JP6422820B2 - エアディスパーサ、スプレードライヤの乾燥室及びスプレークーラの冷却室 - Google Patents

エアディスパーサ、スプレードライヤの乾燥室及びスプレークーラの冷却室 Download PDF

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Description

本発明は、スプレードライヤの乾燥室又はスプレークーラの冷却室に用いられるエアディスパーサに関し、特に、乾燥室又は冷却室に供給される旋回流の角度を容易に制御することが可能なエアディスパーサ、これを備えたスプレードライヤの乾燥室及びスプレークーラの冷却室に関する。
スプレードライヤは、原液を乾燥室内に噴霧し、連続的に熱風に接触させることで、瞬時に粒子を生成する乾燥設備である。噴霧の方式には、一般に、ノズル方式又はロータリーアトマイザ方式が採用される。一方、スプレークーラは、スプレードライヤの技術を応用した装置であり、加熱溶融した原料を冷却室内に噴霧し、連続的に冷風(常温を含む)に接触させることで、瞬時に粒子を生成する冷却設備である。
スプレードライヤとスプレークーラとは、主として、熱風又は冷風のいずれを用いるかに相違がある。このため、両者の構成は、概ね共通している。そこで、以下、両者の代表として、スプレードライヤの構成を例示して説明する。図9は、本出願人の既存技術に係るスプレードライヤ設備を示す概略図である。
図9に示すスプレードライヤ設備100は、乾燥室101及びサイクロン102を備える。このスプレードライヤ設備100は、二点捕集方式を採用しており、乾燥室101の下部と、サイクロン102の下部との二点において、生成された粒子が捕集される。乾燥室101では、流動性に優れた粒子が生成される。この粒子は、乾燥室101内を落下して、その下部に捕集される。一方、比較的に軽い粒子や微粒子は、ブロワーによって乾燥室101外へ吸引され、サイクロン102において捕集される。
次に、乾燥室101の構成について、図10及び図11を参照しつつ説明する。図10(a)において、乾燥室101は、上方が円筒形、下方が逆円錐形の壁部を有する。乾燥室101の天井には、エアディスパーサ110が設置されている。エアディスパーサ110の中央には、ロータリアトマイザ120が取り付けられている。一方、乾燥室101の壁面には、この壁面の形状に沿って曲折されたパイプ状のエアブルーム130が対向配置されている。
図10(b)に示すように、エアディスパーサ110は、ハウジング111及びロアパーツ112を備える。ハウジング111は、中心が円形に開口したドーナツ状の外形を有する。ハウジング111内部には、環状の風道が形成されている。この風道は、ハウジング111中心の前記開口を包囲する。ハウジング111内部の風道に供給された熱風は、風道の形状に沿って旋回し、ロアパーツ112の外周面に向かって排出される。
図11(a)に示すように、ロアパーツ112は、主として逆円錐状の壁部からなる。ロアパーツ112は、ハウジング111中心の前記開口内に懸架されている。ロアパーツ112のテーパー状の外周面は、ハウジング111からの熱風旋回流に曝される。ロアパーツ112の外周面の上部には、複数の上部ガイドベーン112aが、所定の角度で配置されている。ロアパーツ112の外周面における上部ガイドベーン112aの下側は、ガイドコーン112bによって包囲されている。ガイドコーン112bの内周面には、複数の下部ガイドベーン112cが、所定の角度で配置されている。図11(b)に、上部ガイドベーン112a及び下部ガイドベーン112cの配置状態を示す。
このようなロアパーツ112の下端開口には、ロータリーアトマイザ120が懸架されている。ロータリーアトマイザ120は、モータによって高速回転する円盤を備える。高速回転する円盤の中心に原液が供給されると、原液は、円盤面で加速され、円盤の周縁から高速飛散される。これにより、原液は、霧状となって乾燥室101内に噴霧される。そして、乾燥室101内に噴霧された原液は、エアディスパーサ110から乾燥室101内に供給される熱風旋回流に接触し、瞬間的に乾燥及び造粒される。
ここで、ハウジング111からの熱風旋回流は、ガイドコーン112bによって二分割される。ガイドコーン112bの外側を流れる熱風旋回流は、乾燥室101内の全体を大きく旋回する。一方、ガイドコーン112bの内側を流れる熱風旋回流は、ロータリーアトマイザ120の先端側に向かって流れ、水平に噴霧される霧状の原液の角度に影響を与える。乾燥室101で所望する粒子を製造する場合には、原液の性質に応じて、乾燥室101に供給される熱風旋回流の角度及び流量比を制御する必要がある。ガイドコーン112bの外側を流れる熱風旋回流の角度は、上部ガイドベーン112aの角度を調整することによって制御される。また、ガイドコーン112bの内側を流れる熱風旋回流の角度は、下部ガイドベーン112cの角度を調整することによって制御される。さらに、ガイドコーン112bの内外を流れる熱風旋回流の流量比は、ロアパーツ112の外周面とガイドコーン112bとの間隔を調整することによって制御される。
特開2011−33269号公報 特開2011−33268号公報 特開2009−149683号公報 特開2007−285619号公報
上述のとおり、乾燥室101内の全体に向けて供給される熱風旋回流の角度は、上部ガイドベーン112aの角度を変更することによって制御される。従来、本出願人が実施していたエアディスパーサ110は、ロアパーツ112の外周面に、多数枚(例えば、図11(b)の48枚)の上部ガイドベーン112aがボルトによって固定されていた。このため、上部ガイドベーン112aの角度を変更する場合には、まず、スプレードライヤ設備100全体を停止させなければならなかった。その後、作業者は、エアディスパーサを構成するロアパーツ112をチェーンブロックで吊り上げて、ハウジング111から取り外した状態にし、この状態で、上部ガイドベーン112aを固定するボルトを緩めた後、上部ガイドベーン112aの角度を変更し、緩めたボルトを締め直すといった手作業を、1枚の上部ガイドベーン112aごとに行っていた。
本発明は、多数のガイドベーンが設けられた部材を乾燥室から取り外す必要がなく、スプレードライヤ設備を運転させたままで、ガイドベーンの角度を容易に変更することができるエアディスパーサ、これを備えたスプレードライヤの乾燥室及びスプレークーラの冷却室を提供することを目的とする。
(1)上記目的を達成するために、本発明のエアディスパーサは、スプレードライヤの乾燥室又はスプレークーラの冷却室の室内に設けられ、前記室内に供給される旋回流を制御するためのエアディスパーサであって、外周面が前記旋回流に曝される壁部と、前記壁部の外周面に設置される複数の板状部材であり、前記旋回流の角度を制御するためのガイドベーンと、複数の前記ガイドベーンに対応して設けられ、各ガイドベーンの角度を個別に変更するための複数のガイドベーン調整手段と、を備え、前記ガイドベーン調整手段が、前記壁部における各ガイドベーンの設置位置に設けられた複数の貫通孔と、前記貫通孔のそれぞれに挿通され、一端側に前記ガイドベーンが固定される複数のシャフトと、を含み、前記シャフトが前記壁部の内側から回転されることにより、前記ガイドベーンの角度が変更される構成としてある。
(2)好ましくは、上記(1)のエアディスパーサにおいて、前記ガイドベーン調整手段が、回転された前記シャフトを固定するための固定手段を含み、前記固定手段が、前記壁部の内側に設けられた構成にするとよい。
(3)好ましくは、上記(2)のエアディスパーサにおいて、前記固定手段が、前記シャフトに設けられ、前記シャフトとともに回転される可動部材と、前記シャフト以外の部材に設けられ、前記可動部材の回転範囲の少なくとも一部に重複し、回転された前記可動部材を固定する固定部材と、を含む構成にするとよい。
(4)上記目的を達成するために、本発明のスプレードライヤの乾燥室は、上記(1)〜(3)のいずれかに記載したエアディスパーサを備えた構成としてある。
(5)上記目的を達成するために、本発明のスプレークーラの冷却室は、上記(1)〜(3)のいずれかに記載したエアディスパーサを備えた構成としてある。
本発明のエアディスパーサ、これを備えたスプレードライヤの乾燥室及びスプレークーラの冷却室では、多数のガイドベーンが設けられた部材の壁部の内側からシャフトを回転させることにより、ガイドベーンの角度を容易に変更することができる。したがって、多数のガイドベーンが設けられた部材を乾燥室から取り外す必要がなく、スプレードライヤ設備を運転させたままで、ガイドベーンの角度を容易に変更することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るエアディスパーサを示す断面図である。 図2は、上記エアディスパーサを示す平面図である。 図3は、上記エアディスパーサを構成するロアパーツの断面図である。 図4は、上記ロアパーツの平面図である。 図5は、上記ロアパーツに設けられたガイドベーン調整手段を示すものであり、同図(a)は平面図、同図(b)は部分断面側面図である。 図6は、上記ガイドベーン調整手段を示すものであり、同図(a)はシャフト一端側の拡大図、同図(b)はシャフト他端側の拡大図である。 図7は、上記ガイドベーン調整手段を構成する固定部材を示すものであり、同図(a)は正面図、同図(b)は側面図、同図(c)は第1及び第2位置決め孔の平面図である。 図8は、上記ガイドベーン調整手段にカバーを装着した状態を示すものであり、同図(a)は上記ロアパーツ全体の平面図、同図(b)は拡大斜視図、同図(c)は部分側面断面図である。 図9は、本出願人の既存技術に係るスプレードライヤ設備を示す概略図である。 図10は、上記スプレードライヤ設備を構成する乾燥室を示すものあり、同図(a)は乾燥室全体の概略図、同図(b)は上記乾燥室に備えられたエアディスパーサの概略図である。 図11は、上記エアディスパーサを構成するロアパーツを示すものであり、同図(a)はロアパーツの概略図、同図(b)は上記ロアパーツの上部ガイドベーン及び下部ガイドベーンの角度を示す概略図である。
以下、本発明の一実施形態に係るエアディスパーサ、これを備えたスプレードライヤの乾燥室及びスプレークーラの冷却室について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係るエアディスパーサ1を示す断面図である。エアディスパーサ1は、図9及び図10(a)に示すようなスプレードライヤ設備100の乾燥室101の天井、又はこれと同様のスプレークーラ設備の冷却室の天井に設置される。本実施形態のエアディスパーサ1は、図1に示すハウジング10及びロアパーツ20を備える。
<ハウジング>
図1及び図2に示すように、ハウジング10は、中心に円形の開口11を有するドーナツ状の外形を有する。ハウジング10内部には、環状の風道12が形成されている。風道12は、ハウジング10中心の開口12を包囲する。風道12の断面積は、熱風の入口から出口にわたって徐々に小さくなっている。風道12に供給された熱風は、風道の形状に沿って旋回し、ロアパーツ20の外周面に向かって排出される。
ここで、図1に示すように、ハウジング10の底部には、給気路13a及び排気路13bが設けられている。これら給気路13a及び排気路13bは、熱風吹出部15に取り付けられたリングヘッダ配管14に連通している。リングヘッダ配管14の内部には、環状の流路が形成されている。給気路13aには冷却用空気が供給される。この冷却用空気は、給気路13aを通過して、リングヘッダ配管14の環状の流路を流れ、排気路13bから排出される。このような冷却用空気の流通により、乾燥室101の天井への熱の伝達が抑えられる。この結果、乾燥室101の天井の過度の熱的影響が抑制されるという効果が奏される。
<ロアパーツ>
図1に示すように、ロアパーツ20は、主として逆円錐状の壁部からなる。ロアパーツ20は、ハウジング10中心の開口11内に懸架されている。具体的には、開口11の周囲には、環状の段部10aが設けられており、ロアパーツ20の周縁部が、環状の段部10aに載置されている。ロアパーツ20をハウジング10に取り付けると、ロアパーツ20のテーパー状の外周面の上側が、熱風吹出部15に位置し、リングヘッダ配管14のテーパー状の内周面と対面する。ロアパーツ20のテーパー状の外周面は、熱風吹出部15を通過する熱風旋回流に曝される。
ロアパーツ20の外周面の上部には、複数の上部ガイドベーン21が、所定の角度で配置されている。上部ガイドベーン21は、熱風吹出部15のうち、最も風道12に近い上方に位置している。本実施形態では、例えば、24枚の上部ガイドベーン21が、ロアパーツ20の外周面の上部に均等な間隔をおいて設けられている。
ロアパーツ20の外周面における上部ガイドベーン21の下側は、ガイドコーン22によって包囲されている。ガイドコーン22の内周面の下部には、複数の下部ガイドベーン23が、所定の角度で配置されている。本実施形態では、例えば、36枚の下部ガイドベーン23が、ガイドコーン22の内周面の下部に均等な間隔をおいて設けられている。
ロアパーツ20の下端開口には、ロータリーアトマイザ2が懸架されている。ロータリーアトマイザ2の構成は、図10(a)、(b)及び図11(a)に示す既存技術のロータリーアトマイザ120と同様であり、詳細な説明は省略する。
<熱風旋回流の角度及び流量比の制御>
風道12からの熱風旋回流は、ガイドコーン22によって二分割される。ガイドコーン22の外側を流れる熱風旋回流は、乾燥室101内の全体を大きく旋回する。一方、ガイドコーン22の内側を流れる熱風旋回流は、ロータリーアトマイザ2の先端側に向かって流れ、水平に噴霧される霧状の原液の角度に影響を与える。乾燥室101で所望する粒子を製造する場合には、原液の性質に応じて、乾燥室101に供給される熱風旋回流の角度及び流量比を制御する必要がある。ガイドコーン22の外側を流れる熱風旋回流の角度は、上部ガイドベーン21の角度を調整することによって制御される。また、ガイドコーン22の内側を流れる熱風旋回流の角度は、下部ガイドベーン23の角度を調整することによって制御される。さらに、ガイドコーン22の内外を流れる熱風旋回流の流量比は、ロアパーツ20の外周面と、ガイドコーン22の内周面との間隔を調整することによって制御される。
<ガイドベーン調整手段>
図3及び図4に示すように、本実施形態のエアディスパーサ1は、上部ガイドベーン21の角度を調整するためのガイドベーン調整手段30を備えている。ガイドベーン調整手段30は、全ての上部ガイドベーン21に一つずつ設けられている。図5(a)、(b)に示すように、ガイドベーン調整手段30は、主として、貫通孔20a、シャフト31、可動部材35、固定部材38及び位置決めボルト39によって構成されている。
図5(a)に示すように、ロアパーツ20の壁部における、全ての上部ガイドベーン21の設置位置には、貫通孔20aがそれぞれ設けられている。各貫通孔20aには、スリーブ24を介して、シャフト31が挿通されている。シャフト31の一端側は、ロアパーツ20の壁部の外側に突出し、シャフト31の他端側は、ロアパーツ20の壁部の内側に突出している。
図5(a)及び図6(a)に示すように、シャフト31の一端側には、溝が設けられており、この溝に、板状部材である上部ガイドベーン21が嵌め込まれ、溶接されている。また、シャフト31の一端側における上部ガイドベーン21の後方には、板状のストッパ31aが形成してある。ストッパ31aは、ロアパーツ20の壁部の外周面に当接し、シャフト31がロアパーツ20の壁部の内側の方向に移動することを制限する。さらに、本実施形態では、スリーブ24をフッ素系の合成樹脂により形成してある。フッ素系の合成樹脂は、耐久性及び潤滑性に優れ、シャフト31の回転及び摺動が円滑になる。
図5(b)及び図6(b)に示すように、シャフト31の他端側は、ロアパーツ20の壁部の内周面に固定された長方形状のベースプレート32の一側を貫通し、軸受プレート33によって回転及び摺動可能に保持されている。軸受プレート33は、ベースプレート32にねじ止めされている。シャフト31の軸受プレート33よりも更に他端には、スプリング34、可動部材35、固定プレート36及びハンドル37が順番に取り付けられている。スプリング34は、軸受プレート33と可動部材35との間において、シャフト31に装着されている。スプリング34は、可動部材35を押し上げる方向の付勢力を働かせている。
図5(a)、(b)に示すように、可動部材35は、先端側が先細りとなった板状部材からなる。可動部材35の先端部には、その長手方向の中心線に沿って、一つの第1位置決め孔35aと、一つの第2位置決め孔35bとが並んで形成してある。可動部材35は、固定プレート36によってシャフト31に固定され、シャフト31とともに回転する。可動部材35の先端部は、固定部材38を構成する位置決めプレート381の下に重複している。
可動部材35の先端部は、上述したスプリング34の付勢力を受けて、位置決めプレート381の裏面に圧接されている。このスプリング34の付勢力に抗して、ハンドル37を押し下げると、可動部材35の先端部と位置決めプレート381とが非接触になり、シャフト31とともに可動部材35が回転可能となる。可動部材35の回転範囲は、その先端部が、位置決めプレート381の両側を支持する一対の支持プレート382に当接することによって、一定の範囲に制限される。
図7(a)〜(c)に示すように、固定部材38は、位置決めプレート381の両側を一対の支持プレート382で支持した構成となっている。一対の支持プレート382は、ベースプレート32の他側に固定されている。図5(a)及び図7(c)に示すように、位置決めプレート381には、五つの第1位置決め孔38aと、六つの第2位置決め孔38bとが、大小二つの異なる曲率半径の円弧に沿って形成されている。ここでいう大小二つの異なる曲率半径の円弧とは、可動部材35の先端部に形成された第1及び第2位置決め孔35a、35bが移動するときに描かれる大小二つの円弧を意味する。つまり、位置決めプレート381の五つの第1位置決め孔38aは、いずれも可動部材35の第1位置決め孔35aの回転軌道上に形成されている。これにより、可動部材35の第1位置決め孔35aは、位置決めプレート381の五つの第1位置決め孔38aの全てと選択的に一致することが可能となっている。これと同様に、位置決めプレート381の六つの第2位置決め孔38bは、いずれも可動部材35の第2位置決め孔35bの回転軌道上に形成されている。これにより、可動部材35の第2位置決め孔35bは、位置決めプレート381の六つの第2位置決め孔38bの全てと選択的に一致することが可能となっている。
位置決めプレート381に形成された第1及び第2位置決め孔38a、38bは、それぞれが上部ガイドベーン21の異なる角度を規定している。例えば、本実施形態における五つの第1位置決め孔38aは、図7(c)の左側から順に、7.5°、12.5°、17.5°、22.5°、27.5°の角度を規定している。一方、本実施形態における六つの第2位置決め孔38bは、図7(c)の左側から順に、5°、10°、15°、20°、25°、30°の角度を規定している。そして、第1及び第2位置決め孔38a、38bを総合すると、上部ガイドベーン21の角度を2.5°刻みで5°〜30°に変更することができる。特に、本実施形態では、固定部材38の第1及び第2位置決め孔38a、38bを、互いに2.5°ずつシフトさせて、大小二つの異なる曲率半径の円弧上に分けて形成してある。このような構成により、位置決めプレート381の限られたスペース内に、多数の位置決め孔を設けることができ、上部ガイドベーン21の角度を小刻みに調整することが可能となる。
互いに一致された第1位置決め孔35a、38aどうし又は第2位置決め孔35b、38bどうしには、図7(b)に示す位置決めボルト39が螺合される。これにより、可動部材35が、固定部材38に固定され、シャフト31の回転が規制される。つまり、上部ガイドベーン21が所望の角度に固定される。本実施形態の位置決めボルト39は、鎖によって固定ボルトに連結されている。固定ボルトは、位置決めボルト39が螺合されていないいずれかの第1又は第2位置決め孔38a、38bに螺合されている。このような構成により、位置決めボルト39の紛失を防止することが可能となる。
ここで、図8(a)に示すように、本実施形態では、24個のガイドベーン調整手段30を4個ずつ、カバー40で覆った構成としてある。カバー40は、約1/6円弧状の箱体であり、金属又は合成樹脂により構成されている。図8(b)、(c)に示すように、カバー40の上面には、一対の折畳ハンドル41が設けられている。折畳ハンドル41は、カバー40の上面に軸支されており、カバー40の着脱時以外は、折り畳まれた状態になる。また、カバー40の両側面には、一対の留め金具42が取り付けられている。カバー40は、これら留め金具42によってロアパーツ20の内側に固定されている。
<手摺、折畳ステップ>
上述のように、本実施形態のエアディスパーサ1は、ロアパーツ20の内側からガイドベーン調整手段30を操作することにより、上部ガイドベーン21の角度を変更することができる。ここで、図3及び図4に示すように、本実施形態では、ロアパーツ20の内側に、手摺25と折畳ステップ26とが取り付けてある。折畳ステップ26は、ロアパーツ20の内側に軸支されており、垂直及び水平のいずれかの状態になる。折畳ステップ26が水平状態になると、3段の階段が形成される。手摺25は、ロアパーツ20の内側における折畳ステップ26の片側に固定されている。このような手摺25及び折畳ステップ26により、作業員が、ガイドベーン調整手段30に容易にアクセスできるようになる。なお、ロアパーツ20の直径の方向に、一対の手摺25及び折畳ステップ26を対向して取り付けた構成にすると、全てのガイドベーン調整手段30へのアクセスが極めて容易になる。また、一対の手摺25及び折畳ステップ26が、作用員の安定した足場となり、ガイドベーン調整手段30の操作が容易になる。
<作用効果>
以上述べたとおり、本実施形態のエアディスパーサ1によれば、ロアパーツ20の内側からガイドベーン調整手段30を操作することにより、上部ガイドベーン21の角度を変更することができる。すなわち、ロアパーツ20をハウジング10から取り外さずに、上部ガイドベーン21の角度を変更することが可能となる。これにより、スプレードライヤ設備100を運転させたままで、上部ガイドベーン21の角度を変更をすることができる。この結果、乾燥室101に設けられた覗き窓から室内の状態を観察し、変更後の角度の是非をリアルタイムで判断することが可能となる。また、ロアパーツ20をチェーンブロックで吊り上げて、ハウジング10から取り外す手間が削減され、作業者の手間が大幅に軽減される。
また、ガイドベーン調整手段30には、変更可能な複数の角度(図7(c)を参照)が予め定められているので、作業者は、任意の角度を選択することで上部ガイドベーン21の角度を正確に調整することができる。これにより、多数の上部ガイドベーン21の角度を容易に精度良く一致させることができ、作業者の手間が大幅に軽減される。
さらに、本実施形態のガイドベーン調整手段30によれば、作業者は、上部ガイドベーン21のシャフト31に連結されたハンドル37を回転させて、上部ガイドベーン21の角度を容易かつ正確に変更することができる。すなわち、作業者は、何ら工具を用いずに手作業だけで、多数の上部ガイドベーン21の角度を、それぞれ容易かつ正確に変更することが可能となる。
このように、ガイドベーン調整手段30によって、多数の上部ガイドベーン21が、それぞれ適切な角度に調整されることで、乾燥室101への均一な熱風旋回流の供給が実現する。また、乾燥及び造粒された粒子のエアーディスパーサ1内部への逆流を防止することができる。さらに、乾燥室101内における乱流が抑制され、乾燥室101の天井への粒子の巻き上がりが低減される。
なお、本発明のエアディスパーサ、これを備えたスプレードライヤの乾燥室及びスプレークーラの冷却室は、上述した実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、原液の噴霧の方式は、上述したロータリーアトマイザ方式に限定されるものではなく、ノズル方式に変更してもよい。また、例えば、上述した実施形態では、ガイドベーン調整手段30を上部ガイドベーン21に適用した場合を例示したが、ガイドベーン調整手段30と同様の構成により、下部ガイドベーン23の角度をロアパーツ20の内側から変更することも可能である。
1 エアディスパーサ
2 ロータリアトマイザ
10 ハウジング
10a 段差部
11 開口
12 風道
13a 給気路
13b 排気路
14 リングヘッダ配管
15 熱風吹出部
20 ロアパーツ(壁部)
20a 貫通孔
21 上部ガイドベーン
22 ガイドコーン
23 下部ガイドベーン
24 スリーブ
25 手摺
26 折畳ステップ
30 ガイドベーン調整手段
31 シャフト
31a ストッパ
32 ベースプレート
33 軸受プレート
34 スプリング
35 可動部材
36 固定プレート
37 ハンドル
38 固定部材
381 位置決めプレート
382 支持プレート
35a、38a 第1位置決め孔
35b、38b 第2位置決め孔
39 位置決めボルト
40 カバー
41 折畳ハンドル
42 留め金具
100 スプレードライヤ設備
101 乾燥室
102 サイクロン

Claims (5)

  1. スプレードライヤの乾燥室又はスプレークーラの冷却室の室内に設けられ、前記室内に供給される旋回流を制御するためのエアディスパーサであって、
    外周面が前記旋回流に曝されるロアパーツの壁部と、
    前記壁部の外周面に設置される複数の板状部材であり、前記旋回流の角度を制御するためのガイドベーンと、
    複数の前記ガイドベーンに対応して設けられ、各ガイドベーンの角度を個別に変更するための複数のガイドベーン調整手段と、を備え、
    前記ガイドベーン調整手段が、
    前記壁部における各ガイドベーンの設置位置に設けられた複数の貫通孔と、
    前記貫通孔のそれぞれに挿通され、一端側に前記ガイドベーンが固定される複数のシャフトと、を含み、
    前記シャフトが前記壁部の内側から回転されることにより、前記ガイドベーンの角度が変更されることを特徴とするエアディスパーサ。
  2. 前記ガイドベーン調整手段が、回転された前記シャフトを固定するための固定手段を含み、前記固定手段が、前記壁部の内側に設けられた請求項1に記載のエアディスパーサ。
  3. 前記固定手段が、
    前記シャフトに設けられ、前記シャフトとともに回転される可動部材と、
    前記シャフト以外の部材に設けられ、前記可動部材の回転範囲の少なくとも一部に重複し、回転された前記可動部材を固定する固定部材と、含む請求項2に記載のエアディスパーサ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載したエアディスパーサを備えたことを特徴とするスプレードライヤの乾燥室。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載したエアディスパーサを備えたことを特徴とするスプレークーラの冷却室。
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