JP6428119B2 - 車両用駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンと変速機との間に発進要素を備えた車両用駆動装置に関する。
従来、エンジン側のクランクシャフトから変速機の入力軸へトルクを伝達するロックアップクラッチ付きトルクコンバータが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
このトルクコンバータにおいて、ウェイト部材はコイルスプリングを介してクランクシャフトに連結されたフロントカバーに連結されている。このため、ロックアップ解除時、ダイナミックダンパ(動吸振器)として機能し、フロントカバー側の振動を効果的に減衰する。また、ロックアップ作動(連結)時、ウェイト部材は出力側機構の慣性モーメント比を増大させているため、こもり音等の異音発生が抑えられる(例えば、特許文献2参照)。
特開2005−003193号公報 特開平8−226520号公報
しかしながら、従来のトルクコンバータにあっては、駆動系にダイナミックダンパとして機能するコイルスプリング及びウェイト部材が常に繋がっている。このため、動吸振器はマス(質量)を寄与する構造となっているので、動吸振器を採用する事はイナーシャ(慣性)を増加させてしまう問題がある。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、動吸振器の効果を必要としない条件では、不必要なイナーシャの増加を防止することが可能になる車両用駆動装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の車両用駆動装置は、エンジンと変速機との間に発進要素を備えている。
前記発進要素は、コンバータ油圧室とロックアップ油圧室を有するロックアップクラッチ付きトルクコンバータである。
前記ロックアップクラッチは、クラッチプレートと、前記クラッチプレートを前記トルクコンバータのコンバータカバーから断接するロックアップピストンと、を有する。
前記発進要素に、前記エンジンと前記変速機を含む動力伝達経路での捩り振動のうち、所定の周波数領域の振動を減衰させる動吸振器を設ける。
前記動吸振器は、質量体と、前記質量体を支持する支持プレートと、前記支持プレートを前記動力伝達経路から脱着させる脱着ピストンとを有すると共に、前記コンバータ油圧室に配置される。
前記動吸振器は、前記動力伝達経路から脱着可能な脱着構造を有する。
前記脱着構造として、前記ロックアップピストンと前記脱着ピストンを前記動力伝達経路の軸方向に並べ、前記ロックアップピストンと前記脱着ピストンとの間に前記支持プレートを配置した。
よって、脱着構造により、動吸振器が動力伝達経路から脱着される。
すなわち、動吸振器の効果を必要とする条件では、脱着構造により、動吸振器が動力伝達経路に締結され、所定の周波数領域の振動を減衰させる。また、動吸振器の効果を必要としない条件では、脱着構造により、動吸振器が動力伝達経路から切り離される。
この結果、動吸振器の効果を必要としない条件では、不必要なイナーシャの増加を防止することが可能になる。
実施例1の車両用駆動装置が適用されたエンジン車の全体システム図である。 実施例1の脱着ピストンとロックアップピストンが受けるコンバータ圧の受圧面積の違いによる各ピストンの油圧感度の一例を示す図である。 実施例1のCVTコントロールユニットにて実行される動吸振器脱着処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の車両用駆動装置が適用されたエンジン車であって、クラッチ解放・動吸振器切離動作とこの動作におけるトルクコンバータ内の油圧制御について説明する説明図である。 実施例1の車両用駆動装置が適用されたエンジン車であって、クラッチ締結・動吸振器切離動作とこの動作におけるトルクコンバータ内の油圧制御について説明する説明図である。 実施例1の車両用駆動装置が適用されたエンジン車であって、クラッチ締結・動吸振器締結動作とこの動作におけるトルクコンバータ内の油圧制御について説明する説明図である。 実施例2の車両用駆動装置が適用されたエンジン車の全体システム図である。 実施例2の脱着ピストンとロックアップピストンが受けるコンバータ圧の受圧面積の違いとバネ反力を適用した場合による各ピストンの油圧感度の一例を示す図である。
以下、本発明の車両用駆動装置を実現する最良の形態を、図面に示す図面に示す実施例1〜実施例2に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
実施例1の車両用駆動装置における構成を、「全体システム構成」、「動吸振器脱着処理構成」に分けて説明する。
[全体システム構成]
図1は、実施例1の車両用駆動装置が適用されたエンジン車を示す。図2は、実施例1の脱着ピストンとロックアップピストンが受けるコンバータ圧の受圧面積の違いによる各ピストンの油圧感度の一例を示す。以下、図1と図2に基づき、全体システム構成を説明する。
車両駆動系は、図1に示すように、エンジン1と、エンジン出力軸2と、トルクコンバータ3と、動吸振器4と、変速機入力軸5と、無段変速機6(変速機)と、ドライブシャフト7と、駆動輪8と、を備えている。
前記トルクコンバータ3は、トルク増大機能を有する発進要素であり、トルク増大機能を必要としないとき、エンジン出力軸2と変速機入力軸5を直結可能なロックアップクラッチ31を有するロックアップクラッチ付きトルクコンバータ3である。このトルクコンバータ3は、ポンプインペラ32と、ポンプインペラ32に対向配置されたタービンランナ33と、ポンプインペラ32とタービンランナ33の間に配置されたステータ34と、を有する。このトルクコンバータ3は、内部に満たされた作動油が、ポンプインペラ32とタービンランナ33とステータ34の各ブレードを循環することによりトルクを伝達する流体継手である。ポンプインペラ32は、内面がロックアップクラッチ31の締結面であるコンバータカバー35を介してエンジン出力軸2に連結される。タービンランナ33は、変速機入力軸5に連結される。ステータ34は、ワンウェイクラッチ36を介して静止部材(トランスミッションケース等)に設けられる。
前記ロックアップクラッチ31は、トルクコンバータ3に内蔵され、クラッチ解放によりトルクコンバータ3を介してエンジン1と無段変速機6を連結し、クラッチ締結によりエンジン出力軸2と変速機入力軸5を直結する。ロックアップクラッチ31は、コンバータカバー35とタービンランナ33の間に軸方向移動可能に配置されたロックアップピストン311と、ロックアップピストン311に取り付けられロックアップピストン311の軸方向移動によりコンバータカバー35から断接されるクラッチプレート312と、ロックアップピストン311に固定されたトーションダンパ313と、を有して構成される。ロックアップピストン311は、トルクコンバータ3が有するコンバータ油圧室37とロックアップ油圧室38を画成する位置に配置される。
このロックアップクラッチ31は、後述するCVTコントロールユニット12からロックアップ指令圧が出力されると、後述するコントロールバルブユニットにて元圧であるライン圧に基づいて調圧されたコンバータ圧により、締結/スリップ締結/解放が制御される。なお、ライン圧は、エンジン1により回転駆動される図外のオイルポンプからの吐出油を、ライン圧ソレノイドバルブにより調圧することで作り出される。
前記動吸振器4は、トルクコンバータ3に設けられ、トルクコンバータ3が有するコンバータ油圧室37と動吸振器油圧室39を画成する位置に配置される。動吸振器4は、マス(質量体)41と、支持プレート42と、脱着ピストン43とで構成されている。支持プレート42は、ロックアップクラッチ31と脱着ピストン43の間に軸方向移動可能に配置され、マス41を支持している。脱着ピストン43は、支持プレート42とタービンランナ33の間に軸方向移動可能に配置され、支持プレート42を動力伝達経路10から脱着させる。動吸振器4は、動力伝達経路10から脱着可能な脱着構造を有する。この脱着構造として、ロックアップピストン311と脱着ピストン43が動力伝達経路10の軸方向に並べられ、ロックアップピストン311と脱着ピストン43との間に支持プレート42が配置されている。
この動吸振器4は、後述するCVTコントロールユニット12から動吸振器指令圧が出力されると、後述するコントロールバルブユニットにて元圧であるライン圧に基づいて調圧されたコンバータ圧により、締結/切離が制御される。
この動吸振器4が動力伝達経路10に締結されている場合とは、脱着ピストン43がタービンランナ33側からロックアップピストン311側へ軸方向移動することにより、脱着ピストン43と支持プレート42が締結され、支持プレート42が動力伝達経路10に締結されている状態である。この動吸振器4が動力伝達経路10に締結されている場合、脱着ピストン43と支持プレート42を支持弾性のバネとし、マス41を質量体として、動吸振器4が作用する。これにより、エンジン1と無段変速機6を含む動力伝達経路10での捩り振動のうち、所定の周波数領域の振動を減衰させる(動吸振器4の効果)。
また、動吸振器4が動力伝達経路10から切り離されている場合とは、締結の場合とは反対に脱着ピストン43がロックアップピストン311側からタービンランナ33側へ軸方向移動することにより、脱着ピストン43と支持プレート42が切り離され、支持プレート42が動力伝達経路10から切り離されている状態である。
ここで、脱着ピストン43が受けるコンバータ圧の受圧面積A1は、図1に示すように、ロックアップピストン311が受けるコンバータ圧の受圧面積A2よりも小さい面積に設定されている(A1<A2)。このため、コンバータ圧に対するそれぞれの受圧面積A1,A2が異なるので、図2に示すように、油圧に対するそれぞれのピストン311,43の油圧感度(作動油圧)をずらすことができる。なお、受圧面積A1,A2の変更により、図2の油圧に対するそれぞれのピストン311,43の油圧感度が変更される。
前記無段変速機6は、プライマリプーリとセカンダリプーリへのベルト接触径を変えることにより変速比を無段階に制御するベルト式無段変速機であり、変速後の出力回転は、ドライブシャフト7を介して駆動輪8へ伝達される。
車両制御系は、図1に示すように、エンジンコントロールユニット11(ECU)と、CVTコントロールユニット12(CVTCU)と、コントロールバルブユニット13(CVU)と、CAN通信線14と、を備えている。入力情報を得るセンサ類として、エンジン回転数センサ15と、タービン回転数センサ16(=CVT入力回転数センサ)と、CVT出力回転数センサ17(=車速センサ)と、を備えている。さらに、アクセル開度センサ18と、アクセルペダルセンサ19と、他のセンサ・スイッチ類20と、を備えている。
前記エンジンコントロールユニット11は、アクセル開度APOとエンジン回転数Neにより目標エンジントルクが演算されると、目標エンジントルクを得るようにエンジントルク指令値を出力する。
前記CVTコントロールユニット12は、上記の様々な入力情報に基づき、無段変速機6の変速比を制御する変速制御、ライン圧制御、ロックアップクラッチ3の締結/スリップ締結/解放を切り替えるロックアップクラッチ制御、動吸振器4の締結/切離を切り替える動吸振器脱着制御等を、コントロールバルブユニット13を介して行う。すなわち、CVTコントロールユニット12は、各制御のための制御信号をコントロールバルブユニット13へ出力する。
前記ロックアップクラッチ制御の基本制御は、車速VSPとアクセル開度APOにより決まる運転点が予め設定したロックアップ領域に存在する場合、ロックアップ締結要求を出し、解放状態のロックアップクラッチ31を締結する。一方、車速VSPとアクセル開度APOにより決まる運転点が予め設定した非ロックアップ領域に存在する場合、ロックアップ解放要求を出し、締結状態のロックアップクラッチ31を解放する。
前記コントロールバルブユニット13は、複数の流路、複数の油圧制御弁で構成されている。このコントロールバルブユニット13は、CVTコントロールユニット12からの制御信号に基づき、オイルポンプからのポンプ吐出圧からライン圧に調圧し、ライン圧を元圧として様々な油圧を作り出す。コントロールバルブユニット13は、ライン圧を調圧するときの排出油に基づき調圧されたコンバータ圧をロックアップクラッチ付きトルクコンバータ3に供給する。これにより、ロックアップクラッチ31の締結/スリップ締結/解放と動吸振器4の締結/切離が制御される。
[動吸振器脱着処理構成]
図3は、実施例1のCVTコントロールユニットにて実行される動吸振器脱着処理の流れを示す(動吸振器脱着制御手段)。以下、動吸振器脱着処理構成をあらわす図3の各ステップについて説明する。
ステップS1では、動吸振器脱着制御の開始に続き、車速VSPとアクセル開度APOにより決まる運転点が予め設定したロックアップ領域であるか否かを判定する。すなわち、運転点がロックアップ領域であり、ロックアップクラッチ31のクラッチ締結(ロックアップ締結)を許可するロックアップ締結許可信号の有無を判定する。YES(ロックアップ締結許可)の場合はステップS2へ進み、NO(ロックアップ締結禁止)の場合はステップS7へ進む。
ステップS2では、ステップS1でのロックアップ締結許可との判定に続き、ロックアップクラッチ31を締結するロックアップ締結信号(ロックアップ締結指令)の有無を判定する。YES(ロックアップ締結)の場合はステップS3へ進み、NO(ロックアップ解放)の場合はステップS7へ進む。なお、ロックアップ解放とは、ロックアップ締結信号無しであり、ロックアップクラッチ31を解放することである。
ステップS3では、ステップS2でのロックアップ締結との判定に続き、エンジン回転数センサ15からのエンジン回転数Ne情報に基づき、エンジン1と無段変速機6を含む動力伝達経路10での捩り振動の周波数を取得し、ステップS4へ進む。
ステップS4では、ステップS3での捩り振動の周波数の取得に続き、この捩り振動の周波数が、こもり音が発生するこもり音発生領域(所定の周波数領域の振動が発生する状態)か否かを判定する。YES(こもり音発生領域である)の場合はステップS5へ進み、NO(こもり音発生領域でない)の場合はステップS7へ進む。
ここで、「こもり音」とは、エンジン車の車室内騒音の一つであり、周波数帯域が20〜300Hzの純音に近い、乗員の耳を圧迫するような音である。また、「こもり音」は、エンジン1と無段変速機6を含む動力伝達経路10での捩り振動のうち、エンジン回転数Neの所定の周波数領域(例えば、20〜300Hz)の振動が、エンジン車の車体を伝わり、車室内に騒音として発生される。
ステップS5では、ステップS4でのこもり音発生領域であるとの判定に続き、ドライバのアクセル踏み込み操作速度により加速意図(ドライバの加速意図)無しか否かを判定する。YES(ドライバの加速意図無し)の場合はステップS6へ進み、NO(ドライバの加速意図有り)の場合はステップS7へ進む。なお、「ドライバの加速意図無し」とは、一定の速度で走行するロード・ロード意図(R/L意図)有りとなる。
ここで、「ドライバの加速意図の有無」は、アクセルペダルセンサ19からの入力情報(アクセルペダルの踏込量)に基づき、図外のアクセルペダルの踏込速度(以下、「踏込速度」という。)が所定の踏込速度より小さいか否かから判定する。すなわち、アクセルペダルの踏込量の単位時間(例えば10ms)当たりの増加量(踏込速度)を算出し、この踏込速度(アクセル踏み込み操作速度相当値)が所定の踏込速度(所定値)より小さいか否かを判定する。YES(踏込速度≦所定の踏込速度)の場合は「ドライバの加速意図無し」と判定し、NO(踏込速度>所定の踏込速度)の場合は「ドライバの加速意図有り」と判定する。なお、所定の踏込速度は、予め感応試験等によって設定される。すなわち、それを越えてアクセル踏み込み操作速度が変化することで、ドライバの要求駆動力が高く、速やかなエンジン始動が望まれるという下限値を推定して設定する。
ステップS6では、ステップS5でのロード・ロード意図有りとの判定に続き、CVTコントロールユニット12からコントロールバルブユニット13へ、動吸振器4を動力伝達経路10に締結する動吸振器締結信号が出力され、動吸振器締結となり、エンドへ進む。
ステップS7では、ステップS1でのロックアップ締結禁止との判定、或いは、ステップS2でのロックアップ解放との判定、或いは、ステップS4でのこもり音発生領域でないとの判定に続き、或いは、ステップS5でのドライバの加速意図有りとの判定に続き、CVTコントロールユニット12からコントロールバルブユニット13へ、動吸振器4を動力伝達経路10に締結せずに切り離す(解除する)動吸振器切離信号が出力され、動吸振器切離となり、エンドへ進む。
次に作用を説明する。
実施例1の車両用駆動装置における作用を、「動吸振器脱着処理動作」、「動吸振器の特徴的脱着作用」、「動吸振器の他の特徴的脱着作用」、「動吸振器脱着制御作用」、に分けて説明する。
[動吸振器脱着処理動作]
図3のフローチャートに基づき、動吸振器脱着処理動作の流れを、ロックアップクラッチ31が解放され、動吸振器4が動力伝達経路10から切り離されている「クラッチ解放・動吸振器切離動作」と、ロックアップクラッチ31が締結され、動吸振器4が動力伝達経路10から切り離されている「クラッチ締結・動吸振器切離動作」と、ロックアップクラッチ31が締結され、動吸振器4が動力伝達経路10に締結されている「クラッチ締結・動吸振器締結動作」と、に分けて説明する。
(クラッチ解放・動吸振器切離動作)
まず、図3のフローチャートに基づき、クラッチ解放・動吸振器切離動作の流れを説明し、次に、図4のクラッチ解放・動吸振器切離動作とこの動作におけるトルクコンバータ内の油圧制御について説明する。
エンジン車の走行開始により動吸振器脱着制御を開始すると、図3のフローチャートにおいて、START→ステップS1へと進む。ステップS1では、クラッチ締結禁止信号の有無が判定される。
そして、ステップS1においてロックアップ締結禁止と判定されると、ロックアップクラッチ31が解放され、ステップS1からステップS7へと進む。ステップS7では、CVTコントロールユニット12からコントロールバルブユニット13へ、動吸振器切離信号が出力され、動吸振器切離となる。
また、ステップS1においてロックアップ締結許可と判定されると、ステップS1からステップS2へと進む。ステップS2では、ロックアップ締結信号の有無が判定される。そして、ステップS2においてロックアップ解放と判定されると、ロックアップクラッチ31が解放され、ステップS2からステップS7へと進む。ステップS7では、CVTコントロールユニット12からコントロールバルブユニット13へ、動吸振器切離信号が出力され、動吸振器切離となる。
このように、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS7へ進む場合、または、ステップS1→ステップS2→ステップS7へ進む場合には、ロックアップクラッチ31が解放され、動吸振器4が切り離される。このため、図4に示すように、コントロールバルブユニット13によって、トルクコンバータ3が有するロックアップ油圧室38と動吸振器油圧室39へコンバータ圧の作動油が供給される。
これにより、3つの油室37,38,39が共にコンバータ圧の作動油で満たされ、クラッチ解放状態(クラッチ解放)になると共に動吸振器4が動力伝達経路10から切り離された状態になる。
(クラッチ締結・動吸振器切離動作)
まず、図3のフローチャートに基づき、クラッチ締結・動吸振器切離動作の流れを説明し、次に、図5のクラッチ締結・動吸振器切離動作とこの動作におけるトルクコンバータ内の油圧制御について説明する。
エンジン車の走行開始により動吸振器脱着制御を開始すると、図3のフローチャートにおいて、START→ステップS1へと進む。ステップS1においてロックアップ締結許可と判定され、ステップS1からステップS2へと進む。ステップS2においてロックアップ締結と判定されると、ロックアップクラッチ31が締結され、ステップS2からステップS3→ステップS4へと進む。ステップS3では、捩り振動の周波数が取得され、ステップS4では、この捩り振動の周波数がこもり音発生領域か否かが判定される。そして、ステップS4においてこもり音発生領域でないと判定されると、ステップS4からステップS7へと進む。ステップS7では、CVTコントロールユニット12からコントロールバルブユニット13へ、動吸振器切離信号が出力され、動吸振器切離となる。
また、ステップS4においてこもり音発生領域であると判定されると、ステップS4からステップS5へ進む。ステップS5では、ドライバの加速意図無しか否かが判定される。そして、ドライバの加速意図有りと判定されると、ステップS5からステップS7へ進む。ステップS7では、CVTコントロールユニット12からコントロールバルブユニット13へ、動吸振器切離信号が出力され、動吸振器切離となる。
このように、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS7へ進む場合、または、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS7へ進む場合には、ロックアップクラッチ31が締結され、動吸振器4が切り離される。
このため、3つの油室37,38,39が共にコンバータ圧の作動油で満たされているクラッチ解放状態の場合には、図5に示すように、コントロールバルブユニット13によって、ロックアップ油圧室38のロックアップ圧のみを排出(ドレーン)させると、ロックアップピストン311に作用する差圧(コンバータ圧−ロックアップ圧)と受圧面積A2の積算による締結力により締結される(クラッチ締結状態(クラッチ締結))。なお、ロックアップ油圧室38のロックアップ圧をドレーンすると差圧が最大となり、差圧と受圧面積の積算による高い締結力にて完全ロックアップ締結状態に移行する。これにより、クラッチ締結状態(クラッチ締結)になると共に動吸振器4が動力伝達経路10から切り離された状態になる。
また、後述するクラッチ締結・動吸振器締結動作のようにロックアップクラッチ31が締結され、動吸振器4が締結されている場合には、図5に示すように、コントロールバルブユニット13によって、動吸振器油圧室39へコンバータ圧の作動油が供給される。このとき、ロックアップピストン311には差圧(コンバータ圧−ロックアップ圧)が作用しているため、動吸振器油圧室39へコンバータ圧の作動油が供給されても、クラッチ締結が維持されたまま、動吸振器4が動力伝達経路10から切り離される。これにより、クラッチ締結状態になると共に動吸振器4が動力伝達経路10から切り離された状態になる。つまり、油圧に対するそれぞれのピストン311,43の油圧感度が異なるため(図2)、クラッチ締結状態で、動吸振器4を動力伝達経路10から切り離すことが可能である。
(クラッチ締結・動吸振器締結動作)
まず、図3のフローチャートに基づき、クラッチ締結・動吸振器締結動作の流れを説明し、次に、図6のクラッチ締結・動吸振器締結動作とこの動作におけるトルクコンバータ内の油圧制御について説明する。
エンジン車の走行開始により動吸振器脱着制御を開始すると、図3のフローチャートにおいてステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4へと進む流れは「クラッチ締結・動吸振器切離動作」と同様であるので説明を省略する。ステップS4では、この捩り振動の周波数がこもり音発生領域か否かが判定される。そして、ステップS4においてこもり音発生領域であると判定されると、ステップS4からステップS5へ進む。ステップS5では、ドライバの加速意図無しか否かが判定される。
そして、ドライバの加速意図無しと判定されると、ステップS5からステップS6へ進む。ステップS6では、CVTコントロールユニット12からコントロールバルブユニット13へ、動吸振器締結信号が出力され、動吸振器締結となる。
このように、図3のフローチャートにおいてステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6へ進む場合には、ロックアップクラッチ31が締結され、動吸振器が締結される。
このため、3つの油室37,38,39が共にコンバータ圧の作動油で満たされているクラッチ解放状態の場合には、図6に示すように、コントロールバルブユニット13によって、ロックアップ油圧室38のロックアップ圧と動吸振器油圧室39の動吸振器圧を排出(ドレーン)させると、ロックアップピストン311に作用する差圧(コンバータ圧−ロックアップ圧)と受圧面積A2の積算による締結力により締結される(クラッチ締結状態)。また、脱着ピストン43に作用する差圧(コンバータ圧−ロックアップ圧)と受圧面積A1の積算による締結力により締結される。これにより、クラッチ締結状態(クラッチ締結)になると共に動吸振器4が動力伝達経路10に締結された状態になる。なお、動吸振器圧が排出されても、ロックアップピストン311に作用する差圧も脱着ピストン43に作用する差圧も、クラッチ締結・動吸振器切離動作の場合にロックアップピストン311に作用する差圧と同様である。
また、前述したクラッチ締結・動吸振器切離動作のようにロックアップクラッチ31が締結され、動吸振器4が切り離されている場合には、既にロックアップ油圧室38のロックアップ圧が排出(ドレーン)されているので、図6に示すように、コントロールバルブユニット13によって、動吸振器油圧室39の動吸振器圧のみを排出させる。このとき、ロックアップピストン311には差圧(コンバータ圧−ロックアップ圧)が作用しているため、動吸振器油圧室39の動吸振器圧のみを排出させても、クラッチ締結が維持されたまま、動吸振器4が動力伝達経路10に締結される。これにより、クラッチ締結状態になると共に動吸振器4が動力伝達経路10に締結された状態になる。つまり、油圧に対するそれぞれのピストン311,43の油圧感度が異なるため(図2)、クラッチ締結状態で、動吸振器4を動力伝達経路10に締結することが可能である。
[動吸振器の特徴的脱着作用]
例えば、エンジンに代表される内燃機関が生む直線方向の爆発エネルギを回転方向エネルギに変換する駆動源を有した車両において、エンジン側のクランクシャフトから変速機の入力軸へトルクを伝達するロックアップクラッチ付きトルクコンバータを比較例とする。この比較例のトルクコンバータによれば、ウェイト部材はコイルスプリングを介してクランクシャフトに連結されたフロントカバーに連結されている。このため、ロックアップ解除時、ダイナミックダンパ(動吸振器)として機能し、フロントカバー側の振動を効果的に減衰する。また、ロックアップ作動(連結)時、ウェイト部材は出力側機構の慣性モーメント比を増大させているため、こもり音等の異音発生を抑えることができる。すなわち、ダイナミックダンパ(動吸振器)は、駆動源から出力される駆動力に含まれる振動成分を減衰するデバイスとして大きな効果を持っている。
しかし、比較例のトルクコンバータにあっては、駆動系にダイナミックダンパとして機能するコイルスプリング及びウェイト部材が常に繋がっている。このため、動吸振器はマス(質量)を寄与する構造となっているので、動吸振器を採用する事はイナーシャ(慣性)を増加させてしまう、という課題がある。
これに対し、実施例1では、動吸振器4が有する脱着構造により、動吸振器4が動力伝達経路10から脱着される構成を採用した(図1)。
すなわち、動吸振器4の効果を必要とする条件では、脱着構造により、動吸振器4が動力伝達経路10に締結され、所定の周波数領域の振動を減衰させる。つまり、こもり音の発生原因である所定の周波数領域の振動を減衰させる。また、動吸振器4の効果を必要としない条件では、脱着構造により、動吸振器4が動力伝達経路10から切り離される。この結果、動吸振器4の効果を必要としない条件では、不必要なイナーシャの増加を防止することが可能になる。
[動吸振器の他の特徴的脱着作用]
実施例1では、コンバータ油圧室37に脱着ピストン43と支持プレート42が配置され、脱着構造として、ロックアップピストン311と脱着ピストン43が動力伝達経路10の軸方向に並べられ、ロックアップピストン311と脱着ピストン43との間に支持プレート42が配置された構成を採用した(図4〜図6)。
したがって、コンバータ油圧室37とロックアップ油圧室38の制御油圧により、動吸振器4の動力伝達経路10からの脱着が可能になる。加えて、上記のように配置することにより、従来のコンバータ油圧室とロックアップ油圧室の制御油圧で動吸振器4の動力伝達経路10からの脱着が可能になるので、容易に動吸振器4を動力伝達経路10から脱着させることができる。このため、コストを軽減することもできる。
実施例1では、脱着ピストン43が受けるコンバータ圧の受圧面積A1が、ロックアップピストン311が受けるコンバータ圧の受圧面積A2よりも小さい面積に設定された構成を採用した(図1)。
すなわち、コンバータ圧に対するそれぞれの受圧面積A1,A2を異ならせることで、油圧に対するそれぞれのピストン43,311の油圧感度をずらすことができる(図2)。したがって、ロックアップクラッチ311を締結させている状態で、動吸振器4の脱着が可能になる(図5と図6)。
[動吸振器脱着制御作用]
実施例1では、少なくともクラッチ解放の場合には、動吸振器4が動力伝達経路10から切り離される構成を採用した(クラッチ解放・動吸振器切離動作、図3のステップS1→ステップS7、または、ステップS1→ステップS2→ステップS7、図4)。
すなわち、クラッチ解放の場合、トルクコンバータ3は流体継手として機能するため、動吸振器4と同等の機能を発揮する。このため、クラッチ解放時、こもり音の発生原因である所定の周波数領域の振動が発生しても、この振動は減衰される。したがって、動吸振器4の効果を必要としない条件であるクラッチ解放の場合、不必要なイナーシャの増加を防止することが可能になる。
実施例1では、クラッチ締結かつこもり音発生領域(所定の周波数領域の振動が発生する状態)でないと判定された場合には、動吸振器4が動力伝達経路10から切り離される構成を採用した(クラッチ締結・動吸振器切離動作、図3のステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS7、図5)。
すなわち、クラッチ締結によりトルクコンバータ3が流体継手として機能しなくても、こもり音の発生原因である所定の周波数領域の振動が発生していなければ、動吸振器4の効果を必要としない。したがって、動吸振器4の効果を必要としない条件では、不必要なイナーシャの増加を防止することが可能になる。
実施例1では、少なくともドライバの加速意図有りと判定された場合には、動吸振器4が動力伝達経路10から切り離される構成を採用した(クラッチ締結・動吸振器切離動作、図3のステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS7、図5)。
すなわち、ドライバの加速意図が有りと判定される場合には、エンジントルク及びエンジン回転数Neの上昇を優先させたいので、こもり音の発生原因である所定の周波数領域の振動を減衰する振動減衰要求よりも、エンジントルク及びエンジン回転数Neを上昇させる上昇要求の方が高い。また、動吸振器4が動力伝達経路10に締結されていると、エンジントルク及びエンジン回転数Neの上昇の妨げになるイナーシャが増加してしまう。このため、少なくともドライバの加速意図有りと判定された場合には、こもり音発生領域(所定の周波数領域の振動が発生する状態)か否かにかかわらず、動吸振器4が動力伝達経路10から積極的に切り離される。したがって、動吸振器4の効果を必要としない条件であるドライバの加速意図が有りと判定される場合、不必要なイナーシャの増加を防止し、エンジントルク及びエンジン回転数Neの上昇を優先することができる。加えて、ドライバの加速意図が有りと判定される場合には、エンジントルク及びエンジン回転数Neが上昇するので、その所定の周波数領域を短時間で通過する。このため、こもり音の発生原因である所定の周波数領域の振動が発生する時間は比較的短い時間である。すなわち、直ぐに振動の発生が治まる。したがって、その振動を減衰するために動吸振器4を動力伝達経路10に締結しなくて良い。これにより、動吸振器4を動力伝達経路10から切り離し、不必要なイナーシャの増加を防止することが可能になる。
実施例1では、クラッチ締結かつこもり音発生領域(所定の周波数領域の振動が発生する状態)であると判定され、さらにドライバの加速意図無しと判定された場合には、動吸振器4が動力伝達経路10に締結される構成を採用した(クラッチ締結・動吸振器締結動作、図3のステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6、図6)。
すなわち、この場合には、動吸振器4が動力伝達経路10に締結されなければ、こもり音の発生原因である所定の周波数領域の振動を減衰することができない。したがって、動吸振器4の効果を必要とする条件では、動吸振器4を動力伝達経路10に締結することにより、こもり音の発生原因である所定の周波数領域の振動を減衰することが可能になる。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両用駆動装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) エンジン1と変速機(無段変速機6)との間に発進要素(トルクコンバータ3)を備えた車両用駆動装置において、
発進要素(トルクコンバータ3)に、エンジン1と変速機(無段変速機6)を含む動力伝達経路10での捩り振動のうち、所定の周波数領域の振動(こもり音)を減衰させる動吸振器4を設け、
動吸振器4は、動力伝達経路10から脱着可能な脱着構造を有する(図1)。
このため、動吸振器4の効果を必要としない条件では、不必要なイナーシャの増加を防止することが可能になる。
(2) 発進要素は、コンバータ油圧室37とロックアップ油圧室38を有するロックアップクラッチ31付きトルクコンバータ3であり、
ロックアップクラッチ31は、クラッチプレート312と、クラッチプレート312をトルクコンバータ3のコンバータカバー35から断接するロックアップピストン311と、を有し、
動吸振器4は、質量体(マス41)と、質量体(マス41)を支持する支持プレート42と、支持プレート42を動力伝達経路10から脱着させる脱着ピストン43とを有すると共に、コンバータ油圧室37に配置され、
脱着構造として、ロックアップピストン311と脱着ピストン43を動力伝達経路10の軸方向に並べ、ロックアップピストン311と脱着ピストン43との間に支持プレート42を配置した(図1)。
このため、(1)の効果に加え、コンバータ油圧室37とロックアップ油圧室38の制御油圧により、動吸振器4の動力伝達経路10からの脱着が可能になる。
(3) 脱着ピストン43が受けるコンバータ圧の受圧面積A1を、ロックアップピストン311が受けるコンバータ圧の受圧面積よりも小さい面積A2に設定した(図1)。
このため、(2)の効果に加え、ロックアップクラッチ311を締結させている状態で、動吸振器4の脱着が可能になる。
(4) 脱着ピストン43により動吸振器4を動力伝達経路10から脱着する動吸振器脱着制御手段(CVTコントロールユニット12)を有し、
動吸振器脱着制御手段(CVTコントロールユニット12)は、少なくともロックアップクラッチ31がクラッチ解放と判定された場合、動吸振器4を動力伝達経路10から切り離す(図3と図4)。
このため、(2)または(3)の効果に加え、動吸振器4の効果を必要としない条件であるクラッチ解放の場合、不必要なイナーシャの増加を防止することが可能になる。
(5) 脱着ピストン43により動吸振器4を動力伝達経路10から脱着する動吸振器脱着制御手段(CVTコントロールユニット12)を有し、
動吸振器脱着制御手段(CVTコントロールユニット12)は、少なくともドライバの加速意図有りと判定された場合には、動吸振器を動力伝達経路10から切り離す(図3と図5)。
このため、(2) または(3)の効果に加え、動吸振器4の効果を必要としない条件であるドライバの加速意図有りと判定される場合、不必要なイナーシャの増加を防止し、エンジントルク及びエンジン回転数Neの上昇を優先することができる。
(6) 脱着ピストン43により動吸振器4を動力伝達経路10から脱着する動吸振器脱着制御手段(CVTコントロールユニット12)を有し、
動吸振器脱着制御手段(CVTコントロールユニット12)は、ロックアップクラッチ311がクラッチ締結と判定され、所定の周波数領域の振動(こもり音)が発生する状態と判定され、ドライバの加速意図無しと判定された場合には、動吸振器4を動力伝達経路10へ締結する(図3と図6)。
このため、(2) または(3)の効果に加え、動吸振器4の効果を必要とする条件では、動吸振器4を動力伝達経路10に締結することにより、こもり音の発生原因である所定の周波数領域の振動を減衰することが可能になる。
実施例2は、実施例1のロックアップピストン311と脱着ピストン43との間にバネ(付勢部材)を加えた例である。
図7と図8に基づき実施例2の要部構成を説明する。
前記バネ(付勢部材)50は、図7に示すように、ロックアップピストン311と脱着ピストン43との間に配置されている。このバネ50は、動吸振器4が動力伝達経路10から切り離される切離方向(図7の矢印B)へ脱着ピストン43を付勢する。
また、実施例2では、図7に示すように、実施例1と同様、脱着ピストン43が受けるコンバータ圧の受圧面積A1は、ロックアップピストン311が受けるコンバータ圧の受圧面積A2よりも小さい面積に設定されている(A1<A2)。
このため、コンバータ圧に対するそれぞれの受圧面積A1,A2が異なるのに加え、ロックアップピストン311と脱着ピストン43との間にバネ50を配置したので、図8に実線で示すように、油圧に対するそれぞれのピストン311,43の油圧感度をずらすことができる。また、例えば、受圧面積A1が受圧面積A2と同じ面積に設定されている場合(A1=A2)でも、バネ50を配置したことにより、図8に油圧に対する脱着ピストン43の油圧感度を破線で示すように、油圧に対するそれぞれのピストン311,43の油圧感度(作動油圧)をずらすことができる。なお、受圧面積A1,A2の変更により、図8の油圧に対するそれぞれのピストン311,43の油圧感度が変更される。また、バネ50の剛性を変更することにより、図8の油圧に対する脱着ピストン43の油圧感度が変更される。
なお、他の構成は、実施例1と同様であるので、不図示または対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。また、動吸振器脱着処理構成も実施例1と同様であるので説明を省略する。
次に、作用を説明すると、実施例2では、ロックアップピストン311と脱着ピストン43との間に、脱着ピストン43を切離方向へ付勢するバネ50が配置された構成を採用した(図7)。
すなわち、2つのピストン43,311の間にバネ50を配置することで、バネ50が脱着ピストン43を切離方向へ付勢するバネ反力によって、油圧に対するそれぞれのピストン43,311の油圧感度をずらすことができる(図8)。したがって、ロックアップクラッチ31を締結させている状態で、動吸振器4の脱着が可能になる(図5と図6)。さらに、2つのピストン43,311の間にバネ50を配置することで、油圧が低圧側の場合、脱着ピストン43の油圧感度とロックアップピストン311の油圧感度の間でバネ反力分の差を付けることができる(図8)。
なお、実施例1のロックアップピストン311と脱着ピストン43との間にバネ(付勢部材)を加えたのみで、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
次に、効果を説明する。
実施例2の車両用駆動装置にあっては、実施例1の(4)〜(6)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
(7) ロックアップピストン311と脱着ピストン43との間に、動吸振器4が動力伝達経路10から切り離される切離方向(図7の矢印B)へ脱着ピストン43を付勢する付勢部材(バネ50)を配置した。
このため、(1)〜(3)の効果に加え、油圧が低圧側の場合、脱着ピストン43の油圧感度とロックアップピストン311の油圧感度の間でバネ反力分の差を付けることができる。
以上、本発明の車両用駆動装置を実施例1〜実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1〜実施例2では、発進要素をトルクコンバータ3とする例を示した。しかしながら、発進要素を発進クラッチとする例としても良い。例えば、発進クラッチは、電磁パウダ式のクラッチでも良いし、乾式クラッチ(例えば、マニュアル変速による車両)であっても良い。
実施例1〜実施例2では、図3のステップS3では、エンジン回転数センサ15からのエンジン回転数Ne情報に基づき、エンジン1と無段変速機6を含む動力伝達経路10での捩り振動の周波数を取得する例を示した。しかしながら、CVT出力回転数センサ17からの情報と変速比の情報に基づき、エンジン1と無段変速機6を含む動力伝達経路10での捩り振動の周波数を取得しても良い。要するに、エンジン1と無段変速機6を含む動力伝達経路10での捩り振動の周波数が取得できれば良い。
実施例1〜実施例2では、図3のステップS4では、所定の周波数領域の振動が発生する状態としてこもり音発生領域か否かを判定する例を示した。しかしながら、所定の周波数領域の振動が発生する状態として車室内に発生するエンジン音発生領域か否かを判定しても良い。
実施例1〜実施例2では、図3のステップS5では、ドライバの加速意図の有無を、アクセルペダルの踏込速度から判定する例を示した。しかしながら、ドライバの加速意図の有無を、アクセル開度APOまたはアクセル開度変化量に基づき、判定する例としても良い。以下、「アクセル開度APOに基づきドライバの加速意図の有無を判定する場合」と、「アクセル開度変化量に基づきドライバの加速意図の有無を判定する場合」と、に分けて説明する。
(アクセル開度APOに基づきドライバの加速意図の有無を判定する場合)
ドライバの加速意図の有無を、アクセル開度センサ18からの入力情報に基づき、アクセル開度APOが所定のアクセル開度より小さいか否かを判定する例としても良い。このように判定する場合、例えば、アクセル開度APOを8段階とした場合に、アクセル開度センサ18からの入力情報が4段階(所定のアクセル開度)よりも小さいか否かを判定する。YES(APO≦4/8)の場合は「ドライバの加速意図無し」すなわち図3のステップS6へ進み、NO(APO>4/8)の場合は「ドライバの加速意図有り」すなわち図3のステップS7へ進む。なお、所定のアクセル開度は、予め実験等によって設定される。
(アクセル開度変化量に基づきドライバの加速意図の有無を判定する場合)
ドライバの加速意図の有無を、アクセル開度センサ18からの入力情報から、単位時間(例えば10ms)当たりのアクセル開度変化量が所定の変化量より小さいか否かを判定する例としても良い。すなわち、アクセル開度APOの単位時間当たりのアクセル開度変化量(増加量)ΔAPOを算出し、このアクセル開度変化量ΔAPO(アクセル踏み込み操作速度相当値)が所定の変化量(所定値)より小さいか否かを判定する。YES(ΔAPO≦所定の変化量)の場合は「ドライバの加速意図無し」すなわち図3のステップS6へ進み、NO(ΔAPO>所定の変化量)の場合は「ドライバの加速意図有り」すなわち図3のステップS7へ進む。なお、所定の変化量は、予め感応試験等によって設定される。すなわち、それを越えてアクセル踏み込み操作速度が変化することで、ドライバの要求駆動力が高く、速やかなエンジン始動が望まれるという下限値を推定して設定する。
また、上記のドライバの加速意図の有無を、アクセルペダルの踏込速度、アクセル開度APO及びアクセル開度変化量のうち、2つ以上からドライバの加速意図の有無を判定してもよい。要するに、ドライバの加速意図の有無を判定することができればよい。
実施例1〜実施例2では、本発明の車両用駆動装置を、無段変速機6を搭載したエンジン車に適用する例を示した。しかし、本発明の車両用駆動装置は、駆動源にエンジン1が搭載された車両であれば、ハイブリッド車に対しても適用することができるし、変速機としても、有段階の自動変速を行う有段変速機であっても良い。要するに、発進要素を、エンジンと変速機の間に備えた車両であれば適用できる。
1 エンジン
3 トルクコンバータ(発進要素)
31 ロックアップクラッチ
311 ロックアップピストン
312 クラッチプレート
35 コンバータカバー
37 コンバータ油圧室
38 ロックアップ油圧室
39 動吸振器油圧室
4 動吸振器
41 マス(質量体)
42 支持プレート
43 脱着ピストン
6 無段変速機(変速機)
10 動力伝達経路
12 CVTコントロールユニット(CVTCU、動吸振器脱着制御手段)
18 アクセル開度センサ
19 アクセルペダルセンサ
50 バネ(付勢部材)
A1 脱着ピストン43が受けるコンバータ圧の受圧面積
A2 ロックアップピストン311が受けるコンバータ圧の受圧面積

Claims (6)

  1. エンジンと変速機との間に発進要素を備えた車両用駆動装置において、
    前記発進要素は、コンバータ油圧室とロックアップ油圧室を有するロックアップクラッチ付きトルクコンバータであり、
    前記ロックアップクラッチは、クラッチプレートと、前記クラッチプレートを前記トルクコンバータのコンバータカバーから断接するロックアップピストンと、を有し、
    前記発進要素に、前記エンジンと前記変速機を含む動力伝達経路での捩り振動のうち、所定の周波数領域の振動を減衰させる動吸振器を設け、
    前記動吸振器は、質量体と、前記質量体を支持する支持プレートと、前記支持プレートを前記動力伝達経路から脱着させる脱着ピストンとを有すると共に、前記コンバータ油圧室に配置され、
    前記動吸振器は、前記動力伝達経路から脱着可能な脱着構造を有し、
    前記脱着構造として、前記ロックアップピストンと前記脱着ピストンを前記動力伝達経路の軸方向に並べ、前記ロックアップピストンと前記脱着ピストンとの間に前記支持プレートを配置した
    ことを特徴とする車両用駆動装置。
  2. 請求項1に記載された車両用駆動装置において、
    前記脱着ピストンが受けるコンバータ圧の受圧面積を、前記ロックアップピストンが受けるコンバータ圧の受圧面積よりも小さい面積に設定した
    ことを特徴とする車両用駆動装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された車両用駆動装置において、
    前記ロックアップピストンと前記脱着ピストンとの間に、前記動吸振器が前記動力伝達経路から切り離される切離方向へ前記脱着ピストンを付勢する付勢部材を配置した
    ことを特徴とする車両用駆動装置。
  4. 請求項1から請求項3までの何れか一項に記載された車両用駆動装置において、
    前記脱着ピストンにより前記動吸振器を前記動力伝達経路から脱着する動吸振器脱着制御手段を有し、
    前記動吸振器脱着制御手段は、少なくとも前記ロックアップクラッチがクラッチ解放と判定された場合、前記動吸振器を前記動力伝達経路から切り離す
    ことを特徴とする車両用駆動装置。
  5. 請求項1から請求項3までの何れか一項に記載された車両用駆動装置において、
    前記脱着ピストンにより前記動吸振器を前記動力伝達経路から脱着する動吸振器脱着制御手段を有し、
    前記動吸振器脱着制御手段は、少なくともドライバの加速意図有りと判定された場合には、前記動吸振器を前記動力伝達経路から切り離す
    ことを特徴とする車両用駆動装置。
  6. 請求項1から請求項3までの何れか一項に記載された車両用駆動装置において、
    前記脱着ピストンにより前記動吸振器を前記動力伝達経路から脱着する動吸振器脱着制御手段を有し、
    前記動吸振器脱着制御手段は、前記ロックアップクラッチがクラッチ締結と判定され、前記所定の周波数領域の振動が発生する状態と判定され、ドライバの加速意図無しと判定された場合には、前記動吸振器を前記動力伝達経路へ締結する
    ことを特徴とする車両用駆動装置。
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