JP6424841B2 - 成形部材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は耐遅れ破壊特性に優れた成形部材の製造方法に関する。本発明は、自動車骨格部材、補強部材等の製造に好適である。
近年、地球環境の保全の見地から、自動車の燃費向上が重要な課題となっている。このため、車体材料の薄肉化により車体そのものを軽量化しようとする動きが活発となってきている。一方、車両衝突時の乗員保護の観点からは、高強度化による自動車車体の安全性向上も要求されている。自動車車体の軽量化と強化を同時に満足させるためには、部品素材を高強度化かつ薄肉化することが有効であり、最近では引張強さ(TS)が1180MPa以上の高強度の薄鋼板(以下、薄鋼板を単に鋼板とも称する)が自動車骨格部材、補強部材等に使用され始めている。
しかしながら、非特許文献1に記載されているように、TSが1180MPa以上の高強度鋼板は、低強度の鋼板に比べ、自動車の製造時や使用時に鋼板から成形した部材に侵入する水素に起因して遅れ破壊が生じる可能性が高くなる。このため、TSが1180MPa以上の高強度鋼板の適用は限定的となっている。
特に、自動車部材の製造において、通常、冷間成形用の素材(ブランク板)となる鋼板は剪断加工により採取され、また、冷間成形を施した後、得られた部材に対してさらに剪断加工により所定の形状にトリムを行ったり、部分的に穴あけ加工を行って使用され場合も多い。遅れ破壊は上記の剪断加工により生じる剪断端面を起点として生じることが多く、このような剪断端面を起点とした遅れ破壊を抑制することが重要となっている。
耐遅れ破壊特性に優れる自動車部材用高強度薄鋼板の製造として、従来、特許文献1〜5に記載の技術がある。
特許文献1〜3では、CaやMg、Mo、Vなどの元素を添加することで、耐遅れ破壊特性を向上させている。また、特許文献4、5では、鋼組織を限定することで耐遅れ破壊特性を向上させようとしている。
また、特許文献6では高強度機械構造用鋼にショットピーニング処理を行うことにより耐遅れ破壊特性を向上させる技術が開示されている。
特開2003−166035号公報 特開2004−359974号公報 特許第3406094号公報 特許第3424619号公報 特開2005−220440号公報 特開平7−292434号公報
吉野、田路、高木、長谷川:鉄と鋼,Vol.99,(2013),p302.
しかしながら、上記特許文献1〜5で開示された技術では素材である鋼板表面や成形した部材の平坦面からの耐遅れ破壊特性は向上するものの、剪断端面を起点とした遅れ破壊の抑制に対しては十分ではない。また、特許文献1〜3はいずれも耐遅れ破壊特性を向上させるためにCaやMg、Mo、Vなどの特殊な元素の添加を必須としている。このため、鋼板製造コストが増大するという課題がある。特許文献4および5は、鋼組織を限定する必要があり、汎用的な耐遅れ破壊特性の改善には至っていない。また、特許文献1〜5に開示されるように、素材である鋼板の成分や組織を工夫するのではなく、他の着眼点に基づく耐遅れ破壊特性の向上手法が求められている。
さらに、特許文献6で開示された技術は鋼素材にショットピーニング処理を施すことにより水素の侵入を抑制し耐遅れ破壊特性を向上させる技術である。しかし、薄鋼板を用いた成形部材のように冷間成形や剪断加工が加えられる場合は素材鋼板にショットピーニング処理を施しても部材での耐遅れ破壊特性向上にはつながらない。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものである。冷間成形の素材となる高強度鋼板の成分や組織に厳しい制約をすることなく、冷間成形部材の剪断端面を起点とした遅れ破壊に対する耐遅れ破壊特性に優れる成形部材の製造方法を提供することを本発明の課題とする。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討を重ねた。その結果、冷間成形部材の剪断端面にショットピーニング処理を施し、端面の引張りの残留応力を低減することで冷間成形部材の剪断端面からの耐遅れ破壊が顕著に抑制されるという知見を得るに至った。この知見に基づきさらに検討を重ねて、本発明者らは本発明を完成するに至った。本発明の要旨は以下の通りである。
[1]引張り強度が1180MPa以上の鋼板を用いて冷間成形する工程と、冷間成形後の部材において剪断により生じた剪断端面の一部または全てにショットピーニング処理を施す工程と、を含む成形部材の製造方法。
[2]前記鋼板が剪断加工により採取したものである[1]に記載の成形部材の製造方法。
[3]冷間成形後の部材に剪断によりトリムおよび/または穴あけ加工を行った後に、加工後の成形部材の剪断端面の一部または全てにショットピーニング処理を施す[1]または[2]に記載の成形部材の製造方法。
[4]前記ショットピーニング処理において、投射材の投射速度が50m/s以上、投射材の粒径が0.1mm以上2.0mm以下で投射材の硬度がHvで400以上である[1]〜[3]のいずれかに記載の成形部材の製造方法。
[5]前記ショットピーニング処理した領域におけるカバー率が30%以上である[1]〜[4]のいずれかに記載の成形部材の製造方法。
[6]前記ショットピーニング処理の後において、剪断端面における厚み方向に対して垂直方向の残留応力が200MPa以下である[1]〜[5]のいずれかに記載の成形部材の製造方法。
本発明では、残留応力について、引張の残留応力を「+」、圧縮の残留応力を「−」で表現し、残留応力を連続的に表現する。
本発明によれば、TSが1180MPa以上の鋼板を冷間成形によって目的の形状に成形し製造される成形部材について、該成形部材の剪断端面にショットピーニング処理を施すことで特殊な成分の添加や鋼組織の限定をすることなく剪断端面からの耐遅れ破壊特性に優れる高強度部材を提供することが可能となる。
図1は、冷間成形部材の製造工程を例示する模式図である。 図2は、実施例における遅れ破壊特性試験の模式図である。 図3は、剪断端面の残留応力と塩酸浸漬における破壊までの時間の関係を示す図面である。 図4は、実施例における冷間成形後の部材の模式図である。 図5は、実施例における、遅れ破壊評価サンプルの模式図である。 図6は、剪断端面の残留応力と塩酸浸漬における破壊までの時間の関係を示す図面である。
以下に、本発明の実施形態を説明する。
図1に、本発明実施形態の製造工程を模式的に示す。TS:1180MPa以上の鋼板から剪断加工(剪断加工部を太線で示してある)により採取したブランク板を用いて冷間成形を行い、その後、剪断端面にショットピーニング処理を施す(図1左側列)。または、剪断加工の他、機械加工やレーザー加工など種々の方法でTS:1180MPa以上の鋼板から採取したブランク板を用いて冷間成形を行い、その後、剪断により外形トリムおよび/または穴あけ加工を行った後、剪断端面にショットピーニング処理を施す(図1右側列)。ブランク板を剪断加工により採取し、冷間成形し、さらに剪断により外形トリムおよび/または穴あけ加工を行い、その後、剪断端面にショットピーニング処理を施してもよい。
冷間成形はプレス成形の他、ロール成形や曲げ成形などで行ってもよい。
剪断加工は打抜きの金型を用いたり剪断機を用いるなど種々の方法で行うことができ、その際のクリアランスやレーキ角なども特に限定されない。抜き刃損傷抑制の観点から、クリアランスは鋼板板厚の5〜20%程度とすることが望ましい。
冷間成形用の素材となる鋼板はTSが1180MPa以上である。これにより、部品素材の高強度化かつ薄肉化を実現する。TSは素材である鋼板を用いた引張試験により求める。また、素材である鋼板の厚さは0.6〜5.0mmが好ましい。
剪断端面へのショットピーニング処理は冷間成形後の成形部材に対して行う。成形部材の平坦面垂直方向や剪断端面垂直方向、その間の方向など、どの方向から行っても良い。剪断端面を起点とした遅れ破壊の抑制には剪断端面垂直方向からショットピーニング処理を行うのが好ましい。成形部材の平坦面垂直方向からショットピーニング処理を行う場合は、剪断端面から少なくとも10mm程度までの領域にショットピーニング処理を行うことで本発明の効果が得られ、それ以外の領域にショットピーニング処理を施しても問題はない。本発明において、剪断端面にショットピーニング処理を施すとは、剪断端面垂直方向からショットピーニング処理を行う場合、剪断端面から少なくとも10mm程度までの領域にショットピーニング処理を行う場合のいずれも含む。
ショットピーニング処理を行う装置は、遠心式や空気式などいずれの装置を用いても良い。
ショットピーニング処理における投射材の投射速度、投射時間、材質、硬度、径などは限定をするものではなく常法に従って行えばよい。
例えば、投射速度は50m/s(時間をあらわすsは秒を意味する)以上が好ましい。投射速度が50m/s未満では剪断時に端面に導入される引張りの残留応力の低減が不十分となるおそれがある。
また、投射材の硬度はビッカース硬度Hvで400以上が好ましい。投射材の硬度がビッカース硬度で400未満では成形部材の硬度に対して投射材の硬度が不十分となり剪断端面の引張り残留応力の低減が不十分となるおそれがある。なお、投射材のビッカース硬度はマイクロビッカース硬度試験により求める。
また、投射材の粒径は0.1〜2mmが好ましい。投射材の粒径が0.1mm未満では運動エネルギーが小さすぎて十分な効果が得られないおそれがあり、2mmを超えると表面荒れがひどくなったり成形部材の形状が悪化したりするおそれがある。
また、剪断端面においてショットピーニング処理をした領域におけるショットピーニングのカバー率は30%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。ショットピーニング処理の時間については特に限定しないが、本発明の効果を得るためには、カバー率が30%以上となるまで処理を行うことが好ましい。カバー率とはショットピーニング処理を施す領域の処理前の面積に対して、処理後により投射材が衝突して表面が変形した部分の面積の割合いである。
ショットピーニング処理後において、剪断端面における厚み方向に対して垂直方向の残留応力が圧縮応力であることが好ましい。
剪断端面における厚み方向に対して垂直方向の残留応力は、剪断時の加工により剪断ままでは通常引張り応力となる。遅れ破壊は引張り応力下で発生しやすく、剪断端面で遅れ破壊が生じやすいのはこのような引張りの残留応力に起因していると考えられる。剪断端面にショットピーニング処理を施すことにより耐遅れ破壊特性が向上するのは、このような剪断時の引張りの残留応力が低減するためで、剪断端面における厚み方向に対して垂直方向の引張りの残留応力が200MPa以下となることが好ましい。いいかえれば、本発明においてショットピーニング処理を施す剪断端面は、少なくとも厚み方向に対して垂直方向の残留応力が200MPaを超える剪断端面であることが好ましい。さらに残留応力が圧縮応力になることでその効果が顕著となる。
本発明において、ショットピーニング処理後における、剪断端面における厚み方向に対して垂直方向の残留応力はX線回折法により求める。回折線はCrのKα線(管電圧30kV、管電流10mA、ビーム径1mm)の(211)反射であり、傾斜法により残留応力を求める。回折角度の変化を残留応力に換算する際の応力定数としては−317.91MPa/degを用いる。
冷間成形の素材となる鋼板については、引張り強さTSが1180MPa以上となるように製造されていればよい。引張強さTSは後述の実施例に記載の方法で測定する。鋼板は熱延鋼板、冷延鋼板のいずれでもよく、表面にZnやAlなどのめっきが施されていても構わない。下記に鋼板の成分組成例や鋼組織の例について記載するが、冷間成形の素材となる鋼板は下記の内容に限定されるものではない。以下の説明において、成分組成の質量%は単に%と記載する。
TSを1180MPa以上とするためには、Cは0.10%以上が好ましい。また、Cが0.5%を超えると靭性が低下する。このため、Cは0.10%以上0.5%以下が好ましい。含有量の上限側についてより好ましくは0.3%以下である。
その他の元素の好ましい範囲は以下の通りである。
Si:3.0%以下、Mn:0.5〜10%、P:0.1%以下、S:0.01%以下、Al:0.01〜1.5%、N:0.02%以下、O:0.01%以下。
さらに必要に応じてその他の元素を下記のように含有することも可能である。
Ti:0.3%以下、Nb:0.2%以下、V:0.5%以下、Mo:0.5%以下、Cr:1%以下、B:0.005%以下、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Sb:0.03%以下から選ばれる1種以上。
通常、上記以外の残部はFeおよび不可避的不純物とする。不可避的不純物としては、例えばSn、Zn、Co等があげられる。また、Mg、Ca、Zr、REMについても通常の鋼組成の範囲内で含有してもその効果は失われない。
鋼組織としては、TSを1180MPa以上とするためには、高強度化に寄与するマルテンサイト(焼戻しマルテンサイトを含む)およびベイナイトを合計で50%以上とすることが好ましい。マルテンサイトおよびベイナイト以外の相としては、フェライト、パーライト、残留オーステナイトなどがあり、必要とする鋼板の特性に応じてこれらを適宜含んでも構わない。特に、フェライトおよび残留オーステナイトは鋼板の延性向上に有効な相であり、プレス成形において延性が必要な場合は、これらの相をそれぞれ3〜50%含有させることが好ましい。鋼組織は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた鋼板の断面組織観察により面積率で求める。
本発明により製造された成形部材は、自動車骨格部材、補強部材等に用いられることが好ましい。特に自動車の耐衝突特性向上への寄与が大きく成形部材の高強度化の必要性が高い、センターピラー、フロントピラー、サイドシル、ルーフレール、クロスメンバー、フロントサイドメンバー、リヤサイドメンバー、バンパー、ドアインパクトビームなどの部品への適用が有効となる。
以下、本発明を、実施例に基づいて具体的に説明する。本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されない。
(実施例1)
表1に示す成分組成(単位は質量%、残部はFeおよび不可避的不純物)の鋼スラブを連続鋳造により製造し、1250℃まで再加熱後、仕上げ圧延温度850℃、巻取り温度600℃で、板厚2.8mmまで熱間圧延を行った。さらに酸洗後、冷間圧延を施して板厚1.4mmの冷延板とし、次いで800〜900℃に加熱しその温度域で300〜900秒間保持した後、
鋼種A、Bについては、平均冷却速度10℃/sで600〜750℃の温度域まで徐冷した後、室温まで水冷し、その後、150〜250℃で10分間焼戻し処理を施した。
また、鋼種CおよびGについては、平均冷却速度20℃/sで350〜450℃まで冷却した後、その温度域で10分間保持し、その後室温まで冷却した。
さらに、鋼種D〜Fについては、平均冷却速度20℃/sで150〜300℃まで冷却した後、350〜450℃まで再加熱し、その温度域で10分間保持し、その後室温まで冷却した。
得られた各鋼板に伸び率0.2%で調質圧延を施した。このように製造した冷延鋼板を用いて、引張り強度、遅れ破壊特性を調査した。各試験方法の詳細は以下の通りである。
(引張り試験)
引張方向が鋼板の圧延方向と直角方向となるようサンプル採取したJIS5号試験片を用いて、JISZ2241に準拠した引張試験を行ない、TS(引張強さ)を求めた。その結果を表2に示す。
(遅れ破壊特性の試験)
本実施例で行った遅れ破壊試験のサンプル作製方法について、図2に模式的に示す。上記冷延鋼板から、長手を圧延方向に垂直にして採取した100mm×30mmの試験片を用いた。試験片は剪断加工により採取した(図2において、剪断端面は「端面」と表示してある)。剪断加工は板厚の15%のクリアランスで、両方の長辺のバリが同じ向きになるように行った。
得られたサンプルを用いて、曲げ径10mmでバリが外側になるようにU曲げ加工を施した後、スプリングバック分をボルトで締め付けることによって応力負荷し、その後、剪断端面にショットピーニング処理を施した。比較としてショットピーニング処理を施していないサンプルも評価した。このような曲げ加工やボルト締め込みによる応力負荷は、実際の成形部材の製造における冷間成形や成形部材への残留応力の導入を模擬している。
投射材の投射方向は、試験片の板面に垂直方向、剪断端面に垂直方向の各条件で行った。投射時間は目視でカバー率が90%以上となるまで行った。図2の模式図では分かりやすくするためショットピーニング処理を片側の剪断端面にのみ施すようになっているが、実際には両側の剪断端面にショットピーニング処理を施した。
その後、X線回折法により、剪断端面における板厚方向に対して垂直方向の残留応力を測定した。X線回折はCrを線源とし、板厚の80〜120%のビーム径で行った。
得られたサンプルを0.1規定の塩酸中に浸漬し、破壊までの時間を測定した。破壊判定は目視で行い、96時間浸漬し割れが発生しなかった場合を破壊なしとした。試験はサンプル数N=3で行い、そのうちの最短の割れ発生時間を破壊時間とした。
各試験におけるショットピーニング処理の有無、ショットピーニング処理条件、剪断端面の残留応力、破壊の有無および破壊した条件では破壊までの時間を表2に示す。残留応力は、引張りの応力をプラス、圧縮の応力をマイナスで示している。
図3に本実施例における端面の残留応力と遅れ破壊試験の破壊までの時間との関係を示す。図中の矢印は96時間浸漬しても破壊しなかったことを示す。ショットピーニング処理を施さない場合は剪断端面に高い引張りの応力が残留し、遅れ破壊試験において破壊が生じている。それに対して本発明例ではショットピーニング処理を施すことにより剪断端面の引張りの残留応力が低減し破壊は生じない。
Figure 0006424841
Figure 0006424841
(実施例2)
実施例1と同様の条件で製造した冷延鋼板を用いて200mm×300mmのブランク板をクリアランス15%の剪断加工により打抜き(剪断加工部を太線で示してある)、図4に示すハット形状部材に冷間プレス成形を行った。
図4に示すハット形状はプレスの下死点における形状で、プレス終了後、離型することでスプリングバックが生じる。そのスプリングバックした部材を用いて下死点での形状になるように締め込んだ状態で背板をスポット溶接して図5に示す形状のサンプルを作製した。背板には板厚1.4mmのTS:590MPa級鋼板を用い、スポット溶接の間隔は30mmとした。
得られたサンプルの剪断端面にショットピーニング処理を施して遅れ破壊評価サンプルとした。投射時間は目視でカバー率が90%以上となるまで行った。比較としてショットピーニング処理を施さない遅れ破壊評価サンプルも用いた。
その後、X線回折法により、剪断端面における板厚方向に対して垂直方向の残留応力を測定した。X線回折はCrを線源とし、板厚の80〜120%のビーム径で行った。
得られた遅れ破壊評価サンプルを0.1規定の塩酸中に浸漬し、破壊までの時間を測定した。破壊判定は目視で行い、最長で96時間浸漬し割れが発生しなかった場合を破壊なしとした。試験はN=3で行い、そのうちの最短の割れ発生時間を破壊時間とした。
各試験におけるショットピーニング処理の有無、ショットピーニング条件、剪断端面の残留応力、破壊の有無および破壊した条件では破壊までの時間を表3に示す。残留応力は、引張りの応力をプラス、圧縮の応力をマイナスで示している。
図6に本実施例における剪断端面の残留応力と遅れ破壊試験の破壊までの時間との関係を示す。図中の矢印は96時間浸漬しても破壊しなかったことを示す。ショットピーニング処理を施さない場合は剪断端面に高い引張りの応力が残留し、遅れ破壊試験において破壊が生じている。それに対して本発明例ではショットピーニング処理を施すことにより剪断端面の引張りの残留応力が低減し破壊は生じない。
Figure 0006424841

Claims (6)

  1. 引張り強度が1180MPa以上の鋼板を用いて冷間成形する工程と、
    冷間成形後の成形部材において剪断により生じた剪断端面の一部または全てにショットピーニング処理を施す工程と、を含み、前記ショットピーニング処理の後において、剪断端面における厚み方向に対して垂直方向の残留応力が200MPa以下である成形部材の製造方法。
  2. 前記鋼板が剪断加工により採取したものである請求項1に記載の成形部材の製造方法。
  3. 冷間成形後の部材に剪断によりトリムおよび/または穴あけ加工を行った後に、加工後の成形部材の剪断端面の一部または全てにショットピーニング処理を施す請求項1または2に記載の成形部材の製造方法。
  4. 前記ショットピーニング処理において、投射材の投射速度が50m/s以上、投射材の粒径が0.1mm以上2.0mm以下で投射材の硬度がHvで400以上である請求項1〜3のいずれかに記載の成形部材の製造方法。
  5. 前記ショットピーニング処理した領域におけるカバー率が30%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の成形部材の製造方法。
  6. 前記ショットピーニング処理の後において、前記ショットピーニング処理した剪断端面は、厚み方向に対して垂直方向の残留応力が200MPa以下である請求項1〜5のいずれかに記載の成形部材の製造方法。
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