JP6431093B2 - 回転電機、および、その回転電機を備えた車両 - Google Patents

回転電機、および、その回転電機を備えた車両 Download PDF

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Description

本発明は、回転電機、および、その回転電機を備えた車両に関する。
車両の駆動用として用いられる回転電機の巻線技術としては、特許文献1に記載のような技術が知られている。
特開2012−29370号公報
ところで、電気自動車等に搭載される回転電機には、高トルクでありながら低騒音であることが要求されている。そのため、本発明は、高トルクかつ低騒音である回転電機を提供することを目的としている。
(1)本発明の第1の好ましい態様による回転電機は、複数のスロットが形成された固定子コアと、固定子コアの各スロットに挿通されて複数のレイヤの内のいずれか一つを構成するスロット導体および異なるスロットに挿通されたスロット導体の同一側端部同士を接続してコイルエンドを構成する渡り導体を有する波巻の周回巻線を、複数有する複数相の固定子巻線と、固定子コアに対して空隙を介して回転自在に支持された回転子と、を備え、周回巻線は、渡り導体として第1渡り導体を有する第1周回巻線と、渡り導体として第2渡り導体を有する第2周回巻線と、を含み、第1渡り導体は、毎極スロット数をNとしたとき、一方のコイルエンドではスロットピッチNp=Nでスロットを跨ぎ、他方のコイルエンドではスロットピッチNp=Nでスロットを跨ぐようにスロット導体間を接続し、第2渡り導体は、毎極スロット数をNとしたとき、一方のコイルエンドではスロットピッチNp=N+1でスロットを跨ぎ、他方のコイルエンドではスロットピッチNp=N−1でスロットを跨ぐようにスロット導体間を接続し、固定子巻線は、同一相の複数のスロット導体で構成される一群のスロット導体群を複数有することを特徴とする。
(2)本発明の好ましい態様による車両は、本発明の第1の好ましい態様による回転電機と、直流電力を供給するバッテリと、バッテリの直流電力を交流電力に変換して回転電機に供給する変換装置と、を備え、回転電機のトルクを駆動力として用いることを特徴とする。
本発明によれば、回転電機および回転電機を備えた車両において、高トルク化かつ低騒音化を図ることができる。
ハイブリッド型電気自動車の概略構成を示す図。 電力変換装置600の回路図。 回転電機200の断面図。 固定子230及び回転子250の断面図。 固定子230の斜視図。 固定子巻線238の結線図。 第1実施形態のU1相巻線群を示す図。 第1実施形態のU2相巻線群を示す図。 第1実施形態のU1相巻線群の一部の拡大図。 第1実施形態のU2相巻線群の一部の拡大図。 第1実施形態のスロット導体233aの配置図。 一般的なスロット導体の配置(比較例1)の概略図。 第1実施形態のスロット導体233aの配置の概略図。 第1実施形態と比較例1の誘起電圧波形を示した図。 第1実施形態と比較例1の誘起電圧波形の高調波解析結果を示した図。 第1実施形態と比較例1のトルク波形を示した図。 第1実施形態と比較例1のトルク波形の高調波解析結果を示した図。 第1実施形態と比較例2のトルク波形を示した図。 第1実施形態と比較例2のトルク波形の高調波解析結果を示した図。 第1実施形態のスロット導体233aの配置の概略図。 第1実施形態の変形例(変形例1)のスロット導体233aの配置の概略図。 第1実施形態の変形例(変形例2)のスロット導体233aの配置の概略図。 第1実施形態の変形例(変形例3)のスロット導体233aの配置の概略図。 第1実施形態の変形例(変形例4)のスロット導体233aの配置の概略図。 第1実施形態の変形例(変形例5)のスロット導体233aの配置の概略図。 第1実施形態の変形例(変形例6)のスロット導体233aの配置の概略図。 第2実施形態のU1相巻線群を示す図。 第2実施形態のU2相巻線群を示す図。 第2実施形態のU1相巻線群の一部の拡大図。 第2実施形態のU2相巻線群の一部の拡大図。 第2実施形態のスロット導体233aの配置図。 一般的なスロット導体の配置(比較例1)の概略図。 第2実施形態のスロット導体233aの配置の概略図。 第2実施形態と比較例1の誘起電圧波形を示した図。 第2実施形態と比較例1の誘起電圧波形の高調波解析結果を示した図。 第2実施形態と比較例1のトルク波形を示した図。 第2実施形態と比較例1のトルク波形の高調波解析結果を示した図。 第2実施形態と比較例2のトルク波形を示した図。 第2実施形態と比較例2のトルク波形の高調波解析結果を示した図。 第2実施形態のスロット導体233aの配置の概略図。 第2実施形態の変形例(変形例7)のスロット導体233aの配置の概略図。 第2実施形態の変形例(変形例8)のスロット導体233aの配置の概略図。 第3実施形態のU1相巻線群を示す図。 第3実施形態のU2相巻線群を示す図。 第3実施形態のU1相巻線群の一部の拡大図。 第3実施形態のU2相巻線群の一部の拡大図。 第3実施形態のスロット導体233aの配置図。 一般的なスロット導体の配置(比較例1)の概略図。 第3実施形態のスロット導体233aの配置の概略図。 第3実施形態と比較例1の誘起電圧波形を示した図。 第3実施形態と比較例1の誘起電圧波形の高調波解析結果を示した図。 第3実施形態と比較例1のトルク波形を示した図。 第3実施形態と比較例1のトルク波形の高調波解析結果を示した図。 第3実施形態と比較例2のトルク波形を示した図。 第3実施形態と比較例2のトルク波形の高調波解析結果を示した図。 第3実施形態のスロット導体233aの配置の概略図。 第3実施形態の変形例(変形例9)のスロット導体233aの配置の概略図。 第3実施形態の変形例(変形例10)のスロット導体233aの配置の概略図。
本発明による回転電機は、回転電機のみによって走行する純粋な電気自動車や、エンジンと回転電機の双方によって駆動されるハイブリッド型の電気自動車にも適用できるが、以下ではハイブリッド型の電気自動車を例に説明する。
―第1実施形態―
図1は、本発明の一実施形態の回転電機を搭載したハイブリッド型電気自動車の概略構成を示す図である。車両100には、エンジン120と第1の回転電機200と第2の回転電機202とバッテリ180とが搭載されている。バッテリ180は、回転電機200,202による駆動力が必要な場合には電力変換装置600を介して回転電機200,202に直流電力を供給し、回生走行時には回転電機200,202から直流電力を受ける。バッテリ180と回転電機200,202との間の直流電力の授受は、電力変換装置600を介して行われる。また、図示していないが、車両には低電圧電力(例えば、14ボルト系電力)を供給するバッテリが搭載されており、以下に説明する制御回路に直流電力を供給する。
エンジン120および回転電機200,202による回転トルクは、変速機130とデファレンシャルギア160を介して前輪110に伝達される。変速機130は変速機制御装置134により制御され、エンジン120はエンジン制御装置124により制御される。バッテリ180は、バッテリ制御装置184により制御される。変速機制御装置134、エンジン制御装置124、バッテリ制御装置184、電力変換装置600および統合制御装置170は、通信回線174によって接続されている。
統合制御装置170は、変速機制御装置134,エンジン制御装置124,電力変換装置600およびバッテリ制御装置184よりも上位の制御装置であり、変速機制御装置134,エンジン制御装置124,電力変換装置600およびバッテリ制御装置184の各状態を表す情報を、通信回線174を介してそれらからそれぞれ受け取る。統合制御装置170は、取得したそれらの情報に基づき各制御装置の制御指令を演算する。演算された制御指令は通信回線174を介してそれぞれの制御装置へ送信される。
高電圧のバッテリ180はリチウムイオン電池あるいはニッケル水素電池などの2次電池で構成され、250ボルトから600ボルト、あるいはそれ以上の高電圧の直流電力を出力する。バッテリ制御装置184は、バッテリ180の充放電状況やバッテリ180を構成する各単位セル電池の状態を、通信回線174を介して統合制御装置170に出力する。
統合制御装置170は、バッテリ制御装置184からの情報に基づいてバッテリ180の充電が必要と判断すると、電力変換装置600に発電運転の指示を出す。また、統合制御装置170は、主に、エンジン120および回転電機200,202の出力トルクの管理、エンジン120の出力トルクと回転電機200,202の出力トルクとの総合トルクやトルク分配比の演算処理を行い、その演算処理結果に基づく制御指令を、変速機制御装置134,エンジン制御装置124および電力変換装置600へ送信する。電力変換装置600は、統合制御装置170からのトルク指令に基づき、指令通りのトルク出力あるいは発電電力が発生するように回転電機200,202を制御する。
電力変換装置600には、回転電機200,202を運転するためのインバータを構成するパワー半導体が設けられている。電力変換装置600は、統合制御装置170からの指令に基づきパワー半導体のスイッチング動作を制御する。このパワー半導体のスイッチング動作により、回転電機200,202は電動機としてあるいは発電機として運転される。
回転電機200,202を電動機として運転する場合は、高電圧のバッテリ180からの直流電力が電力変換装置600のインバータの直流端子に供給される。電力変換装置600は、パワー半導体のスイッチング動作を制御して供給された直流電力を3相交流電力に変換し、回転電機200,202に供給する。一方、回転電機200,202を発電機として運転する場合には、回転電機200,202の回転子が外部から加えられる回転トルクで回転駆動され、回転電機200,202の固定子巻線に3相交流電力が発生する。発生した3相交流電力は電力変換装置600で直流電力に変換され、その直流電力が高電圧のバッテリ180に供給されることにより、バッテリ180が充電される。
図2は、図1の電力変換装置600の回路図を示す。電力変換装置600には、回転電機200のための第1のインバータ装置と、回転電機202のための第2のインバータ装置とが設けられている。第1のインバータ装置は、パワーモジュール610と、パワーモジュール610の各パワー半導体21のスイッチング動作を制御する第1の駆動回路652と、回転電機200の電流を検知する電流センサ660とを備えている。駆動回路652は駆動回路基板650に設けられている。
一方、第2のインバータ装置は、パワーモジュール620と、パワーモジュール620における各パワー半導体21のスイッチング動作を制御する第2の駆動回路656と、回転電機202の電流を検知する電流センサ662とを備えている。駆動回路656は駆動回路基板654に設けられている。制御回路基板646に設けられた制御回路648、コンデンサモジュール630およびコネクタ基板642に実装された送受信回路644は、第1のインバータ装置と第2のインバータ装置とで共通に使用される。
パワーモジュール610,620は、それぞれ対応する駆動回路652,656から出力された駆動信号によって動作する。パワーモジュール610,620は、それぞれバッテリ180から供給された直流電力を三相交流電力に変換し、その電力を対応する回転電機200,202の電機子巻線である固定子巻線に供給する。また、パワーモジュール610,620は、回転電機200,202の固定子巻線に誘起された交流電力を直流に変換し、高電圧バッテリ180に供給する。
パワーモジュール610,620は図2に記載のごとく3相ブリッジ回路を備えており、3相に対応した直列回路が、それぞれバッテリ180の正極側と負極側との間に電気的に並列に接続されている。各直列回路は上アームを構成するパワー半導体21と下アームを構成するパワー半導体21とを備え、それらのパワー半導体21は直列に接続されている。パワーモジュール610とパワーモジュール620とは、図2に示す如く回路構成がほぼ同じであり、ここではパワーモジュール610で代表して説明する。
本実施形態では、スイッチング用パワー半導体素子としてIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)21を用いている。IGBT21は、コレクタ電極,エミッタ電極及びゲート電極の3つの電極を備えている。IGBT21のコレクタ電極とエミッタ電極との間にはダイオード38が電気的に接続されている。ダイオード38は、カソード電極及びアノード電極の2つの電極を備えており、IGBT21のエミッタ電極からコレクタ電極に向かう方向が順方向となるように、カソード電極がIGBT21のコレクタ電極に、アノード電極がIGBT21のエミッタ電極にそれぞれ電気的に接続されている。
なお、スイッチング用パワー半導体素子として、MOSFET(金属酸化物半導体型電界効果トランジスタ)を用いてもよい。MOSFETは、ドレイン電極,ソース電極及びゲート電極の3つの電極を備えている。MOSFETの場合には、ソース電極とドレイン電極との間に、ドレイン電極からソース電極に向かう方向が順方向となる寄生ダイオードを備えているので、図2のダイオード38を設ける必要がない。
各相のアームは、IGBT21のエミッタ電極とIGBT21のコレクタ電極とが電気的に直列に接続されて構成されている。なお、本実施形態では、各相の各上下アームのIGBTを1つしか図示していないが、制御する電流容量が大きいので、実際には複数のIGBTが電気的に並列に接続されて構成されている。以下では、説明を簡単にするため、1個のパワー半導体として説明する。
図2に示す例では、各相の各上下アームはそれぞれ3個のIGBTによって構成されている。各相の各上アームのIGBT21のコレクタ電極はバッテリ180の正極側に、各相の各下アームのIGBT21のソース電極はバッテリ180の負極側にそれぞれ電気的に接続されている。各相の各アームの中点(上アーム側IGBTのエミッタ電極と下アーム側のIGBTのコレクタ電極との接続部分)は、対応する回転電機200,202の対応する相の電機子巻線(固定子巻線)に電気的に接続されている。
駆動回路652,656は、対応するインバータ装置610,620を制御するための駆動部を構成しており、制御回路648から出力された制御信号に基づいて、IGBT21を駆動させるための駆動信号を発生する。それぞれの駆動回路652,656で発生した駆動信号は、対応するパワーモジュール610,620の各パワー半導体素子のゲートにそれぞれ出力される。駆動回路652,656には、各相の各上下アームのゲートに供給する駆動信号を発生する集積回路がそれぞれ6個設けられており、6個の集積回路を1ブロックとして構成されている。
制御回路648は各インバータ装置610,620の制御部を構成しており、複数のスイッチング用パワー半導体素子を動作(オン・オフ)させるための制御信号(制御値)を演算するマイクロコンピュータによって構成されている。制御回路648には、上位制御装置からのトルク指令信号(トルク指令値)、電流センサ660,662のセンサ出力、回転電機200,202に搭載された回転センサのセンサ出力が入力される。制御回路648はそれらの入力信号に基づいて制御値を演算し、駆動回路652,656にスイッチングタイミングを制御するための制御信号を出力する。
コネクタ基板642に実装された送受信回路644は、電力変換装置600と外部の制御装置との間を電気的に接続するためのもので、図1の通信回線174を介して他の装置と情報の送受信を行う。コンデンサモジュール630は、IGBT21のスイッチング動作によって生じる直流電圧の変動を抑制するための平滑回路を構成するもので、第1のパワーモジュール610や第2のパワーモジュール620における直流側の端子に電気的に並列に接続されている。
図3は、図1の回転電機200の断面図を示す。なお、回転電機200と回転電機202とはほぼ同じ構造を有しており、以下では回転電機200の構造を代表例として説明する。ただし、以下に示す構造は回転電機200,202の双方に採用されている必要はなく、一方だけに採用されていても良い。
ハウジング212の内部には固定子230が保持されており、固定子230は固定子コア232と固定子巻線238とを備えている。固定子コア232の内周側には、回転子250が空隙222を介して回転可能に保持されている。回転子250は、シャフト218に固定された回転子鉄心252と、永久磁石254と、非磁性体のあて板226とを備えている。ハウジング212は軸受216が設けられた一対のエンドブラケット214を有しており、シャフト218はこれらの軸受216により回転自在に保持されている。
シャフト218には、回転子250の極の位置や回転速度を検出するレゾルバ224が設けられている。このレゾルバ224からの出力は、図2に示した制御回路648に取り込まれる。制御回路648は、取り込まれた出力に基づいて制御信号を駆動回路652に出力する。駆動回路652は、その制御信号に基づく駆動信号をパワーモジュール610に出力する。パワーモジュール610は、制御信号に基づきスイッチング動作を行い、バッテリ180から供給される直流電力を3相交流電力に変換する。この3相交流電力は図3に示した固定子巻線238に供給され、回転磁界が固定子230に発生する。3相交流電流の周波数はレゾルバ224の出力値に基づいて制御され、3相交流電流の回転子250に対する位相も同じくレゾルバ224の出力値に基づいて制御される。
図4は固定子230および回転子250の断面を示す図であり、図3のA−A断面図を示したものである。なお、図4ではハウジング212、シャフト218および固定子巻線238の記載を省略した。固定子コア232の内周側には、多数のスロット237とティース236とが全周に渡って均等に配置されている。図4では、スロットおよびティースの全てに符号を付すことはせず、代表して一部のティースとスロットにのみに符号を付した。スロット237内にはスロット絶縁材(図示省略)が設けられ、図3の固定子巻線238を構成するU相、V相、W相の複数の相巻線が装着されている。本実施形態では、スロット237は等間隔に48個形成されている。
また、回転子コア252の外周近傍には、矩形の磁石を挿入するための複数の穴253が周方向に沿って等間隔に8個配設されている。各穴253は軸方向に沿って形成されており、その穴253には永久磁石254がそれぞれ埋め込まれ、接着剤などで固定されている。穴253の円周方向の幅は、永久磁石254(254a,254b)の円周方向の幅よりも大きく設定されており、永久磁石254の両側の穴空間257は磁気的空隙として機能する。この穴空間257は接着剤を埋め込んでも良いし,成型用樹脂で永久磁石254と一体に固めても良い。永久磁石254は回転子250の界磁極として作用し、本実施形態では8極構成となっている。
永久磁石254の磁化方向は径方向を向いており、界磁極毎に磁化方向の向きが反転している。すなわち、永久磁石254aの固定子側面がN極、軸側の面がS極であったとすれば、隣の永久磁石254bの固定子側面はS極、軸側の面はN極となっている。そして、これらの永久磁石254a,254bが円周方向に交互に配置されている。
永久磁石254は、磁化した後に穴253に挿入しても良いし、回転子コア252の穴253に挿入した後に強力な磁界を与えて磁化するようにしても良い。ただし、磁化後の永久磁石254は強力な磁石なので、回転子250に永久磁石254を固定する前に磁石を着磁すると、永久磁石254の固定時に回転子コア252との間に強力な吸引力が生じて組み付け作業の妨げとなる。また、永久磁石254の強力な吸引力により、永久磁石254に鉄粉などのごみが付着するおそれがある。そのため、回転電機の生産性を考慮した場合、永久磁石254を回転子コア252に挿入した後に磁化するのが好ましい。
なお、永久磁石254には、ネオジウム系,サマリウム系の焼結磁石やフェライト磁石,ネオジウム系のボンド磁石などを用いることができる。永久磁石254の残留磁束密度は0.4〜1.4T程度である。
3相交流電流を固定子巻線238に流すことにより回転磁界が固定子230に発生すると、この回転磁界が回転子250の永久磁石254a,254bに作用してトルクが生じる。このトルクは、永久磁石254から出される磁束のうち各相巻線に鎖交する成分と、各相巻線に流れる交流電流の鎖交磁束に直交する成分の積で表される。ここで、交流電流は正弦波状になるように制御されているので、鎖交磁束の基本波成分と交流電流の基本波成分の積がトルクの時間平均成分となり、鎖交磁束の高調波成分と交流電流の基本波成分の積がトルクの高調波成分であるトルクリプルとなる。つまり、トルクリプルを低減するには、鎖交磁束の高調波成分を低減すればよい。言い換えれば、鎖交磁束と回転子の回転する角速度の積が誘起電圧であるから、鎖交磁束の高調波成分を低減することは、誘起電圧の高調波成分を低減することに等しい。
図5は固定子230の斜視図である。本実施形態では、固定子巻線238は固定子コア232に波巻で巻き回されている。固定子コア232の両端面には、固定子巻線238のコイルエンド241が形成されている。また、固定子コア232の一方の端面側には、固定子巻線238の口出し線242が引き出されている。口出し線242は、U相、V相、W相のそれぞれに対応して引き出されている。
図6は固定子巻線238の結線図であり、結線方式および各相巻線の電気的な位相関係を示したものである。本実施形態の固定子巻線238にはダブルスター結線が採用されており、U1相巻線群、V1相巻線群、W1相巻線群から成る第1のスター結線と、U2相巻線群、V2相巻線群、W2相巻線群から成る第2のスター結線とが並列に接続されている。U1,V1,W1相巻線群およびU2,V2,W2相巻線群はそれぞれ6つの周回巻線で構成されており、U1相巻線群は周回巻線U11〜U16を有し、V1相巻線群は周回巻線V11〜V16を有し、W1相巻線群は周回巻線W11〜W16を有し、U2相巻線群は周回巻線U21〜U26を有し、V2相巻線群は周回巻線V21〜V26を有し、W2相巻線群は周回巻線W21〜W26を有している。図6に示すように、第1のスター結線及び第2のスター結線はU相同士、V相同士、W相同士が電気的に接続され、その接続部は、電流センサ660に接続されている。
図6に示すように、V相およびW相はU相とほぼ同様の構成であり、それぞれに誘起される電圧の位相が電気角で120度ずれるように配置されている。また、それぞれの周回巻線の角度が相対的な位相を表している。図6に示すように、本実施形態では、固定子巻線238は並列に結線されたダブルスター(2Y)結線を採用しているが、回転電機の駆動電圧によってはそれらを直列につないでシングルスター(1Y)結線としても良い。
図7、図8は固定子巻線238のU相巻線の詳細結線を示す図である。上述したように固定子コア232には48個のスロット237が形成されており(図4参照)、図7、図8に示す符号01,02,〜,47,48はスロット番号を示している。
図7(a)はU1相巻線群の周回巻線U15,U16を示している。図7(b)はU1相巻線群の周回巻線U13,U14を示している。図7(c)はU1相巻線群の周回巻線U11,12を示している。
図8(a)はU2相巻線群の周回巻線U21,22を示している。図8(b)はU2相巻線群の周回巻線U23,U24を示している。図8(c)はU2相巻線群の周回巻線U25,U26を示している。
図7、図8に示すように、各周回巻線U11〜U26は、スロット内に挿通されるスロット導体233aと、異なるスロットに挿通されたスロット導体233aの同一側端部同士を接続して、コイルエンド241(図5参照)を構成する渡り導体233bとから成る。例えば、図7(a)に示すスロット番号05のスロット237に挿通されるスロット導体233aの場合、図示上側の端部は、上側コイルエンドを構成する渡り導体233bによって、スロット番号48のスロット237に挿通されるスロット導体233aの上側端部に接続され、逆に、下側端部は、下側コイルエンドを構成する渡り導体233bによって、スロット番号12のスロット237に挿通されるスロット導体233aの下側端部に接続されている。このような形態でスロット導体233aが渡り導体233bによって接続されることにより、波巻の周回巻線が形成される。
後述するように、本実施形態では、1スロット内に6本のスロット導体233aが内周側から外周側に並んで挿通され、内周側から順にレイヤ1、レイヤ2、レイヤ3、レイヤ4、レイヤ5、レイヤ6と称する。図7、図8において、周回巻線U15,U16,U21およびU22の実線部分はレイヤ1を示しており、破線の部分はレイヤ2を示している。周回巻線U13,U14,U23およびU24においては、実線部分はレイヤ3を示しており、破線の部分はレイヤ4を示している。周回巻線U11,U12,U25およびU26においては、実線部分はレイヤ5を示しており、破線の部分はレイヤ6を示している。
図7、図8を用いては説明しなかったが、図7(a)に示す周回巻線U15,U16、図7(c)に示す周回巻線U11,U12、図8(a)に示す周回巻線U21,22、および、図8(c)に示す周回巻線U25,U26は、後述する変則スロットピッチによる波巻で巻き回されている。図7(b)に示す周回巻線U13,U14、および、図8(b)に示す周回巻線U23,U24は、後述する通常スロットピッチによる波巻で巻き回されている。変則スロットピッチ、および通常スロットピッチについては、図9、図10の説明箇所で説明する。
なお、周回巻線U11〜U26は、連続した導体で形成されても良いし、セグメントコイルをスロット内に挿通した後に溶接等によりセグメントコイル同士を接続するようにしても良い。セグメントコイルを用いる場合、セグメントコイルをスロット237に挿通する前に、固定子コア232の端部より軸方向両端に位置するコイルエンド241を予め成形することができ、異相間もしくは同相間に適切な絶縁距離を容易に設けることができる。その結果、IGBT21のスイッチング動作によって生じるサージ電圧に起因する部分放電を抑制することができ、絶縁に関して有効である。
また、周回巻線に使用する導体は平角線や丸線、もしくは細線を多本持ちにした導体でもよいが、小型高出力化や高効率化を目的として占積率を高めるためには、平角線が適している。
図9は、図7に示したU1相巻線群の一部を拡大して示したものである。図10は、図8に示したU2相巻線群の一部を拡大して示したものである。図9,10ではジャンパー線の部分を含む約4極分を示した。以下、図9を用いてU1相巻線群の巻き回し方について説明し、図10を用いてU2相巻線群の巻き回し方について説明する。
図9(c)に示すように、固定子巻線群U1は口出し線からスロット番号01のレイヤ6に入り、渡り導体233bによりスロット5個分を跨いだ後に、スロット導体233aがスロット番号06のレイヤ5に入る。次に、スロット番号06のレイヤ5から、スロット7個分を跨いでスロット番号13のレイヤ6に入る。
このように、口出し線が引き出されているコイルエンド側(図示下側)における渡り導体233bの跨ぎ量がスロットピッチNp=7、反対側のコイルエンド側(図示上側)における渡り導体233bの跨ぎ量がスロットピッチNp=5となるように、スロット番号42のレイヤ5まで固定子コア232を1周するように固定子巻線が波巻で巻き回される。このような波巻を「変則スロットピッチの波巻」と呼ぶことにする。ここまでの略1周分の固定子巻線が図6に示した周回巻線U11である。
次に、スロット番号42のレイヤ5から出た固定子巻線はスロット6個分をまたいでスロット番号48のレイヤ6に入る。スロット番号48のレイヤ6からは図6に示す周回巻線U12となる。周回巻線U12も、周回巻線U11の場合と同様に、変則スロットピッチの波巻で巻き回されている。すなわち、渡り導体233bの跨ぎ量が口出し線のある側ではスロットピッチNp=7、反対側ではスロットピッチNp=5に設定され、スロット番号41のレイヤ5まで固定子コア232を1周するように固定子巻線が波巻で巻き回される。ここまでの略1周分の固定子巻線が周回巻線U12である。
なお、周回巻線U12は、周回巻線U11に対して1スロットピッチずれて巻き回されることから、1スロットピッチ相当の電気角分の位相差が発生する。本実施形態では、1スロットピッチは電気角30度相当であり、図6においても、周回巻線U11と周回巻線U12とは30度ずれて記載されている。
さらに、図9(b)、(c)に示すように、スロット番号41のレイヤ5から出た固定子巻線は、スロット7個分をまたぐジャンパー線でスロット番号48のレイヤ4に入る。スロット番号48のレイヤ4からは図6に示す周回巻線U13となる。周回巻線U13は、渡り導体233bの跨ぎ量が口出し線のある側、反対側共にスロットピッチNp=6に設定され、スロット番号42のレイヤ3まで固定子コア232を1周するように固定子巻線が波巻で巻き回される。このような波巻を「通常スロットピッチの波巻」と呼ぶことにする。ここまでの略1周分の固定子巻線が周回巻線U13である。
次に、スロット番号42のレイヤ3から出た固定子巻線はスロット5個分をまたいでスロット番号47のレイヤ4に入る。スロット番号47のレイヤ4からは図6に示す周回巻線U14となる。周回巻線U14も、周回巻線U13の場合と同様に、通常スロットピッチの波巻で巻き回される。すなわち、渡り導体233bの跨ぎ量が口出し線のある側、反対側共にスロットピッチNp=6に設定され、スロット番号41のレイヤ3まで固定子コア232を1周するように固定子巻線が波巻で巻き回される。ここまでの略1周分の固定子巻線が周回巻線U14である。
なお、周回巻線U14は、周回巻線U13に対して1スロットピッチずれて巻き回されることから、1スロットピッチ相当の電気角分の位相差が発生する。本実施形態では、1スロットピッチは電気角30度相当であり、図6においても、周回巻線U13と周回巻線U14とは30度ずれて記載されている。
さらに、図9(a)、(b)に示すように、スロット番号41のレイヤ3から出た固定子巻線はスロット7個分をまたぐジャンパー線でスロット番号48のレイヤ2に入る。スロット番号48のレイヤ2からは図6に示す周回巻線U15となる。周回巻線U15は、周回巻線U11の場合と同様に、変則スロットピッチの波巻で巻き回される。すなわち、渡り導体233bの跨ぎ量が口出し線のある側ではスロットピッチNp=7、反対側ではスロットピッチNp=5に設定され、スロット番号41のレイヤ1まで固定子コア232を1周するように固定子巻線が波巻で巻き回される。ここまでの略1周分の固定子巻線が周回巻線U15である。
次に、スロット番号41のレイヤ1から出た固定子巻線はスロット6個分をまたいでスロット番号47のレイヤ2に入る。スロット番号47のレイヤ2からは図6に示す周回巻線U16となる。周回巻線U16も、周回巻線U15の場合と同様に、変則スロットピッチの波巻で巻き回される。渡り導体233bの跨ぎ量が口出し線のある側ではスロットピッチNp=7、反対側ではスロットピッチNp=5に設定され、スロット番号40のレイヤ1まで固定子コア232を1周するように固定子巻線が波巻で巻き回される。ここまでの略1周分の固定子巻線が周回巻線U16である。
なお、周回巻線U16は、周回巻線U15に対して1スロットピッチずれて巻き回されることから、1スロットピッチ相当の電気角分の位相差が発生する。本実施形態では、1スロットピッチは電気角30度相当であり、図6においても、周回巻線U15と周回巻線U16とは30度ずれて記載されている。
また、U13、U14はU11,U12,U15,U16と渡り導体233bの跨ぎ量が違うため、鎖交する磁束量に差が発生する。
図10に示す固定子巻線群U2も、固定子巻線群U1の各レイヤの場合と同様の跨ぎ量で巻き回される。周回巻線U21はスロット番号46のレイヤ1からスロット番号05のレイヤ2まで変則スロットピッチの波巻で巻き回され、周回巻線U22はスロット番号47のレイヤ1からスロット番号06のレイヤ2まで変則スロットピッチの波巻で巻き回される。その後、固定子巻線はスロット番号06のレイヤ2からジャンパー線を介してスロット番号47のレイヤ3に入り、周回巻線U23としてスロット番号05のレイヤ4まで通常スロットピッチの波巻で巻き回される。その後、固定子巻線をスロット番号48のレイヤ3からスロット番号06のレイヤ4まで通常スロットピッチの波巻で巻き回されることで、周回巻線U24が形成される。次に、固定子巻線はスロット番号06のレイヤ4からジャンパー線を介してスロット番号47のレイヤ5に入り、周回巻線U25としてスロット番号06のレイヤ6まで変則スロットピッチの波巻で巻き回される。その後、固定子巻線をスロット番号48のレイヤ5からスロット番号07のレイヤ6まで変則スロットピッチの波巻で巻き回されることで、周回巻線U26が形成される。
以上のように、固定子巻線群U1は周回巻線U11,U12,U13,U14,U15,U16からなり、それぞれの位相が合成された電圧が固定子巻線群U1に誘起される。同様に、固定子巻線群U2の場合も、周回巻線U21,U22,U23,U24,U25,U26の位相が合成された電圧が誘起される。図6に示すように固定子巻線群U1と固定子巻線群U2とは並列に接続されているが、固定子巻線群U1,U2のそれぞれに誘起される電圧の間には位相差がなく、並列接続であっても循環電流が流れるなどのアンバランスが起きることはない。もちろん、直列接続であっても良い。
図11は、固定子コア232におけるスロット導体233aの配置を主に示す図であり、図7〜10のスロット番号46〜スロット番号13までを示したものである。なお、回転子の回転方向は図の左から右の方向である。本実施形態では、2極分、つまり電気角360度にスロット237が12個配置されており、例えば、図11のスロット番号01からスロット番号12までは2極分に相当する。そのため、毎極スロット数Nは6、毎極毎相スロット数NSPPは2(=6/3)である。各スロット237には、固定子巻線238のスロット導体233aが6本ずつ挿通されている。
各スロット導体233aは矩形で示されているが、その矩形の中には、U相、V相、W相を示す符号U11〜U26,V,Wと、口出し線がある側から反対側への方向を示すクロス印「×」、その逆の方向を示す黒丸印「●」をそれぞれ図示した。また、スロット237の最も内周側(スロット開口側)にあるスロット導体233aをレイヤ1と呼び、外周側(スロット底側)にかけて順にレイヤ2、レイヤ3、レイヤ4、レイヤ5、レイヤ6と呼ぶことにする。また、符号01〜12は図7〜10に示したものと同様のスロット番号である。なお、U相のスロット導体233aのみ周回巻線を表す符号U11〜U26で示し、V相およびW相のスロット導体233aに関しては、相を表す符号V,Wで示した。
図11において破線234で囲んだ12個のスロット導体233aは、全てU相のスロット導体233aからなるスロット導体群234である。具体例を示す。例えば、中央に示すスロット導体群234は、スロット番号06,07のレイヤ6に配設された周回巻線U25,U26のスロット導体233aと、スロット番号05,06のレイヤ5からレイヤ2までに配設された周回巻線U12,U11,U23,U24,U14,U13,U21,U22のスロット導体233aと、スロット番号04,05のレイヤ1に配設された周回巻線U16,U15のスロット導体233aとを有する。
一般に、毎極スロット数Nが6、毎極毎相スロット数NSPPが2、スロット237内のスロット導体233aのレイヤ数が6の場合には、図12に示すようにU相(V相、W相も同様)のスロット導体233aを配置する構成が採用される場合が多い。この場合、図示右側のスロット導体群と図示左側のスロット導体群との間隔は6スロットピッチ(Np=6)、すなわち、毎極スロット数Nが6の時における通常スロットピッチとなる。かつ、同一相の周回巻線が固定子コア232の周方向にずれることなく配設される。
一方、本実施形態の構成は、図13に示すように、図12に示したレイヤ1の2本のスロット導体233aを回転子の回転方向と逆の方向(図の左方向)へ1スロットピッチ分ずらし、かつ、レイヤ6の2本のスロット導体233aを回転方向(図の右方向)へ1スロットピッチ分ずらした構成となっている。そのため、図13に示すように、レイヤ6およびレイヤ5の周回巻線U11のスロット導体233aを接続する渡り導体233bの跨ぎ量は5スロットピッチ(Np=5)となり、レイヤ5およびレイヤ6の周回巻線U26を接続する渡り導体233bの跨ぎ量は7スロットピッチ(Np=7)となる。また、レイヤ2およびレイヤ1の周回巻線U15のスロット導体233aを接続する渡り導体233bの跨ぎ量は5スロットピッチ(Np=5)となり、レイヤ1およびレイヤ2の周回巻線U22を接続する渡り導体233bの跨ぎ量は7スロットピッチ(Np=7)となる。周回巻線U12,U25,U16,U21も同様に一方のコイルエンドでは7スロットピッチ(Np=7)でスロットを跨ぎ、他方のコイルエンドでは5スロットピッチでスロットを跨ぐようにスロット導体233a間を接続した変則スロットピッチの周回巻線である。
この場合、U相だけでなく、V相およびW相の対応する各スロット導体233aも同様に1スロットピッチ分ずらすことになるので、図11に示したように、U,V,W相に関して同一形状のスロット導体群234がそれぞれ形成される。すなわち、回転子の回転方向に対して、順に、U相でクロス印のスロット導体233aから成るスロット導体群、W相で黒丸印のスロット導体233aから成るスロット導体群、V相でクロス印のスロット導体233aから成るスロット導体群、U相で黒丸印のスロット導体233aから成るスロット導体群、W相でクロス印のスロット導体233aから成るスロット導体群、V相で黒丸印のスロット導体233aから成るスロット導体群が配置されることになる。
本実施形態では、図11に示すように、毎極スロット数をN(=6)としたとき、一方のコイルエンドでは渡り導体233bがスロットピッチNp=N+1(=7)でスロットを跨ぎ、他方のコイルエンドではスロットピッチNp=N−1(=5)でスロットを跨ぐようにスロット導体233a間を接続した変則スロットピッチの周回巻線と、両方のコイルエンドで共に渡り導体233bがスロットピッチNp=N(=6)でスロットを跨ぐようにスロット導体233a間を接続した通常スロットピッチの周回巻線の両方を備えている。
上述したように、各相の固定子巻線は、固定子コア周方向に連続して並んだ所定スロット数Nsに挿通された複数のスロット導体233aで構成されるスロット導体群234と、複数のスロット導体233aのコイルエンド側を接続する渡り導体233bと、を備えている。スロット導体233aは、スロットおよびレイヤが隣接するように各スロット237に挿通される。所定スロット数Nsは、毎極毎相スロット数をNSPP、変則スロットピッチの周回巻線に係るレイヤ数を2×NL2としたとき、Ns=NSPP+NL2 に設定されている。本実施形態では、図13に示すように、NSPP=2、NL2=2なので、Ns=4である。
なお、以降の説明のために、通常スロットピッチの周回巻線のレイヤ数を2×NL1と定義しておく。このように定義すると、全体のレイヤ数は、2×(NL1 + NL2)となる。本実施形態では、NL1=1、NL2=2なので、全体のレイヤ数は、2×(1+2)=6となり、スロット237のレイヤ数である6(レイヤ1〜6)と合致することが理解される。
図13を用いて、本実施形態のスロット導体群234についてさらに説明する。スロット導体群234は、図13の破線で示すスロット導体小群235(235a、235b)に分けることができる。スロット導体小群235は、固定子コア232の径方向に隣り合って互いに渡り導体233bに接続される内周側レイヤと外周側レイヤによりなるものである。
渡り導体233bが通常スロットピッチによるスロット導体小群235を第1スロット導体小群235aとする。第1スロット導体小群235aの内周側レイヤを第1内周側レイヤ、第1スロット導体小群235aの外周側レイヤを第1外周側レイヤと呼ぶことにする。本実施形態では、レイヤ3(第1内周側レイヤ)、レイヤ4(第1外周側レイヤ)で1個(NL1=1)の第1スロット導体小群235aを構成する。
また、渡り導体233bが変則スロットピッチによるスロット導体小群235を第2スロット導体小群235bとする。第2スロット導体小群235bの内周側レイヤを第2内周側レイヤ、第2スロット導体小群235bの外周側レイヤを第2外周側レイヤと呼ぶことにする。本実施形態では、レイヤ1(第2内周側レイヤ)、レイヤ2(第2外周側レイヤ)で1個の第2スロット導体小群235bを構成する。レイヤ5(第2内周側レイヤ)、レイヤ6(第2外周側レイヤ)で別の1個の第2スロット導体小群235bを構成する。よって、上記のように、スロット導体群234は、合計2個(NL2=2)の第2スロット導体小群235bを有する。
第1内周側レイヤのスロット導体233aと第1外周側レイヤのスロット導体233aとは、固定子コア232の周方向両端を揃えて配置されている。すなわち、具体的には、以下のような配置である。図13のレイヤ3,4よりなる第1スロット導体小群235aで、具体的に第1スロット導体小群235aの構成について説明する。第1内周側レイヤ(レイヤ3)のスロット導体233a(U14、U13)のうち、左端のスロット導体233a(U14)が、第1外周側レイヤ(レイヤ4)のスロット導体233a(U23、U24)のうち、左端のスロット導体233a(U23)と同一のスロットに配置され、右端のスロット導体233a(U13,U24)でも同様の位置関係で配置されている。
第2内周側レイヤのスロット導体233aと第2外周側レイヤのスロット導体233aとは、互いに固定子コア周方向に1スロットピッチずれて配置されるという規則に従う。すなわち、具体的には、以下のような配置である。図13のレイヤ1,2よりなる第2スロット導体小群235bで具体的に説明する。第2内周側レイヤ(レイヤ1)のスロット導体233a(U16、U15)のうち、左端のスロット導体233a(U16)が、第2外周側レイヤ(レイヤ2)のスロット導体233a(U21、U22)のうち、左端のスロット導体233a(U21)と1スロットピッチずれて配置され、右端のスロット導体233a(U15、U22)でも同様の位置関係で配置されている。
固定子コア232の径方向に隣り合うスロット導体小群235は、互いに接する側の固定子コア232の周方向両端を揃えて配置される。これを規則Aと呼ぶことにする。図13で具体的に説明する。レイヤ1,2よりなる第2スロット導体小群235bと、レイヤ3,4よりなる第1スロット導体小群235aとが図示上下方向(固定子コア232の径方向)で接しているが、その両端が揃うように配置されていることが分かる。すなわち、左端のU21のスロット導体233aと、左端のU14のスロット導体233aと、が同一のスロットに設けられている。左端の配置から、右端も揃っている。すなわち、固定子コア周方向両端を揃えて配置されている。レイヤ3,4よりなる第1スロット導体小群235aと、レイヤ5,6よりなる第2スロット導体小群235bと、の間でも規則Aに従って配置されている。なお、図13では、第1スロット導体小群235aと、第2スロット導体小群235bとが接している例しか示されていないが、第1スロット導体小群235a同士が接しても、第2スロット導体小群235b同士が接しても原則的に規則Aに従う。複数のスロット導体小群235がこの規則Aに従うと、上記の関係式Ns=NSPP+NL2が成り立つ。
ここで、図11等に示す本実施形態の回転電機の作用効果を、図12に示す巻き回し方によってなる回転電機(以下、比較例1と呼ぶ)の作用効果、および、特許文献1(特開2012−29370号公報)の図22(a)に記載の巻き回し方によってなる回転電機(以下、比較例2と呼ぶ)の作用効果と対比しながら説明する。なお、比較例2は、本実施形態の回転電機と変則スロットピッチに係る周回巻線のスロット導体をずらす方向が逆になっているが、これは定義の問題であり、互いに同一方向にずれているものと考えて差支えない。
図14〜図17は、本実施形態の回転電機の作用効果を、比較例1の作用効果と対比したものである。
図14は、本実施形態の回転電機の誘起電圧波形、および、比較例1の回転電機の誘起電圧波形を示す図である。また、図15は、図14のそれぞれの誘起電圧波形を高調波解析した結果を示したものである。
図14に示すように、本実施形態の回転電機の誘起電圧波形は、比較例1の回転電機の誘起電圧波形よりも正弦波に近いことが分かる。また、図15の高調波解析結果に示すように、本実施形態では、比較例1と比較して、特に、5次と7次の高調波成分を減らすことができることが分かった。
図16は、交流電流を通電した場合のトルク波形を、本実施形態の回転電機の場合と比較例1の回転電機の場合とについて示したものである。また、図17は、図16に示す各トルク波形を高調波解析した結果を示す。図17の高調波解析結果に示すように、特に、6次のトルクリプルを減らすことができることが分かった。これは、誘起電圧、すなわち鎖交磁束の5次と7次の成分が、巻線配置を図7〜11に示すような配置とすることにより低減されたことを示す。
図18、図19は、本実施形態の発明の作用効果を、比較例2の作用効果と対比したものである。
図18は、交流電流を通電した場合のトルク波形を、本実施形態の回転電機の場合と比較例2の回転電機の場合とについて示したものである。また、図19は、図18に示す各トルク波形を高調波解析した結果を示す。図18、図19に示すように、本実施形態では、比較例2と比較して、平均トルクが大きいことが分かった。
以上の作用効果の対比によって、本実施形態によれば、比較例1よりもトルクリプルが小さく低騒音で、比較例2よりも平均トルクが大きい回転電機を得ることができる。この意味で、本実施形態の回転電機は、高トルクかつ低騒音な回転電機を得ることができる。また、その回転電機を備えた車両では、高トルク化、かつ、低騒音化を図ることができる。
第1実施形態の回転電機は、以下の構成を有し、以下の作用効果を奏する。
(1)回転電機200(回転電機202でも同様)における各相の固定子巻線は、複数のスロット237に挿通された複数のスロット導体233aと、コイルエンド241においてスロット導体233aの両端を接続する渡り導体233bと、を備えている。そして、図9、図10等に示すように、スロット237のレイヤ1,2、および、レイヤ5,6に挿通されたスロット導体233aは、変則スロットピッチの渡り導体233bで接続されている。また、図9、図10等に示すように、スロット237のレイヤ3,4に挿通されたスロット導体233aは、通常スロットピッチの渡り導体233bで接続されている。
通常スロットピッチの渡り導体233b(第1渡り導体)は、毎極スロット数をN(=6)としたとき、一方のコイルエンド241ではスロットピッチNp=N(=6)でスロット237を跨ぎ、他方のコイルエンド241ではスロットピッチNp=N(=6)でスロット237を跨ぐようにスロット導体233a間を接続する。
変則スロットピッチの渡り導体233b(第2渡り導体)は、毎極スロット数をN(=6)としたとき、一方のコイルエンド241ではスロットピッチNp=N+1(=7)でスロット237を跨ぎ、他方のコイルエンド241ではスロットピッチNp=N−1(=5)でスロット237を跨ぐようにスロット導体233a間を接続する。
固定子巻線238は、同一相の複数のスロット導体233aで構成される一群のスロット導体群234を複数有する。
これによって、本実施形態の回転電機は、高トルクかつ低騒音な回転電機を得ることができる。また、その回転電機を備えた車両では、高トルク化、かつ、低騒音化を図ることができる。
(2)さらに、具体的には、以下のような構成を有することができる。すなわち、
スロット導体群234の複数のスロット導体233aは、固定子コア232の周方向に連続して並んだ所定数Ns(=4)のスロット237内にスロット237およびレイヤが隣接するように挿通される。
所定数Ns(=4)は、毎極毎相スロット数をNSPP(=2)、変則スロットピッチの渡り導体233bを有する第2周回巻線に係るレイヤ数を2×NL2(NL2=2)としたとき、Ns=NSPP+NL2(=4)に設定されている。
例えば、上記の具体的構成(2)によって、本実施形態の回転電機は、高トルクかつ低騒音な回転電機を得ることができる。また、その回転電機を備えた車両では、高トルク化、かつ、低騒音化を図ることができる。
(3)スロット導体群234の具体的な構成は以下である。すなわち、
スロット導体群234は、複数のスロット導体小群235を含んで構成される。固定子コア232の径方向に隣り合うスロット導体小群235は、互いに接する側の固定子コア232の周方向両端を揃えて配置される。
スロット導体群234は、スロット導体小群235として、固定子コア232の径方向に隣り合って互いに通常スロットピッチの渡り導体233b(第1渡り導体)に接続される第1内周側レイヤおよび第1外周側レイヤよりなる第1スロット導体小群235aをNL1(=1)個有する。すなわち、レイヤ3(第1内周側レイヤ)、レイヤ4(第1外周側レイヤ)で1個の第1スロット導体小群235aを構成する。
また、スロット導体群234は、スロット導体小群235として、固定子コア232の径方向に隣り合って互いに変則スロットピッチの渡り導体233b(第2渡り導体)に接続される第2内周側レイヤおよび第2外周側レイヤよりなる第2スロット導体小群235bをNL2(=2)個有する。すなわち、レイヤ1(第2内周側レイヤ)、レイヤ2(第2外周側レイヤ)で1個の第2スロット導体小群235bを構成する。レイヤ5(第2内周側レイヤ)、レイヤ6(第2外周側レイヤ)で別の1個の第2スロット導体小群235bを構成する。よって、上記のように、スロット導体群234は、合計2個の第2スロット導体小群235bを有する。
第1内周側レイヤのスロット導体233aと第1外周側レイヤのスロット導体233aとは、固定子コア232の周方向両端を揃えて配置されている。
第2内周側レイヤのスロット導体233aと第2外周側レイヤのスロット導体233aとは、互いに固定子コア周方向に1スロットピッチずれて配置されている。
上記の具体的構成(3)によって、本実施形態の回転電機は、高トルクかつ低騒音な回転電機を得ることができる。また、その回転電機を備えた車両では、高トルク化、かつ、低騒音化を図ることができる。
―第1実施形態の変形例―
図20は、第1実施形態の回転電機のスロット導体群234(234A)を示した図であり、図13と同様の図である。第1実施形態は、例えば、以下のように変形することが可能である。図20を基準にして、第1実施形態の変形例について説明する。
<変形例1>
図21は、変形例1の回転電機のスロット導体群234(234B)を示す図である。変形例1は、第1実施形態(図20)と同様に、毎極スロット数N=6、NSPP=2、レイヤ数=6の設定である。レイヤ3,4が変則スロットピッチの周回巻線になり(NL2=1)、レイヤ1,2,5,6が通常スロットピッチの周回巻線となったことが、第1実施形態との相違点である。本変形例では、上述した規則Aに従い、固定子コア232の径方向に隣り合うスロット導体小群235は、互いに接する側の固定子コア232の周方向両端を揃えて配置される。そのため、固定子コア周方向に連続して並んだ所定スロット数Ns=3であることから、第1実施形態と同様に、Ns = NSPP + NL2 が成り立つ。本変形例のように変形しても、第1実施形態と同様に、比較例1よりもトルクリプルが小さく低騒音で、比較例2よりも平均トルクが大きいという効果を奏することができる。
<変形例2>
図22は、変形例2の回転電機のスロット導体群234(234C)を示す図である。変形例2は、毎極スロット数N=6、NSPP=2、レイヤ数=8の設定である。変形例2では、レイヤ1,2,7,8が変則スロットピッチの周回巻線であり(NL2=2)、レイヤ3,4,5,6が通常スロットピッチの周回巻線である。本変形例では、上述した規則Aに従い、固定子コア232の径方向に隣り合うスロット導体小群235は、互いに接する側の固定子コア232の周方向両端を揃えて配置される。そのため、固定子コア周方向に連続して並んだ所定スロット数Ns=4であることから、第1実施形態と同様に、Ns = NSPP + NL2 が成り立つ。本変形例のように変形しても、NSPP=2、レイヤ数=8の設定で比較例1に相当する比較例よりもトルクリプルが小さく低騒音で、NSPP=2、レイヤ数=8の設定で比較例2に相当する比較例よりも平均トルクが大きいという効果を奏することができる。
<変形例3>
図23は、変形例3の回転電機のスロット導体群234(234D)を示す図である。変形例3は、毎極スロット数N=6、NSPP=2、レイヤ数=8の設定である。変形例3では、レイヤ3,4,5,6が変則スロットピッチの周回巻線であり(NL2=2)、レイヤ1,2,7,8が通常スロットピッチの周回巻線である。本変形例では、上述した規則Aに従い、固定子コア232の径方向に隣り合うスロット導体小群235は、互いに接する側の固定子コア232の周方向両端を揃えて配置される。そのため、固定子コア周方向に連続して並んだ所定スロット数Ns=4であることから、第1実施形態と同様に、Ns = NSPP + NL2 が成り立つ。本変形例のように変形しても、NSPP=2、レイヤ数=8の設定で比較例1に相当する比較例よりもトルクリプルが小さく低騒音で、NSPP=2、レイヤ数=8の設定で比較例2に相当する比較例よりも平均トルクが大きいという効果を奏することができる。
<変形例4>
図24は、変形例4の回転電機のスロット導体群234(234E)を示す図である。変形例4は、毎極スロット数N=6、NSPP=2、レイヤ数=8の設定である。変形例4では、レイヤ1,2,7,8が変則スロットピッチの周回巻線であり(NL2=2)、レイヤ3,4,5,6が通常スロットピッチの周回巻線である。本変形例では、上述した規則Aに従わない。基本的には、固定子コア232の径方向に隣り合うスロット導体小群235は、互いに接する側の固定子コア232の周方向両端を揃えて配置される。しかし、レイヤ3,4よりなるスロット導体小群235と、レイヤ5,6よりなるスロット導体小群235との間で1スロットピッチのずれがある。すなわち、レイヤ4とレイヤ5との間に1スロットピッチのずれがある。そのため、上記の関係式Ns = NSPP + NL2 が成り立たない。代わりに、後述する別の関係式が成り立つ。本変形例においては、固定子コア周方向に連続して並んだ所定スロット数Ns=5である。よって、Ns = NSPP + NL2 + 1 という、第1実施形態とは異なる関係式が成り立つ。変形例4は、変形例2に構成が類似する。変形例2では規則Aに従うので当該ずれがないため、上記の関係式Ns = NSPP + NL2が成り立つ。一方、変形例4では、レイヤ4とレイヤ5との間に1スロットピッチのずれがあるため、第1実施形態とは異なる関係式Ns = NSPP + NL2 + 1が成り立つ。しかし、本変形例のように変形しても、NSPP=2、レイヤ数=8の設定で比較例1に相当する比較例よりもトルクリプルが小さく低騒音で、NSPP=2、レイヤ数=8の設定で比較例2に相当する比較例よりも平均トルクが大きいという効果を奏することができる。
<変形例5>
図25は、変形例5の回転電機のスロット導体群234(234F)を示す図である。変形例5は、毎極スロット数N=9、NSPP=3、レイヤ数=6の設定である。変形例5では、レイヤ1,2,5,6が変則スロットピッチの周回巻線であり(NL2=2)、レイヤ3,4が通常スロットピッチの周回巻線である。本変形例では、上述した規則Aに従い、固定子コア232の径方向に隣り合うスロット導体小群235は、互いに接する側の固定子コア232の周方向両端を揃えて配置される。そのため、固定子コア周方向に連続して並んだ所定スロット数Ns=5であることから、第1実施形態と同様に、Ns = NSPP + NL2が成り立つ。本変形例のように変形しても、NSPP=3、レイヤ数=6の設定で比較例1に相当する比較例よりもトルクリプルが小さく低騒音で、NSPP=3、レイヤ数=6の設定で比較例2に相当する比較例よりも平均トルクが大きいという効果を奏することができる。
<変形例6>
図26は、変形例6の回転電機のスロット導体群234(234G)を示す図である。変形例6は、毎極スロット数N=9、NSPP=3、レイヤ数=6の設定である。変形例6では、レイヤ3,4が変則スロットピッチの周回巻線であり(NL2=1)、レイヤ1,2,5,6が通常スロットピッチの周回巻線である。本変形例では、上述した規則Aに従い、固定子コア232の径方向に隣り合うスロット導体小群235は、互いに接する側の固定子コア232の周方向両端を揃えて配置される。そのため、固定子コア周方向に連続して並んだ所定スロット数Ns=4であることから、第1実施形態と同様に、Ns = NSPP + NL2が成り立つ。本変形例のように変形しても、NSPP=3、レイヤ数=6の設定で比較例1に相当する比較例よりもトルクリプルが小さく低騒音で、NSPP=3、レイヤ数=6の設定で比較例2に相当する比較例よりも平均トルクが大きいという効果を奏することができる。
―第2実施形態―
以下、第2実施形態について説明する。第1実施形態と同様の構成(例えば、図1〜6に記載の構成)については、説明を省略する。
図27、図28は固定子巻線238のU相巻線の詳細結線を示す図である。固定子コア232には48個のスロット237が形成されており(図4参照)、図27、図28に示す符号01,02,〜,47,48はスロット番号を示している。
図27(a)はU1相巻線群の周回巻線U15,U16を示している。図27(b)はU1相巻線群の周回巻線U13,U14を示している。図7(c)はU1相巻線群の周回巻線U11,12を示している。
図28(a)はU2相巻線群の周回巻線U21,22を示している。図8(b)はU2相巻線群の周回巻線U23,U24を示している。図8(c)はU2相巻線群の周回巻線U25,U26を示している。
図27、図28に示すように、各周回巻線U11〜U26は、スロット内に挿通されるスロット導体233aと、異なるスロットに挿通されたスロット導体233aの同一側端部同士を接続して、コイルエンド241(図5参照)を構成する渡り導体233bとから成る。例えば、図27(a)に示すスロット番号05のスロット237に挿通されるスロット導体233aの場合、図示上側の端部は、上側コイルエンドを構成する渡り導体233bによって、スロット番号47のスロット237に挿通されるスロット導体233aの上側端部に接続され、逆に、下側端部は、下側コイルエンドを構成する渡り導体233bによって、スロット番号11のスロット237に挿通されるスロット導体233aの下側端部に接続されている。このような形態でスロット導体233aが渡り導体233bによって接続されることにより、波巻の周回巻線が形成される。
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、1スロット内に6本のスロット導体233aが内周側から外周側に並んで挿通され、内周側から順にレイヤ1、レイヤ2、レイヤ3、レイヤ4、レイヤ5、レイヤ6と称する。図27、図28において、周回巻線U15,U16,U21およびU22の実線部分はレイヤ1を示しており、破線の部分はレイヤ2を示している。周回巻線U13,U14,U23およびU24においては、実線部分はレイヤ3を示しており、破線の部分はレイヤ4を示している。周回巻線U11,U12,U25およびU26においては、実線部分はレイヤ5を示しており、破線の部分はレイヤ6を示している。
図27、図28に示す第2実施形態の周回巻線U11〜16、U21〜26は、全て、第1実施形態で説明した通常スロットピッチによる波巻で巻き回されている。詳細については、図29、図30を用いて説明する。
なお、周回巻線U11〜U26は、連続した導体で形成されても良いし、セグメントコイルをスロット内に挿通した後に溶接等によりセグメントコイル同士を接続するようにしても良い。セグメントコイルを用いる場合、セグメントコイルをスロット237に挿通する前に、固定子コア232の端部より軸方向両端に位置するコイルエンド241を予め成形することができ、異相間もしくは同相間に適切な絶縁距離を容易に設けることができる。その結果、IGBT21のスイッチング動作によって生じるサージ電圧に起因する部分放電を抑制することができ、絶縁に関して有効である。
また、周回巻線に使用する導体は平角線や丸線、もしくは細線を多本持ちにした導体でもよいが、小型高出力化や高効率化を目的として占積率を高めるためには、平角線が適している。
図29は、図27に示したU1相巻線群の一部を拡大して示したものである。図30は、図28に示したU2相巻線群の一部を拡大して示したものである。図29,30ではジャンパー線の部分を含む約4極分を示した。以下、図29を用いてU1相巻線群の巻き回し方について説明し、図30を用いてU2相巻線群の巻き回し方について説明する。
図29(c)に示すように、固定子巻線群U1は口出し線からスロット番号01のレイヤ6に入り、渡り導体233bによりスロット6個分を跨いだ後に、スロット導体233aがスロット番号07のレイヤ5に入る。次に、スロット番号07のレイヤ5から、スロット6個分を跨いでスロット番号13のレイヤ6に入る。
このように、渡り導体233bの跨ぎ量が口出し線のある側(図示下側)、反対側(図示上側)共にスロットピッチNp=6に設定され、スロット番号43のレイヤ5まで固定子コア232を1周するように固定子巻線が通常スロットピッチによる波巻で巻き回される。ここまでの略1周分の固定子巻線が図6に示した周回巻線U11である。第2実施形態の周回巻線は、全て、通常スロットピッチによる波巻である。ただし、挿通されるスロットの位置が固定子コア232の周方向に互いにずれている。詳細は後述する。
次に、スロット番号43のレイヤ5から出た固定子巻線はスロット5個分を跨いでスロット番号48のレイヤ6に入る。スロット番号48のレイヤ6からは図6に示す周回巻線U12となる。周回巻線U12も通常スロットピッチの波巻で巻き回される。すなわち、渡り導体233bの跨ぎ量が口出し線のある側(図示下側)、反対側(図示上側)共にスロットピッチNp=6に設定され、スロット番号42のレイヤ5まで固定子コア232を1周するように固定子巻線が波巻で巻き回される。ここまでの略1周分の固定子巻線が周回巻線U12である。
なお、周回巻線U12は、周回巻線U11に対して1スロットピッチずれて巻き回されることから、1スロットピッチ相当の電気角分の位相差が発生する。本実施形態では、1スロットピッチは電気角30度相当であり、図6においても、周回巻線U11と周回巻線U12とは30度ずれて記載されている。
さらに、図29(b)、(c)に示すように、スロット番号42のレイヤ5から出た固定子巻線は、スロット6個分をまたぐジャンパー線でスロット番号48のレイヤ4に入る。スロット番号48のレイヤ4からは図6に示す周回巻線U13となる。周回巻線U13も通常スロットピッチの波巻で巻き回される。すなわち、渡り導体233bの跨ぎ量が口出し線のある側、反対側共にスロットピッチNp=6に設定され、スロット番号42のレイヤ3まで固定子コア232を1周するように固定子巻線が波巻で巻き回される。ここまでの略1周分の固定子巻線が周回巻線U13である。
次に、スロット番号42のレイヤ3から出た固定子巻線はスロット5個分をまたいでスロット番号47のレイヤ4に入る。スロット番号47のレイヤ4からは図6に示す周回巻線U14となる。周回巻線U14も通常スロットピッチの波巻で巻き回される。すなわち、渡り導体233bの跨ぎ量が口出し線のある側、反対側共にスロットピッチNp=6に設定され、スロット番号41のレイヤ3まで固定子コア232を1周するように固定子巻線が波巻で巻き回される。ここまでの略1周分の固定子巻線が周回巻線U14である。
なお、周回巻線U14は、周回巻線U13に対して1スロットピッチずれて巻き回されることから、1スロットピッチ相当の電気角分の位相差が発生する。本実施形態では、1スロットピッチは電気角30度相当であり、図6においても、周回巻線U13と周回巻線U14とは30度ずれて記載されている。
さらに、図29(a)、(b)に示すように、スロット番号41のレイヤ3から出た固定子巻線はスロット6個分をまたぐジャンパー線でスロット番号47のレイヤ2に入る。スロット番号47のレイヤ2からは図6に示す周回巻線U15となる。周回巻線U15も通常スロットピッチの波巻で巻き回される。すなわち、渡り導体233bの跨ぎ量が口出し線のある側、反対側共にスロットピッチNp=6に設定され、スロット番号41のレイヤ1まで固定子コア232を1周するように固定子巻線が波巻で巻き回される。ここまでの略1周分の固定子巻線が周回巻線U15である。
次に、スロット番号41のレイヤ1から出た固定子巻線はスロット6個分をまたいでスロット番号47のレイヤ2に入る。スロット番号47のレイヤ2からは図6に示す周回巻線U16となる。周回巻線U16も通常スロットピッチの波巻で巻き回される。すなわち、渡り導体233bの跨ぎ量が口出し線のある側ではスロットピッチNp=7、反対側ではスロットピッチNp=5に設定され、スロット番号40のレイヤ1まで固定子コア232を1周するように固定子巻線が波巻で巻き回される。ここまでの略1周分の固定子巻線が周回巻線U16である。
なお、周回巻線U16は、周回巻線U15に対して1スロットピッチずれて巻き回されることから、1スロットピッチ相当の電気角分の位相差が発生する。本実施形態では、1スロットピッチは電気角30度相当であり、図6においても、周回巻線U15と周回巻線U16とは30度ずれて記載されている。
また、周回巻線U11〜16は、全て通常スロットピッチの波巻で巻き回されて渡り導体233bの跨ぎ量が等しいため、鎖交する磁束量は等しい。しかし、挿通されるスロットの位置が固定子コア232の周方向に互いにずれているため、位相差が生じている。具体的に説明すると、周回巻線U11、U13、U15はそれぞれ、スロット番号07,06,05のスロット237に挿通される。周回巻線U11、U13、U15に隣り合う周回巻線U12、U14、U16はそれぞれ、スロット番号06,05,04のスロット237に挿通される。このように、挿通されるスロットの位置が固定子コア232の周方向に互いにずれている。そのため、周回巻線の間で位相差は生じている。
図30に示す固定子巻線群U2も、固定子巻線群U1の各レイヤの場合と同様に全て通常スロットピッチの波巻で巻き回される。周回巻線U21はスロット番号46のレイヤ1からスロット番号04のレイヤ2まで通常スロットピッチの波巻で巻き回され、周回巻線U22はスロット番号47のレイヤ1からスロット番号05のレイヤ2まで通常スロットピッチの波巻で巻き回される。その後、固定子巻線はスロット番号05のレイヤ2からジャンパー線を介してスロット番号47のレイヤ3に入り、周回巻線U23としてスロット番号05のレイヤ4まで通常スロットピッチの波巻で巻き回される。その後、固定子巻線をスロット番号48のレイヤ3からスロット番号06のレイヤ4まで通常スロットピッチの波巻で巻き回すことで、周回巻線U24が形成される。次に、固定子巻線はスロット番号06のレイヤ4からジャンパー線を介してスロット番号48のレイヤ5に入り、周回巻線U25としてスロット番号06のレイヤ6まで通常スロットピッチの波巻で巻き回される。その後、固定子巻線をスロット番号01のレイヤ5からスロット番号07のレイヤ6まで通常スロットピッチの波巻で巻き回すことで、周回巻線U26が形成される。
以上のように、固定子巻線群U1は周回巻線U11,U12,U13,U14,U15,U16からなり、それぞれの位相が合成された電圧が固定子巻線群U1に誘起される。同様に、固定子巻線群U2の場合も、周回巻線U21,U22,U23,U24,U25,U26の位相が合成された電圧が誘起される。図6に示すように固定子巻線群U1と固定子巻線群U2とは並列に接続されているが、固定子巻線群U1,U2のそれぞれに誘起される電圧の間には位相差がなく、並列接続であっても循環電流が流れるなどのアンバランスが起きることはない。もちろん、直列接続であっても良い。
図31は、固定子コア232におけるスロット導体233aの配置を主に示す図であり、図27〜30のスロット番号46〜スロット番号13までを示したものである。なお、回転子の回転方向は図の左から右の方向である。本実施形態では、2極分、つまり電気角360度にスロット237が12個配置されており、例えば、図31のスロット番号01からスロット番号12までは2極分に相当する。そのため、毎極スロット数Nは6、毎極毎相スロット数NSPPは2(=6/3)である。各スロット237には、固定子巻線238のスロット導体233aが6本ずつ挿通されている。
各スロット導体233aは矩形で示されているが、その矩形の中には、U相、V相、W相を示す符号U11〜U26,V,Wと、口出し線がある側から反対側への方向を示すクロス印「×」、その逆の方向を示す黒丸印「●」をそれぞれ図示した。また、スロット237の最も内周側(スロット開口側)にあるスロット導体233aをレイヤ1と呼び、外周側(スロット底側)にかけて順にレイヤ2、レイヤ3、レイヤ4、レイヤ5、レイヤ6と呼ぶことにする。また、符号01〜12は図27〜30に示したものと同様のスロット番号である。なお、U相のスロット導体233aのみ周回巻線を表す符号U11〜U26で示し、V相およびW相のスロット導体233aに関しては、相を表す符号V,Wで示した。
図31において破線234で囲んだ12個のスロット導体233aは、全てU相のスロット導体233aからなるスロット導体群234である。具体例を示す。例えば、中央に示すスロット導体群234は、スロット番号06,07のレイヤ6及びレイヤ5に配設された周回巻線U25,U26,U12、U11のスロット導体233aと、スロット番号05,06のレイヤ4及びレイヤ2に配設された周回巻線U23,U24,U14,U13のスロット導体233aと、スロット番号04,05のレイヤ2及びレイヤ1に配設された周回巻線U21,U22,U16,U15のスロット導体233aと、を有する。
一般に、毎極スロット数Nが6、毎極毎相スロット数NSPPが2、スロット237内のスロット導体233aのレイヤ数が6の場合には、図32に示すようにU相(V相、W相も同様)のスロット導体233aを配置する構成が採用される場合が多い。この場合、図示右側のスロット導体群と図示左側のスロット導体群との間隔は6スロットピッチ(Np=6)、すなわち、毎極スロット数Nが6の時における通常スロットピッチとなる。かつ、同一相の周回巻線が固定子コア232の周方向にずれることなく配設される。なお、図32は、図11を再掲したものである。
一方、本実施形態の構成は、図33に示すように、図32に示したレイヤ2及びレイヤ1の4本のスロット導体233aを回転子の回転方向と逆の方向(図の左方向)へ1スロットピッチ分ずらし、かつ、レイヤ5及びレイヤ6の4本のスロット導体233aを回転方向(図の右方向)へ1スロットピッチ分ずらした構成となっている。第2実施形態では、渡り導体233bによって互いに接続される2つのレイヤをともにずらしたので、通常スロットピッチのみが生じ、変則スロットピッチは生じない。よって、例えば、レイヤ6およびレイヤ5の周回巻線U11のスロット導体233aを接続する渡り導体233bの跨ぎ量は6スロットピッチ(Np=6)となる。同様に、レイヤ5およびレイヤ6の周回巻線U26を接続する渡り導体233bの跨ぎ量は6スロットピッチ(Np=6)となる。その他の周回巻線においても同様である。
この場合、U相だけでなく、V相およびW相の対応する各スロット導体233aも同様に1スロットピッチ分ずらすことになるので、図31に示したように、U,V,W相に関して同一形状のスロット導体群234がそれぞれ形成される。すなわち、回転子の回転方向に対して、順に、U相でクロス印のスロット導体233aから成るスロット導体群、W相で黒丸印のスロット導体233aから成るスロット導体群、V相でクロス印のスロット導体233aから成るスロット導体群、U相で黒丸印のスロット導体233aから成るスロット導体群、W相でクロス印のスロット導体233aから成るスロット導体群、V相で黒丸印のスロット導体233aから成るスロット導体群が配置されることになる。
本実施形態では、図31に示すように、毎極スロット数をN(=6)としたとき、両方のコイルエンドで共に渡り導体233bがスロットピッチNp=N(=6)でスロットを跨ぐようにスロット導体233a間を接続した通常スロットピッチの周回巻線のみを備えている。第1実施形態で定義したように、通常スロットピッチの周回巻線のレイヤ数を2×NL1とすると、本実施形態においては、全てのレイヤが通常スロットピッチの周回巻線のレイヤなので、全てのレイヤ数は、2×NL1で表される。本実施形態において、全てのレイヤ数は6なので、NL1=3となる。
上述したように、各相の固定子巻線は、固定子コア周方向に連続して並んだ所定スロット数Nsに挿通された複数のスロット導体233aで構成されるスロット導体群234と、複数のスロット導体233aのコイルエンド側を接続する渡り導体233bと、を備えている。スロット導体233aは、スロットおよびレイヤが隣接するように各スロット237に挿通される。所定スロット数Nsは、毎極毎相スロット数をNSPP、レイヤ数を2×NL1としたとき、Ns=NSPP+NL1−1 に設定されている。本実施形態では、図33に示すように、NSPP=2、NL1=3なので、Ns=4である。
図33を用いて、本実施形態のスロット導体群234についてさらに説明する。スロット導体群234は、スロット導体小群235に分けることができる。各スロット導体小群235は、固定子コア232の径方向に隣り合って互いに渡り導体233bに接続される内周側レイヤと外周側レイヤによりなるものである。なお、本実施形態においては、全てのスロット導体小群235が、通常スロットピッチの周回巻線に係る第1スロット導体小群235aである。図33では、スロット導体小群235aが破線で示されている。スロット導体小群235、第1スロット導体小群235aの定義は、第1実施形態と同様である。スロット導体小群235は、固定子コア232の径方向に隣り合って互いに渡り導体233bに接続される内周側レイヤと外周側レイヤによりなるものである。以下、図33を用いて具体的に説明する。
本実施形態では、レイヤ1(第1内周側レイヤ)、レイヤ2(第1外周側レイヤ)で、1つ目の第1スロット導体小群235aを構成する。レイヤ3(第1内周側レイヤ)、レイヤ4(第1外周側レイヤ)で、2つ目の第1スロット導体小群235aを構成する。レイヤ5(第1内周側レイヤ)、レイヤ6(第1外周側レイヤ)で、3つ目の第1スロット導体小群235aを構成する。よって、上記のように、スロット導体群234は、合計3個(NL1=3)の第1スロット導体小群235aを有する。
1つの第1スロット導体小群235aにおいて、内周側レイヤのスロット導体と外周側レイヤのスロット導体とは、固定子コア232の周方向両端を揃えて配置されている。
第1スロット導体小群235a同士の位置関係について説明する。複数の第1スロット導体小群235aは、固定子コア周方向に1スロットピッチずつずれて配置されている。この配置の規則を規則Bと呼ぶことにする。例えば、レイヤ1,2よりなる第1スロット導体小群235aと、レイヤ3,4よりなる第1スロット導体小群235aでは、固定子コア周方向に1スロットピッチずつずれて配置されていることで、周回巻線U22のスロット導体233aと周回巻線U14のスロット導体233aとが同一のスロット237に配置するようになっている。
本実施形態のような構成を取ると、上記の関係式Ns=NSPP+NL1−1が成り立つ。
ここで、図31等に示す本実施形態の回転電機の作用効果を、図32に示す巻き回し方によってなる回転電機(以下、比較例1と呼ぶ)の作用効果、および、特許文献1(特開2012−29370号公報)の図22(a)に記載の巻き回し方によってなる回転電機(以下、比較例2と呼ぶ)の作用効果と対比しながら説明する。なお、比較例2は、本実施形態の回転電機と変則スロットピッチに係る周回巻線のスロット導体をずらす方向が逆になっているが、これは定義の問題であり、互いに同一方向にずれているものと考えて差支えない。
図34〜図37は、本実施形態の回転電機の作用効果を、比較例1の作用効果と対比したものである。
図34は、本実施形態の回転電機の誘起電圧波形、および、比較例1の回転電機の誘起電圧波形を示す図である。また、図35は、図34のそれぞれの誘起電圧波形を高調波解析した結果を示したものである。
図34に示すように、本実施形態の回転電機の誘起電圧波形は、比較例1の回転電機の誘起電圧波形よりも正弦波に近いことが分かる。また、図35の高調波解析結果に示すように、本実施形態では、比較例1と比較して、特に、5次と7次の高調波成分を減らすことができることが分かった。
図36は、交流電流を通電した場合のトルク波形を、本実施形態の回転電機の場合と比較例1の回転電機の場合について示したものである。また、図37は、図36に示す各トルク波形を高調波解析した結果を示す。図37の高調波解析結果に示すように、特に、6次のトルクリプルを減らすことができることが分かった。これは、誘起電圧、すなわち鎖交磁束の5次と7次の成分が、巻線配置を図27〜31に示すような配置とすることにより低減されたことを示す。
図38、図39は、本実施形態の発明の作用効果を、比較例2の作用効果と対比したものである。
図38は、交流電流を通電した場合のトルク波形を、本実施形態の回転電機の場合と比較例2の回転電機の場合について示したものである。また、図39は、図38に示す各トルク波形を高調波解析した結果を示す。図38、図39に示すように、本実施形態では、比較例2と比較して、平均トルクが大きいことが分かった。
以上の作用効果の対比によって、本実施形態によれば、比較例1よりもトルクリプルが小さく低騒音で、比較例2よりも平均トルクが大きい回転電機を得ることができる。この意味で、本実施形態の回転電機は、高トルクかつ低騒音な回転電機を得ることができる。また、その回転電機を備えた車両では、高トルク化、かつ、低騒音化を図ることができる。
このように、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
第2実施形態の回転電機は、以下の構成を有し、以下の作用効果を奏する。
(1)回転電機200(回転電機202でも同様)における各相の固定子巻線は、複数のスロット237に挿通された複数のスロット導体233aと、コイルエンド241においてスロット導体233aの両端を接続する渡り導体233bと、を備えている。そして、図29、図30等に示すように、スロット導体233aは、レイヤ1〜6、すなわち、全てのレイヤにおいて、通常スロットピッチの渡り導体233bで接続されている。
通常スロットピッチの渡り導体233bは、毎極スロット数をNとしたとき、一方のコイルエンド241ではスロットピッチNp=Nでスロット237を跨ぎ、他方のコイルエンド241ではスロットピッチNp=Nでスロット237を跨ぐようにスロット導体233a間を接続する。
固定子巻線238は、同一相の複数のスロット導体233aで構成される一群のスロット導体群234を複数有する。
スロット導体群234の複数のスロット導体233aは、固定子コア232の周方向に連続して並んだ所定数Nsのスロット内にスロット237およびレイヤが隣接するように挿通されている。
所定数Nsは、毎極毎相スロット数をNSPP、レイヤ数を2×NL1としたとき、Ns=NSPP+NL1−1に設定されている。
これによって、本実施形態の回転電機は、高トルクかつ低騒音な回転電機を得ることができる。また、その回転電機を備えた車両では、高トルク化、かつ、低騒音化を図ることができる。
(2)具体的には、以下のような構成を有する。
スロット導体群234は、固定子コア232の径方向に隣り合って互いに渡り導体233bに接続される内周側レイヤおよび外周側レイヤよりなる第1スロット導体小群235aをNL1個有する。
内周側レイヤのスロット導体と外周側レイヤのスロット導体とは、固定子コア232の周方向両端を揃えて配置されている。
NL1個のスロット導体小群は、固定子コア周方向に1スロットピッチずつずれて配置されている。
上記の具体的構成(2)によって、本実施形態の回転電機は、高トルクかつ低騒音な回転電機を得ることができる。また、その回転電機を備えた車両では、高トルク化、かつ、低騒音化を図ることができる。
―第2実施形態の変形例―
図40は、第2実施形態の回転電機のスロット導体群234(234H)を示した図であり、図33と同様の図である。第2実施形態は、例えば、以下のように変形することが可能である。図40を基準にして、第2実施形態の変形例について説明する。
<変形例7>
図41は、変形例7の回転電機のスロット導体群234(234I)を示す図である。変形例7は、毎極スロット数N=6、NSPP=2、レイヤ数=8の設定である。変形例7では、レイヤ1〜8の全てが通常スロットピッチの周回巻線である(NL1=4)。本変形例は、第2実施形態よりもレイヤ数が2つ増加した。その結果、第1スロット導体小群235aが1つ増加した。本変形例でも、第1スロット導体小群235a同士の配置は、上述した規則Bに従う。固定子コア周方向に連続して並んだ所定スロット数Ns=5であることから、第2実施形態と同様に、Ns = NSPP + NL1 −1 が成り立つことが理解される。本変形例のように変形しても、NSPP=2、レイヤ数=8の設定で比較例1に相当する比較例よりもトルクリプルが小さく低騒音で、NSPP=2、レイヤ数=8の設定で比較例2に相当する比較例よりも平均トルクが大きいという効果を奏することができる。
<変形例8>
図42は、変形例8の回転電機のスロット導体群234(234J)を示す図である。変形例8は、毎極スロット数N=9、NSPP=3、レイヤ数=6の設定である。変形例8では、レイヤ1〜6の全てが通常スロットピッチの周回巻線である(NL1=3)。本変形例は、第2実施形態よりも毎極毎相スロット数NSPPが1つ増加して、3となった。本変形例でも、第1スロット導体小群235a同士の配置は、上述した規則Bに従う。固定子コア周方向に連続して並んだ所定スロット数Ns=5であることから、第2実施形態と同様に、Ns = NSPP + NL1 −1 が成り立つことが理解される。本変形例のように変形しても、NSPP=3、レイヤ数=6の設定で比較例1に相当する比較例よりもトルクリプルが小さく低騒音で、NSPP=3、レイヤ数=6の設定で比較例2に相当する比較例よりも平均トルクが大きいという効果を奏することができる。
―第3実施形態―
以下、第3実施形態について説明する。第1実施形態と同様の構成(例えば、図1〜6に記載の構成)については、説明を省略する。
図43、図44は、固定子巻線238のU相巻線の詳細結線を示す図である。固定子コア232には48個のスロット237が形成されており(図4参照)、図43、図44に示す符号01,02,〜,47,48はスロット番号を示している。
図43(a)はU1相巻線群の周回巻線U15,U16を示している。図43(b)はU1相巻線群の周回巻線U13,U14を示している。図43(c)はU1相巻線群の周回巻線U11,12を示している。
図44(a)はU2相巻線群の周回巻線U21,22を示している。図44(b)はU2相巻線群の周回巻線U23,U24を示している。図44(c)はU2相巻線群の周回巻線U25,U26を示している。
図43、図44に示すように、各周回巻線U11〜U26は、スロット内に挿通されるスロット導体233aと、異なるスロットに挿通されたスロット導体233aの同一側端部同士を接続して、コイルエンド241(図5参照)を構成する渡り導体233bとから成る。例えば、図43(a)に示すスロット番号05のスロット237に挿通されるスロット導体233aの場合、図示上側の端部は、上側コイルエンドを構成する渡り導体233bによって、スロット番号48のスロット237に挿通されるスロット導体233aの上側端部に接続され、逆に、下側端部は、下側コイルエンドを構成する渡り導体233bによって、スロット番号12のスロット237に挿通されるスロット導体233aの下側端部に接続されている。このような形態でスロット導体233aが渡り導体233bによって接続されることにより、波巻の周回巻線が形成される。
後述するように、本実施形態では、1スロット内に6本のスロット導体233aが内周側から外周側に並んで挿通され、内周側から順にレイヤ1、レイヤ2、レイヤ3、レイヤ4、レイヤ5、レイヤ6と称する。図43、図44において、周回巻線U15,U16,U21およびU22の実線部分はレイヤ1を示しており、破線の部分はレイヤ2を示している。周回巻線U13,U14,U23およびU24においては、実線部分はレイヤ3を示しており、破線の部分はレイヤ4を示している。周回巻線U11,U12,U25およびU26においては、実線部分はレイヤ5を示しており、破線の部分はレイヤ6を示している。
図43、図44に示す第3実施形態の周回巻線U11〜16、U21〜26は、全て、第1実施形態で説明した変則スロットピッチによる波巻で巻き回されている。詳細については、図45、図46を用いて説明する。
なお、周回巻線U11〜U26は、連続した導体で形成されても良いし、セグメントコイルをスロット内に挿通した後に溶接等によりセグメントコイル同士を接続するようにしても良い。セグメントコイルを用いる場合、セグメントコイルをスロット237に挿通する前に、固定子コア232の端部より軸方向両端に位置するコイルエンド241を予め成形することができ、異相間もしくは同相間に適切な絶縁距離を容易に設けることができる。その結果、IGBT21のスイッチング動作によって生じるサージ電圧に起因する部分放電を抑制することができ、絶縁に関して有効である。
また、周回巻線に使用する導体は平角線や丸線、もしくは細線を多本持ちにした導体でもよいが、小型高出力化や高効率化を目的として占積率を高めるためには、平角線が適している。
図45は、図43に示したU1相巻線群の一部を拡大して示したものである。図46は、図44に示したU2相巻線群の一部を拡大して示したものである。図45,46ではジャンパー線の部分を含む約4極分を示した。以下、図45を用いてU1相巻線群の巻き回し方について説明し、図46を用いてU2相巻線群の巻き回し方について説明する。
図45(c)に示すように、固定子巻線群U1は口出し線からスロット番号48のレイヤ6に入り、渡り導体233bによりスロット5個分を跨いだ後に、スロット導体233aがスロット番号05のレイヤ5に入る。次に、スロット番号05のレイヤ5から、スロット7個分を跨いでスロット番号12のレイヤ6に入る。
このように、口出し線が引き出されているコイルエンド側(図示下側)における渡り導体233bの跨ぎ量がスロットピッチNp=7、反対側のコイルエンド側(図示上側)における渡り導体233bの跨ぎ量がスロットピッチNp=5となるように、スロット番号41のレイヤ5まで固定子コア232を1周するように固定子巻線が変則スロットピッチの波巻で巻き回される。ここまでの略1周分の固定子巻線が図6に示した周回巻線U11である。
次に、スロット番号41のレイヤ5から出た固定子巻線はスロット6個分をまたいでスロット番号47のレイヤ6に入る。スロット番号47のレイヤ6からは図6に示す周回巻線U12となる。周回巻線U12も変則スロットピッチの波巻で巻き回される。すなわち、渡り導体233bの跨ぎ量が口出し線のある側ではスロットピッチNp=7、反対側ではスロットピッチNp=5に設定され、スロット番号40のレイヤ5まで固定子コア232を1周するように固定子巻線が波巻で巻き回される。ここまでの略1周分の固定子巻線が周回巻線U12である。
なお、周回巻線U12は、周回巻線U11に対して1スロットピッチずれて巻き回されることから、1スロットピッチ相当の電気角分の位相差が発生する。本実施形態では、1スロットピッチは電気角30度相当であり、図6においても、周回巻線U11と周回巻線U12とは30度ずれて記載されている。
さらに、図45(b)、(c)に示すように、スロット番号40のレイヤ5から出た固定子巻線は、スロット8個分をまたぐジャンパー線でスロット番号48のレイヤ4に入る。スロット番号48のレイヤ4からは図6に示す周回巻線U13となる。周回巻線U13も、変則スロットピッチの波巻で巻き回される。すなわち、渡り導体233bの跨ぎ量が口出し線のある側ではスロットピッチNp=7、反対側ではスロットピッチNp=5に設定され、スロット番号41のレイヤ3まで固定子コア232を1周するように固定子巻線が波巻で巻き回される。ここまでの略1周分の固定子巻線が周回巻線U13である。
次に、スロット番号41のレイヤ3から出た固定子巻線はスロット6個分をまたいでスロット番号47のレイヤ4に入る。スロット番号47のレイヤ4からは図6に示す周回巻線U14となる。周回巻線U14も、変則スロットピッチの波巻で巻き回される。すなわち、渡り導体233bの跨ぎ量が口出し線のある側ではスロットピッチNp=7、反対側ではスロットピッチNp=5に設定され、スロット番号40のレイヤ3まで固定子コア232を1周するように固定子巻線が波巻で巻き回される。ここまでの略1周分の固定子巻線が周回巻線U14である。
なお、周回巻線U14は、周回巻線U13に対して1スロットピッチずれて巻き回されることから、1スロットピッチ相当の電気角分の位相差が発生する。本実施形態では、1スロットピッチは電気角30度相当であり、図6においても、周回巻線U13と周回巻線U14とは30度ずれて記載されている。
さらに、図45(a)、(b)に示すように、スロット番号40のレイヤ3から出た固定子巻線はスロット8個分をまたぐジャンパー線でスロット番号48のレイヤ2に入る。スロット番号48のレイヤ2からは図6に示す周回巻線U15となる。周回巻線U15も、変則スロットピッチの波巻で巻き回される。すなわち、渡り導体233bの跨ぎ量が口出し線のある側ではスロットピッチNp=7、反対側ではスロットピッチNp=5に設定され、スロット番号41のレイヤ1まで固定子コア232を1周するように固定子巻線が波巻で巻き回される。ここまでの略1周分の固定子巻線が周回巻線U15である。
次に、スロット番号41のレイヤ1から出た固定子巻線はスロット6個分をまたいでスロット番号47のレイヤ2に入る。スロット番号47のレイヤ2からは図6に示す周回巻線U16となる。周回巻線U16も、変則スロットピッチの波巻で巻き回される。すなわち、渡り導体233bの跨ぎ量が口出し線のある側ではスロットピッチNp=7、反対側ではスロットピッチNp=5に設定され、スロット番号40のレイヤ1まで固定子コア232を1周するように固定子巻線が波巻で巻き回される。ここまでの略1周分の固定子巻線が周回巻線U16である。
なお、周回巻線U16は、周回巻線U15に対して1スロットピッチずれて巻き回されることから、1スロットピッチ相当の電気角分の位相差が発生する。本実施形態では、1スロットピッチは電気角30度相当であり、図6においても、周回巻線U15と周回巻線U16とは30度ずれて記載されている。
図46に示す固定子巻線群U2も、固定子巻線群U1の各レイヤの場合と同様の跨ぎ量で巻き回される。周回巻線U21はスロット番号46のレイヤ1からスロット番号05のレイヤ2まで変則スロットピッチの波巻で巻き回され、周回巻線U22はスロット番号47のレイヤ1からスロット番号06のレイヤ2まで変則スロットピッチの波巻で巻き回される。その後、固定子巻線はスロット番号06のレイヤ2からジャンパー線を介してスロット番号46のレイヤ3に入り、周回巻線U23としてスロット番号05のレイヤ4まで変則スロットピッチの波巻で巻き回される。その後、固定子巻線をスロット番号47のレイヤ3からスロット番号06のレイヤ4まで変則スロットピッチの波巻で巻き回すことで、周回巻線U24が形成される。次に、固定子巻線はスロット番号06のレイヤ4からジャンパー線を介してスロット番号46のレイヤ5に入り、周回巻線U25としてスロット番号05のレイヤ6まで変則スロットピッチの波巻で巻き回される。その後、固定子巻線をスロット番号47のレイヤ5からスロット番号06のレイヤ6まで変則スロットピッチの波巻で巻き回すことで、周回巻線U26が形成される。
以上のように、固定子巻線群U1は周回巻線U11,U12,U13,U14,U15,U16からなり、それぞれの位相が合成された電圧が固定子巻線群U1に誘起される。同様に、固定子巻線群U2の場合も、周回巻線U21,U22,U23,U24,U25,U26の位相が合成された電圧が誘起される。図6に示すように固定子巻線群U1と固定子巻線群U2とは並列に接続されているが、固定子巻線群U1,U2のそれぞれに誘起される電圧の間には位相差がなく、並列接続であっても循環電流が流れるなどのアンバランスが起きることはない。もちろん、直列接続であっても良い。
図47は、固定子コア232におけるスロット導体233aの配置を主に示す図であり、図43〜46のスロット番号46〜スロット番号13までを示したものである。なお、回転子の回転方向は図の左から右の方向である。本実施形態では、2極分、つまり電気角360度にスロット237が12個配置されており、例えば、図47のスロット番号01からスロット番号12までは2極分に相当する。そのため、毎極スロット数Nは6、毎極毎相スロット数NSPPは2(=6/3)である。各スロット237には、固定子巻線238のスロット導体233aが6本ずつ挿通されている。
各スロット導体233aは矩形で示されているが、その矩形の中には、U相、V相、W相を示す符号U11〜U26,V,Wと、口出し線がある側から反対側への方向を示すクロス印「×」、その逆の方向を示す黒丸印「●」をそれぞれ図示した。また、スロット237の最も内周側(スロット開口側)にあるスロット導体233aをレイヤ1と呼び、外周側(スロット底側)にかけて順にレイヤ2、レイヤ3、レイヤ4、レイヤ5、レイヤ6と呼ぶことにする。また、符号01〜12は図43〜46に示したものと同様のスロット番号である。なお、U相のスロット導体233aのみ周回巻線を表す符号U11〜U26で示し、V相およびW相のスロット導体233aに関しては、相を表す符号V,Wで示した。
図47において破線234で囲んだ12個のスロット導体233aは、全てU相のスロット導体233aからなるスロット導体群234である。具体例を示す。例えば、中央に示すスロット導体群234は、スロット番号05,06のレイヤ6に配設された周回巻線U25,U26のスロット導体233aと、スロット番号04,05のレイヤ5に配設された周回巻線U12,U11のスロット導体233aと、スロット番号05,06のレイヤ4に配設された周回巻線U23,U22のスロット導体233aと、スロット番号04,05のレイヤ3に配設された周回巻線U14,U13のスロット導体233aと、スロット番号05,06のレイヤ2に配設された周回巻線U21,U22のスロット導体233aと、スロット番号04,05のレイヤ1に配設された周回巻線U16,U15のスロット導体233aと、を有する。
一般に、毎極スロット数Nが6、毎極毎相スロット数NSPPが2、スロット237内のスロット導体233aのレイヤ数が6の場合には、図48に示すようにU相(V相、W相も同様)のスロット導体233aを配置する構成が採用される場合が多い。この場合、図示右側のスロット導体群と図示左側のスロット導体群との間隔は6スロットピッチ(Np=6)、すなわち、毎極スロット数Nが6の時における通常スロットピッチとなる。かつ、同一相の周回巻線が固定子コア232の周方向にずれることなく配設される。なお、図48は、図11を再掲したものである。
一方、本実施形態の構成は、図49に示すように、図48に示したレイヤ2,4,6の2本のスロット導体233aを回転子の回転方向(図の右方向)へ1スロットピッチ分ずらした構成となっている。そのため、図49に示すように、レイヤ6およびレイヤ5の周回巻線U11のスロット導体233aを接続する渡り導体233bの跨ぎ量は5スロットピッチ(Np=5)となり、レイヤ5およびレイヤ6の周回巻線U26を接続する渡り導体233bの跨ぎ量は7スロットピッチ(Np=7)となる。周回巻線U12のスロット導体233aの跨ぎ量は、周回巻線U11と同様である。周回巻線U25のスロット導体233aの跨ぎ量は、周回巻線U26と同様である。また、レイヤ4,3の周回巻線、レイヤ2,1の周回巻線においても同様に変則スロットピッチとなる。
この場合、U相だけでなく、V相およびW相の対応する各スロット導体233aも同様に1スロットピッチ分ずらすことになるので、図47に示したように、U,V,W相に関して同一形状のスロット導体群234がそれぞれ形成される。すなわち、回転子の回転方向に対して、順に、U相でクロス印のスロット導体233aから成るスロット導体群、W相で黒丸印のスロット導体233aから成るスロット導体群、V相でクロス印のスロット導体233aから成るスロット導体群、U相で黒丸印のスロット導体233aから成るスロット導体群、W相でクロス印のスロット導体233aから成るスロット導体群、V相で黒丸印のスロット導体233aから成るスロット導体群が配置されることになる。
本実施形態では、図47に示すように、毎極スロット数をN(=6)としたとき、一方のコイルエンドでは渡り導体233bがスロットピッチNp=N+1(=7)でスロットを跨ぎ、他方のコイルエンドではスロットピッチNp=N−1(=5)でスロットを跨ぐようにスロット導体233a間を接続した変則スロットピッチの周回巻線のみを備えている。第1実施形態等に示した通常スロットピッチの周回巻線は備えていない。
上述したように、各相の固定子巻線は、固定子コア周方向に連続して並んだ所定スロット数Nsに挿通された複数のスロット導体233aで構成されるスロット導体群234と、複数のスロット導体233aのコイルエンド側を接続する渡り導体233bと、を備えている。スロット導体233aは、スロットおよびレイヤが隣接するように各スロット237に挿通される。所定スロット数Nsは、毎極毎相スロット数をNSPPとしたとき、Ns=NSPP+1 に設定されている。本実施形態では、図49に示すように、NSPP=2なので、Ns=3である。
図49を用いて、本実施形態のスロット導体群234についてさらに説明する。スロット導体群234は、図13の破線で示すスロット導体小群235に分けることができる。スロット導体小群235は、固定子コア232の径方向に隣り合って互いに渡り導体233bに接続される内周側レイヤと外周側レイヤによりなるものである。本実施形態のスロット導体小群235は、3つの第2スロット導体小群235b(第1実施形態を参照)のみから構成されている。図49に示す第2スロット導体小群235bは、図13に示したものと同様であるので、第2スロット導体小群235bの内部構成の説明は省略する。
本実施形態のスロット導体群234は、3つの第2スロット導体小群235bを有する。第2スロット導体小群235b同士は、固定子コア232の周方向両端を揃えるという規則によって配置されている。この規則を規則Cと呼ぶことにする。すなわち、U12、U14、U16に係るスロット導体233aが同一スロットに配置され、U25,U22,U23,U13,U21,U15に係るスロット導体233aが同一スロットに配置され、U26,U24,U22に係るスロット導体233aが同一スロットに配置されている。第2スロット導体小群235bのみが以上のように配置されると、上記の関係式Ns=NSPP+1が成り立つ。
ここで、図47等に示す本実施形態の回転電機の作用効果を、図48に示す巻き回し方によってなる回転電機(以下、比較例1と呼ぶ)の作用効果、および、特許文献1(特開2012−29370号公報)の図22(a)に記載の巻き回し方によってなる回転電機(以下、比較例2と呼ぶ)の作用効果と対比しながら説明する。なお、比較例2は、本実施形態の回転電機と変則スロットピッチに係る周回巻線のスロット導体をずらす方向が逆になっているが、これは定義の問題であり、互いに同一方向にずれているものと考えて差支えない。
図50〜図53は、本実施形態の回転電機の作用効果を、比較例1の作用効果と対比したものである。
図50は、本実施形態の回転電機の誘起電圧波形、および、比較例1の回転電機の誘起電圧波形を示す図である。また、図51は、図50のそれぞれの誘起電圧波形を高調波解析した結果を示したものである。
図51に示すように、本実施形態の回転電機の誘起電圧波形は、比較例1の回転電機の誘起電圧波形よりも正弦波に近いことが分かる。また、図51の高調波解析結果に示すように、本実施形態では、比較例1と比較して、特に、5次と7次の高調波成分を減らすことができることが分かった。
図52は、交流電流を通電した場合のトルク波形を、本実施形態の回転電機の場合と比較例1の回転電機の場合とについて示したものである。また、図53は、図52に示す各トルク波形を高調波解析した結果を示す。図53の高調波解析結果に示すように、特に、6次のトルクリプルを減らすことができることが分かった。これは、誘起電圧、すなわち鎖交磁束の5次と7次の成分が、巻線配置を図43〜47に示すような配置とすることにより低減されたことを示す。
図54、図55は、本実施形態の発明の作用効果を、比較例2の作用効果と対比したものである。
図54は、交流電流を通電した場合のトルク波形を、本実施形態の回転電機の場合と比較例2の回転電機の場合とについて示したものである。また、図55は、図54に示す各トルク波形を高調波解析した結果を示す。図54、図55に示すように、本実施形態では、比較例2と比較して、平均トルクが大きいことが分かった。
以上の作用効果の対比によって、本実施形態によれば、比較例1よりもトルクリプルが小さく低騒音で、比較例2よりも平均トルクが大きい回転電機を得ることができる。この意味で、本実施形態の回転電機は、高トルクかつ低騒音な回転電機を得ることができる。また、その回転電機を備えた車両では、高トルク化、かつ、低騒音化を図ることができる。
第3実施形態の回転電機は、以下の構成を有し、以下の作用効果を奏する。
(1)回転電機200(回転電機202でも同様)における各相の固定子巻線は、複数のスロット237に挿通された複数のスロット導体233aと、コイルエンド241においてスロット導体233aの両端を接続する渡り導体233bと、を備えている。そして、図45、図46等に示すように、スロット導体233aは、レイヤ1〜6、すなわち、全てのレイヤにおいて、変則スロットピッチの渡り導体233bで接続されている。
変則スロットピッチの渡り導体233bは、毎極スロット数をNとしたとき、一方のコイルエンド241ではスロットピッチNp=N+1でスロット237を跨ぎ、他方のコイルエンド241ではスロットピッチNp=N−1でスロット237を跨ぐようにスロット導体233a間を接続している。
固定子巻線238は、同一相の複数のスロット導体233aで構成される一群のスロット導体群234を複数有する。
スロット導体群234の複数のスロット導体233aは、固定子コア232の周方向に連続して並んだ所定数Nsのスロット内にスロットおよびレイヤが隣接するように挿通されている。
所定数Nsは、毎極毎相スロット数をNSPP、Ns=NSPP+1に設定されている。
これによって、本実施形態の回転電機は、高トルクかつ低騒音な回転電機を得ることができる。また、その回転電機を備えた車両では、高トルク化、かつ、低騒音化を図ることができる。
(2)さらに、具体的には、以下のような構成を有することができる。すなわち、
スロット導体群234は、固定子コア232の径方向に隣り合って互いに渡り導体233bに接続される内周側レイヤおよび外周側レイヤよりなる第2スロット導体小群235bをNL2個有している。
内周側レイヤのスロット導体と外周側レイヤのスロット導体とは、互いに固定子コア周方向に1スロットピッチずれて配置されている。
NL2個の第2スロット導体小群235bは、固定子コアの周方向両端を揃えて配置されている。
上記の具体的構成(2)によって、本実施形態の回転電機は、高トルクかつ低騒音な回転電機を得ることができる。また、その回転電機を備えた車両では、高トルク化、かつ、低騒音化を図ることができる。
―第3実施形態の変形例―
図56は、第3実施形態の回転電機のスロット導体群234(234K)を示した図であり、図49と同様の図である。第3実施形態は、例えば、以下のように変形することが可能である。図56を基準にして、第3実施形態の変形例について説明する。
<変形例9>
図57は、変形例9の回転電機のスロット導体群234(234L)を示す図である。変形例9は、毎極スロット数N=6、NSPP=2、レイヤ数=8の設定である。変形例9では、レイヤ1〜8の全てが変則スロットピッチの周回巻線である。本変形例は、第3実施形態よりもレイヤ数が2つ増加した。その結果、第2スロット導体小群235bが1つ増加した。複数の第2スロット導体小群235bは、上記の規則Cに従って配置される。固定子コア周方向に連続して並んだ所定スロット数Ns=3であることから、上記の関係式Ns=NSPP + 1が成り立つ。この関係式が成り立つ理由は以下である。規則Cに従って配置されると、第2スロット導体小群235b同士にずれが生じない。よって、第2スロット導体小群235bの数に関係なく、上記の関係式は、第2スロット導体小群235bの数であるNL2に依存しない。本変形例のように変形しても、NSPP=2、レイヤ数=8の設定で比較例1に相当する比較例よりもトルクリプルが小さく低騒音で、NSPP=2、レイヤ数=8の設定で比較例2に相当する比較例よりも平均トルクが大きいという効果を奏することができる。
<変形例10>
図58は、変形例10の回転電機のスロット導体群234(234M)を示す図である。変形例10は、毎極スロット数N=9、NSPP=3、レイヤ数=6の設定である。変形例10では、レイヤ1〜6の全てが変則スロットピッチの周回巻線である(NL2=3)。本変形例は、第3実施形態よりも毎極毎相スロット数NSPPが1つ増加して、3となった。本変形例でも、第2スロット導体小群235b同士の配置は、上述した規則Cに従う。固定子コア周方向に連続して並んだ所定スロット数Ns=4であることから、第3実施形態と同様に、Ns = NSPP + 1が成り立つことが理解される。本変形例のように変形しても、NSPP=3、レイヤ数=6の設定で比較例1に相当する比較例よりもトルクリプルが小さく低騒音で、NSPP=3、レイヤ数=6の設定で比較例2に相当する比較例よりも平均トルクが大きいという効果を奏することができる。
第1〜第3実施形態においては、NSPP=2または3、レイヤ数=6または8の例で説明したが、本発明はこれに限定されない。3以上のNSPPや8以上の偶数レイヤでも同様の効果を奏する。
なお、レイヤ数、すなわち、1つのスロット237が有するスロット導体の数(スロット導体数)を6以上にすることで、コイルレイアウトの自由度が増加する。その結果、高調波や高調波に起因するトルクリプルをより低減できる。
本発明は、以上に示した内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
100:車両
120:エンジン
180:バッテリ
200,202:回転電機
230:固定子
232:固定子コア
233a:スロット導体
233b:渡り導体
234,234A〜234M:スロット導体群
235:スロット導体小群235a:第1スロット導体小群
235b:第2スロット導体小群
237:スロット
238:固定子巻線
241:コイルエンド
250:回転子
600:電力変換装置
U11〜U16,U21〜U26,V11〜V16,V21〜V26,W11〜W16,W21〜W26:周回巻線

Claims (7)

  1. 複数のスロットが形成された固定子コアと、
    前記固定子コアの各スロットに挿通されて複数のレイヤの内のいずれか一つを構成するスロット導体および異なるスロットに挿通されたスロット導体の同一側端部同士を接続してコイルエンドを構成する渡り導体を有する波巻の周回巻線を、複数有する複数相の固定子巻線と、
    前記固定子コアに対して空隙を介して回転自在に支持された回転子と、を備え、
    前記周回巻線は、前記渡り導体として第1渡り導体を有する第1周回巻線と、前記渡り導体として第2渡り導体を有する第2周回巻線と、を含み、
    前記第1渡り導体は、毎極スロット数をNとしたとき、一方のコイルエンドではスロットピッチNp=Nでスロットを跨ぎ、他方のコイルエンドではスロットピッチNp=Nでスロットを跨ぐように前記スロット導体間を接続し、
    前記第2渡り導体は、毎極スロット数をNとしたとき、一方のコイルエンドではスロットピッチNp=N+1でスロットを跨ぎ、他方のコイルエンドではスロットピッチNp=N−1でスロットを跨ぐように前記スロット導体間を接続し、
    前記固定子巻線は、同一相の複数のスロット導体で構成される一群のスロット導体群を複数有する回転電機。
  2. 請求項1に記載の回転電機において、
    前記スロット導体群の複数のスロット導体は、固定子コア周方向に連続して並んだ所定数Nsのスロット内にスロットおよびレイヤが隣接するように挿通され、
    前記所定数Nsは、毎極毎相スロット数をNSPP、前記第2周回巻線に係るレイヤ数を2×NL2としたとき、Ns=NSPP+NL2に設定されている回転電機。
  3. 請求項2に記載の回転電機において、
    前記スロット導体群は、複数のスロット導体小群に分けられ、
    固定子コア径方向に隣り合う前記スロット導体小群は、互いに接する側の固定子コア周方向両端を揃えて配置され、
    前記複数のスロット導体小群は、固定子コア径方向に隣り合って互いに前記第1渡り導体に接続される第1内周側レイヤおよび第1外周側レイヤよりなる第1スロット導体小群をNL1個と、固定子コア径方向に隣り合って互いに前記第2渡り導体に接続される第2内周側レイヤおよび第2外周側レイヤよりなる第2スロット導体小群をNL2個と、から成り、
    前記第1内周側レイヤのスロット導体と前記第1外周側レイヤのスロット導体とは、固定子コア周方向両端を揃えて配置され、
    前記第2内周側レイヤのスロット導体と前記第2外周側レイヤのスロット導体とは、互いに固定子コア周方向に1スロットピッチずれて配置されている回転電機。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載の回転電機において、
    前記周回巻線は、複数のセグメント導体を接続することで構成される回転電機。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の回転電機において、
    前記スロット導体が平角線である回転電機。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の回転電機において、
    前記固定子巻線はY結線を複数有し、それぞれのY結線の各相の巻線に誘起する電圧に位相差が無い回転電機。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載の回転電機と、
    直流電力を供給するバッテリと、
    前記バッテリの直流電力を交流電力に変換して前記回転電機に供給する変換装置と、を備え、
    前記回転電機のトルクを駆動力として用いる車両。
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