JP6427177B2 - 金属鋳造用の鋳型及び中子を製造するための無機バインダに基づくリチウム含有鋳型材料混合物の製造方法、リチウム含有無機バインダ、及び、鋳造用鋳型又は中子の製造方法 - Google Patents

金属鋳造用の鋳型及び中子を製造するための無機バインダに基づくリチウム含有鋳型材料混合物の製造方法、リチウム含有無機バインダ、及び、鋳造用鋳型又は中子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属鋳造用の鋳型及び中子を製造するための無機バインダに基づく鋳型材料混合物に関する。鋳型材料混合物は、耐熱性鋳型原料と、1つ以上のリチウム化合物と、無機バインダとして少なくとも水ガラスと、添加物として非晶質シリカと、を備える。加えて、本発明は、鋳型材料混合物を製造するための成分系と、リチウム含有無機バインダと、鋳型材料混合物を用いて鋳型及び中子を製造する方法と、その方法を用いて製造される鋳型及び中子と、に関する。
鋳造用鋳型は、本質的に、製造される鋳物のネガ形状を表す鋳型又は鋳型と中子との組み合わせから作られる。これらの中子及び鋳型は、例えばケイ砂のような耐熱性材料と、鋳造用鋳型を成形用金型(molding tool.)から取り外した後において鋳造用鋳型に十分な機械的強度を与える適切なバインダと、からなる。耐熱性鋳型原料は、適当な型に充填されてそこで圧縮され得るように、好ましくは自由流動形態で存在する。バインダは、鋳造用鋳型が所望の機械的安定性を実現するように、鋳型原料の粒子間の堅固な密着をもたらす。
鋳造用鋳型は、種々の要求を満たさなければならない。まず、実際の鋳造工程において、鋳造用鋳型は、1つ以上の(部分的な)鋳造用鋳型によって形成される空洞内に液体金属を受けることができるように、十分な強度と温度耐性とを示さなければならない。固化工程が始まった後、鋳型の機械的安定性は、鋳造用鋳型の壁に沿って形成される固化金属層によって保証される。
鋳造用鋳型の材料は、金属から放出される熱の影響下で、鋳造用鋳型の機械的強度を失い、従って耐熱性材料の個々の粒子間の凝集力を排除するように、割れ落ちなければならない。理想的には、鋳造用鋳型は、細かい砂に再び割れ落ちて、鋳造品から容易に取り除くことができる。
鋳造用鋳型は鋳造工程中に非常に高い熱的及び機械的ストレスにさらされるので、液体金属と鋳造用鋳型との間の接触面において欠陥が形成され得る。欠陥は、例えば、鋳造用鋳型が割れるために、又は、液体金属が鋳造用鋳型の微小構造内に浸透するために、形成される。通常、それゆえ、液体金属と接触することになる鋳造用鋳型の表面には、コアウォッシュ(core wash)としても知られる保護コーティングが施される。
従って、これらのコーティングにより、鋳造用鋳型の表面は、修整されて処理される金属の特性に合わせることができる。例えば、コアウォッシュは鋳型材料の粒子径により引き起こされる凹凸をならすので、コアウォッシュは、滑らかな表面を製造することによって、鋳造物の外観を改善することができる。鉄及び鋼の鋳造において、鋳造物の表面に、例えば、孔状の、粗化若しくは鉱化した表面、欠け、窪み若しくはピンホールの欠陥が時々形成され、又は、白若しくは黒の被覆が形成される。
上述の欠陥が発生すると、所望の表面特性を達成するために、鋳造物の表面の複雑な後処理が必要になる。これは、追加の作業ステップを必要とし、従って、生産性の低下又はコストの増加をもたらすだろう。アクセスしにくい又は完全にアクセスできない鋳造物の表面に欠陥が現れると、これは鋳造物の損失にもつながり得る。
加えて、例えば、添加物がコアウォッシュを介して鋳造物の表面において選択的に鋳造物内に移動する点において、コアウォッシュは鋳造物に金属学的に作用し、鋳造物の表面特性を向上させることができる。
加えて、コアウォッシュは、鋳造時に液体金属から鋳造用鋳型を化学的に分離させる層を形成する。この方法では、困難なく鋳造用鋳型から鋳造物を取り除くことができるように、鋳造物と鋳造用鋳型との間のいかなる密着も防がれる。しかしながら、コアウォッシュは、液体金属と鋳造用鋳型との間の熱伝達を系統的に制御するために、例えば、冷却速度によってある金属微小構造の成長を実現するために、用いることもできる。
コアウォッシュは通常、無機耐熱性材料と、適切な溶媒中に溶解又は懸濁したバインダと、からなる。可能であれば、アルコール含有コアウォッシュの使用は避けられるべきであり、代わりに、乾燥処理中に有機溶媒が排出されるので水溶液系が用いられるべきである。
有機バインダ及び無機バインダは、両方とも鋳型を製造するために用いることができ、各々の場合に冷間法又は熱間法を用いて硬化させることができる。冷間法は、本質的に中子の製造に用いられる成形用金型を加熱することなく実行されるこの種の方法に適用される名称である。硬化は、例えば、硬化される鋳型材料混合物にガスを通過させて、従って化学反応を引き起こすことによって、達成される。熱間法では、鋳型材料混合物は、成形後に、例えば、熱間の成形用金型によって、バインダ内に含有される溶媒を排出させるために、及び/又は、バインダを硬化させる化学反応を開始させるために、加熱される。
それらの技術的特徴のため、有機バインダは、現在は市場においてより重要である。しかしながら、それらの成分に関係なく、有機バインダは、鋳造時及び処理において分解し、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の有害物質を時々相当の量で排出するという欠点を有する。加えて、有機バインダによる鋳造は、概して、臭気又はガスの公害をもたらす。あるシステムでは、鋳造用鋳型の製造及び/又は保管の間に望ましくない排出も起こる。たとえ経年的に排出量を減らすことが可能であったとしても、有機バインダによる放出を完全に避けることはできない。
この理由により、近年、調査及び開発の活動は、無機バインダに再び転換しており、これら並びにこれらを用いて製造される鋳型及び中子の製品特性をさらに改良することが目的となっている。
無機バインダは、長い間、特に水ガラス系のものが知られている。それらは、20世紀の50年代及び60年代において幅広い用途が見出されたが、近代的な有機バインダの出現によってすぐに重要性が失われた。水ガラスを硬化させるために3つの異なる方法が利用可能である:
−例えば、CO、空気又は2つの組み合わせのガスをバインダに通過させる。
−液体又は固体の硬化剤、例えば、エステルを添加させる。及び、
−Hot Box法又はマイクロ波処理により熱硬化させる。
水ガラスの熱硬化は、例えば、アルカリ水ガラス及びケイ酸アルミニウムからなるバインダシステムが記載された特許文献1において議論されている。
しかしながら、無機バインダシステムの使用は、以下の記載で詳細に説明される他の欠点に関連する。
無機バインダの1つの欠点は、それらから製造される鋳造用鋳型が比較的低い強度を有することである。これは、装置から鋳造用鋳型を取り外した直後に特に現れる。この時の強度は、熱間強度としても知られ、複雑な又は薄壁の鋳造品の製造、及び、それらの安全な取扱いのために特に重要である。しかしながら、冷間強度、即ち、鋳造用鋳型の完全な硬化後の強度もまた、要求された寸法精度で製造される所望の鋳造のための重要な基準である。
加えて、有機バインダに比べて無機バインダの比較的高い粘度は、鋳造部品の自動化された大量生産において、無機バインダの使用について不利な作用を奏する。
鋳型材料混合物の低い流動性により高粘度となるため、例えば複雑な及び/又は薄壁の鋳造部品の製造に要求されるような精巧な中空鋳型は、十分に圧縮することができない。
無機バインダのさらなる重要な欠点は、高湿気の存在下での比較的短い保存可能期間である。大気湿度は、相対湿度によって与えられる温度での百分率として、又は、絶対大気湿度によってg/mで、表される。熱間硬化によって及び無機バインダを用いて製造される鋳造用鋳型の保存可能期間は、明確に低下し、特に、絶対大気湿度10g/mにおいて、特に熱間硬化によって製造されたものについて、保管中の鋳造用鋳型の強度の明確な低下を通して顕著である。特に熱間硬化の場合におけるこの作用は、空気からの水による重縮合の逆反応に起因し、バインダ架橋の軟化につながる。
そのような保管条件下での強度の低下は、いわゆる保管割れの出現としばしばん関連する。強度の低下は、鋳造用鋳型の微小構造を弱くし、ある点で高い機械的応力の領域において、鋳造用鋳型の容易な破壊につながり得る。
高い大気湿度での保存可能期間に加え、無機バインダを用いて熱間硬化された中子は、有機バインダに比べて、コアウォッシュなどの水性鋳型材料コーティングに対し低い耐性を有する。換言すれば、それらの強度は、例えば水性コアウォッシュを用いたコーティングによって大きく低下し、この方法は大きな困難を伴って実施され得るのみである。
特許文献2は、耐熱性鋳型原料、水ガラス系バインダ及びわずかな粒子状非晶質シリカの使用により、高強度及び向上した保存可能期間が達成できることを開示する。ここでの硬化方法として、特に熱間硬化が非常に詳細に説明されている。保存可能期間を長くするための他の可能性は、例えば特許文献3で説明された、有機ケイ素化合物の使用である。
オウス(Owusu)が報告するように、熱間硬化の場合に無機バインダの保存可能期間が特に問題を示す一方、COを用いて硬化させた鋳造用鋳型は高い大気湿度に対して明らかにより高い耐性を示す(非特許文献1)。オウスは、LiCO又はZnCO等の無機添加物の添加によって、保存可能期間が延長できることを開示している。オウスは、これらの添加物の低い溶解性及び含まれる陽イオンの高い水和数が、ケイ酸ゲルの安定性に対して、従って水ガラスバインダの保存可能期間に対して、好ましい作用を奏すると推測している。しかしながら、液体無機バインダの成分を変更することによって保存可能期間を延ばすことは、非特許文献1では研究されていない。
水ガラスバインダの耐湿性を向上させることは、特許文献4及び特許文献5に記載されている。特許文献4は、アルカリケイ酸塩水溶液に基づいて、リチウム含有バインダを製造するための種々の方法を特に述べている。特許文献4で説明されるバインダは、NaO及び/又はKO:LiO:SiOの重量比が0.80〜0.99:0.01〜0.20:2.5〜4.5の範囲内にあり、それは、0.02〜0.44のLiO/MO物質量比及び1.8〜8.5のSiO/MOモル比に相当する。ここで、[MO]は、アルカリ酸化物の物質量の合計を示す。ここで説明されるバインダは、向上した耐水性を有し、即ち、重量測定の研究から実証されたように、大気からの水を吸収しにくい。鋳造用鋳型の製造が可能な応用として列挙されているが、製造された鋳型の強度については何も記載されておらず、ましてそれらの保存可能期間についても記載されていない。
特許文献5は、ケイ酸ナトリウム水溶液と、特に好ましくは水酸化リチウム及びケイ酸リチウムであるリチウム化合物の溶液とからなる無機バインダを製造する方法を記述している。リチウム化合物は、バインダの耐湿性を向上させるために添加される。特許文献5によるアルカリケイ酸塩は、0.05〜0.44のLiO/MO(MO=LiO+NaO)モル比を有する。
米国特許第5474606号明細書 欧州特許第1802409号明細書 米国特許第6017978号明細書 独国特許出願公開第2652421号明細書 米国特許第4347890号明細書
Owusu, AFS Transactions, Vol. 88 , 1980 , p. 601-608
鋳物工場で使用される既知の無機バインダシステムは、まだ改良の余地がある。とりわけ、以下の無機バインダシステムを開発することが望ましい:
a)高大気湿度でも保管中に安定な鋳造用鋳型を製造することを可能とする。十分な保存可能期間は、鋳型が製造された後でより長い期間の鋳型の保管を可能とするために、従って製造工程のプロセスウィンドウの拡大のために、特に望ましい。
b)自動化された製造工程において必要な適切な強度レベル、特に十分な熱間強度又は冷間強度、を達成すること。
c)鋳型原料を用いて、複雑な形状の鋳造用鋳型も得られるように、良好な流動性の鋳型材料混合物を提供すること。鋳型材料混合物の流動性は、バインダの粘度に直接依存するため、前記粘度はできるだけ低下させるべきである。
d)製造された中子が、キャリア液体(Tragerflussigkeit)のうち少なくとも50%の水分を有する鋳型材料コーティングに対して改良された安定性を有する、鋳造用鋳型を製造可能とすること。キャリア液体は、160℃及び常圧(1013mbar)において蒸発し得る、鋳型材料コーティングの成分である。そのような水性鋳型材料コーティングは、環境面及び労働安全上の理由から好ましいため、それらを無機バインダから製造された鋳造用鋳型のために使用することも望ましい。
e)バインダは単一の使用に意図されているのみであるので、鋳物工場の低コストにつながること。需要の増加によりリチウム化合物のコストは最近かなり上昇しているので、特にバインダ内のリチウム成分は低くなるように選択されるべきである。
それゆえ、本発明は、上述の(a)から(e)の要求を満たす、金属鋳造用の鋳造用鋳型を製造するためのバインダの鋳型材料混合物を提供することを目的とする。
この目的は、それぞれの独立請求項の特徴を備える、鋳型材料混合物、バインダ、並びに、鋳造用鋳型及び中子を製造する方法によって達成される。有利なさらなる進歩は、本願の従属請求項の主題を形成するか、又は以下に記載されているだろう。
驚くことに、それぞれ以下の定義による規定の量的成分比[Liactive]/[MO](M=アルカリ金属)及び規定のモル比[SiO]/[MO]を有する無機バインダに基づく、リチウム含有鋳型材料混合物の使用を通じて、上述の課題は明らかにより効果的に達成され得る。
特に、本発明による鋳型材料混合物は、それから製造された鋳造用鋳型が高強度レベルとともに向上した保存可能期間を有するという事実により特徴づけられる。同時に、本発明による鋳型材料混合物によって製造された鋳造用鋳型は、水性鋳型材料コーティングに対しより安定であり、即ち、鋳型材料コーティングはキャリア液体のうち少なくとも50重量%の水分を有する。これらの好ましい特徴は、バインダの低い粘度、従って、本発明による鋳型材料混合物の向上した流動性、により達成される。[Liactive]/[MO]モル比及び[SiO]/[MO]モル比が良く定義されたある範囲内になり、同時に、非晶質粒子状シリカが鋳型材料混合物に添加される場合にのみ、これらの利点が達成することができることは驚きである。
先行技術に比べて、本発明による鋳型材料混合物は、鋳造用鋳型の強度又は鋳型材料混合物の流動性の点で妥協することなく、十分な保存可能期間と水性鋳型材料コーティングに対しさらに優れた安定性を備える鋳造用鋳型を鋳物工場が製造することを可能にする。
本発明による鋳型材料混合物は、以下を有する:
・耐熱性鋳型原料;及び、
・粒子状非晶質SiO及び、
・無機バインダとして水ガラス
・1つ以上のリチウム化合物
ここで、鋳型材料内の[Liactive]/[MO]モル比は0.030〜0.17となり、好ましくは0.035〜0.16であり、特に好ましくは0.040〜0.14であり、[SiO]/[MO]モル比は1.9〜2.47となり、好ましくは1.95〜2.40であり、特に好ましくは2〜2.30である。
本発明による[SiO]、[MO]及び[Liactive]は、常に以下の意味を有する。
[MO]アルカリ金属Mの物質量(mol)であり、MOとして算出され、最終的に以下の化合物のみが計算に用いられる:非晶質アルカリケイ酸塩、アルカリ金属酸化物及びアルカリ金属水酸化物、それらの水和物を含む、Liは活量係数無しでMの一部として計算に用いられる。
[Liactive]Liの物質量(mol)であり、LiOとして算出され、最終的に以下の化合物のみが計算に用いられる:非晶質ケイ酸リチウム、酸化リチウム及び水酸化リチウム、それらの水和物を含む、活量係数を考慮し以下の体系による。
[SiO]Siの物質量(mol)であり、SiOとして算出され、最終的に以下の化合物のみが計算に用いられる:非晶質アルカリケイ酸塩。
一の実施形態によれば、金属処理用の鋳造用鋳型を製造するための本発明による鋳型材料混合物は、好ましくは、最初は互いに別々の少なくとも以下の3つの成分を一緒にすることによって製造することができる。
・成分(F)は、耐熱性鋳型原料を備え、水ガラスは不含。
・成分(B)は、無機バインダとして水ガラスを備え、粒子状非晶質SiOは不添加。
・成分(A)は、添加成分として粒子状非晶質SiOと、任意に固体としての1つ以上のリチウム化合物と、を備え、水ガラスは不含。
成分(A)は、添加剤と呼ばれる。本発明の本実施形態によれば、成分(A)を含む成分(B)は、0.030〜0.17の[Liactive]/[MO]モル比を有し、好ましくは0.035〜0.16であり、特に好ましくは0.040〜0.14であり、また、1.9〜2.47の[SiO]/[MO]モル比を有し、好ましくは1.95〜2.40であり、特に好ましくは2〜2.30である。
驚くことに、本発明のリチウム化合物の活量は使用されるリチウム化合物を使用する方法に依存し、従って、上記の化合物が異なる活量を有する、ことが見出された。この事実は、以下のように定義された活量係数(体系)を使用して、活性化合物の規定外のリチウム成分を規定する、活性成分[Liactive]を定義することによって考慮される:
[Liactive]=1*非晶質ケイ酸リチウム(無機バインダ成分(B)を介して添加されmol LiOとして算出される)+
1*酸化リチウム(無機バインダ成分(B)を介して添加されmol LiOとして算出される)+
1*水酸化リチウム(無機バインダ成分(B)を介して添加されmol LiOとして算出される)+
0.33*非晶質ケイ酸リチウム(バインダ(B)を介して添加されずmol LiOとして算出される)+
0.33*酸化リチウム(無機バインダ(B)を介して添加されずmol LiOとして算出される)+
0.33*水酸化リチウム(バインダ(B)を介して添加されずmol LiOとして算出される)であり、
(*は乗算記号)
それらの水和物を含む。それぞれの場合において、0.33又は1は、(モル)活量係数である。
[MO]、[SiO]及び[Liactive]の上記定義は、本発明の全ての実施形態及びカテゴリー、即ち[KO]/[MO]の定義を含む、に適用される。
驚くことに、算出されたモル[LiO]に基づくと、無機バインダ(B)に概して/好ましくは溶解している成分を介して添加される非晶質ケイ酸リチウム、酸化リチウム又は水酸化リチウムのモル量と比べて、これらの化合物が添加成分を介して添加される場合、3倍の(モル)非晶質ケイ酸リチウム、酸化リチウム又は水酸化リチウムを用いる必要があることが見出された。
特に好ましくは、リチウム化合物(1又は複数)は、無機バインダ(B)成分に完全に溶解する。そのような成分(B)は、無機バインダとして水ガラスを含有し、以下を有する。
・1.9〜2.47の[SiO]/[MO]モル比であり、好ましくは1.95〜2.40であり、特に好ましくは2〜2.30である。及び、
・0.030〜0.17の[Liactive]/[MO]モル比であり、好ましくは0.035〜0.16であり、特に好ましくは0.040〜0.14である。
添加成分は、特に自由流動性粉末の形態である、1つ以上の固体からなる。好ましくは、[Liactive]成分に寄与する全てのリチウム化合物は成分Bに存在する。
鋳造用鋳型を製造するための通常の材料が、耐熱性鋳型原料(以下では、鋳型原料(1又は複数)と呼ばれる。)として用いることができる。例えば、石英、ジルコニア又はクロミアの砂、かんらん石、バーミキュライト、ボーキサイト、及び、耐火粘土が適している。専ら新しい砂だけを使用する必要はない。資源を節約し廃棄コストを避けるために、再生された古い砂の量をできるだけ多く使用することが有利である。
例えば、好適な砂は、国際公開第2008/101668号(米国特許出願公開第2010/173767号明細書)に記載されている。その他に好適なものは、洗浄及びその後の乾燥により得られた再生材料である。純粋に機械的処理により得られた再生材料を用いることもできる。通例、再生材料は、新しい砂の少なくとも70重量%を置き換えることができ、好ましくは少なくとも約80重量%であり、特に好ましくは少なくとも約90重量%である。
鋳型原料の平均直径は概して100μmと600μmとの間であり、好ましくは120μmと550μmとの間であり、特に好ましくは150μmと500μmとの間である。粒子径は、例えば、DIN 66165(Part 2)によるふるい法により決定することができる。
加えて、人工の鋳型材料もまた鋳型原料として用いることができ、特に、上記鋳型原料への添加剤としてだけでなく単独の鋳型原料として、例えば、ガラス玉、ガラスフリット(glass frits)、「Cerabeads」又は「Carboaccucast」の名称で知られる球状セラミック鋳型原料、又は、ケイ酸アルミニウムマイクロスフェアを用いることができる。これらのケイ酸アルミニウムマイクロスフェアは、例えば、「Omega-Spheres」の名称でNorderstedtのOmega Minerals Germany GmbH社によって販売されている。同様の製品は、「Extendospheres」の名称でPQ Corporation (USA)社からも入手可能である。
アルミニウムを用いた鋳造実験において、人工鋳型原料、特にガラス玉、ガラスフリット又はマイクロスフェア、が用いられたとき、ケイ砂が用いられた時よりも鋳造後に金属表面への残留付着する鋳造砂が少ないことが分かった。人工鋳型原料の使用は、それゆえ、ブラスト処理による複雑な後処理が必要なく、又は、あったとしてもかなり少ない程度で必要となるのみで、より滑らかな鋳肌で製造することができる。
これに関し、全ての鋳型原料が人工鋳型原料から製造される必要はない。人工鋳型原料の好ましい割合は、それぞれ耐熱性鋳型原料の全量に基づき、少なくとも約3重量%であり、特に好ましくは少なくとも約5重量%であり、とりわけ好ましくは少なくとも約10重量%であり、好ましくは少なくとも約15重量%であり、特に好ましくは少なくとも約20重量%である。
追加成分として、本発明による鋳型材料混合物は、アルカリケイ酸塩溶液に基づく無機バインダを有する。アルカリケイ酸塩、特に水ガラスと呼ばれるリチウム、ナトリウム及びカリウムのケイ酸塩、の水溶液は、他の分野、例えば構造用、のバインダとしても用いることができる。
水ガラスの製造は、例えば、1350℃〜1500℃の温度でケイ砂とアルカリ炭酸塩とを溶融することによって工業的に大規模に行われる。水ガラスは、固体のガラス片の形態で最初に得られ、温度及び圧力の影響下で水に溶ける。水ガラスを製造する他の方法は、ケイ砂を水酸化ナトリウムとともに直接溶解させることである。
得られたアルカリケイ酸塩溶液は、その後、アルカリ水酸化物及び/又はアルカリ酸化物並びにそれらの水和物を添加することによって、所望の[SiO]/[MO]モル比に調整することができる。加えて、アルカリケイ酸塩溶液の組成は、異なる組成のアルカリケイ酸塩を溶解させることによって調整することができる。アルカリケイ酸塩溶液に加えて、例えばPQ Corporation社のKasolv、Britesil又はPyramidの製品群のような、固体のアルカリケイ酸塩水和物を用いることとしてもよい。
バインダは、言及されたアルカリイオンを複数含む水ガラスに基づく。加えて、水ガラスは、ホウ素又はアルミニウム等の多価イオンを含むこともできる(対応する水ガラスは、例えば、欧州特許出願公開第2305603号明細書(米国特許出願公開第2012/196736号明細書)に記載されている。)。
リチウム含有バインダ又はリチウム含有鋳型材料混合物は、リチウム化合物(即ち、非晶質ケイ酸リチウム)、LiO及び/又はLiOHを無機バインダに加えることによって製造される。ここでの非晶質ケイ酸リチウム、LiO及びLiOHは、それらの水和物も含む。リチウム化合物は、粒子状又は水溶液又は水性懸濁液に添加することもできる。好ましい実施形態では、リチウム含有バインダは、本発明によるバインダ中で上述のリチウム化合物が均一となった溶液である。
加えて、鋳型材料混合物へのリチウム化合物の添加は、添加剤である成分(A)を介して排他的に行うこととしてもよいが、少なくとも部分的にリチウム化合物を添加することが好ましく、好ましくは無機バインダである成分(B)を介して排他的に行うこととしてもよい。
驚くことに、本発明による鋳型材料混合物を用いることで、水性鋳型材料コーティングに対して明らか保存可能期間が延びるとともに安定性が向上し、さらに高い初期強度及び冷間強度を備えた、鋳造用鋳型を、必要に応じて自動化された大量生産のために、製造することができる。さらに、本発明による無機バインダである成分(B)は、先行技術と比べて、低粘度であり、従ってそれにより製造された鋳型材料混合物が高流動性である、ことによって特徴づけられる。
しかしながら、[Liactive]/[MO]モル比と[SiO]/[MO]モル比との両方がある規定範囲内にあり、上記のリチウム化合物が用いられた場合にのみ、本発明による作用が観察される。本発明による鋳型材料混合物から製造された鋳造用鋳型の水分安定性について、低濃度のリチウムであっても好ましい作用を奏することは説明されていない。この理論に縛られることなく、発明者は、同一の電荷を持つLi+の小さいイオン半径が、ケイ酸塩構造を安定化させる効果をもたらすと考えている。
アルカリケイ酸塩に基づく無機バインダにとっては通例であるが、本発明による無機バインダ成分の組成は、SiO、KO、NaO、LiO及びHOの割合として規定される。
鋳型材料混合物、無機バインダと添加成分又は無機バインダ単体の[Liactive]/[MO]量比は、0.030以上であり、好ましくは0.035以上であり、特に好ましくは0.040以上である。上限は0.17以下であり、好ましくは0.16以下であり、特に好ましくは014以下である。前述の上限値又は下限値は、好きなように組み合わせることとしてもよい。
同時に、鋳型材料混合物、無機バインダと添加成分又は無機バインダ単体の[SiO]/[MO]モル比は、1.9以上であり、好ましくは、1.95以上であり、特に好ましくは2以上である。
[SiO]/[MO]モル比の上限は2.47以下であり、好ましくは2.40以下であり、特に好ましくは、2.30以下である。好ましい上限値と下限値とを好きなように組み合わせることとしてもよい。
無機バインダは、好ましくは20重量%以上の固体割合を有し、好ましくは25重量%以上であり、特に好ましくは30重量%以上であり、とりわけ好ましくは33重量%以上である。好適な水ガラスの固体成分の上限は、55重量%以下であり、好ましくは50重量%以下であり、特に好ましくは45重量%以下であり、とりわけ好ましくは42重量%以下である。固体割合は、ここではMOとSiOとの重量の割合として定義される。
好ましい実施形態では、本発明による無機バインダは、非晶質ケイ酸リチウムとともにケイ酸ナトリウム及びケイ酸カリウムを含有する。カリウム含有水ガラスは、純ナトリウム水ガラス又はリチウム−ナトリウム混合水ガラスと比べて低い粘度を有する。本発明による特に好ましいリチウム−ナトリウム−カリウム混合水ガラスは、従って、向上した水分安定性の利点と、同時に高い水分レベル及びさらなる低粘度とを組み合わせる。低い粘度値は、鋳型材料混合物の良好な流動性を保証することと、従って複雑な中子形状をも可能にすることと、のために、自動化された大量生産に特に不可欠である。しかしながら、本発明による無機バインダのカリウム成分は、製造された鋳造用鋳型の保存可能期間に過剰な高カリウム成分が悪影響を及ぼすため、あまり高くなってはならない。
好ましくは、特に成分Bである無機バインダにおける[KO]/[MO]モル比は、0.03より大きく、特に好ましくは0.06より大きく、とりわけ好ましくは0.1より大きい。[KO]/[MO]量比の上限として、0.25以下であり、好ましくは0.2以下であり、特に好ましくは、0.15以下である、値が得られている。上記の上限値及び下限値は、好きなように組み合わせることができる。最終的には以下の化合物が[KO]の算出に導入される:非晶質ケイ酸カリウム、酸化カリウム及び水酸化カリウム、それらの水和物を含む。
用途及び所望の強度レベルに応じて、0.5重量%超の、好ましくは0.75重量%超の、特に好ましくは1重量%超の、本発明によるバインダが用いられる。上限は5重量%未満であり、好ましくは4重量%未満であり、特に好ましくは3.5重量%未満である。これらの記述は、それぞれ鋳型原料に関する。重量%の記載は上記の固体割合を備える無機バインダに関し、即ち、重量%の記載は希釈剤を含む。
本発明による無機バインダを備える鋳型原料に添加され、MO及びSiOとして算出されたアルカリケイ酸塩の量に基づくと、希釈剤の考慮なしで、バインダの合計は、鋳型原料に対して0.2〜2.5重量%であり、好ましくは0.3〜2重量%である。ここで、MOは、上述の意味を有する。
他の実施形態では、本発明によるバインダは、アルカリホウ酸塩を追加的に含有することができる。水ガラスバインダの成分としてのアルカリホウ酸塩は、例えば、英国特許出願公開第1566417号明細書に記載されており、それらは炭水化物の錯体形成のために用いられる。アルカリホウ酸塩の典型的な添加量は、バインダの重量に基づき、0.5重量%〜5重量%であり、好ましくは1重量%と4重量%との間であり、特に好ましくは1重量%と3重量%との間である。
添加成分の形態のわずかな粒子状非晶質SiOは、本発明による鋳型材料混合物に、そのような鋳型材料混合物により製造された鋳造用鋳型の強度レベルを向上させるために添加される。鋳造用鋳型の強度の向上、特にそれらの熱間強度の向上は、自動化された製造工程において有利となり得る。粒子状非晶質シリカは、好ましくは300μm未満の粒子径を有し、好ましくは200μm未満であり、とりわけ好ましくは100μm未満である。粒子径は、ふるい分析によって決定することができる。メッシュサイズ125μm(120メッシュ)のふるいを通過する粒子状非晶質SiOのふるい残留物は、好ましくは10重量%を超えず、特に好ましくは5重量%を超えず、とりわけ好ましくは2重量%を超えない。
ふるい残留物は、DIN 66165(Part 2)に記載された機械ふるい分け法を用いて決定され、加えてふるい分けの補助としてチェーンリングが用いられる。
本発明により好適に用いられる非晶質SiOは、15重量%未満の水分を有し、特に5重量%未満であり、特に好ましくは1重量%未満である。特に、非晶質SiOは、自由流動性粉末として用いられる。
合成的に生成されたシリカ及び天然のシリカは、非晶質SiOとして用いることができる。しかしながら、例えば独国特許出願公開第102007045649号明細書で知られる後者は、概してかなりの割合の結晶質材料を含有し、それゆえ発がん性物質として分類されるため、好ましくない。
合成の用語は、天然でない非晶質SiOとして定義されるが、それらの製造は、(人為的な)化学反応を備える。例えば、アルカリケイ酸塩溶液からイオン交換処理によってシリカゾルを製造すること、アルカリケイ酸塩溶液から製造すること、四塩化ケイ素を火炎加水分解すること、又は、フェロシリコン及びケイ素の製造において電気アーク炉内でコークスによってケイ砂を還元すること、である。最後に記載された方法により製造された非晶質SiOは、発熱性SiOとしても知られる。
時として、合成非晶質SiOは、沈降シリカ(CAS-No. 112926-00-8)及び火炎加水分解によって生成されたSiO(発熱性シリカ、フュームドシリカ、CAS No. 112945-52-5)を含むように専ら解釈される一方、フェロシリコン又はケイ素の製造時に生成された生成物は、単に非晶質SiO(シリカ・フューム、マイクロシリカ、CAS No. 69012-64-12)と呼ばれる。本発明の目的のため、フェロシリコン又はケイ素の製造時に生成された生成物は、合成非晶質SiOと呼ばれる。
使用のために好ましい材料は、沈降シリカ及び発熱性SiOであり、発熱性SiOは即ち火炎加水分解によって又は電気アーク炉において製造される。特に好ましく用いられるものは、ZrSiOの熱分解によって製造されたSiO(独国特許出願公開第102012020509号明細書を参照)、及び、酸素含有ガスを用いる金属Siの酸化によって製造されたSiO(独国特許出願公開第102012020510号明細書を参照)である。
また、粒子が球状及び非破片状で存在するように(独国特許出願公開第102012020511号明細書を参照)、溶融及び急冷によって結晶石英から製造された石英ガラス粉末(主に非晶質SiO)が好ましい。合成非晶質シリカの平均一次粒子径は、0.05μmと10μmとの間であることができ、特に0.1μmと5μmとの間であり、特に好ましくは0.1μmと2μmとの間である。
一次粒子径は、例えば、動的光散乱法(例えば、Horiba LA 950)により、又は、走査電子顕微鏡法(例えば、FEI社のNova NanoSEM 230によるSEM画像)により、決定することができる。粒子の凝集を避けるため、粒子径の測定の前にサンプルが超音波槽内で水中に分散される。加えて、SEM画像を用いて、一次粒子の形態の細部は、0.01μmのオーダーの大きさにまで視覚化できる。SEM測定のために、SiOは、蒸留水中に分散されて、その後水を蒸発させる前に、銅帯に接合されたアルミニウムのホルダに成層された。
好ましくは、平均一次粒子径は、動的光散乱法(例えば、Horiba LA 950)による測定で0.05μmと10μmとの間であり、走査電子顕微鏡写真により任意でチェックされる。
また、合成非晶質シリカの比表面積は、DIN 66131に従うガス吸収測定(BET法)を用いて決定された。合成非晶質SiOの比表面積は、好ましくは1m/gと35m/gとの間であり、好ましくは1m/gと17m/gとの間であり、特に好ましくは1m/gと15m/gとの間である。任意として、例えばある粒子径の分布を備える対象の混合物を得るために、生成物は混合されてもよい。
非晶質SiOの純度は、製造方法及び製造者に依存して大きく変わり得る。少なくとも85重量%、好ましくは少なくとも90重量%、特に好ましくは少なくとも95重量%のSiO成分を備える種類が好ましいことが証明された。
用途及び所望の強度レベルに応じて、鋳型原料に基づきそれぞれの場合において、0.1重量%と2重量%との間の、好ましくは0.1重量%と1.8重量%との間の、特に好ましくは0.1重量%と1.5重量%との間の、粒子状非晶質SiOが用いられる。
粒子状金属酸化物及び特に非晶質SiOに対する水ガラスの比は、広い範囲内で変わり得る。これは、最終強度に実質的に影響を及ぼすことなく、中子の初期強度、即ち、金型から取り外した直後の強度を大きく改善するという利点を提示するものである。これは、軽金属の鋳造においてとりわけ興味深い。一方では、それらを製造した後に、中子を問題なく輸送し又は中子を中子パッケージ内に組み合わせることができるように、高い初期強度が望まれている。他方、鋳造後の中子の分解における問題を避けるため、最終強度はあまり高くなるべきではない。即ち、鋳造後に、鋳造用鋳型の空洞から鋳型原料を問題なく取り外すことができるべきである。
(希釈剤及び溶媒を含む)バインダの重量に基づき、粒子状非晶質SiOは、好ましくは鋳型材料混合物内に2〜60重量%の割合で存在し、特に好ましくは3〜55重量%の割合で存在し、とりわけ好ましくは4〜50重量%の割合で存在する。
非晶質SiOの添加は、欧州特許第1802409号明細書に従い、バインダの添加の前及び後の両方で、耐熱性材料へ直接行うことができる。それだけでなく、欧州特許出願公開第1884300号明細書(米国特許出願公開第2008/029240号明細書)に記載されているように、先ずバインダ又は水酸化ナトリウム溶液の少なくとも一部とSiOとの予混合物を製造することができ、これはその後耐熱性固体へ混合されることができる。予混合物として用いられなかった残りのバインダ又はバインダ成分は、予混合物の添加の前若しくは後に、又はこれとともに、耐熱性材料へ添加され得る。
他の実施形態では、アルミニウム鋳造等の特に軽金属鋳造について鋳造物の表面領域をさらに改善するために、添加成分の硫酸バリウムが添加されてもよい。硫酸バリウムは、合成されたものでも天然の硫酸バリウムでもよく、即ち、重晶石又はバライト等の、硫酸バリウムを含有する鉱物の形態で添加することとしてもよい。
適切な硫酸バリウム及びこれを用いて製造された鋳型材料混合物のこの特徴及び他の特徴は、独国特許出願公開第102012104934号明細書にさらに記載されており、その記載内容は、参照によって本特許明細書に援用される。
他の実施形態では、本発明による鋳型材料混合物の添加成分は、独国特許出願公開第102012113073号明細書又は独国特許出願公開第102012113074号明細書により詳しく説明されているように、少なくとも、粒子状の酸化アルミニウム及び/若しくはアルミニウム/ケイ素混合酸化物、又は、粒子状のアルミニウム及びジルコニウムの金属酸化物、を備えることもできる。この種の添加剤を用いると、鋳造用鋳型の取り外し後に鋳造物の表面の後処理の必要が少なく又は無くなるように、金属鋳造後に、特に鉄又は鋼から製造された場合は、非常に高い表面品質を備える鋳造物を得ることができる。
他の実施形態では、本発明による鋳型材料混合物の添加成分は、リン含有化合物を備えることができる。この種の添加物は、鋳造用鋳型の壁の部分が非常に薄い場合で、特に中子の場合に好ましい。このような場合において、中子又は鋳造用鋳型の薄壁の部分の熱安定性を向上させることができるためである。これは、鋳造時に液体金属が傾斜面に当たり、高い溶湯静圧のためにそこで高浸食作用を起こすときに、又は、鋳造用鋳型の特に壁の薄い部分の破壊をもたらし得るときに、特に重要である。適切なリン化合物は、本発明による鋳型材料混合物の処理時間に与える影響が少ないか又は無い。適切な代表例及びそれらの添加量は、国際公開第2008/046653号に詳述されており、それゆえ、それらも本特許明細書の一部をなす。
鋳型原料に基づくリン含有化合物の好ましい割合は、0.05重量%と1.0重量%との間であり、好ましくは0.1重量%と0.5重量%との間である。
他の実施形態では、本発明による鋳型材料混合物は、(欧州特許第1802409号明細書及び国際公開第2008/046651号により)有機化合物の添加成分が添加されてもよい。少量の有機化合物の添加は、特定の用途について有利であり得る。例えば、硬化した鋳型材料混合物の熱膨張を制御するための用途である。しかしながら、そのような添加は、それがCO及びその他の熱分解生成物の排出にも関連するため、好ましくない。
水含有バインダは、有機溶媒に基づくバインダと比べて概して低い流動性を有する。これは、狭い通路と多数の方向転換を備える成形用金型を満たすことがより困難であることを意味する。その結果、中子は、再び鋳造時の鋳造欠陥につながる可能性のある、不十分に圧縮された部分を有し得る。有利な実施形態によれば、本発明による鋳型材料混合物の添加成分は、薄片状の潤滑剤、特にグラファイト又はMoSの成分を含有する。驚くことに、そのような潤滑剤、特にグラファイトを添加すると、薄壁の部分を備える複雑な鋳型さえも製造することができ、鋳型は、鋳造時の鋳造欠陥が本質的に認められないような高密度及び高強度を一様に示す。添加される薄片状の潤滑剤、特にグラファイトの量は、鋳型原料に基づき、好ましくは0.05〜1重量%であり、特に好ましくは0.05〜0.5重量%である。
本発明による鋳型材料混合物の流動性をさらに高めるため、無機バインダ成分において、薄片状の潤滑剤の代替又は追加として、表面活性物質、特に界面活性剤を用いてもよい。これらの化合物の適切な代表例は、例えば、国際公開第2009/056320号(米国特許出願公開第2010/0326620号明細書)に記載されている。特に、硫酸基又はスルホン酸基を備える界面活性剤がこの関係において言及されるべきである。他の適切な代表例及びそれぞれの添加量は、国際公開第2009/056320号に詳述されており、それゆえ、これも本特許明細書の一部をなす。
言及した成分に加えて、本発明による鋳型材料混合物は、追加の添加剤を備えることとしてもよい。例えば、成形用金型からの中子の取り外しを促進するため、離型剤を添加することとしてもよい。好適な離型剤は、例えば、ステアリン酸カルシウム、脂肪酸エステル、ワックス、天然樹脂、又は、特殊なアルキド樹脂、である。これらの離型剤がバインダに対して溶解性であり、特に低温での長期間の保管後にもバインダから分離しない場合、それらはバインダ成分内に既に存在することができるが添加剤の一部であってもよい。
加えて、例えば中子の保管安定性又は水性鋳型材料コーティングへの耐性をさらに高めるために、本発明による鋳型材料混合物にシランを添加することもできる。さらなる好適な実施形態によれば、本発明による鋳型材料混合物は、それゆえ少なくとも1つのシランの成分を含有する。用いられ得るシランは、例えば、アミノシラン、エポキシシラン、メルカプトシラン、ヒドロキシシラン、及び、ウレイドシラン、である。この種のシランの例は、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、及び、それらのトリエトキシ類似化合物である。言及されたシラン、特にアミノシランは、事前に加水分解されていてもよい。バインダに基づき、典型的には約0.1重量%〜2重量%のシランが用いられ、好ましくは約0.1重量%〜1重量%である。
鋳型材料混合物がシランを含有する場合、通常はシランが事前にバインダに包含されるような形態で添加される。しかしながら、それらを鋳型材料に添加することもできる。
鋳型材料混合物の製造において、耐熱性鋳型原料は、ミキサ内に配置され、その後は先ず、液体成分が添加され、バインダの均一層が耐熱性鋳型原料の粒子の上にバインダの均一層を形成するまで、耐熱性鋳型原料と混合される。
混合の継続時間は、耐熱性鋳型原料と液体成分とが十分に混合されるように選択される。混合の継続時間は、製造される鋳型材料混合物の量と用いられる混合装置とに依存する。混合時間は、好ましくは1分と5分との間で選択される。その後、好ましくは、混合物をさらに撹拌しながら、非晶質シリカ及び必要に応じて追加の粉末状固体の形態の固体成分(1又は複数)が添加されて、混合が継続される。ここでも、混合時間は、製造される鋳型材料混合物の量と用いられる混合装置とに依存する。混合時間は、好ましくは1分と5分との間で選択される。液体成分は、種々の液体成分の混合物としても個々の液体成分全ての総計としてもよく、後者は鋳型材料混合物に一度に又は連続的に追加することができる。実際は、先ず(他の)固体成分を耐熱性鋳型原料に添加し、それらを混合し、混合物に液体成分(1又は複数)を導入し、再び混合することが有効であると証明された。
鋳型材料混合物は、その後、所望の形状にされる。成形には通常の方法が用いられる。例えば、鋳型材料混合物は、圧縮空気を用いる吹込み式中子製造機(Kernschiesmaschine)によって、成形用金型内に吹き込むことができる。他の可能性は、ミキサから成形用金型内に鋳型材料混合物を自由に流して、それをそこで振とう、打刻又は押圧によって圧縮することを可能にすることからなる。
本発明による鋳型材料混合物は、基本的には、水ガラス用に知られる全ての硬化方法、熱間硬化又はCO法等、によって硬化することができる。COと空気の供給との組み合わせを含むCO法のさらなる開発は、独国特許出願公開第102012103705.1号明細書に記載されており、本発明による鋳型材料混合物を硬化させる適切な方法も表している。
硬化を促進するため、CO又は空気又は両方のガスはまた、この方法で例えば100℃まで加熱することとしてもよい。
本発明による鋳型材料混合物を硬化させる別の方法は、液体(例えば、有機エステル、トリアセチン、等)又は固体の触媒(例えば、好適なリン酸アルミニウム)を用いる硬化である。
鋳造用鋳型を製造するための他の方法は、いわゆるラピッドプロトタイピング法である。この技術は、鋳型材料混合物が所望の型内に加圧圧縮されないが、先ず鋳型材料混合物及び添加物等の固体成分が成層される、ということによって特に区別される。次の段階では、鋳型材料混合物の液体成分が砂の/添加剤の混合物上に系統的に印刷される。その後、鋳造用鋳型は、「印刷された」領域の硬化によって製造される。無機バインダのために、ラピッドプロトタイピング技術の領域における硬化は、とりわけ、マイクロ波硬化によって、液体若しくは固体の触媒を用いる硬化によって、又は、オーブン内又は空気中での乾燥によって、行われる。ラピッドプロトタイピング技術の他の詳細は、特に、欧州特許第0431924号明細書及び米国特許第6610429号明細書に見ることができる。
熱間硬化が好ましい。ここで、鋳型材料混合物は、100〜300℃の温度にさらされ、好ましくは120〜250℃である。熱間硬化において、鋳型材料混合物から脱水が起こる。その結果、おそらく、水ガラスの架橋結合が生じるように、シラノール基間の縮合反応も始まる。
例えば、加熱は成形用金型内で行うことができ、好ましくは100〜300℃の温度であり、特に好ましくは120℃〜250℃である。好ましくは、ガス(例えば空気)が鋳型材料混合物を通過し、このガスは好ましくは100〜180℃の温度を有し、特に好ましくは120〜250℃である。鋳造用鋳型の硬化のさらなる詳細は欧州特許第1802409号明細書に記載されており、これもまた本特許明細書を構成するとみなされる。
鋳型材料混合物からの脱水は、鋳型材料混合物の加熱がマイクロ波の照射によって達成されることにおいても起こり得る。
例えば、マイクロ波の照射は、鋳造用鋳型が成形用金型から取り外された後に行うことができる。この場合、しかしながら、鋳造用鋳型は既に十分な強度を有していなければならない。すでに説明されたように、例えば、これは少なくとも鋳造用鋳型の外殻が成形用金型内で既に硬化していることにおいて達成され得る。上述のラピッドプロトタイピング技術に従って、鋳型材料混合物の加熱がマイクロ波の作用によって行われるという点において、同様に鋳型材料混合物からの脱水を達成することができる。例えば、鋳型原料と固体粉末成分(1又は複数)とを混合して、特に水ガラスの液体バインダ成分を用いてこの混合物を表面に成層し個々の層上に印刷することができ、それぞれの場合において固体混合物の層ごとの成層は液体バインダを用いて行われる。この処理の最後に、即ち最後の印刷処理の最後に、混合物全体をマイクロ波オーブン内で加熱することができる。
本発明による方法は、金属鋳造に適する全ての鋳造用鋳型、従って例えば中子及び鋳型、の製造に本質的に適している。
本発明による鋳型材料混合物により高強度が達成可能であるにもかかわらず、これらの鋳型材料混合物から製造された中子は、鋳造後に良好な分解性を示し、鋳造処理が完了した後に鋳造用鋳型の狭く角度の付いた部分からさえも鋳型材料混合物が取り外し可能となる。本発明による鋳型材料混合物から製造された鋳型は、例えば軽金属、非鉄金属又は鉄系金属の金属鋳造に概して適する。
他の有利な点として、鋳造用鋳型は、機械的負荷の下で非常に高い安定性を示し、鋳造用鋳型の薄壁の部分であっても鋳造処理の間に溶湯静圧によって変形することなく実現することができる。本発明の他の目的は、それゆえ、本発明による上述の方法を用いて得られた鋳造用鋳型である。
本発明は、以下の実施例に基づきより詳細に説明されるが、これらに限定されない。
1.水酸化リチウム溶液からの水ガラスバインダの製造
表1,2,3及び4は、本研究で確認された、種々の本発明又は本発明外の水ガラスの組成の概要を示す。水ガラスバインダは、均質な溶液を製造するために、表1及び2に列挙された化学物質を混合することによって製造される。それらは、均質であることを確実にするため、製造後の1日は使用されない。使用される水ガラスバインダ中のアルカリ酸化物及び[SiO]の濃度、それらのモル比、及び、[Liactive]/[MO]量比は、表4及び5に要約されている。表3は、添加成分を介してリチウム化合物が添加された鋳型材料混合物の概要を示す。これらの例において、固体リチウム化合物は、非晶質SiOとともに添加された(2.1を参照)。
2.保存可能期間の研究
2.1 鋳型材料混合物の製造
100重量部(Gewichtsteile)のケイ砂(Quarzwerke GmbH社のケイ砂H32)がHobart社のミキサ(Model HSM 10)のボウル内に投入された。その後、撹拌しながら2重量部のバインダが添加され、それぞれの場合において砂とともに1分間強く混合された。バインダの添加後、0.5重量部の非晶質SiOが添加され、これも同様に1分間混合された。非晶質SiOは、Possehl Erzkontor GmbH社の非晶質酸化ケイ素POS B-W 90 LDであった。
2.2 試料の製造
鋳型材料混合物の試験用に、150mm×22.36mm×22.36mmの寸法を有する矩形試験棒が製造された(いわゆるゲオルク・フィッシャー(Georg Fischer)棒)。3.1.に従って製造された鋳型材料混合物の一部が、独国ViersenのRoperwerk-Giesereimaschinen GmbH社のH 2.5 Hot-Box吹込み式中子製造機の貯槽へ移送された。中子製造機の成形用金型は180℃に加熱された。
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鋳型材料混合物の残余は、乾燥から保護し、空気中のCOガスとの早期の反応を避けるため、密閉された容器内で中子製造機の補給の際まで注意深く保管された。
鋳型材料混合物は、貯槽から圧縮空気(5bar)を用いて成形用金型内に導入された。混合物を硬化させるための熱間の成形用金型内の滞留時間は、35秒であった。硬化処理を促進させるため、最後の20秒間に熱い空気(2bar、型への入口で100℃)を成形用金型に通過させた。成形用金型を開き、試料が取り外された。
2.3 製造された試験棒の強度試験
曲げ強さを決定するため、試験棒は、3点曲げ手段を備えるゲオルク・フィッシャー強度試験装置に配置され、試験棒を破壊させる力が測定された。曲げ強さは、直ちに、即ち取り外し後最大10秒(熱間強度)、及び製造後約24時間(冷間強度)、の両方で測定された。保存可能期間は、30℃及び絶対大気湿度18.2g/m相当の相対大気湿度60%の気候試験用キャビネット(Rubarth Apparate GmbH社)内でその後さらに24時間中子を保管することにより調査され、それらの曲げ強さが再度測定された。気候試験用キャビネットにより調整された温度及び大気湿度の指定値における精度は、testo社のtesto 635湿度/温度/露点計を用いて定期的に校正された。
強度試験の結果を表6に示す。ここで与えられた値は、少なくとも4つの中子について複数の測定からの平均値である。
2.4 結果
実施例1.1〜1.6のバインダは、それらの[Liactive]/[MO]量比の点で異なるのみであるが、実施例1.7〜1.12のバインダは、[Liactive]/[MO]量比に対して一定値で異なるモル比を有する。実施例1.1〜1.6の比較は、従って強度値における[Liactive]/[MO]量比の効果を明らかにする一方、実施例1.7〜1.12は、[SiO]/[MO]モル比の効果を反映している。
Figure 0006427177
バインダの[Liactive]/[MO]量比の効果:
表6に要約された曲げ強さは、バインダの保存可能期間についてリチウムの添加によって達成され得る好ましい効果を裏付けている。
実施例1.1のバインダを用いて製造された中子の強度が高大気湿度下で1日間保管された後に71%減少する一方、その他のより高リチウムのバインダを用いて製造された中子の強度の低下はあまり明瞭ではない。この効果は、比較的低い[Liactive]/[MO]比0.0047のバインダの場合でも起こる。実施例1.2〜1.6の比較は、[Liactive]/[MO]量比が増加するにつれてバインダの保存可能期間が増加し、気候試験用キャビネット内での保管後に冷間強度に基づき94%の残留強度が達成され得ることを明確に示している。
熱間強度について、実施例1.1〜1.6は差異を示していないが、冷間強度では[Liactive]/[MO]量比が増加するにつれて値が40N/cm大きく低下することがわかる。
実施例1.1〜1.6は、これらのバインダで製造された砂の中子は長い保存可能期間と同時に高い冷間強度を有することを明らかにしている。量比のさらなる増加は、保存可能期間の大きな改良にはならない一方、冷間強度の低下をもたらす。
これらの考察は、実施例2.1〜2.3に示すように、Li−Na混合水ガラスに対して、及び、Li−Na−K混合水ガラスの両方に対してなし得る。
実施例3.3は、添加剤としてリチウム化合物が添加された鋳型材料混合物についての本発明による効果を明らかにしている。本発明によらずリチウムを含有しない実施例3.1及び3.2と比較すると、これらのバインダで製造された中子の保存可能期間ははっきりと増加している一方、冷間強度は同様の良好なレベルのままである。
バインダの[SiO]/[MO]モル比の効果:
実施例1.7〜1.13に基づき理解され得るように、モル比が増加するにつれて熱間強度が向上する一方、冷間強度は低下する。
加えて、バインダのモル比の増加が製造された砂の中子の保存可能期間に対して明らかに好ましい効果を有することも観察することができる。実施例1.11〜1.13について気候試験用キャビネット内での保管後の中子の強度がモル比の増加に伴って増加する一方、冷間強度が逆に低下傾向にあるために絶対的な向上は達成されない。従って、[SiO]/[MO]モル比について、1.9〜1.12の組成のバインダが示す最適値が存在する。より小さなモル比は、保存可能期間を明らかな低下をもたらす一方、モル比のさらなる増加は冷間強度について好ましくない効果を有する。
3.バインダの粘度についての研究
3.1 粘度の測定
粘度の測定は、小さなサンプルアダプタに取り付けられたBrookfield粘度計を用いて実施された。それぞれの場合において、試験に用いられる約15gのバインダが粘度計内に移され、その粘度が温度25℃及び回転速度100rpmのスピンドル21を用いて測定された。測定結果を表7に示す。
Figure 0006427177
3.2 結果
実施例1.1〜1.6のバインダは、それらの[Liactive]/[MO]量比の点で異なるのみであるが、実施例1.7〜1.12のバインダは、[Liactive]/[MO]量比に対して一定値で異なる[SiO]/[MO]モル比を有する。実施例1.1〜1.6の比較は、従って粘度における[Liactive]/[MO]量比の効果を明らかにする一方、実施例1.7〜1.12は、モル比の効果を反映している。
バインダの[Liactive]/[MO]量比の効果:
表7に要約された粘度値は、[Liactive]/[MO]量比の増加に伴いバインダの粘度が増加することを明らかにしている。
バインダの[SiO]/[MO]モル比の効果:
粘度は、本発明による実施例1.9〜1.11のバインダの領域においてモル比の最小域を通過する。
バインダのKO成分の効果:
実施例2.1〜2.3では、これらのバインダの固体成分が少ないため、粘度は他の実施例の粘度よりも明らかに低い。他方、実施例2.1〜2.3の固体成分が少ないために実施例2.1〜2.3の粘度と実施例1.1,1.3及び1.5の粘度との比較からは明らかではないが、バインダ中に溶解したKOは、それにもかかわらず粘度について好ましい効果を有する。
要約すれば、実施例1.2〜1.6,1.9〜1.12及び2.2〜2.3の本発明によるバインダは、それらを用いて製造された砂の中子が良好な保存可能期間と同時に高冷間強度を有するため、先行技術に比べて向上していることを示す。加えて、本発明によるバインダは、低粘度値によって特徴づけられ、低製造コストによって比較的低いリチウム成分の恩恵を受ける。
4.コアウォッシュ安定性についての研究
4.1.コアウォッシュを備える試料についての製造及び強度の研究
コアウォッシュ安定性の研究のため、1.に製造方法が記載された水ガラスバインダ2.1.及び1.3.が用いられた。用いられた鋳型材料混合物又は試験棒の製造は2.1.及び2.2に記載されている。添加量は、2.2.の記述と同一であり、粒子状非晶質シリカPOS B-W 90 LD(供給者:Possehl Erzkontor GmbH社)も用いられた。さらなる添加剤として、0.1重量部の光沢粉末グラファイト(製造者:Luh社)が、非晶質SiOとともに鋳型材料混合物に添加された。
製造後、中子は完全に硬化させるために24時間室温に保持され、その後1〜4秒間コアウォッシュ内に浸漬された。
コアウォッシュは、水性でわずかにアルカリ性のコアウォッシュ(pH=6.5〜8.5)であり、水分が約51%及び粘度が25℃で約0.3〜0.6Pa・sであった(ASK Chemicals GmbH社の製品MIRATEC W 8)。対面した、即ちコアウォッシュの薄膜で覆われた中子は、ただちに100℃の乾燥オーブン内(Model FED 115、Binder Co.社)で乾燥された。10m/hの空気交換量は、空気供給管を介して実現された。
コアウォッシュで覆われた試験棒の曲げ強さは、それぞれ乾燥処理の開始後2,6,12及び24分後に測定された。表8は、試験棒の結果を要約している。ここで与えられた値は、それぞれの場合において10個の中子の平均値である。比較のため、コアウォッシュを用いない試験棒の曲げ強さが測定された。
Figure 0006427177
4.2 結果
曲げ強さは、本発明による鋳型材料混合物を用いて製造された中子が水性コアウォッシュを用いるものに比べてはるかにより安定していることをはっきりと示している。本発明によるバインダを用いて製造された中子と本発明によるバインダを用いずに製造された中子との両方が、コアウォッシュ槽から取り出された後6分で、強度が再び明確に増加する前に強度の最小域を通過している。強度の最小域となるこの時間において、本発明によるバインダ1.3を用いて製造された中子が向上した安定性を示すことが明らかである。本発明によらないバインダ2.1を用いて製造された中子が90N/cmに強度が低下する一方バインダ1.3を用いて製造された中子は234N/cmの強度を有する。
特に自動化された大量生産のため、バインダ2,1による実施例で示されたような強度の低下は、製造された鋳造用鋳型がそのような低強度値では機械的応力に対して十分な抵抗力がないため、全く不利益である。
(付記)
(付記1)
金属処理用の鋳造用鋳型及び中子を製造するための鋳型材料混合物であって、少なくとも、
・耐熱性鋳型原料と、
・粒子状非晶質SiO と、
・無機バインダとして1.90〜2.47の以下に定義する[SiO ]/[M O]モル比を有する水ガラスと、
・前記鋳型材料混合物中における以下に定義する[Li active ]/[M O]モル比が0.030〜0.17であるリチウム化合物と、
を備える、鋳型材料混合物。
[M O]は、アルカリ金属Mの物質量(モル)であり、M Oとして算出され、最終的に以下の化合物:非晶質アルカリケイ酸塩、アルカリ金属酸化物及びアルカリ金属水酸化物(それらの水和物を含む)のみが計算に用いられ、Liは活量係数無しでMの一部として計算に用いられる。
[Li active ]は、Liの物質量(モル)であり、Li Oとして算出され、最終的に以下の化合物:非晶質ケイ酸リチウム、酸化リチウム及び水酸化リチウム(それらの水和物を含む)のみが計算に用いられる。
[SiO ]は、Siの物質量(モル)であり、SiO として算出され、最終的に以下の化合物:非晶質アルカリケイ酸塩のみが計算に用いられる。
活性係数は、以下に定義する[Li active ]モル量の計算に用いられる。
[Li active ]=1*非晶質ケイ酸リチウム(無機バインダ成分の構成として添加されmol Li Oとして算出される)+
1*酸化リチウム(無機バインダ成分の構成として添加されmol Li Oとして算出される)+
1*水酸化リチウム(無機バインダ成分の構成として添加されmol Li Oとして算出される)+
0.33*非晶質ケイ酸リチウム(無機バインダの構成として添加されずmol Li Oとして算出される)+
0.33*酸化リチウム(無機バインダ成分(B)の構成として添加されずmol Li Oとして算出される)+
0.33*水酸化リチウム(無機バインダ成分(B)の構成として添加されずmol Li Oとして算出される)であり、
それぞれの場合において、それらの水和物を含む。
(付記2)
粒子状非晶質SiO は、1m /g以上で35m /g以下好ましくは17m /g以下、特に好ましくは15m /g以下のBETを有する、
付記1に記載の鋳型材料混合物。
(付記3)
鋳型材料混合物において、動的光散乱法で決定された粒子状非晶質SiO の平均粒子径は、0.05μmと10μmとの間であり、特に0.1μmと5μmとの間であり、特に好ましくは0.1μmと2μmとの間である、
付記1又は2に記載の鋳型材料混合物。
(付記4)
鋳型材料混合物は、粒子状非晶質SiO を、
・鋳型原料に基づき、0.1〜2重量%、好ましくは0.1〜1.5重量%の量で含有し、
それとは独立に、
・バインダの重量に基づき、2〜60重量%、特に好ましくは4〜50重量%含有し、バインダの固体成分は20〜55重量%、好ましくは25〜50重量%である、
付記1〜3のいずれか1つに記載の鋳型材料混合物。
(付記5)
非晶質SiO は、15重量%未満の水分を有し、特に5重量%未満であり、特に好ましくは1重量%未満であり、及び、それとは独立に特に流動性粉末として用いられる、
付記1〜4のいずれか1つに記載の鋳型材料混合物。
(付記6)
鋳型材料混合物は、最大1重量%の、好ましくは最大0.2重量%の、有機化合物を含有する、
付記1〜5のいずれか1つに記載の鋳型材料混合物。
(付記7)
前記無機バインダ成分は、前記無機バインダ中に、0.03〜0.25、好ましくは0.06〜0.2、特に好ましくは0.1〜0.15の[K O]/[M O]モル比を有する、
付記1〜6のいずれか1つに記載の鋳型材料混合物。
(付記8)
前記水ガラスは、前記鋳型材料内において、
0.2〜2.5重量%、好ましくは0.3〜2重量%存在し、鋳型原料に対して溶解性を有するアルカリケイ酸塩であり、それらの酸化物として算出され、
及び/又は、
前記バインダは、前記バインダに基づき20重量%以上で55重量%以下、好ましくは25重量%以上で50重量%以下であり、特に好ましくは30重量%以上で45重量%以下であり、とりわけ好ましくは33重量%以上で42重量%以下の固体成分を有する、
付記1〜7のいずれか1つに記載の鋳型材料混合物。
(付記9)
前記リチウム化合物は、前記無機バインダの成分として排他的に添加され、それとは独立に、必要により追加として、[Li active ]は以下のように定義される:
Liの物質量(mol)であり、Li Oとして算出され、以下の化合物:非晶質ケイ酸リチウム及び/又は水酸化リチウム(それらの水和物を含む)のみである、
付記1〜8のいずれか1つに記載の鋳型材料混合物。
(付記10)
鋳型材料混合物は、好ましくは陰イオン界面活性剤、とりわけスルホン酸基又はスルホン酸塩基を備える界面活性剤、から選択される、界面活性剤をさらに備える、
付記1〜9のいずれか1つに記載の鋳型材料混合物。
(付記11)
前記界面活性剤は、前記耐熱性鋳型原料の重量に基づき、鋳型材料混合物中に0.001〜1重量%、特に好ましくは0.01〜0.2重量%の割合で存在する、
付記10に記載の鋳型材料混合物。
(付記12)
互いに別々に提供される少なくとも以下の3つの成分、
・少なくとも耐熱性鋳型原料を備え、水ガラスは不含の成分(F)、
・無機バインダとして少なくとも1つの水ガラスを備え、前記水ガラスは1.90〜2.47の以下に定義する[SiO ]/[M O]モル比を有し粒子状非晶質SiO を備えていない成分(B)、及び、
・添加成分として少なくとも粒子状非晶質SiO を備え、水ガラスは不含の成分(A)、を一緒にすることによって製造することができる鋳型材料混合物であって、
前記成分(A)及び前記成分(B)は、合わせて、0.03〜0.17の以下に定義する[Li active ]/[M O]モル比を有する、鋳型材料混合物。
[M O]は、アルカリ金属Mの物質量(mol)であり、[M O]として算出され、最終的に以下の化合物:非晶質アルカリケイ酸塩、アルカリ金属酸化物及びアルカリ金属水酸化物(それらの水和物を含む)のみが計算に用いられ、Liは活量係数無しでMの一部として計算に用いられる。
[Li active ]は、Liの物質量(モル)であり、Li Oとして算出され、最終的に以下の化合物:非晶質ケイ酸リチウム、酸化リチウム及び水酸化リチウム(それらの水和物を含む)のみが計算に用いられる。
[SiO ]は、Siの物質量(モル)であり、[SiO ]として算出され、最終的に以下の化合物:非晶質アルカリケイ酸塩のみが計算に用いられる。
活性係数は、以下に定義する[Li active ]に含まれる。
[Li active ]=1*非晶質ケイ酸リチウム(無機バインダ成分(B)の構成として添加されmol Li Oとして算出される)+
1*酸化リチウム(無機バインダ成分(B)の構成として添加されmol Li Oとして算出される)+
1*水酸化リチウム(無機バインダ成分(B)の構成として添加されmol Li Oとして算出される)+
0.33*非晶質ケイ酸リチウム(無機バインダ(B)の構成として添加されずmol Li Oとして算出される)+
0.33*酸化リチウム(無機バインダ成分(B)の構成として添加されずmol Li Oとして算出される)+
0.33*水酸化リチウム(無機バインダ成分(B)の構成として添加されずmol Li Oとして算出される)であり、
それぞれの場合において、それらの水和物を含む。
(付記13)
付記2〜6,6〜11に記載の1つ以上の特徴によってさらに特徴づけられる、
付記12に記載の鋳型材料混合物。
(付記14)
前記無機バインダ成分(B)は、0.03〜0.25、好ましくは0.06〜0.2、特に好ましくは0.1〜0.15の[K O]/[M O]モル比を有する、
付記12又は13に記載の鋳型材料混合物。
(付記15)
前記[SiO ]/[M O]モル比は1.95〜2.40であり、好ましくは2〜2.30である、
付記1〜14のいずれか1つに記載の鋳型材料混合物。
(付記16)
前記[Li active ]/[M O]モル比は0.035〜0.16であり、好ましくは0.04〜0.14である、
付記1〜15のいずれか1つに記載の鋳型材料混合物。
(付記17)
前記ケイ酸リチウム、Li O及びLiOH(それらの水和物を含む)は、前記バインダ中の均質な溶液中に又は成分(B)中の均質な溶液中に存在し、前記バインダの又は成分(B)の構成として水性溶媒中に沈殿せず均質且つ完全に溶解している、
付記1〜16のいずれか1つに記載の鋳型材料混合物。
(付記18)
無機バインダとして少なくとも水ガラスを備えるリチウム含有無機バインダ(B)であって、
・前記無機バインダ(B)中に1.90〜2.47の以下に定義する[SiO ]/[M O]モル比と、
・前記無機バインダ(B)中に0.030〜0.17の以下に定義する[Li active ]/[M O]モル比と、
を有する、リチウム含有無機バインダ(B)。
[M O]は、アルカリ金属Mの物質量(mol)であり、[M O]として算出され、最終的に以下の化合物:非晶質アルカリケイ酸塩、アルカリ金属酸化物及びアルカリ金属水酸化物(それらの水和物を含む)のみが計算に用いられ、Liは活量係数無しでMの一部として計算に用いられる。
[Li active ]は、Liの物質量(モル)であり、[Li O]として算出され、最終的に以下の化合物:非晶質ケイ酸リチウム、酸化リチウム及び水酸化リチウム(それらの水和物を含む)のみが計算に用いられる。
[SiO ]は、Siの物質量(モル)であり、[SiO ]として算出され、最終的に以下の化合物:非晶質アルカリケイ酸塩のみが計算に用いられる。
活性係数は、以下に定義する[Li active ]に含まれる。
[Li active ]=1*非晶質ケイ酸リチウム(前記無機バインダ成分(B)の構成として添加されmol [Li O]として算出される)+
1*酸化リチウム(前記無機バインダ成分(B)成分の構成として添加されmol [Li O]として算出される)+
1*水酸化リチウム(前記無機バインダ成分(B)成分を介して添加されmol [Li O]として算出される)であり、
それぞれの場合において、それらの水和物を含む。
(付記19)
前記リチウム含有無機バインダは、1.95〜2.40の[SiO ]/[M O]モル比を有し、好ましくは2〜2.30である、
付記18に記載のリチウム含有無機バインダ。
(付記20)
前記[Li active ]/[M O]モル比は0.035〜0.16であり、好ましくは0.04〜0.14である、
付記18又は19に記載のリチウム含有無機バインダ。
(付記21)
前記7〜10に記載の1つ以上の特徴又は添加成分によってさらに特徴付けられる、
付記18〜20のいずれか1つに記載のリチウム含有無機バインダ。
(付記22)
前記バインダは、0.03〜0.25、好ましくは0.06〜0.2、特に好ましくは0.1〜0.15の[K O]/[M O]を有する、
付記18〜21のいずれか1つに記載のリチウム含有無機バインダ。
(付記23)
前記ケイ酸リチウム、Li O及びLiOH(それらの水和物を含む)は、前記リチウム含有バインダ中の均質な溶液中に存在し、前記リチウム含有バインダの構成として水性溶媒中に沈殿せず完全且つ均質に溶解している、
付記18〜22のいずれか1つに記載の鋳型材料混合物。
(付記24)
・付記1〜17に記載の少なくとも1つによる鋳型材料混合物を製造することと、
・前記鋳型材料混合物を型内に導入することと、
・前記鋳型材料混合物を硬化させることと、を備える、
ことを特徴とする鋳造用鋳型又は中子の製造方法。
(付記25)
鋳型材料混合物は、圧縮空気によって作動する吹込み式中子製造機内に導入され、前記型は、成形用金型であり、当該成形用金型に、1つ以上のガス、特にCO 又はCO 含有ガスであり、好ましくは60℃超に加熱されたCO 及び/又は60℃超に加熱された空気を通過させる、
付記24に記載の鋳造用鋳型又は中子の製造方法。
(付記26)
鋳型材料混合物は、硬化のために少なくとも100℃の温度に5min未満さらされる、
付記24又は25に記載の鋳造用鋳型又は中子の製造方法。
(付記27)
付記24〜26の少なくとも1つにより製造することができる鋳型又は中子。

Claims (22)

  1. 互いに別々に提供される少なくとも以下の3つの成分、
    ・少なくとも耐熱性鋳型原料を備え、水ガラスは不含の成分(F)、
    ・無機バインダとして少なくとも1つの水ガラスを備え、前記水ガラスは1.90〜2.47の以下に定義する[SiO]/[MO]モル比を有し粒子状非晶質SiOを備えていない成分(B)、及び、
    ・添加成分として少なくとも粒子状非晶質SiOを備え、水ガラスは不含の成分(A)、を一緒にすることによって製造される鋳型材料混合物の製造方法であって、
    前記成分(A)及び前記成分(B)は、合わせて、0.03〜0.17の以下に定義する[Liactive]/[MO]モル比を有し、前記成分(B)は、LiO、LiOH及び非晶質ケイ酸リチウム、並びに、Li O、LiOH及び非晶質ケイ酸リチウムの任意の水和物、の内の少なくとも1つを備える、鋳型材料混合物の製造方法。
    [MO]は、アルカリ金属Mの物質量(mol)であり、MOとして算出され、非晶質アルカリケイ酸塩、アルカリ金属酸化物及びアルカリ金属水酸化物、並びに、非晶質アルカリケイ酸塩、アルカリ金属酸化物及びアルカリ金属水酸化物の任意の水和物、である化合物のみが計算に含まれ、LiはMに含まれる。
    [Liactive]は、Liの物質量(モル)であり、LiOとして算出され、非晶質ケイ酸リチウム、酸化リチウム及び水酸化リチウム、並びに、非晶質ケイ酸リチウム、酸化リチウム及び水酸化リチウム任意の水和物、である化合物のみが計算に含まれる。
    [SiO]は、Siの物質量(モル)であり、SiOとして算出され、非晶質アルカリケイ酸塩のみが計算に含まれる。
    [Li active は、以下に定義する数式から算出される
    [Liactive]=1*非晶質ケイ酸リチウム(無機バインダ成分(B)の構成として添加されmol LiOとして算出される)+
    1*酸化リチウム(前記無機バインダ成分(B)の構成として添加されmol LiOとして算出される)+
    1*水酸化リチウム(前記無機バインダ成分(B)の構成として添加されmol LiOとして算出される)+
    0.33*非晶質ケイ酸リチウム(前記無機バインダ成分(B)の構成として添加されずmol LiOとして算出される)+
    0.33*酸化リチウム(前記無機バインダ成分(B)の構成として添加されずmol LiOとして算出される)+
    0.33*水酸化リチウム(前記無機バインダ成分(B)の構成として添加されずmol LiOとして算出される)であり、
    前記数式中のそれぞれのにおいて、非晶質ケイ酸リチウム、酸化リチウム及び水酸化リチウムの任意の水和物を含む。
  2. 前記粒子状非晶質SiOは、1m/g以上で35m/g以下のBETを有する、
    請求項1に記載の鋳型材料混合物の製造方法。
  3. 前記鋳型材料混合物において、動的光散乱法で決定された前記粒子状非晶質SiOの平均粒子径は、0.05μmと10μmとの間であ
    請求項1又は2に記載の鋳型材料混合物の製造方法。
  4. 前記鋳型材料混合物は、前記粒子状非晶質SiOを、
    前記耐熱性鋳型原料の重量に基づき、0.1〜2重量%の量で含有し、
    それとは独立に、
    前記無機バインダの重量に基づき、2〜60重量%含有し、前記無機バインダの固体成分は20〜55重量%である、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋳型材料混合物の製造方法。
  5. 前記粒子状非晶質SiO、5重量%未満の水分を有する
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋳型材料混合物の製造方法。
  6. 前記鋳型材料混合物は、最大1重量%の有機化合物を含有する、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の鋳型材料混合物の製造方法。
  7. 前記無機バインダ成分(B)は、前記無機バインダ中に、0.03〜0.25の[KO]/[MO]モル比を有する、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の鋳型材料混合物の製造方法。
  8. 前記水ガラスは、前記耐熱性鋳型の重量に対して0.2〜2.5重量%の溶解性を有するアルカリケイ酸塩として存在し、酸化物として算出される、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の鋳型材料混合物の製造方法。
  9. リチウム化合物は、前記無機バインダの成分としてのみ前記鋳型材料混合物に添加される、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の鋳型材料混合物の製造方法。
  10. 前記鋳型材料混合物は、界面活性剤をさらに備える、
    請求項1〜9のいずれか1項に記載の鋳型材料混合物の製造方法。
  11. 前記界面活性剤は、前記耐熱性鋳型原料の重量に基づき、前記鋳型材料混合物中に0.001〜1重量%の割合で存在する、
    請求項10に記載の鋳型材料混合物の製造方法。
  12. 前記[SiO]/[MO]モル比は1.95〜2.40であ
    請求項1〜11のいずれか1項に記載の鋳型材料混合物の製造方法。
  13. 前記[Liactive]/[MO]モル比は0.035〜0.16であ
    請求項1〜12のいずれか1項に記載の鋳型材料混合物の製造方法。
  14. 前記ケイ酸リチウム、LiO及びLiOH、並びに、ケイ酸リチウム、Li O及びLiOHの任意の水和物は、前記成分(B)中の均質な溶液中に存在する、
    請求項1〜13のいずれか1項に記載の鋳型材料混合物の製造方法。
  15. 無機バインダとして少なくとも水ガラスを備えるリチウム含有無機バインダ(B)であって、
    ・前記無機バインダ(B)中に1.90〜2.47の以下に定義する[SiO]/[MO]モル比と、
    ・前記無機バインダ(B)中に0.04〜0.14の以下に定義する[Liactive]/[MO]モル比と、
    を有し、
    LiO、LiOH及び非晶質ケイ酸リチウム、並びに、Li O、LiOH及び非晶質ケイ酸リチウムの任意の水和物、の少なくとも1つは、リチウム含有無機バインダ中の均質な溶液中に存在し、前記リチウム含有無機バインダの構成として水性溶媒中に沈殿せず均質且つ完全に溶解している、リチウム含有無機バインダ(B)。
    [MO]は、アルカリ金属Mの物質量(mol)であり、M Oとして算出され、非晶質アルカリケイ酸塩、アルカリ金属酸化物及びアルカリ金属水酸化物、並びに、非晶質アルカリケイ酸塩、アルカリ金属酸化物及びアルカリ金属水酸化物の任意の水和物、である化合物のみが計算に含まれ、LiはMに含まれる。
    [Liactive]は、Liの物質量(モル)であり、L Oとして算出され、非晶質ケイ酸リチウム、酸化リチウム及び水酸化リチウム、並びに、非晶質ケイ酸リチウム、酸化リチウム及び水酸化リチウムの任意の水和物、である化合物のみが計算に含まれる。
    [SiO]は、Siの物質量(モル)であり、SiO して算出され、非晶質アルカリケイ酸塩のみが計算に含まれる。
    [Li active は、以下に定義する数式から算出される
    [Liactive]=1*非晶質ケイ酸リチウム(無機バインダ成分(B)の構成として添加されmol Oとして算出される)+
    1*酸化リチウム(前記無機バインダ成分(B)の構成として添加されmol Oとして算出される)+
    1*水酸化リチウム(前記無機バインダ成分(B)を介して添加されmol Oとして算出される)であり、
    前記数式中のそれぞれのにおいて、非晶質ケイ酸リチウム、酸化リチウム及び水酸化リチウム任意の水和物を含む。
  16. 前記リチウム含有無機バインダは、1.95〜2.40の[SiO]/[MO]モル比を有する
    請求項15に記載のリチウム含有無機バインダ。
  17. 前記リチウム含有無機バインダは、界面活性剤をさらに備える、
    請求項15又は16に記載のリチウム含有無機バインダ。
  18. 前記リチウム含有無機バインダは、0.03〜0.25の[KO]/[MO]を有する、
    請求項15又は16に記載のリチウム含有無機バインダ。
  19. ・請求項1〜14に記載の少なくとも1つによる鋳型材料混合物の製造方法と、
    ・前記鋳型材料混合物を型内に導入することと、
    ・前記鋳型材料混合物を硬化させることと、を備える、
    ことを特徴とする鋳造用鋳型又は中子の製造方法。
  20. 前記鋳型材料混合物は、圧縮空気によって作動する吹込み式中子製造機内に導入され、前記型は、成形用金型であり、当該成形用金型に、1つ以上のガスを通過させる、
    請求項19に記載の鋳造用鋳型又は中子の製造方法。
  21. 前記鋳型材料混合物は、硬化のために少なくとも100℃の温度に5min未満さらされる、
    請求項19又は20に記載の鋳造用鋳型又は中子の製造方法。
  22. 前記鋳型材料混合物を硬化させるためにガスが前記鋳型材料混合物を通過し、前記ガスは100〜180℃の温度を有する
    請求項19に記載の鋳造用鋳型又は中子の製造方法。
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