JP6420732B2 - 弾性波フィルタ、デュプレクサ、及びモジュール - Google Patents

弾性波フィルタ、デュプレクサ、及びモジュール Download PDF

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Description

本発明は、弾性波フィルタ、デュプレクサ、及びモジュールに関する。
携帯電話などの通信機器に用いられるフィルタとして、圧電材料を上下の電極で挟んだ圧電薄膜共振子をラダー型に接続したラダー型フィルタが知られている。また、複数のフィルタを含むデュプレクサ及びモジュールが、通信機器に組み込まれることもある。
圧電薄膜共振子に大きな電力が入力された場合、圧電材料のc軸方向に依存した非線形性が原因となり、出力信号に2次歪(2次高調波)が発生する。このような2次歪を抑制する方法として、ラダー型フィルタを構成する圧電薄膜共振子を直列に分割し、分割した各共振子の圧電材料のc軸又は分極軸の同じ方向の電極を同電位とすることや、圧電薄膜共振子を並列に分割し、分割した各共振子の圧電材料のc軸又は分極軸の同じ方向の電極を逆電位とすることが知られている(例えば、特許文献1、2)。
特開2008−85989号公報 特開2009−10932号公報
圧電薄膜共振子を直列に分割する場合、分割前の静電容量をCとすると、2Cの静電容量を有する共振子を直列に接続することになる。このため、共振領域の面積が大きくなってしまう。一方、圧電薄膜共振子を並列に分割する場合では、共振領域の面積が大きくなることは抑制される。しかしながら、ラダー型フィルタを構成する圧電薄膜共振子を並列に分割した各共振子の圧電材料のc軸又は分極軸の同じ方向の電極を逆電位とするには、圧電材料を挟む上下の電極を入れ替える配線を形成することになる。このため、配線を形成する領域を確保することになり、フィルタが大型化してしまう。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、2次歪の抑制と大型化の抑制とを両立することが可能な弾性波フィルタ、デュプレクサ、及びモジュールを提供することを目的とする。
本発明は、入力端子と出力端子との間に直列に接続され、圧電薄膜共振子からなる複数の直列共振子と、前記入力端子と前記出力端子との間に並列に接続され、圧電薄膜共振子からなる1又は複数の並列共振子と、を備え、前記複数の直列共振子及び前記1又は複数の並列共振子のうち少なくとも2つの直列共振子と前記2つの直列共振子の間の並列共振子とは、1つの圧電材料を共有し、前記圧電材料のc軸又は分極軸の方向で前記圧電材料を下部電極及び上部電極で挟んだ第1分割共振子と、前記第1分割共振子に並列に接続され、前記第1分割共振子と前記c軸又は分極軸の同じ方向の電極が逆電位となるように前記圧電材料を下部電極及び上部電極で挟んだ第2分割共振子とに分割されていて、前記少なくとも2つの直列共振子と前記2つの直列共振子の間の前記並列共振子との前記第1分割共振子からなる第1共振子群と前記第2分割共振子からなる第2共振子群とは、前記第1共振子群及び前記第2共振子群より前記入力端子側及び前記出力端子側にある2つのノードの間で互いに並列に接続され、前記少なくとも2つの直列共振子の前記第1分割共振子と前記第2分割共振子とは、前記2つのノード以外では互いに電気的に接続されていなく、前記2つのノードの少なくとも一方と前記第1共振子群又は前記第2共振子群との間に、前記圧電材料を挟む前記下部電極と前記上部電極との接続を切替える接続切替部が形成されていることを特徴とする弾性波フィルタである
上記構成において、前記少なくとも2つの直列共振子と前記2つの直列共振子の間の前記並列共振子のそれぞれは、前記第1分割共振子の静電容量と前記第2分割共振子の静電容量とがほぼ同じである構成とすることができる。
上記構成において、前記少なくとも2つの直列共振子と前記2つの直列共振子の間の前記並列共振子のそれぞれは、前記第1分割共振子の共振周波数と前記第2分割共振子の共振周波数とがほぼ同じである構成とすることができる。
上記構成において、前記少なくとも2つの直列共振子と前記2つの直列共振子の間の前記並列共振子のそれぞれは、前記第1分割共振子のインピーダンスと前記第2分割共振子のインピーダンスとがほぼ同じである構成とすることができる。
上記構成において、前記複数の直列共振子及び前記1又は複数の並列共振子のうち最も前記出力端子側の共振子は、前記第1分割共振子及び前記第2分割共振子に分割されている構成とすることができる。
上記構成において、前記少なくとも2つの直列共振子と前記2つの直列共振子の間の前記並列共振子の少なくとも1つは、前記第1分割共振子がさらに分割されている構成とすることができる。
上記構成において、前記1又は複数の並列共振子のうち最も前記出力端子側の並列共振子は前記第1分割共振子及び前記第2分割共振子に分割されていて、前記最も出力端子側の並列共振子が分割された前記第1分割共振子及び前記第2分割共振子とグランドとの間に直列に接続されたインダクタを備え、前記最も出力端子側の並列共振子は、前記弾性波フィルタの通過帯域の2倍に相当する周波数帯域に減衰極を形成する構成とすることができる。
上記構成において、前記複数の直列共振子の全てと前記1又は複数の並列共振子の全てとが、前記第1分割共振子及び前記第2分割共振子に分割されている構成とすることができる。
本発明は、入力端子と出力端子との間に直列に接続され、圧電薄膜共振子からなる1又は複数の直列共振子と、前記入力端子と前記出力端子との間に並列に接続され、圧電薄膜共振子からなる複数の並列共振子と、を備え、前記複数の並列共振子及び前記1又は複数の直列共振子のうち2つの並列共振子と前記2つの並列共振子の間の直列共振子とは、1つの圧電材料を共有し、前記圧電材料のc軸又は分極軸の方向で前記圧電材料を下部電極及び上部電極で挟んだ第1分割共振子と、前記第1分割共振子に並列に接続され、前記第1分割共振子と前記c軸又は分極軸の同じ方向の電極が逆電位となるように前記圧電材料を下部電極及び上部電極で挟んだ第2分割共振子とに分割されていて、前記2つの並列共振子と前記2つの並列共振子の間の前記直列共振子との前記第1分割共振子からなる第1共振子群と前記第2分割共振子からなる第2共振子群とは、前記第1共振子群及び前記第2共振子群より前記入力端子側及び前記出力端子側にある2つのノードの間で互いに並列に接続され、前記2つの並列共振子の間の前記直列共振子の前記第1分割共振子と前記第2分割共振子とは、前記2つのノード以外では互いに電気的に接続されていなく、前記2つのノードの少なくとも一方と前記第1共振子群又は前記第2共振子群との間に、前記圧電材料を挟む前記下部電極と前記上部電極との接続を切替える接続切替部が形成されていることを特徴とする弾性波フィルタである
本発明は、送信フィルタと受信フィルタを備え、前記送信フィルタ及び前記受信フィルタの少なくとも一方が上記のいずれかに記載の弾性波フィルタであることを特徴とするデュプレクサである。
本発明は、上記のいずれかに記載の弾性波フィルタを備えることを特徴とするモジュールである。
本発明によれば、2次歪の抑制と大型化の抑制とを両立することができる。
図1(a)及び図1(b)は、圧電材料を1対の電極で挟んだ圧電薄膜共振子を示す図である 図2(a)は、2次歪電圧を抑制できない場合を示す図であり、図2(b)は、2次歪電圧を抑制できる場合を示す図である。 図3は、実施例1に係るラダー型フィルタを示す図である。 図4(a)は、実施例1に係るラダー型フィルタの上面図、図4(b)は、図4(a)のA−A間の断面図である。 図5は、比較例1に係るラダー型フィルタを示す図である。 図6は、実施例1のラダー型フィルタの2次歪のシミュレーション結果を示す図である。 図7は、比較例2に係るラダー型フィルタを示す図である。 図8は、実施例2に係るラダー型フィルタを示す図である。 図9は、実施例2のラダー型フィルタの2次歪のシミュレーション結果を示す図である。 図10は、比較例2と同じ方法で2つの直列共振子とその間の並列共振子を並列に分割した場合を示す図である。 図11は、実施例3に係るラダー型フィルタを示す図である。 図12は、実施例3のラダー型フィルタの2次歪のシミュレーション結果を示す図である。 図13は、実施例4に係るラダー型フィルタを示す図である。 図14は、実施例4のラダー型フィルタの2次歪のシミュレーション結果を示す図である。 図15は、実施例4の変形例1に係るラダー型フィルタを示す図である。 図16は、実施例4の変形例1のラダー型フィルタの2次歪のシミュレーション結果を示す図である。 図17は、実施例5に係るラダー型フィルタを示す図である。 図18は、実施例5のラダー型フィルタの2次歪のシミュレーション結果を示す図である。 図19は、実施例5の変形例1に係るラダー型フィルタを示す図である。 図20は、実施例5の変形例1のラダー型フィルタの2次歪のシミュレーション結果を示す図である。 図21は、実施例6に係るラダー型フィルタを示す図である。 図22は、実施例6のラダー型フィルタの2次歪のシミュレーション結果を示す図である。 図23は、実施例6の変形例1に係るラダー型フィルタを示す図である。 図24は、実施例6の変形例1のラダー型フィルタの2次歪のシミュレーション結果を示す図である。 図25は、実施例7に係るラダー型フィルタを示す図である。 図26は、実施例8に係るラダー型フィルタを示す図である。 図27は、実施例8のラダー型フィルタの2次歪のシミュレーション結果を示す図である。 図28は、比較例2と同じ方法で2つの並列共振子とその間の直列共振子を並列に分割した場合を示す図である。 図29は、実施例8の変形例1に係るラダー型フィルタを示す図である。 図30は、実施例8の変形例1に係るラダー型フィルタの上面図である。 図31は、実施例9に係るデュプレクサを示すブロック図である。 図32は、実施例10に係るモジュールを含む移動体通信機を示すブロック図である。
まず、圧電薄膜共振子の圧電材料に生じる2次歪電圧について説明する。図1(a)及び図1(b)は、圧電材料84を1対の電極(下部電極82及び上部電極86)で挟んだ圧電薄膜共振子80を示す図である。圧電薄膜共振子では、共振周波数の波長(λ)の1/2が圧電材料の厚さに相当する。つまり、圧電薄膜共振子は、1/2λ厚み共振を使用した共振子である。このため、図1(a)のように、圧電材料84の上下の面がそれぞれ+及び−のいずれかに分極するように励振する。
一方、2次歪の周波数の波長は圧電材料の厚さに相当する。このため、図1(b)のように、圧電材料84の上下の面が共に+又は−に分極するように励振する。圧電材料84に対称性があれば、2次モードは上下電極が同電位となるため、このような歪成分は生じないはずである。しかしながら、良好な特性を得るために圧電材料84として窒化アルミニウム(AlN)や酸化亜鉛(ZnO)を用い、圧電材料84のc軸の方向で圧電材料84を下部電極82及び上部電極86で挟んだ場合、c軸方向の対称性が崩れ電界の分布に偏りが生じる。図1(b)では、圧電材料84のc軸配向方向を圧電材料84内の白矢印で示す。このとき、圧電材料84の上下に電位差が生じる。これにより発生する電圧を2次歪電圧と呼び、圧電材料84の横の矢印で示す。図1(b)では、c軸配向方向は下部電極82から上部電極86の方向であり、この方向に2次歪電圧が発生する。
2次歪電圧を抑制する方法について、図2(a)及び図2(b)を用いて説明する。図2(a)は、2次歪電圧を抑制できない場合を示す図であり、図2(b)は、2次歪電圧を抑制できる場合を示す図である。図2(a)では、第1圧電薄膜共振子90と第2圧電薄膜共振子92とが並列に接続されている。第1圧電薄膜共振子90と第2圧電薄膜共振子92とは、c軸の同じ方向の電極が同電位となるように接続されている。つまり、第1圧電薄膜共振子90及び第2圧電薄膜共振子92のc軸配向方向の上部電極86同士が同電位となるように接続されている。また、第1圧電薄膜共振子90及び第2圧電薄膜共振子92のc軸配向の逆方向の下部電極82同士が同電位となるように接続されている。このため、第1圧電薄膜共振子90と第2圧電薄膜共振子92との2次歪電圧は端子T2から端子T1の方向に加わる。よって、第1圧電薄膜共振子90と第2圧電薄膜共振子92との2次歪電圧は強め合う。
一方、図2(b)では、第1圧電薄膜共振子90と第2圧電薄膜共振子92とが並列に接続され、第1圧電薄膜共振子90と第2圧電薄膜共振子92とは、c軸の同じ方向の電極が逆電位となるように接続されている。つまり、第1圧電薄膜共振子90の上部電極86と第2圧電薄膜共振子92の下部電極82とが接続され、第1圧電薄膜共振子90の下部電極82と第2圧電薄膜共振子92の上部電極86とが接続されている。このため、第1圧電薄膜共振子90の2次歪電圧は端子T2から端子T1の方向に加わり、第2圧電薄膜共振子92の2次歪電圧は端子T1から端子T2の方向に加わる。よって、第1圧電薄膜共振子90と第2圧電薄膜共振子92との2次歪電圧は相殺する。このため、2次歪を抑制することができる。そこで、このような2次歪の抑制方法を踏まえた上で、実施例について以下に説明する。
図3は、実施例1に係るラダー型フィルタ100を示す図である。なお、図3では、各共振子の横に2次歪電圧の向きを矢印で示している(図7、図8、図10、図11、図13、図15、図17、図19、図21、図23、図25、図26、図28、及び図29においても同じ)。図3のように、実施例1のラダー型フィルタ100は、入力端子INと出力端子OUTとの間に、1又は複数の直列共振子S1〜S4が直列に接続され、1又は複数の並列共振子P1〜P3が並列に接続されている。直列共振子S1は、第1分割共振子S1aと、第1分割共振子S1aに並列に接続された第2分割共振子S1bと、に分割されている。直列共振子S2〜S4及び並列共振子P1〜P3も同様に、第1分割共振子S2a、S3a、S4a、P1a、P2a、P3aと、第1分割共振子に並列に接続された第2分割共振子S2b、S3b、S4b、P1b、P2b、P3bと、に分割されている。
第1分割共振子S1a〜S4a、P1a〜P3aは、分割された直列共振子S1〜S4よりも入力端子IN側及び出力端子OUT側に位置するノードN1、N2の間に接続された第1経路16に設けられている。第2分割共振子S1b〜S4b、P1b〜P3bは、ノードN1、N2の間に接続された第1経路16とは異なる第2経路18に設けられている。すなわち、第1分割共振子S1a〜S4a、P1a〜P3aは、入力端子INと直列共振子S1との間のノードN1に一端が接続され、出力端子OUTと直列共振子S4との間のノードN2に他端が接続された第1経路16に設けられている。第2分割共振子S1b〜S4b、P1b〜P3bは、一端がノードN1に接続され、他端がノードN2に接続された第2経路18に設けられている。
第1経路16と第2経路18とは、ノードN1、N2の間で互いに並列に接続されている。したがって、第1分割共振子S1a〜S4a、P1a〜P3aからなる第1共振子群12と、第2分割共振子S1b〜S4b、P1b〜P3bからなる第2共振子群14とは、第1共振子群12及び第2共振子群14よりも入力端子IN側及び出力端子OUT側にあるノードN1、N2の間で互いに並列に接続されている。直列共振子S1〜S4の第1分割共振子S1a〜S4aと第2分割共振子S1b〜S4bとは、ノードN1、N2以外では電気的に接続されていない。
第1分割共振子S1aと第2分割共振子S1bとは、圧電材料のc軸の同じ方向の電極が互いに逆電位となるように接続されている。このため、2次歪電圧が逆方向に発生する。同様に、第1分割共振子S2aと第2分割共振子S2b、第1分割共振子S3aと第2分割共振子S3b、第1分割共振子S4aと第2分割共振子S4bも、圧電材料のc軸の同じ方向の電極が互いに逆電位となるように接続されているため、2次歪電圧が逆方向に発生する。並列共振子も同様に、第1分割共振子P1aと第2分割共振子P1b、第1分割共振子P2aと第2分割共振子P2b、第1分割共振子P3aと第2分割共振子P3bは、圧電材料のc軸の同じ方向の電極が互いに逆電位となるように接続されているため、2次歪電圧が逆方向に発生する。
第1分割共振子S1aと第2分割共振子S1bの静電容量は、直列共振子S1の静電容量のほぼ半分で、ほぼ同じ大きさである。第1分割共振子S1aと第2分割共振子S1bの共振周波数及びインピーダンスは、ほぼ同じ大きさである。同様に、第1分割共振子S2aと第2分割共振子S2b、第1分割共振子S3aと第2分割共振子S3b、第1分割共振子S4aと第2分割共振子S4bの静電容量は、直列共振子S2〜S4の静電容量のほぼ半分で、ほぼ同じ大きさである。第1分割共振子S2aと第2分割共振子S2b、第1分割共振子S3aと第2分割共振子S3b、第1分割共振子S4aと第2分割共振子S4bの共振周波数及びインピーダンスは、ほぼ同じ大きさである。並列共振子も同様に、第1分割共振子P1aと第2分割共振子P1b、第1分割共振子P2aと第2分割共振子P2b、第1分割共振子P3aと第2分割共振子P3bの静電容量は、並列共振子P1〜P3の静電容量のほぼ半分で、ほぼ同じ大きさである。第1分割共振子P1aと第2分割共振子P1b、第1分割共振子P2aと第2分割共振子P2b、第1分割共振子P3aと第2分割共振子P3bの共振周波数及びインピーダンスは、ほぼ同じ大きさである。なお、ほぼ同じ大きさとは、製造誤差などによる違いは同じ大きさと見なすものである。
図4(a)は、実施例1に係るラダー型フィルタ100の上面図、図4(b)は、図4(a)のA−A間の断面図である。図4(a)及び図4(b)のように、第1分割共振子S1a〜S4a、P1a〜P3a及び第2分割共振子S1b〜S4b、P1b〜P3bは、薄膜の圧電材料24を1対の電極(下部電極22及び上部電極26)で挟んだ圧電薄膜共振子である。下部電極22、圧電材料24、及び上部電極26は、基板20上に設けられている。圧電材料24を挟み下部電極22と上部電極26とが対向する領域が共振領域28である。共振領域28は、例えば楕円形形状を有し、厚み縦振動モードの弾性波が励振する領域である。なお、共振領域28は、多角形形状など、楕円形形状以外の形状であってもよい。共振領域28における基板20に凹部が形成され、当該凹部が空隙30となっている。凹部は、基板20を貫通していてもよいし、貫通していなくてもよい。なお、凹部の代わりに、基板20の平坦上面と下部電極22との間にドーム状の空隙が形成されている場合でもよい。空隙の代わりに、音響インピーダンス膜が形成されている場合でもよい。入力電極IN、出力電極OUT、及びグランド電極GNDは、例えばフリップチップ実装のためのバンプである。
入力電極INと第1分割共振子S1a及び第2分割共振子S1bとの間に、第1分割共振子S1aと第2分割共振子S1bが圧電材料24のc軸の同じ方向の電極が互いに逆電位となるように、上部電極26と下部電極22とを切替えるための接続切替部32が形成されている。同様に、出力電極OUTと第1分割共振子S4a及び第2分割共振子S4bとの間に、第1分割共振子S4aと第2分割共振子S4bが圧電材料24のc軸の同じ方向の電極が互いに逆電位となるように、上部電極26と下部電極22とを切替えるための接続切替部32が形成されている。接続切替部32は、圧電材料24に下部電極22が露出する開口が形成され、当該開口で露出した下部電極22と圧電材料24上の上部電極26とを接続する金属配線が形成された構造となっている。なお、接続切替部32は、このような構造に限定されるわけではなく、下部電極22と上部電極26とが接続される構造であれば、その他の構造でもよい。
基板20としては、例えばシリコン基板、石英基板、ガラス基板、セラミック基板、又はガリウム砒素基板などを用いることができる。下部電極22及び上部電極26としては、例えばクロム(Cr)、ルテニウム(Ru)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、又はイリジウム(Ir)などの金属単層膜又はこれらの積層膜を用いることができる。圧電材料24としては、例えば窒化アルミニウム(AlN)、酸化亜鉛(ZnO)などを用いることができる。
ここで、発明者が行ったシミュレーションについて説明する。発明者は、実施例1のラダー型フィルタ100に対して2次歪を調査するシミュレーションを行った。また、比較のために、比較例1に係るラダー型フィルタ500についても2次歪を調査するシミュレーションを行った。図5は、比較例1に係るラダー型フィルタ500を示す図である。図5のように、比較例1のラダー型フィルタ500は、直列共振子S1〜S4及び並列共振子P1〜P3が分割されていない点で実施例1と異なる。シミュレーションに用いたラダー型フィルタのパラメータを表1に示す。
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表1のように、比較例1のラダー型フィルタ500の各共振子の静電容量C0及び共振周波数と、実施例1のラダー型フィルタ100の分割前の各共振子の静電容量C0及び共振周波数と、を同じにした。実施例1のラダー型フィルタ100では、分割後の各共振子の静電容量C0を分割前の1/2倍の大きさにし、分割後の各共振子の共振周波数frを分割前と同じ大きさにした。また、圧電材料24には窒化アルミニウムを用いた。
図6は、実施例1のラダー型フィルタ100の2次歪のシミュレーション結果を示す図である。実施例1のラダー型フィルタ100のシミュレーション結果を実線で、比較例1のラダー型フィルタ500のシミュレーション結果を破線で示している。図6の横軸は周波数(MHz)である。縦軸は2次高調波(dB)である。図6のように、実施例1は、比較例1に比べて、2次高調波が抑えられた結果となった。実施例1のラダー型フィルタ100で2次高調波が抑えられたのは、直列共振子S1〜S4及び並列共振子P1〜P3が、圧電材料24のc軸の同じ方向の電極が逆電位となるように並列に接続された分割共振子に分割されているため、2次歪電圧が相殺し合ったことによるものと考えられる。
このように、実施例1によれば、直列共振子S1〜S4及び並列共振子P1〜P3は、第1分割共振子S1a〜S4a、P1a〜P3aと第2分割共振子S1b〜S4b、P1b〜P3bとに分割されている。第1分割共振子S1a〜S4a、P1a〜P3aと第2分割共振子S1b〜S4b、P1b〜P3bとは、圧電材料24のc軸の同じ方向の電極が互いに逆電位となるように並列に接続されている。これにより、2次歪電圧を相殺させることができ、その結果、2次歪を抑制することができる。
図7は、比較例2に係るラダー型フィルタ510を示す図である。図7のように、比較例2のラダー型フィルタ510は、直列共振子S1は分割されず、直列共振子S2と並列共振子P1、直列共振子S3と並列共振子P2、直列共振子S4と並列共振子P3が一纏めとして別々に並列に分割されている点で実施例1と異なる。
比較例2では、直列共振子S2と並列共振子P1、直列共振子S3と並列共振子P2、直列共振子S4と並列共振子P3が一纏めとして別々に並列に分割されている。このため、上部電極26と下部電極22とを切替えるための接続切替部32が6つ形成される。なお、比較例2では、3つの直列共振子S2〜S4が別々に並列に分割された場合を例に示したが、少なくとも2つ以上の直列共振子が別々に並列に分割されると、4つ以上の接続切替部32が形成されることになる。接続切替部32は、上述したように下部電極22と上部電極26とを接続する金属配線が形成されることから、共振子の間隔を広げて金属配線を形成する領域を確保することがなされる。このため、接続切替部32の形成箇所が多いほど、フィルタが大型化してしまう。
これに対し、実施例1では、第1分割共振子S1a〜S4a、P1a〜P3aからなる第1共振子群12と、第2分割共振子S1b〜S4b、P1b〜P3bからなる第2共振子群14とが、ノードN1、N2の間で互いに並列に接続されている。そして、直列共振子S1〜S4の第1分割共振子S1a〜S4aと第2分割共振子S1b〜S4bとは、ノードN1、N2以外では互いに電気的に接続されていない。これにより、図4(a)のように、接続切替部32を2つに低減することができ、フィルタの大型化を抑制することができる。
また、実施例1によれば、最も出力端子OUT側の直列共振子S4は、第1分割共振子S4aと第2分割共振子S4bとに分割されている。出力端子OUT側に位置する共振子は2次歪に与える影響が大きいことから、出力端子OUT側の共振子を分割することで、2次歪を効果的に抑制することができる。なお、実施例1では、最も出力端子OUT側の共振子が直列共振子の場合であるが、並列共振子の場合でも同様である。
また、実施例1によれば、直列共振子S1〜S4及び並列共振子P1〜P3それぞれは、第1分割共振子の静電容量と第2分割共振子の静電容量とが、ほぼ同じ大きさとなっている。これにより、共振領域の面積の増加を抑制でき、フィルタの大型化を抑制できる。
図8は、実施例2に係るラダー型フィルタ110を示す図である。図8のように、実施例2のラダー型フィルタ110は、直列共振子S3、S4及び並列共振子P3は並列に分割されているが、直列共振子S1、S2及び並列共振子P1、P2は分割されていない。第1分割共振子S3a、S4a、P3aは、ノードN1、N2の間の第1経路16に設けられている。第2分割共振子S3b、S4b、P3bは、ノードN1、N2の間の第2経路18に設けられている。したがって、第1分割共振子S3a、S4a、P3aからなる第1共振子群12と、第2分割共振子S3b、S4b、P3bからなる第2共振子群14とは、第1共振子群12及び第2共振子群14より入力端子IN側及び出力端子OUT側にあるノードN1、N2の間で互いに並列に接続されている。直列共振子S3、S4の第1分割共振子S3a、S4aと第2分割共振子S3b、S4bとは、ノードN1、N2以外では互いに電気的に接続されていない。その他の構成は、実施例1と同一又は同等であるため説明を省略する。
図9は、実施例2のラダー型フィルタ110の2次歪のシミュレーション結果を示す図である。なお、比較のために、比較例1のラダー型フィルタ500のシミュレーション結果も示している。シミュレーションは、図6の場合と同様に表1のパラメータを用いて行った。図9のように、実施例2は、比較例1に比べて、2次高調波が抑えられた結果となった。
このように、実施例2によれば、直列共振子S3、S4及び並列共振子P3は、圧電材料24のc軸の同じ方向の電極が互いに逆電位となるように並列に接続された第1分割共振子S3a、S4a、P3aと第2分割共振子S3b、S4b、P3bとに分割されている。これにより、2次歪電圧を相殺させることができ、その結果、2次歪を抑制することができる。
図10は、比較例2と同じ方法で2つの直列共振子S3、S4とその間の並列共振子P3を並列に分割した場合を示す図である。図10のように、比較例2と同じ方法で2つの直列共振子S3、S4とその間の並列共振子P3を並列に分割すると、接続切替部32は4つ形成される。
これに対し、実施例2では、第1分割共振子S3a、S4a、P3aからなる第1共振子群12と第2分割共振子S3b、S4b、P3bからなる第2共振子群14とは、ノードN1、N2の間で互いに並列に接続されている。そして、直列共振子S3、S4の第1分割共振子S3a、S4aと第2分割共振子S3b、S4bとは、ノードN1、N2以外では互いに電気的に接続されていない。これにより、接続切替部32を2つに低減することができ、フィルタの大型化を抑制できる。
図11は、実施例3に係るラダー型フィルタ120を示す図である。図11のように、実施例3のラダー型フィルタ120は、直列共振子S3、S4及び並列共振子P2、P3は並列に分割されているが、直列共振子S1、S2及び並列共振子P1は分割されていない。第1分割共振子S3a、S4a、P2a、P3aは、ノードN1、N2の間の第1経路16に設けられている。第2分割共振子S3b、S4b、P2b、P3bは、ノードN1、N2の間の第2経路18に設けられている。したがって、第1分割共振子S3a、S4a、P2a、P3aからなる第1共振子群12と、第2分割共振子S3b、S4b、P2b、P3bからなる第2共振子群14とは、第1共振子群12及び第2共振子群14より入力端子IN側及び出力端子OUT側にあるノードN1、N2の間で互いに並列に接続されている。直列共振子S3、S4の第1分割共振子S3a、S4aと第2分割共振子S3b、S4bとは、ノードN1、N2以外では互いに電気的に接続されていない。その他の構成は、実施例1と同一又は同等であるため説明を省略する。
図12は、実施例3のラダー型フィルタ120の2次歪のシミュレーション結果を示す図である。なお、比較のために、比較例1のラダー型フィルタ500のシミュレーション結果も示している。シミュレーションは、図6の場合と同様に表1のパラメータを用いて行った。図12のように、実施例3は、比較例1に比べて、2次高調波が抑えられた結果となった。
このように、実施例3によれば、直列共振子S3、S4及び並列共振子P2、P3は、圧電材料24のc軸の同じ方向の電極が互いに逆電位となるように並列に接続された第1分割共振子S3a、S4a、P2a、P3aと第2分割共振子S3b、S4b、P2b、P3bとに分割されている。これにより、2次歪電圧を相殺させることができ、その結果、2次歪を抑制することができる。また、第1分割共振子S3a、S4a、P2a、P3aからなる第1共振子群12と第2分割共振子S3b、S4b、P2b、P3bからなる第2共振子群14とは、ノードN1、N2の間で互いに並列に接続されている。そして、直列共振子S3、S4の第1分割共振子S3a、S4aと第2分割共振子S3b、S4bとは、ノードN1、N2以外では互いに電気的に接続されていない。これにより、接続切替部32を2つに低減することができ、フィルタの大型化を抑制できる。
図13は、実施例4に係るラダー型フィルタ130を示す図である。図13のように、実施例4のラダー型フィルタ130は、第1分割共振子S3aが、2つの共振子S3a−1、S3a−2に直列に分割されている点で実施例3と異なる。共振子S3a−1とS3a−2とは、2次歪電圧が逆向きに発生するように接続されている。接続切替部32は、直列共振子S4と出力端子OUTとの間には形成されているが、直列共振子S2とS3との間には形成されていない。その他の構成は、実施例3と同一又は同等であるため説明を省略する。
図14は、実施例4のラダー型フィルタ130の2次歪のシミュレーション結果を示す図である。なお、比較のために、比較例1のラダー型フィルタ500のシミュレーション結果も示している。シミュレーションは、図6の場合と同様に表1のパラメータを用いて行った。また、共振子S3a−1、S3a−2の静電容量は、分割共振子S3aの2倍とし、共振周波数は、分割共振子S3aと同じ大きさとした。図14のように、実施例4は、比較例1に比べて、2次高調波が抑えられた結果となった。
図15は、実施例4の変形例1に係るラダー型フィルタ140を示す図である。図15のように、実施例4の変形例1のラダー型フィルタ140は、共振子S3a−1とS3a−2とは、2次歪電圧が同じ向きに発生するように接続されている。このため、共振子S3a−1とS3a−2との間に、接続切替部32が形成されている。その他の構成は、実施例4と同一又は同等であるため説明を省略する。
図16は、実施例4の変形例1のラダー型フィルタ140の2次歪のシミュレーション結果を示す図である。なお、比較のために、比較例1のラダー型フィルタ500のシミュレーション結果も示している。シミュレーションは、図6の場合と同様に表1のパラメータを用いて行った。また、共振子S3a−1、S3a−2の静電容量は、分割共振子S3aの2倍とし、共振周波数は、分割共振子S3aと同じ大きさとした。図16のように、実施例4の変形例1は、比較例1に比べて、2次高調波が抑えられた結果となった。
実施例4及び実施例4の変形例1のように、直列共振子S3の第1分割共振子S3aがさらに2つの共振子S3a−1、S3a−2に分割されていてもよい。また、共振子S3a−1とS3a−2との2次歪電圧の向きは、反対の向きでもよいし、同じ向きでもよい。
図17は、実施例5に係るラダー型フィルタ150を示す図である。図17のように、実施例5のラダー型フィルタ150は、第1分割共振子S4aが、2つの共振子S4a−1、S4a−2に直列に分割されている点で実施例3と異なる。共振子S4a−1とS4a−2とは、2次歪電圧が逆向きに発生するように接続されている。接続切替部32は、直列共振子S2とS3の間には形成されているが、直列共振子S4と出力端子OUTとの間には形成されていない。その他の構成は、実施例3と同一又は同等であるため説明を省略する。
図18は、実施例5のラダー型フィルタ150の2次歪のシミュレーション結果を示す図である。なお、比較のために、比較例1のラダー型フィルタ500のシミュレーション結果も示している。シミュレーションは、図6の場合と同様に表1のパラメータを用いて行った。また、共振子S4a−1、S4a−2の静電容量は、分割共振子S4aの2倍とし、共振周波数は、分割共振子S4aと同じ大きさとした。図18のように、実施例5は、比較例1に比べて、2次高調波が抑えられた結果となった。
図19は、実施例5の変形例1に係るラダー型フィルタ160を示す図である。図19のように、実施例5の変形例1のラダー型フィルタ160は、共振子S4a−1とS4a−2とは、2次歪電圧が同じ向きに発生するように接続されている。このため、共振子S4a−1とS4a−2との間に、接続切替部32が形成されている。その他の構成は、実施例5と同一又は同等であるため説明を省略する。
図20は、実施例5の変形例1のラダー型フィルタ160の2次歪のシミュレーション結果を示す図である。なお、比較のために、比較例1のラダー型フィルタ500のシミュレーション結果も示している。シミュレーションは、図6の場合と同様に表1のパラメータを用いて行った。また、共振子S4a−1、S4a−2の静電容量は、分割共振子S4aの2倍とし、共振周波数は、分割共振子S4aと同じ大きさとした。図20のように、実施例5の変形例1は、比較例1に比べて、2次高調波が抑えられた結果となった。
実施例5及び実施例5の変形例1のように、直列共振子S4の第1分割共振子S4aがさらに2つの共振子S4a−1、S4a−2に分割されていてもよい。また、共振子S4a−1とS4a−2との2次歪電圧の向きは、反対の向きでもよいし、同じ向きでもよい。
図21は、実施例6に係るラダー型フィルタ170を示す図である。図21のように、実施例6のラダー型フィルタ170は、第1分割共振子P3aが、2つの共振子P3a−1、P3a−2に直列に分割されている点で実施例3と異なる。共振子P3a−1とP3a−2とは、2次歪電圧が逆向きに発生するように接続されている。その他の構成は、実施例3と同一又は同等であるため説明を省略する。
図22は、実施例6のラダー型フィルタ170の2次歪のシミュレーション結果を示す図である。なお、比較のために、比較例1のラダー型フィルタ500のシミュレーション結果も示している。シミュレーションは、図6の場合と同様に表1のパラメータを用いて行った。また、共振子P3a−1、P3a−2の静電容量は、分割共振子P3aの2倍とし、共振周波数は、分割共振子P3aと同じ大きさとした。図22のように、実施例6は、比較例1に比べて、2次高調波が抑えられた結果となった。
図23は、実施例6の変形例1に係るラダー型フィルタ180を示す図である。図23のように、実施例6の変形例1のラダー型フィルタ180は、共振子P3a−1とP3a−2とは、2次歪電圧が同じ向きに発生するように接続されている。このため、共振子P3a−1とP3a−2との間に、接続切替部32が形成されている。その他の構成は、実施例6と同一又は同等であるため説明を省略する。
図24は、実施例6の変形例1のラダー型フィルタ180の2次歪のシミュレーション結果を示す図である。なお、比較のために、比較例1のラダー型フィルタ500のシミュレーション結果も示している。シミュレーションは、図6の場合と同様に表1のパラメータを用いて行った。また、共振子P3a−1、P3a−2の静電容量は、分割共振子P3aの2倍とし、共振周波数は、分割共振子P3aと同じ大きさとした。図24のように、実施例6の変形例1は、比較例1に比べて、2次高調波が抑えられた結果となった。
実施例6及び実施例6の変形例1のように、並列共振子P3の第1分割共振子P3aがさらに2つの共振子P3a−1、P3a−2に分割されていてもよい。また、共振子P3a−1とP3a−2との2次歪電圧の向きは、反対の向きでもよいし、同じ向きでもよい。
実施例4から実施例6のように、第1分割共振子と第2分割共振子とに分割された直列共振子及び並列共振子の少なくとも1つは、第1分割共振子がさらに2つに分割されてもよい。また、第2分割共振子がさらに2つに分割されてもよい。
また、実施例1から実施例6のように、複数の直列共振子及び1又は複数の並列共振子のうち少なくとも2つの直列共振子とその間の並列共振子とが、圧電材料24のc軸の同じ方向の電極が逆電位となるように並列に接続された第1分割共振子と第2分割共振子とに分割されることで、2次歪を抑制できる。また、第1分割共振子からなる第1共振子群12と第2分割共振子からなる第2共振子群14とがノードN1、N2の間で互いに並列に接続され且つ前記少なくとも2つの直列共振子の第1分割共振子と第2分割共振子とがノードN1、N2以外で互いに電気的に接続されないことで、フィルタの大型化を抑制できる。
また、実施例1のように、複数の直列共振子S1〜S4の全てと1又は複数の並列共振子P1〜P3の全てが、第1分割共振子と第2分割共振子に分割されることで、フィルタの大型化を抑制しつつ、2次歪を効果的に抑制できる。
図25は、実施例7に係るラダー型フィルタ190を示す図である。図25のように、実施例7のラダー型フィルタ190は、並列共振子P3が並列に分割された第1分割共振子P3a及び第2分割共振子P3bとグランドとの間にインダクタ40が接続されている。並列共振子P3は、インダクタ40によって、ラダー型フィルタ190の通過帯域の2倍に相当する周波数帯域に減衰極を形成する。その他の構成は、実施例1と同一又は同等であるため説明を省略する。
実施例7によれば、最も出力端子OUT側の並列共振子P3が第1分割共振子P3aと第2分割共振子P3bに分割され、第1分割共振子P3a及び第2分割共振子P3bとグランドとの間に直列にインダクタ40が接続されている。そして、並列共振子P3は、ラダー型フィルタ190の通過帯域の2倍に相当する周波数帯域に減衰極を形成する。これにより、2次歪をより抑制することができる。
図26は、実施例8に係るラダー型フィルタ200を示す図である。図26のように、実施例8のラダー型フィルタ200は、直列共振子S3及び並列共振子P2、P3は並列に分割されているが、直列共振子S1、S2、S4及び並列共振子P1は分割されていない。第1分割共振子S3a、P2a、P3aからなる第1共振子群12と第2分割共振子S3b、P2b、P3bからなる第2共振子群14とは、第1共振子群12及び第2共振子群14より入力端子IN側及び出力端子OUT側にあるノードN1、N2の間で互いに並列に接続されている。直列共振子S3の第1分割共振子S3aと第2分割共振子S3bとは、ノードN1、N2以外では互いに電気的に接続されていない。その他の構成は、実施例1と同一又は同等であるため説明を省略する。
図27は、実施例8のラダー型フィルタ200の2次歪のシミュレーション結果を示す図である。なお、比較のために、比較例1のラダー型フィルタ500のシミュレーション結果も示している。シミュレーションは、図6の場合と同様に表1のパラメータを用いて行った。図27のように、実施例8は、比較例1に比べて、2次高調波が抑えられた結果となった。
このように、実施例8によれば、直列共振子S3及び並列共振子P2、P3は、圧電材料24のc軸の同じ方向の電極が互いに逆電位となるように並列に接続された第1分割共振子S3a、P2a、P3aと第2分割共振子S3b、P2b、P3bとに分割されている。これにより、2次歪電圧を相殺させることができ、その結果、2次歪を抑制することができる。
図28は、比較例2と同じ方法で2つの並列共振子P2、P3とその間の直列共振子S3を並列に分割した場合を示す図である。図28のように、比較例2と同じ方法で2つの並列共振子P2、P3とその間の直列共振子S3を並列に分割すると、接続切替部32は3つ形成される。
これに対し、実施例8では、第1分割共振子S3a、P2a、P3aからなる第1共振子群12と第2分割共振子S3b、P2b、P3bからなる第2共振子群14とは、ノードN1、N2の間で互いに並列に接続されている。そして、直列共振子S3の第1分割共振子S3aと第2分割共振子S3bとは、ノードN1、N2以外では互いに電気的に接続されていない。これにより、接続切替部32を2つに低減することができ、フィルタの大型化を抑制できる。
図29は、実施例8の変形例1に係るラダー型フィルタ210を示す図である。図30は、実施例8の変形例1に係るラダー型フィルタ210の上面図である。図29及び図30のように、実施例8の変形例1のラダー型フィルタ210は、直列共振子S3及び並列共振子P2、P3に加えて、直列共振子S2、S4及び並列共振子P1も並列に分割されている点で実施例8と異なる。その他の構成は、実施例8と同一又は同等であるため説明を省略する。
なお、実施例1から実施例8では、直列共振子及び/又は並列共振子を2つの分割共振子に分割する場合を例に示したが、3つ以上の分割共振子に分割してもよい。また、圧電材料は、窒化アルミニウム、酸化亜鉛以外の材料であってもよい。窒化アルミニウム、酸化亜鉛以外の圧電材料を用いる場合、実施例1から実施例8において、c軸の方向の代わりに分極軸の方向とすることで、2次歪を抑制することができる。
図31は、実施例9に係るデュプレクサ300を示すブロック図である。図31のように、実施例9のデュプレクサ300は、送信フィルタ50と受信フィルタ52を備える。送信フィルタ50は、アンテナ端子Antと送信端子Txの間に接続されている。受信フィルタ52は、送信フィルタ50と共通のアンテナ端子Antと受信端子Rxの間に接続されている。
送信フィルタ50は、送信端子Txから入力された信号のうち送信帯域の信号を送信信号としてアンテナ端子Antに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。受信フィルタ52は、アンテナ端子Antから入力された信号のうち受信帯域の信号を受信信号として受信端子Rxに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。送信帯域と受信帯域は周波数が異なっている。なお、送信フィルタ50を通過した送信信号が受信フィルタ52に漏れずにアンテナ端子Antから出力されるようにインピーダンスを整合させる整合回路を備えていてもよい。
実施例9のデュプレクサ300に備わる送信フィルタ50及び受信フィルタ52の少なくとも一方を、実施例1から実施例8のラダー型フィルタとすることができる。
図32は、実施例10に係るモジュール400を含む移動体通信機を示すブロック図である。図32のように、移動体通信機は、送受信デバイスであるモジュール400、集積回路60、及びアンテナ62を備える。モジュール400は、ダイプレクサ64、スイッチ66、デュプレクサ68、及びパワーアンプ70を備える。ダイプレクサ64は、ローパスフィルタ(LPF)64aとハイパスフィルタ(HPF)64bを備える。LPF64aは、端子73と74の間に接続されている。HPF64bは、端子73と75の間に接続されている。端子73は、アンテナ62に接続されている。LPF64aは、アンテナ62から送受信される信号のうち低周波数信号を通過させ、高周波数信号を抑圧する。HPF64bは、アンテナ62から送受信される信号のうち高周波数信号を通過させ、低周波数信号を抑圧する。
スイッチ66は、端子74、75を複数の端子76のうちの1つの端子に接続する。デュプレクサ68は、送信フィルタ68a及び受信フィルタ68bを備える。送信フィルタ68aは、端子76と77の間に接続されている。受信フィルタ68bは、端子76と78の間に接続されている。送信フィルタ68aは、送信帯域の信号を通過させ、他の信号を抑圧する。受信フィルタ68bは、受信帯域の信号を通過させ、他の信号を抑圧する。パワーアンプ70は、送信信号を増幅し、端子77に出力する。ローノイズアンプ72は、端子78に出力された受信信号を増幅する。
送受信デバイスであるモジュール400は、デュプレクサ68の送信フィルタ68a又は受信フィルタ68bとして、実施例1から実施例8のラダー型フィルタを用いることができる。また、モジュール400は、パワーアンプ70及び/又はローノイズアンプ72を備えてもよい。
このように、実施例1から実施例8のラダー型フィルタは、アンテナ62に接続され、パワーアンプ70などと共にマザーボードに実装されて通信信号を送信及び受信する送受信デバイスを構成することができる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
12 第1共振子群
14 第2共振子群
16 第1経路
18 第2経路
20 基板
22 下部電極
24 圧電材料
26 上部電極
28 共振領域
30 空隙
32 接続切替部
40 インダクタ
50 送信フィルタ
52 受信フィルタ
60 集積回路
62 アンテナ
64 ダイプレクサ
66 スイッチ
68 デュプレクサ
100〜210 ラダー型フィルタ
300 デュプレクサ
400 モジュール
S1〜S4 直列共振子
P1〜P3 並列共振子
S1a〜S4a、P1a〜P3a 第1分割共振子
S1b〜S4b、P1b〜P3b 第2分割共振子

Claims (11)

  1. 入力端子と出力端子との間に直列に接続され、圧電薄膜共振子からなる複数の直列共振子と、
    前記入力端子と前記出力端子との間に並列に接続され、圧電薄膜共振子からなる1又は複数の並列共振子と、を備え、
    前記複数の直列共振子及び前記1又は複数の並列共振子のうち少なくとも2つの直列共振子と前記2つの直列共振子の間の並列共振子とは、1つの圧電材料を共有し、前記圧電材料のc軸又は分極軸の方向で前記圧電材料を下部電極及び上部電極で挟んだ第1分割共振子と、前記第1分割共振子に並列に接続され、前記第1分割共振子と前記c軸又は分極軸の同じ方向の電極が逆電位となるように前記圧電材料を下部電極及び上部電極で挟んだ第2分割共振子とに分割されていて、
    前記少なくとも2つの直列共振子と前記2つの直列共振子の間の前記並列共振子との前記第1分割共振子からなる第1共振子群と前記第2分割共振子からなる第2共振子群とは、前記第1共振子群及び前記第2共振子群より前記入力端子側及び前記出力端子側にある2つのノードの間で互いに並列に接続され、前記少なくとも2つの直列共振子の前記第1分割共振子と前記第2分割共振子とは、前記2つのノード以外では互いに電気的に接続されていなく、
    前記2つのノードの少なくとも一方と前記第1共振子群又は前記第2共振子群との間に、前記圧電材料を挟む前記下部電極と前記上部電極との接続を切替える接続切替部が形成されていることを特徴とする弾性波フィルタ。
  2. 前記少なくとも2つの直列共振子と前記2つの直列共振子の間の前記並列共振子のそれぞれは、前記第1分割共振子の静電容量と前記第2分割共振子の静電容量とがほぼ同じであることを特徴とする請求項1記載の弾性波フィルタ。
  3. 前記少なくとも2つの直列共振子と前記2つの直列共振子の間の前記並列共振子のそれぞれは、前記第1分割共振子の共振周波数と前記第2分割共振子の共振周波数とがほぼ同じであることを特徴とする請求項1または2記載の弾性波フィルタ。
  4. 前記少なくとも2つの直列共振子と前記2つの直列共振子の間の前記並列共振子のそれぞれは、前記第1分割共振子のインピーダンスと前記第2分割共振子のインピーダンスとがほぼ同じであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の弾性波フィルタ。
  5. 前記複数の直列共振子及び前記1又は複数の並列共振子のうち最も前記出力端子側の共振子は、前記第1分割共振子及び前記第2分割共振子に分割されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の弾性波フィルタ。
  6. 前記少なくとも2つの直列共振子と前記2つの直列共振子の間の前記並列共振子の少なくとも1つは、前記第1分割共振子がさらに分割されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の弾性波フィルタ。
  7. 前記1又は複数の並列共振子のうち最も前記出力端子側の並列共振子は前記第1分割共振子及び前記第2分割共振子に分割されていて、前記最も出力端子側の並列共振子が分割された前記第1分割共振子及び前記第2分割共振子とグランドとの間に直列に接続されたインダクタを備え、
    前記最も出力端子側の並列共振子は、前記弾性波フィルタの通過帯域の2倍に相当する周波数帯域に減衰極を形成することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の弾性波フィルタ。
  8. 前記複数の直列共振子の全てと前記1又は複数の並列共振子の全てとが、前記第1分割共振子及び前記第2分割共振子に分割されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の弾性波フィルタ。
  9. 入力端子と出力端子との間に直列に接続され、圧電薄膜共振子からなる1又は複数の直列共振子と、
    前記入力端子と前記出力端子との間に並列に接続され、圧電薄膜共振子からなる複数の並列共振子と、を備え、
    前記複数の並列共振子及び前記1又は複数の直列共振子のうち2つの並列共振子と前記2つの並列共振子の間の直列共振子とは、1つの圧電材料を共有し、前記圧電材料のc軸又は分極軸の方向で前記圧電材料を下部電極及び上部電極で挟んだ第1分割共振子と、前記第1分割共振子に並列に接続され、前記第1分割共振子と前記c軸又は分極軸の同じ方向の電極が逆電位となるように前記圧電材料を下部電極及び上部電極で挟んだ第2分割共振子とに分割されていて、
    前記2つの並列共振子と前記2つの並列共振子の間の前記直列共振子との前記第1分割共振子からなる第1共振子群と前記第2分割共振子からなる第2共振子群とは、前記第1共振子群及び前記第2共振子群より前記入力端子側及び前記出力端子側にある2つのノードの間で互いに並列に接続され、前記2つの並列共振子の間の前記直列共振子の前記第1分割共振子と前記第2分割共振子とは、前記2つのノード以外では互いに電気的に接続されていなく、
    前記2つのノードの少なくとも一方と前記第1共振子群又は前記第2共振子群との間に、前記圧電材料を挟む前記下部電極と前記上部電極との接続を切替える接続切替部が形成されていることを特徴とする弾性波フィルタ。
  10. 送信フィルタと受信フィルタを備え、
    前記送信フィルタ及び前記受信フィルタの少なくとも一方が請求項1からのいずれか一項記載の弾性波フィルタであることを特徴とするデュプレクサ。
  11. 請求項1からのいずれか一項記載の弾性波フィルタを備えることを特徴とするモジュール。
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