JP6419680B2 - 製鋼スラグの冷却方法 - Google Patents
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Description
製鋼スラグには、1200〜1500℃で精錬を行う予備処理工程で発生する脱珪スラグ、脱硫スラグ、脱燐スラグ、1600〜1700℃で精錬を行う一次精錬工程で発生する脱炭スラグ、または1500〜1700℃で精錬を行う二次精錬工程で発生する溶鋼処理スラグ、さらにはこれらの混合スラグが含まれる。このような製鋼スラグは排出直後は高温であるため、専用容器に排出した後に製鋼スラグを所定の温度以下となるまで冷却してから、さまざまな用途(例えば、路盤材など)に用いられる。
例えば、特許文献1には、環境汚染、不安全等の問題点を解決できるスラグ処理方法であって、スラグ鍋底部に設けられたガス吹き込み口から500〜1500NL/min.の範囲で通常1000NL/min.程度のガスを噴射すると共に、スラグ上部からは散水管にて散水冷却を行う製鋼スラグの冷却方法が開示されている。
即ち、本発明の製鋼スラグの冷却方法は、製鋼工程で発生する製鋼スラグを排滓して散水冷却するに際して、鉄皮面に、上端部及び下端部に開放孔を有すると共に前記開放孔が連通状態とされた鉄管を、前記鉄管の上端部が0.80〜0.93(上下方向で鉄皮面の最も低い位置が0、最も高い位置が1)に位置するように配備され、且つ前記鉄管の下端が装入される製鋼スラグの深さ方向の中途側に位置するように配備された専用容器を予め準備しておき、前記鉄管が配備された専用容器に装入された製鋼スラグの表面に散水を行い、前記専用容器の鉄皮の外面の温度が100℃以下になった時点で、前記専用容器内の製鋼スラグを排出することを特徴とする。
以下、本発明にかかる製鋼スラグの冷却方法の実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。
図1に示すように、本実施形態の製鋼スラグの冷却方法は、製鋼工程で発生する製鋼スラグSを排滓して散水冷却するに際して、この製鋼スラグSが装入される専用容器1を構成する鉄皮面2(底側2Bではなく内面側の鉄皮面2W)に、上端部及び下端部に開放孔3U、3Dを有すると共に開放孔3U、3Dが連通状態とされた鉄管4を、上下方向で鉄皮面2W(内面側の鉄皮面2W)の最も低い位置を0、最も高い位置を1とした場合に、鉄管4の上端部が0.80〜0.93に位置するように配備された専用容器1を予め準備しておき、鉄管4が配備された専用容器1に装入された製鋼スラグSの表面に散水を行い、専用容器1の鉄皮面2の外面の温度が100℃以下になった時点で、専用容器1内の製鋼スラグSを排出するものである。
図2A及び図2Bに示すように、専用容器1は、溶銑や溶鋼が貯溜できるように内部が空洞とされると共に、上方に向かって開口した有底の容器である。専用容器1は、上下方向に沿った断面が略逆三角形状とされていて、下から上に向かうにつれて広がるような形状に形成されている。また、これらの専用容器1は、鋼鉄製の鉄皮から形成されていて、内容積が10m3〜30m3とされている。
次に、本実施形態の製鋼スラグSの冷却方法を構成する排滓工程、散水冷却工程、スラグ取出工程について説明する。
この排滓工程において専用容器1に入れられる製鋼スラグSは、溶銑処理鍋5などからスラグドラッガーを用いて取り出されてホイルローダなどの運搬車両や運搬設備を用いて専用容器1に移し替えられたスラグ、或いは精錬を行う転炉型容器或いは溶鋼鍋で溶銑或いは溶鋼を先に出湯してから炉内に残ったスラグを専用容器1に排滓したスラグである。
散水冷却工程は、専用容器1内に貯留された製鋼スラグSの表面に冷却水を散水して、製鋼スラグSを冷却する工程である。散水冷却工程において散水する冷却水は、循環水と補給水とを混合したものである。
また、補給水は、専用ピット内に取り付けたレベル計にて循環水の水量(水面の高さ)を測定し、専用ピットなどに回収された循環水が予め定められた水量未満となった場合に、循環水を補充するために補給される水である。つまり、この散水冷却工程では製鋼スラグSを最終的には水没状態として冷却を行うが、製鋼スラグSの上側に貯留される水の量が少なくなりすぎると冷却効果が十分に発揮されない。それゆえ、上述したレベル計で専用ピット内の水面レベルを計測することで、製鋼スラグSの上側に貯留される水の量が不足しないように、水面レベルが低い場合は新たに上水や工水などを追加で加えて製鋼スラグSの上側に貯留される水の量が不足しないように調整している。この調整に用いられる上水や工水などを補給水といい、この補給水を散水に用いても良い。
なお、散水配管6の出口に設けられるノズルには、詰まりが発生しやすい噴霧型のノズルやシャワー型のノズルではなく、直管型(散水配管6と同じ仕様)のものが好ましくは用いられる。
図4に示すように、本実施形態にかかる専用容器1に設けられる鉄管4は、製鋼スラグSの高温に耐えられるようにSTPG(JISで規定される「圧力配管用炭素鋼鋼管」)などで形成された長尺のパイプ状の部材である。鉄管4の直径は40mm〜50mm程度であり、本実施形態では直径が40mmのものと、50mmのものとが用いられている。この鉄管4の内部は、水や水蒸気の流通孔とされている。また、この鉄管4は、一つの専用容器1に対して、1本または複数本設けられている。
具体的には、上下方向で鉄皮面2の最も低い位置を0、最も高い位置を1とした場合に、専用容器1に対して、製鋼スラグSはその表面が0.68〜0.8の高さになるように専用容器1に入れられる。そして、上述した鉄管4は、上端部が0.80〜0.93の高さに位置すると共に、下端部が0.41〜0.48の高さに位置するように、上述した専用容器1に取り付けられる。
すなわち、図6の上側に示すように、鉄管4の上端部が0.93よりも上方に位置する場合は、専用容器1の上端縁から鉄管4の上端部までの距離が短くなり、鉄管4の上端よりも上側の専用容器1内に溜まった水の量も少なくなる。その結果、鉄管4内に流れ込む水の圧力も小さくなるため、鉄管4内への水の流入量が低下するため、スラグ内部の冷却速度が低下する。
ところが、図6の下側に示すように、鉄管4の上端部が0.93以下に位置する場合は、専用容器1の上端縁から鉄管4の上端部までの距離が十分に長いものとなり、溜まった水の量が多くなって、鉄管4内に流れ込む水の圧力を十分に大きくすることができ、鉄管4内への水の流入量も十分多くなる。そのため、スラグ内部の冷却速度を十分に大きくすることが可能となる。以上が、「鉄管4をその上端部が〜0.93の高さに位置するように配備する」、言い換えれば「鉄管4の上側に位置する開放孔3Uを0.93の高さ以下とする」理由である。
実施例及び比較例は、鉄管4の有無及び鉄管4の取り付け位置をさまざまに変更した専用容器1に対して、散水冷却工程を行ったものである。
具体的には、実施例及び比較例に用いた専用容器1は、図8の「a」〜「e」に示すような形状とされている。すなわち、専用容器1の各部の寸法は、上部内径長幅:a=4000mm、上部内径短幅:b=3000mm、底部内径長幅:c=1700mm、底部内径短幅:d=1700mm、内側鉄皮深さ:e=3085mmとされている。また、鉄皮の厚みは90mmであり、JIS規格で鋳鋼に分類されるSC360を用いて内容積20m3に形成されている。
さらに、鉄管4の最小断面積(上下方向の中途側の断面積)は、内径がφ40mmのもので半径20mm×半径20mm×π≒1267mm2であり、内径がφ50mmのもので半径25mm×半径25mm×π≒1963mm2である。上述した鉄管4は、いずれもJIS規格で「圧力配管用炭素鋼鋼管」に分類されるSTPGを用いて形成されている。
まず、上述した寸法を備えた専用容器1に、製鋼スラグSを表面(上面)の高さが0.65〜0.8となるように入れ、入れられた製鋼スラグSの深さを計測する。具体的には、専用容器1の鉄皮面2の内面にあらかじめ長さが既知の鉄棒を略上下方向に沿って取り付ける。また、この上下に沿った鉄棒には別の鉄棒を水平方向に沿って取り付ける。水平方向を向く鉄棒の間隔は上下方向に100mm間隔とされているため、散水冷却を行う前に専用容器1に入れられた製鋼スラグSの表面(上面)を写真撮影してコンピュータに取り込み、取り込まれた写真の画像を解析して上下方向が既知の鉄棒に対する製鋼スラグSの表面の位置を計算により導出し、製鋼スラグSの深さに換算した。
また、散水配管6から散水流量は、散水が行われる先端よりも上流側の配管に設置された流量計で測定した場合に、15m3/hr.となるように調整した。この散水流量は、一度専用容器1に散水され、オーバーフローした水を回収した循環水と、回収した循環水を貯留するピットの水位が低下した場合に補充される補給水を合わした流量とされている。
また、表1〜表3に示すように、実施例のものについては、鉄管4の上端が製鋼スラグSの表面から上方に向かって突出しているかどうかについても目視で確認した。その結果、表1の「散水冷却前の鉄管4の片方の開放孔3(上端側の開放孔3U)のスラグ表面からの露出有無」に示すように、実施例についてはいずれも上端側の開放孔3Uがスラグ表面から上方に突出しており、鉄鋼スラグSの表面が多少波打っていても、製鋼スラグSによって上端側の開放孔3Uが塞がれる心配がないことがわかる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
2 鉄皮面
2B 鉄皮面の底側
2W 鉄皮面の内面側
3U 上端部の開放孔
3D 下端部の開放孔
4 鉄管
5 溶銑処理鍋
6 散水配管
7 流量計
8 流量調節弁
9 サーモビュア
10 クレーン
11 傾転用フック
S 製鋼スラグ
Claims (1)
- 製鋼工程で発生する製鋼スラグを排滓して散水冷却するに際して、
鉄皮面に、上端部及び下端部に開放孔を有すると共に前記開放孔が連通状態とされた鉄管を、前記鉄管の上端部が0.80〜0.93(上下方向で鉄皮面の最も低い位置が0、最も高い位置が1)に位置するように配備され、且つ前記鉄管の下端が装入される製鋼スラグの深さ方向の中途側に位置するように配備された専用容器を予め準備しておき、
前記鉄管が配備された専用容器に装入された製鋼スラグの表面に散水を行い、
前記専用容器の鉄皮の外面の温度が100℃以下になった時点で、前記専用容器内の製鋼スラグを排出することを特徴とする製鋼スラグの冷却方法。
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JP2015239484A JP6419680B2 (ja) | 2015-12-08 | 2015-12-08 | 製鋼スラグの冷却方法 |
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