JP6420348B2 - 核磁気共鳴分析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、一般に、特に試料の分析に使用される核磁気共鳴(NMR)技術に関する。本発明は、本発明は、例えば人体から取った生体試料を分析する医学の分野、または化学成分を分析する化学の分野に適用されると有利である。本発明は、特に、自由誘導減衰(FID)信号の位相および/または周波数を補正するために有利である。1つの有利な、ただし非限定的な適用分野では、本発明は、アンテナアレイによって検出されたNMR信号同士を効果的に再結合するために使用される。
核磁気共鳴(NMR)は、1940年代に発見され、材料を分析する多数の科学領域で、また特に人体を生体内観察する医療の分野で、ますます重要になっている。この発見は、数多くの応用が実施されている。医療分野では、磁気共鳴撮像またはMRIおよびNMR分光法により、体組織の組成を分析することができる。本発明の範囲内では、「分光法」および「分光測定法」という用語は、試料中の種の内容を特定および/または定量化することを可能にする技術であるという点で、交換可能に使用される。
核磁気共鳴は、量子物理学の法則のみによって完全に説明される複雑な現象である。ただし、本発明および従来技術を理解するためには、以下に簡単に要約するNMRによって実現される主要な現象を知っていれば十分である。なお、NMRの全ての特徴を扱った非常に多くの技術文献が既に存在していることに留意されたい。
一部の原子は、代表的には1テスラ(T)以上の強い磁場内(従来技術ではB0と表す)に置かれると、適当な周波数を有する電波によって擾乱された場合に分析可能な信号を発出するような、特定の性質を獲得する。
これに関連する原子は、非ゼロの磁気モーメントまたはスピンを有する原子核を有する原子である。医療分野では、人体の大部分を構成する水(H2O)の水素(H)が、この性質を有する。水分子は、ラーモア周波数と呼ばれる特定の周波数でのそれらの軸の歳差運動によって駆動される非ゼロのスピンを有する、2つの水素原子核または陽子を有する。これらの核は、強い外部性磁場内に置かれると、外部磁場B0の強度に応じて、ラーモア周波数で歳差運動を行いながら外部磁場の方向またはその反対の方向に配向されたスピンを有するようになる。水素原子核については、ラーモア周波数は、1テスラあたり42MHz(1メガヘルツ=10ヘルツ)だけ増加する。これは、例えば、0.1Tでは4MHzに近く、1.5Tでは64MHzに近く、14Tでは600MHzに近い。
これらの原子核は、次いで、その周波数がラーモア周波数に近く、したがってそれと共鳴していることが好ましいので、電波または無線周波(RF)によっていっそう簡単に擾乱することができる。擾乱は、スピンの配向を変化させ、場合によっては外部磁場B0によって許容される反対方向に切り替わる効果を有する。これは、この配向が、それに対して平行または逆平行であり、一方から他方に切り替わることを意味している。従来B1と表される擾乱電波の磁気誘導は、B0のそれに対して直交するように印加されて、原子核のスピンを切り替える。このような切替えと、定常状態への復帰または緩和により、全てのNMR機器で検出される電気信号が生成される。この信号は、一般に、「自由誘導減衰」を表すFIDと呼ばれる。
電磁擾乱B1は、アンテナと通常呼ばれる電気コイルを使用して印加される。これらのコイルまたはアンテナは、一般に、擾乱の印加、および原子核が定常状態に復帰するときに生成される電気信号の検出の両方のために使用される。この目的のために、これらのコイルまたはアンテナは、一方では、人体の分析対象領域において電磁波および擾乱磁場B1を生成する電流を制御された時間にわたってラーモア周波数で循環させることができる電子回路と関連付けられ、他方では、電磁擾乱が中断された後で原子核が定常状態に復帰することによって生成される電気信号の検出を可能にする電子回路と関連付けられる。なお、これらのアンテナで検出しなければならない電気信号は、通常は弱い、または非常に弱いこと、および使用している電気機器の固有の雑音のレベルとこれらとを区別することが難題であることに留意されたい。信号対雑音比(SNR)は、任意のNMR機器の電気検出部分にとって重要な基準である。信号対雑音比は、考慮している適用分野で使用できるような雑音を超えるレベルで信号を検出することができるだけの十分な高さでなければならない。
以下で図1を参照してさらに詳細に述べるように、既知の技術は、FID複素信号のフーリエ変換を実行して、試料のスペクトル分布を得ることにある。このようなスペクトル分布により、参照信号の周波数および振幅を、特性決定の対象である代謝産物の信号の周波数および振幅と比較することができる。
参照信号は、通常は、試料中の主要種に対応する。生体試料を分析する場合には、参照信号は、通常は水信号である。
水信号の周波数および振幅を、特性決定の対象である代謝産物の信号の周波数および振幅と比較することにより、試料中の代謝産物の性質および内容を特定することができる。
この技術は、全体として満足のいくものである。それでも、取得した参照信号を、位相および周波数について、理論的位置に対して正しく位置決めする必要がある。参照信号は、「共鳴している」と言われる。この目的のために、通常はコイルである受信機の変換周波数は、正確に参照信号の共鳴周波数に設定しなければならない。
現在、多くのパラメータは、取得した参照信号をその理論的位置から分離する周波数シフトを示す傾向がある。
後に詳述するように、このようなシフトは、少なくとも部分的には、受信機で使用される変調周波数と参照信号の実際の周波数との間に現実に存在する差から生じている。
したがって、既知の技術では、複素FID信号を使用する前に、その位相および周波数を手作業で補正する必要がある。このような補正ステップは、比較的長時間かかる退屈な作業である。
さらに、別の手作業による補正動作は、参照信号を再整相することにある。実際には、受信機で使用される信号の位相と参照信号の位相との間には、ランダムなオフセットが必ず存在する。これは、複素FID信号の表現では、FIDの第1の点が一般には実でないことから分かる。
さらに、通常はボクセルで示される、試料のいくつかの体積エンティティからの信号が取得される場合には、磁場B0の不均質性も、位相シフトおよび周波数オフセットをもたらす傾向がある。
さらに、位相シフトおよび周波数オフセットは、複数のアンテナを使用することによっても生じる。実際に、数十年にわたる開発の間に、アンテナ構造はかなりの進化を遂げ、NMR機器の研究開発は、現在、人体の所与の領域を分析するために複数のアンテナの使用を助長する傾向がある。これらの複数のアンテナは、一般的には同じものであり、大きさは小さく、別々に検出される信号を結合して、同じ分析領域を1つのアンテナでカバーして信号を得た場合よりもかなり良好なSNRを有する複合信号が得られる。さらに、複数のアンテナを使用することにより、一般的には、良好なSNRを維持しながら取得速度が上がり、このことは、試料が生体に属するもので、したがって完全には静止していないことが多いときには、不可欠であることが分かっている。このタイプのアンテナは、「フェーズドアレイアンテナ」と呼ばれ、電子機器、およびアレイ内の各アンテナによって別個に生成される信号のコンピュータ処理の複雑さが大幅に増していることが特徴である。実際には、このアンテナアレイの期待される改善を実際に得るために補償しなければならない幾何学的、物理的、および電気的な差がアンテナ同士の間にあることは避けられないが、それでも、これらの信号を効果的に再結合することができなければならない。文書米国特許第2004/0095139号は、複数のコイルによって送達されるFID信号を再結合する解決策を開示している。
米国特許第2004/0095139号
「SVD−Based Quantification of Magnetic Resonance Signals」、Pijnappel、Van den Boogaart、DE BEER、VAN ORMONDT、Journal of Magnetic Resonance、97、122〜134頁(1992年)
したがって、本発明の目的は、コイルなどのアンテナによって検出されるNMR信号の位相および/または周波数の補正を簡略化および改善する方法を提供することにある。
さらに、既知の方法と比較して、得られる信号のSNRを改善すると、特に有利である。
また、既知の機器をそれほど複雑化することなく、1つまたは複数のアンテナによって別個に検出されるNMR信号の再結合を改善する解決策を提供すると、特に有利である。
別の利点は、NMR機器、特に複数の受信コイルを使用する機器の複雑さを緩和する解決策を提供することにある。
本発明のその他の目的、特徴および利点は、以下の説明および添付の図面を考察すれば明らかになるであろう。他の利点も含まれ得ることを理解されたい。
一実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つの特性決定対象の種および参照種を含む少なくとも1つの試料の、核磁気共鳴(NMR)を使用した分析方法であり、前記試料中の前記参照種の含有量が前記少なくとも1つの特性決定対象の種の含有量の2倍超である方法であって、
a.少なくとも1つの一定磁場Bを前記少なくとも1つの試料に印加するステップと、
b.1つまたは複数のアンテナによって、1つまたは複数の複素自由誘導減衰(FID)信号S(t)を取得するステップであり、各複素FID信号が、実数部および虚数部を含むステップとを含む方法に関する。前記取得ステップは、各複素FID信号において、前記参照種の信号の振幅が前記少なくとも1つの特性決定対象の種の信号の振幅の少なくとも2倍となるように実行される。
この方法は、さらに、
c.前記少なくとも1つの複素FID信号S(t)の前記実数部および前記複素部にフーリエ変換を適用することによってFIDスペクトルS(ω)を得るステップであり、得られる前記FIDスペクトルS(ω)が、参照種の信号および特性決定対象の種の信号を含み、それぞれ前記参照種の共鳴周波数(F0Ref)からF0Refのそれぞれの側に延びる2つの部分UFR、DFRを有し、前記特性決定対象の種の周波数が、前記2つの部分UFR、DFRから取られた前記スペクトルの第1の部分に位置し、換言すれば、前記スペクトルS(ω)が、F0Refの左側および右側にそれぞれ延びる2つの部分を有し、前記スペクトルS(ω)の1つの部分がF0Refより低い周波数の側に延び、前記スペクトルS(ω)の他方の部分がF0Refより高い周波数の側に延びるステップと、
d.前記参照種の信号Sref(t)を、前記少なくとも1つの複素FID信号S(t)の前記実数部および前記複素部からモデル化するステップと、
e.前記参照種の信号Sref(t)のモデル化にフーリエ変換を適用することによって前記参照種のみを含む前記参照種のスペクトルSref(ω)を得るステップであり、前記参照種のスペクトルSref(ω)が、前記スペクトルSref(ω)の前記参照種の共鳴周波数F0RefからF0Refのそれぞれの側に延びる2つのスペクトル部分を有し、換言すれば、前記スペクトルSref(ω)が、F0Refの左側および右側にそれぞれ延びる2つの部分を有し、前記スペクトルSref(ω)の一方の部分が、F0Refより低い周波数の側に延び、前記スペクトルSref(ω)の他方の部分がF0Refより高い周波数の側に延びるステップと、
f.前記FIDスペクトルS(ω)の第2の部分を、前記スペクトルSref(ω)のF0Ref’から前記スペクトルS(ω)の前記第2の部分と同じ側に延びる前記スペクトルの前記2つの部分から取られる前記スペクトルSref(ω)の部分で置換することによって、修正FIDスペクトル
Figure 0006420348
を得るステップであり、前記第2の部分が、前記スペクトルS(ω)の前記2つの部分(UFRおよびDFR)から取られる、前記特性決定対象の種を含まない部分であり、前記置換の後、前記FIDスペクトル
Figure 0006420348
の第2の部分の雑音が低減されている、または雑音がないステップと、
g.前記修正スペクトル
Figure 0006420348
に逆フーリエ変換を適用して、時間領域の修正FID信号
Figure 0006420348
を得るステップと、
h.前記修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールを計算するステップと
を少なくとも含む。
次いで、特性決定対象の種を特定および/または定量化するステップを、修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールから実行することができる。本発明は、非常に満足できるSNRを得ることを可能にする、実際に、モジュールを考慮することにより、特にFID中の試料の動き、磁場B0の不均質性、およびいくつかのアンテナによる取得の範囲内での様々なアンテナの挙動の不可避な変化による位相および周波数のシフトを自動的に補正することが可能になる。参照種の信号を、特定決定対象の種の信号のキャリアとして使用し、モジュールを考慮しても、後者の位相情報を保存する。得られるスペクトルを使用して、試料中の種を特定し、非常に容易に特性決定する。
さらに、スペクトルS(ω)の一部分を参照種のモデル化によって得られるスペクトルSref(ω)の一部分で置換することにより、特性決定対象の種を含まない部分に雑音がない修正スペクトル
Figure 0006420348
を得ることが可能になる。モジュールを計算する信号
Figure 0006420348
は、特性決定対象の種を含むスペクトル部分S(ω)からの雑音のみを有する。ステップcからステップfは、ステップhでモジュールを考慮するときに、元々スペクトルS(ω)の2つの部分によって搬送されていた雑音が重畳されることを回避することを可能にする。モジュールを考慮することに特有の欠点が、ステップcからfによって制限される、または解消されるので、得られる信号のSNRは大幅に改善される。
さらに、既知の解決策と比較すると、本発明のモジュールにより、特に位相および周波数の補正のための追加ステップに頼らずに済むようになる。これらのステップは、通常は、かなりの処理時間を必要とし、オペレータによる手作業を必要とすることも多い。
この方法は、試料の分光/分光測定による核磁気共鳴(NMR)分析の範囲で特に有利である。この方法は、試料の種を容易に特定および/または定量化することを可能にする。
さらに、モジュールを考慮することにより、処理すべきデータ量が、信号の位相シフトを計算するために複素信号が必要となる従来の方法で処理しなければならないデータの量と比較して、大幅に減少する。さらに、位相計算は複素数を扱う必要があり、実施することがさらに困難であるのに対して、モジュールは、それぞれ二乗した2つの数の和の平方根を取れば十分であるので、実数領域で計算することができる。時間および処理コストが大幅に低減され、オペレータによる手作業が不要となることによって、ユーザに影響を及ぼさずに実時間で自動処理を行うことができる。
したがって、本発明は、精度、信頼性、再現性、処理時間、およびコスト削減に関して有意な利点を提供する。
必要に応じて、ただし有利に、本発明による方法は、単独で採用されることも、組み合わせて採用されることもある、以下の任意選択のステップおよび特徴のうちの少なくとも1つを含むこともできる。
有利な実施形態によれば、この方法は、複素FID信号S(t)のモジュールを計算するステップと、修正FID信号
Figure 0006420348
を計算した後、特性決定対象の種を特定および/または定量化するステップの前に実行される、
修正FID信号
Figure 0006420348
から信号S(t)のモジュールを減算し、次いで直前のステップで得られた結果を修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールから減算するステップ、または
信号S(t)のモジュールおよび修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールにフーリエ変換を適用し、修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールのスペクトルから信号S(t)のモジュールのスペクトルを減算し、次いで直前のステップで得られた結果を修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールのスペクトルから減算するステップとを含む。
したがって、第1の減算は、「修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールを計算する」ステップの後に修正信号
Figure 0006420348
に存在する「サイドバンド」を分離することと等価であるが、それらは、信号S(t)のモジュールを考慮することによって既に除去されている。第2の減算については、修正FID信号
Figure 0006420348
のサイドバンドを除去することを可能にする。したがって、本発明は、サイドバンド、さらに一般的には、全ての反対称アーチファクト、すなわち等しい振幅を有し、符号が反対である、参照信号の共鳴周波数について対象に分布する周波数を有するアーチファクトを効率的に除去することを可能にする。
一実施形態によれば、取得ステップ中に、試料のいくつかのボクセルからの複素FID信号が取得され、ボクセルごとに修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールを計算した後で、空間フィルタリングのステップを実行する。
空間フィルタリングは、CSIが1つのコイルで取得されるか複数のコイルで取得されるかにかかわらず、CSIが関わるようになると直ちに適用可能となる。
通常は、空間フィルタリングは、2つの空間次元を有するCSIの場合には、以下のステップを含む。すなわち、空間領域のフーリエ変換の前に、「ベル」(例えばガウス、余弦、ハニング、ハミングなど)関数を使用してCSI行列の各行および各列を乗算するステップである。これが、モジュールを計算した後で空間フィルタリングを実行することが望ましいときに、k空間に復帰するように逆フーリエ変換を空間領域で実行することの理由である。
これは、特定のCSIの範囲における重要な利点を示している。実際に、モジュールを処理した後で空間フィルタリングを実行する場合には、CSIのボクセルのスペクトルは、位相および周波数が揃っている。これに対して、モジュールを抽出する前に空間フィルタリングを実行する場合には、関連するボクセルは、位相および周波数が揃っておらず、その結果得られるスペクトルの解像度が劣化し、SNRの低下を引き起こす可能性がある。CSI分析は、複数のボクセルの処理を伴い、例えばそれぞれが1つのボクセルまたは2次元画像に対応する複数のスペクトルをもたらす可能性があることを想起されたい。
修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールを計算し、修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールから特性決定対象の種を特定および/または定量化するステップの後で、一実施形態によれば、フーリエ変換を、修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールを少なくとも含む信号に適用することができる。FFTは、修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールに適用されることが好ましい。このようにしてスペクトルが得られ、このスペクトルにおいては、種をその周波数によって特定し、またその種をそれが定義するピーク領域によって定量化することが、オペレータにとっても非常に容易である。試料が複数のボクセルを含む場合には、ボクセルあたり1つのスペクトルが得られる。
修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールを計算し、修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールから特性決定対象の種を特定および/または定量化するステップの後で、フーリエ変換を、修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールを少なくとも含む信号に適用することは、別の実施形態によれば、回避することもできる。この場合には、時間領域の特定および/または定量化を行う。この場合には、周知のソフトウェアによって、それぞれが種に対応する複数の基本FIDを加算して、修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールを近似することができる。修正FID信号
Figure 0006420348
の修正モジュールを最も良好に再構築するように選択された基本FIDおよびそれに関連する係数は、試料中に存在するその種の性質および定量化についての情報を与える。なお、この定量化ステップは時間領域で行われるが、その結果を見ることができるように、フーリエ変換を行うことが推奨されることが多いことに留意されたい。
一実施形態によれば、溶媒中の参照種の含有量は、少なくとも、特性決定対象の種のそれぞれの含有量の5倍、好ましくは10倍、10倍、さらに好ましくは10倍より高い。本発明では、前記少なくとも1つの特性決定対象の種の含有量は、試料中の質量含有量である。一実施形態によれば、参照種の信号を、前記少なくとも1つの特性決定対象の種の信号のキャリアとして使用する。一実施形態によれば、試料中の参照種の含有量は、前記参照種の信号を前記少なくとも1つの特性決定対象の種の信号のキャリアとして使用するために、試料中の特性決定対象の種の含有量より十分に高い。参照種は、共鳴周波数を有する。
一実施形態によれば、前記参照種および前記少なくとも1つの特性決定対象の種の相対含有量、ならびにそれらの相対緩和時間は、前記参照種の信号の振幅が、前記少なくとも1つの特性決定対象の種の信号の振幅の少なくとも2倍となるように選択される。したがって、試料は、取得した各複素FID信号S(t)において、種の参照信号の振幅が前記少なくとも1つの特性決定対象の種の信号振幅の少なくとも2倍となるように選択される。好ましくは、試料は、取得した各複素FID信号S(t)において、参照種の信号の振幅が、各特性決定対象の種の信号の振幅の少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、または少なくとも100倍となるように選択される。
前記特性決定対象の種を含む試料のFIDモジュールは、数式
||S(t)||=|AH2O(t)+A(t)cos(Δωt+Δφ)|
によって定義される||S(t)||に等しく、この数式において、
Δω=ω−ωH2OおよびΔφ=φ−φH2Oは、それぞれ、前記少なくとも1つの特性決定対象の種と前記参照種の間の周波数および位相のオフセットに対応し、
H2O(t)は、前記参照種のFID信号の時間に対する振幅であり、
(t)は、前記特性決定対象の種のFID信号の時間に対する振幅である。
一実施形態によれば、前記取得ステップ中に、複数の複素FID信号S(t)が取得される。
一実施形態によれば、前記修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールを計算するステップは、各修正FID信号
Figure 0006420348
ごとに実行される。
一実施形態によれば、複素FID信号S(t)ごとに前記修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールを計算する前記ステップの後、前記特性決定対象の種を特定および/または定量化する前記ステップの前に、前記修正信号
Figure 0006420348
のモジュールの加算を実行して、結合FID信号を得ると有利である。特性決定対象の種を特定および/または定量化するステップは、前記加算にフーリエ変換を適用することを含むと有利である。
1つの有利な実施形態によれば、アンテナはコイルであり、取得される前記複素FID信号は、同じコイルから送達される。この実施形態では、本発明は、特に取得中の試料の動きによる位相シフトおよび周波数シフトの効果的かつ簡単な補正を行うことを可能にするので有利である。
有利な実施形態によれば、アンテナはコイルであり、取得される前記複素FID信号は、異なるコイルから送達される。この実施形態では、本発明は、各コイルの互いに対する位相シフト、ならびに特に磁場B0の不均質性による位相シフトおよび周波数オフセットの効果的かつ簡単な補正を実行することを可能にするので有利である。
1つの有利な実施形態によれば、アンテナはコイルであり、取得される複素FID信号は、異なるコイルから送達され、少なくともいくつかのコイルについて、いくつかの複素FID信号が取得される。この実施形態では、本発明は、特に試料の動きおよびB0の不均質性によって生じる位相シフトおよび周波数オフセットの効率的かつ簡単な補正を可能にするので有利である。
各複素FID信号のFIDモジュールの生成後、FIDモジュールを加算して結合FID信号を得る前に、各コイルの重み係数を計算するステップを実行し、各FIDモジュールを、それが送達されたコイルの重み係数で重み付けするのが有利である。重み係数を計算するステップは、FIDモジュールの先頭における振幅の二乗和の方法を使用して行うと有利である。
1つの有利な実施形態によれば、前記取得ステップ中に、単一の複素FID信号を取得し、この単一の複素FID信号S(t)の実数部および複素部にフーリエ変換を適用することによって、一意的なFIDスペクトルS(ω)を得る。特性決定対象の種を特定および/または定量化するステップ中に、修正FID信号
Figure 0006420348
の単一のモジュールにフーリエ変換を適用する。
一実施形態によれば、取得ステップ中に、空間符号化FID信号を取得し、この取得を、数回、好ましくは少なくとも2回繰り返して、いくつかの符号化信号を得、この符号化信号を、その後、試料のボクセルと関連付けられるようにそれぞれ復号し、各ボクセルと関連するFID信号についてFIDモジュールを生成する。
一実施形態によれば、前記試料は、生体物質の試料であり、前記参照種は、水であり、前記特性決定対象の種は、代謝産物である。代替の実施形態によれば、前記試料は、化学成分であり、前記参照種は、水または他の溶媒であり、前記特性決定対象の種は、化合物である。
一実施形態によれば、前記試料は、いくつかの特性決定対象の種を含む。
一実施形態によれば、前記一定磁場B0は、試料の複数のボクセルに印加され、前記異なるボクセルの前記結合FID信号の周波数スペクトルを使用して、1つまたは複数の分光画像を生成する。
前記FID信号を取得する前に、NMR分光実験を行うために必要な従来の設定ステップを実行する。
一実施形態によれば、前記分析は、分光分析または分光測定分析である。
一実施形態によれば、前記特性決定対象の種は、少なくとも前記参照種の共鳴周波数F0refの右側に位置する第1の共鳴周波数、および少なくとも前記参照種の共鳴周波数F0refの左側に位置する第2の共鳴周波数を有する。本発明による方法は、この2つの半スペクトルのそれぞれについて実行されることが好ましい。したがって、前記ステップfは、前記スペクトルの前記第2の部分が前記参照種の共鳴周波数F0refの左側に位置する部分であることを考慮して実行して、前記第1の共鳴周波数を表す第1の修正FIDスペクトル
Figure 0006420348
を得る。前記ステップfは、前記スペクトルの前記第2の部分が前記参照種の共鳴周波数F0refの右側に位置する部分であることを考慮して実行して、前記第2の共鳴周波数を表す第2の修正FIDスペクトル
Figure 0006420348
を得る。
前記ステップgおよびhは、前記第1および第2の修正FIDスペクトル
Figure 0006420348
のそれぞれに適用されることが好ましい。
本発明の方法の実施は、コンピュータ制御であることが好ましい。
別の実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、上述の本発明による方法の少なくともステップcからhを実行する命令を含む、コンピュータプログラム製品または非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。
別の実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つの特性決定対象の種および参照種を含む少なくとも1つの試料を、核磁気共鳴(NMR)を使用して分析するシステムであり、前記試料の含有量が前記少なくとも1つの特性決定対象の種の含有量の2倍超であるシステムであり、前記試料に一定磁場B0を印加する手段と、時間領域で1つまたは複数の複素自由誘導減衰(FID)信号S(t)を取得するように構成された少なくとも1つのアンテナを含む、前記一定磁場B0中で電磁励起を生成する磁場を印加する手段とを含み、各複素FID信号S(t)が、実数部および虚数部を含むシステムであって、
前記少なくとも1つの複素FID信号S(t)の前記実数部および前記複素部にフーリエ変換を適用することによってスペクトルS(ω)を得るステップであり、得られる前記スペクトルS(ω)が、参照種および特性決定対象の種を含み、それぞれ前記参照種の共鳴周波数(F0Ref)からF0Refのそれぞれの側に延びる2つの部分(UFR、DFR)を有し、前記特性決定対象の種の周波数が、前記2つの部分(UFR、DFR)から取られた前記スペクトルの第1の部分に位置するステップと、
前記少なくとも1つの複素FID信号S(t)の前記実数部および前記複素部から前記参照種の信号Sref(t)をモデル化するステップと、
前記参照種の信号Sref(t)のモデル化にフーリエ変換を適用することによって前記参照種のみを含む前記参照種のスペクトルSref(ω)を得るステップ(1322)であり、前記参照種の前記スペクトルSref(ω)が、前記スペクトルSref(ω)の前記参照種の共鳴周波数(F0ref’)からF0Ref’のそれぞれの側に延びる2つの部分を有するステップと、
前記FIDスペクトルS(ω)の第2の部分を、前記スペクトルSref(ω)のF0Ref’から前記スペクトルS(ω)の前記第2の部分と同じ側に延びる前記スペクトルの前記2つの部分から取られる前記スペクトルSref(ω)の部分で置換することによって、修正FIDスペクトル
Figure 0006420348
を得るステップであり、前記第2の部分が、前記スペクトルS(ω)の前記2つの部分(UFRおよびDFR)から取られる、前記特性決定対象の種を含まない部分であるステップと、
前記修正スペクトル
Figure 0006420348
に逆フーリエ変換を適用して、時間領域の修正FID信号
Figure 0006420348
を得るステップと、
前記修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールを計算するステップと
を実行するように構成された処理手段を含むことを特徴とする、システムに関する。
任意選択で、ただし有利に、本発明によるシステムは、単独で採用されることも、組み合わせて採用されることもある、以下の任意選択の特徴のうちの少なくともいずれか1つを有することもできる。
一実施形態によれば、このシステムは、前記修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールから前記特性決定対象の種を特定および/または定量化するステップを実行するように構成された処理手段を含む。
任意選択で、このシステムは、修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールを考慮して信号にフーリエ変換を適用するように構成される。任意選択で、このシステムは、複数の複素FID信号S(t)を取得するように構成された1つまたは複数のアンテナを含む。
任意選択で、このシステムは、前記複数の複素FID信号S(t)の各複素信号S(t)について前記修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールを計算する前記ステップの後で、前記修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールの加算を実行して結合FID信号を得、前記結合FID信号に前記フーリエ変換を適用するようにさらに構成される。
一実施形態によれば、このシステムは、複素FID信号S(t)のモジュールを計算するステップを実行するように、かつ前記修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールを計算した(1326)後で、
前記修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールから前記複素FID信号S(t)のモジュールを減算し、次いで直前のステップで得られた結果を前記修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールから減算するステップ、または代替の解決策によれば、
前記複素FID信号S(t)のモジュールおよび前記修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールにフーリエ変換を適用し、次いで前記信号S(t)のモジュールのスペクトルを前記修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールのスペクトルから減算し、次いで、直前のステップで得られた結果を前記修正FID信号
Figure 0006420348
のモジュールのスペクトルから減算するステップを実行するように構成された処理手段を含む。
本発明では、「アンテナ」という用語は、任意のタイプの電磁波受信機を指す。
別の実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つの特性決定対象の種および水または溶媒から取られる参照種を含む少なくとも1つの試料の核磁気共鳴(NMR)分析を行う方法であり、前記溶媒中の前記参照種の含有量が前記少なくとも1つの特性決定対象の種の含有量の2倍超である方法に関する。この方法は、
a.少なくとも1つの一定磁場Bを前記少なくとも1つの試料に印加するステップと、
b.1つまたは複数のアンテナによって、1つまたは複数の複素自由誘導減衰(FID)信号S(t)を取得するステップであり、各複素FID信号が、実数部および虚数部を含み、各複素FID信号において、前記参照種の信号の振幅が前記少なくとも1つの特性決定対象の種の信号の振幅より少なくとも2倍大きくなるように実行される取得ステップと、
c.各複素FID信号について、各複素FID信号のモジュールを抽出することによって得られるFIDモジュールを生成するステップと、
d.前記FIDモジュールを考慮して信号にフーリエ変換を適用する任意選択のステップとを含む。
上述した全ての特徴は、この実施形態と組み合わせることができる。
本発明の目標および目的ならびに特徴および利点は、以下の添付の図面に示される本発明の実施形態の詳細な説明から、さらに明快になるであろう。
既知のNMR機器の任意のアンテナによって検出されるFID信号のタイプを簡単に説明する図である。 単一のアンテナでFID信号を1回取得する場合について、本発明の方法と従来のFID信号の処理とを比較する図である。 複数回の取得を連続的に実行して、操作するのに十分なSNRを有するFID信号を得る場合を示す図である。 FID信号の処理にモジュールを使用することに利点を説明する実験結果を比較する図である。 複数のボクセルを含むある体積の組織の分光画像を取得する場合を示す図である。 人間の脳内の異なる位置に位置する2つのボクセルについて得られた実験結果を比較する図である。 FID信号がアンテナアレイから取得される場合を示す図である。 アンテナアレイから取り込まれるFID信号を処理するための本発明の方法のステップを示す図であり、これを従来の処理と比較する図である。 アンテナアレイから得られた実験結果を比較する図である。 NMR信号を処理するためにモジュールを使用することによって得られるアーチファクトのエイリアシングを説明する図である。 NMR信号を処理するためにモジュールを使用することによって得られるアーチファクトのエイリアシングを説明する図である。 参照種(水)の1つのモデルを表すスペクトルの左半分で図10aに示すスペクトルの左半分を置換した、本発明の一実施形態による方法、いわゆるDFRR方法を説明する図である。 参照種(水)の1つのモデルを表すスペクトルの左半分で図10aに示すスペクトルの左半分を置換した、本発明の一実施形態による方法、いわゆるDFRR方法を説明する図である。 参照種(水)の1つのモデルを表すスペクトルの左半分で図10aに示すスペクトルの左半分を置換した、本発明の一実施形態による方法、いわゆるDFRR方法を説明する図である。 参照種(水)の1つのモデルを表すスペクトルの右半分で図10aに示すスペクトルの残りの半分を置換した、本発明の一実施形態による方法を説明する図である。 参照種(水)の1つのモデルを表すスペクトルの右半分で図10aに示すスペクトルの残りの半分を置換した、本発明の一実施形態による方法を説明する図である。 本発明の1つの特定の実施形態による、反対称アーチファクトまたは「サイドバンド」の処理を説明する図である。 本発明の1つの特定の実施形態による、反対称アーチファクトまたは「サイドバンド」の処理を説明する図である。 本発明の1つの特定の実施形態による、反対称アーチファクトまたは「サイドバンド」の処理を説明する図である。 本発明の1つの特定の実施形態による、反対称アーチファクトまたは「サイドバンド」の処理を説明する図である。 本発明の1つの特定の実施形態による、反対称アーチファクトまたは「サイドバンド」の処理を説明する図である。 本発明の1つの特定の実施形態による、反対称アーチファクトまたは「サイドバンド」の処理を説明する図である。 本発明による、FID信号の位相および/または周波数を補正する方法の一実施形態のステップを示す流れ図である。 本発明の方法の様々な実施態様で得られる雑音シミュレーション結果を示す図である。 水を抑制しない脳についての長エコーCSI取得の同じボクセルから抽出されたスペクトルを示す図である。 水を部分的に抑制して脳について行った短エコーCSI取得の同じボクセルの2つのスペクトルを示す図である。 ファントムについての短エコーCSI取得において、空間フィルタリングの前または後でモジュールを処理する場合に得ることができる差を示す図である。 脳について示す、図17と同様の図である。 脳の長エコーCSI取得においてモジュールの処理を空間フィルタリングの前または後に適用することの影響を示す図である。 最初にファントムに対して行い、次いで患者に対して行ったCSI取得における、図19の効果と同様の効果を示す図である。 最初にファントムに対して行い、次いで患者に対して行ったCSI取得における、図19の効果と同様の効果を示す図である。 本発明による方法の一実施形態のステップを示す流れ図である。 本発明の方法を効率的に実施するために取得中に参照信号の少なくとも一部分を保存することの必要性を説明する図である。
添付の図面は、例として与えたものであり、本発明を限定するものではない。
図1は、NMR機器の任意のアンテナによって検出される信号のタイプを簡単に説明するものである。信号は、一定磁場B0内では定常状態である水素原子核または陽子を擾乱するために使用される電磁パルスB1の各発出後に観察することができる。上記から分かるように、使用するRF周波数は、考慮するNMR機器によって生成される磁場B0の強度についての、磁場B0が大きくなるにつれてさらに高くなる陽子のラーモア周波数と共鳴することが好ましい。上述のように、ラーモア周波数は、1テスラあたり42MHzだけ高くなる。
検出されるNMR信号は、FID(「自由誘導減衰」)信号と呼ばれる。この信号は、原子核が受けている電磁擾乱が止んだ後のそれらの原子核の定常状態への復帰を表している。本発明を理解するのに不要であるため、ここでは説明しない従来の手段を使用して、取り込まれるFID信号は、アンテナ101がカバーする領域の基本体積単位から送達される。このような基本エンティティは、ボクセル110と呼ばれる。ボクセルの物理的サイズは、使用するNMR機器のボリューム解像度によって決まる。
アンテナが取り込む信号は、アナログ増幅器121および2つのアナログデジタル変換器(ADC)124を主に含む電子受信機120によって従来の方法で処理される。実際には、増幅後に、90°オフセットしている信号から、アンテナ122によって取り込まれたFIDアナログ信号の周波数変換および直交検波が、従来の方法で実行される。周波数変換は、FID信号を、後続のADCの動作に適した周波数範囲に転置するためのものである。フィルタリング123の後、いわゆる「実数」部およびいわゆる「虚数」部を有する複素信号が、アンテナごとに得られる。このようにして得られた2つの実数アナログ電気信号を、次いで、ADC124がサンプリングして、「実数」成分132と実数部と直交する「虚数」成分131とを有するデジタル形態130の複素FID信号を得る。通常は、取り込まれた各FID信号について、各チャネルに利用可能なデジタル試料の数は、210程度、すなわち1024個である。したがって、デジタル信号130は、アナログ信号のデジタル処理のために数十年間にわたって開発されてきた全てのソフトウェアおよび物的資源を使用して、処理される可能性がある。このような資源は、より具体的には、受信した時間信号のスペクトル解析を実行することを可能にするフーリエ変換を実施するものなど、専用のデジタルのいわゆる「信号プロセッサ」および特殊アルゴリズムを含む。
ダイアグラム140および150は、例示的なFID信号の2つの成分をアナログ形態で示している。これらはそれぞれ、増幅、変換および直交検波した後の、アンテナによって取り込まれたFID信号の実数部および虚数部である。
第1の近似として、FID信号は、単純な減少指数関数である。実際には、FID信号は多数の外的ソースの影響を受ける可能性があるので、時間に依存する振幅を導入することにより、その形状についての仮定を立てないことが可能になる。したがって、数学的な計算に関しては、各アンテナ信号は、A(t)=A0(t)ej(ωt+φ)という形態の時間(t)の関数である複素表現となる。ここで、ωは、水の共鳴周波数であり、φは、位相ひずみである。
図1の例は、1つのアンテナからFID信号を1回取得するという単純なケースを示している。実際には、この単純な例では、後述するケースのいくつかにおいて分かるように、取り込まれる信号が、1回の取得で処理に十分な振幅を有しており、SNRを改善するために複数回の連続した取得を実行する必要がないものと仮定している。
なお、FIDの取得中に患者が動いた場合に、FIDの最初とFIDの最後との間で周波数および位相に変化が生じ、これがフーリエ変換後の線の形態を変化させる可能性があり、また本発明による方法で得られる結果の精度を低下させる可能性があることに留意されたい。しかし、実際には、FIDの取得に要する時間が数ミリ秒であることから、このようなことは起こりにくい。これに対して、周波数を調節した時点とFIDの取得を開始した時点との間(1秒から数秒)に患者が動く場合、これは、以下で述べるケースである。
また、水信号は、通常「共鳴する」、すなわち、受信機変換周波数は、水信号の共鳴周波数に正確に調節されることに留意されたい。この調節が正しいときには、水信号は、実際に、減少指数関数のように見える。この調節が正しくないときには、水信号の周波数が、変換周波数とわずかに異なる。これにより、FID信号の発振が生じる。この減少指数関数を、次いで、水信号の周波数と受信機変換周波数との間の差に等しい周波数を有する正弦波で変調する。図1のFID信号の発振は、周波数オフセットを示す。正確に「共鳴する」取得信号であれば、図2のダイアグラム222の信号と同様になる。信号位相に関しては、受信FID信号の位相は受信機変換信号の位相とは完全に無関係であるので、任意である。受信機における周波数変換は、FID信号からラーモア周波数に等しい周波数を有する信号を引くことによって行われる。ただし、受信機は、FID信号の位相を把握していない。したがって、受信機が使用する信号の位相と水信号の位相との間には、ランダムオフセットが必ず発生する。これは、図面では、FIDの第1の点が一般に実でないことから分かる。複素平面におけるこのような第1の点の座標は、この例では、ダイアグラム140および150を参照すると、約(−60,−100)である。信号が現実に同相であれば、この点の座標は、(116,0)となる、すなわち実数部が116、虚数部が0となるはずである。
図2は、図1のケースで、すなわち1つのアンテナで信号を1回取得するケースで、本発明の方法と従来のFID信号の処理とを比較する図である。
図1から分かるように、アンテナによって取り込まれる信号は、実数部140および虚数部150を有する。したがって、従来のFID信号の処理は、複素平面で行われる。時間領域から周波数領域への切替えを可能にし、また受信信号のスペクトル解析を行うことを可能にする対応するフーリエ変換210は、場合によっては複素信号130に存在する可能性がある周波数および位相のシフト213を反映し、それにより共鳴する水信号211に復帰する、すなわちフーリエ変換の周波数0に設定するために位相214および周波数216の補正を連続的に適用しなければならない周波数スペクトル212が得られるようにする。
図1の説明で述べたように、複素NMR信号は、受信信号の一部分の位相を90°だけシフトさせることによって得られる。ただし、収集される信号は実であり、複素平面で全ての動作が行われた後は、数学的な便宜上、得られるスペクトルも実となるように構成される。この目的のために、次いで、計算を容易にするために導入される虚数部が除去される。FID信号が減少指数関数であると仮定すると、ダイアグラム214に示すものなど、狭いいわゆる「ローレンツ型」曲線が得られる。ダイアグラム212の線は、ローレンツ型曲線と分散型曲線を混合したものである。整相動作または整相は、実数部でローレンツ型曲線を回復し、分散型曲線を虚数部に置くことにある。この動作が完了すると、虚数部を無視することができ、実数部のみで作業を行うことができる。
周波数オフセットは、図1で上述した周波数オフセットと同じである。図1では、周波数オフセットはFID信号の変調をもたらしたが、図2は、そのスペクトル表現である。この周波数オフセットは、この場合には、上述のように、受信機で使用される復調周波数と水信号の実際の周波数との間の差によるものである。
なお、上述のように、いわゆる「グローバル」な位相および周波数を、別のFID信号または別の位置と比較したときの位相または周波数の差に対応するいわゆる「相対的」な位相および周波数と区別することができなければならないことに留意されたい。2つのFID信号が連続的に取得される場合には、これらは、受信機復調信号が一方のFID信号から他方のFID信号までに変化していないので、同じ位相を有し、かつ同じグローバルな周波数を有することになる。これに対して、取得中に患者が動いた場合には、第2のFID信号の位相および周波数が、第1のFID信号とは若干異なることになる。これは、図5で説明するいわゆるCSI分析のケースのように、異なるボクセルから送達されるFID信号のケースでもある(CSI分析。「化学シフトイメージング」の略語であり、上記で既に簡単に説明した原子核の共鳴周波数の「化学シフトイメージング」を意味する)。異なるボクセルから送達される位相および周波数は、磁場B0の変動によって若干異なることになるが、「グローバル」な周波数および位相は、全てのボクセルで同じとなる。
したがって、2種類の補正を行わなければならない。すなわち、変換器によって生じる位相および周波数の変動を補正することにある一般補正と、その後の、FIDごと、またはボクセルごとの、患者の動きまたは磁場B0の変化による小変動の補正である。
本発明は、この両方の動作を同時に実行することを可能にする。
本発明によるアンテナによって取り込まれる信号の処理は、上述のように、複素信号130のモジュール220の計算から開始される。
上述の複素表現、すなわち時間(t)の関数A(t)=A0(t)ej(ωt+φ)では、項A0(t)が、複素信号のモジュールまたは振幅である。このモジュールは、周波数および位相とは無関係である。実際上の観点から、各瞬間tにおけるモジュールは、各アンテナに関連する電子モジュール120によって取り込まれて変換される、その瞬間のFID信号の実数部および虚数部の二乗の和の平方根である。
したがって、各瞬間tにおいて、FID信号のモジュールは、以下のように定義される。
モジュールFID(t)=|A(t)|=(A(t).[cos(ωt+φ)+sin(ωt+φ)])1/2
項[cos(ωt+φ)+sin(ωt+φ)]=1であるので、信号FID(t)のモジュールA0(t)が得られる。擾乱の位相および周波数については既に扱ったので、実際にこの実験の目的であるA0(t)の定量化について、次に説明することができる。
得られる信号は、したがって、各瞬間においてFIDモジュールに対応する。これは、本特許出願では、「FIDモジュール」、または単純にモジュールと呼ぶ。
このタイプの信号の一例を、ダイアグラム222に示す。
次いで、フーリエ変換230をFIDモジュール222に適用して、その周波数スペクトル232を得る。アンテナによって取り込まれる信号のモジュールは、周波数また位相の情報を担持していないので、上記で簡単に説明した従来の処理方法の補正214および216を適用する必要はない。
特に、この場合には、水スペクトル231は常に周波数0に心合わせされる。実数部のみを有する信号であるモジュールのスペクトルは、233のように対称であることを特徴とする。これは、NMRの各適用分野に特有の以下のプロセスで直接使用することができる。したがって、本発明では、通常かなりの処理時間を必要とし、オペレータの手作業による作業も必要とすることが多い、位相および周波数補正のためだけのステップが不要である。時間領域のフーリエ変換に基づく従来の解決策では主要種の1つに対応する周波数のいずれの側でも信号が得られない試料が選択されることが好ましい。
モジュールのスペクトルは対称であるので、一般に、スペクトルの片側が保持される。また、FIDモジュールのフーリエ変換は、特に、取り込まれたFID信号の実数部および虚数部で同時に演算を実行するときに処理すべきデータの量が従来技術で処理しなければならない量の半分であることから、より簡単になっていることに留意されたい。したがって、処理時間が大幅に削減され、これによりユーザに影響を及ぼさない実時間処理が可能になる。特に、実信号しか処理しないことで、コンピュータのRAMの占有量を半減することができることに留意されたい。これにより、機械の速度を落とすことなく、より大量のデータを処理することが可能になる。さらに、処理後にスペクトルの半分だけを保持すればよいことにより、セーブするデータの総量を4分の1にすることができる。計算時間の向上が効果的に達成されるのは、データのサイズがコンピュータによって割り振られたメモリのサイズを超える場合のみである。しかし、これは、高解像度で実行され、最大で4ギガバイト、すなわち4×10バイトのサイズのデータを必要とする、図5でさらに詳細に説明するいわゆるCSI分析ではしばしば起こることである。
SNRは、驚くほど完璧に満足できる状態のままであるが、アンテナによって取り込まれる情報(位相情報)の一部は、FIDモジュールを考慮するときに除去される。
なお、本発明は、より詳細には、場合により検査した組織中に存在する可能性がある代謝産物によって生成される、スペクトル分解に出現する2次ピーク234の分析に関するNMRの適用分野に関することに留意されたい。この組織の大部分を構成する水は、非常に大きな振幅231を有する信号を生成し、この信号が、キャリアとして、また考慮するボクセル中の代謝産物の存在に特有の検出される2次ピーク234の基準として作用する。これらは、「化学シフト」を生成する。「化学シフト」とは、これらの主題に関する英語文献において共鳴原子核の歳差周波数の「化学オフセットまたはシフト」を指すために使用される用語である。この周波数のシフトまたはオフセットは、スペクトル分解において、このような代謝産物の存在を示す千鳥状の2次ピークの形態で現れる。周波数オフセットは、代謝産物の性質に特有のものである。水の面積に対するピークの面積により、検査する組織中の代謝産物の濃度を定量化することができる。
図3は、適用分野で操作するのに十分なSNRを有するFID信号を得るために複数回の連続した取得310が必要となるケースを示す図である。
FID信号の従来の処理および本発明による処理は、基本的に、図2に示すものと同じである。唯一の違いは、加算するステップに関するものである。従来の処理では、取り込まれた連続的なFID信号の実数部320および虚数部330を、別々に加算しなければならない。これに対して、本発明による処理では、各FID信号のモジュール340を最初に計算する。その後は、350でFIDモジュールのみを加算すればよく、その後、その結果得られたモジュールにフーリエ変換230を適用する。これにより、本発明の場合には、計算プロセスが大幅に簡略化される。この場合には、加算は、従来の場合とは異なり、互いに位置合わせされた整相信号について実行される。これにより、最適なSNRが得られる。
図4は、従来の実数部および虚数部の別個処理410を使用する代わりに、モジュール420を使用してFID信号を処理することの利点を示す、実験結果を比較する図である。
ダイアグラム410および420は、これらの各スペクトルの関心部分に焦点を当てている。すなわち、これらのダイアグラムは、代謝産物に関する部分のみを示している。水信号および対称的なボリューム信号は、このスペクトルの領域422をさらに見易くするために除去されている。
ダイアグラム420は、モジュール処理によって、取り込まれるFID信号のSNRが大幅に改善され、スペクトル線の幅が減少することを示している。特に、この例で示すように、線の幅の減少は、従来のスペクトルでは見られなかったいくつかの小さな2次共鳴422を表している。このように、本発明は、従来技術の解決策では検出することが困難であった、または検出不可能であった種を検出することを可能にする。共鳴424の形状も改善される。
加算する前に、図2に示す各FIDの位相および周波数のシフトまたはオフセットの補正を行うことで、スペクトル線の幅およびSNRが改善されることは既知である。ただし、実際には、加算する前に各FIDの位相および周波数を実時間で発見することが困難であるので、この補正が実行されることはない。したがって、本発明のようにFID信号のモジュールを使用することは、FID信号の取得時に観測される位相および周波数のシフトの主原因であるターゲットの動きの影響を補正する、高速で、単純で、かつロバストな方法である。
図5は、複数のボクセルを含むある体積の組織の分光画像を取得するケースを示す図である。このタイプのCSI分析は、各ボクセルから送達される信号の空間弁別を実行するように磁化勾配を固定磁化B0に重畳することによって、従来の方法で実行される。このケースは、図1に示すケースと同様であるが、磁場B0の不均一性による位相および周波数のシフトが見られる可能性がある、ある体積のボクセル510に関する。
なお、空間領域で行われることは全て、NMR撮像で従来行われることと同じであることに留意されたい。フーリエ変換は、1つのFID信号からそのスペクトルに切り替えるために使用したのと同様に、磁場勾配によって符号化された信号から空間解像信号に切り替えるために実行される。FID信号をスペクトルに変換するフーリエ変換が、時間信号に作用し、その時間信号を周波数信号に変換する。このことが、時間(または周波数)TFという名称を説明している。勾配によって符号化された信号をNMR画像に変換するフーリエ変換は、空間次元で作用する。この処理は、CSI分析に特有のものであり、上流側で、本発明が適用される前に実行される。図5は、本発明の技術が、CSI分析の技術と両立することを示している。
上記から分かるように、グローバル補正は、全てのFID信号に対して同じように行われる補正である。これは、主に、受信機の復調信号と実際に取得される信号との間の周波数および位相のオフセットに関する。ローカルな、または相対的な補正は、2つの異なるコイルから送達される、または同じコイルから連続して送達される、あるいは空間的に異なる領域から送達される、2つの取得FID信号同士の間に見られる位相および周波数の差に関する補正である。場合により、これらの差は、患者の動き、コイルの電子機器、磁場B0の空間変動、またはこれらの現象の組合せによって生じる。
図6は、人間の脳内の異なる位置に位置する2つのボクセルについて、図5で説明した条件下で得られた実験結果を比較する図である。
ダイアグラム610および620とダイアグラム630および640とは、それぞれ、異なる位置(1および2)にある2つのボクセルについて、取り込まれたFID信号の従来の処理と本発明によるFID信号のモジュールの処理とによって得られた信号を示している。
なお、従来の取り込まれた信号の処理で現れている周波数650および位相660のオフセットは、定量化を大幅に改善するモジュールの処理では現れなくなっている(670参照)ことに留意されたい。
なお、上記の図5および図6に示すケース、すなわちCSI信号の取得では、SNRを改善するために複数回の取得を実行しなければならないこともあることに留意されたい。本発明は、また、上述のように、また特にFIDモジュールの加算と共に図3に示すように適用される。
図7は、FID信号が現況技術の項で述べたようにアンテナアレイから取得されるケースを示す図である。本発明は、個々のアンテナ同士の間に存在する可能性がある有意な差、より詳細には位相に関する差も容易に補正しなければならないこの複雑なケースで、特に有利である。
この場合には、各ボクセル110から発出されるFID信号は、複数のアンテナによって取り込まれる。この例では、2つのアンテナ101および102が示してある。一般的には、これより多数のアンテナが関連付けられ、例えば8アンテナネットワークが使用されることが多い。個々のアンテナは、この例では複素FID信号1301および1302をそれぞれ送達する独自の受信システム1201および1202をそれぞれ有する。
ダイアグラム710および730と、ダイアグラム720および740とは、各アンテナから送達される複素FID信号の実数部および虚数部の例である。予想される通り、このアンテナアレイの個々のアンテナによって取り込まれる信号の位相および振幅の有意な差750があることに気がつく。
なお、アレイ内の全ての個々のアンテナに共通するグローバルな位相および周波数のシフトが存在するが、アンテナ同士の間の個々の位相および振幅の差は、以下で分かるように必ず補償しなければならないことに留意されたい。
図8は、アンテナアレイから取り込まれるFID信号を処理し、これを従来の処理の信号と比較する、本発明による方法のステップを示す図である。
本発明による方法は、極めて単純であるが、1つのアンテナによるFID信号の連続的な取得に関する図3に示す方法とそれほど異ならない。図8のケースでは、信号は同時に取得されることが好ましく、モジュール340は、この例では個々のアンテナ101および102から取得される信号ごとに計算される。もちろん、図3の場合と同様に、アンテナアレイの場合も、取得を複数回行うことが排除されることはない。
アンテナアレイの場合の顕著な差は、次のステップ810中に、アレイの個々のアンテナ同士の間の全ての不可避な差を考慮するために、異なるアンテナから送達されるモジュールの振幅の補正が必要であることである。
振幅の補正を適用する方法は、各FID信号の重み付けを実行することにある。重み係数は、例えば、FIDモジュールごとに、そのFID信号を送達しているコイルに適用することができ、この重み係数は、時間t=0におけるモジュールFIDの二乗を時間t=0における各FIDのモジュールの二乗の和で割った値に等しい。
次いで、その振幅が重み付けられた直後のモジュールの加算350を実行する。次いで、これらのFID信号の結合によって得られるモジュールのスペクトル組成を、フーリエ変換230を使用して計算することができる。
なお、FID信号の重み付けは、好ましいものではあるが、単なる任意選択のものであることに留意されたい。
比較により、さらに複雑な従来のプロセスを、図8の左側に示す。この部分は、1つのFID信号に関する図2とも比較されたい。なお、図2のケースでは、FID信号が1つしかないので、位相補正は、フーリエ変換の前または後に無頓着に実行することができる。位相補正は、従来の方法では、FID信号中よりもスペクトルにおける位相変動の方が視覚化することが容易であるので、フーリエ変換の後に手作業で行われる。図8のケースでは、異なるコイルの信号は、処理の前に最初に再結合されるので、この補正は事前に実行される。ただし、各コイルの各信号のフーリエ変換を実行し、その後にその整相および加算を行うことも、企図することができる。ただし、コイルの数と同数のフーリエ変換を実行しなければならず、例えば、64個のコイルを使用している場合にはフーリエ変換を64回行わなければならない。
図9は、図8で説明した条件下でアンテナアレイから得られる実験結果を比較する図である。
ダイアグラム910および920は、代謝産物をより良好に視覚化するために、FID信号を取得して加算し、フーリエ変換を行い、これらの例における水の線の除去を行った後に得られるスペクトルを示している。ダイアグラム920は、従来のFID信号の処理の後に得られるスペクトルの実数部を示している。前述のように、虚数部は、受信機によって人工的に導入され、追加の情報を含んでいない。したがって、虚数部は、信号を処理するときにのみ使用され、その結果を提示するときには使用されない。ダイアグラム910は、本発明によるFID信号のモジュールの処理の結果を示している。既に述べたように、このモジュールの処理により、スペクトルの対称化が得られ、その半分のみが保持される。既知のシステムで得られるダイアグラム920中のピークは、ダイアグラム910では、本発明の解決策で得られる。したがって、異なるFIDを加算する前にモジュールを考慮に入れることによって情報の損失が生じるにも関わらず、代謝産物は、依然として特性決定することができる。種の特性決定は、通常は、試料中のその種の性質を特定および/または定量化することを含む。さらに、そのピークは非常に狭く、このことから、正確な特性決定が可能になり、また、信号対雑音比が本発明による信号のモジュールの処理によって視認できるほど劣化しないことが分かる。
図9に示すように、代謝産物からの信号の取得を改善するためには、水を除去すると有利であることがある。実際に、脳では、水信号が、代謝産物の信号より約10倍も多い。アナログデジタル変換器(ADC)の全ダイナミクスを十分に活用するために、水信号は、FID信号を取得する前に部分的または完全に除去されることが多い。
既知の方法では、従来の処理を示すダイアグラム920の結果のケースと同様に、水信号は、通常は、2ステップで除去される。第1のステップは、取得中に、適当なシーケンス(例えば、この場合には減衰)を用いて実行される。このような抑制が完璧であることはないので、加算後に、通常はスペクトルの定量化の直前に、第2の除去を実行して、処理すべき信号の数を減少させる。上述のように、第1の抑制は、受信機のアナログデジタル変換器が受信する信号の振幅を低減すること、したがって、最も小さな信号を最も良好にデジタル化するための、通常は16ビットであるフルコード化範囲を維持することを目的としている。第2のステップは、代謝産物の定量化を容易にするために実行される。この目的のために、主要成分の中で水信号に対応するものだけを保持しながら、信号の特異値分解を実行することによって、水信号をモデル化する。信号は、スペクトルから引かれるこれらの値から再構築される。
ただし、既に分かっているように、水信号は、本発明の範囲内では、位相および周波数の参照信号として使用される。この場合、使用するのに十分な振幅を有する信号を維持するために、水は部分的にしか抑制されない。上記で既に述べたように、水信号は、代謝産物の絶対濃度を推定するための濃度参照としても使用することができる。この場合には、全水信号を取得しなければならない。一方で代謝産物のより良好な視覚化、他方でその定量化という必須事項を両立するためには、水を部分的なまた完全に抑制した実験と、そのような抑制を行わない実験という、連続した2回の実験を実行する必要があることもある。
本発明の理論的特徴については、以下の数学的展開によってサポートする。
A(t)が、雑音のない状態で、単一の化合物すなわち単一の種を有するボクセルから取得した信号である場合には、A(t)は、以下の数式[1]で示すように表現される。
A(t)=A(t)ej(ωt+φ) [1]
ここで、A(t)は、FID信号の波形であり、ωは、単一の化合物の共鳴周波数であり、φは、全ての位相ひずみを表している。
位相ひずみを補正する1つの方法は、以下の数式[2]に示すように信号のモジュールを取ることにある。
||A(t)||=A(t) [2]
このモジュールは周波数情報も除去し、フーリエ変換後に、「共鳴」信号が得られる。ここで、単一の化合物が水のピークに対応すると仮定すると、以下の数式[3]と同じ標記を使用しながら、以下の数式が得られる。
Figure 0006420348
なお、これらの数式では、参照種は水であるものとしていることに留意されたい。ただし、本発明は、参照種を水とすることに限定されるわけではない。水の代わりに任意の溶媒を参照種として使用して、これらの数式を使用することもできる。
水信号に別の化合物が追加されたときには、取得される信号のモジュールは、以下のようになる。
Figure 0006420348
この数式において、記号*は、複素共役を示す。平方根の中の積は、展開した後に数式[1]および[3]を使用して、以下のように書くことができる。
Figure 0006420348
追加された化合物と水との間の周波数および位相のシフトにそれぞれ対応する項Δω=ω−ωH20およびΔφ=φ−φH2Oを導入すると、
||S(t)||=AH2O(t)+(A(t))+2A(t)AH2O(t)cos(Δωt+Δφ)
=(AH2O(t)+A(t)cos(Δωt+Δφ))+A(t)−(A(t)cos(Δωt+Δφ))
=(AH2O(t)+A(t)cos(Δωt+Δφ))+A(t)(1−cos(Δωt+Δφ))
=(AH2O(t)+A(t)cos(Δωt+Δφ))+(A(t)sin(Δωt+Δφ))
となり、最終的には、以下の数式が得られる。
Figure 0006420348
水を抑制しない全ての実験の場合と同様にAH2O(t)がA(t)と比較して非常に大きいと仮定すると、この数式の第2項は無視することができる。すると、以下の数式が得られる。
||S(t)||=AH2O(t)+A(t)cos(Δωt+Δφ)
以下の本発明の説明では、FID信号のモジュールを使用することにあり、特定の適用分野では制限的になることもある、この技術が上記の図面(図1から図9)に詳細に示したものを考慮に入れる。
実際には、既に分かっているように、FID信号のモジュールを使用することにより、通常は水1010である参照種の周波数の周りでスペクトルが対称化されて、図10aおよび図10bに示すように、スペクトルの左側に位置する雑音1030およびアーチファクト1020は、存在する場合には、図10bに示すように、対称化によって得られた信号に重畳される。雑音の増加だけでなく、スペクトルの関心部分、すなわち分析したい代謝産物が最もよく位置している右側部分1040のアーチファクトのエイリアシングも、顕著になる可能性がある。
これらのアーチファクトは、いくつかの原因を有する可能性がある。これらの原因には、以下が含まれ得る。
調査エリア付近の1つまたは複数の調査領域から発生する可能性がある不要な信号。このような信号は、取得シーケンスで除去しなければならないが、この抑制は、例えば被験者が動くこと、磁場に影響を及ぼす可能性がある磁石の周りの物体が動くこと(例えば部屋のドアの開閉など)、磁場の均一性が低いこと、および磁場の時間変化などによって不良になる可能性がある。
望ましい信号であるが、上記と同じ原因によって正常な共鳴周波数からずれている信号。例えば、磁場が不均一であることによって共鳴周波数が調査領域(眼、滑液など)の共鳴周波数から数ヘルツずれている領域の水は、余分な共鳴として現れる可能性がある。
NMRプローブによって感知され、スペクトルに重畳される電磁干渉(電波、wifiなど)。
擬似信号。例えば、取得シーケンスは、多数のパルスを含み、これらのパルスの特定の組合せによって、スペクトルに重畳される擬似信号が生成されることがある。
上記に示したように、これらのアーチファクトの原因が何であれ、水信号の左側のアーチファクトおよび/または雑音は認められ、モジュールによって得られる対称化によって水の右側の信号に重畳される。
図11aから図11cは、この問題に対して本発明が提供する解決策を例示し、簡単に説明する図である。
図11aに示すように、水のスペクトルを、最初に、特性決定したい試料からモデル化する。このモデル化は、本発明では、このモデルの対応する部分を、参照種の周波数の左側に位置する取得スペクトルの半分の代わりに使用するために使用する。これにより、図11bに示す結果が得られる。このようにして再構成されたスペクトルは、左側に雑音またはアーチファクトを含まない。右側部分は、特性決定する種を含む取得信号に対応する。以降のステップは、前述のステップと同じであり、逆フーリエ変換を実行して時間領域のFIDに復帰するステップ、再構成スペクトルのモジュールを抽出するステップ、ならびに、その後、通常はフーリエ変換を使用して周波数領域に復帰して、図11Cに示すように左側からの雑音および任意のアーチファクトによって擾乱されていない最終スペクトルを得るステップである。
なお、SNRは、期待通りに、図10bの対応する値と比較して2の平方根倍だけ改善されることに留意されたい。
キャリアすなわち参照ケースの信号をモデル化するために、いくつかの技術を使用することができる。このような技術の1つは、この分野では、水をモデル化するために広く使用されている。このモデル化は、NMRスペクトルからモデル化した水信号を引くために使用される。このようなモデル化技術は、HLSVDと呼ばれる。これは、「Hankel−Lanczos特異値分解」、すなわち「Hankel−Lanczosの特異値分解法」の略記である。HLSVD法は、参照種の信号をモデル化するために本発明に適用するときには、以下の主要ステップを含む。
FID信号から行列を生成する(この行列の第1列はFID信号を含み、以降の行は、第2列は1つずれ、第3列は2つずれるなど、このFID信号の円順列を含む)。
この行列を、固有値および固有ベクトルに分解し、10個または20個の主成分のみを保持する。
この10または20個(選択はユーザに委ねられる)の主成分の中から、水信号の周波数に近い(例えば、水信号の位置の周りの0.5ppmなど)周波数に出現するものだけを保持する。次いで、これらの共鳴からFID信号を再構築する。このような分解では、任意の形状を有する可能性がある水信号は、いくつかのローレンツ型曲線に分割される。このようなローレンツ型曲線を加算して、水信号の形状を再現する。
特に、このようなモデル技術に関する次の出版物を参照することができる。「SVD−Based Quantification of Magnetic Resonance Signals」、Pijnappel、Van den Boogaart、DE BEER、VAN ORMONDT、Journal of Magnetic Resonance、97、122〜134頁(1992年)。
ただし、図11aから図11cに示す技術は、ピークまたは側方帯域の形状を取ることが最も多いことから一般に「サイドバンド」と呼ばれる反対称なアーチファクトが、取り込まれたスペクトルに存在する場合には、別の限界を示す。このようなタイプのアーチファクト1210を、図12aの例に示す。このアーチファクトは、対になっており、参照信号の共鳴周波数に対して対称的な周波数を有し、等しい振幅を有し、反対の符号を有する。FID信号のモジュールを使用する図1から図9に示す技術を用いてこれを処理すると、このスペクトル部分の反対称なアーチファクトを水の右側に重畳することになる。したがって、この処理により、このようなタイプの不要なアーチファクトは自動的に抑制されることになり、信号のモジュールをこのように処理した後には、実際に、それらが出現しなくなった図12bに示すようなスペクトルが得られる。
この利点は、もちろん、雑音の低減および図10aに示すタイプの反対称なアーチファクト1020の除去を可能にする図11aから図11cに簡単に示す技術を事前に適用したときには、失われる。
以降の図面は、雑音を改善し、かつ「サイドバンド」型の非対称なアーチファクト1210および非対称なアーチファクト1020を除去することも可能にする完全な技術を示す。
もちろん、以下で述べるように、本発明による方法は、参照種のピーク(共鳴周波数)の片側のみに1つまたは複数のピーク(共鳴周波数)を有する種のみに適用されるのではない。
本発明を参照種のピークの右側に位置する1つまたは複数のピークに適用し、それとは別に、本発明を参照種のピークの左側に位置する1つまたは複数のピークに適用すれば、このような種を分析するのに十分である。
これは、図10a、図11a、図11b、図11c、図11dおよび図11eを参照して説明することができる。この例では、ピーク1020がアーチファクトではなく、通常は代謝産物である特性決定対象の種のピーク(すなわち共鳴周波数)であると考える。したがって、この特性決定対象の種は、参照種の共鳴ピーク1010のいずれかの側に位置する2つの後続ピーク1020、1040(すなわち2つの共鳴周波数)を含む。
図10a、図11a、図11b、図11cに示す上述のステップにより、11cにおいて、共鳴ピーク1040に対応する信号を得ることができる。こうして、モジュールを計算した後で、共鳴周波数1040(図11c)を表す修正後の
Figure 0006420348
FID信号が得られる。
図10a、図11a、図11d、図11eに示す上述のステップにより、11cにおいて、共鳴ピーク1020に対応する信号を得ることができる。ステップ11dは、ステップ11bに対応するが、Sref(ω)の左側部分を信号S(ω)の左側部分の代わりに使用する代わりに、図11aのSref(ω)の右側部分を、図10aの信号S(ω)の右側部分、すなわち共鳴ピーク1040を含む部分の代わりに使用して、図10aの共鳴ピーク1020を維持する。こうして、モジュールを計算した後で、共鳴周波数1020(図11e)を表す修正後の
Figure 0006420348
FID信号が得られる。
こうして、分析対象の種について、各ピーク1020、1040を分析することができる。特性決定対象の種の性質およびその内容は、データベースを調べることによって特定することができる。このデータベースは、通常はコンピュータを用いて調べる。この種がデータベースで既知でない場合には、後の分析のために、より広範な検索を行う、またはこの種を定性化するように、試料中の共鳴ピークおよびその内容を定義することができる。
図13は、枠1310内に、この例では詳細にはCSI型プロセスに適用される(これは限定的なものではない)図1から図9に示すFID信号のモジュールの処理の流れ図を示している。上述の追加の結果を得るために、すなわちSNRを改善してアーチファクトを除去するために追加しなければならないステップは、枠1320に含まれている。この追加処理を、以下では「DFRR」と呼ぶ。これは、「低磁場領域置換」の略記であり、スペクトルの一部分を図11aから図11Cに簡単に示したモデルで置換することを指している。この処理は、スペクトルの一部分の代わりに参照信号のスペクトルの対応する部分を使用する、と表現することもできる。これらの枠に含まれない流れ図の構成要素について、以下で述べる。
取り込まれたCSI生データ1330のストリームから、このCSI生データ1330のストリームに、空間領域のフーリエ変換1311の処理を適用する。使用するアルゴリズムは、FFT型のものである。これは、デジタル化されたアナログ信号の処理に広く使用されている「高速フーリエ変換」の略記である。第1のボクセルS(t)のFIDをCSIファイル1312から抽出し(1313)、上述のHLSVD法などのモデル化方法を使用して処理する。このようにして、水の共鳴の周りの±0.5ppmの範囲内の共鳴を選択することによって、特異値分解によって参照種の信号のモデルが抽出される(1321)。参照種の信号は、総称語Sref(t)で示される。この参照種は、水であることが多く、以下の例では、参照種の信号に使用される用語は、h2o(t)とする。もちろん、本発明は、任意の参照種に適用され、参照種は、溶媒から取ると有利である。通常は、h2o(t)を使用して、残りの水の信号を除去し、これを信号S(t)から引く。本発明に関しては、S(t)およびh2o(t)のFFTの両方を計算し、これにより、それぞれS(ω)およびH2O(ω)を得ることになる(後者の項は、通常は水である参照種の信号の周波数のスペクトルを指している。この項は、本明細書でも使用される項Sref(ω)と等価であり、これらの用語は、実施形態にかかわらず、特に参照種が水でない実施形態では、交換可能である)。これら2つのFFTを計算するステップは、それぞれ、図13の枠1320では1322および1323として示されている。
共鳴参照種の信号を用いて取得を実行する場合には、S(ω)を2つの領域に分離することができる。2つの領域とは、参照種の信号の左側に位置するスペクトルの部分の半分である低磁場領域(DFR)と、参照種の共鳴の右側のスペクトルの部分の残りの半分である高磁場領域(UFR)である。これら2つの領域はそれぞれ、参照種の共鳴周波数F0Refから延びている。
同様に、S(t)からモデル化される水信号のスペクトルも、参照種の信号の左側に位置するスペクトルの部分の半分である低磁場領域と、参照種の共鳴の右側のスペクトルの部分の残りの半分である高磁場領域の、2つの領域に分離することができる。これら2つの領域はそれぞれ、このモデル化から生じるこのスペクトルの参照種の共鳴周波数F0Ref’から延びている。実際には、モデル化されたスペクトルの参照ケースの信号の共鳴周波数F0Ref’は、全ての種を含むスペクトルの参照種の信号の共鳴周波数F0Refと等しい、すなわち、F0Ref=F0Refである。
ここで、関心のある代謝産物の全ての共鳴がスペクトルのUFR部分に位置していると仮定すると、DFRは、雑音およびアーチファクトしか含まない。したがって、この領域は、スペクトルの定量化を変化させることなく、水の信号H2O(ω)のモデルから抽出した同じ領域1324で置換することができる。
したがって、参照種のモデル化した信号H2O(ω)における参照種の右側の領域は、特性決定対象の種を含む信号S(ω)から引かないが、これで、信号S(ω)のDFR部分を置換する。H2O(ω)のDFRでDFRのS(ω)を置換する(1324)ことにより、以下のように表すことができる、雑音およびアーチファクトのない、DFRで特徴付けられるスペクトルの新たな信号
Figure 0006420348
が得られる。
Figure 0006420348
H2O(ω)をDFRのモデルとして使用しても、DFRを単純にヌルにした場合、または除去した場合のように、この新たな信号
Figure 0006420348
に中断が生じることはない。変数
Figure 0006420348
は依然として連続的であり、その導関数も連続的である。既に述べたように、このプロセスのこのステップ1324は、DFRRと呼ばれる。ここで、
Figure 0006420348
の逆高速フーリエ変換(iFFT)を計算する(1325)と、時間領域で新たなFID
Figure 0006420348
が得られる。次いで、
Figure 0006420348
のモジュールを計算し(1326)、元のCSIファイルに再導入する(1315)。
このシステムは、使用するボクセルシフト技術が、NMRで広く使用されている周知のデータ構造であるいわゆるk空間(k空間)の操作に基づくものであるので、選択されていることが好ましい。次いで、k空間内でデータを再構築する。
次いで、現況技術で提供される、直接経路1340を取る従来の処理の場合に元の生データに対して行うのと同様に、標準的な処理1360を実行することができる。
一実施形態によれば、修正後のFID信号
Figure 0006420348
のモジュールを計算するステップ、およびそのCSIファイルへの再導入1315の後で、フーリエ変換の適用を省略することもできる。次いで、時間領域における特定および/または定量化を行う。この場合には、周知のソフトウェアによって、例えば、それぞれが1つの種に対応する複数の所定の基本FIDを加算して、修正後のFID信号
Figure 0006420348
のモジュールを近似することができる。修正後のFID信号
Figure 0006420348
の修正後のモジュールを最もよく再構築するように選択された基本FIDと、それに関連する係数とが、試料中に存在する種の性質および定量化についての情報を与える。
あるいは、また好ましくは、修正後のFID信号
Figure 0006420348
のモジュールを計算するステップ、およびその元のCSIファイルへの再導入1315の後で、フーリエ変換を適用することもできる。この場合、修正後のFID信号
Figure 0006420348
のモジュールのそれぞれについてスペクトルが得られ、これらのスペクトルは、それぞれがボクセルに対応する。
次いで、新たな複合スペクトル
Figure 0006420348
を得る。ただし、モジュールを処理するときに生じる対称化により、元のスペクトルのUFRを、雑音もアーチファクトも含まない算出したDFRと混合することになる。図1から図9に既に示したように、代謝産物の共鳴の強度は、必ず2分の1になっていく。本発明のこの任意選択の実施態様では、雑音も2分の1に低減され、これにより、SNRは不変となる。したがって、SNRは、以前のように劣化しなくなる。
既に述べたように、「サイドバンド」タイプの反対称なアーチファクトの存在下では、DFRに位置するアーチファクトは、DFRR処理1320によって除去される。DFRにある「サイドバンド」の除去自体が、上記で既に述べたようにサイドバンドのキャンセルに影響を及ぼす。本発明では、以下で、この問題を解決する解決策について述べる。また、DFRR処理は、水の抑制を行わずに使用することもできることも示す。
上記の例は、この方法をCSIタイプ(すなわちマルチボクセル)のイメージングに適用するときに特に有利であるが、この方法は、CSIイメージングに限定されるものではない。実際に、この方法は、単一ボクセル処理に適用することもできる。その場合、この方法は、空間的処理のためだけのステップが不要になることを除けば、概ね同じである。空間的フィルタリングのステップは、特に抑制される。
さらに、特性決定対象の種は、参照種の信号の右側に位置することが最も多いが、本発明は、特性決定対象の種が参照種の信号の左側に位置する場合にも適用される。
上記の説明で示したように、たいていの場合は、分析したい異種は、参照信号の右側に位置する。特性決定対象の種が水の左側にあることもあるが、それらは、生物医学業界で実施されているように、通常の分光/分光測定では見えないことが普通である。ただし、本発明は、特性決定対象の種が参照種の信号の左側に位置する場合にも拡張される。その場合には、当然、FIDのスペクトルの右側部分の代わりに使用されるのは、参照種からモデル化した信号の右側部分となり、特性決定対象の種がある左側はそのまま残す。例えば、このスペクトルは、2つのステージで処理する必要がある(1つの場合には、DFRが維持され、このプロセスは、UFRを維持しながらこのプロセスが繰り返される)。UFRの種は、DFRの種と同じ参照信号からの距離に出現しないこともあるが、この場合も、対称化により、問題が生じないことがある。
したがって、上述のように、本発明は、特性決定対象の種の共鳴ピークの各側に共鳴ピークを有する種を分析することを可能にする。本発明の方法、および特に参照信号のスペクトルの半分の代わりに参照種のスペクトルの対応する半分を使用することは、スペクトルの各側で実行しなければならない。
本発明の以下の説明は、雑音に対するDFRR処理1320の結果に関する。「サイドバンド」の問題は、後に扱う。
雑音については、標準偏差σを有するゼロ平均を有するガウス分布を有する雑音信号n(t)のFFTは、雑音が2次式的に追加されるので、ゼロ平均および標準偏差
Figure 0006420348
を有するガウス分布を特徴とする
Figure 0006420348
となるような雑音信号であることは周知である。Nは、時点の数である。雑音信号の分布はゼロを中心としているので、モデル化された信号が、DFRR処理中に不連続性を生じることはなく、当然ゼロ信号となる。NMRで得られる雑音は、ゼロを中心とするガウス分布を特徴とする。信号が存在しない状態では、ここで述べている場合と同様に、雑音の中心はX軸である。信号の存在下では、雑音は、当然、この信号に重畳され、心合わせ位置への復帰は、信号の線の幅(通常は数ヘルツから幅の半分までであるが、ローレンツ型曲線の場合は、翼が比較的大きい)によって決まり、信号が強い場合(水)には、これは、数百Hzに達することもある。
DFRR処理1320は、DFR N(ω)をゼロで置換し、これにより新たな信号
Figure 0006420348
を得ることにある。いかなる処理も行わずに、N(ω)のiFFTは、当然、その標準偏差σを有する元の雑音信号
Figure 0006420348
を生じることになる。ただし、N(ω)の点の半分がゼロで置換されているので、iFFT
Figure 0006420348
は、以下の新たな雑音信号を生じることになる。
Figure 0006420348
点の半分がゼロ値を有するので、その加算は反対側の半分で実行することができる。
Figure 0006420348
の標準偏差σは、
Figure 0006420348
に等しくなる。
したがって、DFRR処理で得られる雑音信号
Figure 0006420348
の標準偏差は、元の雑音信号n(t)の標準偏差と比較して
Figure 0006420348
分の1になっていると言うことができ、これが第1の結果である。
データ処理は、引き続き図1から図9に示したように信号のモジュールを使用して、以下のように新たな信号を得る。
Figure 0006420348
上記で説明したように、ゼロ中心平均を有するガウス分布によって特徴付けられる雑音のモジュールは、いわゆるライスの法則(Rice law)に従って分布する。この分布は、SNRが3を超えるときにはガウス分布で近似することができ、SNRがゼロに向かう傾向があるときにはレイリー分布で近似することができる。上記の両条件下で得られたSNRの特徴については、図1から図9の説明で既に述べている。DFRR処理1320によって導入される修正についてのみ、以下で述べる。ガウス分布については、σがn(t)の標準偏差である場合には、
Figure 0006420348
の標準偏差もσに等しいということが分かっている。これを上記で説明したように得られる複合スペクトルに適用することにより、
Figure 0006420348
の標準偏差は、
Figure 0006420348
に等しい
Figure 0006420348
の標準偏差と等しくなる。ガウス近似が有効である場合には、DFRR変換を使用して得られる雑音信号の標準偏差は、モジュールの処理のみを使用したときに得られる標準偏差と比較して、
Figure 0006420348
分の1に減少する。モジュールを用いた処理を、雑音の同じガウス近似のための従来の処理と比較すると、SNRの低下が観察される。DFRR処理により、雑音のガウス分布の存在下でのモジュールの処理によって生じるSNRの損失を回復することが可能である。
上記のいわゆるレイリー条件については、雑音が心合わせされなくなると、分析はさらに複雑になる。この近似で得られる雑音の特徴について、以下で述べる。
以下では、これら2つの雑音分布近似についてのDFRR処理1320の数学的表現を紹介する。これらの数学的表現を使用して、シミュレーションに使用される全ての信号を計算する。
レイリーの近似を、最初にモデル化する。r(t)が時間領域の雑音信号であり、R(ω)がそのフーリエ変換であるとすると、R(ω)のDFRをゼロで置換することは、R(ω)に以下に定義する単位ステップ関数の逆数を乗算することと全く等価である。
Figure 0006420348
DFRR処理は、以下のように加算することができ、
Figure 0006420348
逆変換iFFTは、
Figure 0006420348
を与える。
モジュールを抽出すると、
Figure 0006420348
が得られ、高速フーリエ変換は、
Figure 0006420348
となる。
ガウス近似は、元の雑音スペクトルr(t)に、
c(t)=c、∀t
によって定義される一定信号c(t)を加算することによってモデル化することができる。
これは、以下の新たな雑音信号を与える。
g(t)=r(t)+c
上記と同じ標記を使用すると、以下が得られる。
Figure 0006420348
Figure 0006420348
Figure 0006420348
と非常に似ているが、以下の結果の項において、得られる雑音の形状は全く異なっていることが分かる。
「サイドバンド」すなわち水信号の周りの反対称アーチファクトについては、モジュールを処理するときに生じる対称化が、それらのアーチファクトを最終的なスペクトルから除去するための簡単かつ効果的な方法であったことが分かっている。スペクトルのDFRを水のモデルで置換するときに、この領域に位置する「サイドバンド」が除去され、モジュールの処理によって引き起こされる自動キャンセルが行われなくなる。引き続きUFRスペクトル中の「サイドバンド」によって生じるひずみを解消する解決策は、以下の通りである。
Figure 0006420348
は、モジュール処理のみを使用したときに得られるスペクトルである。
Figure 0006420348
は、モジュール処理およびDFRR処理の両方を使用したときに得られるスペクトルである。
Figure 0006420348
は、「サイドバンド」タイプのアーチファクトを含まず、
Figure 0006420348
は、「サイドバンド」タイプのアーチファクトが対称化によってキャンセルされていないので、UFR部分に依然として多少の「サイドバンド」タイプのアーチファクトを含む。
Figure 0006420348
から
Figure 0006420348
を引いた減算結果のUFRは、「サイドバンド」および一部の雑音のみを含む。この「サイドバンド」は、その後除去することができ、これにより、「サイドバンド」タイプの反対称アーチファクトによる汚染のないスペクトルが得られる。この変換を表し、またその変換がFRR処理1320にどのように導入されるかを表すプロセスは、図13の枠1350に示してある。
この図では、ステップ1351は、「サイドバンド」1352を得るための、スペクトル
Figure 0006420348
からのスペクトル
Figure 0006420348
の減算に対応する。ステップ1353は、「サイドバンド」1352が除去された新たなスペクトル1354を得るための、スペクトル
Figure 0006420348
からの「サイドバンド」1352の減算に対応する。
なお、減算1351は、図13に示すようにFIDに対して実行してもよいし、図12cから図12eに示すようにスペクトルに対して実行してもよく、FFTは、加算に対して分散的であることに留意されたい。
好ましくは、ただし任意選択で、得られた差に平滑化関数を適用する。
この実施形態は、特に簡単であり、信頼性が高く、SNRの改善に効果的であるという特定の利点を有する。この実施形態は、反対称アーチファクトを自動的に除去することによってモジュールの利点を活用することを可能にするが、参照種の共鳴周波数のいずれかの側に存在する雑音が重畳されたモジュールによって通常生じる限界がない。
CSIタイプの実験の場合、すなわち複数のボクセルを分析する場合を、次に検証する。上記に示したように、SNRの
Figure 0006420348
分の1の低下は、実際には、モジュールを考慮に入れることに基づくこの方法を実施するときに行われる生体内実験では観察されていない。本発明の範囲内では、これは、ほとんどの例がCSIタイプの実験から抽出されたこと、およびモジュールの処理が図13の枠1310に示すプロセスで実施されている方法によることが分かっている。既に分かっているように、FFT1311が最初に空間次元で実行され、その後に、CSIの各ボクセルのモジュール1314の計算が行われる。これにより、空間領域内の任意の位相および周波数のシフトを補正することが可能になる。次いで、逆変換iFFT1317を空間次元で実行し、これにより、k空間の新たなデータセットを得ることができる。次いで、従来の処理を実行する(1360)。この従来の処理中に、空間フィルタリングを実行する。
空間フィルタリングは、CSIが1つのコイルから得られたものであっても複数のコイルから得られたものであっても、CSIが関わるようになると直ちに適用可能になる。
空間フィルタリングは、
ステップ1321から1326が実行される場合、またはステップ1321から1326が実行されない場合に、モジュールを考慮に入れる前に、
ステップ1321から1326が実行される場合、またはステップ1321から1326が実行されない場合に、モジュールを考慮に入れた後で、
適用することができる。ステップ1321から1326が実行された場合にそれらのステップによって提供される信号対雑音比に追加される信号対雑音比の増加。
空間フィルタリングは、空間的フーリエ変換の前に、空間符号化の次元で(すなわちk空間で)CSIにベル(例えばガウス、余弦、ハニング、ハミングなど)関数を乗算することによって行うことが好ましい。
空間フィルタリングの1つの結果は、空間解像度の低下、すなわちボクセルのサイズの増大である。これは、空間フィルタリングの後の新たなスペクトルが、元のスペクトルと、元のスペクトルの周囲のスペクトルの一部との加算の結果であることを意味している。モジュールを処理した後に空間フィルタリングを実行する場合には、CSIのスペクトルは、位相および周波数が揃っている。これは、フィルタリングの後に得られる新たなボクセルのサイズがどのようなものであっても、関連する全てのボクセルの位相および周波数が揃っていることを意味する。これは、さらに、ボクセルのサイズの増大による線の幅の増大がないことも意味している。これに対して、モジュールを抽出する前に空間フィルタリングを実行する場合には、その結果を与える次の項に示すように、関連するボクセルは位相および周波数が揃わず、その結果得られるスペクトルの解像度が劣化し、SNRの低下につながる可能性がある。
図22は、図13と一部同じである。図13と同じ参照符を有するステップは、図13を参照して上述したステップと同じである。この図は、点線内に従来の処理(モジュールを考慮しない)を示している。この図は、また、複素FID信号S(t)に適用されるモジュールによる処理1310も示している(ステップ1314)。この流れ図は、また、モジュールによる処理と結合されたDFRR処理も示している(ステップ1321から1326)。後者の2つの処理では、モジュールを計算する(ステップ1314または1326)前に空間フィルタリングを実行して、上述の結果を得る。したがって、空間フィルタリングをステップ1314または1326の後に実行する場合が好ましい。
この図では、本発明の任意選択の最適化であるサイドバンドの処理は示していない。
単一ボクセル分析の場合には、空間的処理全体がなくなるので、処理は大幅に簡略化される。図13のステップ1131、1312および1317は不要となり、ステップ1313は、取得されたものの中からFIDを抽出するステップとなる。ステップ1326で、発明者等は、時間領域で定量化することができるFIDを得る、または時間的フーリエ変換を実行して、スペクトル領域で定量化することができるスペクトルを得ることができる。どのような方法が選択されても、結果の最終的な妥当性検査は、スペクトル領域で行われることが好ましい。これは、スペクトル領域が、オペレータがスペクトルの品質を容易に判断することができる空間であるからである。実際に、SNR、アーチファクトの有無、線の幅は、時間領域ではオペレータが視覚的に評価することができない。
この実験を数回繰り返してSNRを改善するときには、図13のFIDを加算する(ステップ1315)前に、FIDごとにこの処理を実行される。図13のステップ1313から1315は、前述の説明から明らかなように、図3のステップ340、図5の「各FIDのモジュールの計算」のステップ(空間フィルタリングの後にモジュールを計算する場合)、および図8のステップ340と置換することができる。
この段落では、本発明の生体内および生体外の適用分野のための実験の枠組について、さらに詳細に説明する。本発明の実施のために使用される仮定は、最初にシミュレーションによって検証し、次いで実験で検証した。生体内実験は、いわゆるOVS−CSI特殊パルスシーケンスを用いて3テスラの磁場を生成することができる「スキャナ」タイプのNMR機器(ドイツのエアランゲンにあるSiemens Medical Solutions社製のVerio)によって行った。以下の結果の項に示すほとんどのスペクトルは、水の抑制の少ない、または水の抑制を行わない、25×25符号化ピッチ、サーキュラ型重み付け(a circular type of weighting)、および短エコー時間(「25×25/サーキュラ重み付け/短エコー時間」)で得られたCSI実験の抜粋である。取得パラメータは、TR/TE=1500/16ms、サンプリング点=2000、およびSW=2000Hzである。視野は240×240ミリメートル(mm)であり、水の厚さは20mmである。総取得時間は11分7秒である。エコー時間を135msとし、他のパラメータは全て同じにした、長エコー時間を有するCSI実験の結果も、具体的に示す。後続の処理は、いわゆるハニング空間フィルタリング、時間領域の8000個のサンプル点についての取得データのゼロパディング、およびHLSVD技術を用いた残留水信号の除去を適用する、いわゆるCSIAPO特有ソフトウェアを用いて実行した。1つのモジュールのみの処理、またはモジュールにDFRRを加えた処理によって得られる全てのスペクトルに、2を乗算して、モジュールの処理によって生じる分だけ信号の強度の低下を補償する。これらのスペクトルは、従来の信号処理で得られるスペクトルと比較して、容易に視覚化することができる。
本発明の以下の説明では、本発明の実施の過程を検証するために実行されたシミュレーションの結果について述べる。
得られる雑音信号の形状を視覚化するために、それぞれレイリー分布およびガウス近似により、米国コロラド州ボルダーにある「Interactive Data Language、Research Systems」社によって開発されたいわゆる「IDL」ソフトウェアを使用して、2つの複素雑音信号を生成した。第1の信号r(t)1411は、擬似ランダムシーケンスを形成する4000の2倍の標本で構成され、ゼロ平均および標準偏差10を有し、レイリー分布を表す、統計的な意味での正規分布からなる。第2の信号g(t)1412は、振幅50を有する一定信号を付加することによって得られる。第2の信号g(t)は、ガウス分布を表す。
図14は、モジュールの処理のみを用いる、またはモジュールの処理とDFRRとを用いる処理の各ステップの間にこれら2つの雑音信号について得られた結果を示す図である。モジュールの処理では、モジュール||r(t)||および||g(t)||の両方を抽出し、FFT変換の後、雑音スペクトル
Figure 0006420348
および
Figure 0006420348
が得られる。既に述べたように、これらの雑音信号に2を乗算して、モジュールの処理によって生じる信号の振幅の喪失を補償する。次いで、SNRの修正を、雑音振幅の1回の評価によって視覚的に推定することができる。DFRRの処理については、フーリエ変換を信号r(t)およびg(t)に適用し、これにより、それぞれ、信号
Figure 0006420348
1421および
Figure 0006420348
1422、すなわち従来の処理で得られる雑音信号が得られることになる。次いで、各信号のDFRをゼロで置換する。この動作は、その完了後に、
Figure 0006420348
1431および
Figure 0006420348
1432が得られる動作である。次いで、逆フーリエ変換またはiFFTをこれら2つの信号に適用し、モジュールを抽出し、FFTを再度適用し、上記と同じ理由から2を乗算し、これが、最終結果
Figure 0006420348
1441および
Figure 0006420348
1442となる。
信号
Figure 0006420348
1441をさらに詳細に考慮すると、DFRR処理によりスペクトル次元で不均一な雑音が得られることになることが明らかになる。レイリーの条件は、従来の処理(R(ω))と比較すべき1つのモジュール(
Figure 0006420348
)の処理を使用するときにSNRの劣化を与えない条件であることを想起されたい。DFRR処理を
Figure 0006420348
に加えるときには、スペクトルウィンドウの中心の周りの雑音は、1つのモジュールの処理を用いて得られる雑音と実質的に同じ強度であるが、スペクトルウィンドウの縁部に向かって雑音強度の低減を観測することができる。
特に信号
Figure 0006420348
に注目すると、雑音の振幅が、
Figure 0006420348
と比較して低減していることは明らかである。これは、従来の処理を使用したときに得られる雑音であるG(ω)の振幅に匹敵する。
以下のTable 1a(表1)およびTable 1b(表2)は、このようなシミュレーションを1000回繰り返したときに異なる関心のあるステップで得られる雑音の標準偏差を示している。Table 1a(表1)は、時間領域で得られる結果を示し、Table 1b(表2)は、周波数領域で得られる結果を示している。この場合も、DFRR処理を行って、または行わずに、モジュールを処理した後で得られる信号に2を乗算して、この処理によって生じる信号強度の喪失を補償する。雑音の標準偏差は、SNRと直接関係している。
Figure 0006420348
Figure 0006420348
この表は、元のFID信号の雑音がガウス分布に従う、すなわちゼロに向かう傾向がある標準偏差を有する領域では、モジュールの処理およびDFRRを用いて得られるスペクトルのSNRが、単一のモジュールの処理を用いて得られるスペクトルのSNRと比較して、
Figure 0006420348
倍増大することを示している。モジュールおよびDFRRを用いて得られるSNRは、従来の処理を用いて得られるSNRと同じである。元のFID信号の雑音がレイリーの法則に従う領域では、すなわちFIDのSNRが3を超えるときには、モジュールの処理およびDFRRを用いて得られるスペクトルのSNRは、従来の処理を用いて得られるスペクトルのSNRより高い。この利得は、スペクトルウィンドウの縁部付近では4.6倍に達する可能性もある。実際に、取得されるFID信号にはどちらの領域も存在し、その結果得られるSNRは、ガウス分布で近似することができる雑音と元のFID信号中のレイリー分布に近い雑音との間に存在する関係に応じて、これら2つの限界の間である。
何らかの理由でレイリーの法則を適用する条件が望ましくない場合には、モジュールを抽出する直前に一定信号を追加し、抽出後に除去することができることに留意されたい。一定信号の値が元のFID信号の雑音の標準偏差の3倍より大きくなるように選択される場合には、その分布がガウス分布であることを考慮する条件が満たされる。モジュールの処理およびDFRRを用いて得られるスペクトルのSNRは、従来の処理を用いて得られるスペクトルのSNRと同じであるものとする。SNRの利得は失われることになるが、その結果得られるスペクトルの雑音は平坦になる。図13の枠1370は、この追加処理をDFRRの処理1320にどのように導入することができるかを示している。
本発明の実施を可能にする全ての仮説も、次の項で述べるように、生体内および生体外で検証されている。DFRR処理、単一のモジュールの処理、および従来の処理による結果は比較されている。脳の生体内NMR分光/分光測定データ、および「ファントム」の生体外NMR分光/分光測定データが、上述の実験条件を用いて得られている。
既知の通り、ファントムは、研究すべきモデルである。例えば、ファントムは、水の入った容器、および脳内に見られるいくつかの代謝産物とすることができる。
図15は、水抑制を行わない脳についての長エコーCSI取得の、同じボクセルから抽出した8個のスペクトルを示す図である。グラフ1510、1520、1530および1540は、それぞれ、従来の処理、モジュール処理、モジュール処理およびDFRR、ならびに一定信号の付加によって得られるスペクトルを表している。これは、雑音のガウス寄与が最大になるように、時間領域でいかなるアポダイゼイションも行わずに実行する。実際には、FIDには、FIDの先頭(信号が存在する領域)に好都合であり、FIDの末端(雑音のみが残る)を減衰させる減少指数関数を乗算しなければならない。グラフ1550、1560、1570および1580は、同じ処理を用いて、ただしレイリー分布を得る条件に好都合になるように0.5の帯域幅を有する指数的時間フィルタリングを追加して得られるスペクトルを示している。
様々な処理技術を用いて得られるSNRを図15に示す。ガウス条件が好ましいとき(1520、1530および1580)には、従来の処理を用いて得られるSNRが、DFRR処理を用いることによって回復されることを確かめることができる。
また、この例では、レイリーの法則が適用される領域(1580)では、モジュールを抽出する前にFID信号に定数を付加し、その後FID信号からその定数を除去することにより、その結果得られるスペクトルのSNRが、レイリーの条件が好ましいとき(1570)に得られるスペクトルと比較して低下することも確かめられる。この場合、得られるスペクトルのSNRは、従来の処理を用いて得られるスペクトルと同じである。また、SNRの
Figure 0006420348
分の1の減少は、実際には、モジュールの処理(1520)を用いる従来の処理1510と比較して得られることにも留意されたい。これは、このような特定の場合には、上述(CSI実験)のように、モジュールおよびDFRRの処理が事前に実行されるときに得ることができるSNRの利得をなくすために、モジュールおよびDFRRの処理が空間フィルタリングの後に実行されることによるものである。図示の結果は、例えば、25×25符号化ピッチで得られるCSIから得られている。そのような結果は、単一のボクセルの実験で得られるものと比較できる。図15は、DFRR処理が単独でもたらすものも示している。モジュールによる処理は、その処理が事前に実行されるときに得られるSNRの利得を追加しないように、空間的アポダイゼイションの後に実行されている。したがって、この図面の結果は、CSIについて得られているものであるが、単一のボクセルについて得られる結果と等価である。
図16は、「サイドバンド」を最小限に抑えるために水を部分的にのみ抑制して脳について実行した短エコーCSI取得の、同じボクセルから抽出した2つのスペクトルを示す図である。ダイアグラム1610は、1つのモジュールの処理を用いて得られるスペクトルおよびDFRR処理で得られるスペクトルを示している。ダイアグラム1620は、DFRR処理を用いて得られるスペクトルと単一のモジュールの処理を用いて得られるスペクトルの間の減算の結果を示している。減算結果であるこの曲線では、代謝産物からの残留信号がないことが分かる。減算信号は、雑音と、おそらく「サイドバンド」である可能性が高いアーチファクトとのみからなる。
上記で分かるように、「サイドバンド」タイプの反対称アーチファクトは、脳のスペクトルを模倣するためにいくつかの代謝産物を含むファントムについての短エコーCSI取得に対応する、図12aで明白に識別することができる。既に説明した図12aおよび図12bならびに図12cは、それぞれ、従来の処理、単一のモジュールによる処理、およびモジュールとDFRRの処理を用いて得られるスペクトルを示している。既に述べたように、「サイドバンド」は、1220から分かるように、単一のモジュールを処理するときに除去されるが、モジュールとDFRRの処理の場合には除去されない。図12dは、図5bのスペクトルと図5cのスペクトルの間の減算の結果、すなわち単一のモジュールの場合とモジュールとDFRRの場合との間の差を示している。4から4.95ppmの間の残留水(1230)およびサイドバンドは、明白に見えている。図12eは、この信号をDFRRでモジュールを処理した後の信号、すなわち図5cの信号から減算したときに得られるスペクトルを示している。図12のスペクトルでは、「サイドバンド」が実際に抑制されていること、およびこのスペクトルがモジュールのみの処理を用いて得られるスペクトル、すなわち図12bのスペクトルに非常に類似していることが分かる。図12fは、1つのモジュールの処理によって得られるスペクトルとDFRR方法を使用して「サイドバンド」を減算した後で得られるスペクトルの間の減算の結果を示している。このスペクトルは、主として、「サイドバンド」タイプのアーチファクトがあれば、このアーチファクトを含む。したがって、この結果により、DFRR方法が任意のサイドバンドを除去するのに非常に有効であることが明白に確認される。
図17は、脳のスペクトルを模倣するファントムについての短エコーCSI取得に対する空間フィルタリングの前または後にモジュールの処理を使用したときに得られる差を示す図である。好ましくは、この場合の空間フィルタリングは、空間的フーリエ変換(すなわちk空間内)の前にCSIの行および列にハニング関数を乗算することにある。ダイアグラム1710および1720は、CSIの全てのスペクトルを加算することによって得られるグローバルなスペクトルを示している。ダイアグラム1710は、処理を全く使用せずに得られるスペクトルを示しており、その結果得られるスペクトルは、この場合のパルスシーケンスによって選択される水の厚さに対応する試料の全ての励起部分、すなわち2cmのスペクトルである。
上述のように、空間フィルタリングによって、近接するボクセルのスペクトルが加算される。この現象を強化するために、この図では、CSIの全てのスペクトルを加算している。ダイアグラム1710は、モジュールを考慮に入れる前にスペクトルを加算した場合に得られるものを示し(この場合、考慮する前に空間フィルタリングを実行した場合に得られるものが増幅される)、ダイアグラム1720は、スペクトルを加算する前にモジュールを適用した場合に得られるものを示している。
このスペクトルに見られる低い周波数解像度は、このような大きな体積にわたって磁場を均質化することが困難であることによるものである。ダイアグラム1720は、図13の枠1310内に示すようにモジュール処理を使用して得られる、CSIの全てのスペクトルを加算することによって得られるスペクトルを示している。
図17は、さらに、空間解像度は大幅に改善されることを明白に示している。この場合のモジュール処理は、取得中に磁場B0の非常に高い均質性が得られるかのように作用するが、この見かけの良好な均質性は、この処理によって生じるものである。これにより、大きな体積、したがって均質化することが困難な磁場において単一のボクセルを取得しなければならない場合に、新たな視点が開ける。実際に、代わりにCSIを取得し、その後にモジュール処理を実行して、最終的に良好な品質のスペクトルを得ることが、考慮に値することもある。このような技術は、本発明で提供するようにモジュールを考慮すると、大幅に簡略化される。
図18は、脳についての長エコーCSI取得で同じパターンを用いて得られる結果を示す図である。生データから得られるスペクトルと比較したときの、モジュール処理によって得られるスペクトル解像度の利得も、観測することができる。また、いくつかのボクセルでは、脂質の信号が水の信号より大きくなることがあることにも留意されたい。その場合には、脂質信号を、モジュール処理の参照として取る。次いで、これらのボクセルのスペクトルを、これらの脂質の共鳴に応じて位相および周波数を揃える。幸いなことに、脳の分光/分光測定では、この領域は、関心のある共鳴を含まない。さらに、脂質の共鳴の最大値が約0.8ppmである場合には、脂質の共鳴は4.7ppm(水の共鳴位置)までシフトする。次いで、水の共鳴を、有り難いことに関心領域の外側の領域に対応する約8.8から−0.8ppmに位置決めされる2つの部分(モジュールを考慮することによって生じる対称化による)に分離する。図18から、関心のあるスペクトルは、2ppm(NAA)から4ppm(クレアチン)の間であることが分かる。約2ppmに位置するピークは、NAAに対応し、約4ppmに位置するピークは、クレアチンに対応する。0.8ppmから1.8ppmの間に位置する質量は、脂質の質量である。ただし、脂質信号が水信号より高い全てのボクセルにおいて、脂質信号は、水の共鳴に再割り付けされ、残りの水を除去するときに水信号と共に除去されるので、この効果は、後続の脂質を除去する処理として作用する。これは、脂質信号が、モジュールの処理によって得られるスペクトル1820と比較することができるモジュールを処理せずに得られるスペクトル1810で高いことの理由である。
図19は、脳の長エコーCSI取得において空間フィルタリングの前または後でモジュールによる処理を適用することの影響を示す図である。この場合には、空間フィルタリング関数は、いわゆるカイザーベッセル窓である。図19は、モジュールを事前に実行したとき(点線)、および後に実行したとき(実線)に得られるスペクトルを示している。
αが大きくなるほど、フィルタは狭くなり、したがって、フィルタリングは強くなる。ここで、フィルタリングが強くなるほど、ボクセルのサイズは大きくなり、したがって、その信号を考慮しているボクセルに追加する近隣のボクセルが増加する。さらに、考慮しているボクセルに追加される信号は、考慮しているボクセルからますます遠隔の領域から、したがって磁場B0の不均質性によってスペクトルが位相はずれになり、シフトする可能性が最も高い領域から来る。α=0では、空間フィルタリングはなく、両スペクトルのSNRは等価である。α>0では、モジュールによる処理を空間フィルタリングの前に実行したときに得られるSNRが、その処理を後に実行したときに得られるSNRより良好であること、および両SNRの間の偏差がαと共に(したがってボクセルのサイズと共に)増大することが分かる。上述の特徴は、モジュールによる処理による理論SNRの予想損失がCSIの場合に得られないことに関係するが、空間フィルタリングがモジュールの抽出後に実行される場合には、再び見られるようになる。
図20および図21は、一方はファントム(図20)および他方は患者(図21)に対して実行されるCSI取得に対するこの効果(図20)を示す図である。
これらの各図は、図中の上から下に向かって、以下のスペクトルを含む。
従来の方法を使用して得られたスペクトル。
空間フィルタリングの後にモジュールを考慮して、図1から図9を参照して上述したモジュール方法を使用して得られたスペクトル。
DFRR方法を使用して得られたスペクトル。
空間フィルタリングの前にモジュールを考慮して、図1から図9を参照して上述したモジュール方法を使用して得られたスペクトル。
これらのスペクトルは、DFRR技術および空間フィルタリングの前にモジュールを使用する技術が、従来の方法と比較して、非常に満足できるさらに改善されたSNRを得ることを可能にすることを示している。このSNRの利得は、図21でさらに明らかである。これは、ファントムの場合より対照の場合の方が高い磁場の不均質性によるものである可能性が高い。
図23は、この試料が特性決定対象の種をいくつか含んでいるときに、本発明が、特性決定対象の種のキャリアとして使用される参照種が大量に存在していることを必要とすることを、明白に示している。実際に、モジュールを考慮に入れると、キャリアを特性決定対照の種の信号と比較することを可能にしながら、キャリアに影響を及ぼす。
本発明は、したがって、磁場の周波数が調節される、単一の種の緩和時間を分析することを目的とする技術とは明白に異なる。
本発明は、特に、単一ボクセルであるかマルチボクセル(CSI)であるかにかかわらず、分光/分光測定に適用される。
取得中に水信号を除去し、次いで得られた信号にモジュールを適用すると、代謝産物のいかなる定量化も不可能になる。このことは、分光/分光計測に関する図23には明白に現れている。FID2301は、水信号をほぼ完璧に抑制した後で得られ、この抑制は、取得中に実行される。FID2302は、水信号をほぼ完璧に抑制した後、かつモジュールを考慮に入れた後で得られる。スペクトル2303は、FID2301のフーリエ変換および手作業による位相補正を用いて得られるスペクトルである。スペクトル2303上で、代謝産物を特定および定量化することができる。スペクトル2303は、試料組成を正確に再生する。ピーク2303aは、残留水信号に対応し、ピーク2303b〜2303cは、代謝産物2301および2303に対応し、したがって従来の処理に対応する。
スペクトル2304は、FID2302のフーリエ変換を用いて得られるスペクトルである。このスペクトルは、無効である。このスペクトルは、スペクトル2303とは全く異なり、代謝産物を特定または定量化することはできない。モジュールを考慮に入れると、参照種の信号抑制による取得であるので、誤った解釈となる。
実際には、参照種が、特性決定対象の種よりもはるかに大量に存在するときには、参照種の信号が、その他の種の信号のキャリアとなる。
水を参照種として使用する生体内分析では、水は10を超える量で存在するので、これは常に当てはまる。水は、その他の種の量の10倍または10倍を超える量で存在することが最も多い。したがって、種の緩和時間に関わりなく、水信号は、その他の種の信号のキャリアとなり、モジュールを考慮しても、水より少ない量で存在する種の信号の位相情報を除去することにならない。
他の場合には、参照種が最初に大量に、ただし例えば2倍存在し、かつ参照種および特性決定対象の種の緩和時間が有意に異なる場合には、以下のステップのうちの少なくとも1つを実行することによって、試料の組成を修正することが望ましいことがある。
溶媒を溶液に追加して、その含有物を増加させ、したがって参照種の信号を増加させ、参照種をキャリアとして作用させるステップ。
信号を生成しない(共鳴周波数を生じない)が試料の緩和時間を修正する種を追加するステップ。例えばCuSOの場合など。
以上の詳細な説明では、例として生体試料中の代謝産物の特性決定に言及しているが、本発明は、非生物的な化合物の分析にも有利であることが分かっている。実際に、本発明は、例えば、水またはその他の任意の溶媒などの参照種を含む溶液中の化合物を特定し、この溶液中のこの化合物の含有量を測定することを可能にする。
さらに、本発明は、参照種の性質がどのようなものであっても適用される。この参照種は、上記の例に示したように水であることが多いが、例えば水以外の溶媒など、別の種であってもよい。
本発明は、上述の実施形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲によってカバーされる全ての実施形態に拡張される。
101 アンテナ
110 ボクセル
120 電子受信機
121 アナログ増幅器
122 アンテナ
123 フィルタリン
124 アナログデジタル変換器
130 デジタル複素FID信号
131 虚数成分
132 実数成分
510 ボクセル
1201 受信システム
1202 受信システム
1301 複素FID信号
1302 複素FID信号

Claims (30)

  1. 少なくとも1つの特性決定対象の種および参照種を含む少なくとも1つの試料の、核磁気共鳴(NMR)を使用した分光分析の方法であり、前記試料中の前記参照種の含有量が前記少なくとも1つの特性決定対象の種の含有量の2倍超である方法であって、
    a.少なくとも1つの一定磁場Bを前記少なくとも1つの試料に印加するステップと、
    b.1つまたは複数のアンテナを使用して、1つまたは複数の複素自由誘導減衰(FID)信号S(t)を取得するステップ(1330)であり、各複素FID信号S(t)が、実数部(140)および虚数部(150)を含み、前記試料が、前記参照種および前記少なくとも1つの特性決定対象の種の相対含有量、ならびにそれらの相対緩和時間が、前記少なくとも1つの複素FID信号S(t)において、前記参照種の信号の振幅が前記少なくとも1つの特性決定対象の種の信号の振幅より少なくとも2倍大きくなるようにするようになっているステップとを含み、
    さらに、
    c.前記少なくとも1つの複素FID信号S(t)の前記実数部および前記複素部にフーリエ変換を適用することによってFIDスペクトルS(ω)を得るステップ(1323)であり、得られる前記FIDスペクトルS(ω)が、参照種および特性決定対象の種を含み、それぞれ前記参照種の共鳴周波数F0RefからF0Refのそれぞれの側に延びる2つの部分(UFR、DFR)を有し、前記特性決定対象の種の共鳴周波数(1040)が、前記2つの部分(UFR、DFR)から取られた前記スペクトルの第1の部分に位置するステップと、
    d.前記参照種の信号Sref(t)を、前記少なくとも1つの複素FID信号S(t)の前記実数部および前記複素部からモデル化するステップ(1321)と、
    e.前記参照種の信号Sref(t)のモデル化にフーリエ変換を適用することによって前記参照種のスペクトルSref(ω)を得るステップ(1322)であり、前記参照種の前記スペクトルSref(ω)が、前記スペクトルSref(ω)の前記参照種の共鳴周波数(F0ref’)からF0Ref’のそれぞれの側に延びる2つのスペクトル部分を有するステップと、
    f.前記FIDスペクトルS(ω)の第2の部分を、前記スペクトルSref(ω)のF0Ref’から前記スペクトルS(ω)の前記第2の部分と同じ側に延びる前記スペクトルの前記2つの部分から取られる前記スペクトルSref(ω)の部分で置換することによって、修正FIDスペクトル
    Figure 0006420348
    を得るステップ(1324)であり、前記第2の部分が、前記スペクトルS(ω)の前記2つの部分(UFRおよびDFR)から取られる、前記特性決定対象の種の前記共鳴周波数(1040)を含まない部分であるステップと、
    g.前記修正スペクトル
    Figure 0006420348
    に逆フーリエ変換を適用して(1325)、時間領域の修正FID信号
    Figure 0006420348
    を得るステップと、
    h.前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    のモジュールを計算するステップ(1326)と
    を少なくとも含むことを特徴とする、方法。
  2. 前記FID信号S(t)のモジュールを計算する前記ステップ(1314)の後で、前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    のモジュールから特性決定対象の種を特定および/または定量化するステップを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記複素FID信号S(t)のモジュールを計算するステップ(1314)を含み、前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    のモジュールを計算した(1326)後で実行される、
    i.前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    のモジュールから前記複素FID信号S(t)のモジュールを減算するステップ(1351)と、
    j.前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    のモジュールから前記ステップiで得られた結果を減算するステップ(1354)とを含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記複素FID信号S(t)のモジュールを計算するステップ(1314)を含み、前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    のモジュールを計算した(1326)後で実行される、
    i.前記複素FID信号S(t)のモジュールおよび前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    のモジュールにフーリエ変換を適用し、次いで前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    のモジュールのスペクトルから前記信号S(t)のモジュールのスペクトルを減算するステップと、
    j.前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    のモジュールのスペクトルから前記ステップiで得られた結果を減算するステップとを含む、請求項1または2に記載の方法。
  5. 前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    のモジュールから前記特性決定対象の種を特定および/または定量化する前記ステップの間に、少なくとも前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    のモジュールを含む信号にフーリエ変換を適用する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記参照種の信号を前記少なくとも1つの特性決定対象の種の信号のキャリアとして使用するために、前記試料中の前記参照種の含有量が、前記試料中の特性決定対象の種の含有量より十分に高い、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記試料中の前記参照種および前記少なくとも1つの特性決定対象の種の相対含有量、ならびにそれらの相対緩和時間が、前記参照種の信号の振幅が、前記少なくとも1つの特性決定対象の種の信号の振幅より少なくとも5倍、好ましくは10倍多くなるようになっている、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記特性決定対象の種を含む試料のFIDモジュール(222)が、数式
    ||S(t)||=|AH2O(t)+A(t)cos(Δωt+Δφ)|
    によって定義される||S(t)||に等しく、この数式において、
    Δω=ω−ωH2OおよびΔφ=φ−φH2Oが、それぞれ、前記少なくとも1つの特性決定対象の種と前記参照種の間の周波数および位相のオフセットに対応し、
    H2O(t)が、前記参照種のFID信号の時間に対する振幅であり、
    (t)が、前記特性決定対象の種のFID信号の時間に対する振幅である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記取得ステップ(1313)中に、複数の複素FID信号S(t)が取得される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    のモジュールを計算する前記ステップ(1326)が、各修正FID信号
    Figure 0006420348
    ごとに実行される、請求項9に記載の方法。
  11. 複素FID信号S(t)ごとに前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    のモジュールを計算する前記ステップ(1326)の後、前記特性決定対象の種を特定および/または定量化する前記ステップの前に、前記修正信号
    Figure 0006420348
    のモジュールの加算を実行して、結合FID信号を得る、請求項9または10に記載の方法。
  12. 前記アンテナがコイルであり、取得される前記複素FID信号S(t)が、同じコイルから送達される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記アンテナがコイルであり、取得される前記複素FID信号S(t)が、異なるコイルから送達される、請求項9に記載の方法。
  14. 前記アンテナがコイルであり、前記取得される複素FID信号S(t)が、異なるコイルから送達され、少なくともいくつかのコイルについて、いくつかの複素FID信号S(t)が取得される、請求項9に記載の方法。
  15. 前記取得ステップ(1313)中に、複素FID信号S(t)が、前記試料の複数のボクセルから取得され、空間フィルタリングのステップが、前記ボクセルのそれぞれについて、前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    のモジュールの計算(1326)後に実行される、請求項9に記載の方法。
  16. 各複素FID信号S(t)について前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    のモジュールを計算した(1326)後、前記修正信号
    Figure 0006420348
    のモジュールを加算して(350)結合FID信号を得る前に、各コイルの重み係数を計算するステップ(810)を実行し、前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    のモジュールを、その信号を送達したコイルの重み係数で重み付けする、請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記一定磁場B0を試料の複数のボクセルに印加し、前記異なるボクセルの前記結合FID信号の周波数スペクトルを使用して、化学シフトイメージング(CSI)を用いた1つまたは複数の画像を生成する、請求項12から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記取得ステップ中に、唯一の複素FID信号S(t)を取得し、前記唯一の複素FID信号S(t)の実数部および複素部にフーリエ変換を適用することによって、唯一のFIDスペクトルS(ω)を得(1323)、前記特性決定対象の種を特定および/または定量化するステップを実行し、フーリエ変換を、前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    の唯一のモジュールに適用する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記取得ステップ(1330)中に、空間符号化FID信号を取得し、前記取得を、数回繰り返して、いくつかの符号化信号を得、前記符号化信号のそれぞれを、その後、前記試料のボクセルと関連付けられるように復号し、各ボクセルと関連するFID信号についてFIDモジュール(222)を生成する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記試料が、いくつかの特性決定対象の種を含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記試料が、生体物質の試料であり、前記参照種が、水であり、前記特性決定対象の種が、代謝産物である、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記試料が、化学成分であり、前記参照種が、溶媒であり、前記特性決定対象の種が、化合物である、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記試料中の前記参照種の含有量が、少なくとも、各特性決定対象の種の含有量の10倍または10倍より高い、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記分析が、分光分析または分光測定分析である、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記特性決定対象の種が、少なくとも前記参照種の共鳴周波数F0ref(1010)の右側に位置する第1の共鳴周波数(1040)、および少なくとも前記参照種の共鳴周波数F0ref(1010)の左側に位置する第2の共鳴周波数(1020)を有し、
    前記ステップfを、前記スペクトルの前記第2の部分が前記参照種の共鳴周波数F0ref(1010)の左側に位置することを考慮して実行して、前記第1の共鳴周波数(1040)を表す第1の修正FIDスペクトル
    Figure 0006420348
    を得、
    前記ステップfを、前記スペクトルの前記第2の部分が前記参照種の共鳴周波数F0ref(1010)の右側に位置することを考慮して実行して、前記第2の共鳴周波数(1020)を表す第2の修正FIDスペクトル
    Figure 0006420348
    を得る、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記ステップgおよびhが、前記第1および第2の修正FIDスペクトル
    Figure 0006420348
    のそれぞれに適用されることが好ましい、請求項25に記載の方法。
  27. 少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法の少なくともステップcからh(1323、1321、1322、1324、1325、1326)を実行する命令を含むコンピュータプログラム製品。
  28. 少なくとも1つの特性決定対象の種および参照種を含む少なくとも1つの試料を、核磁気共鳴(NMR)を使用して分析するシステムであり、前記試料の含有量が前記少なくとも1つの特性決定対象の種の含有量の2倍超であるシステムであり、前記試料に一定磁場B0を印加する手段と、時間領域で1つまたは複数の自由誘導減衰(FID)信号S(t)を取得する(1330)ように構成された少なくとも1つのアンテナを含む、前記一定磁場B0中で電磁励起を生成する磁場を印加する手段とを含み、各複素FID信号S(t)が、実数部および虚数部を含み、前記試料が、前記参照種および前記少なくとも1つの特性決定対象の種の相対含有量、ならびにそれらの相対緩和時間が、前記少なくとも1つの複素FID信号S(t)において、前記参照種の信号の振幅が前記少なくとも1つの特性決定対象の種の信号の振幅より少なくとも2倍大きくなるようにするようになっているシステムであって、
    前記少なくとも1つの複素FID信号S(t)の前記実数部および前記複素部にフーリエ変換を適用することによってFIDスペクトルS(ω)を得るステップ(1323)であり、得られる前記FIDスペクトルS(ω)が、参照種および特性決定対象の種を含み、それぞれ前記参照種の共鳴周波数(F0Ref)からF0Refのそれぞれの側に延びる2つの部分(UFR、DFR)を有し、前記特性決定対象の種の共鳴周波数(1040)が、前記2つの部分(UFR、DFR)から取られた前記スペクトルの第1の部分に位置するステップと、
    前記少なくとも1つの複素FID信号S(t)の前記実数部および前記複素部から前記参照種の信号Sref(t)をモデル化するステップ(1321)と、
    前記参照種の信号Sref(t)のモデル化にフーリエ変換を適用することによって前期参照種のみを含む前記参照種のスペクトルSref(ω)を得るステップ(1322)であり、前記参照種の前記スペクトルSref(ω)が、前記スペクトルSref(ω)の前記参照種の共鳴周波数(F0ref’)からF0Ref’のそれぞれの側に延びる2つのスペクトル部分を有するステップと、
    前記FIDスペクトルS(ω)の第2の部分を、前記スペクトルSref(ω)のF0Ref’から前記スペクトルS(ω)の前記第2の部分と同じ側に延びる前記スペクトルの前記2つの部分から取られる前記スペクトルSref(ω)の部分で置換することによって、修正FIDスペクトル
    Figure 0006420348
    を得るステップ(1324)であり、前記第2の部分が、前記スペクトルS(ω)の前記2つの部分(UFRおよびDFR)から取られる、前記特性決定対象の種の前記共鳴周波数(1040)を含まない部分であるステップと、
    前記修正スペクトル
    Figure 0006420348
    に逆フーリエ変換を適用して(1325)、時間領域の修正FID信号
    Figure 0006420348
    を得るステップと、
    前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    のモジュールを計算するステップ(1326)と
    を実行するように構成された処理手段を含むことを特徴とする、システム。
  29. 複数の複素FID信号を取得するように構成された1つまたは複数のアンテナを含むシステムであり、前記複数の複素FID信号S(t)の各複素信号S(t)について前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    のモジュールを計算する前記ステップの後で、前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    のモジュールの加算(350)を実行して結合FID信号を得、前記結合FID信号に前記フーリエ変換を適用するように構成される、請求項28に記載のシステム。
  30. 前記複素FID信号S(t)のモジュールを計算するステップ(1314)と、
    前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    のモジュールを計算した(1326)後で実行される、
    前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    のモジュールから前記複素FID信号のモジュールを減算する(1351)、または前記複素FID信号S(t)のモジュールおよび前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    のモジュールにフーリエ変換を適用し、次いで前記信号S(t)のモジュールのスペクトルを前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    のモジュールのスペクトルから減算するステップと、
    直前のステップで得られた結果を、前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    のモジュールから、または前記修正FID信号
    Figure 0006420348
    のモジュールのスペクトルから減算するステップ(1354)とを実行するように構成された処理手段を含む、請求項28または29に記載のシステム。
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