JP6428598B2 - インドキシル硫酸の測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、検体中のインドキシル硫酸を簡便且つ高感度に検出することができる測定技術に関する。
インドキシル硫酸は食物タンパク質由来のトリプトファン代謝産物であり尿毒症物質として知られている。尿毒症物質は腎機能障害の進行に伴って体内に貯留し、食欲低下、悪心、嘔吐などの尿毒症症状をもたらす原因となる。実際に、慢性腎不全患者においては、血清中のインドキシル硫酸の濃度が正常者の約60倍と著明に増加していることが報告されている(例えば、非特許文献1を参照)。従って、体液中、特に血清中のインドキシル硫酸の濃度を測定することは疾患の診断や検査にとって極めて有用であり、更にその測定方法は、治療効果の判定、予後の推測、食事療法の処方食の選定等に活用することができる。
従来、インドキシル硫酸の測定は、主にガスクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーを用いて行われていた。しかしながら、これらの方法は感度や精度の点で優れているものの、分析に熟練を要し、測定装置や設備に高額な費用を必要とするといった問題点があった。一方、これらの装置を使用せずにインドキシル硫酸を測定する方法として、インドキシル硫酸に特異な抗体を用いたEIA法(酵素免疫測定法)が報告されている(例えば特許文献1を参照)。しかしながら、抗原抗体反応を利用した測定方法は、測定時間が長く、測定のための操作が煩雑であるといった問題点があった。
このような背景から、高価な測定装置を用いることなく簡便に実施することができ、迅速且つ正確にインドキシル硫酸の濃度を測定する方法の開発が求められている。
特許第4183777号公報
日本透析療法学会誌、21(10)951〜956(1988)
本発明は、検体中のインドキシル硫酸を迅速且つ高感度に検出することができる簡便な測定方法を提供することを目的とする。更に、本発明は、当該測定方法を利用したインドキシル硫酸の測定用キット、及び腎機能の検査方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、検体中のインドキシル硫酸にスルファターゼ及びテトラゾリウム塩を作用させることによってホルマザン色素が生成し、当該ホルマザン色素の生成量を求めることにより、従来に比べて簡便で、迅速且つ高感度に、検体中のインドキシル硫酸を測定できることを見出した。また、本発明者らは、スルファターゼの中でも、シュードモナス属由来のスルファターゼは、インドキシル硫酸の硫酸部位を加水分解する活性が高く、これを用いることで、より一層迅速且つ高感度にインドキシル硫酸を測定できることを見出した。更に、検体中のインドキシル硫酸にスルファターゼ及びテトラゾリウム塩を作用させる際に、アルブミンを共存させることによって、検体の希釈直線性が向上することを見出した。また、検体中のインドキシル硫酸にスルファターゼ及びテトラゾリウム塩を作用させる際に、陰イオン界面活性剤及び/又はチオール化合物を共存させることにより、検体の希釈直線性が向上するだけでなく、感度も更に向上することを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて更に研究を重ねた結果完成されたものである。
即ち、本発明は、下記態様のインドキシル硫酸の測定方法、インドキシル硫酸の測定用キット、及び腎機能の検出方法を提供する。
項1. 検体に含まれるインドキシル硫酸を測定する方法であって、
検体にスルファターゼ及びテトラゾリウム塩を作用させ、生成されたホルマザン色素を測定する工程を含むことを特徴とする、
インドキシル硫酸の測定方法。
項2. 前記スルファターゼがアリールスルファターゼである、項1に記載の測定方法。
項3. 前記スルファターゼが、シュードモナス属、マイコバクテリウム属、アシネトバクター属、ストレプトマイセス属及びアスペルギルス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物由来である、項1又は2に記載の測定方法。
項4. 前記スルファターゼが、シュードモナス属に属する細菌由来である、項1〜3のいずれかに記載の測定方法。
項5. 前記スルファターゼが、シュードモナス・アエルギノーザ由来である、項1〜4のいずれかに記載の測定方法。
項6. 前記スルファターゼが、下記(i)〜(iv)のいずれかに示すポリペプチドからなるアリールスルファターゼである、項1〜5のいずれかに記載の測定方法:
(i)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(ii)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、付加又は挿入されたアミノ酸配列からなり、且つ前記(i)のポリペプチドと同等以上のインドキシル硫酸の加水分解反応を触媒する活性を有するポリペプチド、
(iii)配列番号1で示されるアミノ酸配列に対して配列同一性が60%以上のアミノ酸配列からなり、且つ前記(i)のポリペプチドと同等以上のインドキシル硫酸の加水分解反応を触媒する活性を有するポリペプチド、
(iv)配列番号2で示される塩基配列の相補配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る塩基配列によってコードされるアミノ酸配列からなり、且つ前記(i)のポリペプチドと同等以上のインドキシル硫酸の加水分解反応を触媒する活性を有するポリペプチド。
項7. アルブミン存在下で、検体にスルファターゼ及びテトラゾリウム塩を作用させる、項1〜6のいずれかに記載の測定方法。
項8. 陰イオン性界面活性剤及びチオール化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の存在下で、検体にスルファターゼ及びテトラゾリウム塩を作用させる、項1〜7のいずれかに記載の測定方法。
項9. スルファターゼ及びテトラゾリウム塩を含むことを特徴とする、インドキシル硫酸の測定用キット。
項10. テトラゾリウム塩を含有する第1試薬と、スルファターゼを含む第2試薬を含む、項9に記載の測定用キット。
項11. 更にアルブミンを含む、項9又は10に記載の測定キット。
項12. 更に陰イオン性界面活性剤及びチオール化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含む、項9〜11のいずれかに記載の測定キット。
項13. 腎機能の診断に使用される、項9〜12のいずれかに記載の測定用キット。
項14. 腎不全の診断に使用される、項9〜13のいずれかにのいずれかに記載の測定用キット。
項15. 生体から採取された検体に、スルファターゼ及びテトラゾリウム塩を作用させ、生成されたホルマザン色素を測定する工程を含むことを特徴とする、腎機能の検査方法。
項16. 前記検体が、血液、血清、血漿、又は尿である、項15に記載の検査方法。
項17. 腎不全の検査に使用される、項15又は16に記載の検査方法。
本発明の測定方法によれば、簡便な手法で、しかも迅速且つ高感度に検体中のインドキシル硫酸を測定することができる。そのため、本発明の測定方法を利用することによって、インドキシル硫酸量から明らかとなる腎機能障害の検出を容易に行うことができ、腎機能の判定、腎疾機能障害を伴う疾患の検査や診断等を簡易に行うことが可能になる。
本発明のインドキシル硫酸の測定方法における反応機序を示す図である。 実施例1において、測定された吸光度(縦軸)と検体中の既知のインドキシル硫酸濃度(横軸)との関係を示した図である。 実施例9において、測定された吸光度(縦軸)とインドキシル硫酸を添加した血清検体の希釈倍率(横軸)との関係を示した図である。
1.インドキシル硫酸の測定方法
本発明の測定方法は、検体に含まれるインドキシル硫酸を測定する方法であって、検体にスルファターゼ及びテトラゾリウム塩を作用させ、生成されたホルマザン色素を測定する工程を含むことを特徴とする。以下、本発明の測定方法について詳述する。
インドキシル硫酸測定の機序
本発明の限定的解釈を望むものではないが、本発明の測定は、図1に示される機序により、インドキシル硫酸の測定が可能になると考えられる。即ち、検体中のインドキシル硫酸はスルファターゼを作用させることにより加水分解され、インドキシルを生成する。生成したインドキシルは容易に酸化されインジゴとなるが、その際テトラゾリウム塩が共存するとテトラゾリウム塩が還元され、ホルマザン色素が生成される。このホルマザン色素は検体中のインドキシル硫酸濃度を反映することから、生成したホルマザン色素を比色定量することにより検体中のインドキシル硫酸の定量が可能となる。
検体
本発明の測定方法において、インドキシル硫酸の測定対象となる検体は、インドキシル硫酸の有無や濃度の測定が必要とされるものであれば特に制限されないが、例えば、生体由来試料、実験サンプル等が挙げられる。特に、生体内のインドキシル硫酸量は腎機能との相関性が知られているため、検体の好適な例として、腎機能の検査のために採取された生体由来試料が挙げられる。このような生体由来試料としては、具体的には、血液、血清、血漿、尿等が挙げられる。これらの中でも、腎機能の状態がより正確に反映されるという観点から、好ましくは血液、血清、血漿、更に好ましくは血清、血漿が挙げられる。当該生体由来試料の由来については、特に制限されないが、例えば、哺乳動物が挙げられ、好ましくはヒトである。
また、検体は、本発明の測定方法に供するに際して、必要に応じて、夾雑物の除去等の前処理を行ってもよい。
スルファターゼ
本発明で使用されるスルファターゼとしては、インドキシル硫酸を加水分解して硫酸基を遊離させる反応を触媒する活性を有するものであれば特に限定されないが、好ましくはアリールスルファターゼ(EC3.1.6.1)が挙げられる。
また、本発明で使用されるスルファターゼは、インドキシル硫酸の測定精度を高めるという観点から、Km値が小さく、作用pHが中性から弱アルカリ性であるという特徴を併せ持つことが好ましい。生体由来試料中のインドキシル硫酸の濃度が微量であり、高感度であることが求められるため、Km値が小さい程、測定精度を高めることができる。また、本発明の測定方法において、テトラゾリウム塩の反応pHは中性から弱アルカリ性であるため、スルファターゼの作用pHがテトラゾリウム塩の反応pHと同程度であることにより、効率的にホルマザン色素を生成させることが可能になる。
本発明で使用されるスルファターゼの由来については、特に制限されず、微生物、軟体動物等が挙げられる。
本発明で使用されるスルファターゼを産生する微生物としては、例えば、シュードモナス属、マイコバクテリウム属、アシネトバクター属、ストレプトマイセス属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、サイトロバクター属、エシェリキア属、ジエチア属、グラシコラ属、スフィンゴモナス属、ウィッカーモマイセス属、シュードアルテロモナス属、スフィンゴビウム属、メチリビウム属等に属する細菌類;アスペルギルス属、カンジダ属、アルスロデルマ属、トリコフィトン属、ペニシリウム属、ウンキノカルプス属、シゾフィラム属、エクソフィアラ属、ネクトリア属、マグナポルテ属、タラロマイセス属、スケフェルソマイセス属、マクロフォミナ属、フザリウム属、クルイウェロマイセス属、ラチャンセア属、ジゴサッカロマイセス属、トリコデルマ属、ロダーマイセス属、メエロジーマ属、ボトリオティニア属、ワレミア属、コレトリカム属、スパサスポラ属、コルディセプス属、ネオサルトリア属、デバリオミケス属、バーティシリウム属、ヤロウィア属、アスティラゴ属等の真菌類が挙げられる。
アスペルギルス属に属する真菌としては、具体的には、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・ニジュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・クラバタス(Aspergillus clavatus)、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)等が挙げられる。カンジダ属に属する真菌としては、具体的には、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・テヌイス(Candida tenuis)、カンジダ・ダブリエンシス(Candida dubliniensis)、カンジダ・オルソプシロシス(Candida orthopsilosis)、カンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)等が挙げられる。アルスロデルマ属に属する真菌としては、具体的には、アルスロデルマ・ベンハミエ(Arthroderma benhamiae)、アルスロデルマ・ジプセウム(Arthroderma gypseum)、アルスロデルマ・オタエ(Arthroderma otae)等が挙げられる。トリコフィトン属に属する真菌としては、具体的には、トリコフィトン・トンスランス(Trichophyton tonsurans)、トリコフィトン・エクイナム(Trichophyton equinum)、トリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum)、トリコフィトン・ベルコサム(Trichophyton verrucosum)等が挙げられる。ペニシリウム属に属する真菌としては、具体的には、ペニシリウム・クリソゲナス(Penicillium chrysogenum)等が挙げられる。ウンキノカルプス属に属する真菌としては、具体的には、ウンキノカルプス・レエジイ(Uncinocarpus reesii)等が挙げられる。オガタエア属に属する真菌としては、具体的には、オガタエア・パラポリモルファ(Ogataea parapolymorpha)等が挙げられる。シゾフィラム属に属する真菌としては、具体的には、シゾフィラム・コムーネ(Schizophyllum commune)等が挙げられる。エクソフィアラ属に属する真菌としては、具体的には、エクソフィアラ・デルマティティディス(Exophiala dermatitidis)等が挙げられる。ネクトリア属に属する真菌としては、具体的には、ネクトリア・ヘマトコッカ(Nectria haematococca)等が挙げられる。マグナポルテ属に属する真菌としては、具体的には、マグナポルテ・オリゼ(Magnaporthe oryzae)等が挙げられる。タラロマイセス属に属する真菌としては、具体的には、タラロマイセス・マルネフェイ(Talaromyces marneffei)、タラロマイセス・スティピタタス(Talaromyces stipitatus)等が挙げられる。スケフェルソマイセス属に属する真菌としては、具体的には、スケフェルソマイセス・スティピティス(Scheffersomyces stipitis)等が挙げられる。マクロフォミナ属に属する真菌としては、具体的には、マクロフォミナ・ファセオリナ(Macrophomina phaseolina)等が挙げられる。フザリウム属に属する真菌としては、具体的には、フザリウム・シュードグラミネアラム(Fusarium pseudograminearum)、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)等が挙げられる。クルイウェロマイセス属に属する真菌としては、具体的には、クルイウェロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)等が挙げられる。ラチャンセア属に属する真菌としては、具体的には、ラチャンセア・サーモトレランス(Lachancea thermotolerans)等が挙げられる。ジゴサッカロマイセス属に属する真菌としては、具体的には、ジゴサッカロマイセス・ロウキシ(Zygosaccharomyces rouxii)等が挙げられる。シゾサッカロマイセス属に属する真菌としては、具体的には、シゾサッカロマイセス・プロベ(Schizosaccharomyces pombe)等が挙げられる。トリコデルマ属に属する真菌としては、具体的には、トリコデルマ・ビレンス(Trichoderma virens)、トリコデルマ・アトロビリデ(Trichoderma atroviride)、トリコデルマ・レゼイ(Trichoderma reesei)等が挙げられる。クラビスポラ属に属する真菌としては、具体的には、クラビスポラ・ルシタニア(Clavispora lusitaniae)等が挙げられる。ロダーマイセス属に属する真菌としては、具体的には、ロダーマイセス・エロンギスポラス(Lodderomyces elongisporus)等が挙げられる。メエロジーマ属に属する真菌としては、具体的には、メエロジーマ・グイレイルモンディ(Meyerozyma guilliermondii)、メヤロジーマ・ファリノサ(Millerozyma farinosa)等が挙げられる。ビューベリア属に属する真菌としては、具体的には、ビューベリア・バシアナ(Beauveria bassiana)等が挙げられる。ボトリオティニア属に属する真菌としては、具体的には、ボトリオティニア・フケリアナ(Botryotinia fuckeliana)等が挙げられる。ワレミア属に属する真菌としては、具体的には、ワレミア・セビ(Wallemia sebi)等が挙げられる。コレトリカム属に属する真菌としては、具体的には、コレトリカム・グロエロスポリオデス(Colletotrichum gloeosporioides)等が挙げられる。スパサスポラ属に属する真菌としては、具体的には、スパサスポラ・パッサリダラム(Spathaspora passalidarum)等が挙げられる。コルディセプス属に属する真菌としては、具体的には、コルディセプス・ミリタリス(Cordyceps militaris)等が挙げられる。ネオサルトリア属に属する真菌としては、具体的には、ネオサルトリア・フィスチェリ(Neosartorya fischeri)等が挙げられる。デバリオミケス属に属する真菌としては、具体的には、デバリオミケス・ハンセニ(Debaryomyces hansenii)等が挙げられる。バーティシリウム属に属する真菌としては、具体的には、バーティシリウム・アルボ−アトラム)(Verticillium albo-atrum)等が挙げられる。ヤロウィア属に属する真菌としては、具体的には、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)等が挙げられる。アスティラゴ属に属する真菌としては、具体的には、アスティラゴ・メイディス(Ustilago maydis)等が挙げられる。
また、本発明で使用されるスルファターゼを産生する軟体動物としては、例えば、カタツムリ(Helix pomatia)、アワビ(Abalone entrails)、セイヨウカサガイ(Patella vulgate)等が挙げられる。
本発明で使用されるスルファターゼの由来として、インドキシル硫酸をより一層迅速且つ高感度に測定するという観点から、好ましくは微生物由来、更に好ましくはシュードモナス属、マイコバクテリウム属、アシネトバクター属、ストレプトマイセス属、アスペルギルス属由来;より好ましくはシュードモナス属由来、特に好ましくはシュードモナス・アエルギノーザ由来が挙げられる。
また、本発明で使用されるスルファターゼの好適な一例として、下記(i)〜(iv)のいずれかに示すポリペプチドからなるアリールスルファターゼが挙げられる:
(i)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(ii)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、付加又は挿入されたアミノ酸配列からなり、且つ前記(i)のポリペプチドと同等以上のインドキシル硫酸の加水分解反応を触媒する活性を有するポリペプチド。
(iii)配列番号1で示されるアミノ酸配列に対して配列同一性が60%以上のアミノ酸配列からなり、且つ前記(i)のポリペプチドと同等以上のインドキシル硫酸の加水分解反応を触媒する活性を有するポリペプチド。
(iv)配列番号2で示される塩基配列の相補配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る塩基配列によってコードされるアミノ酸配列からなり、且つ前記(i)のポリペプチドと同等以上のインドキシル硫酸の加水分解反応を触媒する活性を有するポリペプチド。
前記(i)のポリペプチドは、シュードモナス・アエルギノーザ由来のアリールスルファターゼであって、配列番号2で示される塩基配列によってコードされており、当該塩基配列を有する遺伝子の遺伝子産物として得ることができる。
前記(ii)のポリペプチドにおいて、置換、欠失、付加又は挿入されるアミノ酸残基の数としては、前記(i)のポリペプチドと同等以上のインドキシル硫酸の加水分解反応を触媒する活性を有することを限度として特に制限されないが、例えば、例えば1〜20個、好ましくは1〜15個、更に好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜8個、特に好ましくは1〜5個、最も好ましくは1〜3個が挙げられる。
前記(ii)のポリペプチドにおいて、アミノ酸残基の置換は、側鎖官能基の性質に基づいて保存的置換を行うことが好ましいが、前記(i)のポリペプチドと比べて同等以上のインドキシル硫酸の加水分解反応を触媒する活性を有する限り、置換前のアミノ酸残基の性質と置換後のアミノ酸残基の性質が異なる非保存的置換であってもよい。天然アミノ酸は、側鎖官能基に応じて、非極性アミノ酸、非電荷アミノ酸、酸性アミノ酸及び塩基性アミノ酸の各カテゴリーに分類される。保存的置換とは、置換前のアミノ酸残基と同一のカテゴリーに分類されるアミノ酸残基を用いて置換することである。ここで、アミノ酸の分類として、具体的には、「非極性アミノ酸」として、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、メチオニン、フェニルアラニン、及びトリプトファン;「非電荷アミノ酸」として、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、及びグルタミン;「酸性アミノ酸」として、アスパラギン酸及びグルタミン酸;「塩基性アミノ酸」として、リジン、アルギニン、及びヒスチジンが挙げられる。
また、前記(ii)のポリペプチドにおいて、アミノ酸残基の置換、欠失、又は付加は、(i)のポリペプチドにおいて、スルファターゼ活性に関与している部位以外に導入されることが望ましい。(i)のポリペプチドにおいて、スルファターゼ活性に関与している部位としては、配列番号1における第13位のアスパラギン酸、第14位のアスパラギン酸、第51位のシステイン、第55位のアルギニン、第113位のリジン、第115位のヒスチジン、第211位のヒスチジン、第317位のアスパラギン酸、第318位のアスパラギン酸、及び第375位のリジンが挙げられる。また、(i)のポリペプチドにおいてスルファターゼ活性に関与している部位については、Structure, Vol. 9, 483-491, June, 2001に開示されており、当該文献を参考にして、置換、欠失、付加又は挿入されるアミノ酸残基を適宜設定できる。
置換、欠失、付加、挿入等の変異をアミノ酸配列に導入する場合は、従来公知の方法に従って行うことができる。アミノ酸変異の導入方法としては、例えば部位特異的変異導入法が挙げられ、Inverse PCRに基づく手法やQuikChange II Kit(ストラタジーン社製)の市販キットを利用することにより実施され得る。これらの手法により配列番号1で示される塩基配列に基づいて所望の変異を有するスルファターゼをコードするポリヌクレオチド(DNA)を得ることができる。そして、得られたポリヌクレオチドを利用し、後述される公知の遺伝子工学の手法に従って組換えタンパク質として前記(ii)のポリペプチドからなるスルファターゼを得ることができる。
前記(iii)のポリペプチドにおいて、配列番号1で示されるアミノ酸配列に対する配列同一性は、60%以上であり、且つ前記(i)のポリペプチドと同等以上のインドキシル硫酸の加水分解反応を触媒する活性を有することを限度として特に制限されないが、好ましくは65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、又は90%以上であり、更に好ましくは95%以上、特に好ましくは96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上が挙げられる。また、前記(iii)のポリペプチドにおいて、前記(i)のポリペプチドのアミノ酸配列とアミノ酸残基が異なる部位については、前記(ii)のポリペプチドの場合と同様に、(i)のポリペプチドにおいて、スルファターゼ活性に関与している部位以外であることが望ましい。
ポリペプチドの配列同一性については、対比される2つのポリペプチドを最適に整列させ、アミノ酸が両方の配列で一致した位置の数を比較アミノ酸総数で除し、この結果に100を乗じた数値で表わされる。このような配列同一性は、例えば、BLAST、FASTAなどの公知のアルゴリズムを使用して決定することができる。配列同一性の決定のための具体的な操作方法は、例えば高木利久および金久實編「ゲノムネットのデータベース利用法」第2版(1998年)、共立出版(東京、日本)に記載されている。
前記(iv)のポリペプチドにおいて、ストリンジェントな条件としては、具体的には、6×SSC(1.5M NaCl、0.15M クエン酸三ナトリウムを含む溶液を10×SSCとする)、50%ホルムアミドを含む溶液中で45℃にてハイブリッドを形成させた後、2×SSCで50℃にて洗浄する条件(Molecular Biology, John Wiley & Sons, N. Y. (1989), 6.3.1-6.3.6)が挙げられる。
前記(iii)及び(iv)のポリペプチドは、微生物、軟体動物等の生物のゲノム塩基配列から、公知のプログラム及び遺伝子工学技術を用いて、当該ポリペプチドをコードしている遺伝子を検索、取得し、必要に応じて当該遺伝子に変異を導入し、遺伝子産物を得ることにより取得できる。また、前記(iii)のポリペプチドは、前記(ii)のポリペプチドと同様に、配列番号1で示されるアミノ酸配列に、置換、欠失、付加、挿入等の変異を導入することによって得ることもできる。
本発明で使用されるスルファターゼは、公知の遺伝子工学の手法に基づいて、当該スルファターゼをコードする遺伝子を適当な宿主細胞に導入して形質転換体を得て、これを培養することによりスルファターゼを組換えタンパク質として製造することが好ましいが、スルファターゼを産生する非組換え微生物の培養から取得してもよく、また、スルファターゼを産生する非組換え微生物や軟体動物から抽出処理することにより取得してもよい。
組換えタンパク質としてスルファターゼを取得する方法については、J.Biol.Chem.1998,273,25560−25564に記載されており、当該文献に記載される手法に準じて、スルファターゼを組換えタンパク質として取得することができる。また、スルファターゼを組換えタンパク質として取得る場合、インドキシル硫酸の加水分解を触媒する活性が阻害されないことを限度として、スルファターゼには、アミノ酸配列のC末端に、必要に応じてHisタグ等のタンパク質精製用の配列が付加されていてもよく、その他、大腸菌等の形質転換体として利用する生物に由来する配列(例えばポリA付加シグナル等)を含んでいてもよい。
本発明の測定方法において、スルファターゼは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
テトラゾリウム塩
本発明で使用されるテトラゾリウム塩としては、テトラゾール環を有する化合物の塩であり、還元されてホルマザン色素を生成し得るものであれば特に限定されないが、例えば、インドテトラゾリウム(INT)、テトラゾリウムバイオレット(TV)、3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウム(MTT)、2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム一ナトリウム塩(WST−1)、2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム一ナトリウム塩(WST−3)、2−(2−メトキシ−4−ニトロフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム一ナトリウム塩(WST−8)、ニトロテトラゾリウムブルー(NTB)等が挙げられる。
本発明で使用されるテトラゾリウム塩として、好ましくは、還元された際に水溶性のホルマザン色素を生成するテトラゾリウム塩、更に好ましくはWST−1、WST−3、WST−8が挙げられる。とりわけ、WST−8は、水に対する溶解性が高く、高感度であり且つ水溶液状態における保存性に優れており、本発明において特に好適に使用される。
本発明の測定方法において、テトラゾリウム塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
アルブミン
本発明の測定方法において、検体にスルファターゼ及びテトラゾリウム塩を作用させる際に、アルブミンを共存させてもよい。このようにアルブミンを共存させることによって、検体の希釈直線性を向上させることができ、測定精度をより一層高めることが可能になる。
本発明で使用されるアルブミンとしては、特に限定されないが、例えばヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、卵白アルブミン等が挙げられる。これらのアルブミンは1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらのアルブミンは、動物や卵白から精製されたものであってもよく、また遺伝子工学的手法によって組換アルブミンとして製造されたものであってもよい。
これらのアルブミンの中でも、好ましくはヒト血清アルブミンが挙げられる。とりわけ、遺伝子組換ヒト血清アルブミンは、ヒト由来のウィルス等の混入がないため、本発明において特に好適に使用される。
陰イオン性界面活性剤及び/又はチオール化合物
本発明の測定方法において、検体にスルファターゼ及びテトラゾリウム塩を作用させる際に、陰イオン性界面活性剤及び/又はチオール化合物を共存させてもよい。このように陰イオン界面活性剤及び/又はチオール化合物を共存させることによって、検体の希釈直線性を向上させつつ、測定感度も高めることができ、測定精度をより一層高めることが可能になる。
本発明で使用される陰イオン性界面活性剤としては、特に限定されず、カルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型等のいずれであってもよい。また、本発明で使用される陰イオン性界面活性剤の炭素数については、特に制限されないが、例えば6〜30、好ましくは6〜20、更に好ましくは6〜15が挙げられる。
本発明で使用される陰イオン性界面活性剤として、具体的には、オクタン酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム等のカルボン酸型陰イオン性界面活性剤;ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸リチウム等の硫酸エステル型陰イオン性界面活性剤;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸型陰イオン性界面活性剤等が挙げられる。これらの陰イオン性界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの陰イオン性界面活性剤の中でも、検体の希釈直線性及び測定感度をより一層効果的に向上させるという観点から、好ましくはカルボン酸型陰イオン界面活性剤、更に好ましくはオクタン酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウムが挙げられる。
本発明で使用されるチオール化合物とは、水素化された硫黄を末端に持ち、R-SH(R は有機基)で表される構造を有する化合物である。本発明で使用されるチオール化合物としては、特に制限されないが、例えば、システイン;ホモシステイン、N−アセチルシステイン等のシステイン誘導体;チオグリセロール、2−メルカプトエタノール、ジチオスレイトール等の水酸基含有チオール化合物等が挙げられる。これらのチオール化合物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらのチオール化合物の中でも、検体の希釈直線性及び測定感度をより一層効果的に向上させるという観点から、好ましくはシステイン、システイン誘導体、更に好ましくはN−アセチルシステインが挙げられる。
本発明の測定方法において、前記陰イオン性界面活性剤及び/又はチオール化合物を使用する場合、陰イオン性界面活性剤又はチオール化合物のいずれか一方のみを使用してもよいが、検体の希釈直線性及び測定感度をより一層効果的に向上させるという観点から、陰イオン性界面活性剤及びチオール化合物の双方を使用することが好ましい。
反応条件
本発明の測定方法において、前記検体に対してスルファターゼ及びテトラゾリウム塩を作用させるには、検体、スルファターゼ、テトラゾリウム塩、並びに必要に応じて、アルブミン、陰イオン性界面活性剤及び/又はチオール化合物を含む反応液を調製し、これを図1に示す反応が進行可能な温度条件下でインキュベートすればよい。
前記反応液中の検体濃度については、使用する検体の種類、検体に含まれるインドキシル硫酸量等に応じて適宜設定されるが、本発明の測定方法では、反応液中にインドキシル硫酸が0.01〜5μg/ml程度、好ましくは0.03〜2μg/ml程度の濃度であれば、高精度での測定が可能であるので、かかる測定可能な濃度範囲、検体の種類等を考慮して、反応液中の検体濃度は適宜設定すればよい。
前記反応液中のスルファターゼの濃度については、反応時間、検体の種類等に応じて適宜設定されるが、例えば0.1〜20U/ml、好ましくは0.2〜10U/mlが挙げられる。ここで、スルファターゼ1Uとは、1分間に1μmolのp−ニトロフェニル硫酸を加水分解する量である。
前記反応液中のテトラゾリウム塩の濃度については、反応時間、検体の種類等に応じて適宜設定されるが、例えば0.01〜50mmol/l、好ましくは0.05〜10mmol/lが挙げられる。
前記反応液中にアルブミンを添加する場合、反応液中のアルブミンの濃度については、反応時間、検体の種類等に応じて適宜設定されるが、例えば0.01〜5重量%、好ましくは0.04〜1重量%が挙げられる。
前記反応液中に陰イオン性界面活性剤を添加する場合、反応液中の陰イオン性界面活性剤の濃度については、反応時間、検体の種類等に応じて適宜設定されるが、例えば0.1〜50mmol/l、好ましくは0.2〜10mmol/lが挙げられる。
前記反応液中にチオール化合物を添加する場合、反応液中のチオール化合物の濃度については、反応時間、検体の種類等に応じて適宜設定されるが、例えば0.01〜5mmol/l、好ましくは0.02〜1mmol/lが挙げられる。
また、前記反応液のpHについては、使用するスルファターゼ及びテトラゾリウム塩による反応も妨げない範囲に設定すればよいが、例えば5〜12、好ましくは7〜9が挙げられる。
また、前記反応液には、テトラゾリウム塩の還元を促進するために、必要に応じて、電子キャリアーが添加されていてもよい。電子キャリアーとして、具体的には、フェナンジンメトサルフェート(PMS)、1−メトキシフェナンジニウムメチルサルフェート(1−mPMS)、9−ジメチルアミノベンゾ−α−フェナンゾキソニウムクロライド(メルドラブルー)等が挙げられる。これらの電子キャリアーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
更に、前記反応液には、検体中の共存物質の影響を排除するため、必要に応じて、アスコルビン酸オキシダーゼ(ASOD)、他の界面活性剤、キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等)等が添加されていてもよい。また、前記反応液には、本発明の効果を妨げない範囲で、pH調整剤、安定化剤、防腐剤(例えば、アジ化ナトリウム等)等の他の添加剤が添加されていてもよい。
本発明の測定方法において、反応液を調製する際に、検体、スルファターゼ、及びテトラゾリウム塩を添加する順番については、特に制限されず、(i)検体、スルファターゼ及びテトラゾリウム塩を同時に添加、(ii)検体を含む溶液中にスルファターゼ及びテトラゾリウム塩を同時に添加、(iii)検体を含む溶液中にテトラゾリウム塩を添加した後にスルファターゼを添加、(iv)検体を含む溶液中にスルファターゼを添加した後にテトラゾリウム塩を添加等のいずれであってもよい。副反応を抑制してより高精度にインドキシル硫酸の測定を行うという観点から、好ましくは、検体を含む溶液中にテトラゾリウム塩を添加し、ホルマザン色素を生成させる際の加熱温度と同温度で1〜10分間程度加熱して溶液を一定温度にした後に、スルファターゼを添加して反応液を調製する方法が挙げられる。また、本発明の測定方法において、アルブミン、或いは陰イオン性界面活性剤及び/又はチオール化合物を反応液中に添加する場合、これらの添加順番についても、これらの添加成分の共存下でスルファターゼ及びテトラゾリウム塩が検体に作用できることを限度として特に制限されない。
前記反応液をインキュベートする際の温度条件については、スルファターゼの作用温度であり且つテトラゾリウム塩の還元が可能である範囲で適宜設定されるが、例えば10〜50℃、好ましくは20〜40℃が挙げられる。
前記反応液のインキュベート時間についても、使用する検体の種類や、スルファターゼ及びテトラゾリウム塩の濃度等に応じて適宜設定されるが、例えば1〜120分間、好ましくは1〜30分間、より好ましくは1〜10分間が挙げられる。ここで、「インキュベート時間」とは、検体、スルファターゼ、及びテトラゾリウム塩が共存した時点を開始点として計測される時間である。
ホルマザン色素の測定
前述するように、検体、スルファターゼ及びテトラゾリウム塩を含む反応液をインキュベートすることによりホルマザン色素が生成する。生成したホルマザン色素の濃度は、検体中のインドキシル硫酸の濃度を反映しているので、生成したホルマザン色素の濃度を求めることによって、検体中のインドキシル硫酸の濃度を測定することができる。
ホルマザン色素の濃度を測定する方法については、特に制限されず、従来公知の方法を採用すればよいが、好ましくは吸光光度分析法によりホルマザン色素の吸光度を測定する方法が挙げられる。ホルマザン色素の吸光度を測定する際の波長は、使用するテトラゾリウム塩及び生成されるホルマザン色素の種類に応じて適宜設定され、ホルマザン色素を特異的に吸収し得る波長であれば限定されないが、通常340〜700nmの範囲で設定される。より具体的には、テトラゾリウム塩としてWST−8を使用する場合には、450nmでの吸光度を測定すればよい。
また、本発明の測定方法において、例えばMTT、NTB等のテトラゾリウム塩を使用する場合には、水に不溶性又は難溶性のホルマザン色素が生成する。このような不溶性又は難溶性のホルマザン色素が生成する系では、イソプロパノール等の有機溶媒でホルマザン色素を溶解させて吸光度の測定を行えばよい。
ホルマザン色素の濃度を測定する場合、インキュベート開始前のホルマザン色素の吸光度(吸光度A)と、インキュベート終了時のホルマザン色素の吸光度(吸光度B)を測定し、吸光度Bから吸光度Aを差し引いた値が、生成したホルマザン色素濃度に対応する吸光度となる。例えば、検体を含む溶液中にテトラゾリウム塩を添加した後に、スルファターゼを添加する場合であれば、検体を含む溶液中にテトラゾリウム塩を添加した後にホルマザン色素の吸光度(吸光度A)を測定し、次いでスルファターゼを添加してインキュベートした後にホルマザン色素の吸光度(吸光度B)を測定し、吸光度Bから吸光度Aを差し引いた値が生成したホルマザン色素濃度に対応する吸光度として算出される。
また、予め、既知濃度のインドキシル硫酸を用いて、生成するホルマザン色素の濃度を測定し、検量線を作成しておけば、検体中のインドキシル硫酸の濃度を定量的に測定することもできる。
2.インドキシル硫酸の測定用キット
本発明は、更に、スルファターゼ及びテトラゾリウム塩を含む、インドキシル硫酸の測定用キットを提供する。本発明のキットは、前記インドキシル硫酸の測定方法を実施するために使用される。
本発明のキットにおいて、スルファターゼ及びテトラゾリウム塩は、1剤構成であってもよく、また2剤構成であってもよい。即ち、本発明のキットには、スルファターゼ及びテトラゾリウム塩を含む試薬(以下、「1剤構成試薬」と表記することもある)を備えるものであってもよいが、好ましくは、テトラゾリウム塩を含有する第1試薬(以下、「2剤構成第1試薬」と表記することもある)と、スルファターゼを含む第2試薬(以下、「2剤構成第2試薬」と表記することもある)とを個別に含む態様が挙げられる。
前記1剤構成試薬、2剤構成第1試薬、及び2剤構成第2試薬は、液状であってもよく、また凍結乾燥状態等の固形状であってもよい。
また、前記1剤構成試薬、2剤構成第1試薬、及び2剤構成第2試薬には、必要に応じて、緩衝剤、電子キャリアー、アスコルビン酸オキシダーゼ(ASOD)、界面活性剤、キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等)、pH調整剤、安定化剤、防腐剤(例えば、アジ化ナトリウム等)等の、前記反応液に添加される添加剤が含まれていてもよい。更に、本発明のキットには、前記1剤構成試薬、2剤構成第1試薬、及び2剤構成第2試薬とは別に、検体の前処理や反応促進等のために使用される各種添加剤を含む第3試薬が含まれていてもよい。
また、本発明のキットには、アルブミンが含まれていてもよい。本発明のキットが2剤構成第1試薬と2剤構成第2試薬を含む2剤構成であり、且つアルブミンを含有させる場合、アルブミンは、2剤構成第1試薬と2剤構成第2試薬のいずれに含まれていてもよいが、2剤構成第1試薬に含まれていることが好ましい。
更に、本発明のキットには、陰イオン性界面活性剤及び/又はチオール化合物が含まれていてもよい。本発明のキットが2剤構成第1試薬と2剤構成第2試薬を含む2剤構成であり、且つ陰イオン性界面活性剤及び/又はチオール化合物を含有させる場合、陰イオン性界面活性剤及び/又はチオール化合物は、それぞれ2剤構成第1試薬と2剤構成第2試薬のいずれに含まれていてもよい。陰イオン性界面活性剤については2剤構成第1試薬に含まれていることが好ましい。
更に、本発明のキットには、検量線作成のために使用される濃度既知のインドキシル硫酸、検体等の希釈に使用される希釈液等が含まれていてもよい。また、本発明のキットには、前記インドキシル硫酸の測定条件が示されている測定手順書が含まれていてもよい。
また、前述するように、生体内のインドキシル硫酸濃度は腎機能障害と相関性があることが知られているため、本発明のキットは、腎機能の診断用キットとして使用でき、特に、腎機能の低下を伴う疾患の診断用キットとして好適である。腎機能の低下を伴う疾患としては、具体的には、腎不全(急性腎不全、慢性腎不全)、尿毒症等が挙げられる。これらの中でも、腎不全、特に慢性腎不全は、患者の血中インドキシル硫酸濃度が高く、血中インドキシル硫酸濃度と症状の程度の間に高い相関性が認められるので、本発明のキットは、腎不全、特に慢性腎不全の診断用として有用性が高い。
3.腎機能の検査方法
本発明は、更に、前記インドキシル硫酸の測定方法を利用した腎機能の検査方法をも提供する。
前述するように、血液、血清、血漿、尿等の生体由来試料中のインドキシル硫酸濃度は、腎機能を反映しており、腎機能の低下を伴う疾患を検査する上で指標になり得るため、前記インドキシル硫酸の測定方法は、腎機能の検査に使用することができる。
本発明の腎機能の検査方法は、生体から採取された検体に、スルファターゼ及びテトラゾリウム塩を作用させ、生成されたホルマザン色素を測定する工程を含むことを特徴とする。
本発明の腎機能の検査方法において、使用される検体は、腎機能の検査が必要とされるヒトから採取されたものであればよく、例えば、血液、血清、血漿、尿等であればよいが、好ましくは血液、血清、血漿、更に好ましくは血清、血漿が挙げられる。
また、本発明の腎機能の検査方法では、生成されたホルマザン色素から検体に含まれるインドキシル硫酸濃度を求め、健常人から採取された検体中のインドキシル硫酸濃度と比較することにより、腎機能を検査することができる。具体的には、検体中のインドキシル硫酸濃度が、健常人の場合よりも高い程、腎機能が低下していると判定され、健常人の場合と同等程度であれば腎機能が正常であると判定される。
また、本発明の腎機能の検査方法は、特に、腎機能の低下を伴う疾患の検査方法として有用である。腎機能の低下を伴う疾患の具体例については、前述する通りである。
本発明の腎機能の検査方法で得られる結果は、腎機能の低下を伴う疾患の有無の判定、当該疾患の治療効果の判定、当該疾患の患者の予後の推測、当該疾患の患者における食事療法の処方食の選定等を行う上で指針となり得る。
以下、試験例等を挙げて更に詳細に本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
製造例1:シュードモナス・アエルギノーザ由来スルファターゼの調製
(1)スルファターゼ遺伝子のクローニング
シュードモナス・アエルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)由来のゲノムDNA(NBRC 106052G)を鋳型としたポリメラーゼチェーンリアクション(PCR)によりスルファターゼ遺伝子を増幅した。PCR用プライマーを、データベースのスルファターゼ遺伝子配列情報に基づいて設計した。プライマーの配列は配列表の配列番号1(Forward Primer)及び配列番号2(Reverse Primer)にそれぞれ示される。なお、配列番号1のプライマーには制限酵素EcoRI認識配列、配列番号2のプライマーにはSalIの認識配列を導入した。
PCR反応は、PrimeSTAR DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)を用い、iCycler(BioRAD社製)にて、熱変性98℃で10秒、アニール53℃で15秒、伸長反応72℃で50秒を30サイクル行った。その結果、目的の大きさである約1620bpのフラグメントが増幅された。増幅されたフラグメントについてシーケンシングを行ったところ、このPCR産物の塩基配列がデータベースのシュードモナス・アエルギノーザスルファターゼ遺伝子配列と同じであることが確認された。
(2)組換えベクターの作製及び形質転換体の調製
スルファターゼ遺伝子をコードする遺伝子を含有する組換えベクターを作製した。前記(1)で取得したPCR産物のDNA断片を、制限酵素EcoRI(宝酒造社製)及び制限酵素SalI(宝酒造社製)にて切断した。一方、プラスミドベクターpTrc99aを同じ制限酵素にて切断し、アガロースゲル電気泳動により分離し、分子量が大きい方のDNA断片をGenElute Gel Extraction Kit(SIGMA−ALDRICH社製)を用いて回収した。次いでこれらのDNA断片をLigationhighキット(東洋紡績製)にて16℃で15分間反応させて連結し、シュードモナス・アエルギノーザ由来のスルファターゼ遺伝子を含む組換えベクターを得た。
その後、組換えベクターをEscherichia coli DH5αのコンピテントセル(東洋紡績製)に導入し、100μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布後、37℃で終夜培養して形質転換体を取得した。この形質転換体からプラスミド抽出を行い、精製し、組換えベクターを取得した。
得られた組換ベクターは、スルファターゼ遺伝子の開始コドンの前に開始コドンを有するため、スルファターゼ遺伝子のN末端に余分なアミノ酸配列が付加されてしまう。そこで、得られた組換ベクターを鋳型にインバースPCRを行うことにより余分な配列を削除した。インバースPCRに使用したプライマーの塩基配列は、配列表の配列番号3(Forward Primer)及び配列番号4(Reverse Primer)で示される。PCR反応は、熱変性98℃で10秒、アニール53℃で15秒、伸長反応72℃で4分を12サイクル行った。得られたPCR産物をDpnIで制限酵素処理することにより鋳型DNAを切断し、増幅されたDNA断片の5'末端をT4ポリヌクレオチドキナーゼでリン酸化した。次いで、このDNA断片をLigationhighキット(東洋紡績製)を用いて16℃で15分間反応させ連結した後、Escherichia coli DH5αのコンピテントセル(東洋紡績製)に導入し、前記と同様の方法により形質転換体を取得した。この形質転換体からプラスミド抽出を行い、精製し、組換えベクターを取得した。得られた組換えベクターをpTrc−SFTと命名した。更に、pTrc−SFTをEscherichia coli BL21のコンピテントセルに導入し、形質転換体を得た。
(3)形質転換体からのスルファターゼ酵素の製造
得られた形質転換体BL21(pTrc−SFT)を30mlのLB液体培地(1.0%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl、100μg/mlアンピシリン)に植菌し37℃、16時間培養し種培養液とした。この培養液を1.5Lの4×YT(3Lジャーファーメンター;3.2%ポリペプトン、2.0%酵母エキス、0.5%NaCl、1.0%グリセロール、pH7.5)に全量植菌し、30℃で68時間通気攪拌培養を行った。培養終了時の培養液のスルファターゼ活性は約6.0U/mlであった。なお、スルファターゼ活性は、トリス塩酸緩衝液(pH8.0)中で37℃、1分間に1マイクロモルのp−ニトロフェニル硫酸を加水分解する量を1Uとして示される。
遠心分離により菌体を回収した後、20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)に懸濁し、超音波破砕機で菌体を破砕して粗酵素液を取得した。この粗酵素液を20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)で平衡化したDEAE−Sepharoseカラムにかけ、0〜80%の塩化カリウム濃度勾配によって溶出することによりスルファターゼ酵素活性画分を回収した。本法により分離・精製されたスルファターゼを精製酵素標品として下記試験例1及び2において使用した。
実施例1:インドキシル硫酸測定用キットの調製−1
インドキシル硫酸測定用キットとして、下記組成の第1試薬及び第2試薬を調製した。
第1試薬
トリス塩酸緩衝液(pH8.0):100mM
WST−8:0.5mM
EDTA:1mM
アジ化ナトリウム:0.1%
第2試薬
トリス塩酸緩衝液(pH8.0):100mM
製造例1で得られたシュードモナス・アエルギノーザ由来スルファターゼ:10KU/L
EDTA:1mM
アジ化ナトリウム:0.1%
実施例2:既知濃度のインドキシル硫酸を含む生理食塩水を検体として用いた測定
実施例1のインドキシル硫酸測定用キットを用いて、検体中のインドキシル硫酸濃度を、H7180型自動分析装置(株式会社日立ハイテクノロジーズ)にて測定した。検体としては、インドキシル硫酸濃度が0.1〜5.0mg/dlとなるよう調整した4%HSA(ヒト血清アルブミン)を含む生理食塩水を用いた。具体的測定条件は、以下に示す通りである。
検体8μlに第1試薬160μlを混合し37℃にて5分間加温した後、450nmにおける吸光度(吸光度A)を測定した。次に、第2試薬40μlを加え37℃にて5分間加温し、450nmでの吸光度(吸光度B)を測定した。吸光度Bから吸光度Aを差し引いた値を測定値とした。得られた結果を図2に示す。図2中、縦軸を実測値(吸光度)、横軸を検体中の既知のインドキシル硫酸濃度としてプロットした。
図2から明らかなように、検体中の既知のインドキシル硫酸濃度と、前記第1試薬及び第2試薬を作用させた後に得られた実測値(吸光度)の間には良好な直線性が得られた。即ち、本結果から、生成したホルマザン色素濃度は、検体中のインドキシル硫酸の濃度を正確に反映していることが示された。
実施例3:既知濃度のインドキシル硫酸を含む血清検体を用いた測定
検体として、市販管理血清QAPトロール1×又はQAPトロール2×(シスメックス株式会社)に既知濃度のインドキシル硫酸を添加した血清検体を使用したこと以外は、前記実施例2と同様の方法で、生成したホルマザン色素濃度の吸光度を測定した。
また、インドキシル硫酸濃度が1mg/dlとなるよう調整した4%HSAを含む生理食塩水を検体として用いて、上記と同様の方法で生成したホルマザン色素濃度の吸光度を測定し、インドキシル硫酸濃度が1mg/dlの場合に生成するホルマザン色素の吸光度を求めた。このインドキシル硫酸濃度とホルマザン色素の吸光の関係に基づいて、前記血清検体中に含まれるインドキシル硫酸濃度を算出した。
得られた結果を表1に示す。表1中、添加回収率とは、血清検体に添加したインドキシル硫酸の濃度(添加濃度)に対する、測定によって得られた血清検体中のインドキシル硫酸の濃度(測定濃度)の割合(%)である。この結果、インドキシル硫酸の添加回収率はほぼ100%であり、血清検体に添加されたインドキシル硫酸の濃度と、実際に測定されたたインドキシル硫酸の濃度は、殆ど同じ値であった。以上の結果から、実施例1の第1試薬及び第2試薬を使用すれば、血清中のインドキシル硫酸の濃度を正確に測定できることが実証された。
実施例4:インドキシル硫酸測定用キットの調製−2
インドキシル硫酸測定用キットとして、下記組成の第1試薬及び第2試薬を調製した。
第1試薬
トリス塩酸緩衝液(pH8.0):100mM
WST−8:0.1mM
第2試薬
トリス塩酸緩衝液(pH8.0):100mM
製造例1で得られたシュードモナス・アエルギノーザ由来スルファターゼ:10KU/L
実施例5:インドキシル硫酸測定用キットの調製−3
インドキシル硫酸測定用キットとして、下記組成の第1試薬及び第2試薬を調製した。
第1試薬
トリス塩酸緩衝液(pH8.0):100mM
WST−8:0.1mM
第2試薬
トリス塩酸緩衝液(pH8.0):100mM
市販のカタツムリ(Helix pomatia)由来スルファターゼ(SIGMA−ALDRICH社製、品番S9626):10KU/L
実施例6:既知濃度のインドキシル硫酸を含む生理食塩水を検体として用いた測定
実施例4及び5のインドキシル硫酸測定用キットを用いて、検体中のインドキシル硫酸濃度を、分光光度計UV−265(株式会社島津製作所)にて測定した。検体としては、インドキシル硫酸濃度が10mg/dlとなるよう調整した生理食塩水を用いた。具体的測定条件は、以下に示す通りである。
検体40μlに第1試薬800μlを混合し37℃にて5分間加温した後、450nmにおける吸光度(吸光度A)を測定した。次に、第2試薬200μlを加え37℃にて加温し、第2試薬添加から5分後、90分後に450nmでの吸光度(吸光度B)を測定した。吸光度Bから吸光度Aを差し引いた値を測定値とした。
得られた結果を表2に示す。シュードモナス・アエルギノーザ由来スルファターゼは10mg/dlインドキシル硫酸を検体としたときにホルマザン色素生成による450nmの吸光度の増加が見られ、インドキシル硫酸に対するスルファターゼ活性が確認された。一方、カタツムリ由来スルファターゼでも10mg/dlインドキシル硫酸を検体としたときにホルマザン色素生成による450nmの吸光度の増加が確認されたが、シュードモナス・アエルギノーザ由来スルファターゼに比べると小さかった。
実施例7:インドキシル硫酸測定用キットの調製−4
インドキシル硫酸測定用キットとして、下記組成の第1試薬及び第2試薬を調製した。
第1試薬
PIPES緩衝液(pH7.0):50mM
1−mPMS(同仁化学研究所製、品番M003):0.05mM
遺伝子組換ヒト血清アルブミン(HSA)(和光純薬製、品番014−21543):0.5重量%
第2試薬
トリス塩酸緩衝液(pH8.2):200mM
WST−8:1mM
製造例1で得られたシュードモナス・アエルギノーザ由来スルファターゼ:10KU/L
実施例8:インドキシル硫酸測定用キットの調製−5
インドキシル硫酸測定用キットとして、下記組成の第1試薬及び第2試薬を調製した。
第1試薬
HEPES緩衝液(pH7.8):100mM
WST−8:0.25mM
オクタン酸ナトリウム(和光純薬製、品番196−08192):5mM
第2試薬
HEPES緩衝液(pH7.8):100mM
N−アセチルシステイン(ロシュ製、品番068365):2.5mM
製造例1で得られたシュードモナス・アエルギノーザ由来スルファターゼ:15KU/L
実施例9:既知濃度のインドキシル硫酸を含む血清検体を用いた希釈直線性の測定
市販管理血清に4〜6mg/dlのインドキシル硫酸を添加した血清検体を生理食塩水で4倍、16倍、64倍希釈した検体について、実施例1、7及び8のインドキシル硫酸測定用キットを用いて、前記実施例2と同様の方法で、生成したホルマザン色素濃度の吸光度を測定した。
また、インドキシル硫酸濃度が1mg/dlとなるよう調整した4重量%HSAを含む生理食塩水を検体として用いて、上記と同様の方法で生成したホルマザン色素濃度の吸光度を測定し、インドキシル硫酸濃度が1mg/dlの場合に生成するホルマザン色素の吸光度を求めた。このインドキシル硫酸濃度とホルマザン色素の吸光の関係に基づいて、前記検体中に含まれるインドキシル硫酸濃度を算出した。
得られた結果を図3に示す。図3中、縦軸を測定値、横軸を希釈倍率としてプロットした。この結果、実施例7及び8のインドキシル硫酸測定用キットは、実施例1のインドキシル硫酸測定用キットよりも血清検体の希釈直線性に優れることが実証された。即ち、本試験結果から、アルブミンの存在下、又は陰イオン性界面活性剤とチオール化合物の存在下で、スルファターゼ及びテトラゾリウム塩を作用させると、インドキシル硫酸を含む検体の希釈直線性が向上することが明らかとなった。
また、インドキシル硫酸濃度が1mg/dlの場合に生成するホルマザン色素の吸光度を表3に示す。この結果、実施例8のインドキシル硫酸測定用キットは、実施例1及び7のインドキシル硫酸測定用キットよりも測定感度に優れることが実証された。即ち、本試験結果から、陰イオン性界面活性剤とチオール化合物の存在下で、スルファターゼ及びテトラゾリウム塩を作用させると、更にインドキシル硫酸の測定感度の向上も認められることが明らかとなった。
配列番号3は、スルファターゼ遺伝子の増幅に使用したForward Primerの塩基配列を示す。
配列番号4は、スルファターゼ遺伝子の増幅に使用したReverse Primerの塩基配列を示す。
配列番号5は、インバースPCRに使用したForward Primerの塩基配列を示す。
配列番号6は、インバースPCRに使用したReverse Primerの塩基配列を示す。

Claims (15)

  1. 検体に含まれるインドキシル硫酸を測定する方法であって、
    陰イオン性界面活性剤及びチオール化合物の存在下で、検体にスルファターゼ及びテトラゾリウム塩を作用させ、生成されたホルマザン色素を測定する工程を含むことを特徴とする、
    インドキシル硫酸の測定方法。
  2. 前記スルファターゼがアリールスルファターゼである、請求項1に記載の測定方法。
  3. 前記スルファターゼが、シュードモナス属、マイコバクテリウム属、アシネトバクター属、ストレプトマイセス属及びアスペルギルス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物由来である、請求項1又は2に記載の測定方法。
  4. 前記スルファターゼが、シュードモナス属に属する細菌由来である、請求項1〜3のいずれかに記載の測定方法。
  5. 前記スルファターゼが、シュードモナス・アエルギノーザ由来である、請求項1〜4のいずれかに記載の測定方法。
  6. 前記スルファターゼが、下記(i)又は(ii)に示すポリペプチドからなるアリールスルファターゼである、請求項1〜5のいずれかに記載の測定方法:
    (i)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
    (ii)配列番号1で示されるアミノ酸配列に対して配列同一性が90%以上のアミノ酸配列からなり、且つ前記(i)のポリペプチドと同等のインドキシル硫酸の加水分解反応を触媒する活性を有するポリペプチド。
  7. アルブミン存在下で、検体にスルファターゼ及びテトラゾリウム塩を作用させる、請求項1〜6のいずれかに記載の測定方法。
  8. スルファターゼ、テトラゾリウム塩、陰イオン性界面活性剤及びチオール化合物を含むことを特徴とする、インドキシル硫酸の測定用キット。
  9. テトラゾリウム塩及び陰イオン性界面活性剤を含有する第1試薬と、スルファターゼ、陰イオン性界面活性剤及びチオール化合物を含む第2試薬を含む、請求項8に記載の測定用キット。
  10. 更にアルブミンを含む、請求項8又は9に記載の測定キット。
  11. 腎機能の診断に使用される、請求項8〜10のいずれかに記載の測定用キット。
  12. 腎不全の診断に使用される、請求項8〜11のいずれか記載の測定用キット。
  13. 生体から採取された検体に、陰イオン性界面活性剤及びチオール化合物の存在下で、スルファターゼ及びテトラゾリウム塩を作用させ、生成されたホルマザン色素を測定する工程を含むことを特徴とする、腎機能の検査方法。
  14. 前記検体が、血液、血清、血漿、又は尿である、請求項13に記載の検査方法。
  15. 腎不全の検査に使用される、請求項13又は14に記載の検査方法。
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