基であってもよい。
また、置換基R1が、式(2)及び(3)から選ばれる複数の構造単位からなる置換基である場合、構造単位同士は、一方の構造単位の酸素原子と他方の構造単位の炭素原子とで結合しており、他の構造単位の炭素原子と結合していない酸素原子、例えば置換基の末端に位置する酸素原子は、水素原子又は式(4)の構造単位と結合している。
また、構造単位の組み合わせに特に限定はなく、式(2)及び(3)から選ばれる1種の構造単位が複数結合していてもよいし、式(2)〜(4)から選ばれる2種以上の構造単位が結合していてもよい。一般式(1)中、R1が2種以上の構造単位を有する置換基である場合、結合様式は、ブロック結合、ランダム結合、又は交互結合のいずれであってもよい。
置換基R1が式(2)〜(4)から選ばれる1種以上の構造単位からなる置換基である場合、その末端の炭素原子は、アンヒドログルコース由来の主鎖の水酸基の酸素原子に結合している。
なお、置換基R1が式(2)〜(4)から選ばれる1種以上の構造単位からなる置換基である場合、該置換基は本発明の効果を損なわない範囲であれば、式(2)〜(4)から選ばれる構造単位以外の構造単位を含んでいてもよい。
置換基R2が式(2)〜(4)から選ばれる1種以上の構造単位からなる置換基である場合の該置換基の態様は、前述の置換基R1が式(2)〜(4)から選ばれる1種以上の構造単位からなる置換基である場合の態様と同様である。
置換基R3が式(2)〜(4)から選ばれる1種以上の構造単位からなる置換基である場合の該置換基の態様は、前述の置換基R1が式(2)〜(4)から選ばれる1種以上の構造単位からなる置換基である場合の態様と同様である。
置換基R1、R2、及びR3はそれぞれ独立であり、互いに同一でもよく異なっていてもよい。
本発明において、炭素数3以上18以下の炭化水素基を含有する基とは、前記一般式(2)〜(4)で表される構造単位をいう。原料セルロースであるセルロース誘導体が該構造単位を有することで、特に毛髪化粧料に配合した際のすすぎ感に優れるCGCを得ることができる。
炭素数3以上18以下の炭化水素基を含有する基としては、毛髪化粧料に配合した際のすすぎ感に優れるCGCを得る観点から、前記一般式(2)及び(3)で表される構造単位から選ばれる1種以上の構造単位が好ましい。
前記式(2)及び(3)において、R4、R5は、それぞれ独立に炭素数1以上16以下の直鎖又は分岐のアルキル基、又は炭素数2以上16以下の直鎖又は分岐のアルケニル基であり、よって、前記式(2)及び(3)は、炭素数3以上18以下の炭化水素基を含有している。R4、R5の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−へキセニル基、2−へキセニル基、1−ヘプテニル基、2−ヘプテニル基、オクテニル基等が挙げられる。
これらの中では、毛髪化粧料に配合した際に、すすぎ感に優れるCGCを得る観点から、炭素数1以上14以下のアルキル基又は炭素数2以上14以下のアルケニル基が好ましく、炭素数1以上10以下のアルキル基又は炭素数2以上10以下のアルケニル基がより好ましく、炭素数1以上7以下のアルキル基又は炭素数2以上7以下のアルケニル基が更に好ましく、炭素数1以上5以下のアルキル基又は炭素数2以上5以下のアルケニル基が更に好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基又は炭素数2以上4以下のアルケニル基がより更に好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基がより更に好ましく、メチル基又はエチル基がより更に好ましく、エチル基がより更に好ましい。
また、前記式(4)において、R6は炭素数3以上18以下の、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、又はアリール基であり、その具体例としては、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−へキセニル基、2−へキセニル基、1−ヘプテニル基、2−ヘプテニル基、フェニル基、メチルフェニル基、及びベンジル基等が挙げられる。これらの中では、毛髪化粧料に配合した際のすすぎ感に優れるCGCを得る観点から、炭素数3以上6以下の、アルキル基、アルケニル基、及びフェニル基から選ばれる1種以上が好ましく、炭素数3以上6以下の、アルキル基及びアルケニル基から選ばれる1種以上がより好ましく、炭素数3以上6以下のアルキル基が更に好ましい。
≪炭素数3以上18以下の炭化水素を含有する基の置換度≫
上記一般式(1)で表される疎水変性セルロースの、炭素数3以上18以下の炭化水素を含有する基の置換度(以下、「MS(HC)」ともいう)とは、当該疎水変性セルロース中に存在する、前記式(2)〜(4)で表される炭素数3以上18以下の炭化水素を含有する基の数の、主鎖を構成するアンヒドログルコース単位1つあたりに対する平均値をいう。MS(HC)は、後述の実施例に記載の方法により測定され、算出される。
上記一般式(1)で表される疎水変性セルロースのMS(HC)は、好ましくは0.0001以上0.2以下である。MS(HC)がこの範囲であれば、毛髪化粧料に配合した際のすすぎ感に優れるカチオン化グリセロール化セルロースを得ることができる。この観点から、MS(HC)はより好ましくは0.0005以上、更に好ましくは0.001以上、より更に好ましくは0.005以上、より更に好ましくは0.01以上、より更に好ましくは0.02以上である。上記観点及び製造コストの観点から、MS(HC)はより好ましくは0.15以下、更に好ましくは0.10以下、より更に好ましくは0.08以下、より更に好ましくは0.06以下、より更に好ましくは0.04以下である。
次に、本発明の製造方法における各工程について説明する。
(工程1)
工程1は、上記原料セルロースとグリシドールとを、該原料セルロース中のアンヒドログルコース単位1モルあたり0.9モル当量超1.6モル当量以下の塩基化合物の存在下、該原料セルロースのセルロース部分に対して10質量%以上200質量%以下の溶媒中で反応させて、グリセロール化セルロースを含む反応混合物1を得る工程である。
工程1では、所定量の塩基化合物及び溶媒を用いることで、原料セルロースとグリシドールとの反応が速やかに進行するため、グリセロール化セルロースを含む反応混合物1を効率よく得ることができる。
工程1で用いる塩基化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン類等が挙げられる。これらの中では、グリセロール化反応の反応速度の観点から、アルカリ金属水酸化物、又はアルカリ土類金属水酸化物が好ましく、アルカリ金属水酸化物がより好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが更に好ましい。これらの塩基化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
塩基化合物の添加方法に特に限定はなく、一括添加でも、分割添加でもよい。また当該塩基化合物は固体状態で添加してもよく、水溶液としてから添加してもよい。
工程1で用いられる塩基化合物の量は、原料セルロース中のAGU1モルあたり0.9モル当量超1.6モル当量以下である。塩基化合物の量がAGU1モルあたり0.9モル当量以下であると、原料セルロースが十分に活性化されないため、初期に反応が十分に進行せず、反応が不均一になり、得られるカチオン化グリセロール化セルロースのすすぎ感が悪化する。また塩基化合物の量が原料セルロース中のAGU1モルあたり1.6モル当量を超えると、反応が速く進行しすぎるため、反応が原料セルロース表面のみにて進行し、得られるCGCのすすぎ感が悪化する。
上記観点から、工程1で用いられる塩基化合物の量は、原料セルロース中のAGU1モルあたり、好ましくは0.95モル当量以上、より好ましくは1.0モル当量以上、更に好ましくは1.1モル当量以上であり、また、好ましくは1.5モル当量以下、より好ましくは1.3モル当量以下、更に好ましくは1.2モル当量以下である。
工程1で用いられる溶媒としては、有機溶剤及び水から選ばれる1種以上が挙げられ、原料セルロース粉末の分散性と反応性の観点から、水であることが好ましい。有機溶剤としては、グリシドールを溶解できる有機溶剤が好ましく、例えば、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等の2級又は3級の炭素数3以上4以下の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の炭素数3以上6以下のケトン;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル;ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤等が挙げられる。中でも、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、及びイソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等の2級又は3級の炭素数3以上4以下の低級アルコールが好ましく、具体的にはテトラヒドロフラン、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコールがより好ましい。
また工程1における溶媒は、反応を均一に生じさせ、得られるCGCのすすぎ感を向上させる観点から、水に対する有機溶剤の質量比(有機溶剤/水)が好ましくは0以上10以下であり、より好ましくは0以上6以下、更に好ましくは0以上4以下、より更に好ましくは0以上1以下、より更に好ましくは0以上0.5以下、より更に好ましくは0以上0.1以下である。
工程1における溶媒の使用量は、原料セルロースのセルロース部分に対して10質量%以上200質量%以下である。工程1における溶媒の使用量が原料セルロースのセルロース部分に対し10質量%未満であると、溶媒が少なすぎるため、原料セルロースに対してグリシドールが均一に反応せず、得られるCGCのすすぎ感が悪化する。また200質量%を超えると、原料セルロース及びグリシドールの分散効率が低下するため、原料セルロースに対してグリシドールが均一に反応せず、得られるCGCのすすぎ感が悪化する。上記観点から、工程1における溶媒の使用量は、原料セルロースのセルロース部分に対して、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、より更に好ましくは50質量%以上であり、好ましくは180質量%以下、より好ましくは150質量%以下、更に好ましくは120質量%以下である。
なお、「原料セルロースのセルロース部分に対して」とは、原料セルロースとしてセルロース(誘導体としていないセルロース)を用いる場合は、「原料セルロースに対して」、原料セルロースとしてセルロース誘導体を用いる場合には、「誘導体とする前のセルロースに対して」を意味する。特にセルロース誘導体として、疎水変性セルロースを用いる場合には、「疎水性基を導入する前のセルロースに対して」を意味する。
工程1における溶媒中、水が原料セルロースのセルロース部分に対して10質量%以上100質量%以下であることが好ましい。工程1における溶媒中の水の量が上記範囲であることにより、適度な溶媒量でかつ原料セルロース及びグリシドールの分散の効率も良好となり、原料セルロースに対してグリシドールが均一に反応し、得られるCGCのすすぎ感が向上する。同様の観点から、工程1における溶媒中の水の量は、原料セルロースのセルロース部分に対して、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは25質量%以上であり、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下、より更に好ましくは60質量%以下である。
また工程1における溶媒が有機溶剤を含む場合には、該溶媒中、有機溶剤が原料セルロースのセルロース部分に対して10質量%以上100質量%以下であることが好ましい。工程1における溶媒中の有機溶剤の量が上記範囲であることにより、適度な溶媒量でかつ分散の効率も良好となり、原料セルロースに対してグリシドールが均一に反応し、得られるCGCのすすぎ感が向上する。上記観点から、工程1における溶媒中の有機溶剤の量は、原料セルロースのセルロース部分に対して、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、より更に好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
工程1におけるグリシドールの使用量は、得られるCGCのグリセロール基の置換度が所望の範囲となる量であれば特に制限はないが、原料セルロース中のAGU1モルあたり、0.2モル以上が好ましく、0.4モル以上がより好ましく、0.6モル以上が更に好ましく、30モル以下が好ましく、15モル以下がより好ましく、10モル以下が更に好ましく、5モル以下がより更に好ましく、2モル以下がより更に好ましく、1.5モル以下がより更に好ましい。
グリシドールの添加方法は、一括、間欠、連続のいずれでもよいが、反応収率を高める観点から、連続添加が好ましい。
工程1において、原料セルロース、グリシドール、塩基化合物、及び溶媒の添加順序については特に制限はないが、原料セルロースを活性化させた後に効率よくグリセロール化反応を行う観点から、初めに原料セルロース、塩基化合物、及び溶媒を混合して加熱条件下で攪拌し、その後に、グリシドールを添加することが好ましい。
上記加熱温度は、原料セルロースを活性化させる観点から、40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。また生産性の観点から、100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。混合物の攪拌時間は、原料セルロースを活性化させる観点から、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上であり、生産性の観点から、好ましくは5時間以下、より好ましくは3時間以下である。
工程1で用いる装置としては、撹拌が可能なレディゲミキサー等のミキサーや、粉体、高粘度物質、樹脂等の混錬に用いられる、いわゆるニーダー等の混合機を挙げることができる。
工程1において、原料セルロースとグリシドールとを反応させる際の反応温度には特に制限はないが、反応速度の観点から、0℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、30℃以上が更に好ましい。また、グリシドールの分解抑制の観点から、200℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましく、80℃以下が更に好ましい。
反応時間は、所望のグリセロール基の導入量等により適宜調整すればよい。反応時間は、グリシドールの添加を開始してから、通常0.1時間以上、12時間以下であり、反応収率の観点から、0.2時間以上が好ましく、0.5時間以上がより好ましく、1時間以上が更に好ましく、生産性の観点から、8時間以下が好ましく、5時間以下がより好ましく、3時間以下が更に好ましい。
以上の工程1を行うことにより、グリセロール化セルロースを含む反応混合物1を得る。なお、工程1の反応は、着色、及びアンヒドログルコース由来の主鎖の分子量低下を抑制する観点から、必要に応じて窒素等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
(工程2)
工程2は、工程1で得られた反応混合物1と酸とを混合して、塩基化合物の量を原料セルロース中のアンヒドログルコース単位1モルあたり0.1モル当量以上0.9モル当量以下に調整し、原料セルロースとグリシドールとを更に反応させる工程である。工程2を行うことにより、工程1で得られた反応混合物中の塩基化合物の一部が中和されてセルロース表面の塩基化合物が減少し、塩基化合物によりアルコラート化された部位の一部が水酸基となる。このため、親水性のグリシドールがセルロース内部に浸透しやすくなり、グリセロール化が均一に進行するものと考えられる。更に、その後の工程3のカチオン化反応も均一に進行するものと考えられる。
<酸>
工程2で用いる酸は、反応混合物1中の塩基化合物の一部を中和して所望の量に調整することができれば、特に制限なく用いることができる。工程2では、有機酸及び無機酸のいずれも用いることができるが、溶媒への溶解性の点から、有機酸が好ましく、局所的な反応を抑制する観点から、弱酸であることがより好ましい。
当該有機酸としては、酢酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、及びアジピン酸から選ばれる1種以上が好ましく、酢酸及び乳酸から選ばれる1種以上がより好ましく、酢酸が更に好ましい。
工程2における酸の使用量は、塩基化合物の量を原料セルロース中のアンヒドログルコース単位1モルあたり0.1モル当量以上0.9モル当量以下に調整できる量であり、塩基化合物の種類及び量、並びに酸の種類により適宜選択することができる。
本発明の効果を得る観点から、工程2における、反応混合物1と酸とを混合した後の塩基化合物の量(以下、「有効塩基化合物量」ともいう)は、原料セルロース中のアンヒドログルコース単位1モルあたり、0.1モル当量以上、好ましくは0.2モル当量以上、より好ましくは0.3モル当量以上、更に好ましくは0.5モル当量以上であり、0.9モル当量以下、好ましくは0.8モル当量以下、より好ましくは0.7モル当量以下である。工程2における有効塩基化合物量が原料セルロース中のAGU1モルあたり0.1モル当量未満であると、原料セルロースのグリセロール化及びその後のカチオン化が均一に行われないため、毛髪化粧料に配合した際のすすぎ感に優れるCGCを得ることができない。また有効塩基化合物量が原料セルロース中のAGU1モルあたり0.9モル当量を超えると、グリセロール化反応及び続くカチオン化反応が速く進行しすぎるため、反応が局所的に進行し、得られるCGCのすすぎ感が悪化する。
なお本発明において、有効塩基化合物量とは、反応混合物1中の塩基化合物の量から、工程2で使用した酸の量を差し引いた量(モル当量)をいう。
反応均一性、及び得られるCGCのすすぎ感の観点から、工程2において、反応混合物1中の塩基化合物量に対する、反応混合物1と酸とを混合した後の塩基化合物量の当量比(反応混合物1と酸とを混合した後の塩基化合物量/反応混合物1中の塩基化合物量)は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上であり、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下、更に好ましくは0.55以下である。
ここで、工程2においては、工程1で得られた反応混合物1と酸との混合と同時に、又は反応混合物1と酸とを混合した後に、更にグリシドールを添加して反応させる工程を有することが好ましい。当該工程を行うことにより、グリセロール化反応及び続くカチオン化反応が均一に進行し、得られるCGCのすすぎ感が向上する。
当該工程を行う場合には、工程1及び工程2で使用するグリシドール量の合計に対する、工程2で使用するグリシドール量の質量比(工程2で使用するグリシドール量/工程1及び工程2で使用するグリシドール量の合計)は、反応を均一に進行させ、得られるCGCのすすぎ感を向上させる観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上、より更に好ましくは0.5以上、より更に好ましくは0.6以上であり、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.9以下、更に好ましくは0.85以下である。
工程2を行う際の温度は、グリセロール化反応を更に進行させる観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは20℃以上、更に好ましくは30℃以上である。また、グリシドールの分解抑制の観点から、好ましくは200℃以下、より好ましくは100℃以下、更に好ましくは80℃以下、更に好ましくは60℃以下である。
工程2の反応時間は、反応混合物1と酸との混合が完了してから、通常0.1時間以上72時間以下であり、反応収率及び生産性の観点から、好ましくは0.2時間以上、より好ましくは0.5時間以上、更に好ましくは1時間以上、より更に好ましくは3時間以上である。また、好ましくは36時間以下、より好ましくは18時間以下、更に好ましくは12時間以下、より更に好ましくは8時間以下である。
なお、工程2は、着色、及びアンヒドログルコース由来の主鎖の分子量低下を抑制する観点から、必要に応じて窒素等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
<グリセロール基の置換度>
毛髪化粧料に配合した際に、すすぎ感に優れるCGCを得る観点から、工程1及び工程2は、得られるCGC中のAGUあたりのグリセロール基の置換度が0.5以上5.0以下となるように行われることが好ましい。当該グリセロール基の置換度は、より好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.8以上、より更に好ましくは1.0以上、より更に好ましくは1.2以上、より更に好ましくは1.5以上である。また、当該置換度は、より好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.5以下、より更に好ましくは3.0以下、より更に好ましくは2.5以下である。当該グリセロール基の置換度を調整する方法としては、グリシドールや塩基化合物の使用量を調整する方法や、溶媒の使用量を調整する方法等が挙げられる。
なお、本発明においてグリセロール基の置換度(以下、「MS(Gly)」ともいう)とは、CGC分子中に存在するグリセロール基の数の、主鎖を構成するアンヒドログルコース単位1つあたりに対する平均値をいう。MS(Gly)は、後述の実施例に記載の方法により測定され、算出される。
(工程3)
工程3は、上記工程2の後にカチオン化剤を添加してグリセロール化セルロースと反応させ、カチオン化グリセロール化セルロースを得る工程である。
<カチオン化剤>
本発明で用いられるカチオン化剤としては、下記一般式(5)又は(6)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0006259716
一般式(5)及び(6)中、R7〜R12は、それぞれ独立に炭素数1以上3以下の直鎖又は分岐のアルキル基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。これらの中では、得られるCGCの水溶性の観点から、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
前記一般式(5)及び(6)において、Q-及びW-は、4級アンモニウムイオンの対イオンであるアニオンを示す。Q-及びW-はアニオンであれば特に限定されず、具体例としては炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、炭素数1以上3以下の脂肪酸イオン、及びハロゲン化物イオン等が挙げられる。
これらの中では、製造の容易さの観点から、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオン、硫酸イオン及びハロゲン化物イオンから選ばれる1種以上が好ましく、ハロゲン化物イオンがより好ましい。ハロゲン化物イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオンが挙げられるが、CGCの水溶性及び化学的安定性の観点から、塩化物イオン、臭化物イオンが好ましく、塩化物イオンがより好ましい。
t及びuは0以上3以下の整数を示す。原料の入手の容易さの観点から、t及びuは1であることが好ましい。
Zはハロゲン原子を示す。R7〜R12は互いに同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(5)又は(6)で表される化合物の具体例としては、グリシジルトリメチルアンモニウム、グリシジルトリエチルアンモニウム、グリシジルトリプロピルアンモニウムのそれぞれ塩化物、臭化物又はヨウ化物や、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリエチルアンモニウム、又は3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリプロピルアンモニウムのそれぞれ塩化物、3−ブロモ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム、3−ブロモ−2−ヒドロキシプロピルトリエチルアンモニウム、又は3−ブロモ−2−ヒドロキシプロピルトリプロピルアンモニウムのそれぞれ臭化物や、3−ヨード−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム、3−ヨード−2−ヒドロキシプロピルトリエチルアンモニウム、又は3−ヨード−2−ヒドロキシプロピルトリプロピルアンモニウムのそれぞれヨウ化物が挙げられる。
これらの中では、原料の入手性及び化学的安定性の観点から、グリシジルトリメチルアンモニウム又はグリシジルトリエチルアンモニウムの塩化物又は臭化物;3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム又は3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリエチルアンモニウムの塩化物;3−ブロモ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム又は3−ブロモ−2−ヒドロキシプロピルトリエチルアンモニウムの臭化物が好ましく、グリシジルトリメチルアンモニウム塩化物及び3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物から選ばれる1種以上がより好ましい。
これらのカチオン化剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、グリシジルトリメチルアンモニウム塩化物及び3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物を併用することが更に好ましい。
使用するカチオン化剤の量は、所望するカチオン性基の置換度と反応収率とを考慮して適宜選択すればよいが、CGCの水溶性、特に毛髪化粧料に配合した際のすすぎ感に優れるCGCを得る観点から、原料セルロース中のAGU1モルに対し、0.01モル以上が好ましく、0.03モル以上がより好ましく、0.05モル以上が更に好ましく、0.1モル以上がより更に好ましい。また、10モル以下が好ましく、8モル以下がより好ましく、5モル以下が更に好ましく、1モル以下がより更に好ましい。
工程3のカチオン化反応は、塩基化合物の存在下、溶媒中で行うことが好ましい。なお工程3に供する、グリセロール化セルロースを含む反応混合物に含まれる塩基化合物及び溶媒をそのまま用いることもできる。
工程3で用いる塩基化合物としては、前述した各工程で用いられる塩基化合物と同様の化合物を用いることができる。中でも、アルカリ金属水酸化物、又はアルカリ土類金属水酸化物が好ましく、アルカリ金属水酸化物がより好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが更に好ましい。これらの塩基化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
工程3における塩基化合物の量は、反応収率の観点から、原料セルロース中のAGU1モルあたり、好ましくは0.1モル当量以上、より好ましくは0.15モル当量以上、更に好ましくは0.2モル当量以上であり、同様の観点から、好ましくは0.6モル当量以下、より好ましくは0.5モル当量以下、更に好ましくは0.4モル当量以下、より更に好ましくは0.3モル当量以下である。
なお、工程3における塩基化合物の量とは、工程3のカチオン化反応時に有効に存在する塩基化合物量をいう。
工程3で用いられる溶媒としては、有機溶剤及び水から選ばれる1種以上が挙げられ、水が好ましい。有機溶剤としては、前述した工程1で用いられるものと同様のものが挙げられる。中でも、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等の2級又は3級の炭素数3以上4以下の低級アルコールが好ましく、イソプロピルアルコールがより好ましい。
また工程3における溶媒は、カチオン化反応を均一に進行させ、得られるCGCのすすぎ感を向上させる観点から、水に対する有機溶剤の質量比(有機溶剤/水)が好ましくは0以上2以下であり、より好ましくは0以上1.5以下、更に好ましくは0以上1.2以下である。
工程3は、カチオン化反応の収率の観点から、原料セルロースのセルロース部分に対して、50質量%以上800質量%以下の溶媒中で行うことが好ましい。上記観点から、当該溶媒の量は、原料セルロースのセルロース部分に対して、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは100質量%以上であり、より好ましくは400質量%以下、更に好ましくは300質量%以下である。
工程3における溶媒中、水が原料セルロースのセルロース部分に対して50質量%以上500質量%以下であることが好ましい。工程3における溶媒中の水の量が上記範囲であることにより、適度な溶媒量でかつ分散の効率も良好となり、カチオン化剤が均一に反応し、得られるCGCのすすぎ感が向上する。上記観点から、工程3における溶媒中の水の量は、原料セルロースのセルロース部分に対して、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは100質量%以上、より更に好ましくは120質量%以上であり、より好ましくは400質量%以下、更に好ましくは300質量%以下、より更に好ましくは200質量%以下である。
また工程3における溶媒が有機溶剤を含む場合には、該溶媒中、有機溶剤が原料セルロースのセルロース部分に対して0質量%超500質量%以下であることが好ましい。工程3における溶媒中の有機溶剤の量が上記範囲であることにより、適度な溶媒量でかつグリセロール化セルロースの分散の効率も良好となり、カチオン化剤が均一に反応し、得られるCGCのすすぎ感が向上する。上記観点から、工程3における溶媒中の有機溶剤の量は、原料セルロースのセルロース部分に対して、より好ましくは400質量%以下、更に好ましくは350質量%以下である。
有機溶剤を水より多く用いる場合には、反応性を向上させる観点から、工程3における溶媒中の有機溶剤の量は、原料セルロースのセルロース部分に対して、好ましくは200質量%以上、より好ましくは300質量%以上である。
有機溶剤を水より少なく用いる場合には、グリセロール化セルロースの分散効率を向上させ、反応性を高める観点から、工程3における溶媒中の有機溶剤の量は、原料セルロースのセルロース部分に対して、好ましくは10質量%以下であり、有機溶剤を用いないことがより好ましい。
カチオン化剤を添加する際の添加方法に特に制限はなく、一括、分割、連続的添加でも、又はこれらの組み合わせでもよい。カチオン化剤を効率的に分散させるという観点からは、カチオン化剤を連続添加又は分割添加することが好ましい。
添加時のカチオン化剤の形態にも特に制限はない。カチオン化剤が液体状態である場合はそのまま用いてもよいし、前記溶媒で希釈した形で用いてもよい。
工程3のカチオン化反応時の温度は、反応速度の観点から、0℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、30℃以上が更に好ましく、カチオン化剤の分解抑制の観点から、200℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましく、80℃以下が更に好ましい。
反応時間は、カチオン化剤の反応速度、所望のカチオン性基の導入量等により適宜調整すればよい。反応時間は通常0.1時間以上、72時間以下であり、反応収率の観点から、0.2時間以上が好ましく、0.5時間以上がより好ましく、1時間以上が更に好ましく、生産性の観点から、36時間以下が好ましく、18時間以下がより好ましく、12時間以下が更に好ましく、8時間以下がより更に好ましい。
なお、カチオン化反応は、着色、及びアンヒドログルコース由来の主鎖の分子量低下を抑制する観点から、必要に応じて窒素等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
<カチオン性基の置換度>
工程3は、得られるCGC中のアンヒドログルコース単位あたりのカチオン性基の置換度が0.01以上1.0以下となるように行うことが好ましい。カチオン性基の置換度が上記範囲となることにより、CGCを毛髪化粧料に配合した際にすすぎ感が向上する。
本発明において、CGCのカチオン性基の置換度(以下、「MS(N+)」ともいう)とは、CGCの分子中に存在するカチオン性基の数の、主鎖を構成するアンヒドログルコース単位1つあたりに対する平均値をいう。MS(N+)は、後述の実施例に記載の方法により測定され、算出される。
本発明の製造方法で得られるCGCのMS(N+)は、上記観点から、より好ましくは0.03以上、更に好ましくは0.06以上、より更に好ましくは0.1以上、より更に好ましくは0.15以上であり、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.3以下、より更に好ましくは0.22以下、より更に好ましくは0.19以下である。
<カチオン電荷密度>
工程3は、得られるCGCのカチオン電荷密度が0.05mmol/g以上2.0mmol/g以下となるように行うことが好ましい。カチオン電荷密度が上記範囲となることにより、毛髪化粧料に配合した際にすすぎ感が向上する。上記観点から、得られるCGCのカチオン電荷密度は、より好ましくは0.1mmol/g以上、更に好ましくは0.2mmol/g以上、より更に好ましくは0.3mmol/g以上、より更に好ましくは0.4mmol/g以上、より更に好ましくは0.45mmol/g以上であり、より好ましくは0.8mmol/g以下、更に好ましくは0.7mmol/g以下、より更に好ましくは0.6mmol/g以下、特に好ましくは0.55mmol/g以下である。
本発明において、CGCのカチオン電荷密度とは、CGC1gあたりに含まれるカチオン電荷のモル数をいい、下記計算式より、算出される。
カチオン電荷密度(mmol/g)=窒素含有量(%)÷14×10
(式中、窒素含有量(%)は実施例記載のケルダール法にて測定される。)
当該カチオン性基の置換度及びカチオン電荷密度を調整する方法としては、カチオン化剤、塩基化合物の使用量を調整する方法や、工程3で用いる溶媒の使用量を調整する方法等が挙げられる。
(工程4)
本発明の製造方法は、更に、工程4として、疎水性基導入剤を添加して反応させる工程を有することが好ましい。工程4は本発明の製造方法のいずれの段階で行ってもよいが、工程1の前、又は工程2と工程3との間に工程4を有することが好ましく、工程2と工程3との間に工程4を有することがより好ましい。
例えば、工程4を工程1の前に行う場合には、工程4は、セルロースと疎水性基導入剤とを反応させる工程である。これによりセルロースに疎水性基が導入された疎水変性セルロースが得られるので、当該疎水変性セルロースを、原料セルロースであるセルロース誘導体として工程1に供するものである。
また、工程4を工程2の後でかつ工程3の前に行う場合には、工程4は、工程2で得られたグリセロール化セルロースと疎水性導入剤とを反応させる工程である。これによりグリセロール化セルロースに疎水性基が導入され、得られた疎水変性グリセロール化セルロースを工程4に供してカチオン化剤と反応させるものである。
工程4を工程3の後に行う場合には、工程4は、工程3で得られたCGCと疎水性導入剤とを反応させて、CGCに疎水性基を導入する工程である。
本発明の製造方法が上記工程4を有すると、最終的に疎水変性されたCGCが得られ、該CGCを毛髪洗浄剤等の毛髪化粧料に配合すると、毛髪すすぎ時におけるより優れたすべり性とその持続感、並びにコート感を付与することができる点で好ましい。
疎水性基導入剤としては、上記効果を得る観点から、炭素数3以上のヒドロキシアルキル部位及び炭素数3以上のオキシアルキレン部位から選ばれる1種以上の疎水性部位を有する導入剤が好ましく、前記式(2)〜(4)のいずれかで表される炭素数3以上18以下の炭化水素を含有する基(炭化水素基含有基)の導入剤がより好ましい。以下、工程4について、疎水性基導入剤として炭化水素基含有基の導入剤を用いた例について説明する。
<炭化水素基含有基の導入剤>
本発明で用いられる炭化水素基含有基の導入剤としては、前記一般式(2)〜(4)のいずれかで表される構造単位を導入できるものであればよい。
前記一般式(2)又は(3)で表される構造単位を導入しうる導入剤としては、下記一般式(7)又は(8)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0006259716
一般式(7)及び(8)中、R13、R14及びその好ましい態様は、前記一般式(2)のR4及び前記一般式(3)のR5と同様である。Aはハロゲン原子を示す。
前記一般式(7)で表される化合物の具体例としては、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシへキサン、1,2−エポキシへプタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2-エポキシウンデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシトリデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシペンタデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシヘプタデカン、1,2−エポキシオクタデカン等が挙げられる。
前記一般式(8)で表される化合物の具体例としては、1−クロロ−2−プロパノール、1−クロロ−2−ブタノール、1−ブロモ−2−ブタノール、1−クロロ−2−ペンタノール、1−クロロ−2−ヘキサノール、1−クロロ−2−ヘプタノール、1−クロロ−2−オクタノール、1−クロロ−2−ノナノール、1−クロロ−2−デカノール、1−クロロ−2−ウンデカノール、1−クロロ−2−ドデカノール、1−クロロ−2−トリデカノール、1−クロロ−2−テトラデカノール、1−クロロ−2−ペンタデカノール、1−クロロ−2−ヘキサデカノール、1−クロロ−2−ヘプタデカノール、1−クロロ−2−オクタデカノール等の炭素数3以上18以下の1−ハロ−2−アルカノールが挙げられる。
これらの中では、反応時に塩の副生がない点、原料の入手の容易性及び化学的安定性の観点から、前記一般式(7)で表される化合物が好ましく、毛髪化粧料に配合した際のすすぎ感に優れるカチオン化グリセロール化セルロースを得る観点から、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,2−エポキシペンタン及び1,2−エポキシへキサンから選ばれる1種以上が好ましく、プロピレンオキシド及び1,2−ブチレンオキシドから選ばれる1種以上がより好ましく、1,2−ブチレンオキシドが更に好ましい。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記一般式(4)で表される構造単位を導入しうる導入剤としては、下記一般式(9)〜(11)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0006259716
一般式(9)〜(11)中、R15、R16、R17、R18及びその好ましい態様は、前記一般式(4)のR6と同様である。q及びその好ましい様態は、前記一般式(4)のpと同様である。Bはハロゲン原子を示す。一般式(11)において、R17及びR18は異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
なお、一般式(10)で表される化合物を用いると、グリセロール基と、前記一般式(4)で表される構造単位(ただし、pは0である)とを同時に導入しうる。
前記一般式(9)で表される化合物の具体例としては、1−塩化プロパン、1−臭化プロパン、1−塩化ブタン、1−臭化ブタン、1−塩化ペンタン、1−臭化ペンタン、1−塩化ヘキサン、1−臭化ヘキサン、1−塩化ヘプタン、1−臭化ヘプタン、1−塩化オクタン、1−塩化デカン、1−塩化ドデカン、1−塩化テトラデカン、1−塩化ヘキサデカン、1−塩化オクタデカン、1−クロロ−3−ブテン、ベンジルクロリド等の炭素数3以上18以下のアルカン、アルケン又はアリールアルカンのハロゲン化物;ブタン酸塩化物、ヘキサン酸塩化物等の炭素数4以上19以下のカルボン酸ハロゲン化物等が挙げられる。これらの中では、炭素数3以上7以下のアルカンのハロゲン化物を用いることが好ましい。
また、前記一般式(10)で表される化合物の具体例としては、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、ヘプチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、及びステアリルグリシジルエーテル等の炭素数3以上18以下のアルキル基を有するグリシジルエーテル;炭素数3以上18以下のアルケニル基を有するグリシジルエーテル;フェニルグリシジルエーテル、トリルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル等が挙げられる。
また、前記一般式(11)で表される化合物の具体例としては、ブタン酸無水物、ヘキサン酸無水物、オクタン酸無水物、デカン酸無水物、ラウリン酸無水物、テトラデカン酸無水物、ステアリン酸無水物等の、炭素数3以上18以下のアルキル基を有するカルボン酸無水物が挙げられる。
これらの中では、原料の入手の容易性及び化学的安定性の観点から、前記一般式(9)又は(10)で表される化合物が好ましく、毛髪化粧料に配合した際のすすぎ感に優れるカチオン化グリセロール化セルロースを得る観点から、炭素数3以上18以下のアルカンのハロゲン化物及び炭素数3以上18以下のアルキル基を有するグリシジルエーテルから選ばれる1種以上が好ましく、炭素数3以上7以下のアルカンのハロゲン化物及び炭素数3以上7以下のアルキル基を有するグリシジルエーテルから選ばれる1種以上がより好ましく、炭素数3以上7以下のアルキル基を有するグリシジルエーテルが更に好ましい。具体的には、1−臭化へキサン、1−塩化オクタン、1−塩化ドデカン、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、及びヘキシルグリシジルエーテルから選ばれる1種以上が好ましく、1−臭化へキサン、1−塩化オクタン、1−塩化ドデカン、プロピルグリシジルエーテル及びブチルグリシジルエーテルから選ばれる1種以上がより好ましく、ブチルグリシジルエーテルが更に好ましい。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
使用する炭化水素基含有基の導入剤の量は、所望するMS(HC)と反応収率とを考慮して適宜選択すればよいが、CGCの水溶性及び本発明の効果の観点から、原料セルロース中のAGU1モルに対し、好ましくは0.01モル以上、より好ましくは0.03モル以上、更に好ましくは0.05モル以上であり、上記観点及び製造コストの観点から、好ましくは2モル以下、より好ましくは1モル以下、更に好ましくは0.5モル以下である。
炭化水素基含有基の導入剤の添加方法は一括、間欠、連続のいずれでもよい。
炭化水素基含有基の導入反応は、塩基化合物の存在下で行うことが好ましい。該反応で用いられる塩基化合物としては、前述の工程で例示した化合物と同様のものが挙げられる。これらの中では、炭化水素基含有基の導入反応の反応速度の観点から、アルカリ金属水酸化物、又はアルカリ土類金属水酸化物が好ましく、アルカリ金属水酸化物がより好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが更に好ましい。これらの塩基化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
塩基化合物の添加方法に特に限定はなく、一括添加でも、分割添加でもよい。当該塩基化合物は固体状態で添加してもよく、水溶液としてから添加してもよい。なお、工程4に供するセルロース粉末又は反応混合物が塩基化合物を含む場合には、新たに塩基化合物を添加することなく、セルロース粉末又は反応混合物中の塩基化合物をそのまま用いてもよい。
炭化水素含有基の導入反応において用いられる塩基化合物の量は、炭化水素基含有基の導入剤の反応選択性の観点から、原料セルロース中のAGU1モルに対して、好ましくは0.1モル当量以上、より好ましくは0.2モル当量以上、更に好ましくは0.5モル当量以上であり、好ましくは2.0モル当量以下、より好ましくは1.3モル当量以下、更に好ましくは1.2モル当量以下である。
炭化水素基含有基の導入剤の添加時の形態にも特に制限はない。炭化水素基含有基の導入剤が液体状態である場合はそのまま用いてもよいし、水や非水溶剤等で希釈した形で用いてもよい。
希釈に用いる非水溶剤としては、一般的に使用されるイソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等の2級又は3級の炭素数3以上4以下の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の炭素数3以上6以下のケトン;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル;ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤等が挙げられる。
炭化水素基含有基の導入反応は、炭化水素基含有基の導入剤の反応収率の観点から、非水溶剤の存在下に行うこともできる。その非水溶剤としては、上記と同じ非水溶剤を用いることができる。
これらの非水溶剤を用いる場合には、その使用量は、非水溶剤の添加効果の観点から、原料セルロースのセルロース部分に対し、好ましくは100質量%以上、より好ましくは1,000質量%以上、更に好ましくは5,000質量%以上であり、生産性及び反応収率の観点から、好ましくは100,000質量%以下、より好ましくは50,000質量%以下、更に好ましくは20,000質量%以下である。
炭化水素基含有基の導入反応に用いる装置としては、前述の工程1で例示した装置と同様のものが挙げられる。
反応時の温度は、反応速度の観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは20℃以上、更に好ましくは30℃以上である。また、炭化水素基含有基の導入剤の分解抑制の観点から、好ましくは200℃以下、より好ましくは100℃以下、更に好ましくは80℃以下である。
反応時間は、炭化水素基含有基の導入剤の反応速度等により適宜調整すればよい。反応時間は通常0.1時間以上72時間以下であり、反応収率及び生産性の観点から、好ましくは0.2時間以上、より好ましくは0.5時間以上、更に好ましくは1時間以上である。また、好ましくは36時間以下、より好ましくは12時間以下、更に好ましくは8時間以下、より更に好ましくは6時間以下である。
なお、炭化水素基含有基の導入反応は、着色、及びアンヒドログルコース由来の主鎖の分子量低下を抑制する観点から、必要に応じて窒素等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
<疎水性基の置換度>
工程4は、得られるCGCの疎水性基の置換度、好ましくは炭化水素基含有基の置換度(MS(HC))が、0.0001以上0.2以下となるように行われることが好ましい。MS(HC)がこの範囲であれば、毛髪化粧料に配合した際のすすぎ感に優れるCGCを得ることができる。この観点から、MS(HC)はより好ましくは0.0005以上、更に好ましくは0.001以上、より更に好ましくは0.005以上、より更に好ましくは0.01以上、より更に好ましくは0.02以上である。上記観点及び製造コストの観点から、MS(HC)はより好ましくは0.15以下、更に好ましくは0.10以下、より更に好ましくは0.08以下、より更に好ましくは0.06以下、より更に好ましくは0.04以下である。
MS(HC)は、後述の実施例に記載の方法により測定され、算出される。
反応終了後は、酸を用いてアルカリを中和することができる。酸としては、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、酢酸、乳酸等の有機酸を用いることができる。
得られたCGCは、必要に応じて、濾過等により分別したり、熱水、含水イソプロピルアルコール、含水アセトン溶媒等で洗浄して未反応のカチオン化剤やグリシドール、カチオン化剤やグリシドール由来の副生物、中和等により副生した塩類を除去したりしてから使用することもできる。その他、精製方法としては、再沈殿精製、遠心分離、透析等一般的な精製方法を用いることができる。
<平均重合度>
本発明の製造方法で得られるCGCの平均重合度は、使用する原料セルロースの平均重合度や、原料セルロースの粉砕等の前処理方法によって異なるが、好ましくは100以上12,000以下である。平均重合度がこの範囲であれば、特に毛髪化粧料に配合した際に優れたすすぎ感が得られる。
前記平均重合度は、特に毛髪化粧料に配合した際に優れたすすぎ感を得る観点から、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、更に好ましくは1,000以上である。また、ハンドリング性の観点から、平均重合度は好ましくは10,000以下、より好ましくは5,000以下、更に好ましくは2,500以下である。
[毛髪化粧料組成物]
本発明の毛髪化粧料組成物は、本発明の製造方法で得られたCGC、界面活性剤、及び水を含有する。
<CGC>
本発明の毛髪化粧料組成物におけるCGCの含有量は、優れたすすぎ感を得る観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。また、毛髪化粧料組成物のハンドリング性の観点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。
<界面活性剤>
本発明の毛髪化粧料組成物は、1種以上の界面活性剤を含有する。
界面活性剤としては、通常、医薬品、医薬部外品、化粧料、トイレタリー、雑貨等で用いられる界面活性剤であればいずれも用いることができる。具体的には、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン界面活性剤、及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上が挙げられる。
本発明の毛髪化粧料組成物がシャンプー等の毛髪洗浄剤組成物である場合は、特に優れたすすぎ感を得る観点から、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上が好ましい。
(陰イオン性界面活性剤)
陰イオン性界面活性剤としては、疎水性部位を有する硫酸エステル塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩、リン酸エステル塩及びアミノ酸塩が好ましい。
具体的には、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の疎水性部位を有する硫酸エステル塩;スルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩、アルカンスルホン酸塩、アシルイセチオネート、アシルメチルタウレート等の疎水性部位を有するスルホン酸塩;炭素数8以上16以下の高級脂肪酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩等の疎水性部位を有するカルボン酸塩;アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩等の疎水性部位を有するリン酸エステル塩;アシルグルタミン酸塩、アラニン誘導体、グリシン誘導体、アルギニン誘導体等の疎水性部位を有するアミノ酸塩等が挙げられる。
陰イオン性界面活性剤は、毛髪化粧料組成物の洗浄性、起泡性及び泡質の観点、特に優れたすすぎ感を得る観点から、疎水性部位として炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を有することが好ましく、炭素数10以上のアルキル基又はアルケニル基を有することがより好ましく、炭素数20以下のアルキル基又はアルケニル基を有することが好ましく、炭素数16以下のアルキル基又はアルケニル基を有することがより好ましい。
これらの中では、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(ラウレス−2硫酸ナトリウム)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ラウリン酸カリウム等の高級脂肪酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム(ラウレス−4,5酢酸ナトリウム)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ラウレス−2スルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸アルキルエステル塩、N−アシル−L−グルタミン酸ナトリウム(ココイルグルタミン酸ナトリウム)等のアシルグルタミン酸塩アシルイセチオネート、アシルメチルタウレートから選ばれる1種以上が好ましく、特にポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩及びアルキル硫酸塩から選ばれる1種以上がより好ましい。
(非イオン性界面活性剤)
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油等のポリエチレングリコール型非イオン性界面活性剤、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド等の多価アルコール型非イオン性界面活性剤及び脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤は、毛髪化粧料組成物の洗浄性及び洗浄時の泡量、泡質の観点、特に優れたすすぎ感を得る観点から、疎水性部位として炭素数8以上20以下のアルキル基又はアルケニル基を有することが好ましい。
これらの中では、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミド、及びアルキルグリコシドから選ばれる1種以上が好ましく、デシルグルコシド等の炭素数8以上、18以下、好ましくは12以下のアルキルグルコシド、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセトステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、及び、ヤシ油脂肪酸N−メチルモノエタノールアミド等の脂肪酸モノアルカノールアミドから選ばれる1種以上がより好ましい。
(両性界面活性剤)
両性界面活性剤としては、イミダゾリン系ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、スルホベタイン等のベタイン系界面活性剤、及びアルキルジメチルアミンオキサイド等のアミンオキサイド型界面活性剤等が挙げられる。
これらの中では、毛髪化粧料組成物の洗浄性及び洗浄時の泡量、泡質の観点、特に優れたすすぎ感を得る観点から、イミダゾリン系ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、及びアルキルヒドロキシスルホベタインから選ばれる1種以上が好ましく、具体的には、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルカルボメトキシメチルヒドロキシイミダゾリウムベタイン、及びラウリルヒドロキシスルホベタインから選ばれる1種以上が好ましい。
(陽イオン性界面活性剤)
陽イオン性界面活性剤としては、アミド基、エステル基又はエーテル基で分断されていてもよい炭素数12以上、28以下の炭化水素基を有する第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、又は3級アミンの鉱酸又は有機酸の塩が挙げられる。具体的には、セチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ベヘニルトリメチルアンモニウム塩、オクダデシロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩等のモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩や、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジイソテトラデシルジメチルアンモニウム塩等のジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩や、ステアリルジメチルアミン、ベヘニルジメチルアミン、オクタデシロキシプロピルジメチルアミンの塩酸、クエン酸又は乳酸塩等のモノ長鎖アルキルジメチルアミン塩が挙げられる。
これらの中では、毛髪化粧料組成物に優れたすすぎ感を付与する観点から、モノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩が好ましい。
(界面活性剤含有量)
本発明の毛髪化粧料組成物の中の界面活性剤の含有量は、毛髪化粧料組成物の洗浄性、起泡性及び泡質の観点、特に優れたすすぎ感を得る観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは36質量%以下である。
本発明の毛髪化粧料組成物を毛髪洗浄剤組成物として用いる場合、界面活性剤の含有量は、本発明の毛髪化粧料組成物に優れたすすぎ感を付与する観点から、8質量%以上であることが更に好ましく、20質量%以下であることがより更に好ましい。
(CGCと界面活性剤の質量比)
本発明の毛髪化粧料組成物中、CGCと界面活性剤の含有量比は、特に優れたすすぎ感を得る観点から、界面活性剤に対するCGCの質量比〔CGC/界面活性剤〕で、好ましくは0.0002以上、より好ましくは0.005以上、更に好ましくは0.01以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは1以下、更に好ましくは0.1以下である。
(その他の成分)
本発明の毛髪化粧料組成物中には、更に、通常、毛髪化粧料組成物に配合されるグリセリン、保湿剤、多糖類、ポリペプタイド、パール化剤、溶剤、色素、香料、噴射剤、エデト酢酸塩や、クエン酸塩等のキレート剤、pH調整剤、防腐剤、ジンクピリチオン、ピロクトンオラミン等の抗フケ剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
(毛髪化粧料組成物の製造方法)
本発明の毛髪化粧料組成物の製造方法に特に制限はなく、常法により製造することができる。具体的には、例えば、液状毛髪用シャンプーの場合は、水及び界面活性剤を加温し、均一混合する。均一溶解確認後、CGCを添加し混合する。CGCは、必要に応じて、予め水に分散又は溶解させた後に添加できる。CGCを界面活性剤水溶液に添加後、均一溶解又は分散、冷却し、必要に応じて、パール化剤、pH調製剤、香料、色素等を加え調製することができる。
また、本発明の毛髪化粧料組成物の剤型も特に制限されず、液体状、泡状、ペースト状、クリーム状、固形状、粉末状等、任意の剤型とすることができるが、液体状、ペースト状又はクリーム状とすることが好ましく、液体状とすることが特に好ましい。液体状とする場合には、液体媒体として水の他、ポリエチレングリコール、エタノール等を用いるのが好ましく、水の配合量は、全組成物中に10質量%以上、90質量%以下であることが好ましい。
本発明の毛髪化粧料組成物は、優れたすすぎ感が得られるという本発明の効果の観点から、ヘアシャンプー等の毛髪洗浄剤組成物であることが好ましい。本発明の毛髪化粧料組成物は、ヘアシャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアクリーム、スタイリングローション、スタイリングムース、コンディショニングムース、ヘアムース、ヘアスプレー、シャンプー、洗い流さないコンディショニング剤、永久又は塩基性ヘアカラー、パーマ剤等の毛髪化粧料として好適に使用しうる。
上述した実施の形態に関し、本発明は以下のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法、及び毛髪化粧料組成物を開示する。
<1>
セルロース及びセルロース誘導体から選ばれる原料セルロースと、少なくともグリシドール及びカチオン化剤とを反応させて得られるカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法であって、下記工程1〜工程3を有する、カチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
工程1:原料セルロースとグリシドールとを、該原料セルロース中のアンヒドログルコース単位1モルあたり0.9モル当量超、好ましくは0.95モル当量以上、より好ましくは1.0モル当量以上、更に好ましくは1.1モル当量以上であり、1.6モル当量以下、好ましくは1.5モル当量以下、より好ましくは1.3モル当量以下、更に好ましくは1.2モル当量以下の塩基化合物の存在下、該原料セルロースのセルロース部分に対して10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、より更に好ましくは50質量%以上であり、200質量%以下、好ましくは180質量%以下、より好ましくは150質量%以下、更に好ましくは120質量%以下の溶媒中で反応させて、グリセロール化セルロースを含む反応混合物1を得る工程
工程2:工程1で得られた反応混合物1と酸とを混合して、塩基化合物の量を原料セルロース中のアンヒドログルコース単位1モルあたり0.1モル当量以上、好ましくは0.2モル当量以上、より好ましくは0.3モル当量以上、更に好ましくは0.5モル当量以上であり、0.9モル当量以下、好ましくは0.8モル当量以下、より好ましくは0.7モル当量以下に調整し、原料セルロースとグリシドールとを更に反応させる工程
工程3:工程2の後にカチオン化剤を添加して反応させ、カチオン化グリセロール化セルロースを得る工程
<2>
工程2において、反応混合物1と酸との混合と同時に、又は反応混合物1と酸とを混合した後に、更にグリシドールを添加して反応させる、上記<1>に記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<3>
工程1における溶媒中、水に対する有機溶剤の質量比(有機溶剤/水)が0以上10以下、好ましくは0以上6以下、より好ましくは0以上4以下、更に好ましくは0以上1以下、より更に好ましくは0以上0.5以下、より更に好ましくは0以上0.1以下である、上記<1>又は<2>に記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<4>
工程1における溶媒中、水が原料セルロースのセルロース部分に対して10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上であり、100質量%以下、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である、上記<1>〜<3>のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<5>
工程1における溶媒中、有機溶剤が原料セルロースのセルロース部分に対して10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは60質量%以上であり、100質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である、上記<1>〜<4>のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<6>
工程3における塩基化合物の量が原料セルロース中のアンヒドログルコース単位1モルあたり0.1モル当量以上、好ましくは0.15モル当量以上、より好ましくは0.2モル当量以上であり、0.6モル当量以下、好ましくは0.5モル当量以下、より好ましくは0.4モル当量以下、更に好ましくは0.3モル当量以下である、上記<1>〜<5>のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<7>
工程3を、原料セルロースのセルロース部分に対して50質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは100質量%以上であり、800質量%以下、好ましくは400質量%以下、より好ましくは300質量%以下の溶媒中で行う、上記<1>〜<6>のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<8>
工程3における溶媒中、水に対する有機溶剤の質量比(有機溶剤/水)が0以上2以下、好ましくは0以上1.5以下、より好ましくは0以上1.2以下である、上記<7>に記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<9>
工程3における溶媒中、水が原料セルロースのセルロース部分に対して50質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは100質量%以上、更に好ましくは120質量%以上であり、500質量%以下、好ましくは400質量%以下、より好ましくは300質量%以下、更に好ましくは200質量%以下である、上記<7>又は<8>に記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<10>
工程3における溶媒中、有機溶剤が原料セルロースのセルロース部分に対して0質量%以上、好ましくは200質量%以上、より好ましくは300質量%以上であり、500質量%以下、好ましくは400質量%以下、より好ましくは350質量%以下である、上記<7>〜<9>のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<11>
工程2において、反応混合物1中の塩基化合物量に対する、反応混合物1と酸とを混合した後の塩基化合物量の当量比が0.1以上、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上であり、0.7以下、好ましくは0.6以下、より好ましくは0.55以下である、上記<1>〜<10>のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<12>
酸が有機酸、好ましくは酢酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、及びアジピン酸から選ばれる1種以上、より好ましくは酢酸及び乳酸から選ばれる1種以上、更に好ましくは酢酸である、上記<1>〜<11>のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<13>
更に、工程4として、疎水性基導入剤、好ましくは前記式(2)〜(4)のいずれかで表される炭素数3以上18以下の炭化水素を含有する基(炭化水素基含有基)の導入剤を添加して反応させる工程を有する、上記<1>〜<12>のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<14>
工程1の前、又は工程2と工程3との間に工程4を有する、上記<13>に記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<15>
セルロース誘導体が、疎水変性セルロース、好ましくは、炭素数3以上、好ましくは4以上であり、18以下、好ましくは16以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは8以下、より更に好ましくは7以下、より更に好ましくは6以下の、ヒドロキシアルキル部位及びオキシアルキレン部位から選ばれる1種以上の疎水性部位を有するセルロースである、上記<1>〜<14>のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<16>
疎水変性セルロースが、下記一般式(1)で表され、かつ下記一般式(2)〜(4)で表される、炭素数3以上、好ましくは4以上であり、18以下、好ましくは16以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは9以下、より更に好ましくは7以下、より更に好ましくは6以下の炭化水素基を含有する基の置換度が0.0001以上、好ましくは0.0005以上、より好ましくは0.001以上、更に好ましくは0.005以上、より更に好ましくは0.01以上、より更に好ましくは0.02以上であり、0.2以下、好ましくは0.15以下、より好ましくは0.10以下、更に好ましくは0.08以下、より更に好ましくは0.06以下、より更に好ましくは0.04以下のセルロースである、上記<15>に記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
Figure 0006259716
(一般式(1)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、下記一般式(2)〜(4)から選ばれる1種以上の構造単位からなる置換基、又は水素原子を示す。nはアンヒドログルコース由来の主鎖の平均重合度を示し、100以上、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、更に好ましくは1,000以上であり、12,000以下、好ましくは10,000以下、より好ましくは5,000以下、更に好ましくは2,500以下の数である。)
Figure 0006259716
(一般式(1)中、一般式(2)〜(4)で表される構造単位は炭素数3以上18以下の炭化水素基を含有する基を示す。R4、R5は、それぞれ独立に炭素数1以上16以下の直鎖又は分岐のアルキル基、又は炭素数2以上16以下の直鎖又は分岐のアルケニル基を示し、好ましくは炭素数1以上14以下のアルキル基又は炭素数2以上14以下のアルケニル基、より好ましくは炭素数1以上10以下のアルキル基又は炭素数2以上10以下のアルケニル基、更に好ましくは炭素数1以上7以下のアルキル基又は炭素数2以上7以下のアルケニル基、より更に好ましくは炭素数1以上5以下のアルキル基又は炭素数2以上5以下のアルケニル基、より更に好ましくは炭素数1以上4以下のアルキル基又は炭素数2以上4以下のアルケニル基、より更に好ましくは炭素数1以上4以下のアルキル基、より更に好ましくはメチル基又はエチル基、より更に好ましくはエチル基である。R6は炭素数3以上18以下の、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、又はアリール基を示し、好ましくは炭素数3以上6以下の、アルキル基、アルケニル基、及びフェニル基から選ばれる1種以上、より好ましくは炭素数3以上6以下の、アルキル基及びアルケニル基から選ばれる1種以上、より好ましくは炭素数3以上6以下のアルキル基である。pは0又は1の整数を示す。一般式(2)及び(3)で表される構造単位において、酸素原子は、水素原子又は前記一般式(2)〜(4)のいずれかで表される構造単位の炭素原子と結合している。)
<17>
カチオン化グリセロール化セルロースのカチオン電荷密度が0.05mmol/g以上、好ましくは0.1mmol/g以上、更に好ましくは0.2mmol/g以上、より更に好ましくは0.3mmol/g以上、より更に好ましくは0.4mmol/g以上、より更に好ましくは0.45mmol/g以上であり、2.0mmol/g以下、好ましくは0.8mmol/g以下、より好ましくは0.7mmol/g以下、更に好ましくは0.6mmol/g以下、より更に好ましくは0.55mmol/g以下となるように工程3を行う、上記<1>〜<16>のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<18>
カチオン化グリセロール化セルロース中のアンヒドログルコース単位あたりのカチオン性基の置換度が0.01以上、好ましくは0.03以上、より好ましくは0.06以上、更に好ましくは0.1以上、より更に好ましくは0.15以上であり、1.0以下、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.22以下、より更に好ましくは0.19以下となるように工程3を行う、上記<1>〜<17>のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<19>
カチオン化グリセロール化セルロース中のアンヒドログルコース単位あたりのグリセロール基の置換度が0.5以上、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上、更に好ましくは1.0以上、より更に好ましくは1.2以上、より更に好ましくは1.5以上であり、5.0以下、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.5以下、更に好ましくは3.0以下、より更に好ましくは2.5以下となるように工程1及び工程2を行う、上記<1>〜<18>のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
<20>
上記<1>〜<19>のいずれかに記載の製造方法で得られたカチオン化グリセロール化セルロース、界面活性剤、及び水を含有する毛髪化粧料組成物。
<21>
毛髪洗浄剤組成物である、上記<20>に記載の毛髪化粧料組成物。
<22>
カチオン化グリセロール化セルロースの含有量が0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下である、上記<20>又は<21>に記載の毛髪化粧料組成物。
<23>
界面活性剤に対するカチオン化グリセロール化セルロースの量の質量比が0.0002以上、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.01以上であり、10以下、好ましくは1以下、より好ましくは0.1以下である、上記<20>〜<22>のいずれかに記載の毛髪化粧料組成物。
以下の実施例及び比較例において、「%」は「質量%」を意味する。また、上記一般式(2)及び(3)において、それぞれR4、R5がメチル基である基を以下の実施例においてはまとめて「オキシプロピレン基」ともいい、エチル基である基をまとめて「オキシブチレン基」ともいう。なお、各種物性等の測定は、以下の方法により行った。
(1)水分含量の測定
セルロース粉末の水分含量及び反応時の水分量は、電子式水分計(株式会社島津製作所製「MOC−120H」)を用いて、測定温度120℃で測定した。1gのサンプルを用い、30秒間の重量変化率が0.1%以下となる点を測定の終点とした。
(2)セルロースの粘度平均重合度の測定(銅アンモニア法)
(i)測定用溶液の調製
メスフラスコ(100mL)に塩化第一銅0.5g、25%アンモニア水20〜30mLを加え、完全に溶解した後に、水酸化第二銅1.0g、及び25%アンモニア水を加えてメスアップし、3時間攪拌し、完全に溶解させた。
(ii)サンプルの調製
メスフラスコ(25mL)に測定サンプルを25mg添加後、フラスコの標線にメニスカスが一致するまで上記で調製した溶液を追加した。これを、6時間攪拌し完全に溶解させた。
(iii)粘度平均重合度の測定
得られた銅アンモニア水溶液をウベローデ粘度計に入れ、恒温槽(20±0.1℃)中で1分間静置した後、液の流下速度を測定した。種々の試料濃度(g/L)の銅アンモニア溶液の流下時間(t(秒))と試料無添加の銅アンモニア水溶液の流下時間(t0(秒))から、下記式に示した相対粘度ηrを求めた。
ηr=t/t0
次に、それぞれの濃度における還元粘度(ηsp/c)を以下の式より求めた。
ηsp/c=(ηr−1)/c (c:試料濃度(g/dL))
更に、還元粘度をc=0に外挿して固有粘度〔η〕を求め、以下の式より粘度平均重合度(n)を求めた。
n=2000×〔η〕
なお、実施例において、CGCの平均重合度は、製造に用いた原料セルロースの平均重合度と同一であると見なした。
(3)CGCにおける置換基の置換度の算出
CGCのグリセロール基の置換度(MS(Gly))、カチオン性基の置換度(MS(N+))、炭化水素基含有基の置換度(MS(HC))は、以下の計算式(1)〜(3)の連立方程式により算出した。
−a×(グリセロール基の含有量(%))×MS(HC)+(74.1−74.1×(グリセロール基の含有量(%)))×MS(Gly)−b×(グリセロール基の含有量(%))×MS(N+)=162.1×(グリセロール基の含有量(%))・・・(1)
−a×(窒素含有量(%))×MS(HC)−74.1×(窒素含有量(%))×MS(Gly)+(b−b×窒素含有量(質量%))×MS(N+)=162.1×(窒素含有量(%))・・・(2)
(a−a×(炭化水素基含有基の含有量(%)))×MS(HC)−74.1×(炭化水素基含有基の含有量(%))×MS(Gly)−b×(炭化水素基含有基の含有量(%))×MS(N+)=162.1×(炭化水素基含有基の含有量(%))・・・(3)
(式中、aは炭化水素基含有基の分子量を、bはカチオン性基の分子量を示す。
上記、連立方程式中のグリセロール基の含有量、窒素含有量、炭化水素基含有基の含有量は、それぞれCGC中に含有される、グリセロール基、カチオン性基を構成する窒素、炭化水素基含有基の質量%を示し、下記の方法にて算出した。
〔グリセロール基及び炭化水素基含有基の含有量(質量%)の測定〕
CGC中に含有される、グリセロール基の含有量(質量%)は、Analytical Chemistry, Vol.51, No.13, 2172(1979)、「第十五改正日本薬局方(ヒドロキシプロピルセルロースの分析方法の項)」等に記載の、セルロースエーテルのアルコキシ基の平均付加モル数を分析する手法として知られるZeisel法に準じて算出した。以下に手順を示す。
(i)25mLメスフラスコにn−テトラデカン1mLを加え、o−キシレンを液のメニスカス下面がメスフラスコの標線上縁と一致するまで添加、撹拌して、内標準溶液を調製した。
(ii)精製、乾燥を行ったCGC65mg、アジピン酸65mgを10mLバイアル瓶に精秤し、(i)で調製した内標準溶液2mL、ヨウ化水素酸2mLを加えて密栓した。
(iii)上記バイアル瓶中の混合物を、スターラーチップにより攪拌しながら、150℃のブロックヒーターにて1時間加熱した。
(iv)バイアル瓶中の2相に分離した混合物の上層(o-キシレン層)をガスクロマトグラフ法にて測定し、グリセロール基由来のヨウ化イソプロピル、及び炭化水素基含有基由来の炭化水素基のヨウ化物(例えば、炭化水素基含有基がオキシブチレン基の場合は、2−ヨウ化ブチル)を定量して、得られた結果からそれぞれCGC中のグリセロール基の含有量(質量%)、及び炭化水素基含有基の含有量(質量%)を算出した。
分析条件は以下の通りであった。
カラム:Agilent社製 HP−1(長さ:30m、内径:0.32mm、膜厚:0.25mm、固定相:100%メチルシロキサン)
カラム温度:40℃(5min)→10℃/min→230℃(5min)
インジェクター温度:210℃
検出器:水素炎イオン検出器(FID)
検出器温度:230℃
打ち込み量:1μL
キャリヤーガス(ヘリウム)流量:3.0mL/min
〔窒素含有量(質量%)の測定〕(ケルダール法)
精製、乾燥したCGC100mgを精秤し、ここへ硫酸10mL、分解促進剤(株式会社なかやま理化製作所製「ケルタブ錠」)1錠を加え、ケルダール分解装置(BUCHI社製「K−432」)を用いて250℃で30分、300℃で30分、420℃で80分と順に昇温させながら完全分解を行った。分解反応終了後、サンプルにイオン交換水30mLを加え、自動ケルダール蒸留・滴定装置(BUCHI社製「K−370」)を用いて、30%水酸化ナトリウム水溶液40mLを加えアルカリ性とした後、蒸留操作により遊離したアンモニアを1%ホウ酸水溶液中に収集し、0.01N硫酸(和光純薬工業株式会社製、定量分析用)を用いて滴定することにより、CGC中の窒素含有量(質量%)を求めた。
(4)カチオン化ヒドロキシプロピルセルロースにおける置換基の置換度の算出
カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(以下「C−HPC」ともいう。セルロースと、酸化プロピレン及び3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドを反応させて得られるセルロースエーテル)に導入されたカチオン性基の、C−HPCの主鎖であるセルロース骨格を構成するAGUあたりの数の平均値(以下「カチオン性基の置換度」ともいう)、及びC−HPCに導入されたオキシプロピレン基の、C−HPCの主鎖のAGUあたりの数の平均値(以下「オキシプロピレン基の置換度」ともいう)は、元素分析による塩素元素量の測定値、及び分析対象がヒドロキシプロピルセルロースではなくC−HPCであることを除き、第十五改正日本薬局方に記載のヒドロキシプロピルセルロースの分析法に従って得られた値から求めた。
具体的には、C−HPCの水溶液を透析膜(分画分子量1000)により精製後、水溶液を凍結乾燥して精製C−HPCを得た。得られたC−HPCの塩素含有量(%)を元素分析によって測定し、精製C−HPC中に含まれるカチオン性基の数と対イオンである塩化物イオンの数を同数であると近似して、下記計算式(4)から、C−HPC単位質量中に含まれるカチオン性基の量(a(モル/g))を求めた。
a(モル/g)=元素分析から求められる塩素含有量(%)/(35.5×100) (4)
次に分析対象がヒドロキシプロピルセルロースではなく精製C−HPCであることを除き、第十五改正日本薬局方記載の「ヒドロキシプロピルセルロースの分析法」に従って、精製C−HPC中のヒドロキシプロポキシ基含有量(%)を測定した。下記計算式(5)から、ヒドロキシプロポキシ基含有量〔式量(−OC36OH)=75.09〕(b(モル/g))を求めた。
b(モル/g)=ガスクロマトグラフ分析から求められるヒドロキシプロポキシ基含有量(%)/(75.09×100) (5)
得られたa及びbと下記計算式(6)、(7)からC−HPCのカチオン性基の置換度(k)及びオキシプロピレン基の置換度(m)を算出した。
a=k/(162+k×151.5+m×58) (6)
b=m/(162+k×151.5+m×58) (7)
〔式中、kは、C−HPCのカチオン性基の置換度を示す。mはオキシプロピレン基の置換度を示す。〕
実施例1〔CGC(1)の製造〕
(1)セルロースの粉末化工程
シート状木材パルプ(テンベック社製「BioflocXV18」、平均重合度1882)をシュレッダー(株式会社明光商会製「MSX2000−IVP440F」)にかけてチップ状にした。その後、105℃減圧下で12時間乾燥処理を行い、チップ状の乾燥パルプを得た。次に、得られた乾燥チップ状パルプ920gをバッチ式振動ミル(中央化工機株式会社製「FV−10」:容器全容積35L、ロッドとして、φ30mm、長さ510mm、断面形状が円形のSUS304製ロッド63本、充填率70%)に投入し、10分間粉砕処理(振動数20Hz、振幅8mm、温度10〜20℃)を行って粉末状のセルロースを得た。得られた粉末状セルロースを、高速回転式微粉砕機(株式会社ダルトン製「サンプルミル、KIIW−1型」)を用いて、目開き0.7mmのスクリーンを装着し、ローター周速度を81m/sで駆動すると共に、原料供給部から粉末状セルロースを18kg/hの速度で供給した。次いで、円形振動篩機(株式会社興和工業所製「KGC−500」)に、篩面積0.196m2、目開き150μmのSUS製スクリーンを装着し、振動数30Hz(振動回転数1800r/min)、縦方向の片振幅3mm、横方向の片振幅3mm、ウエイト位相角60°で駆動すると共に、原料供給部から原料を14kg/hの供給速度で供給して、粗粉を除去し、小粒径セルロース粉末として回収した。
(2)グリセロール化反応
(工程1)
還流管を取り付けた1Lニーダー(株式会社入江商会製、PNV−1型)へ上記(1)で得られたセルロース粉末91.3g(水分含量1.4質量%)を仕込み、窒素フローを行いながら10分攪拌を行った。その後、35.8%NaOH水溶液74.5g(1.2モル当量/AGU)を15分かけて滴下した後、ジャケット温度を50℃に調節して2時間撹拌を行って、セルロース粉末混合物を得た。
ジャケット温度を40℃に調節した後に、セルロース粉末混合物にグリシドール32.9g(0.8モル/AGU、関東化学株式会社製)を1時間かけて滴下して撹拌しながら反応を行い、グリセロール化セルロースを含む反応混合物(1)を得た。
(工程2)
得られた反応混合物(1)を撹拌しながら、ジャケット温度40℃で酢酸20.0g(0.6モル当量/AGU、和光純薬工業株式会社製)を30分かけて滴下し、部分的に中和を行った。次に、グリシドール131.7g(3.2モル/AGU、関東化学株式会社製)を4時間かけて滴下し、撹拌しながら反応を行い、グリセロール化セルロースを含む反応混合物(2)を得た。
(3)炭化水素基含有基の導入反応(工程4)
ジャケット温度を50℃に調節した後に、得られた反応混合物(2)を撹拌しながら、炭化水素基含有基の導入剤としてブチレンオキシド5.7g(0.14モル/AGU、東京化成工業株式会社製)を滴下し、1時間反応を行った。この反応により、反応混合物(2)中のグリセロール化セルロースに炭化水素基含有基であるオキシブチレン基を導入し、疎水変性されたグリセロール化セルロースを含む反応混合物(3)を得た。
(4)カチオン化反応(工程3)
得られた反応混合物(3)を攪拌しながら、65%の3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液(四日市合成株式会社製)56.2g(0.35モル/AGU)と72%グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド(阪本薬品工業株式会社製)1.2g(0.01モル/AGU)とイオン交換水60.4gを混合したカチオン化剤水溶液を1分間かけて滴下し(反応時の水分量:原料セルロースのセルロース部分に対し140質量%)、ジャケット温度を65℃に調整して3時間反応を行った。この反応により、反応混合物(3)中の疎水変性グリセロール化セルロースをカチオン化し、カチオン化グリセロール化セルロースを含む淡黄色粉末を得た。
(5)中和、精製工程
得られた淡黄色粉末へ90%乳酸(株式会社武蔵野化学研究所製)を1分間かけて滴下し、中和を行った後、反応最終物5.0gを用いて1質量%水溶液を調製した。透析膜(和光純薬工業株式会社製「スペクトラポア6」、分画分子量8000)を用いて、イオン交換水による透析により精製を行った。具体的には、前記1質量%水溶液500gを、透析膜中に封じた後、前記1質量%水溶液に対して20質量倍以上のイオン交換水に浸し、少なくとも3時間以上の静置ごとに透析膜外部の水をイオン交換水に3回交換し、その後3時間以上静置した。透析精製終了後、凍結乾燥を行い、白色固形物のCGC(1)を得た。得られたCGC(1)の分析結果を表1及び2に示す。
実施例2〔CGC(2)の製造〕
(1)セルロースの粉末化工程
実施例1の(1)と同様の操作を行った。
(2)グリセロール化反応
(工程1)
レディゲミキサー(株式会社マツボー製、容量5L)に、上記(1)で得られたセルロース粉末295.6g(水分含量2.17%)を仕込み、窒素置換を行った。主翼250rpm、チョッパー翼2500rpmで撹拌しながら、顆粒状の水酸化ナトリウム(キシダ化学株式会社製、特級試薬)とイオン交換水により調製した36.1%NaOH水溶液237.2g(1.2モル当量/AGU)を30秒かけて噴霧により添加した。噴霧後、内温を50℃に昇温し、2時間撹拌を行った。
内温を40℃に調節した後、得られたセルロース粉末混合物を主翼250rpm、チョッパー翼2500rpmで撹拌しながら、グリシドール105.8g(0.8モル/AGU、関東化学株式会社製)を1時間かけて滴下して撹拌しながら反応を行い、グリセロール化セルロースを含む反応混合物(1)を得た。
(工程2)
得られた反応混合物(1)を主翼250rpm、チョッパー翼2500rpmで撹拌しながら、内温40℃で酢酸64.3g(0.6モル当量/AGU、和光純薬工業株式会社製)を30分かけて滴下し、部分的に中和を行った。続いて、グリシドール423.1g(3.2モル/AGU、関東化学株式会社製)を4時間かけて滴下し、撹拌しながら内温40℃で反応を行い、グリセロール化セルロースを含む反応混合物(2)を得た。
(3)炭化水素基含有基の導入反応(工程4)
内温を50℃に調節した後、得られた反応混合物(2)を主翼250rpm、チョッパー翼2500rpmで撹拌しながら、炭化水素基含有基の導入剤としてブチレンオキシド9.4g(0.07モル/AGU、東京化成工業株式会社製)を滴下し、1時間反応を行った。この反応により、反応混合物(2)中のグリセロール化セルロースに炭化水素基含有基であるオキシブチレン基を導入し、疎水変性されたグリセロール化セルロースを含む反応混合物(3)を得た。
(4)カチオン化反応(工程3)
得られた反応混合物(3)を主翼250rpm、チョッパー翼2500rpmで撹拌しながら、65%の3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液(四日市合成株式会社製)179.0g(0.35モル/AGU)と72%グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド(阪本薬品工業株式会社製)27.6g(0.07モル/AGU)とイオン交換水651.4gと2−プロパノール(和光純薬工業株式会社製)964.0g(原料セルロースのセルロース部分に対し333質量%)とを混合したカチオン化剤水溶液を1分間かけて滴下し(反応時の水分量:原料セルロースのセルロース部分に対し400質量%)、内温50℃で3時間反応を行った。この反応により、反応混合物(3)中の疎水変性グリセロール化セルロースをカチオン化し、カチオン化グリセロール化セルロースを含む淡黄色粉末を得た。
(5)中和、精製工程
実施例1の(5)中和、精製工程と同様の操作を行い、CGC(2)を得た。得られたCGC(2)の分析結果を表1及び2に示す。
実施例3〔CGC(3)の製造〕
実施例1において、(4)のカチオン化反応(工程3)でイオン交換水の添加量を159.3g(反応時の水分量:原料セルロースのセルロース部分に対し250質量%)に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、CGC(3)を得た。得られたCGC(3)の分析結果を表1及び2に示す。
実施例4〔CGC(4)の製造〕
実施例1において、(2)グリセロール化反応の工程2でグリシドールの量を125.5g(3.05モル/AGU)に変更し、(4)のカチオン化反応(工程3)で72%グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドを5.8g(0.05モル/AGU)、イオン交換水の添加量を37.9g(反応時の水分量:原料セルロースのセルロース部分に対し115質量%)に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、CGC(4)を得た。得られたCGC(4)の分析結果を表1及び2に示す。
実施例5〔CGC(5)の製造〕
実施例4において、(2)グリセロール化反応の工程1で35.8%NaOH水溶液74.5g(1.2モル当量/AGU)を35.9%NaOH水溶液61.9g(1.0モル当量/AGU)に、(2)グリセロール化反応の工程2で酢酸の量を13.3g(0.4モル当量/AGU)に変更したこと以外は実施例4と同様の操作を行い、CGC(5)を得た。得られたCGC(5)の分析結果を表1及び2に示す。
実施例6〔CGC(6)の製造〕
実施例1において、(4)のカチオン化反応(工程3)のカチオン化剤水溶液を、65%の3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液32.2g(0.2モル/AGU)と72%グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド18.7g(0.16モル/AGU)とイオン交換水64.0gを混合した溶液に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、CGC(6)を得た。得られたCGC(6)の分析結果を表1及び2に示す。
実施例7〔CGC(7)の製造〕
(1)セルロースの粉末化工程
シート状木材パルプ(テンベック社製「BioflocXV18」、平均重合度1882)をシュレッダー(株式会社明光商会製「MSX2000−IVP440F」)にかけてチップ状にした。その後、105℃減圧下で12時間乾燥処理を行い、チップ状の乾燥パルプを得た。次に、得られた乾燥チップ状パルプ100gと顆粒状の水酸化ナトリウム23.8g(1.0モル当量/AGU、キシダ化学株式会社製)を、バッチ式振動ミル(中央化工機株式会社製「MB−1」:容器全容積3.5L、ロッドとして、φ30mm、長さ218mm、断面形状が円形のSUS304製ロッド13本、充填率57%)に投入した。10分間粉砕処理(振動数20Hz、振幅8mm、温度10℃)を行ってセルロース粉末混合物を得た。
(2)炭化水素基含有基の導入反応(工程4)
還流管を取り付けた1Lニーダー(株式会社入江商会製、PNV−1型)へ上記(1)で得られたセルロース粉末混合物62.4g(1.0モル当量/AGUの水酸化ナトリウムを含有)を仕込み、窒素フローを行いながら10分攪拌を行った。その後、攪拌しながら、イオン交換水15g(反応時の水分量:原料セルロースのセルロース部分に対し30質量%)を滴下し、ジャケット温度を50℃に調節した。次に、攪拌しながら、炭化水素基含有基の導入剤としてブチレンオキシド4.5g(0.20モル/AGU、東京化成工業株式会社製)を滴下し、ジャケット温度50℃で4時間反応を行った。この反応により、セルロースに炭化水素基含有基であるオキシブチレン基を導入し、原料セルロースとなる疎水変性セルロースを含む反応混合物を得た。
(3)グリセロール化反応
(工程1)
上記(2)で得られた疎水変性セルロースを含む反応混合物を攪拌しながら、グリシドール18.3g(0.8モル/AGU、関東化学株式会社製)をテトラヒドロフラン37.1g(グリシドール濃度33質量%、和光純薬工業株式会社製)で希釈した溶液を5時間かけて滴下し、ジャケット温度50℃で反応を行い、疎水変性グリセロール化セルロースを含む反応混合物(1)を得た。
(工程2)
得られた反応混合物(1)を撹拌しながら、ジャケット温度50℃で酢酸7.4g(0.4モル当量/AGU、和光純薬工業株式会社製)を30分かけて滴下し、部分的に中和を行った。その後、グリシドール57.2g(2.5モル/AGU、関東化学株式会社製)をテトラヒドロフラン116.1g(グリシドール濃度33質量%)で希釈した溶液を15時間かけて滴下して、攪拌しながらジャケット温度50℃で反応を行い、疎水変性グリセロール化セルロースを含む反応混合物(2)を得た。
(4)カチオン化反応(工程3)
得られた反応混合物(2)15.5gをニーダーから抜出し、テトラヒドロフランを窒素フローにより留去した。その後、反応混合物(2)を乳鉢に移して、カチオン化剤としてHAC−65(65% 3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液(四日市合成株式会社製))1.6g(0.36モル/AGU)とイオン交換水1.8gを混合した溶液を滴下にて添加し、乳棒で1分間混合した(反応時の水分量:原料セルロースのセルロース部分に対し121質量%)。この混合物を100mLバイアルに移し、窒素置換後、密閉して恒温槽で50℃、5時間静置して反応を行った。この反応により、反応混合物(2)中の疎水変性グリセロール化セルロースをカチオン化し、疎水変性カチオン化グリセロール化セルロースを含む淡黄色粉末を得た。
(5)中和、精製工程
実施例1の(5)中和、精製工程と同様の操作を行い、CGC(7)を得た。得られたCGC(7)の分析結果を表1及び2に示す。
実施例8〔CGC(8)の製造〕
実施例1において、(2)グリセロール化反応の工程1でグリシドールの量を82.3g(2.0モル/AGU)、工程2でグリシドールの量を82.3g(2.0モル/AGU)に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、CGC(8)を得た。得られたCGC(8)の分析結果を表1及び2に示す。
実施例9〔CGC(9)の製造〕
実施例1において、(2)グリセロール化反応の工程1でグリシドールの量を115.2g(2.8モル/AGU)、工程2でグリシドールの量を49.4g(1.2モル/AGU)に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、CGC(9)を得た。得られたCGC(9)の分析結果を表1及び2に示す。
実施例10〔CGC(10)の製造〕
実施例1において、(2)グリセロール化反応の工程2でグリシドールの量を164.6g(4.0モル/AGU)に変更し、グリシドールの量が0.5モル/AGUとなったところで、酢酸を添加して反応を行ったこと以外は実施例1と同様の操作を行い、CGC(10)を得た。得られたCGC(10)の分析結果を表1及び2に示す。
実施例11〔CGC(11)の製造〕
実施例1において、(2)グリセロール化反応の工程2で酢酸の量を31.7g(0.95モル当量/AGU)に変更し、(4)のカチオン化反応(工程3)のカチオン化剤水溶液を72%グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド42.1g(0.36モル/AGU)とイオン交換水69.0gを混合した溶液に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、CGC(11)を得た。得られたCGC(11)の分析結果を表1及び2に示す。
実施例12〔CGC(12)の製造〕
実施例1において、(3)炭化水素基含有基の導入(工程4)を行わなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行い、CGC(12)を得た。得られたCGC(12)の分析結果を表1及び2に示す。
比較例1〔CGC(13)の製造〕
実施例1において、(2)グリセロール化反応の工程2を行わず、工程1でグリシドールを164.6g(4.0モル/AGU)添加して反応させ、かつ、(4)カチオン化反応(工程3)で塩基化合物の量を0.85モル当量/AGUに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、CGC(13)を得た。得られたCGC(13)の分析結果を表1及び2に示す。
比較例2〔CGC(14)の製造〕
比較例1において、(4)カチオン化反応(工程3)でカチオン化剤として、イオン交換水69.0gと72%グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド42.1g(0.36モル/AGU)を混合したカチオン化剤水溶液を加え、工程3の反応時の塩基化合物の量を1.20モル当量/AGUに変更した以外は比較例1と同様の操作を行い、CGC(14)を得た。得られたCGC(14)の分析結果を表1及び2に示す。
比較例3〔CGC(15)の製造〕
比較例1において、(3)の炭化水素基含有基の導入(工程4)を行わなかったこと以外は比較例1と同様の操作を行い、CGC(15)を得た。得られたCGC(15)の分析結果を表1及び2に示す。
比較例4〔C−HPC(1)の製造〕
実施例12において、(2)グリセロール化反応の工程で、グリシドールを表1に示した量のプロピレンオキシド(和光純薬工業株式会社製)に変更した以外は実施例12と同様の操作を行い、C−HPC(1)を得た。得られたC−HPC(1)の分析結果を表1及び2に示す。
Figure 0006259716
Figure 0006259716
[毛髪化粧料組成物の評価]
実施例13〜24、比較例5〜8(ヘアシャンプーの製造、評価)
(製造)
実施例1〜12及び比較例1〜4の方法で得られたCGC又はC−HPC、及び界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム(花王株式会社製「エマール170J」(70%水溶液)、オキシエチレン基の平均付加モル数;1、アルキル鎖長;C10〜16)、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルカルボベタイン(花王株式会社製「アンヒトール55AB」(30%水溶液))、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(川研ファインケミカル株式会社製「アミゾール CME」)を用いて、各成分の有効分が表3に示す組成となるヘアシャンプーを調製した。具体的には、CGC又はC−HPCを水に溶解させ2質量%ポリマー溶液を調製した。別途、ポリマー以外の各成分をビーカーに取り、80℃に加温後攪拌し、均一溶解した後に、ポリマー液を加え、均一混合後冷却し、最後に、加温により蒸発した水分を補充してヘアシャンプーとした。
(評価)
下記組成の各成分をビーカーに取り、80℃に加温後、混合し、均一に溶解したことを確認した後、冷却して、プレーンシャンプーを得た。得られたプレーンシャンプーで毛束(20g)を洗浄し、35〜40℃の温水で十分に湿らせて、評価用トレスを得た。次に表3に示す組成のヘアシャンプー(0.5g)で評価用トレスを洗浄し、温水(35〜40℃)ですすいだ。このように処理した毛束を用い、5人のパネラーが、以下の評価基準、評価方法により、毛髪のすすぎ時における、すべり性、すべりの持続感並びにコート感を評価した。評価結果を表3に示す。
(プレーンシャンプーの組成)
(成分) (%)
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸Na(エマールE−27C) 11.3
(エマールE−27C(花王株式会社製、有効分27%)として42.0%)
ヤシ油脂肪酸N−メチルエタノールアミド 3.0
(アミノーン C−11S(花王株式会社製))
クエン酸 0.2
メチルパラベン 0.3
精製水 バランス
計 100.0

(評価基準)
・すべり性:
7:非常にすべり性がよく、摩擦感が感じられない
6:すべり性が良く、摩擦感が非常に少ない
5:すべり性がよく、摩擦感が少ない
4:ややすべり性がよく、摩擦感がやや少ない
3:普通
2:すべり性が悪く、きしむ(基準:比較例8の結果を2とする)
1:全くすべらず、きしみが激しい
・持続感:
7:すべり性が50秒間以上持続する
6:すべり性が30秒間以上50秒間未満持続する
5:すべり性が20秒間以上30秒間未満持続する
4:すべり性が10秒間以上20秒間未満持続する
3:すべり性が5秒間以上10秒間未満持続する
2:すべり性が1秒間以上5秒間未満持続する
1:すべり性持続が1秒間未満である
・コート感:
7:コート感が非常に優れる
6:コート感に優れる
5:コート感を感じる
4:コート感をやや感じる
3:普通
2:コート感が少ない(基準:比較例8の結果を2とする)
1:コート感が全く感じられない
(評価方法)
5人のパネラーの評価結果を平均して評点を求めた。
Figure 0006259716
表3から、実施例1〜12の製造方法によって得られたCGC(1)〜(12)を用いた毛髪化粧料組成物は、すすぎ感に優れることがわかる。
本発明によれば、毛髪洗浄剤等の毛髪化粧料に配合すると、毛髪すすぎ時における優れたすべり性とその持続感、並びにコート感を付与することができるカチオン化グリセロール化セルロースを効率よく製造することができる。そのため、当該カチオン化グリセロール化セルロースを配合した組成物は、毛髪化粧料として好適に使用することができる。

Claims (10)

  1. セルロース及びセルロース誘導体から選ばれる原料セルロースと、少なくともグリシドール及びカチオン化剤とを反応させて得られるカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法であって、下記工程1〜工程3を有する、カチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
    工程1:原料セルロースとグリシドールとを、該原料セルロース中のアンヒドログルコース単位1モルあたり0.9モル当量超1.6モル当量以下の塩基化合物の存在下、該原料セルロースのセルロース部分に対して10質量%以上200質量%以下の溶媒中で反応させて、グリセロール化セルロースを含む反応混合物1を得る工程
    工程2:工程1で得られた反応混合物1と酸とを混合して、塩基化合物の量を原料セルロース中のアンヒドログルコース単位1モルあたり0.1モル当量以上0.9モル当量以下に調整し、原料セルロースとグリシドールとを更に反応させる工程
    工程3:工程2の後にカチオン化剤を添加して反応させ、カチオン化グリセロール化セルロースを得る工程
  2. 工程2において、反応混合物1と酸との混合と同時に、又は反応混合物1と酸とを混合した後に、更にグリシドールを添加して反応させる、請求項1に記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
  3. 工程1における溶媒中、水に対する有機溶剤の質量比(有機溶剤/水)が0以上10以下である、請求項1又は2に記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
  4. 工程1における溶媒中、水が原料セルロースのセルロース部分に対して10質量%以上100質量%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
  5. 工程3における塩基化合物の量が原料セルロース中のアンヒドログルコース単位1モルあたり0.1モル当量以上0.6モル当量以下である、請求項1〜4のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
  6. 工程3を、原料セルロースのセルロース部分に対して50質量%以上800質量%以下の溶媒中で行う、請求項1〜5のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
  7. 工程2において、反応混合物1中の塩基化合物量に対する、反応混合物1と酸とを混合した後の塩基化合物量の当量比が0.1以上0.7以下である、請求項1〜6のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
  8. 更に、工程4として、疎水性基導入剤を添加して反応させる工程を有する、請求項1〜7のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
  9. 工程1の前、又は工程2と工程3との間に工程4を有する、請求項8に記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
  10. カチオン化グリセロール化セルロース中のアンヒドログルコース単位あたりのグリセロール基の置換度が0.5以上5.0以下となるように工程1及び工程2を行う、請求項1〜9のいずれかに記載のカチオン化グリセロール化セルロースの製造方法。
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