<ガイドベーン開閉制御システムの構成>
図1は実施の形態に係るガイドベーン開閉制御システム1の全体構成を示す図である。本実施の形態に係るガイドベーン開閉制御システム1は、例えば、複動式のシステムであって、複数の電動サーボアクチュエータを使用して、発電水車、ポンプ等の水力機械の流量を制御するガイドベーン(案内羽根)の開閉制御を行う。ガイドベーン開閉制御システム1は、例えば、発電水車の流量を制御するガイドベーンの開閉制御を行う。
図1に示されるように、ガイドベーン開閉制御システム1は、2つの電動サーボアクチュエータ2a,2bと、当該2つの電動サーボアクチュエータ2a,2bを同期制御する制御装置5とを備えている。電動サーボアクチュエータ2a,2bは、発電水車のガイドリング12の接続部分13a,13bにそれぞれ接続されている。接続部分13a,13bは、ガイドリング12の外側の周縁において互いに対向するように設けられている。以後、電動サーボアクチュエータ2a,2bを特に区別する必要がない場合には、それぞれを「電動サーボアクチュエータ2」と呼ぶ。また、接続部分13a,13bを特に区別する必要がない場合には、それぞれを「接続部分13」と呼ぶ。
ガイドリング12には、複数のガイドベーン10がそれぞれリンク機構11を介して接続されている。複数のガイドベーン10の開度が制御されることによって発電水車の流量が制御される。図1には、各ガイドベーン10が閉じている様子が示されている。なお、図1及び後述の図3,4では、ガイドリング12に取り付けられた複数のガイドベーン10のうちの一部だけが示されている。
図2は電動サーボアクチュエータ2の外観の概略を示す側面図である。各電動サーボアクチュエータ2は、筒状のアクチュエータハウジング20を備えている。アクチュエータハウジング20内には電動機21が設けられている。また各電動サーボアクチュエータ2は、ガイドリング12を回転させるガイドリング回転駆動機構28を備えている。ガイドリング回転駆動機構28の先端部28aには、ガイドリング回転駆動機構28とガイドリング12とを接続するための接続部材29が設けられている。接続部材29は、ガイドリング12の接続部分13に接続される。
各電動サーボアクチュエータ2では、電動機21が制御装置5によって制御されることによって、ガイドリング回転駆動機構28の先端部28aが矢印ARに示されるように進退移動動作(直線往復運動)を行う。これにより、電動サーボアクチュエータ2aはガイドリング12の接続部分13aを押したり引いたりすることができる。同様に、電動サーボアクチュエータ2bはガイドリング12の接続部分13bを押したり引いたりすることができる。
ガイドベーン開閉制御システム1では、制御装置5によって2つの電動サーボアクチュエータ2が同期制御されることにより、一方の電動サーボアクチュエータ2がそれに接続された接続部分13を押す動作を行えば、他方の電動サーボアクチュエータ2もそれに接続された接続部分13を押す動作を行う。また、一方の電動サーボアクチュエータ2がそれに接続された接続部分13を引く動作を行えば、他方の電動サーボアクチュエータ2もそれに接続された接続部分13を引く動作を行う。これにより、ガイドリング12が回転し、各ガイドベーン10の開度が変化する。
図1に示されるように各ガイドベーン10が閉じた状態において、例えば、電動サーボアクチュエータ2bが接続部分13bを引く動作を行い、電動サーボアクチュエータ2aが接続部分13aを引く動作を行うと、図3に示されるように、ガイドリング12が少し回転して各ガイドベーン10が開く。そして、各ガイドベーン10が開いた状態において、電動サーボアクチュエータ2aが接続部分13aを押す動作を行い、電動サーボアクチュエータ2bが接続部分13bを押す動作を行うと、各ガイドベーン10の開度が小さくなる。
制御装置5には、電動サーボアクチュエータ2a,2bから、それらの動作状態に関する情報が通知される。また制御装置5には、発電水車の流量に関する情報が入力される。制御装置5は、これらの情報に基づいて電動サーボアクチュエータ2a,2bを同期制御することによって、各ガイドベーン10の開度を制御し、これによって、発電水車の流量を適切に制御する。
またガイドリング12には、各ガイドベーン10が閉鎖する方向に当該ガイドリング12に自重を作用させる重錘15が接続されている。重錘15は、ガイドリング12の接続部分13aの近傍からリンク機構16によって鉛直方向に垂れ下げられている。したがって、ガイドリング12は、電動サーボアクチュエータ2によって操作(駆動)されないときには、重錘15によって、各ガイドベーン10が閉鎖する方向に回転する。重錘15は、例えば数トンの重さを有している。重錘15は、例えば、複数の円柱状部材が積層されて構成されている。
さらに、ガイドベーン10の構造あるいはリンク機構11の構造によっては、重錘15が用いられなくても、水圧によって各ガイドベーン10が閉鎖する方向に回転することもある。
このように、ガイドリング12等を有する発電水車(水力機械)に対しては、上記のような不平衡力によって、各ガイドベーン10が閉鎖する方向に力が作用している。以後、当該力を「ガイドベーン閉鎖方向力」と呼ぶ。
後述するように、ガイドベーン開閉制御システム1に異常が発生した場合には、ガイドリング12は、重錘15によるガイドベーン閉鎖方向力と、電動サーボアクチュエータ2に設けられたアシスト電動機の働きとによって、各ガイドベーン10が閉鎖する方向に回転する。その結果、各ガイドベーン10が閉鎖する。本実施の形態では、例えば、2つの電動サーボアクチュエータ2a,2bのうちの一方だけにアシスト電動機が設けられている。アシスト電動機は、2つの電動サーボアクチュエータ2a,2bのどちらに設けても良い。
ガイドベーン開閉制御システム1は、自身に異常が発生したときに、発電水車を停止するために、各ガイドベーン10を自己閉鎖して、発電水車内に水が入り込まないようにする。ガイドベーン10の自己閉鎖については後で詳細に説明する。
なお、図4に示されるように、一方の電動サーボアクチュエータ2がそれに接続された接続部分13を押す動作を行えば、他方の電動サーボアクチュエータ2がそれに接続された接続部分13を引く動作を行うことによってガイドリング12が一方向に回転し、他方の電動サーボアクチュエータ2がそれに接続された接続部分13を押す動作を行えば、一方の電動サーボアクチュエータ2がそれに接続された接続部分13を引く動作を行うことによってガイドリング12が反対方向に回転するように、ガイドベーン開閉制御システム1を構成しても良い。
<電動サーボアクチュエータの構成>
次に電動サーボアクチュエータ2の構成について詳細に説明する。
<図2の部分P1の構造>
図5は、電動サーボアクチュエータ2における、図2に示される部分P1の構造を模式的に示す図である。本実施の形態では、アシスト電動機を有する電動サーボアクチュエータ2の部分P1の構造と、アシスト電動機を有さない電動サーボアクチュエータ2の部分P1の構造とは同じである。図5では部品の断面に斜線を示している。
各電動サーボアクチュエータ2は、可動部分が潤滑油で浸された油浸式となっている。このように電動サーボアクチュエータ2を油浸式にする場合には、可動部分にグリスを塗布する場合と比較して、メンテナンスを行う間隔を非常に長くすることができる。
アクチュエータハウジング20内の電動機21は、例えば、DC(直流)電源(直流電圧)で動作するブラシレスモータである。図5に示されるように、電動機21は、アクチュエータハウジング20に固定されたリング状のステータ22と、ステータ22に取り囲まれたリング状のロータ23とを備えている。ロータ23はステータ22内で回転自在となっている。
ガイドリング回転駆動機構28は、電動機21のロータ23によって回転させられる主軸体30を備えている。主軸体30はリング状のロータ23に挿入されている。つまり、ロータ23の内側には主軸体30が配置されている。ロータ23は主軸体30に固定されている。したがって、ロータ23が回転すると、ロータ23の回転とともに主軸体30が回転する。
主軸体30の内部には円柱状の中空部分300が設けられており、この中空部分300は主軸体30の一方の端面301まで達している。これにより端面301は開放している。
またガイドリング回転駆動機構28は、主軸体30の中空部分300に設けられたナット体32と、当該ナット体32に対して進退自在に螺合されたネジ軸体31とを備えている。ナット体32は主軸体30に固定されている。これにより、ロータ23の回転とともに主軸体30とそれに固定されたナット体32とが回転する。
ネジ軸体31は、主軸体30の開放している端面301から主軸体30の外側に延びている。ネジ軸体31の先端は接続部材29(図2参照)によってガイドリング12の接続部分13に接続される。ネジ軸体31は例えばローラネジ用のネジ軸体であって、ナット体32は例えばローラネジ用のナット体である。なお、ネジ軸体31はボールネジ用のネジ軸体であっても良いし、ナット体32はボールネジ用のナット体であっても良い。
本実施の形態に係る電動サーボアクチュエータ2では、電動機21が制御装置5によって駆動されてロータ23が正逆回転すると、それに応じてガイドリング回転駆動機構28のナット体32が正逆回転する。ナット体32が正逆回転すると、ナット体32に螺合されたネジ軸体31がその軸心方向に沿って進退移動(直線往復運動)する。これにより、ガイドリング回転駆動機構28の先端部28aが進退移動(往復直線運動)を行い、電動サーボアクチュエータ2はガイドリング12の接続部分13を押したり引いたりすることができる。
このように、本実施の形態に係る電動サーボアクチュエータ2は、電動機21がガイドリング回転駆動機構28の主軸体30を直接駆動する直動型アクチュエータである。
また、本実施の形態に係る電動サーボアクチュエータ2には、電気信号が与えられるステータ22と、それよりも内側に存在する、電気信号が与えられない部品とを隔離するための筒状隔壁部材40が設けられている。
筒状隔壁部材40は、アクチュエータハウジング20に固定されている。筒状隔壁部材40は、ステータ22と、その内側のロータ23との間に設けられている。筒状隔壁部材40は、ロータ23と主軸体30の一部を、ロータ23の回転方向(主軸体30の回転方向)に沿って取り囲んでいる。
以上のような構造を有する電動サーボアクチュエータ2では、可動部分が潤滑油で浸されている。具体的には、筒状隔壁部材40の内部に潤滑油が充填されており、回転動作を行うロータ23及び主軸体30が潤滑油に浸されている。筒状隔壁部材40内の潤滑油は、当該筒状隔壁部材40を超えてステータ22まで達しないようになっている。これにより、電流が流されるステータ22が潤滑油に浸かることを抑制することができる。
また、主軸体30の中空部分300にも潤滑油が充填されている。さらに、アクチュエータハウジング20において、ネジ軸体31における、主軸体30の外側に出ている部分31aを取り囲む部分20aにも潤滑油が充填されている。したがって、進退移動動作を行うネジ軸体31及び回転動作を行うナット体32が潤滑油に浸されている。
<図2の部分P2の構造>
次に、アシスト電動機を有する電動サーボアクチュエータ2における、図2に示される部分P2の構造について説明する。以後、アシスト電動機を有する電動サーボアクチュエータ2を「電動サーボアクチュエータ2AT」と呼ぶことがある。
電動サーボアクチュエータ2ATにおける、図2に示される部分P2には、ガイドベーン開閉制御システム1に異常が発生した場合、ガイドベーン開閉制御システム1の調整を行う場合、ガイドベーン開閉制御システム1の点検を行う場合などに使用される様々な部品が設けられている。図6は当該部分P2の概略構造を示す図である。図7は、図6に示される矢視Aから電動サーボアクチュエータ2ATを見た際の構造を示す図である。図7では、図6に示される構成が主に示されている。図6,7に示されるアクチュエータハウジング20については、その断面が斜線で示されている。
図6,7に示されるように、電動サーボアクチュエータ2ATの後方側には、アシスト電動機400と、電磁ブレーキ410と、調整用電動機420と、レゾルバ430とが設けられている。アシスト電動機400、電磁ブレーキ410及びレゾルバ430はアクチュエータハウジング20内に設けられ、調整用電動機420はアクチュエータハウジング20外に設けられている。
アシスト電動機400は、ガイドベーン開閉制御システム1の異常時に駆動され、重錘15によるガイドベーン10の閉鎖を補助する。アシスト電動機400は、例えば、減速機付誘導電動機である。アシスト電動機400が内蔵する減速機の減速比は、例えば数分の一〜十数分の一となっている。電磁ブレーキ410は、ガイドベーン開閉制御システム1に異常がない場合に使用され、主軸体30の回転に対してブレーキをかけることが可能である。調整用電動機420は、ガイドベーン開閉制御システム1の調整時に駆動される。調整用電動機420は例えば誘導電動機である。レゾルバ430は主軸体30の回転角を検出する。つまりレゾルバ430は、主軸体30を回転させる電動機21の回転角を検出する。なお、アシスト電動機400及び調整用電動機420は誘導電動機以外であっても良い。例えば、アシスト電動機400及び調整用電動機420はDCモータであっても良い。
アシスト電動機400及び電磁ブレーキ410への電源供給は制御装置5によって自動制御される。一方で、調整用電動機420への電源供給は、制御装置5によって自動制御されず、制御装置5内の後述する駆動スイッチが人によって操作されることによって制御される。
電動サーボアクチュエータ2ATの後方側には、さらに、複数の歯車440〜443,445〜447が設けられている。歯車440〜443,445〜447のそれぞれは例えば平歯車である。歯車400〜443,445はアクチュエータハウジング20内に設けられ、歯車446,447はアクチュエータハウジング20外に設けられている。
歯車440は、主軸体30の後方側の端面307に固定されており、主軸体30の回転軸周りに回転する。歯車441,442,445は、電磁ブレーキ410に取り付けられた回転軸411に取り付けられており、当該回転軸411の周りに回転する。電磁ブレーキ410は、回転軸411の回転を止めることが可能である。つまり、電磁ブレーキ410は、歯車441,442,445の回転を止めることが可能である。歯車441の歯は歯車440の歯と噛み合っている。歯車443は、アシスト電動機400の出力軸に取り付けられており、その出力軸の周りに回転する。歯車443の歯は歯車442の歯と噛み合っている。本実施の形態では、歯車440、歯車442、歯車443、歯車441の順で歯数が多くなっている。
アシスト電動機400が回転すると、歯車443、歯車442、歯車441及び歯車440が回転する。その結果、主軸体30が回転する。つまり、アシスト電動機400は主軸体30を回転することができる。そして、歯車440,441,442,443によって、アシスト電動機400の回転を減速する減速機444が構成されている。具体的には、互いに噛み合う歯車443,442で1段目の減速機が構成され、互いに噛み合う歯車441,440で2段目の減速機が構成される。本実施の形態では、アシスト電動機400の出力軸の回転速度が、減速機444によって、例えば数分の一となる。アシスト電動機400は、ガイドベーン10が閉まる方向にだけ主軸体30を回転させることができる。
歯車446は、調整用電動機420の出力軸に取り付けられており、当該出力軸の周りに回転する。歯車446の歯は歯車447の歯と噛み合っている。歯車447には回転軸450が取り付けられている。歯車447は回転軸450の周りに回転する。回転軸450は、歯車447からアクチュエータハウジング20内に延びている。
回転軸450における、歯車447側の端とは反対側の端には、手動ハンドル470が取り付けられている。手動ハンドル470はアクチュエータハウジング20の外側に配置されている。人が手動ハンドル470を回すと、それに応じて回転軸450が回転する。
回転軸450には、当該回転軸450とともに回転するウォーム460が取り付けられている。ウォーム460はアクチュエータハウジング20内に設けられている。歯車445は、ウォーム460と噛み合うウォームホイールとして機能する。以後、歯車445を「ウォームホイール445」と呼ぶことがある。ウォーム460とウォームホイール445とでウォームギアが構成される。
ウォーム460は、アクチュエータハウジング20内において、ウォームホイール445と噛み合う位置(以後、「噛み合い位置」と呼ぶ)と、ウォームホイール445と噛み合わない位置(以後、「非噛み合い位置」と呼ぶ)とに配置することが可能となっている。
図7に示されるように、アクチュエータハウジング20には蓋部材480が取り付けられる。この蓋部材480はアクチュエータハウジング20に対して作業員(人)によって着脱可能となっている。蓋部材480がアクチュエータハウジング20に取り付けられている状態では、ウォーム460の位置は非噛合い位置となっている。
作業員は、蓋部材480を取り外すことによって、ウォーム460の位置を非噛み合い位置から噛み合い位置に変更することができる。本実施の形態では、ウォーム460の位置が噛み合い位置のときには、蓋部材480をアクチュエータハウジング20に取り付けることができないようになっている。つまり、ウォーム460の位置が非噛み合い位置のときにだけ、作業員は、蓋部材480をアクチュエータハウジング20に取り付けることができる。
アクチュエータハウジング20内には、蓋部材480の近傍にインターロックスイッチ490が設けられている。インターロックスイッチ490は、蓋部材480がアクチュエータハウジング20に取り付けられているときにはオフ状態となり、蓋部材480がアクチュエータハウジング20に取り付けられていないときにはオン状態となる。インターロックスイッチ490がオフ状態のときには、制御装置5は、電動機21、アシスト電動機400及び電磁ブレーキ410を制御することが可能である。一方で、インターロックスイッチ490がオン状態のときには、制御装置5は、電動機21を制御することが不可能となり、電動機21は駆動されない。
なお、アシスト電動機400を有さない電動サーボアクチュエータ2における部分P2の構造は、アシスト電動機400を有する電動サーボアクチュエータ2における部分P2の構造(図6,7に示される構造)において、アシスト電動機400及び歯車443を削除したものと同じである。
<制御装置の構成>
次に制御装置5の構成について説明する。図8は制御装置5の構成を示す図である。図8に示されるように、制御装置5は、駆動部500a,500b,510a,510b,520と、制御部530a,530b,540と、操作部550と、制御電源部560と、OR回路570とを備えている。ここで、ガイドベーン開閉制御システム1に対しては、その外部で生成された三相AC(交流)電源が外部AC電源として供給される。外部AC電源は例えば200Vである。本実施の形態では、外部AC電源は二重化されている。つまり、2つの系統の三相AC電源のどちらか一方が外部AC電源としてガイドベーン開閉制御システム1に供給される。ガイドベーン開閉制御システム1に対して、外部AC電源として現在供給されている、ある系統の三相AC電源に異常があれば、別の系統の三相AC電源が外部AC電源としてガイドベーン開閉制御システム1に供給される。
また、ガイドベーン開閉制御システム1に対しては、その外部で生成されたDC(直流)電源が外部DC電源として供給される。本実施の形態では、外部DC電源も二重化されている。具体的には、ガイドベーン開閉制御システム1の外部では、外部AC電源から第1DC電源が生成され、バッテリが第2DC電源を生成している。ガイドベーン開閉制御システム1には、まず第1DC電源が外部DC電源として供給される。そして、第1DC電源に異常が発生すれば、バッテリからの第2DC電源が外部DC電源としてガイドベーン開閉制御システム1に供給される。
図8に示されるように、制御装置5には、外部AC電源及び外部DC電源が入力される。制御電源部560は、外部DC電源に基づいて、制御装置5の内部で使用される複数種類のDC電源(以後、「内部DC電源」と呼ぶ)を生成する。駆動部500a,500b及び制御部530a,530bのそれぞれには、制御電源部560で生成された内部DC電源が供給される。駆動部500a,500b及び制御部530a,530bのそれぞれは、供給される内部DC電源を自身の電源として動作する。なおOR回路570にも内部DC電源が供給されており、当該内部DC電源を自身の電源としてOR回路570は動作する。
駆動部510a,510b,520、制御部540及び操作部550には、外部AC電源が供給されている。駆動部510a,510b,520、制御部540及び操作部550のそれぞれは、供給される外部AC電源を自身の電源として動作する。
駆動部500a,500bは、電動サーボアクチュエータ2a,2bの電動機21をそれぞれ駆動する。駆動部510a,510bは、電動サーボアクチュエータ2a,2bの調整用電動機420をそれぞれ駆動する。駆動部520は、電動サーボアクチュエータ2ATのアシスト電動機400を駆動する。駆動部520は、アシスト電動機400を駆動する際には、当該駆動部520に供給される外部AC電源(三相AC電源)をそのままアシスト電動機400に供給する。
制御部530aは、デジタル・アナログ回路等で構成されており、駆動部500aを制御することによって、電動サーボアクチュエータ2aの電動機21を制御する。制御部530aは、同期制御部531a、電動機制御部532a及び異常検出部533aを備えている。制御部530bは、デジタル・アナログ回路等で構成されており、駆動部500bを制御することによって、電動サーボアクチュエータ2bの電動機21を制御する。制御部530bは、電動機制御部532b及び異常検出部533bを備えている。
電動機制御部532aは、電動サーボアクチュエータ2aのレゾルバ430からの検出信号等に基づいて駆動部500aを制御することによって、電動サーボアクチュエータ2aの電動機21の電流及び速度を制御する。同様に、電動機制御部532bは、電動サーボアクチュエータ2bのレゾルバ430からの検出信号等に基づいて駆動部500bを制御することによって、電動サーボアクチュエータ2bの電動機21の電流及び速度を制御する。
異常検出部533aは、電動サーボアクチュエータ2aの異常を検出する。当該異常としては、電動サーボアクチュエータ2aの電動機21での過電圧、過電流、電圧不足及び過熱などがある。異常検出部533aは、電動サーボアクチュエータ2a等の異常を検出すると、異常信号ERRaを出力する。
同様に、異常検出部533bは、電動サーボアクチュエータ2bの異常を検出する。当該異常としては、電動サーボアクチュエータ2bの電動機21での過電圧、過電流、電圧不足及び過熱などがある。異常検出部533bは、電動サーボアクチュエータ2b等の異常を検出すると、異常信号ERRbを出力する。
OR回路570は、制御部530aからの異常信号ERRa及び制御部530bからの異常信号ERRbが入力される。OR回路570は、異常信号ERRaまたは異常信号ERRbが入力されると異常信号ERRを出力する。
ここで、電動サーボアクチュエータ2の異常及び制御装置5の異常は、ガイドベーン開閉制御システム1での異常の一種であると考えることができる。本実施の形態では、異常検出部533a、異常検出部533b及びOR回路570が、ガイドベーン開閉制御システム1の異常を検出する異常検出部590を構成している。異常検出部590は、ガイドベーン開閉制御システム1の異常を検出すると、異常信号ERRを制御部540に出力する。
同期制御部531aは、電動機制御部532a,532bの内部で生成される内部信号に基づいて、駆動部500a,500bに対する電動機制御部532a,532bの制御を調整することによって、電動サーボアクチュエータ2a,2bの電動機21を同期させる。
制御部540は、駆動部520を制御することによって、アシスト電動機400を制御する。制御部540は、異常信号ERRが入力されると、駆動部520を制御してアシスト電動機400を動作させる。
ここで、ガイドベーン開閉制御システム1には、ガイドベーン10の全閉を検出する全閉検出部600が設けられている。全閉検出部600は、例えば、一方の電動サーボアクチュエータ2のガイドリング回転駆動機構28の先端部28aの位置が、ガイドベーン10が全閉する位置に存在するときにオン状態となるリミットスイッチを備えている。全閉検出部600は、ガイドベーン10の全閉を検出すると、つまりリミットスイッチがオン状態になると、全閉検出信号610を制御部540に出力する。制御部540は、アシスト電動機400が動作しているときに、全閉検出信号610を受けると、駆動部520を制御して、アシスト電動機400を停止する。全閉検出部600は、例えば、外部AC電源を自身の電源として動作する。
操作部550は、調整用電動機420を一方向に回転させるための第1駆動スイッチ(図示せず)と、当該調整用電動機420を反対方向に回転させるための第2駆動スイッチ(図示せず)とを有している。操作部550は、第1駆動スイッチが作業員によって操作されてオン状態になると、駆動部510aを制御して、電動サーボアクチュエータ2aの調整用電動機420を一方向に回転させるとともに、駆動部510bを制御して、電動サーボアクチュエータ2bの調整用電動機420を一方向に回転させる。そして、操作部550は、第1駆動スイッチが作業員に操作されてオフ状態になると、駆動部510aを制御して、電動サーボアクチュエータ2aの調整用電動機420の回転を停止させる。
また、操作部550は、第2駆動スイッチが作業員によって操作されてオン状態になると、駆動部510aを制御して、電動サーボアクチュエータ2aの調整用電動機420を反対方向に回転させるとともに、駆動部510bを制御して、電動サーボアクチュエータ2bの調整用電動機420を反対方向に回転させる。そして、操作部550は、第2駆動スイッチが作業員に操作されてオフ状態になると、駆動部510aを制御して、電動サーボアクチュエータ2aの調整用電動機420の回転を停止させるとともに、駆動部510bを制御して、電動サーボアクチュエータ2bの調整用電動機420の回転を停止させる。なお、制御装置5は、各電動サーボアクチュエータ2の電磁ブレーキ410も制御する。
<手動によるガイドベーンの開閉>
次に、作業員によってガイドベーン10の開閉が制御される際のガイドベーン開閉制御システム1の動作について説明する。導入時やメンテナンス時にガイドベーン開閉制御システム1が調整される際に、作業員によってガイドベーン10の開閉が制御される。
作業員がガイドベーン10の開閉を制御する場合には、各電動サーボアクチュエータ2において、アクチュエータハウジング20から蓋部材480が作業員によって外される。蓋部材480が外されると、インターロックスイッチ490がオフ状態からオン状態に変化する。これにより、制御装置5は、各電動サーボアクチュエータ2の電動機21を駆動できなくなる。
各電動サーボアクチュエータ2において、アクチュエータハウジング20から蓋部材480が外された後、ウォーム460が作業員によって非噛合い位置から噛み合い位置に移動させられると、作業員は、各電動サーボアクチュエータ2の手動ハンドル470を回すことによって、ガイドベーン10の開度を調整することができる。
各電動サーボアクチュエータ2では、作業員によって手動ハンドル470が回されると、回転軸450に取り付けられたウォーム460と、それと噛み合うウォームホイール445が回転することによって、歯車441,440が回転する。その結果、各電動サーボアクチュエータ2において主軸体30が回転する。手動ハンドル470が回される方向が変化することによって、主軸体30の回転方向が変化する。これにより、ガイドベーン10が開閉する。なお、作業員は、2つの電動サーボアクチュエータ2の一方だけの手動ハンドル470を回すことによっても、ガイドベーン10を開閉させることができる。
また、各電動サーボアクチュエータ2において、ウォーム460が作業員によって非噛合い位置から噛み合い位置に移動させられると、調整用電動機420が回転することによって、ガイドベーン10の開度が変化する。具体的には、作業員が制御装置5の操作部550の第1駆動スイッチをオン状態にすると、各電動サーボアクチュエータ2では、調整用電動機420が回転する。これにより、各電動サーボアクチュエータ2では、歯車446,447、回転軸450、ウォーム460及びウォームホイール445が回転し、歯車441,440が回転する。その結果、各電動サーボアクチュエータ2において主軸体30が回転し、ガイドベーン10の開度が例えば大きくなる。一方で、作業員が制御装置5の操作部550の第2駆動スイッチをオン状態にすると、各電動サーボアクチュエータ2では、調整用電動機420が反対方向に回転する。その結果、各電動サーボアクチュエータ2において主軸体30が反対方向に回転し、ガイドベーン10の開度が例えば小さくなる。
ガイドベーン開閉制御システム1の調整が完了した後は、作業員は、各電動サーボアクチュエータ2において、ウォーム460の位置を噛合い位置から非噛み合い位置に移動する。その後、作業員は、各電動サーボアクチュエータ2について、アクチュエータハウジング20に対して蓋部材480を取り付ける。アクチュエータハウジング20に蓋部材480が取り付けられると、インターロックスイッチ490がオン状態からオフ状態となる。その結果、制御装置5は、各電動サーボアクチュエータ2の電動機21が駆動可能となる。
なお、作業員が手動ハンドル470を回してガイドベーン10の開度を調整する作業の負荷は非常に大きいことから、作業員がガイドベーン開閉制御システム1の調整を行う場合には、通常は、調整用電動機420を使用してガイドベーン10の開度を調整する。一方で、外部AC電源に異常が発生し、制御装置5が調整用電動機420を駆動できない場合には、作業員は手動ハンドル470を回してガイドベーン10の開度を調整する。
<非異常時のガイドベーン開閉制御システムの動作>
次に、ガイドベーン開閉制御システム1に異常が発生していない場合のガイドベーン開閉制御システム1の動作について説明する。
ガイドベーン開閉制御システム1に異常が発生していない場合には、つまり、制御装置5の異常検出部533a,533bにおいてガイドベーン開閉制御システム1に異常が検出されていない場合には、制御部530aは駆動部500aを通じて電動サーボアクチュエータ2aの電動機21の回転を制御し、制御部530bは駆動部500bを通じて電動サーボアクチュエータ2bの電動機21の回転を制御する。これにより、各電動サーボアクチュエータ2の主軸体30の回転が制御され、ガイドベーン10の開度が制御される。よって、発電水車の流量が制御される。制御装置5は、電動機21を駆動する際には、アシスト電動機400に対して外部AC電源を供給しない。つまり、制御装置5では、駆動部520は、制御部540によって制御されることによってアシスト電動機400を駆動しない。したがって、各電動サーボアクチュエータ2において、主軸体30が回転する際に、アシスト電動機400が邪魔になることを抑制することができる。
ガイドベーン開閉制御システム1に異常が発生していない場合において、定期点検や渇水期のときに発電水車を停止するときには、制御装置5は各電動サーボアクチュエータ2の電動機21を制御して、ガイドベーン10を閉鎖する。そして、制御装置5は、各電動サーボアクチュエータ2において、電磁ブレーキ410を駆動して、歯車441,442,445が回転しないようにその状態を保持する。その後、制御装置5は各電動サーボアクチュエータ2の電動機21の駆動を停止する。これにより、各電動サーボアクチュエータ2では、電動機21が回転しない状態で当該電動機21が通電されることを抑制することができる。よって、電動機21において異常発熱が生じることを抑制することができる。さらに、電動機21が駆動されない場合であっても、電磁ブレーキ410の駆動によって、ガイドベーン10の閉鎖状態を維持することができる。よって、定期点検や渇水期のときに、発電水車をより確実に停止することができる。
<異常時のガイドベーン開閉制御システムの動作>
次に、ガイドベーン開閉制御システム1に異常が発生した場合のガイドベーン開閉制御システム1の動作について説明する。図9は当該動作を示すフローチャートである。図9に示されるように、ステップs1において、異常検出部590がガイドベーン開閉制御システム1の異常を検出して異常信号ERRを出力すると、ステップs2において、制御部540は、駆動部520を制御して、電動サーボアクチュエータ2ATのアシスト電動機400を駆動する。また制御装置5では、制御部530aが駆動部500aに対して電動サーボアクチュエータ2aの電動機21の駆動を停止させるとともに、制御部530bが駆動部500bに対して電動サーボアクチュエータ2bの電動機21の駆動を停止させる。これにより、各電動サーボアクチュエータ2では、電動機21は停止し、アシスト電動機400の動作が開始する。上述のように、アシスト電動機400は、ガイドベーン10が閉まる方向にだけ主軸体30を回転させることができることから、アシスト電動機400は、ガイドベーン10が閉鎖するようにガイドリング回転駆動機構28を駆動する。
ここで、ガイドリング12等を有する水力機械には、重錘15によってガイドベーン閉鎖方向力が作用している。そして、ステップs2では、各電動サーボアクチュエータ2の電動機21が停止し、アシスト電動機400がガイドベーン10が閉鎖するようにガイドリング回転駆動機構28を駆動する。したがって、ガイドリング12は、ガイドベーン閉鎖方向力とアシスト電動機400の働きとによって、各ガイドベーン10が閉鎖する方向に回転する。
その後、ステップs3において、全閉検出部600がガイドベーン10の全閉を検出して閉検出信号610を出力すると、ステップs4において、制御部540は、駆動部520に信号を送り、アシスト電動機400に対する駆動を停止させる。これにより、ガイドリング12は、電動機21及びアシスト電動機400によって駆動されず、重錘15の働きによって各ガイドベーン10の閉鎖状態が保持される。つまり、ガイドベーン閉鎖方向力によって各ガイドベーン10が閉め続けられる。よって、発電水車内に水が入り込むことを抑制でき、ガイドベーン開閉制御システム1に異常が発生したときに発電水車をより確実に停止することができる。
このように、本実施の形態では、ガイドベーン開閉制御システム1の異常時に、ガイドベーン10が閉鎖するようにガイドリング回転駆動機構28を駆動して、重錘15によるガイドベーン10の閉鎖を補助するアシスト電動機400が設けられている。つまり、本実施の形態では、ガイドベーン開閉制御システム1の異常時に、ガイドベーン10が閉鎖するようにガイドリング回転駆動機構28を駆動して、水力機械に作用するガイドベーン閉鎖方向力によるガイドベーン10の閉鎖を補助するアシスト電動機400が設けられている。
これに対して、アシスト電動機400が設けられていない場合には、ガイドベーン開閉制御システム1の異常時に電動機21が停止すると、ガイドベーン閉鎖方向力によりガイドベーン10の閉鎖速度が加速し、ガイドベーン10が急速に閉鎖することがある。その結果、上方から発電水車まで水を流す鉄管が水圧の増加により破裂してしまうことがある。
本実施の形態では、ガイドベーン閉鎖方向力によるガイドベーン10の閉鎖を補助するアシスト電動機400の働きにより、ガイドベーン10の閉鎖速度をほぼ一定にすることができる。つまり、アシスト電動機400は、制御装置5によって駆動されることによって、ほぼ一定速度で回転することから、ガイドベーン10の閉鎖速度をほぼ一定にすることができる。見方を変えれば、アシスト電動機400が一種の制動ブレーキとして機能し、ガイドベーン閉鎖方向力によるガイドベーン10の閉鎖速度の加速をアシスト電動機400によって抑制することができる。よって、上述特許文献1に記載の技術とは異なり、ダッシュポット等の比較的大きな装置を設けなくてもガイドベーン10が急速に閉鎖することを抑制でき、ガイドベーン10の閉鎖速度を、上方から発電水車まで水を流す鉄管が破裂しないような値に設定することができる。その結果、簡単な構成で、上方から発電水車まで水を流す鉄管の破裂を抑制することができる。
また本実施の形態では、ガイドベーン10が閉鎖した後は、アシスト電動機400を停止したとしても、ガイドベーン閉鎖方向力によってガイドベーン10を閉め続けることができる。一方で、上述の特許文献2の技術では、ガイドベーンを閉め続けるためには、ガイドベーンが閉鎖した後も保護用電動機を駆動し続ける必要がある。したがって、保護用電動機が回転しない状態で当該保護用電動機が通電されることになり、保護電動機において異常発熱が発生する可能がある。本実施の形態では、アシスト電動機400を停止したとしても、ガイドベーン閉鎖方向力によってガイドベーン10を閉め続けることができることから、アシスト電動機400が回転しない状態で当該アシスト電動機400が通電されることを抑制することができるとともに、ガイドベーン10を閉め続けることができる。よって、特許文献2の技術とは異なり、アシスト電動機400において異常発熱が発生することを抑制しつつ、発電水車内に水が入り込むことを抑制できる。
また本実施の形態では、重錘15によるガイドベーン10の閉鎖を補助するアシスト電動機400が設けられていることから、重錘15の重さを小さくすることができる。よって、重錘15の重さの調整作業の負荷を軽減することができる。また、重錘15の大きさによっては、特許文献1の図7に示されるように、地面に穴を設ける必要があるが、本実施の形態では、重錘15の大きさを小さくすることができることから、地面に設ける穴の深さを小さくすることができる。あるいは、地面に穴を設ける必要がなくなる。よって、ガイドベーン開閉制御システム1の設置に付随する土木作業の負荷を軽減することができる。
また本実施の形態では、アシスト電動機400が誘導電動機であるため、電磁開閉器等のスイッチを用いてアシスト電動機400への三相AC電源の供給を制御することによって、アシスト電動機400を簡単に駆動することができる。よって、アシスト電動機400を駆動する駆動部520を電磁開閉器等スイッチで構成することができ、駆動部530の構成が簡素化される。
<各種変形例>
発電水車によっては、それに供給される水の力によって、ガイドベーン10が閉鎖する方向に力が作用することがある。つまり、上記のような重錘15を設けなくても、水が供給されている発電水車には常にガイドベーン閉鎖方向力が作用することがある。発電水車がこのように構成されている場合には、ガイドリング12に重錘15を接続しなくても良い。
また上記の例では、全閉検出部600の電源が外部AC電源であるため、外部DC電源に異常が発生したとしても、全閉検出部600はガイドベーン10の全閉を検出することができる。したがって、制御装置5は、外部DC電源に異常が発生したとしても、ガイドベーン10が全閉したことを知ることができ、アシスト電動機400を停止することができる。
一方で、全閉検出部600の電源が外部DC電源であることがある。この場合には、外部DC電源に異常が発生したときには、全閉検出部600はガイドベーン10の全閉を検出することができない。したがって、制御装置5は、ガイドベーン10が全閉したことを知ることができず、いつまでもアシスト電動機400が動作してしまうことがある。
そこで、全閉検出部600の電源が外部DC電源である場合には、ガイドベーン開閉制御システム1は図10に示されるように動作する。具体的には、図10に示されるように、ステップs1において、異常検出部590がガイドベーン開閉制御システム1の異常を検出すると、ステップs2において、制御部540は、駆動部520を制御して、電動サーボアクチュエータ2ATのアシスト電動機400を駆動する。また制御装置5では、制御部530aが駆動部500aに対して電動サーボアクチュエータ2aの電動機21の駆動を停止させるとともに、制御部530bが駆動部500bに対して電動サーボアクチュエータ2bの電動機21の駆動を停止させる。さらにステップs2では、制御部540が、タイムアウト時間の計測を開始する。このタイムアウト時間は、外部DC電源に異常が無い場合において、アシスト電動機400の動作が開始してから、ガイドベーン10が全閉するまでに必要な時間よりも大きな値に設定される。
その後、ステップs3において、全閉検出部600がガイドベーン10の全閉を検出すると、ステップs4において、制御部540は、駆動部520に、アシスト電動機400に対する駆動を停止させる。一方で、ステップs2の実行後、制御部540が、全閉検出部600から全閉検出信号610を受け取らずにタイムアウト時間の計測が完了すると(ステップs11)、ステップs4が実行され、アシスト電動機400が停止する。
このように、全閉検出部600からいつまでも全閉検出信号610が出力されない場合には、アシスト電動機400を停止させることによって、アシスト電動機400がいつまでも動作することを抑制することができる。
また上記の例では、複数の電動サーボアクチュエータ2によってガイドリング12を駆動しているが、一つの電動サーボアクチュエータ2だけでガイドリング12を駆動しても良い。
また上記の例では、一方の電動サーボアクチュエータ2にアシスト電動機400及び歯車443が設けられているが、2つの電動サーボアクチュエータ2のそれぞれにアシスト電動機400及び歯車443が設けられても良い。この場合には、ガイドベーン開閉制御システム1の異常時に、各電動サーボアクチュエータ2のアシスト電動機400が駆動されても良いし、2つの電動サーボアクチュエータ2のいずれか一方だけのアシスト電動機400が駆動されても良い。
また上記の例では、調整用電動機420及び歯車446,447が設けられているが、これらが設けられずに、一方の電動サーボアクチュエータ2にアシスト電動機400及び歯車443が設けられ、他方の電動サーボアクチュエータ2にアシスト電動機400と同等の駆動機構が設けられ、その駆動機構が調整用電動機420として使用されても良い。
また上記の例では、各電動サーボアクチュエータ2において、人によってガイドベーン10を開閉制御するための機構(手動ハンドル470、調整用電動機420、歯車446,447、回転軸450及びウォームギア等)が設けられているが、2つの電動サーボアクチュエータ2のいずれか一方にだけ当該機構が設けられても良い。
また上記の例では、人によってガイドベーン10を開閉制御するための機構(手動ハンドル470、調整用電動機420、歯車446,447、回転軸450及びウォームギア等)が設けられているが、この機構の代わりにアシスト電動機400によってガイドベーン10が開閉制御されても良い。
また上記の例では、駆動部520は、アシスト電動機400に対して外部AC電源を直接供給しているが、例えば外部AC電源が二重化されていない場合には、駆動部520は、外部DC電源から三相AC電源を生成し、それをアシスト電動機400に供給しても良い。この場合には、駆動部520は、アシスト電動機400に供給する三相AC電源を、DC−ACインバータを使用して外部DC電源から直接生成しても良い。また駆動部520は、DC−ACインバータを使用して外部DC電源から一旦三相AC電源を生成し、当該三相AC電源からAC−ACインバータを使用してアシスト電動機400に供給する三相AC電源を生成しても良い。
以上のように、ガイドベーン開閉制御システム1は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。