JP6426037B2 - 樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂組成物及び成形体に関する。
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマーを含む樹脂組成物は、金属・ガラス接着性、透明性、機械的強度、柔軟性、伸び、復元性などに優れていることから、自動車内外装材、床材などの建材、雑貨等のフィルム、シート用途をはじめ、種々の用途に使用されている。
そして、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマーは、用途や要求物性に応じて、他の成分と組み合わせて用いられることが多い。
例えば、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はそのアイオノマー(A1)、及び主成分であるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はそのアイオノマー(A1)と他の重合体の組成物(A2)から選ばれる重合体成分(A)100重量部当たり、アルキルスルホン酸塩とポリオキシエチレンアルキルエーテルの混合成分(B)を0.1〜10重量部配合してなるエチレン系重合体組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このアイオノマーを含むエチレン系重合体組成物からなる成形体は、耐磨耗性、耐傷付き性が良く、延伸時又は折り曲げ時に樹脂白化がないというアイオノマーの特徴を維持している。またこのアイオノマーを含むエチレン系重合体組成物からなる成形体は、非帯電性にも優れるので、帯電に伴うトラブルの発生を回避することができるとされている。
エチレン系アイオノマー樹脂の高温での機械的強度を改良する方法の一つとして、ポリアミド樹脂のような、融点の高い熱可塑性樹脂をエチレン系アイオノマー樹脂にブレンドする方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、ポリアミドが60から40重量パーセントの範囲で存在し、楕円形粒子のアイオノマーが60から40重量パーセントの範囲で存在し、該アイオノマーは、少なくとも15重量パーセンテージでメタクリル酸が存在する、エチレン及びメタクリル酸を含有する直接コポリマー、または、少なくとも14重量パーセンテージでアクリル酸が存在する、エチレン及びアクリル酸を含有する直接コポリマーであり、直接コポリマー中の酸の65から100モルパーセントが亜鉛または亜鉛カチオンと他の金属カチオンとの組み合わせで中和されたアイオノマーである、アイオノマー/ポリアミド配合物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。このアイオノマー/ポリアミド配合物は、靭性、高光沢、耐摩耗/耐引掻(表面損傷)性、耐紫外線特性、高温特性および剛性の組み合わせが所望される成形部品のような用途に有用であるとされている。
特開2003-138071号公報 特公昭56−22468号公報 特許第4302774号公報
しかしながら、上記の特許文献1に記載の組成物は、帯電防止性能は優れるが要求される耐傷性能を十分に満たさない場合があった。
他方、特許文献2及び特許文献3に記載の組成物は、アイオノマー樹脂とポリアミドとを組み合わせることで、組成物全体として強靱性等を向上させる。その結果、組成物の耐傷性は、アイオノマー樹脂を単独で用いた場合に比べて良化することが期待されるが、十分な耐傷性能を満たさない場合があった。またこれらの組成物では帯電防止性について考慮されていない。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、耐熱性、耐傷性及び帯電防止性に優れる樹脂組成物及び成形体を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマー樹脂と、帯電防止剤と、ポリアミド(ただし前記帯電防止剤は含まない)と、を含み、
前記ポリアミドの含有量が、前記アイオノマー樹脂、前記ポリアミド、及び前記帯電防止剤の合計量に対して5質量%以上35質量%以下である樹脂組成物。
<2> 前記アイオノマー樹脂は、不飽和カルボン酸に由来の構造単位の含有比率A質量%と中和度B%とが下記式1の関係を満たす<1>に記載の樹脂組成物。
6.0 < A×B/100 ≦ 9.0 ・・・式1
<3> 前記帯電防止剤の含有量が、前記アイオノマー樹脂、前記ポリアミド、及び前記帯電防止剤の合計量に対して1質量%以上30質量%以下である<1>又は<2>に記載の樹脂組成物。
<4> 前記帯電防止剤の含有量に対する前記ポリアミドの含有量の比が、質量基準で0.25以上7.0以下である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<5> 前記帯電防止剤は、ポリエーテルエステルアミドを含む<1>〜<4>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<6> 前記アイオノマー樹脂は、金属イオンが亜鉛イオン及びナトリウムイオンから選ばれる少なくとも1種である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<7> 前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体の不飽和カルボン酸は、(メタ)アクリル酸である<1>〜<6>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<8> <1>〜<7>のいずれか1つに記載の樹脂組成物を成形した成形体。
本発明によれば、耐熱性、耐傷性及び帯電防止性に優れる樹脂組成物及び成形体が提供される。
以下、本発明の樹脂組成物及び成形体について詳細に説明する。
本明細書における(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を包含することを意味する。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマー樹脂と、帯電防止剤と、ポリアミド(ただし前記帯電防止剤は含まない)と、を含み、前記ポリアミドの含有量が、前記アイオノマー樹脂、前記ポリアミド、及び前記帯電防止剤の合計量に対して5質量%以上35質量%以下である。
本発明の作用は明確ではないが、以下のように推定される。
従来、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマー樹脂に帯電防止性を付与するため帯電防止剤を加えると、アイオノマー樹脂の耐傷性が低下する傾向にある。これに対して、本発明の樹脂組成物は、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマー樹脂に帯電防止剤を加えて帯電性を付与する場合に、ポリアミドを併用し、かつ、樹脂組成物のポリアミドを所定の含有量とすることで、耐傷性を損なうことなく、帯電防止性を付与できる。さらに、所定量のポリアミドが樹脂組成物中に含まれることで、樹脂組成物の耐熱性がより優れたものになると考えられる。
これらの効果により、本発明の樹脂組成物は、耐傷性、耐熱性及び帯電防止性を両立できると考えられる。
<アイオノマー樹脂>
本発明の樹脂組成物は、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマー樹脂の少なくとも1種を含む。
樹脂組成物が、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマー樹脂を主成分として含むことで、樹脂組成物に耐傷性を付与できる。
なお、「主成分」とは、樹脂組成物中に50質量%以上含まれる成分であることを示す。
本明細書におけるアイオノマー樹脂とは、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体が有する酸基の少なくとも一部が、金属イオンで中和された化合物を示す。
アイオノマー樹脂におけるエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体は、少なくとも、エチレンと、不飽和カルボン酸と、が共重合した多元の共重合体である。該共重合体には、エチレンと不飽和カルボン酸とが共重合した2元共重合体、及びエチレンと不飽和カルボン酸と第3の共重合成分とが共重合した3元共重合体などが含まれる。
アイオノマー樹脂は、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体中に含まれる酸基が金属イオンで中和された化合物であるため、分子内に少なくとも1種の酸基を有している。酸基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられる。
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体における「不飽和カルボン酸」としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の炭素数4〜8の不飽和カルボン酸などが挙げられる。不飽和カルボン酸としては、特にアクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
エチレン及び不飽和カルボン酸以外の前記第3の共重合成分としては、例えば、不飽和カルボン酸エステル(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等)、不飽和炭化水素(例えば、プロピレン、ブテン、1,3−ブタジエン、ペンテン、1,3−ペンタジエン、1−ヘキセン等)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等)、ビニル硫酸やビニル硝酸等の酸化物、ハロゲン化合物(例えば、塩化ビニル、フッ化ビニル等)、ビニル基含有1,2級アミン化合物、一酸化炭素、二酸化硫黄等が挙げられる。
これらの第3の共重合成分の中でも、不飽和カルボン酸エステルが好ましい。
例えば、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体が3元共重合体である場合は、エチレンと不飽和カルボン酸と不飽和カルボン酸エステルとの3元共重合体、エチレンと不飽和カルボン酸と不飽和炭化水素との3元共重合体などが好適に挙げられる。
不飽和カルボン酸エステルとしては、不飽和カルボン酸アルキルエステルが好ましく、アルキルエステルのアルキル部位の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。アルキル部位の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、セカンダリーブチル、2−エチルヘキシル、イソオクチル等が挙げられる。
不飽和カルボン酸エステルの具体例としては、アルキル部位の炭素数が1〜12の不飽和カルボン酸アルキルエステル(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソオクチル等のアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル等のメタクリル酸アルキルエステル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル等のマレイン酸アルキルエステル)等が挙げられる。
不飽和カルボン酸アルキルエステルの中では、アルキル部位の炭素数が1〜4の(メタ)アクリル酸アルキルエステルがより好ましい。
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいが、工業的に入手可能な観点から、2元ランダム共重合体、3元ランダム共重合体、2元ランダム共重合体のグラフト共重合体あるいは3元ランダム共重合体のグラフト共重合体を用いるのが好ましく、より好ましくは2元ランダム共重合体又は3元ランダム共重合体である。
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体の好ましい具体例は、2元共重合体としては、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体が挙げられ、3元共重合体としては、エチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸エステル共重合体(例えば、エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリル酸n−ブチル共重合体等)が挙げられる。
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体に含まれる、不飽和カルボン酸に由来の構造単位の含有比率(質量比)は、共重合体全体に対して、5質量%〜30質量%が好ましく、7質量%〜25質量%がより好ましく、9質量%〜20質量%がさらに好ましい。
不飽和カルボン酸に由来の構造単位の含有比率が5質量%以上であると、耐傷性の点で有利である。また、不飽和カルボン酸に由来の構造単位の含有比率が30質量%以下であると、工業上入手しやすい点で有利である。
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体が、エチレン・不飽和カルボン酸・不飽和カルボン酸エステル3元共重合体である場合、不飽和カルボン酸エステルに由来の構造単位の3元共重合体中における含有比率(質量比)は、柔軟性確保の観点から、3質量%〜25質量%が好ましく、5質量%〜20質量%がより好ましい。不飽和カルボン酸エステルに由来の構造単位の含有比率は、3質量%以上であると、柔軟性確保の点で有利であり、25質量%以下であると、ブロッキング防止の点で有利である。
酸基の中和に用いられる金属イオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン等の金属イオンが挙げられる。これら金属イオンの中でも、工業化製品を容易に入手可能な点で、亜鉛イオン、マグネシウムイオン及びナトリウムイオンが好ましく、亜鉛イオン及びナトリウムイオンがさらに好ましい。
これらの金属イオンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アイオノマー樹脂において、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体の中和度は、10%〜85%が好ましい。中和度が10%以上であることで、耐傷性をより向上させることができ、85%以下であることで、加工性や成形性に優れる。中和度は、さらに、15%〜82%がより好ましい。
中和度は、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体が有する酸基、特にカルボキシ基のモル数に対する、金属イオンの配合比率(モル%)である。
本発明におけるエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマー樹脂は、該アイオノマー樹脂における不飽和カルボン酸に由来の構造単位の含有比率をA質量%とし、中和度をB%としたときに、不飽和カルボン酸に由来の構造単位の含有比率A質量%と中和度B%との積(以下、中和率ともいう)が下記式1の関係を満たすことが好ましい。
6.0 < A×B/100 ≦ 9.0 ・・・式1
アイオノマー樹脂における上記A及びBが、式1の関係を満たす範囲であると、樹脂組成物の耐傷性がより向上する。
アイオノマー樹脂は、上記観点から、下記式2の関係を満たすことがより好ましく、下記式3の関係を満たすことがさらに好ましい。
6.5 ≦ A×B/100 ≦ 9.0 ・・・式2
7.0 ≦ A×B/100 ≦ 9.0 ・・・式3
アイオノマー樹脂のメルトフローレート(MFR)としては、0.2g/10分〜20.0g/10分の範囲が好ましく、0.5g/10分〜20.0g/10分がより好ましく、更には0.5g/10分〜18.0g/10分が好ましい。メルトフローレートが前記範囲内であると、成形する際に有利である。
なお、MFRは、JIS K7210(1999年)に準拠した方法により190℃、荷重2160gにて測定することができる。
アイオノマー樹脂として、上市されている市販品を用いてもよく、該市販品として、例えば、三井・デュポン ポリケミカル社製のハイミラン(商品名)シリーズ等を使用することができる。
本発明の樹脂組成物におけるアイオノマー樹脂の含有量は、該アイオノマー樹脂、後述のポリアミド、及び後述の帯電防止剤の合計量に対して、40質量%以上90質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下がさらに好ましい。
アイオノマー樹脂の含有量が、上記範囲であると、樹脂組成物はより耐傷性に優れるものとなる。
<ポリアミド>
本発明の樹脂組成物は、ポリアミドの少なくとも1種を含む。
樹脂組成物がポリアミドを含むことで、帯電防止剤を含めて帯電防止性を付与する場合に、耐傷性を損なうことなく、樹脂組成物の耐傷性と帯電防止性とを両立することができる。なお、ポリアミドは導電性部位を含まないので、ポリアミドは後述する「帯電防止剤」を含まない。
後述する帯電防止剤がポリアミドに由来の構造部分を含む場合、該構造部分は非導電性部位として帯電防止剤に含まれ、ポリアミド以外の導電性部位を含むことで、帯電防止性能を有する。帯電防止剤中の導電性部位は、耐傷性及び耐熱性の向上には寄与しない傾向にあるため、ポリアミドを用いた場合と同様の耐傷性及び耐熱性を向上させる効果は得られない。
ポリアミドとしては、例えば、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸のようなジカルボン酸と、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、1,4−シクロヘキシルジアミン、m−キシレンジアミンのようなジアミンとの重縮合体、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムのような環状ラクタム開環重合体、6−アミノカプロン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸のようなアミノカルボン酸の重縮合体、あるいは上記環状ラクタムとジカルボン酸とジアミンとの共重合体などが挙げられる。
ポリアミドは、市販されているものを用いてもよく、具体例としては、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン11、ナイロン12、共重合体ナイロン(例えば、ナイロン6/66、ナイロン6/12、ナイロン6/610、ナイロン66/12、ナイロン6/66/610等)、ナイロンMXD6、ナイロン46などが挙げられる。
これらのポリアミドの中でも、耐傷性の向上と安価に入手しやすい点から、ナイロン6、及びナイロン6/12が好ましい。
樹脂組成物の耐傷性と帯電防止性の両立の観点からは、樹脂組成物中の後述の帯電防止剤の含有量に対するポリアミドの含有量の比が、質量基準で0.25以上7.0以下であることが好ましい。帯電防止剤の含有量に対するポリアミドの含有量の比が、上記範囲であることで、樹脂組成物は、耐傷性と帯電防止性とをより高い水準で両立できる。
帯電防止剤の含有量に対するポリアミドの含有量の比は、上記と同様の観点から、0.5以上5.0以下であることがより好ましく、0.8以上3.0以下であることがさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物におけるポリアミドの含有量は、前記アイオノマー樹脂、ポリアミド、及び後述の帯電防止剤の合計量に対して5質量%以上35質量%以下である。ポリアミドの含有量が5質量%未満であると耐熱性及び耐傷性の向上の効果が得られない。一方、ポリアミドの含有量が35質量%を超えるとアイオノマー樹脂とポリアミドとの溶融粘度差が大きく、アイオノマー樹脂とポリアミドを混練する際の加工が難しい、また得られた樹脂組成物の耐傷性は低下する。
ポリアミドの含有量は、耐傷性の向上の効果に優れる点から、7質量%以上30質量%以下が好ましく、10質量%以上30質量%以下がより好ましい。
<帯電防止剤>
本発明の樹脂組成物は、帯電防止剤の少なくとも1種を含む。
樹脂組成物が帯電防止剤を含むことで、樹脂組成物に帯電防止性を付与できる。また、本発明の樹脂組成物は、前記アイオノマー樹脂と所定の量の前記ポリアミドと帯電防止剤とを組み合わせることで、耐傷性と帯電防止性とを両立することができる。
帯電防止剤としては、例えば、高分子型帯電防止剤、界面活性剤等の低分子型帯電防止剤等が挙げられる。これらの帯電防止剤の中でも、ブリードアウトによる表面汚染が抑制され、各種成形体に用いた場合、意匠性をより良好に維持しつつ、帯電防止性を付与できる観点から、高分子型帯電防止剤が好ましい。
高分子型帯電防止剤とは、導電性部位(例えば、ポリエーテルに由来の構成単位、四級アンモニウム塩基部位など)と非導電性部位(例えば、ポリアミドに由来の構成単位、ポリエチレンなどのポリオレフィンに由来の構成単位、アクリレートに由来の構成単位、メタクリレートに由来の構成単位、スチレンに由来の構成単位など)とを含み、分子量300以上(好ましくは、1000〜10000)の(共)重合体を指す。分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を指す。
なお、導電性とは、ASTM D257に基づき測定される表面抵抗率が1010Ω/square以下であることをいう。
高分子型帯電防止剤の帯電性能としてはASTM D257に基づき測定される表面抵抗率が1010Ω/square以下であることが好ましい。
高分子型帯電防止剤としては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルポリオレフィン、エチレンオキシド・エピクロルヒドリン系共重合体などの非イオン性の高分子型帯電防止剤、ポリスチレンスルホン酸などのアニオン性の高分子型帯電防止剤、四級アンモニウム塩基含有アクリレート重合体、四級アンモニウム塩基含有スチレン重合体、四級アンモニウム塩基含有ポリエチレングリコールメタクリレート系共重合体などのカチオン性の高分子型帯電防止剤などが挙げられる。
より具体的には、例えば、特開平1−163234号公報に記載されているポリエーテルエステルアミドや、特開2001−278985号公報に記載されているポリオレフィンのブロックと、親水性ポリマーのブロックとが、繰り返し交互に結合した構造を有するブロック共重合体、オレフィン系モノマーが重合されてなるオレフィン系ブロックと親水性モノマーが重合されてなる親水系ブロックとが繰り返し交互に結合した構造を有する共重合体等が挙げられる。
これらの帯電防止剤の中でも、アイオノマー樹脂との相溶性、耐傷性と帯電防止性の両立の観点から、ポリエーテルエステルアミドが好ましい。
ポリエーテルエステルアミドとは、ポリアミドに由来の構造部分と、ポリエーテルに由来の構造部分と、を有し、これら構造部分がエステル結合された共重合体を指す。
ポリエーテルエステルアミドにおけるポリアミドに由来の構造部分を形成するポリアミドとしては、例えば、ジカルボン酸(例:シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等)と、ジアミン(例:エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、メチレンビス(4−アミノシクロヘキサン)、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン等)と、の重縮合、ε−カプロラクタム、ω−ドデカラクタム等のラクタムの開環重合、6−アミノカプロン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸の重縮合、あるいは前記ラクタムとジカルボン酸とジアミンとの共重合等により得られる化合物が挙げられる。このようなポリアミドの具体例としては、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/66、ナイロン6/12、ナイロン6/610、ナイロン66/12、ナイロン6/66/610などがあり、ナイロン11、ナイロン12などが好ましい。ポリアミドの分子量は、例えば400〜5000程度が好ましい。
また、ポリエーテルエステルアミドにおけるポリエーテルに由来の構造部分を形成するポリエーテルとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコール等のポリオキシアルキレングリコールあるいはこれらの混合物などが挙げられる。これらの分子量は、例えば400〜6000程度、更には600〜5000程度がよい。
ポリエーテルエステルアミドとしては、ポリオキシアルキレングリコール(好ましくはポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコール)に由来の構造部分がポリエーテルエステルアミドの全質量に対して5質量%〜80質量%(より好ましくは15質量%〜70質量%)含まれるものが好ましい。さらに、融点が190℃未満のポリエーテルエステルアミドは、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.1g/10分〜1000g/10分(より好ましくは1g/10分〜100g/10分)のものが好ましく、融点が190℃以上のポリエーテルエステルアミドは、230℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.1g/10分〜1000g/10分(より好ましくは1g/10分〜100g/10分)のものが好ましい。また、ポリエーテルエステルアミドは、示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(最大吸熱量を示す温度)が130℃〜175℃のものが好ましい。このようなポリエーテルエステルアミドは、分子量が600〜5000のポリアミドとポリオキシアルキレングリコールと必要に応じカルボン酸とを反応させることによって得ることができる。
低分子型帯電防止剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜3級アミノ基等のカチオン性基を有するカチオン性帯電防止剤、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、スルホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン性帯電防止剤、アミノ酸帯電防止剤、アミノ硫酸エステル帯電防止剤等の両性帯電防止剤、アミノアルコール帯電防止剤、グリセリン帯電防止剤、ポリエチレングリコール帯電防止剤等のノニオン性帯電防止剤等が挙げられる。
帯電防止剤は、市販されているものを用いてもよく、具体例としては、三洋化成工業社製のペレスタット230、ペレスタットHC250、ペレスタット300、ペレスタット2450、ペレクトロンPVL、BASFジャパン社製のイルガスタットP−16、同P−18FCA、同P−20、同P−22等が挙げられる。
また、帯電防止剤は、樹脂組成物の耐熱性を向上させる効果を付与する観点から、融点が100℃以上200℃以下のものが好ましく、120℃以上200℃以下のものがより好ましい。
融点は、JIS−K7121(1987年)に準拠して、示差走査熱量計(DSC)で測定した融解温度を用いることができる。
本発明の樹脂組成物における帯電防止剤の含有量は、前記アイオノマー樹脂、前記ポリアミド、及び帯電防止剤の合計量に対して1質量%以上30質量%以下が好ましい。
帯電防止剤の含有量が、1質量%以上であると樹脂組成物はより帯電防止性に優れる。一方、帯電防止剤の含有量が30質量%以下であると、樹脂組成物はより耐傷性に優れる。
<その他の添加剤>
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、各種添加剤を配合してもよい。このような添加剤の一例として、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、滑剤、ブロッキング防止剤、防黴剤、抗菌剤、難燃剤、難燃助剤、架橋剤、架橋助剤、発泡剤、発泡助剤、無機充填剤、繊維強化材などを挙げることができる。このような添加剤は樹脂組成物調製時、又は調製後に配合することができ、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体、ポリアミド、及び/又は帯電防止剤に予め配合しておくことができる。
[成形体]
本発明の樹脂組成物は、押出成形、射出成形、圧縮成形、中空成形などの各種成形方法により、各種形状の成形体とすることができる。
例えばインフレーションフィルム成形機やキャストフィルム・シート成形機を用いて成形されるシートやフィルムなどの成形体は、耐融着性及び耐ブロッキング性に優れ、高温環境下に曝された際の収縮性が小さいという特徴を有している。
このようなシートやフィルムなどの成形体は、単層でもよい。また、該成形体は、各種基材との接着性を向上させるために、共押出成形機により接着性樹脂との共押出積層体として形成されてもよい。
本発明の樹脂組成物の表面の接着力を向上させるために、例えばプラズマ処理、フレーム処理、コロナ放電処理、火炎処理、アンダーコート処理、プライマーコート処理、紫外線照射処理などの公知の表面活性化処理を施してもよい。
また、得られた成形体には、耐久性等を高める目的で、電子線照射による架橋処理を施してもよい。
本発明の樹脂組成物と積層可能な接着性樹脂は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸・不飽和カルボン酸アルキルエステル3元共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体、エチレン・酢酸ビニルエステル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸アルキルエステル・一酸化炭素共重合体、あるいはこれらの不飽和カルボン酸グラフト物、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン樹脂から選ばれる、単体もしくは任意の複数からなるブレンド物を代表例として挙げることができる。
また、本発明の樹脂組成物の他の押出成形例として、押出コーティング成形機を用い、他の基材の表面に本発明の樹脂組成物を熱接着させることで重層体を形成する方法が挙げられる。このとき、基材と成形体とが重層された多層材料が得られる。
上記のような基材としては、印刷紙などの紙、各種金属箔、鋼板などの各種金属板、ポリオレフィンフィルム・シート、織布、不織布などが挙げられる。基材は、単層又は多層のいずれの構造を有するものでもよい。
本発明の樹脂組成物を押出コーティング成形機により他の基材の表面に積層する場合、単層でもよく、また各種基材との接着性を向上させるために、共押出コーティング成形機により接着性樹脂層を介して形成されてもよい。このような接着性樹脂としては、前述の各種エチレン共重合体、あるいはこれらの不飽和カルボン酸グラフト物から選ばれる、単体もしくは任意の複数からなるブレンド物を代表例として挙げることができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
[原料]
原料として、下記材料を準備した。
下記原料のメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210(1999年)に準拠して190℃、荷重2160gで測定したものである。
融点は、JIS−K7121(1987年)に準拠して、示差走査熱量計(DSC)で測定した融解温度を用いた。
中和率は、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマーにおける不飽和カルボン酸に由来の構造単位の含有比率をA質量%として、中和度をB%としたとき、A×B/100で表される値である。
−1.アイオノマー−
・アイオノマー1:エチレン・メタクリル酸共重合体のアイオノマー
〔メタクリル酸に由来の構造単位の含有比率:15質量%、金属イオン:亜鉛イオン、中和度:59%、MFR(190℃、2160g荷重):0.9g/10分〕
・アイオノマー2:エチレン・メタクリル酸共重合体のアイオノマー
〔メタクリル酸に由来の構造単位の含有比率:15質量%、金属イオン:ナトリウムイオン、中和度:54%、MFR(190℃、2160g荷重):0.9g/10分〕
−2.ポリアミド−
・ポリアミド1:6ナイロン
〔東レ株式会社製、アミランCM1017〕
・ポリアミド2:6/12ナイロン
〔宇部興産株式会社製、UBEナイロン 7024B〕
−3.帯電防止剤−
・ポリエーテルエステルアミド1:ポリアミドに由来の構造部分とポリエーテルに由来の構造部分とがエステル結合されたポリマー
〔三洋化成工業株式会社製、ペレスタット230、融点163℃、高分子型帯電防止剤〕
・ポリエーテルエステルアミド2:ポリアミドに由来の構造部分とポリエーテルに由来の構造部分とがエステル結合されたポリマー
〔BASFジャパン株式会社製、イルガスタットP18FCA、融点173℃、高分子型帯電防止剤〕
(実施例1)
30mmφ二軸押出機の樹脂投入口にアイオノマー1、ポリアミド1、及びポリエーテルエステルアミド1を、下記表1に示す割合(質量%)でドライブレンドした。その後、樹脂投入口に投入して、ダイス温度230℃で溶融混練することで、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を200℃に設定したプレス成形機にてプレス成形し、250mm×250mm、厚み3mmのプレスシートを作製した。
上記のようにして得られたプレスシートについて、耐傷性、デュロメータD硬さ、収縮率、曲げ剛性率を以下の方法に従って評価した。各評価結果は、表1に示す。
また、得られた樹脂組成物を、キャストフィルム成形機(40mmφ)を用いて加工設定温度230℃の条件で成形し、厚み100μmのキャストフィルムを得た。
上記のようにして得られたキャストフィルムについて、表面抵抗率を以下の方法に従って評価した。評価結果は、表1に示す。
[評価方法]
(1)耐傷性の評価1(スカッフ性)
下記装置の衝撃用振り子の荷重部に摩耗輪CS-10を取り付け、台座に評価対象であるプレスシートを設置した。衝撃用振り子を振り角度45度から振り下ろし、摩耗輪がプレスシートの表面と接触した後のプレスシートの傷が付かずに残存した面積を顕微鏡写真(倍率:35倍、観察幅:2mm)から測定し、下記式より、傷が付かずに残存した面積の割合を算出した。この割合を指標として、下記の評価基準に従って耐傷性を評価した。残存率は、その値が大きいほど耐傷性に優れたプレスシートであることを示す。
残存した面積の割合(%)=(傷が付かずに残存した面積)/(摩耗輪が接触した面積)×100
−装置−
名称 アオヤマエンジニアリング(株)製 スカッフテスター
仕様 衝撃用振り子:金属製支柱(長さ84cm、20mmφ)先端に円柱状荷重(70mmφ、93mm、3kg)が設置された形状。
台座:金属製台座。台座角度15度。
−評価基準−
◎:残存率が90%以上である。
○:残存率が80%以上90%未満である。
×:残存率が80%未満である。
(2)耐傷性の評価2(学振式摩耗試験)
下記条件にて測定対象であるプレスシートの表面に綿帆布を取り付け、荷重をかけた状態で擦った。擦った後のプレスシートの傷が付かずに残存した面積を顕微鏡写真(倍率:35倍、観察幅:2mm)から測定し、下記式より、傷が付かずに残存した面積の割合を算出した。この割合を指標として、下記の評価基準に従って耐傷性を評価した。残存率は、その値が大きいほど耐傷性に優れたプレスシートであることを示す。
残存した面積の割合(%)=(傷が付かずに残存した面積)/(擦った面積)×100
−試験条件−
・綿帆布:10号
・荷重:500g
・往復回数:100往復
−評価基準−
◎:残存率が98%以上である。
○:残存率が95%以上98%未満である。
×:残存率が95%未満である。
(3)デュロメータD硬さ(D硬さ)
JIS K 7215(1986年)に準拠して、デュロメータD硬さを評価した。
(4)収縮率の評価(耐熱性評価)
上記で作製した厚み3mmのプレスシートを、長さ150mm×幅20mmに裁断し、評価用フィルムとした。この評価用フィルムの表面には、予め100mmの間隔で2本の標線を引いてある。次いで、この評価用フィルムを200℃に加熱したオーブン中に入れ、評価用フィルムに5g荷重をかけた状態で2分間吊して評価用フィルムを加熱処理した。
2分経過後の評価用フィルムをガラス板の上に置き、3分が経過した後に評価用フィルム表面の標線間距離を測定した。測定値をもとに下記式により算出し、プレスシートの熱収縮性を評価する指標とした。
収縮率[%]=(200℃、2分放置後の標線長さ/100mm)×100
−評価基準−
○:収縮率が0%である。
×:収縮率が0%を超える。
(5)曲げ剛性率の評価
JIS K 7106(1995年)に準拠して、曲げ剛性率を評価した。
(6)電気特性の評価(表面抵抗率の測定)
上記で作製した100μm厚キャストフィルムを、23℃、50%相対湿度雰囲気に24時間放置し、三菱化学(株)製Hiresta−UPを用いて、JISK6911に基づき、印加電圧500Vにて表面抵抗率を測定し、以下の通りに評価した。
−評価基準−
○:表面抵抗率が1.0×1014Ω以下である。
×:表面抵抗率が1.0×1014Ωを超える。
〔実施例2〜実施例7および比較例1〜比較例4〕
実施例1において、樹脂組成物の組成を下記表1に示すように変更した以外は、同様にして実施例2〜実施例7、比較例1〜比較例4の樹脂組成物のプレスシート、キャストフィルムを作製した。また、実施例2〜実施例7、比較例1〜比較例4のプレスシート、キャストフィルムについても、実施例1と同様、各種評価を実施した。評価結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例では、スカッフ性、学振式摩耗、収縮率、及び表面抵抗率の評価結果が良好であることがわかる。このことから、実施例は、耐熱性、耐傷性及び帯電防止性が、いずれも優れるといえる。
一方、表1より、樹脂組成物中におけるポリアミド1の含有量が35質量%を超える比較例1では、スカッフ性、及び学振式摩耗の評価結果が悪いことがわかる。このことから、比較例1は耐傷性に劣るといえる。
また、表1より、樹脂組成物中におけるポリアミド1の含有量が35質量%を超え、帯電防止剤を含まない比較例2では、スカッフ性、学振式摩耗、及び表面抵抗率のいずれの評価結果も悪いことがわかる。このことから比較例2は耐傷性及び帯電防止性のいずれも劣るといえる。
また、表1より、ポリアミドを含まない比較例3及び比較例4は、スカッフ性、学振式摩耗及び耐熱性の評価結果が悪いことがわかる。このことから、比較例3及び4は耐傷性及び耐熱性に劣るといえる。
本発明の樹脂組成物は、上記のような優れた性質を有することから、例えば、公共施設用や住居用、工業用床材、自動車用床材等の床材、自動車内外装部品、電子材料、木材や合板等の突き板、鋼鈑、建材や家具類、看板の表層シート、防汚シートまたは保護シート、手摺などの成形品、カバン、手帳、辞書などのレザー調表皮、カーテン、間仕切りシート、産業用シート、デスクマット、テーブルクロス、マウスパッド、マーキングフィルム、ステッカー、玩具、文具用品向けの成形品もしくはそれらの表皮層、あるいはカーペット表皮材、真空圧空成形シートの表皮材など成形体、表皮材、積層材料などの用途に好適に使用できるものである。

Claims (8)

  1. エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマー樹脂と、帯電防止剤と、ポリアミド(ただし前記帯電防止剤は含まない)と、を含み、
    前記ポリアミドの含有量が、前記アイオノマー樹脂、前記ポリアミド、及び前記帯電防止剤の合計量に対して5質量%以上35質量%以下であり、
    前記アイオノマー樹脂の含有量が樹脂組成物に対して50質量%以上である樹脂組成物。
  2. 前記アイオノマー樹脂は、不飽和カルボン酸に由来の構造単位の含有比率A質量%と中和度B%とが下記式1の関係を満たす請求項1に記載の樹脂組成物。
    6.0 < A×B/100 ≦ 9.0 ・・・式1
  3. 前記帯電防止剤の含有量が、前記アイオノマー樹脂、前記ポリアミド、及び前記帯電防止剤の合計量に対して1質量%以上30質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記帯電防止剤の含有量に対する前記ポリアミドの含有量の比が、質量基準で0.25以上7.0以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記帯電防止剤は、ポリエーテルエステルアミドを含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記アイオノマー樹脂は、金属イオンが亜鉛イオン及びナトリウムイオンから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体の不飽和カルボン酸は、(メタ)アクリル酸である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形した成形体。
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