JP6420891B1 - 押出ラミネート用樹脂組成物及びラミネートフィルム - Google Patents
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Abstract
Description
エチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンと、炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜8のα−オレフィンとを共重合して得られるポリマーである。3〜30の炭素原子を有するα−オレフィンの例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドコセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−アイコセン〔sic〕、1−ドコセン〔sic〕、1−テトラコセン〔sic〕、1−ヘキサコセン〔sic〕、1−オクタコセン〔sic〕及び1−トリアコンタセン等が挙げられる。これらのα−オレフィンは、単独で、又は2種類以上を併用することができる。
上記低密度のエチレン・α−オレフィン共重合体の密度としては、0.890〜0.910g/cm3が好ましく、0.895〜0.907g/cm3がより好ましい。密度が0.890g/cm3未満では高温側のシール不良開始温度が低くなる傾向にあり、0.910g/cm3を超えると低温シール性が損なわれる傾向にある。
また、上記高密度のエチレン・α−オレフィン共重合体の密度としては、0.931〜0.945g/cm3が好ましく、0.933〜0.943g/cm3がより好ましい。密度が0.931g/cm3未満では高温側のシール不良開始温度が低くなる傾向にあり、0.945g/cm3を超えると低温シール性が損なわれる傾向にある。
上記低密度のエチレン・α−オレフィン共重合体の190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)は、12〜32g/10分であることが好ましく、13〜30g/10分であることが特に好ましい。メルトフローレート(MFR)が12g/10分未満では低温シール性が損なわれ、32g/10分を超えると高速充填可能な温度範囲が狭まる傾向にある。
また、上記高密度のエチレン・α−オレフィン共重合体の190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)は、1〜14g/10分であることが好ましく、2〜12g/10分であることがより好ましく、4〜8g/10分であることが特に好ましい。メルトフローレート(MFR)が1g/10分未満では低温シール性が損なわれる傾向にあり、14g/10分を超えると高速充填可能な温度範囲が狭まる傾向にある。
低密度ポリエチレンは、詳しくは、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン(以下、「高圧法低密度ポリエチレン」又は「LDPE」という場合がある。)とも称される。低密度ポリエチレンは、溶融弾性が高く、特に押出ラミネート加工時のネックインの改良に多く用いられる。本発明において、低密度ポリエチレンは、後述する物性が得られるように、単独で、又は2種類以上を併用することができる。
また、低密度ポリエチレンの密度としては、0.916〜0.935g/cm3が好ましく、0.917〜0.934g/cm3がより好ましく、0.918〜0.932g/cm3が特に好ましい。密度が上記範囲であることにより、低密度ポリエチレンとエチレン・α−オレフィン共重合体とブレンドした際、低温シール性を阻害しないため好ましい。
低密度ポリエチレンの190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)は、1〜10g/10分であることが好ましく、1〜8g/10分であることがより好ましく、2〜6g/10分であることが特に好ましい。メルトフローレート(MFR)が上記範囲であることにより、押出加工性(樹脂圧力、モーター負荷)や成形加工性(ネックイン)を改良することができるため好ましい。
本発明の押出ラミネート用樹脂組成物を基材層に押出ラミネートすることで、本発明のラミネートフィルムが得られる。本発明のラミネートフィルムにおいて、基材層に用いられる基材としては、上質紙、クラフト紙等の紙、アルミニウム箔等の金属箔、セロファン、織布、不織布、高分子重合体のフィルム等が挙げられる。高分子重合体のフィルムとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチルペンテン−1等のオレフィン重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル等のビニル共重合体、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン7、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ポリメタキシリレンアジパミド等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート等のフィルムを挙げることができる。更に、上記フィルムは、単独でも、2種類以上を併用してもよく、また、基材の種類によっては、延伸加工を行ったものでもよい。特に、一軸又は二軸延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリエチエンテレフタレートフィルム、延伸ポリスチレンフィルム等も用いられる。更に、上記基材上にポリ塩化ビニリデンやポリビニルアルコール等をコーティングしたものや、アルミ、アルミナやシリカ、又はアルミナ及びシリカの混合物を蒸着した基材を用いてもよい。液体や粘体の包装材料としては、二軸延伸ナイロンフィルムや二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、又はそれら基材上にシリカやアルミナを蒸着したものが多く用いられる。
[メルトフローレート(MFR)]
JIS K7210(190℃、2.16kg荷重)に準じて測定した。
[密度]
JIS K7112に準じて測定した。
JIS K7121に準じ、TAインスツルメントジャパン社製Q20型DSCを用いてアニール速度5℃/分(0℃まで)、融点測定時10℃/分の昇温速度で測定した。得られたDSC曲線で吸熱ピークのトップ部を融点とした。吸熱ピークは、明確なピークだけでなく、ショルダーピークも含む。また、吸熱ピークが2つ以上存在する場合は、それぞれのピークのトップ部の温度を読み取り、各ピークの融点とした。融解熱量は、装置付属の解析ソフトより算出し、吸熱ピークが2つ以上ある場合は、ピークとピークの間の凸部で分割し、融解熱量を算出した。2つ以上の吸熱ピークの場合は、融解熱量比を算出した。融解熱量比は、融解熱量の総和に対する各ピークの融解熱量の割合とした。
カラム温度の降下速度は、試料に含まれる結晶性成分の各温度における結晶化に必要な速度に、また、カラム温度の上昇速度は、各温度における溶出の溶解が完了し得る速度に調整する必要があり、このようなカラム温度の冷却速度および昇温速度は、予備実験をして決定した。測定条件は次のとおりである。
装置:CFC2型クロス分別クロマトグラフ(Polymer Char)
GPCカラム:昭和電工社製 shodex HT−806M×3本
溶離液:o−ジクロロベンゼン(ODCB)
カラム温度:140℃
(カラム校正)
サンプル濃度:120mg/30mL
注入量:0.5mL
流量:1.0mL/min
結晶化速度:1℃/分
TREF測定によって得られた各溶出温度における溶出成分のクロマトグラムは、装置付属のデータ処理プログラムにより処理され、総和が100%となるように規格化された溶出量が求められた。さらに、溶出温度に対する積分溶出曲線が計算され、この積分溶出曲線を温度で微分して、微分溶出曲線を求めた。本実施例のピークは、ショルダーを示すピークも含む。また、複数のピークを有する場合、それぞれのピークとピークの間の谷部を境界としそれぞれのピーク面積を算出した。
液体自動充填包装機を用いて次の条件で液体を充填した。
包装形態:三方シール
縦シール温度:185℃
横シール温度:170℃から195℃
縦シール圧力:120kPa
横シール圧力:300kPa
袋寸法:75mm幅×100mmピッチ
充填物:水30℃
充填量:20g
充填速度:25m/min
耐圧試験機を用いて100kgで1分間荷重をかけ、破袋やシール後退により水漏れの有無を確認した。
発泡等の横シール外観が良好であり、耐圧試験で破袋や水漏れがない場合を○とし、それ以外は×と評価した。
[樹脂組成物の作製]
表1に示す、メタロセン触媒を用いて気相法プロセスで重合して得られたパウダー状のエチレン・1−ヘキセン共重合体(A)(LLDPE(A))及びエチレン・1−ヘキセン共重合体(B)(LLDPE(B))、並びに高圧重合法で得られた低密度ポリエチレン(C)(LDPE(C))を重量比率(A):(B):(C)=50:30:20で含むポリマーと、酸化防止剤としてBASF社製イルガノックス1076とイルガフォス168を各1000ppm、さらに、中和剤としてステアリン酸カルシウムを500ppm配合し、適度な混練を与えるセグメント組み合わせの45mm三条二軸押出機(池貝鉄鋼製)を用いて200℃設定で溶融混練して実施例1に係る押出ラミネート用樹脂組成物のペレットを50kg得た。樹脂組成物の各物性の測定結果を表1に示す。
前記押出ラミネート用樹脂組成物のペレットを65mmφのシングル押出ラミネーター(住友重機械モダン製)を用いて、ダイ幅700mm、ダイス直下温度300℃、引取速度80m/minの条件で厚み15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(東洋紡製N2102)に、大日精化製のイソシアネート系アンカーコート剤(2710A/2710C/酢酸エチルを1対2対10の割合)で混合した溶液をアンカーコートロールにて塗工し、ラミネート部にてオゾンを吹きつけながら、上記押出ラミネート用樹脂組成物を厚み25μmになるように押出量を調整し、中間層としてラミネートした。さらに、中間層をラミネートした面に、上記成形機にて宇部丸善ポリエチレン製、032EB(MFR10g/min、密度0.902g/cm3)をダイス直下温度280℃、引取速度80m/min、厚み25μmをラミネート加工し、シーラント層を積層することで、評価用ラミネートフィルムを得た。ラミネートフィルムの充填適正評価の結果を表1に示す。
各成分を表1に示す値に変えたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2、3に係る押出ラミネート用樹脂組成物及び評価用ラミネートフィルムを得た。各物性の測定結果を表1に示す。
メタロセン触媒を用いて気相法プロセスで重合して得られたパウダー状のエチレン・1−ヘキセン共重合体に、高圧重合法で得られたLDPE、及び酸化防止剤としてBASF社製イルガノックス1076とイルガフォス168を各1000ppm、さらに中和剤としてステアリン酸カルシウムを500ppm配合し、適度な混練を与えるセグメント組み合わせの45mm三条二軸押出機(池貝鉄鋼製)を用いて200℃設定で溶融混練して比較例1に係る押出ラミネート用樹脂組成物のペレットを50kg得た。その後、比較例1に係る押出ラミネート用樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で評価用ラミネートフィルムを得た。各物性の測定結果を表1に示す。
メタロセン系触媒より得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体の代わりにチーグラー・ナッタ触媒を用いて得られたエチレン・1―オクテン共重合体を用いて、(C)成分を表1に示す値に変えたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2に係る押出ラミネート用樹脂組成物のペレットを得た。その後、比較例2に係る押出ラミネート用樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で評価用ラミネートフィルムを得た。各物性の測定結果を表1に示す。
Claims (3)
- 示差走査型熱量(DSC)測定により得られたDSC曲線が2つ以上の吸熱ピークを有し、全融解熱量に対する最も高温側の吸熱ピークの融解熱量の割合が20〜40%であり、
昇温溶出分別(TREF)測定により得られた微分溶出曲線が3つ以上のピークを有し、全体のピーク面積に対する最も高温側のピーク面積の割合が20〜40%であることを特徴とする押出ラミネート用樹脂組成物。 - エチレン−αオレフィン共重合体、及び低密度ポリエチレンを含むことを特徴とする請求項1記載の押出ラミネート用樹脂組成物。
- 基材層と、請求項1又は2記載の押出ラミネート用樹脂組成物からなるラミネート層とを備えることを特徴とするラミネートフィルム。
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