JP6419024B2 - 電源回路及び車載用電源システム - Google Patents

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Description

本発明は、電源回路及び車載用電源システムに関する。
入力電圧を降圧し、所定の電圧を出力する電源回路などでは、電源立ち上がり時のオーバーシュート電圧を抑制する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、「与えられる電源電圧が所望の直流電圧よりも低いときに、基準電位を出力レベルと同じレベルに調整して差動増幅部に与える基準電位調整部を設けている、これにより、電源電圧が所望の直流電圧よりも低い時にでも、差動増幅部は平衡状態を保つことができ、電源電圧が急に上昇したときにオーバーシュートが発生せず、大きな出力変動を抑えることができるという効果がある」と記載されている(特許文献1の〔発明の効果〕参照)。
特開2005-250664号公報
特許文献1では、電源回路は、出力トランジスタの動作領域として、「ノードN2の制御信号CONは、PMOS41に電流が流れるか流れないかの、ぎりぎりの電位(VCC−Vt=0.8V)となる。」と記載されている。
このような電源回路では、例えば、入力電圧低下時に電流を出力することが出来ない。あるいは、電流が引かれた場合は、出力レベルが低下し、差動増幅部が平衡状態を保つことが出来ず、入力電圧の復帰時にオーバーシュートが発生してしまう。
本発明の目的は、入力電圧が低下した後、入力電圧が急に上昇した場合でも、負荷回路のオーバーシュート電圧を抑制することができる電源回路及び車載用電源システムを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の一例である電源回路は、第1の電圧が入力され、前記第1の電圧を降圧した第2の電圧を出力するスイッチング電源と、前記第2の電圧が入力され、前記第2の電圧を平滑化した第3の電圧を出力するトランジスタを含むリニア電源と、前記リニア電源の内部ノードの電圧基準電圧の大小を判定する判定回路と、
前記リニア電源の内部ノードの電圧が基準電圧より小さいと判定された場合、前記スイッチング電源の出力電圧設定を第1の設定値とし、前記リニア電源の内部ノードの電圧が基準電圧より大きいと判定された場合、前記スイッチング電源の出力電圧設定を前記第1の設定値より小さい第2の設定値とする出力電圧切替回路と、を備える電源回路であって、前記第2の設定値は、前記リニア電源から出力される前記第3の電圧が印加される負荷回路の最大定格電圧から前記第2の電圧の最初のオーバーシュート量を減じた値以下である
本発明によれば、入力電圧が低下した後、入力電圧が急に上昇した場合でも、負荷回路のオーバーシュート電圧を抑制することができる電源回路を提供することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の第1の実施形態による電源回路のブロック図の例である。 図1に示す電源回路のタイミングチャートの例である。 図1に示すフルオン判定回路を説明するブロック図の例である。 図3に示すフルオン判定回路とリニア電源の構成を示したブロック図の一例である。 図4に示すフルオン判定回路とリニア電源を含む電源回路のタイミングチャートの例である。 フルオン判定回路(変形例1)を説明するブロック図の例である。 図6に示すフルオン判定回路の構成を示したブロック図の例である。 図7に示すフルオン判定回路を含む電源回路のタイミングチャートの例である。 フルオン判定回路(変形例2)を説明するブロック図の例である。 図9に示すフルオン判定回路の構成を示したブロック図の例である。 図10に示すフルオン判定回路を含む電源回路のタイミングチャートの例である。 図1に示す出力電圧切替回路のブロック図の例である。 図1に示すスイッチング電源のブロック図の例である。 図13に示すスイッチング電源を含む電源回路のタイミングチャートの例である。 本発明の第2の実施形態による電源回路のブロック図の例である。 図15に示す電源回路のタイミングチャートの例である。 本発明の第3の実施形態による電源回路のブロック図の例である。 図17に示す電源回路のタイミングチャートの例である。 本発明の実施形態による電源回路を含む車載用電源システムのブロック図の例である。 図19に示す車載用電源システムのタイミングチャートの例であり
以下、図面を用いて、本発明の実施形態による電源回路の構成及び作用効果を説明する。なお、各図において、同一符号は同一部分を示す。
(第1の実施形態)
本実施形態では、出力のオーバーシュート電圧を抑制できる電源回路の例を説明する。なお、電源回路は、外部電源の電圧を降圧し、所定の電圧を供給する。例えば、電源回路は、バッテリ電源の電圧を降圧し、車載用電子制御装置に所定の電圧を供給する。
図1は、本発明の第1の実施形態による電源回路1のブロック図の例である。電源回路1は、スイッチング電源100、リニア電源200(シリーズレギュレータ)、フルオン判定回路300、出力電圧切替回路400、を有する。また、電源回路1は、出力V3に、負荷として、例えば、MCU(Micro Controller Unit)2などが接続される。
スイッチング電源100は、V1を入力電源(入力電圧)として、降圧したV2を出力する。リニア電源200は、V2を入力電源として、降圧したV3を出力する。フルオン判定回路300は、リニア電源200がフルオン状態かどうかを判定し、結果をV30(High/Low)として出力する。V30の詳細については、図5を用いて後述する。
なお、本明細において、フルオン状態とは、通常はMOSの飽和領域で動作している電源回路の出力MOSが、非飽和領域で動作している状態のことである。
出力電圧切替回路400は、V30を入力として、スイッチング電源100の出力電圧設定を、切り替え、結果をV40(High/Low)として出力する。V40の詳細については、図14を用いて後述する。
図2は、図1に示す電源回路1のタイミングチャートの例である。
時刻t0において、電源回路1は通常動作をしているため、フルオン判定はされていない。スイッチング電源100およびリニア電源200は、それぞれ電圧設定1および電圧設定Aの電圧を出力している。
入力電圧V1が低下し、時刻t1において、フルオン判定回路300は、フルオン状態であると判定する。このとき、出力電圧切替回路400は、スイッチング電源100の出力V2を、電圧設定2に設定する。
ところで、リニア電源200が電圧設定Aを出力するために必要な、最低入力電圧は、出力トランジスタT2のオン抵抗をRonとし、T2に流れる電流をIoutとすれば、電圧設定A+(Ron×Iout)で表される。
ここで、電圧設定2は、リニア電源200の最低入力電圧より高く、かつ、スイッチング電源100の立ち上がり時オーバーシュート電圧も含めて、MCU2の最大定格よりも低い値に設定すると良い。
換言すれば、電圧設定2(第2の設定値)は、リニア電源200の最低入力電圧以上とすればよい。また、電圧設定2(第2の設定値)は、リニア電源200から出力される第3の電圧V3が印加されるMCU2(負荷回路)の最大定格電圧以下とすればよい。なお、オーバーシュートを考慮した場合、電圧設定2(第2の設定値)は、MCU2(負荷回路)の最大定格電圧から第2の電圧V2の最初のオーバーシュート量を減じた値以下とすればよい。
時刻t2において、V1が、スイッチング電源100およびリニア電源200の最低入力電圧以上に立ち上がると、スイッチング電源100は、電圧設定2となるべく立ち上がる。このとき、リニア電源200は、V2につれて立ち上がるが、出力電圧の最大値は、V2以下に制限される。
ここで、電圧設定2は、前記の範囲に設定されていれば、リニア電源200の出力V3に、MCU2の最大定格以上のオーバーシュート電圧が発生することは無い。
時刻t3において、リニア電源200のフルオン判定が解除された後、リニア電源200の出力V3が安定化するまでの時間として、(t4−t3)の間、電圧設定2を維持し、通常の電圧設定1に戻す。ここで、電源回路1は通常動作に戻る。
このように、スイッチング電源100は、第1の電圧V1が入力され、第1の電圧V1を降圧した第2の電圧V2を出力する。リニア電源200は、第2の電圧V2が入力され、第2の電圧V2を平滑化した第3の電圧V3を出力するトランジスタT2を含む。フルオン判定回路300は、トランジスタT2がフルオン状態か否かを判定する。出力電圧切替回路400は、トランジスタT2がフルオン状態でないと判定された場合、スイッチング電源100の出力電圧設定を第1の設定値(電圧設定1)とし、トランジスタT2がフルオン状態であると判定された場合、スイッチング電源100の出力電圧設定を第1の設定値より小さい第2の設定値(電圧設定2)とする。
これにより、入力電圧が低下した後、入力電圧が急に上昇した場合でも、負荷回路のオーバーシュート電圧を抑制することができる。
(フルオン判定回路)
図3と図4を用いて、本発明の第1の実施形態によるフルオン判定回路300を説明する。
図3は、図1に示すフルオン判定回路300を説明するブロック図の例である。フルオン判定回路300は、リニア電源200の内部信号を入力とし、フルオン判定V30を出力する。その他の構成は、すでに説明した図1に示した同一の符号を付された構成と、同一の機能を有するので、それらの説明は省略する。
図4は、図3に示すフルオン判定回路300とリニア電源200の構成を示したブロック図の一例である。
リニア電源200は、例えば、出力トランジスタT2、分圧抵抗R4、R5、基準電圧Vb(基準電圧生成回路)、OPA(OPerational Amplifier)201、レベルシフタ202、を有する。フルオン判定回路300は、以下で説明するように、リニア電源200の内部ノードの電圧V20に基づいて、トランジスタT2がフルオン状態か否かを判定する。
出力トランジスタT2は、V2を入力とし、V22の制御信号に基づいて、降圧した電圧をV3として出力する。分圧抵抗R4、R5は、V3の電圧を分圧して、分圧電圧V21を出力する。
OPA201は、分圧電圧V21を反転入力とし、基準電圧Vbを非反転入力とし、差分を増幅した結果をV20として出力する。
レベルシフタ202は、V20を入力とし、出力トランジスタT2を駆動する制御信号V22を出力する。
ここで、負帰還により、VbとV21が等しくなるように出力トランジスタT2が制御されるため、V3の電圧設定Aは、Vb×(R4+R5)/(R5)に設定される。
フルオン判定回路300は、例えば、基準電圧Vc(基準電圧生成回路)、コンパレータ301、を有する。コンパレータ301は、V20を非反転入力とし、Vcを反転入力とし、フルオン判定V30を出力する。
その他の構成は、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有するので、それらの説明は省略する。
図5は、図4に示すフルオン判定回路300とリニア電源200を含む電源回路1のタイミングチャートの例である。
時刻t0において、電源回路1は通常動作をしており、OPA201の入力電圧V21は、基準電圧Vbと同じ値に制御され、リニア電源200の内部ノードの電圧V20は、トランジスタT2を飽和領域にて制御可能な範囲にある。
時刻t1において、スイッチング電源100の出力電圧V2が、リニア電源200の最低入力電圧以下に低下すると、OPA201の入力電圧は、定常的に反転入力V21<非反転入力Vbとなり、リニア電源200の内部ノードの電圧V20は、正常な動作範囲を逸脱し、OPA201の電源電圧まで増加する。これにより、出力トランジスタT2はフルオン状態となる。
コンパレータ301は、リニア電源200の内部ノードの電圧V20と、基準電圧Vcを比較し、V20がVcより大きければ、フルオン状態と判定し、V30をHigh論理(以下、単にHと呼ぶ)とする。ここで、基準電圧Vcは、V20の正常な動作範囲上限程度に設定すると良い。
時刻t2において、リニア電源200の入力電圧V2が立ち上がると、V21が増加し、V20は低下し始める。
時刻t3において、V20がVcより小さくなると、フルオン判定回路は、V30をLow論理(以下、単にLと呼ぶ)とする。
このように、リニア電源200の内部ノードの電圧V20を、コンパレータ301で監視するといった、簡易な構成で、リニア電源200のフルオン判定を行うことができる。
(フルオン判定回路の変形例1)
図6と図7を用いて、本発明の第1の実施形態によるフルオン判定回路300の別の構成例を説明する。
図6は、フルオン判定回路300(変形例1)を説明するブロック図の例である。フルオン判定回路300は、スイッチング電源100の入力電圧V1を入力とし、フルオン判定の結果をV30として出力する。
すなわち、フルオン判定回路300は、スイッチング電源100に入力される第1の電圧V1に基づいて、リニア電源200のトランジスタT2がフルオン状態か否かを判定する。
その他の構成は、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有するので、それらの説明は省略する。
図7は、図6に示すフルオン判定回路300の構成を示したブロック図の例である。フルオン判定回路300は、例えば、基準電圧Vc(基準電圧生成回路)、コンパレータ301、を有する。コンパレータ301は、V1を反転入力とし、Vcを非反転入力とし、フルオン判定V30を出力する。
その他の構成は、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有するので、それらの説明は省略する。
ここで、基準電圧Vcは、リニア電源200の最低入力電圧と、スイッチング電源100のフルオン状態の電圧降下の合計値程度とする。これは、リニア電源200の入力電圧V2が、リニア電源200の最低入力電圧以下であれば、必然的に、リニア電源200はフルオン状態となるためである。
図8は、図7に示すフルオン判定回路300を含む電源回路1のタイミングチャートの例である。
時刻t0において、入力電圧V1は、Vcより大きいため、フルオン判定回路300はLを出力する。
時刻t1において、V1が、Vc未満になると、フルオン判定回路300は、Hを出力する。
時刻t2において、V1が、Vcより大きくなると、フルオン判定回路300は、Lを出力する。このとき、リニア電源200自体は、入力電圧が立ち上がった後も、フルオン状態でなくなるまでに時間が掛かる。そのため、通常の動作範囲に復帰はしていないが、このフルオン判定を目安として用いることはできる。
(フルオン判定回路の変形例2)
図9と図10を用いて、本発明の第1の実施形態によるフルオン判定回路300の別の構成例を説明する。
図9は、フルオン判定回路300(変形例2)を説明するブロック図の例である。フルオン判定回路300は、リニア電源200の入力電圧V2を入力とし、フルオン判定の結果をV30として出力する。
すなわち、フルオン判定回路300は、スイッチング電源100から出力される第2の電圧V2に基づいて、リニア電源200のトランジスタT2がフルオン状態か否かを判定する。
図10は、図9に示すフルオン判定回路300の構成を示したブロック図の例である。
コンパレータ301は、V2を反転入力とし、Vcを非反転入力とし、フルオン判定V30を出力する。
ここで、基準電圧Vcは、リニア電源200の最低入力電圧程度とする。
その他の構成は、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有するので、それらの説明は省略する。
図11は、図10に示すフルオン判定回路300を含む電源回路1のタイミングチャートの例である。
時刻t0において、入力電圧V2は、Vcより大きいため、フルオン判定回路300は、Lを出力する。
時刻t1において、V2が、Vc未満になると、フルオン判定回路300は、Hを出力する。
時刻t2において、V2が、Vcより大きくなると、フルオン判定回路300は、Lを出力する。このとき、リニア電源200自体は、V2が立ち上がった後も、フルオン状態でなくなるまでに時間が掛かる。そのため、通常の動作範囲に復帰はしていないが、このフルオン判定を目安として用いることはできる。
このように、リニア電源200の入力電圧V2を、コンパレータ301で監視するといった、簡易な構成で、リニア電源のフルオン判定を間接的に行うことができ、スイッチング電源100とリニア電源200が、物理的に離れて配置されている等の、リニア電源200の内部ノードの電圧V20の監視が困難な場合でも、本発明の実施形態による効果を得られる。
(出力電圧切替回路)
次に、図12と図13を用いて、本発明の第1の実施形態による出力電圧切替回路400の構成例を説明する。
図12は、図1に示す出力電圧切替回路400のブロック図の例である。出力電圧切替回路400は、例えば、遅延回路401、OR論理402、を有する。
図13は、図1に示すスイッチング電源100のブロック図の例である。スイッチング電源100は、例えば、スイッチ素子T1、還流ダイオードD1、インダクタL1、容量C1(コンデンサ/キャパシタ)、分圧抵抗R1〜3、スイッチ102、基準電圧Va(基準電圧生成回路)、PWM制御部101、を有する。
分圧抵抗R1〜3は、V2を分圧し、V11を出力する。スイッチ102は、R1と並列に接続され、制御信号(V40)がLで開き、Hで閉じるものとする。
PWM制御部は、基準電圧Vaと、前記分圧抵抗R1〜3による分圧電圧V11が、等しくなる様に、スイッチ素子T1を制御する。すなわち、スイッチング電源の出力ラインV2の電圧は、スイッチ102が開いている場合は、電圧設定1=Va×(R1+R2+R3)/R3に設定され、スイッチ102が閉じている場合は、電圧設定2=Va×(R2+R3)/R3に設定される。
なお、スイッチング電源100自体の動作については、公知のため省略する。その他の構成は、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有するので、それらの説明は省略する。
図14は、図13に示すスイッチング電源100を含む電源回路1のタイミングチャートの例である。
時刻t0において、電源回路1は通常動作をしており、フルオン判定回路300、遅延回路301、およびOR論理302は、出力をLとする。このとき、出力電圧切替回路400は、スイッチング電源100の出力電圧設定を、電圧設定1に設定する。
時刻t1において、フルオン状態と判定され、V30がHとなると、出力電圧切替信号V40もHとなる。このとき、スイッチング電源100の出力電圧設定は、電圧設定2に設定される。
時刻t2において、スイッチング電源100は、電圧設定2となるべく立ち上がり、このときの出力電圧は、リニア電源200の最低入力電圧以上、かつ、MCU2の最大定格未満である。
時刻t3において、V30がLとなるが、遅延回路出力V41は、Lとなるまでに一定期間遅延するため、V40はHを維持し、スイッチング電源100の出力V2は、遅延時間分、電圧設定2に維持される。ここで、遅延時間は、フルオン判定解除後に、リニア電源200が安定するまでの時間程度に設定すると良い。
時刻t4において、V40がLとなり、スイッチング電源の出力電圧は、電圧設定1に切替り、電源回路1は、通常状態に戻る。
すなわち、出力電圧切替回路400は、スイッチング電源100の出力電圧設定を電圧設定2(第2の設定値)とした後、トランジスタT2がフルオン状態でないと判定された場合、所定時間経過後にスイッチング電源100の出力電圧設定を電圧設定1(第1の設定値)とする。
このように、OR論理402や、遅延回路401およびスイッチ102といった、簡易な構成で、リニア電源200のオーバーシュート電圧を制限することができる。
以上より、簡易な構成でありながら、フルオン状態からの復帰時に、スイッチング電源100の出力電圧V2を、一度、MCU2の最大定格未満である電圧設定2で立上げ、リニア電源200のフルオン状態が解除された後、通常の動作電圧である電圧設定1に戻すことにより、復帰時のオーバーシュート電圧を、MCU2の最大定格電圧以下に抑えられる。
なお、本実施形態において、スイッチング電源100の電圧設定の切り替えに分圧抵抗を用いたが、その意図は、出力電圧を切り替えることにあり、方法としては、例えば、基準電圧を切り替えても良いし、分圧抵抗であれば、分圧比さえ変われば、どう切り替えてもよい。
(第2の実施形態)
リニア電源200の最低入力電圧は、T2に使用する素子のオン抵抗と、MCU2に流れる負荷電流によって決まる。T2のオン抵抗が高いほど最低入力電圧は高くなり、負荷電流が大きいほど最低入力電圧は高くなる。このため、使用条件によっては、電圧設定2の値が大きくなり、MCU2の最大定格電圧以上に設定する必要がある。このとき、スイッチング電源100のオーバーシュート電圧によって、リニア電源200の出力電圧V3のオーバーシュート電圧が、MCU2の最大定格電圧以下に抑制できない場合がある。
このようなスイッチング電源100のオーバーシュート電圧は、出力電圧設定の立ち上がりを、ゆるやかにすることで抑えられる。
本実施形態では、上記を考慮し、出力電圧切替回路400に関する、別の例を説明する。図15は、本発明の第2の実施形態による電源回路1のブロック図の例である。
出力電圧切替回路400は、電圧スロープ403を有する。電圧スロープ403は、フルオン判定V30を入力とし、フルオン判定時は、所定の電圧VdをV40に出力し、フルオン判定解除時には、所定の電圧変化率によって、Va以上にV40の電圧を上昇させる。
スイッチング電源100において、PWM制御部101は、基準電圧Vaおよび、出力電圧切替回路400の出力V40の内、低い方の電圧と、分圧抵抗R1、R3による分圧電圧V11が、等しくなる様に、スイッチ素子T1を制御する。すなわち、スイッチング電源100の出力ラインV2の電圧は、Va>V40の場合は、V40×(R1+R3)/R3に設定され、Va<V40の場合は、電圧設定1=Va×(R1+R3)/R3に設定される。
その他の構成は、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有するので、それらの説明は省略する。
図16は、図15に示す電源回路1のタイミングチャートの例である。
時刻t0において、フルオン判定V30はLであり、出力電圧切替回路400の出力V40はVa以上となるため、スイッチング電源100の出力電圧は、電圧設定1である。
時刻t1において、フルオン判定V30がHとなると、V40は、Va未満の電圧Vdとなり、スイッチング電源の出力電圧は、電圧設定2=Vd×(R1+R3)/R3に設定される。ここで、電圧設定2は、スイッチング電源100の立ち上がりオーバーシュート電圧も含めて、MCU2の最大定格電圧未満となる値に設定する。
時刻t2において、スイッチング電源100は、電圧設定2となるべく立ち上がり、時刻t3において、フルオン判定が解除されると、前記所定の電圧変化率によって、電圧設定値が増加する。
最終的に、時刻t4において、V40>Vaとなり、通常の電圧設定1に収束する。ここで、前記所定の電圧変化率は、スイッチング電源100およびリニア電源200のオーバーシュート電圧が問題にならない程度に抑えれば良い。
つまり、出力電圧切替回路400は、スイッチング電源100の出力電圧設定を電圧設定2(第2の設定値)とした後、トランジスタT2がフルオン状態でないと判定された場合、スイッチング電源100の出力電圧設定を電圧設定2(第2の設定値)から所定の電圧変化率で徐々に電圧設定1(第1の設定値)に変える。
このように、リニア電源200のオン抵抗が高い場合や、負荷電流が大きい場合でも、スイッチング電源100の出力電圧V2を、MCU2の最大定格未満である電圧設定2から徐々に立上げ、通常の電圧設定に戻すことにより、復帰時のリニア電源のオーバーシュートを、MCU2の最大定格以下に防ぐことが出来る。
(第3の実施形態)
図17は、本発明の第3の実施形態による電源回路1のブロック図の例である。電源回路1は、通知回路500を有する。その他の構成は、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有するので、それらの説明は省略する。
通知回路500は、出力電圧切替回路400が、スイッチング電源100の出力電圧設定を切り替えている期間、MCU2にフルオン状態を通知する。MCU2は、この通知をうけて、動作を必要最低限に制限し、消費電流を抑える。
すなわち、通知回路500は、リニア電源200のトランジスタT2がフルオン状態であると判定された場合、MCU2(負荷回路)に消費電力を小さくするように通知する。
図18は、図17に示す電源回路1のタイミングチャートの例である。
時刻t0において、フルオン判定はされておらず、出力電圧切替回路400の出力V40はLである。したがって、通知回路500も通知は行わない。ここで、図18において、通知回路500の出力V50は、フルオン状態を通知する場合はHであり、通知しない場合はLとする。
時刻t1において、フルオン判定により、V40がHとなると、V50もHとなり、MCU2の消費電流は低下する。
時刻t2において、スイッチング電源100が、電圧設定2となるべく立ち上がる。このとき、MCU2の消費電流は抑えられているため、リニア電源の最低入力電圧も低く抑えられており、したがって、電圧設定2の値は、より低い値に設定できる。
その後、リニア電源200が安定し、時刻t3において、V40がLとなると、スイッチング電源100の出力電圧V2は元に戻り、V50もLとなり、MCU2の消費電流は、通常動作時に戻る。
このように、負荷電流が大きい場合でも、出力電圧設定を最大定格電圧未満に設定している間は、MCU2の消費電流を制限することにより、復帰時におけるオーバーシュート電圧を抑制できる。
(応用例)
本実施形態では、車載用電子制御装置に、本発明の第1〜第3の実施形態による電源回路1を適用する例を説明する。図19は、本発明の実施形態による電源回路1を含む車載用電源システム10のブロック図の例である。
車載用電源システム10は、電源回路1、MCU2、バッテリ3、スターターモータ4、オルタネータ5、を有する。
電源回路1は、V1を入力とし、電圧V3を出力する。
MCU2は、V3を電源とし、自動車の動作に関する各種制御を行う。
バッテリ3は、エンジン動作時に、後述するオルタネータ5の出力電圧を蓄電し、エンジン停止時に、蓄えられた電圧を出力する。
スターターモータ4は、エンジン始動時に動作するもので、V1を電源として、エンジンを始動させる。
オルタネータ5は、エンジンの回転を利用した発電機であり、エンジン動作時に、V1に電圧を出力する。
その他の構成は、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有するので、それらの説明は省略する。
図20は、図19に示す車載用電源システム10のタイミングチャートの例であり、アイドリングストップ状態からのエンジン始動時の動作を示す。
ここでは、電圧値の例として、オルタネータ5の出力電圧を14Vとし、スイッチング電源100の電圧設定1を6.5Vとし、リニア電源200の電圧設定Aを5.0Vとし、リニア電源の最低入力電圧を5.1Vとして説明する。ここで、MCU2の最大定格電圧は6.0Vであり、電圧設定2は5.2Vに設定したとする。
時刻t0までの期間は、エンジンが停止しており、スターターモータ4およびオルタネータ5は停止している。電源回路1は、バッテリ電源3に蓄えられている電圧を入力とし、MCU2に5Vの電圧を出力する。
時刻t0において、スターターモータ4に大電流が流れるため、バッテリ電源3の電圧V1が一時的に低下し、場合によっては5Vを下回る。また、バッテリ電圧V1の低下に伴い、スイッチング電源100の出力V2およびリニア電源200の出力V3も、順次低下する。
時刻t1において、リニア電源200がフルオン状態と判定され、同時に、スイッチング電源100の出力電圧設定は、6.5V(電圧設定1)から5.2V(電圧設定2)に設定される。このとき、出力電圧V3は、スイッチング電源100およびリニア電源200がフルオン状態となり、最大限の供給が継続される。
その後、エンジンが始動し、オルタネータ5がバッテリ3を充電し始め、電圧V1が復帰し、スイッチング電源100は、5.2V(電圧設定2)となるべく立ち上がる。
このとき、スイッチング電源100のオーバーシュート電圧は0.3Vであったとすると、リニア電源200の出力は、オーバーシュート電圧が発生しても、5.5V以下に制限されるため、最大定格である6.0Vを超えることはない。
時刻t2において、リニア電源200のフルオン判定が解除された後、リニア電源200は、通常の動作範囲に復帰する。
時刻t3において、スイッチング電源100の出力電圧設定は、5.2V(電圧設定2)から6.5V(電圧設定1)に戻り、電源回路1は、通常動作に戻る。
このように、一時的にバッテリ電圧が低下した場合に、スイッチング電源100の出力電圧V2を切り替える簡易な構成で、バッテリ電圧V1の復帰時における、電源回路1のオーバーシュート電圧を、負荷回路(MCU2)の最大定格以下に抑えることができる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、タイミングチャートに示した信号極性は、一例であり、これに限定するものではない。また、上記の各構成、は、それらの一部又は全部を、例えばひとつの集積回路で実現してもよいし、複数の集積回路で実現しても良い。
また、上記の各構成、機能等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
V1…入力電圧
V2…スイッチング電源出力
V3…リニア電源出力
V11…スイッチング電源の帰還電圧
V20…リニア電源内部ノード
V30…フルオン判定出力
V40…出力電圧切替回路出力
V41…遅延回路出力
V50…MCU2への通知信号
Va〜Vd…基準電圧
T1…スイッチ素子(スイッチング素子)
D1…還流ダイオード
L1…インダクタ
C1…容量
R1〜3…スイッチング電源の出力電圧帰還用分圧抵抗
T2…リニア電源の出力トランジスタ
R4〜5…リニア電源の出力電圧帰還用分圧抵抗
1…電源回路
2…MCU(Micro Controller Unit)
3…バッテリ
4…スターターモータ
5…オルタネータ
10…車載用電源システム
100…スイッチング電源
101、111…PWM制御部
102…スイッチ
200…リニア電源(シリーズレギュレータ)
201…OPA
202…T2駆動用レベルシフタ
300…フルオン判定回路
301…コンパレータ
400…出力電圧切替回路
401…遅延回路
402…OR論理
500…通知回路

Claims (6)

  1. 第1の電圧が入力され、前記第1の電圧を降圧した第2の電圧を出力するスイッチング電源と、
    前記第2の電圧が入力され、前記第2の電圧を平滑化した第3の電圧を出力するトランジスタを含むリニア電源と、
    前記リニア電源の内部ノードの電圧基準電圧の大小を判定する判定回路と、
    前記リニア電源の内部ノードの電圧が基準電圧より小さいと判定された場合、前記スイッチング電源の出力電圧設定を第1の設定値とし、前記リニア電源の内部ノードの電圧が基準電圧より大きいと判定された場合、前記スイッチング電源の出力電圧設定を前記第1の設定値より小さい第2の設定値とする出力電圧切替回路と、を備える電源回路であって、
    前記第2の設定値は、
    前記リニア電源から出力される前記第3の電圧が印加される負荷回路の最大定格電圧から前記第2の電圧の最初のオーバーシュート量を減じた値以下である
    ことを特徴とする電源回路。
  2. 請求項1に記載の電源回路であって、
    前記第2の設定値は、
    前記リニア電源の最低入力電圧以上である
    ことを特徴とする電源回路。
  3. 請求項1に記載の電源回路であって、
    前記出力電圧切替回路は、
    前記スイッチング電源の出力電圧設定を前記第2の設定値とした後、前記リニア電源の内部ノードの電圧が基準電圧より小さいと判定された場合、所定時間経過後に前記スイッチング電源の出力電圧設定を前記第1の設定値とする
    ことを特徴とする電源回路。
  4. 請求項1に記載の電源回路であって、
    前記出力電圧切替回路は、
    前記スイッチング電源の出力電圧設定を前記第2の設定値とした後、前記リニア電源の内部ノードの電圧が基準電圧より小さいと判定された場合、前記スイッチング電源の出力電圧設定を前記第2の設定値から所定の電圧変化率で徐々に前記第1の設定値に変える
    ことを特徴とする電源回路。
  5. 請求項に記載の電源回路であって、
    前記リニア電源の内部ノードの電圧が基準電圧より大きいと判定された場合、前記負荷回路に消費電力を小さくするように通知する通知回路を
    さらに備えることを特徴とする電源回路。
  6. バッテリと、
    エンジン始動時に前記バッテリから印加される電圧により駆動するスターターモータと、
    エンジン作動時に前記バッテリを充電するオルタネータと、
    前記バッテリ又は前記オルタネータから第1の電圧が入力され、前記第1の電圧を降圧した第2の電圧を出力するスイッチング電源、前記第2の電圧が入力され、前記第2の電圧を平滑化した第3の電圧を出力するトランジスタを含むリニア電源、前記リニア電源の内部ノードの電圧基準電圧の大小を判定する判定回路、及び前記リニア電源の内部ノードの電圧が基準電圧より小さいと判定された場合、前記スイッチング電源の出力電圧設定を第1の設定値とし、前記リニア電源の内部ノードの電圧が基準電圧より大きいと判定された場合、前記スイッチング電源の出力電圧設定を前記第1の設定値より小さい第2の設定値とする出力電圧切替回路を有する電源回路と、を備える車載用電源システムであって、
    前記第2の設定値は、
    前記リニア電源から出力される前記第3の電圧が印加される負荷回路の最大定格電圧から前記第2の電圧の最初のオーバーシュート量を減じた値以下である
    ことを特徴とする車載用電源システム。
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