JP6422935B2 - 磁気トンネル接合センサ及びその使用方法 - Google Patents

磁気トンネル接合センサ及びその使用方法 Download PDF

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Description

バイオマーカー(疾患指標とも称される)は、RNA、DNA及びタンパク質などのような、特定の検体であり、作用、病態、臨床的エンドポイントのメカニズムの代理をするものとして使用可能である。特に、マルチプレックスまたはマルチマーカーを使用する手法は、分子診断法及びオーダーメイド医療において使用し得る。その目標は、しかるべき患者にしかるべき治療を、しかるべき時期及びしかるべき投与量を解明し、または癌や心臓血管疾患のような複雑な疾病を高感度で、かつ特異的に早期発見することである。DNA及びタンパク質マイクロアレイは、多数のバイオマーカーに適応するために開発されてきた。
米国特許出願公開第2008/0258721号明細書
ほとんどの市販のDNAマイクロアレイシステムは、蛍光標識(タグ付け)を使用して生体分子検体(標的)の量を計る。有用な信号対雑音比を達成するのに約104以上の分子を必要とし、光学システムを伴うのでわずかに定量的であるため、ならびに、クロストーク及びブリーチングのために、これらは感度が限定される可能性がある。光学的検出システムは通常、元の生体分子を何桁も増加させるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などのような、増幅技術と共に使用される。より高感度でより低コストである、より可搬性のある代替的なマイクロアレイ技術は需要がある。このような技術は分子診断法及びゲノム学の分野において多くの新しい用途を見出すことができる。
磁気トンネル接合(MTJ)磁気抵抗素子と、MTJ磁気抵抗素子の表面の少なくとも一部に接触し、MTJ磁気抵抗素子の表面端部から越えて延びる第1電極と、MTJ磁気抵抗素子の対向面の少なくとも一部に接触し、MTJ磁気抵抗素子の対向面の端部を越えて延びる第2電極とを含み、第1及び第2電極の延びた部分の接面が非重複であって重なり合わない磁気センサを提供する。この磁気センサを用いる装置、システム及び方法もまた提供する。
本開示の態様には、磁気センサが含まれる。磁気トンネル接合(MTJ)磁気抵抗素子と、MTJ磁気抵抗素子の表面の少なくとも一部に接触し、MTJ磁気抵抗素子の表面端部を越えて延びる第1電極と、MTJ磁気抵抗素子の対向面の少なくとも一部に接触し、MTJ磁気抵抗素子の対向面の端部を越えて延びる第2電極とを含み、第1及び第2電極の延びた部分の接面が非重複であって重なり合わない。
いくつかの実施形態では、第1電極は、実質的にMTJ磁気抵抗素子の表面全体に接触する。
いくつかの実施形態では、第2電極は、実質的にMTJ磁気抵抗素子の対向面全体に接触する。
いくつかの実施形態では、第2電極の端部は、MTJ磁気抵抗素子の対向面の端部に合わせられている。
いくつかの実施形態では、磁気センサには、第1電極上に配置された不動態化層が含まれる。
いくつかの実施形態では、磁気センサには、磁気センサの表面に結合された検体−特異的プローブが含まれる。
本開示の態様には、磁気センサ装置が含まれる。磁気センサ装置には、2つ以上の磁気センサを有する磁気センサ配列が含まれる。それぞれの磁気センサは、磁気トンネル接合(MTJ)磁気抵抗素子と、MTJ磁気抵抗素子の表面の少なくとも一部に接触し、MTJ磁気抵抗素子の表面端部を越えて延びる第1電極と、MTJ磁気抵抗素子の対向面の少なくとも一部に接触し、MTJ磁気抵抗素子の対向面の端部を越えて延びる第2電極とを含み、第1及び第2電極の延びた部分の接面が非重複であって重なり合わない。
いくつかの実施形態では、磁気センサは電気的に第1及び第2電極によって直列に接続されている。
いくつかの実施形態では、1つ以上の磁気センサには、磁気センサの表面に結合された検体−特異的プローブが含まれる。
いくつかの実施形態では、磁気センサ配列には、2つ以上の異なる磁気センサが含まれ、それぞれが同一の検体を特異的に検出するように構成されている。
いくつかの実施形態では、磁気センサ配列には、2つ以上の異なる磁気センサが含まれ、それぞれが異なる検体を特異的に検出するように構成されている。
本開示の態様には、磁気センサシステムが含まれる。磁気センサシステムには、2つ以上の磁気センサを有する磁気センサ配列を含む、磁気センサ装置が含まれる。それぞれの磁気センサは、磁気トンネル接合(MTJ)磁気抵抗素子と、MTJ磁気抵抗素子の表面の少なくとも一部に接触し、MTJ磁気抵抗素子の表面端部を越えて延びる第1電極と、MTJ磁気抵抗素子の対向面の少なくとも一部に接触し、MTJ磁気抵抗素子の対向面の端部を越えて延びる第2電極とを含み、第1及び第2電極の延びた部分の接面は非重複であって重なり合わない。磁気センサシステムはさらに、磁界源を含む。
いくつかの実施形態では、磁気センサシステムは、磁気センサ装置からの検体−特異的信号を取得するように構成されたプロセッサを含む。
本開示の態様は、検体が試料中に存在するか否かを評価するための方法を含む。この方法は、磁気センサを試料に接触させて信号を発生すること、磁気センサから信号を取得すること及び検体が各試料中に存在するか否かを信号に基づいて評価することを含む。磁気センサは、磁気トンネル接合(MTJ)磁気抵抗素子と、MTJ磁気抵抗素子の表面の少なくとも一部に接触し、MTJ磁気抵抗素子の表面端部を越えて延びる第1電極と、MTJ磁気抵抗素子の対向面の少なくとも一部に接触し、MTJ磁気抵抗素子の対向面の端部を越えて延びる第2電極とを含み、第1及び第2電極の延びた部分の接面が非重複であって重なり合わない。
いくつかの実施形態では、磁気センサには、磁気センサの表面に結合された検体−特異的プローブが含まれる。
いくつかの実施形態では、この方法は、接触させる前に試料を磁気標識することを含む。
いくつかの実施形態では、この評価には、磁気標識された試料が磁気センサに接触する際に磁気センサからの信号を取得することを含む。
いくつかの実施形態では、信号は検体−特異的信号である。
いくつかの実施形態では、接触には、磁気センサを試料に接触させた後、磁気標識を磁気センサに適用することを含む。
本開示の態様には、磁気センサ装置及び磁気標識を含むキットが含まれる。磁気センサ装置には、2つ以上の磁気センサを備える磁気センサ配列が含まれる。それぞれの磁気センサは、磁気トンネル接合(MTJ)磁気抵抗素子と、MTJ磁気抵抗素子の表面の少なくとも一部に接触し、MTJ磁気抵抗素子の表面端部を越えて延びる第1電極と、MTJ磁気抵抗素子の対向面の少なくとも一部に接触し、MTJ磁気抵抗素子の対向面の端部を越えて延びる第2電極とを含み、第1及び第2電極の延びた部分の接面が非重複であって重なり合わない。
いくつかの実施形態では、磁気標識は磁性ナノ粒子である。
GMRスピンバルブセンサ、12%(左)に対する磁気トンネル接合、236%(右)の磁気応答(増幅曲線)のグラフを示す。ここで示す磁気抵抗は、各装置のタイプの代表的な例である。これは、MTJベースのセンサのほうが、スピンバルブベースのセンサよりもはるかに感度が高いことを示す。 本開示の実施形態による、磁気トンネル接合センサの設計の略図を示す。センス電流は磁気トンネル接合を通って垂直に通過する。 現行のGMRスピンバルブセンサの設計の略図を示す。センス電流は磁気トンネル接合を通って垂直に通過する。 本開示の実施形態による、単一のバイオセンサをともに形成するMTJセンサの配列を含む、磁気センサ装置の概略断面図(実際の比率ではない)を示す。 本開示の実施形態による、ウエハ(左)及びチップ、例えば磁気センサ装置(右)、MTJバイオセンサの概略を示す。 本開示の実施形態による、80の活性バイオセンサを有するMTJバイオチップのレイアウトの概略を示す。 本開示の実施形態による、MTJバイオセンサの実験結果のグラフを示す。 本開示の実施形態による、MTJセンサ要素を直列配列した、MTJセンサ要素の配列の走査型電子顕微鏡の画像を示す。 本開示の実施形態による、80のMTJバイオセンサの配列を含む、10mm×12mmのバイオチップの画像を示す。 本開示の実施形態による、80のMTJバイオセンサの配列の拡大画像を示す。 本開示の実施形態による、個々のMTJバイオセンサの拡大画像を示す。 本開示の実施形態による、基準となるセンサと比較して、ビオチンで被覆したセンサ用のPBS緩衝液内で、ストレプトアビジン−ビオチンの結合を検出する、抵抗(ppm)の変化に対する時間(min)のグラフを示す。
磁気トンネル接合(MTJ)磁気抵抗素子と、MTJ磁気抵抗素子の表面の少なくとも一部に接触し、MTJ磁気抵抗素子の表面端部から越えて延びる第1電極と、MTJ磁気抵抗素子の対向面の少なくとも一部に接触し、MTJ磁気抵抗素子の対向面の端部を越えて延びる第2電極とを含み、第1及び第2電極の延びた部分の接面が非重複であって重なり合わない磁気センサを提供する。この磁気センサを用いる装置、システム及び方法もまた提供する。
本発明をさらに詳細に説明する前に、本発明は記載された特定の実施形態に限定されず、よって当然、変動すると理解すべきである。本明細書に使用される専門用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためであり、制限されることを意図せず、本発明の範囲は添付の請求項によってのみ制限されることも理解すべきである。
値の範囲が提供される場合には、当該範囲の上限と下限との間の、文脈上明らかに別の意味に解されるのでない限り下限の単位の10分の1までの各介在値、及び当該範囲内の他の任意の定められるまたは介在値が本発明に包含されるものと理解する。これらのより小さな範囲の上限及び下限は独立してより小さな範囲内に含まれてよく、本発明の範囲に含有され、記載の範囲内で任意の特異的に除外された制限を条件とする。記載の範囲が制限の1つまたは両方を含む場合、これらの含まれた制限の一方または両方を除外する範囲も、本発明に含まれる。
本明細書においてはいくつかの範囲を「約」という語が前につく数値で提示する。「約」という語は、本明細書では、「約」が前につく正確な数、ならびに「約」が前につく数に近く、またはその数を近似する数を文字で表現するのに使用する。数字が具体的に列挙された数字に近いかおおよそその数字であるかを判断する際には、列挙されていない数字に近いかおおよその数字が、記載された内容において、具体的に列挙された数字と実質的に等しい数字であり得る。
別段の規定がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語、科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されている意味と同一の意味を有する。本明細書に記載されているものと同様または同等の任意の方法及び材料を、本発明の実施または試験する際に使用することも可能であるが、代表的で例示的な方法及び材料を以下に記載する。
この明細書で引用される全ての文献及び特許は、参照によって、あたかも各個別の文献または特許が具体的に及び個別に参照により組み込まれると示されたかのように、本明細書に組み込まれ、引用文献に関連して方法及び/または材料を開示し記載するため参照により本明細書に組み込まれる。任意の文献の引用は、出願日前の開示のためであり、本発明が先願発明によってこのような文献に先行する権利が与えられないということを容認するものとして解釈すべきではない。さらに、提示する公開の日付は、実際の公開の日付と異なる可能性があり、個別に確認する必要があり得る。
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、内容が明らかに異ならない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は複数形を含むことに留意すべきである。さらに、特許請求の範囲は任意選択の要素を除外するように草案される場合もあることにも注意する。したがって、この記述は、特許請求要素の列挙と関連した「唯一」、「のみ」などといった排他的用語の使用、あるいは消極的限定の使用のための先行基礎となることを意図したものである。
本発明の特定の特徴は、明瞭化のため、別の実施形態の内容に記載されており、また単一の実施形態内に組み合わせて提供され得ると理解されている。逆に、本発明の様々な特徴は、簡潔さのためであり、単一の実施形態の内容に記載され、また、別にまたは任意の好適な副組み合わせで提供され得る実施形態の全ての組み合わせは、このような組み合わせが操作可能な工程及び/または装置、システム、キットを採用する限りにおいて、本発明により特異的に採用され、あたかもそれぞれ及び全ての組み合わせが個別及び明白に開示されたかのように本明細書にて開示される。加えて、このような変動値を記載する実施形態に列挙された全ての副組み合わせは、本発明によりまた具体的に採用され、あたかもそれぞれ及び全てのこのような化学基の副組み合わせが、個別、明白に本明細書にて開示される。
本開示を読む際には当業者には明白であろうが、本明細書に記載され図示された個別の実施形態のそれぞれは、個別の構成要素及び特徴を有し、本発明の範囲または趣旨を逸脱せずに、その他のいくつかの任意の実施形態の特徴と容易に分離され、または組み合わされ得る。任意の引用された方法は、引用された事象の順または論理的に可能な任意のその他の順で実施することができる。
以下の項では、被検体磁気センサは、はじめにより詳細に記載され、次に磁気センサ装置、被検体磁気センサを使用するシステム及び方法が記載される。
(磁気センサ)
本開示の態様には、磁気センサが含まれる。場合によっては、磁気センサは、センサに接続された電極間で起こりうる電気的短絡を最小にするように構成される。例えば、磁気センサは、磁気抵抗素子及び磁気抵抗素子に接続された2つの電極を含むことができ、磁気センサが2つの電極間の電気的短絡の発生を最小にするように構成される。2つの電極間の電気的短絡を最小にすることは、センサの精度を高めることを促進し得る。
ある実施形態においては、磁気センサには、磁気トンネル接合(MTJ)磁気抵抗素子(本明細書においては、MTJ素子とも称される)が含まれ、MTJ磁気抵抗素子の表面の少なくとも一部に接触し、MTJ磁気抵抗素子の表面端部を越えて延びる第1電極と、MTJ磁気抵抗素子の対向面の少なくとも一部に接触し、MTJ磁気抵抗素子の対向面の端部を越えて延びる第2電極とを含み、第1及び第2電極の延びた部分の接面が非重複であって重なり合わない。MTJ磁気抵抗素子の追加の態様は、以下の項にてさらに詳細に記載されている。
ある種の実施形態においては、第1電極はMTJ磁気抵抗素子の表面の少なくとも一部に接触する。少なくとも一部とは、電極が電極の表面領域に十分に接触し、対象とする検体を検出するため、センサの操作に十分な電気接触を作り出すことを意味する。場合によっては、電極はMTJ電極の表面の10%以上、例えば、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、または90%以上、接触し得る。または、いくつかの実施形態では、実質的にMTJ素子の1つの表面の表面領域全体、例えば、MTJ素子の最上部表面、またはMTJ素子の底部表面に接触し得る。
同様に、第2電極はMTJ素子の対向面の少なくとも一部に接触し得る。したがって、第1及び第2電極はMTJ素子の対向面に接触する。例えば、第1電極はMTJ素子の最上部表面の少なくとも一部に接触し、第2電極はMTJ素子の底部表面の少なくとも一部に接触し得る。第1電極がMTJ素子の底部表面の少なくとも一部に接触し、第2電極がMTJ素子の最上部表面の少なくとも一部に接触する場合、電極を対向して配置することもまた可能である。
ある実施形態においては、第1電極は、電極の表面の一部に接触する。例えば、MTJ素子の接触された表面の表面領域の100%未満である。例えば、第1電極はMTJ素子の最上部表面の一部に接触し得る。特定の場合には、第2電極は実質的に、MTJ素子の対向面全体、例えば、実質的にMTJ素子の底部表面の全体に接触する。
ある実施形態においては、第1電極はMTJ素子の表面端部を越えて延びる。端部を越えて延びるとは、電極が、前述のように、MTJ素子の表面が接触する部分(例えば、端部)を有し、MTJ素子の端部の上に突出する部分を含むことを意味する。例えば、電極は、平面電極の先端部分がMTJ素子の表面に接触し、平面電極の残余部分がMTJ素子の端部を越えて突出する平面電極であり得る。第1電極は、MTJ素子の最上部表面などのMTJ素子の表面端部を越えて延び得る。
同様に、第2電極はMTJ素子の対向面の端部を越えて延び得る。前述のように、第2電極は、MTJ素子の対向面(例えば、第1電極によって接触される反対側の表面のMTJ素子の表面)に接触する部分(例えば、先端部分)を有し、第2電極の残余部分がMTJ素子の端部から突出し得る。例えば、第2電極は、第2平面電極の先端部分がMTJ素子の対向面に接触し、第2平面電極の残余部分がMTJ素子の端部を越えて突出する平面電極であり得る。第2電極は、MTJ素子の底部表面などのように、MTJ素子の表面端部を越えて延び得る。
前述のように、第1電極は、MTJ素子の端部から突出して延びる部分を含み、かつ、そのように第1電極が外部及び内部に面する表面を有し、外側に面する表面がMTJ素子から向きを変え、内側に面する表面がMTJ素子に向かう。同様に、第2電極は、MTJ素子の端部から突出して延びる部分を含み、かつ、そのように第2電極が外部及び内部に面する表面を有し、外側に面する表面がMTJ素子から向きを変え、内側に面する表面がMTJ素子に向かう。
ある実施形態においては、第1及び第2電極の延びた部分の接面が非重複であって重なり合わないように第1及び第2電極が配列される。接面とは、例えば、MTJ素子に向かってそれぞれ面する第1及び第2電極の表面のような、第1電極の内側に面する表面及び第2電極の内側に面する表面を意味する。非重複であって重なり合わないとは、第1電極の延びる部分の接面が、第2電極の延びる部分の対抗面上(または下)に配置されないことを意味する。言い方を変えれば、重なり合わない電極は、第1電極の延びる部分に垂直に通過するラインは、第2電極の延びる部分を通過しない実施形態を含む。
このように、第1及び第2電極の延びる部分の接面が実質的に非重複であって重なり合わない実施形態においては、第1及び第2電極は異なる方向でMTJ素子のそれぞれの端部から延び得る。例えば、上方から見ると、第1電極は、MTJ素子の最上部表面から左向きに延び、第2電極はMTJ素子の底部表面から右向きに延び得る。第1及び第2電極の延びた部分が、前述のように実質的に重なり合わない限り、その他の電極の配置も可能である。
ある実施形態においては、電極はMTJ素子の端部に合わせてよい。例えば、重なり合わない電極は前述のようにMTJ素子の端部を越えて延び得る。場合によっては、延びる部分に対向する電極の端部はMTJ素子の端部に実質的に合わせ得る。場合によっては、電極の端部はMTJ素子の端部に合わない。例えば、前述したように、電極はMTJ素子の表面全体より少なく接触し、よって、MTJ素子の表面端部まで延びない。言い方を変えれば、場合によっては、この電極は、電極の先端部分とMTJ素子の1つ以上の端部との間の隙間があるように(例えば、電極が延びない1つ以上の端部)、MTJ素子の表面に接触する先端部分を有するが、MTJ素子の表面の一部を接触しないでおく。電極の端部はMTJ素子の端部の位置に合わせ得る実施形態または、上記のように、電極の端部とMTJ素子の端部との間に隙間がある実施形態においては、これが、第1及び第2電極が実質的に非重複であって重なり合わない磁気センサを提供するのを容易にし得る。
(磁気センサ装置)
本開示の態様には、磁気センサ装置が含まれる。磁気センサ装置には、支持体が含まれる。いくつかの実施形態では、この支持体には、磁気センサの配列(例えば、バイオセンサの配列)がその上に含まれる。ある種の実施形態においては、各磁気センサには、1つ以上の磁気センサ要素(例えば、磁気トンネル接合(MTJ)素子、本明細書においてはMTJ磁気抵抗素子とも称される)が含まれる。磁気センサ及びMTJ素子の態様は以下の項においてさらに記載されている。
ある種の実施形態においては、磁気センサには2つ以上のMTJ素子が含まれる。場合によっては、MTJ素子は電気的に互いに接続される。ある場合には、MTJ素子は電気的に互いに直列接続される。例えば、MTJ素子は第1及び第2電極によって、電気的に互いに直列接続され得る。いくつかの実施形態では、MTJ素子を一緒に、電気的に直列接続されることにより、電流(例えば、センス電流)はMTJ素子を直列に流れ得る(例えば、シーケンスで)。例えば、直列の2つのMTJ素子の最小限の配置は、第1電極を含んでよく、第1MTJ素子に電気的に接続され、第2電極に電気的に接続され、第2MTJ素子に電気的に接続され、第3電極に電気的に接続される。このため、電流は第1電極へと印加されてよく、第1電極を通過して第1MTJ素子へと流れ、第1MTJ素子を通過して第1MTJ素子の対向面上の第2電極へと流れ、第2電極を通過して第2MTJ素子へと流れ、第2MTJ素子を通過して第2MTJ素子の対向面上の第3電極へと流れる。例えば、図2(a)を参照のこと。電流は続いて、本明細書に記載されているように、第3電極を通過して1つ以上のMTJ素子に直列に流れてよく、または、信号処理のためにプロセッサへと流れてよい。
図2(a)及び図2(b)は、直列に配列されたMTJ素子の配列(図2(a))及びGMRスピンバルブセンサの設計(図2(b))の略図を示す。図2(a)及び図2(b)は、センサの表面上の磁性粒子(20)を示す。図2(a)は、MTJ素子の配列を示し、MTJ素子の配列には、底面電極(21)、最上面電極(22)及び上面及び底面電極との間にあるMTJ素子(23)を含む。図2(b)は、底面電極(24)及びGMRスピンバルブセンサ素子(25)を含む、GMRスピンバルブセンサの設計を示す。
上記のように、この電極(例えば、第1及び第2電極)は、MTJ素子の反対側に接触し得る。このように、磁気センサの素子(例えば、MTJ素子及び2つの電極)は、平面垂直通電型の構成に配置され得る。平面垂直通電型(CPP)の構成においては、電流はMTJ素子層に垂直なセンサを通過し、電極はMTJ素子の対向側上に配置される。
ある実施形態においては、MTJ素子の配列には直列に配置した複数のMTJ素子を2以上含み、3以上、4以上、6以上、8以上、10以上、15以上、20以上、25以上、30以上、40以上、50以上、75以上、100以上、125以上、150以上、175以上、200以上、225以上、または250以上の直列に配置された磁気センサを含む。場合によっては、MTJ素子の配列には、直列に配置した100以上のMTJ素子が含まれる。
場合によっては、(例えば、前述したように直列に配置した)MTJ素子は、隣接した電極の間の距離が、30μm以下、20μm以下、10μm以下、5μm以下、4μm以下、3μm以下、2μm以下、1μm以下を含む、40μm以下などのように50μm以下となるように配置される。場合によっては、隣接した電極の間の距離は2μmである。例えば、隣接した底面電極の距離は2μmであり得る。場合によっては、隣接した電極の間の距離は1μmである。例えば、隣接した最上面電極の間の距離は1μmであり得る。
ある実施形態においては、電極は、2μm×2μmから200μm×200μmの範囲の寸法を有してよく、2μm×200μm以下を含め、100μm×2μm以下など、例えば2μm×100μm以下、100μm×100μm以下、10μm×10μm以下、5μm×5μm以下、3μm×3μm以下、2μm×2μm以下または1μm×1μmの寸法を有してもよい。場合によっては、電極(例えば、最上面電極)は、150μm×10μm以下、120μm×5μm以下、120μm×2.8μm以下、100μm×2.8μm以下、75μm×2.8μm以下、50μm×2.8μm以下、25μm×2.8μm以下、または10μm×2.8μm以下、例えば2.0μm×2.8μmなどのような寸法を有する。場合によっては、電極(例えば、底面電極)は、150μm×10μm以下、125μm×5μm以下、124μm×2.6μm以下、100μm×2.6μm以下、75μm×2.6μm以下、50μm×2.6μm以下、25μm×2.6μm以下、または10μm×2.8μm以下の寸法を有し、例えば6.8μm×2.6μmなどの寸法を有する。
ある実施形態においては、電極は電気的に導電性材料から構成される。場合によっては、電極は、例えば、銅、アルミニウム、パラジウム、パラジウム合金、酸化パラジウム、白金、白金合金、酸化白金、ルテニウム、ルテニウム合金、酸化ルテニウム、銀、銀合金、酸化銀、スズ、スズ合金、酸化スズ、チタン、チタン合金、酸化チタン、タンタル、タンタル合金、酸化タンタル、これらの組み合わせなどの導電性金属で作製される。場合によっては、電極はタンタルで作製される。場合によっては、電極はルテニウムで作製される。場合によっては、電極は前述のように導電性材料の層を含む。例えば、電極はタンタルのような導電性金属層を含み得る。場合によっては、電極は前述のように電気的に導電性材料の層を2つ以上含む。例えば、電極はタンタル及びルテニウムのような、2つの異なる導電性金属の層を交互に含み得る。場合によっては、電極の厚さは1nmから1000nmの範囲にわたり、例えば1nmから500nm、1nmから250nm、1nmから100nm、1nmから75nm、1nmから50nm、1nmから45nm、1nmから40nm、1nmから35nm、1nmから30nm、1nmから25nm、1nmから20nm、1nmから15nm、1nmから10nm、1nmから5nmなどである。いくつかの実施形態では、電極の厚さは、30nm、20nm、または10nmの厚さのように、1nmから30nmの範囲にわたる。
ある種の実施形態においては、磁気センサには複数のMTJ素子が含まれる。場合によっては、前述したように、磁気センサは2つ以上のMTJ素子(例えば、直列に配置された2つ以上のMTJ素子)を含む。場合によっては、磁気センサ装置は、直列に配置されたMTJ素子及びMTJ素子の配列の第1直列に平行に電気的に接続された追加のMTJ素子を含む。追加のMTJ素子には、前述したように、2つ以上の直列に配置されたMTJ素子を含み得る。このように、特定の場合には、磁気センサはMTJ素子を配置されてもよく、複数のMTJ素子は双方とも平行、直列に電気的に接続される。
本開示の態様には、磁気センサ装置が含まれ、磁気センサ装置は支持体を含む。いくつかの実施形態では、この支持体には、磁気センサの配列(例えば、バイオセンサの配列)がその上に含まれる。ある実施形態においては、この支持体は、1.6mm以下、1.0mm以下、0.5mm以下、0.3mm以下、0.2mm以下を含め、2mm以下のように、5mm以下の厚さを有する。ある実施形態においては、この支持体は、10mm以下、5mm以下、2mm以下を含め、12mm以下のように、20mm以下、15mm以下の幅を有する。
ある実施形態においては、磁気センサ装置の支持体は長方形(その他の形状も可能であるが)の形状であり、1mmから5mmを含めて、1mmから10mmのように1mmから20mmの範囲の長さを有し、1mmから5mm、1mmから3mmを含めて、1mmから10mmのように1mmから20mmの範囲の幅を有し、0.3mmから0.5mmを含めて、0.2mmから1mmのように0.1mmから5mmの範囲の厚さを有する。
(磁気センサ配列)
ある実施形態では、この磁気センサ装置には、磁気センサの配列(例えば、バイオセンサの配列)が含まれる。磁気センサの配列には、例えば、磁気センサの構成に関して、様々に異なる構成を有し得る。ある実施形態においては、本発明の磁気センサはバイオチップ(例えば、バイオセンサチップ)上に配置される。「バイオチップ」または「バイオセンサチップ」とは、磁気センサの配列(例えば、バイオセンサの配列)を含む磁気センサ装置を意味する。例えば、バイオチップは、支持体表面上の磁気センサの2つ以上の異なる配列を示す支持体表面を含む、磁気センサ装置を含み得る。ある実施形態では、磁気センサの配列を有する支持体表面を含む磁気センサ装置を含む。
「配列」には、例えば、空間的にアドレス指定可能な領域の、任意の2次元または実質的に2次元(3次元も同様)のアドレス指定可能な領域の配列が含まれる。配列は、配列上に特定の予め決定した位置(例えば、「アドレス」)に配置された複数のセンサを有する場合には、「アドレス指定可能」である。配列特徴(例えば、センサ)は、介在空間によって隔て得る。任意の所与の支持体は、支持体の前面に配置された1、2、4以上の配列を運び得る。使用によっては、配列のいずれかまたはその全ては、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれが多数の異なる磁気センサを含有してよい。配列は、2以上、4以上、8以上、10以上、50以上、100以上、250以上、500以上、750以上、1000以上を含む、1つ以上の磁気センサを含有し得る。例えば、64の磁気センサは8×8の配列に配置されることができ、80の磁気センサは8×10の配列に配置されることができ、90の磁気センサは9×10の配列に配置されることができる。
場合によっては、磁気センサは、磁気センサの行及び列の配列に配置される。例えば、配列は2つ以上の磁気センサの1つ以上の行を含む。場合によっては、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、12以上、14以上、16以上、18以上、20以上、25以上、30以上、35以上、40以上、45以上、50以上の磁気センサの行などのように、配列は1以上の行を含む。場合によっては、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、12以上、14以上、16以上、18以上、20以上、25以上、30以上、35以上、40以上、45以上、50以上の磁気センサの列などのように、配列は1以上の列を含む。例えば、64の磁気センサは、8行と8列の磁気センサを含む8×8の配列に配置することができ、または80の磁気センサは、10行と8列の磁気センサを含む8×10の配列に配置することができる。例えば、図8及び図9を参照のこと。
ある実施形態においては、この磁気センサは、10cm2 以下、9cm2 以下、5cm2 以下、4cm2 以下、例えば、2cm2 以下、1.2cm2 以下、0.1cm2 以下の領域で配列に配置することができ、例えば、10mm2 以下、またはそれよりも小さい50mm2 以下、20mm2 以下を含むことができる。例えば、磁気センサは、例えば、12.2mm2 以下(例えば、3.2mm×3.8mm)のような15mm2 以下の領域の配列に配置されることができる。場合によっては、磁気センサは20mm2 の領域の配列に配置される。例えば、磁気センサは、2mm2 の配列領域に磁気センサを1つ以下の配列で密度を有し、例えば、1mm2 の配列領域に磁気センサを1つ以下、0.5mm2 の配列領域に磁気センサを1つ、0.2mm2 の配列領域以下に磁気センサを1つ、0.16mm2 の配列領域に磁気センサを1つ、0.14mm2 の配列領域に磁気センサを1つ、0.12mm2 の配列領域に磁気センサを1つ、0.1mm2 の配列領域に磁気センサを1つ、0.08mm2 の配列領域に磁気センサを1つ、0.05mm2 の配列領域に磁気センサを1つ以下の配列で密度を有し得る。場合によっては、磁気センサは、0.16mm2 の配列領域に磁気センサを1つの配列で密度を有し得る。
いくつかの実施形態では、本開示の実施形態によると、多数のMTJ素子を有する磁気バイオセンサは、分析検査の間、生体分子の試料に接触する支持体の一部を覆う寸法に合わせられている。試料(例えば、生体分子)を個々のセンサ上に置くことは、支持体の特定の領域上に生体分子を有する液体試料の少量の液滴を置くか、または生体分子でコーティングしたスタンプを支持体に接触して置くことにより実施してよい。いくつかの実施形態では、生体分子の試料により被覆された支持体の領域及びバイオセンサの領域は、実質的に類似している。例えば、バイオセンサは、10μm×10μmから1000μm×1000μmの範囲の寸法を有してよく、10μm×1000μm以下の寸法を含み、1000μm×10μm以下など、例えば、800μm×800μm以下、400μm×400μm以下、200μm×200μm以下、180μm×180μm以下、160μm×160μm以下、140μm×140μm以下、120μm×120μm以下、100μm×100μm以下、80μm×80μm以下、50μm×50μm以下、30μm×30μm以下である。場合によっては、バイオセンサは、120μm×120μmのように、140μm×140μm以下の寸法を有する。
本開示の実施形態によると、いくつかの実施形態では、個々のバイオセンサに生体分子を含有する、隔離した液体試料の液滴を接触させつつ、単位面積当たりのバイオセンサの数が最大化するように、多数のMTJ素子を有する磁気バイオセンサは、隔置される。個々のバイオセンサ上に置かれた隣接する液滴との間に実質的な間隔をおくために、バイオセンサは一定の距離で隔置してよい。場合によっては、隣接するバイオセンサの間の空間は、不活性であり、隣接するバイオセンサの間は非センサ領域である。いくつかの実施形態では、隣接するバイオセンサの間のこの不活性領域は、バイオセンサの寸法の1から5倍の距離に及ぶ。例えば、バイオセンサが100μm×100μmの領域に及ぶ場合には、隣接するバイオセンサの間の不活性領域は、100μmから500μmの範囲の距離に及び得る。上述のように場合によっては、バイオセンサは120μm×120μmの寸法を有する。いくつかの実施形態では、バイオセンサは、隣接するバイオセンサの間の不活性空間が約280μmの長さとなるように、400μmの規則的な間隔(バイオセンサの中央から隣接するバイオセンサの中央までを測定した場合)で配置され得る。
ある実施形態においては、少なくともいくつかの磁気センサ、または全ての磁気センサは、センサの表面に安定して関連する、検体−特異的プローブ(例えば、表面捕捉リガンド)を有する。例えば、各磁気センサ配列は、磁気センサの表面に結合された検体−特異的プローブを有する1つ以上の磁気センサを含み得る。所与の配列が2つ以上の磁気センサを含む場合、各センサは同一のまたは異なる、その表面と関連する検体−特異的プローブを有し得る。例えば、磁気センサ配列には、2つ以上の異なる磁気センサが含まれ、それぞれが同一の検体を特異的に検出するように構成され得る。場合によっては、それぞれ異なる検体−特異的プローブが異なる検体に特異的に結合するように、異なる検体−特異的プローブはかかる装置のセンサ表面に存在し得る。例えば、磁気センサ配列には、2つ以上の異なる磁気センサが含まれ、それぞれが異なる検体を特異的に検出するように構成され得る。その他の場合では、磁気センサ装置は、磁気センサの表面が検体に直接結合する機能を有するように、任意の検体−特異的プローブがない磁気センサを含む。場合によっては、磁気センサは磁気センサの表面上に配置された障壁層を含む。この障壁層は、磁気センサの表面に任意の検体−特異的プローブまたは検体の結合を阻害するように構成され得る(例えば、このようなブロックされた磁気センサは、基準信号をまたは電気信号のソースとして使用され得る)。
上記のように、ある実施形態においては、磁気センサ装置は、基板上に配置された2つ以上の磁気センサ配列を含む。このように、磁気センサ装置は2つ以上の磁気センサ配列を含む。上記のように、それぞれの磁気センサ配列は、同一または異なる検体を検出するように構成された磁気センサをそれぞれ有する、1つ以上の磁気センサを有し得る。したがって、磁気センサ装置上の各磁気センサ配列は、検体の同一のセットまたは異なるセットを検出するように構成され得る。例えば、磁気センサ装置には、2つ以上の異なる磁気センサ配列が含まれ、それぞれが同一の検体のセットを特異的に検出するように構成され得る。その他の場合では、磁気センサ装置には、2つ以上の異なる磁気センサが含まれ、それぞれが異なる検体のセットを特異的に検出するように構成され得る。
ある実施形態においては、配列内の磁気センサの間の領域は、いかなる検体−特異的プローブを保持せず、検体に直接結合する機能はなくてもよい。このようなセンサ間の領域が存在する場合には、寸法及び形状は様々でよい。場合によっては、これらのセンサ間の領域は、異なるセンサの間の流体運動を阻害または防止するために構成され得る。例えば、センサ間の領域を疎水性物質及び液体バリアまたはそのいずれかで被覆する。
例えば、プロセッサ、ディスプレイなどのように、磁気センサをシステムの構成要素に電子的に結合するように構成された、導電性リード線などの電子通信素子として存在してもよい。さらに、所与の磁気センサ装置は、磁気センサ配列に加えて、様々な他の構成要素を含み得る。追加の磁気センサ装置の構成要素としては、信号処理構成要素、電源、流体処理構成要素、有線または無線通信構成要素などが挙げられ得るが、これらに限定されない。
ある実施形態においては、磁気センサ装置は最小量の試料から検出可能な信号を生成するように構成される。場合によっては、磁気センサ装置は、10mL以下、5mL以下、3mL以下または1mL以下、例えば500μL以下など、100μL以下を含め、例えば50μL以下、25μL以下または10μL以下の試料サイズから検出可能な信号を生成するように構成される。このように、場合によっては、リザーバプレートの流体リザーバは、検出可能な信号を生成するのに必要な最小量の試料を受け取るように構成され得る。例えば、流体リザーバは、10mL以下、5mL以下、3mL以下、1mL以下、例えば500μL以下など、100μL以下を含め、例えば50μL以下、25μL以下、10μL以下、5μL以下、1μL以下の試料を受けるように構成され得る。
いくつかの実施形態では、磁気センサ装置は、試料中の検体の存在を検出するシステムに接続するように構成される。したがって、ある実施形態においては磁気センサ装置は、磁界源を含まない。磁界源には、試料中にある検体の存在を検出するシステム内に含まれてよく、したがって、磁気センサ装置内に含まれない。このように、検定プロトコールは、試料中の検体の存在を検出するため、システムに磁気センサ装置を操作可能に連結することを含み得る。場合によっては、磁気センサ装置は、本明細書で記載されたように、システムの起動及び信号処理装置に操作可能に連結され得る。磁気センサ装置は、磁気センサ装置がシステムに電気的に接続されるように構成された、システムの起動及び信号処理装置などのような、1つ以上の電気接触を含み得る。電気接触は磁気センサ装置の端部に沿って配置され得る。
ある実施形態においては、磁気センサ装置にはプログラム可能なメモリが含まれる。場合によっては、プログラム可能なメモリは情報を記憶するように構成され、補正データ(例えば、各磁気センサ及び/または各磁気センサ配列用の補正データ)、磁気センサがいかに検定の前に表面機能化分子を調製されたのかの記録、完備した検定の工程の記録、どの試料が評価されたのかについての記録、評価した結果などの記録を含む情報などを含むが、これらに限定されない。バーコードがプログラム可能なメモリの代わりにまたは追加で使用され得る場合もある。バーコードを含む磁気センサ装置の実施形態においては、磁気センサ装置と関係した情報は、システムの活性化と信号処理装置などのような磁気センサ装置から隔離された情報システムに保存され、読み出され得る。
(磁気センサ)
前述したように、各磁気センサは、1つ以上のMTJセンサ要素を含み得る。場合によっては、磁気センサは、磁気センサと磁気標識との間に、いかなる物理的接触が直接なくても、近傍の磁気標識の存在を検出するように構成されたセンサである。ある実施形態においては、磁気センサは試料中の検体の存在を検出するように構成されている。例えば、磁気標識は直接または間接的に検体に結合されてよく、次々に直接または間接的に磁気センサに結合されてよい。結合された磁気標識が磁気センサの検出範囲内にある場合には、磁気センサは、結合された磁気標識の存在を示す信号を提供してよく、そのため検体の存在を示してよい。
場合によっては、磁気センサは、1nmから500nmを含む、1nmから800nmのような磁気センサの表面から1nmから1000nmの検出範囲を有し、磁気センサの表面から1nmから100nmを含む1nmから300nmのような検出範囲を有する。場合によっては、センサの検出範囲を最小化にすると、対象としない検体からの検出可能な信号を最小化しつつ、特異的に結合された検体を検出するのを容易にし得る。「検出範囲」は、磁気センサの表面からの距離を意味し、磁気標識の存在により磁気センサ内で検出可能な信号を誘発する。場合によっては、磁気センサの検出範囲内にあるように磁気センサの表面に十分に近く配置された磁気標識は、磁気センサ内で検出可能な信号を誘発する。特定の場合には、磁気センサの検出範囲よりも大きな磁気センサの表面からの距離に配置された磁気標識は、磁気センサで検出可能または無視できない信号を誘発するであろう。例えば、磁気標識は、1/r3 に比例する磁束を有してよく、rは磁気センサと磁気標識との間の距離である。このように、近傍(例えば、磁気センサの検出範囲内)に配置された、それらの磁気標識のみが検出可能な信号を磁気センサ内に誘引するであろう。
ある実施形態においては、磁気センサの表面は検体に直接結合するように機能化される。例えば、検体と磁気センサとの共有結合または非共有結合性会合を提供するため、磁気センサの表面は機能化され得る。非特異的吸着、静電相互作用に基づいた結合(例えば、イオン−イオン相互作用)、疎水性相互作用、水素結合相互作用などが挙げられるが、これらに限定されない。
場合によっては、磁気センサの表面は、検体に特異的に結合する検体−特異的プローブ(例えば、表面捕捉リガンド)を含む。検体−特異的プローブは磁気センサの表面に結合され得る。例えば、ポリエチレンイミン(PEI)のようなカチオン性ポリマーは、物理吸着を介してセンサ表面に、荷電抗体を非特異的に結合するために使用することができる。あるいは、共有結合化学は検体−特異的プローブに遊離アミノまたは遊離チオール基を使用することが可能であり、磁気センサの表面に検体−特異的プローブを共有結合する。例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)に結合するシステムが、検体−特異的プローブを磁気センサの表面に共有結合するために使用され得る。
検体−特異的プローブは、1つの特異的結合対のメンバを含み得る。例えば、好適な特異的結合対としては、レセプター/リガンド対のメンバ;レセプターのリガンド−結合部;抗体/抗原対のメンバ;抗体の抗原−結合フラグメント;ハプテン;レクチン/炭水化物対のメンバ;要素/基板対のメンバ;ビオチン/アビジン;ビオチン/ストレプトアビジン;ジゴキシン/抗ジゴキシンなどが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態においては、磁気センサの表面に、対象とする検体に特異的に結合した抗体を含む。したがって、磁気センサを対象とする検体を含む検定組成物へ接触させることは、磁気センサの表面に結合する検体−特異的プローブ(例えば、抗体)に検体の結合がもたらされる可能性がある。
ある実施形態においては、磁気センサの表面に近接した磁気標識に対応して磁気センサは電気信号を発生するように構成される。例えば、磁気センサは、局所磁場における変化により生じた磁気センサの抵抗の変化を検出するように構成され得る。場合によっては、前述したように、磁気センサに極めて接近した磁気標識の結合(例えば、磁性ナノ粒子標識)は、磁気センサの抵抗の検出可能な変化を生じる。例えば、印加された外部磁場の存在下では、磁気センサの近傍の磁気標識は磁化され得る。磁化された磁気標識の局所磁場は、下の磁気センサの抵抗における検出可能な変化を生じ得る。このように、磁気標識の存在は、磁気センサの抵抗における検出可能な変化により検出されることが可能である。ある実施形態においては、磁気センサは、100mΩ以下、50mΩ以下、25mΩ以下、10mΩ以下、5mΩ以下、1mΩを含む、500mΩ以下などの1Ω以下の抵抗の変化を検出するように構成されている。ある実施形態においては、2PPM以上、20PPM以上、200PPM以上、400PPM以上、600PPM以上、1000PPM以上、2000PPM以上、4000PPM以上、6000PPM以上、10,000PPM以上、20,000PPM以上、40,000PPM以上、60,000PPM以上、100,000PPM以上または200,000PPM以上の抵抗の変化などのような抵抗の変化は当初のセンサの抵抗に対して万分率(PPM)にて表され得る。
ある種の場合においては、磁気センサは多層の薄膜フィルム構造である。センサは強磁性材料及び非磁性材料の層を交互に含み得る。強磁性材料にはパーマロイ(NiFe)、コバルト鉄(FeCo)、ニッケル鉄コバルト(NiFeCo)、酸化ニッケル(NiO)、酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケルコバルト(NiCoO)、酸化第二鉄(Fe23 )、CoFeB、Ru、PtMnとこれらの組み合わせなどを含んでもよいがこれらに限定されない。場合によっては、非磁性材料はMgO、アルミナなどの絶縁層である。ある実施形態においては、強磁性層は2nmから8nmなどの3nmから4nmを含む、1nmから10nmの厚さを有する。場合によっては、非磁性層は、1.5nmから2.5nmまたは1.8nmから2.2nmを含む、1nmから3nmなどのような0.2nmから5nmの厚さを有する。
(磁気トンネル接合(MTJ)磁気抵抗素子)
ある実施形態においては、磁気センサには、磁気トンネル接合(MTJ)磁気抵抗素子(本明細書においては、MTJ素子としてもまた参照される)が含まれる。場合によっては、MTJ素子は、第1強磁性層、第1強磁性層上に配置された絶縁層及び絶縁層上に配置された第2強磁性層を含む、多層構造を含む。絶縁層は薄い絶縁トンネルバリアであってよく、アルミナ、MgOなどを含んでよい。場合によっては、第1及び第2の強磁性層の間の電子トンネリングは、2つの強磁性層の相対的な磁化に依存する。例えば、ある実施形態においては、第1及び第2の強磁性層の磁化ベクトルが平行である場合、トンネル電流は高く、第1及び第2の強磁性層の磁化ベクトルが平行でない場合、トンネル電流は低い。
場合によっては、MTJ素子は磁気抵抗比(MR)を25%から200%を含め、10%から250%などのように、1%から300%有する。上記のように、MTJ素子の表面近傍の磁気標識の存在に起因するMTJ素子の抵抗における変化は、検出され得る。場合によっては、MTJ素子は、50%以上、75%以上、100%以上、125%以上、150%以上、175%以上、200%以上、225%以上、250%以上、275%以上または300%以上のMRを有する。例えば、MTJ素子は225%以上のMRを有し得る。
ある実施形態においては、第2強磁性層(例えば、MTJ素子の表面に配置されたMTJ素子層)は、2つ以上の層を含む。例えば、第2強磁性層は、第1層、第1層上に配置された第2層及び第2層上に配置された第3層を含み得る。場合によっては、第1層は、薄い強磁性層(例えば、NiFe、CoFe、CoFeBなど)である。薄い金属層は、4nm以下、3nm以下、2nm以下、1nm以下または0.5nm以下を含めて、5nm以下のように6nm以下の厚さを有し得る。第2層は、例えば、銅、アルミニウム、パラジウム、パラジウム合金、酸化パラジウム、白金、白金合金、酸化白金、ルテニウム、ルテニウム合金、酸化ルテニウム、銀、銀合金、酸化銀、スズ、スズ合金、酸化スズ、チタン、チタン合金、酸化チタン、タンタル、タンタル合金、酸化タンタル、これらの組み合わせなどの導電性金属を含み得る。第2層は、0.4nm以下、0.3nm以下、0.2nm以下、0.1nm以下を含め、0.5nm以下のように2nm以下の厚さを有し得る。第3層は、NiFe、CoFe、CoFeBなどの強磁性材料を含み得るが、これらに限定されない。第3層は、4nm以下、3nm以下、2nm以下、1nm以下または0.5nm以下を含めて、5nm以下のように6nm以下の厚さを有し得る。
場合によっては、MTJ素子は、関連する磁気標識と自由層の最上部表面との間の距離が、5nmから1000nmまたは10nmから800nmの範囲であり、20nmから600nmのように40nmから400nmを含み、60nmから300nmのように80から250nmを含むように構成される。
MTJ素子は、1つ以上のMTJ素子表面上に配置された不動態化層を含み得る。場合によっては、不動態化層は40nm以下、30nm以下、20nm以下、または10nm以下を含む、50nm以下などの60nm以下の厚さを有する。例えば、不動態化層は1nmから30nmまたは1nmから20nmを含む、1nmから40nmなどのような1nmから50nmの厚さを有し得る。場合によっては、不動態化層は30nmの厚さを有する。場合によっては、不動態化層は金、タンタル、タンタル合金、酸化タンタル、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化アルミニウム、SiO2 ,Si34 ,ZrO2 の組み合わせなどを含む。ある実施形態においては、特異的に結合されない磁気標識からの信号を最小化しつつ、上記のような厚さの不動態化層が、センサ表面に特異的に結合された磁気標識から検出された信号を最大化することを促進する。
ある実施形態においては、MTJ素子は、1μm×1μmから200μm×200μmの範囲の寸法を有し、200μm×1μm以下などの1μm×200μm以下の寸法を含み,例えば150μm×10μm以下、120μm×5μm以下、120μm×0.8μm以下、0.8μm×120μm以下、100μm×0.7μm以下、100μm×0.6μm以下、100μm×0.5μm以下、10μm×0.6μm以下、または10μm×0.5μm以下である。場合によっては、MTJ素子は、2.0μm×0.8μmなどの120μm×0.8μm以下の寸法を有する。
磁気トンネル接合(MTJ)検出器は、2008年9月19日出願U.S.Ser.No.12/234,506の名称「磁気センサによる検体検出(Analyte Detection with Magnetic Sensors)」にも記載されており、その開示の全体が参照として本明細書に組み込まれる。検出器は、2004年4月22日出願U.S.Patent Application Serial No.10/829,505の名称「磁性ナノ粒子、磁性検出器アレイ、及び生物学的分子の検出におけるそれらの使用方法(Magnetic nanoparticles, magnetic detector arrays, and methods for their use in detecting biological molecules)」にも記載されており、その開示の全体が参照として本明細書に組み込まれる。
(感磁領域)
ある実施形態においては、磁気センサ装置は1つ以上の感磁領域を含むように構成され得る。感磁領域は、磁気センサの配列(例えば、バイオセンサの配列)が配置される装置の領域に対応し得る。例えば、感磁領域は、使用する間に試料に暴露する装置表面上の領域でよく、前述したように、磁気センサの配列(例えば、バイオセンサの配列)を有する。
感磁領域は、流体リザーバを含むように構成され得る。流体リザーバは任意の様々の形状でよく、流体リザーバは磁気センサ配列と接触する試料を保持するように構成される。したがって、流体リザーバの形状は、円筒状ウェルの形状、正方形ウェルの形状、矩形ウェルの形状、円形底面ウェルの形状などを含んでよいが、これらに限定はされない。例えば、流体リザーバには1つの流体リザーバを隣接する流体リザーバから隔離するウオールを含み得る。ウオールはリザーバプレートの表面に対して実質的に垂直であり得る。場合によっては、各流体リザーバのウオールは、流体リザーバによって確定される空間の大きさと等しい量の試料または少ない量の試料を受け得る空間の大きさを画定する。
ある実施形態においては、流体リザーバは、100μL以下、例えば50μL以下、25μL以下、10μL以下を含めて、500μL以下のように、10mL以下、5mL以下、3mL以下、1mL以下の容積を有し、等しい量の試料または少ない量の試料を含有するのに十分である。
(磁気センサシステム)
ある実施形態においてはこのシステムは、磁気センサ装置及び磁界源を含む。磁気センサ装置は、その上に配置された2つ以上の磁気センサの配列(例えば、バイオセンサの配列)を有する支持体を含む。このシステムは、1つ以上の検体が各試料中に存在するか否かを示す磁気センサの各配列から信号を取得するように構成され得る。
ある実施形態においては、このシステムは磁界源を含む。磁界源は、検定検出領域(例えば、磁気センサ配列が信号を取得する間配置される領域)中の直流磁場及び交流磁場またはそのいずれかを生成するのに十分な磁気センサ装置(例えば、磁気センサ配列)に磁場を印加するように構成され得る。場合によっては、磁界源は、1Oe以上、5Oe以上、10Oe以上、20Oe以上、30Oe以上、40Oe以上、50Oe以上、60Oe以上、70Oe以上、80Oe以上、90Oe以上または100Oe以上の磁界強度で磁場を生成するように構成される。
磁界源は、磁気センサ装置が使用される際に、磁気センサ配列が配置される領域で磁場が生成されるように配置され得る。場合によっては、磁界源は、分析が行われるリザーバプレート上の一連の流体リザーバの周りに均一で制御可能な磁場を発生するように構成される。磁界源は、2つ以上、3つ以上、4つ以上などのような、1つ以上の構成成分を発生させる磁場を含み得る。場合によっては、磁界源は、コイル電磁石などのような1つ以上の電磁石を含み得る。コイル電磁石には巻き線コイルを含み得る。例えば、磁界源は、ヘルムホルツコイル形状に配列された2つの電磁石を含み得る。
このシステムの実施形態はコンピュータを用いたシステムをさらに含む。前述したように、このシステムは定性的及び/または定量的に結合相互作用を評価するように構成され得る。「コンピュータを用いたシステム」とは、磁気センサからの信号を分析するために使用される、ハードウェア、ソフトウェア及びデータストレージコンポーネントを意味する。コンピュータを用いたシステムのハードウェアは、中央演算処理装置(CPU)、インプット、アウトプット及びデータストレージコンポーネントを含み得る。任意の種々のコンピュータを用いたシステムは、本発明のシステムに使用するのに好適である。データストレージコンポーネントは、磁気センサ配列からの信号を記録するための装置、または磁気センサ配列からの信号を保存することが可能なアクセス可能なメモリコンポーネントを含む、任意のコンピュータ可読媒体を含み得る。
コンピュータ可読媒体上にデータ、プログラミングまたは他の情報を「記録する」ことは、当分野において公知の任意のそのような方法を使って情報を記憶するための工程をいう。保存された情報にアクセスするために使用される方法によって、任意の簡便なデータ保存構造が選択されてよい。例えばワードプロセッシングテキストファイル、データベースフォーマット等のような、様々なデータ処理プログラム及びフォーマットが、保存するために使用されることが可能である。
ある実施形態においては、このシステムは起動及び信号処理の装置を含む。起動及び信号処理の装置は、磁気センサ装置に操作可能に連結されるように構成され得る。場合によっては、起動及び信号処理の装置は、磁気センサ装置に電気的に連結される。起動及び信号処理の装置は、磁気センサ装置に双方向通信を提供するように、電気的に連結され得る。例えば、起動及び信号処理の装置は、磁気センサ配列などの磁気センサ装置の構成要素に、電源、起動信号などを提供するように構成され得るが、これらに限定されない。そのため、起動及び信号処理の装置は、起動信号発生器を含み得る。起動信号発生器は、磁気センサ配列などの検体検出装置の構成要素に電源、起動信号などを提供するように構成され得るが、これらに限定されない。場合によっては、起動及び信号処理の装置は磁気センサ配列に、例えば300mVから500mVのような200mVから1Vを含んだ、100mVから5Vなどのような1mVから10Vの範囲の電圧を印加するように構成される。場合によっては、起動及び信号処理の装置は500mVの磁気センサ配列に電圧を印加するように構成される。
さらに、起動及び信号処理の装置は、磁気センサ装置の磁気センサ配列のような、磁気センサ装置からの信号を受信するように構成され得る。磁気センサ装置の磁気センサ配列からの信号は、試料中の1つ以上の検体の存在を検出するために使用され得る。場合によっては、起動及び信号処理の装置は、磁気センサ配列からの信号受信に対応して検体の検出結果を出力するように構成されたプロセッサを含み得る。したがって、起動及び信号処理の装置のプロセッサは、磁気センサ装置からの信号を受信し、予め決められたアルゴリズムに従って信号を処理し、試料中の1つ以上の検体の存在に関連した結果を取得し、人間が読み取り可能または聞き取り可能なフォーマットでユーザに結果を出力するように構成され得る。
「プロセッサ」は、1つ以上のプログラム機能を実行する、任意のハードウェア及びソフトウェアまたはそのいずれかの組み合わせを参照する。例えば、本明細書で任意のプロセッサは、電子制御、メインフレーム、サーバまたはパーソナルコンピュータ(例えば、デスクトップまたは携帯型)などの形態で入手できるプログラム可能なデジタルマイクロプロセッサであり得る。プロセッサがプログラム可能である場合、好適なプログラミングは遠隔地からプロセッサに通信することが可能であり、または予めコンピュータプログラム製品(磁気、光学的または固体記憶装置によるかを問わず、携帯型または固定コンピュータ可読保存媒体)に保存されることが可能である。例えば、磁気媒体、光ディスクまたは固体記憶装置がプログラムを搭載し、プロセッサと通信する好適な読取通信装置によって読み取ることができる。
場合によっては、本発明のシステムは、磁気センサ配列(例えば、センス電流)に印加される電流を変調するように構成される。本発明のシステムは磁界源により発生した磁場を調節するように構成され得る。センス電流及び磁界を調節することで信号のノイズを最小化し、これによりSN比を最大化するよう促進し得る。センス電流及び磁界の追加の態様が、2010年4月13日出願U.S.Application No.12/759,584名称「試料中の検体の存在を検出するための方法及び装置(Methods and Devices for Detecting the Presence of an Analyte in a Sample)」にてさらに詳細に開示され、該開示は、その全体が本明細書に参照として組み込まれる。
本発明のシステムの実施形態は、下記の構成要素もまた含み得る:(a)後述のように例えばユーザのコンピュータを介して、システムと1以上のユーザとの間の情報を転送するように構成された有線または無線通信モジュール及び(b)磁気センサからの信号を定性的及び/または定量的な分析に伴う1つ以上のタスクを実行するためのプロセッサ。ある実施形態においては、その中に保存される制御論理(例えば、プログラムコードを含む、コンピュータソフトウェアプログラム)を有するコンピュータに使用可能な媒体を含む、コンピュータのプログラム製品が提供される。制御論理は、コンピュータのプロセッサで実行時に、本明細書で記載された機能を実行するプロセッサを立ち上げる。その他の実施形態では、例えば、ハードウェアステートマシンなどのハードウェアの使用において、いくつかの機能が主に実行される。本明細書で記載された機能を実行するためにハードウェアステートマシンを導入することで、任意の便利な方法及び技術を使用して達成し得る。
磁気センサ装置及び起動及び信号処理の装置に加えて、このシステムは、モニタ、スピーカなどのデータ出力装置、例えば、インターフェースポート、ボタン、スイッチ、キーボードなどのデータ入力装置、例えば、マイクロ流体構成要素などの、流体操作構成要素、電源、パワーアンプ、有線または無線通信構成要素などのいくつかの追加の構成部品を含み得るが、これらに限定されない。例えば、このシステムは、マイクロ流体操作構成要素などの流体操作構成要素を含み得る。ある実施形態においては、マイクロ流体操作構成要素はリザーバプレートの流体リザーバに流体を送達するように構成される。場合によっては、流体には、1つ以上の検定組成物、試料、磁気標識、捕捉プローブ、試薬などが含まれる。いくつかの例では、マイクロ流体操作構成要素は1mL以下、例えば500μL以下など少量の流体を送達するように構成され、これには100μL以下、例えば50μL以下、または25μL以下、または10μL以下が含まれる。
いくつかの実施形態においては、システムは高感度検体検出器である。「高感度」とは、システムが、試料中の検体の濃度が低い場合において試料中の検体を検出するように構成されていることを意味する。場合によっては、システムは、試料中の対象とする検体の存在を示す検出可能な信号を生成するように構成され、その場合の試料中の検体の濃度は1μM以下であり、例えば100nM以下、10nM以下または1nM以下であり、これには100pM以下、10pM以下または1pM以下が含まれ、例えば500fM以下、250fM以下、100fM以下、50fM以下または25fM以下、例えば10fM以下、5fM以下または1fM以下である。言い方を変えれば、システムは、検出限界を有するように構成され、例えば、1μΜという、より低い定量下限(LLOQ)であり、100nM以下、10nM以下または1nM以下などであり、100pM以下、10pM以下または1pM以下を含め、例えば500fM以下、250fM以下、100fM以下、50fM以下または25fM以下であり、10fM以下、5fM以下、または1fM以下などである。
いくつかの実施形態においては、システムはディスプレイを含む。ディスプレイは、前述のように、活性化及び信号処理部から取得される検体検出結果の視覚表示を提供するように構成され得る。ディスプレイは定性的検体検出結果を表示するように構成され得る。例えば、定性的表示は、試料が対象とする特異的検体を含む、または含まないという定性的指標をユーザに表示するように構成され得る。いくつかの実施形態においては、ディスプレイは、検体検出結果が定量的結果、例えば、試料中の検体の濃度の定量的測定などである検体検出結果を表示するように構成され得る。例えば、システムが定量的検体検出結果を出力するように構成される実施形態では、システムは、定量的検体検出結果を表示するように構成されたディスプレイを含み得る。
磁気センサ装置には、所望によりプログラム可能なメモリが含まれ、磁気センサ装置の使用前及び使用中に、各個々のセンサの補正データ、バイオチップがいかに検定の前に表面機能化分子を調製したかの記録、全ての完成した検定工程の記録、どの試料が評価されたのかの記録、及び評価結果などの記録などのような関連する情報でプログラムされることが可能である。
(方法)
本開示の態様は、検体が試料中に存在するか否かを評価するための方法をも含む。この方法は、信号を生じさせるために、一連の流体リザーバに含有される一連の試料に磁気センサ装置を接触させることを含む。加えて、この方法は検体が各試料中に存在するか否かを信号を基準にして評価することを含む。
方法の実施形態は、検体が試料中に存在するか否かを評価すること、例えば、試料中の1つ以上の検体の有無を判定することなどを対象とする。方法のいくつかの実施形態においては、試料中の1つ以上の検体の存在が定性的または定量的に判定され得る。定性測定は、試料中の検体の存在に関する単純な当否の結果がユーザに提供される測定を含む。定量測定は、試料中の検体の量に関して、低、中、高などの大まかな尺度の結果がユーザに提供される半定量測定と、検体の濃度の厳密な測定値がユーザに提供される精密な尺度の結果との両方を含む。
実施形態によっては、方法は試料中の検体のユニプレックス分析を含む。「ユニプレックス分析」とは、試料が試料中の1つの検体の存在を検出するために分析されることを意味する。例えば試料は、対象とする検体と、対象としない他の分子実体とからなる混合物を含み得る。場合によっては、方法は、試料混合物中の対象とする検体の存在を判定するための試料のユニプレックス分析を含む。
いくつかの実施形態は、試料中の2つ以上の検体のマルチプレックス分析を含む。「マルチプレックス分析」とは、相互に異なる2つ以上の検体の存在が判定されることを意味する。例えば、検体は、その分子構造、配列などにおいて検出可能な差異を含み得る。場合によっては、検体の数は2より大きく、例えば、4以上、6以上、8以上など最大20以上までの別個の検体であり、例えば、100以上、1000以上を含めて50以上の別個の検体である。いくつかの実施形態においては、方法は2から1000の別個の検体のマルチプレックス分析を含み、例えば4から500の別個の検体であり、これには4から200の別個の検体、4から100の別個の検体、4から50または4から20の別個の検体が含まれる。ある実施形態においては、いくつかのマルチプレックス検定はほぼ同時に平行に実施されてよい。
場合によっては、方法は試料中の1つ以上の検体の存在を評価する無洗浄の方法である。「無洗浄」とは、以下の試薬及び/または試料のセンサ表面との接触後に洗浄ステップが行われないことを意味する。このように、これらの実施形態の検定の間には、非結合試薬(例えば、非結合磁気標識)または非結合試料がセンサ表面から除去されるステップが行われない。したがって方法は、1つ以上の別個の試薬及び/または試料のセンサ表面への順次の接触を含み得るが、検定中のどの時点においても、試料表面がセンサ表面から非結合の試薬または試料を除去するように流体と接触することはない。例えば、いくつかの実施形態においては、次にセンサ表面を試料と接触させた後に洗浄ステップは行われない。場合によっては、この方法は、次にセンサを磁気標識に接触させた後に洗浄ステップを含まない。いくつかの例では、次にセンサ表面を捕捉プローブに接触させた後に洗浄ステップが行われない。
洗浄工程が実施されるある実施形態においては、洗浄工程は磁気センサからの信号を実質的に変更しない。洗浄工程は磁気センサからの信号を実質的に変更することになり得ない。というのは、場合によっては、非結合磁気標識は本明細書に記載される実質的に検出可能な信号を有しないからである。例えば、洗浄工程が実施される場合、場合によっては、洗浄工程は、25%以下の信号の変化の結果となる。例えば、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下または1%以下である。いくつかの実施形態では、洗浄工程は、センサからの信号が減り、25%以下の結果となる。例えば、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下または1%以下である。
また方法の態様は、磁気センサ装置からリアルタイム信号を取得することも含み得る。したがって方法の実施形態は、磁気センサ配列からリアルタイム信号を取得することを含む。「リアルタイム」とは、信号が生成されると同時に、またはその直後に観測されることを意味する。例えば、リアルタイム信号は開始時に取得され、所与の時間にわたって継続的に取得される。したがって、いくつかの実施形態は、対象とする結合相互作用(例えば、対象とする検体の磁気センサへの結合及び/または磁気標識の対象とする検体への結合)の発生と関連付けられる信号のリアルタイムの進展を観測することを含む。リアルタイム信号は、所与の時間にわたって取得される2つ以上のデータ点を含んでいてもよく、いくつかの実施形態においては、取得される信号は、対象とする所与の期間にわたって連続して取得される(例えばトレースなどの形の)連続したデータ点の集合である。対象とする時間は様々なものとすることができ、場合によっては0.5分から60分まで、例えば1分から30分の範囲に及び、これには1分から15分または1分から10分が含まれる。例えば、時間帯はリアルタイム信号の開始時に始まってよく、センサが最大または飽和レベル(例えば、センサ上の全ての検体の結合部位がふさがるところ)に到達するまで継続し得る。例えば、場合によっては、時間帯は試料がセンサに接触するときに開始する。場合によっては、時間帯は試料がセンサに接触する前に開始し得る。例えば、試料がセンサに接触する前に基準の信号を記録するためである。また、信号中のデータ点の数も様々なものとすることができ、場合によっては、データ点の数はリアルタイム信号の時間全体にわたる連続したデータを提供するのに十分な数である。「連続的」とは、データ点が1分に1データ点以上の繰返し率で繰り返し取得されることを意味し、例えば、1分に2データ点以上であり、1分に5データ点以上、1分に10データ点以上、1分に30データ点以上、1分に60データ点以上(例えば、1秒に1データ点以上)、1秒に2データ点以上、1秒に5データ点以上、1秒に10データ点以上、1秒に20データ点以上、1秒に50データ点以上、1秒に75データ点以上、1秒に100データ点以上を含む。
ある実施形態においては、リアルタイムの信号はリアルタイム検体−特異的信号である。リアルタイム検体−特異的信号は、上記のようなリアルタイム信号であり、特定の対象とする検体のみから取得される。これらの実施形態においては、非結合検体及び非結合磁気標識は検出可能な信号を生成しない。このように、取得されるリアルタイム信号は、磁気センサに結合された、磁気的に特定の標識が付けられた対象となる検体からのみ取得され、実質的に信号は、非結合磁気標識またはその他の反応物(例えば、センサに特異的に結合された検体)から取得されない。
実施形態によっては、信号は、検定装置が湿潤状態にある間に観測される。「湿潤」または「湿潤状態」とは、検定組成物(例えば、試料、磁気標識、及び捕捉プローブを含む検定組成物など)がまだ磁気センサの表面と接触していることを意味する。したがって、対象としない非結合部分または余分な磁気標識もしくは捕捉プローブを除去するための洗浄ステップを行う必要が生じない。ある実施形態においては、磁気標識及び磁気センサの使用は、前述のように、「湿潤」検出を容易にする。というのは、磁気センサ内で磁気標識により誘発された信号は、磁気標識と磁気センサの表面との距離が増大するにつれて減少するからである。例えば、磁気標識及び磁気センサの使用は、前述のように、「湿潤」検出を容易にし得る。というのは、磁気標識により発生する磁場は、磁気標識と磁気センサの表面との距離が増大するにつれて減少するからである。場合によっては、表面結合検体に結合された磁気標識の磁場は、溶液中に分散された非結合磁気標識からの磁場を著しく上回る。例えば、上述の如く、リアルタイム検体−特異的信号は、磁気センサに結合された、特異的に磁気的に標識が付けられた対象となる検体からのみ取得され、実質的に信号は、溶液中に分散された非結合磁気標識(例えば、センサに特別に結合された検体)から取得されない。溶液中に分散された非結合磁気標識は、磁気センサの表面からより大きい距離のところにあってブラウン運動を行っている可能性もあり、非結合磁気標識が磁気センサの抵抗における検出可能な変化を誘発する能力を低減し得る。
(検定プロトコール)
典型的な検定プロトコールが、検定の個別の構成要素と同様に以下の項に記載されている。ある実施形態においては、この方法は磁気センサ配列を試料を含む検定組成物に接触させることを含む。磁気センサ配列は、次に、磁気標識に結合させるように構成された磁気標識及び捕捉プローブに接触される。センサから試料中の検体の存在を検出するための信号が取得される。次に、これらの各ステップをより詳細に説明する。
(試料)
前述のように、本発明の方法において検定され得る検定組成物は試料を含む。本発明の方法において検定され得る試料は様々なものとすることができ、これには単純試料と複合試料との両方が含まれ得る。単純試料は、対象とする検体を含む試料であり、対象としない1つ以上の分子実体を含んでいてもいなくてもよく、これらの非対象分子実体の数は低くてよく、例えば10以下、5以下などである。単純試料は、例えば、試料から潜在的妨害分子実体を除去するなど、何らかのやり方で処理された初期の生物試料または他の試料を含み得る。「複合試料」とは、対象とする検体を有していてもいなくてもよいが、対象としない多くの異なるタンパク質及び他の分子も含む試料を意味する。場合によっては、本発明の方法において検定される複合試料は、分子構造の点において互いに異なる、20以上など、10以上の別個の(すなわち異なる)分子実体を含む複合試料であり、これには100以上、例えば103 以上、104 以上(15,000、20,000、25,000以上など)の別個の(すなわち異なる)分子実体が含まれる。
いくつかの実施形態においては、対象とする試料は、それだけに限らないが、尿、血液、血清、血漿、唾液、汗、便、口腔粘膜検体、脳脊髄液、細胞溶解産物試料などといった生物試料である。試料は生物試料とすることもでき、DNA、RNA、タンパク質及びペプチドをうまく抽出するための従来からの方法を使って、ヒト、動物、植物、菌類、酵母、細菌、培養組織、培養ウイルス、またはそれらの組み合わせに由来する生物試料の中から抽出することもできる。場合によっては、対象とする試料は、水、食品または土壌の試料である。
前述のように、本発明の方法において検定され得る試料は1つ以上の対象とする検体を含み得る。検出可能な検体の例には、それだけに限らないが、例えば、二本鎖または一本鎖DNA、二本鎖または一本鎖RNA、DNA−RNAハイブリッド、DNAアプタマー、RNAアプタマーなどの核酸;例えば、抗体、ダイアボディ、Fabフラグメント、DNAまたはRNA結合タンパク質、リン酸化タンパク質(リン酸化プロテオミクス)、ペプチドアプタマー、エピトープなどの修飾ありまたはなしのタンパク質及びペプチド;阻害物質、活性化物質、リガンドなどといった小分子;オリゴ糖または多糖類;これらの混合物などが含まれる。
(磁気標識)
本発明の方法において検定され得る検定組成物は磁気標識を含む。磁気標識は、磁気標識がセンサの近くに位置するときに磁気センサなどのセンサにより検出可能な標識化部分である。検出時の磁気標識とセンサ表面との距離は特定の磁気標識及びセンサ表面の性質に応じて変化し得るが、場合によってはこの距離はセンサの表面から1nmから1000nmまでの範囲、またはセンサの表面から1nmから800nmまでの範囲、例えば5nmから500nmまでの範囲に及び、これには5nmから100nmまでが含まれる。いくつかの実施形態においては、磁気標識は、対象とする検体に特異的に結合するように構成された検出可能な標識である。「特異的結合」、「特異的に結合する」などの用語は、第1の結合分子または部分(標的特異性結合部分など)が、溶液または反応混合物中の他の分子または部分に対して、第2の結合分子または部分(標的分子など)に直接、優先的に結合することができることをいう。いくつかの実施形態においては、第1の結合分子または部分と第2の結合分子または部分とが結合複合体において相互に特異的に結合されるときのそれらの間の親和性は、10-6M未満、10-7M未満、10-8M未満、10-9M未満、10-10 M未満、10-11 M未満、10-12 M未満、10-13 M未満、10-14 M未満、または10-15 M未満のK(解離定数)を特徴とする。
対象とする検体に対する磁気標識の結合は、対象とする検体が、よって結合される磁気標識が磁気センサといったセンサの近くに位置するときに、センサにより検出されることを可能にする。場合によっては、磁気標識は対象とする検体に直接結合するように構成される。その他の場合では、磁気標識は対象とする検体に間接的に結合するように構成される。例えば、磁気標識は捕捉プローブに特異的に結合するように構成されていてもよく、捕捉プローブは対象とする検体に特異的に結合するように構成されていてもよい。よって、捕捉プローブへの磁気標識及び対象とする検体の結合により対象とする検体に磁気標識が間接的に結合されて、例えば、標識化検体が生成される。場合によっては、捕捉プローブへの磁気標識及び検体の結合は同時に生じる。
いくつかの実施形態においては、磁気標識は結合対の一方のメンバを用いて機能化される。「結合対」または「特異的結合対」とは、結合複合体において互いに特異的に結合する2つの相補的結合分子または部分を意味する。例えば、磁気標識は結合対の第1のメンバを用いて機能化することができ、対象とする検体は結合対の第2のメンバを用いて機能化し得る。よって、結合対の第1のメンバと第2のメンバとを接触させることにより、磁気標識と対象とする検体との間の結合複合体を形成し得る。別の例では、磁気標識は結合対の第1のメンバを用いて機能化され、捕捉プローブは結合対の第2のメンバを用いて機能化される。よって、結合対の第1のメンバと第2のメンバとを接触させることにより、磁気標識と捕捉プローブとの間の結合複合体を形成し得る。前述のように、場合によっては、捕捉プローブは、対象とする検体に特異的に結合するように構成される。したがって、磁気標識は、磁気標識と捕捉プローブとの間に形成される結合複合体を介して対象とする検体に間接的に結合され得る。好適な特異的結合対には、それだけに限らないが、受容体/リガンド対のメンバ、受容体のリガンド結合部分、抗体/抗原対のメンバ、抗体の抗原結合フラグメント、ハプテン、レクチン/炭水化物対のメンバ、酵素/基質対のメンバ、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、ジゴキシン/抗ジゴキシンなどが含まれる。
いくつかの実施形態においては、磁気標識はストレプトアビジンを用いて機能化され、捕捉プローブはビオチンを用いて機能化される。したがって、磁気標識は、ストレプトアビジンとビオチンとの間の特異的結合相互作用を介して捕捉プローブに特異的に結合し得る。また、別の種類の結合相互作用もあり得る。例えば、磁気標識はビオチンを用いて機能化することができ、捕捉プローブはストレプトアビジンを用いて機能化し得る。あるいは、磁気標識及び捕捉プローブは、前述のように、他の特異的結合対の相補的メンバを用いて機能化し得る。
場合によっては、磁気標識は結合対の一方のメンバと安定的に会合する。「安定的に会合する」とは、磁気標識と結合対のメンバとが、その使用条件下において、例えば検定条件下において、その相互に対する空間的位置を維持することを意味する。したがって、磁気標識と結合対のメンバとは、非共有結合的にまたは共有結合的に安定して相互に会合可能である。非共有結合性会合の例には、非特異的吸着、静電気に基づく結合(例えば、イオン−イオン対相互作用など)、疎水性相互作用、水素結合相互作用などが含まれる。共有結合の例には、結合対のメンバと磁気標識の表面に存在する官能基との間に形成される共有結合が含まれる。
いくつかの実施形態においては、磁気標識はコロイド状である。「コロイド」または「コロイド状の」という用語は、ある物質が別の物質全体に分散されている混合物をいう。コロイドは分散相と連続相という2つの相を含む。場合によっては、コロイド状の磁気標識は溶液中に分散されたままであり、溶液中から沈殿または沈降することがない。溶液中に分散されたままのコロイド状の磁気標識は、バックグラウンド信号の最小化及び磁気標識と磁気センサとの非特異的相互作用を助長し得る。例えば方法は、試料及び磁気標識を含む検定組成物と磁気センサとを、試料中の対象とする検体が磁気センサの表面に結合されるように接触させることを含み得る。コロイド状の磁気標識は溶液中に分散されたままであるため、磁気標識は磁気センサにおいて検出可能な信号を誘発するのに十分なほど磁気センサの近くに位置することがなく、そのためバックグラウンド信号の最小化が助長される。場合によっては、表面結合検体に対する磁気標識の特異的結合により磁気標識は、磁気センサにおいて検出可能な信号が誘発されるように磁気センサの近くに位置決めされる。
(例えば本明細書で説明するような)様々な方法において用いられ得る磁気標識は様々なものとすることができ、これには、磁気標識が磁気センサの表面の近くに位置するときに磁気センサにおいて検出可能な信号を誘発する任意の種類の標識が含まれ得る。例えば磁気標識には、それだけに限らないが、磁気標識、光学標識(例えば、表面増強ラマン散乱(SERS)標識など)、蛍光標識などが含まれ得る。これらの種類の各磁気標識について以下でさらに詳細に論じる。
磁気標識は、磁気センサと十分に会合するときに、磁気センサにより検出することができ、磁気センサに信号を出力させる標識化部分である。例えば、磁気センサの表面付近における磁気標識の存在は、磁気センサにおける検出可能な変化、例えば、それだけに限らないが、抵抗、コンダクタンス、インダクタンス、インピーダンスなどの変化を誘発し得る。場合によっては、磁気センサの表面付近における磁気標識の存在は、磁気センサの抵抗の検出可能な変化を誘発する。対象とする磁気標識は、磁気標識の中心とセンサの表面との距離が、1000nm以下を含む800nm以下、400nm以下など、100nm以下である場合に磁気センサと十分に会合することができる。
いくつかの例では、磁気標識は、常磁性、超常磁性、強磁性、反強磁性の各材料から選択される1つ以上の材料、それらの組み合わせなどを含む。例えば磁気標識は超常磁性材料を含み得る。いくつかの実施形態においては、磁気標識は、外部磁場がないときに非磁性になるように構成される。「非磁性」とは、磁気標識の磁化が0であり、またはある一定の期間にわたって平均して0になることを意味する。場合によっては、磁気標識は、時間の経過と共に磁気標識の磁化が不規則に反転することにより非磁性となり得る。外部磁場がないときに非磁性になるように構成された磁気標識は、溶液中の磁気標識の分散を助長し得る。というのは、熱エネルギーが未だ主要である場合、非磁性標識は通常、外部磁場がないとき、または磁界が小さいときでさえ凝集しないからである。ある実施形態においては、磁気標識は超常磁性材料または合成反強磁性材料を含む。例えば磁気標識は、反強磁性結合された強磁性体の2つ以上の層を含み得る。
いくつかの実施形態においては、磁気標識は高モーメント磁気標識である。磁気標識の磁気モーメントは、それが外部磁場と整列しようとする傾向の尺度である。「高モーメント」とは、磁気標識が外部磁場と整列しようとするより大きな傾向を有することを意味する。高い磁気モーメントを有する磁気標識は、磁気センサの表面付近における磁気標識の存在の検出を円滑化し得る。というのは、外部磁場を用いて磁気標識の磁化を誘発することがより容易になるからである。
いくつかの実施形態においては、磁気標識には、それだけに限らないが、Co、Co合金、フェライト、窒化コバルト、酸化コバルト、Co−Pd、Co−Pt、鉄、酸化鉄、鉄合金、Fe−Au、Fe−Cr、Fe−N、Fe34 、Fe−Pd、Fe−Pt、Fe−Zr−Nb−B、Mn−N、Nd−Fe−B、Nd−Fe−B−Nb−Cu、Ni、Ni合金、それらの組み合わせなどが含まれる。高モーメント磁気標識の例には、それだけに限らないが、Co、FeまたはCoFeナノ結晶が含まれ、これらは室温で超常磁性とすることができ、合成反強磁性的ナノ粒子である。
実施形態によっては、磁気標識の表面は修飾される。いくつかの例では、磁気標識は、前述のように、結合対の一方のメンバと磁気標識の安定的な会合を助長するように構成された層を用いて被覆され得る。例えば、磁気標識は、金の層、ポリ−L−リジン修飾ガラスの層、デキストランなどを用いて被覆され得る。いくつかの実施形態においては、磁気標識は、デキストランポリマーに埋め込まれた1つ以上の酸化鉄心を含む。加えて、磁気標識の表面は、1つ以上の界面活性剤を用いて修飾されてもよい。場合によっては、界面活性剤は磁気標識の水溶性の増大を助長する。いくつかの実施形態においては、磁気標識の表面は不動態化層で修飾される。不動態化層は、検定条件における磁気標識の化学的安定性を助長し得る。例えば磁気標識は、金、酸化鉄、ポリマー(ポリメタクリル酸メチル膜など)を含む不動態化層で被覆され得る。
いくつかの実施形態においては、磁気標識は球形を有する。あるいは磁気標識は、円盤、棒、コイル、または繊維とすることもできる。場合によっては、磁気標識の寸法は、磁気標識が対象とする結合相互作用を妨害しないようなものとする。例えば磁気標識は、磁気標識が検体に対する捕捉プローブの結合を妨害しないように、検体及び捕捉プローブの寸法と同等の寸法とすることができる。場合によっては、磁気標識は磁性ナノ粒子であり、または好適な結合剤により結合された多数の磁性ナノ粒子を含有する。実施形態によっては、磁気標識の平均直径は5nmから250nmまでであり、例えば5nmから150nmまでなどで、これには10nmから100nmまで、例えば25nmから75nmまでが含まれる。例えば、5nm、10nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、70nm、80nm、90nm、または100nmの平均直径を有する磁気標識、ならびにこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲にある平均直径を有する磁気標識が、本発明の方法と共に使用され得る。場合によっては、磁気標識は、50nmの平均直径を有する。
磁気標識及びその生体分子への結合については、その開示が参照により全体として本明細書に組み込まれる、2008年9月19日に出願された、「磁気センサを用いた検体検出(Analyte Detection with Magnetic Sensors)」という名称のU.S.Ser.No.12/234,506にさらに記載されている。
(検定組成物の生成)
場合によっては、この方法は、磁気センサ配列(例えば、バイオセンサの配列)を試料及び磁気標識と順次に接触させることにより検定組成物を生成することを含む。例えばこの方法は、磁気センサ配列を最初に試料と、続いて磁気標識と接触させることを含み得る。あるいは、この方法は、磁気センサ配列を最初に磁気標識と、続いて試料と接触させることを含み得る。
別の実施形態においては、この方法は、試料と磁気標識とを組み合わせて検定組成物を生成し、次いで磁気センサ配列を検定組成物と接触させることを含む。例えばこの方法は、最初に試料と磁気標識とを組み合わせて検定組成物を生成することを含み得る。次いで磁気センサを前述のように検定組成物に接触させ得る。その後、この方法は、下記に詳細に記載されているように、磁気センサを捕捉プローブに接触させ得る。
(捕捉プローブ)
捕捉プローブは、標的とされるタンパク質または核酸配列(対象とする検体など)に特異的に結合する任意の分子とすることができる。検体の性質に応じて、捕捉プローブは、それだけに限らないが、(a)核酸の検出のための標的DNAまたはRNA配列の一意的な領域に対して相補的なDNA一本鎖;(b)タンパク質及びペプチドの検出のためのペプチド検体のエピトープに対する抗体;(c)特異的結合対のメンバといった任意の認識分子とすることができる。例えば、好適な特異的結合対としては、レセプター/リガンド対のメンバ;レセプターのリガンド−結合部;抗体/抗原対のメンバ;抗体の抗原−結合フラグメント;ハプテン;レクチン/炭水化物対のメンバ;要素/基板対のメンバ;ビオチン/アビジン;ビオチン/ストレプトアビジン;ジゴキシン/抗ジゴキシンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態においては、捕捉プローブは抗体を含む。捕捉プローブ抗体は、対象とする検体に特異的に結合し得る。場合によっては、捕捉プローブは修飾抗体である。修飾抗体は、対象とする検体に特異的に結合するように構成されてよく、また、特異的結合対の1つ以上のさらに別のメンバも含んでよい。特異的結合対の1つ以上のメンバは、特異的結合対の相補的メンバに特異的に結合するように構成され得る。いくつかの例では、特異的結合対の相補的メンバは、前述のように、磁気標識に結合される。例えば、捕捉プローブは、対象とする検体に特異的に結合する抗体とすることができる。加えて、捕捉プローブはビオチンを含むように修飾されてもよい。前述のように、いくつかの実施形態においては、磁気標識はストレプトアビジンを含むように修飾され得る。したがって、捕捉プローブは、(例えば、抗体−抗原相互作用により)対象とする検体に特異的に結合し、(例えば、ストレプトアビジン−ビオチン相互作用により)磁気標識に特異的に結合するように構成され得る。場合によっては、捕捉プローブは、対象とする検体と磁気標識とに結合するように構成される。言い換えると、捕捉プローブは、捕捉プローブに対する検体の特異的結合が、捕捉プローブが磁気標識に特異的に結合することができる能力を著しく妨害することのないように構成され得る。同様に、捕捉プローブは、捕捉プローブに対する磁気標識の特異的結合が、捕捉プローブが検体に特異的に結合することができる能力を著しく妨害することのないようにも構成され得る。
ある実施形態においては、捕捉プローブは対象とする検体に特異的に結合される。場合によっては、捕捉プローブは、それによって対象とする検体の存在が検出できるように識別することができる。捕捉プローブは、本明細書で説明する方法のいずれかにより識別され得る。例えば、上記のように、検体は磁気センサに直接または間接的に結合され得る。捕捉プローブは、対象とする検体に接触し、特異的に結合し得る。上記に示すように、捕捉プローブは、磁気標識と対象とする検体とに結合するように構成されてもよい。いくつかの例では、捕捉プローブが表面結合検体と磁気標識とに同時に結合することにより、磁気センサにおいて検出可能な信号が誘発されるように、磁気標識が磁気センサの検出範囲内に位置決めされる。
場合によっては、捕捉プローブの対象としない部分への非特異的結合による偽陽性信号が最小化される。例えば、磁気センサの表面に結合されず、溶液中に留まる対象としない他の部分への捕捉プローブの非特異的結合は、磁気センサにおいて検出可能なまたは無視できない信号を誘発しない。というのは、捕捉プローブに結合された磁気標識は磁気センサの検出範囲内に位置することにならないからである。
前述のように、磁気標識は、磁気標識が検定組成物溶液中に分散されたままであるように、コロイド状とすることができる。いくつかの例では、捕捉プローブの磁気センサの表面への拡散及び検体への結合のカイネティクスは、磁気標識の磁気センサの表面への拡散のカイネティクスと比べて著しく速い。捕捉プローブの検体への結合についてのカイネティクスが磁気標識の磁気センサの表面への拡散より速いことにより、磁気センサの検出範囲内における磁気標識の非特異的配置に起因する偽陽性信号の最小化が助長され得る。
ある実施形態においては、磁気センサ配列は、磁気センサ配列が検定組成物に接触させた後、捕捉プローブに接触される。このように、この方法ははじめに試料及び磁気標識(例えば、リザーバプレートに流体リザーバの最初のセットで)を含む検定組成物を生成してよい。磁気センサ配列は次に、検定組成物と接触され得る。その後に、磁気センサ配列は捕捉プローブに接触され得る。
また他の方法も可能である。例えば、この方法は、最初に磁気センサ配列を捕捉プローブに接触させ、次に磁気センサ配列を検定組成物に接触させてよく、検定組成物は試料及び磁気標識を含む。前述の方法のどちらにおいても、磁気標識は、磁気センサ配列を捕捉プローブに接触させる前に、検定組成物中に存在する。
前述のように、場合によっては、方法は、試料中の1つ以上の検体の存在を評価する無洗浄の方法である。したがって、ある実施形態においては、磁気センサ配列を検定組成物の各成分に接触させる前または後に、磁気センサ配列を検定成分への接触は、任意の洗浄工程を含まない。よって、磁気センサをいずれの検定成分と接触させる前にも後にも洗浄ステップが行われない。
(検体が試料中に存在するか否かを評価する信号を取得すること)
また本発明の方法の実施形態は、磁気センサから試料中の検体の存在を検出するための信号を取得することも含む。前述したように、磁気標識は直接または間接的に検体に結合されてよく、次々に直接または間接的に磁気センサに結合されてよい。結合された磁気標識が磁気センサの検出範囲内にある場合には、磁気センサは、結合された磁気標識の存在を示す信号を提供してよく、そのため検体の存在を示してよい。
磁気センサは、磁気センサの表面に近接する磁気標識に応答して電気信号を発生するように構成され得る。例えば、磁気センサの抵抗の変化が局所磁場の変化により誘発され得る。場合によっては、磁気センサの至近距離における磁気標識(例えば、磁気標識)の結合が、磁気センサの局所磁場における検出可能な変化を誘発する。例えば、対象とする検体に結合された磁気標識により生じる磁場は、試料中に分散されたままである非結合磁気標識により生じる磁場を上回り得る。磁気センサの局所磁場における変化は、磁気センサの抵抗の変化として検出され得る。ある実施形態においては、非結合磁気標識は、磁気センサにおいて検出可能な信号を生成しない。
(有用性)
本発明のシステム及び方法は、試料中の1つ以上の検体の有無の判定及び/または定量化が求められる多種多様な用途において使用することができる。本発明のシステム及び方法は、複数の試料の選別が所望される用途においても使用を見出す。ある実施形態においては、方法は、複数の試料中の1組のバイオマーカー、例えば2つ以上の別個のタンパク質バイオマーカーなどの検出を対象とする。例えばこの方法は、被験者における疾病条件の進行中の管理または治療などにおいて、被験者における疾病条件の診断において使用され得るように、血清試料群中の2つ以上の疾病バイオマーカーの迅速な検出において使用することができる。
ある実施形態においては、本発明のシステム及び方法は、バイオマーカーの検出に使用することができる。場合によっては、本発明のシステム及び方法は、特定のバイオマーカーの有無、ならびに、血液、血漿、血清、及び、それだけに限らないが、唾液、尿、脳脊髄液、涙液、汗、胃腸液、羊水、粘膜液、胸膜液、皮脂、呼気などといった他の体液または排出物中の特定のバイオマーカーの濃度の増減を検出するのに使用され得る。
バイオマーカーの有無またはバイオマーカーの濃度の有意な変化は、疾病のリスク、個人における疾病の存在を診断し、または個人における疾病のための治療を調整するのに使用することができる。例えば、特定のバイオマーカーの存在またはバイオマーカー集団の存在は、個人に施される薬物治療または投薬の処方計画の選択に影響を及ぼし得る。可能な薬物治療を評価するに際して、バイオマーカーは、生存または不可逆的罹患といった自然な終点の代理として使用することができる。治療により健康状態の改善に直接つながるバイオマーカーが変化する場合、そのバイオマーカーは、特定の治療または投与の処方計画の臨床的利益を評価するための代理終点として使用することができる。よって、個人において検出される特定のバイオマーカーまたはバイオマーカー集団に基づく個別診断及び治療が、本発明の方法及びシステムにより円滑化される。さらに、疾病と関連付けられるバイオマーカーの早期検出も、本発明の方法及びシステムのピコモル及び/またはフェムトモルの感度により容易になる。単一の磁気センサ装置で多数のバイオマーカーを検出する能力によって、本明細書にて開示した検定のシステム及び方法は多重の分子診断法で複数の試料を選別するのに使用することができる。
ある実施形態においては、本発明のシステム及び方法は、疾病または疾病状態についてのバイオマーカーを検出するのに使用することができる。場合によっては、疾病は、それだけに限らないが、癌、腫瘍、乳頭腫、肉腫、癌腫などといった細胞増殖性の疾病である。よって、本発明のシステム及び方法は、癌、腫瘍、乳頭腫、肉腫、癌腫などといった細胞増殖性の疾病などの疾病の存在を検出するのに使用することができる。ある実施形態においては、本発明のシステム及び方法は、感染性の疾病または疾病状態についてのバイオマーカーを検出するのに使用することができる。場合によっては、バイオマーカーは、それだけに限らないが、タンパク質、核酸、炭水化物、小分子などといった分子バイオマーカーとすることができる。同様に、本発明の方法、システム及びキットは、心臓血管性疾患、中枢神経疾患、腎不全、糖尿病、自己免疫疾患、及び他の多数の疾病を検出するのに使用することもできる。
ある実施形態においては、本発明の方法、システム及びキットは、食品及び/または環境安全のための複数の試料中の1つ以上の検体の有無の検出、及び/または定量化に使用することができる。例えば、本発明のシステム及び方法は、潜在的な生物兵器を含む、細菌、ウイルス、カビなどの感染症因子の検出のためなど、潜在的に汚染されている水、土壌または食品の複数の試料中の検体の存在を判定するのに使用することができる。
(コンピュータ関連の実施形態)
様々なコンピュータ関連の実施形態も提供される。具体的には、以上の各項において説明したデータ分析の方法を、コンピュータを使って行うことができる。したがって、対象とする結合相互作用の定性測定及び/または定量測定を提供するために、前述の方法を使って生成されるデータを分析するためのコンピュータベースのシステムが提供される。
ある実施形態においては、方法は、「プログラミング」としてコンピュータ可読媒体上に符号化され、「コンピュータ可読媒体」という用語は、本明細書で使用する場合、実行及び/または処理のためにコンピュータに命令及び/またはデータを提供することに関与する任意の記憶媒体または伝送媒体をいう。記憶媒体の例には、そのような装置がコンピュータに内蔵または外付けされているか否かを問わず、フレキシブルディスク、磁気テープ、CD−ROM、DVD−ROM、BD−ROM、ハード・ディスク・ドライブ、ROMまたは集積回路、光磁気ディスク、固体記憶装置、PCMCIAカードといったコンピュータ可読カードなどが含まれる。コンピュータ可読媒体上には情報を含むファイルを「記憶」することができ、その場合「記憶する」とは、コンピュータにより後でアクセスすることができ、取り出すことができるように情報を記録することを意味する。媒体の例には、それだけに限らないが、プログラミングが物理構造と関連付けられる、例えばその上に記録されるなどの物理媒体といった非一過性媒体が含まれる。非一過性媒体は無線プロトコ−ルによる送信状態にある電子信号を含まない。
ある実施形態においては、コンピュータプログラミングは、1つ以上の検定の工程が試料中に対象とする検体の存在を評価するように指示するための命令を含み得る。例えば、コンピュータプログラミングはコンピュータに検体が試料中に存在するか否かを評価するように指示するための命令を含み得る。例えば、試料中に1つ以上の検体の有無を評価するように指示するための命令である。ある実施形態においては、コンピュータプログラミングは、コンピュータに1つ以上の検体が定性的及び/または定量的に試料中に存在するかを評価するように指示する命令を含む。前述したように、定性測定は、試料中の検体の存在に関する単純な当否の結果がユーザに提供される測定を含む。定量測定は、試料中の検体の量に関して、低、中、高などの大まかな尺度の結果がユーザに提供される半定量測定と、検体の濃度の厳密な測定値がユーザに提供される精密な尺度の結果との両方を含む。
いくつかの実施形態では、コンピュータプログラミングは試料中の検体のユニプレックス分析を実行するようにコンピュータに指示するための命令を含む。「ユニプレックス分析」とは、試料が試料中の1つの検体の存在を検出するために分析されることを意味する。例えば試料は、対象とする検体と、対象としない他の分子実体とからなる混合物を含み得る。場合によっては、コンピュータプログラミングはコンピュータに、試料混合物中に対象とする検体の存在を判定するため、試料のユニプレックス分析を実行するようコンピュータに指示をするための命令を含む。
ある実施形態では、コンピュータプログラミングは試料中の2つ以上の検体のマルチプレックス分析を実行する指示のための命令を含む。「マルチプレックス分析」とは、相互に異なる2つ以上の検体の存在が判定されることを意味する。例えば、前述したように、検体は、その分子構造、配列などにおいて検出可能な差異を含み得る。場合によっては、検体の数は2より大きく、例えば、4以上、6以上、8以上など最大20以上までの別個の検体であり、例えば、100以上、1000以上を含めて50以上の別個の検体である。ある実施形態においては、コンピュータプログラミングはコンピュータに、2から1000の別個の検体のマルチプレックス分析を実行するように指示をする命令を含む。例えば4から500の別個の検体であり、これには4から200の別個の検体、4から100の別個の検体、4から50または4から20の別個の検体が含まれる。ある実施形態では、コンピュータプログラミングは、コンピュータに、並行してほぼ同時にいくつかのマルチプレックス検定を実行する指示のための命令を含む。
コンピュータ可読媒体に関して、「固定記憶」とは永続的な記憶をいう。固定記憶は、コンピュータまたはプロセッサへの給電の打切りによって消去されない。コンピュータ・ハード・ドライブ、CD−ROM、DVD−ROM、BD−ROM、及びフレキシブルディスクは全て固定記憶の例である。ランダム・アクセス・メモリ(RAM)は非固定記憶の一例である。固定記憶内のファイルは編集し、書き換えることができる。
(キット)
前述の方法の1つ以上の実施形態を実施するためのキットも提供される。本発明のキットは様々なものとすることができ、様々な装置及び試薬を含み得る。試薬及び装置には、本明細書において磁気センサ装置またはその構成要素(磁気センサ配列やチップなど)、磁気標識、捕捉プローブ、検体−特異的プローブ、バッファなどに関連して言及したものが含まれる。試薬、磁気標識、捕捉プローブなどは、それらを個々に所望通り使用することができるように、別々の容器において提供され得る。あるいは、1つ以上の試薬、磁気標識、捕捉プローブなどを、それらが予め組み合わされてユーザに提供されるように、同じ容器において提供してもよい。
ある実施形態においてはこのキットは、前述したように、磁気センサ装置及び磁界源を含む。例えば、磁気標識は、前述したように磁性ナノ粒子であり得る。
場合によっては、キットは、少なくとも、(例えば前述のような)方法において使用できる試薬と、コンピュータにロードされた場合に、磁気センサから取得されるリアルタイム信号から、対象とする結合相互作用を定性的に、かつ/または定量的に判定するようにコンピュータを動作させるコンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ可読媒体と、そこからコンピュータプログラムを取得すべきアドレスを有する物理的基板とを含む。
上記構成要素に加えて、本発明のキットはさらに本発明の方法を実施するための命令を含む。これらの命令は様々な形態として本発明のキットに存在することができ、キットにはこれらの形態のうちの1つまたは複数が存在し得る。これらの命令が存在し得る1つの形態は、情報が印刷されている1枚以上の紙など好適な媒体または基板上、キットの包装、パッケージ挿入物等における印刷情報としてである。さらに別の手段は、例えば、情報が記録されているCD、DVD、ブルーレイ、コンピュータ可読記憶装置(例えば、フラッシュメモリドライブ)などのコンピュータ可読媒体である。存在し得るさらに別の手段は、インターネットを介して除去されたサイトにある情報にアクセスするのに使用され得るウェブサイトアドレスである。キットには任意の好都合な手段が存在していてよい。
上記に掲げた開示から認識することができるように、本開示は様々な用途を有する。したがって、以下の実施例は説明の目的のために供され、いかなる方法においても本発明において制限をすると解釈することを意図しない。本質的に類似の結果を生じるために、変更または修正され得る、様々な重大ではないパラメータを当業者は容易に認識するであろう。したがって、以下の実施例は、当業者に完全に開示をし、本発明の使用製造方法の記載を提供するために記載され、発明者が発明であるとした範囲を制限することを意図せず、以下の実験は、全てまたは唯一の実施された実験を象徴することを意図している。使用された数字(例えば、量、温度など)に関しては正確性を維持するよう努力はしているが、若干の実験の誤り、誤差は釈明すべきである。特に指示がない限り、部は重量部により、分子量は重量平均分子量により、温度はセ氏温度により、圧力は大気近傍による。
実施例1
(序文)
磁気センサ配列の磁気センサ表面上の捕捉プローブは、患者の試料中の標的タンパク質に特異的に結合させた。検出抗体を「捕捉された」タンパク質に結合し、標的のタンパク質と捕捉プローブとでいわゆるサンドイッチ構造を形成した。最後に、外部磁場がセンサに印加される間、磁性ナノタグを抗体検出に標識付けし、ナノタグにより生成された磁界は、コンピュータで電気的に測定され、標的タンパク質の元の濃度が試料中に存在するのを評価した。
同様のセンサ配列は、捕捉プローブ分子の修飾、界面化学により様々に異なる分子標的を検出するために適合されることが可能であり、センサ配列が複数の検体を検出する配列に使用されるのを可能にする。個別の磁気センサは、磁気トンネル接合(MTJ、あるいはトンネルマグネト抵抗、TMRと称される)センサなどの磁気センサを使用することにより、生成した磁界により磁気ナノタグの存在を部位特異的に検出する。場合によっては、MTJは、スピンバルブセンサよりも1桁以上の大きな磁気抵抗(MR)比を有する。
例えば、巨大磁気抵抗(GMR)スピンバルブセンサは、〜12%の最大の相対的な抵抗変化を有し、本発明のMTJセンサの実施形態では、最大で100%超(図1を参照)の相対的な抵抗変化を有し得る。MTJセンサは、スピンバルブセンサよりも10倍超の磁気抵抗を有することができる。本発明の検定システムにて観察される信号スケーリング挙動により、各桁は検体の濃度の結果を磁気信号の約2倍に増加させ、検定の解像度はスピンバルブセンサに比較して10倍よりも増大し得る。磁気信号はおおよそ信号レベル=2Log[C]であるので、Cは検体の濃度であり、10倍大きな磁気信号は、検定解像度は、検定の解像度よりもおおよそ3桁良い結果となり得る。換言すれば、検定プラットフォームの計量の下限値(LLOQ)は約3桁減少し得る。
(要約)
タンパク質またはDNA検出の生物学的に活性センサ領域である、縦約140μm横140μmは個別の磁気標識(図2(a)及び2(b)を参照)より著しく大きかった。図2(a)に示すように、個別のMTJセンサの領域は一般的に小さい(ピンホールまたはその他の欠陥を最小限にするため)ので、縦約140μm横140μmのセンサ領域は、MTJセンサ(トンネル磁気抵抗、TMRセンサとして標識付られた)の直列接続を含めた。電流はいくつかのMTJセンサを通って垂直に通過し、MTJセンサを直列に接続することにより達成され、交互に最上リード(電極)層と底部(電極)層との間に挟んだ。センス電流はMTJセンサを直列で、及び平面垂直通電型(CPP)モードで流れた。スピンバルブセンサは図2(b)に示したように、1つのリード層を使用して端から端に接続された長い細片で製造可能である。
MTJセンサに関する最上リード及び底部リードの形状は、ショートの欠陥が最小になるように設計された。加えて、MTJセンサの寸法及びピッチは、全体のセンサ配列が過剰なオーバーエッチングや再堆積することなしにイオンミリングによってパターンを付けられるように設計された。
(磁気センサ装置の設計)
MTJバイオセンサの断面図を図3に示す。2000オングストローム(200nm)の熱酸化物でSi(100)の支持体、及びTa200/PtMn150/CoFe30/Ru8/CoFeB30/MgO16/CoFeB15/Ta3/NiFe15/Ru100(全ての厚さはオングストローム)の層を含んだMTJセンサが使用された。MR比は100%超であり、抵抗−接合領域(RA)製品はRA=2−4kΩであった。MTJセンサは図2(a)の設計によりエッチングされた。金属層(M1、M2及びM3)の厚さと限界寸法(CD)は図3の表に列挙された。
金属層M1の厚さ及びその上の不動態化層は、生体液の存在下で化学的な一体性やMTJセンサの電気的な一体性を損なうことなく最小化された。最上リード(電極)は隣接するMTJセンサにMTJ回路で最少の電気抵抗で接続しつつ、20nmの厚さのSiO2不動態化層は、MTJセンサをバイオロジカル検定工程の化学に関連する腐食作用から隔離した。
特異的に結合された磁気標識とMTJセンサとの間の距離を最小化することは、高感度を達成するのを促進した。図3及び図2(a)にて示すように、磁選距離すなわち、MTJセンサの自由層と磁性粒子の底部との間の距離は、3つの塗膜層に依存する:MTJキャップの厚さ、最上リード(電極)の厚さ及び不動態化層の厚さである。図3に示されたこれらの層の厚さは典型的であるが、−50%から+300%に変更することができる。
図4にて示すように、バイオセンサ配列(41)は32のMTJセンサを含み、3mm×3mmの寸法及び9mm2 の領域を有する。センサ配列は120mm2 の12mm×10mmセンサ配列のチップ領域(42)を備える。センサ配列はまた、配列領域の右側の列に配置された32の電気的接続ポイント(43)を含む。製造中、このセンサ配列チップ領域は、200mmのウエハで合計236の装置を産出した(図4、左)。ある実施形態においては、センサ配列チップ領域は、30mm2 のうち6mm×5mmの領域に減少されてよく、200mmのウエハから合計で800の装置を提供することができる。さらにチップ領域の減少は、コスト削減に直接転換させるウエハ毎の装置数を増加することは可能である。ある実施形態においては、直径150mmのウエハが使用されることができ、チップ毎のセンサの寸法と数とによるが、100から1000のセンサ配列のチップを提供可能である。
図5は80の活性バイオセンサのMTJバイオチップレイアウトの概略である。図8は、80のMTJセンサの配列を含む、10mm×12mmのバイオチップの画像である。
図3に記載されているMTJセンサを使用して、72の異なるMTJバイオセンサが設計、製造され、形状、寸法及び層と層の重なり合う特徴の変化によって区別された。例えば、最上部と底部リード(電極)との間のMTJセンサを挟んで配置した。典型的なMTJの設計では、MTJセンサが挟まれた間のリードはあらゆる方向にMTJセンサを越えて延びるように設計される。例えば、MTJセンサの設計1から36のように、図6の左側底部に示される。この典型的な設計は、リードは重なり合うがMTJ材料は存在しない、これらの領域において、リードからリードへのショートのリスクを増加させた。
MTJバイオセンサにおいてリードからリードへのショートのリスクを低減するために、本発明のMTJセンサの設計は重なり合うリードを用いなかった。その結果のMTJセンサの設計は、例えば、センサ設計の37から72までであり、図6に示されている。ここで、最上部のリードは、図6の右下に示すように、MTJセンサを部分的にのみ覆い、底部リードはMTJセンサの端に合わせた。
図6では、正方形は、設計によると、機能MTJセンサの期待抵抗値を表す。縦線は所与の設計のセンサのために取得された実際の抵抗値の分布を示す。センサの設計は、実験により取得された抵抗値(ダイヤモンドデータ点)が期待抵抗値(二乗)により近く分類されており、より好適であると考えられる。
図6にて示すように、「重なり合わない」センサの#37から#72までの設計から実験により測定された抵抗値の分布は、期待抵抗値に非常に近いものであった。対照的に、典型的なセンサの設計1から36は、期待値と実際の値との間の顕著な違いを示し、リードからリードへのショートの顕著な量を示した。リードからリードへのショートの顕著な低減及び/または除去は、本発明の重なり合わないセンサ設計をより精密に行う結果となった。
図7は、本明細書で記載された重なり合わないMTJセンサの設計に基づいた、幅2.6μmのラインの形式のセンサの画像を示す。隣接する最上面電極(T)の間の距離は1μmであり、隣接する底面電極(B)の距離は2μmであった。MTJセンサ(70)は直列に配置され、対向する最上面電極(71)と底面電極(72)との間に配置された。この画像は走査型電子顕微鏡にて取得された。センサの形状は190%のMR比になった。
同様に設計されたバイオセンサは、幅140μmであり、生物学的に活性であるセンサ領域において最大化を促進した。140μmの幅のMTJセンサは175%のMR比を有した。
実施例2
実施例1に記載されているように、MTJセンサ配列を使用して、80のMTJセンサの配列を含む実験が、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)緩衝液でストレプトアビジン−ビオチン結合を検出するために実行された。図9は80のMTJセンサの配列画像を拡大したものである。配列は約3.2mm×3.8mmの寸法を有した。図10は、後述のように、ビオチン化ウシ血清アルブミン(BSA)の適用前の、個々のMTJセンサの配列の拡大画像を示す。センサは140μm×140μmの寸法を有した。
(1.チップ表面処理)
組み立てられたチップを、アセトン、メタノール、イソプロパノール、及び脱イオン水で十分に洗浄した。5分間のUVオゾン処理(UVO Cleaner Model 42、Jelight)を使って有機残渣を除去した。生体機能化の基層を形成するために、2%のポリエチレンイミン(PEI、CAS 9002−98−6、Sigma−Aldrich)の脱イオン水溶液を2分間にわたりチップの表面に塗布した。チップは脱イオン水にて洗浄され、150℃で30分間ベークし、吸着したPEIを固化した。前述したように、チップ表面を調製して捕捉タンパク質の吸着を促進し、各センサに個別に置いた。表面の調製はその他の方法にて実施することができ、チップ表面では暴露したアミン基(−NH)が高密度である結果になる。
(2.チップへの最初のタンパク質コーティング)
活性センサビオチン化BSAは、1×PBS緩衝剤から1μg/mlの濃度に希釈された。この溶液をそれぞれ1ナノリットル、40の配列のセンサに置く。60秒以内に、各溶液のスポットを、140μm×140μmのセンサを覆うのに十分な寸法の環状スポット内で乾燥させる。
基準センサ:BSAは、1×PBS緩衝剤から0.5重量%の濃度に希釈された。この溶液をそれぞれ1ナノリットル、40の配列のセンサに置く。60秒以内に、各溶液のスポットを、140μm×140μmのセンサを覆うのに十分な寸法の環状スポット内で乾燥させる。
(3.残留したチップ表面のブロッキング)
チップは、1時間の間、1×PBS緩衝剤にBSAの重さで5%の溶液に浸漬し、非特異性の表面結合を低減した。
(4.調製されたチップ表面の洗浄)
チップは3回洗浄用の緩衝剤で洗浄した(0.1%BSA及び0.05%、1×PBS内でツゥィーン20)
(5.磁性ナノ粒子の印加)
データの記録が開始され、2分後、100μLのストレプトアビジン−被覆磁性ナノ粒子溶液(MACS130−048−102、ミルテニー・バイオテク社(Miltenyi Biotec))がチップに添加された。
図11は、前述したように、PBS緩衝剤中のストレプトアビジン−ビオチン結合の検出のための、抵抗(ppm)に対する時間(min)の変化のグラフを示す。グラフは、基準となるセンサと比較して、ビオチンで被覆したセンサの抵抗における変化を示す。
前述の実施形態は、理解を明確にするために図と例を引いてある程度詳細に説明しているが、本開示の教示を踏まえれば、添付の特許請求の範囲の趣旨または範囲を逸脱することなく、本発明に特定の変更及び改変が加えられ得ることが当業者には容易に明らかになるであろう。
したがって、以上の説明は単に本開示の実施形態の原理を示すものにすぎない。当業者は、本明細書には明示的に説明され、または図示されていないが、本発明の実施形態の原理を具現化し、その趣旨及び範囲に含まれる様々な構成を考案することができることが理解されるであろう。さらに、本明細書に記載される全ての例及び条件付きの表現は、主として、読者が本開示の実施形態の原理、及び発明者らによる技術の発展に寄与する概念を理解するのを助けるためのものであり、そのような具体的に記載される例及び条件だけに限定されないものと解釈すべきである。さらに、本開示の原理、態様、及び実施形態を記載する本明細書における全ての記述、ならびにその具体例は、それらの構造的均等物と機能的均等物との両方を包含すべきものである。加えて、そのような均等物には、現在知られている均等物と、将来において開発される均等物の両方を、すなわち、構造にかかわらず同じ機能を果たす、開発される任意の要素を含むことも意図されている。したがって本開示の範囲は、本明細書において図示し、説明した例示的実施形態だけに限定すべきものではない。むしろ、本開示の範囲及び趣旨は添付の特許請求の範囲により具現化されるものである。
関連出願に対する相互参照
米国特許法第35編119(e)に従い、本願は、2013年3月15日に出願された米国仮出願番号61/792,257に対する優先権を主張し、その開示は、参照として本明細書に組み込まれている。
連邦政府支援研究に関する陳述
本発明は、米国国立衛生研究所により付与された契約番号HHSN216200900011Cの下に政府の支援を受けて行われた。政府は本発明のある特定の権利を有する。

Claims (17)

  1. 電気的に互いに直列接続された2つ以上の磁気トンネル接合(MTJ)磁気抵抗素子と、
    第1のMTJ磁気抵抗素子の表面の少なくとも一部に接触し、前記第1のMTJ磁気抵抗素子の表面端部を越えて延びる第1電極と、
    前記第1のMTJ磁気抵抗素子の対向面の少なくとも一部に接触する第1端と、前記第1のMTJ磁気抵抗素子の前記対向面の端部を越えて延びる第2端とを有しており、第2のMTJ磁気抵抗素子の表面の少なくとも一部に接触する第2電極と
    磁気センサの表面に結合された検体−特異的プローブと
    を備え、
    前記第1及び第2電極の延びた部分の接面が非重複であり、
    前記第1のMTJ磁気抵抗素子は第1自由層を有し、前記第2のMTJ磁気抵抗素子は第2自由層を有し、前記第1及び第2のMTJ磁気抵抗素子は、共通の反強磁性層と、前記反強磁性層と前記第1及び第2自由層との間の共通の絶縁層とを有しており、
    試料中の磁気標識された検体を検出するように構成されている
    ことを特徴とする磁気センサ。
  2. 前記第1電極は前記第1のMTJ磁気抵抗素子の実質的に表面全体に接触することを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
  3. 前記第2電極は前記第1のMTJ磁気抵抗素子の実質的に対向面全体に接触することを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
  4. 前記第2電極の前記第1端の端部は前記第1のMTJ磁気抵抗素子の前記対向面の前記端部に合わせられていることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
  5. 前記第1電極上に配置された不動態化層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
  6. 2つ以上の磁気センサを備える磁気センサ配列であって、それぞれの磁気センサが、
    電気的に互いに直列接続された2つ以上の磁気トンネル接合(MTJ)磁気抵抗素子と、
    第1のMTJ磁気抵抗素子の表面の少なくとも一部に接触し、前記第1のMTJ磁気抵抗素子の表面端部を越えて延びる第1電極と、
    前記第1のMTJ磁気抵抗素子の対向面の少なくとも一部に接触する第1端と、前記第1のMTJ磁気抵抗素子の前記対向面の端部を越えて延びる第2端とを有しており、第2のMTJ磁気抵抗素子の表面の少なくとも一部に接触する第2電極と
    1または複数の磁気センサの表面に結合された検体−特異的プローブとを備え、
    前記第1及び第2電極の延びた部分の接面が非重複であり、
    前記第1のMTJ磁気抵抗素子は第1自由層を有し、前記第2のMTJ磁気抵抗素子は第2自由層を有し、前記第1及び第2のMTJ磁気抵抗素子は、共通の反強磁性層と、前記反強磁性層と前記第1及び第2自由層との間の共通の絶縁層とを有しており、
    前記磁気センサは、試料中の磁気標識された検体を検出するように構成されている
    磁気センサ配列を備えることを特徴とする磁気センサ装置。
  7. 前記磁気センサ配列に2つ以上の異なる磁気センサを備え、それぞれが同一の検体を特異的に検出するように構成されていることを特徴とする請求項に記載の磁気センサ装置。
  8. 前記磁気センサ配列に2つ以上の異なる磁気センサを備え、それぞれが異なる検体を特異的に検出するように構成されていることを特徴とする請求項に記載の磁気センサ装置。
  9. 磁気センサ装置であって、
    2つ以上の磁気センサを備える磁気センサ配列であって、それぞれの磁気センサが、
    電気的に互いに直列接続された2つ以上の磁気トンネル接合(MTJ)磁気抵抗素子と、
    第1のMTJ磁気抵抗素子の表面の少なくとも一部に接触し、前記第1のMTJ磁気抵抗素子の表面端部を越えて延びる第1電極と、
    前記第1のMTJ磁気抵抗素子の対向面の少なくとも一部に接触する第1端と、前記第1のMTJ磁気抵抗素子の前記対向面の端部を越えて延びる第2端とを有しており、第2のMTJ磁気抵抗素子の表面の少なくとも一部に接触する第2電極と
    1または複数の磁気センサの表面に結合された検体−特異的プローブとを備え、
    前記第1及び第2電極の延びた部分の接面が非重複であり、
    前記第1のMTJ磁気抵抗素子は第1自由層を有し、前記第2のMTJ磁気抵抗素子は第2自由層を有し、前記第1及び第2のMTJ磁気抵抗素子は、共通の反強磁性層と、前記反強磁性層と前記第1及び第2自由層との間の共通の絶縁層とを有しており、
    前記磁気センサは、試料中の磁気標識された検体を検出するように構成されている
    磁気センサ配列を備える磁気センサ装置、ならびに、
    磁界源
    を備えることを特徴とする磁気センサシステム。
  10. 前記磁気センサ装置からの検体−特異的信号を取得するように構成されたプロセッサをさらに備えることを特徴とする請求項に記載の磁気センサシステム。
  11. 検体が試料中に存在するか否かを評価する方法であって、
    電気的に互いに直列接続された2つ以上の磁気トンネル接合(MTJ)磁気抵抗素子と、
    第1のMTJ磁気抵抗素子の表面の少なくとも一部に接触し、前記第1のMTJ磁気抵抗素子の表面端部を越えて延びる第1電極と、
    前記第1のMTJ磁気抵抗素子の対向面の少なくとも一部に接触する第1端と、前記第1のMTJ磁気抵抗素子の前記対向面の端部を越えて延びる第2端とを有しており、第2のMTJ磁気抵抗素子の表面の少なくとも一部に接触する第2電極と
    磁気センサの表面に結合された検体−特異的プローブとを備え、
    前記第1及び第2電極の延びた部分の接面が非重複であり、
    前記第1のMTJ磁気抵抗素子は第1自由層を有し、前記第2のMTJ磁気抵抗素子は第2自由層を有し、前記第1及び第2のMTJ磁気抵抗素子は、共通の反強磁性層と、前記反強磁性層と前記第1及び第2自由層との間の共通の絶縁層とを有しており、
    試料中の磁気標識された検体を検出するように構成されている磁気センサを、
    試料に接触させて信号を発生させることと、
    前記磁気センサから信号を取得することと、
    前記信号に基づいて前記検体が前記試料中に存在するか否かを評価することと
    を含むことを特徴とする方法。
  12. 接触させる前に前記試料を磁気標識することを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 前記評価することは、前記磁気標識された前記試料が前記磁気センサに接触する際に前記磁気センサからの信号を取得することを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. 前記信号は検体−特異的信号であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 前記接触させることは、前記磁気センサを前記試料に接触させた後に磁気標識を前記磁気センサに適用することを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
  16. 2つ以上の磁気センサを備える磁気センサ配列であって、それぞれの磁気センサが、
    電気的に互いに直列接続された2つ以上の磁気トンネル接合(MTJ)磁気抵抗素子と、
    第1のMTJ磁気抵抗素子の表面の少なくとも一部に接触し、前記第1のMTJ磁気抵抗素子の表面端部を越えて延びる第1電極と、
    前記第1のMTJ磁気抵抗素子の対向面の少なくとも一部に接触する第1端と、前記第1のMTJ磁気抵抗素子の前記対向面の端部を越えて延びる第2端とを有しており、第2のMTJ磁気抵抗素子の表面の少なくとも一部に接触する第2電極と
    1または複数の磁気センサの表面に結合された検体−特異的プローブとを備え、
    前記第1及び第2電極の延びた部分の接面が非重複であり、
    前記第1のMTJ磁気抵抗素子は第1自由層を有し、前記第2のMTJ磁気抵抗素子は第2自由層を有し、前記第1及び第2のMTJ磁気抵抗素子は、共通の反強磁性層と、前記反強磁性層と前記第1及び第2自由層との間の共通の絶縁層とを有しており、
    前記磁気センサは、試料中の磁気標識された検体を検出するように構成されている
    磁気センサ配列を備える磁気センサ装置、ならびに、
    磁気標識
    を含むことを特徴とするキット。
  17. 前記磁気標識は磁性ナノ粒子であることを特徴とする請求項16に記載のキット。
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