JP6426568B2 - ひび割れ発生診断方法及びひび割れ発生診断プログラム - Google Patents

ひび割れ発生診断方法及びひび割れ発生診断プログラム Download PDF

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Description

本発明は、載荷によって曲げが生じる橋梁の桁や床版などのコンクリート構造物のひび割れ発生診断方法、及びひび割れ発生診断プログラムに関するものである。
特許文献1,2に開示されているように、鉄筋コンクリート製のコンクリート構造物に、ひび割れが発生していないかなどの健全性を診断する方法が知られている。
平常時でも表面にひび割れが視認できるような状態のコンクリート構造物であれば、目視による観察によって損傷や劣化の程度を判断して健全性の診断とすることができる。
これに対して、荷重が載荷されたときにのみ開くひび割れが発生しているコンクリート構造物であると、目視観察だけではこのようなひび割れは見逃され、健全性の評価が過大となるおそれがある。
そこで、このようなコンクリート構造物には、特許文献1,2に開示されているようにコンクリート構造物の固有振動数を測定することで、健全性を診断することになる。
すなわち、コンクリート構造物が健全な状態なときの固有振動数を測定しておき、検査時に測定された固有振動数が健全時の固有振動数よりも低下していれば、コンクリート構造物にひび割れが発生している等の損傷や劣化があるという診断をすることができる。
特開2011−247700号公報 特許第3834660号公報
しかしながら特許文献1,2に記載された固有振動数の変化から健全性を評価する方法では、健全な状態のときにコンクリート構造物の固有振動数を測定しておく必要がある。
ところが既設のコンクリート構造物は、無数に現存しており、それらのすべてにおいて、新設時などに予め固有振動数が測定されている、というようなことはない。
そこで、本発明は、載荷によって曲げが生じるコンクリート構造物の現状の変位を測定するだけで、ひび割れ発生状況を判定することが可能となるひび割れ発生診断方法、又はひび割れ発生診断プログラムを提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明のひび割れ発生診断方法は、載荷によって曲げが生じるコンクリート構造物のひび割れ発生診断方法であって、前記コンクリート構造物に対して曲げが発生する載荷を行うステップと、載荷によって生じる変位を経時的に測定するステップと、前記測定した変位から生成された振動波形を、正側振幅と負側振幅とに分解するステップと、前記正側振幅と前記負側振幅とをそれぞれ構成する各半波長の時間間隔となる半周期をそれぞれ算出するステップと、前記半周期から前記各半波長が発生する時点での振動数となる瞬間振動数を算出するステップと、前記正側振幅の瞬間振動数と前記負側振幅の瞬間振動数とを比較することによって、前記コンクリート構造物のひび割れ発生状況を判定するステップとを備えたことを特徴とする。
ここで、前記振動波形には、載荷されたコンクリート構造物が共振した後の残留振動となる自由振動波形を利用することができる。
また、前記測定した変位から生成された振動波形を正側振幅と負側振幅とに分解するために、前記振動波形の所定の範囲で平均値を算出して、その平均値を分解対象となる前記振動波形の0値とする0線補正を行うステップを備えた構成とすることができる。さらに、前記平均値を算出するための所定の範囲は、振幅幅が0.5mm以内となる応答の小さい範囲とすることができる。
また、前記コンクリート構造物は長尺状の水平材であって、前記測定される変位は鉛直変位とすることができる。さらに、前記コンクリート構造物は桁部材であって、前記測定される変位は、前記桁部材の長手方向の略中央における鉛直変位とすることもできる。
また、ひび割れ発生診断プログラムの発明は、載荷によって曲げが生じるコンクリート構造物のひび割れ発生診断プログラムであって、前記コンクリート構造物に対する曲げが発生する載荷によって生じた経時的な変位を取り込む入力手段と、前記取り込まれた変位から生成された振動波形を、正側振幅と負側振幅とに分解する波形分解手段と、前記正側振幅と前記負側振幅とをそれぞれ構成する各半波長の時間間隔となる半周期をそれぞれ算出して、前記半周期から前記各半波長が発生する時点での振動数となる瞬間振動数を算出する瞬間振動数算出手段と、前記正側振幅の瞬間振動数と前記負側振幅の瞬間振動数とを出力する出力手段とを備えたことを特徴とする。
このように構成された本発明のひび割れ発生診断方法は、コンクリート構造物に対して曲げが発生する載荷によって生じる変位から生成された振動波形を、正側振幅と負側振幅とに分解する。
そして、分解された正側振幅と負側振幅とから、それぞれの瞬間振動数を算出し、それらを比較することで、コンクリート構造物のひび割れ発生状況を判定する。
ここで、載荷によって曲げが生じるコンクリート構造物は、コンクリートの圧縮側が健全な状態と推定でき、ひび割れが発生する場合は、引張側から発生する可能性が高い。
このため、載荷によって曲げが生じるコンクリート構造物の現状の変位を測定して、そこから得られた振動波形を正側振幅と負側振幅とに分解し、それぞれの瞬間振動数を比較するだけで、ひび割れ発生状況を判定することができる。
このような診断を行うための振動波形として、載荷されたコンクリート構造物が共振した後の残留振動となる自由振動波形を利用すれば、簡単にひび割れ発生状況を判定することができる。
また、変位の測定に誤差があって、振動波形が正側又は負側にずれている場合でも、所定の範囲で算出された平均値を使って振動波形を0線補正することで、振動波形を正側振幅と負側振幅とに分解することができるようになる。
さらに、ひび割れ発生診断プログラムの発明は、コンクリート構造物に対する曲げが発生する載荷によって生じる変位から生成された振動波形を、正側振幅と負側振幅とに分解する波形分解手段を備えている。
また、分解された正側振幅と負側振幅とからそれぞれの瞬間振動数を算出する瞬間振動数算出手段と、算出されたそれらの瞬間振動数を出力する出力手段とを備えている。
このため、載荷によって曲げが生じるコンクリート構造物の現状の変位の測定結果から算出されて、出力手段から出力された正側振幅と負側振幅の瞬間振動数を比較するだけで、容易にひび割れ発生状況を判定することができるようになる。
本実施の形態のひび割れ発生診断方法の各ステップを説明するフロー図である。 ひび割れ発生診断の対象となる橋梁の概略構成を説明する模式図である。 本実施の形態のひび割れ発生診断プログラムを説明するブロック図である。 (a)は列車走行によって測定された変位から生成された振動波形を例示した説明図、(b)は(a)に示した振動波形の残留振動を0線補正した結果を示した説明図である。 (a)は図4(b)に示した補正後の振動波形の負側振幅を示した説明図、(b)は図4(b)に示した補正後の振動波形の正側振幅を示した説明図である。 正側振幅の瞬間振動数と負側振幅の瞬間振動数とをプロットした図であって、(a)は健全と判定される結果を例示した図、(b)はひび割れが発生していると判定される結果を例示した図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態のひび割れ発生診断方法、及びひび割れ発生診断プログラムの処理の流れを説明するための図である。
本実施の形態のひび割れ発生診断方法及びひび割れ発生診断プログラムは、載荷によって曲げが生じるコンクリート構造物に対して適用される。例えば、鉄筋コンクリート構造物、プレストレストコンクリート構造物又は鋼材とコンクリートとの合成断面の構造物などが、コンクリート構造物に該当する。
また、コンクリート構造物の形態としては、長尺状の水平材となる桁部材、梁部材、床版などが該当する。また、柱部材、壁部材、橋脚などについても、作用する荷重によっては、載荷によって曲げが生じるコンクリート構造物に該当する。
図2には、本実施の形態でコンクリート構造物として例示するRC桁1の模式図を示した。このRC桁1は、橋梁10において、橋台11と橋脚12との間、又は橋脚12,12間に架け渡される鉄筋コンクリート製の長尺部材である。
本実施の形態では、説明を簡単にするために、RC桁1の両端が支承部13,13によって支持された単純梁をモデルにして説明を進める。そして、このRC桁1の長手方向(軸方向)の略中央の位置における鉛直方向の変位を、変位計2によって測定する。
この変位計2には、リング式変位計、ドップラーレーザー式変位計などの公知の変位計が使用できる。リング式変位計は、円形に成形された板バネにひずみゲージが取り付けられた変位計である。リング式変位計の先端の測定子を、RC桁1の上面1a又は下面1bに押しあてて取り付けておけば、RC桁1に変位が生じた際に板バネが変形して、変位に比例した出力を得ることができる。
一方、ドップラーレーザー式変位計は、レーザドップラ振動計によって測定された速度信号を積分処理することによって変換された変位を出力する。レーザドップラ振動計は、センサヘッドからレーザ光をRC桁1に照射し、反射されたレーザー光を受光する装置である。
RC桁1が載荷によって振動していれば、振動するRC桁1から反射されたレーザ光はドップラーシフトしたレーザ光となっており、周波数(速度)の変化が電圧に変換されて振動現象として検出することができる。すなわち、ドップラーレーザー式変位計は、非接触型の振動速度センサによって測定された速度信号を変位信号に変換して出力する変位計である。
一方、橋梁10のRC桁1に対する載荷は、図2に示すように、列車Tの走行によって行われる。ここでは説明を簡単にするために、列車Tは3両の車両T1−T3の連結によって構成されているものとする。
列車Tの走行によってRC桁1に載荷がされると、RC桁1の上面1aが圧縮側となり、下面1bが引張側となる曲げが生じる。そして、コンクリートは、引張強度よりも圧縮強度の方がはるかに大きい特性を有するため、RC桁1では引張側(下面1b側)にひび割れが発生する可能性が高い。
続いて、図1のフロー図を参照しながら、本実施の形態のひび割れ発生診断方法の各ステップについて説明する。まず、ステップS1では、RC桁1の略中央に変位計2が設置された橋梁10に対して、列車Tを走行させる。
この列車Tの走行によってRC桁1には曲げが生じ、その時の変位が変位計2によって連続して測定される(ステップS2)。この経時的な変位の測定結果から、図4(a)に示すような、振動波形を生成することができる(ステップS3)。
図4(a)は、横軸が時間を示し、縦軸が変位を示す。また、変位は、正側(+)がRC桁1の測定点の隆起(負曲げ)を示し、負側(−)がRC桁1の測定点の沈下(正曲げ)を示す。
振動波形のピークは、列車Tの通過によって発生する。模式的に図4(a)に図示した列車Tを参照しながら説明すると、1両目の車両T1の通過によって最初のピークW1が発生し、2両目の車両T2の通過によって次のピークW2が現れ、3両目の車両T3の通過によって最大のピークW3となる。
そして、列車Tによる載荷で共振波形が得られた場合には、列車Tの通過後に大きな自由振動波形が残留振動として現れる。本実施の形態のひび割れ発生診断方法では、この残留振動となる自由振動波形を使って診断を行う。
振動波形は、変位が0値となる線を境に、正側振幅(負曲げ領域)と負側振幅(正曲げ領域)とに分けることができるが、変位計2によって測定された変位の実測値には測定誤差があるため、図4(a)の右側に示すように、変位の0値が波形の中心とならないズレdが生じている場合がある。
このようにズレdが生じている場合に、振動波形の中心に変位の0値を合わせる0線補正を行う(ステップS4)。この0線補正を行うには、まず、振動波形の応答(振幅幅)が小さい範囲に着目する。
例えば図4(a)の右側に示すように、ズレdと変位の0値との間に振幅が収まる範囲、又は振幅幅が0.5mm以内となる範囲で平均値を算出して、その平均値を変位の0値とする補正を、残留振動となる自由振動波形に対して行う。
図4(b)は、0線補正後の自由振動波形(残留振動)を示した図である。この自由振動波形を、変位の0線を境に正側振幅と負側振幅とに分解する(ステップS5)。
図5(a)は、分解された負側振幅を示した図であり、図5(b)は、分解された正側振幅を示した図である。これらの分解された負側振幅と正側振幅は、それぞれ半波長の集合と捉えることができる。
そして、半波長の時間間隔を半周期と呼ぶ。残留振動である自由振動波形は、徐々に収束していくため、半周期も徐々に小さくなっていく。ここで、負側振幅の半波長の時間間隔を、半周期M,M,・・・M・・・とし、正側振幅の半波長の時間間隔を、半周期P,P,・・・P・・・とする(ステップS6)。
このようにして算出された半周期M,M,・・・M・・・(又は半周期P,P,・・・P・・・)から、振動数を算出することができる。この各半周期に対して算出される振動数を、瞬間振動数fと呼ぶこととする。
瞬間振動数fは、以下の式で算出することができる(ステップS7)。
(負側振幅の場合) f=1/(2M
(正側振幅の場合) f=1/(2P
そして、各半波長について算出された瞬間振動数f,fは、図6に示すように、各半波長を示す時刻においてプロットしていくことができる。また、ここまでの処理は、本実施の形態のひび割れ発生診断プログラムがインストールされたコンピュータによって構成される診断システム(診断装置)によって行うことができる。
図3は、ひび割れ発生診断プログラムを説明するブロック図である。入力手段3は、変位計2によって測定された変位を取り込む手段となる。例えば、測定値が記憶媒体にまとめて記録されている場合は、そのデータを記憶媒体から読み込む手段が入力手段3になる。また、入力手段3は、変位計2で測定された変位をリアルタイムに取り込む手段であってもよい。
入力手段3によって診断システムに取り込まれた変位は、演算手段4に送られる。演算手段4では、経時的な変位のデータから振動波形が生成され、必要に応じて0線補正手段41によって上述した0線補正の処理が行われる。
そして、0線を境に正側と負側に交互に振幅が現れる状態となった振動波形は、波形分解手段42によって正側振幅と負側振幅とに分解される。また、瞬間振動数算出手段43では、正側振幅及び負側振幅の各半波長の各半周期M,M,・・・M・・・(又はP,P,・・・P・・・)が算出され、それらの値からそれぞれの瞬間振動数f,fが算出される。
瞬間振動数算出手段43によって算出された瞬間振動数f,fは、コンピュータに接続されたモニタやプリンタなどの出力手段5によって、例えば図6に示すように可視化される。なお、出力手段5は、算出された瞬間振動数f,fを記録させる記憶媒体であってもよい。
そして、算出された正側振幅及び負側振幅の瞬間振動数f,fに基づいて、RC桁1のひび割れ発生度の判定が行われる(ステップS8)。図6(a)は、健全と判定される演算結果を例示した図である。
上述したようにコンクリート構造物(RC桁1)は、コンクリートの圧縮側が健全な状態と推定でき、ひび割れが発生する場合は、引張側から発生する可能性が高い。
この知見に基づいて図6(a)を見ると、正側の瞬間振動数fのプロットが描く線と、負側の瞬間振動数fのプロットが描く線とは、略一致している。また、これらの線は、振幅の大きさに関わらず、略水平な線となっている。
この結果、RC桁1の引張側は、コンクリートの圧縮側と同様に健全な状態であると判断でき、ひび割れ発生度としても、「ひび割れは発生していない」又は「ひび割れが発生していたとしても無視できるほどに小さい」と判定することができる。
これに対して、図6(b)は、ひび割れが発生していると判定される演算結果を例示した図である。この図を見ると、正側の瞬間振動数fのプロットが略水平な線を描いているのに対して、負側の瞬間振動数fのプロットが描く線は、左下がりの線となっている。
すなわち振幅が大きいときには、正側振幅の瞬間振動数fと負側振幅の瞬間振動数fとは、離隔しており、負側振幅の瞬間振動数fの方が小さい値となっている。この離隔は、振幅の収束に伴って消滅することになる。
瞬間振動数f(f,f)の低下は、固有振動数の低下と同様に、コンクリート構造物(RC桁1)にひび割れが発生している等の損傷や劣化があることを示している。
また、正側振幅の瞬間振動数fと負側振幅の瞬間振動数fとの離隔が振幅の収束に伴って消滅していることから、このひび割れは、振幅の収束に伴って閉じるものと推定できる。
よって、図6(b)の結果からは、RC桁1の引張側(下面1b側)は損傷又は劣化している状態にあると判断でき、ひび割れ発生度としても、「ひび割れが発生している」と判定することができる。
次に、本実施の形態のひび割れ発生診断方法及びひび割れ発生診断プログラムの作用について説明する。
このように構成された本実施の形態のひび割れ発生診断方法は、RC桁1に対して曲げが発生する載荷(列車Tの通過)によって生じる変位から生成された振動波形を、正側振幅と負側振幅とに分解する。
そして、分解された正側振幅と負側振幅とから、それぞれの瞬間振動数f,fを算出し、それらを比較することで、RC桁1のひび割れ発生状況を判定する。
ここで、載荷によって曲げが生じるコンクリート構造物は、コンクリートの圧縮側が健全な状態と推定でき、ひび割れが発生する場合は、引張側から発生する可能性が高い。
このため、載荷によって曲げが生じるRC桁1の現状の変位をある時間の範囲で連続して測定して、そこから得られた振動波形を正側振幅と負側振幅とに分解し、それぞれの瞬間振動数f,fを比較するだけで、ひび割れ発生状況を判定することができる。
要するに本実施の形態のひび割れ発生診断方法によれば、構築直後などの健全時のRC桁1の状態が予め測定されていなくても、目視では確認できないがひび割れの発生が疑われるような状態になってから、その時点でRC桁1の載荷時の変位を測定することで、瞬間的に発生する曲げひび割れの有無を判定することができる。
ここで、目視によって確認可能なひび割れ幅は、0.2mm以上と言われている。また、近年、プレストレストコンクリート技術が発達して、桁の低剛性化が可能となって動的応答の大きな橋梁が増えてきたことに伴い、載荷時のみ瞬間的にひび割れが開口するコンリート構造物の適切な評価が必要になりつつある。
このような状況において、目視では確認ができない、瞬間的に開口するひび割れに対して、ひび割れ発生度として判定ができるようになれば、コンクリート構造物の健全性を的確に評価することができる。
そして、このような診断を行うための振動波形として、載荷されたRC桁1が共振した後の残留振動となる自由振動波形を利用すれば、簡単にひび割れ発生状況を判定することができる。
また、変位の測定に誤差があって、振動波形が正側又は負側にずれている場合(ズレd)でも、応答が小さい範囲で算出された平均値を使って振動波形を0線補正することで、振動波形を正側振幅と負側振幅とに分解することができる。
さらに、本実施の形態のひび割れ発生診断プログラムは、RC桁1に対する曲げが発生する載荷によって生じる変位から生成された振動波形を、正側振幅と負側振幅とに分解する波形分解手段42を備えている。
また、分解された正側振幅と負側振幅とからそれぞれの瞬間振動数f,fを算出する瞬間振動数算出手段43と、算出されたそれらの瞬間振動数f,fを出力する出力手段5とを備えている。
このため、載荷によって曲げが生じるRC桁1の現状の変位の測定結果から算出されて、出力手段5から出力された正側振幅と負側振幅の瞬間振動数f,fを比較するだけで、容易にひび割れ発生状況を判定することができる。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば前記実施の形態では、RC桁1をコンクリート構造物として説明したが、これに限定されるものではなく、プレストレストコンクリート製のPRC桁や鉄骨とコンクリートの合成断面となるSRC桁など、様々な形態のコンクリート構造物を適用対象とすることができる。
また、前記実施の形態では、列車Tの通過による荷重を載荷として説明したが、これに限定されるものではなく、自動車や地震動や風などが荷重として載荷される場合であってもよい。
1 RC桁(コンクリート構造物)
2 変位計
3 入力手段
4 演算手段
41 0線補正手段
42 波形分解手段
43 瞬間振動数算出手段
5 出力手段
,f 瞬間振動数
,P 半周期

Claims (7)

  1. 載荷によって曲げが生じるコンクリート構造物のひび割れ発生診断方法であって、
    前記コンクリート構造物に対して曲げが発生する載荷を行うステップと、
    載荷によって生じる変位を経時的に測定するステップと、
    前記測定した変位から生成された振動波形を、正側振幅と負側振幅とに分解するステップと、
    前記正側振幅と前記負側振幅とをそれぞれ構成する各半波長の時間間隔となる半周期をそれぞれ算出するステップと、
    前記半周期から前記各半波長が発生する時点での振動数となる瞬間振動数を算出するステップと、
    前記正側振幅の瞬間振動数と前記負側振幅の瞬間振動数とを比較することによって、前記コンクリート構造物のひび割れ発生状況を判定するステップとを備えたことを特徴とするひび割れ発生診断方法。
  2. 前記振動波形は、載荷されたコンクリート構造物が共振した後の残留振動となる自由振動波形であることを特徴とする請求項1に記載のひび割れ発生診断方法。
  3. 前記測定した変位から生成された振動波形を正側振幅と負側振幅とに分解するために、前記振動波形の所定の範囲で平均値を算出して、その平均値を分解対象となる前記振動波形の0値とする0線補正を行うステップを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のひび割れ発生診断方法。
  4. 前記平均値を算出するための所定の範囲は、振幅幅が0.5mm以内となる応答の小さい範囲であることを特徴とする請求項3に記載のひび割れ発生診断方法。
  5. 前記コンクリート構造物は長尺状の水平材であって、前記測定される変位は鉛直変位であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のひび割れ発生診断方法。
  6. 前記コンクリート構造物は桁部材であって、前記測定される変位は、前記桁部材の長手方向の略中央における鉛直変位であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のひび割れ発生診断方法。
  7. 載荷によって曲げが生じるコンクリート構造物のひび割れ発生診断プログラムであって、
    前記コンクリート構造物に対する曲げが発生する載荷によって生じた経時的な変位を取り込む入力手段と、
    前記取り込まれた変位から生成された振動波形を、正側振幅と負側振幅とに分解する波形分解手段と、
    前記正側振幅と前記負側振幅とをそれぞれ構成する各半波長の時間間隔となる半周期をそれぞれ算出して、前記半周期から前記各半波長が発生する時点での振動数となる瞬間振動数を算出する瞬間振動数算出手段と、
    前記正側振幅の瞬間振動数と前記負側振幅の瞬間振動数とを出力する出力手段とを備えたことを特徴とするひび割れ発生診断プログラム。
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