JP6425596B2 - 管のレーザ溶接方法及びその溶接方法を用いて製造されるコイル - Google Patents

管のレーザ溶接方法及びその溶接方法を用いて製造されるコイル Download PDF

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Description

本発明は、管と管の接合部を複数のパスで溶接する管のレーザ溶接方法に関し、特に、互いに平行に隣接して配置された複数の管のうちの1本にU字管や短管等を接合する際の管のレーザ溶接方法、及び、その溶接方法を用いて製造されるコイルに関する。
ボイラの製造等の分野において、具体的には、直管にU字管や短管等を接合し、隣接する直管同士を連結してコイルを製造する際、又は、管板に固定された管に別の管を接合する際に、互いに平行に隣接して配置された複数の管のうちの一本において溶接を行う必要が生じる。従来、そのような管の溶接において、レーザを熱源として用いた全周溶接が提案されているが、被溶接管に、平行に隣り合う管(以下、隣接管と称す)が接近して配置されている場合には、被溶接管と隣接管との間にレーザヘッドを配置して溶接を行うことは困難である。
近年、被溶接管と隣接管の外面同士の距離(以下、隣接管間隔と称す)が狭い場合にも適用可能ないくつかの溶接方法が提案されている。例えば、隣接管間隔が40〜50mm程度よりも小さいコイルを製造するための一つの手段として、被溶接管と隣接管との間に配置可能であって被溶接管の外面に沿って回転可能な小型のレーザヘッドを用いたレーザ溶接装置(例えば、特許文献1)が提案されている。特許文献1記載のレーザ溶接装置に用いられるような小型のレーザヘッドには冷却能等の制限があるため、特許文献1記載のレーザ溶接装置は、高出力レーザの照射を必要とする厚板の裏波溶接や高速溶接等には適用困難である。
隣接管間隔が40〜50mm程度よりも小さいコイルを製造するための別の手段として、接合部において被溶接管と隣接管とが最も接近する位置(以下、最接近位置と称す)を結ぶ直線で溶接範囲を二分し、2台のレーザヘッドを用いて半周ずつ溶接を行う、コイルの製造装置及び製造方法(例えば、特許文献2)が提案されている。2台のレーザヘッドを用いて半周ずつ溶接を行うコイルの製造方法においては、被溶接管と隣接管との間に配置可能であるようにレーザヘッドを小型化する必要がないために高出力レーザを用いることができ、深溶込みが可能な管の肉厚を増加させ、また、溶接速度を向上させることが可能になる。
特開平9−52186号公報 特許第5523045号公報
レーザ溶接において、パスの終端部にはクレータという凹みが発生する。クレータは溶接割れ等の原因となるため、終端部においてレーザ出力を緩やかに低下させるダウンスロープ制御などによりクレータを埋める、クレータ処理を行う必要がある。
特許文献2記載のコイルの製造方法において、最接近位置近傍を始端とする2回のパスで半周溶接を行う場合、溶接進行方向前方にある別の最接近位置まで所定のレーザ出力状態を保っておき、その最接近位置を過ぎてからレーザ出力を漸次低下させクレータ処理を行うことになる。しかしながら、後述するように、各レーザヘッドのレーザ光源から、レーザ光を隣接管に遮られずに被溶接管に照射できる範囲には限界があるため、溶接進行方向前方の最接近位置を過ぎてから、照射可能範囲内でレーザ出力を緩やかに低下させ十分にクレータ処理を行うことは困難であった。すなわち、最接近位置近傍を始端とする2回のパスでの半周溶接においては、クレータ処理のための処理溶接長が十分に確保されず、結果クレータ処理が十分に行われないおそれがあった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、互いに平行に隣接して配置された複数の管におけるレーザ溶接の際に、クレータ処理のための処理溶接長を確保し、十分なクレータ処理を行うことが可能な管のレーザ溶接方法、及びその溶接方法を用いて製造されるコイルを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための第1発明にかかる管のレーザ溶接方法は、管と管の接合部を複数のパスで溶接する管のレーザ溶接方法であって、被溶接管に平行に隣り合う隣接管が少なくとも1本配置されており、接合部において前記被溶接管と前記隣接管とが最も接近する各位置を最接近位置とし、前記最接近位置近傍の始端から時計回り及び反時計回りに所定のレーザ出力状態で溶接を行い、前記複数のパスはそれぞれ、隣接する又は単独の最接近位置近傍から進行し、かつ対向するパスと前記レーザ出力状態で接続する接続点と、溶接進行方向前方の最接近位置との距離が、終端に向けて漸次レーザ出力を低下させてクレータ処理を行う処理溶接長以上であることを特徴とする。
第2発明に係る管のレーザ溶接方法は、第1発明に係る管のレーザ溶接方法において、前記隣接管が前記被溶接管の同一平面上に両側に2本配置されており、2つの前記最接近位置近傍から進行する4回のパスにより溶接を行うことを特徴とする。
第3発明に係る管のレーザ溶接方法は、第1発明又は第2発明に係る管のレーザ溶接方法において、前記被溶接管が、質量%でAlを0.005〜2.0%含むことを特徴とする。
第4発明に係る管のレーザ溶接方法は、第1発明乃至第3発明いずれかに係る管のレーザ溶接方法において、脱酸剤を含む溶加材を用いることを特徴とする。
第5発明に係るコイルは、第2発明に係る管のレーザ溶接方法により、少なくとも直管とU字管とを接合し、同一平面上に連結又は独立したU字状に製造される。
上述した第1発明に係る管のレーザ溶接方法においては、各最接近位置近傍の始端から時計回り及び反時計回りに所定のレーザ出力状態で溶接を行い、終端に向けて漸次レーザ出力を低下させてクレータ処理を行う。各パスは、隣接する又は単独の最接近位置近傍から進行し、かつ対向するパスと所定のレーザ出力状態、つまりクレータ処理のためのダウンスロープ制御がなされていないレーザ出力状態で接続するため、切れ目のない溶接ビード(裏波溶接の場合、特に、裏波ビード)が形成される。各パスにおいて、対向するパスと所定のレーザ出力状態で接続する点(以下、接続点と称す)から漸次レーザ出力を低下させてクレータ処理を行うが、第1発明に係る管のレーザ溶接方法の最も重要な効果は、その接続点と溶接進行方向前方の最接近位置との距離が、クレータ処理のための処理溶接長よりも長いために、十分な処理溶接長に亘って十分にクレータ処理が行える点にある。
本発明の実施例1における、管のレーザ溶接方法を示す図である。 本発明の実施例1における、管のレーザ溶接方法を順を追って示す図である。 本発明の実施例1における、レーザ出力の増減を示すグラフである。 本発明の実施例1における、レーザ光の照射方法を示す図である。 本発明の実施例2における、管のレーザ溶接方法を示す図である。 本発明の実施例3における、管のレーザ溶接方法を示す図である。 本発明の実施例4における、管のレーザ溶接方法を示す図である。
以下、本発明の実施例について、図面に基づき具体的に説明する。
各図において、1は被溶接管であり、2は隣接管である。P1からP4は、被溶接管1と各隣接管2との最接近位置を示す。矢印はパスを示しており、パスA〜Hは、各矢印の基端から先端に向かって進行する。各矢印のうち、実線部は所定のレーザ出力状態、つまりクレータ処理のためのダウンスロープ制御がなされていないレーザ出力状態での溶接を示し、破線部は、終端側に移動するほどレーザ出力を漸次低下させて行われるクレータ処理を示している。
図1〜4に示される実施例1は、隣接管2が被溶接管1の同一平面上に両側に2本配置されている場合に、2つの最接近位置P1及びP2の近傍から進行する4回のパスにより溶接を行う、管のレーザ溶接方法である。図4(a)〜(b)に示すごとく、被溶接管1と図中上方の隣接管2との最接近位置をP1、被溶接管1と図中下方の隣接管2との最接近位置をP2とし、P1は12時の位置、P2は6時の位置にあるものとする。図1及び図2において、被溶接管1中のハッチング部分は接合部に形成された溶接ビードを表しており、同一のパスで形成された一連の溶接ビードには同一方向のハッチングが施されている。なお、実施例1においては接合部を一層で裏波溶接する場合について説明するが、本発明の適用対象は初層裏波溶接に限定されず、多層盛溶接等にも適用可能である。
パスAは、P1近傍の11時半の位置を始端とし、パスBとの接続点となる3時の位置まで所定のレーザ出力状態で溶接を行い、その3時の位置からレーザ出力を漸次低下させクレータ処理を行い、4時の位置においてレーザ出力を切り終端とする。パスAによる溶接の際のレーザ出力の増減は図3(a)に示されており、レーザ出力は、11時半の位置から3時の位置まで一定に保たれ、3時の位置から4時の位置まで緩やかに低下するよう調整される。図1及び図2に示すように、被溶接管1の接合部には溶接ビードが形成されるが、パスの始端部から一定の溶接速度で溶接を行う場合、完全溶込みが実現され裏波が形成されるのは一定程度溶接が進行してからである。完全溶込みの実現に要する溶接長を見越してパスの始端の位置を調節するといった通常行われる方法により、始端部において切れ目のない裏波ビードが形成される。その後レーザ出力を一定に保つことにより、一定の溶込み深さが保たれる。終端部においては、クレータ処理のために漸次出力を低下させることにより、溶込み深さが徐々に浅くなる。
パスBは、P2近傍の6時半の位置を始端とし、パスAとの接続点である3時の位置まで所定のレーザ出力状態で溶接を行い、その3時の位置からレーザ出力を漸次低下させクレータ処理を行い、2時の位置においてレーザ出力を切り終端とする。
パスCは、P1近傍の12時半の位置を始端とし、パスDとの接続点となる9時の位置まで所定のレーザ出力状態で溶接を行い、その9時の位置からレーザ出力を漸次低下させクレータ処理を行い、8時の位置においてレーザ出力を切り終端とする。
パスDは、P2近傍の5時半の位置を始端とし、パスCとの接続点である9時の位置まで所定のレーザ出力状態で溶接を行い、その9時の位置からレーザ出力を漸次低下させクレータ処理を行い、10時の位置においてレーザ出力を切り終端とする。
上記の説明では、便宜上各パスをパスA〜Dとしたが、パスの順番は特に制限されない。例えば、パスA、パスD、パスB、パスCの順に溶接を行ってもよいし、対角に位置するパスAとパスDにより同時に溶接を行った後、パスBとパスCにより同時に溶接を行ってもよい。
対向するパスの長さの比率は特に制限されず、接続点の位置をP1側又はP2側のいずれかに寄せることによって各パスの長さを変えてもよい。例えば、パスAとパスBとの接続点を4時の位置とし、パスAは11時半の位置から4時の位置まで所定のレーザ出力状態で溶接を行ったのち4時の位置から5時の位置までクレータ処理を行い、パスBは6時半の位置から4時の位置まで所定のレーザ出力状態で溶接を行った後4時の位置から3時の位置までクレータ処理を行うものとしてもよい。
また、クレータ処理のための処理溶接長は、1時間分(30°分)には限定されず、溶接条件に応じて、十分なクレータ処理を行うのに必要な処理溶接長を設定すればよい。具体的には、クレータ処理のための処理溶接長は、被溶接管1の肉厚や管径、鋼種の他、レーザ出力や溶接速度、隣接管2の本数などに応じて、適宜設定することができる。
図4を参照し、各パスにおけるレーザ光3の照射方法について説明する。図4(a)〜(d)はそれぞれ、パスA〜Dによる溶接の際のレーザ光3の照射方法に関するものである。互いに平行に隣接して配置された複数の管により列が形成されており、レーザ光源(図示せず)がその列の一方の側に配置されている場合、被溶接管1の、レーザ光源が配置されていない側の接合部にレーザ光3を照射することは不可能である。また、レーザ光3はエネルギー効率の観点から被溶接管1に対して垂直に照射されることが望ましいが、図4に示すように、最接近位置P1及びP2の近傍では、レーザ光源からのレーザ光3が隣接管2によって遮られるため、被溶接管1にレーザ光3を垂直に照射することは困難である。そのため、最接近位置P1及びP2の近傍では、レーザ光3の照射角度(被溶接管1の接線とレーザ光3とのなす角)を低く保ったまま溶接を行う必要があり、レーザ光3は互いに平行な複数の軌跡を描く。その後レーザ光3は被溶接管1に対し垂直に照射され、円弧状の軌跡を描く。
なお、レーザ光源からのレーザ光3の照射可能範囲や、そのうちレーザ光3を被溶接管1に対し垂直に照射できる範囲は、隣接管間隔、被溶接管1及び隣接管2の管径のほか、溶接装置の精度や焦点距離等によっても異なる。
図5を参照しつつ、本発明の実施例2について説明する。なお、実施例1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
実施例2は、図5(a)に示すごとく、被溶接管1に対して3本の隣接管2が三方に等距離、等角度で配置され、被溶接管1及び隣接管2によりY字が形成されている場合における溶接方法である。被溶接管1と図中上方の隣接管2との最接近位置をP1、被溶接管1と図中右下方の隣接管2との最接近位置をP2、被溶接管1と図中左下方の隣接管2との最接近位置をP3とし、P1は12時の位置、P2は4時の位置、P3は8時の位置にあるものとする。
図5(b)に示すごとく、P1近傍から時計回りに進行するパスAとP2近傍から反時計回りに進行するパスBは2時の位置で接続する。同様に、パスCとパスDは10時の位置、パスEとパスFは6時の位置で接続する。
被溶接管1に対し隣接管2が3本配置されている本実施例においても、3つの最接近位置を考慮してパス同士の接続点を設定することにより、十分な処理溶接長に亘る十分なクレータ処理が可能になる。
図6を参照しつつ、本発明の実施例3について説明する。なお、実施例1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
実施例3は、図6(a)に示すごとく、被溶接管1に対して4本の隣接管2が四方に等距離、等角度で配置され、被溶接管1及び隣接管2により十字が形成されている場合における溶接方法である。被溶接管1と図中上方の隣接管2との最接近位置をP1、被溶接管1と図中右方の隣接管2との最接近位置をP2、被溶接管1と図中下方の隣接管2との最接近位置をP3、被溶接管1と図中左方の隣接管2との最接近位置をP4とし、P1は12時の位置、P2は3時の位置、P3は6時の位置、P4は9時の位置にあるものとする。
図6(b)に示すごとく、P1近傍から時計回りに進行するパスAとP2近傍から反時計回りに進行するパスBは1時半の位置で接続する。同様に、パスCとパスDは10時半の位置、パスEとパスFは4時半の位置、パスGとパスHは7時半の位置で接続する。
被溶接管1に対し隣接管2が4本配置されている本実施例においても、4つの最接近位置を考慮してパス同士の接続点を設定することにより、十分な処理溶接長に亘る十分なクレータ処理が可能になる。
図7を参照しつつ、本発明の実施例4について説明する。なお、実施例1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
実施例4は、図7(a)に示すごとく、被溶接管1の対面及び両側に隣接管2が等距離で配置され、被溶接管1及び隣接管2によりT字が形成されている場合における溶接方法である。被溶接管1と図中上方の隣接管2との最接近位置をP1、被溶接管1と図中右方の隣接管2との最接近位置をP2、被溶接管1と図中左方の隣接管2との最接近位置をP3とし、P1は12時の位置、P2は3時の位置、P3は9時の位置にあるものとする。
図7(b)に示すごとく、P1近傍から時計回りに進行するパスAとP2近傍から反時計回りに進行するパスBは1時半の位置で接続する。同様に、パスCとパスDは10時半の位置で、パスEとパスFは6時の位置で接続する。
被溶接管1に対し非対称に隣接管2が配置されている本実施例においても、各最接近位置を考慮してパス同士の接続点を設定することにより、十分な処理溶接長に亘る十分なクレータ処理が可能になる。
上述の実施例1〜4は本発明に係る管のレーザ溶接方法が適用可能である典型的な場合を例示したものであり、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。被溶接管1に対し隣接管2が1本のみ配置されている場合や、被溶接管1に対し隣接管2が種々の距離、種々の角度で配置されている場合にも適用可能である。
また、本発明に係る管のレーザ溶接方法を用いて多層盛溶接を行う場合、上述した複数のパスで各層を形成すればよく、各パスの終端部においてクレータ処理を十分に行うことにより多層溶接部の初層、中間層及び最終層における溶接割れなどの溶接欠陥の発生が抑制される。
一般にパスの始端部及び/又は終端部には二重溶接が施され、本発明に係る管のレーザ溶接方法においても、各パスの始端部及び終端部は二重溶接部となる。接合部の溶接ビードには溶接時に雰囲気(シールドガスあるいは大気)中の酸素が溶解するため、溶接ビードは母材よりも酸素含有量が多くなる場合があり、二重溶接部では酸素含有量は一層高くなりやすい。また、二重溶接においては、表面にスラグ(酸化物)が存在する溶接完了部上で再度溶接を行うため、溶接ビードに酸素が取り込まれやすい。そのため、溶接ビード内の酸素含有量が増加し、溶接ビードの凝固時に酸素が過飽和となり、溶接欠陥であるブローホールが発生するおそれがある。特に、シールドガスを用いずに溶接を行った場合や炭酸ガス等の活性ガスを用いて溶接を行った場合には、ブローホールが発生するおそれが高まる。
実施例1〜4では被溶接管1の組成を詳述しなかったが、二重溶接部でのブローホールの発生を抑えるためには、被溶接管1を脱酸元素が多く含まれた鋼製にすることが有効である。被溶接管1が脱酸元素を多く含むことにより、二重溶接部の溶接ビードに取り込まれた酸素は、被溶接管1に含まれる脱酸元素と結合し、スラグとして溶接ビードから排出される。これにより、二重溶接部に起因するブローホールの発生を抑え、溶接品質の低下を防ぐことが可能になる。
具体的には、被溶接管1が、強脱酸元素であるAlを質量%で0.005%以上含むことが必要であり、Alの含有量が0.005%よりも少ないとブローホールの発生を抑制する効果は見込まれない。Alの含有量が2.0%を超えると接合部の靱性に悪影響を与えるため、Alの含有量は2.0%以下であることが必要である。好ましくは、被溶接管1は、Alを0.02〜1.5%含む。
また、二重溶接部でのブローホールの発生を抑えるために、脱酸剤を含む溶加材を用いることも有効である。脱酸剤としては、Alのほか、Ti、Si、Mn等が採用される。溶加材を用いる方法としては、突合せ継手部にインサート材を挟み込んだりワイヤ状の溶加材を接合部に送給したりする方法などが採用されるが、これらの方法に限定されるものではない。
本発明に係る管のレーザ溶接方法は、特に、コイルの製造に好適に用いられる。本発明に係る管のレーザ溶接方法を用いて製造されたコイルは、クレータ処理が適切に行われているため、溶接割れ等の溶接欠陥が少なく、高温のボイラ等における使用にも耐えうる。
ところで、本明細書中では、隣接する最接近位置により画定される溶接区間を、それぞれ対向する2回のパスで溶接する実施例を示したが、本発明に係る管のレーザ溶接方法は、1つの溶接区間を3回以上のパスによって溶接する場合にも応用可能である。例えば、1つの溶接区間をパスA〜Cの3回のパスで溶接する場合には、各パスの終端部において十分な処理溶接長に亘って十分にクレータ処理が行える限り、一方の最接近位置近傍から時計回りに進行するパスAと他方の最接近位置近傍から反時計回りに進行するパスBに加え、パスAとパスBとの接続点近傍を始端とし時計回り又は反時計回りに進行するパスCにより溶接を行ってもよい。
本発明に係る管のレーザ溶接方法は、互いに平行に隣接して配置された複数の管におけるレーザ溶接において利用可能であり、コイルの製造のほか、圧力容器や各種プラントの配管工事や建設等において利用可能である。
1 被溶接管
2 隣接管
3 レーザ光

Claims (5)

  1. 管と管の接合部を複数のパスで溶接する管のレーザ溶接方法であって、
    被溶接管に平行に隣り合う隣接管が少なくとも1本配置されており、接合部において前記被溶接管と前記隣接管とが最も接近する各位置を最接近位置とし、前記最接近位置近傍の始端から時計回り及び反時計回りに所定のレーザ出力状態で溶接を行い、
    前記複数のパスはそれぞれ、隣接する又は単独の最接近位置近傍から進行し、かつ対向するパスと前記レーザ出力状態で接続する接続点と、溶接進行方向前方の最接近位置との距離が、終端に向けて漸次レーザ出力を低下させてクレータ処理を行う処理溶接長以上であることを特徴とする、管のレーザ溶接方法。
  2. 前記隣接管が前記被溶接管の同一平面上に両側に2本配置されており、2つの前記最接近位置近傍から進行する4回のパスにより溶接を行うことを特徴とする、請求項1記載の管のレーザ溶接方法。
  3. 前記被溶接管が、質量%でAlを0.005〜2.0%含むことを特徴とする、請求項1又は2記載の管のレーザ溶接方法。
  4. 脱酸剤を含む溶加材を用いることを特徴とする、請求項1乃至3いずれかに記載の管のレーザ溶接方法。
  5. 請求項2記載の管のレーザ溶接方法により、少なくとも直管とU字管とを接合し、同一平面上に連結又は独立したU字状に製造されるコイル。
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