本発明の一実施形態に係る膜天井の施工方法について、図面を参照して説明する。
ここでは、説明を簡素化するため、図1に示すように平面視長方形状に並べられた4カ所の鉛直延在する躯体壁Wで室Rが形成された建築物に本実施形態に係る膜天井の施工方法を適用する場合を例にとり説明する。
本実施形態に係る膜天井の施工方法においては、図1に示すように、まず、下地施工工程を行う。下地施工工程では、4カ所の躯体壁Wのそれぞれに長尺状の廻り縁部材11を、図示略の躯体天井近傍の同じ高さ位置に水平に固定する。その際に、複数の廻り縁部材11を、それぞれ対応する躯体壁Wに突き当てて複数のボルト12で取り付ける。また、直交して隣り合う廻り縁部材11同士を、隙間なく当接させるように予め端部を45度に切断した状態で突き合わせる。これにより、複数の廻り縁部材11が連続して長方形枠状に配置されて枠状部14を構成する。複数の廻り縁部材11からなる枠状部14および複数のボルト12が下地15を構成している。つまり、下地施工工程では、枠状に配置される枠状部14を含む下地15を躯体側に施工する。
ここでは、説明を簡素化するため、下地15が四つの辺部からなる長方形状の枠状部14を一つのみ有する場合を説明するが、下地15が四つの辺部からなる枠状部を複数有している場合にも適用可能である。また、ここでは、一本の廻り縁部材11が枠状部14の一つの辺部を構成する場合を説明するが、複数本の廻り縁部材11が同一直線上に連設されて枠状部14の一つの辺部を構成しても良い。
廻り縁部材11は、例えばアルミニウム合金製の押し出し成形品である。図2に示すように、廻り縁部材11は、鉛直に配置されて躯体壁Wに当接しこの状態で貫通穴21に挿通されるボルト12で躯体壁Wに固定される平板状の固定板部23と、固定板部23の下端縁部から下方に延出して躯体壁Wに当接する、固定板部23よりも薄い平板状の当接板部24と、固定板部23と当接板部24との境界位置からこれらに垂直をなして躯体壁Wとは反対の側方に延出する平板状の側方延出板部25と、固定板部23の上端縁部から固定板部23に垂直をなして躯体壁Wとは反対方向に延出する平板状の上端板部26と、を有している。側方延出板部25および上端板部26は水平に配置されている。ここで、ボルト12は、固定板部23の貫通穴21に挿通後、躯体壁Wの図示略のアンカーに螺合されることにより固定板部23を躯体壁Wに固定する。
また、廻り縁部材11は、側方延出板部25の固定板部23とは反対側の端縁部から当接板部24と平行をなして下方に延出する平板状の側板部30と、側板部30の側方延出板部25とは反対側の端縁部から側方延出板部25と平行をなして当接板部24から離れる方向に突出する突出板部31と、側方延出板部25の当接板部24と側板部30との間位置からこれらと平行をなして下方に延出する平板状の下方延出板部32と、側方延出板部25と平行をなし当接板部24および下方延出板部32を上下方向の中間位置にて結ぶ平板状の連結板部33と、連結板部33における当接板部24および下方延出板部32の間位置からこれらと平行をなして下方に延出する係合板部34と、を有している。当接板部24、係合板部34、下方延出板部32および突出板部31は、下端の高さ位置を合せている。係合板部34の両面には係合突条35が上下に複数並設されている。係合突条35は、それぞれの水平外側の面が上側ほど水平外側に位置するように傾斜し上面が水平に延在している。
側板部30と下方延出板部32と側方延出板部25のこれらの間部分とが、これらの内側に、下向きに開口する下向溝36を形成している。言い換えれば、側板部30および下方延出板部32は下向溝36を形成する壁部であり、側方延出板部25は下向溝36を形成する底部である。側方延出板部25の側板部30と下方延出板部32と間にある部分の下面は下向溝36の底面となっている。下向溝36は、これが形成された廻り縁部材11の長さ方向に延在しており、これが形成された廻り縁部材11の全長にわたって延在している。
上記した下地施工工程の次に、図3に示すように、下地15に取付具41を取り付ける取付具取付工程を行う。取付具取付工程では、枠状部14を構成する4本の廻り縁部材11のうち、互いに平行し長さが残りの2本よりも長い長辺側の2本の廻り縁部材11の中間位置に、これらの長さ方向の位置を合わせて一対の取付具41を取り付け、このような取付具41の対を長辺側の廻り縁部材11の長さ方向に間隔をあけて複数対取り付ける。言い換えれば、一対の取付具41を、枠状部14で囲まれた内側範囲を跨ぐ位置に配置して下地15の枠状部14に取り付ける作業を、複数対の取付具41について行う。勿論、これら取付具41の取り付けの順番は任意である。ここでは、長辺側の2本の廻り縁部材11における、短辺側の各廻り縁部材11に近い側にそれぞれ一対の取付具41を取り付ける。
図4に示すように、取付具41は、例えばアルミニウム合金製あるいは合成樹脂製の押し出し成形品である。取付具41は、平板状の基板部42と、基板部42からその厚さ方向同側に延出する一対の挟持部43とを有している。一対の挟持部43は、それぞれ、同一円筒に含まれるように基板部42からその厚さ方向同側に延出する挟持主部44と、挟持主部44の基板部42とは反対側の端縁部からこの挟持主部44とは逆向きの円弧を描くように湾曲して延出する脱着ガイド部45とを有している。一対の挟持部43のそれぞれの脱着ガイド部45は、基板部42とは反対側の部分が基板部42から離れるほど互いの間隔が広くなるように開いた形状をなしている。基板部42には厚さ方向に貫通する貫通穴46が形成されている。
上記した取付具取付工程では、取付具41を基板部42から一対の挟持部43が下方に延出する姿勢とし、この姿勢で基板部42を廻り縁部材11の図2に示す当接板部24、突出板部31および下方延出板部32の下端縁に当接させる。その際に、図3に示すように一対の挟持部43が長辺側の廻り縁部材11の長さ方向に並ぶ向きとし、また、貫通穴46を側板部30と下方延出板部32との間に配置する。そして、締結部材であるドリルビス48を貫通穴46に挿入して、側方延出板部25の側板部30と下方延出板部32との間の部分つまり下向溝36の底部にねじ込む。このようにして、取付具41を廻り縁部材11に取り付ける。
取付具取付工程の次に、図5に示すように、長尺状の支持具51を枠状部14の内側範囲を横断するように一対の取付具41に取り付ける支持具取付工程を行う。また、支持具取付工程で支持具51が取り付けられた状態の一対の取付具41のそれぞれに脱落規制具61を取り付ける脱落規制具取付工程を行う。これらの支持具取付工程および脱落規制具取付工程を複数対の取付具41の各対に対して行う。その際に、各対毎に支持具取付工程および脱落規制具取付工程を行っても良く、複数対に纏めて支持具取付工程を行ってから、複数対に纏めて脱落規制具取付工程を行っても良い。
図6に示すように、支持具51は、例えばアルミニウム合金製あるいは合成樹脂製の押し出し成形品からなる円筒状の部品である。支持具取付工程では、このような支持具51の長さ方向の両端部を、それぞれ対応する取付具41の一対の挟持部43に下から上に押し込んで挟持させる。ここで、支持具51が押し込まれる前の一対の挟持部43のそれぞれの挟持主部44の内周側の半径は、支持具51の外周側の半径と同等であり、支持具51が押し込まれる前の一対の挟持部43のそれぞれの脱着ガイド部45の最小間隔は、支持具51の外径よりも小さくなっている。
そして、支持具取付工程にて、支持具51を一対の挟持部43に下方から押し込むと、支持具51が、一対の挟持部43の両脱着ガイド部45を押し広げる方向に押すことになる。すると、一対の挟持部43が弾性変形して押し広げられる。その後、支持具51が両脱着ガイド部45を越えると、一対の挟持部43は元に戻る。これにより、一対の挟持部43が、図6に示すように互いの挟持主部44によって支持具51を挟持することになる。枠状部14の長さ方向の位置を合わせ枠状部14で囲まれた内側範囲を跨いで配置された一対の取付具41のそれぞれの一対の挟持部43に一本の支持具51が挟持される。
脱落規制具61は、例えばアルミニウム合金製あるいは合成樹脂製の押し出し成形品からなる部品である。脱落規制具61は、平板状の基板部62と、基板部62の平行な両端縁部から厚さ方向同側に延出する一対の側板部63と、一対の側板部63の基板部62とは反対側の端縁部から相互近接側に突出する一対の突出板部64とを有している。一対の突出板部64の最小距離は、一対の挟持部43の脱着ガイド部45間の外寸の最小値と同等となっており、一対の挟持部43の脱着ガイド部45の開口端部間の外寸よりも小さくなっている。
そして、脱落規制具取付工程にて、脱落規制具61を一対の挟持部43に下方から押し込むと、脱落規制具61の一対の突出板部64が、一対の挟持部43の両脱着ガイド部45を間隔を狭める方向に押圧し、両脱着ガイド部45を弾性変形させながら、両脱着ガイド部45の先端部を乗り越える。これにより、脱落規制具61の一対の突出板部64による押圧が解除されて、両脱着ガイド部45は元に戻る。あるいは、脱落規制具61を側方から、一対の突出板部64の間に一対の挟持部43の両脱着ガイド部45を通すようにスライドさせて取り付ける。その結果、一対の挟持部43は、脱落規制具61の一対の突出板部64によって広がる方向の変形が規制される状態になり、支持具51の一対の挟持部43からの脱落を規制する状態となる。
一対の取付具41、複数のドリルビス48、一本の支持具51および一対の脱落規制具61が、下地15の枠状部14で囲まれた内側範囲を横断するように枠状部14に取り付けられる一つの仮設治具68を構成する。このような仮設治具68が一つの枠状部14に対して複数設けられる。よって、取付具取付工程、支持具取付工程および脱落規制具取付工程が、仮設治具68を下地15の枠状部14に取り付ける仮設治具取付工程となっている。
仮設治具取付工程の次に、図7および図8に示すように、仮設治具68の支持具51にシート材70を支持させるシート材支持工程を行う。ここでは、複数の仮設治具68のそれぞれの支持具51に掛け渡すようにして一枚のシート材70を支持させる。シート材70は、枠状部14の形状および大きさに合わせて予め長方形状にカットされており、シート材支持工程では、シート材70を、その長さ方向を枠状部14の長さ方向つまり長辺側の廻り縁部材11の長さ方向に合わせた姿勢で複数の支持具51上に掛け渡す。図8に示すように、シート材支持工程後のシート材70は、両側の仮設治具68の間となる部分がほぼ水平に沿い、両側の仮設治具68よりも外側となる長さ方向の両端側が下方に垂れ下がる状態になる。
ここで、シート材70は、図示略の躯体天井の下側で躯体天井を覆って室Rの天井面を形成するものである。シート材70は、難燃性材料からなっており、具体的にはガラス繊維が織り込まれた伸縮性の低いガラスクロスとなっている。なお、シート材70として、合成樹脂を主体としたものや、布等、他の種々の材質のものを用いることも可能である。
シート材支持工程の次に、図9に示すように、枠状部14の長辺を構成する一対の廻り縁部材11のそれぞれの長さ方向の中央と、枠状部14の短辺を構成する一対の廻り縁部材11のそれぞれの長さ方向の中央とに、仮設治具68に支持された状態のシート材70を係止部材71および締結部材であるドリルビス72で取り付けるシート材取付第一工程を行う。ここで、係止部材71はその取付先となる廻り縁部材11よりも長さが短くなっている。
図10に示すように、係止部材71は、例えばアルミニウム合金製の押し出し成形品であり、断面が正方形の四角筒状をなして廻り縁部材11の下向溝36に挿入される。係止部材71には、上面から下面まで貫通する貫通穴73が形成されている。貫通穴73は係止部材71の長さ方向に所定の等ピッチで複数形成されている。
シート材取付第一工程では、図9に示す枠状部14の長辺を構成する一対の廻り縁部材11のそれぞれの長さ方向の中央と、枠状部14の短辺を構成する一対の廻り縁部材11のそれぞれの長さ方向の中央とについて、以下の取付基本工程をそれぞれ行う。
取付基本工程では、図10に示すように、係止部材71を、その上面と廻り縁部材11の下向溝36の底面との間にシート材70を介在させつつ下向溝36内に挿入して、係止部材71の上面と廻り縁部材11の下向溝36の底面とでシート材70を挟持する挟持工程を行う。次に、取付基本工程では、この状態で、複数の締結部材であるドリルビス72を、それぞれ係止部材71の貫通穴73に挿通後、廻り縁部材11の下向溝36の底部を構成する側方延出板部25にねじ込んで係止部材71を廻り縁部材11に締結し固定する締結工程を行う。これにより、係止部材71が廻り縁部材11とでシート材70を挟持する。また、複数のドリルビス72が、廻り縁部材11にねじ込まれる際にシート材70を貫通してシート材70を係止する。
ここで、シート材取付第一工程では、まず、枠状部14の一方の短辺を構成する廻り縁部材11の長さ方向の中央について上記の取付基本工程を行う。
シート材取付第一工程では、次に、他方の短辺を構成する廻り縁部材11の長さ方向の中央について上記の取付基本工程を行う。その際に、シート材70の短辺の中央位置が長さ方向に弛みのない突っ張った状態となるようにシート材70を引っ張りながら上記の取付基本工程を行う。例えば、一方の短辺を構成する廻り縁部材11に長さ方向の一端が支持された状態のシート材70の他端側を、他方の短辺を構成する廻り縁部材11が固定された躯体壁Wに押し付けることで、シート材70を張った状態とし、この状態で、上記の取付基本工程を行う。その際に、係止部材71の下向溝36への進入に伴ってシート材70が引っ張られると、シート材70を押し付けた躯体壁Wに対し適宜すべらせながら係止部材71の下向溝36への進入を許容する。
次に、枠状部14の一方の長辺を構成する廻り縁部材11の長さ方向の中央について上記の取付基本工程を行う。その際にも、枠状部14の短辺を構成する一対の廻り縁部材11にすでに支持された状態のシート材70の長辺の中央が弛みのない突っ張った状態となるようにシート材70の長辺を構成する一方の端部側を、この一方の長辺を構成する廻り縁部材11が取り付けられた躯体壁Wに押し付けながら、取付基本工程を行う。次に、この一方と同様にして、他方の長辺を構成する廻り縁部材11の長さ方向の中央について取付基本工程を行う。
ここで、シート材取付第一工程において、枠状部14の長辺を構成する一対の廻り縁部材11について先に取付基本工程を行い、短辺を構成する一対の廻り縁部材11について後に取付基本工程を行うようにしても良い、しかしながら、上記のように、短辺を構成する一対の廻り縁部材11について先に取付基本工程を行い、枠状部14の長辺を構成する一対の廻り縁部材11について後に取付基本工程を行う方が、仕上がりの点から好ましい。
シート材取付第一工程の次に、図11に示すように、枠状部14の長辺を構成する一対の廻り縁部材11のそれぞれの長さ方向の、残りの部分のうちの仮設治具68を避けた所定位置と、枠状部14の短辺を構成する一対の廻り縁部材11のそれぞれの長さ方向の残りの部分の所定位置とに、仮設治具68に支持された状態のシート材70を係止部材71およびドリルビス72で取り付けるシート材取付第二工程を行う。このシート材取付第二工程においても、各取付位置に対して、上記と同様の取付基本工程をそれぞれ行う。
以上のシート材取付第一工程およびシート材取付第二工程が、仮設治具68に支持された状態のシート材70を枠状部14に取り付けるシート材取付工程となっている。
シート材取付工程の次に、図11に示す仮設治具68を図12に示すように下地15の枠状部14から取り外す、以下の脱落規制具取外工程、支持具取外工程および取付具取外工程を含む仮設治具撤去工程を行う。その際には、上記した仮設治具取付工程とは逆の手順で仮設治具68を取り外す。
つまり、まず、脱落規制具61を取り外す脱落規制具取外工程を行う。この脱落規制具取外工程では、図6に示すように一対の挟持部43に取り付けられた状態の脱落規制具61を下方に引く。すると、脱落規制具61の一対の突出板部64が一対の挟持部43の両脱着ガイド部45を幅を狭める方向に押し、これらを弾性変形させながら乗り越えてこれらから離れる。すると、一対の挟持部43は、元に戻る。あるいは、脱落規制具61を側方にスライドさせて一対の挟持部43から取り外す。
次に、支持具51を取り外す支持具取外工程を行う。この支持具取外工程では、支持具51を下方に引く。すると、支持具51が、一対の挟持部43の両脱着ガイド部45を押し広げる方向に押し、これらを弾性変形させながら乗り越えてこれらから離れる。すると、一対の挟持部43は元に戻る。
次に、取付具41を取り外す取付具取外工程を行う。この取付具取外工程では、図4に示すドリルビス48の廻り縁部材11への螺合を解除し、廻り縁部材11からドリルビス48および取付具41を取り外す。
これらの脱落規制具取外工程、支持具取外工程および取付具取外工程を複数の仮設治具68のそれぞれに対して行う。その際に、各仮設治具68毎に脱落規制具取外工程、支持具取外工程および取付具取外工程を行っても良く、複数の仮設治具68で纏めて脱落規制具取外工程を行ってから、纏めて支持具取外工程を行い、纏めて取付具取外工程を行っても良い。あるいは、各仮設治具68毎に脱落規制具取外工程および支持具取外工程を行い、複数の仮設治具68で纏めて取付具取外工程を行っても良い。
仮設治具撤去工程の次(つまり後)に、枠状部14の長辺を構成する一対の廻り縁部材11のそれぞれの図11に示す仮設治具68が設置されていた所定位置に、図13に示すように、シート材70を係止部材71およびドリルビス72で取り付ける撤去後取付工程を行う。この撤去後取付工程においても、各取付位置に対して、上記と同様の取付基本工程をそれぞれ行う。これにより、枠状部14の内側範囲を覆うようにシート材70を枠状部14のほぼ全周にわたって取り付けることになって、シート材70が枠状部14に展張された展張状態となる。
撤去後取付工程の次に、シート材70の係止部材71よりも枠状部14の枠外方向に余長部分がある場合には、この余長を切断して除去する余長除去工程を行う。
余長除去工程を行う場合はその次に、行わない場合は撤去後取付工程の次に、枠状部14に図14に示すようにカバー部材81を取り付けるカバー取付工程を行う。ここでは、説明を簡素化するため、カバー部材81が一本ずつ枠状部14の4カ所の辺部のそれぞれに取り付けられる場合を説明するが、複数本のカバー部材81が同一直線上に連設されて枠状部14の一つの辺部を覆っても良い。
図15に示すように、カバー部材81は、枠状部14の廻り縁部材11に取り付けられて、廻り縁部材11の下向溝36、この下向溝36に挿入された係止部材71およびこの係止部材71を廻り縁部材11に固定している複数のドリルビス72を覆う。
カバー部材81は、例えば合成樹脂製の押し出し成形品であり、押し出し方向に長い長尺状をなしている。カバー部材81は、廻り縁部材11の当接板部24と係合板部34との間および下方延出板部32と係合板部34との間の隙間に挿入される一対の挿入板部82と、一対の挿入板部82の下端縁部を結んで水平に配置されるカバー板部83とを有している。カバー板部83は廻り縁部材11の全体を下側で覆っており、幅方向の一端側が廻り縁部材11の当接板部24を、幅方向の中間部から他端側が廻り縁部材11の下向溝36、この下向溝36に挿入された係止部材71およびこの係止部材71を廻り縁部材11に固定している複数のドリルビス72を、それぞれ覆っている。
カバー部材81は、カバー板部83の幅方向の他端縁部から上方に突出する上方突出板部84を有している。一対の挿入板部82には相互対向側それぞれに、係合突条85が上下に複数並設されている。係合突条85は、それぞれの相互近接側の面が下側ほど互いに近接するように傾斜し下面が水平に延在している。
カバー取付工程では、カバー部材81を、その一対の挿入板部82を廻り縁部材11の当接板部24と係合板部34との間の隙間および下方延出板部32と係合板部34との間の隙間に挿入しつつ、上限位置まで押し上げる。そして、押し上げを解除すると、最も上側の係合突条85の下面が最も上側の係合突条35の上面に当接し、廻り縁部材11に対して最も上側位置に下降不可に係止された状態となる。この状態で、二箇所の挿入板部82のそれぞれの複数の係合突条85が係合板部34の両面の複数の係合突条35に係合してカバー部材81が廻り縁部材11から抜け止めされた状態となる。
カバー取付工程では、枠状部14を構成するすべての廻り縁部材11を覆うようにカバー部材81を取り付ける。その際に、図14に示すように、直交して隣り合うカバー部材81同士を、隙間なく当接させるように予め端部を45度に切断した状態で突き合わせる。
以上のようにして、下地15とシート材70と係止部材71とドリルビス72とカバー部材81とを有する膜天井90が形成されることになり、展張されたシート材70と枠状に連設された複数のカバー部材81のカバー板部83とが室Rの天井面を構成することになる。
以上に述べた本実施形態によれば、下地施工工程において、枠状に配置される枠状部14を含む下地15を躯体側に施工し、仮設治具取付工程において、枠状部14で囲まれた内側範囲を横断するように仮設治具68を下地15に取り付け、シート材支持工程において、仮設治具68にシート材70を支持させ、シート材取付工程において、仮設治具68に支持された状態のシート材70を枠状部14に取り付け、仮設治具撤去工程において、仮設治具68を下地15から取り外す。このように、枠状部14で囲まれた内側範囲を横断するように取り付けられた仮設治具68によって支持した状態でシート材70を枠状部14に取り付けることができるため、ボード類と比べて柔軟性があるシート材70を施工する場合であっても施工の作業性を向上させることができる。また、枠状部14で囲まれた内側範囲を横断するように仮設治具68を下地に取り付ければよいことから、広く適用可能であり、コスト増を抑制することができる。
また、シート材支持工程において、枠状部14の、仮設治具68があることによりシート材70を取り付けることができなかった部分についても、撤去後取付工程においてシート材70を取り付けることができる。よって、シート材70を、より確実に仕上がり良く枠状部14に取り付けることができる。
また、シート材70を枠状部14に取り付けるシート材支持工程は、挟持工程において、枠状部14の下向溝36内に係止部材71を挿入して、これら下向溝36および係止部材71でシート材70を挟持し、締結工程において係止部材71を下向溝36にドリルビス48で締結する。このため、仕上がり良く施工するためには、シート材支持工程においてシート材70を展張状態に近い状態にしておくことが好ましく、よって、仮設治具68にシート材70を支持させる効果が高い。
また、仮設治具68を下地15に取り付ける仮設治具取付工程は、取付具取付工程において、一対の取付具41を枠状部14の内側範囲を跨ぐ位置に配置しそれぞれ一対の挟持部43が下方に延出するように下地15に取り付け、支持具取付工程において、支持具51を一対の挟持部43に下から上に押し込んで挟持させて支持具51を枠状部14の内側範囲を横断するように一対の取付具41に取り付ける。これにより、仮設治具68の取り付けが容易となり、作業性を向上させることができる。
以上の実施形態では、説明を簡素化するため、下地15が四つの辺部を有する枠状部14を一つのみ有する場合を説明した。しかしながら、例えば一枚のみのシート材では室の天井面を覆いきることができない場合等には、上記のように躯体壁に固定される枠状部の中間部にその内側範囲を横断するように中間下地部材を設けて、小さい枠状部を複数形成し、各枠状部に対して1枚ずつシート材を上記と同様にして展張することになる。
この場合、例えば、図16に示す中間下地部材11Aを用いることになる(図16では上記と対応する構成に上記と同一の符号を付している)。この中間下地部材11Aは、上記と同様の下向溝36を二カ所有することになり、各下向溝36に挿入される係止部材71とドリルビス72とで隣り合う枠状部14のシート材70が取り付けられる。また、カバー部材81Aは二カ所の下向溝36を覆うものとなる。この中間下地部材11Aに対しても、必要により上記した取付具取付工程を行うことになり、その際には、締結部材であるドリルビス48を、取付具41の貫通穴46に挿入し、側方延出板部25における何れか一方の側板部30とこれに近い下方延出板部32との間の部分つまり何れか一方の下向溝36の底部にねじ込む。このようにして、取付具41を中間下地部材11Aに取り付ける。