JP6424384B2 - 化学気相成長方法 - Google Patents

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Description

本発明は、化学気相成長方法に関する。
基板上に薄膜を形成する手段としては、スパッタ法、真空蒸着法、化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法等の種々の成膜方法が一般に用いられている。
化学気相成長方法を用いると品質の高い膜を形成することができる。半導体デバイス等は、形成される膜の厚さや組成、添加する不純物の濃度などがばらつくと、その性能が変化してしまうため、特に高品質な膜が求められており、これらの半導体層を成膜する方法として化学気相成長方法が一般に用いられている。
例えば、SiCエピタキシャルウェハは、SiCエピタキシャル膜を形成する基板として昇華法等で作製したSiCのバルク単結晶から加工したSiC単結晶基板を用い、通常、この上に化学的気相成長法(CVD)によってSiC半導体デバイスの活性領域となるSiCエピタキシャル膜を成長させることによって製造する。
このような化学気相成長装置では、一般に、原料ガスと共にキャリアガスを導入することが行われている。これは、キャリアガスによって、基板表面に効率的に原料ガスを送るためである。一般にキャリアガスとしては、水素、窒素、アルゴン等が用いられている。
特表2002−508298号公報 特表2006−523777号公報
Daniel Chatterjee,et al.Faraday Discuss.,2001,119、371−384.
しかしながら、化学気相成長方法による成膜は、薄膜の成長速度が遅く、薄膜を形成するのに時間がかかるという問題があった。そのため、化学気相成長方法の薄膜の成長速度を向上させることが求められていた。
そこで、発明者らは基板表面に効率的に原料ガスを供給する作用を有するキャリアガスに注目した。その結果、キャリアガスとして一般に使用されている水素を用いると、ソレー効果によって原料輸送効率が悪化するという問題を見出した。
ソレー効果とは、溶液や気体に温度勾配を与えて放置すると、この温度勾配により濃度勾配が生じるという熱拡散現象のことである。例えば、温度勾配を有する気体中において分子量の異なる複数種の分子が存在する場合、分子量の大きな分子は低温側へ、分子量の小さな分子は高温側へ移動し、気体中における分子の濃度勾配が生じる現象である。
化学気相成長方法においては、被加工物である基板を加熱する。そのため、基板は炉内でも高い温度を有しており、原料ガスより分子量の小さな水素ガスはソレー効果によって基板側に移動する。これに対し、水素ガスより分子量の大きな原料ガスは基板から離れる方向に移動する。すなわち、基板表面へ原料ガスを効率的に輸送できないという問題があった。
この問題に対し、キャリアガスとして分子量の大きなアルゴンガスを供給することが考えられる。アルゴンガスは分子量が大きく、例えばSiCエピタキシャル膜を形成するためのSiHガスと比較しても分子量の差はそれほど大きくない。そのため、ソレー効果による原料輸送効率の悪化を、キャリアガスとして水素ガスを用いた場合と比較して抑制することはできる。しかしながら、アルゴンガスは熱伝導率が低いため、炉内温度を高くすることが難しいという問題がある。化学気相成長方法は、炉内を高温にすることで原料ガスを分解し、基板表面に原料を供給する方法である。そのため、炉内温度を高くすることを阻害するような、熱伝導率の低いアルゴンガスを大量に供給することは忌避されている。
また例えば特許文献1のように、キャリアガスとして水素とアルゴンの混合ガスを用いることも行われている。特許文献1においてキャリアガスを水素とアルゴンの混合ガスとすることは、ソースガス濃度が反応器内の移動により低下することを抑制するために行っている。しかしながら、特許文献1にはソレー効果の抑制について、記載も示唆もない。供給段階から混合したキャリアガスを用いると、アルゴンガスが効率的に基板と反対側に移動せず、原料輸送効率を悪化させるという問題を十分に解消することができない。
また例えば特許文献2では、キャリアガスとしてガスバリア層を形成するように基板と反対側の面にアルゴンガスを供給することも行われている。特許文献2では、反応室の天井表面に寄生堆積物が付着することを避けるために行っている。そのため、基板側の温度を天井表面の温度より高くする構成については記載も示唆もなく、またソレー効果については記載も示唆もない。
天井表面側の温度を高くすると、ソレー効果によりアルゴンガスが天井表面から離れようとし、水素ガスは天井側に移動しようとするため、アルゴンガスによる原料ガスが天井側に移動しようとすることを阻止する効果が薄れ、原料輸送効率を悪化させるという問題を十分に解消することができない。
また、基板と基板の反対側の両方の壁を加熱するため及びアルゴンガスを加熱するためには、専用のヒーターが必要であり設備コストがかかってしまう。特に、天井側にヒーターを設けると、装置をそのヒーターの重量に耐えられる構造にする必要があり、より設備コストを必要とする。
上述のように、ソレー効果に伴う原料輸送効率の悪化については、化学気相成長方法においてその問題すら見出されておらず、その解決手段に至っては何ら提案されていないのが実情であった。このため、炉内の温度勾配に伴う原料輸送効率の悪化を抑制し、高い成長率を実現することができる化学気相成長方法が切に求められていた。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、炉内の温度勾配に伴う原料輸送効率の悪化を抑制し、高い成長率を実現することができる化学気相成長方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、複数のキャリアガスを用い、それぞれを所定の領域に導入し、さらに化学気相成長装置内を所定の温度にすることで当該問題を解決できることを見出し、発明を完成させた。
即ち、本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)本発明の化学気相成長方法は、第1壁とそれに対向する第2壁とを有し、第1壁側に基板を設置でき、少なくとも二つのガス供給口を有する化学気相成長装置を用いて、分離して供給される第1キャリアガスと第2キャリアガスにより原料ガスを前記基板と平行な方向から供給して前記基板上にエピタキシャル膜を成長させる化学気相成長方法であって、前記第1キャリアガスを前記第2キャリアガスより基板に近いガス供給口から導入し、前記第1壁温度を、前記第2壁温度以上とし、前記第2キャリアガスの分子量を、前記第1キャリアガスの分子量より大きくすることを特徴とする。
(2)上記(1)に記載の化学気相成長方法は、前記第2キャリアガスの分子量が、原料ガスとして供給される少なくとも一つの分子の分子量以上でもよい。
(3)上記(1)または(2)に記載の化学気相成長方法は、第2壁に最も近いガス供給口から供給されるガスが、前記第2キャリアガスであり、原料ガスを同時に含まなくてもよい。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の化学気相成長方法は、各ガス供給口から供給されるガスの流速が同一であってもよい。
本発明の化学気相成長方法は、分子量が第1キャリアガスと比較して大きい第2キャリアガスを、第1キャリアガスと分離して導入する。この際、化学気相成長装置の基板側の第1壁温度は、化学気相成長装置の基板と反対側の第2壁温度以上である。そのため、第2キャリアガスが、基板と反対側の第2壁面側にソレー効果により移動し、原料ガスが、第2壁面側に移動することを抑制することができる。すなわち、基板表面への原料輸送効率を高くすることができる。
また第2キャリアガスが、基板と反対側の第2壁面側を覆うため、基板以外の部分に付着物が堆積することを抑制することができる。これらの付着物は落下等により、基板表面を汚染するため、付着物の発生を抑制することで得られる膜の品質を高くすることができる。
また本発明の化学気相成長方法は、第2キャリアガスの分子量が、原料ガスとして供給される少なくとも一つの分子の分子量より大きくてもよい。第2キャリアガスの分子量が、原料ガスとして供給される少なくとも一つの分子の分子量より大きければ、第2キャリアガスはソレー効果により、より基板と反対側の第2壁面側に移動する。そのため、原料ガスが、第2壁面側に移動することをより抑制することができる。また基板以外の部分に付着物が堆積することもより抑制することができる。
また本発明の化学気相成長方法において、原料ガスは第1キャリアガスおよび/または第2キャリアガスと共に供給することができる。この際、最も第2壁に近いガス供給口から供給されるガスが、第2キャリアガスであり、原料ガスを同時に含まないことが好ましい。最も第2壁に近いガス供給口から供給されるガスが、原料ガスを含まなければ、より原料ガスが第2壁面と接触する確率を下げることができ、基板以外の部分に付着物が堆積することもより抑制することができる。
また本発明の化学気相成長方法は、各ガス供給口から供給されるガスの流速が同一であってもよい。各ガス供給口から供給されるガスの流速差が同一であれば、化学気相成長装置内に不要な渦が生じることを抑制することができる。不要な渦が生じると、原料ガス中のそれぞれの原料の供給率に変化が生じ、均質な膜を成膜することが難しくなる。
本発明の一実施形態である化学気相成長方法を説明するための化学気相成長装置の断面模式図である。 実施例1、実施例2、比較例1のSiC基板表面におけるSiC成長率分布を示した図である。 実施例1における各種の分布であり、(a)はCの濃度分布であり、(b)はCの分解により発生したC元素の濃度分布であり、(c)はSiHの濃度分布であり、(d)はSiHの分解により発生したSi元素の濃度分布であり、(e)は炉内の流速分布であり、(f)は炉内の温度分布であり、(g)は上段供給口から供給されたArガスの分布である。 比較例1における各種の分布であり、(a)はCの濃度分布であり、(b)はCの分解により発生したC元素の濃度分布であり、(c)はSiHの濃度分布であり、(d)はSiHの分解により発生したSi元素の濃度分布であり、(e)は炉内の流速分布であり、(f)は炉内の温度分布である。 実施例1、実施例2、比較例1の化学気相成長装置のSiC基板と反対側の天井側(第2壁面側)におけるSiC成長率分布を示した図である。 実施例3及び比較例2のSiC基板表面におけるSiC成長率分布を示した図である。 実施例3における各種の分布であり、(a)はCの濃度分布であり、(b)はCの分解により発生したC元素の濃度分布であり、(c)はSiHの濃度分布であり、(d)はSiHの分解により発生したSi元素の濃度分布であり、(e)は炉内の流速分布であり、(f)は炉内の温度分布であり、(g)は上段供給口から供給されたArガスの分布である。 比較例2における各種の分布であり、(a)はCの濃度分布であり、(b)はCの分解により発生したC元素の濃度分布であり、(c)はSiHの濃度分布であり、(d)はSiHの分解により発生したSi元素の濃度分布であり、(e)は炉内の流速分布であり、(f)は炉内の温度分布である。 実施例4及び比較例3のSiC基板表面におけるSiC成長率分布を示した図である。 実施例4における各種の分布であり、(a)はCの濃度分布であり、(b)はCの分解により発生したC元素の濃度分布であり、(c)はSiHの濃度分布であり、(d)はSiHの分解により発生したSi元素の濃度分布であり、(e)は炉内の流速分布であり、(f)は炉内の温度分布であり、(g)は上段供給口から供給されたArガスの分布である。 比較例3における各種の分布であり、(a)はCの濃度分布であり、(b)はCの分解により発生したC元素の濃度分布であり、(c)はSiHの濃度分布であり、(d)はSiHの分解により発生したSi元素の濃度分布であり、(e)は炉内の流速分布であり、(f)は炉内の温度分布である。 比較例4及び比較例5のSiC基板表面におけるSiC成長率分布を示した図である。 比較例6及び比較例7のSiC基板表面におけるSiC成長率分布を示した図である。 比較例8及び比較例9のSiC基板表面におけるSiC成長率分布を示した図である。 実施例5及び比較例10のSiC基板表面におけるSiC成長率分布を示した図である。 実施例5における各種の分布であり、(a)はCの濃度分布であり、(b)はCの分解により発生したC元素の濃度分布であり、(c)はSiHの濃度分布であり、(d)はSiHの分解により発生したSi元素の濃度分布であり、(e)は炉内の流速分布であり、(f)は炉内の温度分布であり、(g)は上段供給口から供給されたArガスの分布である。 比較例10における各種の分布であり、(a)はCの濃度分布であり、(b)はCの分解により発生したC元素の濃度分布であり、(c)はSiHの濃度分布であり、(d)はSiHの分解により発生したSi元素の濃度分布であり、(e)は炉内の流速分布であり、(f)は炉内の温度分布である。 実施例6及び比較例11のSiC基板表面におけるSiC成長率分布を示した図である。 実施例6における各種の分布であり、(a)はCの濃度分布であり、(b)はCの分解により発生したC元素の濃度分布であり、(c)はSiHの濃度分布であり、(d)はSiHの分解により発生したSi元素の濃度分布であり、(e)は炉内の流速分布であり、(f)は炉内の温度分布であり、(g)は上段供給口から供給されたArガスの分布である。 比較例11における各種の分布であり、(a)はCの濃度分布であり、(b)はCの分解により発生したC元素の濃度分布であり、(c)はSiHの濃度分布であり、(d)はSiHの分解により発生したSi元素の濃度分布であり、(e)は炉内の流速分布であり、(f)は炉内の温度分布である。 比較例12及び比較例13のSiC基板表面におけるSiC成長率分布を示した図である。 比較例12における各種の分布であり、(a)はCの濃度分布であり、(b)はCの分解により発生したC元素の濃度分布であり、(c)はSiHの濃度分布であり、(d)はSiHの分解により発生したSi元素の濃度分布であり、(e)は炉内の流速分布であり、(f)は炉内の温度分布であり、(g)は上段供給口から供給されたArガスの分布である。 比較例13における各種の分布であり、(a)はCの濃度分布であり、(b)はCの分解により発生したC元素の濃度分布であり、(c)はSiHの濃度分布であり、(d)はSiHの分解により発生したSi元素の濃度分布であり、(e)は炉内の流速分布であり、(f)は炉内の温度分布である。
以下、本発明を適用した化学気相成長方法について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。また、以下の説明において例示される材質、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
図1は、本発明の一実施形態である化学気相成長方法を説明するための化学気相成長装置の断面模式図である。
図1に示すように、化学気相成長装置100は、炉体10と、炉体10へ第1キャリアガスを含むガスG1および第2キャリアガスを含むガスG2を供給する複数のガス供給口20と、炉体10からこれらのガスを排出する排出口を有する。炉体10内には、サセプタ30が配置され、サセプタ30上に載置された基板40を回転することができる。炉体10内の基板側の壁が第1壁であり、その炉体内面が第1壁面11である。また、基板と反対側の壁が第2壁であり、その炉体内面が第2壁面12である。また基板40を加熱するためのヒーター50が、炉体10の基板40側の外部に設置されている。ヒーター50は、図示上では基板40直下にのみ設置しているが、炉体10の基板側の面を全て加熱するように設置しても良い。
本発明の化学気相成長方法では、化学気相成長装置100に、第1キャリアガスを含むガスG1と第2キャリアガスを含むガスG2をそれぞれ分離して基板40に平行な方向から導入し、基板40上に膜を堆積させる。図1では、原料ガスは、第1キャリアガス及び/または第2キャリアガスと同時に供給される。ただし、当該構成に限られず、原料ガスを供給するために、別途ガス供給口を設けてもよい。第1キャリアガスは、第2キャリアガスより基板40側のガス供給口20から供給される。
このとき、第2キャリアガスの分子量は、第1キャリアガスの分子量より大きく、化学気相成長装置100の基板40側の第1壁面11の温度が、基板40と反対側の第2壁面12の温度以上である。そのため、第2キャリアガスは、ソレー効果により第2壁面12表面を覆うようにガス供給口20から排出口へ向けて供給される。第2キャリアガスが、第2壁面12を覆うことで、原料ガスが第2壁面12側に移動することを抑制することができる。すなわち、基板40表面への原料輸送効率を高くすることができる。また第2キャリアガスが、第2壁面12側を覆うため、第2壁面12に付着物が堆積することを抑制することができる。これらの付着物は落下等により基板40表面を汚染するため、第2壁面12に付着物が堆積することを抑制することで、得られる膜の品質を高くすることができる。
このとき、第1キャリアガスを含むガスG1および第2キャリアガスを含むガスG2は、第1キャリアガスと第2キャリアガスのみからなる必要はなく、第1キャリアガスと第2キャリアガスが上述の関係を満たせば、同時にその他のガスを供給してもよい。
第1キャリアガスおよび第2キャリアガスと同時に、原料ガスを供給してもよいが、最も第2壁に近いガス供給口から供給されるガスは、第2キャリアガスのみであり、原料ガスを含まないことが好ましい。最も第2壁に近いガス供給口から供給されるガスが、原料ガスを含まなければ、より原料ガスが第2壁面と接触する確率を下げることができ、基板以外の部分に付着物が堆積することもより抑制することができる。
第1キャリアガス、第2キャリアガスおよび原料ガスは、それぞれ一般に用いられるものを使用することができる。
例えば、SiC薄膜を成長させる場合、原料ガスとしてSi系原料ガスとC系原料ガスを供給する。Si系原料ガスとしては、シラン(SiH)、ジクロロシラン(SiHCl)、トリクロロシラン(SiHCl)、四塩化ケイ素(SiCl)等を用いることができる。C系原料ガスとしては、プロパン(C)、エタン(C)等を用いることができる。
第1キャリアガスと第2キャリアガスとしては、水素、窒素、アルゴン等を用いることができる。第2キャリアガスは第1キャリアガスの分子量より大きく、かつ、それぞれのキャリアガスの分子量の差が大きい方が好ましいため、例えば第1キャリアガスとして水素、第2キャリアガスとしてアルゴンを好適に選択することができる。特に第2キャリアガスとしてアルゴンを用いることは、希ガスで化学的に安定なため、その他のガスへの影響が少なく好ましい。なお、SiC薄膜を成長させる場合は、窒素は不純物となり得るため、使用しないことが好ましい。
また第2キャリアガスの分子量が、原料ガスとして供給される少なくとも一つの分子の分子量以上であることが好ましい。第2キャリアガスの分子量が、原料ガスとして供給される少なくとも一つの分子の分子量以上であれば、第2キャリアガスはソレー効果により、より第2壁面12に移動する。そのため、原料ガスが、第2壁面12に移動することをより抑制することができる。また基板40以外の部分に付着物が堆積することもより抑制することができる。
具体的に例を挙げて説明すると、例えば、SiC薄膜を成長させる場合に、上述のようにSi系原料ガスとC系原料ガスとを供給する。このとき、Si系原料ガスとしてシラン、C系原料ガスとしてプロパンを用いると、シランの分子量は32で、プロパンの分子量は44である。そのため、第2キャリアガスとしては、分子量が32以上であるアルゴン(分子量:40)、クリプトン(分子量:84)等を用いることが好ましい。アルゴン、クリプトンは、希ガスであるため化学的に安定的で特に好ましいが、分子量が32程度より大きければ、希ガスである必要はない。
ソレー効果では分子量の大きいものは低温側に移動し、分子量の小さいものは高温側に移動するため、例えば、第1キャリアガスとして水素(分子量:2)、第2キャリアガスとしてアルゴン(分子量:40)、原料ガスとしてシラン(分子量:32)とプロパン(分子量:44)を用いると、原料ガスを第1キャリアガスと第2キャリアガスとで挟む構成となり、より炉体10面に原料ガスが付着することを抑制できる。なお、これらの3層構造は、ガス供給口から排出口まで完全に形成されるわけではなく、基板40が配置される排出口側ではある程度拡散しているため、基板40への原料供給は問題なく行うことができる。
最も第2壁面側のガス供給口から供給されるガスに占める第2キャリアガスの割合が、6%〜100%であることが好ましく、30%〜100%であることがより好ましい。
最も第2壁面側のガス供給口から供給されるガスに占める第2キャリアガスの割合が6%未満だと、従来の水素のみをキャリアガスとして用いた場合と比較して10%以上のエピタキシャル膜の成長率を実現することが難しくなる。また最も第2壁面側のガス供給口から供給されるガスに占める第2キャリアガスの割合が30%未満だと、従来の水素のみをキャリアガスとして用いた場合と比較して50%以上のエピタキシャル膜の成長率を実現することが難しくなる。
また、全キャリアガスに占める第2キャリアガスの割合が、2%〜33%であることが好ましく、10%〜33%であることがより好ましい。第2キャリアガスの占める割合が多すぎると、熱伝導率が高くないため、効率的に炉体の成長空間内の温度を上昇させることが難しくなる。また第2キャリアガスの占める割合が少なすぎると効率的なエピタキシャル膜の成長率上昇を実現することが難しくなる。
また各ガス供給口から供給されるガスの流速が同一であることが好ましい。なお、ここでの「同一」とは完全に流速差を一致させた場合のみを意味せず、無視できる程度の流速差を有していてもよい。
各ガス供給口から供給されるガスの流速差が同一であれば、炉体10内において不要な渦が生じることを抑制することができる。不要な渦が生じると、原料ガス中のそれぞれの原料の供給率に変化が生じ、均質な膜を成膜することが難しくなる。
各ガス供給口から供給されるガスの流速は、0.5m/s〜500m/sの範囲内であることが好ましい。また当該範囲内で、エピタキシャル膜の成長率曲線(分解曲線)が最適になるように調整することが好ましい。流速が遅すぎると、熱対流が生じやすく(リチャードソン数が大きくなる)なり、均一な膜を形成することができなくなる。また流速が早すぎると、乱流が生じやすく(レイノルズ数が大きくなる)なり均一な膜を形成することができなくなる。
ここで、リチャードソン数とは、以下の式(1)で表される対流の起こりやすさを示す指標である。式(1)において、Riがリチャードソン数、Uが閉空間内の流速、gが重力加速度、βが気体の膨張率、Lが厚み方向の長さ、ΔTが厚み方向の温度差である。
リチャードソン数が大きければそれだけ、対流が起きやすくなり、流速(U)が小さいと、リチャードソン数が大きくなってしまう。一般に1以下であれば、対流は生じにくい。
またレイノルズ数とは、以下の式(2)で表される層流から乱流への推移を示す指標である。式(2)において、ρが流体の密度、vが流体の平均流速、lは系を特徴付ける長さ(代表的な長さ:流体の流れる系により代表的な長さは変化するため厳密な設定は出来ないが、一般的に用いられる直方型の化学気相成長装置においては反応器の高さ程度の値となる)であり、μが流体の粘度である。
レイノルズ数は大きければそれだけ、層流から乱流への推移が起きやすくなる。そのため、式(2)において平均流速(v)が速くなると、レイノルズ数が大きくなり、層流から乱流への推移が起きやすくなる。一般にレイノルズ数が3桁以上となると、乱流が生じやすくなると言われている。
また化学気相成長装置100の第1壁の温度は、第2壁の温度以上である。この温度差によって、第2キャリアガスを第2壁面12へ移動させ、原料ガスを基板40表面に効率的に輸送することができる。
この温度差は大きい方が好ましく、1000℃以上であることが好ましい。後述するが1000℃以上の温度差があると、特に原料輸送効率を高くすることができる。
1000℃以上の温度は、SiC等の非常に高温で成膜する場合において初めて実現されるため、SiCを含む膜を形成する場合に特に好適に用いることができる。そのため、SiCを成長させる化学気相成長方法で従来のキャリアガスとして水素のみを用いた場合と比較して、ソレー効果による原料輸送効率の向上をより効果的に得ることができる。
化学気相成長装置100は、基板に平行な方向から原料ガスを供給するものであれば、特に限定されない。たとえば、図1で示すような直方型の化学気相成長装置でも、原料ガスが中央部から周囲に向かって円形に広がり、基板がガス供給口の周囲で自公転するプラネタリ型の化学気相成長装置でもよい。
ガス供給口20は、図1では2つの供給口からなる場合を図示しているが、この場合に限られずより複数のガス供給口を有していても良い。また第1キャリアガスは、第2キャリアガスより基板40側に導入される関係を満たしていれば、そのガス供給口はどのような構成および形状になっていても良い。また上述では、第1キャリアガスを含むガスG1および第2キャリアガスを含むガスG2に原料ガスが含まれている場合を例示して記載したが、原料ガスは別のガス供給口から供給しても良い。具体的には、3つのガス供給口を形成し、最も基板40側のガス供給口から第1キャリアガスを、中央のガス供給口から原料ガスを、最も基板40から離れた側のガス供給口から第2キャリアガスを供給する構成でもよい。
炉体10は、成長室を構成する中空部を有する。原料ガスは、炉体10にガス供給口20から導入され、ガス排出口から排出される。また中空部内に、サセプタ30が設置され、そのサセプタ30上に基板40を載置し、膜を成膜することができる。炉体10は特に限定されるものではない。例えば、SiC膜をエピタキシャル成長させる場合の炉体は、SiCコーティングが施された黒鉛材またはSiCの無垢材等を用いることができる。
サセプタ30は、基板40を載置する部材である。サセプタ30上に設置された基板40は回転自在であることが好ましい。基板40が回転することで、原料ガスの分解速度に起因するガス供給口側と排出口側の面内ムラや、複数の原料ガス毎の分解条件の違いを平均化することができる。
またサセプタ40下部には、基板40を加熱するヒーター50を有する。ヒーター50は、成膜温度が比較的低い(〜1000℃)材料であるGaAsやInP等をエピタキシャル成長させる場合に、炉体10の第1壁面11を全面に渡って加熱するより、基板40下部のみ集中的に加熱することが好ましい。基板40下部を加熱すると、基板40下部の第1壁の温度と、ガス供給口20付近の第1壁の温度差が大きくなる。温度差が大きくなれば、分子量の大きい原料ガスは高温側に移動する。そのため、より基板40表面に原料を効率的に輸送することができる。
これに対し、成膜温度が比較的高い(1000℃〜)SiC等をエピタキシャル成長させる場合には、基板40下部のみ集中的に加熱すると、ガスが被成膜基板上で十分分解しないおそれがある。そのため、成膜温度が比較的高いSiC等では、炉体10の第1壁面11を全面に渡って加熱することが好ましい。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
以下、本発明の効果を、実施例を用いて具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例においては、基板表面における成長率をシミュレーションで計算した。シミュレーションは、2次元モデルを用いて炉体10内の輸送現象と化学反応とを無撞着に計算し、その結果から壁面での成長率を求めた。このシミュレーション手法は、例えば、非特許文献1と同じANSYS社製商用ソフトウェアの有限速度反応モデルを利用しており、現実の結果と対応が取れることが確認されている。
[実施例1]
化学気相成長装置として、プラネタリ型の化学気相成長装置を用いた。基板上にSiCを成長させるものとし、3つの供給口からそれぞれ以下の条件で、第1キャリアガス、第2キャリアガスおよび原料ガスを供給した。
基板から最も離れたガス供給口(以下「上段供給口」という。):Ar(第2キャリアガス)
3段の真ん中のガス供給口(以下「中段供給口」という):H(第1キャリアガス)、C(原料ガス)、SiH(原料ガス)
基板に最も近いガス供給口(以下「下段供給口」という):H(第1キャリアガス)
またそれぞれのガス供給口からは、200℃の温度、50slmの流量で、各ガスが供給されるものとした。
また化学気相成長装置は、基板と反対側の天井側(第2壁面)の温度を400℃とし、基板が載置されているサセプタ側の壁面(第1壁面)の温度を1600℃とした。
上記条件のもとで、基板表面における成長率をシミュレーションで計算した。
[実施例2]
上段供給口から供給されるガスが、ArとHを1:2の割合で混合したガスであること以外は、実施例1と同様にして基板表面における成長率をシミュレーションで計算した。
[比較例1]
上段供給口から供給されるガスが、Hであること以外は、実施例1と同様にして基板表面における成長率をシミュレーションで計算した。
図2は、実施例1、実施例2、比較例1のSiC基板表面におけるSiC成長率分布を示した図である。横軸は、リアクターの中心からの距離(m)を示しており、縦軸は各点におけるSiC膜の成長速度(μm/h)を示す。この結果、第2キャリアガスを導入している実施例1及び実施例2は、導入していない比較例1と比較しても成長率が高いことがわかる。なお、実施例1及び実施例2では、特定の部分でピークを持つため、基板上で成長率に面内ムラが生じるようにも見えるが、実際の成膜においては基板を回転させているため平均化される。
また図3は、実施例1における各種の分布を示しており、図3(a)はCの濃度分布であり、図3(b)はCの分解により発生したC元素の濃度分布であり、図3(c)はSiHの濃度分布であり、図3(d)はSiHの分解により発生したSi元素の濃度分布であり、図3(e)は炉内の流速分布であり、図3(f)は炉内の温度分布であり、図3(g)は上段供給口から供給されたArガスの分布である。
同様に図4は、比較例1における各種の分布を示しており、図4(a)はCの濃度分布であり、図4(b)はCの分解により発生したC元素の濃度分布であり、図4(c)はSiHの濃度分布であり、図4(d)はSiHの分解により発生したSi元素の濃度分布であり、図4(e)は炉内の流速分布であり、図4(f)は炉内の温度分布である。図3および図4において、色の濃い部分が濃度の高い部分、温度の高い部分、流速の早い部分を意味し、図示左側が供給口側で、図示右側が排出口側で、図示下側が基板側、図示上側が天井側である。
図3と図4を比較すると、実施例1において、原料ガスの濃度分布が図示右下側に移動しており、化学気相成長装置における基板側に原料ガスが効率的に輸送されていることがわかる。また、第2キャリアガスとして供給されたArは、供給口から一部自然拡散で下方に移動しているものの、概ね天井付近を流動していることがわかる。さらに、流速は一定であり、異常な乱流等が発生していないことも分かる。
さらに図5は、実施例1、実施例2、比較例1の化学気相成長装置のSiC基板と反対側の天井側における成長率分布を示した図である。横軸は、リアクターの中心からの距離(m)を示しており、縦軸は各点におけるSiC膜の成長速度(μm/h)を示す。図5から比較例1>実施例2>実施例1の順で、天井に堆積する付着物を少なくなっている。すなわち、第2キャリアガスとしてArを所定の条件で導入することで、効率的に天井に堆積する付着物を抑制できていることがわかる。
[実施例3]
基板と反対側の天井側の温度を1000℃としたこと以外は、実施例1と同様にして基板表面における成長率をシミュレーションで計算した。
[比較例2]
基板と反対側の天井側の温度を1000℃としたこと以外は、比較例1と同様にして基板表面における成長率をシミュレーションで計算した。
図6は、実施例3、比較例2のSiC基板表面における成長率分布を示した図である。横軸は、リアクターの中心からの距離(m)を示しており、縦軸は各点におけるSiC膜の成長速度(μm/h)を示す。この結果、天井温度を変えても実施例1及び比較例1の場合と同様に、第2キャリアガスを導入している実施例3は、導入していない比較例2と比較しても成長率が高いことがわかる。
また図7および図8のそれぞれは、実施例3および比較例2における各種の分布を示しており、図7における(a)〜(g)の示す意味は、図3における(a)〜(g)に対応し、図8における(a)〜(f)の示す意味は、図4における(a)〜(f)に対応する。また図の見方も、図3及び図4と同一である。
図7と図8を比較すると、実施例3において、原料ガスの濃度分布が図示右下側に移動しており、化学気相成長装置における基板側に原料ガスが効率的に輸送されていることがわかる。また、第2キャリアガスとして供給されたArは、供給口から一部自然拡散で下方に移動しているものの、概ね天井付近を流動していることがわかる。さらに、流速は一定であり、異常な乱流等が発生していないことも分かる。
[実施例4]
基板と反対側の天井側の温度を1600℃としたこと以外は、実施例1と同様にして基板表面における成長率をシミュレーションで計算した。
[比較例3]
基板と反対側の天井側の温度を1600℃としたこと以外は、比較例1と同様にして基板表面における成長率をシミュレーションで計算した。
図9は、実施例4及び比較例3のSiC基板表面上におけるSiC成長率分布を示した図である。横軸は、リアクターの中心からの距離(m)を示しており、縦軸は各点におけるSiC膜の成長速度(μm/h)を示す。天井側の温度を1600℃にしても、実施例1及び比較例1の場合と同様に、第2キャリアガスを導入している実施例4は、導入していない比較例3と比較しても成長率が高いことがわかる。天井側の温度と基板が載置されているサセプタの温度が同一でも、ArとHの熱伝導率の違いにより、上下にわずかではあるが温度勾配が生じるため、ソレー効果は生じる。ただし、上下方向の温度勾配は少ないため、実施例1及び実施例2の場合と比較して、比較例に対する成長率の向上率は低くなっている。
また図10および図11のそれぞれは、実施例4および比較例3における各種の分布を示しており、図10における(a)〜(g)の示す意味は、図3における(a)〜(g)に対応し、図11における(a)〜(f)の示す意味は、図4における(a)〜(f)に対応する。また図の見方も、図3及び図4と同一である。
図10と図11を比較すると、原料ガスの濃度分布が図示右下側に移動しており、化学気相成長装置における基板側に原料ガスが効率的に輸送されていることがわかる。また、第2キャリアガスとして供給されたArは、ガス供給口から一部自然拡散で下方に移動しているものの、概ね天井付近を流動していることがわかる。さらに、流速は一定であり、異常な乱流等が発生していないことも分かる。
[比較例4]
基板と反対側の天井側の温度を2000℃としたこと以外は、実施例1と同様にして基板表面における成長率をシミュレーションで計算した。
[比較例5]
基板と反対側の天井側の温度を2000℃としたこと以外は、比較例1と同様にして基板表面における成長率をシミュレーションで計算した。
図12は、比較例4及び比較例5のSiC基板表面上におけるSiC成長率分布を示した図である。横軸は、リアクターの中心からの距離(m)を示しており、縦軸は各点におけるSiC膜の成長速度(μm/h)を示す。天井側の温度を2000℃にするとソレー効果が逆方向に寄与するため、Arガスを導入した比較例4と導入していない比較例5では成長率がほとんど変わらない。
[比較例6]
基板と反対側の天井側の温度を2000℃とし、上部供給口から供給されるガスの温度を1600℃としたこと以外は、実施例1と同様にして基板表面における成長率をシミュレーションで計算した。
[比較例7]
基板と反対側の天井側の温度を2000℃とし、上部給口から供給されるガスの温度を1600℃としたこと以外は、比較例1と同様にして基板表面における成長率をシミュレーションで計算した。
図13は、比較例6及び比較例7のSiC基板表面上におけるSiC成長率分布を示した図である。横軸は、リアクターの中心からの距離(m)を示しており、縦軸は各点におけるSiC膜の成長速度(μm/h)を示す。天井側の温度を2000℃にするとソレー効果が逆方向に寄与するため、Arガスを導入した比較例6は、導入していない比較例7と比較して成長率が悪化している。
[比較例8]
基板と反対側の天井側の温度を2000℃とし、上部供給口から供給されるガスの温度を1600℃、流量を13.2slmとしたこと以外は、実施例1と同様にして基板表面における成長率をシミュレーションで計算した。
[比較例9]
基板と反対側の天井側の温度を2000℃とし、上部供給口から供給されるガスの温度を1600℃、流量を13.2slmとしたこと以外は、比較例1と同様にして基板表面における成長率をシミュレーションで計算した。
図14は、比較例8及び比較例9のSiC基板表面上におけるSiC成長率分布を示した図である。横軸は、リアクターの中心からの距離(m)を示しており、縦軸は各点におけるSiC膜の成長速度(μm/h)を示す。天井側の温度を2000℃にするとソレー効果が逆方向に寄与するため、Arガスを導入した比較例8と導入していない比較例9では成長率がほとんど変わらない。
比較例4〜9で示すように、基板と反対側の天井の温度が、基板が載置されているサセプタの温度より高いと、種々の条件を変更しても原料輸送効率を高くすることができないことがわかる。
[実施例5]
化学気相成長装置をプラネタリ型から直方型(供給口から排出口の長さ×幅:22cm×20cm)に変更し、各供給口からの流量を20slmとしたこと以外は、実施例1と同様にして基板表面における成長率をシミュレーションで計算した。
[比較例10]
化学気相成長装置をプラネタリ型から直方型(供給口から排出口の長さ×幅:22cm×20cm)に変更し、各供給口からの流量を20slmとしたこと以外は、比較例1と同様にして基板表面における成長率をシミュレーションで計算した。
図15は、実施例5及び比較例10のSiC基板表面上におけるSiC成長率分布を示した図である。横軸は、リアクターの中心からの距離(m)を示しており、縦軸は各点におけるSiC膜の成長速度(μm/h)を示す。化学気相成長装置を直方型にしても、実施例1及び比較例1の場合と同様に、第2キャリアガスを導入している実施例5は、導入していない比較例10と比較しても成長率が高いことがわかる。
また図16および図17のそれぞれは、実施例5および比較例10における各種の分布を示しており、図16における(a)〜(g)の示す意味は、図3における(a)〜(g)に対応し、図17における(a)〜(f)の示す意味は、図4における(a)〜(f)に対応する。また図の見方も、図3及び図4と同一である。
図16と図17を比較すると、原料ガスの濃度分布が図示右下側に移動しており、化学気相成長装置における基板側に原料ガスが効率的に輸送されていることがわかる。また、第2キャリアガスとして供給されたArは、ガス供給口から一部自然拡散で下方に移動しているものの、概ね天井付近を流動していることがわかる。さらに、流速は一定であり、異常な乱流等が発生していないことも分かる。
[実施例6]
各ガス供給口からの流量を10slmとしたこと以外は、実施例5と同様にして基板表面における成長率をシミュレーションで計算した。
[比較例11]
各ガス供給口からの流量を10slmとしたこと以外は、比較例10と同様にして基板表面における成長率をシミュレーションで計算した。
図18は、実施例6及び比較例11のSiC基板表面上におけるSiC成長率分布を示した図である。横軸は、リアクターの中心からの距離(m)を示しており、縦軸は各点におけるSiC膜の成長速度(μm/h)を示す。流量を変化させても、実施例1及び比較例1の場合と同様に、第2キャリアガスを導入している実施例6は、導入していない比較例11と比較しても成長率が高いことがわかる。
また図19および図20のそれぞれは、実施例5および比較例10における各種の分布を示しており、図19における(a)〜(g)の示す意味は、図3における(a)〜(g)に対応し、図20における(a)〜(f)の示す意味は、図4における(a)〜(f)に対応する。また図の見方も、図3及び図4と同一である。
図19と図20を比較すると、原料ガスの濃度分布が図示右下側に移動しており、化学気相成長装置における基板側に原料ガスが効率的に輸送されていることがわかる。また、第2キャリアガスとして供給されたArは、供給口から一部分子拡散で下方に移動しているものの、概ね天井付近を流動していることがわかる。さらに、流速は一定であり、異常な乱流等が発生していないことも分かる。
[比較例12]
基板と反対側の天井側の温度を2000℃とし、上部供給口から供給されるガスの温度を1600℃、流量を5.3slmとした。その他の点は、実施例5と同様にして基板表面における成長率をシミュレーションで計算した。
[比較例13]
基板と反対側の天井側の温度を2000℃とし、上部供給口から供給されるガスの温度を1600℃、流量を5.3slmとした。その他の点は、比較例10と同様にして基板表面における成長率をシミュレーションで計算した。
図21は、比較例12及び比較例13のSiC基板表面上におけるSiC成長率分布を示した図である。横軸は、リアクターの中心からの距離(m)を示しており、縦軸は各点におけるSiC膜の成長速度(μm/h)を示す。流量を変化させても、実施例1及び比較例1の場合と同様に、第2キャリアガスを導入している実施例6は、導入していない比較例11と比較しても成長率がほとんど変わらないことがわかる。
また図22および図23のそれぞれは、比較例12および比較例13における各種の分布を示しており、図22における(a)〜(g)の示す意味は、図3における(a)〜(g)に対応し、図23における(a)〜(f)の示す意味は、図4における(a)〜(f)に対応する。また図の見方も、図3及び図4と同一である。
上記内容を以下の表1にまとめた。
100:化学気相成長装置、10:炉体、11:第1壁面、12:第2壁面、20:ガス供給口、30:サセプタ、40:基板、50:ヒーター、G1:第1キャリアガスを含むガス、G2:第2キャリアガスを含むガス

Claims (4)

  1. 第1壁とそれに対向する第2壁とを有し、第1壁側に基板を設置でき、かつ、少なくとも二つのガス供給口を有する化学気相成長装置を用いて、分離して供給される第1キャリアガスと第2キャリアガスにより原料ガスを前記基板と平行な方向から前記基板に供給し、SiCエピタキシャル膜を成長させる化学気相成長方法であって、
    前記第1キャリアガスを前記第2キャリアガスより基板に近いガス供給口から供給し、
    前記第1壁の温度を、前記第2壁の温度より600℃以上高くし、
    前記第2キャリアガスの分子量を、前記第1キャリアガスの分子量より大きくすることを特徴とする化学気相成長方法。
  2. 前記第2キャリアガスの分子量が、原料ガスとして供給される少なくとも一つの分子の分子量以上であることを特徴とする請求項1に記載の化学気相成長方法。
  3. 第2壁に最も近いガス供給口から供給されるガスが、前記第2キャリアガスであり、原料ガスを同時に含まないことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の化学気相成長方法。
  4. 各ガス供給口から供給されるガスの流速が同一であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の化学気相成長方法。
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