JP6429796B2 - エミッタおよび点滴灌漑用チューブ - Google Patents

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Description

本発明は、エミッタおよび当該エミッタを有する点滴灌漑用チューブに関する。
植物の栽培方法の一つに、点滴灌漑法が知られている。点滴灌漑法は、例えば、植物が植えられている土壌上に点滴灌漑用チューブを配置し、当該点滴灌漑用チューブから当該土壌へ、水や液体肥料などの灌漑用液体をゆっくりと供給する方法である。点滴灌漑法は、当該灌漑用液体の消費量を最少にすることが可能であり、近年、特に注目されている。
上記点滴灌漑用チューブは、通常、チューブおよびエミッタ(「ドリッパ」とも言われる)を有する。エミッタは、通常、灌漑用液体が土壌に滴下される程度の設定された速度で、上記チューブ内の灌漑用液体を土壌に供給する。エミッタには、チューブに外側から突き刺して使用されるエミッタと、チューブの内壁面に接合されているエミッタとが知られている。
後者のエミッタは、例えば、チューブ内からエミッタに流入した灌漑用液体をチューブの貫通孔に向けて減圧させながら流すための減圧流路を含む流路と、当該流路の、減圧された灌漑用液体が流れる部分の容積を上記チューブ内の灌漑用液体の圧力に応じて変えるダイヤフラム部とを有する。当該エミッタは、上記チューブの内壁面に接合される部品と、その上に配置される部品と、両部品の間に配置されるダイヤフラム部と、の三部品によって構成される。当該ダイヤフラム部は、シリコーンゴム膜のような、弾性を有する膜で構成される(例えば、特許文献1参照)。
上記エミッタは、チューブ内の灌漑用液体の圧力の変動に関わらず、灌漑用液体の吐出量のばらつきを抑えることができる。よって、上記エミッタは、複数の植物を均一に成長させる観点から有利である。
特開2010−46094号公報
上記エミッタは、三部品を組み立てることによって構成される。このため、上記エミッタでは、組み立ての誤差が生じることがある。特に、ダイヤフラム部に係る組み立ての誤差は、ダイヤフラム部の作動のばらつきを生じることがあり、灌漑用液体の吐出量のばらつきを生じることがある。
また、上記エミッタは、通常、ポリエチレンやポリプロピレンなどの安価な樹脂の成形品であるが、上記ダイヤフラム部には、シリコーンゴム膜などの、弾性を有する別のより高価な材料の部品が用いられる。このような別材料の部品の使用は、材料コストを抑える観点から検討の余地が残されている。
また、一般には、点滴灌漑用チューブでは、一本のチューブに数百個程度のエミッタが配置されることがある。長い点滴灌漑用チューブでは、当該チューブへの灌漑用液体の供給圧力を高くする必要が生じ、エミッタにおける灌漑用液体の吐出量が安定しないことがある。したがって、チューブ内の灌漑用液体の圧力に応じた、エミッタにおける灌漑用液体の吐出量の制御が求められている。
さらに、エミッタの材料コストおよび製造コストを抑える観点から、単一の安価な材料で、また、より少ない部品数で製造可能なエミッタが求められている。
本発明は、灌漑用液体の吐出量を安定化することが可能であり、さらに、製造に係るコストのさらなる削減が可能なエミッタを提供することを第1の課題とする。
また、本発明は、当該エミッタを有する点滴灌漑用チューブを提供することを第2の課題とする。
本発明は、灌漑用液体を流すためのチューブに配置され、前記チューブ内の前記灌漑用液体を前記チューブ外へ定量的に吐出するためのエミッタであって、前記チューブ内の前記灌漑用液体を取り入れるための取水部と、前記取水部から取り入れられた前記灌漑用液体を減圧させながら流すための減圧流路と、前記減圧流路から供給された前記灌漑用液体の流量を、前記チューブ内または前記取水部内の前記灌漑用液体の圧力に応じて制御するための流量制御部と、前記流量制御部で流量が制御されて前記チューブ外へ吐出されるべき前記灌漑用液体が供給される吐出部と、を有し、前記流量制御部は、前記灌漑用液体の流路を開閉するための弁体と、前記弁体が前記流路を閉じるときに着座する弁座と、前記チューブ内または前記取水部内の前記灌漑用液体の圧力を受けて撓み、前記弁体を前記弁座に向けて押して前記弁座に着座させるためのフィルムと、前記弁座の表面に形成された、前記弁体が前記弁座に着座したときに前記灌漑用液体の前記弁座よりも上流側の前記流路および下流側の前記流路を連通する溝と、を有し、前記フィルムは、前記チューブ内の前記灌漑用液体の圧力が設定値以上であるときに前記弁体を押して前記弁座に着座させる、エミッタ、を提供する。
また、本発明は、チューブと前記チューブに配置された前記のエミッタとを有する点滴灌漑用チューブ、を提供する。
本発明に係るエミッタは、点滴灌漑用チューブ内の灌漑用液体の圧力に応じて、灌漑用液体の吐出量を制御することから、灌漑用液体の吐出量を安定化することができる。また、本発明に係るエミッタは、樹脂材料の射出成形による一部品または二部品で構成することが可能であるので、従来の三部品のエミッタに比べて、製造に係るコストをさらに削減することが可能である。
本発明の第1の実施の形態に係る点滴灌漑用チューブの模式的な断面図である。 図2Aは、上記実施の形態に係るエミッタの平面、正面および側面を示す図であり、図2Bは、当該エミッタの底面、正面および側面を示す図である。 図3Aは、上記実施の形態に係るエミッタの平面図であり、図3Bは、当該エミッタの背面図であり、図3Cは、当該エミッタの側面図である。 図4Aは、上記実施の形態に係るに係るエミッタの、図3A中のA−A線に沿っての断面図であり、図4Bは、当該エミッタの、図3A中のB−B線に沿っての断面図である。 図5Aは、上記実施の形態に係るエミッタの底面図であり、図5Bは、当該エミッタの、図5A中のA−A線に沿っての断面図である。 図6Aは、上記実施の形態に係る、エミッタ本体にフィルムが接合される前のエミッタの平面、正面および側面を示す図であり、図6Bは、当該エミッタの底面、正面および側面を示す図である。 図7Aは、上記実施の形態に係る、エミッタ本体にフィルムが接合される前のエミッタの平面図であり、図7Bは、当該エミッタの背面図であり、図7Cは、当該エミッタの側面図である。 図8Aは、上記実施の形態に係る、エミッタ本体にフィルムが接合される前のエミッタの、図7A中のA−A線に沿っての断面図であり、図8Bは、当該エミッタの、図7A中のB−B線に沿っての断面図である。 図9Aは、上記実施の形態に係る、エミッタ本体にフィルムが接合される前のエミッタの底面図であり、図9Bは、当該エミッタの、図9A中のA−A線に沿っての断面図である。 図10Aは、チューブ内の灌漑用液体の圧力が第1の圧力値以上第2の圧力値未満であるときの図4B中のA部を拡大して示す図であり、図10Bは、チューブ内の灌漑用液体の圧力が第2の圧力値以上であるときの図4B中のA部を拡大して示す図であり、図10Cは、チューブ内の灌漑用液体の圧力が第1の圧力値以上第2の圧力値未満に戻ったときの図4B中のA部を拡大して示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る点滴灌漑用チューブの模式的な断面図である。 図12Aは、上記実施の形態に係るエミッタの、チューブ側から見たときの斜視図であり、図12Bは、当該エミッタの、チューブとは反対側から見たときの斜視図である。 図13Aは、上記実施の形態に係るエミッタの平面図であり、図13Bは、当該エミッタの正面図であり、図13Cは、当該エミッタの底面図であり、図13Dは、当該エミッタの左側面図であり、図13Eは、当該エミッタの右側面図である。 図14Aは、上記実施の形態に係るエミッタの、図13A中のA−A線に沿っての断面図であり、図14Bは、当該エミッタの、図13A中のB−B線に沿っての断面図である。 図15Aは、上記実施の形態における第1部品の平面図であり、図15Bは、当該第1部品の正面図であり、図15Cは、当該第1部品の底面図であり、図15Dは、当該第1部品の左側面図であり、図15Eは、当該第1部品の右側面図である。 上記実施の形態における第1部品の、図15A中のA−A線に沿っての断面図である。 図17Aは、上記実施の形態における第2部品の平面図であり、図17Bは、当該第1部品の正面図であり、図17Cは、当該第2部品の底面図であり、図17Dは、当該第2部品の側面図であり、図17Eは、当該第2部品の、図17A中のE部を拡大して示す図である。 上記実施の形態における第2部品の、図17A中のA−A線に沿っての断面図である。 図19Aは、チューブ内の灌漑用液体の圧力が第1の圧力値以上第2の圧力値未満であるときの図14A中のA部を拡大して示す図であり、図19Bは、チューブ内の灌漑用液体の圧力が第2の圧力値以上であるときの図14A中のA部を拡大して示す図であり、図19Cは、チューブ内の灌漑用液体の圧力が第1の圧力値以上第2の圧力値未満に戻ったときの図14A中のA部を拡大して示す図である。 図20Aは、上記実施の形態に係るエミッタの吐出部の第1変形例を模式的に示す図であり、図20Bは、当該吐出部の第2変形例を模式的に示す図であり、図20Cは、当該エミッタの一変形例の要部の断面を示す図である。 図21Aは、上記実施の形態に係るエミッタの他の変形例のX方向に沿っての断面を示す図であり、図21Bは、当該変形例のY方向に沿っての断面を示す図である。
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の形態に係る平面視形状、大きさ、角度および圧力は、一例であり、これらは、当該形態における各構成要素の所期の機能が実現される範囲において、適宜に決めることが可能である。
[実施の形態1]
(構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る点滴灌漑用チューブの模式的な断面図である。点滴灌漑用チューブ100は、チューブ110と、エミッタ120とによって構成されている。チューブ110は、例えばポリエチレン製である。エミッタ120は、チューブ110の軸方向に所定の間隔(例えば200〜500mm)で配置されている。それぞれのエミッタ120は、チューブ110の内壁面に接合されている。エミッタ120は、チューブ110の吐出口130を覆う位置に配置されている。吐出口130は、チューブ110の管壁を貫通する孔である。吐出口130の孔径は、例えば1.5mmである。なお、矢印Fは、チューブ110内における灌漑用液体が流れる方向を示している。
図2Aは、エミッタ120の平面、正面および側面を示す図であり、図2Bは、エミッタ120の底面、正面および側面を示す図である。また、図3Aは、エミッタ120の平面図であり、図3Bは、エミッタ120の背面図であり、図3Cは、エミッタ120の側面図である。また、図4Aは、エミッタ120の、図3A中のA−A線に沿っての断面図であり、図4Bは、エミッタ120の、図3A中のB−B線に沿っての断面図である。また、図5Aは、エミッタ120の底面図であり、図5Bは、エミッタ120の、図5A中のA−A線に沿っての断面図である。なお、X方向は、チューブ110の軸方向またはエミッタ120の長手方向を示し、Y方向は、エミッタ120の短手(幅)方向を示し、Z方向は、エミッタ120の高さ方向を示している。また、前述の矢印Fの向きは、X方向と平行である。
エミッタ120は、図2A、図2Bに示されるように、筐体様の外形を有する。たとえば、エミッタ120のX方向の長さは30mmであり、Y方向の長さは10mmであり、Z方向の長さは3mmである。エミッタ120は、チューブ110の内壁面に接合されるエミッタ本体200と、エミッタ本体200と一体的に成形されたフィルム300とを有する。
図6Aは、エミッタ本体200にフィルム300が接合される前のエミッタ120の平面、正面および側面を示す図であり、図6Bは、当該エミッタ120の底面、正面および側面を示す図である。また、図7Aは、エミッタ本体200にフィルム300が接合される前のエミッタ120の平面図であり、図7Bは、当該エミッタ120の背面図であり、図7Cは、当該エミッタ120の側面図である。さらに、図8Aは、エミッタ本体200にフィルム300が接合される前のエミッタ120の、図7A中のA−A線に沿っての断面図であり、図8Bは、当該エミッタ120の、図7A中のB−B線に沿っての断面図である。また、図9Aは、エミッタ本体200にフィルム300が接合される前のエミッタ120の底面図であり、図9Bは、当該エミッタ120の、図9A中のA−A線に沿っての断面図である。
エミッタ本体200は、図3Bおよび図3Cに示されるように、第1の表面201および第2の表面202を有する。第1の表面201は、フィルム300と接合する、エミッタ本体200のZ方向における一方の面である。第2の表面202は、チューブ110の内壁面と接合する、エミッタ本体200のZ方向における他方の面である。
エミッタ本体200は、図6A、図6B、図7Aおよび図8Aに示されるように、第1の表面201に形成された凹部211、212と、凹部211、212内に配置された突条213、214と、エミッタ本体200をZ方向に貫通する取水路221と、取水路221内に配置された流量調節弁223とを有する。
凹部211は、図6Aおよび図7Aに示されるように、第1の表面201の中央部に位置する凹部である。凹部211のZ方向から見た形状(以下、「平面視形状」とも言う)は矩形である。
凹部212は、第1の表面201に位置する、凹部211と取水路221とを接続する凹部である。凹部212のY方向における長さは、図7Bに示されるように、後述する取水路221の開口部の径と同じである。
突条213は、図6Aおよび図7Aに示されるように、凹部211内にX方向に並列する、Y方向を長手方向とする突条であり、複数配置されている。突条213の平面視形状は矩形である。X方向における突条213間、および、Y方向における突条213と凹部211の壁面との間、には、それぞれ隙間がある。
突条214は、凹部212内にY方向に並列する、X方向を長手方向とする突条であり、複数配置されている。突条214の平面視形状は、矩形の一端部を弧で切り欠いた形状である。Y方向における突条214間、および、X方向における突条214の端と突条214に隣り合う突条213との間には、それぞれ隙間がある。
凹部211、212の底面から突条213、214の突端面までの距離(突条213および突条214の高さ)は、例えば0.5mmである。
取水路221の第1の表面201における開口形状は、図7Aに示されるように、円形である。取水路221の口径は、例えば5mmである。取水路221の第2の表面202における開口形状は、図9Aに示されるように、上記円形の半円と、当該半円の直径からY方向に連なる上記口径の幅の矩形とによって形成される形状(ベル型)である。
流量調節弁223は、図7Aおよび図9Aに示されるように、取水路221を塞ぐ、可撓性を有する4片の開閉部で構成されている。当該開閉部は、図8Aおよび図9Aに示されるように、第1の表面201側から第2の表面202側に突出する略半球状の薄肉のドームを十字のスリットで分割して構成される。当該開閉部の厚さは、例えば0.5mmであり、上記スリットの幅は、通常は、例えば0mmである。
エミッタ本体200は、図6B、図9Aおよび図9Bに示されるように、第2の表面202に形成された三つの溝231、232、233、および、溝233から第1の表面201側に通じる孔234、をさらに有する。
溝231は、図5Aおよび図9Aに示されるように、取水路221に接続されている。溝231は、第2の表面202に形成された、X方向に沿う直線状の溝である。
溝232は、図5Aおよび図9Aに示されるように、溝231に接続されている。溝232は、第2の表面202に形成された、X方向に沿って延出する溝である。溝232の平面視形状は、ジグザグ形状である。当該ジグザグ形状は、溝232の側面から突出する略三角形状の凸部が溝232の延出方向(X方向)に沿って交互に配置されてなる。当該凸部は、凸部の突端が溝232の平面視形状における中心線を超えないように配置されている。溝232の深さは、例えば0.5mmであり、溝232の幅(図5A中のW)は、例えば0.5mmである。
溝233は、図5Aおよび図9Aに示されるように、溝232に接続されている。溝233は、第2の表面202に形成された、X方向に沿う直線状の溝である。
孔234は、図5Aおよび図9Aに示されるように、溝233の端部に開口している。孔234の開口形状は矩形である。孔234は、図5Bおよび図9Bに示されるように、第1の表面201側に開口している。溝231、233および孔234の幅(Y方向における長さ)は、例えば1mmである。
エミッタ本体200は、図6A、図7Aおよび図8Aに示されるように、第1の表面201に形成された溝241、第1の表面201に形成された凹部242、凹部242の底に開口する、第2の表面202側に通じる孔243、孔243を開閉可能な蓋244、および、孔243の開口部に形成された溝245、をさらに有する。
溝241は、図7Aに示されるように、第1の表面201に形成された、Y方向に沿う直線状の溝であり、溝241の平面視形状は、矩形である。溝241の一端部には、孔234が開口しており、溝241は、他端で凹部242に接続している。
凹部242は、図7Aに示されるように、第1の表面201に形成された有底の凹部である。凹部242の平面視形状は、円形である。凹部242の開口径は、例えば6mmであり、凹部242の深さは、例えば2mmである。凹部242の底面は、図7Aおよび図8Bに示されるように、平面視形状がより小さな弓形の平面部246と、平面視形状がより大きな弓形である、溝241側から第1の表面201に向けて傾斜する部分(傾斜部247)とを含む。平面部246は、第1の表面201に平行な面の部分であり、後述する凹部251がZ方向における凹部242の反対側に位置することから、薄板状に形成されており、その厚さは、例えば0.2mmである。
孔243は、図8Bに示されるように、傾斜部247の底縁に接するように傾斜部247に開口している。孔243の平面形状は、図9Aに示されるように、正三角形である。
蓋244は、図7Aに示されるように、蓋板248と、蓋板248から突出する凸部249とを含む。蓋244の平面視形状は、図7Aに示されるように、正三角形であり、孔243の平面視形状と同じである。このように、孔243の軸方向(Z方向)に沿って見たときに、蓋244の形状は、孔243の形状と同じである。蓋板248の基端縁(孔243の開口形状の一辺)の長さは、例えば4mmである。また、凸部249のY方向の長さ(図8B中のL)は、例えば2.7mmである。
蓋板248は、図7Aおよび図8Bに示されるように、孔243の開口形状の一辺を折れ線部として屈曲した薄板部で構成されている。こうして、蓋244は、上記折れ線部を回動軸として回動可能にエミッタ本体200に一体的に構成されている。このように、孔243の開口形状は、直線部を含み、蓋244は、当該直線部に直線状の固定端を有するとともに、当該固定端を回動軸として回動可能に構成されている。なお、蓋板248の厚さは、例えば0.2mmである。
また、蓋板248は、図8Bに示されるように、平面部246に対して傾斜部247よりもさらに傾斜している。たとえば、傾斜部247の平面部246の表面に対する傾斜角θは19°であり、蓋板248の底面と平面部246の表面に対する傾斜角θは26.6°である。また、孔243と蓋244との隙間は、平面視形状における孔243の頂角と蓋244の先端(頂角)との間で最も大きく、当該隙間の大きさは、例えば0.5mmである。このように、上記回動軸(Y方向)に沿って見たときに、蓋244が孔243の開口端縁に密着する部分である蓋板248は、孔243の開口端縁の上記直線部以外の部分を含む傾斜部247に対して、非接触かつ斜めに配置されている。
凸部249の平面視形状は、図7Aに示されるように、三角形であり、蓋244の平面視形状に含まれている。より詳しくは、凸部249の平面視形状は三角形だが、凸部249の各側面は、図7Aおよび図8Aに示されるように、当該三角形の各辺において、孔243側から凹部242の開口部に向けて傾斜するテーパ面で構成されている。このため、凸部249の頂面の平面視形状は、二等辺三角形となっており、その底面の長さは、例えば2.1mmである。凸部249の頂面は、図8Bに示されるように、凹部242の開口端に平行である。Z方向における上記開口端と上記頂面との距離は、例えば0.2mmである。
溝245は、図7Aに示されるように、傾斜部247の表面に形成された、孔243の開口形状の頂点で孔243に接続される溝である。溝245の幅は、例えば0.25mmであり、溝245の傾斜部247からの深さは、例えば0.1mmである。
エミッタ本体200は、図5Aおよび図9Aに示されるように、第2の表面202に形成された、凹部251、252、253および突条254をさらに有する。
凹部251、252および253は、いずれも、図9Aに示されるように、第2の表面202に形成された凹部である。凹部251の平面視形状は円形であり、凹部251の底には孔243が開口している。凹部252の平面視形状は矩形であり、凹部252の底には突条254が配置されている。凹部253は、凹部251と凹部252とを接続する、両凹部よりも浅い凹部である。凹部253のY方向における長さは、凹部252のY方向における長さよりも短い。
突条254は、図9Aに示されるように、Y方向に沿って細長の突条である。突条254の平面視形状は矩形であり、突条254のY方向の長さは、凹部252のY方向の長さよりも短く、凹部253のY方向の長さとほぼ同じである。突条254は、X方向における凹部253の近くに、しかし凹部253から離れた位置に配置されている。このように、突条254は、突条254をX方向に沿って凹部252側から見たときに凹部253と重なる位置に配置されている。
フィルム300は、図7Aおよび図9Aに示されるように、ヒンジ部301を介して、エミッタ本体200と一体的に配置されている。ヒンジ部301は、エミッタ本体200の、Y方向における第1の表面201側の一側縁に配置されている。ヒンジ部301は、たとえば、フィルム300と同じ厚さを有し、エミッタ本体200およびフィルム300と一体的に成形された、幅0.5mmの部分である。
フィルム300は、図7Aおよび図9Aに示されるように、さらに、第1の表面201を覆ったときの凹部211に対応する位置に、矩形の開口部302を有する。フィルム300の厚さは、後述する圧力に対する変形量に基づいて、例えばコンピュータシミュレーションや試作品による実験などによって決めることが可能であり、例えば0.15mmである。
エミッタ本体200およびフィルム300は、いずれも、可撓性を有する一種類の材料、例えばポリプロピレン、で成形されている。当該材料の例には、樹脂およびゴムが含まれ、当該樹脂の例には、ポリエチレンおよびシリコーンが含まれる。エミッタ120およびフィルム300の可撓性は、弾性を有する樹脂材料の使用によって調整することが可能であり、例えば、弾性を有する樹脂の種類や、硬質の樹脂材料に対する、弾性を有する樹脂材料の混合比、などによって調整することが可能である。エミッタ120は、例えば、射出成形によって一体成形物として製造することが可能である。
(作用)
フィルム300は、ヒンジ部301を軸に回動し、エミッタ本体200の第1の表面201に密着して接合される。当該接合は、例えば、エミッタ本体200またはフィルム300を構成する樹脂材料の溶着や、接着剤による接着、エミッタ本体200へのフィルム300の圧着などによって行われる。
図2Aおよび図4Aに示されるように、フィルム300が第1の表面201に接合されると、取水路221および凹部212は、フィルム300によって塞がれ、突条214間の隙間は、凹部211に開口するとともに取水路221の繋がる複数の流路を構成する。このように、取水路221および上記の隙間は、フィルム300が第1の表面201に接合することにより、チューブ110内の灌漑用液体を取り入れるための取水部を構成する。
また、フィルム300が第1の表面201に接合されると、図4Aおよび図4Bに示されるように、溝241および凹部242は、フィルム300によって塞がれる。凹部242とフィルム300との隙間は、灌漑用液体の流路となる。凹部242、孔243および蓋244は、フィルム300が第1の表面201に接合することにより、後述の減圧流路から供給される灌漑用液体の流量を、チューブ110内の灌漑用液体の圧力に応じて制御するための流量制御部を構成する。
蓋244は、フィルム300から離れて、そして孔243に対して孔243を開閉可能に配置されている。蓋244は、灌漑用液体の流路となる孔243を開閉するための弁体を構成している。また、後に詳述するが、孔243の開口端縁には、蓋244が閉じたときに蓋板248が密着する。このように、孔243の開口端縁は、蓋244が孔243を閉じるときに着座する弁座を構成している。
第2の表面202は、チューブ110の内壁面に接合される。当該接合も、エミッタ本体200またはチューブ110を構成する樹脂材料の溶着や、接着剤による接着、エミッタ本体200のチューブ110への圧着などによって行われる。
第2の表面202がチューブ110の内壁面に接合されると、第2の表面202がチューブ110に密着し、取水路221および溝231〜233は、チューブ110によって塞がれる。溝231〜233および孔234は、溝231〜233がチューブ110によって塞がれることによって、上記取水部から取り入れられた灌漑用液体を流すための流路を構成し、中でも溝232は、灌漑用液体を減圧させながら流すための減圧流路を構成する。
また、第2の表面202がチューブ110の内壁面に接合されると、凹部251、252および253は、チューブ110によって塞がれる。チューブ110の凹部252を塞ぐ部分に吐出口130が配置される。このように、凹部252は、第2の表面202がチューブ110に接合することにより、上記流量制御部で流量が制御された灌漑用液体が供給される、吐出口130に面するべき吐出部を構成する。
エミッタ120は、通常、吐出口130が形成される前のチューブ110の内周壁に接合され、その後、チューブ110の、吐出部(凹部252)に対応する位置に、吐出口130が形成されるが、既設の吐出口130の位置に合わせてエミッタ120をチューブ110の内壁面に接合してもよい。
次に、エミッタ120による灌漑用液体の吐出を説明する。図10Aは、チューブ110内の灌漑用液体の圧力が第1の圧力値以上第2の圧力値未満であるときの図4B中のA部を拡大して示す図であり、図10Bは、チューブ110内の灌漑用液体の圧力が第2の圧力値以上であるときの図4B中のA部を拡大して示す図であり、図10Cは、チューブ110内の灌漑用液体の圧力が第1の圧力値以上第2の圧力値未満に戻ったときの図4B中のA部を拡大して示す図である。
点滴灌漑用チューブ100への灌漑用液体の供給は、チューブ110およびエミッタ120の破損を防止するため、例えば当該灌漑用液体の圧力が0.1MPaを超えない範囲で行われる。チューブ110内に灌漑用液体が供給されると、灌漑用液体は、凹部211と突条213との隙間を通って、フィルム300によってZ方向において覆われた凹部212に到達し、凹部212と突条214との隙間を通って取水路221に到達する。凹部211および突条213と凹部212および突条214は、灌漑用液体中の上記突条間の隙間よりも大きな浮遊物の侵入を防止しつつ灌漑用液体の流路を構成する。このように、凹部211、212および突条213、214は、フィルタとして機能する。
チューブ110内の灌漑用液体の圧力が第1の圧力値(例えば0.005MPa)以上であると、流量調節弁223が第2の表面202側に押され、流量調節弁223のスリットが拡がる。こうして、取水路221に到達した灌漑用液体は、取水路221からエミッタ本体200内に取り入れられる。流量調節弁223は、灌漑用液体の圧力が第1の圧力未満のときに灌漑用液体のエミッタ本体200内への流入を抑制する。このため、チューブ110への灌漑用液体の高圧供給が可能となるので、エミッタ120が流量調節弁223を有することは、例えば、より長い点滴灌漑用チューブ100を構成するのに好適である。
取水路221から取り入れられた灌漑用液体は、溝231を通って溝232(減圧流路)に供給される。溝232を流れる灌漑用液体は、溝232の平面視形状(ジグザグ形状)によってもたらされる圧力損失によって減圧される。また、灌漑用液体中の浮遊物は、溝232の上記凸部間に発生する乱流に巻き込まれ、溝232に滞留する。このように溝232によって、灌漑用液体から浮遊物がさらに除去される。
また、上記凸部の突端が溝232の平面視形状における中心線を超えないように配置されていることから、溝232の中心には、わずかな幅ではあるが、上記凸部に遮られない空間が形成されるので、灌漑用液体は溝232を流れやすい。よって、溝232は、上記の減圧効果および浮遊物除去効果に加えて、より多くの流量で灌漑用液体を流すのに好適である。
溝232を通り、減圧され、上記浮遊物が除去された灌漑用液体は、溝233、孔234、溝241を通って、凹部242に供給される。灌漑用液体は、フィルム300と凹部242との隙間を満たし、孔243に供給される(図10A)。
孔243を通った灌漑用液体は、凹部251、253を経て凹部252に到達し、凹部252に面して開口する吐出口130を通って、チューブ110外に吐出される。
なお、土壌などの異物が吐出口130から凹部252に侵入することがあるが、当該異物の孔243への侵入は、凹部252内に配置されている突条254によって遮られる。
チューブ110内の灌漑用液体の圧力が高まると、当該圧力の上昇に応じて、取水路221からエミッタ本体200内に取り入れられる灌漑用液体の流量も増加し、吐出口130からの灌漑用液体の吐出量も増加する。
チューブ110内の灌漑用液体の圧力が第2の圧力値(例えば0.02MPa)以上になると、図10Bに示されるように、フィルム300は、チューブ110内の灌漑用液体の圧力を受けて撓み、蓋244を孔243に向けて押す。蓋244と孔243は、いずれも、平面視形状が同じであり、かつ孔243が開口する傾斜部247に対して蓋板248の底面は、わずかだが(θからθを引いた角度の分だけ)傾斜している。よって、三角形の一辺が上記固定端であることから、当該固定端から蓋板248の二辺までの、蓋板248の底面に沿う距離は、当該固定端から孔243の二辺までの、孔243の開口端に沿う距離よりも大きくなる。このため、蓋板248は、孔243の開口部を覆い、弁体である蓋244の蓋板248の周縁部は、弁座である孔243の開口端縁に密着(着座)する。このように、蓋244は、灌漑用液体の流路である孔243を塞ぐ弁体として機能し、孔243の開口端縁は、当該弁体が着座する弁座として機能する。
しかしながら、溝245は、弁座である孔243の開口端縁の表面に形成されているので、弁体である蓋244が当該弁座に着座したときに、灌漑用液体の弁座よりも上流側の流路である凹部242の内部と当該弁座の下流側の流路である孔243とを連通する。このため、凹部242に供給された灌漑用液体は、溝245を通って孔243に供給される。
よって、上記流量制御部を通過する灌漑用液体の量は、溝245を通過可能な流量に規制され、吐出口130からの灌漑用液体の吐出量は、実質的に一定となる。こうして、エミッタ120は、灌漑用液体が供給されるチューブ110から、灌漑用液体を定量的に吐出する。
蓋244が孔243を塞いでいるとき、凹部242内の圧力は、通常、孔243内の圧力に対して相対的に高くなっている。このため、図10Cに示されるように、チューブ110内の灌漑用液体の圧力が第2の圧力値未満に下がっても、凹部242の内圧から孔243の内圧を引いた差圧が正圧であり、かつ蓋244がその初期の位置へ復帰しようとする弾性力に対して凹部242の内圧が強い場合には、チューブ110内の灌漑用液体の圧力が第2の圧力値まで一度上昇し、その後第2の圧力値を下回ったとしても、蓋244は、孔243を塞いだままとなる。このため、上記流量制御部を通過する灌漑用液体の量は、溝245を通過可能な流量に規制され続ける。
凹部242内の灌漑用液体が溝245を通って十分に流れると、凹部242の内圧が十分に下がる。そして、上記の差圧が上記弾性力を下回ると、蓋244は、図10Aに示されるように、上記弾性力によって初期の位置に復帰し、孔243が開放される。そして、凹部242内の灌漑用液体は、再び、蓋244と孔243の開口部との隙間を通って孔243に流れる。
(効果)
以上の説明から明らかなように、エミッタ120は、灌漑用液体を流すためのチューブ110に配置され、チューブ110内の灌漑用液体をチューブ110外へ定量的に吐出するためのエミッタである。そして、エミッタ120は、チューブ110内の灌漑用液体を取り入れるための上記取水部と、当該取水部から取り入れられた灌漑用液体を減圧させながら流すための上記減圧流路と、当該減圧流路から供給された灌漑用液体の流量を、チューブ110内または上記取水部内の灌漑用液体の圧力に応じて制御するための上記流量制御部と、当該流量制御部で流量が制御されてチューブ110外へ吐出されるべき灌漑用液体が供給される上記吐出部と、を有する。さらに、上記流量制御部は、灌漑用液体の流路を開閉するための弁体と、当該弁体が上記流路を閉じるときに着座する弁座と、チューブ110内または上記取水部内の灌漑用液体の圧力を受けて撓み、上記弁体を上記弁座に向けて押して上記弁座に着座させるためのフィルム300と、上記弁座の表面に形成された、上記弁体が上記弁座に着座したときに灌漑用液体の、上記弁座よりも上流側の上記流路および下流側の上記流路を連通する溝233と、を有する。そして、フィルム300は、チューブ110内の灌漑用液体の圧力が設定値以上であるときに上記弁体を押して上記弁座に着座させる。よって、エミッタ120は、灌漑用液体の吐出量を安定化することが可能である。さらにエミッタ120は、多くとも二部品、少なければ一部品の射出成形品から構成することが可能である。よって、エミッタ120は、三部品からなる従来のエミッタに比べて、製造に係るコストのさらなる削減が可能である。
また、エミッタ120が、チューブ110の内壁面の、チューブ110内外を連通する吐出口130に対応する位置に接合されて、チューブ110内の灌漑用液体を吐出口130から定量的に吐出するためのエミッタであり、上記流量制御部が、エミッタ120の表面の上記内壁面に接合されない部分(第1の表面201)に開口する、エミッタ120における灌漑用液体の上記減圧流路よりも下流側の流路の一部を構成するための開口部(凹部242)と、上記開口部を塞ぎ、上記減圧流路よりも下流側の流路とチューブ110内部との連通を遮断するフィルム300と、上記減圧流路よりも下流側の流路に、フィルム300に面して開口し、上記吐出部に繋がる孔243と、孔243の開口端縁の少なくとも一部と隙間を有して、かつ上記開口端縁に接触離脱可能に配置されている上記弁体(蓋244)と、を有し、孔243の開口端縁の少なくとも一部が上記弁座を構成することは、上記の効果を奏するエミッタであってチューブ110内部に配置されるべきエミッタを構成する観点から、より一層効果的である。
また、孔243の開口形状が直線部を含み、上記弁体が、上記直線部に直線状の固定端を有するとともに、上記固定端を回動軸として回動可能であり、孔243の軸方向に沿って見たときに、上記弁体の形状が孔243の形状と同じであり、上記回動軸に沿って見たときに、上記弁体が上記弁座に密着する部分が、孔243の開口端縁の上記直線部以外の部分に対して非接触かつ斜めに配置されることは、前述のように作動する上記流量制御部を射出成形による一部品で構成することを可能とするので、製造コストの削減の観点からより一層効果的である。
また、上記取水部が、チューブ110内の灌漑用液体の圧力が規定値以上であるときに灌漑用液体の流路を拡げる流量調節弁223をさらに含むことは、チューブ110へ灌漑用液体をより高圧で供給することを可能とし、より長い点滴灌漑用チューブ100を構成する観点からより一層効果的である。
また、エミッタ120が可撓性を有する一種類の材料で成形されており、フィルム300がエミッタ120の一部として一体的に成形されていることは、エミッタ120を射出成形による一部品で作製することを可能とすることから、製造に係るコストのさらなる削減の観点からさらに一層効果的である。
また、上記固定端を軸に開閉する蓋244によって孔243が開閉されることは、蓋244(弁体)と孔243との最大隙間をより大きくするのに好適である。このため、当該隙間の目詰まりを抑制する観点からより一層効果的である。また、開いている蓋244によって、灌漑用液体の孔243に至るより広い流路が形成されることから、凹部242内の灌漑用液体が孔243により流れやすくなるので、灌漑用液体の吐出量を多くする観点、および、蓋244の開閉による灌漑用液体の流量をより大きく変化させる観点、からより一層効果的である。
また、蓋244は、一度閉まると、凹部242の内圧から孔243の内圧を引いた差圧が十分に下がるまで(前述の弾性力を下回るまで)閉じたままである。よって、溝245のみを灌漑用液体が流れるときの灌漑用液体の流量を、エミッタ120の所期の吐出量に設定すると、前述のように灌漑用液体の流量は、蓋244の開閉によって大きく変化することから、エミッタ120の吐出量が上記所期の吐出量に迅速に復帰するので、当該所期の吐出量を迅速に実現し、かつ長く維持する観点からより一層効果的である。
また、蓋244における上記回動軸が直線状であることは、蓋244の開閉(回動)をより弱い力で実現するのに好適であるので、エミッタ120における灌漑用液体の所期の吐出量を精密に設定する観点からより一層効果的である。
また、孔243および蓋244の平面形状が共に三角形であることは、上記弁体と上記弁座の接触長さをより短くするのに好適であるので、蓋244が孔243を塞いだときの蓋244のずれを防止する観点からより一層効果的である。
エミッタ120をチューブ110の内壁面に接合することによって、チューブ110と、チューブ110に配置されたエミッタ120と、を有する点滴灌漑用チューブ100が提供される。点滴灌漑用チューブ100は、所期の吐出量を迅速に実現でき、かつ長く維持することが可能であることから、実質的に常時所期の吐出量で灌漑用液体を吐出することが可能である。よって、点滴灌漑用チューブ100は、例えば、より精密な灌漑用液体の吐出を要する植物の生育に、好適に使用される。
(変形例)
点滴灌漑用チューブ100では、前述の効果を奏する範囲において、前述の構成要件の一部が変更されていてもよいし、他の構成要件が追加されていてもよい。
たとえば、チューブ110は、シームレスチューブであってもよいし、細長いシートを長手方向に沿って接合してなるチューブであってもよい。
また、吐出口130は、上記シートの接合部に、チューブ110の内外を連通するように形成された隙間や、当該接合部で上記シートに挟まれた管などであってもよい。さらに、吐出口の軸方向における形状は、一直線状でなくてもよい。当該吐出口を有するチューブの例には、上記シートの表面に流路となる所期の形状の窪みが形成されており、上記シートの接合によって上記接合部に当該流路である上記吐出口が構成されるチューブ、が含まれる。
また、エミッタ120は、チューブ110における灌漑用液体の流れ方向の上流側に取水路221が位置するように配置されているが、取水路221が下流側に位置するように配置されてもよい。また、一本のチューブ110中の複数のエミッタ120の向きは、同じであっても異なっていてもよい。
また、エミッタ本体200の樹脂材料とフィルム300の樹脂材料は、同じであっても異なっていてもよい。
また、エミッタ本体200は、樹脂の射出成形によって一体的に成形されるが、エミッタ本体200を、第1の表面201側の部品と第2の表面202側の部品の二部品で構成してもよい。この場合、第1の表面201側の部品には、フィルム300が一体的に成形される。エミッタ本体200を上記のような二部品で構成することにより、例えば上記減圧流路をエミッタ本体200の内部に配置することが可能となる。さらに、当該二部品を、ヒンジ部を介して一体的に成形してもよい。
また、上記減圧流路を含む、取水路221と凹部242とを接続する流路は、エミッタ本体200における、フィルム300によって覆われる第1の表面201上の溝で構成されてもよい。
また、第2の表面202は、チューブ110の内壁に沿う曲面(例えば、YZ平面においてチューブ110の内径の円弧で表される面)であってもよい。
さらに、流量調節弁223は、例えば、チューブ110に供給される灌漑用液体の圧力に応じて適宜に配置されればよいので、エミッタ120は、流量調節弁223を有していなくてもよい。
また、エミッタ120は、所期の吐出量を確保する観点から、前述の形状の減圧流路を含んでいることが好ましいが、当該減圧流路を含んでいなくてもよい。たとえば、フィルム300は、チューブ110内の灌漑用液体の圧力と、凹部242内の灌漑用液体の圧力との差圧によって、凹部242に向けて撓み、蓋244を押すが、上記取水部から上記流量調整部までの流路が当該差圧を十分に生じさせる流路であれば、前述した形状の減圧流路でなくても(例えば単なる直線状の流路でも)よい。
また、蓋244は、正三角形の底面と二等辺三角形の頂面とを有する略三角錐台形状の凸部249を有しているが、チューブ110内の灌漑用液体の圧力の設定値に応じたフィルム300の撓み量が伝達されるように構成されていれば、凸部249を有していなくてもよい。たとえば、蓋244は、上記形状の凸部249に代えて、蓋244の先端部からフィルム300に向けて突出する棒状の凸部を有していてもよいし、あるいは、蓋244は、凸部249を有さず、フィルム300が蓋244を押すための上記の棒状の凸部を有していてもよい。
[実施の形態2]
本発明に係る第2の実施の形態を説明する。
(構成)
図11は、本発明の実施の形態2に係る点滴灌漑用チューブ400の模式的な断面図である。点滴灌漑用チューブ400は、チューブ110およびエミッタ320によって構成されている。チューブ110は、前述した実施の形態1と同様に構成されている。
図12Aは、図11中のエミッタ320の、チューブ110側から見たときの斜視図であり、図12Bは、図11中のエミッタ320の、チューブ110とは反対側から見たときの斜視図である。また、図13Aは、エミッタ320の平面図であり、図13Bは、エミッタ320の正面図であり、図13Cは、エミッタ320の底面図であり、図13Dは、エミッタ320の左側面図であり、図13Eは、エミッタ320の右側面図である。さらに、図14Aは、エミッタ320の、図13A中のA−A線に沿っての断面図であり、図14Bは、エミッタ320の、図13A中のB−B線に沿っての断面図である。
エミッタ320は、第1筒部410、第1筒部410に接続されているフランジ部420、フランジ部420の第1筒部410とは反対側に接続されている第2筒部430、および、フランジ部420の第1筒部410側に接続されている第3筒部440、を有する。フランジ部420は、第1板部450と第2板部460との合体によって構成されている。なお、Z方向は、第1筒部410の軸に沿う方向であり、エミッタ320がチューブ110に挿入される方向を含む。X方向は、Z方向に直交する一方向であり、Y方向は、Z方向およびX方向の両方に直交する方向である。
第1筒部410は、図12Aに示されるように、第1板部450の表面から起立している筒状体である。第1筒部410は、図13Aおよび図13Bに示されるように、フランジ部420の平面形状の中央に配置されている。
第1筒部410の先端部には、図14Aに示されるように、返し411が形成されている。返し411は、第1筒部410の外周面からXY平面に沿って広がる径大部412と、径大部412から第1筒部410の先端に向けて外径が漸次減少するテーパ面413とによって構成されている。たとえば、第1筒部410の内径は2mmであり、径大部412の外径は3.2mmであり、テーパ面413の先端の外径は2.6mmであり、フランジ部420の表面からの第1筒部410の高さは5mmである。
第3筒部440は、第1筒部410と同様に、図12Aに示されるように、第1板部450の表面から起立している筒状体である。第3筒部440は、図13Aおよび図13Bに示されるように、フランジ部420の平面形状の中央からX方向にずれた位置に配置されている。
第3筒部440の先端部には、図14Aに示されるように、返し441が形成されている。返し441は、第3筒部440の外周面からXY平面に沿って広がる径大部442と、径大部442から第3筒部440の先端に向けて外径が漸次減少するテーパ面443とによって構成されている。たとえば、第3筒部440の内径は3mmであり、径大部442の外径は4mmであり、テーパ面443の先端の外径は3.3mmであり、フランジ部420の表面からの第3筒部440の高さは5mmである。
フランジ部420のZ方向に沿ってみた形状(平面視形状)は、円形である。たとえば、フランジ部420の厚さは3mmであり、フランジ部420の外径は16mmである。
図15Aは、第1筒部410、第3筒部440および第1板部450の一体成形品(以下、「第1部品」とも言う)の平面図であり、図15Bは、当該第1部品の正面図であり、図15Cは、当該第1部品の底面図であり、図15Dは、当該第1部品の左側面図であり、図15Eは、当該第1部品の左右側面図である。また、図16は、上記第1部品の、図15A中のA−A線に沿っての断面図である。
第1板部450は、図14B、図15Cおよび図16に示されるように、表面に開口する孔451および凹部452を含み、底面に形成された凹部453、454、溝455、456および突条457を含む。第1板部450は、孔451および凹部453の境界部に、孔451を覆う流量調節弁458をさらに含む。
孔451は、図15Aおよび図16に示されるように、第1板部450の表面の中央部に開口し、後述する凹部453に開口している、また、孔451の第1板部450の表面における開口は、第1筒部410に内包されている。すなわち、孔451は、第1筒部410と凹部453とを連通している。孔451の平面視形状は、図13Aに示されるように、円形である。孔451の径は、第1筒部410の内径と同じである。
凹部452は、図16に示されるように、第1板部450の表面に形成された凹部である。また、凹部452の第1板部450の表面における開口は、第3筒部440に内包されている。すなわち、凹部452は、第3筒部440と連通している。凹部452の平面視形状は、図13Aに示されるように、円形である。凹部452の底は、後述するフィルム459となっている。凹部452の直径は、第3筒部440の内径と同じである。また、第1板部450の表面からの凹部452の深さは、例えば0.65mmである。
凹部453は、図16に示されるように、第1板部450の底面の中央部に形成された凹部である。凹部453の平面視形状は、図15Cに示されるように、円形である。凹部453の径は、第1筒部410の内径よりもやや大きい。第1板部450の底面からの凹部453の深さは、例えば0.5mmである。
溝455は、図15Cに示されるように、第1板部450の底面に形成された、凹部453に接続される溝である。溝455は、図15Cに示されるように、凹部453から第1板部450の底面の径方向に沿って、第1板部450の底面の周縁部まで延出している。溝455の平面視形状は、前述した溝232のそれと同様のジグザグ形状であり、溝455の幅(図15C中のW)は、例えば0.45mmである。
凹部454は、図15Cに示されるように、第1板部450の底面に形成された、X方向において凹部453に隣り合う位置にある凹部であり、凹部453とは独立している。凹部454の平面視形状は、矩形である。凹部454は、Z方向において、第1板部450の表面側の凹部452と重なっており、この重複部が薄肉のフィルム459となっている。したがって、フィルム459の平面視形状は円形である。このように、フィルム459は、凹部454に面して配置されている。第1板部450の底面からの凹部454の深さは、例えば0.2mmであり、フィルム459の厚さは、例えば0.15mmである。フィルム459の厚さは、後述する圧力に対する変形量に基づいて、例えばコンピュータシミュレーションや試作品による実験などによって決められる。
溝456は、図15Cに示されるように、第1板部450の底面に形成された溝であり、溝455および凹部454を接続している。溝456の平面視形状はL字型であり、溝456は、L字の短辺の端で溝455と接続し、L字の長辺の端部で凹部454と接続している。
突条457は、図15Cに示されるように、第1板部450の底面の周縁部に配置されており、図16に示されるように、第1板部450の底面から突出している。突条457の平面視形状は、図15Cに示されるように、円環状である。第1板部450の底面からの突条457の高さは、例えば1mmである。
流量調節弁458は、前述の流量調節弁223と同様に、四つの開閉部で構成されている。当該開閉部は、図15Cおよび図16に示されるように、孔451の凹部452側の開口を覆い、凹部453に向けて突出している略半球状の薄肉のドームが十字状のスリットで分割された部分と同様に構成されている。当該スリットの幅は、例えば0mmであり、上記開閉部の厚さは、例えば0.2mmである。
図17Aは、第2筒部430および第2板部460の一体成形品(以下、「第2部品」とも言う)の平面図であり、図17Bは、当該第2部品の正面図であり、図17Cは、当該第2部品の底面図であり、図17Dは、当該第2部品の側面図であり、図17Eは、当該第2部品の、図17A中のE部を拡大して示す図である。また、図18は、上記第2部品の、図17A中のA−A線に沿っての断面図である。
第2板部460は、図18に示されるように、一方の表面(第1の表面)に形成された凹部461および凹条462と、他方の表面(第2の表面)に形成された凹部463とを含む。
凹部461は、図18に示されるように、第2板部の第1の表面に開口する有底の凹部である。凹部461の平面視形状は、円形である。凹部461の底面は、図18および図17Aに示されるように、平面視形状がより小さな弓形の平面部464と、平面視形状がより大きな弓形である傾斜部465とを含む。平面部464は、上記第1の表面に平行な面の部分であり、傾斜部465は、平面部464から上記第1の表面に向けて傾斜している。平面部464の厚さは、例えば0.2mmである。
傾斜部465には、図18に示されるように、孔466が開口している。孔466の平面形状は、図17Cに示されるように、三角形である。
蓋467は、図18に示されるように、蓋板468と、蓋板468から突出する凸部469とを含む。蓋467の平面視形状は、図17Cに示されるように、三角形であり、孔466の平面視形状と同じである。
蓋板468は、図17Eおよび図18に示されるように、平面部464から、孔466の開口形状の一辺を折れ線部として屈曲した薄板部で構成されている。こうして、蓋467は、上記折れ線部を回動軸として回動可能に第2板部460に一体的に構成されている。このように、孔466の開口形状は、直線部を含み、蓋467は、当該直線部に直線状の固定端を有するとともに、当該固定端を回動軸として回動可能に構成されている。なお、当該固定端のY方向における長さは、例えば2.5〜3mmである。また、蓋板468の厚さは、例えば0.2mmである。
また、蓋板468は、図18に示されるように、傾斜部465よりもさらに傾斜している。たとえば、傾斜部465の平面部464の表面に対する傾斜角θは19°であり、蓋板468の底面と平面部464の表面に対する傾斜角θは26.6°である。孔466と蓋467との隙間は、平面視形状における孔466の頂角と蓋467の先端(頂角)との間で最も大きい。このように、上記回動軸(Y方向)に沿って見たときに、蓋467が孔466の開口端縁に密着する部分である蓋板468は、孔466の開口端縁の上記直線部以外の部分を含む傾斜部465に対して、非接触かつ斜めに配置されている。
凸部469の平面視形状は、図17Eに示されるように、三角形であり、蓋467の平面視形状に含まれている。より詳しくは、凸部469の平面視形状は三角形だが、凸部469の各側面は、実施の形態1と同様に、当該三角形の各辺において、孔466側から凹部461の開口部に向けて傾斜するテーパ面で構成されている。このため、凸部469の頂面の平面視形状は、二等辺三角形となっている。凸部469の頂面は、図18に示されるように、凹部461の開口端に平行である。Z方向における上記開口端と上記頂面との距離は、例えば0.2mmである。
溝470は、図17Aおよび図17Eに示されるように、傾斜部465の表面に形成された、孔466の開口形状の頂点で孔466に接続される溝である。溝470の幅は、例えば0.25mmであり、溝470の傾斜部465からの深さは、例えば0.1mmである。
凹条462は、図17Aに示されるように、上記第1の表面の周縁部に配置されており、図17Bおよび図17Dに示されるように、上記第2の表面から窪んでいる。凹条462の平面視形状は、図17Aに示されるように、円環状である。上記第2の表面からの凹条462の深さは、例えば1mmである。
凹部463は、図18に示されるように、上記第2の表面の、Z方向において凹部461と重なる位置に形成された凹部である。凹部463の平面視形状は、図17Cおよび図18から明らかなように、円形である。凹部463の底面には、孔466が開口している。すなわち、凹部463は、孔466によって凹部461と連通している。
第2筒部430は、図12Bに示されるように、第2板部460の上記第2の表面から起立している筒状体である。第2筒部430は、図13Bおよび図13Cに示されるように、フランジ部420の平面形状の中央からX方向にずれた位置であって、第3筒部440に対してフランジ部420を挟んで反対側に配置されている。第2筒部430は、上記第2の表面における凹部463の開口を内包している。すなわち、第2筒部430は、凹部463に連通している。第2筒部430の内径は、凹部463の径と同じである。
第2筒部430の先端部には、図17Bおよび図18に示されるように、第1筒部410と同様に、返し431が形成されている。返し431は、第2筒部430の外周面からXY平面に沿って広がる径大部432と、径大部432から第2筒部430の先端に向けて外径が漸次減少するテーパ面433とによって構成されている。たとえば、第2筒部430の内径は3mmであり、径大部432の外径は5mmであり、テーパ面433の先端の外径は4mmであり、第2板部460の上記第2の表面からの第2筒部430の高さは12mmである。
上記第1部品および第2部品は、いずれも、前述の実施の形態1におけるエミッタ本体200と同様に、可撓性を有する一種類の樹脂材料(例えばポリプロピレン)で射出成形により一体的に成形されている。上記第1部品および第2部品の材料の例には、樹脂およびゴムが含まれ、当該樹脂の例には、ポリエチレンおよびシリコーンが含まれる。当該材料の可撓性は、フィルム459に要する可撓性に応じて、樹脂材料の種類や二種以上の樹脂材料の混合などによって、適宜に調整される。
(作用)
第1板部450の突条457を第2板部460の凹条462に嵌合させることにより、上記第1部品と上記第2部品とが合体し、図12Aおよび図12Bに示されるように、エミッタ320が構成される。第1板部450の底面および第2板部の上記第1の表面は、樹脂材料の溶着や接着剤による接着、一方の他方への圧着などによってさらに接合されてもよい。
図14Aおよび図14Bに示されるように、上記第1部品と上記第2部品とが合体することにより、図15Cに示される凹部453および溝455、456が第2板部460の表面によって塞がれ、灌漑用液体の流路を構成する。また、第1筒部410、孔451および凹部453は、チューブ110内の灌漑用液体を取り入れるための取水部を構成する。溝455は、当該取水部に取り入れられた灌漑用液体を減圧させながら流すための減圧流路を構成する。
また、図15Cに示される凹部454および図17Aに示される凹部461は、合体し、灌漑用液体の上記減圧流路よりも下流側の流路を構成する。そして、孔466は、フィルム459に面して当該流路に開口する。フィルム459は、図14Aに示されるように、蓋467から離れた位置に配置される。蓋467は、孔466の開口端縁の少なくとも一部と隙間を有して、かつ当該開口端縁に接触離脱可能に配置される弁体を構成する。こうして、凹部454および凹部461の合体により、上記減圧流路から供給される灌漑用液体の流量を、チューブ110内の灌漑用液体の圧力に応じて制御するための流量制御部が構成される。なお、第2筒部430は、凹部461と連通しており、上記流量制御部で流量が制御されてチューブ110外へ吐出されるべき灌漑用液体が供給される吐出部を構成する。
蓋467は、フィルム459から離れて、そして孔466に対して孔466を開閉可能に配置されている。蓋467は、灌漑用液体の流路となる孔466を開閉するための弁体を構成している。また、後に詳述するが、孔466の開口端縁には、蓋467が閉じたときに蓋板468が密着する。このように、孔466の開口端縁は、蓋467が孔466を閉じるときに着座する弁座を構成している。
エミッタ320は、図11に示されるように、第1筒部410および第3筒部440をチューブ110の管壁に挿入することによって、チューブ110に取り付けられる。エミッタ320の取り付けは、第1筒部410および第3筒部440によってチューブ110の管壁を貫通して行ってもよいし、チューブ110の管壁に予め形成されていた挿入用の開口部に第1筒部410および第3筒部440を挿入して行ってもよい。前者は、エミッタ320を任意の配置でチューブ110に取り付けるのに好適であり、後者は、チューブ110からの灌漑用液体の漏れを防止するのに好適である。第1筒部410および第3筒部440がいずれも先端部に返しを有することから、チューブ110からのエミッタ320の抜け落ちが防止される。
なお、エミッタ320の第2筒部430は、図14Aおよび図14Bに示されるように、返し431を有している。したがって、土壌を覆うマルチに返し431を挿通し、あるいは、繊維状の栽培床に返し431を挿入することが可能である。返し431を栽培床に挿入することによって、当該栽培床における灌漑用液体の滴下位置を特定したり、栽培床上に点滴灌漑用チューブ400を固定するのに好適である。
次に、エミッタ320による灌漑用液体の吐出を説明する。図19Aは、チューブ110内の灌漑用液体の圧力が第1の圧力値以上第2の圧力値未満であるときの図4B中のA部を拡大して示す図であり、図19Bは、チューブ110内の灌漑用液体の圧力が第2の圧力値以上であるときの図4B中のA部を拡大して示す図であり、図19Cは、チューブ110内の灌漑用液体の圧力が第1の圧力値以上第2の圧力値未満に戻ったときの図4B中のA部を拡大して示す図である。
点滴灌漑用チューブ400への灌漑用液体の供給は、チューブ110およびエミッタ320の破損を防止するため、例えば当該灌漑用液体の圧力が0.1MPaを超えない範囲で行われる。チューブ110内に灌漑用液体が供給されると、灌漑用液体は、第1筒部410を通って流量調節弁458に到達する。
チューブ110内の灌漑用液体の圧力が第1の圧力値(例えば0.005MPa)以上であると、流量調節弁458が第2板部460に向けて押され、流量調節弁458のスリットが拡がる。こうして、灌漑用液体はフランジ部420内に取り入れられる。流量調節弁458は、灌漑用液体の圧力が第1の圧力値未満のときに灌漑用液体のフランジ部420内への流入を抑制する。このため、チューブ110への灌漑用液体の高圧供給が可能となるので、エミッタ320が流量調節弁458を有することは、例えば、より長い点滴灌漑用チューブ400を構成するのに好適である。
流量調節弁458を通った灌漑用液体は、溝455(減圧流路)に供給される。溝455を流れる灌漑用液体は、溝455の平面視形状(ジグザグ形状)によってもたらされる圧力損失によって減圧される。また、灌漑用液体中の浮遊物は、溝455の上記凸部間に発生する乱流に巻き込まれ、溝455に滞留する。このように溝455によって、灌漑用液体から浮遊物がさらに除去される。
また、上記凸部の突端が溝455の平面視形状における中心線を超えないように配置されていることから、溝455の中心には、わずかな幅ではあるが、上記凸部に遮られない空間が形成されるので、灌漑用液体は溝455を流れやすい。よって、溝455は、上記の減圧効果および浮遊物除去効果に加えて、より多くの流量で灌漑用液体を流すのに好適である。
溝455を通り、減圧され、上記浮遊物が除去された灌漑用液体は、溝456を通って凹部461に供給される。灌漑用液体は、フィルム459が面する凹部454および凹部461の空間に満ち、孔466に供給される(図19A)。
孔466を通った灌漑用液体は、凹部463を経て第2筒部430に到達し、第2筒部430を通って、チューブ110外に吐出される。
チューブ110内の灌漑用液体の圧力が高まると、当該圧力の上昇に応じて、第1筒部410からエミッタ320内に取り入れられる灌漑用液体の流量も増加し、第2筒部430からの灌漑用液体の吐出量も増加する。
チューブ110内の灌漑用液体の圧力が第2の圧力値(例えば0.02MPa)以上になると、図19Bに示されるように、チューブ110内から第3筒部440内に導入された灌漑用液体によってフィルム459が押され、撓む。このように、フィルム459には、その背面に、チューブ110内の灌漑用液体の圧力が伝達される。このため、フィルム459は、蓋467の凸部469に当接し、蓋467を押す。
蓋467と孔466は、いずれも、平面視形状が同じ三角形であり、かつ孔466の開口端縁(傾斜部465)に対して蓋板468の底面は、わずかだが(θからθを引いた角度の分だけ)傾斜している。よって、三角形の一辺が上記固定端であることから、当該固定端から蓋板468の二辺までの、蓋板468の底面に沿う距離は、当該固定端から孔466の二辺までの、傾斜面465に沿う距離よりも大きくなる。このため、蓋板468は、孔466の開口部を覆い、弁体である蓋467の蓋板468の周縁部は、弁座である孔466の開口端縁に密着(着座)する。このように、蓋467は、灌漑用液体の流路である孔466を塞ぐ弁体として機能し、孔466の開口端縁は、当該弁体が着座する弁座として機能する。
しかしながら、溝470は、弁座である孔466の開口端縁の表面に形成されているので、弁体である蓋467が当該弁座に着座したときに、灌漑用液体の弁座よりも上流側の流路である凹部461の内部と当該弁座の下流側の流路である孔466とを連通する。このため、凹部461に供給された灌漑用液体は、溝470を通って孔466に供給される。
よって、上記流量制御部を通過する灌漑用液体の量は、溝470を通過可能な流量に規制され、第2筒部430からの灌漑用液体の吐出量は、実質的に一定となる。こうして、エミッタ320は、灌漑用液体が供給されるチューブ110から、灌漑用液体を定量的に吐出する。
蓋467が孔466を塞いでいるとき、凹部461内の圧力は、通常、孔466内の圧力に対して相対的に高くなる。このため、図19Cに示されるように、チューブ110内の灌漑用液体の圧力が第2の圧力値未満に下がっても、凹部461の内圧から孔466の内圧を引いた差圧が正圧であり、かつ蓋467がその初期の位置へ復帰しようとする弾性力に対して凹部461の内圧が強い場合には、チューブ110内の灌漑用液体の圧力が第2の圧力値まで一度上昇し、その後第2の圧力値を下回ったとしても、蓋467は、孔466を塞いだままとなる。このため、上記流量制御部を通過する灌漑用液体の量は、溝470を通過可能な流量に規制され続ける。
凹部461内の灌漑用液体が溝470を通って十分に流れると、凹部461の内圧が十分に下がる。そして、上記の差圧が上記弾性力を下回ると、蓋467は、図19Aに示されるように、上記弾性力によって初期の位置に復帰し、孔466が開放される。そして、凹部461内の灌漑用液体は、再び、蓋467と孔466の開口部との隙間を通って孔466に流れる。
(効果)
以上の説明から明らかなように、エミッタ320は、灌漑用液体を流すためのチューブ110に配置され、チューブ110内の上記灌漑用液体をチューブ110外へ定量的に吐出するためのエミッタであって、チューブ110内の上記灌漑用液体を取り入れるための上記取水部と、当該取水部から取り入れられた上記灌漑用液体を減圧させながら流すための上記減圧流路と、当該減圧流路から供給された上記灌漑用液体の流量を、チューブ110内または上記取水部内の上記灌漑用液体の圧力に応じて制御するための上記流量制御部と、当該流量制御部で流量が制御されてチューブ110外へ吐出されるべき上記灌漑用液体が供給される上記吐出部と、を有する。そして、上記流量制御部は、上記灌漑用液体の流路を開閉するための上記弁体と、当該弁体が上記流路を閉じるときに着座する上記弁座と、チューブ110内または上記取水部内の上記灌漑用液体の圧力を受けて撓み、上記弁座に向けて上記弁体を押して上記弁座に着座させるためのフィルム459と、上記弁座の表面に形成された、上記弁体が上記弁座に着座したときに上記灌漑用液体の、上記弁座よりも上流側の上記流路および下流側の上記流路を連通するための溝470と、を有する。そして、フィルム459は、チューブ110内の上記灌漑用液体の圧力が設定値以上であるときに上記弁体を押して上記弁座に着座させる。よって、エミッタ320は、灌漑用液体の吐出量を安定化することが可能である。さらにエミッタ320は、二部品の射出成形品から構成することが可能である。よって、エミッタ320は、三部品からなる従来のエミッタに比べて、製造に係るコストのさらなる削減が可能である。
また、エミッタ320が、上記取水部を構成するための第1筒部410と、第1筒部410の一端に接続されているとともに、第1筒部410の一端から外側に向けて広がっており、上記減圧流路および上記流量制御部を構成するためのフランジ部420と、フランジ部420の第1筒部410とは反対側に接続されている、上記吐出部を構成するための第2筒部430と、を有し、第1筒部410がチューブ110外からチューブ110内に挿入されてチューブ110に配置されるエミッタであって、フランジ部420が第1筒部410に接続されている第1板部450と、第2筒部430に接続されている第2板部460とによって構成されており、第1板部450が上記灌漑用液体の上記減圧流路よりも下流側の流路に面して配置された、その背面にチューブ110内または第1筒部410内の上記灌漑用液体の圧力が伝達されるフィルム459を含み、第2板部460が上記減圧流路よりも下流側の流路と、上記減圧流路よりも下流側の流路に、フィルム459に面して開口し、かつ上記吐出部に繋がる孔466と、孔466の開口端縁の少なくとも一部と隙間を有して、かつ上記開口端縁に接触離脱可能に配置されている上記弁体と、を含み、上記孔の開口端縁の少なくとも一部が上記弁座を構成することは、上記の効果を奏するエミッタであってチューブ110の外側に配置されるべきエミッタを構成する観点から、より一層効果的である。
また、孔466の開口形状が直線部を含み、上記弁体が、上記直線部に直線状の固定端を有するとともに、上記固定端を回動軸として回動可能であり、孔466の軸方向(Z方向)に沿って見たときに、上記弁体の形状が孔466の形状と同じであり、上記回動軸(Y方向)に沿って見たときに、上記弁体が上記弁座に密着する部分が、孔466の開口端縁の上記直線部以外の部分に対して非接触かつ斜めに配置されることは、前述のように作動する流量制御部を射出成形による一部品で構成することを可能にするので、製造コストを削減する観点からより一層効果的である。
また、フィルム459が第1筒部410から独立して配置され、エミッタ320が第1板部450の第1筒部410側に、フィルム459を内包する、チューブ110内に挿入されるべき第3筒部440をさらに有し、第1筒部410および第3筒部440がチューブ110外からチューブ110内に挿入されてエミッタ320がチューブ110に配置されることは、エミッタ320において、チューブ110内の灌漑用液体の圧力をフィルム459に伝達する構造を、フィルム459を含む射出成形による一部品で構成することを可能とするので、製造コストを削減する観点からより一層効果的である。
また、上記取水部が、チューブ110内の灌漑用液体の圧力が規定値以上であるときに灌漑用液体の流路を拡げる流量調節弁458をさらに含むことは、チューブ110へ灌漑用液体をより高圧で供給することを可能とし、より長い点滴灌漑用チューブ400を構成する観点からより一層効果的である。
また、エミッタ320が可撓性を有する一種類の材料で成形されており、フィルム459がエミッタ320の一部として一体的に成形されていることは、エミッタ320を射出成形による一部品で作製することを可能とすることから、製造に係るコストのさらなる削減の観点からさらに一層効果的である。
また、上記固定端を軸に開閉する蓋467によって孔466が開閉されることは、蓋467(弁体)と孔466との最大隙間をより大きくするのに好適である。このため、当該隙間の目詰まりを抑制する観点からより一層効果的である。また、開いている蓋467によって、灌漑用液体の孔466に至るより広い流路が形成されることから、凹部461内の灌漑用液体が孔466により流れやすくなるので、灌漑用液体の吐出量を多くする観点、および、蓋467の開閉による灌漑用液体の流量をより大きく変化させる観点、からより一層効果的である。
また、蓋467は、一度閉まると、凹部461の内圧から孔466の内圧を引いた差圧が十分に下がるまで(前述の弾性力を下回るまで)閉じたままである。よって、溝470のみを灌漑用液体が流れるときの灌漑用液体の流量を、エミッタ320の所期の吐出量に設定すると、前述のように灌漑用液体の流量は、蓋467の開閉によって大きく変化することから、エミッタ320の吐出量が上記所期の吐出量に迅速に復帰するので、当該所期の吐出量を迅速に実現し、かつ長く維持する観点からより一層効果的である。
また、蓋467における上記回動軸が直線状であることは、蓋467の開閉(回動)をより弱い力で実現するのに好適であるので、エミッタ320における灌漑用液体の所期の吐出量を精密に設定する観点からより一層効果的である。
また、孔466および蓋467の平面形状が共に三角形であることは、上記弁体と上記弁座の接触長さをより短くするのに好適であるので、蓋467が孔466を塞いだときの蓋467のずれを防止する観点からより一層効果的である。
第1筒部410および第3筒部440をチューブ110の外側からチューブ110内に挿入することによって、チューブ110と、チューブ110に配置されたエミッタ320と、を有する点滴灌漑用チューブ400が提供される。点滴灌漑用チューブ400は、所期の吐出量を迅速に実現でき、かつ長く維持することが可能であることから、実質的に常時所期の吐出量で灌漑用液体を吐出することが可能である。よって、点滴灌漑用チューブ400は、例えば、より精密な灌漑用液体の吐出を要する植物の生育に、好適に使用される。
(変形例)
点滴灌漑用チューブ400では、前述の効果を奏する範囲において、前述の構成要件の一部が変更されていてもよいし、他の構成要件が追加されていてもよい。
たとえば、第2筒部430は、図20Aに示されるように、返し431を有していなくてもよいし、図20Bに示されるように、第2板部460の上記第2の表面に開口する開口部であってもよい。
また、チューブ110は、シームレスチューブであってもよいし、細長いシートを長手方向に沿って接合してなるチューブであってもよいし、上記シートの接合部に、チューブ110の内外を連通するように形成された隙間や、当該接合部で上記シートに挟まれた管などを有するチューブであってもよい。
また、上記第1部品と第2部品を、これらと一体的に形成されるヒンジ部を介して回動可能かつ一体的に構成してもよい。この場合、エミッタ320の部品数をさらに少なくすることが、すなわちエミッタ320を一部品から作製することが可能となる。
また、蓋467は、正三角形の底面と二等辺三角形の頂面とを有する略三角錐台形状の凸部469を有しているが、チューブ110内の灌漑用液体の圧力の設定値に応じたフィルム459の撓み量が伝達されるように構成されていれば、凸部469を有していなくてもよい。たとえば、蓋467は、上記形状の凸部469に代えて、蓋467の先端部からフィルム459に向けて突出する棒状の凸部を有していてもよいし、あるいは、蓋467は、凸部469を有さず、フィルム459が蓋467を押すための上記の棒状の凸部を有していてもよい。
また、エミッタ320は、第3筒部440に代えて、チューブ110内の灌漑用液体の圧力に応じたフィルム459の撓み量をフィルム459に伝達する他の手段、または、チューブ内の灌漑用液体の圧力を直接または間接的にフィルム459の背面に伝達可能な他の構成、を含んでいてもよい。たとえば、エミッタ320は、図20Cに示されるように、第1筒部410および第3筒部440に代えて、第1板部450の表面における孔および凹部の開口の両方を内包する筒部480を有していてもよい。
さらに、エミッタ320の上記第1部品は、流量調節弁458を有さなくてもよい。たとえば、上記第1部品は、図21Aおよび図21Bに示されるように、流量調節弁458および第3筒部440を有さず、第1筒部410に連結されるテーパ穴490と、テーパ穴490のテーパ面に開口し、テーパ穴490と溝455とを連通する開口部491とを有していてもよい。第1筒部410に取り入れられた灌漑用液体は、フィルム459に圧力を伝達する一方で開口部491を経て、溝455による減圧流路に至り、さらに溝456による流路を経て、上記流量調整部に到達する。上記の構造を有するエミッタの上記流量調整部は、上記取水部に取り入れられた灌漑用液体の圧力に応じて作動する。よって、当該エミッタは、流量調節弁458による効果以外の本実施形態の効果を奏する。
本出願は、2013年12月27日出願の特願2013−272393号に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
本発明によれば、吐出すべき液体の圧力によって適切な速度での当該液体の吐出が可能なエミッタを簡易に提供することが可能である。したがって、点滴灌漑や耐久試験などの、長期の吐出を要する技術分野への上記エミッタの普及および当該技術分野のさらなる発展が期待される。
100、400 点滴灌漑用チューブ
110 チューブ
120、320 エミッタ
130 吐出口
200 エミッタ本体
201 第1の表面
202 第2の表面
211、212、242、251、252、253、452、453、454、461、463 凹部
213、214、254、457 突条
221 取水路
223、458 流量調節弁
231、232、233、241、245、455、456、470 溝
234、243、451、466 孔
244、467 蓋
246、464 平面部
247、465 傾斜部
248、468 蓋板
249、469 凸部
300、459 フィルム
301 ヒンジ部
302、491 開口部
410 第1筒部
411、431、441 返し
412、432、442 径大部
413、433、443 テーパ面
420 フランジ部
430 第2筒部
440 第3筒部
450 第1板部
460 第2板部
462 凹条
480 筒部
490 テーパ穴

Claims (8)

  1. 灌漑用液体を流すためのチューブに配置され、前記チューブ内の前記灌漑用液体を前記チューブ外へ定量的に吐出するためのエミッタであって、
    前記チューブ内の前記灌漑用液体を取り入れるための取水部と、
    前記取水部から取り入れられた前記灌漑用液体を減圧させながら流すための減圧流路と、
    前記減圧流路から供給された前記灌漑用液体の流量を、前記チューブ内または前記取水部内の前記灌漑用液体の圧力に応じて制御するための流量制御部と、
    前記流量制御部で流量が制御されて前記チューブ外へ吐出されるべき前記灌漑用液体が供給される吐出部と、を有し、
    前記流量制御部は、
    前記灌漑用液体の流路を開閉するための弁体と、
    前記弁体が前記流路を閉じるときに着座する弁座と、
    前記チューブ内または前記取水部内の前記灌漑用液体の圧力を受けて撓み、前記弁体を前記弁座に向けて押して前記弁座に着座させるためのフィルムと、
    前記弁座の表面に形成された、前記弁体が前記弁座に着座したときに前記灌漑用液体の前記弁座よりも上流側の前記流路および下流側の前記流路を連通する溝と、
    を有し、
    前記フィルムは、前記チューブ内の前記灌漑用液体の圧力が設定値以上であるときに前記弁体を押して前記弁座に着座させる、
    エミッタ。
  2. 前記取水部は、前記チューブ内の前記灌漑用液体の圧力が規定値以上であるときに前記灌漑用液体の流路を拡げる流量調節弁をさらに含む、請求項1に記載のエミッタ。
  3. 前記エミッタは、前記チューブの内壁面の、前記チューブ内外を連通する吐出口に対応する位置に接合されて、前記チューブ内の前記灌漑用液体を前記吐出口から定量的に吐出するためのエミッタであり、
    前記流量制御部は、
    前記エミッタの表面の前記内壁面に接合されない部分に開口する、前記エミッタにおける前記灌漑用液体の前記減圧流路よりも下流側の流路の一部を構成するための開口部と、
    前記開口部を塞ぎ、前記減圧流路よりも下流側の流路と前記チューブ内部との連通を遮断する前記フィルムと、
    前記減圧流路よりも下流側の流路に、前記フィルムに面して開口し、前記吐出部に繋がる孔と、
    前記孔の開口端縁の少なくとも一部と隙間を有して、かつ前記開口端縁に接触離脱可能に配置されている前記弁体と、
    を有し、
    前記孔の開口端縁の少なくとも一部は、前記弁座を構成する、
    請求項1または2に記載のエミッタ。
  4. 前記エミッタは、前記取水部を構成するための第1筒部と、前記第1筒部の一端に接続されているとともに、前記第1筒部の一端から外側に向けて広がっており、前記減圧流路および前記流量制御部を構成するためのフランジ部と、前記フランジ部の前記第1筒部とは反対側に接続されている、前記吐出部を構成するための第2筒部と、を有し、前記第1筒部が前記チューブ外から前記チューブ内に挿入されて前記チューブに配置されるエミッタであって、
    前記フランジ部は、前記第1筒部に接続されている第1板部と、前記第2筒部に接続されている第2板部との合体によって構成されており、
    前記第1板部は、前記灌漑用液体の前記減圧流路よりも下流側の流路に面して配置された、その背面に前記チューブ内または前記第1筒部内の前記灌漑用液体の圧力が伝達される前記フィルムを含み、
    前記第2板部は、前記減圧流路よりも下流側の流路と、
    前記減圧流路よりも下流側の流路に、前記フィルムに面して開口し、かつ前記吐出部に繋がる孔と、
    前記孔の開口端縁の少なくとも一部と隙間を有して、かつ前記開口端縁に接触離脱可能に配置されている前記弁体と、
    を含み、
    前記孔の開口端縁の少なくとも一部は、前記弁座を構成する、
    請求項1または2に記載のエミッタ。
  5. 前記フィルムは、前記第1筒部から独立した位置に配置され、
    前記エミッタは、前記第1板部に前記第1筒部と並んで、前記フィルムを内包する位置に配置されている、前記チューブ内に挿入されるべき第3筒部をさらに有し、
    前記第1筒部および前記第3筒部が前記チューブ外から前記チューブ内に挿入されて前記チューブに配置される、
    請求項4に記載のエミッタ。
  6. 前記孔の開口形状は、直線部を含み、
    前記弁体は、前記直線部に直線状の固定端を有するとともに、前記固定端を回動軸として回動可能であり、
    前記孔の軸方向に沿って見たときに、前記弁体の形状は、前記孔の形状と同じであり、
    前記回動軸に沿って見たときに、前記弁体が前記弁座に密着する部分は、前記孔の開口端縁の前記直線部以外の部分に対して非接触かつ斜めに配置される、
    請求項3〜5のいずれか一項に記載のエミッタ。
  7. 前記エミッタは、可撓性を有する一種類の材料で成形されており、
    前記フィルムは、前記エミッタの一部として一体的に成形されている、
    請求項3〜6のいずれか一項に記載のエミッタ。
  8. チューブと、
    前記チューブに配置された請求項1〜7のいずれか一項に記載のエミッタと、
    を有する、
    点滴灌漑用チューブ。
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